説明

ポストインプリント可能なヒドロゲル材料の製造方法

【課題】重合後に任意のターゲット物質を取り込むことができるようにポストインプリントが可能なヒドロゲル材料の製造方法、および該製造方法から得られるヒドロゲル材料、さらに該ヒドロゲル材料からなる医療用具、医薬品、化粧品を提供することを目的とする。
【解決手段】(a)ターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できる特定官能基を有するモノマー、ジスルフィド基含有架橋剤、およびその他の架橋剤を含む混合液を重合して重合体を得る工程、
(b)該重合体中のジスルフィド結合を還元により切断する工程、
(c)前記ジスルフィド結合を切断した重合体にターゲット有機物を取り込む工程、
(d)ターゲット有機物を取り込んだ重合体を酸化してジスルフィド結合を再結合させる工程、および
(e)該重合体からターゲット有機物を除去する工程
を含むヒドロゲル材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリントゲルではないゲルを作製した後に、インプリントゲルに変換すること(以下、ポストインプリントという)が可能なヒドロゲル材料の製造方法に関する。また、該製造方法によって得られたヒドロゲル材料、および該ヒドロゲル材料からなる医療用具、医薬品および化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズに薬物を取り込ませて、緑内障などの治療に用いるケースが増えている。このようなコンタクトレンズはヒドロゲル材料からなるのであるが、ヒドロゲル材料に薬物を取り込ませる方法として、モノマー混合液中に直接薬物を添加し、薬物存在下で重合を行なう方法などが検討されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1の方法では、予めターゲットとする薬物の存在下でモノマーを重合するために、重合後のヒドロゲル材料はその薬物にしか使用することができなかった。そのため、目的とする薬物毎にヒドロゲル材料を製造する必要があった。
【0004】
さらに、非特許文献1には、ヒドロゲル材料の重合後に、カルシウムイオンを吸着することができるヒドロゲル材料が開示されている。しかしながら、非特許文献1では、単にカルシウムイオンの吸着しか検討されておらず、薬物や花粉などの有機物の吸着またはこれらの徐放作用については何ら検討されていない。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−103028号公報
【非特許文献1】Haruyuki Hiratani et al.,“Effect of Reversible Cross−linker,N,N’−Bis(acryloyl)cystamine,on Calcium Ion Adsorption by Imprinted Gels”,Langmuir,ACS,2001,Volume 17,Number 14,p.4431―4436
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重合後に任意のターゲット有機物を取り込むことができるようにポストインプリントが可能なヒドロゲル材料の製造方法、および該製造方法から得られるヒドロゲル材料、さらに該ヒドロゲル材料からなる医療用具、医薬品、化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、(a)ターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できる特定官能基を有するモノマー、ジスルフィド基含有架橋剤、およびその他の架橋剤を含む混合液を重合して重合体を得る工程、
(b)該重合体中のジスルフィド結合を還元により切断する工程、
(c)前記ジスルフィド結合を切断した重合体にターゲット有機物を取り込む工程、
(d)ターゲット有機物を取り込んだ重合体を酸化してジスルフィド結合を再結合させる工程、および
(e)該重合体からターゲット有機物を除去する工程
を含むヒドロゲル材料の製造方法に関する。
【0008】
ターゲット有機物を薬物、花粉または細胞壊死因子とすることができる。
【0009】
ジスルフィド基含有架橋剤が、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミンであることが好ましい。
【0010】
本発明の製造方法では、ターゲット有機物を2種以上とすることができる。
【0011】
また、本発明は、前記ヒドロゲル材料の製造方法により得られたヒドロゲル材料に関する。
【0012】
前記ヒドロゲル材料が、薬物徐放可能なヒドロゲル材料であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、ヒドロゲル材料からなる医療用具、医薬品および化粧品に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重合後に任意のターゲット有機物を取り込むポストインプリントが可能である。また、可逆的に切断再結合可能なジスルフィド結合を含むので、同じヒドロゲル材料を用いて、一度取り込んだターゲット有機物を放出し、再度異種のターゲット有機物を取り込ませることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、(a)ターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できる特定官能基を有するモノマー、ジスルフィド基含有架橋剤、およびその他の架橋剤を含む混合液を重合して重合体を得る工程、
(b)該重合体中のジスルフィド結合を還元により切断する工程、
(c)前記ジスルフィド結合を切断した重合体にターゲット有機物を取り込む工程、
(d)ターゲット有機物を取り込んだ重合体を酸化してジスルフィド結合を再結合させる工程、および
(e)該重合体からターゲット有機物を除去する工程
を含むヒドロゲル材料の製造方法に関する。すなわち、本発明は、インプリントゲルでない重合体(ゲル)にターゲット有機物を取り込ませた後、酸化反応によりジスルフィド結合を再結合させることにより、重合体内にターゲット有機物に対する吸着サイトを新たに形成してインプリントゲルとするポストインプリントによるヒドロゲル材料の製造方法に関する。
【0016】
工程(a)におけるターゲット有機物としては、特定官能基を有するモノマーと物理的架橋構造を形成できるようなターゲット有機物を適宜選択すればよい。具体的には、抗生物質、抗ウイルス剤、抗炎症剤、ステロイド、ペプチド、ポリペプチド、抗アレルギー剤、α−アドレナリン遮断剤、β−アドレナリン遮断剤、抗白内障剤、緑内障治療剤、眼薬、涙液分泌亢進剤、眼の局部的なまたは部分的な麻酔薬、リゾチーム、グルタチオンなどの薬物、花粉、TNFなどの細胞壊死因子があげられる。特に眼科領域での薬物による疾患治療や市場での要求性の点で、抗アレルギー剤、緑内障治療剤または涙液分泌亢進剤が好ましい。緑内障治療剤としては、特定官能基を有するモノマーと比較的強い物理的架橋構造を形成できる点で、チモロール、ピロカルピンおよびこれらの医療的に許容される塩が好ましい。これらのターゲット有機物は単独でも2種以上を合わせて用いてもよい。ここで、「医療的に許容される塩」とは、親化合物の医薬的性質(例えば、毒性、効率など)に有意に、逆に影響をおよぼさない親化合物の塩を意味する。本発明において医薬的に許容される塩としては、塩化物、ヨウ化物、臭化物、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩、ステアリン塩、リン酸塩、硫酸塩などがあげられる。
【0017】
ターゲット有機物を2種以上用いる場合は、ターゲット有機物同士が相互作用をしないか、または、その効果を不活性化させない組み合わせとすることが好ましい。
【0018】
ターゲット有機物を2種以上用いる場合のそれぞれのターゲット有機物の配合量は、特に限定されるものではなく、用いるターゲット有機物の効果、効能や安全性を考慮して適宜決定することができる。
【0019】
工程(a)におけるターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できる特定官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基、スルホン基、またはアミノ基などを含有する化合物があげられる。例えば、カルボキシル基を含有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸など、スルホン基を含有する化合物としては、ビニルスルホン、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など、アミノ基を含有する化合物としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど、またこれらのナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩など種種の塩があげられる。これらのうち、本願発明の効果を充分発揮させる点から、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0020】
なお、本明細書中において、「物理的架橋構造」とは、「水素結合および/または静電的相互作用(荷電粒子間のクーロン力のほかに、双極子や四極子などの多重極子間相互作用を含む)によって生じる架橋構造」のことをいう。
【0021】
前記特定官能基を有するモノマーの配合量は、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.3〜20重量%である。0.1重量%より少ないと得られたゲル内にターゲット有機物とそのターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できるような特定官能基の数が少なくなり、充分な薬物徐放効果を発揮することができなくなる傾向にある。前記特定官能基を有するモノマーの配合量が40重量%を超えると、得られたヒドロゲルが脆くなる傾向がある。
【0022】
本発明では、ジスルフィド基含有架橋剤を用いることで、モノマー重合後においても可逆的に結合−分解が可能な構造を有する高分子ゲルを作成することができる。また、可逆的に結合−分解可能なジスルフィド結合を含むので、ヒドロゲル材料に一度取り込んだターゲット有機物を放出し、同じヒドロゲル材料を用いて、再度異種のターゲット有機物を取り込ませることが可能である。
【0023】
ジスルフィド基含有架橋剤としては、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミン、N,N’−ビス(メタクリロイル)シスタミン、ジチオビスアクリレート、ジチオビスメタクリレートなどがあげられる。これらの中でも、汎用性が高く、入手が容易であることから、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミンが好ましい。
【0024】
ジスルフィド基含有架橋剤の配合量は、好ましく0.5〜20重量%、より好ましくは1.0〜10重量%である。0.5重量%未満では、後述のジスルフィド再結合による薬物の固定効果が減少し、本発明の効果が充分発揮されない傾向がある。ジスルフィド基含有架橋剤配合量が20重量%を超える場合は、得られたヒドロゲルが硬くなり、柔軟性が乏しくなる傾向がある。
【0025】
本発明では、形成した高分子ヒドロゲルを維持するために、その他の架橋剤を併用する必要があり、一般的に使われている架橋剤であれば何ら問題はなく使用することができる。たとえば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、アジピン酸ジアリル、トリアリルジイソシアネート、α−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、メチレンビスアクリルアミドなどがあげられる。これらの架橋剤は、単独で、または2種以上を同時に用いることができる。これらの中では、ヒドロゲル材料の柔軟性を適度にコントロールでき、良好な機械的強度を付与し、共重合性を向上させる効果が大きい点で、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法においては、ゲルの骨格を形成するモノマーとして、親水性モノマーを含むことが好ましい。親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、リン含有(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系親水性モノマー;ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、グリセロールアクリルアミド、アクリルアミド−N−ブリコール酸などのアクリルアミド系親水性モノマー;ビニルスルホン、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などスルホン系親水性モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカプロラクタム;N−ビニルオキサゾリン;N−ビニルサクシンイミド;ビニルピリジン;酢酸ビニル;イタコン酸;クロトン酸;N−ビニルイミダゾール;ビニルベンジルアンモニウム塩などがあげられる。これらのうち透明性、成型性、強度の面から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、およびN−ビニルピロリドンが好ましく、とくにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド,N−イソプロピルアクリルアミドが好ましい。ここで、本明細書中では、「・・・(メタ)アクリレート」とは、「・・・アクリレート」および「・・・メタクリレート」の2つの化合物を総称するものであり、また、その他の(メタ)アクリル誘導体についても同様である。
【0027】
工程(a)においてさらに任意のモノマーを添加してもよい。任意モノマーとしては、酸素透過性の良好なヒドロゲル材料を得ようとするためには、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキサニルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどのシリコン含有(メタ)アクリレート;トリメチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンなどのシリコン含有スチレン誘導体;4−ビニルベンジル−2’,2’,2’−トリフルオロエチルエーテル、4−ビニルベンジル−2’,2’,3’,3’,4’,4’,4’−ヘプタフルオロブチルエーテル、4−ビニルベンジル−3’,3’,3’−トリフルオロプロピルエーテル、4−ビニルベンジル−3’,3’,4’,4’,5’,5’,6’,6’,6’−ノナフルオロヘキシルエーテル、4−ビニルベンジル−4’,4’,5’,5’,6’,6’,7’,7’,8’,8’,8’−ウンデカフルオロオクチルエーテル、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、パーフルオロスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、o−トリフルオロメチルスチレン、m−トリフルオロメチルスチレンなどのフッ素含有スチレン誘導体;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−tert−ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロへプチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12−エイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,7,7,7−オクタフルオロ−6−トリフルオロメチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,9,9,9−ドデカフルオロ−8−トリフルオロメチルノニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,11,11,11−ヘキサデカフルオロ−10−トリフルオロメチルウンデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有アルキル(メタ)アクリレート;特開平2−188717号公報、特開平2−213820号公報および特開平3−43711号公報に開示されているマクロモノマーなどを含めることが考えられ、また、強度的に優れたヒドロゲル材料を得ようとするためには、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、トリメチルスチレン、tert−ブチルスチレン、パーブロモスチレン、ジメチルアミノスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;(メタ)アクリル酸などを含めることが考えられる。これらのモノマーは、単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0028】
これらの任意モノマーの配合量は特に限定されるものではないが、ヒドロゲル材料の機械的強度および柔軟性を維持する点から、0.5〜30重量%程度とすることが好ましい。
【0029】
工程(a)における重合方法は、ラジカル重合開始剤を重合成分に配合したのち、室温〜約130℃の温度範囲で徐々または段階的に加熱する方法、あるいはマイクロ波、紫外線、放射線(γ線)などの電磁波を照射する方法が考えられる。重合は、塊状重合法、溶媒などを用いた溶液重合法、またはその他の方法によってなされてもよい。
【0030】
工程(a)における重合は、ヒドロゲル材料の混合液(ターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できるような特定官能基を有するモノマー、ジスルフィド基含有架橋剤、その他の架橋剤、重合開始剤、さらに必要であればゲルの骨格を形成するモノマー)を調製し、その混合液を成形型に注入し、成形型の型締めを行なう。この成形型に紫外線を照射することにより混合液を重合させ、その後、脱型を行ない、得られた重合体であるヒドロゲル材料を大過剰量の0.9重量%食塩水によって、1日以上洗浄し、この材料内に存在する未反応モノマーを除去する。
【0031】
前記ラジカル重合開始剤の代表例としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(V−65)、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどがあげられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
なお、電磁波照射などを利用して重合させる場合には、光重合開始剤や増感剤をさらに添加することが好ましい。
【0033】
光重合開始剤としては、例えば、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルフォルメート、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテルなどのベンゾイン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア(登録商標)1173)、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、N,N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノンなどのフェノン系光重合開始剤;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;ジベンゾスバロン;2−エチルアンスラキノン;ベンゾフェノンアクリレート;ベンゾフェノン;ベンジルなどがあげられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
前記重合開始剤や増感剤の使用量は、充分な速度で重合反応を進行させるためには、好ましくは0.002重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上となるように調整するが、得られるヒドロゲル材料に気泡が発生するおそれをなくすためには、好ましくは10重量%以下、より好ましくは2重量%以下となるように調整する。
【0035】
重合後に、未反応モノマーを除去することが好ましい。
【0036】
未反応モノマーを除去するために使用する大過剰量の洗浄溶液としては、たとえば水、食塩水;希塩酸;水酸化ナトリウム水溶液;または、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール;あるいは、これらの混合溶液が考えられる。
【0037】
工程(b)において、工程(a)で得られた重合体中のジスルフィド結合を還元剤により切断する。ジスルフィド結合を還元するための還元剤としては、水素化アルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホスフィン、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどがあげられる。
【0038】
前記還元は、得られた重合体を前記還元剤を含有する水溶液に浸漬することにより行う。還元剤水溶液の濃度は特に限定されるものではなく、工程(a)で用いたスルフィド基含有架橋剤の量にあわせて適宜変更すればよい。浸漬は、ジスルフィド結合の切断をより完全に行うために、3時間〜3日とすればよい。浸漬後、脱気水により、重合体を洗浄する。
【0039】
ついで、工程(c)において、ターゲット有機物を、前記ジスルフィド結合を切断した重合体であるヒドロゲル材料に取り込む。ターゲット有機物の取り込みは、前記ターゲット有機物を水溶液とし、該水溶液に3時間〜3日浸漬することにより行うことができる。ターゲット有機物の水溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、目的とする取り込み量が達成できるように、適宜変更すればよい。
【0040】
ついで、工程(d)において、工程(c)における重合体の浸漬期間後に、ターゲット有機物を取り込んだ重合体を酸化してジスルフィド結合を再結合させる工程を行う。ジスルフィド結合の再結合は、工程(c)の浸漬液に、臭素酸ナトリウムなどの臭素酸塩、塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩、ヨウ素酸ナトリウムなどのヨウ素酸塩、四酢酸鉛、クロム酸塩、ナトリウムN−クロロ−p−トルエンスルホンアミド(クロラミンT)、ナトリウムN−クロロベンゼンスルホンアミド(クロラミンB)などのN−ハロスルホンアミド、ハロゲンなどの酸化剤により行う。これらの中でも、酸化効率の点から、臭素酸ナトリウムが好ましく用いられる。酸化剤の添加量は特に限定されるものではなく、ジスルフィドの再結合が充分に行われるように適宜選択すればよい。酸化剤を添加後さらに、3時間〜7日浸漬して、ターゲット有機物に対する吸着サイトの形成をより完全なものとする。なお、SH基は不安定なため、空気中に放置することでジスルフィドを形成することがある。
【0041】
つづいて、過剰量のターゲット有機物を蒸留水、生理食塩水、希塩酸、水酸化ナトリウム水溶液などにより除去する(工程(e))。
【0042】
また、本発明は、前記ヒドロゲル材料の製造方法により得られたヒドロゲル材料に関する。
【0043】
ターゲット有機物を薬物とした場合は、薬物除放可能なヒドロゲル材料として有用である。薬物徐放可能なヒドロゲル材料とするには、(a)〜(e)工程で得られたヒドロゲル材料を、目的とする薬物を溶解もしくは懸濁させた水溶液中にヒドロゲル材料を1時間〜数日間浸漬して、薬物を取り込ませる。薬物を含む水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、4μM〜100mMに調整すればよい。
【0044】
また、本発明は、ヒドロゲル材料からなる医療用具、医薬品および化粧品に関する。医療用具として具体的には、眼用レンズ(コンタクトレンズ、眼内レンズなど)、眼表面シート(角膜バンテージシート、結膜バンテージシートなど)、人工硝子体、眼内埋植物(強膜プラグなど)、鼻腔内用薬物徐放キャリア、口腔内用薬物徐放キャリア、涙点プラグなどに用いることができる。また、医薬品としては、薬物吸着または徐放カプセル、点鼻ゲル、点眼ゲル、経口剤、貼付剤などがあげられ、化粧品としては、薬物多量含有ゲル、薬物徐放剤、貼付剤などがあげられる。特に、コンタクトレンズにおいては、薬物の徐放を目的としたレンズの他に、花粉などの異物を吸着させる、あるいは花粉などの異物に対する抗体を吸着させておくことで、眼に入ってきた異物を吸着・不活性化できるレンズを作製することも可能である。
【実施例】
【0045】
以下、本発明のヒドロゲル材料の製造方法および該製造方法により得られるヒドロゲル材料を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。
【0046】
実施例1
表1の配合量に従い調整した混合液を、ポリプロピレン製成形型(直径20mm、厚さ0.3mm)に注入した。紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、UX0302−03)を用いて、室温下、照射強度11mW/cm2で30分間紫外線を照射して、混合液の重合を行った。
【0047】
つづいて、以下のポストインプリント操作により目的とするターゲット有機物を重合体に取り込んだ。得られた重合体(プレート状ポリマー)を、生理食塩水に3日間浸漬し、その後、蒸留水に3日間浸漬して充分に洗浄した。次に、還元剤であるジチオスレイトールの0.2M水溶液に1日浸漬して重合体中のS−S結合を切断し、脱気水で洗浄した。つづいて、6.25mMグルタチオン水溶液に1日浸漬したのち、この浸漬液に0.8M臭素酸ナトリウム(酸化剤)を添加して、さらに2日間浸漬して重合体にグルタチオンをポストインプリントさせて、ポストインプリントゲルを得た。
【0048】
比較例1
ポストインプリント操作を行わないこと以外は、実施例1と同様の操作により重合体を得た。
【0049】
比較例2
ポストインプリント操作を行わずに、重合体の重合時に6.25mMのグルタチオンを添加した以外は、実施例1と同様に重合体(インプリントゲル)を得た。
【0050】
実施例2
使用するモノマーを表1に従い変更した以外は、実施例1と同様にポストインプリントゲルを得た。
【0051】
比較例3
ポストインプリント操作を行わないこと以外は、実施例2と同様の操作により重合体を得た。
【0052】
比較例4
ポストインプリント操作を行わずに、重合体の重合時に3.125mMのチモロールを添加した以外は、実施例2と同様に重合体(インプリントゲル)を得た。
【0053】
実施例3
使用するモノマーを表1に従い変更した以外は、実施例1と同様にポストインプリントゲルを得た。
【0054】
比較例5
ポストインプリント操作を行わないこと以外は、実施例2と同様の操作により重合体を得た。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例および比較例で得られた重合体(プレート状ポリマー、試験試料)を用いて、以下の吸着試験、徐放試験を行ない重合体の評価を行った。
【0057】
(吸着試験)
実施例1、比較例1および2で得られた試験試料を、蒸留水、生理食塩水で充分に洗浄してターゲット有機物を除去した後、4μM、8μM、16μM、32μM、64μMのグルタチオン水溶液10mLが入ったバイアル瓶に3日間浸漬し、再度、グルタチオンをポリマーに取り込ませた。バイアル瓶から溶液の一部(600μL)を採取して、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters(株)、2695セパレーションモジュール)を用いて、波長200nmにおける吸光度を測定した。予め準備した検量線を用いて取り出した溶液の濃度Ceq(mM)を決定し、浸漬溶液の濃度の初期値とCeq値の差により、プレート内に取り込まれたグルタチオンの濃度を定量した。グルタチオン濃度をプレート状ポリマーの体積(Vgel)で割り、単位体積中に取り込まれたグルタチオン濃度A(mmol/Vgel)を求めた。さらに次式、
A=SKCeq/(1+KCeq)
により吸着定数(K)を決定した。ここで、Sは平衡吸着時におけるゲル内吸着サイト濃度(mM)である。吸着定数Kが大きいほど吸着サイトの吸着力が高いことを示す。
【0058】
同様にして、実施例2、比較例3および4で得られた試験試料を用いて吸着定数を決定した。この場合は、グルタチオンのかわりにチモロールを使用し、また、バイアル瓶の溶液濃度の決定は、紫外可視分光光度計((株)島津製作所、UV−3150)を用いて、波長295nmにおける吸光度を測定し、検量線を用いて行った。
【0059】
実施例3および比較例5の場合は、同濃度のグルタチオン水溶液とチモロール水溶液の混合液10mLを用いて行った。バイアル瓶の溶液濃度は、高速液体クロマトグラフィーおよび紫外可視分光光度計の両方により決定した。
【0060】
結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2の結果から分かるように、インプリントゲルと同等または優れた吸着定数を有することから、試験試料内に存在する吸着サイトの濃度がインプリントゲルと同等またはそれ以上であることが確認された。さらに、実施例3の結果から、2種のターゲット有機物の取り込みも可能であることが分かった。
【0063】
(徐放試験)
実施例1、比較例1および2で得られた試験試料を、生理食塩水および蒸留水で充分に洗浄してターゲット有機物であるグルタチオンを除去した後、10mMのグルタチオン水溶液10mLが入ったバイアル瓶に3日間浸漬し、再度グルタチオンをポリマーに取り込ませた。その後、試験試料を10mLの生理食塩水が入ったバイアル瓶に移し、温度を25℃に維持した。このバイアル瓶から、グルタチオンが放出された生理食塩水の600μLを定期的に採取して、吸着試験におけるのと同様に高速液体クロマトグラフィーを用いてグルタチオン濃度を決定した。検量線を用いて、グルタチオンの放出量(Mt)を決定した。拡散係数(D)は、時間(t)におけるグルタチオン累積放出量(Mtotal)、グルタチオン放出限界時におけるグルタチオン総放出量(M)および試験試料の厚さ(h)を用いて下式により算出した。グルタチオン放出限界時とは、試験試料に取り込んだグルタチオンが全て生理食塩水中に放出し、かつ総放出量(M)が一定となった状態をいう。
Mt/M=4(D×t/π)1/2/h
【0064】
同様にして、実施例2、比較例3および4で得られた試験試料を用いて拡散試験を行った。この場合は、グルタチオンのかわりにチモロールを使用し、また、放出濃度の決定は、前記紫外可視分光光度計を用いて、波長295nmにおける吸光度を測定し、検量線を用いて行った。
【0065】
実施例3および比較例5の場合は、同濃度のグルタチオン水溶液とチモロール水溶液の混合液10mLを用いて行った。バイアル瓶の溶液濃度は、高速液体クロマトグラフィーおよび紫外可視分光光度計の両方により決定した。
【0066】
(放出持続性比)
比較例1のMt/M値が1となった時間(Hc)に対する実施例1または比較例2のMt/M値が1となった時間(Hs)の比を放出持続性比とした。
【0067】
徐放試験の結果を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3から分かるように、インプリントゲルと同等またはそれ以上の徐放効果を有することが確認された。さらに、実施例3の結果から、2種のターゲット有機物をインプリントさせた場合も徐放効果を有することが確認された。
【0070】
なお、実施例には示していないが、比較例で作成したインプリントゲルにポストインプリント操作を施しても、本発明と同様の効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ターゲット有機物と物理的架橋構造を形成できる特定官能基を有するモノマー、ジスルフィド基含有架橋剤、およびその他の架橋剤を含む混合液を重合して重合体を得る工程、
(b)該重合体中のジスルフィド結合を還元により切断する工程、
(c)前記ジスルフィド結合を切断した重合体にターゲット有機物を取り込む工程、
(d)ターゲット有機物を取り込んだ重合体を酸化してジスルフィド結合を再結合させる工程、および
(e)該重合体からターゲット有機物を除去する工程
を含むヒドロゲル材料の製造方法。
【請求項2】
ターゲット有機物が薬物、花粉または細胞壊死因子である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
ジスルフィド基含有架橋剤が、N,N’−ビス(アクリロイル)シスタミンである請求項1または2記載のヒドロゲル材料の製造方法。
【請求項4】
ターゲット有機物が2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のヒドロゲル材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のヒドロゲル材料の製造方法により得られたヒドロゲル材料。
【請求項6】
請求項5記載のヒドロゲル材料からなる薬物徐放可能なヒドロゲル材料。
【請求項7】
請求項5または6記載のヒドロゲル材料からなる医療用具。
【請求項8】
請求項5または6記載のヒドロゲル材料からなる医薬品。
【請求項9】
請求項5または6記載のヒドロゲル材料からなる化粧品。

【公開番号】特開2007−112754(P2007−112754A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306998(P2005−306998)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】