説明

ポリマーナノコンポジットブレンド

本発明は、有利な特性および製造方法を伴う、少なくとも2つのポリマーおよびナノ分散し剥離したフィロシリケートのポリマーナノコンポジットブレンドに関する。
本発明のポリマーナノコンポジットは、以下のものを含有する。
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)10重量%までのカルボキシル化ポリオレフィン、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー。
組成物の重量比が常に100重量%まで加えるようにする。一般的な安定剤およびフィラーを添加剤として含有させることができる。
このナノコンポジットブレンドは、成形したての状態および条件調整された状態での高い剛性、減少した吸水率、改善された熱安定性、および強度が低下しないことにより特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのポリマーおよびナノ分散し剥離(delaminated)したフィロシリケートのポリマーナノコンポジットブレンドに関する。フィロシリケートとは、修飾された天然のモンモリナイト、ヘクトライト、ベントナイト、または合成マイカである。本発明はまた、これらのナノコンポジットの製造方法およびこれらの使用にも関する。条件調整された(conditioned)状態での剛性、熱酸化に対する耐性のような改良された特性を有し、コスト効率の良いナノコンポジットをポリイミドベース上に製造することが、本発明の目的である。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンベースに加えてポリアミドベース上のナノコンポジットは、各々同様の特性プロファイルを有するガラスフィルムおよび鉱物との従来のナノコンポジットと比較して、なおいっそう魅力的なものとなっている。というのは、これらは、重量を減らすのに役立つからである。このタイプのコンポジットは、自動車製造および航空機製造、電気工学および電子工学において広く使用されている射出成形部品のための材料として見られる。
【0003】
特性の改良は、膨張する(インターカレーション)および互いから完全に分離する(剥離)フィロシリケート層の能力に主に依存している。これは、フィラー材料の拡張された表面およびマトリックスポリマーで拡張された境界面を作り出す。ポリマーナノコンポジットを製造する際のインターカレーションまたは剥離を達成するために、フィロシリケートは、有機化合物とのカチオン交換により修飾され、それゆえ有機親和性を生じる。これらはまた、有機クレーと呼ばれる。さらに、マトリックスポリマーとの相互作用またはインターフェースが必要とされる。
【0004】
インサイチュ重合または溶融混練により、インターカレートされたフィロシリケートをポリマーの中に有機的に取り込む作業は、いくつかの特許文献で記載されており、熱安定性に加えて機械特性およびバリア特性の改良と多くは関連付けられている(米国特許US4739007、国際公開WO 0034180)。
【0005】
有機親和的に修飾されたクレーの存在下でε−カプロラクタムをインサイチュ重合することは、1988年くらい早くから記載されている(米国特許US4739007)。溶解配合によりポリエチレンテレフタレート(PET)の中に有機クレーを取り込むことにより、酸素に対する改良されたバリアを生じさせる(国際公開WO 0034180)。
【0006】
第二のポリマー成分を有するポリアミドナノコンポジットもまた、原理上は公知である。臭素化ゴム(米国特許6060549)または無水マレイン酸とグラフトされたポリプロピレン(X.Liuら.Polymer 42,2001,8235−8239)をインサイチュ重合されたポリアミド6/Na−モンモリロナイトに取り込むことで、衝撃強度は改良されるが、ポリアミドの機械強度は低下することになる。他に知見は、混合物中のPP−gの割合に依存する吸水率の減少である。
【0007】
吸水の間に曲げ弾性率および寸法安定性が増加したが、強度の減少という欠点を有するこのポリアミドコンポジットもまた、文献上に記載されている(欧州特許EP1076077)。コンポジットは、2軸押出機で溶融状態にて混練される。および、無水マレイン酸とグラフトされた2から40重量%のエチレンブチルアクリレートまたは無水マレイン酸とグラフトされた2から40重量%のポリプロピレン、ならびにトリアジンで修飾された0.3から30重量%の合成フィロシリケートを含んでいる。
【0008】
欧州特許EP0352042もまた、1つまたは2つのポリマー成分を有するポリアミドナノコンポジットを記載している。例えば、溶融混練によりインサイチュで調製されたポリアミドナノコンポジットは、衝撃に耐えるためにエチレンメタクリレートZnアイオノマーで修飾される。しかし、安定性および剛性の損失が知見されている。
【0009】
耐衝撃性のためのモディファイヤー(ブチルアクリレートゴム、メチルアクリレートゴムまたはこれらの混合物)と共に溶融状態で混練された、インサイチュ重合によるポリアミド6ナノコンポジットが、DE19854170に記載されている。本発明者らはまた、有機フィロシリケートおよび合成ゴム成分の存在下でのPA6のインサイチュ重合も特許請求している。これらのコンポジットは、3.7重量%のクレー成分および3重量%のゴム成分を含み、非常に高い弾性率(5420MPa)および良好な耐衝撃性(Charpy 1eu 112kJ/m)を有するが、2.9%の低い破断伸びである。用いられたフィロシリケートは、ジ−2−ヒドロキシエチルメチルステアリルアミンで修飾されていた。
【0010】
米国特許US5206284は、修飾PP(PP−g−MA)、2%の有機クレー(アミノドデカン酸で修飾されたモンモリロナイト)と共にインサイチュで調製されたポリアミドナノコンポジット(MPA)、エチレン−α−オレフィンゴム、またはEPR−g−MAもしくはSEBS−g−MAのようなエチレン−α−オレフィンコポリマーを含むポリプロピレンコンパウンドを特許請求している。重量比30/10/60のPP−g−MA/PP/MPAコンポジットは、2600kg/cm(2550MPa)の曲げ弾性率、770kg/cm(75MPa)の曲げ強度、450kg/cm(45MPa)の降伏応力、および熱安定性0.45MPaにおける150℃のHDTを有していた。PPの割合を増やした場合、安定性、剛性および強度は低下した。
【0011】
日本公開公報10279752号は、カルボン酸または酸無水物とグラフト重合された40から99.9重量%のポリオレフィン、0.5から40重量%のポリアミド、および0.01から20重量%の酸素バリア性を改良したフィロシリケートからなる組成物を特許請求している。
【0012】
Tjong,S.C.;Meng,Y.Z.;Xu,Y.,(J.Applied Polymer Science(2002),86(9),pp.2330−2337)は、PA6/PP−バーミキュライトナノコンポジットを製造するための無水マレイン酸によるクレー修飾プロセスを記載していた。PPおよびマレイン化バーミキュライトを最初に溶融状態で混練し、この混合物をPA6と共に射出成形することで引き続き処理された。31重量%(8%バーミキュライト)のPP/バーミキュライト成分を有するナノコンポジットの中で、純粋なPA6の引張係数が995MPaから1397MPaに増加することが観察された。強度は変化しないままであり、伸びは非常に低下した。
【0013】
Hua Wang 他(「Processing and Properties of Polymeric Nano−Composites」 Polym.Eng.Sci.41,11(2001),pp2036−2046)は、約10重量%のクレーを添加したナイロン6/PPブレンドを研究した。フィロシリケートを添加することにより、ブレンドモルフォロジーの改良が走査型電子顕微鏡を使って観察された。高いクレー配合率により弾性率が増加し、劇的に強度が低下することが見出された。PP−g−MAとの相溶化(compatibilization)は、剛性の低下をもたらし、または強度に好ましい効果をもたらさない。
【0014】
ポリアミドは、ファイバー、薄膜または用語の広義での成分として質の高い機能を実現する。これは、吸水する傾向があるので、応用範囲は限られている。例えば、PA6は、23℃で湿度50%において3%の水を吸収し、相対湿度100%において最高9.5%の水を吸収する。インターカレートされる水は、基本機械パラメーターに相当な影響を及ぼすことが公知である。
【0015】
吸水は、ポリアミドとポリオレフィンとのブレンドにおいてポリオレフィン含有量に依存して減らすことができる(L.Bottenbruch,R.Binsack ;Kunststoffhand−buch ;Carl Hanser Verlag,ミュンヘン 1998)。したがって、ブロックコポリマーもしくはグラフトコポリマーのような官能性ポリオレフィンおよび界面接着に影響を与える関連物を用いて相溶化を実行することが、通常避けられない。
【0016】
しかし、この手順は、後退をもたらす。官能性ポリオレフィンのような相溶化剤の使用は、軟化効果を有し、強度および剛性の低下を生じさせる。
【0017】
ポリアミドはまた、高い作業温度に敏感である。ポリアミドは、融点より低い気温で保存されていても熱酸化ダメージを受けることが公知である。ポリアミドは、保存時間および保存温度に依存して、この物性が損なわれる。この現象はオーブン老化として公知であり、融点を超える温度で起こる熱劣化とは関係ない。長期において機械強度、堅牢性などを維持するポリマーの特性は、熱安定性と呼ばれ、本明細書では熱酸化安定性とも呼ばれる。ポリアミドの熱安定性を向上させる熱安定化剤、グラスファイバー、およびポリフェニレンエーテルのような他のポリマー。
【0018】
HDT(熱変形温度)またはDMTA(動的機械熱分析)のような熱特性を測定するのに用いられる最も一般的な方法は、高温における短期の材料の熱安定性についての情報を主に提供する。熱酸化の時間依存の影響および関連する特性の劣化は、この方法では満足に測定できない。ポリアミドナノコンポジットの熱安定性に関する記述は、HDTの増加またはそれぞれの温度における貯蔵弾性率またはガラス転移温度変化(DMTA測定)に基づいている。
【0019】
長期の安定性について行われた研究では、ポリアミド6/クレーナノコンポジットが100℃を超える温度において空気中で熱安定性を全く示さないことが明らかになった。ナノコンポジットの表面での熱酸化は、ポリアミド自体の熱酸化よりいっそう早い。このことは、強度における劇的な低下を招き、表面の品質にダメージを与える結果となる。(表4に記載したPAナノコンポジットの特性を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、条件調整された状態での剛性のようなポリアミドの好ましい特性を維持し、ガラスまたは鉱物による従来の補強に比べて減少した密度と併せて良好な熱酸化安定性を達成し、および純粋のPA6/クレーナノコンポジットに比べてコストを削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、この目的は、以下のものを含有するポリマーナノコンポジットにより、驚異的に達成される。
【0022】
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)(場合により)10重量%までの、好ましくは0.1から1.9重量%のカルボキシル化ポリオレフィン、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー。
組成物の重量比は、常に100重量%にまで加えるようにする。一般的な安定剤およびフィラーを添加剤として含有させることができる。
【0023】
成分a)ポリアミド
ポリアミドは、4員以上の環を有するラクタム(lactamen)の、および/またはω−アミノ酸または少なくとも1つの二価酸とおよび少なくとも1つのジアミンとの縮合反応により製造する。重縮合により製造されたポリアミド樹脂は、ポリアミドポリマーまたはコポリマーである。ポリアミド樹脂は、ホモポリアミド、コポリアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される。および、これらのポリアミドは、準結晶またはアモルファスのいずれかである。モノマーの例としては、ε−カプロラクタム、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、およびα―ピペリドンが挙げられる。二価酸の例としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸(dodecanoic diacid)、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。ジアミンの例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、p−アミノアニリン、およびm−キシロールジアミンが挙げられる。
【0024】
ポリアミドは、好ましくは0から20%のポリヘキサメチレンアジパミドを含むポリアミド(ナイロン)6またはポリアミド(ナイロン)6/66の群から選択される。
【0025】
23℃において96%硫酸の1%溶液の中で測定された2.2から4.0好ましくは2.4から3.5の溶液粘度を有するポリアミド6は、本発明のポリマーナノコンポジットブレンドに特に適している。
【0026】
成分b)ポリプロピレン
ホモポリマー、またはエチレンおよび直鎖および/または分岐のC−C10の1−オレフィンのような1種もしくは数種のオレフィンとプロピレンとの統計コポリマーもしくはブロックコポリマーが、ポリプロピレンとして用いられる。ポリプロピレンホモポリマーおよび低い含有量のエチレンとのブロックポリマーを用いることが実際的である。
【0027】
好ましい成分b)は、1から110、5から30ccm/10分(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンである。
【0028】
成分c)ナノ分散フィロシリケート
好ましいナノ分散フィロシリケートは、60から150mval/100gのカチオン交換容量を有する、天然のナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、または合成マイカである。
【0029】
5重量%までのフィロシリケートを用いるのが好ましい。Hua Wangらのものに比べ、これらの組成物は、成形したての状態および条件調整された状態での大きな強度および剛性、吸水の減少、および改良された熱酸化安定性を特徴とする。
【0030】
本発明のナノコンポジットブレンドには、2つの相が共存する。このため、有機的にインターカレートしているフィロシリケートは、ポリアミド相の中で主に分散または剥離している。ポリプロピレン相との境界面における剥離層の蓄積は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察できない(図4)。ポリアミド相とポリプロピレン相との間の相互作用は、インターカレートしているかまたは剥離しているフィロシリケートにより引き起こされる。
【0031】
本発明の趣旨における剥離したフィロシリケート(ナノクレー、有機的にインターカレートされる)は、シリーケート層の間の間隔が疎水性作用因子との反応により拡張された膨張可能なフィロシリケートである。モンモリロナイトについては、適切な、好ましくはカチオンインターカレーション成分とのインターカレーションにより、1.2から5.0nmの層間隔が生じる。
【0032】
少なくとも50mval/100g、好ましくは60から150mval/100gのカチオン交換容量を有するフィロシリケートが好ましい。これらの膨張可能なフィロシリケートの中で交換することができるアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、イオン交換反応においてオニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、またはスルホニウムイオンにより完全にまたは一部が置換される。置換することができる無機カチオンの50から200%が有機カチオンで置換されている膨張可能なフィロシリケートが、特に好ましい。
【0033】
インターカレーションのために適したカチオン窒素化合物は、ラウリルアンモニウム、ミリスチルアンモニウム、パルミチルアンモニウムのようなアルキルアンモニウムイオンである。他の好ましいカチオン窒素化合物は、ジステアリルジメチル塩化アンモニウムおよびジメチルジステアリルベンジル塩化アンモニウムのような第四アンモニウム化合物である。
【0034】
適切な二官能性化合物としては、第一に、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノカプロン酸のようなω−アミノカルボン酸が挙げられる。
【0035】
他の好ましい窒素含有インターカレーション成分は、カプロラクタム、ラウリルラクタム、メラミン、およびオリゴマー水溶性アミドである。
【0036】
全ての窒素含有インターカレーション化合物は、プロトン化された形で用いられることが好ましい。全ての水溶性有機酸および無機酸は、プロトン化に適している。塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸のような無機酸、ならびに酢酸、ギ酸、シュウ酸およびクエン酸。適切なホスホニウムイオンの例としては、ドコシルトリメチルホスホニウム、ヘキサトリアコンチルトリシクロヘキシルホスホニウム、オクタデシルトリエチルホスホニウム、ジコシルトリイソブチルホスホニウム、メチルトリノニルホスホニウム、エチルトリヘキサデシルホスホニウム、ジメチルジデシルホスホニウム、ジエチルジオクタデシルホスホニウム、オクタデシルジエチルアリルホスホニウム、トリオクチルビニルベンジルホスホニウム、ジオクチルデシルエチルヒドロキシエチルホスホニウム、ドコシルジエチルジクロロベンジルホスホニウム、オクチルノニルデシルプロパルギルホスホニウム、トリイソブチルパーフルオロデシルホスホニウム、エイコシルトリヒドロキシメチルホスホニウム、トリアコンチルトリスシアノエチル(chyanethyl)ホスホニウム、およびビストリオクチルエチレンジホスホニウムが挙げられる。
【0037】
成分d)カルボキシル化ポリオレフィン
適切な成分Dは、ポリオレフィン、特に不飽和モノカルボン酸もしくは不飽和ジカルボン酸、または酸無水物で官能化されたポリオレフィンコポリマーである。
【0038】
これらは、ナノコンポジットブレンドの中に最高10重量%、好ましくは0.1から1.9重量%含有させることができる。エチレンアイオノマーコポリマー、好ましくは金属イオンで完全にまたは一部が中和されたエチレンアクリル酸コポリマーもしくはエチレンメタクリル酸コポリマーが、特に適している。エチレンアイオノマーは、金属イオンを含有するエチレンブタジエンアクリル酸コポリマー、エチレンメチルアクリレートマレイン酸コポリマーであり得る。好ましい金属イオンは、Zn、Na、Mg、またはZn−アミン錯イオンである。
【0039】
他の添加物
本発明のポリマーナノコンポジットブレンドは、酸化安定剤、光安定剤、プロセス安定剤、UV安定剤、潤滑剤(sliding agents)、分離剤、顔料、染料、難燃剤、ファイバー補強フィラーからなる群から選択される一般的な安定剤およびフィラーを場合により含むことができる。
【0040】
酸化安定剤およびプロセス安定剤の例としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化亜鉛およびハロゲン化銅のようなハロゲン化金属、またはフェノールベース上の有機化合物、ハイドロキノン、有機亜リン酸塩化合物からなる群から選択される少なくとも2つの物質の混合物である。
【0041】
UV安定剤の例としては、レゾルシノール、ヒンダードアミン、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノールである。
【0042】
潤滑剤および分離剤の例としては、ステアリン酸、ステアリンアルコール、ステアリン酸アミド、ワックス、カルボン酸エステル、カルボン酸の金属塩が挙げられる。
【0043】
顔料の例としては、二酸化チタン、硫化カドミウム、亜セレン酸カドミウム、ウルトラマリンブルー、ブラックである。
【0044】
有機染料の1つの例は、ニグロシンである。
【0045】
難燃剤の例としては、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、赤リン、金属水酸化物が挙げられる。
【0046】
フィラーおよび補強剤の例としては、グラスファイバー、グラスパール、グラスフレーク、タルク、カーボンファイバー、カオリン、ウォラストナイト、硫化モリブデン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、導電性ブラックおよびアラミドファイバーが含まれる。
【0047】
さらに、磁化物質、EMIマスキング剤、抗菌剤および帯電防止剤のような他の添加剤を導入することができる。
【0048】
ポリマーナノコンポジットブレンドは、以下の成分を含む状態で製造される。
【0049】
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)10重量%までの、好ましくは0.1から1.9重量%のカルボキシル化ポリオレフィン、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー。
さらに、100重量%トータルのこの組成を超えて一般的な安定剤およびフィラーを含有させることができ、含まれるポリマーの融点を超える温度において押出機またはニーダーの中で混練される。
【0050】
このプロセスの変形は、1段階で成分を混練することである。
【0051】
同様に、2段階の方法が考えられる。
【0052】
成分c)およびd)を最初に成分a)の一部の中に混ぜ込み、マスターバッチを形成する。このマスターバッチを成分b)および残りの量の成分a)と共に第2段階で混練し、さらに処理する。
【0053】
他の実施態様では、成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練し、修飾ポリプロピレンとする。次いで、成分、一部の成分a)を混ぜ込み、マスターバッチを形成する。このマスターバッチを、修飾ポリプロピレンおよび残りの量の成分a)と共に次の段階で混練し、さらに処理する。
【0054】
別のオプションでは、成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で混練し、修飾ポリプロピレンとする。次の段階で、成分a)および成分d)と共に修飾ポリプロピレンを混練し、さらに処理を続ける。
【0055】
本発明のポリマーナノコンポジットブレンドは、押出物、射出成形部品またはファイバーとして使用されるのに特に適している。
【0056】
成分c)の記載において述べられているインターカレーション成分は疎水因子として働き、フィロシリケートの表面張力に影響を与えるので、極性および表面全体のエネルギー値が低下する。ポリアミドの極性および表面張力は、ポリアミドの混練の後に低下する。このことは、純粋のPA6/PPナノコンポジットブレンドと比較して、ナノコンポジットブレンドの中でポリプロピレン相がより良好に混合され、より細かく分散していることを裏付けている。
【0057】
本発明のPA6/PPナノコンポジットブレンドのTEM観察は、ポリプロピレン相の細かい分散を示している。粒子は、0.1から1μmのサイズである(図4a)。図4bは、剥離したフィロシリケートが、ポリアミドマトリックスの内部に主に分散しており、ポリプロピレン粒子の周りに一種のカード構造を形成している層の蓄積が明らかに見ることができることを示している。ポリアミド相とポリプロピレン相の境界面における有機親和性フィロシリケートの濃度の増加により、通常は相溶しないポリマー間の表面張力の差は小さくなる。
【0058】
本発明者らはまた、ナノコンポジットブレンドの中のモルフォロジー(金プレート冷凍破壊(cryofracture)面上)も走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。より大きい構造が観察された。PP相は、PA/PPナノコンポジットブレンドの中で棒状の形態で分配していた(図5a)。1から1.9重量%だけのエチレンアイオノマーを添加した後では、PP相とPA相は、もはや区別できなかった。冷凍破壊面は、連続したPA/クレー−PP境界面を伴う固定表面として出現した。図は、ポリアミド/クレーマトリックスに組み込まれた直径1μm未満の小さいPP粒子を示している(図5b)。
【0059】
本発明のナノコンポジットブレンドは、大気温で貯蔵された後だけでなく成形したての状態および条件調整された状態においても、強度、剛性、および耐ノッチ衝撃性のような機械特性に優れている。
【0060】
純粋なポリアミドと比較して、引張弾性率は、成形したての状態で最高50%まで増加し、この増加は条件調整された状態で最高150%までになりえる。各組成物のポリアミド/ポリプロピレンと比較して、この増加は、成形したての状態で最高70%まで、および条件調整された状態で最高75%である。条件調節(一般的に23℃で湿度95%)の後の記載のPA/PPナノコンポジットブレンドの吸水率は、純粋なナノコンポジットおよび純粋なポリアミド6の値より明らかに低い。ナノコンポジットブレンドはまた、飽和状態および1800時間を超える水中での貯蔵の後において、純粋なポリアミドと比較して150%まで引張弾性率が改良されることを示す。
【0061】
100℃を超える温度(110℃、120℃、130℃および150℃)における貯蔵の後、本発明のナノコンポジットブレンドは、強度の損失を非常にわずかしか示さない。
【0062】
本発明のナノコンポジットブレンドは、少量の、特に1.9重量%までの、エチレンアイオノマーの添加後、特にZnで完全に中和された低分子エチレンアイオノマーを用いて熱安定剤を添加しない場合において、150℃の温度で貯蔵した後に機械強度の損失が明らかに減少することを示す。
【0063】
熱安定性に加えて、吸水率の減少および明らかに高くなった剛性が、ISO1110に従って条件調整された状態(相対湿度50%)でのこれらのナノコンポジットブレンドにおいて見出された。
【0064】
15重量%のPPを有する本発明のナノコンポジットブレンドの貯蔵弾性率(ねじり試験で測定される)は、25から150℃の温度範囲におけるPA6ナノコンポジットの貯蔵弾性率と同様であり、純粋なポリアミドの貯蔵弾性率より、100℃において最高100%までより高い(図6)。本発明のnナノコンポジットブレンドにおいて貯蔵弾性率のわずかな低下が、PP含有量が増えるにつれて見られた。しかし、これは、純粋なポリアミド6の貯蔵弾性率より大きい状態を維持した。
【実施例】
【0065】
本発明は、以下の実施例を参照して、より詳細に説明される。しかしながら、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0066】
実施例1から7 1段階法
PA・PPナノコンポジットブレンドを、2軸押出機(ZSK 25、Coperion Werner & Pfleinderer)を使って、少なくとも40のL/D比で製造した。有機物でインターカレートされたポリマーおよびフィロシリケートをポリマーまたはパウダースケールを用いて第一ゾーンにおいて添加した。このバッチを220から260℃の温度および400分−1の速度において混練した。混練されたナノコンポジットブレンドを射出成形機(Arburg Allrounder 320M 850−210)を用いて試験サンプルにした。
【0067】
シリケートシート間の間隔をWAX分析(WAX=広角X線散乱)により決定した。この分析およびTEM記録に基づいて、フィロシリケートの剥離または分散の程度に関する結果を引き出した。ナノコンポジットブレンドの中のポリプロピレン相の分配をTEM記録およびSEM記録に基づいて評価した。
(TEM=透過型電子顕微鏡、SEM=走査型電子顕微鏡)
【0068】
元の成分およびナノコンポジットブレンドの容積メルトフローインデックスをメルトフローインデックステスター(Gottfert)で測定し、実施例と共にメルトフローインデックスとして記載した。
【0069】
DIN EN ISO 527に従って引張試験を用い、DIN EN ISO 179/1eAに従ってノッチ衝撃強度試験を用いて、ナノコンポジットブレンドの機械特性を、成形したての状態および条件調整された状態において試験した。熱安定性(HDT)は、ASTM D648に従って測定した。実施例1から4のサンプルを280時間の期間で23℃で湿度95%に条件調整した(条件1)。次いで、いくつかのサンプルを引張試験にかける一方、残りは、飽和に達するまで室温において水中で貯蔵した(条件2)。ナノコンポジットブレンドの組成を各実施例に示す。特性は表1から4に記載している。吸水率は図1、図2に示す。および、弾性率は図3に示す。
【0070】
実施例6および7のナノコンポジットブレンドの動的機械挙動を、0.1%の一定の伸びおよび1Hzの周期でRDA II ねじり試験装置(Rheometric Scientific)を使って試験した。貯蔵弾性率を温度の関数として図6に示す。
【0071】
サンプル6および7を、この重量が一定になるまで70℃、相対湿度62%においてEN ISO 1110に従って条件調整した。実施例6および7のサンプルの試験ロッドもまた、110℃、120℃、130℃および150℃において循環空気オーブンの中で貯蔵し、引き続き引張特性を試験した。
【0072】
ポリアミド6の溶液粘度を25℃において硫酸(96%)中の1%溶液で測定した。
【0073】
(実施例1)
4.9(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.45の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドI)、5(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、およびオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848))を80/15/5の重量比で混練した。
【0074】
(実施例2)
4.9(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.45の相対溶液粘度を有するポリアミド6、5(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)およびアミノドデカン酸修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 784)を79.2/15.8/2.5/2.5の重量比で混練した。
【0075】
(参照実施例3)
4.9(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.45の相対溶液粘度を有するポリアミド6、ならびに5(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを85/15の重量比で混練した。
【0076】
(参照実施例4)
4.9(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.45の相対溶液粘度を有するポリアミド6、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を96.8/3.2の重量比で混練した。
【0077】
結果を以下の表に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
(実施例5)
22.3(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび2.7の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドII)、24(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、およびオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848))を、80/15/5の重量比で混練した。PA6/PPナノコンポジットブレンドは機械特性および熱特性が改善され、E弾性率が43%増加およびHDTが73%増加したことを示した。
ブレンド特性: E弾性率:3860MPa
HDT(1.8MPa):95℃
参照ポリアミドIIの特性:E弾性率:2700MPa
HDT(1.8MPa):55℃
(参照実施例6)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)およびオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を95/5の重量比で混練した。0.2%のIrganox B1171(熱安定剤とプロセス安定剤のブレンド)をこの混合物に添加した。
【0082】
(参照実施例7)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)を、0.2%のIrganox B1171(熱安定剤とプロセス安定剤のブレンド)を添加しながら処理した。
【0083】
【表4】

【0084】
実施例8から16 2段階法
PA・PPナノコンポジットブレンドを、2軸押出機(ZSK 25/40、Coperion Werner & Pfleinderer)を使って、少なくとも40のL/D比で製造した。有機物でインターカレートされるポリマーおよびフィロシリケートをポリマーまたはパウダースケールを用いて第一ゾーンにおいて添加した。このバッチを220から260℃のゾーン温度で各々250分−1および400分−1の速度において混練した。最初に、エチレンアクリル酸アイオノマーもしくはエチレンメタクリル酸アイオノマーを含まないもしくは含むマスターバッチPA6/クレーを調製した。次いで、このマスターバッチをPPおよびPA6と共に混練した。マスターバッチ製造および混練におけ全体のる処理量は、6kg/時であった。
【0085】
混練されたナノコンポジットブレンドを射出成形機(Arburg Allrounder 320M 850−210)を用いて試験サンプルにした。
【0086】
マスターバッチの中のシリケートシート間の間隔をWAX分析(WAX=広角X線散乱)により決定した。
【0087】
DIN EN ISO 527に従って引張試験を用い、DIN EN ISO 179/1eAに従ってノッチ衝撃強度試験を用いて、ナノコンポジットブレンドの機械特性を、(成形したての状態および条件調整された状態において)試験した。
【0088】
ナノコンポジットブレンドの動的機械挙動を、0.1%の一定の伸びおよび1Hzの周期でRDA II ねじり試験装置を使って試験した。ナノコンポジットブレンドの組成を以下の実施例に示し、表4および5に記載する。貯蔵弾性率を温度の関数として図7に示す。
【0089】
実施例8および16で用いたサンプルを、この重量が一定になるまで70℃、相対湿度62%においてEN ISO 1110に従って条件調整した。実施例10から15のサンプルの試験ロッドを、150℃において循環空気オーブンの中で貯蔵し、引き続き引張試験にかけた。
【0090】
ポリアミド6の溶液粘度を25℃において硫酸(96%)中の1%溶液で測定した。
【0091】
(実施例8)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)、6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を使用した。
【0092】
最初に、80/20の重量比であるPA6およびクレーのマスターバッチを調製した。WAXS分析により、シリケートシート間の間隔が4.5nmより大きく広がったことが示された。次いで、このマスターバッチをPA6およびPPと共に混練したことにより、PA6/PP/クレー混合物における成分の最終濃度は、80/15/5の重量比であった。
【0093】
(実施例9)
実施例10と同じ手順および材料を用いた。PA6/PP/クレー混合物における成分の最終濃度は、70/25/5の重量比であった。
【0094】
(実施例10)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)、6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、Znで完全に中和された低分子エチレンアクリル酸コポリマー(例、Aclyn 295)(本明細書でアイオノマーAcと呼ばれる)、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を使用した。
【0095】
最初に、75/5/20の重量比であるPA6、アイオノマーAcおよびクレーのマスターバッチを調製した。WAXS分析により、シリケートシート間の間隔が4.26nmより大きく広がったことが示された。次いで、このマスターバッチをPA6およびPPと共に混練したことにより、PA6/PP/アイオノマーAc/クレー混合物における成分の最終濃度は、79/15/1/5の重量比であった。
【0096】
(実施例11)
実施例12と同じ手順および材料を用いた。PA6/PP/アイオノマーAc/クレー混合物における成分の最終濃度は、69/25/1/5の重量比であった。
【0097】
(実施例12)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)、6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、Znで一部が中和された低分子エチレンアクリル酸コポリマー(例、Aclyn 291)(本明細書でアイオノマーAc1と呼ばれる)、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を使用した。
【0098】
最初に、72.5/7.5/20の重量比であるPA6、アイオノマーAc1およびクレーのマスターバッチを調製した。WAXS分析により、シリケートシート間の間隔が4.26nmより大きく広がったことが示された。次いで、このマスターバッチをPA6およびPPと共に混練したことにより、PA6/PP/アイオノマーAc1/クレー混合物における成分の最終濃度は、78.2/15/1.8/5の重量比であった。
【0099】
(実施例13)
実施例14と同じ手順および材料を用いた。PA6/PP/アイオノマーAc1/クレー混合物における成分の最終濃度は、69.5/25/1.5/4の重量比であった。
【0100】
(実施例14)
6.6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスおよび3.2の相対溶液粘度を有するポリアミド6(参照ポリアミドIII)、6(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン、Znで一部が中和されたのような高分子エチレンメタクリル酸コポリマー(例、Surlyn)(本明細書でアイオノマーSrと呼ばれる)、ならびにオクタデシルアミン修飾モンモリロナイト(例、Nanofil 848)を使用した。
【0101】
最初に、72.5/7.5/20の重量比であるPA6、アイオノマーSrおよびクレーのマスターバッチを調製した。WAXS分析により、シリケートシート間の間隔が4.3nmより大きく広がったことが示された。次いで、このマスターバッチをPA6およびPPと共に混練したことにより、PA6/PP/アイオノマーSr/クレー混合物における成分の最終濃度は、78.2/15/1.8/5の重量比であった。
【0102】
(実施例15)
実施例16と同じ手順および材料を用いた。PA6/PP/アイオノマーSr/クレー混合物における成分の最終濃度は、69.5/25/1.5/4の重量比であった。
【0103】
(実施例16)
実施例16と同じ手順および材料を用いた。PA6/PP/アイオノマーSr/クレー混合物における成分の最終濃度は、55.9/40/1.1/3の重量比であった。
【0104】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】貯蔵時間の関数としての、23℃で相対湿度95%におけるナノコンポジットブレンドの吸水率。
【図2】貯蔵時間の関数としての、23℃における水中でのナノコンポジットブレンドの吸水率。
【図3】成形したての状態および条件調整された状態(23℃/相対湿度95%−280時間後、23°/水中−1800時間後および4000時間後)におけるナノコンポジットブレンドのE弾性率。
【図4】PA6/PPナノコンポジットブレンドの超薄膜スライスのTEM記録:a)コントラストをつけた場合、b)コントラストをつけない場合。
【図5a】PA6/PPナノコンポジットブレンドの試験ロッドの冷凍破壊面のSEM記録:a)相溶化剤の追加なし、b)1.8重量%を含有。
【図5b】PA6/PPナノコンポジットブレンドの試験ロッドの冷凍破壊面のSEM記録:a)相溶化剤の追加なし、b)1.8重量%を含有。
【図6】温度の関数としての、本発明のPA/PPナノコンポジットブレンドの貯蔵弾性率。
【図7】温度の関数としての、本発明のPA/PPナノコンポジットブレンドの貯蔵弾性率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)10重量%までのカルボキシル化ポリオレフィン、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含有し、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができるナノコンポジットブレンド。
【請求項2】
成分a)が2.2から4.0、好ましくは2.4から3.5の溶液粘度を有するポリアミド6である、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項3】
成分b)が1から110ccm/10分、好ましくは5から30ccm/10分(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンである、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項4】
上記分散フィロシリケート(成分c)が、オニウムイオンで修飾され、60から150mval/100gのカチオン交換容量を有する、天然のナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、または合成マイカである、請求項1から3のうちの1つまたはいくつかに記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項5】
成分d)が、0.1から1.9重量%で上記ナノコンポジットブレンドに含有され、好ましくは金属イオンで一部または完全に中和されたエチレンアクリル酸コポリマーもしくはエチレンメタクリル酸コポリマーである、請求項1から4のうちの1つまたはいくつかに記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項6】
成分が
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)10重量%までのカルボキシル化ポリオレフィン、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含み、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができ、および含まれるポリマーの融点を超える温度において押出機またはニーダーの中で混練される、ポリマーナノコンポジットブレンドを製造する方法。
【請求項7】
上記成分が1段階で混練される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
成分c)およびd)を最初に成分a)の一部の中に混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを成分b)および残りの量の成分a)と共に第2段階で混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練し、次いで、成分c)および一部の成分a)を混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを修飾ポリプロピレンおよび残りの量の成分a)と共に次の段階で混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練して修飾ポリプロピレンとし、次の段階で、成分a)および成分d)と共に修飾ポリプロピレンを混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
請求項6から10に記載の方法のうちの1つに従って製造された、請求項1から5のうちのいずれか1つに記載のナノコンポジットブレンドの、押出物、射出成形部品、またはファイバーとしての使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)オニウムイオンで修飾された、天然のナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトまたは合成マイカからなる群から選択される1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)1.9重量%までのポリオレフィンコポリマー、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含有し、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができるナノコンポジットブレンド。
【請求項2】
成分a)が2.2から4.0、好ましくは2.4から3.5の溶液粘度を有するポリアミド6であり、前記溶液粘度を25℃において96%硫酸の1%溶液で測定した、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項3】
成分b)が1から110ccm/10分、好ましくは5から30ccm/10分(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンである、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項4】
上記分散フィロシリケート(成分c)が、60から150mval/100gのカチオン交換容量を有する、請求項1から3のうちの1つまたはいくつかに記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項5】
成分d)が、0.1から1.9重量%で上記ナノコンポジットブレンドに含有され、好ましくは金属イオンで一部または完全に中和されたエチレンアクリル酸コポリマーもしくはエチレンメタクリル酸コポリマーである、請求項1から4のうちの1つまたはいくつかに記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項6】
成分が
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)オニウムイオンで修飾された、天然ナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトまたは合成マイカからなる群から選択される、1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)1.9重量%までのポリオレフィンコポリマー、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含有し、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができ、および含まれるポリマーの融点を超える温度において押出機またはニーダーの中で混練される、ポリマーナノコンポジットブレンドを製造する方法。
【請求項7】
上記成分が1段階で混練される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
成分c)およびd)を最初に成分a)の一部の中に混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを成分b)および残りの量の成分a)と共に第2段階で混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練し、次いで、成分c)および一部の成分a)を混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを修飾ポリプロピレンおよび残りの量の成分a)と共に次の段階で混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練して修飾ポリプロピレンとし、次の段階で、成分a)および成分d)と共に修飾ポリプロピレンを混練し、さらに処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
請求項6から10に記載の方法のうちの1つに従って製造された、請求項1から5のうちのいずれか1つに記載のナノコンポジットブレンドの、押出物、射出成形部品、またはファイバーとしての使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)オニウムイオンで修飾された、天然ナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトまたは合成マイカからなる群から選択され、および60から150mval/100gのカチオン交換容量を有する、1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)1.9重量%までのポリオレフィンコポリマー、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含有し、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができるナノコンポジットブレンド。
【請求項2】
成分a)が2.2から4.0、好ましくは2.4から3.5の溶液粘度を有するポリアミド6であり、前記溶液粘度を25℃において96%硫酸の1%溶液で測定した、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項3】
成分b)が1から110ccm/10分、好ましくは5から30ccm/10分(230℃/2.16kg)のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンである、請求項1に記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項4】
成分d)が、0.1から1.9重量%で上記ナノコンポジットブレンドに含有され、好ましくは金属イオンで一部または完全に中和されたエチレンアクリル酸コポリマーもしくはエチレンメタクリル酸コポリマーである、請求項1から3のうちの1つまたはいくつかに記載のポリマーナノコンポジットブレンド。
【請求項5】
成分が、
a)55から95重量%のポリアミド(PA)、
b)4から40重量%のポリプロピレン(PP)、
c)オニウムイオンで修飾された、天然ナトリウムモンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイトまたは合成マイカからなる群から選択され、および60から150mval/100gのカチオン交換容量を有する、1から9重量%のナノ分散フィロシリケート、および
d)1.9重量%までのポリオレフィンコポリマー、特にエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー
を含有し、
100重量%トータルのこの組成に加えて、一般的な安定剤およびフィラーを含有することができ、および含まれるポリマーの融点を超える温度において押出機またはニーダーの中で混練される、ポリマーナノコンポジットブレンドを製造する方法。
【請求項6】
上記成分が1段階で混練される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
成分c)およびd)を最初に成分a)の一部中に混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを成分b)および残りの量の成分a)と共に第2段階で混練し、さらに処理する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練し、次いで、成分c)および一部の成分a)を混ぜ込み、マスターバッチを形成し、前記マスターバッチを修飾ポリプロピレンおよび残りの量の成分a)と共に次の段階で混練し、さらに処理する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
成分d)およびb)を、含まれるポリマーの融点を超える温度で押出機またはニーダーの中で最初に混練して修飾ポリプロピレンとし、次の段階で、成分a)および成分d)と共に修飾ポリプロピレンを混練し、さらに処理する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
請求項5から9に記載の方法のうちの1つに従って製造された、請求項1から4のうちのいずれか1つに記載のナノコンポジットブレンドの、押出物、射出成形部品、またはファイバーとしての使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−525383(P2006−525383A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504295(P2006−504295)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000744
【国際公開番号】WO2004/099316
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505362333)ズード−ケミー・アクチエンゲゼルシヤフト (2)
【Fターム(参考)】