説明

ポリカーボネート及びポリカーボネートブレンドの安定化

本発明は、UV放射線に対してポリカーボネート及びポリカーボネートブレンドを、特にポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(PC/ABS)ブレンドを安定化するために、特定のヒンダードアミン(ヒンダードアミン光安定剤、HALS)及び特定のベンゾトリアゾール系UV吸収剤を使用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート及びポリカーボネートブレンド、特にポリカーボネート/アクリロニトロル−ブタジエン−スチレン(PC/ABS)ブレンドをUV放射線に対して安定化するための特定のヒンダードアミン(ヒンダードアミン光安定剤、HALS)及び特定のベンゾトリアゾール系UV吸収剤を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック工業では、コンパウンドまたはマスターバッチの形で添加剤を使用することが通常である。本発明の目的においてはマスターバッチは、キャリアポリマー及び添加剤を含む組成物であり、マスターバッチ中に存在する添加剤の濃度は、最終の用途での濃度よりも高く、そしてキャリアポリマーは、最終の用途のポリマーである必要はない。
【0003】
マスターバッチ中の添加剤の好ましい濃度は、0.5〜90重量%、より好ましくは1〜80重量%、更により好ましくは6〜80重量%であり、ここで前記重量%の値は、マスターバッチの全重量に基づく値である。
【0004】
本発明の目的においてコンパウンドとは、ポリマー及び添加剤を含む組成物であり、ここでこの添加剤は、コンパウンドした材料中に既に、最終の用途または最終の物品に望ましい濃度で存在し、また同様にポリマーは、最終の用途または最終の物品に望まれるポリマーであり、それ故、コンパウンドした材料を最終の用途または物品のための望ましい形態に変えるのに必要なものは、物理的な成形プロセスだけである。
【0005】
PC/ABSブレンドまたはPC/ABSブレンドからなる品(item)及び物品(article)は当業者には既知であり、これはPC及びABSから組成される混合物である。ブレンド及び混合物という用語は以下に同義語として使用する。
【0006】
欧州特許第924248B号明細書(特許文献1)は、ポリカーボネート(PC)ポリマー、ピペラジニル単位を含む非塩基性ヒンダードアミン、及びUV吸収剤を含む組成物を開示している。[0004]及び[0005]の段落には、PCの安定化にHLAS添加剤を使用することを妨げる既知の技術的な難点が記載されている。特に、塩基性HALSの存在はPCポリマー鎖の加水分解を招く。その結果は、[0005]の段落に記載のように、機械的性質の劣化である。この理由のため、現在実際には、ポリカーボネートのための光安定剤としてはUV吸収剤のみが使用されている(H.Zweifel, Plastic Additives Handbook,5th edition,Hanser Publishers,Munich,2000,pp. 369−372(非特許文献1))。それ故、HALS無しで、UV吸収剤のみで改質されたPC/ABSブレンドは、時折不十分なUV耐性を有する。更に、安定化のためには高濃度のUV吸収剤がしばしば必要である。これらの欠点は当業者には既知である。
【0007】
PC/ABSブレンドの安定化のためのUV吸収剤の単独使用は、UV放射線による短時間での機械的性質の劣化を招く。なぜならば、欧州特許924248B号明細書(特許文献1)の段落[0005]や、C.Krebs and M.−A.Avondet,Langzeitverhalten von Thermoplasten,Hanser,Munich 1999, pp.156−157(非特許文献2)に記載のように、HALSによる十分なUV保護無しでは、ABSのブタジエン画分が、光酸化を介して急速にダメージを受けるからである。その結果は、特に、かなりの黄色化、及びそれに伴う機械的性質の損失である。欧州特許第924248B号明細書(特許文献1)の記載の例は、慣用のHALSでのPCの安定化が、安定化していないPCよりも劣った機械的性質を与えることを示している(表5、7及び10)。
【0008】
国際公開第97/39051Aパンフレットは、ポリプロピレンの安定化のために少なくとも二つの異なるHALSを含む組成物を使用することを開示している。それの明細書は、長い一覧中に理論的な可能性として、安定化される可能なポリマーとしてPCを記載しているが、これらの組成物は、PCまたはPC/ABSブレンドの安定化には低い適性しかもたない。なぜならば性能特性、特に機械的性質が劣化するからである。
【0009】
PC/ABSブレンドからなるプラスチックパーツには厳しい要件が課せられる。すなわち、これらは、高く及び長く続く色堅牢性を示す必要があり、安定化のためには最小量の添加剤だけが使用されるべきであり、最大の光堅牢性及び最大の耐候性を達成すべきである。
【0010】
PC/ABSブレンドの安定化に使用される添加剤マスターバッチは、添加剤の高い負荷量、すなわち高濃度を有するべきである。更に、マスターバッチは、PC/ABSブレンドと良好な混和性及び相溶性を示す必要がある。添加剤は、マスターバッチ中に、コンパウンドした材料中に及びAC/ABSブレンド中に良好に分散する必要があり、そしてマスターバッチ及び/またはコンパウンドした材料は、最終の物品の機械的性質に負の影響を与えるべきではない。
【0011】
PC/ABSブレンドは、好ましくは、自動車工業のための品の製造に使用される。
【0012】
既知の添加剤系は、PC/ABSブレンドの安定化に課せられる現在の全ての要求は満たさない。PC/ABSブレンドの向上された安定化に対する要求があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第924248B号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】H.Zweifel, Plastic Additives Handbook, 5th edition,Hanser Publishers,Munich,2000,pp.369−372
【非特許文献2】C. Krebs and M.−A.Avondet,Langzeitverhalten von Thermoplasten,Hanser,Munich 1999,pp.156−157
【発明の概要】
【0015】
驚くべきことに、特定のHALS添加剤及び特定のUV吸収剤を含むマスターバッチが、特に黄色化に関して、向上したPC/ABSブレンドの向上した安定化をもたらす。
【0016】
本発明の対象は、成分A、成分B及び成分Cを含む組成物Zである。ここで、
成分Aは、次式(I)
【0017】
【化1】

【0018】
で表される化合物であり、
成分Cは、
・ポリカーボネート(PC);
・ポリカーボネート(PC)と、ポリカーボネート以外の一種もしくはそれ以上のポリマーから組成されるブレンド(ポリカーボネートブレンドもしくはPCブレンド); ここでこのPCブレンド中のポリカーボネート以外の他のポリマーは、好ましくは、スチレンコポリマーからなる群から選択されるか(好ましいスチレンコポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエンゴム−スチレン(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンもしくはスチレン−アクリロニトリル(SAN)である); またはポリエステルからなる群から選択されるか(好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)もしくはポリブチレンテレフタレート(PBT)である); またはゴムからなる群から選択されるか(好ましいゴムは、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンもしくはアクリレートゴムである)、または
ポリビニルポリマーからなる群及び塩化ビニルコポリマーから選択される; 及び
・ポリカーボネートと相溶性のポリマー; ここでポリカーボネートと相溶性のこれらのポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)及びポリスチレン(PS)からなる群から選択される;
からなる群から選択される一種もしくはそれ以上のポリマーであり、そして
成分Bは、次式(II)、
【0019】
【化2】

【0020】
で表される化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
場合により、組成物Zは、第四の成分として成分Dを含み、この成分Dは、PC及びPCブレンドの安定化に、特にPC/ABSブレンドの安定化に特に適したUV安定剤であり、それ故、成分Dは、次式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)の化合物からなる群から選択される化合物である。
【0022】
【化3】

【0023】
【化4】

【0024】
【化5】

【0025】
【化6】

【0026】
【化7】

【0027】
【化8】

【0028】
【化9】

【0029】
【化10】

【0030】
【化11】

【0031】
成分Dは、好ましくは、一種またはそれ以上のUV安定化剤から組成され、より好ましくは一種または二種のUV安定剤から組成され、更により好ましくは一種のUV安定剤から組成される。
【0032】
成分Dは、好ましくは、式(III)、(VIII)及び(X)の化合物の群から選択される化合物であり、より好ましくは成分Dは、式(III)の化合物である。
【0033】
組成物Zは、マスターバッチ、コンパウンドしたPC材料、または安定化されたPCポリマーもしくは安定化されたPCブレンドであることができる。本発明の目的においてPCブレンドは、PCと、ポリカーボネート以外の一種またはそれ以上のポリマーとから組成される(ポリカーボネートブレンドまたはPCブレンド)。このPCは、複数種のポリカーボネートを含むこともできる。
【0034】
組成物Zは、好ましくは、式(I)の化合物の構造以外の化学構造を有する更に別のHALSを有効量では含まない。本発明の目的において、有効量とは、HALSがポリマーの安定化に使用される際の通常の量である。組成物Zは、より好ましくは、式(I)の化合物の構造以外の化学構造を有するHALSをせいぜい0.1重量%、更により好ましくはせいぜい0.05重量%、特にせいぜい0.01重量%の量でしか含まない。この際、これらの重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量に基づく。組成物Zは、非常に特に好ましくは、式(I)の化合物の構造以外の化学構造を有する更に別のHALSを含まない。
【0035】
組成物Zがマスターバッチの場合には、成分Cは、好ましくは、ABS、SAN、PS、PC及びPC/ABSポリマーからなる群から選択されるポリマーであり、より好ましくはABS、PC及びSANポリマーからなる群から選択されるポリマーであり、更により好ましくはABS、PC及びSANからなる群から選択されるポリマーであり、一層より好ましくはSAN及びPCポリマーからなる群から選択されるポリマーであり、特にSANからなる群から選択されるポリマーである。
【0036】
組成物ZがコンパウンドしたPC材料または安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの場合は、成分Cは好ましくはPCまたはPCブレンドであり、この際、このPCブレンド中のポリカーボネート以外の他のポリマーは、好ましくは、スチレンコポリマーからなる群から選択されるか(ここで好ましいスチレンコポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、アクリロニトリル−EPDM−スチレン、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンまたはスチレン−アクリロニトリル(SAN)である); ポリエステルからなる群から選択されるか(ここで好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)である); またはゴムからなる群から選択されるか(ここで好ましいゴムはニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはアクリレートゴムである)またはポリビニルポリマーからなる群及び塩化ビニルコポリマーからなる群から選択され、
成分Cは、特に好ましくは、PCまたはPC/ABSポリマーである。
【0037】
組成物Zは、好ましくは、
0.01〜30重量%の成分A、
20〜99.98重量%の成分C、
0.01〜30重量%の成分B、及び
0〜79.98重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
より好ましくは、
0.01〜30重量%の成分A、
30〜99.98重量%の成分C、
0.01〜30重量%の成分B、及び
0〜69.98重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
更により好ましくは
0.05〜15重量%の成分A、
32.5〜99.9重量%の成分C、
0.05〜15重量%の成分B、及び
0〜67.4重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
を含み、ここで上記の重量%の値は、それぞれ、組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B及びCの並びに更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質Sの重量%の値は常に合計で100重量%となる。
【0038】
組成物Zがマスターバッチの場合は、組成物Zは、好ましくは、
1〜30重量%の成分A、
20〜98重量%の成分C、
1〜30重量%の成分B、及び
0〜78重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
より好ましくは
1〜30重量%の成分A、
30〜98重量%の成分C、
1〜30重量%の成分B、及び
0〜68重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
更により好ましくは
2.5〜15重量%の成分A、
30.5〜95重量%の成分C、
2.5〜15重量%の成分B、及び
0〜64.5重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
特に、
5〜12重量%の成分A、
39〜90重量%の成分C、
5〜12重量%の成分B、及び
0〜51重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
を含み、ここで、上記の重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B及びCの並びに更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質Sの重量%の値は常に合計で100重量%である。
【0039】
組成物Zが、コンパウンドしたPC材料または安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの場合は、組成物Zは、好ましくは
0.01〜5重量%の成分A、
80〜99.98重量%の成分C、
0.01〜5重量%の成分B、及び
0〜19.98重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
特に好ましくは
0.02〜2重量%の成分A、
86〜99.9重量%の成分C、
0.02〜2重量%の成分B、及び
0〜13.96重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
特に
0.05〜1重量%の成分A、
88〜99重量%の成分C、
0.05〜1重量%の成分B、及び場合により、
0〜11.9重量%の更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質S;
を含み、ここで上記の重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B及びCの並びに更に別の物質、好ましくは成分D及び/または物質Sの重量%の値は合計で常に100重量%である。
【0040】
組成物Z中での成分Aと成分Bとの重量比は、好ましくは1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、特に好ましくは1:3〜3:1、特に1:1〜3:1である。
【0041】
組成物Zが更に成分Dを含む場合は、組成物Zにおける成分Aと、成分B及びDの合計量との重量比は、好ましくは1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、特に好ましくは1:3〜3:1、特に1:3〜1:1である。
【0042】
組成物Zが更に成分Dを含む場合は、組成物Zにおける成分Bと成分Dとの重量比は、好ましくは1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、特に好ましくは1:3〜3:1、特に1.1:1〜1:1.1である。
【0043】
組成物Zは、好ましくは、成分A及びB及びC、場合によっては及びDの総量を10〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%、特に75〜100重量%、就中90〜100重量%の割合で含み、この際、これらの重量%の値は、それぞれ組成物Zの全重量を基準にする。
【0044】
組成物Zがマスターバッチでありかつ組成物Zが成分Dを含む場合には、組成物Zは、好ましくは、
1〜30%重量%の成分A、
1〜30%重量%の成分B、
1〜30%重量%の成分D、
10〜97%重量%の成分C、及び
0〜87%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
特に好ましくは
2.5〜15%重量%の成分A、
2.5〜15%重量%の成分B、
2.5〜15%重量%の成分D、
30.5〜92.5%重量%の成分C、及び
0〜62%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
特に
5〜12%重量%の成分A、
5〜12%重量%の成分B、
5〜12%重量%の成分D、
39〜75%重量%の成分C、及び
0〜46%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
を含み、ここで上記の重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B、C及びDの並びに更に別の物質、好ましくは物質Sの重量%の値は合計で常に100重量%である。
【0045】
組成物Zが、コンパウンドしたPC材料または安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドを含みかつ組成物Zが成分Dを含む場合には、組成物Zは、好ましくは、
0.01〜5重量%の成分A、
0.01〜5重量%の成分B、
0.01〜5重量%の成分D、
75〜99.97重量%の成分C、及び
0〜24.97%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
より好ましくは、
0.01〜5重量%の成分A、
0.01〜5重量%の成分B、
0.01〜5重量%の成分D、
80〜99.97重量%の成分C、及び
0〜19.97%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
更により好ましくは、
0.02〜2重量%の成分A、
0.02〜2重量%の成分B、
0.02〜2重量%の成分D、
84〜99.94重量%の成分C、及び
0〜15.94%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
特に、
0.05〜1重量%の成分A、
0.05〜1重量%の成分B、
0.05〜1重量%の成分D、
87〜99.85重量%の成分C、及び
0〜12.85%重量%の更に別の物質、好ましくは物質S;
を含み、ここで上記の重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B、C及びDの並びに更に別の物質、好ましくは物質Sの重量%の値は合計で常に100重量%である。
【0046】
組成物Zは、好ましくは、更に別の物質Sとして、成分E及び/またはEの一種またはそれ以上を含む。
【0047】
成分Fは、二次酸化防止剤の群、特にホスファイト類の群からのプラスチック添加剤であり、そして
成分Eは、一次酸化防止剤の群、特に立体障害フェノール類の群からのプラスチック添加剤である。
【0048】
成分Fは、好ましくは、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト及びビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトからなる群から選択される二次酸化防止剤である。
【0049】
成分Eは、好ましくは、一次酸化防止剤であるテトラキス(メチレン3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシシンナメート)メタンまたはオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシヒドロシンナメートである。
【0050】
更に、本発明は、組成物Zの製造方法であって、成分A、B及びC、場合により及びD、必要に応じて更に別の物質、特に物質S、特に成分F及びEを物理的に混合することを特徴とする、前記方法も提供する。
【0051】
それ故、本発明は、PCまたはPCブレンドの安定化方法であって、PCまたはPCブレンドを、成分A、B、場合によっては及びD、必要に応じて更に別の物質、特に物質S、特に成分F及びEと物理的に混合することを特徴とする、前記方法も提供する。
【0052】
好ましくは、前記混合は、押出しまたは混練または射出成形または圧縮成形、特に好ましくは押出しまたは圧縮成形を介して行われる。
【0053】
混合は、好ましくは、連続的にまたは断続的に行われる。
【0054】
マスターバッチ工業及びプラスチック工業に慣用の混合装置が使用され、好ましくは押出機、プレス機、または射出成形機または混練機が使用される。
【0055】
混合温度は、好ましくは100℃〜380℃、特に好ましくは120℃〜350℃である。
【0056】
混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜30分間である。
【0057】
連続的な混合のための混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜15分間であり、断続的な混合のための混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜30分間である。
【0058】
組成物Zがマスターバッチの場合は、押出しまたは混練、特に好ましくは押出しを介して混合することが好ましい。この混合は、好ましくは、連続的にまたは断続的に、特に好ましくは連続的に行われる。マスターバッチ工業において慣用の混合装置が使用され、好ましくは押出機または混練機が使用される。
【0059】
混合温度は、好ましくは100℃〜380℃、特に好ましくは120℃〜350℃、特に150℃〜320℃である。
【0060】
混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜15分間である。
【0061】
連続的混合のための混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜15分間であり、断続的混合のための混合時間は好ましくは1分間〜1時間、特に好ましくは2〜15分間である。
【0062】
組成物ZがコンパウンドしたPC材料または安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの場合は、混合は好ましくは押出しまたは射出成形または圧縮成形、好ましくは射出成形を介して行われる。混合は、好ましくは、連続的にまたは断続的に行われ、特に好ましくは連続的に行われる。プラスチック工業で慣用の混合装置が使用され、好ましくは押出機、プレス機または圧縮成形機が使用される。
【0063】
混合温度は、好ましくは160℃〜380℃、特に好ましくは180℃〜320℃である。
【0064】
混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜1時間、特に15秒間〜30分間である。
【0065】
連続的混合のための混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜30分間、特に15秒間〜10分間であり、断続的混合のための混合時間は、好ましくは10秒間〜1時間、特に好ましくは15秒間〜1時間、特に15秒間〜30分間である。
【0066】
安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの製造のためには、マスターバッチMBを、安定化するべきPCポリマーまたは安定化するべきPCブレンドと混合することが好ましい。
【0067】
更に本発明は、安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの製造のための組成物Zの使用、あるいは安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドとしての組成物Zの使用も提供する。
【0068】
組成物ZがマスターバッチMBの場合は、本発明は、更に、安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの製造のための組成物Zの使用を提供し、この際、安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドは、中間製品または最終製品の形をとることができる。中間製品は、ペレット、粉末またはチップの形をとることができる。
【0069】
特に、組成物Zは、自動車工業のための安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの製造のために、または自動車工業のための安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドとして使用される。
【0070】
組成物Z中に存在し得る更に別の物質Sは、
・着色剤、好ましい着色剤は有機及び無機染料及び顔料であり、好ましい有機顔料は、アゾもしくはジスアゾ顔料、レーキ化アゾもしくはジスアゾ顔料または多環式顔料、特に好ましくはフタロシアニン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ペリレン、ジオキサジン、アントラキノン、チオインディゴ、ジアリールもしくはキノフタロン顔料であり; 顔料着色に好ましく使用される無機顔料は、適当な金属酸化物、混合酸化物、硫酸アルミニウム類、クロメート類、金属粉末、真珠光沢顔料(マイカ)、発光着色剤、酸化チタン類、カドニウム鉛顔料、酸化鉄類、カーボンブラック、シリケート、チタン酸ニッケル類、コバルト顔料、または酸化クロム類であり; ここでこれらの着色剤は、マスターバッチとしても使用できる;
・フィラー、好ましくはシリカ、ゼオライト、シリケート、特に好ましくはケイ酸アルミニウム類、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム類; 及びチョークまたはタルク;
助剤、好ましくは酸捕捉剤、潤滑剤、ステアレート、発泡剤、成核剤、過酸化物、または酸化物、例えば酸化マグネシウム;
・酸化防止剤、好ましくは一次もしくは二次酸化防止剤;
・耐電防止剤、好ましくはグリセロールステアレート類、グリセロールモノステアレート類、アルキルアミン類、脂肪酸混合物、アミン類、エトキシル化されたアミン類、アルキルスルホネート類、グリセロールエステル類、またはこれらの混合物(ブレンド);
・UV吸収剤、スリップ剤、防曇剤、防縮合剤及び/または懸濁安定剤、難燃剤;
またはこれらの物質から組成される混合物、
である。
【0071】
本発明の更に別の対象は、全ての好ましい態様も含めて上記で定義した成分Aを、全ての好ましい態様も含めて上記で定義した成分B、場合によっては及び全ての好ましい態様も含めて上記で定義した成分Dと組み合わせて、ポリマーを安定化するために、例えば光または熱の損傷的な影響に対してポリマーを安定化するために、特に可視光またはUV光の損傷的な影響に対してポリマーを安定化するために一緒に使用することである。これらのポリマーは、
・ポリカーボネート(PC)、及び
・ポリカーボネートと、ポリカーボネート以外の一種またはそれ以上のポリマーとから組成されるブレンド(ポリカーボネートブレンドまたはPCブレンド); ここでこのPCブレンド中のポリカーボネート以外の更に別のポリマーは、スチレンコポリマーからなる群から選択されるか(ここで好ましいスチレンコポリマーはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエンゴム−スチレン(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンまたはスチレン−アクリロニトリル(SAN)である); またはポリエステルからなる群から選択されるか(ここで好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)である); またはゴムからなる群から選択されるか(ここで好ましいゴムは、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはアクリレートゴムである)、またはポリビニルポリマーの群及び塩化ビニルコポリマーの群から選択されていることが好ましい;
からなる群から選択されている。
【0072】
驚くべきこと、組成物Zは、高くかつ長く続く色堅牢性を特徴とする。安定化に必要な添加剤の量は少なく、そして耐光性及び耐候性は高い。高充填量のマスターバッチを調製できる。本発明の組成物は、PCポリマー及びPCブレンドとの良好な混和性及び相溶性(compatibility)を示し、該添加剤は、マスターバッチ中での、コンパウンドしたPC材料中での、PCポリマー中での及びPCブレンド中での良好な分散を与え、そして機械的性質は良好である。
【0073】
上記の特定のHALSが、HALSを使用しない安定化または式(I)の構造以外の構造を有するHALSによる安定化と比べて、機械的性質を劣化させることなく、著しく向上した色堅牢性を達成することも驚くべきことであった。
試験方法:
製造物の性質は以下の方法により求める。
・機械的性質、例えばDIN EN ISO 527−1準拠の引張強度、引張破断強度、引張ひずみ、及び引張破断ひずみの測定。
【0074】
意図するところは、機械的性質の最小の変化、特にそれの深刻な劣化がないことである。
・シャルピー衝撃特性、例えばDIN EN ISO 179−1準拠の耐衝撃性及びノッチ付き耐衝撃性の測定。
【0075】
意図するところは、衝撃特性の最小の変化、特にそれの深刻な劣化がないことである。
・DIN EN ISO 306準拠のビカット軟化点の測定。
ビカット点の変化が最小であることが意図される。
・光安定性(I)の測定: ラボ用キセノンアークランプに露光、キセノテスト(Xenotest)150S装置で1250W/m(300〜800nm)。視覚検査によって黄色化を測定する。最小の黄色化が起こるべきである。
・PV1303(フォルクスワーゲン社、ドイツの試験方法)による高められた温度下での光安定性(II)の測定: DIN75202に依りキセノンアーク装置で露光した際の自動車内装品の試験; ブラックスタンダード温度:100℃±3℃; 試験チャンバ温度: 65℃±3℃; 相対湿度:20±10%; 放射照度:60W/m(300〜400nm); 露光5サイクル。DIN EN20105−102によるグレースケール及び視覚検査を用いて色の変化を品質評価する。最小の黄色化が起こるべきである。
・ISO1133によるメルトインデックス(メルトボリュームレートまたはMFRとも称される)の試験: MFRは過度に変化すべきではない。
【実施例】
【0076】
使用した物質:
成分A:式(I)の化合物、Hostavin(登録商標)PR−31, Clariant International Ltd.
成分B:式(II)の化合物、Tinuvin(登録商標)234, Ciba Specialty Chemicals AG
成分D3:式(III)の化合物、Hostavin(登録商標)B−CAP, Clariant International Ltd.
成分D5:式(V)の化合物、Chimassorb(登録商標)81, Ciba Specialty Chemicals AG
成分D10:式(X)の化合物、Tinuvin(登録商標)327, Ciba Specialty Chemicals AG
成分C1:SANポリマー、ビカット軟化点が少なくとも96℃(B/50)でメルトボリュームレートが22.0〜36.0cm/10分(220℃/5kg)のスチレンアクリロニトリル。
成分C2:密度が1100kg/mでメルトボリュームレートが12cm/10分(260℃/5kg)のPC/ABSブレンド。
成分C3:密度が1120kg/cmでメルトボリュームレートが17cm/10分(260℃/5kg)のPC/ABSブレンド。
成分C4:多目的低粘性グレードのポリカーボネートPC。
成分F1:
【0077】
【化12】

【0078】
成分F2:
【0079】
【化13】

【0080】
成分E1:
【0081】
【化14】

【0082】
成分H1: 式(XII)の化合物、Tinuvin(登録商標)770, Ciba Specialty Chemicals AG
【0083】
【化15】

【0084】
成分SI: Ankermag B21酸化マグネシウムMgO, Magnifin Magnesiaprodukte GmbH & Co.KG
成分SII: (灰色)カラーマスターバッチ
以下、“部”は重量部を意味し、“ex”は実施例を、“comp ex”は比較例を意味し、そして表に記載の値は他に記載がなければ部である。
比較例1及び2及び実施例11及び12
各成分を二軸スクリュー押出機中で一緒に均一化する。表Bは使用した部を示す。表Aに示したプロセスパラメータを使用し、対応する組成物が得られる。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
例21、51及び52、及び比較例20、40、41及び42
比較例1及び2並びに実施例11及び12で得られた組成物を更に別の成分と混合し、そして射出成形機で加工して射出成形品を得る。表Cは各成分の部を示す。
【0088】
【表3】

【0089】
表1〜3は測定値を示す。
【0090】
【表4】

【0091】
光安定性試験の前は、組成物は実質無色である。組成物Zは黄色化に対抗する。組成物41は、52と比較すると、同じUV吸収剤濃度(成分B及びD3)で酸化防止剤(成分F1及びF2)を僅かにより多く含むが、このHALS不含の組成物41においては黄色化がかなりより激しい。組成物41及び42と51及び52とを比べると、UV吸収剤を単独で使用しただけでは、成分Aが存在する場合と比べて、実質的により激しい黄色化を生ずることを示す。組成物42においてUV吸収剤濃度を2倍にした場合でも、組成物51と比べると実質的により厳しい黄色化が生じる結果となる。
【0092】
【表5】

【0093】
衝撃特性は僅かに影響を受け、特に実際は僅かに向上する傾向があることが明らかである。ビカット点は僅かに低下した。
【0094】
本発明の組成物では引張特性には僅かの影響しかなく、それどころか時には向上される。特に、51及び52とHALSの不含の調合物comp ex42との比較は、機械的性質に劣化がないことを示す。
【0095】
【表6】

【0096】
本発明の例の更なるパラメータを表4に示す。
【0097】
【表7】

【0098】
比較例3、4、5、6、13及び実施例16
各組成物を二軸スクリュー押出機中で180〜250℃で15〜20秒間一緒に均一化する。表Eは使用した部を示す。対応する組成物が得られる。
【0099】
【表8】

【0100】
比較例30、40、43、44、45、46、47、53、54、56及び実施例32及び55
実施例13及び16及び比較例3〜6で得られた組成物を更に別の成分と混合し、そして射出成形機中で加工して射出成形品を得た。表Fは成分の部を示す。
【0101】
【表9】

【0102】
光安定性を表5に示す。
【0103】
【表10】

【0104】
キセノン光への露光は、一週間(約165時間)後も、二週間(約300時間)後も同じような傾向を示す。
【0105】
comp ex40、すなわち純粋なPC/ABSポリマーでは予測された通り激しい黄色化が観察できた。ポリマーを、式(XII)のHALS安定剤化合物でまたは式(XII)のHALS化合物と式(I)の化合物との組み合わせで安定化した場合も、激しい黄色化が起こった。comp ex43、44及び45が示すように、式(XII)の化合物、または式(XII)の化合物と式(I)の化合物の組み合わせは、PC/ABSを黄色化から防ぐのには適していない。式(I)の化合物単独での安定化は、黄色化に関してより良好な結果を与えた(comp ex53)。式(XII)の化合物と式(I)の化合物との組み合わせの相乗効果は観察されなかった。
【0106】
comp example54及び46が示すように、式(V)のUV吸収剤化合物で安定化されたポリマー、または式(V)のUV吸収剤化合物と式(I)のHALS化合物及び式(XII)のHALS化合物との組み合わせで安定化されたポリマーでも激しい黄色化が観察された。それ故、式(V)のUV吸収剤化合物も、式(XII)のHALS化合物の負の影響に対抗することができなかった。
【0107】
比較例47及び56並びに実施例55
表5は測定値を示す。
【0108】
式(II)と(III)の二種のUV吸収剤化合物の組み合わせで安定化したPC/ABS(comp ex 47)では激しい黄色化が観察できたが、他方、式(I)のHALS化合物での安定化はなおも僅かな黄色化を示した(comp ex56)。式(I)、(II)及び(III)の化合物の組み合わせは、実施例55が示すように、優れた色安定性を与え、ポリマーの黄色化は観察できなかった。更に、式(I)、(II)及び(III)の化合物の組み合わせが、式(I)の化合物だけでの安定化または式(II)及び(III)の化合物だけでの安定化よりも、かなり良好な結果を与えたので、相乗効果が観察された。
【0109】
比較例56、60、62及び63並びに実施例61及び64
表5は測定値を示す。
【0110】
式(II)のUV吸収剤化合物のみで安定化したPC/ABSまたはPC(comp ex60及び63)では黄色化が観察でき、他方、式(I)のHALS化合物での安定化はなおも僅かな黄色化を招く(comp ex 56及び62)。ex61及び64が示すように、式(I)及び(II)の化合物の組み合わせは優れた色安定性を与え、ポリマーの黄色化は観察できなかった。更に、式(I)及び(II)の化合物の組み合わせが、式(I)の化合物のみでの安定化または式(II)の化合物のみでの安定化よりも、かなりより良好な結果をもたらしたので、相乗効果が観察された。表6及び7に示されるように、HALS(I)を使用した場合に、ポリカーボネートの機械的性質に対する負の影響は観察できなかった。
【0111】
【表11】

【0112】
【表12】

【0113】
比較例30及び実施例32
表5は測定値を示す。
【0114】
安定化していないPCは激しく黄色化した(comp ex30)。式(I)のHALS化合物と式(II)及び(X)のUV吸収剤化合物との組み合わせでの安定化はポリマーを黄色化から保護した。表11に示されるように、キセノン光に露光する前と300時間露光した後での機械的性質を比較すると、式(I)のHALS化合物の好ましくない影響は観察できなかった。
【0115】
【表13】

【0116】
安定化されたPC(ex 32)は、安定化されていないポリマー(comp ex30)と比べて、より良好な機械的性質を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、及び式(II)
【化2】

の化合物、場合により及び成分Dの、ポリマーの安定化のための使用であって、前記成分DはUV安定剤であり、前記ポリマーは、
・ポリカーボネート(PC)、及び
・ポリカーボネートと、ポリカーボネート以外の一種またはそれ以上のポリマーとから組成されるブレンド
からなる群から選択される、使用。
【請求項2】
ポリカーボネートブレンド中のポリカーボネート以外のポリマーが、スチレンコポリマー、ポリエステル、ゴム、ポリビニルポリマー及び塩化ビニルコポリマーからなる群から選択される、請求項1の使用。
【請求項3】
成分A、成分B及び成分C、場合により及び成分Dを含む組成物Zであって、
成分Aは、請求項1に定義される式(I)の化合物であり;
成分Cは、
・ポリカーボネート、
・ポリカーボネートと、ポリカーボネート以外の一種またはそれ以上のポリマーから組成されるブレンド;
・ポリカーボネートと相溶性のポリマー(ポリカーボネートと相溶性のこれらのポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−アクリロニトリル及びポリスチレンからなる群から選択される);
からなる群から選択される一種またはそれ以上のポリマーであり;
成分Bは、請求項1に定義される式(II)の化合物であり; そして
成分Dは、請求項1に定義される通りである、
前記組成物Z。
【請求項4】
成分Dが、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)の化合物からなる群から選択される化合物である、請求項3の組成物Z。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【請求項5】
組成物Zが、式(I)の化合物の構造以外の化学構造を有する更に別のヒンダードアミン光安定剤HALSを有効量で含まないことを特徴とする、請求項3または4の組成物Z。
【請求項6】
0.01〜30重量%の成分A、
20〜99.98重量%の成分C、
0.01〜30重量%の成分B、及び
0〜79.98重量%の更に別の物質
を含み、ここで上記の重量%の値はそれぞれ組成物Zの全重量を基準とし、成分A、B及びCの並びに更に別の物質の重量%の値は常に合計で100重量%である、請求項3〜5の一つまたはそれ以上の組成物Z。
【請求項7】
組成物Z中の成分Aと成分Bとの重量比が1:10〜10:1である、請求項3〜6の一つまたはそれ以上の組成物Z。
【請求項8】
成分A、B及びC、場合によっては及び更に別の物質を物理的に混合することを特徴とする、請求項3〜7の一つまたはそれ以上の組成物Zの製造方法。
【請求項9】
混合を、押出しまたは混練または射出成形または圧縮成形を介して行う、請求項8の方法。
【請求項10】
混合温度が100℃〜380℃である、請求項8または9の方法。
【請求項11】
混合時間が10秒間〜1時間である、請求項8〜10の一つまたはそれ以上の方法。
【請求項12】
安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドの製造のための、または安定化されたPCポリマーまたは安定化されたPCブレンドとしての、請求項3〜7の一つまたはそれ以上の組成物Zの使用。

【公表番号】特表2010−528143(P2010−528143A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508829(P2010−508829)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056217
【国際公開番号】WO2008/145573
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【出願人】(509323336)クラリアント・マスターバッチェス・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】