説明

ポリプロピレン−ポリ塩化ビニル−及びポリスチレン容器に対するアルミニウムシート及びポリエチレンテレフタラートシート用のヒートシール材料

本発明は、ポリマータイプA、ポリエステル又はポリエステル混合物を含有し、ポリマータイプB、標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートホモポリマー及び/又はコポリマーを含有し、ポリマータイプAB、ポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトコポリマーを有し、場合によりポリマータイプC、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーを有し、ポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有し、場合により、ポリマータイプD及び/又はポリマータイプDAを含有することを特徴とする、塗膜形成する分散液を含有する異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食料品及び錠剤を包装する分野において、ポリスチレン(PS)及びポリ塩化ビニル(PVC)の他に、数年来ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタラート(PET)も使用されている。前処理していないポリプロピレンは、塗料分野において極めて重要なプラスチックである、それというのもこれはしばしば接着強さの問題を引き起こすためである。この問題はポリプロピレンに対するヒートシールの際にはいくらか性質が異なるが(PPはここでは被覆されるのではなく、「接着」される)、しかしながら同様の問題が存在する。ポリスチレン又はPVCシールの際に有効であるとされているポリ(メタ)アクリラート樹脂、例えば DEGALAN(R) P 24又はDEGALAN(R) N 80は使用できない、それというのも前記樹脂とのシールシーム強度は達成できないためである。
【0002】
DEGALAN(R) P 24は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ブチルとからなるコポリマーであり、Roehm GmbH & Co. KG社により市販されている。DEGALAN(R) N80は、アクリル酸メチル−メタクリル酸エチル−コポリマーであり、同様にRoehm GmbH & Co. KG社により市販されている。
【0003】
DEGALAN(R) PM 555(製造元:Roehm GmbH & Co. KG)(酢酸ブチル/メチルエチルケトン中のポリオレフィン/ポリ(メタ)アクリラートをベースとする特別な溶剤含有の結合剤系)によって、アルミニウムシートをポリプロピレンに対してシールするために特に適している結合剤を開発することに成功した。更に、DEGALAN(R) PM 555を用いて、同様にポリスチレン及びPVCに対する良好なシールを実施することもできる。DEGALAN(R) PM 555はアルミニウム付着を達成するために、PVCコポリマー、例えばVINYLITE(R) VMCHで下塗りしなければならないが、相応する組み合わせで単層系として使用することもできる。VINYLITE(R) VMCHは酸含有PVCポリマーである(販売元:Union Carbide)。
【0004】
DEGALAN(R) 4150-E(製造元:Roehm GmbH & Co. KG)は、最終的に、酢酸ブチル及びメチルエチルケトンからなる今まで通常の溶剤含有の結合剤系の代わりに、HAPSリスト(有害大気汚染物質;Hazardous Air Pollutants)に掲載されていない溶剤系を使用することができるように、アルミニウムシート及びプラスチックシート用の公知のヒートシール材料を改善するために開発された。
【0005】
先行技術
食料品包装において木材又は無機材料、例えば金属、ガラス、セラミックからなる容器の代わりに、現在では多様なプラスチック製品が使用されている。前記容器を食料品の収容又は保存のために利用する場合には、どんな場合でも前記要求は特に高い。
【0006】
脱水、凍結又は滅菌による食品保存の重要な観点は、微生物生長の完全な抑制である。このことから、しばしば前記容器は気密にシールする必然性が生じる。更に、プラスチック容器の場合に、機械的安定性、含水量の制御並びに大気及び光の影響を考慮しなければならない。(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 25th Ed. Vol. A11, 523 - 560; 583 - 618 VCH 1988参照;そこには現行の規格も記載されている)。プラスチック容器を閉鎖するために、食料品工業において、特に乳製品、例えばヨーグルト容器の場合に、一般にシール塗料で被覆されたアルミニウムカバーが使用される。
【0007】
しばしば、この種のアルミニウムカバーは三層ラミネートであり、このラミネートの外側層は(二軸延伸した)ポリエチレンテレフタラート(O−PET)、二軸延伸したポリプロピレン(OPP)又はポリアミド(O−PA)又はセルロースからなることが多い。このヒートシール可能な内側層は、それに対して通常ではポリエチレン、エチレン共重合体又はポリプロピレン(US-A 4 753 708; G. Stehle著, Neue Verpackung 9/91, p. 94 -101)からなる。しかしながら、例えば食料品の包装のためにアルミニウムを使用することに対して、次第に経済的及び環境的理由、特にアルミニウムの製造時の高いエネルギーコストが議論されている。従って、シール可能な塗料を備えているアルミニウムの代わりにプラスチックシートも使用されている。前記シール塗料は、この場合、使用されたプラスチックに適合される。良好な機械強度及び良好な遮断特性を有する、シール可能なシート用の比較的安価な材料として、硬質PVCが特に重要な役割を有し、その際、シール塗料層として、通常ではアクリル樹脂が利用され、この接着強度及び溶融点は添加剤により適切に変性することができる。PETシートは重要性を増してきている。通常では、PETシートはポリ塩化ビニル又はポリエチレン/ポリ酢酸ビニル又はポリエステル塗料を用いてシールされる。これらの系は、しかしながらPET支持材料のシールのために特別に開発されたもので、複合材シート上のアルミニウムシート又はアルミニウム被覆のシールのために限定的に適しているだけである。今日まで、適切な調製物で、アルミニウムシート又はアルミニウムシート被覆のシールのためにも、PETシート又はPETシート被覆のシールのためにも適しているヒートシール結合剤は公知でない。
【0008】
DE-A 35 31 036では、同時押出により製造されたプラスチックシートが記載されていて、このプラスチックシートは耐衝撃性ポリスチレン、ブロック共重合体及び滑剤からなるシール可能な層からなる。
【0009】
EP-A 0 406 681では、しかしながら当然、アルミニウムシートの代わりにヒートシール可能なプラスチックシートを使用する場合の問題点が示唆されている。限定的に、一般に著しく狭い加工幅が認められる。主に、問題ない製品及びシールされた包装の欠点のない使用を保証するために、かなり一定に保持しなければならない10℃〜20℃の極めて狭い加工領域が生じる。容器に同時に充填するための複数のキャビティを有する充填装置の場合に、前記の前提条件は常に満たされるわけではない。EP-A 0 406 681は、DE-A 35 31 036による同時押出法により製造されたポリスチレンベースのシートを特に前記加工幅を広げかつ加工信頼性を高めるように改善するという課題を課している。更に、複数の充填キャビティを備えた充填装置でも問題のない製品が保証されることが望ましい。実際に、これにより、プラスチックシートの品質に関して相応する要求と共に、比較的高いシール温度を適用する結果となる。このEP-A 0 406 681によると、前記要求は、2つの層A及びC及び場合により層B並びに場合によりそれぞれ2つの層A、場合によりB及びCの接着のための接着剤Dのそれぞれの層からなる、同時押出法又はラミネートにより製造されたシール可能なプラスチックシートにおいて、ヒートシール可能な耐衝撃性のポリスチレンからなる層A1%〜50%、支持層B95%まで、及び高温で溶融するプラスチック層C1%〜99%からなり、その際、A及び場合によりB及びCの厚さ又は質量の合計はそれぞれ100である。
【0010】
DE 101 50 898(Roehm)は、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーA、メタクリラートコポリマーB及び上記成分からなるグラフトコポリマーAX並びに溶剤又は溶剤混合物からなるヒートシール系に関する。このヒートシール系は、高い熱安定性及び短いシール時間を特徴とする。(メタ)アクリラートという表現は、ここでは、メタクリラート、例えばメチルメタクリラート、エチルメタクリラート等も、アクリラート、例えばメチルアクリラート、エチルアクリラート等も、この両方からなる混合物をも意味する。
【0011】
課題
本発明の課題は、適当なポリマーの開発及び調製により、PETシート又はPET被覆されたシートを異なる容器材料に対してシールするために適したヒートシール塗料を実現することであった。
【0012】
第1の課題は、PETシート又はPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル又はポリ塩化ビニルのような容器材料に対してシールするために適した結合剤を開発することであった。この挙げられたポリエステルは、例えば非晶質ポリエチレンテレフタラート(A−PET)であることができる。
【0013】
更に、プラスチックシートのヒートシールの際に適用される通常のサイクル時間で、シールの十分に高い強度を達成するという課題も生じた。
【0014】
第2の課題は、アルミニウムシート並びPETシート又はアルミニウム被覆されたシート並びにPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はポリ塩化ビニルのような使用されたあらゆる容器材料に対してシールするために適したヒートシール塗料結合剤を開発することであった。このシールは、このために、両方のシート材料に対して、アルミニウムシートに対して既に確立されたヒートシール系(例えばDegalan(R) PM 555)よりも、改善されたシール特性及びバリア特性を提供しなくても、少なくとも同等のシール特性及びバリア特性を提供するのが好ましい。更に、この結合剤は、アルミニウムシートに対して確立された系と比べて、少なくとも同じ値のシール性能を有するべきである。
【0015】
更に、シール直後に比較的高い温度で既に高い接着強度(高い耐熱性)を達成するという課題が生じる、それというのも、シートのシールの際及び食料品包装装置の際の短いサイクル時間が達成されるためである。
【0016】
解決策
前記課題は、塗膜形成する分散液を有する、異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系において、ポリマータイプA、ポリエステル又はポリエステル混合物を含有し、ポリマータイプB、標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートホモポリマー及び/又は(メタ)アクリラートコポリマーを含有し、ポリマータイプAB、ポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトコポリマーを含有し、かつポリマータイプA、B及びABの全質量に対して、ポリマータイプAの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプBの量は5質量%〜70質量%であり、ポリマータイプABの量は5質量%〜60質量%であり、かつポリマータイプA、B及びABの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系により解決される。
【0017】
この異なる種類の基材をヒートシールするために適したヒートシール可能な被覆系は、ポリエステルシート又はPET被覆されたシートをポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリエステルに対して極めて良好にヒートシールすることが見出された。
【0018】
前記系に、ポリマータイプC、ポリオレフィンポリマー又はオレフィンコポリマー及び/又はポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを添加する場合に、意外にもポリエステルシート及びアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート及びPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、またポリプロピレン及びポリエチレンに対してもヒートシールすることができる。
【0019】
ポリマータイプA、イタコン酸の共重合のもとで製造されたポリエステルが有利である。
【0020】
意外にも、塗膜形成する分散液を有する被覆系において、ポリマータイプAはイタコン酸の共重合のもとで製造されたポリエステルであり、ポリマータイプBは標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートホモポリマー及び/又は(メタ)アクリラートコポリマーであり、ポリマータイプABはポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトコポリマーであり、かつ
ポリマータイプA、B及びABの全質量に対して、ポリマータイプAの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプBの量は5質量%〜70質量%であり、ポリマータイプABの量は5質量%〜60質量%であり、かつ
ポリマータイプA、B及びABの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であり、
ポリエステルシート及びアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート及びPET被覆されたシートをポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールする、異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な優れた系であることを特徴とする、被覆系が見出された。
【0021】
ポリマータイプA、イタコン酸の共重合のもとで製造されたポリエステルを含有し、
ポリマータイプB、標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートホモポリマー及び/又は(メタ)アクリラートコポリマーを含有し、
ポリマータイプAB、ポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトコポリマーを含有し、
ポリマータイプC、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーを含有し、かつ
ポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有し、場合により
ポリマータイプD、ポリ塩化ビニルを含有し及び/又は
ポリマータイプDA、ポリアミドを含有し、
ポリエステルシート及びアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート及びPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、またポリプロピレン及びポリエチレンに対しても良好にヒートシールする被覆系が見出された。この場合、ポリマータイプA、B、AB、C、CB、D及びDAの全質量に対して、
ポリマータイプAの量は5質量%〜60質量%であり、
ポリマータイプBの量は5質量%〜70質量%であり、
ポリマータイプCの量は5質量%〜60質量%であり、
ポリマータイプABの量は5質量%〜60質量%であり、
ポリマータイプCBの量は5質量%〜60質量%であり、
ポリマータイプDの量は0質量%〜10質量%であり、
ポリマータイプDAの量は0質量%〜10質量%であり、
ポリマータイプA、B、AB、C、CB、D及びDAの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5である被覆系が見出された。
【0022】
プラスチックシートのヒートシールの際に適用される通常のサイクル時間で、シールの十分に高い強度を達成することが見出された。
【0023】
このシールは、両方のシート材料に対して、アルミニウムシートに対して既に確立されたヒートシール系(例えばDEGALAN(R) PM 555)と同等のシール特性及びバリア特性を示す。
【0024】
シール直後で比較的高い温度で既に高い接着強度が達成された(高い熱安定性)。従って、シールの際に短いサイクル時間を達成できる。
【0025】
ポリマータイプA
ポリマータイプAとして、本発明の場合に、モノマー構成単位としてイタコン酸を特徴とするコポリエステルが使用される。本発明の範囲内で、このコポリエステルは、線状又は分枝状の構造を有し、
− 5〜150mg KOH/g、有利に10〜50mg KOH/gのOH価、
− 10mg KOH/g以下、有利に5mg KOH/g以下、特に有利に2mg KOH/g以下の酸価、
− 700〜25000g/mol、有利に2000〜12000g/molの数平均分子量を特徴とする。
【0026】
本発明によるポリエステル中のイタコン酸の含有量は、使用されたポリカルボン酸の全体量に対して、0.1Mol%〜20Mol%、有利に1Mol%〜10Mol%、更に特に有利に2Mol%〜8Mol%の範囲内にある。その他の点で、本発明によるコポリエステルについて使用されるポリカルボン酸の種類はそれ自体任意である。脂肪族及び/又は環式脂肪族及び/又は芳香族ポリカルボン酸を含有することができる。ポリカルボン酸とは、有利に1以上の特に有利に2以上のカルボキシル基を有する化合物であると解釈され、一般的な定義とは異なり、特別な実施態様においてモノカルボン酸であるとも解釈される。
【0027】
短鎖を有する脂肪族ポリカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸である。環式脂肪族ポリカルボン酸の例は、シクロヘキサンジカルボン酸の異性体である。芳香族ポリカルボン酸の例は、ベンゼンジカルボン酸の異性体及びトリメリト酸である。場合により、遊離ポリカルボン酸の代わりに、そのエステル化可能な誘導体、例えば相応する低級アルキルエステル又は環式無水物を使用することもできる。
【0028】
本発明によるヒドロキシルポリエステルについて使用されるポリオールの種類はそれ自体任意である。脂肪族及び/又は環式脂肪族及び/又は芳香族ポリオールを含有することができる。ポリオールとは、有利に1以上の、特に有利に2以上のヒドロキシル基を有する化合物であると解釈され、一般的な定義とは異なり、特別な実施態様においてモノヒドロキシ化合物であるとも解釈される。
【0029】
ポリオールの例は、エチレングリコール、プロパンジオール−1,2、プロパンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,5、ヘキサンジオール−1,6、ノナンジオール−1,9、ドデカンジオール−1,12、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール−1,3、メチルプロパンジオール−1,3、メチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスロール及びこれらの混合物である。
【0030】
芳香族ポリオールとは、芳香族ポリヒドロキシ化合物、例えばヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシナフタリン等とエポキシド、例えば酸化エチレン又は酸化プロピレンとの反応生成物であると解釈される。ポリオールとして、エーテルジオール、つまり例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はブタンジオール1,4をベースとするオリゴマー又はポリマーを含むこともできる。特に、線状の脂肪族グリコールが有利である。
【0031】
ポリオール及びジカルボン酸の他に、ヒドロキシルポリエステルの合成のためにラクトンを使用することもできる。
【0032】
使用したポリカルボン酸の全体量に対して、0.1Mol%〜20Mol%、有利に1Mol%〜10Mol%、更に特に有利に2Mol%〜8Mol%のイタコン酸含有量を有する本発明によるコポリエステルは、(重)縮合反応について確立された技術で製造される。
【0033】
タイプAのポリマー及び開始剤の同時の存在で、成分Bを生じるモノマーを重合することもできる。
【0034】
本発明による混合物中で、グラフト反応の前に使用されるポリマータイプAの量は10質量%〜90質量%、有利に25質量%〜75質量%、特に有利に40質量%〜60質量%である。
【0035】
本発明による混合物中で、前記反応の後に存在するポリマータイプAの量は、5質量%〜60質量%、有利に5質量%〜50質量%、特に有利に5質量%〜40質量%である。
【0036】
ポリマータイプB
このポリマータイプBは、グラフト共重合体ABの合成の際の副生成物として生じることができる。生成物成分AB中のB鎖の組成は、同様に次の記載に相応する:
ポリマータイプ又は鎖セグメントBは、限定通りにポリアクリラート配列及び/又はポリメタクリラート配列からなる。これは、例えば相応するホモポリマー又はコポリマーの形で溶剤系L中に可溶性であると考えられる。このポリマーBは、一般に50質量%より多く、有利に80質量%〜100質量%まで一般式I
【化1】

[式中、R1は水素又はメチルを表し、R2はアルキル基、1〜30個の炭素原子を有する、有利に1〜20個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族基を表す]のモノマーから構成されている。
【0037】
ポリマーB中には、更に次のものが含まれていてもよい:
式II
【化2】

[式中、R′1は水素又はメチルを表す]のモノマー又は/及び重合可能な酸無水物及び/又は式III
【化3】

[式中、R″1は水素又はメチルを表し、Zは場合によりアルキル置換されたフェニル基、−COR3基、
【化4】

−OR4基又は塩素原子を表し、その際R3及びR4は1〜20個の炭素原子を有する場合により分枝したアルキル基又はフェニル基を表し、nは0又は1を表す]のモノマー及び/又は式IV
【化5】

[式中、R5及びR6は水素又は基−COOR′7、R6は水素又は基−CH2COOR″7を表し、ただし、式IVの化合物は2個のカルボキシル含有基を含有しなければならず、かつその際、R7、R′7及びR″7は水素又は1〜20個の炭素原子を有する場合により分枝したアルキル基又はフェニルを表す]のモノマー。このポリマーBは、場合により、式V
【化6】

[式中、R″′1はR1の意味を有し、Bsは窒素含有の官能基、例えば−CN基、基−CONR910(その際、R9及びR10は相互に無関係に水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を表すか又はR9及びR10は前記窒素を含めて複素環式の5員環又は6員環を形成するか、又はBsは(不活性の)複素環式基、特にピリジン基、ピロリジン基、イミダゾール基、カルバゾール基、ラクタム基又はアルキル化されたこれらの誘導体を表すか、又はBsは−CH2OHを表すか、又はBsは
−COO−Q−R11
を表し、その際、Qは場合によりアルキル置換された2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基、R11は−OH、−OR″′7又は基−NR′9R′10を表し、その際、R″′7、R′9及びR′10は、R7、R8及びR9と同様の意味を表し、例えば窒素原子と一緒に、場合により他のヘテロ原子を含めて5員環又は6員環の複素環式の環を形成する]のモノマーの成分を有することができる。
【0038】
一般式Iのモノマーの例として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸イソブチルが挙げられる。式Iのモノマーは、標準メタクリラートもいわれる。
【0039】
式IIのモノマーの例としてアクリル酸又はメタクリル酸が挙げられる。
【0040】
式III又は式IVのモノマーの例として、特にスチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ビニルメチルケトン、ビニルイソブチルエーテル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルイソブチルエーテル、アリルメチルケトン、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジラウリル、イタコン酸ジブチルが挙げられる。ポリマーBに対する式II〜Vのモノマーの割合は、一般に0質量%〜50質量%、有利に0質量%〜20質量%である(ポリマーBのモノマーに対して)。ポリマーBに対する式II及び/又はVのモノマーの割合は、一般に20質量%を超えず、一般に0質量%〜10質量%、有利に0質量%〜5質量%である。
【0041】
個別に、このポリマーBは有利に所望の技術的機能に関して割合及び組成について選択される。
【0042】
重合の後にポリマータイプBを形成する、本発明の混合物中で使用されるモノマーの量は、10質量%〜90質量%、有利に25質量%〜75質量%、更に特に有利に40質量%〜60質量%である。
【0043】
本発明による混合物中で、前記反応の後に存在するポリマータイプBの量は、5質量%〜70質量%、有利に5質量%〜60質量%、特に有利に5質量%〜40質量%である。
【0044】
ポリマータイプC
Cに相応する、本発明により使用すべきオレフィンポリマー及びオレフィンコポリマーは自体公知である。これは、第1にエチレン−、プロピレン−、ブチレン−及び/又は5〜20個のC原子を有する他のα−オレフィンから構成された重合体であり、これは既にシール可能な材料として推奨されている。この分子量は、一般に10000〜300000、有利に50000〜150000である。適用されるべきタイプのオレフィンコポリマーは、例えばドイツ国特許公開明細書のDE-OS 16 44 941, DE-OS 17 69 834, DE-OS 1939 037, DE-OS 19 63 039及びDE-OS 20 59 981に記載されている。
【0045】
オレフィンポリマーとして、例えばBuna(R) 6170(製造元:Lanxess AG)を使用することもできる。
【0046】
エチレン−プロピレン−コポリマーが特に有利に使用可能であり;同様に公知の第三成分、例えばエチリデン−ノルボルネンの添加下でのターポリマー(Macromolecular Reviews, Vol. 10 1975参照)も可能であるが、しかしながら、これは老化過程で架橋する傾向を考えに入れておかなければならない。この分布は、この場合、十分に統計学的であることができるが、有利にエチレンブロックを有する配列ポリマーを使用することもできる。モノマーのエチレン−プロピレンの割合は、この場合、所定の限度の範囲内で可変であり、この範囲は上限としてエチレンについて約95%で及びプロピレンについて約95%で区切ることができる。
【0047】
本発明による混合物中で使用されるポリマータイプCの量は、5質量%〜60質量%、有利に20質量%〜55質量%、特に有利に25質量%〜55質量%である。
【0048】
ポリマータイプAB
グラフト重合体ABの製造
グラフト共重合体ABの本発明による製造方法は、適当な、更に下記の開始剤と、タイプAのポリマー中のイタコン酸繰返単位の二重結合との反応により、(メタ)アクリラートのラジカル重合のための反応(ラジカル)中心が形成されることにより特徴付けられる。反応中心とは、ラジカル重合のために1つ又は複数の開始剤単位を有するポリマー鎖であると考えられる。この開始剤単位は、同時に又は時間的にずらして生成することができる。従って、他のイタコン酸に形成されるラジカルが分解反応により失活させた後に、イタコン酸単位を初めて完全に活性化することもできる。
【0049】
このグラフト重合体ABは、一般に、成分Aに対して、成分Bを生じるタイプI〜Vのモノマーを、このために適当な反応条件下でグラフトさせることにより製造される。このポリマータイプABは、ポリエステル主鎖及びポリ(メタ)アクリラート側鎖を有するグラフトコポリマーである。
【0050】
このために、通常の場合に方法温度を上回る沸点を有する、重合条件下で不活性の適当な溶剤中で10質量%〜50質量%、有利に20質量%〜30質量%の、イタコン酸含有のポリエステルの溶液が製造される。溶剤として、例えば酢酸エステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸ブチル、脂肪族溶剤、例えばイソオクタン、環式脂肪族溶剤、例えばシクロヘキサン及びカルボニル溶剤、例えばブタノンが挙げられる。
【0051】
本発明により濃縮された重合体分散液に対する溶剤又は溶剤混合物の割合は、例えば80質量%から、特に有利な場合に、20質量%までであることができ、有利に70質量%より低く、実際にたいていは60質量%〜40質量%である。このポリエステル溶液に、式Iのモノマー又は場合により他のモノマーII〜Vを、記載された割合で添加し、1種又は数種の有利にペルオキシド系ラジカル開始剤の添加下で、−10℃〜100℃の温度で、通常で4〜8時間内で重合させる。できる限り完全な反応に努めなければならない。有利に、アゾ化合物、例えばAIBN又は過エステル、例えばtert−ブチルペルオクトエートをラジカル開始剤として使用される。この開始剤濃度は、所望のグラフト箇所の数及びセグメントBの所望の分子量による。一般に、この開始剤濃度は、前記重合体に対して0.1質量%〜3質量%である。
【0052】
場合により、セグメントBの所望の分子量の調節のために、調節剤を併用することができる。調節剤として、例えば硫黄調節剤、特にメルカプト基含有調節剤、例えばドデシルメルカプタンが適している。調節剤の濃度は、一般に、全重合体に対して、0.1質量%〜1.0質量%である。
【0053】
溶液重合の前記された方法の他に、タイプABのグラフトコポリマーの合成は塊状で行うこともできる。このために、前記ポリエステルは、ラジカル重合の開始の前に、(メタ)アクリル系モノマー混合物中に溶かされる。これとは別に、ラジカル開始剤は、ポリエステルの溶融液中に存在し、引き続きモノマー混合物に添加することもできる。
【0054】
本発明による混合物中のグラフト反応後のポリマータイプABの量は、5質量%〜60質量%、有利に20質量%〜55質量%、特に有利に30質量%〜50質量%である。
【0055】
ポリマータイプCB
グラフト重合体CBの製造
このグラフト重合体CBは、一般に、適当な乳化剤を用いて成分Cからなる分散液を製造し、これに、成分Bを生じるタイプI〜Vのモノマーを、このために適当な反応条件下でグラフトさせることにより製造される。この乳化剤は系CBに類似する構造を有することができる。タイプCBの適当な乳化剤の製造方法は自体公知である。例えば、トランスファーグラフト法(Uebertragungspfropfung)により行うことができる。(Houben-Weyl, Methoden der Org. Chemie, Bd. 1411 , p. 114, H.A.J. Battaerd, G.W. Tregear著, Polymer Reviews, Vol. 16, Interscience (1967)も参照)。
【0056】
このために、通常の場合に方法温度を上回る沸点を有する、重合反応条件下で不活性の適当な溶剤中で10質量%〜50質量%、有利に20質量%〜30質量%の、オレフィンコポリマー(OCP)の溶液が製造される。溶剤として、例えば酢酸ブチル、脂肪族、環式脂肪族及び芳香族炭化水素が挙げられる。このCOP溶液に、式Iのモノマー又は場合により他のモノマーII〜Vを、記載された割合で添加し、1種又は数種の有利にペルオキシド系ラジカル開始剤の添加下で、60℃〜50℃の温度で、通常で4〜8時間内で重合させる。できる限り完全な反応に努めなければならない。有利に過エステル、例えばtert−ブチルペルオクトエートが使用される。この開始剤濃度は、所望のグラフト箇所の数及びセグメントBの所望の分子量による。一般に、この開始剤濃度は、前記重合体に対して0.2質量%〜3質量%である。
【0057】
場合により、セグメントBの所望の分子量の調節のために、調節剤を併用することができる。調節剤として、例えば硫黄調節剤、特にメルカプト基含有調節剤、例えばドデシルメルカプタンが適している。調節剤の濃度は、一般に、全重合体に対して、0.1質量%〜1.0質量%である。グラフト重合体CBの他の製造方法は、第1の工程としてOCPのヒドロペルオキシ化である。このように生成された鎖末端のヒドロペルオキシド基は、次の工程でビニルモノマーのグラフト重合が開始させることができる。(H.A. J. Battaerd, G.W. Tregear著, Polymer Reviews loc. cit.参照)。
【0058】
本発明による混合物中で使用されるポリマータイプCBの量は、5質量%〜60質量%、有利に20質量%〜55質量%、特に有利に25質量%〜55質量%である。
【0059】
特別な実施において、ポリマータイプBは同時にポリマータイプA及びポリマータイプCにグラフトすることができ、グラフトコポリマーAB及びCBが製造される。
【0060】
ポリマータイプAB及びCBを混合することもでき、その際、同時合成が有利である、それというのもこれにより安定な分散液が生じるためである。相分離の問題は、簡単な混合に対して低減することができる。
【0061】
ポリマータイプD又はDA
アルミニウム接着性の改善のためにポリマータイプDを有する調製物がオプションである:シートの下塗又は塗料調製物中へのポリ塩化ビニル0.1質量%〜10質量%、有利に0.1質量%〜5質量%の添加により、Al接着性の改善を観察することができる。例えばVINYLITE(R) VMCH(Union Carbideにより販売)が使用される。
【0062】
ポリマータイプDAは、場合により、加工において生じることがある摩耗を抑制するために添加することができる。例えばVESTOSIND(R) 2159タイプのポリアミド(Degussa AG社)を使用することができる。これは、0.1質量%〜10質量%、有利に0.1質量%〜5質量%の調製物割合で添加することができる。
【0063】
予備試験から、コポリマー成分Cとの調製物の形で、n−ブチルアセタート及びエチルメチルケトンからなる溶剤系中の成分A、B、AB及び場合によりD又はDAからなる上記のような結合剤系(例えばDEGALAN(R) PM 555と同等)を用いたPET接着性は、その濃度とは無関係に、不十分なシール強度を有することは公知である。下記する本発明による組成の溶剤系に変更することにより、それに対してポリマー成分Cとの適当な調製物の形で極めて良好なヒートシール特性が生じる。
【0064】
溶剤又は溶剤系L
ポリマータイプA、B及びC、グラフトポリマーAB及びCB及び場合によりポリマータイプD又はDAの他に、溶剤系Lが本発明のヒートシール系中に存在する。
【0065】
この溶剤系Lのために使用される溶剤は、プラスチック及び金属のための被覆技術の要求に相応するように選択しなければならない。場合により混合物の形で適用されるべきこの溶剤は、不活性でありかつ全体として安全であるべきであり、その際、この沸点は760Torrで105℃をできる限り上回らない。
【0066】
溶剤として、脂肪族カルボン酸と脂肪族アルコール、ケトン及び脂肪族炭化水素とのエステルからなる混合物が挙げられる。
【0067】
脂肪族カルボン酸として、酢酸、プロピオン酸又は酪酸が挙げられる。
【0068】
脂肪族アルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール又は2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。
【0069】
ケトンとして、例えばアセトン又はエチルメチルケトンが挙げられる。
【0070】
脂肪族炭化水素として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン又はドデカンが挙げられる。
【0071】
この脂肪族炭化水素は、その異性体の形で及び相互の混合物の形で存在することができる。同様にシクロアルカン及び置換されたシクロアルカンを使用することもできる。
【0072】
前記の溶剤からなる混合物も、キャリア系として挙げることができる。本発明により濃縮された重合体分散液に対する溶剤又は溶剤系Lの割合は、例えば80質量%から、特に有利な場合に、20質量%までであることができ、有利に70質量%より低く、実際にたいていは55質量%〜40質量%である。
【0073】
異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系に、更に、ヒートシールのために通常の助剤及び添加剤を添加することができる。
【0074】
ホットシール系の製造
ポリマータイプA〜Dを用いた合成
選択A:
適当な乳化剤を用いて前記に説明したように分散液を又はポリマー相溶性を適切に適合させて溶剤系L中の成分A及びCの均質な溶液を製造し、成分Bを生じるタイプI〜Vの適当なモノマーを反応条件下で同時に成分A及びCにグラフトする。一般に、質量比1:5〜5:1のA及びBの割合が生じる。A対Cのこの質量比は、一般に1:2〜10:1、有利に1:1〜5:1である。
【0075】
全体の分散液に対して全体の重合体の含有量は少なくとも10質量%であり、実際に40質量%〜80質量%が目指され、通常の場合では45質量%〜60質量%である。
【0076】
本発明による方法により、ヒートシール可能な被覆材料は分散液の形で得られ、前記分散液は加工プロセスのために十分な安定性を有する。分散液のこの安定性は、少なくとも数日であり、通常の場合には数週間〜数ヶ月である。
【0077】
従って、本発明による被覆系のために多くの使用分野が生じる。ポリエステルシート又はPET被覆されたシートをポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールすることができる請求項1記載の被覆系の使用を強調することができる。請求項4及び13による被覆系は、ポリエステルシート及びアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート及びPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールする際に使用される。請求項2、11及び15による被覆系は、ポリエステルシート及びアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート及びPET被覆されたシートをポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、同様にポリプロピレン及びポリエチレンに対してヒートシールする際に使用される。
【0078】
次に記載の実施例は、本発明をより良好に説明するためのものであるが、しかしながら本発明をこれに開示された特徴に限定するためには適していない。
【0079】
実施例
使用されたシート材料
厚さ40μmの軟質アルミニウムシート
Granulat JE 6100(Shell社)から押し出されたポリプロピレンシート、厚さ0.2mm
ポリエステルシート:Hostaphan(R) WDW 50
実験室でヒートシール溶液を塗布
このヒートシール溶液を、Kハンドコーター(K-Handcoater No. 4)で塗布した。この場合7μm〜9μmの乾燥層厚が得られた。
【0080】
実験室で被覆されたシートを乾燥
この下塗りされたシートを、短い排気時間(5〜10分)後に、空気循環炉中で180℃で15秒間乾燥した。
【0081】
ヒートシール及びシールシーム強度の測定
このシールを、Brugger社のヒートシール装置(HSG/ET)を用いて実施した。
【0082】
シール条件:
温度:200℃
圧力:6bar
時間:1sec
シール面積:10×10mm。
【0083】
シールシーム強度の測定のために、試料を15mmの幅のストライプに切断し、Instronモデル番号1195又はZwickモデル番号1454の引張試験機を用いて、100mm/minの速度で引っ張った。この引張試験の間に、既に相互に分離されたシート部分は、まだ負荷されていない残りと90゜の角度をなすように留意した。
【0084】
PP容器のシールは、BHS社の実験室容器シール機(Labor-Becherversieglungsgeraet VL-1600)で行った。
【0085】
成分A:
表1中に、ここに成分Aについての例として使用されたコポリエステル(タイプ1)の特性が記載されている。これはポリカルボン酸の全体量に対して異なるイタコン酸含有量を有する部分芳香族コポリエステルである。更に記載されたイタコン酸なしのタイプ0は、ヒートシールの適用のための次の実施例に関して有効な比較のために利用される。
【0086】
表1:使用したポリエステルの特性
【表1】

【0087】
ヒートシール溶液の配合はA、B及びABからなる。
【0088】
実施例1
接続されたサーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機及び内部温度計を備えた二重ジャケット容器中に、酢酸プロピル55g及びタイプ1のポリエステル24gを装入する。撹拌しながら、前記ポリエステルを85℃で完全に溶解させ、引き続きt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.5gを添加する。ポリエステル鎖に沿ったフリーラジカルの最適な収量を形成させるために、この溶液を30分の期間にわたり85℃で撹拌し、その後で供給ポンプを用いてメタクリル酸メチル16.0g及びメタクリル酸ブチル16.0gからなる混合物を急速に供給する。
【0089】
全体で150分の反応時間の後に前記ポリマー溶液を冷却し、溶液の濃度低下のために酢酸プロピル13.5gで希釈した。
【0090】
比較例1
タイプ1の代わりにタイプ0のポリエステルを使用して、実施例1と同様に実施。
【0091】
実施例2
接続されたサーモスタット、還流冷却器、ブレード撹拌機及び内部温度計を備えた二重ジャケット容器中に、酢酸プロピル42g及びタイプ1のポリエステル12.8gを装入する。撹拌しながら、前記ポリエステルを90℃で完全に溶解させ、30分間撹拌し、引き続きt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.15gを添加する。ポリエステル鎖に沿ったフリーラジカルの最適な収量を形成させるために、この溶液を30分の期間にわたり90℃で撹拌し、その後で供給ポンプを用いてメタクリル酸メチル12g、メタクリル酸ブチル12g及び他のt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.15gからなる混合物を急速に供給する。
【0092】
表2中に、前記実施例からのグラフト試験の結果がまとめられている。
【0093】
表2:グラフト試験の結果
【表2】

【0094】
これらの分子量の比較は、比較例の場合に複峰性の生成物を示し、この生成物中でポリエステル原料ピークの他にポリメタクリラートからなる第2のポリマーフラクションが存在する。これに対して、実施例2からの生成物及び特に実施例1からの生成物は明らかにグラフト共重合体を示す。適合剤(Kompatibilisierer)として作用するこの生成物が、適合しないホモポリマーA及びBを有する溶剤調製物中に存在することにより、調製剤の添加なしで、PSに対する系PETについての既に良好なヒートシールシーム強度を示すヒートシール塗料が生じる。
【0095】
ヒートシール溶液の配合はA、B、C、AB及びCBからなる。
【0096】
実施例3
撹拌槽中で、EPDM42.9g及びタイプ1のイタコン酸含有ポリエステル20gを、酢酸プロピル50g、酢酸エチル20g及びイソオクタン10gからなる混合物中に90℃で分散させる。この混合物に、最初にtert−ブチルペルベンゾアート2gを添加し、引き続きn−ブチルメタクリラート18.5g及びメタクリル酸メチル18.5gからなる混合物を90分の期間にわたり供給する。引き続き、120分の期間にわたり90℃で重合させる。引き続き、tert−ブチルペルベンゾアート0.5gを後開始のために添加し、更に90℃で90分撹拌する。
【0097】
実施例3について、ポリマーの割合は約45質量%であり、溶剤の割合は約55質量%であることが通用する。
【0098】
EPDM=エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム、Buna EP 6170
PMMA=ポリメタクリル酸メチル
PBMA=ポリメタクリル酸ブチル
ポリエステル=イタコン酸7Mol%を有しかつMw=14400を有する変性されたポリエステル。
【0099】
比較例2
撹拌槽中で、EPDM54.0gを酢酸プロピル50g、酢酸エチル20g及びイソオクタン10gからなる混合物中に90℃で分散させた。この混合物に、最初にtert−ブチルペルベンゾアート2gを添加し、引き続きn−ブチルメタクリラート23.0g及びメタクリル酸メチル23.0gからなる混合物を90分の期間にわたり供給する。引き続き、120分の期間にわたり90℃で重合させる。引き続き、さらにtert−ブチルペルベンゾアート0.5gを後開始のために添加し、更に90℃で90分撹拌する。
【0100】
比較例1について、ポリマーの割合は約45質量%であり、溶剤の割合は約55質量%であることが通用する。
【0101】
EPDM=エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム、Buna EP 6170
PMMA=ポリメタクリル酸メチル
PBMA=ポリメタクリル酸ブチル
試験の結果
ヒートシール特性。
【0102】
表3:系A、B、AB、C及びCBのヒートシールシーム強度
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜形成する分散液を有する、異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系において、
ポリマータイプA、ポリエステル又はポリエステル混合物を含有し、
ポリマータイプB、標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートホモポリマー及び/又は(メタ)アクリラートコポリマーを含有し、
ポリマータイプAB、ポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有し、かつ
ポリマータイプA、B及びABの全質量に対して、ポリマータイプAの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプBの量は5質量%〜70質量%であり、ポリマータイプABの量は5質量%〜60質量%であり、
かつポリマータイプA、B及びABの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項2】
ポリマータイプC、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーを含有し、ポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有することを特徴とする、請求項1記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項3】
ポリマータイプA、B、AB、C及びBCの全質量に対して、ポリマータイプCの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプCBの量は5質量%〜60質量%であり、かつポリマータイプA、B、AB、C及びBCの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、請求項2記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項4】
ポリマータイプAはイタコン酸の共重合のもとで製造されたポリエステルであることを特徴とする、請求項1記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項5】
ポリマータイプAは、使用されたポリカルボン酸の全体量に対してイタコン酸の割合が0.1Mol%〜20Mol%であるポリエステルであることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項6】
ポリマータイプAは、使用されたポリカルボン酸の全体量に対してイタコン酸の割合が2Mol%〜8Mol%であるポリエステルであることを特徴とする、請求項5記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項7】
ポリマータイプABは、ポリエステル主鎖とポリ(メタ)アクリラート側鎖とを有するグラフトコポリマーであることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項8】
タイプAのポリマー及び開始剤の同時の存在で、成分Bを生じるモノマーを重合させることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項9】
開始剤と、タイプAのポリマー中のイタコン酸繰返単位のニ重結合との反応により、(メタ)アクリラートのラジカル重合のための活性中心が形成され、これをグラフトコポリマーABに更に反応させることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項10】
ポリマータイプBは同時にポリマータイプA及びポリマータイプCとグラフトされ、グラフトコポリマーAB及びCBが製造されることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項11】
ポリマータイプC、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーを含有し、ポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有することを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項12】
ポリマータイプA、B、AB、C及びBCの全質量に対して、ポリマータイプCの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプCBの量は5質量%〜60質量%であり、かつポリマータイプA、B、AB、C及びBCの合計の質量と、溶剤又は溶剤混合物Lの質量との質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項13】
ポリマータイプD、ポリ塩化ビニルを含有し及び/又はポリマータイプDA、ポリアミドを含有することを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項14】
ポリマータイプA、B、AB、D及びDAの全質量に対して、ポリマータイプDの量は0.1質量%〜10質量%であり、ポリマータイプDAの量は0.1質量%〜10質量%であり、かつポリマータイプA、B、AB、D及びDAの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、請求項13記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項15】
ポリマータイプA、ポリエステル又はポリエステル混合物を含有し、
ポリマータイプB、標準メタクリラート及び/又は標準アクリラートを含有する(メタ)アクリラートコポリマーを含有し、
ポリマータイプC、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーを含有し、
ポリマータイプAB、ポリマータイプA及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有し、
ポリマータイプCB、ポリマータイプC及びポリマータイプBからなるグラフトポリマーを含有し、及び
ポリマータイプD及び/又はポリマータイプDAを含有し、かつ
ポリマータイプA、B、AB、C、CB、D及びDAの全質量に対して、ポリマータイプAの量は、5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプBの量は5質量%〜70質量%であり、ポリマータイプCの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプABの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプCBの量は5質量%〜60質量%であり、ポリマータイプDの量は0質量%〜10質量%であり、ポリマータイプDAの量は0質量%〜10質量%であり、かつ
ポリマータイプA、B、AB、C、CB、D及びDAの合計の質量対溶剤又は溶剤混合物Lの質量の質量比は5:1〜1:5であることを特徴とする、請求項4記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項16】
ヒートシールのために通常の助剤及び添加剤を含有することを特徴とする、請求項1記載の異なる種類の基材をシールするために適したヒートシール可能な被覆系。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の被覆系を使用することを特徴とする、ヒートシール可能な基材をシールする方法。
【請求項18】
ポリエステルシート又はPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、請求項1記載の被覆系を用いてシールする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ポリエステルシート又はアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート又はPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、請求項4及び13記載の被覆系を用いてシールする、請求項17記載の方法。
【請求項20】
ポリエステルシート又はアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート又はPET被覆されたシートを、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対して、請求項2、11及び15記載の被覆系を用いてシールする、請求項17記載の方法。
【請求項21】
ポリエステルシート又はPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールするための、請求項1記載の被覆系の使用。
【請求項22】
アルミニウムシート又はポリエステルシート又はアルミニウム被覆されたシート又はPET被覆されたシートを、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールするための、請求項4及び13記載の被覆系の使用。
【請求項23】
ポリエステルシート又はアルミニウムシート又はアルミニウム被覆されたシート又はPET被覆されたシートを、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル及びポリ塩化ビニルに対してヒートシールするための、請求項2、11及び15記載の被覆系の使用。

【公表番号】特表2009−528408(P2009−528408A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556671(P2008−556671)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069871
【国際公開番号】WO2007/098816
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】