ポリエステルフィルム

その表面上に熱シール性層を有するポリマー材料の基材層を含み、前記熱シール性層が少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸及び1種又は複数のグリコールのコポリエステルを含み、前記熱シール性層の厚さが約0.3から約3μmの範囲にあり、熱シール性層が1種又は複数のワックスを含む熱シール性可剥性共押出複合ポリマーフィルムが記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特に、調理済みオーブン用食品の容器の包装として使用するのに適する多層ポリマーフィルムに関する。特に、本発明は、容器に熱シールでき、容器からひき剥がすことができる多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器は、食品包装などの包装適用分野において、また特に、コンビニエンス食品、例えば、マイクロ波オーブン又は従来のオーブン又はいずれかで加温することができる調理済みオーブン用食品を包装するのにますます多く用いられている。マイクロ波オーブン又は従来のオーブンのいずれかにおける使用に適する容器は、一般に「デュアルオーブン用」と呼ばれる。しばしば、プラスチック容器は、APET/CPETトレー(結晶質ポリエチレンテレフタラート層の上に非晶質ポリエチレンテレフタラート層を有する複合材料)である。ポリスチレン及びポリプロピレン容器も用いられている。プラスチック容器は一般に、保存中に包装内容物の漏れ及び乾燥を防ぐために容器を密閉する蓋と共に用いられる。さらに、蓋は、包装内容物に付着してはならず、オーブン中で発生した熱に耐えることができるべきである。そのような容器の蓋は、二軸配向ポリエステルフィルム及び熱シール性コーティング層などの柔軟なポリマー基材を含む「蓋用フィルム(lidding film)」としばしば呼ばれる多層フィルムを通常含む。
【0003】
蓋用フィルムを用いた密閉容器の製造は、蓋用フィルムと容器との間のシールの形成を必要とする。このシールは、蓋を容器の上部にのせ、蓋が容器の表面に付着し、蓋と容器との間の有効なシールを形成するようにシール性コーティング層を軟化又は溶融するために熱及び圧力を加えることにより形成される。シールは、内容物の漏れを防ぐのに十分に強くなければならない。フィルム蓋は、消費者が容器からひき剥がすことができるものであるべきであり、そのような場合には、シールは内容物の漏れを防ぐのに十分に強くなければならないが、蓋を開けなければならないときに、強すぎて蓋を取り除く困難をもたらすほどであってはならない。特に、蓋は、ひき剥がし時に裂けて、フィルム蓋の一部が容器の内容物中に落ちて食品を損なうことをもたらすものであってはならない。強いシール及び易ひき剥がし特性、すなわち、完全なひき剥がしは、低温、例えば、周囲温度と、高温、例えば、オーブン中で包装食品内容物の加熱後との両方で必要である。
【0004】
さらに、シールすべき容器中の食品を処理する場合、食品からの固体若しくは液体又は他の汚染物質が蓋用フィルムでシールすべき容器のへりの上面と接触し、留まる可能性がある。これは、容器と蓋との間の不十分なシール特性と最終的に包装全体の弱さをもたらす。この点で十分な機能を果たす、すなわす、蓋と容器との間の汚染物質の存在にもかかわらず良好なシール特性を示すフィルムは、良好な「汚染を介するシール(seal through contamination)」を示すと言われており、これは、これらの熱シール性蓋用フィルムのさらなる望ましい特性である。従来の蓋用フィルムにおいては、この問題は、経済的に不利である、熱シール性層の厚さを、例えば、約25μm又はそれ以上に増加させることによって一般に対処されている。
【0005】
さらなる望ましいシール特性は、良好な「熱間粘着性(hot tack)」接着という特性である。この特性は、加熱され、軟化した(又は融解した)熱シール性フィルムがシールすべき表面と接触したときに熱シール結合が形成される速度を本質的に評価するものである。したがって、熱間粘着性接着は、熱結合シール強さという特性に本質的に対応するが、熱シール結合が開始した後、はるかに短い期間(一般に0.1秒)の後に測定される。熱シール結合強さは、熱シール結合が完全に形成された後で、一般に熱シール結合が周囲温度に冷却された後に測定され、「冷間熱シール結合強さ」と呼ぶことができる。良好な熱間粘着性接着は、迅速、効果的且つ信頼できる包装のために重要である。さらに、包装する食品が十分にかさばり、容器のへりより上にはみ出るような状況においては、迅速な熱シール結合の形成が望ましい。一般に、熱間粘着性接着は、冷間熱シール結合強さにほぼ比例するが、熱間粘着性接着を最大限にすることは望ましいが、熱間粘着性接着があまりにも高い場合、冷間熱シール結合強さが強すぎて容易且つきれいなひき剥がしができないことがある。一般に、熱間粘着性接着は、熱シール性ポリマーの分子量が増大すると増大する。多くの熱可塑性ポリマーは、異なる温度及び粘度であるが、ある程度の熱間粘着性接着を示す。
【0006】
多くの従来技術の蓋用フィルムにおいて、熱シール性層は、有機溶媒又は水性分散系若しくは溶液を用いて基材に適用されている。有機溶媒の使用は、使用時に有害、危険であるため、或いは有毒で、環境に対して有害であるため、一般に不都合である。さらに、このようにして作られたフィルムは、しばしば残留量の溶媒を含み、したがって、食品と接触する適用分野における使用に適さない可能性がある。そのような溶媒はフィルム製造時に用いる通常の巻き取り操作中にフィルムの固着又は粘着を引き起こすことがあるので、有機溶媒の使用は通常「オフライン」コーティングステップ、すなわち、基材の製造時に用いる延伸及びその後の熱硬化操作の後のコーティングステップを必要とする。水性分散系又は溶液の使用(例えば、特許文献1の方法を参照)は、実質的な量の有機溶媒の使用を避けるものであり、より効率の高い「インライン」コーティング法、すなわち、コーティング層をフィルム基材を伸ばす前又は二軸延伸法の延伸ステップの間に適用するコーティング法の使用を可能にするが、水に可溶性又は十分に分散性のコーティング組成物に限定される。インライン法は、オフラインコーティング工程、特にオフライン溶媒コーティング工程で遭遇するさらなる加熱又は乾燥ステップの使用を避ける。これらの工程は、フィルムをもろくし、引張特性を低下させることがありうる。したがって、一般にインラインコーティングフィルムは、優れた機械的特性を有する。
【0007】
熱シール性フィルムは、他のインラインコーティング法によっても製造されている。例えば、縦及び横方向延伸操作の間に押出コーティング法(「延伸間」コーティング)を用いたポリオレフィン基材上へのポリオレフィン材料の適用が開示されている(例えば、特許文献2参照)。熱シール性フィルムを製造するためのポリエステル基材上へのポリオレフィンのインライン延伸間押出コーティングの方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。熱シール性可剥性フィルムを得るためのポリプロピレン基材上へのエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーの延伸間押出コーティングの方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】国際公開第96/19333号パンフレット
【特許文献2】英国特許第2024715号明細書
【特許文献3】英国特許第1077813号明細書
【特許文献4】米国特許第4333968号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0408197号明細書
【特許文献6】米国特許第5925428号明細書
【特許文献7】米国特許第5882798号明細書
【特許文献8】欧州特許第0680409号明細書
【特許文献9】欧州特許第0429179号明細書
【特許文献10】欧州特許第0408197号明細書
【特許文献11】欧州特許第0576179号明細書
【特許文献12】国際公開第97/37849号パンフレット
【特許文献13】欧州特許第0696516号明細書
【特許文献14】米国特許第5888635号明細書
【特許文献15】米国特許第5663030号明細書
【特許文献16】欧州特許第0289162号明細書
【特許文献17】欧州特許第0349141号明細書
【特許文献18】欧州特許第0111819号明細書
【特許文献19】英国特許出願公開第22803432号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第0563442号明細書
【特許文献21】英国特許出願公開第2250408号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の問題の1又は複数に対応し、調理済みオーブン用食品向きに改善され、より経済的包装手段を提供することが本発明の目的である。調理済みオーブン用食品の包装手段として使用するのに適する熱シール性且つ可剥性フィルムを提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、熱シール性可剥性共押出複合ポリマーフィルムであって、その表面上に熱シール性層を有するポリマー材料の基材層を含み、
(i)上記熱シール性層が少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸及び1種又は複数のグリコールのコポリエステルを含み、
(ii)上記熱シール性層の厚さが約0.3から約3μmの範囲にあり、
(iii)熱シール性層が1種又は複数のワックスを含む
ことを特徴とする熱シール性可剥性共押出複合ポリマーフィルムを提供する。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、ポリマー基材と熱シール性層を共押出しするステップを含み、
(i)上記熱シール性層が少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸及び1種又は複数のグリコールのコポリエステルを含み、
(ii)上記熱シール性層の厚さが約0.3から約3μmの範囲にあり、
(iii)熱シール性層が1種又は複数のワックスを含む
ことを特徴とする熱シール性可剥性複合ポリマーフィルムを製造する方法を提供する。
【0012】
本発明のフィルムは、熱シール層の厚さが薄いにもかかわらず驚く程の高い熱間粘着性接着強さを示す。適切な熱間粘着性接着強さがそのような薄い熱シール層によって達成することができることは驚くべきことである。さらに、同様な熱シール性ポリマーが溶媒コーティング経路により基材上に処理されているフィルムと比較したとき、それに対応して適切な熱シール結合強さがより薄い熱シール性層で達成されることは驚くべきことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
トレー充填及び蓋取付ライン上での使用中のフィルムの良好な性能を保証するために、フィルムの熱間粘着性接着を調節することができる。充填ライン上で良好な熱間粘着性を示すフィルムは、少なくとも3ニュートン、好ましくは少なくとも4ニュートンであるが、好ましくは約5ニュートンを超えず、好ましくは約3から約5ニュートンまでの範囲内の本明細書の下文に記載するように測定される好ましい熱間粘着値を有する。
【0014】
本明細書に記載する複合フィルムは、熱シール性可剥性フィルムである。本明細書で用いるように、「熱シール性可剥性フィルム」という用語は、加熱下で表面へのシールを形成することができ、フィルムの破損を伴わずにシールを破壊できるフィルムを意味する。本明細書に記載するフィルムの可剥性特性は、高シール強度又は「溶接性」フィルムとの相違点である。
【0015】
本発明の複合フィルムは、一般的なAPET/CPETトレーのAPET側にシールを施すときに約200から約1400g/25mmまでの範囲、好ましくは約200から約1000g/25mmまでの範囲、より好ましくは約400から約900g/25mmまでの範囲の熱シール強度(周囲温度での)を一般に示す。フィルムのそれ自体への一般的な熱シール強度は、約200から約700g/25mmまでの範囲、好ましくは約400から約600g/25mmまでの範囲にある。
【0016】
本明細書に記載するように測定されるフィルムの収縮は、機械寸法及び/又は横方向寸法で、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満、最も好ましくは2%未満である。フィルム製造の延伸及び熱硬化ステップ中の工程パラメーターを変化させることよる最終フィルムの収縮を制御する方法は、当業者によく知られている。
【0017】
複合フィルムの各層については、以下でより詳細に説明する。
【0018】
基材層は、支持体の非存在下で独立して存在することができるフィルム又はシートであることを意味する自己支持フィルム又はシートである。基材層は、フィルム形成熱可塑性ポリマー材料を含むことが好ましい。フィルム形成高分子樹脂は、基材の主成分であり、基材の総重量の重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%を占める。適切な材料としては、エチレン、プロピレン及びブト−1−エンなどの1−オレフィンのホモポリマー又はコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(コポリエステルを含む)、PVC、PVA、ポリスチレン、ポリアクリレート、セルロース並びにナイロン(ナイロン6及びナイロン6,6を含む)などがある。特に好ましいものは、ポリエステル材料、及び特に合成線状ポリエステルである。基材層に有用な合成線状ポリエステルは、1種又は複数のジカルボン酸又はそれらの低級アルキルジエステル、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−若しくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸又は1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(ピバル酸などの場合によってモノカルボン酸との)を1種又は複数のグリコール、特に脂肪族又は環状脂肪族グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールと縮合させることによって得ることができる。芳香族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族グリコールが好ましい。好ましい実施形態において、基材層は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、又は主要な繰返し単位がテレフタル酸エチレンであるコポリエステルを含む。
【0019】
基材層は、基材層の50重量%のレベルまでの、また基材層の好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%のリサイクル材料を含んでいてもよい。「リサイクル材料」については、我々は本発明の複合フィルムからなる廃棄材料を意味し、そのような廃棄材料は、当技術分野でよく知られているように、端の切り取り(一般にフィルムの製造中にテンタクリップにより保持されているフィルムの端部分)から、フィルムをその縦方向寸法に沿って細長く切った後に残された過剰のフィルムから、始動フィルム(すなわち、製造操業の始動時に製造されたフィルム)から、又は他の理由のために不合格となったフィルムから得ることができる。リサイクル材料が熱シール性層からのワックスを含むことを考慮すると、リサイクル材料を、フィルム製造工程上の問題を引き起こさずにそのような高い割合で基材層に用いることができることは驚くべきことである。
【0020】
基材は、上記のフィルム形成材料の1又は複数の別個の共押出層を含んでいてもよい。各層のポリマー材料は、同じ又は異なっていてもよい。例えば、基材は1、2、3、4又は5又はそれを超える層を含んでいてよく、一般的な多層構造はAB、ABA、ABC、ABAB、ABABA又はABCBA型のものであってよい。基材は1の層を含むことが好ましい。
【0021】
熱シール性層は、容器の表面への熱シール結合を形成することができる。熱シール性層は、主としてコポリエステル材料を含み、それを結合させる表面にそれが接着するのに十分な濡れをもたらすほどにその粘度が低くなる十分な程度まで軟化する。熱シール結合は、フィルム中の他の層を融解させずに、熱シール性層のコポリエステル材料を加熱して軟化させ、圧力を加えることによって生じさせる。したがって、熱シール性層のコポリエステルは、基材のポリマー材料の融解温度より低い温度で熱シール結合を形成させることができるような温度で軟化し始めるべきである。1の実施形態において、熱シール性層のコポリエステルは、基材のポリマー材料の融解温度より約5から50℃低い、好ましくは約5から30℃低い、好ましくは少なくとも約10℃低い温度で熱シール結合を形成させることができるような温度で軟化し始めるべきである。
【0022】
熱シール性層は、少なくとも1種(及び好ましくは1種のみ)の芳香族ジカルボン酸及びなくとも1種(及び好ましくは1種のみ)の脂肪族ジカルボン酸(又はそれらの低級アルキル(すなわち最大14個の炭素原子)ジエステル)と1種又は複数のグリコールから得られたコポエリエステル樹脂を含む。コポリエステルの形成は、一般に275℃までの温度で縮合又はエステル交換により既知の方法で都合よく達成される。コポリエステル樹脂は、熱シール性層の主成分であり、コポリエステルは熱シール性層の総重量の重量で少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%を占める。
【0023】
好ましい芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,5−、2,6−若しくは2,7−ナフタレンジカルボン酸などがあり、好ましくは芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸である。
【0024】
好ましい脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸又はピメリン酸などの一般式Cn2n(COOH)2[式中、nは2から8である]の飽和脂肪族ジカルボン酸であり、好ましくはセバシン酸、アジピン酸、及びアゼライン酸であり、より好ましくはアゼライン酸である。
【0025】
好ましいグリコールは、脂肪族又は環状脂肪族グリコールであり、好ましくは脂肪族グリコールであり、より好ましくはアルキレングリコールである。したがって、適切なグリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジオールなどの環状脂肪族ジオールなどが挙げられる。エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0026】
コポリエステル中に存在する芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として、好ましくは約90モル%以下、好ましくは約80モル%以下であり、好ましくは45から80モル%まで、より好ましくは50から70モル%まで、特に55から65モル%までの範囲にある。コポリエステル中に存在する脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として、好ましくは少なくとも約10モル%、好ましくは少なくとも約20モル%であり、好ましくは20から55まで、より好ましくは30から50まで、特に35から45モル%までの範囲にある。そのようなコポリエステルの特に好ましい例は、(i)アゼライン酸及びテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステル、(ii)アジピン酸及びテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステル、並びに(iii)セバシン酸及びテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはブチレングリコールとのコポリエステルである。好ましいポリマーとしては、−40℃のガラス転移点(Tg)及び117℃の融点(Tm)を有するセバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコールのコポリエステル(45〜55/55〜45/100、より好ましくは50/50/100の相対モル比の成分を有することが好ましい)並びに−15℃のTg及び150℃のTmを有するアゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコールのコポリエステル(40〜50/60〜50/100、より好ましくは45/55/100の相対モル比の成分を有することが好ましい)などがある。
【0027】
好ましくは、熱シール性層のコポリエステルのTgは、約20℃以下、好ましくは約10℃以下、好ましくは約0℃以下、好ましくは約−10℃以下である。1の実施形態において、熱シール性層のコポリエステルの融点Tmは、好ましくは約160℃以下、好ましくは約150℃以下、より好ましくは約140℃以下である。
【0028】
熱シール性層は、1種又は複数のワックスを、一般に1種類のみのワックスを含む。ワックスは、天然又は合成ワックスであってよく、好ましくは少なくとも50℃の融点を有する。天然ワックスは、好ましくは植物性ワックス(カルナウバワックスなど)又は鉱物性ワックス(モンタンワックス及びオゾケライトなど)である。パラフィンワックス(直鎖炭化水素を含む高度に精製された低分子量ワックス)も用いることができる。合成ワックスの例としては、フィッシャー−トロプシュワックス(石炭ガス化により生産され、約300から約1400g/モルの範囲の分子量を有する)並びに酸化及び非酸化(好ましくは酸化)低分子量ポリエチレンワックス(約500から約3000g/モルの範囲の分子量を有する)並びに対応するポリプロピレンワックスなどがある。しかし、好ましいクラスのワックスは、アミドワックスである。アミドワックスは、熱シール性層のベースコポリエステルと一般に不混和性である。アミドワックスは、オレアミド及びエルカアミドなどの第一級、第二級、第三級又はビス(脂肪)アミドであってよい。各種のものの例としては、エルカアミド、ベヘンアミド、オレアミド又はステアラミドなどの第一級脂肪アミド、ステアリルエルカアミド、エルシルエルカアミド、オレイルパルミトアミド、ステアリルステアラミド又はエルシルステアラミドなどの第二級脂肪アミド、ジメチルステアラミド又はジエチルステアラミドなどの第三級脂肪アミド、及びN,N’−エチレンビス(ステアラミド)、N,N’−メチレンビス(ステアラミド)、N,N’−プロピレンビス(ステアラミド)、N,N’−エチレンビス(オレアミド)、N,N’−メチレンビス(オレアミド)又はN,N’−プロピレンビス(オレアミド)などのN,N’−ビス(脂肪)アミドなどがある。好ましくは、ワックスは、N,N’−ビス(脂肪)アミドから、より好ましくはN,N’−エチレンビス(オレアミド)及びN,N’−エチレンビス(ステアラミド)から選択される。ワックスは、上で言及した熱シール性層を含む複合フィルムの共押出しによる製造の助けとなる。
【0029】
好ましい実施形態において、ワックスは、熱シール性層の総重量の約0.1から約3重量%、好ましくは約0.5から約3重量%、好ましくは2重量%以下、一般に約1から約2重量%のレベルで存在する。
【0030】
複合フィルムに厚さは、好ましくは約5から300μm、より好ましくは約5から100μm、好ましくは約5から約50μm、好ましくは約10から30μmであり、一般に厚さが約12から約25μmである。基材層は、熱シール性層より著しく厚い。熱シール性層の厚さは、約0.3から約3μm、好ましくは約0.4μmから約2μm、より好ましくは約0.5から約1.5μm、より好ましくは約0.5から約1.0μm、より好ましくは約0.5から約0.9μm、最も好ましくは約0.5から約0.7μmである。約0.3μm未満、より一般に約0.5μm未満の厚さを有する熱シール性層は、不十分な熱間粘着及び冷間熱シール強さの接着を示す。約3μm超、より一般に約1.5μm超、より一般に約1m超の厚さを有する熱シール性層は、強すぎる熱シール結合強さを示し、フィルムが熱シールされていた容器からフィルムをひき剥がすときにフィルムの切れを引き起こす。
【0031】
複合シートは、好ましくは14から26Kg/mm2の範囲の極限引張強さ(UTS)を有する。
【0032】
複合体の形成は、当技術分野でよく知られている従来の押出技術により、下記の手順に従って達成される。一般的用語において、押出法は、溶融ポリマーの1又は複数の層を押出しするステップと、押出物をクエンチするステップと、クエンチ押出物を少なくとも1の方向に配向させるステップとを含む。
【0033】
フィルムは、一軸配向させてもよいが、好ましくは二軸配向させる。配向は、配向フィルムを製造するための当技術分野で知られている方法、例えば、チューブラー又はフラットフィルム法により達成される。二軸配向は、機械的及び物理的特性の満足のいく組合せを実現するためにフィルムの面内の2つの相互に垂直な方向に引張ることにより達成される。チューブラー法においては、同時二軸配向は、熱可塑性プラスチックチューブを押出し、その後クエンチし、再加熱し、次いで、内部ガス圧力により拡張させて横方向配向をもたらし、ある速度で引き出して縦方向配向をもたらすことによって達成することができる。
【0034】
好ましいフラットフィルム法においては、フィルム形成ポリマーをスロットダイを通して押出し、ポリマーが非晶質状態にクエンチされることを保証するために、クエンチキャスティングドラム上で急速にクエンチする。次いで、クエンチ押出物を基材ポリエステルのガラス転移温度を上回る温度で少なくとも1の方向に延伸することにより、配向が達成される。連続的配向は、平らなクエンチ押出物を最初に1の方向、通常縦方向、すなわち、フィルム延伸機を通して前方に、次いで横方向に延伸することにより達成することができる。押出物の前方延伸は、1組の回転ロール上又は2対のニップロールの間で都合よく達成され、次に、横方向延伸は、テンタ装置で達成される。或いは、キャストフィルムを二軸テンタで前方及び横方向に同時に延伸することができる。延伸は、一般に、配向フィルム、特にポリエステルフィルムの寸法が延伸の方向又は各方向の最初の寸法の2から5倍、一般に少なくとも2.5倍、好ましくは4.5倍以下、より好ましくは3.5倍以下になるように達成される。機械方向の延伸は、基材層のポリマー材料のTgより高い温度で、一般に基材層のポリマー材料のTgを30℃未満上回る、好ましくはTgを20℃未満上回る、より好ましくはTgを15℃未満上回る温度で達成される。横方向の延伸は、一般に80から100℃の範囲で予備加熱した後100から130℃の範囲の温度で達成され、いずれの場合にも基材層のポリマー材料のTgより高く、一般にTgを80℃未満上回り、好ましくはTgを60℃未満上回り、より好ましくは基材層のポリマー材料のTgを50℃未満上回る。バランスのとれた特性が望まれる場合には好ましいが、機械及び横方向に同等に延伸することは必要でない。
【0035】
延伸されたフィルムは、基材ポリエステルの結晶化を誘導するために、基材ポリエステルのガラス転移温度を上回るが、その融点を下回る温度での寸法束縛の下での熱硬化により寸法面を安定化することができ、且つそれが好ましい。熱硬化は、延伸フィルムに寸法の安定性を与え、フィルムをその延伸状態に「固定する」という効果を有する。熱の作用の下でのフィルムの収縮挙動は、その製造中に延伸操作が実施された後にフィルムが熱硬化したかどうか、またそれがどの程度かに依存する。一般に、熱硬化操作中に温度T1を経験したフィルムは、後に製造後に熱に曝露されたとき、温度T1未満では実質的に収縮を示さない。フィルムの収縮が重要な問題でない適用分野においては、フィルムは、比較的低い温度で熱硬化させても、全くさせなくてもよい。他方で、フィルムを熱硬化させる温度が上昇するにつれて、フィルムの引裂抵抗が変化することがある。したがって、実際の熱硬化温度及び時間は、フィルムの組成によって異なるが、フィルムの引裂抵抗特性を実質的に低下させるように選択すべきでない。これらの制約の範囲内で、約100から250℃、好ましくは約120から230℃の熱硬化温度が一般に望ましい。熱硬化ステップ中にフィルムに約5%まで、一般に約2〜4%の所与の寸法の緩和をさせる、寸法緩和(トーイン)は、フィルムの収縮を調節するために用いることができる。
【0036】
基材及び熱シール性層を含む本発明の複合フィルムは、マルチオリフィスダイの独立オリフィスを通しての各フィルム形成層の同時共押出をし、その後、溶融層を合体させ、又は好ましくは、各ポリマーの溶融流れをダイマニホールドにつながるチャンネル内で最初に合体させるシングルチャンネル共押出をし、その後、混合させずに流線流れの条件下でダイオリフィスから一緒に押出し、それにより、本明細書で前述したように配向させ、熱硬化させることができる多層ポリマーフィルムを製造することによる共押出しにより達成される。
【0037】
フィルムの1又は複数の層は、ポリマーフィルムの製造に都合よく用いられる添加剤のいずれかを都合よく含んでいてもよい。したがって、架橋剤、色素、顔料、ボイディング剤、潤滑剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、UV吸収剤、熱安定化剤、抗粘着剤、界面活性剤、滑り補助剤、蛍光増白剤、光沢改良剤、分解促進剤(prodegradent)、粘度調整剤及び分散安定化剤などの物質を適宜含めることができる。特に、複合フィルムは、例えば、粒子状無機充填剤又は不相溶性樹脂充填剤又は2つ以上のそのような充填剤の混合物であってよい粒子状充填剤を含んでいてよい。そのような充填剤は、当技術分野でよく知られている。
【0038】
粒子状無機充填剤としては、従来の無機充填剤、並びに特に、アルミナ、タルク、シリカ(特に沈殿又はケイソウシリカ及びシリカゲル)及びチタニアなどの金属又はメタロイド酸化物、焼成陶土並びにカルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩などのアルカリ金属塩などがある。粒子状無機充填剤は、ボイディング又は非ボイディングタイプであってよい。適切な粒子状無機充填剤は、均一で、二酸化チタン又は硫酸バリウムのみなどの単一充填材料又は化合物から本質的になっていてよい。或いは、主要な充填材料が別の修飾成分と結合しているという、充填材の少なくとも一部が不均一であってもよい。例えば、主要な充填剤粒子は、充填剤がポリマー層との相容性を示す程度を向上又は変化させるために、顔料、石鹸、界面活性剤、カップリング剤などの表面改質剤又は他の修飾剤で処理することができる。好ましい粒子状無機充填剤は、二酸化チタン及びシリカなどである。無機充填剤は、微細であるべきであり、その容積分布中位粒子径(全粒子の容積の50%に対応する等価球直径、粒子の容積%を直径と関連づける累積分布曲線上で読み取られる−「D(v、0.5)」値としばしば呼ばれる)は、好ましくは0.01から10μm、より好ましくは0.01から5μm、より好ましくは0.05から1.5μm、特に0.15から1.2μmの範囲にある。無機充填剤粒子の好ましくは少なくとも90容積%、より好ましくは少なくとも95容積%が容積分布中位粒子径±0.8μm、特に±0.5μmの範囲内にある。充填剤粒子の粒子径は、電子顕微鏡、コールターカウンター、沈降分析及び静的又は動的光散乱により測定することができる。レーザー光回折に基づく手法が好ましい。中位粒子径は、選択する粒子径より下の粒子の容積のパーセンテージを表す累積分布曲線をプロットし、50百分位数を測定することによって求めることができる。
【0039】
好ましい実施形態において、熱シール性層は、少なくとも約0.5%で、約5重量%以下(層の総重量に基づく)、好ましくは約2重量%以下、好ましくは約1.5重量%以下の無機充填剤粒子を含む。充填剤粒子は、本明細書における上文で言及した充填剤粒子から選択され、好ましくはシリカ及びタルクから選択され、好ましくはシリカである。この実施形態において、フィルムの巻付け性(すなわち、フィルムをロールに巻き込むときに粘着又は固着がない)が改善され、ヘーズ又は他の光学的特性の許容できない低下を伴わない。本明細書で記載したような充填剤の上限閾値を超えている場合、フィルムは、それが熱シールされていた容器からひき剥がすときに切れを受けやすいという点で、約0.5から約5重量%のレベルで添加した充填剤がフィルムの可剥性に関する利点をもたらすことが見出されたことは驚くべきことである。本発明者らは理論により束縛されることを意図しないが、充填剤粒子は本発明において熱シール性層に用いるコポリエステルに非常に堅く結合し、これらの充填剤粒子が切れ開始点として作用していると考えられている。フィルムがひき剥がしを受けたとき、十分に高い濃度の充填剤粒子がポリマーマトリックスにおける局所的応力を臨界レベルを超えさせ、層間剥離の代わりに、充填剤がコポリエステルに付着して切れをもたらすと考えられている。
【0040】
層の組成物の成分は、従来の方法で混合することができる。例えば、層ポリマーを得る単量体反応物と混合することにより、或いは成分を転倒により又は乾式ブレンドにより又は押出機中での配合によりポリマーと混合し、その後冷却し、通常、顆粒又はチップに粉砕することができる。マスターバッチング法も用いることができる。
【0041】
1の実施形態において、本発明のフィルムは、光学的に透明であり、好ましくは、規格ASTM D1003に従って測定される<10%、好ましくは<8%、特に<6%の散乱可視光(ヘーズ)の%を有する。
【0042】
別の実施形態において、フィルムは不透明であり、高度に充填され、好ましくは0.1から2.0、より好ましくは0.2から1.5、より好ましくは0.25から1.25、より好ましくは0.35から0.75、特に0.45から0.65の範囲の透過光学濃度(TOD)(Sakuraデンシトメーター、PDA65型、透過モード)を示す。フィルムは、有効な量の不透明化剤のポリマーブレンドへの混入により都合よく不透明にされる。適切な不透明化剤としては、本明細書において前述したように、不相溶性樹脂充填剤、粒子状無機充填剤又はそのような充填剤の2つ以上の混合物などがある。所与の層に存在する充填剤の量は、層ポリマーの重量を基準として、重量で好ましくは1%から30%、より好ましくは3%から20%、特に4%から15%、特に5%から10%の範囲にある。不透明フィルムの表面は、好ましくは60から120、より好ましくは80から110、特に90から105、特に95から100単位の範囲の本明細書に述べるように測定される白色度指数を示す。
【0043】
熱シール性層と接触している基材の表面は、本明細書において一次側と呼ぶ。熱シール性層と接触している表面と反対側の基材の表面は、本明細書において二次側と呼ぶ。基材の二次側は、その上に1又は複数のさらなるポリマー層又はコーティング材料を有していてもよい。二次側のコーティングは、「インライン」で施行することが好ましい。本発明の複合フィルムは、熱シール性層の曝露表面に別の層を設けずに製造し、保存し、販売し、使用することを意図する。
【0044】
1の実施形態において、二次側への追加のコーティングは、特にフィルム基材がPETポリエステル基材である場合にフィルムの取扱い及び巻付け性を改善するために、「スリップコーティング」を含んでいてもよい。適切なスリップコーティングは、例えば、架橋剤を場合によってさらに含むアクリル及び/又はメタクリル高分子樹脂の不連続層であってもよい。これは、例えば特許文献5に開示されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。別のスリップコーティングは、ケイ酸カリウムコーティングを含んでいてもよい。これは、例えば特許文献6及び特許文献7に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
別の実施形態において、基材の二次側は、その上に配置された印刷可能又はインク受容層を有し、また接着力を増大するために基材と印刷可能又はインク受容層との間のプライマー層(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11又は特許文献12に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)を場合によって有する。適切な印刷可能又はインク受容層は、例えば、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18及び特許文献8に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。好ましいインク受容層はアクリル及び/又はメタクリル高分子樹脂を含み、これは、例えば特許文献5に開示されている。好ましい受容層ポリマーは、アクリル酸アルキル単量体単位及びメタクリル酸アルキル単量体単位、好ましくはアクリル酸エチル及びメタクリル酸アルキル(好ましくはメタクリル酸メチル)を含む。好ましい実施形態において、アクリル酸アルキル単量体単位は、約30から約65モル%の割合で存在し、メタクリル酸アルキル単量体単位は、約20から約60モル%の割合で存在する。特に好ましい実施形態において、ポリマーは、約35から60モル%のアクリル酸エチル、約30から55モル%のメタクリル酸メチル及び約2から20モル%のメタクリルアミドを含む。そのようなポリマーは、水性分散系として、或いは有機溶媒中溶液として基材に塗布することが好ましい。ポリマー組成物は、既に配向したフィルム基材に塗布することができる。しかし、塗布は、延伸操作の前又は延伸操作時に実施することが好ましい。基材が二軸配向性である場合、インク受容層は、二軸延伸操作の2つの段階(縦方向及び横方向)の間に塗布することが好ましい。
【0046】
1の実施形態において、複合フィルムは、本明細書で定義したように、基材及び熱シール性層からなる。すなわち、フィルム中に他の層は存在しない。別の実施形態において、複合フィルムは、基材、熱シール性層及び基材の二次表面上の印刷可能又はインク受容層、並びに場合によっての基材と印刷可能又はインク受容層との間の接着促進プライマー層からなる。
【0047】
本発明の複合フィルムは、特に、オーブン中、特にマイクロ波オーブン中で加温することができる、食品、特に調理済みコンビニエンス食品用の容器又は入れ物と共に使用するためのものである。しかし、本発明は、従来の対流オーブン、直接輻射オーブン及び強制熱風オーブンなどの他の種類のオーブン中で加温することを意図されている調理済み食品にも適用できる。
【0048】
容器は、例えば、熱成形トレー、熱成形ボウル又はブロー成形びんであってよい。容器は、ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル又はポリプロピレン、ポリスチレンにより構成されていてもよく、或いはPVDCで被覆されていてもよく、或いはガラスであってもよい。本発明は、食品又は飲料を包装するのに適するAPET/CPET容器、特に熱成形トレーと共に使用するのに特に適している。他の適切な種類の容器としては、金属化トレー及びPET被覆カートン用紙又は厚紙から形成されたトレーなどがある。特に有用なものは、金属化(特にフラッシュ金属化)PETカートン紙から形成されたトレーである。例えば、トレーは、約0.01から4.0の範囲の光学濃度に金属化され、カートン用紙に積層されたPETから製造することができる。1の実施形態において、トレーは、開示されている材料(例えば、特許文献19、特許文献20又は特許文献21を参照)から製造されるサセプタトレー、又は参照により本明細書に組み込まれるこれらの開示文書に従って製造されるサセプタトレーである。
【0049】
本発明の別の態様によれば、食品、特に調理済みオーブン用食品を含む入れ物への熱シールに適する蓋用フィルムとしての、又はその製造における本明細書に記載した複合フィルムの使用を提供する。
【0050】
本発明はさらに、食品、特にオーブン用食品を含む入れ物及び本明細書で定義した複合フィルムから形成された蓋を含む密閉容器を提供する。密閉容器は、当業者によく知られている技術により製造される。包装すべき食品が入れ物中に導入されたならば、従来の技術及び装置を用い、温度及び/又は圧力を用いて熱シール性フィルム蓋を取り付ける。
【0051】
本発明はさらに、包装済み食品、特にオーブン用食品を提供し、包装は本明細書で定義したフィルムを含む。
【0052】
以下の試験方法を用いて、ポリマーフィルムの特定の特性を測定することができる。
(i)広角ヘーズは、ASTM D1003−61に従ってHazegard System XL−211を用いて測定する。
(ii)白色度指数は、ASTM D313に記載されている原理に基づいてColorgard System 2000、Model/45(Pacific Scientificにより製造された)を用いて測定する。
(iii)熱シール強さは、次のように測定する。Microseal PA201(Packaging Automation Ltd、英国から入手した)トレーシーラーを180℃の温度、80psiの圧力で2秒間用いて、フィルムを熱シール性層により一般的APET/CPETトレー(Faerch A/S、デンマークから入手した)にシールする。シール済みフィルム及びトレーのストリップ(幅25mm)をシールに対して90°の角度で切り取り、シールを引き離すのに必要な荷重を、0.25m/分のクロスヘッド速度で動作するInstronを用いて測定する。この手順を一般に4回繰返し、5つの結果の平均値を計算する。
(iv)複合フィルムのそれ自体への熱シール強度は、フィルムの2つの試料の熱シール性層を合わせて適切な場所に置き、80psiの圧力下で160℃で0.5秒間加熱して測定する。シールされたフィルムを室温に冷却し、シールされた複合体を幅25mmのストリップに切断する。熱シール強度は、0.25mm/分の一定の速度でフィルムの層をひき剥がすためにシールの単位幅当たりの直線的引張の下で必要な力を測定することにより求める。
(v)熱間粘着性接着は、ASTM F1921−98(「フレキシブルウェブのシール面を含む熱可塑性ポリマー及びブレンドの熱シール強度(熱粘着)の標準試験方法」)に従って、Davinor J&B熱間粘着性試験機を用いて測定する。複合フィルムのストリップ(幅25mm)を試験機でシール温度及び力の規定の条件でAPET/CPET表面(Faerch A/S、デンマークから入手した)にシールし、シールが施された後の規定の時点に、得られるシール強度を所与のひき剥がし速度で測定する。この試験において、シール温度は150℃であり、シール圧力は1N/mm2であり、シール時間は0.5秒であり、冷却時間(すなわち、シールを施してから、シール強度の測定を行うまでの間の時間)は0.1秒であり、ひき剥がし速度は120mm/秒であった。
(vi)収縮は、試料を190℃のオーブン中に5分間入れて測定する。収縮挙動を5つのフィルム試料を用いて評価する。
(vii)極限引張強さは、ASTM D882−88に従って測定し、フィルムの縦方向及び横方向寸法の値の平均値を計算する。
【実施例】
【0053】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。実施例は、説明の目的のみのためのものであって、上述の発明を限定するものではないことが理解されよう。詳細の修正は、本発明の範囲から逸脱せずに行うことができる。
【0054】
(実施例1)
第1(基材)の層が非充填のポリエチレンテレフタラート(PET)であり、第2の層が−15℃のTg及び150℃のTmを有するアゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(45/55/100)の熱シール性コポリエステルであった複合フィルムを共押出しにより製造した。熱シール性層は、1.5重量%(層の全組成物に対して)のN ,N’−エチレンビス(オレアミド)ワックス(EBO、CrodaからCrodamide EBOとして入手した)及び3重量%(層の全組成物に対して)の1μmの平均粒径を有するシリカ充填粒子をさらに含んでいた。
【0055】
コポリエステルは、独立した押出機から供給された独立した流れを用いて単一チャンネル共押出アセンブリに共押出した。ポリマー層を種々の線速度の水冷回転クエンチングドラム上にフィルム成形ダイを介して押出し、非晶質キャスト複合押出物を得た。キャスト押出物を約50から80℃の範囲の温度に加熱し、次いで、約3:1の前向き延伸比で縦方向に延伸した。ポリマーフィルムを約110℃の温度のテンタオーブン中に通し、シートを側方にその最初の寸法の約4倍に延伸し、次いで、210から225℃の温度で熱硬化させた。フィルムの最終厚さは25μmであり、第2(熱シール性)の層は厚さが0.65μmであった。フィルムは、透明で、6%のヘーズを有していた。フィルムの熱間粘着性接着は、5ニュートンであった。フィルムのそれ自体への熱シール強度は、500g/25mmであった。フィルムは、トレーからの容易且つ完全な手動剥離を示した。
【0056】
(比較例1)
ワックスを加えなかったことを除いて、実施例1を繰り返した。フィルムがキャスティングドラムに固着し、このため製造が不可能であった。
【0057】
(比較例2)
熱シール性層が6%の充填剤を含んでいたことを除いて、実施例1を繰り返した。フィルムは、トレーからひき剥がしたとき、切れを受けやすかった。
【0058】
(比較例3)
熱シール性層の厚さが3.5μmであったことを除いて、実施例1を繰り返したところ、高い熱間粘着性及び高い冷間剥離強さを示し、トレーからひき剥がしたとき、切れを受けやすかった。
【0059】
(比較例4)
熱シール性層の厚さが0.2μmであったことを除いて、実施例1を繰り返したところ、不十分に低い冷間剥離強さを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱シール性可剥性共押出複合ポリマーフィルムであって、その表面上に熱シール性層を有するポリマー材料の基材層を含み、
(i)前記熱シール性層は少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸及び1種又は複数のグリコールのコポリエステルを含み、
(ii)前記熱シール性層の厚さは約0.3から約3μmの範囲にあり、
(iii)熱シール性層は1種又は複数のワックスを含む
ことを特徴とする熱シール性可剥性共押出複合ポリマーフィルム。
【請求項2】
基材はポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
基材はポリ(エチレンテレフタラート)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
熱シール性コポリエステルの芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
熱シール性コポリエステルの脂肪族ジカルボン酸は式:Cn2n(COOH)2[式中、nは2から8である]の飽和脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフィルム。
【請求項6】
前記脂肪族ジカルボン酸はセバシン酸、アジピン酸及びアゼライン酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
熱シール性コポリエステルのグリコールはエチレングリコールであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のフィルム。
【請求項8】
芳香族ジカルボン酸は熱シール性コポリエステル中に、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として45から80モル%の範囲で存在することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のフィルム。
【請求項9】
前記芳香族ジカルボン酸はコポリエステル中に、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として55から65モル%の範囲で存在することを特徴とする請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
脂肪族ジカルボン酸は熱シール性コポリエステル中に、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として20から55モル%の範囲で存在することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフィルム。
【請求項11】
脂肪族ジカルボン酸は熱シール性コポリエステル中に、コポリエステルのジカルボン酸成分を基準として35から45モル%の範囲で存在することを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
熱シール性層のコポリエステルはアゼライン酸及びテレフタル酸とエチレングリコールとのコポリエステルであり、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコールの相対モル比は40〜50/60〜50/100の範囲にあることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のフィルム。
【請求項13】
複合フィルムの全体の厚さは約5から約50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のフィルム。
【請求項14】
熱シール性層の厚さは約0.5から約0.9μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のフィルム。
【請求項15】
190℃で5分間のフィルムの収縮は5%未満であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のフィルム。
【請求項16】
二軸配向していることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載のフィルム。
【請求項17】
ポリマー基材と熱シール性層を共押出しするステップを含み、
(i)前記熱シール性層は少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸若しくは1種又は複数のグリコールのコポリエステルを含み、
(ii)前記熱シール性層の厚さは約0.3から約3μmの範囲にあり、
(iii)熱シール性層は1種又は複数のワックスを含む
ことを特徴とする熱シール性可剥性複合ポリマーフィルムを製造する方法。
【請求項18】
前記ワックスは鉱物性、植物性及び合成ワックスから選択されることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のフィルム又は方法。
【請求項19】
前記ワックスはアミドワックスであることを特徴とする請求項18に記載のフィルム又は方法。
【請求項20】
前記ワックスはN,N’−エチレンビス(オレアミド)及びN,N’−エチレンビス(ステアラミド)から選択されることを特徴とする請求項18に記載のフィルム又は方法。
【請求項21】
食品を含む入れ物への熱シール用の蓋用フィルムとしての、又はその製造における請求項1から16又は18から20のいずれかに記載の複合フィルムの使用。
【請求項22】
食品を含む入れ物を含み、請求項1から16又は18から20のいずれかに記載の複合フィルムから構成されている蓋をさらに含むことを特徴とする密閉容器。
【請求項23】
包装が請求項1から16又は18から20のいずれかに記載のフィルムを含むことを特徴とする包装された食品。

【公表番号】特表2009−526672(P2009−526672A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554842(P2008−554842)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000527
【国際公開番号】WO2007/093798
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】