説明

ポジ型感光性組成物

【課題】下記の化学式で示されるポリアミド誘導体を含むポジ型感光性組成物を開示する。
【化18】


【解決手段】上記の化学式において、R1およびR2はそれぞれ独立的に2〜4価のアリール基であり、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、R5は2〜4価のアリール基、または直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、kおよびlはそれぞれ独立的に10〜1000の定数であり、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜2の定数であり(ただ、n+m>0)、Xは水素原子または炭素数2〜30のアリール基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、半導体ウエハの反り現象を防ぐことができ、柔軟性が優れたポジ型感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体工程に用いられる感光性組成物の大部分は、紫外線の露光によって露光部分がアルカリ水溶液に溶解してポジ型を示す。一般的に、このような組成物は、アルカリ水溶液に溶解する樹脂、アルカリ水溶液に不溶性であり紫外線に感応する感光性化合物、およびその他の添加剤を含む。
【0003】
アルカリ水溶液に溶解する樹脂としては、ポリアミド誘導体を挙げることができる。この樹脂は、熱によってポリイミドとポリベンゾオキサゾールに変形し、耐熱性樹脂の特性を有する。従来技術は感光性を有さない組成物を用いていたが、最近では工程の単純化のために、次第に感光性を有する組成物を好む傾向にある。半導体製造技術の発達によって高集積化が加速化するに伴い、パッケージング技術も過去とは異なり極めて複雑な工程で進められている。過去、単純に1次元的パッケージングから2層以上の高積層パッケージング技術が適用されている。高積層パッケージング技術は、チップの大きさに対比して容量を最大化するための技術である。このとき、積層によるチップの厚さを最小化するために、半導体製造の工程中にウエハの裏面を研磨することによってその体積を減少させる。ウエハの裏面を研磨して最終40μm以下まで厚さを減少させれば、ウエハの反り(Warpage)現象が発生する。この反り現象は、ウエハの前面と裏面に用いる材料が異なることによる線膨張係数の相違のために発生する。ウエハの反り現象が多発する場合、後工程においてウエハの操作が不便になるだけでなく数値の誤差も多発し、収率を低下させる原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、半導体工程中に半導体ウエハの反り現象を防ぐことができ、柔軟性が優れたポジ型感光性組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係る感光性組成物は、下記の化学式(1)で示されるポリアミド誘導体を含む。
【0006】
【化1】

【0007】
化学式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立的に2〜4価のアリール基であり、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は直鎖(linear)構造を有するアルキル基またはアリール基であり、R5は2〜4価のアリール基、または直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、kおよびlはそれぞれ独立的に10〜1000の定数であり、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜2の定数であり(ただ、n+m>0)、Xは水素原子または炭素数2〜30のアリール基である。
m,nが0である場合、R1、R2、R5にはHが結合する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポジ型感光性組成物を半導体工程中に用いれば、半導体ウエハの反り現象を防ぐことができ、半導体工程においてウエハ操作が容易となる上に、半導体工程の効率を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るポジ型感光性組成物について詳しく説明する。
本発明の一側面に係るポジ型感光性組成物は、高感度でありながらもフィルム形成後のウエハの反り現象を最小化することができる。ポジ型感光性組成物は、ポリアミド誘導体、ジアゾナフトール化合物、およびその他の添加剤を含む。添加剤としては、架橋触媒、低分子添加剤、接着補助剤、界面活性剤、腐食防止剤などを挙げることができる。ポリアミド誘導体は、下記の化学式(1)で示される。
【0010】
【化2】

【0011】
化学式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立的に2〜4価のアリール基であり、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、R5は2〜4価のアリール基、または直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、kおよびlはそれぞれ独立的に10〜1000の定数であり、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜2の定数であり(ただし、n+m>0)、Xは水素原子または炭素数2〜30のアリール基である。
【0012】
4は直鎖構造を有し、少なくとも1つのアルケニール(alkenyl)基を有する炭素数20以下のアルキル基またはアリール基とすることができる。また、R5は、R1またはR4と同じ化合物でなすことができる。すなわち、R1、R4、およびR5は、同じ化学構造を有することができる。
【0013】
1として可能な化合物基としては、下記の化学式(2)〜(22)で示される化合物基を挙げることができ、下記の化合物基は、単独または2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
【化3】

【0015】
化学式(16)において、R4は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、または炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基とすることができる。
【0016】
一方、化学式(1)において、R2としては、下記の化学式(23)〜(37)で示された化合物基を挙げることができ、下記の化合物基は、単独または2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
【化4】

【0018】
化学式(33)において、R5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、または炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基とすることができる。
【0019】
一方、化学式(1)において、R4としては、下記の化学式(23)〜(37)で示された化合物基を挙げることができ、下記の化合物基は、単独または2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
【化5】

【0021】
化学式(38)〜(41)において、R7およびR8はそれぞれ独立的に水素原子またはアルキル基であり、Yは炭素数2〜12のアルキル基であり、mおよびnは1〜12の自然数である。
【0022】
本発明の一実施形態に係るポリアミド誘導体(化学式(1))は、主鎖にR4に該当するモノマを用いることによってポリマの柔軟性が増加する。ポリマの柔軟性は、半導体ウエハの加工工程で発生するウエハの反り現象を最小化させることができる。しかしながら、R4に該当するモノマの鎖の長さが極めて長かったり使用量が多ければ、ポリマのガラス転移温度Tgを低下させるという短所が生じることもある。したがって、モノマR4の鎖の長さは、炭素数が20を超えない範囲が適切である。また、R4は、全体ポリアミド誘導体と対比して2〜10モル%となるように用いられることが好ましい。
【0023】
化学式1のポリマ合成において、分子量の調節および製品の保管安全性を向上させるために、ポリマ主鎖部分のアミン基を化学的に安定な機能基に代替することが好ましい。アミン基を他の機能基に代替する方法は、多数存在し得る。体外の場合、アミン基をアミド基に代替することが好ましい。例示して説明すれば、アミン基と反応してアミド基が生成される化合物としては、アルキルカルボニルクロライド誘導体、アルケニルカルボニルクロライド誘導体、アルキニルカルボニルクロライド誘導体、アルキルスルホニルクロライド誘導体、アリールスルホニルクロライド誘導体、アルキル基を含む酸無水物誘導体、アリール基を含む酸無水物誘導体、アルキル基を含む酸無水物誘導体などを挙げることができる。しかしながら、上記した化合物のうち、化学反応速度が極めて速いアルキルカルボニルクロライド誘導体またはアルケニルカルボニルクロライド誘導体などを用いれば、目的とするポリマ主鎖にあるアミン基だけでなく他の機能基とも反応し、副生性物を生成させるという短所がある。
【0024】
化学式(1)において、Xは、水素原子または例えば下記の化学式(42)〜(51)で示される化合物基とすることができるが、これに限定されるものではなく、2種以上を混合して用いることもできる。
【0025】
【化6】

【0026】
化学式(50)において、R6は、炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基とすることができる。すなわち、上記した化合物基のうち1種類以上を用いて主鎖のアミン基をアミド基に代替することができる。
【0027】
化学式(1)で示すポリマは、一般的に縮合反応によって製造することができる。縮合反応は、まず、ジカルボン酸誘導体を塩化チオニルを用いて二塩化誘導体に転換させた後、塩基性触媒存在下でジアミン誘導体と縮合反応を進める。縮合反応の反応温度は特に限定しないが、一般的に80℃以下で進めることが有利である。温度が極めて高ければ副生成物が生成され、現像速度やUV透過度などを阻害することがある。しかしながら、温度が−10℃以下であれば、反応速度が遅いという短所がある。反応が終わった後には、純粋な水に反応混合物を徐々に滴下して沈澱させた後、固体粒子形態のポリマ化合物を得ることができる。もし、ポリマの分子量が大きい場合、アミン機能基と反応することができる酸無水物誘導体またはスルホニルクロライド誘導体の使用量を増加させれば調節が可能となる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る感光性化合物であるジアゾナフトール化合物は、2つ以上のヒドロキシ基を含んでいるフェノール誘導体とジアゾナフトールスルホニルクロライド誘導体をアミン触媒下で反応させて得ることができる。感光性化合物としてのジアゾナフトール化合物は、下記の化学式(51)で示すことができる。
【0029】
【化7】

【0030】
化学式(51)において、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜5の定数であり(ただし、n+m>0)、Zは炭素数12〜40のアリール基であり、DNQは下記の化学式(52)または(53)で示され、R7は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基またはアルキルカルボニル基とすることができる。
m、nが0の場合、Zには水素原子が結合する。
【0031】
【化8】

【0032】
化学式51において、DNQ:R7の比率は、1:4〜20:1である。DNQと対比してR7の比率が極めて高ければ感度が下がり、その反対の場合にはパターンの垂直性が低下するという短所がある。製品をi−line露光機を用いる場合、365nmで吸収がないフェノール誘導体を用いることが有利である。吸収が大きい場合には、パターンの垂直性が低下するという短所がある。ジアゾナフトール化合物を例示して表記すれば、次のとおりとなる。しかしながら、この化合物に限定するものではない。
【0033】
【化9】

【0034】
化学式(54)〜(61)において、DNQは、水素原子、アルキルカルボニル基、上述した化学式(52)または化学式(53)で示される化合物基であり、R8は、メチル基またはO−DNQ基(ここで、DNQは、水素原子、アルキルカルボニル基、化学式(52)または化学式(53)で示される化合物基)である。
【0035】
ジアゾナフトール化合物は、場合によっては、2種類以上を混合して用いることもできる。感度(sensitivity)面においてはベンゾフェノン誘導体が有利であるが、パターンの垂直性面においては短所として作用する。しかしながら、少量を混合して用いる場合には、短所が少なくなる代わりに感度が多少良くなるという長所がある。一般的に、UV敏感性は、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル誘導体よりも1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル誘導体がより優れている。ジアゾナフトール化合物の使用量は、ポリアミド化合物100重量部に対して5〜30重量部が適切である。5重量部よりも少ない場合には、溶解抑制効果が不備であってパターン形成が困難であり、30重量部よりも多い場合には、熱架橋後のフィルム厚さの損失が極めて多く、短所として作用する。
【0036】
一般的に、パターン形成においては、上述したポリアミド化合物とジアゾナフトール化合物、または溶媒だけでも基本的なパターン形成は可能である。しかしながら、最近、半導体素子の高集積化により、高い解像度、高感度、または熱架橋後の厚さ変化が少ない組成物を要求している。他の物性を低下させずに高い解像度、高感度、および厚さ変化が最小限の組成物を得るためには、ポリアミド化合物とジアゾナフトール化合物の他にもさらに異なる添加剤が必要となる。今まで知られていた化合物は、通常の低分子フェノール化合物を用いていた。低分子フェノール化合物の場合、容易に得られることができるという長所がある反面、熱安定性が低く、300℃以上の高温で熱架橋させる場合、形成されたパターンを維持できない場合が多発する。これを克服するための方案として、メチノール機能基があるフェノール誘導体や別途の熱架橋剤を用いる場合が多い。熱架橋剤を別途で用いれば熱安定性は維持されるが、架橋されたフィルムの柔軟性が低下するという短所がある。
【0037】
パターン形成過程において、露光後に非露光部位が現像液に溶けることを防ぐために、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(化学式(62))を用いることができる。この化合物の場合、非露光部位が現像液に溶けることを防ぐ役割の他に、パターン硬化後の熱安定性を高める役割もする。
【0038】
【化10】

【0039】
最近、半導体素子の製造工程において、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールフィルムを形成する工程において低い温度を要求している。これは、半導体素子に熱的衝撃を最小化することによって、半導体製造の収率を極大化するためである。今まで知られていたポリイミドまたはポリベンゾオキサゾール前躯体は、350℃前後で30分以上加熱することにより、安定したフィルムを得ることができた。本発明では、熱によって酸が発生する化合物を添加することにより、架橋温度を20℃以上低めることができた。熱によって酸が発生する化合物としては、2価−アルキルトルエンスルホネートを挙げることができる。低い熱によって分解される場合、パターン形成時に露光部位にスカム(Scum)などが発生するという短所があり、分解する温度が高い場合、その効果が少ないという短所がある。2価−アルキルアリールスルホネートとしては、例示して説明すれば、2−プロピルスルホネート、シクルロアルキルスルホネート、2−ヒドロキシシクロヘキシルスルホネートなどを挙げることができ、特に限定されるものではない。その使用量は、総組成物内に0.01〜5%が適切である。極めて少ない場合は効果が不備であり、その反対の場合はパターン模様と露光エネルギーに影響を及ぼす。
【0040】
本組成物の製造において、基板との接着力を向上させるために、シランカップリング剤を用いる場合もある。または、ポリマ主鎖にジアミノシロキサンを5%未満で用いることもできる。ポリマ主鎖ジアミノシロキサンモノマを5%以上用いる場合には、耐熱性が低下するという短所ある。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、{3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル}トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシサイクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシラン)−1−プロパンアミン、N,N−ビス(3−トリメトキシシリル)プロピルエチルアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。このうち、特に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシランなどが優れている。使用量は、ポリアミド化合物100重量部に対して0.5〜10重量部が良い。これよりも少ない場合は接着力の向上に影響を及ぼすことができず、これよりも多い場合はパターン形成を阻害したりスカムを発生させることがあるという短所がある。
【0041】
本組成物を用いてパターニングした後、下部パッシベーション膜を取り除くためにエッチング工程を実行する。このとき、露出されたアルミニウム膜または導電性配線膜の腐食を保護するために、腐食防止剤を添加する。代表的な腐食防止剤としては、フェニル基にヒドロキシ基が隣接したカテコール誘導体、ピロガロール誘導体、アルキルガレート誘導体などを挙げることができる。例示して説明すれば、カテコール、アルキルカテコール、アルコキシカテコール、ピロガロール、アルキルピロガロール、アルコキシピロガロール、アルキルガレートなどであり、フェニル基にヒドロキシ基が隣接した誘導体であれば、特に限定されるものではない。腐食防止剤の使用量は、全体組成物に対して0.01〜10%が適切である。これよりも少なく用いる場合は腐食防止機能が低下し、極めて多く用いる場合には現像時にフィルムの消失量が多くなるという短所がある。
【0042】
その他、コーティング物性を向上させるために界面活性剤、気泡を取り除くための消泡剤などを用いることもできる。
本発明は、上述した化合物を溶媒に溶かして組成物として提供する。主に用いる溶媒としては、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、2−ヘプタノン、プロピレングルリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトン、エチレングルリコールジメチルエーテル、エチレングルリコールジエチルエーテル、エチルラクテートなどを挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。溶媒の使用においては、単独または2種以上の混合溶媒で用いることができる。
【0043】
本発明の組成物を用いてパターンを形成する方法は次のとおりとなる。まず、溶媒に組成物を均一に溶かした後にろ過し、シリコンウエハやガラス基板上に回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法を用いて所望する厚さにコーティングする。コーティングされた基板は、オーブン、ホットプレート、または赤外線を用いて50〜150℃で昇温させて溶媒を乾燥させて取り除く。基板上に生成された組成物の膜は、i−line、h−line、またはg−line露光機を用いて露光工程を施行する。マスクパターンが転写された基板は、現像工程に移動した後、現像、洗浄、および乾燥を介してパターンを得ることができる。現像工程に用いられる現像液は、主に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが用いられるが、塩基性の性質を有する化合物であれば特に限定されるものではない。得られたパターンをポリイミドまたはポリベンゾオキサゾール化合物に転換させるために280℃以上のオーブンに入れた後、数十分以上加熱する。得られた膜は、半導体またはディスプレイ工程の層間絶縁膜またはパッケージング工程に中間保護膜などとして用いられるようになる。
【0044】
本発明は、高感度を有する組成物でありながらも現像時の解像度と塗布均一性が優れており、架橋時の収縮率を最小化させることにその特徴がある。
以下、実施例を参照しながらより詳細に説明するが、本発明の範疇が後述する例に限定されるものではない。また、実施例において、有機溶剤は脱水処理したものを用い、ポリマの合成は窒素雰囲気下で行った。
【0045】
合成例
合成例1:[4,4’オキシビスベンゾイルクロライド−合成]
攪拌機と温度計が装着された0.5Lのフラスコに60g(0.232mol)の4,4’−オキシビスベンゾイルクロライドを240gのN−メチルピロリドン(NMP)に添加して撹拌して溶かした後、フラスコを0℃で冷却させ、チオニルクロライド110g(0.9246mol)を滴下して1時間反応させ、4,4’−オキシビスベンゾイルクロライド溶液を取得した。
【0046】
比較合成例1:[ポリアミドA合成]
一方、400gのN−メチルピロリドン(NMP)を攪拌機および温度計が装着された1Lのフラスコに入れ、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン85g(0.2321mol)を添加して撹拌しながら溶解させた。その後、ピリジン39g(0.4930mol)を添加して5−ノボネン−2,3−ジカルボン酸無水物8g(0.0487mol)と上記合成された4,4’−オキシスビスベンゾイルクロライドを徐々に滴下した後、常温で1時間撹拌した。その結果、生成された溶液を水3リットルに添加して生成された沈殿物をろ過、洗浄、そして真空乾燥し、ポリアミドAを110g得た。このとき得られたポリアミドは、ポリスチレン換算平均分子量が18,500であった。
【0047】
合成例2:[ポリアミドB合成]
一方、400gのN−メチルピロリドン(NMP)を攪拌機および温度計が装着された1Lのフラスコに入れ、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン75.5g(0.209mol)と4,7,10−トリオキシ−1,13−トリデカンジアミン5g(0.023mol)を添加して撹拌しながら溶解させた。この後、ピリジン39g(0.4930mol)を添加して5−ノボネン−2,3−ジカルボン酸無水物8g(0.0487mol)と上記合成された4,4'−オキシビスベンゾイルクロライドを徐々に滴下した後、常温で1時間撹拌した。その結果、生成された溶液を水3リットルに添加して生成された沈殿物をろ過、洗浄、そして真空乾燥し、ポリアミドBを119g得た。このとき得られたポリアミドは、ポリスチレン換算平均分子量が15,600であった。
【0048】
合成例3:[ポリアミドC合成]
合成例1において、4,7,10−トリオキシ−1,13−トリデカンジアミン5g(0.023mol)の代わりに4,4’−エチレンジ−M−トルイジン5.5g(0.023mol)を用いたことを除いては、合成例1と同じ方法で実施してポリアミドCを110g得た。このとき得られたポリアミドは、ポリスチレン換算平均分子量が24,000であった。
【0049】
合成例4:[ジメチル−3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシレートジクロライド合成]
60g(0.1934mol)の3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシ酸二無水物、12.5g(0.3901mol)のメチルアルコール、2g(0.0198mol)のトリエチルアミン、および120gのN−メチルピロリドン(NMP)を攪拌機および温度計が装着された1Lのフラスコに添加して室温で4時間撹拌して反応させてジ−n−メチル−3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシレート溶液を生成した後、フラスコを0℃で冷却させ、70g(0.5884mol)のチオニルクロライドを滴下して2時間反応させ、ジメチル−3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシレートジクロライド溶液を取得した。
【0050】
比較合成例2:[ポリアミデートD合成]
260gのN−メチルピロリドン(NMP)を攪拌機および温度計が装着された1Lのフラスコに入れ、65g(0.1775mol)の2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを添加して撹拌しながら溶解させた。35g(0.4425mol)のピリジンを添加した後、上記合成されたジメチル−3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシレートジクロライド溶液を30分に渡ってゆっくり滴下し、続いて常温で1時間撹拌した。その結果、生成された溶液に水3Lを添加して形成された沈殿物をろ過、洗浄、そして真空乾燥し、ポリアミデートDを128g得た。このとき得られたポリアミデートは、ポリスチレン換算平均分子量が19,200であった。
【0051】
合成例5:[ポリアミデートE合成]
260gのN−メチルピロリドン(NMP)を攪拌機および温度計が装着された1Lのフラスコに入れ、58.5g(0.160mol)の2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4’−エチレンジ−M−トルイジン4.3g(0.0178mol)を添加して撹拌しながら溶解させた。35g(0.4425mol)のピリジンを添加した後、上記合成されたジメチル−3,3’、4,4’−ジフェニルエーテル−テトラカルボキシレートジクロライド溶液を30分に渡ってゆっくり滴下し、続いて常温で1時間撹拌した。その結果、生成された溶液に水3Lを添加して形成された沈殿物をろ過、洗浄、そして真空乾燥してポリアミデートEを105g得た。このとき得られたポリアミデートは、ポリスチレン換算平均分子量が22,000であった。
【0052】
合成例6:[ジアゾナフトール化合物合成/PAC A]
丸いフラスコにトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン50g、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド87gと、酢酸無水物17gをジオキサン800gに溶かした後、氷水で冷却する。この溶液にトリエチルアミン59gを同じ温度で徐々に滴下した後、常温で8時間撹拌する。この溶液を過量の脱イオン水に滴下すれば沈殿物が形成される。形成された沈殿物をろ過、洗浄して40℃で48時間真空乾燥し、95gのスルホン酸エステルを得た。
【0053】
合成例7:[ジアゾナフトール化合物合成/PAC B]
合成例1において、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド87gの代わりに1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド87gを用いてスルホン酸エステル91gを得た。
【0054】
実施例
合成例2、3、および5(実施例1〜4)および比較合成例1および2でそれぞれ合成されたポリマ(比較例1および2)をそれぞれ含む感光性組成物を用いてパターニング工程を実行し、反り程度およびパターニング結果を観察した。
【0055】
反り位観察
合成されたポリマとジアゾナフトール化合物、および各種添加剤を溶媒であるγ−ブチロラクトンに40重量%となるように溶かした後、0.5μmのフィルタを用いて粒子性異物を取り除いた。ろ過された余液を8インチのシリコンウエハに回転塗布し、10μmの厚さになるようにした。このとき、溶媒を完全に取り除くために、130℃で60秒間ベーキングを実施した。再びこのウエハを350℃で30分間オーブンでフィルムを架橋させた後、ウエハの裏面を研磨剤で研磨してウエハの厚さが50μmになるようにした後、既存の反り程度と比べて上・中・下で区分した。
【0056】
パターニング観察
ろ過された余液を8インチのシリコンウエハに回転塗布し、10μmの厚さになるようにした。このとき、溶媒を完全に取り除くために、130℃で60秒間ベーキングを実施した。コーティングされたウエハは、露光機を用いて露光した後、テトラメチルアムモニウムヒドロキシド2.38wt%で現像した。現像されたウエハは、SEM(電子顕微鏡)を用いて解像度を観察した。厚さは、ナノスペックを用いて露光前後の膜の厚さを測定した。現像された部位の底に残留しているスカムは、SEMで確認した。パターン形態は、SEMで垂直性とマスク模様の充実性などを考慮し、最上・上・中・下で分類した。下記の化学式(63)〜(65)はそれぞれ、添加剤A、添加剤B、および添加剤Cを示す。
【0057】
【化11】

【0058】
【表1】

【0059】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で示されるポリアミド誘導体を含むポジ型感光性組成物。
【化12】

前記化学式1において、R1およびR2はそれぞれ独立的に2〜4価のアリール基であり、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、R5は2〜4価のアリール基、または直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、kおよびlはそれぞれ独立的に10〜1000の定数であり、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜2の定数であり(ただし、n+m>0)、Xは水素原子または炭素数2〜30のアリール基である。
【請求項2】
前記R4は、少なくとも1つのアルケニール基を有する炭素数20以下のアルキル基またはアリール基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】
前記R4は、前記ポリアミド誘導体内に2〜10モル%の含量で含まれていることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】
前記R5は、R1またはR4と同じであることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項5】
下記化学式(1)で示されるポリアミド誘導体、ジアゾナフトール化合物、および添加剤を含むポジ型感光性組成物。
【化13】

前記化学式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立的に2〜4価のアリール基であり、R3は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり、R4は直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、R5は2〜4価のアリール基、または直鎖構造を有するアルキル基またはアリール基であり、kおよびlはそれぞれ独立的に10〜1000の定数であり、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜2の定数であり(ただし、n+m>0)、Xは水素原子または炭素数2〜30のアリール基である。
【請求項6】
前記ジアゾナフトール化合物は、下記化学式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポジ型感光性組成物。
【化14】

前記化学式(2)において、nおよびmはそれぞれ独立的に0〜5の定数であり(ただし、n+m>0)、Zは炭素数12〜40のアリール基であり、DNQは下記化学式(3)または化学式(4)で示され、R7は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基またはアルキルカルボニル基である。
【化15】

【請求項7】
前記DNQ対R7のモル比率は、1:4〜20:1であることを特徴とする請求項6に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項8】
前記ジアゾナフトール化合物は、下記化学式(5)〜化学式(12)で示される化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポジ型感光性組成物。
【化16】

前記化学式(5)〜化学式(12)において、前記DNQは、水素原子、アルキルカルボニル基、下記化学式(13)または化学式(14)で示される化合物基であり、前記R8は、メチル基またはO−DNQ基(ここで、DNQは、水素原子、アルキルカルボニル基、下記化学式(13)または化学式(14)で示される化合物基)である。
【化17】

【請求項9】
前記添加剤は、架橋触媒、接着補助剤、界面活性剤、および腐食防止剤からなる群から選択された少なくとも1つの添加剤およびビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを含むことを特徴とする請求項5に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項10】
前記ジアゾナフトール化合物は、前記ポリアミド誘導体100重量部に対比して5〜30重量部の含量で全体組成物内に含まれていることを特徴とする請求項5に記載のポジ型感光性組成物。

【公開番号】特開2011−53678(P2011−53678A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188610(P2010−188610)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(502323737)コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】