説明

ポリウレタンマトリクス中に相互浸透した液状ビニル系モノマーネットワークを含む研磨パッド

【課題】ポリウレタンマトリクス中に相互浸透した液状ビニル系モノマーネットワークを含む研磨パッド
【解決手段】ポリウレタン研磨パッドを提供する。より詳細には、本発明は、ビニル系モノマーとポリウレタンマトリクスとの相互浸透ネットワーク構造を有し、気孔及び気泡を有しない研磨パッドを提供する。ビニルポリマーの相互浸透ネットワーク構造を有する前記ポリウレタン研磨パッドは、均一な分散性と、熱及びスラリーによるウレタン硬度の減少された変化を示し、それにより、研磨における摩擦熱とスラリーの溶解性による研磨率の劣化が起こらず、そして高温研磨操作を可能にする。さらに、本発明によれば、相互浸透ネットワーク構造は、研磨速度と磨耗性能の改善をもたらし、それによる研磨パッドの耐用年数の顕著な増加をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン研磨パッドに関する。より具体的には、本発明は、ビニル系モノマーのポリウレタンとの相互浸透ネットワーク構造を有し、気孔及び気泡のないポリウレタン研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展は半導体デバイスの優れたデータ処理性能への要求につながり、それにより、前記傾向に対処する為に、相当量の研究が高速半導体の研究に向けられてきた。半導体の高速化要求を満足させるために、半導体の高集積化が必要とされ、このため、要求されたレベルの半導体の集積化の実現のためには、半導体ウェハの平坦化が必須の要素となっている。高速半導体の実現に対する前記の要求は、半導体製造工程への研磨工程の組み込みをもたらした。研磨パッドは上記のように高度の表面平坦性が求められる材料の、平面化加工に使われる消耗性パッドであり、それゆえ、半導体集積回路に加え、例えばガラス、鏡及び誘電体/金属複合体などの高度の表面平坦性が求められる材料の平坦化に広く用いられる。
【0003】
研磨は、一般に、始めに粗い表面を制御して摩耗し、滑らかな鏡面の最終表面を製造することからなる。これは通常、微粒子の懸濁液(スラリー)が研磨パッドと加工対象物との間の界面に存在する間、研磨する製品の表面に繰り返して均一な動作で(加工対象物を)研磨させるように、物品の表面に対してパッドでこすることによって達成される。
【0004】
慣用の研磨パッドの例としては、羊毛などのフェルト繊維又は天然織繊維、ウレタン含浸フェルト化ポリエステル又は種々の充填材で充填されたウレタンパッド、又は研磨スラリーを貯蔵出来るマイクロ孔や気泡或いは気孔を有する充填材無配合のウレタンパッドなどが挙げられる。
【0005】
研磨パッドに関する従来技術として、ポリエステルフェルト内へのウレタンの混入によって空間と共に隆起した繊維を用いた研磨パッド(米国特許第4,927,432号明細書)、ポリウレタン内に球径空洞成分又は気孔、気泡を混入することによる半円状のくぼみで構成される表面構造を有するIC−シリーズ、MH−シリーズ及びLP−シリーズの研磨パッド(ロームアンドハース社製)、充填材の粒子の存在又は非存在による突起部と凹部で構成される特徴的な表面構造を有する研磨パッド(米国特許第5,209,760号明細書)、ポリウレタン等のマトリクス樹脂に高圧ガス含有微小球形空洞又は水溶性高分子粉末などが分散された研磨パッド(特許第3013105号明細書、特開2000−71168号公報)などがある。従って、上記のように研磨パッドに使われる技術は、第一に、様々な手法によるポリウレタンマトリクスへの異種物質(例えば気孔、気泡、充填材、フェルト及び不織布などの)の混入をベースとする。
【0006】
米国特許第4,927,432号明細書に開示される、ポリエステルフェルト内へのウレタンの混入による空間と共に隆起した繊維を用いた研磨パッドは、より優れた平坦性を示すものの、不都合なことに、パッド自体の低い硬度による遅い研磨速度に悩まされることとなる。ロームアンドハース社より入手可能な、ポリウレタン内に球径空洞成分又は気孔、気泡を混入することによる、半円状のくぼみで構成される表面構造を有するIC−シリーズ、MH−シリーズ及びLP−シリーズの研磨パッドは、優れた研磨速度と平面性により現在広く使われるパッドではあるが、不均一な球径空洞成分又は気孔/気泡の混入が、不都合なことに均一な分散を困難にし、そのため、ポリウレタンマトリクスと混入され
た物質間の密度差につながり、研磨が進行するほど平坦度の誤差が徐々に大きくなる。米国特許第5,209,670号明細書に開示される、充填材粒子の存在又は非存在による突起部と凹部で構成される特徴的な表面構造を有する研磨パッドもまた、不均一な充填材粒子の均一な分散における困難性に悩まされることとなる。さらに、特許第3013105号明細書、特開2000−71168号公報に開示される、ポリウレタン等のマトリクス樹脂に高圧ガス含有微小球形空洞又は水溶性高分子粉末などが分散された研磨パッドは、不都合なことに、水溶性高分子粉末の混合に付随する分散性の困難性に悩まされることとなり、研磨工程の進行時のパッド表面の硬度の低下によって研磨速度に変化が生じることとなる。
【0007】
また、均質なウレタン非発泡系(例えば、ローデル社製のIC−2000)の研磨パッドが、表面テクスチャを用いて該パッドに研磨性能を与えるとして言及され得る。しかしながら、このような研磨パッドは、加工対象物の研磨表面にスクラッチが生じるという問題に悩まされることとなり、現在は広く使われていない。さらに、非発泡系の研磨パッドは、研磨時にパッド表面に研磨スラリーを十分保持することが出来ないため、研磨速度の観点から好ましくない。
【0008】
即ち、気孔、気泡、充填材、不織布をブレンド、混合(mixing)、凝固、含浸などによって得られる主な高分子マトリクスのように、所望の弾性と硬度を備え、製造容易性を踏まえてポリウレタンマトリックスを使用するパッドが、研磨パッドとして主に使われてきた。この目的を達成するために、ポリウレタンマトリックスに上記異種物質、気孔又は気泡、或いは化学機械研磨(一般にCMPと略される)プロセスの間、凹部を形成することが出来る異種物質を含むパッドが、商業入手可能であり、種々の半導体材料の平面化工程或いはガラスなどの平面化工程に幅広く使用されている。
【0009】
しかしポリウレタンマトリックスへの気孔又は気泡の包含は、不都合にも、分散の不均一性による密度差の増加につながり、その結果、ロット別の研磨性能の幾らかの違いや、同じロット内でも部位別に密度差が発生し、研磨操作が進行するほど平坦度誤差の増加をもたらす。ポリウレタンマトリクスに水溶性充填材を含むパッドは、研磨スラリーにより気孔及び凹部を形成し、その形成された気孔及び凹部を用いて研磨性能を改善することが知られている。しかしながら、これらパッドは、研磨操作のさらなる進行に伴いパッド硬度が低下し、それにより研磨速度が落ち、そしてパッドが磨耗されてパッドの耐久時間を短くさせるという欠点を有する。
【0010】
他に本出願人から商業入手可能な、均質なウレタンパッドにレーザ形成マイクロ孔を含む研磨パッドが言及され得る。
【特許文献1】米国特許第4,927,432号明細書
【特許文献2】米国特許第5,209,760号明細書
【特許文献3】特許第3013105号明細書
【特許文献4】特開第2000−71168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、本発明は上記問題点の観点からなされたものであり、本発明の目的は、本発明は、上記のような従来のウレタンパッドによって悩まされることとなる問題を打開し、それにより、より安定した研磨を達成するため、ラジカル重合による液状のビニル系モノマーのポリウレタンとの相互浸透ネットワーク構造を有するポリウレタン研磨パッドを提供することであって、前記パッドを熱及びスラリーに対してより安定な状態にし、それにより実施的に研磨操作の実行における摩擦熱及びスラリーの接触の影響を受けず、研磨速度及び摩耗率性能が改善されたポリウレタン研磨パッドを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の別の目的は、異種の充填材や微細成分の添加に付随する最も大きな問題点である分散の不安定性の問題を解決し、また、パッドの摩耗性能を画期的に改善して耐用年数が大幅に延長された研磨パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の局面に従って、上記又は他の目的は、主剤及び硬化剤のうち少なくとも一つに、室温で液状のビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーを添加することによって、前記主剤と硬化剤のポリウレタン重合反応時、前記液状のビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーのラジカル重合で得られるビニルポリマーが、前記ポリウレタンに相互浸透架橋されていることを特徴とする、相互浸透ネットワーク構造を有する気孔/気泡のないポリウレタン研磨パッドの提供によって達成され得る。
【0014】
前記ビニル系モノマーは、少なくとも一つの不飽和基を有する化合物であり、ラジカル触媒を用いてポリウレタン反応と同時に高分子重合の実施がなされる。
【0015】
前記少なくとも一つの不飽和基を有するビニル系モノマーとしては、スチレン、アクリロニトリル、メチルアクリロニトリル、α−メチルスチレン、メチルスチレン及びブチルスチレンなどのビニル系モノマー類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸及びイタコン酸など不飽和モノカルボキシル酸類;メチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート及びイソプロピルメタクリレートなどのアクリレート類が挙げられる。
【0016】
ポリマー中に不飽和基(類)を有するビニル系モノマーの重合に使用される前記ラジカル触媒としては、過酸化物類、過炭酸塩類及びアゾ系化合物が挙げられる。前記ラジカル触媒の具体例として、例えば、ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、プロピルヒドロパーオキシド、イソプロピルヒドロパーオキシド、t−アミル−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾ−ビス−(イソ−ブチロニトリル)及び2,2’−アゾ−ビス−(2−メチルブタン−ニトリル)で構成されるものが言及され得る。
【0017】
一般に、モノマー類のポリマー類への重合化は、重合化温度で半減期が最高1分までであるモノマー類を使用し、該モノマー類は、反応物質の総質量を基準として0.5乃至5質量%の量で使用する。
【0018】
また、ポリウレタンとビニル系モノマーから重合されたポリマーとの架橋を導入することが出来る、フマル酸、イタコン酸、ノルボルネンジカルボン酸などの不飽和ジカルボン酸並びにマレイン酸無水物などを使用して、得られたポリマーのウレタンの一部との結合を導入することが出来る。
【0019】
上記不飽和基(類)を有するビニル系モノマーは、研磨パッドの総質量を基準として0.1乃至80質量%の量で含まれる。
【0020】
上記研磨パッドを形成するポリウレタンは主剤と硬化剤で構成される。本明細書において、上記主剤はポリオールとジイソシアネートとの反応によって製造されるプレポリマーを指し、硬化剤は例えばポリオール類、アミン類、ジオール類及びそれらの混合物などが挙げられ得る活性水素を含有化合物を指す。
【0021】
上記主剤と硬化剤の構成成分として使用可能なポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブ
タジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−エーテルポリオール、ウレア分散ポリオール及びポリマーポリオールからなる群から選択される少なくとも一種のポリオールである。
【0022】
上記ポリオールは1乃至8の官能性、及び好ましくは50乃至20,000、より好ましくは500乃至5,000の分子量を有する。
【0023】
本発明で使用され得るジイソシアネートは、4,4’フェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−又は2,4−トルエンジイソシアネート、カルボジイミド変性フェニルメタンジイソシアネート及び高分子化フェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一種の芳香族ジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一種の脂環族ジイソシアネート、又はこれらの混合ジイソシアネートが挙げられる。
【0024】
本発明で使用され得る硬化剤は、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノビフェニルからなる群から選択される少なくとも一種の芳香族アミン又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチレンプロパン、ソルビトール及びスクロースからなる群から選択される少なくとも一種の多価アルコール類である。
【0025】
本発明の上記ポリウレタン研磨パッドは、1.0乃至1.5g/cm3の密度、30乃
至80ショア(shore) Dの硬度を有する。
【0026】
本発明の上記及び他の目的、特徴、他の有利点は、添付図面を考慮し、以下の詳細な説明より明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0028】
ポリウレタンはイソシアネート基とヒドロキシル基が反応してウレタン基を有する高分子の総称で、様々な応用分野において多様に使用される高分子材料である。本発明で使用し得るポリウレタンは、主として主剤と硬化剤の混合で製造される。ポリウレタンは溶液重合法、バルク重合法などの商業化可能な方法を用いて製造され得る。このうちバルク重合法の一種であるプレポリマー法が、ポリウレタンの製造に適当である。
【0029】
上記主剤として、本発明は、ポリオールとジイソシアネートの反応を経て末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを使用する。ここで、イソシアネート末端プレポリマーは、1乃至8、好ましくは2価の官能性を有する。
【0030】
本発明で使われるポリオールの例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−エーテルポリオール及びウレア分散ポリオール又は高分子化ポリオールなどが言及され得る。
【0031】
上記ポリオールは約50乃至20,000、好ましくは500乃至5,000の重量平均分子量と、1乃至8、好ましくは2価の官能性を有する。上記ポリオールの分子量が50未満の場合、硬度を目的とするレベル上昇させることは容易であるが、反応性の制御が困難であり、増加した粘度が主剤と硬化剤の混合を困難にする。加えて、ポリオールの分
子量が大きくなるほど反応性の制御は容易になるが、それらの硬度を上昇させることが困難となる。従って、硬度と反応性、製造の容易性に関するあらゆる要求に応えるために、上記50乃至5,000範囲の重量平均分子量を有するポリオールの使用が好ましい。
【0032】
本発明に使用されるジイソシアネートとしては、4,4’−フェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,6−又は2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド変性MDIなどの芳香族ジイソシアネート、並びに、1,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート(CHDI)などの脂環族ジイソシアネートが挙げられ得る。加えて両末端にイソシアネート基を有するどんな化合物も、本発明のウレタンプレポリマーを製造に使用し得る。
【0033】
本発明のプレポリマーは、硬化剤を混合することにより硬化させる。硬化剤として、本発明は、プレポリマーの硬度を上昇させるために芳香族アミン類又は多価アルコール類又はそれらの混合物を使用し得、或いは、プレポリマーの硬度を減少させるためにポリオールの混合物を使用し得る。
【0034】
本発明で使用可能な上記芳香族アミンの例としては、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン(MOCA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル及び3,3’ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。上記2以上の官能性を有する多価アルコール類としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチレンプロパン、ソルビトール又はスクロースなどが挙げられ得る。
【0035】
上記硬化剤として使用されるポリオールは、主剤の構成成分として供されるポリオールの中から選択され得、そして主剤の構成成分として使用されたポリオールと同一或いは異なるものであり得、又は、それらの幾つかの組み合わせで使用され得る。
【0036】
上記主剤と硬化剤を製造において、消泡剤及び/又は消泡プロセスを用いて、主剤と硬化剤溶液の溶液から気泡を完全に除去する。この際に使われる消泡剤は特に制限されず、本発明が属する技術分野において通常使われる消泡剤を使用することが出来る。気泡の完全な除去は、気泡のない研磨パッドを提供可能にし、そしてこのように得られた研磨パッドは高密度を有する。
【0037】
気泡が含まれたウレタンマトリクスは、部位別の密度差に悩まされることとなり、これにより、それら密度差に応じて、ロット内又はロット別にパッドの研磨効率が不安定になるという結果となった。しかし、本発明に開示されるように、気泡の完全な除去は、ウレタンマトリクスの夫々の対応する部分間の密度差の発生を防ぐことができ、それゆえ、ロット別又はロット内で一定な密度を有する製品を生産可能とし、架橋されたポリマーにより研磨効率及び研磨速度の改善を達成することも出来る。
【0038】
ラジカル触媒を用いて、不飽和基(類)を有する液状ビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーを、上記主剤と硬化剤からなるポリウレタンマトリクスと重合させ、前記ビニル系モノマーとオリゴマーを前記ポリウレタンマトリクスに相互浸透させ、架橋させる。
【0039】
このために、上記ビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーを、予め上記主剤又は硬化剤と混合する。この場合、混合された主剤と硬化剤はビニルポリマー形成に関するラジカル反応と同時に進行するウレタン反応を経ることとなり、生ずるビニル系ポリマーがポリウレタンに相互浸透し、架橋される。液状のビニル系モノマー又はオリゴマー
を予め主剤又は硬化剤に混合することにより、異種物質のウレタンへの添加などの従来の技術で提示されるような、不均一分散による密度不良、物性の不安定性などを改善することができる。加えて、ウレタン架橋構造及びポリマー架橋構造の形成により、熱とスラリーの溶解性に対してより安定な構造を得ることも出来る。上記ラジカル重合反応は、ポリウレタン反応と同時に起こり、この際に液状のビニル系オリゴマーをさらに添加し得る。
【0040】
本書で用いられる上記ビニル系モノマーは、その中に少なくとも一つの不飽和基を有する化合物であり得る。少なくとも一つの不飽和基を有するビニル系モノマー類の例としては、スチレン、アクリロニトリル、メチルアクリロニトリル、α−メチルスチレン、メチルスチレン及びブチルスチレンなどのビニル系モノマー類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸及びイタコン酸など不飽和モノカルボキシル酸類;メチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート及びイソプロピルメタクリレートなどのアクリレート類が挙げられる。すなわち、本発明で使用可能なビニルモノマー類は、不飽和ビニル系モノマーであれば特に限定されない。
【0041】
不飽和基(類)を有するビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーをポリマーに重合するために使用されるラジカル触媒は、過酸化物類、過炭酸塩類及びアゾ系化合物である。ラジカル触媒の具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、プロピルヒドロパーオキシド、イソプロピルヒドロパーオキシド、t−アミル−2−エチルヘキサノエートなどと2,2’−アゾ−ビス−(イソ−ブチロニトリル)及び2,2’−アゾ−ビス−(2−メチルブタン−ニトリル)が言及され得る。モノマー類のポリマー類への重合化は、通常、重合温度で最長1分の半減期を有するモノマーを使用し、該モノマー類は、反応物質の総質量を基準として、0.5乃至5質量%の量で使用される。
【0042】
また、ポリウレタンと、液状のビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーのラジカル重合により形成されたビニル系ポリマーとの架橋を誘発することが出来る、フマル酸、イタコン酸、ノルボルネンジカルボン酸などの不飽和ジカルボン酸並びにマレイン酸無水物などを使用して、得られたポリマーとウレタンポリウレタンの一部との結合を誘導することも出来る。
【0043】
以下、上記製造されたウレタンを用いる研磨用パッドを作製する方法を説明する。
【0044】
主剤と硬化剤を0乃至150℃の温度で混合する。混合時間は長いほど有利であるが、生産性と反応性の観点から10乃至500秒で十分である。好ましくは反応物を40乃至200秒の範囲内で混合し得る。前記主剤又は硬化剤と不飽和基含有ビニル系モノマー及び所望によりオリゴマーの事前混合後、主剤と硬化剤を混合して、ラジカル誘発重合化と同時にウレタン反応をさせる。混合された反応物を所定形状(通常円形状)を有するモールドに供給し、研磨パッドとして使用可能なポリウレタンブロックを製造する。上記ウレタンブロックを80乃至140℃で24時間熟成して完全に硬化させる。熟成時間及び温度は使用するイソシアネート、ポリオール及びビニル系ポリマーの種類に応じて適宜調整され得る。
【0045】
上記製造されたポリウレタンブロックを、適切な機械的スライス、カット又は研磨を経て、規格要件に合致する研磨パッドを製造する。形成されたビニル系ポリマーがポリウレタンマトリクスと相互浸透架橋されている、気泡や気孔の無い、平坦なウレタンシートが得られると、ポリウレタン表面に通常の方法により、好ましくはレーザ照射を用いてグルーブ及び/又はマイクロ孔を形成加工する。マイクロ孔が10乃至500μmのサイズと
、30乃至2000μmのピッチを有していれば、目的とする表面モルホロジーを達成するのに十分であり、マイクロ孔をパッド方面に均一の形成することが好ましい。CMP工程中に使用されるスラリーの円滑な排出と流入を確保するために、前記パッドはレーザ照射を用いてグルーブを形成する表面加工がなされる。さらに、CMP工程中にパッドが被る衝撃を軽減するために、緩衝パッドを下層に両面接着テープを使用して積層接着することにより最終製品として製造する。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を下記実施例を参照して、より詳細に説明する。これら実施例は本発明の説明のために提示されるものであって、本発明の精神と範囲を限定するべきものではない。
【0047】
例1
本実施例ではビニル系オリゴマーの製造を意図するものである。混合容器にアゾビスイソブチロニトリル0.2質量%と、スチレンとアクリロニトリルの70:30の混合物 44質量%を加えた後、連鎖移動溶媒としてイソブチルアルコール12質量%を加えた。その後、反応容器に連鎖移動溶媒としてキシレン43.6質量%とラジカル触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを0.2質量%を加えた。
【0048】
混合容器の混合物を加えた反応容器から、湿気を気相内で2時間除去し、ポリマー重合させた。混合物の投入完了後、反応容器を同様の条件で1時間熟成した。ビニル系モノマーの熟成完了後、残存する未反応のスチレンとアクリロニトリルモノマーを減圧下で除去した。
【0049】
このように得られたビニル系オリゴマーは、分子量50,000未満、粘度20,000cps/50℃を有する液状のスチレン−アクリロニトリル コオリゴマーであり、液体のような流動性を示した。
【0050】
例2
容器にポリエーテルポリオール(官能性=2、Mw=1000)100gを投入した後、そこに4,4’−フェニルメタンジイソシアネート(MDI)を51.2g投入した。2液が混合された反応容器の温度を80℃に上昇させ、混合物を撹拌しながら3時間反応させ、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(主剤#1)を製造した。
【0051】
容器に4,4’−メチレンビス(O−クロロアニリン)300gを投入し、そこにポリエーテルポリオール100gを投入した。この際の混合容器の温度を、130℃を超えない範囲に維持した。その後、3時間以上混合して消泡工程を実施し、溶液から残存する気泡を完全に除去して硬化剤(硬化剤#1)を製造した。得られた硬化剤を、例1で合成したスチレン−アクリロニトリル コオリゴマー:スチレンモノマー:アクリロニトリル(50g:50g:50g)と混合した。
【0052】
上記製造された主剤と硬化剤を、ウレタン反応当量比率1:1で80℃で混合した後、得られた混合物を鍋型のオープンモールドに入れた。主剤と硬化剤の混合の直前にラジカル重合のための開始触媒としてベンゾイルパーオキシド0.1gを硬化剤に投入した。混合は1分間1000rpmで進行した。30分後モールドから脱型した後、熟成のために80℃で24時間放置して完全に反応させた。
【0053】
製造されたポリウレタンの密度は1.145g/cm3、ショアD硬度70Dであった
。このように製造されたポリウレタンブロックを20インチ片に切断し、レーザ照射によってその表面にマイクロ孔(孔サイズ:180μm、ピッチ(pitch):30μm)
とグルーブを形成する加工を施した。その後両面テープを用いる積層接着により、緩衝パッドを研磨パッドの裏面に貼り付け、最終パッド製品を製造した。
【0054】
図1は、上述の通り製造されたポリウレタン研磨パッドのSEM写真を示したものである。図1から見られるように、上述の方法は、ビニル系モノマー及びオリゴマーとポリウレタンマトリクスの相互浸透ネットワーク構造を有するとともに、その他の気孔や気泡が生成されないことが確認された研磨パッドを提供する。
【0055】
上記製造された研磨パッドを性能試験に供した。化学機械的研磨(CMP)工程を、CMPツール(IPEC−472、IPEC社より入手可能)並びにCMPスラリーとしてシリカスラリー(スタープラナー(Starplanar)−4000、第一毛織製造(Cheil Industries Inc.、韓国))を使用し、流量は200ml/分、研磨荷重7psi、研磨パッドの回転数46rpm、ウェハの回転数38rpmで実施した。
【0056】
上記のようにして、ウェハ内均一性、平均研磨速度、研磨スクラッチ量及び摩耗率を測定した。得られた結果を下記の表1に表す。また研磨パッドの熱安定性及びスラリー溶解性も試験した。得られた結果をそれぞれ図2及び図3に図示した。
【0057】
例3
主剤を製造するために、容器にポリエーテルポリオール(官能性=2、Mw=1000)100gを投入した後、MDI51.2gを投入した。二溶液が混合された反応溶液の温度を80℃で3時間、撹拌しながら維持し、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造した。
【0058】
硬化剤を製造するために、容器に4,4’−メチレンビス(O−クロロアニリン)300gを投入し、そこにポリエーテルポリオールを100g投入した。この際の混合容器の温度を130℃を超えない範囲に維持した。その後、3時間以上混合して消泡工程を実施し、溶液から残存する気泡を完全に除去し、硬化剤を製造した。本実施例では液状のスチレンモノマー200gを混合した。
【0059】
上記製造された主剤と硬化剤を、ウレタン反応当量比率1:1で80℃で混合した後、得られた混合物を鍋型のオープンモールドに注入した。主剤と硬化剤の混合直前に、ラジカル重合の開始触媒としてベンゾイルパーオキシド0.1gを硬化剤に投入した。反応物を1000rpmで1分間混合した。反応生成物を30分後にモールドから脱型した後、熟成のために80℃で24時間放置して完全に反応させた。
【0060】
このように製造されたポリウレタンは、密度1.14g/cm3、ショアD硬度68D
を有していた。このように製造されたポリウレタンブロックを20インチ片に切断し、レーザ照射を用いて、その表面にマイクロ孔(孔のサイズ:180μm、ピッチ:300μm)を形成する加工を施した。その後両面テープを用いる積層接着により、緩衝パッドを研磨パッドの裏面に貼り付け、最終パッド製品を製造した。
【0061】
このようにして製造した研磨パッドの、ウェハ研磨性能及びスラリー溶解性を、例2と同じ方法で試験した。得られた結果を表1及び図3に夫々示す。
【0062】
比較例1
主剤を製造するために、容器にポリエーテルポリオール(官能性=2、Mw=1000)100gを投入した後、そこにMDI51.2gを投入した。二溶液が混合された反応容器を80℃で3時間、攪拌しながら維持し、両末端にイソシアネート基を有するプレポ
リマーを製造した。
【0063】
硬化剤を製造するために、容器に4,4’−メチレンビス(O−クロロアニリン)300gを投入し、ポリエーテルポリオールを100g投入した。この際の混合容器の温度を130℃を超えない範囲に維持した。その後、3時間以上混合して消泡工程を実施し、溶液から残存する気泡を完全に除去して硬化剤を製造した。本比較例には液状のビニル系モノマー及び/又はオリゴマーから形成されたポリマーが含まれていない。
【0064】
この際に製造されたポリウレタンは、密度1.145g/cm3、ショアD硬度68D
を有していた。このように製造されたポリウレタンブロックを20インチ片に切断し、レーザ照射を用いてその表面にマイクロ孔(孔のサイズ:180μm、ピッチ:300μm)を形成する加工を施した。その後両面テープを用いる積層接着により、緩衝パッドを研磨パッドの裏面に貼り付け、最終パッド製品を製造した。
【0065】
上記製造された研磨パッドのウェハ研磨性能を例2と同じ方法で試験した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
比較例2
ポリエーテル系プレポリマー(アジプレンL−325、NCO含量2.2meg/g、ユニロイヤル社より入手可能)500質量部及びエクパンセル(Expancel)551DE(塩化ビニリデンとアクリロニトリルの共重合体からなる中空微小球体)13gを容器内で混合して、続いて減圧下で消泡化した。その後、120℃で事前溶融させた4,4’−メチレンビス(O−クロロアニリン)145gを撹拌しながら添加して混合物を得た。得られた混合物を約1分間攪拌した後、鍋型のオープンモールドに注入し、オーブンで100℃で6時間熟成して、ポリウレタンマイクロフォームブロック(セル直径:40μm)を得た。得られたポリウレタンマイクロフォームブロックは、密度0.75g/cm3を有していた。この比較例は、レーザ工程を用いたマイクロ孔形成を含まない。
【0067】
上記製造された研磨パッドのウェハ研磨性能、スラリー溶解性及び熱安定性を、例2と同じ方法で試験した。得られた結果を表1、図2及び図3に夫々表す。
【0068】
平均研磨速度
平均研磨速度の評価のために、熱酸化膜が1μm厚さに蒸着された8インチシリコンウェハを例2と同じ研磨条件で研磨して、1分当りの平均研磨速度を測定した。
【0069】
ウェハ内均一性
ウェハ内均一性の評価のために、熱酸化膜が1μm蒸着された8インチシリコンウェハを例2と同じ研磨条件で1分間研磨して、98ヶ所でウェハ内厚さを測定した。これら測定値に基づいて、ウェハ内均一性を以下の式に従って算出した。
【0070】
ウェハ内均一性(%)={(最大膜厚さ−最小膜厚さ)/(2×平均膜厚さ)}×100
【0071】
スクラッチ
スクラッチの評価のために、熱酸化膜が1μm蒸着された8インチシリコンウェハを例2と同じ研磨条件で1分間研磨し、洗浄、乾燥した。その後、KLA(モデル:KLA2112、ケーエルエーテンコル社より入手可能)でウェハ1枚に生じたマイクロスクラッチの数を測定した。より少ないスクラッチ数であるほど、より高い研磨パッド品質を表し、研磨パッドの商業的要件に対して、スクラッチの数は500個を超えるべきではない。
【0072】
摩耗量の測定
摩耗量の評価のために、テーバー磨耗試験機(Taber Abrasion Tester)を使用し、摩耗輪H−22、2×500g荷重、100rpm、2000回転で
、試験試料の摩耗深さを測定した。より低い摩耗性能であるほど、より深い磨耗深さとなる。
【0073】
熱安定性試験
熱安定性試験のために、DMA(Dynamic Mechanical Analysis)を使用して、機械的振動1Hzで、研磨パッドの温度による粘弾性挙動を測定した。得られた結果を図2に示す。
【0074】
スラリー溶解性試験
本目的のために、例2及び3並びに比較例1及び2で製造されたパッドをスラリーに含浸させ、時間に対する硬度減少量をした。得られた試験結果を図3に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
上記表1に表した通り、本発明によって得られた研磨パッドは比較例2に比べてより高い硬度と密度を示し、平均研磨速度、ウェハ内均一性及びスクラッチにおいて優れた値を示し、比較例1、2に比べて顕著に優れた、摩耗性能を示したことが分かる。
【0077】
これらの結果から、研磨パッド内に気泡を有さず、ビニル系モノマー及び所望によりオリゴマーのラジカル重合により形成されたビニル系ポリマーとポリウレタンマトリクスの相互浸透ネットワーク構造の均一な分布のため、本発明の研磨パッドは、改善された研磨速度とウェハ内均一性、並びに顕著に優れた摩耗性能をもたらし、それによりパッドの耐用年数を引き伸ばすだけでなく、研磨中のパッドの摩耗によるスクラッチ生成をも抑制される。
【0078】
図2は、本発明の例2並びに比較例1及び2により製造された研磨パッドの温度による弾性率の減少を示すDMA(動的機械分析)グラフである。図2に表した通り、比較例1及び2の研磨パッドは、温度20℃まで弾性率を一定の値に保持するが、その温度以後は、徐々に弾性率の減少を示すことが見られた。一方、本発明の例2で製造された研磨パッドは、温度による弾性率の変化を実質的に示さなかった。
【0079】
図3は、上記例2及び3並びに比較例1及び2で製造された研磨パッドのスラリーへの含浸における、時間による硬度変化を示すグラフである。図3に表した通り、本発明の研磨パッドは、スラリー含浸による硬度の低下が少ないため、結果として、スラリーとの接触による硬度の低下による、研磨効率の低下が少ないことを示した。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、研磨パッドのマトリクスとして使用されるポリウレタンと、ラジカル重合により形成されたビニル系ポリマーの相互浸透ネットワーク構造によって、熱及びスラリー
との接触による硬度の変化を最小限にすることにより、CMP工程中の摩擦熱及びスラリー接触による研磨速度の変化が実質上みられない研磨パッドを提供する。さらに、液状のビニル系モノマー及び所望によりオリゴマーの使用が、異種の物質を混合時に通常見られる分散不良や密度差の発生に帰着せず、分子構造の観点からみてそれらの均一な分散性によって安定した製品の製造を可能にする。さらに、本発明によって、ポリウレタンマトリクスと、ラジカル重合により形成されたビニル系ポリマーの相互浸透ネットワーク構造が、研磨速度と平坦性の改善や、パッドの摩耗性能の画期的な改善につながり、それにより、パッドに耐用年数の延長をもたらす。
【0081】
本発明の好ましい実施態様は例証目的のために開示されているものの、添付の請求の範囲に開示される本発明の範囲と精神から離れることなく、様々な変更、付加及び置き換えが可能であることが当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、倍率500X(1a)、100X(1b)で撮影した、本発明の例1のポリウレタン研磨パッドのSEMを表す写真である。
【図2】図2は、本発明の例2、比較例1及び2で製造した研磨パッドの温度に対する粘弾性の測定結果を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の例2及び3、比較例1及び2で製造された研磨パッドのスラリーとの含浸における、時間による硬度変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤及び硬化剤のうち少なくとも一つに、室温で液状のビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーを添加することによって、前記主剤と硬化剤のポリウレタン重合反応時、前記液状のビニル系モノマー及び所望によりビニル系オリゴマーのラジカル重合で得られるビニルポリマーが、前記ポリウレタンに相互浸透架橋されていることを特徴とする、相互浸透ネットワーク構造を有する気孔/気泡のないポリウレタン研磨パッド。
【請求項2】
前記ビニル系モノマー及びビニル系オリゴマーが、少なくとも一つの不飽和基を有することを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記少なくとも一つの不飽和基を有するビニル系モノマーが、スチレン、アクリロニトリル、メチルアクリロニトリル、α−メチルスチレン、メチルスチレン及びブチルスチレンなどのビニル系モノマー類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸及びイタコン酸などの不飽和モノカルボン酸;及び、メチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート及びイソプロピルメタクリレートなどのアクリレート類からなる群から選択される少なくとも一種のモノマーであることを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記ラジカル重合に使用されるラジカル触媒が、ベンジルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、プロピルヒドロパーオキシド、イソプロピルヒドロパーオキシド、t−アミル−2−エチルヘキサノエート及び2,2’−アゾ−ビス−(イソ−ブチロニトリル)及び2,2’−アゾ−ビス−(2−メチルブタン−ニトリル)からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記パッド中の前記ビニル系ポリマーの含量が、研磨パッドの総質量を基準として0.1乃至80質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨パッドが、1.0乃至1.5g/cm3の密度、30乃至80ショアDの硬度を
有することを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記主剤が、ポリオールのジイソシアネートとの重合により生成されるプレポリマー或いはイソシアネートであることを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−エーテルポリオール、ウレア分散ポリオール及びポリマーポリオールからなる群から選択される少なくとも一種のポリオールであることを特徴とする、請求項7に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記ポリオールは1乃至8の官能性、及び、50乃至20,000の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項7に記載の研磨パッド。
【請求項10】
前記ジイソシアネートが、4,4’−フェニルメタンジイソシアネート、2,6−又は2,4−トルエンジイソシアネート、カルボジイミド変性フェニルメタンジイソシアネート及び高分子化フェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一種の芳香族ジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一種の脂環族ジイソシアネート、又はそれらの混合ジイソシアネー
トであることを特徴とする、請求項7に記載のポリウレタン研磨パッド。
【請求項11】
前記硬化剤が、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル及び3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルからなる群から選択される少なくとも一種の芳香族アミン、又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチレンプロパン、ソルビトール及びスクロースからなる群から選択される少なくとも一種の多価アルコールであることを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項12】
前記ポリウレタン研磨パッドの表面が、レーザ照射によってグルーブ及び/又はマイクロ孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−501648(P2009−501648A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522701(P2008−522701)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002826
【国際公開番号】WO2007/011158
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(506183111)エスケーシー カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】