説明

ポジ型感放射線性樹脂組成物

【課題】他の成分との相溶性も良好な化合物を含有し、特に遠紫外線に有効に感応する化学増幅型ポジ型レジストとして、放射線透過率を最適にコントロールすることができると共に、特に、高反射基板上でのレジスト被膜の膜厚変動によるレジストパターンの線幅変化を有効に抑えることが可能で、かつ焦点深度余裕にも優れたポジ型感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)特定構造のカリックスアレン型化合物、(B)感放射線性酸発生剤、及び(C)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂、を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポジ型感放射線性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、活性放射線、特に、KrFエキシマレーザーあるいはArFエキシマレーザーに代表される遠紫外線を使用する微細加工に有用な化学増幅型ポジ型レジストとして好適に用いることのできるポジ型感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、最近では0.20μm以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。従来のリソグラフィー技術では、放射線として一般にi線等の近紫外線が用いられているが、この近紫外線では、サブクォーターミクロンレベルでの微細加工が極めて困難であると言われている。
【0003】
そこで、0.20μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より短波長の放射線の利用が検討されている。このような短波長の放射線としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトルやエキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等がある。これらの中でも、特に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。
【0004】
このような短波長の放射線に用いるレジストとして、酸解離性基を有する成分と放射線の照射(以下、「露光」という)により酸を発生する感放射線性酸発生剤との間の化学増幅効果を利用したレジスト(以下、「化学増幅型レジスト」と記載する)が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、カルボン酸のt−ブチルエステル基又はフェノールのt−ブチルカーボナート基を有する重合体と、感放射線性酸発生剤とを含有するレジスト組成物が提案されている。このレジスト組成物は、露光により発生した酸の作用により、重合体中に存在するt−ブチルエステル基又はt−ブチルカーボナート基が解離する。解離したt−ブチルエステル基又はt−ブチルカーボナート基は、カルボキシル基又はフェノール性水酸基からなる酸性の官能基となり、その結果、レジスト被膜の露光領域がアルカリ現像液に易溶性となる。
【0005】
近年における化学増幅型レジストには、限界解像度、プロセスマージンに加えて、フォトリソグラフィープロセスにおける生産性を決定する因子となりうる放射線に対する感度の高さが求められている。化学増幅型レジストの感度を高める方策の一つとして、構成成分である塩基性物質の量を減らす方法がある。しかし、この方法では結果的に感放射線性酸発生剤から生じる酸の量が少なくなり、パターン表面の“がたつき”が大きくなったり、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動に対する線幅の安定性(PED安定性)等の環境耐性が低下したりするという問題がある。これに対して、感放射線性酸発生剤の量を増やす方法も考えられるが、この方法ではレジスト被膜の放射線透過率が下がるため、パターン形状が好ましい矩形ではなく台形になりやすいという欠点がある。
【0006】
また、アントラセン系添加剤、より具体的には、アントラセン−9−メタノール、アントラセン−9−カルボキエチル、アントラセン−9−カルボキシ−n−ブチル等のアントラセン誘導体を添加した化学増幅型感放射線性樹脂組成物が、化学増幅型レジストの性能、特にハレーション防止効果を改善できることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、アントラセン骨格等の3環式芳香族骨格を有し、酸不安定基で保護されたカルボキシル基を有するカルボン酸誘導体を添加した化学増幅型ポジ型レジスト材料が、特に定在波やハレーションの発現を抑止できることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特公平2−27660号公報
【特許文献2】特開平8−217815号公報
【特許文献3】特開平10−120628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、これらの特許文献に開示された例では、特に、シリコン(Si)基板等の高反射基板上でのレジスト被膜の膜厚変動によるレジストパターンの線幅変動の抑止、焦点深度の改善等のプロセスマージンに関する観点での検討がなされていない。そのため、感放射線性樹脂組成物、又はポジ型レジスト材料の化学増幅型レジストとしての総合特性の面で十分とはいえない。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、他の成分との相溶性も良好な所定の構造を有する化合物を含有し、活性放射線、特に遠紫外線に有効に感応する化学増幅型ポジ型レジストとして、放射線透過率を最適にコントロールすることができると共に、感度、解像度等を損なうことなく、高反射基板上でのレジスト被膜の膜厚変動によるレジストパターンの線幅変化を有効に抑えることが可能で、かつ焦点深度余裕にも優れたポジ型感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定の構造を有する化合物、感放射線性酸発生剤、及び酸の作用でアルカリ可溶性となる酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂を構成成分として含有させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下に示すポジ型感放射線性樹脂組成物が提供される。
【0012】
[1](A)下記一般式(1)で表される化合物、(B)感放射線性酸発生剤、及び(C)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂、を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0013】
【化1】

【0014】
前記一般式(1)中、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。Xは、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。Yは、相互に独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示す。qは、相互に独立に、0又は1を示す。
【0015】
[2]前記(C)樹脂が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位と、下記一般式(3)及び下記一般式(4)の少なくともいずれかで表される繰り返し単位とを有する前記[1]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0016】
【化2】

【0017】
前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、1価の有機基を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rは、前記一般式(3)中の−ORに相当する基を除く。また、前記一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、1価の有機基を示し、Rは、相互に独立に、1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、rは1〜3の整数を示す。但し、Rは−ORに相当する基を除く。更に、前記一般式(4)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の酸解離性基を示す。
【0018】
[3]前記一般式(1)中、Rで表される1価の酸解離性基が、下記一般式(5−1)又は(5−2)で表される基である前記[1]又は[2]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0019】
【化3】

【0020】
前記一般式(5−1)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、sは0〜3の整数を示す。また、前記一般式(5−2)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0021】
[4]前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0022】
【化4】

【0023】
前記一般式(6)中、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。
【0024】
[5]前記一般式(6)中、Rで表される1価の酸解離性基が、下記一般式(5−1)又は(5−2)で表される基である前記[4]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0025】
【化5】

【0026】
前記一般式(5−1)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、sは0〜3の整数を示す。また、前記一般式(5−2)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0027】
[6]前記一般式(5−1)中、Rがt−ブチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、又は1−メチルシクロペンチル基であり、かつsが0又は1である前記[3]又は[5]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0028】
[7]前記一般式(5−2)中、Rがアダマンチル基であり、かつR10が水素原子若しくはメチル基である、又はRが2−メチル−2−アダマンチル基若しくは2−エチル−2−アダマンチル基であり、かつR10がメチル基である前記[3]又は[5]に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0029】
[8]前記(B)感放射線性酸発生剤が、オニウム塩、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である前記[1]〜[7]のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【0030】
[9](D)酸拡散制御剤を更に含有する前記[1]〜[8]のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0031】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、活性放射線、特に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に代表される遠紫外線に感応する化学増幅型ポジ型レジストとして、放射線透過率を最適にコントロールすることができると共に、感度、解像度等を損なうことなく、高反射基板上でのレジスト被膜の膜厚変動によるレジストパターンの線幅変化を有効に抑えることが可能で、かつ焦点深度余裕にも優れており、しかも使用される一般式(1)で表される化合物はポジ型感放射線性樹脂組成物の他の構成成分との相溶性も良好であるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0033】
1.ポジ型感放射線性樹脂組成物
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、(A)一般式(1)で表される化合物(以下、「(A)化合物」と記載する)、(B)感放射線性酸発生剤、及び(C)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂(以下、「(C)樹脂」と記載する)を含有するものである。また(C)樹脂は、酸解離性基が解離することでアルカリ可溶性となるものである。なお、本明細書にいう「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、(C)樹脂を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物を用いて形成されるレジスト被膜(以下、「レジスト被膜」と記載する)からレジストパターンを形成する際のアルカリ現像条件下で、レジスト被膜の代わりに(C)樹脂のみを用いて形成した被膜を現像した場合に、初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質をいう。また、「アルカリ可溶性」とは、同一条件下で、初期膜厚の50%以上が現像後に残存しない性質をいう。
【0034】
【化6】

【0035】
一般式(1)中、Rとして表される基は、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。Xとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。Yとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示す。qは、相互に独立に、0又は1を示す。
【0036】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物において、(A)化合物の含有量は、(C)樹脂100質量部に対して、0.1〜80質量部であることが好ましく、0.2〜70質量部であることが更に好ましく、10〜60質量部であることが特に好ましい。(A)化合物の含有量が0.1質量部未満であると、特に、レジスト被膜の膜厚変動によるレジストパターンの線幅変化の抑止作用及び焦点深度余裕の改善効果が低下する傾向がある。一方、80質量部超であると、レジストパターンのトップ形状が丸くなる傾向がある。
【0037】
また、(B)感放射線性酸発生剤の含有量は、(C)樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることが更に好ましい。(B)感放射線性酸発生剤の含有量が0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下する場合がある。一方、20質量部超であると、放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下する場合がある。
【0038】
1.1(A)化合物
(A)化合物は、一般式(1)で表される化合物である。
【0039】
一般式(1)中、Yとして表される基のうち、炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等がある。これらの中でも、本実施形態の(A)化合物を高い収率で合成することができるという観点から、メチル基であることが好ましい。
【0040】
一般式(1)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基としては、一般式(5−1)又は(5−2)で表される基であることが好ましい。
【0041】
【化7】

【0042】
一般式(5−1)中、Rとして表される基は、ヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、sは0〜3の整数を示す。また、一般式(5−2)中、Rとして表される基は、ヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R10として表される基は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0043】
一般式(5−1)で表される基としては、例えば、一般式(7−1)〜(7−9)で表される基等がある。これらの中でも、原料が工業上入手しやすいという点で、一般式(7−1)、(7−7)、(7−8)、(7−9)で表される基であることが好ましい。
【0044】
【化8】

【0045】
一般式(7−1)〜(7−9)中、R11として表される基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基があり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、メチル基又はエチル基であることが好ましく、メチル基であることが更に好ましい。これらのことから、一般式(5−1)中、Rとして表される基として、具体的には、t−ブチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、式(8)で表される基等を挙げることができる。
【0046】
【化9】

【0047】
よって、一般式(5−1)で表される基として、具体的には、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基、2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−メチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニル基、式(9)で表される基等を挙げることができる。
【0048】
【化10】

【0049】
一般式(5−1)で表される基は、Rとして表される基がt−ブチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、又は1−メチルシクロペンチル基であり、かつsが0又は1であることが好ましい。なお、一般式(5−1)で表される基が複数存在する場合、一般式(5−1)中のRとして表される基は全て同じ基であっても良く、それぞれ異なる基であっても良い。
【0050】
また、一般式(5−2)で表される基としては、例えば、一般式(10−1)〜(10−10)で表される基や一般式(11−1)〜(11−4)で表される基等がある。これらの中でも、一般式(10−5)又は(10−7)で表される基が好ましい。これは、一般式(10−5)又は(10−7)で表される基を有する化合物が工業上入手しやすいからである。
【0051】
【化11】

【0052】
一般式(10−1)〜(10−10)中、R12として表される基は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、tは0〜2の整数を示す。
【0053】
【化12】

【0054】
一般式(11−1)〜(11−4)中、R12として表される基は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
【0055】
一般式(10−1)〜(10−10)中、R12として表される基のうち、炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基がある。また、一般式(10−1)〜(10−10)中、tは0又は1であることが好ましい。
【0056】
一般式(11−1)〜(11−4)中、R12として表される基のうち、炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、一般式(10−1)〜(10−10)中、R12として表される基で例示した炭素数1〜5のアルキル基と同様のものがある。
【0057】
また、一般式(5−2)で表される基は、形成するレジスト膜のエッチング耐性が向上するという点から、一般式(10−7)で表される基の中でも、2−アダマンチルオキシメチル基、若しくは式(12−1)〜(12−4)のいずれかで表される基、又は一般式(10−5)で表される基の中でも、式(12−5)で表される基であることが更に好ましい。
【0058】
【化13】

【0059】
一般式(1)で表される化合物中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基の割合は、10〜100mol%であることが好ましく、20〜100mol%であることが更に好ましい。1価の酸解離性基の割合が10mol%未満であると、解像度が低下する傾向にある。なお、1価の酸解離性基の割合は、核磁気共鳴スペクトル分析によるHの割合から算出することができる。
【0060】
また、(A)化合物は、一般式(6)で表される化合物であること、即ち、一般式(1)中、Xとして表される基がプロピレン基であり、qが0であることが好ましい。一般式(6)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の中でも、良好な収率で合成することができる。
【0061】
【化14】

【0062】
一般式(6)中、Rとして表される基は、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。
【0063】
一般式(6)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基として、具体的には、前記1価の酸解離性基に例示したものと同様のものを挙げることができる。
【0064】
(A)化合物は、例えば、一般式(13−1)で表される化合物(以下、「化合物(13−1)」と記載する)と一般式(13−2)で表される化合物(以下、「化合物(13−2)」と記載する)とを縮合させることにより、一般式(13)で表される化合物(以下、「化合物(13)」と記載する)として合成することができる。また、化合物(13)を単離精製した後に、少なくとも一つ、1価の酸解離性基を導入することで、一般式(1)中、Rとして表される基のうち、少なくとも一つ1価の酸解離性基を有する(A)化合物を合成することができる。
【0065】
【化15】

【0066】
一般式(13−1)中、Yとして表される基は、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは0又は1を示す。
【0067】
【化16】

【0068】
一般式(13−2)中、Xとして表される基は、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。
【0069】
【化17】

【0070】
一般式(13)中、Xとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、Yとして表される基は、相互に独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは、相互に独立に、0又は1を示す。
【0071】
縮合反応の方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒中、化合物(13−1)と化合物(13−2)を酸触媒等の触媒の存在下、60〜90℃で12〜50時間反応させる方法がある。酸触媒としては、例えば、塩酸等がある。また、溶媒は特に制限されるものではなく、化合物(13−1)及び(13−2)を溶解することができるものであれば良い。より具体的には、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
【0072】
化合物(13−1)と化合物(13−2)のmol比((13−1)/(13−2))は、特に制限されるものではないが、得られる化合物(13)の収率が高くなるという観点から、1〜8であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましく、3〜5であることが特に好ましい。mol比がこの範囲外であると、化合物(13)の収率が低下する場合がある。
【0073】
反応溶液中の基質濃度(化合物(13−1)と化合物(13−2)の合計の濃度)は、特に制限されるものではないが、得られる化合物(13)の収率が高くなるという観点から、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が、2mol/L未満であると、化合物(13)の収率が低下する場合がある。
【0074】
化合物(13)に酸解離性基を少なくとも一つ導入する方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、化合物(13)と、酸解離性基を有する化合物とを溶媒中、酸又は塩基の存在下、−20〜100℃の条件で1〜20時間反応させる方法がある。
【0075】
化合物(13)と酸解離性基を有する化合物のmol比(酸解離性基を有する化合物/化合物(13))は、特に制限されるものではないが、酸解離性基の導入率が高いという観点から、1以上であることが好ましく、5〜40であることが更に好ましく、5〜20であることが特に好ましい。mol比が1以上であると、目的の酸解離性基の導入率が良好であるという利点がある。一方、mol比が1未満であると、目的の酸解離性基の導入率が低下する場合がある。なお、一般式(1)で表される化合物中、Rとして表される基のうち、酸解離性基の割合はmol比を調節することによって調整することができる。
【0076】
ここで、酸解離性基を有する化合物の好適例としては、一般式(5−1)又は(5−2)で表される基を有する化合物等がある。
【0077】
より具体的には、一般式(5−1)で表される基を有する化合物として、クロロ酢酸−2−エチル−2−アダマンチル、ブロモ酢酸−2−エチル−2−アダマンチル、クロロ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル、ブロモ酢酸−2−メチル−2−アダマンチル等を挙げることができる。
【0078】
また、一般式(5−2)で表される基を有する化合物として、2−アダマンチル−クロロメチルエーテル、2−メチル−2−アダマンチルビニルエーテル、2−エチルアダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0079】
ここで、(A)化合物のうち、一般式(6)で表される化合物を合成する方法について記載する。先ず、式(14−1)で表される化合物(以下、「化合物(14−1)」と記載する)と式(14−2)で表される化合物(以下、「化合物(14−2)」と記載する)とをアルコール溶媒等の溶媒中、塩酸等の酸触媒の存在下、60〜90℃の条件で12〜50時間脱水縮合させることにより化合物(一般式(13)において、qが0である化合物(以下、「化合物(14)」記載する))を得る。次いで、得られた化合物(14)と、酸解離性基を有する化合物とを溶媒中、酸又は塩基の存在下、−20〜100℃の条件で1〜20時間反応させることにより合成することができる。
【0080】
【化18】

【0081】
【化19】

【0082】
化合物(14−1)と、化合物(14−2)のmol比((14−1)/(14−2))は、特に制限されるものではないが、化合物(14)の収率が高くなるという観点から、1〜8であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましく、3〜5であることが特に好ましい。mol比がこの範囲外であると、化合物(14)の収率が低下する場合がある。
【0083】
縮合反応の基質濃度(化合物(14−1)と化合物(14−2)の合計の濃度)は、特に制限されるものではないが、化合物(14)の収率が高くなるという観点から、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が、2mol/L未満であると、化合物(14)の収率が低下する場合がある。
【0084】
酸解離性基を有する化合物として、具体的には、一般式(5−1)で表される基を有する化合物(以下、「化合物(5−1)」と記載する)や一般式(5−2)で表される基を有する化合物(以下、「化合物(5−2)」と記載する)を挙げることができる。また、酸解離性基を有する化合物は、1種単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物の混合物であっても良い。
【0085】
化合物(14)と、酸解離性基を有する化合物のmol比(酸解離性基を有する化合物/化合物(14))は、特に制限されるものではないが、一般式(6)で表される化合物の収率が高いという観点から、1以上であることが好ましく、5〜40であることが更に好ましく、5〜20であることが特に好ましい。mol比が1以上であると、一般式(6)で表される化合物を収率良く合成することができるという利点がある。一方、mol比が1未満であると、一般式(6)で表される化合物の収率が低下する場合がある。
【0086】
1.2(B)感放射線性酸発生剤
(B)感放射線性酸発生剤としては、酸発生効率、耐熱性等が良好であるという観点から、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジスルホニルメタン化合物、オキシムスルホネート化合物、ヒドラジンスルホネート化合物等がある。なお、これらの感放射線性酸発生剤は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0087】
オニウム塩としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等がある。なお、オニウム塩は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0088】
オニウム塩の例示にあるスルホニウム塩として、より具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート;
【0089】
(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−t−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート;
【0090】
トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート;(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート;
【0091】
トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム10―カンファースルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;
【0092】
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート等を挙げることができる。
【0093】
これらの中でも、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネートを好適に用いることができる。
【0094】
また、オニウム塩の例示にあるヨードニウム塩として、より具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート;
【0095】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート;
【0096】
(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート;ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート;
【0097】
ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート;
【0098】
ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート等を挙げることができる。
【0099】
これらの中でも、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(4−フルオロフェニル)フェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを好適に用いることができる。
【0100】
また、ジアゾメタン化合物として、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0101】
これらの中でも、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンを好適に用いることができる。なお、これらのジアゾメタン化合物は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0102】
更に、スルホンイミド化合物として、具体的には、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0103】
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド;
【0104】
N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0105】
N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
【0106】
これらの中でも、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミドを好適に用いることができる。なお、これらのスルホンイミド化合物は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0107】
また、スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等がある。より具体的には、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホン等を挙げることができる。
【0108】
更に、スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等がある。より具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ピロガロールトリス(ノナフルオロブタンスルホネート)、ピロガロールトリス(メタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、α−メチロールベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾインn−オクタンスルホネート、α−メチロールベンゾインn−ドデカンスルホネート等を挙げることができる。
【0109】
また、ジスルホニルメタン化合物としては、例えば、一般式(15)で表される化合物がある。
【0110】
【化20】

【0111】
一般式(15)中、R13として表される基は、相互に独立に、直鎖状若しくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロ原子を有する他の1価の有機基を示す。Vとして表される基は、相互に独立に、水素原子、アリール基、直鎖状若しくは分岐状の1価の脂肪族炭化水素基、又はヘテロ原子を有する他の1価の有機基を示す(但し、少なくとも一方はアリール基である)か、或いは相互に連結して形成される少なくとも1個の不飽和結合を有する炭素単環構造若しくは炭素多環構造を有する基、又は一般式(16)で表される基を示す。
【0112】
【化21】

【0113】
一般式(16)中、Wとして表される基は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示すか、或いは相互に連結して形成される炭素単環構造を有する基を示す。uは2〜10の整数を示す。なお、Wとして表される基が、相互に連結して形成される炭素単環構造を有する基の場合、同一の炭素原子に結合しているWで炭素単環構造を形成しても良く、異なる炭素原子に結合しているWで炭素単環構造を形成しても良い。
【0114】
更に、オキシムスルホネート化合物としては、例えば、一般式(17−1)や一般式(17−2)で表される化合物がある。
【0115】
【化22】

【0116】
一般式(17−1)及び(17−2)中、R14として表される基は、相互に独立に、1価の有機基を示し、R15として表される基は、相互に独立に、1価の有機基を示す。
【0117】
一般式(17−1)及び(17−2)中、R14として表される基のうち、1価の有機基として、具体的には、メチル基、エチル基、n―プロピル基、フェニル基、トシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等を挙げることができる。また、一般式(17−1)及び(17−2)中、R15として表される基のうち、1価の有機基の好適な具体例としては、フェニル基、トシル基、1−ナフチル基等を挙げることができる。
【0118】
また、ヒドラジンスルホネート化合物として、具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジン、ビス(p−トルエンスルホニル)ヒドラジン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ヒドラジン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)ヒドラジン、ビス(n−プロパンスルホニル)ヒドラジン、ベンゼンスルホニルヒドラジン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、トリフルオロメタンスルホニルヒドラジン、ペンタフルオロエタンスルホニルヒドラジン、n−プロパンスルホニルヒドラジン、トリフルオロメタンスルホニル・p−トルエンスルホニルヒドラジン等を挙げることができる。
【0119】
1.3(C)樹脂
(C)樹脂は、酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性のものであり、酸解離性基が解離することによりアルカリ可溶性となるものである。
【0120】
(C)樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基等の1種以上の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基の水素原子を、酸の存在下で解離することができる1種以上の酸解離性基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂等がある。
【0121】
(C)樹脂において、酸解離性基の導入率(酸解離性基の数/(C)樹脂中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数)は、酸解離性基や酸解離性基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが、好ましくは10〜100%であり、更に好ましくは15〜100%である。
【0122】
(C)樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載する)は、好ましくは1,000〜150,000であり、更に好ましくは3,000〜100,000である。また、(C)樹脂のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」と記載する)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜10であり、好ましくは1〜5である。
【0123】
(C)樹脂は、一般式(2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」と記載する)と、一般式(3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3)」と記載する)及び一般式(4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4)」と記載する)の少なくともいずれかとを有する樹脂であることが好ましい。なお、(C)樹脂は、1種単独の樹脂であっても良く、2種以上の樹脂を混合した樹脂であっても良い。
【0124】
【化23】

【0125】
一般式(2)中、Rとして表される基は、水素原子又はメチル基を示し、Rとして表される基は、相互に独立に、1価の有機基を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rとして表される基は、一般式(3)中の−ORに相当する基を除く。また、一般式(3)中、Rとして表される基は、水素原子又はメチル基を示し、Rとして表される基は、相互に独立に、1価の有機基を示し、Rとして表される基は、相互に独立に、1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、rは1〜3の整数を示す。但し、Rとして表される基は、−ORに相当する基を除く。更に、一般式(4)中、Rとして表される基は、水素原子又はメチル基を示し、Rとして表される基は、1価の酸解離性基を示す。
【0126】
一般式(2)中のRとして表される基、及び一般式(3)中のRとして表される基のうち、1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、1価の酸素原子含有有機基、1価の窒素原子含有有機基等がある。より具体的に、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0127】
また、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
【0128】
更に、1価の酸素原子含有有機基としては、カルボキシル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシル基;
【0129】
メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜9の直鎖状のアルコキシカルボニルオキシ基;(1−メトキシエトキシ)メチル基、(1−エトキシエトキシ)メチル基、(1−n−プロポキシエトキシ)メチル基、(1−n−ブトキシエトキシ)メチル基、(1−シクロペンチルオキシエトキシ)メチル基、(1−シクロヘキシルオキシエトキシ)メチル基、(1−メトキシプロポキシ)メチル基、(1−エトキシプロポキシ)メチル基等の炭素数3〜11の直鎖状、分岐状又は環状の(1−アルコキシアルコキシ)アルキル基;
【0130】
メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、n−プロポキシカルボニルオキシメチル基、i−プロポキシカルボニルオキシメチル基、n−ブトキシカルボニルオキシメチル基、t−ブトキシカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルオキカルボニルオキシメチル基等の炭素数3〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシカルボニルオキシアルキル基等を挙げることができる。
【0131】
また、1価の窒素原子含有有機基としては、シアノ基;シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、1−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、3−シアノプロピル基、1−シアノブチル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基、4−シアノブチル基、3−シアノシクロペンチル基、4−シアノシクロヘキシル基等の炭素数2〜9の直鎖状、分岐状又は環状のシアノアルキル基等を挙げることができる。
【0132】
一般式(3)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基としては、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル基、トリオルガノシリル基、トリオルガノゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、1価の環式酸解離性基等がある。より具体的に、置換メチル基としては、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0133】
また、1−置換エチル基としては、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。
【0134】
更に、1−分岐アルキル基としては、i−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0135】
また、トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルi−プロピルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジ−t−ブチルメチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0136】
更に、トリオルガノゲルミル基としては、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、ジエチルメチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、ジメチルi−プロピルゲルミル基、メチルジ−i−プロピルゲルミル基、トリ−i−プロピルゲルミル基、t−ブチルジメチルゲルミル基、ジ−t−ブチルメチルゲルミル基、トリ−t−ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等を挙げることができる。
【0137】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0138】
更に、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。
【0139】
また、1価の環式酸解離性基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等を挙げることができる。
【0140】
これら例示してきた中でも、1価の酸解離性基は、t−ブチル基、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基であることが好ましい。
【0141】
一般式(4)中、Rとして表される基のうち、1価の酸解離性基として、具体的には、t−ブチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、2−メチルアダマンチル基、2−エチルアダマンチル基等を挙げることができる。
【0142】
(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(2)としては、例えば、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン等の重合性不飽和結合が開裂した繰り返し単位等がある。なお、(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(2)は、1種単独の繰り返し単位(2)からなるものであっても良く、2種以上の繰り返し単位(2)を混合したものであっても良い。
【0143】
繰り返し単位(2)の含有率は、(C)樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、好ましくは60〜80mol%であり、更に好ましくは65〜75mol%である。含有率が60mol%未満であると、レジストパターンの基板への密着性が低下する傾向にある。一方、80mol%超であると、現像後のコントラストが低下する傾向にある。
【0144】
また、(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(3)としては、例えば、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン等の重合性不飽和結合が開裂した繰り返し単位がある。なお、(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(3)は、1種単独の繰り返し単位(3)からなるものであっても良く、2種以上の繰り返し単位(3)を混合したものであっても良い。
【0145】
繰り返し単位(3)の含有率は、(C)樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、好ましくは15〜40mol%であり、更に好ましくは20〜35mol%である。含有率が15mol%未満であると、解像度が低下する傾向にある。一方、40mol%超であると、レジストパターンの基板への密着性が低下する傾向にある。
【0146】
更に、(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(4)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸1−メチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル等の重合性不飽和結合が開裂した繰り返し単位を挙げることができる。なお、(C)樹脂に含まれる繰り返し単位(4)は、1種単独の繰り返し単位(4)からなるものであっても良く、2種以上の繰り返し単位(4)を混合したものであっても良い。
【0147】
繰り返し単位(4)の含有率は、(C)樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、好ましくは10〜40mol%であり、更に好ましくは10〜30mol%である。含有率が10mol%未満であると、解像度が低下する傾向にある。一方、40mol%超であると、ドライエッチング耐性が不十分となる場合がある。
【0148】
(C)樹脂は、繰り返し単位(2)〜(4)以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」と記載する)を有する樹脂であることが更に好ましい。他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、等のビニル芳香族化合物;
【0149】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸8−メチル−8−トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸8−エチル−8−トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−テトラシクロドデセニル、(メタ)アクリル酸3−エチル−3−テトラシクロドデセニル、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
【0150】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−n−プロピル等の不飽和カルボン酸のカルボキシアルキルエステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;
【0151】
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド等の不飽和アミド化合物;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド化合物;N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等の含窒素ビニル化合物等の重合性不飽和結合が開裂した単位がある。なお、(C)樹脂に含まれる他の繰り返し単位は、1種単独の繰り返し単位からなるものであっても良く、2種以上の繰り返し単位を混合したものであっても良い。
【0152】
他の繰り返し単位の含有率は、(C)樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、通常、25mol%以下であり、好ましくは10mol%以下である。含有率が25mol%超であると、解像度が低下する傾向にある。
【0153】
(C)樹脂の好ましい例示として、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/アクリル酸1−メチルシクロペンチル共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/アクリル酸1−エチルシクロペンチル共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸t−ブチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸1−メチルシクロペンチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸1−エチルシクロペンチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジアクリレート共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸2−エチルアダマンチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸2−エチルアダマンチル共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4―(1−エトキシエトキシ)スチレン/4−tert−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン/4―(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−ヒドロキシスチレン/4―(1−エトキシエトキシ)スチレン/スチレン等がある。
【0154】
1.4(D)酸拡散制御剤
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、(D)酸拡散制御剤を更に含有するものであることが好ましい。(D)酸拡散制御剤は、露光により(B)感放射線性酸発生剤から発生した酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する。
【0155】
(D)酸拡散制御剤の含有量は、(C)樹脂100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、0.005〜5質量部であることが特に好ましい。含有量が15質量部超であると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する場合がある。一方、含有量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下する場合がある。
【0156】
(D)酸拡散制御剤の好ましい例示として、含窒素有機化合物又は感光性塩基性化合物がある。含窒素有機化合物としては、例えば、一般式(18)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(i)」と記載する)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ii)」と記載する)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(iii)」と記載する)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等がある。なお、(D)酸拡散制御剤は、1種単独の化合物であっても良く、2種以上の混合物であっても良い。
【0157】
【化24】

【0158】
一般式(18)中、R16として表される基は、相互に独立に、水素原子、置換されていても良い直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、置換されていても良いアリール基、又は置換されていても良いアラルキル基を示す。
【0159】
含窒素化合物(i)の好ましい例示としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;トリエタノールアミン等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類がある。
【0160】
含窒素化合物(ii)の好ましい例示としては、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等がある。
【0161】
含窒素化合物(iii)の好ましい例示としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等がある。
【0162】
アミド基含有化合物の好ましい例示としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等がある。
【0163】
ウレア化合物の好ましい例示としては、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等がある。
【0164】
含窒素複素環化合物の好ましい例示としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2”−ターピリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類の他、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等がある。
【0165】
また、感光性塩基性化合物としては、露光領域では対応する中性の断片に効率よく分解し、未露光部では分解せずにそのまま残る成分である。このような感光性塩基性化合物は、非感光性の塩基性化合物に比べて、露光部(露光領域)に発生する酸を有効活用することができるため、感度を向上させることができる。
【0166】
感光性塩基性化合物は、特に制限されるものではなく、例えば、一般式(19−1)又は一般式(19−2)で表される化合物を好適に用いることができる。
【0167】
【化25】

【0168】
一般式(19−1)中、R17〜R19として表される基は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有しても良い脂環式炭化水素基を示す。また、一般式(19−2)中、R20又はR21として表される基は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有しても良い脂環式炭化水素基を示す。更に、一般式(19−1)及び一般式(19−2)中、Zとして表されるアニオンは、OH、R22、又はR22COOとして表されるアニオンを示す。但し、R22として表される基は、1価の有機基を示す。
【0169】
一般式(19−1)中、R17〜R19として表される基、又は一般式(19−2)中、R20若しくはR21として表される基のうち、置換基を有しても良い炭素数1〜10のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、t−ブトキシ基、t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等を挙げることができる。一般式(19−1)中、R17〜R19として表される基、又は一般式(19−2)中、R20若しくはR21として表される基は、水素原子又はt−ブチル基であることが好ましい。
【0170】
また、Zとして表されるアニオン中、R22又はR22COOとして表されるアニオンに含まれる、R22として表される1価の有機基としては、例えば、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアリール基がある。
【0171】
一般式(19−1)及び一般式(19−2)中、Zとして表されるアニオンは、OH、CHCOO、及び式(20)で表されるアニオン群から選択されるアニオンであることが好ましい。
【0172】
【化26】

【0173】
感光性塩基性化合物として、具体的には、トリフェニルスルホニウム化合物(一般式(19−1)で表される化合物)であって、そのアニオン部(Z)がOH、CHCOO、及び式(21)で表されるアニオン群から選択されるアニオンである化合物を好適例として挙げることができる。
【0174】
【化27】

【0175】
1.5(E)その他の添加剤
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、界面活性剤、ローズベンガル類等の増感剤、染料、顔料、接着助剤、4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等のハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤等を配合することができる。
【0176】
界面活性剤は、組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を有するものである。界面活性剤を配合する場合、その配合量は、(C)樹脂100質量部当り、通常、2質量部以下である。
【0177】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等がある。市販品としては、商品名で、例えば、「エフトップEF301」、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、「メガファックス F171」、同F173(以上、大日本インキ化学工業社製)、「フロラードFC430」、同FC431(以上、住友スリーエム社製)、「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(以上、旭硝子社製)、「KP341」(信越化学工業社製)、「ポリフローNo.75」、同No.95(以上、共栄社化学社製)等がある。なお、界面活性剤は、1種単独で配合しても良く、2種以上を混合して配合しても良い。
【0178】
増感剤を配合する場合、その配合量は、(C)樹脂100質量部当り、通常、50質量部以下である。
【0179】
染料や顔料は、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和させることができるものである。また、接着助剤は、基板との接着性を更に改善することができる。
【0180】
染料として、上記の染料以外の他の染料成分(以下、「他の染料」と記載する)を添加しても良い。他の染料としては、例えば、アントラセンカルボン酸、アントラセン−9−カルボン酸メトキシカルボニルメチル、アントラセン−9−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、9−メトキシカルボニルメチルアントラセン、9−t−ブトキシカルボニルメチルアントラセン等のアントラセン誘導体類;N−(メトキシカルボニルメチル)カルバゾール、N−(t−ブトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−カルバゾイル酢酸等のカルバゾール誘導体類;ベンゾフェノン−2−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、ベンゾフェノン−4−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル等のベンゾフェノン誘導体類等がある。なお、これらの他の染料は、1種単独で添加しても良く、2種以上を混合して添加しても良い。
【0181】
他の染料を添加する場合、(A)化合物と他の染料との合計量に対する他の染料の割合(他の染料/(A)化合物と他の染料との合計量)は、通常、40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。他の染料の割合が40質量%超であると、本発明の所期の効果が損なわれる場合がある。
【0182】
1.6(F)溶剤
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、通常、全固形分の濃度が0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%となるように溶剤に均一に溶解させた後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することにより調製した組成物溶液として使用される。
【0183】
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0184】
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;ぎ酸n−アミル、ぎ酸i−アミル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類等がある。なお、これらの溶剤は、1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。
【0185】
2.レジストパターンの形成方法
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成する場合には、先ず、「1.6(F)溶剤」にて記載した方法で調製した組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハー、アルミニウム等で被覆されたウェハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。次いで、必要に応じて、予め70〜160℃程度の温度で加熱処理(以下、「PB」と記載する)を行い、所定のマスクパターンを介して露光を行う。その後、アルカリ現像液を用い、通常、10〜50℃で10〜200秒、好ましくは15〜30℃で15〜100秒、特に好ましくは20〜25℃で15〜90秒の条件で現像することにより、所定のレジストパターンを形成することができる。なお、高精度で微細なレジストパターンを安定して形成するために、露光後に、70〜160℃の温度で30秒以上加熱処理(以下、「PEB」と記載する)を行なうことが好ましい。ここで、PEBの温度が70℃未満であると、基板の種類による感度のばらつきが広がるおそれがある。
【0186】
露光に使用される放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)等の遠紫外線が好ましい。また、露光量等の露光条件は、ポジ型感放射線性樹脂組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
【0187】
アルカリ現像液の好ましい例示としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン類、モノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物を、通常、1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1〜3質量%の濃度となるよう溶解させたアルカリ性水溶液がある。また、アルカリ現像液には、例えば、メタノールやエタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適宜添加することもできる。
【0188】
なお、レジストパターンの形成に際しては、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。
【実施例】
【0189】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
【0190】
[感度(mJ/cm)]:シリコンウエハー上に形成したレジスト被膜を露光し、直ちにPEBを行ない、現像した後、水洗し、乾燥してレジストパターンを形成した際に、線幅170nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量(最適露光量)を感度として測定した。
【0191】
[解像度(μm)]:ライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、最適露光量により解像されるラインパターンの最小線幅を解像度として測定した。
【0192】
[焦点深度(μm)]:焦点深度を−1.0〜+1.0μmの範囲で0.1μm刻みに変えて、最適露光量で露光して、レジストパターンを形成した際に、形成されるラインパターンの線幅が153〜187nmの範囲に入る焦点深度範囲を焦点深度として測定した。
【0193】
[線幅変動値(nm)]:膜厚250nmのレジスト被膜、及び膜厚を250nmから、−40nm、−30nm、−20nm、−10nm、+10nm、+20nm、+30nm、+40nmだけ変えた膜厚の各レジスト被膜について、最適露光量でライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を形成し、形成されたラインパターンの線幅を半導体用走査電子顕微鏡(商品名「S−9220日立高分解能FEB測長装置」、日立社製)を用いて測定し、線幅の最大値と最小値の差を線幅変動値とした。
【0194】
[質量分析]:商品名「MALDI−TOF−MS」、型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、島津製作所社製を用いて測定した。
【0195】
[赤外吸収スペクトル(cm−1)]:型番FT−IR 420型、日本分光社製を用いて測定した。
【0196】
[核磁気共鳴スペクトル]:型番JNM−ECA−500型、日本電子社製を用いて測定した。
【0197】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]:東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、同G3000HXL1本、同G4000HXL1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0198】
[Mw/Mn]:測定したMw及びMnの値から算出した。
【0199】
(合成例1)
レゾルシノール22.0g(200mmol)をエタノール45mLに溶解させ塩酸15mL加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、グルタルアルデヒドの50%水溶液10.0g(50mmol)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、黄色の懸濁液を得た。この懸濁液をメタノール中に注いだ後、濾別し、沈殿物を単離した。単離した沈殿物をメタノールで3回洗浄し、室温で24時間減圧乾燥して、粉末状の淡黄色固体(S)を得た(収量:11.2g(収率:79%))。
【0200】
得られた淡黄色固体(S)の構造確認は、質量分析、赤外吸収スペクトル、及び核磁気共鳴スペクトルのH−NMR解析にて行った。これらの結果を以下に示す。
質量分析:分子量1705の化合物のみが得られたことが示された。
赤外吸収スペクトル(film法、(cm−1)):3406(νOH);2931(νC−H);1621、1505、1436(νC=C(aromatic)
H−NMR(500MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=0.86〜2.35(b,12H)、3.98〜4.22(m,4H)、6.09〜7.42(m,8H)、8.65〜9.56(m,8H)
【0201】
得られた淡黄色固体(S)3.5gとテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを1−メチル−2−ピロリドン40gに加え、70℃で4時間攪拌して溶解させた。溶解後、炭酸カリウム3.3gを加え、70℃で1時間撹拌した。予めブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチル6.9gを1−メチル−2−ピロリドン20gに溶解させて調製しておいた溶液を徐々に加えた後、70℃で6時間攪拌した。室温まで冷却し、水及び塩化メチレンを用いて抽出を行った。有機層を3%のシュウ酸水溶液100mLで3回、水100mLで2回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=1:4(vol/vol)を溶出液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(A−1)を得た(収量3.2g)。
【0202】
得られた化合物(A−1)について、核磁気共鳴スペクトル分析のH−NMR解析を行ったところ、化合物(A−1)は、一般式(6)で表される化合物のうち、Rとして表される基の40mol%が式(R−1)で表される基(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基)であり、残りが水素原子である化合物であった。
【0203】
【化28】

【0204】
【化29】

【0205】
なお、H−NMRの結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=0.82〜2.40(m,66.4H)、3.80〜4.52(m,10.4H)、6.08〜7.41(m,8.0H)、8.62〜9.54(m,3.2H)
【0206】
(合成例2)
ブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンチル6.9gの代わりにブロモ酢酸t−ブチル4.7gを使用したこと、及び3%のシュウ酸水溶液100mLで洗浄しなかったこと以外は合成例1と同様にして、化合物(A−2)を得た(収量3.8g)。
【0207】
得られた化合物(A−2)について、核磁気共鳴スペクトル分析のH−NMR解析を行ったところ、化合物(A−2)は、一般式(6)で表される化合物のうち、Rとして表される基の40mol%が式(R−2)で表される基(tert−ブチル−オキシカルボニルメチル基)であり、残りが水素原子である化合物であった。
【0208】
【化30】

【0209】
(合成例3)
合成例1で得られた淡黄色固体(S)0.85gとテトラブチルアンモニウムブロマイド0.19gを脱水ピリジン6mLに加え、1時間攪拌した。その後、ジ−t−ブチルジカーボナート5.2gを徐々に加え、室温で48時間攪拌した。室温まで冷却し、反応液を3%のシュウ酸水溶液300mLに注ぎ、固体を析出させた。得られた固体を塩化メチレンに溶解させ、3%のシュウ酸水100mLで3回洗浄した後、水100mLで2回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=1:1(vol/vol)を溶出液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(A−3)を得た(収量1.7g)。
【0210】
得られた化合物(A−3)について核磁気共鳴スペクトル分析のH−NMR解析を行ったところ、化合物(A−3)は、一般式(6)で表される化合物のうち、Rとして表される基が全て式(R−3)で表される基(t−ブトキシカルボニル基)である化合物であった。
【0211】
【化31】

【0212】
(合成例4)
市販のアントラセン−9−カルボン酸100gとt−ブトキシカリウム55gをジメチルホルムアミド500gに溶解し、更にブロモ酢酸t−ブチル100gを加えて、23℃で2時間反応させた。その後、酢酸エチル200g及び水500gを加えて2相に分離した後、水層を廃棄し、酢酸エチル層を取り出して水で洗浄し、溶剤を留去して、アントラセン−9−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル112gを黄色固体で得た。この化合物を(E−1)とする。
【0213】
(合成例5)
p−アセトキシスチレン140g、p−t−ブトキシスチレン50g、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジアクリレート9g、アゾビスイソブチロニトリル8g、及びt−ドデシルメルカプタン6gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル240gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液をn−ヘキサン2,000g中に滴下して再沈殿し、沈殿物を減圧下、50℃で3時間乾燥した。乾燥した沈殿物190gを、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gに溶解した後、メタノール300g、トリエチルアミン100g、及び水15gを加え、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた固形物を固形分濃度が20%となるようにアセトンに再溶解した後、水2,000g中に滴下して再沈殿し、沈殿した白色粉末を濾別した後、減圧下50℃で一晩乾燥することにより(C−1)樹脂を得た。
【0214】
得られた(C−1)樹脂は、Mwが40,000であり、Mw/Mnが2.6であり、核磁気共鳴スペクトル分析の13C−NMR解析の結果、p−ヒドロキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジアクリレートに由来する繰り返し単位のmol比が67:30:3である共重合体であった。
【0215】
(合成例6)
重合反応にp−アセトキシスチレン100g、アクリル酸t−ブチル25g、スチレン18g、アゾビスイソブチロニトリル6g、t−ドデシルメルカプタン1g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル260gを使用したこと、並びに加水分解反応に乾燥した沈殿物135g、プロピレングリコールモノメチルエーテル150g、メタノール300g、トリエチルアミン80g、及び水15gを使用したこと以外は合成例5と同様にして(C−2)樹脂を得た。
【0216】
得られた(C−2)樹脂は、Mwが11,500であり、Mw/Mnが1.6であり、核磁気共鳴スペクトル分析の13C−NMR解析の結果、p−ヒドロキシスチレン、アクリル酸t−ブチル、スチレンに由来する繰り返し単位のmol比が61:19:20の共重合体であった。
【0217】
(合成例7)
重合反応にp−アセトキシスチレン154g、スチレン7g、p−t−ブトキシスチレン53g、アゾビスイソブチロニトリル9g、t−ドデシルメルカプタン7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル260gを使用したこと、並びに加水分解反応に乾燥した沈殿物215g、プロピレングリコールモノメチルエーテル260g、メタノール300g、トリエチルアミン80g、及び水15gを使用したこと以外は合成例5と同様にして(C−3)樹脂を得た。
【0218】
得られた(C−3)樹脂は、Mwが16,000であり、Mw/Mnが1.7であり、核磁気共鳴スペクトル分析の13C−NMR解析の結果、p−ヒドロキシスチレン、スチレン、p−t−ブトキシスチレンに由来する繰り返し単位のmol比が72:5:23の共重合体であった。
【0219】
(合成例8)
Mwが12,000のポリ(p−ヒドロキシスチレン)24gをジオキサン100gに溶解し、窒素ガスにより30分間バブリングを行った。その後、この溶液に、エチルビニルエーテル5g、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1%のアンモニア水溶液中に滴下して、重合体を沈殿させ、濾別した後、減圧下50℃で一晩乾燥することにより(C−4)樹脂を得た。
【0220】
得られた(C−4)樹脂は、Mwが15,000であり、Mw/Mnが1.7であり、核磁気共鳴スペクトル分析の13C−NMR解析の結果、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基における水素原子の35mol%が1−エトキシエチル基で置換された構造を有する共重合体であった。
【0221】
(実施例1)
合成例1で得た化合物(A−1)10部、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド9部、合成例7で得た(C−3)樹脂100部、及びN−(t−ブトキシカルボニル)2−フェニルベンズイミダゾール0.5部を、乳酸エチル990部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート420部に溶解して均一溶液とした後、孔径200nmのメンブランフィルターで濾過して、組成物溶液を調製した。次いで、商品名「クリーントラックACT−8」(東京エレクトロン社製)内で、シリコンウエハー上に、調製した組成物溶液をスピンコートし、表2に示す条件でPBを行なって、膜厚250nmのレジスト被膜を形成した。その後、商品名「スキャナーNSR−S203B」(ニコン社製、開口数=0.68、σ=0.75)を用い、バイナリーマスクを介して露光し、表2に示す条件でPEBを行なった。露光後、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で30秒間、LDノズルを用いてパドル法により現像し、純水で水洗し、乾燥することによりレジストパターンを形成した。
【0222】
形成したレジストパターンの感度は35mJ/cmであり、解像度は0.15μmであり、焦点深度は0.9μmであり、線幅変動値は75nmであった。
【0223】
(実施例2〜5、及び比較例1〜2)
表1に示す成分と配合量にしたこと及び表2に示すレジストパターン形成条件にしたこと以外は、実施例1と同様にしてレジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件及びレジストパターンの評価結果を表2に示す。
【0224】
【表1】

【0225】
【表2】

【0226】
表1に記載した(B)感放射線性酸発生剤、(D)酸拡散制御剤、及び(F)溶剤の詳細は以下に示すとおりである。
【0227】
感放射線性酸発生剤(B)
B−1:ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート
B−2:N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
B−3:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
B−4:N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド
B−5:ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン
【0228】
(D)酸拡散制御剤
D−1:N−(t−ブトキシカルボニル)2−フェニルベンズイミダゾール
D−2:トリオクチルアミン
【0229】
(F)溶剤
S−1:乳酸エチル
S−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、今後さらに微細化が進行するとみられる集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野に極めて好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される化合物、
(B)感放射線性酸発生剤、及び
(C)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂、を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(前記一般式(1)中、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。Xは、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。Yは、相互に独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示す。qは、相互に独立に、0又は1を示す。)
【請求項2】
前記(C)樹脂が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位と、下記一般式(3)及び下記一般式(4)の少なくともいずれかで表される繰り返し単位とを有する請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化2】

(前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、1価の有機基を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rは、前記一般式(3)中の−ORに相当する基を除く。また、前記一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは、相互に独立に、1価の有機基を示し、Rは、相互に独立に、1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、rは1〜3の整数を示す。但し、Rは−ORに相当する基を除く。更に、前記一般式(4)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の酸解離性基を示す。)
【請求項3】
前記一般式(1)中、Rで表される1価の酸解離性基が、下記一般式(5−1)又は(5−2)で表される基である請求項1又は2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化3】

(前記一般式(5−1)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、sは0〜3の整数を示す。また、前記一般式(5−2)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化4】

(前記一般式(6)中、Rは、相互に独立に、水素原子又は1価の酸解離性基を示す。)
【請求項5】
前記一般式(6)中、Rで表される1価の酸解離性基が、下記一般式(5−1)又は(5−2)で表される基である請求項4に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【化5】

(前記一般式(5−1)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、sは0〜3の整数を示す。また、前記一般式(5−2)中、Rはヘテロ原子を含んでも良い置換基による置換又は非置換の炭素数1〜40の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【請求項6】
前記一般式(5−1)中、Rがt−ブチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−エチルシクロペンチル基、又は1−メチルシクロペンチル基であり、かつsが0又は1である請求項3又は5に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
前記一般式(5−2)中、Rがアダマンチル基であり、かつR10が水素原子若しくはメチル基である、又はRが2−メチル−2−アダマンチル基若しくは2−エチル−2−アダマンチル基であり、かつR10がメチル基である請求項3又は5に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)感放射線性酸発生剤が、
オニウム塩、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
(D)酸拡散制御剤を更に含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−223024(P2009−223024A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67866(P2008−67866)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】