説明

ポリトリメチレンエーテルジオール含有塗料組成物

a.架橋成分と反応性であるヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランおよびそれらの混合基などの側基を有し、および10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種のポリマー、b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオール、およびc.有機ポリイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、アルキル化メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリエポキシド、シラン樹脂およびそれらの任意の混合物などの架橋成分の被膜形成バインダーを含む塗料組成物。この塗料組成物は、クリア塗料組成物として使用できるとともに顔料を含有することが可能であり、顔料入りトップコーティング、顔料入りベースコーティング、プライマーまたはプライマー下地塗りコーティングとして使用してもよく、自動車およびトラックのボディおよびパーツ、工業装置、電気器具および外装構造を被覆するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料組成物に関し、詳しくは、柔軟性、硬度、チップ抵抗などの優れた物理的特性を有する内装および外装のトップコート、ベースコート、プライマー、プライマー表面およびプライマー充填剤として有用な塗料組成物に関し、プライマーとして用いられる時、プライマー下地塗またはプライマー充填剤は優れたサンダー仕上げ性とチップ抵抗の組み合わせも有する。
【背景技術】
【0002】
自動車およびトラックのボディおよびパーツ、工業装置および電気器具などの製造、補修および塗換において用いられる仕上げ塗りは高品質の外観を提供するとともに特に屋外暴露に曝された時に長期使用に耐えるために優れた物理的特性をもたなければならない。現在使用中の多くの仕上げ塗りは多層仕上げ塗りであり、各層には異なる要件がある。例えば、自動車およびトラックのボディおよびパーツ上の多層仕上げ塗りは、(1)基材、典型的には燐酸処理冷間圧延鋼上に被着された電着層、(2)プライマー層、(3)典型的には顔料入りの着色層および(4)クリア層を典型的に用いる。着色トップコート層は着色層およびクリア層の代わりに用いてもよい。こうした多層仕上げ塗りを補修または塗り換えるに際して、適するプライマー、プライマー下地塗またはプライマー充填剤塗料は、通常はサンダーがけされ1層または複数の層を露出する多層仕上げ塗り上に被着されるか、または表面欠陥中に充填するために用いられた充填剤材料上に被着される。
【0003】
以後「プライマー」と呼ぶこのプライマー、プライマー下地塗またはプライマー充填剤には多くの要件がある。プライマーは基材への粘着性をもつとともに着色層またはトップコートが接着する表面を提供しなければならない。プライマーは、被着から合理的に短い時間、例えば被着から約3時間後に容易にサンダー仕上げ可能でなければならない。プライマーは、得られた多層仕上げ塗りに良好な耐衝撃性、特にストーンチップ抵抗を与えなければならない。
【0004】
電気器具、軟質および硬質の熱硬化性基材または熱可塑性基材、工業装置および外装基材などの上に仕上げ塗りを形成するために用いられる塗料は、処理されていないか、プライマー処理されているか、または表面処理されていてもよい基材に直接被着させてもよい。得られた仕上げ塗りは、その意図された用途のために必要な特性をもたなければならない。
【0005】
これらの多様な最終用途の物理的要求を満たすために配合することができる基本塗料組成物を有することが必要とされるであろう。本発明の新規組成物は従来の技術を用いて容易に配合して、上述した用途のための典型的な最終使用要件を満たす必要な物理的特性を有する仕上げ塗りを形成することが可能である。こうした組成物が再生可能資源から得られる成分を含有することも望ましいであろう。本発明の新規組成物は、これらの前述した要件を満たす。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,659,780号明細書
【特許文献2】米国特許第5,122,522号明細書
【特許文献3】米国公開特許出願第2002/7043A1号明細書
【特許文献4】米国公開特許出願第2002/10374A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献6】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献7】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献8】米国特許第6,221,494号明細書
【特許文献9】米国特許第6,207,224号明細書
【特許文献10】米国特許第6,436,478号明細書
【特許文献11】米国特許第4,591,533号明細書
【特許文献12】米国特許第5,010,140号明細書
【特許文献13】米国特許第5,763,528号明細書
【非特許文献1】J.Polymer Sci.,Polymer Chemistry Ed.28,449〜444(1985)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
a.架橋成分と反応性であるヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランおよびそれらの混合基などの側基を有し、および10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種のポリマー、
b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオール、および
c.有機ポリイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、アルキル化メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリエポキシド、シラン樹脂およびそれらの任意の混合物などの架橋成分
の被膜形成バインダーを含むことを特徴とする塗料組成物。
ここで、この塗料組成物は、クリア塗料組成物として使用できるとともに顔料を含有することが可能であり、顔料入りトップコーティング、顔料入りベースコーティング、プライマー、プライマー充填剤またはプライマー下地塗りコーティングとして使用することが可能であり、例えば、自動車およびトラックのボディおよびパーツ、工業装置、電気器具ならびに内装および外装構造を被覆するために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の新規塗料組成物は、組成物中で用いられる架橋成分と反応性であるヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランまたはこれらの基の混合基などの側基を有する少なくとも1種のポリマーの被膜形成バインダーを含有する溶媒系塗料組成物であり、ポリマーは10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有する。バインダーは500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールおよび架橋成分も含有し、任意選択的に組成物は顔料を含有することが可能である。
【0009】
塗料組成物は、任意選択的に新規組成物またはもう1種の組成物であってもよい顔料入りベースコートまたはカラーコートと組み合わせてクリア塗料組成物として用いることが可能である。組成物は顔料を入れることが可能であり、トップコーティング、プライマーコーティング、プライマー下地塗およびプライマー充填剤コーティングなどとして用いることが可能である。塗料組成物は、自動車およびトラックのボディおよびパーツを被覆するために特に有用であるが、電気器具、工業装置;、棚、キャビネットおよび種々の家具品目などの家庭使用品目のためにも用いることが可能であり、多様な硬質および軟質の熱硬化性基材および熱可塑性基材ならびに複合基材上で用いることが可能であり、住宅、オフィス建物および工業用建物などのための建築用ペイントとして用いることが可能である。
【0010】
塗料組成物を被着させてもよいこれらの基材は、処理されてなくても、処理されていても、そして粘着性を改善するためにプライマー処理などを施されていてもよい。典型的な基材には、アルミニウム、マグネシウム、銅、錫、亜鉛、亜鉛メッキ鋼、ステンレス鋼、鋼の合金、冷間圧延鋼、燐酸処理冷間圧延鋼、上に電着プライマーを有する燐酸処理冷間圧延鋼、ポリプロピレンおよびそのコポリマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ABSなどのプラスチック、RIMおよびSMC(シートモールディングコンパウンド)などのプラスチック繊維強化基材が挙げられる。
【0011】
1種の特に有用な塗料組成物は、自動車およびトラックのボディおよびパーツを塗り換えるか、または補修するために用いられるプライマーである。このプライマーは、被着から比較的短時間後に十分に硬化し、サンダー仕上げすることが可能であるという特定の利点を有する。カラーコートおよびクリアコートまたは顔料入りモノコートのトップコートと組み合わせたこのプライマーは、改善されたチップ抵抗を有する仕上げ塗りを提供する。
【0012】
本明細書で用いられる「バインダー」という用語は、反応性基を有するポリマー、ポリトリメチレンエーテルジオールおよび架橋成分ならびに他のあらゆるポリマー、反応性オリゴマーおよび/または反応性希釈剤を含む組成物の被膜形成成分を意味する。溶媒、顔料、触媒、レオロジー調整剤、酸化防止剤、UV安定剤、平滑化剤、発泡防止剤、へこみ防止剤、定着剤は本用語に含まれない。
【0013】
新規塗料組成物のバインダーは、典型的には、(a)10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の反応性側基を有するポリマー、(b)1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%のポリトリメチレンエーテルジオールおよび(c)10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%の架橋成分を含有する。すべての重量%は、塗料組成物のバインダーの全重量を基準にしており、(a)、(b)および(c)の%の合計は100%である。
【0014】
組成物中で用いられるポリマーは、約1,000〜100,000の重量平均分子量、10〜80℃のTgを有し、ヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランおよびこうした基の混合基などの反応性部分を含む。硬化した時のバインダーのTgは30℃を上回る。これらのポリマーは、直鎖ポリマー、分枝ポリマー、グラフトコポリマー、グラフトターポリマーおよびコアシェルポリマーであることが可能である。これらのポリマーの典型は、アクリルポリマー、アクリロウレタンポリマー、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエポキシドおよびポリカーボネートである。
【0015】
好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは10,000〜25,000の重量平均分子量、好ましくは30℃〜80℃のTgを有するアクリルポリマーが用いられる。一般に、典型的に有用なアクリルポリマーは技術上知られているポリマーであり、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートを含むアルキル基中に3〜12個の炭素原子を有する環式または分枝アルキル(メタ)アクリレートのポリマーであり、ポリマーはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンおよび(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドならびにアルキル基中に1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレートのような反応性側基を提供するモノマー;、(メタ)アクリル酸のようなαβエチレン系不飽和カルボン酸;、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどのアルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレート、シラン(メタ)アクリレートおよびビニルトリメトキシシランなどのようなシランモノマーを含むことが可能である。
【0016】
300〜800、好ましくは380〜750、より好ましくは450〜580のヒドロキシル当量(固形物基準で)を有するヒドロキシ官能性アクリルポリマーおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと上述したモノマーの1種または複数のポリマーは好ましい。ヒドロキシル当量はヒドロキシル基の当量当たりの樹脂のグラムである。1種の好ましいヒドロキシ含有アクリルポリマーは、35〜40重量%のスチレン、15〜25重量%のエチルヘキシルメタクリレートおよび15〜20重量%のイソボルニルメタクリレートならびに20〜30重量%のヒドロキシエチルメタクリレートを含む。特に好ましいアクリルポリマーは、37%のスチレン、20重量%の2−エチルヘキシルメタクリレートおよび17.5重量%のイソボルニルメタクリレートならびに25.5重量%のヒドロキシエチルメタクリレートを含む。
【0017】
アクリルポリマーにヒドロキシル基を導入するために用いられる適するヒドロキシル官能性不飽和モノマーは、例えば、第一ヒドロキシル基または第二ヒドロキシル基を有するα−,β−オレフィン系不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステルである。これらは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸および/またはイソクロトン酸のヒドロキシアルキルエステルを含んでもよい。(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルは好ましい。第一ヒドロキシル基を有するα−,β−オレフィン系不飽和モノカルボン酸の適するヒドロキシアルキルエステルの例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートである。第二ヒドロキシル基を有する適するヒドロキシアルキルエステルの例は、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0018】
追加の有用なヒドロキシ官能性不飽和モノマーは、α−,β−不飽和モノカルボン酸とα−位で分枝した飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル、例えば飽和α−アルキルアルカンモノカルボン酸またはα,α’−ジアルキルアルキルアルカンモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物である。これらは、好ましくは、(メタ)アクリル酸と分子当たり7〜13個の炭素原子、特に好ましくは、分子当たり9〜11個の炭素原子を有する飽和α,α−ジアルキルアルカンモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物を含む。これらの反応生成物は、共重合反応の前、共重合反応中または共重合反応後に形成してもよい。
【0019】
更に有用なヒドロキシ官能性不飽和モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとラクトンの反応生成物である。用いてもよいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは例えば上述したものである。適するラクトンは、例えば、異なる置換基も含んでよい環中に3〜15個の炭素原子を有するものである。好ましいラクトンはγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−ヒドロキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、λ−ラウロラクトンまたはそれらの混合物である。ε−カプロラクトンは特に好ましい。反応生成物は、好ましくは、α−,β−不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル1モルとラクトン1〜5モル、好ましくは平均で2モルから調製された反応生成物を含む。ヒドロキシアルキルエステルのヒドロキシル基は、共重合反応の前、共重合反応中または共重合反応後にラクトンで変性してもよい。
【0020】
アクリルポリマーにカルボキシル基を与えるために使用できる適する不飽和モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸などの例えばオレフィン系不飽和モノカルボン酸である。アクリル酸およびメタクリル酸は好ましく用いられる。
【0021】
アクリルポリマーにグリシジル基を与えるために使用できる適する不飽和モノマーは、例えば、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキサン、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテルおよびグリシジル(メタ)アクリレートである。グリシジル(メタ)アクリレートは好ましく用いられる。
【0022】
少なくとも1個のオレフィン系二重結合の他には、アクリルポリマーを形成するために使用できる追加の官能基を含まないラジカル重合性オレフィン系不飽和モノマーは、例えば、不飽和カルボン酸と1〜20個の炭素原子を有する脂肪族の分枝または非分枝および環式の1価アルコールとのエステルである。考慮してもよい不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイソクロトン酸である。(メタ)アクリル酸のエステルは好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートおよび対応するメタクリレートである。環式アルコールによる(メタ)アクリル酸エステルの例は、シクロヘキシルアクリレート、トリメトキシシクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートおよび対応するメタクリレートである。
【0023】
追加の官能基を含まない更に有用な不飽和モノマーは、例えば、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル、および酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、好ましくは分子当たり8〜9個の炭素原子を有するビニル芳香族炭化水素である。こうしたモノマーの例は、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルトルエンである。スチレンは好ましく用いられる。
【0024】
少ない割合のオレフィン系ポリ不飽和モノマーも用いてよい。これらは、分子当たり少なくとも2個のラジカル重合性二重結合を有するモノマーである。これらの例は、ジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレートである。
【0025】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリルポリマーは、当業者に周知された従来のプロセス、例えば、塊状重合、溶液重合またはビード重合を用いるラジカル重合、特にラジカル開始剤を用いるラジカル溶液重合によって一般に形成される。
【0026】
本発明の新規塗料組成物を形成するために、アクリロウレタンも用いることが可能である。有用な典型的なアクリロウレタンは、前述したアクリルポリマーを有機ポリイソシアネートと反応させることにより形成される。一般に、得られたアクリロウレタンが上述した反応性基を有する末端アクリルセグメントを有するように過剰のアクリルポリマーが用いられる。これらのアクリロウレタンは、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、グリシジル、アミド、シランまたはこうした基の混合基などの反応性末端基および/または側基を有することが可能である。有用な有機ポリイソシアネートは架橋成分として以後に記載するが、本発明において有用なアクリロウレタンを形成するためにも用いることが可能である。有用な典型的なアクリロウレタンは、スタメグナ(Stamegna)らによる米国特許公報(特許文献1)で開示されている。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0027】
本発明の新規塗料組成物を形成するために、ヒドロキシ含有ポリエステルを用いることが可能である。使用できる典型的なポリエステルは、15〜60の酸価、95以下のヒドロキシル価および1500〜10,000の数平均分子量を有する。ポリエステルは飽和または不飽和であってもよく、任意選択的に、脂肪酸で変性してもよい。これらのポリエステルは、アルカンジオールおよびグリコールなどの1種または複数の多価アルコールとジカルボン酸および/またはトリカルボン酸または無水トリカルボン酸などのモノカルボン酸およびポリカルボン酸またはそれらの無水物とのエステル化製品である。
【0028】
ポリエステルを形成するために用いられる多価アルコールの例には、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリンなどのトリオールおよびテトラオール、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよびF、「エステルジオール(Esterdiol)」204(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)の商標)を含む二価アルコールおよびジオール、ならびにトリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールなどの高官能性ポリオールが挙げられる。ジメチロールプロピオン酸(DMPA)などのカルボキシル基を有する多価アルコールを用いてもよい。
【0029】
ポリエステルを形成するために使用できる典型的な酸および酸無水物は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、二量化脂肪酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ジメチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロフタル酸、テレフタル酸ビスグリコールエステル、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリメリット酸および無水トリメリット酸などの脂肪族または芳香族のカルボン酸および無水カルボン酸である。
【0030】
有用な1種のポリエステルは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、アジピン酸、イソフタル酸および無水トリメリット酸のエステル化製品である。
【0031】
本発明の新規塗料組成物を形成するために、ポリエステルウレタンも用いることが可能である。典型的に有用なポリエステルウレタンは、上述したポリエステルと有機ポリイソシアネートを反応させることにより形成される。一般に、得られたポリエステルウレタンが反応性ヒドロキシル基を有する末端ポリエステルセグメントを有するように過剰のポリエステルが用いられる。カルボキシ官能性ポリエステルウレタンも用いることが可能である。有用な有機ポリイソシアネートは架橋成分として以後に記載するが、本発明において有用なポリエステルウレタンを形成するために用いることが可能である。ポリエステルウレタンを用いる典型的に有用な塗料組成物は、ジョンソン(Johnson)による米国特許公報(特許文献2)で開示されている。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0032】
ポリカーボネートポリオールは、新規塗料組成物を形成するために用いることが可能であり、炭酸誘導体、例えば炭酸ジフェニルまたはホスゲンとポリオール、好ましくはジオールの反応によって得られるカルボン酸のエステルである。適するジオールは、上述したいずれのジオールである。
【0033】
ポリエーテルウレタンは、新規塗料組成物を形成するために用いることが可能であり、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリラクトンポリオールと有機ポリイソシアネートの反応生成物である。適するポリエーテルポリオールは、例えば、一般式H[−O−(CHR1nmOHのポリエーテルポリオールである。
式中、R1は水素または例えば炭素原子数1〜6のより低級のアルキル基であり、n=2〜6、m=10〜50である。R1基は同じかまたは異なってもよい。ポリエーテルポリオールの例は、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシメチレン)グリコール、ポリ(オキシエチレン)グリコールまたはそれらの混合物、異なるグリコールを含むブロックコポリマーまたは異なるオキシテトラメチレン単位、オキシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位を含む混合ブロックコポリマーである。
【0034】
有用なポリエーテルウレタンを形成するために使用できるポリラクトンは、ラクトン、好ましくはカプロラクトンから誘導されるポリオールであり、例えば、ε−カプロラクトンをジオールと反応させることにより得ることが可能である。ラクトンと反応させるために使用できるジオールは、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよびジメチロールシクロヘキサンである。
【0035】
新規塗料組成物を形成するために使用できる典型的に有用なポリエポキシドは、約2以上の1,2−エポキシ当量を有するポリエポキシヒドロキシエーテル樹脂、すなわち、分子当たり平均基準で2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシドである。好ましいポリエポキシドは環式ポリオールのポリグリシジルエーテルである。ビスフェノールAまたはビスフェノールFなどの多価フェノールのポリグリシジルエーテルは特に好ましい。こうしたポリエポキシドは、アルカリの存在下での多価フェノールとエピクロロヒドリンまたはジクロロヒドリンなどのエピハロヒドリンまたはジハロヒドリンのエーテル化によって製造することが可能である。有用な多価フェノールの例は、2,ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2−メチル−1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどである。多価フェノールに加えて、他の環式ポリオールは、脂環式フェノール、特に脂環式ポリオールなどのポリグリシジルエーテル、および水素添加ビスフェノールAを調製するために用いることが可能である。
【0036】
ポリエポキシドは、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールにより、そしてエトキシル化ビスフェノールAにより連鎖延長することが可能である。
【0037】
(メタ)アクリルアミドのポリマーなどのポリ(メタ)アクリルアミドおよびアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸および/または前述したエチレン系不飽和重合性モノマーの1種のポリマーを使用して新規塗料組成物を形成することが可能である。
【0038】
塗料組成物中で用いられるポリトリメチレンエーテルジオールは、500〜5,000、好ましくは1,000〜3,000の範囲内の数平均分子量(Mn)を有する。ポリトリメチレンエーテルジオールは、約−75℃のTg、1.1〜2.1の範囲内の多分散性および20〜200の範囲内のヒドロキシル価を有する。
【0039】
ポリトリメチレンエーテルジオールは、好ましくは米国特許公報(特許文献3)および米国特許公報(特許文献4)に記載されたように1,3−プロパンジオールの酸触媒重縮合によって調製される。両方の特許出願は本明細書に引用して援用する。ポリトリメチレンエーテルジオールは、(非特許文献1)に記載されたように環式エーテル、オキセタンの開環重合によって調製することも可能である。1,3−プロパンジオールの重縮合は、1,3−プロパンジオールがより有害でなく、非常に安定で、低コストで、市販されている材料であるとともに、石油化学原料または再生可能資源の使用によって調製することが可能であるのでオキセタンの使用より好ましい。
【0040】
好ましくは、1,3−プロパンジオールを得るために、再生可能資源の発酵作用を経由する生物ルートが用いられる。特に好ましい1種の再生可能資源はトウモロコシである。トウモロコシが容易に入手でき、1,3−プロパンジオールへの高い転化速度を有し、ジオールへの収率を改善するために遺伝的に修飾できるからである。典型的な生物転化プロセスは、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)に示されている。米国特許公報(特許文献5)は、単一微生物による1,3−プロパンジオールへの発酵可能炭素源の生物転化プロセスを教示している。米国特許公報(特許文献6)および米国特許公報(特許文献7)は、ジオールデヒドラターゼを符号化している外来遺伝子を収容する組換え型バクテリアによって1,3−プロパンジオールへのグリセロールの生物転化を示している。前述した特許は本明細書に引用して援用する。
【0041】
ポリトリメチレンエーテルジオールのコポリマーも用いることが可能である。例えば、こうしたコポリマーは、1,3−プロパンジオールをエタンジオール、ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどのもう1種のジオールと共重合することにより調製される。コポリマーの少なくとも50%は1,3−プロパンジオールからでなければならない。
【0042】
高分子量ポリトリメチレンエーテルジオールと低分子量ポリトリメチレンエーテルジオールのブレンドを用いることが可能であり、ここで、高分子量ジオールは1,000〜4,000のMnを有し、低分子量ジオールは150〜500のMnを有する。ジオールの平均Mnは、1,000〜4,000の範囲内であるのがよい。ジオールは、ポリトリメチレンエーテルジオールの重量を基準にして1〜20%の量でポリトリメチレンエーテルトリオールおよび他のより高い官能性のポリトリメチレンエーテルポリオールを含むことも可能である。
【0043】
ポリトリメチレンエーテルジオールと他の脂環式ヒドロキシル含有分枝オリゴマーまたは直鎖オリゴマーのブレンドを用いることが可能である。こうしたオリゴマーは、バルソッチ(Barsotti)らによる米国特許公報(特許文献8)で開示されている。この特許は本明細書に引用して援用する。ジオールの重量を基準にして30重量%までのこうしたオリゴマーを用いることが可能である。
【0044】
特にポリトリメチレンエーテルジオールを含有する本発明の組成物から形成された塗料は、従来のジオール、例えば、ポリテトラメチレンエーテルジオールおよびポリオキシプロピレンジオールから調製された塗料と比べてより良好なチップ抵抗特性を有する。
【0045】
有機ポリイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、アルキル化メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリエポキシド、シラン樹脂およびそれらの任意の混合物などの様々な架橋剤を本発明の新規組成物中で用いることが可能である。
【0046】
使用できる典型的に有用な有機ポリイソシアネート架橋剤には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートおよびイソシアネート付加体が挙げられる。
【0047】
使用できる適する脂肪族、脂肪環式および芳香族のポリイソシアネートの例には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート(「TDI」)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、(「H12MDI」)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート(「TODI」)、1,4−ベンゼンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(「NDI」)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、4,6−キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(「IPID」);、1,2−プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、オメガ−ジプロピルエーテルジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートなどの他の脂肪族または脂環式のジ−、トリ−またはテトラ−イソシアネート;、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造単位を有するポリイソシアネート;、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレチジオン、イソホロンジイソシアネートのウレチジオンなどのジイソシアネートの2分子の付加体;、およびエチレングリコールなどのジオール、ヘキサメチレンジイソシアネート3分子と水1分子の付加体;、ヘキサメチレンジイソシアネートの例えばアロファネート、トリマーおよびビウレット、イソホロンジイソシアネートの例えばアロファネート、トリマーおよびビウレット、およびヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレートが挙げられる。MDI、HDI、TDIおよびイソホロンジイソシアネートは商業的入手可能性のゆえに好ましい。
【0048】
トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネートなどの三官能性イソシアネートも用いることが可能である。「トロネート(Tolonate)」(登録商標)HDTとしてローディア・コーポレーション(Rhodia Corporation)から販売されているヘキサメチレンジイソシアネートのトリマーなどのジイソシアネートのトリマーおよびイソホロンジイソシアネートのトリマーも適する。
【0049】
脂肪族ポリイソシアネートとポリオールの付加体または脂肪族ポリイソシアネートとアミンの付加体などのイソシアネート官能性付加体を用いることが可能である。また、前述したポリイソシアネートのいずれもポリオールと合わせて用いて付加体を形成することが可能である。トリメチロールアルカン、特にトリメチロールプロパンまたはエタンなどのポリオールは付加体を形成するために用いることが可能である。
【0050】
ソフトレザー様タッチまたは感触を有する仕上げ塗りを形成する自動車およびトラックの内装のために有用な特に有用な塗料組成物は、ポリトリメチレンエーテルジオールおよび有機ポリイソシアネート架橋剤を含む。典型的には、こうした組成物は、約40〜90重量%のポリトリメチレンエーテルジオールと10〜60重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤とのバインダーを含む。オネイル(O’Neil)による米国特許公報(特許文献9)およびオネイル(O’Neil)による米国特許公報(特許文献10)には、こうした組成物が開示されている。これらの特許は本明細書に引用して援用する。ポリトリメチレンエーテルグリコールは、これらの特許で開示された塗料組成物のポリオール成分であることが可能である。こうした組成物は優れた外観、熱可塑性基材への良好な粘着性を有し、ソフトな感触を有するが、引掻きおよび擦傷を避けるのに十分な硬度をなお有し、このタイプの市販の組成物に匹敵する。
【0051】
架橋成分として使用できる典型的なアルキル化メラミンはモノマーまたはポリマーであり、比較的低い分子量を有する。使用できるアルコキシモノマーメラミンは、メタノール、プロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールなどの炭素原子数1〜5の1価アルコールと反応させた平均で3個以上のメチロール基を含む低分子量メラミンであり、2未満、好ましくは約1.1〜1.8の範囲内の平均重合度を有する。
【0052】
適するモノマーメラミンには、メチル化メラミン、メチル化ブチル化メラミン、ブチル化メラミン、イソブチル化メラミンおよびそれらの混合物などの高度にアルキル化されたメラミンが挙げられる。より特に、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ブチル化メラミンおよび混合されたメチル化メラミンとブチル化メラミンは好ましい。特に好ましいアルキル化メラミンには、「サイメル(Cymel)」(登録商標)301および302ならびに「レジメン(Resimene)」(登録商標)747、2.9の重合度を有する100%ブチル化メラミンであることが報告されている「サイメル(Cymel)」(登録商標)1156などのヘキサメトキシメチロールメラミンが挙げられる。メラミンの特に好ましい混合物は、50/50メチル化メラミン/ブチル化メラミンであることが報告されている「サイメル(Cymel)」(登録商標)1156と「レジメン(Resimene)」(登録商標)CE−4514である。
【0053】
典型的に有用なポリマーメラミンは、1.8の重合度を有する高度にメチル化されたメラミンである「サイメル(Cymel)」(登録商標)327である。「サイメル(Cymel)」(登録商標)328などの他のポリマーメラミンも用いることが可能である。
【0054】
これらのメラミンは、例えば、コネチカット州スタンフォードのサイテック・インダストリーズ(Cytec Industries Inc.(Stamford,CT))およびマサチューセッツ州スプリングフィールドのソルチア(Solutia Inc.(Springfield,MA))によって商業的に供給されている。
【0055】
ポリエポキシド樹脂も架橋成分として用いることが可能である。前述したポリエポキシド樹脂のどれも架橋成分として用いることが可能である。一般に、ポリエポキシドを架橋成分として用いる場合、ポリエポキシドは新規組成物の成分a.として用いられない。
【0056】
他の有用な架橋成分は、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドおよびウレアホルムアルデヒドである。
【0057】
シラン架橋成分も用いることが可能である。1種の有用なシラン架橋成分は、バインダーの重量を基準にして通常は0.1〜50重量%の量のアミノ官能性シラン架橋剤であり、好ましくは0.5〜10.0重量%のシランが用いられる。典型的に有用なアミノ官能性シランは式(XnR)aSi−(−OSi)y−(OR3bを有する。
式中、Xは−NH2、−NHR4およびSHよりなる群から選択され、nは1〜5の整数であり、Rは炭素原子数1〜22の炭化水素基であり、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基であり、aは少なくとも1であり、yは0〜20であり、bは少なくとも2であり、R4は炭素原子数1〜4のアルキル基である。
【0058】
典型的に有用なアミノ官能性シランは、
アミノメチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、δ−アミノブチルトリエトキシシラン、δ−アミノブチルエチルジエトキシシランおよびジエチレントリアミノプロピルアミノトリメトキシシランである。「シルクエスト(Silquest)」(登録商標)A1120として商業的に販売されているN−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよび「シルクエスト(Silquest)」(登録商標)A1130として商業的に販売されているジエチレントリアミノプロピルアミノトリメトキシシランは好ましい。これらのシランの両方は、コネチカット州ダンベリーのオシ・スペシャルティズ(OSi Specialties Inc.(Danbury,CT))によって販売されている。
【0059】
アミノシラン架橋剤を用いる時、技術上周知されている第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンなどの追加のアミノ官能性硬化剤が通常添加される。典型的には、ジエチルトリアミンおよびトリエチレンテトラアミンなどの第一アミン基を含む脂肪族アミンを添加することが可能である。トリス−(ジメチルアミノメチル)−フェノールなどの第三級アミンも用いることが可能である。
【0060】
新規組成物は、バインダーの重量を基準にして1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%、のアクリルNAD(非水分散)樹脂を含有することが可能である。これらのNAD樹脂は、典型的には、20〜100℃の間のTgを有する架橋済みアクリルコアを有する高分子量樹脂であり、低Tg安定剤セグメントがコアに結合されている。こうしたNAD樹脂の記載は、アントネリ(Antonelli)らによる米国特許公報(特許文献11)、アントネリ(Antonelli)らによる米国特許公報(特許文献12)およびバーソッチ(Barsotti)らによる米国特許公報(特許文献13)の中にある。これらの特許は本明細書に引用して援用する。
【0061】
典型的には、触媒は硬化時間を短縮し硬化温度を下げるために新規組成物中で用いられ、周囲温度での塗料の硬化を可能にする。典型的な触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジブロミド、トリフェニル硼素、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートキレート、ジブチル錫ジオキシド、ジブチル錫ジオクテート、錫オクテート、アルミニウムチタネート、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート;、エチルトリフェニルホスホニウムヨージドなどの炭化水素ホスホニウムハロゲン化物および他のこうしたホスホニウム塩、ならびに当業者に知られている他の触媒または他の触媒の混合物が挙げられる。
【0062】
新規組成物は典型的には溶媒系であり、吹き付けの用意が調った組成物のバインダーの典型的には30〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、より好ましくは60〜80重量%の固形物含有率を有する。新規組成物は、アクリル樹脂などの低分子量樹脂の反応性希釈剤を用いることにより固形物100%で配合してもよい。
【0063】
塗料組成物を形成するために、既知の有機溶媒のいずれを用いてもよい。典型的な溶媒には、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンおよびジイソブチルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチルおよび酢酸イソブチルなどのエステルが挙げられる。使用できる典型的なアルコールは、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第三ブタノールおよびジアセトンアルコールならびに上の任意のものの混合物である。アルコールは、イソシアネート架橋剤の存在下で用いられない。
【0064】
本発明の新規塗料組成物の利点は、低VOC(揮発性有機分)を有し、334g/l(2.8ポンド/ガロン)未満のVOCを有するように用意に配合することができ、現行の政府空気汚染規制を満たす特に240g/l(2ポンド/ガロン)未満のVOCへ容易に配合することができることである。
【0065】
組成物は、1/100〜350/100の顔料対バインダー重量比で顔料を含有することが可能である。組成物をプライマーとして用いる時、従来のプライマー顔料は、50/100〜350/100の顔料対バインダー重量比で用いられる。プライマー中で有用であるこうした顔料の典型は、二酸化チタン、燐酸亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、非晶質シリカ、高表面積シリカ、硫酸バリウム、タルク;、クロム酸カルシウム、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、クロム酸マグネシウム、クロム酸バリウムなどの耐腐食性のためのクロム酸塩顔料および中空ガラス球である。塗料組成物をベースコートまたはトップコート塗料組成物として用いる場合、アルミニウムフレークおよびアルミニウム粉末などの金属のフレークおよび粉末、被覆マイカフレーク、被覆アルミニウムフレーク、着色顔料および無機または有機の着色顔料などの特殊効果顔料を前述した顔料の1種と通常は組み合わせて用いてもよい。
【0066】
使用できる適する顔料および増量剤は、例えば、二酸化チタン、微小化二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料またはピロロピロール顔料のような無機または有機の着色用顔料である。特殊効果顔料の例は、例えばアルミニウムまたは銅から製造された金属顔料、二酸化チタン被覆アルミニウム、被覆マイカなどの干渉顔料、グラファイト特殊効果顔料およびフレーク状の酸化鉄である。増量剤の例は、二酸化珪素、硫酸バリウム、タルク、珪酸アルミニウムおよび珪酸マグネシウムである。
【0067】
新規塗料組成物を内装塗料として、または屋外暴露および/またはUV線への暴露を受けやすい塗料として用いようとする場合、塗料の耐候性およびUV耐久性は、バインダーの重量を基準にして0.1重量%〜10重量%の量の紫外線安定剤または紫外線安定剤の組み合わせの添加によって改善することが可能である。こうした安定剤には、紫外線吸収剤、スクリーナー、クエンチャー、および特殊ヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。酸化防止剤もバインダーの重量を基準にして0.1重量%〜5重量%の量で添加することが可能である。
【0068】
有用である典型的な紫外線安定剤には、ベンゾフェノン、トリアゾール、トリアジン、ベンゾエート、ヒンダードアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。紫外線安定剤の特定の例は、アントネリ(Antonelli)らによる米国特許公報(特許文献11)で開示されている。この特許の全体の開示は本明細書に引用して援用する。良好な耐久性のために、ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown,NY)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からすべて市販されている「チヌビン(Tinuvin)」(登録商標)928と「チヌビン(Tinuvin)」(登録商標)123のブレンドが好ましい。
【0069】
塗料組成物は従来の塗料添加剤を含有してもよい。添加剤は塗料中で使用可能な従来の添加剤を含む。こうした添加剤の例は、(メタ)アクリルホモポリマーに基づく平滑化剤、高分散シリカまたは高分子ウレア化合物などのレオロジー剤、部分架橋ポリカルボン酸またはポリウレタンなどの増粘剤、発泡防止剤、湿潤剤、OH官能性バインダーの架橋反応のための触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛などの有機金属塩;、およびポリイソシアネートとの架橋反応のためのトリエチルアミンなどの第三アミン基を含む化合物である。添加剤は、当業者に熟知された従来の量で用いられる。
【0070】
新規塗料組成物は、湿潤剤、平滑化剤、流動調整剤、例えば、「レジフロー(Resiflow)」(登録商標)S(ポリブチルアクリレート)、BYK(登録商標)320および325(高分子量ポリアクリレート)、BYK(登録商標)347(ポリエーテル変性シロキサン)ならびにヒュームドシリカなどのレオロジー調整剤などの従来の他の配合添加剤も含有してよい。
【0071】
成分a.に加えて、本発明による塗料組成物は、架橋成分c.と反応できる反応性希釈剤として更なる反応性低分子量化合物を含有してもよい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパンおよび1,6−ジヒドロキシエタンなどの低分子量ポリヒドロキシル化合物を用いてもよい。
【0072】
本発明による塗料組成物は、透明塗料組成物または顔料入り塗料組成物であってもよい。顔料入り塗料組成物は、個々の成分を互いに混合し、従来の方式で均質化するか、または粉砕することにより製造される。例えば、一定割合の成分a.および/または成分b.を顔料および/または増量剤ならびに塗料中の従来の添加剤および溶媒と最初に混合し、粉砕装置内で混合物を粉砕することにより進めることが可能である。
【0073】
架橋剤(成分c.)のタイプに応じて、新規組成物は、単一成分塗料組成物または二成分塗料組成物として配合してもよい。遊離イソシアネートを有するポリイソシアネートを架橋剤として用いる場合、塗料組成物は二成分系である。すなわち、成分a.およびb.は、被着の直前にのみポリイソシアネート成分と混合してもよい。遮断ポリイソシアネートおよび/またはアミノ樹脂を例えば架橋剤として用いる場合、塗料組成物は単一成分組成物として配合してもよい。塗料組成物は、被着させる前に有機溶媒により吹き付け粘度に原則として追加的に調節してもよい。
【0074】
典型的な二成分組成物において、二成分は被着の直前に互いに混合される。第1の成分は、反応性ヒドロキシル基を有するアクリルポリマーなどの反応性側基を有するポリマー、およびポリトリメチレンエーテルジオールならびに顔料を含有する。顔料はボールミル粉砕、サンドミル粉砕および摩砕機粉砕などの従来の分散技術を用いて第1の成分に分散させることが可能である。第2の成分は、ポリイソシアネート架橋剤および任意選択のアミノ官能性シラン架橋剤などの架橋剤ならびに任意選択の追加のアミン硬化剤および溶媒を含有する。
【0075】
本発明による塗料組成物は車両用塗料および工業用塗料のために適し、既知の方法、特に吹き付け被着を用いることにより被着させてもよい。車両用塗料の文脈において、塗料組成物は、車両本来の塗料のためと車両および車両パーツの補修塗料または塗換塗料のためとの両方のために用いてもよい。硬化温度は、用いられる架橋剤に応じて異なる。例えば、架橋剤がポリイソシアネートである場合、硬化は周囲温度で実行できるが、組成物は50〜150℃の高温で強制乾燥させることも可能である。アルキル化メラミンなどの熱架橋性薬剤のために用いられる典型的な焼き付け温度は、60〜160℃、好ましくは100〜140℃であり、元来の車両塗料のために一般に用いられる。20℃〜80℃、特に20℃〜60℃の硬化温度は、架橋剤が典型的にポリイソシアネートである車両補修塗料または車両塗換塗料のために用いられる。
【0076】
本発明による塗料組成物は顔料入り塗料または透明塗料として配合してもよい。本発明による塗料組成物は、多層塗料の外側顔料入りトップコート層の製造および多層塗料の充填剤および/またはプライマーコートの製造のために用いてもよい。本発明は、トップコート塗料組成物としてのならびに充填剤およびプライマー塗料組成物としての本発明による塗料組成物の使用ならびに多層塗料の製造のための方法であって、特に多層塗料の顔料入りトップコートならびに充填剤およびプライマーコートを本発明による塗料組成物によって製造する方法にも関連する。
【0077】
アルキル化メラミンホルムアルデヒドなどの熱活性化架橋剤は、反応性側基を有するポリマーおよびポリトリメチレンエーテルジオールを含有する塗料組成物に被着の前に随時直接添加することが可能である。塗料を被着させ高温で焼き付けた後まで架橋剤と他の成分との間の反応が存在しないからである。
【0078】
塗料組成物は、吹き付け、静電吹き付け、ディッピング、ブラシ掛けおよび流れ被覆などの従来の技術によって被着させることが可能である。典型的には、塗料は、50〜300マイクロメートル、好ましくは75〜200マイクロメートルの乾燥被膜厚さに被着させる。
【0079】
ポリマー、例えばアクリルポリマーにより配合された新規塗料組成物の硬化したクリア被膜(顔料を含まない被膜)は優れた弾性および硬度の特性を有し、硬化した被膜のTgは50℃を上回り、これは、組成物中で用いられるジオールが−75℃のTgを有するので驚くべきことである。理論に拘りたくない一方で、ポリトリメチレンエーテルジオールセグメントが改善された柔軟性を提供し、従って、改善されたチップ抵抗および所望の硬度を塗料に与えつつ、ポリマーが塗料に硬度を提供することが考えられる。
【0080】
プライマーに顔料を入れ配合し、硬化させた時、本発明の組成物は、高い優れた柔軟性、金属基材への良好な粘着性を有する仕上げ塗りを形成し、表面欠陥の良好な充填を提供し、被着および硬化から短時間後に容易にサンダー仕上げすることが可能であり、優れたストーンチップ抵抗を提供する。特に、塗料組成物は、周囲温度で良好な硬化応答および高温硬化条件で優れた硬化応答を有する。
【0081】
(実施例において用いられた試験手順)
(乾燥被膜厚さ−試験方法ASTM D4138
(グラベロメータ)
試験方法ASTM D3170に似ている。試験の前に最短で2時間にわたり−26℃〜−36℃で保持されたフリーザー内でパネルおよびストーンを状態調節して、90度のパネル角度を用いる。こうした凍結ストーンの1ピントを試験で用いる。更に、室温ストーンの3ピントを室温で貯蔵されたパネル上で用いて、追加の情報を提供する。パネルを1〜9で採点し、1は最悪(非常に酷いチッピング)および9は最良(殆どチッピングなし)である。任意選択的に、最大チップの面積(平方ミリメートル)も塗料の性能を評価する際に考慮する。
【0082】
(ペルソ硬度試験)
コネチカット州ウォリングフォードのバイク・マリンクロット(Byk−Mallinckrodt(Wallingford,CT))によって供給されるペルソ硬度試験器モデル番号5854(ASTM D4366)を用いることにより塗料の被膜硬度の変化を被着後の時間に対して測定した。振動の数[ペルソNo.と呼ばれる]を記録する。
【0083】
(硬度)
「フィッシャースコープ(Fischerscope)」(登録商標)硬度試験器を用いて測定した。[測定はニュートン/平方ミリメートルである]
【0084】
ポリマーのTg(ガラス転移温度)をASTM D−3418(1988)に準拠して決定する。
【0085】
ポリトリメチレンエーテルジオールの分子量およびヒドロキシル価をASTM E222に準拠して決定する。
【0086】
アクリルポリマーおよび他のポリマーの分子量MwおよびMnならびに多分散性(Mw/Mn)をポリスチレン標準および溶媒としてテトラヒドロフランを用いるGPC(ゲル透過クロマトグラフィ)によって決定する。
【0087】
ISO9001の規格に準拠してコンピュータ制御およびデータ整理のために修正され維持されたモデル1122「インストロン(Instron)」電子機械試験機で%破断点歪みおよび破断点エネルギーを得た。試験サンプルの幅は12.7mmであり、厚さは約0.1mmであった。厳密な厚さは校正されたマイクロメータで決定した。ゲージ長さは12.7mmであり、試験速度は5.0mm/分であった。すべての結果は周囲実験室条件下で得た。
【0088】
以下の実施例は本発明を例示する。すべての部および百分率は特に指示がない限り重量基準である。「PBW」という略語は重量部を意味する。
【実施例】
【0089】
(実施例1)
((ポリトリメチレンエーテルジオールAおよびB)の調製)
窒素入口、メカニカルスターラーおよび蒸留ヘッドが装着された5Lの三口丸底フラスコに1,3−プロパンジオール(3.4kg)および濃硫酸(30.4g)を入れた。反応混合物を通して窒素ガスを15分にわたり泡立たせた。窒素雰囲気下で攪拌しつつ重合を160℃で行った。受理フラスコに水留出液525gを集めた後、フラスコを真空ポンプに接続し、圧力を1〜5mmHgにゆっくり下げた。NMR末端基分析法を用いて異なる時間間隔でサンプルを分析することにより、得られた反応生成物の分子量を監視した。所望の分子量(約2,000)を得た後に重合を停止し、ポリマーを以下で記載するように精製した。
【0090】
粗ポリマーに等体積の水を添加し、反応混合物を100℃で約6時間にわたり還流させ、180rpmの攪拌速度を窒素雰囲気下で用いた。約6時間後、ヒーターおよび攪拌機を停め、混合物を放置して二相に分離した。トップ水相をデカントし、ポリトリメチレンエーテルジオール相を蒸留水でもう三回更に洗浄して、形成された酸およびオリゴマーの大部分を抽出した。ポリトリメチレンエーテルジオール中に残された残留酸を過剰の石灰で中和した。ポリトリメチレンエーテルジオールを減圧下で2〜3時間にわたり約100℃で乾燥させ、その後、「セライト(Celite)」(登録商標)濾過助剤でプレコートされた「ワットマン(Whatman)」濾紙を通して乾燥させたジオールを熱い間に濾過した。ポリトリメチレンエーテルジオールを分析し、特性を以下の表1に記載している。第2のポリトリメチレンエーテルジオールBを上のように調製し、特性を表1に示している。
【0091】
【表1】

【0092】
(プライマーミルベース組成物A〜Cの調製)
混合容器に以下の原料を投入することにより、プライマーミルベース組成物A、BおよびCを調製した。
【0093】
【表2】

【0094】
プライマーミルベース組成物A、BおよびCの各々の調製において、部分1を混合容器に投入し、15分にわたり攪拌した。部分2をプレミックスし、攪拌しつつ混合容器にゆっくり添加し、30分にわたり攪拌した。部分3をプレミックスし、攪拌しつつ混合容器にゆっくり添加し、60分にわたり攪拌した。部分4を添加し、15分にわたり攪拌し、得られた混合物を3パスについてガラス媒体を用いるトップフィードサンドミル内で3パスで粉砕した。プライマーミルベース組成物Cがポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないので、プライマーミルベース組成物Cは比較組成物であるとみなされる。
【0095】
得られたプライマーミルベースA〜Cは以下の特性を有する。
【0096】
【表3】

【0097】
吹き付け被着の直前に以下の原料を互いにブレンドすることにより活性化プライマー組成物A〜Cを調製した。
【0098】
【表4】

【0099】
得られた活性化プライマー組成物A〜Cは以下の特性を有する。
【0100】
【表5】

【0101】
約0.3〜0.6ミル(7.5〜15マイクロメートル)の商用塗換ウォッシュプライマー(以下で記載されたもの)で被覆された別個の冷間圧延鋼パネル上に吹き付けることにより、上で調製された活性化プライマー組成物A〜Cをそれぞれ被着させ、活性化プライマー組成物を周囲温度で硬化させた。硬化後、プライマー組成物の得られた乾燥被膜厚さは4〜7ミル(100〜178マイクロメートル)の範囲内であった。ペルソ硬度およびフィッシャー硬度をパネルの各々について測定し、以下の表2および3に示した。
【0102】
プライマーCパネルを再試験した(プライマーCはポリトリメチレンエーテルジオールを含有していなかった)。
【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
表2および3の上のデータは、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有していたプライマー組成物AおよびBが硬化すると硬度が高まったのに対して、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有していなかったプライマー組成物Cが硬化すると硬度が大幅には高まらなかったことを示している。ペルソ硬度データを含む表2は、ペルソ硬度がプライマー組成物AおよびBについて被着から3時間から24時間まで約2倍になったのに対して、プライマーCに関するペルソ硬度は若干高まったのみであったことを示している。フィッシャー硬度データを含む表3は、プライマー組成物AおよびBの硬度が18日および21日後にプライマー組成物Cの硬度の約2倍であることを示している。短時間で似た硬度値のゆえに、サンダー仕上げ性はプライマー組成物A〜Cについて似ていることが予想される。
【0106】
1/1体積比(615S120g/616S80gの重量比)で「バリプライム(Variprime)」(登録商標)615S(顔料入り成分)と「バリプライム(Variprime)」(登録商標)616S(希釈剤成分)を混合して、全固形物含有率28.43%、バインダー固形物8.39%、顔料対バインダー重量比239/100、VOC(#/ガロン)5.891およびガロン重量(#/ガロン)5.42を有する組成物を形成することにより、上の鋼パネルをプライマー処理するために用いられる商用塗換ウォッシュプライマーを配合する。プライマーのバインダーは、フェノール樹脂/ポリビニルブチラール樹脂/ニトロセルロース樹脂の組み合わせである。615Sの顔料部分は、重量による全配合組成物を基準にして5.3%の量でクロム酸亜鉛顔料を含有する。希釈剤(616S)は、全配合重量を基準にして2.2重量%の量で燐酸を含有する。615Sおよび616Sは、本願特許出願人から入手できる商用製品である。
【0107】
プライマー組成物A〜Cでプライマー処理された1つのパネル組を上のように調製した。パネルを放置して約24℃および相対湿度50%で一晩硬化させ、その後、400グリットのサンドペーパーでサンダー仕上げして、約4.0〜4.5ミル(102〜114マイクロメートル)の被膜構成をもたらした。パネルの各々を非活性化ブルーメタリックベースコート−「クロマベース(ChromaBase)(登録商標)ブルーメタリックベースコートN8112K(分散したアルミニウムフレーク顔料、フタロシアニンブルー顔料およびカーボンブラック顔料を含有するヒドロキシ官能性アクリルポリマー分散液)および「クロマシステムズ・ベースメーカー(Chromasystems Basemaker)7175S(有機溶媒中のアクリル樹脂、本願特許出願人から入手できる)で被覆した。N8112Kの1部を7175Sの1部と混合して、不活性化ベースコートを形成した。各パネルをクリアトップコート(本願特許出願人から市販されている「デュポン・クロマクリア(DuPont ChromaClear)」(登録商標)V−7500S 二成分ウレタンクリアコート)でトップコートした。
【0108】
もう一つのパネルをプライマー組成物Cで上のように調製し、ブルーメタリックベースコートを「クロマプレミア(ChromaPremier)(登録商標)12305Sイソシアネート活性剤で活性化させた。
【0109】
プライマー組成物A〜Cで被覆され上述したように調製された第2のパネル組を不活性化レッドベースコート−「クロマベース(ChromaBase)」(登録商標)レッドベースコートB8713K(「モナストラル(Monastral)」(登録商標)マゼンタ顔料分散液および「ペリンド(Perrindo)」(登録商標)レッド分散液を含有するヒドロキシ官能性アクリルポリマー分散液)および「クロマシステムズ・ベースメーカー(Chromasystems Basemaker)7175S(有機溶媒中のアクリル樹脂)で被覆した。B8731Kの1部を7175Sの1部と混合した。パネルの各々をクリアトップコート(上述したもの)で被覆した。
【0110】
ベースコートを「クロマプレミア(ChromaPremier)(登録商標)12305Sイソシアネート活性剤で活性化させたことを除き、もう一つのパネルをプライマー組成物Cで上のように調製した。
【0111】
上述したようなグラベロメータ試験を用いて、上で調製されたパネル組の各々のチップ抵抗を試験した。結果を以下の表4に示している。
【0112】
【表8】

【0113】
上のデータは、ブルーメタリックベースコートとレッドベースコートのパネルの両方に関して、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有していたプライマーAおよびBがポリトリメチレンエーテルジオールを含有していなかったプライマーCと比べて室温および低温でより高いグラベロメータチップ評点を有することを示している。両方の場合、プライマーCと組み合わせたブルーメタリックベースコートおよびレッド活性化ベースコートは、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有していたプライマーAと比べてチップ抵抗を大幅には高めなかった。通常、活性化ベースコートはチップ抵抗を高める。プライマーBは、非活性化ベースコートと合わせて用いられたプライマーCに比べて多少の改善を示している。これは、エチレンオキシドオリゴマーと組み合わせたポリトリメチレンエーテルジオールの添加がプライマーC中のエチレンオキシドオリゴマーのみの使用と比べてチップ抵抗を改善することを示している。
【0114】
(実施例2)
混合容器に以下の原料を投入し、原料を完全に混合することにより以下のクリア塗料組成物D、EおよびFを調製した。
【0115】
【表9】

【0116】
上で調製されたクリア塗料組成物D〜Fを電着鋼パネル上にドローダウンバーによりそれぞれ被着させて、2ミル(51マイクロメートル)の乾燥被膜厚さをもたらし、得られたクリア塗料組成物を約24℃の周囲温度で硬化させた。ペルソ硬度およびフィッシャー硬度を異なる時間にパネルの各々について測定し、以下の表5および6に示している。Tg、%破断点歪みおよび破断点エネルギーを約24℃および相対湿度50%で30日にわたる硬化後にクリア塗料組成物の各々について測定し、結果を以下の表7に示している。
【0117】
【表10】

【0118】
【表11】

【0119】
【表12】

【0120】
クリア塗料組成物Fは低Tgアクリルポリマー(Tg20℃)により処方された比較組成物である。クリア塗料組成物Eは高Tgアクリルポリマー(Tg68℃)により処方された比較組成物である。クリア塗料組成物Dは本発明の好ましい組成物であり、これも同じ高Tgアクリルポリマーにより処方された。クリア塗料組成物Dは許容できる硬度値(ペルソおよびフィッシャー)を有するが、塗料組成物EおよびFに比較してより耐久性のクリア塗料組成物に典型的に変換する著しくより高い%破断点歪みおよび破断点エネルギーを有し、これは自動車およびトラックで有用である。クリア塗料組成物Dと同じ高Tgアクリルポリマーを用いたが、ポリトリメチレンエーテルジオールを用いずにエチレンオキシドオリゴマーを用いたクリア塗料組成物Eは高い硬度を有するが、本発明を代表するクリア塗料組成物Dと比べて著しくより低い%破断点歪みおよび破断点エネルギーを有していた。
【0121】
(実施例3)
混合容器に以下の原料を投入し、原料を完全に混合することにより以下のクリア塗料組成物G〜Kを調製した。
【0122】
【表13】

【0123】
上で調製されたクリア塗料組成物G〜Kを電着鋼パネル上にドローダウンバーによりそれぞれ被着させた。クリア塗料組成物を約24℃の周囲温度で硬化させた。クリア塗料組成物の各々の得られた乾燥被膜厚さは1.8〜2.2ミル(46〜56マイクロメートル)の範囲内であった。
【0124】
約24℃および相対湿度50%で30日硬化した後のクリア被膜の各々のゲルフラクションおよびTgを測定し、結果を以下の表8に示している。
【0125】
【表14】

【0126】
クリア塗料被膜G−IおよびKのガラス転移温度(Tg)は非常に似ていた。クリア塗料Jは他のクリア塗料と比較して相対的に低いTgを有していた。クリア塗料被膜Hに可溶性の材料の比較的多い量は、この被膜がクリア塗料GおよびIに比較して、より劣った長期屋外耐久性を有することを示している。クリア塗料JおよびKは、クリア塗料GおよびIより多くの可溶性の材料を有し、これらもクリア塗料GおよびIほど良好な長期屋外耐久性を有することが予想されない。
【0127】
(実施例4)
(プライマーミルベース組成物L〜Pの調製)
混合容器に以下の原料を投入することによりプライマーミルベース組成物L〜Pを調製した。
【0128】
【表15】

【0129】
プライマーミルベース組成物L〜Pの各々の調製において、部分1を混合容器に投入し、15分にわたり攪拌した。部分2をプレミックスし、攪拌しつつ混合容器にゆっくり添加し、30分にわたり攪拌した。部分3をプレミックスし、攪拌しつつ混合容器にゆっくり添加し、60分にわたり攪拌した。部分4を添加し、15分にわたり攪拌し、得られた混合物を3パスについてガラス媒体を用いるトップフィードサンドミル内で3パスで粉砕した。プライマーミルベース組成物M〜Pがポリトリメチレンエーテルジオールを含有していないので、プライマーミルベース組成物M〜Pは比較組成物であるとみなされる。
【0130】
得られたプライマーミルベースL〜Pは以下の特性を有する。
【0131】
【表16】

【0132】
吹き付け被着の直前に以下の原料を互いにブレンドすることにより活性化プライマー組成物L〜Pを調製した。
【0133】
【表17】

【0134】
得られた活性化プライマー組成物L〜Pは以下の特性を有する。
【0135】
【表18】

【0136】
約0.3〜0.6ミル(7.5〜15マイクロメートル)の商用塗換ウォッシュプライマー(実施例1で記載されたもの)で被覆された別個の冷間圧延鋼パネル上に吹き付けることにより、上で調製された活性化プライマー組成物L〜Pをそれぞれ被着させ、活性化プライマー組成物を周囲温度で硬化させた。プライマー組成物の得られた乾燥被膜厚さは4〜7ミル(100〜178マイクロメートル)の範囲内であった。ペルソ硬度およびフィッシャー硬度をパネルの各々について測定し、以下の表9および10に示している。
【0137】
【表19】

【0138】
【表20】

【0139】
表9の上のデータは、プライマー組成物L〜Pが3時間後にほぼ同じペルソ硬度を有するが、1日後にプライマーL〜Nが、S Diolを含有し、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有しなかったプライマーOおよびPと比べて著しくより高い硬度レベルを有することを示している。表10の上のデータは、プライマー組成物L〜Nが、S Diolを含有し、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有しなかったプライマー組成物OおよびPと比べて1日後に比較的高い硬度値を有することを示している。7日後、S Diolを含有していたプライマー組成物Oがプライマー組成物L、M、NおよびPと比べて著しくより低い硬度値を有していた。
【0140】
プライマー組成物L〜Pでプライマー処理された一つのパネル組を上のように調製した。パネルを放置して約24℃および相対湿度50%で一晩硬化させ、その後、400グリットのサンドペーパーでサンダー仕上げし、得られた被膜構成は約4.0〜4.5ミル(102〜114マイクロメートル)であった。パネルの各々を非活性化レッドメタリックベースコート(実施例1に記載されたもの)で被覆した。各パネルをクリアトップコート(実施例1に記載された「デュポン・クロマクリア(DuPont ChromaClear)」(登録商標)V−7500S)でトップコートした。
【0141】
上述したようなグラベロメータ試験を用いて、上で調製されたパネルの各々のチップ抵抗を試験した。結果を以下の表11に示している。
【0142】
【表21】

【0143】
プライマーL(本発明)、プライマーMおよびプライマーNは似たグラベロメータチップ抵抗評点を有するのに対して、プライマーOおよびPは非常に低く、許容できないグラベロメータチップ評点を有する。最大チップのサイズも考慮すべき事項である。本発明のプライマーLは最小サイズのチップを有し、顕著により大きなチップサイズを有していたプライマーMおよびNと比べて最善の性能を有することが考えられる。プライマーOおよびPをチップサイズについて採点しなかった。グラベロメータチップ評点が劣っていたからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランおよびそれらの混合基よりなる群から選択される側基を有し、および10〜−80℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種のポリマーであって、前記側基が架橋剤c.と反応性であるポリマー、
b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオール、および
c.有機ポリイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、アルキル化メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリエポキシド、シラン樹脂およびそれらの任意の混合物よりなる群から選択される架橋成分
を含む被膜形成バインダーを含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールが1,000〜3,000のMn、約−75℃のTgおよび20〜200のヒドロキシル価を有することを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
前記バインダーが、
a.10〜80重量%の反応性側基を有する少なくとも1種のポリマー、
b.1〜50重量%のポリトリメチレンエーテルジオール、
c.10〜50重量%の架橋剤
を含み、ここで前記パーセントは前記バインダーの重量を基準にしており、a、bおよびcのパーセントの合計は100%であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項4】
反応性基を有する前記ポリマーがアクリルポリマーであり、前記反応性基がヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基、アミノ基、シラン基およびそれらの任意の混合基よりなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリマーが5,000〜50,000の重量平均分子量および10℃〜80℃のTgを有し、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、アルキル基中に3〜12個の炭素原子を有する環式または分枝アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択されるモノマーの重合物およびアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸よりなる群から選択されるイソシアネートと反応性の基を提供するモノマーの重合物から本質的になることを特徴とする請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項6】
前記アクリルポリマーが300〜800のヒドロキシル当量を有し、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレートスチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるモノマーの重合物、およびアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから本質的になるモノマーの重合物から本質的になることを特徴とする請求項5に記載の塗料組成物。
【請求項7】
前記アクリルポリマーがスチレン、エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから本質的になることを特徴とする請求項6に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記架橋剤が脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、三官能性イソシアネートおよびイソシアネート付加体よりなる群から選択される有機ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートがイソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルトリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、トルエントリイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの三量体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項10】
側基を有する前記ポリマーがヒドロキシル基、カルボキシル基およびこれらの混合基よりなる群から選択される側基を有するポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項11】
側基を有する前記ポリマーがヒドロキシル基、カルボキシル基およびこれらの混合基よりなる群から選択される側基を有するポリエステルウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項12】
側基を有する前記ポリマーがヒドロキシル側基およびエポキシド側基を有するポリエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項13】
側基を有する前記ポリマーがヒドロキシル基、カルボキシル基およびこれらの混合基よりなる群から選択される側基を有するポリエーテルウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項14】
側基を有する前記ポリマーがポリ(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項15】
側基を有する前記ポリマーがヒドロキシル基、カルボキシル基およびそれらの混合基よりなる群から選択される側基を有するポリアクリロウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項16】
側基を有する前記ポリマーがポリカーボネートであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項17】
式(XnR)aSi−(−OSi)y−(OR3b
(式中、Xは−NH2、−NHR4およびSHよりなる群から選択され、nは1〜5の整数であり、Rは1〜22個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R3は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、aは少なくとも1であり、yは0〜20であり、bは少なくとも2であり、R4は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)
を有するアミノ官能性シラン架橋剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項18】
第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンよりなる群から選択される少なくとも1種の追加のアミノ官能性化合物を含有することを特徴とする請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項19】
前記アミノ官能性シランがN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびジエチレントリアミノプロピルアミノトリメトキシシランよりなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の塗料組成物。
【請求項20】
前記架橋剤がメラミンホルムアルデヒドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項21】
前記架橋剤がアルキル化メラミンホルムアルデヒドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項22】
前記架橋剤がベンゾグアナミンホルムアルデヒドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項23】
前記架橋剤がウレアホルムアルデヒドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項24】
前記架橋剤がポリエポキシドを含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項25】
前記架橋剤がシラン樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項26】
1/100〜350/100の顔料対バインダーの重量比で顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項27】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールに加えて分枝オリゴマーまたは直鎖オリゴマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項28】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールが生物転化プロセスにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項29】
イソシアネート部分と反応性である側基ならびに10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーおよび500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールの成分Aと、
有機ポリイソシアネート架橋剤の成分Bと
を含む二成分塗料組成物であって、
前記成分AおよびBは基材への被着の前に完全に混合されることを特徴とする二成分塗料組成物。
【請求項30】
a.ヒドロキシル、カルボキシル、グリシジル、アミン、アミド、シランおよびそれらの混合基よりなる群から選択される側基を有し、および10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種のポリマーであって、前記側基が架橋剤c.と反応性であるポリマー、
b.ジオールの重量を基準にして少なくとも50重量%の1,3−プロパンジオールの重合物およびジオールの重量を基準にして50重量%までのもう1種のアルカンジオールの重合物を含み、500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールのコポリマー、および
c.有機ポリイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、アルキル化メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、ウレアホルムアルデヒド、ポリエポキシド、シラン樹脂およびそれらの任意の混合物よりなる群から選択される架橋成分
の被膜形成バインダーを含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項31】
60重量%までの溶媒を含有することを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項32】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールのコポリマーが、1,000〜3,000のMn、約−75℃のTgおよび20〜200のヒドロキシル価を有することを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項33】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールのコポリマーが高分子量エーテルジオールと低分子量エーテルジオールとのブレンドであり、前記高分子量ジオールが1,000〜4,000のMnを有し、前記低分子量ジオールが150〜500のMnを有し、前記ブレンドの平均Mnが1,000〜3,000であることを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項34】
側基を有する前記ポリマーが5,000〜50,000の重量平均分子量および30℃〜80℃のTgを有し、および、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、アルキル基中に3〜12個の炭素原子を有する環式または分枝アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択されるモノマーの重合物、およびアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸よりなる群から選択されるイソシアネートと反応性の基を提供するモノマーの重合物から本質的になるアクリルポリマーからなることを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項35】
前記アクリルポリマーが300〜800のヒドロキシル当量を有し、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドよりなる群から選択されるモノマーの重合物およびアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなるモノマーの重合物から本質的になることを特徴とする請求項34に記載の塗料組成物。
【請求項36】
前記アクリルポリマーがスチレン、エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから本質的になることを特徴とする請求項35に記載の塗料組成物。
【請求項37】
前記架橋成分が脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、三官能性イソシアネートおよびイソシアネート付加体よりなる群から選択されるポリイソシアネートを含むことを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項38】
1/100〜300/100の顔料対バインダーの重量比で顔料を含有することを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項39】
バインダーを含む塗料組成物であって、前記バインダーが500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールを前記バインダーの重量を基準にして約40〜90重量%、および有機ポリイソシアネート架橋剤を前記バインダーの重量を基準にして10〜60重量%含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項40】
請求項1に記載の塗料組成物の層で被覆された基材を含むことを特徴とする被覆済み基材。
【請求項41】
前記基材がスチールおよびアルミニウムよりなる群から選択されることを特徴とする請求項40に記載の被覆済み基材。
【請求項42】
クリアコート/顔料入りベースコートおよび顔料入りトップコートよりなる群から選択されるトップコーティングを含むことを特徴とする請求項40に記載の被覆済み基材。
【請求項43】
請求項1に記載の組成物の第1の層を基材に被着させ、前記層を乾燥させ、塗料組成物の少なくとも1つの追加の層を前記第1の層に被着させ、前記両層を硬化させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの追加の層が顔料入りカラーコートおよびクリアコートを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項30に記載の組成物の第1の層を基材に被着させ、前記層を乾燥させ、塗料組成物の少なくとも1つの追加の層を前記第1の層に被着させ、前記両層を硬化させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの追加の層が顔料入りカラーコートおよびクリアコートを含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
自動車ボディ上の損傷した塗料を塗り換える方法であって、請求項2に記載の顔料入り塗料組成物の層を損傷した塗料に被着させ、前記層を少なくとも部分的に硬化させ、その後、顔料入りトップコートの第2の層または顔料入りベースコートの層およびクリアコートの層を被着させ、すべての層を硬化させて仕上げ塗りを形成することを含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−520842(P2006−520842A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507431(P2006−507431)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008644
【国際公開番号】WO2004/085558
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】