説明

ポジ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法、高分子化合物、化合物

【課題】ポジ型レジスト組成物の基材成分および添加剤として利用できる新規な高分子化合物、該高分子化合物のモノマーとして有用な化合物、前記高分子化合物を含有するポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、前記基材成分(A)が、さらに、側鎖に、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基であるエステル基を有する炭素原子が第3級炭素原子である置換基を有する2価の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単位を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト組成物の基材成分および添加剤として利用できる新規な高分子化合物、該高分子化合物のモノマーとして有用な化合物、前記高分子化合物を含有するポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えばポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかる、レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている(たとえば特許文献1参照)。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−241385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、リソグラフィー技術のさらなる進歩、応用分野の拡大等が予想されるなか、リソグラフィー用途に使用できる新規な材料に対する要求がある。
近年、リソグラフィー分野において重要となっている問題として、レジストパターンの表面に発生する欠陥(ディフェクト)がある。ディフェクトとは、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、ブリッジ(レジストパターン間の橋掛け構造)、色むら、析出物等である。ディフェクトの改善は、高解像性のレジストパターンが要求されるようになるにつれて重要となる。特に、ArFエキシマレーザー以降、すなわちArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV、EB等を光源として微細パターン、たとえば130nm以下のレジストパターンを形成する場合には、ディフェクトの解決の問題がいっそう厳しくなってきている。そのため、レジストパターンの微細化が進むにつれて、ディフェクトの低減に有効な材料に対する要求が大きくなっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポジ型レジスト組成物の基材成分および添加剤として有用な新規な高分子化合物、該高分子化合物のモノマーとして有用な化合物、前記高分子化合物を含有するポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A’)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A’)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
【0007】
【化1】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【0008】
本発明の第二の態様は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)と、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(ただし、前記高分子化合物(A1)を除く。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
【化2】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【0009】
本発明の第三の態様は、支持体上に、前記第一の態様または前記第二の態様のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
本発明の第四の態様は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物である。
【0010】
【化3】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【0011】
本発明の第五の態様は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【0012】
【化4】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【0013】
本明細書および本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポジ型レジスト組成物の基材成分および添加剤として利用できる新規な高分子化合物、該高分子化合物のモノマーとして有用な化合物、前記高分子化合物を含有するポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪第一の態様(ポジ型レジスト組成物)≫
本発明の第一の態様のポジ型レジスト組成物(以下、単に「第一レジスト組成物」ということがある。)は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A’)(以下、(A’)成分という。)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A’)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の、露光部のアルカリ現像液に対する可溶性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
【0016】
<(A’)成分>
[高分子化合物(A1)]
(A’)成分は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)(以下、(A1)成分という。)を含有する。
本発明のレジスト組成物は、構成単位(a0)を有する(A1)成分を含有することにより、ディフェクトの低減に効果を奏する。その理由としては、以下のことが考えられる。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜に対する選択的露光後、アルカリ現像処理を行うと、未露光部では塩基性の現像液(アルカリ水溶液)に接するレジスト膜表面の構成単位(a0)において、前記一般式(a0−1)中の−O−Rと、該−O−Rが結合したカルボニル基(C=O)の炭素原子との間の結合が切断(加水分解)されて、構成単位(a0)の側鎖末端にカルボキシル基が形成される。すなわち、該構成単位(a0)の側鎖は、−C(=O)O−X−C(=O)OH、となる。このように、現像処理後のレジスト膜表面において、(A1)成分中にカルボキシル基が形成されることにより、該レジスト膜表面の親水性が高まり、アルカリ現像液(アルカリ水溶液)に対する親和性が向上し、これにより、ディフェクトの発生を抑制できると推測される。
一方、該レジスト膜の露光部では、光酸発生剤から発生した酸の作用により、前記一般式(a0−1)中のXと隣接する酸素原子(−O−)との間の結合が切断されて、構成単位(a0)の側鎖がカルボキシル基となるので、当該構成単位(a0)のアルカリ現像液に対する溶解性が高まる。さらに、酸の作用によって解離した基、−X−C(=O)O−R(以下、解離基という。)は、アルカリ現像液によって上述のように加水分解されるので、解離基がレジスト膜表面に再吸着系のディフェクトを発生させることも抑制されていると考えられる。
【0017】
式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
の炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0018】
Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子(−O−)に結合する炭素原子が第3級炭素原子である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「脂肪族炭化水素基」は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Xにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0019】
式(a0−1)中、Xが置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子(−O−)に結合する炭素原子が第3級炭素原子であると、露光によって光酸発生剤から発生した酸の作用により、該酸素原子と該第3級炭素原子との間の結合が切断され、当該構成単位(a0)の側鎖がカルボキシル基となり、当該構成単位(a0)のアルカリ水溶液に対する溶解性が高まる。
【0020】
Xにおける分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であればよく、特に限定されないが、炭素数が3〜8であることが好ましく、3〜7であることがより好ましく、3〜6であることがさらに好ましい。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より具体的には、−C(R18)(R19)−(R20−で表される基が挙げられる。
該式中、R18およびR19は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基であり、R20は置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、nは0または1である。
18およびR19におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
20における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
20における直鎖状のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
20における分岐鎖状のアルキレン基として、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
Xにおける分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該脂肪族炭化水素基が置換基を有するとは、該脂肪族炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の原子または基)で置換されていることを意味する。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、水酸基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。特に水酸基を有することにより、親水性が向上し、ディフェクト低減効果が向上するため、好ましい。
【0021】
Xにおける「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。前記置換基として、特に水酸基を有することにより、親水性が向上し、ディフェクト低減効果が向上するため、好ましい。
Xが構造中に環を含む脂肪族炭化水素基である場合、その具体例としては、隣接する酸素原子側の末端に、後述する一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される基を含有するものが挙げられる。
【0022】
本発明において、Xは、隣接するカルボニル基側の末端が、無置換のアルキレン基であることが好ましい。
Xとしては、特に、−R−R−[式中、Rは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a0)は、下記一般式(a0−1−1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0023】
【化5】

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;Rは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【0024】
としては、Xにおける脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
本発明において、Rとしては、化学増幅型レジスト用のベース樹脂において用いられている酸解離性溶解抑制基のうち、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基から水素原子を1個除いた基が好ましい。該第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、後述する構成単位(a1)において挙げるものと同様のものが挙げられる。
の具体例としては、下記一般式(2−1)〜(2−4)で表される基等が挙げられる。
としては、式(2−1)〜(2−4)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、式(2−2)で表される基が特に好ましい。
【0025】
【化6】

[式(2−1)中、R21およびR22は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基であり;R23は、2価の脂肪族環式基である。式(2−2)中、R24およびR25は相互に結合して、R24およびR25が結合した炭素原子とともに脂肪族環を形成しており;R26は、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。式(2−3)中、R27はアルキル基であり;Rは、置換基を有していてもよい脂肪族環式基である。式(2−4)中、R28およびR29は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基であり;R30は、直鎖状または分岐鎖状の置換基を有していてもよいアルキレン基である。]
【0026】
式(2−1)中、R21およびR22は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基である。
21およびR22におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
該アルキル基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、水酸基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該置換基としては、水酸基を有することにより、親水性が向上しディフェクト低減効果が向上するため、水酸基が特に好ましい。
【0027】
23は2価の脂肪族環式基である。
本明細書および特許請求の範囲において、「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基を示す。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基の炭素数は、3〜15であることが好ましい。
23における脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよく、多環式であることが好ましい。
脂肪族環式基は、炭素及び水素からなる炭化水素基(脂環式基)であってもよく、該脂環式基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等であってもよい。脂肪族環式基としては、脂環式基が好ましい。
単環式の脂環式基の具体例としては、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式の脂環式基の具体例としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンが、工業上入手しやすいため好ましく、特に、アダマンタンまたはノルボルナンが好ましい。
脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。脂肪族環式基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0028】
式(2−1)で表される基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−11)〜(2−16)で表される基等が挙げられる。
【0029】
【化7】

[式中、R21およびR22はそれぞれ前記と同じである。]
【0030】
式(2−2)中、R24およびR25は相互に結合して、R24およびR25が結合した炭素原子とともに脂肪族環を形成している。
該脂肪族環は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、ArFエキシマレーザー等に対する透明性が高く、解像性や焦点深度幅(DOF)等にも優れることから、飽和であることが好ましい。
脂肪族環の炭素数は、3〜15であることが好ましい。
脂肪族環は、炭素及び水素からなる炭化水素環であってもよく、該炭化水素環の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロ環式基等であってもよい。脂肪族環としては、炭化水素環が好ましい。
24およびR25が結合した炭素原子とともに形成する炭化水素環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
単環式の炭化水素環の具体例としては、モノシクロアルカンを構成する炭素原子のうち、1つの炭素原子から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。さらに具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンの1つの炭素原子から2個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンの1つの炭素原子から2個の水素原子を除いた基が好ましい。
多環式の脂環式基の具体例としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンを構成する炭素原子のうち、1つの炭素原子から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどが挙げられる。これらの中でも、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンが、工業上入手しやすいため好ましく、特に、アダマンタンまたはノルボルナンが好ましい。
該脂肪族環は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。脂肪族環式基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0031】
26は、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。
26におけるアルキレン基としては、前記R20における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。該アルキレン基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該アルキレン基における置換基としては、水酸基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。該置換基としては、水酸基を有することにより、親水性が向上しディフェクト低減効果が向上するため、水酸基が特に好ましい。
【0032】
式(2−2)で表される基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−21)〜(2−29)で表される基等が挙げられる。
式(2−22)中、gは0〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
【0033】
【化8】

[式中、R26は前記と同じであり、Bは酸素原子、硫黄原子、メチレン基またはエチレン基であり、gは0〜8の整数である。]
【0034】
式(2−3)中、R27におけるアルキル基としては、前記R21およびR22におけるアルキル基と同様のものが挙げられる。
は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基である。該脂肪族環式基としては、前記R24およびR25が相互に結合して、R24およびR25が結合した炭素原子とともに形成する脂肪族環として挙げた脂肪族環から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
式(2−3)で表される基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−31)〜(2−39)で表される基等が挙げられる。
式(2−32)中、gは前記式(2−22)中のgと同様である。
【0035】
【化9】

[式中、R27は前記と同じであり、Bは酸素原子、硫黄原子、メチレン基またはエチレン基であり、gは0〜8の整数である。]
【0036】
式(2−4)中、R28およびR29は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基である。
28およびR29におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状または分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
該アルキル基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。前記置換基としては、水酸基を有することにより、親水性が向上しディフェクト低減効果が向上するため、水酸基が特に好ましい。
【0037】
30は直鎖状または分岐鎖状の置換基を有していてもよいアルキレン基である。
30における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1または2が特に好ましい。
30における直鎖状のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
30における分岐鎖状のアルキレン基として、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
該R30における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が有していてもよい置換基としては、水酸基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。前記置換基としては、水酸基を有することにより、親水性が向上しディフェクト低減効果が向上するため、水酸基が特に好ましい。
【0038】
式(a0−1−1)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。
該アルキレン基は、主鎖の炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。
直鎖状のアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキレン基としては、前記直鎖状のアルキレン基に直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基が挙げられる。該アルキル基は、直鎖状であることが好ましい。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2がさらに好ましい。分岐鎖状のアルキレン基として、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基等のアルキルアルキレン基が挙げられる。該アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0039】
式(a0−1)中、Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。
ここで、「有機基」は、その構造中に少なくとも1つの炭素原子を含む基である。
「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(アルカリ水溶液)の作用により解離する基である。アルカリ現像液としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているものであってよい。本発明において、塩基解離性基は、23℃における2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の作用により解離する基であることが好ましい。
式(a0−1)で表される構成単位(a0)においては、Rを有することにより、アルカリ現像液と接触した際に、その構造中のカルボニル基(C=O)の炭素原子と、該炭素原子に結合した酸素原子(−O−)との間の結合が切断可能となっている。すなわち、当該構成単位(a0)をアルカリ現像液と接触させると、加水分解により、一般式(a0−1)中のカルボニル基と、該カルボニル基の炭素原子に結合した−O−Rとの間の結合が切断され、−O−Rが解離し、それと同時にカルボキシル基が形成される。
【0040】
としては、後述するようなアルカリ処理を行った際に、その構造中のカルボニル基の炭素原子と、該炭素原子に結合した酸素原子(−O−)との間の結合が切断可能となるものであればよい。
として具体的には、電子吸引基を有する炭化水素基等が挙げられる。
「電子吸引基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基の水素原子の一部または全部が電子吸引基で置換された基である。
電子吸引基を有する炭化水素基において、電子吸引基が結合する「炭化水素基」は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
該炭化水素基の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、1〜5が最も好ましい。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。
脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和の脂肪族炭化水素基(アルキル基)であることが好ましい。
【0041】
電子吸引基を有する炭化水素基として、より具体的には、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部が電子吸引基で置換された基が挙げられる。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、また、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
【0042】
電子吸引基としては、特に限定されず、公知のものであってよい。
好ましい電気吸引性基として、フッ素原子が挙げられる。すなわち、Rは、フッ素原子を有する炭化水素基であることが好ましい。Rがフッ素原子を含むと、アルカリ現像液の作用により−O−Rが解離した際の親水性向上効果がより高くなる。
該フッ素原子を有する炭化水素基は、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。「フッ素化率」は、当該炭化水素基における[水素原子およびフッ素原子の合計数]に対する[フッ素原子数]の割合(%)である。
また、Rとして、電子吸引基を有する炭化水素基以外の基としては、メチル基、エチル基も挙げられる。
【0043】
において、フッ素原子を有する炭化水素基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基がより好ましい。
フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
本発明においては、特に、炭素数が2以上であって、隣接する酸素原子(−O−)に結合した炭素原子に直接フッ素原子が結合していないフッ素化アルキル基が好ましい。また、該フッ素化アルキル基の末端の炭素原子にフッ素原子が結合していることが好ましい。
として好ましいフッ素化アルキル基としては、下記一般式(III−1)または(III−2)で表される基が挙げられる。これらの中でも、式(III−1)で表される基が好ましい。
【0044】
【化10】

[式(III−1)中、R41’は無置換のアルキレン基であり、R42’はフッ素化アルキル基である。但し、R41’とR42’との炭素数の合計は10以下である。また、式(III−2)中、R71’〜R73’は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R71’〜R73’の少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基である。]
【0045】
式(III−1)中、R41’のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。また、その炭素数は1〜9が好ましく、1〜5がより好ましい。R41’としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
42’としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、直鎖状がより好ましい。その炭素数は1〜9が好ましく、1〜5がより好ましい。R42’としては、特に、パーフルオロアルキル基が好ましい。
式(III−1)で表される基としては、特に、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH−CF−CF−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが好ましい。
式(III−2)中、R71’〜R73’の「フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基」におけるアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
71’〜R73’のうち、少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基(フッ素化アルキル基)である。R71’〜R73’のうち、全てがフッ素化アルキル基であってもよいが、少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。
式(III−2)で表される基としては、特に、−CH(CFが好ましい。
【0046】
また、本発明のRにおいて、フッ素原子を有する炭化水素基としては、下記一般式(q1)で表される基が特に好ましい。
【0047】
【化11】

[式中、R53はフッ素化アルキル基を表し、R54は水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、hは1または2を表す。]
【0048】
式(q1)中、R53のフッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、直鎖状のフッ素化アルキル基がより好ましい。その炭素数は1〜9が好ましく、1〜5がより好ましい。R53としては、特に、パーフルオロアルキル基が好ましい。
54は水素原子、アルキル基、またはフッ素化アルキル基である。
54のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状のどちらであってもよい。その炭素数は1〜9が好ましく、1〜5がより好ましい。
54のフッ素化アルキル基としては、前記R53と同様のものが好ましいものとして挙げられ、特に、パーフルオロアルキル基が好ましい。
式(q1)中、hは1または2であり、1がより好ましい。
該hが2である場合、当該式(q1)中の隣接する炭素原子に結合した2つのR54は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、またはフッ素化アルキル基であり、同一であっても、異なっていてもよい。
式(q1)で表される基としては、特に、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH−CF−CF−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CF、−CH(CH)−CH−CFが好ましい。
【0049】
前記の中でも、Rとしては、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CF−CF−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが特に好ましい。
【0050】
上記一般式(a0−1)で表される構成単位としては、たとえば以下のものが挙げられる。
各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0051】
【化12】

【0052】
構成単位(a0)としては、特に、下記一般式(a0−1−11)で表される構成単位が好ましく、特に、下記一般式(a0−1−111)で表される構成単位が好ましい。
【0053】
【化13】

[式中、R、R、R、R24〜R26はそれぞれ前記と同じである。]
【0054】
【化14】

[式中、Rは前記と同じであり、R’は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、b’は0〜3の整数であり、c’は1〜5の整数であり、d’は1〜5の整数である。]
【0055】
式(a0−1−111)中、b’は0〜2の整数が好ましい。
c’は1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
d’は1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、2が最も好ましい。
【0056】
(A1)成分において、構成単位(a0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する際のディフェクト発生の低減効果、すなわちアルカリ現像液処理後におけるレジスト膜の未露光部の親水性の向上効果、が優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましい。上限値は25モル%以下であることが好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、他の構成単位とのバランスが良好である。またコントラストが良好となる。
また、(A1)成分は、構成単位(a0)のみからなる重合体であってもよく、さらに他の構成単位(後述する構成単位(a1)〜(a4)等)を含む共重合体であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該構成単位(a0)と、後述する構成単位(a1)との合計の割合(構成単位(a1)を有さない場合は構成単位(a0)のみの割合)が、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜100モル%である。また、10〜80モル%となる量が好ましく、20〜70モル%となる量がより好ましく、30〜60モル%となる量が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0057】
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位(a0)以外の他の構成単位を有していてもよい。該他の構成単位としては、構成単位(a0)を誘導するモノマー(後述する本発明の第四の態様の化合物)と共重合可能な化合物から誘導される構成単位であれば特に限定されず、たとえばこれまで化学増幅型レジスト用のベース樹脂の構成単位として提案されているものが挙げられる。かかる構成単位としては、たとえば、以下の構成単位(a1)〜(a4)等が挙げられる。
本発明においては、特に、(A1)成分が、前記構成単位(a0)に加えて、構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分が、前記構成単位(a0)に加えて、または該構成単位(a0)および構成単位(a1)に加えて、さらに、構成単位(a2)を有することが好ましい。
【0058】
・構成単位(a1):
構成単位(a1)は、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
【0059】
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0060】
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
【0061】
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
【0062】
【化15】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R15、R16はアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
【0063】
一般式(a1”−1)〜(a1”−6)において、Rの炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、上記式(a0−1)中のRの炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基と同様である。
【0064】
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0065】
【化16】

[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0066】
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0067】
【化17】

[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
【0068】
Yの炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
【0069】
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0070】
【化18】

[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
【0071】
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特に、R17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19が、それぞれ独立に、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0072】
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0073】
【化19】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
【0074】
【化20】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;Xは酸解離性溶解抑制基を示し;Yは2価の連結基を示す。]
【0075】
一般式(a1−0−1)において、Rの炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、上記と同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
【0076】
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が挙げられる。
がアルキレン基である場合、その炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記R23と同様のものが挙げられる。Yとしては、特に、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基であることが好ましい。
【0077】
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、「−A−O(酸素原子)−B−(ただし、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。)」等が挙げられる。
が−NH−の場合における置換基(アルキル基、アシル基等)の炭素数としては1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
【0078】
が「A−O−B」である場合、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Aにおける炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Aにおける脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Aにおける脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0079】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましく、2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0080】
前記環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0081】
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
【0082】
Bにおける炭化水素基としては、前記Aで挙げたものと同様の2価の炭化水素基が挙げられる。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基またはアルキルメチレン基が特に好ましい。
アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0083】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0084】
【化21】

[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【0085】
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
【0086】
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0087】
【化22】

【0088】
【化23】

【0089】
【化24】

【0090】
【化25】

【0091】
【化26】

【0092】
【化27】

【0093】
【化28】

【0094】
構成単位(a1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a1)としては、上記の中でも、一般式(a1−1)または(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)および(a1−3−25)〜(a1−3−28)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、または式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、が好ましい。
【0095】
【化29】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【0096】
【化30】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、R12は炭素数1〜5のアルキル基を示す。hは1〜6の整数を表す。)
【0097】
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。
11の炭素数1〜5のアルキル基はRにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。
12の炭素数1〜5のアルキル基はRにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
【0098】
(A1)成分中に含まれる構成単位(a0)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、上述したように、構成単位(a0)と構成単位(a1)との合計の割合が、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜100モル%である。また、10〜80モル%となる量が好ましく、20〜70モル%となる量がより好ましく、30〜60モル%となる量が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A1)成分が構成単位(a0)および構成単位(a1)の両方を含有する場合、当該(A1)成分中の各構成単位の比率(モル比)は、構成単位(a0):構成単位(a1)=99:1〜1:99の範囲内が好ましく、90:10〜5:95の範囲内がより好ましく、50:50〜5:95の範囲内が特に好ましく、20:80〜5:95が最も好ましい。上記範囲とすることにより、構成単位(a0)および構成単位(a1)のバランスが良好となり、リソグラフィー特性、アルカリ現像後のレジスト膜の親水性が向上する。
【0099】
・構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、共重合体(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0100】
【化31】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R’は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、前記R”は水素原子、または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であり、mは0または1の整数であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。]
【0101】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの炭素数1〜5のアルキル基と同じである。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0102】
【化32】

【0103】
【化33】

【0104】
【化34】

【0105】
【化35】

【0106】
【化36】

【0107】
(A1)成分において、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0108】
・構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)〜(a3−4)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0109】
【化37】

[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数であり、dは1〜3の整数であり、eは0または1である。]
【0110】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
式(a3−4)中、dは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。水酸基の結合位置は、特に限定されず、dが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることから2位が好ましい。dが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
【0111】
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a3)を(A1)成分に含有させる場合、(A1)成分中の構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
【0112】
・構成単位(a4):
構成単位(a4)は、上記構成単位(a0)〜(a3)以外の他の構成単位である。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a0)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
【0113】
【化38】

(式中、Rは前記と同じである。)
【0114】
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
【0115】
(A1)成分は、構成単位(a0)、(a1)および(a2)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)、および(a4)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が例示できる。
【0116】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0117】
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマー(たとえば後述する化合物(I)、および必要に応じて他の構成単位を誘導するモノマー)を、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0118】
(A’)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A’)成分中の(A1)成分の割合は、(A’)成分の総質量に対し、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0119】
本発明のレジスト組成物は、(A’)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下、(A2)成分という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。たとえばArFエキシマレーザー用のベース樹脂としては、前記構成単位(a1)を必須の構成単位として有し、任意に前記構成単位(a2)〜(a4)をさらに有する樹脂が挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0120】
本発明のレジスト組成物中、(A’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0121】
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0122】
【化39】

[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0123】
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
【0124】
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0125】
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
【0126】
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
【0127】
式(b−1)で表される化合物のカチオン部として、好ましいものとしては、下記式(I−1−1)〜(I−1−10)で表されるカチオン部が挙げられる。これらの中でも、式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオン部等の、トリフェニルメタン骨格を有するものが好ましい。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
【0128】
【化40】

【0129】
”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0130】
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0131】
X−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
【0132】
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0133】
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0134】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0135】
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0136】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
【0137】
【化41】

[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0138】
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0139】
本発明において、Xは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
【0140】
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
【0141】
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又は−CHCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−、又は−CHCF−がより好ましく、−CHCF−が特に好ましい。
【0142】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0143】
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
【0144】
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート、ベンゼンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0145】
【化42】

[式中、pはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、q1〜q3はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、r1は0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、n1〜n5はそれぞれ独立に0または1であり、v1〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
【0146】
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0147】
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0148】
【化43】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0149】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0150】
また、前記一般式(b−1)または(b−2)において、アニオン部(R”SO)を、R”−COO[式中、R”はアルキル基またはフッ素化アルキル基である。]に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)または(b−2)と同様)。
”としては、前記R”と同様のものが挙げられる。
上記「R”−COO」の具体的としては、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、1−アダマンタンカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0151】
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
【0152】
【化44】

[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
【0153】
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
【0154】
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R4”SO)等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。
【0155】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0156】
【化45】

(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0157】
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0158】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0159】
【化46】

[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0160】
【化47】

[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0161】
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0162】
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
【0163】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0164】
【化48】

【0165】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0166】
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(B)成分として、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0167】
<任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物は、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0168】
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0169】
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0170】
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0171】
≪第二の態様(ポジ型レジスト組成物)≫
本発明の第二の態様のポジ型レジスト組成物(以下、単に「第二レジスト組成物」ということがある。)は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)と、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の、露光部のアルカリ現像液に対する可溶性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
【0172】
本発明の第二レジスト組成物は、構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)を含有することにより、ディフェクトの低減に効果を奏する。その理由としては、前記(A1)成分を有する第一レジスト組成物がディフェクトの低減に効果を奏する理由と同じである。
また、本発明の第二レジスト組成物は、構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)を、基材成分(A)と別に含有することにより、構成単位(a0)の添加量が少量であっても上記効果を得ることができるという利点がある。つまり、第二レジスト組成物において、高分子化合物(A1)は、添加剤として用いられる。
【0173】
<高分子化合物(A1)>
本発明の第二レジスト組成物において、高分子化合物(A1)(以下、「(A1)成分」という。)は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する。
第二レジスト組成物における(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有していてもよい。
第二レジスト組成物における(A1)成分は、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有していてもよい。
第二レジスト組成物における(A1)成分は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有していてもよい。
また、第二レジスト組成物における(A1)成分は、さらに、上記の構成単位(a0)〜(a3)に分類されない他の構成単位(a4)を有していてもよい。
【0174】
本発明の第二レジスト組成物の(A1)成分における構成単位(a0)〜(a4)は、それぞれ、前記第一レジスト組成物の(A1)成分における構成単位(a0)〜(a4)と同じである。
【0175】
本発明の第二レジスト組成物において、(A1)成分は、構成単位(a0)を有する重合体である。かかる重合体としては、構成単位(a0)の繰り返しからなる重合体(ホモポリマー)、構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体、構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体等が例示でき、構成単位(a0)のホモポリマーであることが好ましい。
第二レジスト組成物の(A1)成分のMw、Mw/Mnは、前記第一レジスト組成物の(A1)成分のMw、Mw/Mnと同じである。また、第二レジスト組成物の(A1)成分の製造方法は、前記第一レジスト組成物の(A1)成分の製造方法と同じである。
【0176】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する高分子化合物成分(A0)(以下、(A0)成分という。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A3)(以下、(A3)成分という。)であってもよく、またはこれらの混合物であってもよい。ただし、本発明の(A)成分は、前記高分子化合物(A1)を除く。
【0177】
[(A0)成分]
(A0)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、または2種以上を混合して使用することができる。ただし、(A0)成分は、前記高分子化合物(A1)とは異なる。よって、本発明の(A0)成分は、前記高分子化合物(A1)が有する構成単位(a0)を有しない。
本発明において、(A0)成分としては、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するものが好ましい。
(A0)成分は、特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することがさらに好ましい。
(A0)成分は、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することがさらに好ましい。
(A0)成分は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有していてもよい。
また、(A0)成分は、さらに、上記構成単位(a1)〜(a3)に分類されない構成単位(a4)成分を含んでいてもよい。
【0178】
(A0)成分における構成単位(a1)〜(a4)は、それぞれ、前記第一レジスト組成物の(A1)成分における構成単位(a1)〜(a4)と同じである。
【0179】
(A0)成分は、構成単位(a1)、(a2)を有する共重合体であることが好ましい。かかる重合体としては、構成単位(a1)および(a2)からなる共重合体等が例示できる。
【0180】
(A0)成分のMw、Mw/Mnは、前記第一レジスト組成物の(A1)成分のMw、Mw/Mnと同じである。また、(A0)成分の製造方法は、前記第一レジスト組成物の(A1)成分の製造方法と同じである。
(A0)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A0)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、良好な形状のレジストパターンが得られやすくなることに加えて、リソグラフィー特性が向上する。
本発明おいては、共重合体(A0)としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含むものが好ましい。
【0181】
【化49】

[式中、R11、R12、hは前記同様である。]
【0182】
[(A3)成分]
(A3)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、前記第一レジスト組成物の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A3)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、LWRに優れることから好ましい。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0183】
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(A)成分としては、(A0)成分を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0184】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明の第一レジスト組成物または第二レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明の第一レジスト組成物または第二レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
【0185】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
【0186】
レジスト膜の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0187】
≪高分子化合物≫
本発明の高分子化合物は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物である。
本発明の高分子化合物についての説明は、前記本発明の第一レジスト組成物の(A1)成分についての説明と同じである。
高分子化合物(A1)は、上述したように、目的の構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネートのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
たとえば構成単位(a0)を誘導するモノマーとしては、下記本発明の化合物が挙げられる。
【0188】
≪化合物≫
本発明の化合物は、下記一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という。)である。
【0189】
【化50】

【0190】
式(I)中、R、X、Rはそれぞれ前記式(a0−1)中のR、X、Rと同じである。
【0191】
化合物(I)の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を利用して製造できる。
たとえば、下記一般式(I−1)で表される化合物(以下、化合物(I−1)という。)と、下記一般式(I−2)で表される化合物(以下、化合物(I−2)という。)とを反応させることにより、化合物(I)を製造することができる。
【0192】
【化51】

[式中、R、X、Rは、それぞれ前記と同じであり、X11はハロゲン原子またはアルコールである。]
【0193】
式(I−1)〜(I−2)中のR、X、Rは、それぞれ、前記一般式(I)中のR、X、Rと同じである。
11におけるハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。これらの中でも、反応性に優れることから、塩素原子、臭素原子が好ましい。
化合物(I−1)、化合物(I−2)は、それぞれ、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成してもよい。たとえば化合物(I−1)は、一般的なアクリル酸エステルの製造方法を利用して製造できる。
たとえば、特開平11−15162号、国際公開第07/094474号パンフレットに記載されたラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルなど、公知のArFレジストにおいて用いられる公知のラクトン環含有アクリル酸エステルモノマーを使用した開環反応により、化合物(I−1)を合成することができる。具体例を挙げると、たとえば、下記一般式(I−01)で表される化合物のラクトン開環反応により、前記一般式(a0−1−111)で表される構成単位を誘導する化合物(モノマー)の前駆体(下記一般式(I−02)で表される化合物)を得ることができる。
【0194】
【化52】

[式中、R、c’、d’は、それぞれ前記と同じである。]
【0195】
化合物(I−1)と化合物(I−2)とを反応させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、化合物(I−1)を反応溶媒に溶解させた溶液に、塩基の存在下で、化合物(I−2)を添加する方法が挙げられる。
反応溶媒としては、原料である化合物(I−1)および化合物(I−2)を溶解できるものであればよく、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等が挙げられる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO等の無機塩基;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。
化合物(I−2)の添加量は、化合物(I−1)に対し、およそ1〜2モル倍量が好ましく、1〜1.5モル倍がより好ましい。
反応温度は、0〜50℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、室温での反応が最も好ましい。
反応時間は、化合物(I−1)および(I−2)の反応性や反応温度等によっても異なるが、通常、1〜24時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(I)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記工程で得られる化合物の構造は、H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル法、13C−NMRスペクトル法、19F−NMRスペクトル法、赤外線吸収(IR)スペクトル法、質量分析(MS)法、元素分析法、X線結晶回折法等の一般的な有機分析法により確認できる。
【0196】
上記の方法等で合成した化合物(I)中の−O−Rで表される基がアルカリ現像液の作用により解離するかどうかは、以下のアルカリ処理を行い、中和した後、公知の分析方法(たとえば薄層クロマトグラフィー(TLC)やNMR)による分析を行い、エステル体である当該化合物(I)が消失しているかどうかを確認することにより確認できる。
(アルカリ処理)
化合物(I)に、当該化合物(I)を溶解する溶剤(たとえばテトラヒドロフラン)と、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液とを加え、23℃にて60秒間攪拌する。
【実施例】
【0197】
以下、本発明について実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1(化合物3の合成)]
1000mlフラスコに、[化合物1]30g及びテトラヒドロフラン(THF)300gを加え溶解させ、室温で攪拌しながら2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液456gを加えた後、2時間室温で反応させた。反応液を減圧濃縮し、1N塩酸で中和、酢酸エチルに抽出した後、乾燥させて[化合物2]23.34gを得た。
【0198】
【化53】

【0199】
得られた生成物の構造確認をNMRで行った。
H−NMRデータ(溶媒:CDCl、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン):δ(ppm)=6.14(1H s H), 5.61(1H s H), 4.91−4.99(1H m H),2.34−2.42(2H m H),1.97(3H s H),1.93−2.16(2H m H),1.11−1.70(10H m H)。
上記結果から、[化合物2]が以下の構造を有することを確認した。
【0200】
【化54】

【0201】
500ml3つ口フラスコに、ペンタフルオロプロパノール100g、テトラヒドロフラン(THF)200mlを入れ、そこへ1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI塩酸塩)30.7gを加え、0℃にて攪拌しながら[化合物2]30gを加え、さらにジメチルアミノピリジン0.67gを加え、室温に戻して5時間反応させた。その後、水100mlを加えて、減圧濃縮によりTHFを除去した後、水/酢酸エチルにより抽出を行い、その後カラムクロマトグラフィ(SiO、ヘプタン:酢酸エチル=9:1)にて不純物を除去し、溶液を減圧濃縮、乾燥させることにより目的とする[化合物3]を12.5g得た。
【0202】
【化55】

【0203】
得られた生成物の構造確認をNMRで行った。
H−NMRデータ(溶媒:CDCl、400MHz、内部標準:テトラメチルシラン):δ(ppm)=6.13(1H s H), 5.62(1H s H), 4.91−4.99(1H m H),4.47−4.60(2H m H),2.40−2.53(2H m H),1.93(3H s H),1.96−2.19(2H m H),1.14−1.69(10H m H)。
上記結果から、[化合物3]が以下の構造を有することを確認した。
【0204】
【化56】

【0205】
[合成例2(高分子化合物1の合成)]
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、5.32g(31.32mmol)の下記[化合物4]、7.70g(32.89mmol)の下記[化合物5]、9.45g(23.49mmol)の[化合物3]を入れ、33.71gの乳酸エチル(EL)に溶解させた。この溶液に、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601:
和光純薬社製)を6.14mmol添加し、溶解させた。これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱した乳酸エチル(EL)18.72gに滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を、大量のメタノール/水混合溶媒に滴下し、反応生成物(重合体)を析出させる操作を行い、沈殿した反応生成物をろ別、洗浄、乾燥して、目的の[高分子化合物1]を15g得た。
この[高分子化合物1]について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,400であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.45であった。
また、600MHzでのカーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=40/40/20であった。
【0206】
【化57】

【0207】
[合成例3(高分子化合物2の合成)]
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだフラスコに、15.00g(66.37mmol)の[化合物3]を35gのテトラヒドロフランにて溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を16.6mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて67℃にて重合反応を行った。所定時間終了後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した高分子化合物をろ別、ヘプタン/IPA混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である[高分子化合物2]を12g得た。
この[高分子化合物2]について、GPC測定により求めたMwは17,000であり、Mw/Mnは2.06であった。
【0208】
【化58】

【0209】
[実施例1、比較例1]
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
【0210】
【表1】

【0211】
表1中、[ ]内の数値は配合量(質量部)を示す。また、表1中の記号はそれぞれ以下のものを示す。
(A)−1:前記高分子化合物1。
(A)−2:下記化学式(A)−2[式中、l/m/n=20/40/40(モル比)]で表されるMw=9000、Mw/Mn=1.4の共重合体。
(A1)−1:前記高分子化合物2。
(B)−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
(S)―2:γ−ブチロラクトン。
【0212】
【化59】

【0213】
[塗布後、現像後の接触角の測定]
実施例1および比較例1のレジスト組成物を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコンウェーハ上に、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間プレベークして、乾燥させることにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜(塗布後のレジスト膜)の表面に水(2μL)を滴下し、DROP MASTER−700(製品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、静的接触角および後退角の測定を行った。この測定値をそれぞれ、「接触角(塗布後)」および「後退角(塗布後)」とした。その結果を表2に示す。
接触角および後退角測定後の各ウェーハに対し、110℃で60秒間のPEB処理を行い、つづいて23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間のアルカリ現像処理を行い、その後15秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥させた後、上記と同様にして接触角および後退角を測定した。それぞれの測定値を「接触角(現像後)」および「後退角(現像後)」とした。その結果を表2に示す。
【0214】
【表2】

【0215】
上記の結果より、本発明に係る実施例1〜3のレジスト組成物は、現像後に接触角が減少することから、現像液に対する親和性が向上し、未露光部におけるディフェクトを低減することが可能となる。また、構造中にフッ素を有する構成単位(a0)を含有するため、塗布後の接触角が高く、レジスト膜表面の疎水性が高いことが確認された。したがって、スキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合の、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が高く、高速スキャンスピードの実現が可能となる。
また、本発明に係るレジスト組成物は、レジストパターン形成において一般的に行われるPEB処理(110℃で60秒間)およびアルカリ現像処理(23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間のアルカリ現像処理)によって、親水性が向上することが確認された。すなわち、アルカリ現像液に接するレジスト膜表面において、前記構成単位(a0)の塩基解離性基(−O−R)が解離して前記構成単位(a0)の側鎖の末端にカルボキシル基が現れるため、親水性が大幅に向上する。従って、本発明のレジスト組成物によれば、ディフェクトのリスクを低減することが可能となる。また、レジスト塗布後(現像処理前)の接触角が向上し、かつ現像処理後の親水性を向上させることが出来、現像処理前後における接触角の差を大きくすることができる。
【0216】
[解像性]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記で得られた実施例1〜3および比較例1のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、前記レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間の条件でアルカリ現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅140nm、ピッチ280nmのラインアンドスペースのレジストパターンが形成された。
【0217】
上記の結果より、本願発明に係る実施例1〜3のレジスト組成物は、比較例1のレジスト組成物に比べて、リソグラフィー特性も良好であることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A’)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A’)が、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【請求項2】
下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有する高分子化合物(A1)と、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(ただし、前記高分子化合物(A1)を除く。)と、
露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化2】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【請求項3】
前記Xが、水酸基を有する請求項1または2に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
前記構成単位(a0)が、下記一般式(a0−1−1)で表される構成単位である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【化3】

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;Rは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項5】
前記Rが、下記一般式(2−2)で表される基である請求項4に記載のポジ型レジスト組成物。
【化4】

[式(2−2)中、R24およびR25は相互に結合して、R24およびR26が結合した炭素原子とともに脂肪族環を形成しており;R26は、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項6】
前記Rが、下記一般式(q1)で表される基である請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【化5】

[式中、R53はフッ素化アルキル基を表し、R54は水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、hは1または2を表す。]
【請求項7】
前記基材成分(A)が、高分子化合物(A0)を含有する請求項2〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項8】
前記高分子化合物(A1)および/または前記高分子化合物(A0)が、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項9】
前記高分子化合物(A1)および/または前記高分子化合物(A0)が、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項10】
さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項11】
支持体上に、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
【請求項12】
下記一般式(a0−1)で表される構成単位を有する高分子化合物。
【化6】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【請求項13】
前記構成単位(a0)が、下記一般式(a0−1−1)で表される構成単位である請求項12に記載の高分子化合物。
【化7】

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;Rは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項14】
前記Rが、下記一般式(2−2)で表される基である請求項13に記載の高分子化合物。
【化8】

[式(2−2)中、R24およびR25は相互に結合して、R24およびR26が結合した炭素原子とともに脂肪族環を形成しており;R26は、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項15】
前記Rが、下記一般式(q1)で表される基である請求項12〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化9】

[式中、R53はフッ素化アルキル基を表し、R54は水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、hは1または2を表す。]
【請求項16】
さらに、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項12〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項17】
さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項12〜16のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項18】
下記一般式(I)で表される化合物。
【化10】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは、当該式中の−O−Rを、アルカリ現像液の作用により解離する塩基解離性基とする有機基である。]
【請求項19】
下記一般式(I−1)で表される請求項18に記載の化合物。
【化11】

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同じであり;Rは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であって、隣接する酸素原子に結合する炭素原子が第3級炭素原子であり;Rは直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項20】
前記Rが、下記一般式(2−2)で表される基である請求項19に記載の化合物。
【化12】

[式(2−2)中、R24およびR25は相互に結合して、R24およびR26が結合した炭素原子とともに脂肪族環を形成しており;R26は、置換基を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。]
【請求項21】
前記Rが、下記一般式(q1)で表される基である請求項18〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【化13】

[式中、R53はフッ素化アルキル基を表し、R54は水素原子、アルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、hは1または2を表す。]

【公開番号】特開2010−134410(P2010−134410A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143266(P2009−143266)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】