説明

ポリマー状抗菌剤

【課題】ポリマー状抗菌剤の提供。
【解決手段】
エチレンイミンポリマーの骨格中の窒素原子を置換することによって製造されるポリマー状抗菌剤を提供する。該薬剤は、ヒト毒性が低く、その上、様々な病原菌に対して効果的であり、かつ、化粧品、毛髪ケア製品及び繊維製品等のヒトとの接触を含む用途において、並びに、コーティング等のヒトとの接触がはるかに少ない用途において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリエチレンイミンから誘導されたポリマー状抗菌剤を提供する。該薬剤は、ヒト毒性が低く、その上、様々な病原菌に対して効果的であり、かつ、化粧品、毛髪ケア製品及び繊維製品等のヒトとの接触を含む用途において、並びに、コーティング等のヒトとの接触がはるかに少ない用途において有用である。
【背景技術】
【0002】
抗菌性化合物は、広く使用されており、多くの製品及び材料の一部として受容されている。抗菌せっけん、植物のための抗真菌処理、局所治療、防汚コーティング及び殺菌洗浄剤は、抗菌性材料の一般用途のほんの一部である。
【0003】
抗菌性化合物の使用における明らかなジレンマは、このような化合物が、生物に対しては活性であるが、ヒト、動物又は所望の植物に対しては非毒性でなければならないことにある。本願明細書に開示されるものは、1つには本発明の化合物のポリマーの性質により、多くの他の抗菌性化合物に比べヒトに対して、より有害ではない、様々な有害な細菌に対して効果的な化合物である。
【0004】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第6,090,772号明細書;米国特許第5,955,408号明細書;米国特許第6,071,866号明細書;米国特許第6,358,906号明細書及び国際公開第96/06152号パンフレットは、抗菌剤としてトリクロサンを含むパーソナル用途において有用な組成物を開示している。
【0005】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第5,635,462号明細書もまた、抗菌剤を含む組成物を開示している。
【0006】
国際公開第98/55096号パンフレットは、活性抗菌剤を含む抗菌性組成物を含浸させた多孔性シートを有する抗菌ティッシュを開示している。
【0007】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第6,861,397号明細書は、抗菌剤を含む局所活性化合物の増加沈殿物を有するパーソナルケア及び洗浄組成物を開示している。
【0008】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第6,872,241号明細書は、伝染性の空中浮遊微生物に対して防護能力を有する抗病原菌性空気濾過媒体及び空気処理装置を開示している。
【0009】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第3,116,969号明細書は、吸湿剤、増粘剤及びフィルム形成剤を含む粘着性組成物によってフィルター繊維上に保持されるアルキルアリール塩化四級アンモニウム消毒剤化合物を有するフィルターを記載している。
【0010】
英語の要約書によると、国際公開第00/64264号パンフレットは、
骨格及びそこに結合されたN−アルキル−N−ビニルアルキルアミド及び三ヨウ化物イオンから誘導された単位を含むポリマー状ペンダント基を含むポリマーベースで作られるフィルターのための殺菌性有機ポリマー材料を開示している。
【0011】
参照としてその全文がここに組み込まれる米国特許第5,405,919号明細書は、
ポリオレフィン、ポリエチレンイミン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン等を含むポリマーに生物学的に活性なジアゼニウムジオレートNO−放出基を結合又はカップリングするための方法を開示している。
【0012】
特開平09−157113号公報、特開平09−012717号公報及び特開平07−188698号公報は、Zn、Cu及びAgの塩と特に有効な抗菌剤として、アルキル基(炭素原子数8ないし30)、アシル基及びヒドロキシアルキル基で変性されたポリエチレンイミンの使用を開示している。
【0013】
Klibanov,Biotechnol.Prog.2002,18,1082−1086;Biotech.及びBioengin.2003,83,168−172は、抗菌剤として効果的なN−アルキル化ポリエチレンイミン誘導体を記載している。
【0014】
抗菌性化合物、例えば、抗菌性組成物において見られるようなもの等は、すばやく、かつ毒性及び肌のかぶれに関連する問題なく、微生物群において十分かつ広いスペクトル減少をもたらすことが重要である。抗菌活性は、グラム陽性微生物及びグラム陰性微生物を含む広いスペクトルの微生物に対して評価される。抗菌性組成物によってもたらされる微生物群における対数(log)の減少又はパーセント(%)の減少は、抗菌活性に関連する。特定の一定時間、一般に、15秒ないし5分間の範囲内については、3ないし5の対数の減少が最も好ましく、1ないし3の減少が好ましいが、1未満の対数の減少が最も好ましくない。そのため、非常に好ましい抗菌性組成物は、短い接触時間において、広いスペクトルの微生物に対して、3ないし5の対数の減少を示す。
【0015】
抗菌性溶液のための最新技術はカクテル法であり、該方法は、2種以上の抗菌性化合物を混合することによって広いスペクトルの抗菌活性を提供する。この方法は、通常、抗菌性化合物の物理的性質及び化学的性質の違い、例えば、安定性、溶解性及び溶出率の違いのため、互換性の問題に関連している。抗菌性ポリマーの利点は、いかなる互換性の問題も発生することなく、同一のポリマー鎖上に様々な官能基を組み合わせることによって達成され得る広いスペクトルの抗菌活性にある。官能基はまた、抗菌性ポリマーの物理的性質及び化学的性質を調整するためにも導入され得るため、用途においてそれらの性能を改善することができる。ポリマー鎖上へ官能基を更に導入することによって、抗菌活性にいかなる影響を及ぼすことなく、水及び/又はグリコールに対する抗菌性ポリマーの溶解性を顕著に増加させることができることが、我々の実験によって証明されている。
【特許文献1】米国特許第6,090,772号明細書
【特許文献2】米国特許第5,955,408号明細書
【特許文献3】米国特許第6,071,866号明細書
【特許文献4】米国特許第6,358,906号明細書
【特許文献5】国際公開第96/06152号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,635,462号明細書
【特許文献7】国際公開第98/55096号パンフレット
【特許文献8】米国特許第6,861,397号明細書
【特許文献9】米国特許第6,872,241号明細書
【特許文献10】米国特許第3,116,969号明細書
【特許文献11】国際公開第00/64264号パンフレット
【特許文献12】米国特許第5,405,919号明細書
【特許文献13】特開平09−157113号公報
【特許文献14】特開平09−012717号公報
【特許文献15】特開平07−188698号公報
【非特許文献1】Klibanov,Biotechnol.Prog.2002,18,1082−1086;Biotech.
【非特許文献2】Bioengin.2003,83,168−172
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
発明の概要
本発明は、新規な抗菌性ポリエチレンイミン化合物を提供する。これらのポリマー状及びオリゴマー状化合物は、接触により細菌に対して高い活性を奏し、かつ、1つには、該化合物の非意図的除去をしにくくするそれらのサイズ及びポリマーの性質により、長期間にわたり活性を維持する。前記化合物はまた、ヒトと接触しても、肌を通してより容易に吸収される又は環境中への散布によりより容易に生物に利用可能にされる他の化合物よりも害は少ない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の説明
本発明は、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーであって、該ポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子(本願明細書では、N原子としても言及される。)の10ないし100%が、以下の置換基(a)ないし(d):
(a)未中断であるか又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、−SO−又は−SO2−によって1回以上中断され、かつ炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、ホスホン酸、ハロゲン原子、−CONR’R、−NR’R、ホスホン酸塩、アンモニウム塩又は式
【化1】

で表わされる基又は基−Si(G)3(式中、Gの各々は、独立して、ヒドロキシル基、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし4のアルコキシ基を表わす。)である部分1つ以上によって1回以上置換された、炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基又は炭素原子数3ないし24のアルケニルカルボニル基、
但し、上記置換基の内の少なくとも他の1つもまた存在する場合を除き、未中断の炭素原子数1ないし24のアルキル基はビグアニド基、炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基、−COOM、−COOR(式中、Rは、未置換のアルキル基を表わす。)、−OR(式中、Rは、H又は未置換のアルキルカルボニル基を表わす。)又は−CONR’Rによって置換されない;
(b)式
【化2】

(式中、Y及びY’は、独立して、N、C−R、C−OR又はC−NRR’を表わし、D及びD’は、独立して、R、−OR又は−NRR’を表わす。)で表わされる複素環;
(c)式
【化3】

(式中、m及びnは、独立して、1、2、3、4、5又は6を表わす。)で表わされる基;又は、
(d)−L−Poly(式中、Polyは、ポリエーテル、ポリシロキサン、スチレンポリマー又はポリオールから選択される枝分かれした又は枝分かれしていないポリマー又はオリゴマーを表わす。);
ここで、上記式中、
R、R’及びR’’は、互いに独立して、水素原子;基−L−Ar、
【化4】

未中断の又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)−又は−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)−によって1回以上中断された炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わし、
前記未中断の又は中断されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基又はアルキルカルボニル基は、未置換であるか、又は、1つ以上のハロゲン原子、−OH、炭素原子数7ないし12のアラルキル基、炭素原子数2ないし12のアルキルカルボニル基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOM、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−SO3M、フェニル基、1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基、ナフチル基、1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換されたナフチル基、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし12のアルキル基によって置換されたプリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基(ここで、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基は、中性であるか、又は、イオン的に帯電している。)、アミジン、グアニジン、アンモニウム塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩又は基
【化5】

(式中、Q又はQ’の各々は、独立して、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表わす。)によって1回以上置換されており;
又は、
窒素原子に結合する場合、R及びR’は、それらが結合するところの窒素原子と一緒になって、未中断の又は−O−、−NH−又は−N(炭素原子数1ないし12のアルキル)−によって中断された5−、6−又は7−員環を形成し;
Lは、直接結合、未中断であるか又は1つ以上の酸素原子によって中断され、かつ未置換であるか又は1つ以上の−OH、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−NH2
−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表わし;
Arは、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOQ’’、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−SO3M、SO3H、アンモニウム塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のフェニル基、ナフチル基、
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし12のアルキル基によって置換されたプリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基(ここで、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基は、中性であるか、又は、イオン的に帯電している。)によって1回以上置換された炭素原子数6ないし10の芳香族の又は炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環を表わし;
ここで、Q’’は、水素原子、金属カチオン、グリコールエーテル基、ポリシロキサン基、フェニル基又はベンジル基、又は、1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基又は炭素原子数1ないし12のアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基又はベンジル基を表わし、
Mは、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表わし、かつ、
エチレンイミンポリマーのN原子が四置換されている場合、それは、対応する対アニオンとのカチオンを表わす、
の1つ以上によって置換されるところの抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを提供する。
【0018】
例えば、本発明は、前記置換基の少なくとも1部が、未中断であるか又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、−SO−又は−SO2−によって1回以上中断され、かつ1つ以上の−OR、−COOR、−COOM、−NR’R、−SO3M、−SO3H、ハロゲン原子、−NR’R、アンモニウム塩又は式
【化6】

で表わされる基によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基又は炭素原子数3ないし24のアルケニルカルボニル基を表わすが、上記置換基の内の少なくとも他の1つも存在する場合を除き、未中断の炭素原子数1ないし24のアルキル基はビグアニド基、−COOM、−COOR(式中、Rは、未置換のアルキル基を表わす。)又は−OR(式中、Rは、H又は未置換のアルキルカルボニル基を表わす。)によって置換されないところの、上記抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー;
例えば、前記置換基の少なくとも1部が、1つ以上のハロゲン原子、アンモニウム塩、
【化7】

又は−OR(式中、Rは、−L−Ar又は
【化8】

を表わす。)によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わすところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー;
例えば、前記置換基の少なくとも1部が、1つ以上のハロゲン原子又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、1つ以上のハロゲン原子又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わすか、又は、置換基の少なくとも1部が、ベンジル基、ベンゾイル基、又は、1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数1ないし12のアルコキシ基又は炭素原子数1ないし12のアルキルカルボキシ基によって1回以上置換されたベンジル基又はベンゾイル基を表わすところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー;
例えば、前記置換基の少なくとも1部が、アンモニウム塩、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、置換されたフェノキシ基、置換されたベンジルオキシ基、ベンジル基、置換されたベンジル基、
【化9】

(式中、nは、1ないし12の数を表わす。)から選択された少なくとも1つの基によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わすところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー;
例えば、置換される前記ポリマー又はコポリマー骨格の10ないし100%のN原子の少なくとも一部が、1つ以上の基
【化10】

(式中、pは、1、2、3、4、5又は6を表わす。)によって置換されているところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー
を提供する。
【0019】
例えば、置換される前記抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格の10ないし100%のN原子の少なくとも一部は、
少なくとも1つの基OR及びハロゲン原子、NR’R、SO3M、SO3H、アンモニウム塩又は式
【化11】

で表される基の少なくとも1つによって置換された、1つ以上の炭素原子数1ないし24のアルキル基;
例えば、少なくとも1つの基OR及びハロゲン原子、NR’R、アンモニウム塩又は式Ar、
【化12】

で表される基の少なくとも1つによって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基;
例えば、OH及びアンモニウム塩、ベンジル基、置換されたベンジル基、
【化13】

から選択された基によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、
によって置換される。
【0020】
例えば、本発明は、置換されるポリマー又はコポリマー骨格の10ないし100%のN原子の置換基の少なくとも一部が、
1つ以上の酸素原子、硫黄原子、−SO−又は−SO2−によって1回以上中断され、かつ未置換の、又は、ハロゲン原子、−OR、−COOR、−COOM、−CONR’R、−NR’R、−SO3M、−SO3H、ホスホン酸、ホスホン酸塩、アンモニウム塩又は式
【化14】

で表わされる基の1つ以上によって1回以上置換された、炭素原子数2ないし24のアルキル基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボニル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基及び炭素原子数3ないし24のアルケニルカルボニル基;
例えば、未置換の、又は、ハロゲン原子、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、アンモニウム塩又は式
【化15】

で表わされる基の1つ以上によって1回以上置換された、前記中断されたアルキル基又はアルキルカルボニル基;
例えば、ハロゲン原子、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、アンモニウム塩又は式
【化16】

で表わされる基の1つ以上によって1回以上置換された、前記中断されたアルキル基又はアルキルカルボニル基、
からなる群から選択されるところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを提供する。
【0021】
例えば、本発明は、置換される前記ポリマー又はコポリマー骨格の10ないし100%のN原子の少なくとも一部が、1つ以上の
【化17】

(式中、Y及びY’は、独立して、N、C−R、C−OR又はC−NRR’を表し、D及びD’は、独立して、R、OR又はNRR’を表わす。)によって置換されるところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー;
例えば、置換基の少なくとも1部が、
【化18】

を表わし、
ここで、
D及びD’は、独立して、R、OR又はNRR’を表わし、ここで、
R及びR’は、独立して、水素原子、アンモニウム塩、炭素原子数1ないし24のアルキル基、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルカノイル基を表わすか;又は、
R及びR’は、独立して、−L−Ar、
【化19】

を表わし、
ここで、Lは、直接結合又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表わし、
Arは、フェニル基又は1つ以上のハロゲン原子、−OH、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOH、−COOM、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし12のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし12のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし12のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし12のアルキル)2基、アンモニウム塩、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は1つ以上のハロゲン原子によって1回以上置換されたアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基を表わすところの、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー、
を提供する。
【0022】
例えば、置換される、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格の10ないし100%のN原子の少なくとも一部は、
基−L−Poly(式中、Polyは、ポリエーテル及びポリシロキサンから選択されるポリマー又はオリゴマーを表わす。)によって置換される;
例えば、ポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子の置換基の少なくとも一部は、
【化20】

である。
【0023】
炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環は、複素環がイオン的に帯電し得るところの、1ないし9つの炭素原子を含む、少なくとも3つの原子からなる単環又は多環である。
【0024】
例えば、炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環は、他の炭素環又は複素環と縮合し得る1、2又は3つの窒素原子を含む5、6又は7員環であり;
例えば、炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環は、ベンゼン環と縮合し得る1、2又は3つの窒素原子を含む5、6又は7員環であり;
例えば、炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環は、プリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピラミジン環又はトリアゾール環であり;
該複素環は、上記したように置換され得、かつ、該複素環はまた、イオン的に帯電し得る。
【0025】
アルキル基は、特定数の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基又はドコサニル基等である。
【0026】
アルケニル基は、炭素−炭素二重結合を1つ以上含む特定数の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖であり、例えば、n−プロペニル基、n−ブテニル基、第二ブテニル基、n−ヘキセニル基、n−オクテニル基、n−ヘキサジエニル基、n−オクタジエニル基、2−エチルヘキセニル基、n−ノネニル基、n−デセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−トリデセニル基、n−テトラデセニル基、n−ヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基、n−ドデカジエニル基、n−テトラデカジエニル基、n−ヘキサデカジエニル基、n−ヘキサデカトリエニル基、n−オクタデカジエニル基、n−オクタデカトリエニル基である。
【0027】
アルカノイル基は、結合部分においてカルボニル基を有する、特定数の炭素原子を有する直鎖又は枝分かれ鎖である。
【0028】
アンモニウム塩は、例えば、未置換のアンモニウムであるか、炭素原子数6ないし10のアリール基、炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数1ないし24の枝分かれしたアルキル基、1つ以上の酸素原子、カルボニル基、カルボキシ基又は炭素原子数6ないし10のアリーレン基によって中断された炭素原子数1ないし24のアルキル基及び枝分かれしたアルキル基、及び、アルキル基、アリール基、OH、Oアルキル基、Oアシル基によって置換された前記アリール基、アルキル基、枝分かれしたアルキル基、中断されたアルキル基及び中断された枝分かれしたアルキル基から選択された1つ以上の基によって1、2又は3回置換されたアンモニウム;及び対応する対イオンである。
【0029】
アンモニウム塩はまた、環又は多環を含み得、該環又は多環は置換され得る。
【0030】
例えば、アンモニウム塩は、トリスベンジルアンモニウム、又は、モノ−、ジ−又はトリ−炭素原子数1ないし24のアルキルアンモニウム(ここで、各アルキル基は、同じ又は異なる、モノ−、ジ−又はトリ−ベンジル基であり得る。)、モノ−、ジ−又はトリ−炭素原子数1ないし24のヒドロキシアルキルアンモニウム(ここで、各アルキル基は、同じ又は異なり得る。)である。
【0031】
例えば、アンモニウム塩は、二置換又は三置換アンモニウム(ここで、置換基の各々は、独立して、炭素原子数1ないし24のアルキル基、ベンジル基及び炭素原子数1ないし24のヒドロキシアルキル基から選択される。)である。
【0032】
置換されたアンモニウム塩の炭素原子数1ないし24のアルキル基、ベンジル基及び炭素原子数1ないし24のヒドロキシアルキル基はまた、炭素原子数1ないし8のアルキル基又は枝分かれしたアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし24のカルボキシエステル基、炭素原子数1ないし24のアルキルオキシ基、炭素原子数1ないし24のアシルオキシ基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。
【0033】
Mがアンモニウムカチオンを表わす場合、それは、例えば、未置換のアンモニウムであるか、炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数1ないし24の枝分かれしたアルキル基、1つ以上の酸素原子、炭素原子数6ないし10のアリール基、炭素原子数7ないし9のアラルキル基によって中断された前記アルキル基及び枝分かれしたアルキル基、アルキル基、OH、O炭素原子数1ないし24のアルキル基、O炭素原子数1ないし24のアシル基によって置換された前記アルキル基、枝分かれしたアルキル基、中断されたアルキル基及び中断された枝分かれしたアルキル基、及び同様に置換されたアリール基から選択された1つ以上の基によって1、2、3又は4回置換されたアンモニウムである。
【0034】
エチレンイミンポリマー又はコポリマーのN原子は、上記した様々な置換基の多く、上記した置換基の2、3又は上記した置換基の1つによって置換され得る。上記した他の置換基(以後、それらも本発明の置換基として言及される)も存在するならば、一つの置換基で、エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格のN原子の10%以上が置換される必要はないため、N原子の少なくとも10%が1つ以上の本発明の置換基で置換される。
【0035】
本発明の置換基の例は以下のものを含む:
ベンジル基、ベンゾイル基、
ハロゲン原子、炭素原子数1ないし8のアルキル基、アンモニウム塩、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、カルボキシ酸、酸塩及び/又はエステル基の1つ以上で置換されたベンジル基又はベンゾイル基;
アンモニウム塩、フェニル基、ナフチル基、置換された又は未置換の複素環、例えば、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基又はトリアジン基の1つ以上で置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又はアルキルカルボニル基;
アンモニウム塩、ハロゲン原子、基OR、フェニル基、ナフチル基、置換された又は未置換の複素環の1つ以上で置換され、かつ、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、カルボキシ酸、酸塩及び/又はエステル基から選択される少なくとも1つの他の異なる置換基も有する炭素原子数1ないし24のアルキル基又はアルキルカルボニル基、例えば、ヒドロキシ基及びハロゲン原子又はアシル基及び置換されたプリン基で置換されたアルキル基;
酸素原子で中断され、かつベンジル基、ベンゾイル基、置換されたベンジル基、置換されたベンゾイル基、置換された又は未置換の複素環、例えば、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、前記複素環又は1つ以上のハロゲン原子で更に置換されたアシル基で置換された前記アルキル基。
【0036】
未置換の、又は、炭素原子数1ないし8のアルキル基、アルキルアミン基、アリールアミン基、フェニル基、ベンジル基、置換されたフェニル基又はベンジル基、アシルオキシ基、カルボキシ酸、酸塩及び/又はエステル基の1つ以上によって置換されたプリン基、ピラミジン基又はトリアジン基等の複素環。
【0037】
例えば、本発明の置換基は、F、Cl、Br又はIもしくはF、Cl、Br又はIのいずれかの組み合わせによって1ないし5回置換されたベンジル基;
以下の式
【化21】

(式中、Yは、CR又はNを表わす。)で表されるピラミジン基又はトリアジン基;
1つ以上の
【化22】

によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又はアルキルカルボニル基;及び、
1つ以上の
【化23】

(式中、Yは、C又はNを表わす。)によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又はアルキルカルボニル基、
からなる群から選択される。
【0038】
例えば、本発明の置換基は、以下の式:
【化24】

(ここで、Y、Y’及びY’’は、C又はNを表し、Rは上記で定義した通りである。)で表されるもの、前記式で表されるものの異性体及び前記式で表されるものの相同物及び前記異性体の相同物を含む。
【0039】
本発明の一つの態様において、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子の10ないし100%の少なくとも1部は、OR、COOM、ハロゲン原子、CONR’R、NR’R、SO3M、SO3H、ホスホン酸、ホスホン酸塩、アンモニウム塩又は式
【化25】

で表わされる基から選択される少なくとも2つの異なる基によって置換されたアルキル基によって置換される。
【0040】
エチレンイミンポリマー又はコポリマーは、様々な活性を与える部分によって置換され得る。例えば、ポリマーは、ポリマーに抗バクテリア性を与える置換基及びポリマーに抗真菌性を与える他の置換基を有し得る。
【0041】
本発明の一つの態様において、一つのエチレンイミンポリマー、コポリマー又はオリゴマーは、少なくとも2つの異なる置換基(ここで、該置換基の各々は、異なる抗菌活性を与える。)を含み、例えば、ポリマーのN原子は、2つの異なる置換基を有し、各置換基は、異なる活性を与える。
【0042】
他の態様において、一つのN原子置換基は、異なる活性を有する、少なくとも2つの異なる基を有する、例えば、N原子は、1方の部分が抗バクテリア活性を与え、かつ他方の部分が抗真菌活性を与えるところの2つの部分によって置換されたアルキル基によって置換される。
【0043】
他の態様において、少なくとも2つの異なる本発明のエチレンイミンポリマー、コポリマー又はオリゴマーがブレンドされる。
【0044】
他の態様において、本発明のエチレンイミンポリマー、コポリマー又はオリゴマーは、他の抗菌性化合物とブレンドされる。
【0045】
上記した本発明の置換基に加えて、上記していない置換基、例えば、単純なアルキル置換基、例えば、炭素原子数1ないし24のアルキル基又はヒドロキシ基、カルボキシ基又はカルボン酸エステル基によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基もまた、エチレンイミンポリマー又はコポリマーのN原子上に更なる置換基として存在し得る。
【0046】
残りの窒素原子は、未置換であるか、又は、炭素原子数1ないし24のアルキル基又は−OR、COOR、COOM(ここで、R及びMは、上記した通りである。)によって置換された前記アルキル基によって置換され得る。それ故、本発明は、窒素原子の10ないし100%、特に10ないし99%が本発明の置換基を有し、一方、残りの窒素原子、例えば1ないし90%が未置換であるか又は炭素原子数1ないし24のアルキル基又は−OR、COOR、COOM(ここで、R及びMは、上記した通りである。)によって置換された前記アルキル基によって置換されるか、又は、一部が未置換であり、一方、残りが炭素原子数1ないし24のアルキル基又は−OR、COOR、COOM(ここで、R及びMは、上記した通りである。)によって置換された前記アルキル基によって置換されるところのエチレンイミンポリマー又はコポリマーを含む。
【0047】
例えば、本発明はまた、エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格のN原子の10ないし99%が上記したように置換され、かつ、エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格のN原子の少なくとも1%が炭素原子数1ないし24のアルキル基又は−OR、COOR、COOM(ここで、R及びMは、上記した通りである。)によって置換された前記アルキル基によって置換されるところの、請求項1に記載の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーに関する。
【0048】
エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格の如何なるN原子も、同じ置換基によって1回以上置換され得るか、又は、1つ以上の置換基によって置換され得る。
【0049】
例えば、ポリマー又はコポリマー骨格のN原子の一部がベンジル基によって、一部がク
ロロベンジル基によって、そしてまた、一部がベンジル基とクロロベンジル基の両方によって置換され得る。例えば、ポリマー又はコポリマー骨格のN原子の10%以上は、ヒドロキシル基及びアンモニウムカチオンによって置換されたアルキル鎖によって置換され得、残りの骨格のN原子の一部は、単純なアルキル基によって置換され得る。
【0050】
本発明の置換されたエチレンイミンポリマー又はコポリマーは、以下で議論する既知の反応を通して、既存ポリマーのN原子を置換することによって、又は、重合を行う前に、エチレンイミンモノマー又はオリゴマーのN原子を置換することによって容易に製造される。このような既存ポリマーは、 ‘‘プレポリマー’’として市販で入手可能であり、そしてそれは、重合することができるエチレンイミンモノマー又はオリゴマーである。
【0051】
置換前のポリマー又はコポリマーは、300ないし50000、典型的には、400ないし50000、例えば、400ないし5000の範囲の分子量を有し、枝分かれしたもの又は枝分かれしていないものであり得る。ポリマーはまた、本質的に架橋され得る、即ち、エチレンイミンベースの材料の反応を通して架橋され得るか、又は、エピクロロヒドリン、ジエポキシド、エポキシ樹脂又は無水物等の薬剤によって架橋され得る。
【0052】
本発明に従って置換されるエチレンイミンポリマー、コポリマー又はオリゴマーのN原子は、枝分かれ及び架橋の量に応じて、単置換、二置換又は三置換アミンであり得る。それ故、各N原子は、本発明の又は本発明以外の置換基を1つ以上有し得、ポリマー又はコポリマーはカチオン性であり得る。
【0053】
エチレンイミンポリマー、コポリマー又はオリゴマーのN原子は、アミンのよく知られた置換反応のいずれかによって置換される。例えば、アミンは、適当な条件下で、典型的には、塩基の存在下において、アルキル基、アリール基又は複素環式ハロゲン化物、スルホネート基、エポキシド基等との反応を通して、アルキル化、アリール化又は複素環で置換され得る。アミンのアルキル化もまた、ビニルエステル基、アミド基、ニトリルスルホン基等との反応と同様に、二重結合を介して起こり得る。アミンは、酸ハロゲン化物、エステル基、無水物、カルボン酸等との反応によってアシル化され得る。様々な金属触媒反応、例えば、へック及び鈴木反応(Heck and Suzuki reactions)もまた、アミンを誘導することが知られている。
【0054】
反応条件は、置換されるポリマー又はコポリマー骨格のN原子の量を決定する。例えば、アルキルハロゲン化物を用いてN原子をアルキル化する場合、反応において使用されるアルキルハロゲン化物の量は、配合され得るアルキル化剤の量の上限を示す。上記したように、ポリマー又はコポリマー骨格のN原子は、反応条件下で、1回より多く置換され得る。それ故、このような反応において使用される置換薬剤の量は、典型的には、N原子を含む1ポリマー当り置換基0.2ないし2モル当量の範囲の置換割合を与えるように選択され得る。アルキルハロゲン化物は、市販品であるか、又は、既知の手段を通して容易に製造される。
【0055】
例えば、条件次第で、ポリエチレンイミンと臭化ベンジルとの反応は、以下の部分
【化26】

と第二及び第一ベンジルアミノを含む他のベンジルアミノ部分を含む置換されたポリマーをもたらし得る。
【0056】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーは、例えば、病原性のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して、及び、皮膚常在菌に対して、及びまた、酵母及びカビに対して顕著な抗菌作用を示す。従って、それらは
消毒、脱臭のために、及び、肌及び粘膜及び皮膚付属物(毛髪)の一般及び抗菌処理のために、例えば、手及び創傷の消毒のために適している。
【0057】
従って、それらは、パーソナルケア製剤、例えば、シャンプー、バス添加剤、ヘアケア製剤、液体及び固体石鹸(合成界面活性剤、及び、飽和及び/又は不飽和脂肪酸の塩に基づく)、ローション及びクリーム、脱臭剤、他の水性又はアルコール性溶液、例えば肌用洗浄溶液、湿潤洗浄布、オイル又はパウダーにおける抗菌活性物質及び防腐剤として適している。
【0058】
従って、本発明はまた、少なくとも1種の本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー及び化粧品的に許容可能なキャリヤー又は補助剤を含むパーソナルケア製剤に関する。
【0059】
本発明に従ったパーソナルケア製剤は、本発明の組成物の総質量に基づき、0.01ないし15質量%、例えば0.1ないし10質量%の本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー、及び、許容可能な補助剤を含む。
【0060】
パーソナルケア製剤の形態に依存して、それは、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーに加えて、更なる成分、例えば、金属イオン封鎖剤、着色剤、香油、増粘剤又は凝固剤(稠度調節剤)、皮膚軟化剤、UV吸収剤、肌保護剤、抗酸化剤、機械的性質を改善する添加剤、例えば、ジカルボン酸及び/又は炭素原子数14ないし22の脂肪酸のアルミニウム、亜鉛、カルシウム又はマグネシウム塩及び所望により防腐剤を含む。
【0061】
本発明に従ったパーソナルケア製剤は、油中水又は水中油エマルジョン、アルコール性又はアルコール含有配合物、イオン性又は非イオン性の両親媒性脂質の小胞分散液、ゲル
、固体スティック又はエーロゾル配合物の形態であり得る。
【0062】
油中水又は水中油エマルジョンとして、化粧品として許容可能な補助剤は、好ましくは、5ないし50%の油相、5ないし20%の乳化剤及び30ないし90%の水を含む。油相は、化粧品配合物に適当なあらゆる油、例えば、1種以上の炭化水素油、ワックス、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステル又は脂肪アルコールを含み得る。好ましいモノ−又はポリ−オールは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール及びソルビトールである。
【0063】
本発明に従った化粧品配合物は、様々な分野で使用される。例えば、以下の製剤が考慮される:
−スキンケア製剤、例えば、タブレット形態又は液体石鹸、合成洗剤又は洗浄用ペーストの形態にある皮膚洗浄製剤及び清浄製剤;
−浴用製剤、例えば液体(フォームバス、ミルク、シャワー製剤)又は固体の浴用製剤、例えばバスキューブ及びバスソルト;
−スキンケア製剤、例えば、皮膚用エマルジョン、マルチエマルジョン又は皮膚用オイル;
−化粧品用パーソナルケア製剤、例えば、日中用クリーム又はパウダークリーム、フェイスパウダー(ルーズ又は圧縮された)、ルージュ又はクリームメイクアップの形態にある顔面用メイクアップ、アイケア用製剤、例えばアイシャドー製剤、マスカラ、アイライナー、アイクリーム又はアイフィックスクリーム;リップケア製剤、例えばリップスティック、リップグロス、リップ輪郭用ペンシル;マニキュア、マニキュア除去剤、ネイルハードナー又はキューティクル除去剤のようなネイルケア製剤;
−個人的な衛生製剤、例えば、個人的な洗浄ローション又は個人的なスプレー;
−フットケア製剤;フットバス、フットパウダー、フットクリーム又はフットバルサム、特別の脱臭剤及び制汗剤又はカルス除去製剤;
−サンミルク、ローション、クリーム又はオイル、サンブロック又はトロピカル、プレタンニング製剤又は日焼け後用製剤のような光保護製剤;
−スキンタンニング製剤、例えばセルフタンニングクリーム;
−脱色製剤、例えば皮膚を漂白するための製剤又はスキンライトニング製剤;
−防虫剤、例えば昆虫忌避オイル、ローション、スプレー又はスティック;
−脱臭スプレー、ポンプ作動のスプレー、脱臭ジェル、スティック又はロールオンのような脱臭剤;
−制汗剤、例えば制汗スティック、クリーム又はロールオン;
−汚れた皮膚を清浄し、ケアするための製剤、例えば合成洗浄剤(固体又は液体)、ピーリング又はスクラブ製剤又はピーリングマスク;
−化学薬品形態にある脱毛製剤(脱毛)、例えば、脱毛パウダー、液体脱毛製剤、クリーム−又はペースト−形態の脱毛製剤、ジェル形態又はエーロゾル発泡形態にある脱毛製剤;
−シェービング製剤、例えば、シェービングソープ、発泡シェービングクリーム、無発泡シェービングクリーム、フォーム及びジェル、ドライシェービングのためのプレシェーブ製剤、アフターシェーブ又はアフターシェーブローション;
−香料製剤、例えば、香料(オーデコロン、オードトワレ、オードパヒューム、パルファンドトワレ、香水)、香油又はパヒュームクリーム;
−歯科用ケア製剤、義歯ケア剤及びマウスケア製剤、例えば、練り歯磨き、ゲル状練り歯磨き、トゥースパウダー、マウスウォッシュ濃縮液、アンチプラークマウスウォッシュ、入れ歯洗浄剤又は入れ歯固定剤;
−化粧品ヘアトリートメント製剤、例えば、シャンプー及びコンディショナーの形態にあるヘア洗浄用製剤、ヘアケア製剤、例えばプレトリートメント製剤、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパッ
ク、強力ヘアトリートメント、ヘアストラクチュアリング製剤、例えばパーマネントウェーブ(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)のためのヘアウェーブ製剤、ヘアストレートニング製剤、液体ヘアセット用製剤、ヘアフォーム、ヘアスプレー、漂白製剤、例えば過酸化水素水、ライトニングシャンプー、ブリーチングクリーム、ブリーチングパウダー、漂白ペースト又はオイル、一時的、半永久的又は永久的染毛剤、自己酸化型染料を含む製剤又はヘナ又はカモミールのような天然染毛剤。
【0064】
抗菌石鹸は、例えば以下の組成を有する:
0.01ないし5質量%の本発明の抗菌性ポリマー、
0.3ないし1質量%の二酸化チタン、
1ないし10質量%のステアリン酸、
100質量%になる量までの石鹸基剤、例えば、牛脂肪酸又はココナッツ脂肪酸又はグリセロールのナトリウム塩。
【0065】
シャンプーは、例えば以下の組成を有する:
0.01ないし5質量%の本発明の抗菌性ポリマー、
12.0質量%のラウレス−2−硫酸ナトリウム、
4.0質量%のコカミドプロピルベタイン、
3.0質量%のNaCl、及び
100質量%になる量までの水。
【0066】
消臭剤は、例えば以下の組成を有する:
0.01ないし5質量%の本発明の抗菌性ポリマー、
60質量%のエタノール、
0.3質量%の香油、及び
100質量%になる量までの水。
【0067】
本発明はまた、組成物の総質量に基づき、0.01ないし15質量%の本発明の抗菌性ポリマー及び経口的に許容可能な補助剤を含む経口用組成物に関する。
【0068】
経口用組成物の例:
10質量%のソルビトール、
10質量%のグリセロール、
15質量%のエタノール、
15質量%のプロピレングリコール、
0.5質量%のラウリル硫酸ナトリウム、
0.25質量%のメチルコシル酒石酸ナトリウム、
0.25質量%のポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロックコポリマー、
0.10質量%のペパーミント香料、
0.1ないし0.5質量%の式(1)で表される化合物、及び、
48.6質量%の水。
【0069】
本発明に従った経口用組成物は、例えば、ゲル、ペースト、クリーム又は水性製剤(マウスウォッシュ)の形態であり得る。
【0070】
本発明に従った経口用組成物はまた、虫歯の形成に対して効果的なフッ化物イオンを放出する化合物、例えば無機フッ化塩、例えばフッ化ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はカルシウム、又は、有機フッ化塩、例えばオラフルアー(Olafluor)の登録商標名で既知のフッ化アミンを含み得る。
【0071】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、繊維製品用繊維材料を処理、特に防腐するために適している。このような材料は、未染色の及び染色された又は印刷された繊維材料、例えば絹、羊毛、ポリアミド又はポリウレタン、特に、全ての種類のセルロース系繊維材料である。このような繊維材料は、例えば天然セルロース繊維、例えば、綿、リンネル、ジュート及び麻、並びに、セルロース及び再生セルロースである。
【0072】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ラテックス等を処理するために、特に該プラスチックに抗菌性を付与するために、又は、該プラスチックを防腐するために適している。それ故、使用分野は、例えば、床被覆材、プラスチックコーティング、プラスチック容器及びパッケージ材料;台所及び浴室用品(例えば、ブラシ、シャワーカーテン、スポンジ、バスマット)、ラテックス、フィルター材料(エアー及びウォーターフィルター)、医療分野で使用されるプラスチック製品、例えば、包帯材料、注射器、カテーテル等、いわゆる、‘‘医療機器’’、手袋及びマットレスである。
【0073】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、工業用配合物、例えばコーティング、潤滑剤等を処理するために、特に該工業用配合物に抗菌性を付与するために、又は、該工業用配合物を防腐するために適している。
【0074】
紙、例えば衛生目的で使用される紙もまた、本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを使用することにより、抗菌性を付与され得る。
【0075】
本発明に従って、不織布、例えばオムツ/おしめ、生理用ナプキン、パンティーライナー及び衛生及び家庭用布に抗菌性を付与することもできる。
【0076】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、洗浄及び清浄配合物、例えば液体又は粉末洗浄剤又は柔軟剤において使用される。
【0077】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、特に、硬質表面を清浄及び消毒するための家庭用及び汎用清浄剤において使用され得る。
【0078】
清浄製剤は、例えば以下の組成を有する:
0.01ないし5質量%の式(1)で表される化合物、
3.0質量%のオクチルアルコール4EO、
1.3質量%の脂肪アルコール炭素原子数8ないし10のポリグルコシド、
3.0質量%のイソプロパノール、
100質量%になる量までの水。
【0079】
化粧品及び家庭用品の防腐に加えて、例えば、紙処理において、特に紙処理液、澱粉又はセルロース誘導体の印刷増粘剤、表面コーティング及び塗料において、工業製品の防腐、抗菌性を有する工業製品の提供及び工業プロセスにおける殺生物剤としての使用もまた可能である。
【0080】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、木材の抗菌処理のために、及び、革の抗菌処理、革の防腐及び抗菌性を有する革の提供のために適している。
【0081】
本発明に従った化合物はまた、化粧品及び家庭用品を微生物による損傷から保護するために適している。
【0082】
参照としてその全文がここに組み込まれる同時係属出願第60/720,662号明細書は、生物付着から表面を保護するためのコーティング又はフィルムにおいて有用な化合物を開示している。
【0083】
このような表面は、海洋環境(淡水、汽水及び塩水環境を含む)と接触する表面、例えば、船の船体、波止場の表面又は水系が循環又は通過する管の内側を含む。他の表面は、同様な生物付着を受け易いもの、例えば、雨水にさらされる壁、シャワーの壁、屋根、排水路、プール領域、サウナ、地下室又はガレージ等の湿潤環境にさらされる床及び壁、及び更に、道具及び屋外用家具のハウジングである。
【0084】
本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーはまた、同時係属出願第60/720,662号明細書に記載されるように、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを問題の製品又は製品の表面に配合すること、又は、抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーをこれらの表面に、直接、又は、コーティング又はフィルムの一部として適用することによって、同時係属出願第60/720,662号明細書に記載される生物付着の防止、又は、表面上の細菌蓄積の除去又は調節において有用である。
【0085】
フィルム又はコーティングの一部として適用される場合、本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーは、バインダーも含む組成物の一部である。
【0086】
バインダーは、本発明の抗菌剤と相溶性のあらゆるポリマー又はオリゴマーであり得る。バインダーは、防汚組成物の製造前のポリマー又はオリゴマーの形態であり得るか、又は、基材への適用後を含む、製造中又は製造後の重合によって形成され得る。特定のコーティング用途等の特定の用途において、適用後、防汚組成物のオリゴマー又はポリマーを架橋することが望まれる。
【0087】
本発明において使用される用語‘‘バインダー’’は、木材、プラスチック、ガラス及び他の表面の手入れにおいて商業的に使用されるグリコール、オイル、ワックス及び界面活性剤等の材料も含む。例は、木材のための防水材料、ビニル保護剤、保護ワックス等を含む。
【0088】
組成物は、コーティング又はフィルムであり得る。組成物が、例えば、接着剤の使用によって、又は、カレンダリング及び同時押出しを含む溶融適用によって、表面に適用される熱可塑性フィルムである場合、バインダーは、フィルムを製造するために使用される熱可塑性ポリマーマトリックスである。
【0089】
組成物がコーティングである場合、それは、液体溶液又は懸濁液、ペースト、ゲル、オイルとして適用され得るか、又は、コーティング組成物は固体、例えば、その後、熱、紫外線又は他の方法により硬化させられる粉末コーティングであり得る。
【0090】
本発明の組成物がコーティング又はフィルムであり得るため、バインダーは、コーティング配合物又はフィルム製剤において使用されるあらゆるポリマーからなり得る。例えば、バインダーは、熱硬化性の、熱可塑性の、弾性の、本質的に架橋された又は架橋されたポリマーである。
【0091】
熱硬化性の、熱可塑性の、弾性の、本質的に架橋された又は架橋されたポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ハロゲン化ビニルポリマー、例えば、PVC、天然及び合成ゴム、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、シリコン含有カルバメ
ートポリマー、フッ素化ポリマー、置換されたアクリルエステル、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂を含む。ポリマーはまた、前述の化学物質のブレンド及びコポリマーであり得る。
【0092】
生体適合性コーティングポリマー、例えば、ポリ[−アルコキシアルカノエート−コ−3−ヒドロキシアルケノエート](PHAE)ポリエステル、Geiger等 Polymer Bulletin52,65−70(2004)もまた、本発明におけるバインダーとして機能し得る。
【0093】
アルキド樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン含有ポリマー、フッ素化ポリマー及び酢酸ビニル、ビニルアルコール及びビニルアミンのポリマーは、本発明において有用な一般のコーティングバインダーの非限定的な例である。もちろん、他のコーティングバインダーも本発明の一部である。
【0094】
コーティングは、しばしば、促進剤を用いて又は用いずに、例えば、メラミン樹脂、ウレア樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂、無水物、多酸及びアミンと架橋される。
【0095】
本発明の組成物は、例えば、生物蓄積のために好ましい条件にさらされる表面に適用されるコーティングである。前記コーティングにおける本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーの存在は、表面への生物の付着を防止し得る。
【0096】
本発明の抗菌性化合物は、完全なコーティング又は塗料配合物、例えば、海洋ゲルコート、セラック、ワニス、ラッカー又は塗料の一部であり得るか、又は、防汚組成物は、本発明のポリマー及びバインダー、又は、本発明のポリマー、バインダー及びキャリヤー物質のみを含み得る。このようなコーティング配合物又は適用物において見られる他の添加剤が、本発明の適用においても同様に、所望により使用され得ることが予想される。
【0097】
コーティングは、溶媒を有しているか又は水性であり得る。水性は、典型的には、より環境にやさしいと考えられる。
【0098】
コーティングは、例えば、本発明のポリマー及びバインダー又は水性コーティング又は塗料の水性分散液である。例えば、コーティングは、本発明のポリマーとアクリル、メタクリル又はアクリルアミドポリマー又はコポリマー、又は、ポリ[−アルコキシアルカノエート−コ−3−ヒドロキシアルケノエート]ポリエステルの水性分散液を含む。
【0099】
コーティングは、例えば、海洋用途に使用されるコーティング又はワニスである。
【0100】
コーティングは、既にコーティングされた表面、例えば、予めコーティングされた製品の上に適用される保護コーティング、クリアーコート又は保護ワックスに適用され得る。
【0101】
コーティング系は、海洋コーティング、木材コーティング、金属のための他のコーティング及びプラスチック及びセラミック上のコーティングを含む。典型的な海洋コーティングは、不飽和ポリエステル、スチレン及び触媒を含むゲルコートである。
【0102】
コーティングは、例えば、家庭用塗料、又は、他の装飾又は保護塗料である。それは、セメント、コンクリート又は他の石造品に適用される塗料又は他のコーティングであり得る。コーティングは、地下室又は土台用のためのもののような防水剤であり得る。
【0103】
防汚組成物が海洋用途並びにプール等の近くにおける使用を対象とするので、組成物は、階段、通路及び手すりのためのコーティングを含む滑り止めコーティングの一部であり得る。
【0104】
コーティング組成物は、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ドローダウンを含むいずれかの慣用の方法によって、又は、ブラシ、ローラー又は他の塗布器によって表面に適用される。乾燥又は硬化時間が、典型的には、必要とされ得る。
【0105】
コーティング又はフィルムの厚さは、用途に応じて変化し得、限られた試験後、当業者に明らかになり得る。
【0106】
組成物は、保護ラミネートフィルムの形態であり得る。
【0107】
このようなフィルムは、典型的には、熱硬化性の、熱可塑性の、弾性の又は架橋されたポリマーを含む。このようなポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ハロゲン化ビニルポリマー、例えば、PVC、天然及び合成ゴム、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリアミド、ポリイミド、フッ素化ポリマー、シリコン含有カルバメートポリマーを含むが、これらに限定されない。ポリマーはまた、前述の化学物質のブレンド及びコポリマーでもあり得る。
【0108】
防汚組成物がすでに形成されたフィルムである場合、それは、例えば、接着剤の使用によって表面に適用されるか、又は、表面上に同時押出しされる。それはまた、本発明のエステルも有利に使用され得るところのシーリング材又はコーキング材の使用を必要とし得るファスナーの使用を通して機械的に添付され得る。
【0109】
プラスチックフィルムはまた、カレンダリング、溶融適用及びシュリンクラップを含む熱を用いた適用を為され得る。
【0110】
組成物は、光沢剤、例えば、家具用光沢剤、又は、分散剤又は界面活性剤配合物、例えば、グリコール又は鉱油分散液、又は、例えば、木材保護のために使用される他の配合物の一部であり得る。
【0111】
有用な界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート(PST)、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート(PSH)、ポリオキシエチレン6トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン12トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン18トリデシルエーテル、トゥィーン(登録商標:TWEEN)界面活性剤、トリトン(登録商標:TRITON)界面活性剤及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、例えばプルロニック(登録商標:PLURONIC)及びポロキサマー(登録商標:POLOXAMER)製品シリーズ(BASF社製)を含むポリオキシエチレンベースの界面活性物質を含むが、これらに限定されない。
【0112】
他のマトリックス形成成分は、デキストラン、線状PEG分子(MW:500ないし5000000)、星型PEG分子、くし型及びデンドリマー状、ハイパーブランチ状PEG分子、並びに、類似の線状、星型及びデンドリマー状ポリアミンポリマー及び様々な炭化、ペルフルオロ化(例えば、デュポント ゾニル(登録商標:DUPONT ZONYL)フルオロ界面活性剤)及びシリコン化(例えば、ジメチルシロキサン−エチレンオキシドブロックコポリマー)界面活性剤を含む。
【0113】
本発明の抗菌性組成物の多様な用途を鑑みて、組成物は、他の添加剤、例えば、抗酸化剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン、ホスフィット又はホスホナイト、ベンゾフラノ−2−オン、チオ相乗剤、ポリアミド安定剤、金属ステアレート、核剤、充填剤、強化剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、分散剤、他の蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等、例えば以下に列挙する物質、又はそれらの混合物を含み得る。
【0114】
基材は、無機又は有機基材、例えば、金属又は金属合金;上記したような熱可塑性、弾性、本質的に架橋された又は架橋されたポリマー;天然ポリマー、例えば、木材又はゴム;セラミック材料;ガラス;革又は他の繊維製品であり得る。
【0115】
基材は、例えば、非金属無機表面、例えば、シリカ、二酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、炭素、シリコン、様々なシリケート及びゾル−ゲル、石造建築物及び複合材料、例えば、グラスファイバー及びプラスチック木材(ポリマーと経木、木粉又は他の木材粒子のブレンド)であり得る。
【0116】
無機又は有機基材は、例えば、金属又は金属合金、熱可塑性、弾性、本質的に架橋された又は架橋されたポリマー、セラミック材料又はガラスである。
【0117】
基材は、各層が同じ又は異なる成分からなる多層製品であり得る。コートされた又はラミネートされた表面は、既に、適用されたコーティング又はラミネートの露出表面であり得る。
【0118】
コーティング又はラミネートされる無機又は有機基材は、あらゆる固体形態であり得る。
【0119】
例えば、ポリマー基材は、フィルム、射出成形品、押出部品、繊維、フェルト又は織布の形態のプラスチックであり得る。
【0120】
例えば、建築に用いられた、又は羽目板、フェーシア及び郵便箱等の耐久財の製造において使用された成形又は押出ポリマー状製品は全て、本発明の安定剤補充方法の恩恵を受け得る。
【0121】
本発明の方法の恩恵を受け得るプラスチックは、屋外家具、ボート、羽目板、屋根材、透明板ガラス、保護フィルム、デカル、シーリング材、プラスチック木材及び繊維補強複合材のような複合材、ディスプレーにおいて使用されるフィルムを含む機能性フィルム、並びに、合成繊維からつくられた製品、例えば、オーニング、キャンバス又は帆において使用される織物、及び、ゴム製品、例えば、屋外マット及び本願明細書において引用される他の用途を含む、建築に用いられたプラスチック又は耐久財又は機械部品の製造において使用されるプラスチックを含むが、これらに限定されない。このようなプラスチックの典型例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、POM、ポリスルホン、スチレン、ポリアミド、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル、ブタジエン、熱可塑性ポリオレフィン、アイオノマー、不飽和ポリエステル、及び、ABS、SAN及びPC/ABSを含むポリマー樹脂のブレンドである。
【0122】
本発明の組成物の用途例は、表面コーティング、保護塗料、脆弱な表面、例えば船の船体、波止場の表面又は水系が循環又は通過する管の内側、雨水にさらされる壁、シャワーの壁、屋根、排水路、プール領域、サウナ、地下室又はガレージ等の湿潤環境にさらされる床及び壁、道具及び屋外用家具のハウジングに適用される他のコーティング及びラミネートである。
【0123】
例えば、本発明の組成物は、以下のものの表面上に見られる。:
船体、波止場、ブイ、ドリリング・プラットフォーム、バラスト水タンク、
機械、機械部品、レクリエーション用品、空調装置、イオン交換体、プロセス水システム、他の工業用水システム、太陽光発電装置、熱交換器、排水ポンプ、排水システム、
屋根材、地下室、壁、ファサード、温室、納屋、貯蔵庫、オーニング、庭の柵材、木材保護材、テントの屋根材、繊維、屋外家具、ドアマット、
公衆トイレ、浴室、シャワー、スイミングプール、サウナ、接着部、シーリング化合物、公共輸送機関、ロッカールーム等。
【0124】
プロセス水は、密閉又は開放循環システムにおける加熱又は冷却目的のために使用されるあらゆるプロセス水流を含む。
【0125】
それ故、本発明の特定の態様は、
細菌の作用からプラスチック、コーティング、ホーム又はパーソナルケア配合物、工業用配合物又は工業プロセスを保護するための方法であって、有効量の本発明のポリマー又はコポリマーを該配合物又はプロセスに添加することを含む方法;
細菌の作用から肌、粘膜及び皮膚付属物を保護するための方法であって、有効量の本発明のポリマー又はコポリマーを含む製剤を適用することを含む方法;
細菌の作用から紙、木材、革、合成繊維材料又は天然繊維材料、例えば綿を保護するための方法であって、有効量の本発明のポリマー又はコポリマー、又は、有効量の本発明のポリマー又はコポリマーを含む組成物を配合又は適用することを含む方法;
硬質表面を清浄及び殺菌するための方法であって、有効量の本発明のポリマー又はコポリマーを含む製剤を適用することを含む方法;
製品の生物付着を防止するための方法であって、本発明の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを該製品又は該製品の表面に配合すること、又は、該抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを該製品の表面に、直接、又は、コーティング又はフィルムの一部として適用することを含む方法
に関する。
【0126】
以下の制限されない実施例で、本発明の態様のいくつかを説明する。
【実施例】
【0127】
実施例
実施例1
80℃において、水中ポリエチレンイミンポリマー 1.7gの溶液に、メタノール 6mL及び水 7mL中の臭化ベンジル 6.8g及び炭酸カリウム 5.6gを添加し、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって臭化ベンジルが検出されなくなるまで、混合物を攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を、還流において、エタノール 40mLで、15分間処理し、混合物を冷却し、濾過し、結果として得られた溶液を濃縮し、真空下で乾燥させた。ヘキサン 40mLを添加し、混合物を還流まで加熱し、分離された2相を得、ポリマーを含む油相をヘキサン相から分離し、真空下での蒸発により乾燥させて、黄色固体として、ベンジル置換ポリエチレンイミン 3.22gを得た。NMRによる分析は、エチレンモノマー群当り1.3ないし1.5当量のベンジル基、及び、副産物として5ないし7%のベンジルアルコールを示した。
【0128】
実施例2
臭化ベンジルが、TLCによって検出されなくなるまで、ポリエチレンイミン 5g、臭化ベンジル 10g、水酸化カリウム 3.8g及びエタノール 50mLの混合物を還流まで加熱することによって、ポリエチレンイミンもベンジル化した。反応混合物を濾
過し、溶液を、真空下で濃縮し、乾燥させて、黄色シロップとして、ベンジル置換ポリエチレンイミン 7.8gを得た。
【0129】
実施例3
ポリエチレンイミン 5.6g及びシアナミド 2.9g及びトルエン 100mLの混合物を、還流において12時間攪拌した。溶媒を、真空下で除去することにより、固体として、グアニジン置換ポリエチレンイミン 8.4gを得、13C NMRによって構造確認を行った。
実施例1又は2の一般方法の変法を使用して、ポリエチレンイミンポリマーを以下のハロゲン化物(RX)と反応させて、対応するN−置換ポリマーを得た。
ハロゲン化物は市販品であるか、又は、既知の方法を通して容易に製造される。
【表1】

【表2】

RXは、使用されたハロゲン化物を表わす。
モノマー当りのRXは、出発ポリマーの各エチレンイミンモノマー単位(−CH2−C
2−NR−)に対して使用されたハロゲン化物の割合である。
モノマー当りの置換(基)は、結果として得られた物品においてN原子置換されたポリマー骨格のパーセント(%)である。
【0130】
実施例1又は2の一般方法の変法を使用して、800、2000及び/又は25000の分子量を有する、3つの異なるポリエチレンイミンポリマーを、1モノマー当り0.25ないし2当量の適当なハロゲン化物(RX)を使用して、以下の置換基で置換して、対応するN−置換ポリマーを得、結果として得られたポリマーを、バクテリア、大腸菌、黄色ブドウ球菌;真菌、a.プルランス、p.フニクロサム、a.ニガー、細菌の付着又は生物膜蓄積に対する活性について試験した。全ての化合物は、少なくとも1つの試験において効果的であった;いくつかは、1つ以上の又は全ての試験において効果的であった。
【表3】

【表4】

【0131】
実施例1又は2の一般方法の変法を使用して、1モノマー当り0.5ないし1当量の適当なハロゲン化物(RX)を使用し、この置換基ハロゲン化物を各実施例において互いに1:1の割合で添加することにより、ポリエチレンイミンポリマーを以下の一対の置換基で置換して、対応するN−置換ポリマーを得、結果として得られたポリマーを、バクテリア、大腸菌、黄色ブドウ球菌;真菌、a.プルランス、p.フニクロサム、a.ニガー、細菌の付着又は生物膜蓄積に対する活性について試験した。全ての化合物は、少なくとも1つの試験において効果的であった;いくつかは、1つ以上の又は全ての試験において効果的であった。
【表5】

【0132】
PEIの微生物学的活性
殺菌活性:
殺菌活性を、標準EN1040試験法のわずかに変えた方法に従って試験した。約107cfu/mLの細胞計数を有する細菌懸濁液を適切な濃度の特定の基材と接触させ、室温において、連続攪拌下、5ないし30分間の培養時間の後、残存細胞計数を決定した。黄色ブドウ球菌をグラム陽性菌として、大腸菌をグラム陰性菌として試験した。結果として得られた細胞計数の減少を水(対照)と比較した。
【0133】
抗真菌活性:
抗真菌活性を、標準EN12175試験法のわずかに変えた方法に従って試験した。約
106cfu/mLの胞子細胞計数を有する真菌胞子懸濁液を適切な濃度の特定の基材と接触させ、室温において、連続攪拌下、30ないし60分間の培養時間の後、残存胞子細胞計数を決定した。ペニシリウム・フニクロサム、アスペルギルス・ニガー及びオーレオバシジウム・プルランスを、重要な菌株として試験した。結果として得られた細胞計数の減少を水(対照)と比較した。
例えば、クアブ342(Quab 342)、クアブ426(Quab 426)、即ち
【化27】

、臭化ベンシル、臭化ヘキシル及び臭化ドデシルによって官能化されたポリエチレンイミンサンプルは、全て、十分な殺菌活性及び抗真菌活性を示した。
【0134】
生物膜抑制:
生物膜形成の最初の段階の抑制における化合物の能力を、マイクロプレートに基づくスクリーニング検定で試験した。化合物がピンの表面上にフィルムを形成するように、ポリカーボネートの標準試験片を、0.5%の濃度において、1/2時間、化合物の水又はエタノール溶液と接触させた。その後、ピンを、層流下、室温において乾燥させた。コーティングしたピンを、マイクロプレート中で、104ないし105cfu/mLの細胞計数において、黄色ブドウ球菌の細菌接種材料と接触させて、生物膜を、24時間かけて、プラスチック表面上に形成させた。その後、緩く結合した細胞を、2〜3回のすすぎ工程において、洗い流し、その後、表面上の生物膜を超音波処理によって除去した。溶出細胞をカソブイヨン中の新しいマイクロプレートに移し、24時間にわたり、620nmの光学濃度によって、成長を測定した。結果を、溶出細胞の24時間にわたる成長曲線として、未処理のサンプルの成長曲線と比較して評価した。
例えば、クアブ342、クアブ426、臭化ベンシル及び臭化ヘキシルによって官能化されたポリエチレンイミンサンプルは、上記スクリーニング検定において十分な生物膜抑制を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーであって、該ポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子の10ないし100%が、以下の置換基(a)ないし(d):
(a)未中断であるか又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、−SO−又は−SO2−によって1回以上中断され、かつ炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基、−OR、−COOR、−COOM、−SO3M、−SO3H、ホスホン酸、ハロゲン原子、−CONR’R、−NR’R、ホスホン酸塩、アンモニウム塩又は式
【化1】

で表わされる基又は基−Si(G)3(式中、Gの各々は、独立して、ヒドロキシル基、炭素原子数1ないし4のアルキル基又は炭素原子数1ないし4のアルコキシ基を表わす。)である部分1つ以上によって1回以上置換された、炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基又は炭素原子数3ないし24のアルケニルカルボニル基、
但し、上記置換基の内の少なくとも他の1つもまた存在する場合を除き、未中断の炭素原子数1ないし24のアルキル基はビグアニド基、炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基、−COOM、−COOR(式中、Rは、未置換のアルキル基を表わす。)、−OR(式中、Rは、H又は未置換のアルキルカルボニル基を表わす。)又は−CONR’Rによって置換されない;
(b)式
【化2】

(式中、Y及びY’は、独立して、N、C−R、C−OR又はC−NRR’を表わし、D及びD’は、独立して、R、−OR又は−NRR’を表わす。)で表わされる複素環;
(c)式
【化3】

(式中、m及びnは、独立して、1、2、3、4、5又は6を表わす。)で表わされる基;又は、
(d)−L−Poly(式中、Polyは、ポリエーテル、ポリシロキサン、スチレンポリマー又はポリオールから選択される枝分かれした又は枝分かれしていないポリマー又はオリゴマーを表わす。);
ここで、上記式中、
R、R’及びR’’は、互いに独立して、水素原子;基−L−Ar、
【化4】

未中断の又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、−COO−、−CONH−、−NH−、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)−又は−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)−によって1回以上中断された炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数3ないし6のシクロアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わし、
前記未中断の又は中断されたアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基又はアルキルカルボニル基は、未置換であるか、又は、1つ以上のハロゲン原子、−OH、炭素原子数7ないし12のアラルキル基、炭素原子数2ないし12のアルキルカルボニル基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOM、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−SO3M、フェニル基、1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基、ナフチル基、1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換されたナフチル基、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし12のアルキル基によって置換されたプリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基(ここで、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基は、中性であるか、又は、イオン的に帯電している。)、アミジン、グアニジン、アンモニウム塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩又は基
【化5】

(式中、Q又はQ’の各々は、独立して、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表わす。)によって1回以上置換されており;
又は、
窒素原子に結合する場合、R及びR’は、それらが結合するところの窒素原子と一緒になって、未中断の又は−O−、−NH−又は−N(炭素原子数1ないし12のアルキル)−によって中断された5−、6−又は7−員環を形成し;
Lは、直接結合、未中断であるか又は1つ以上の酸素原子によって中断され、かつ未置換であるか又は1つ以上の−OH、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表わし;
Arは、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOQ’’、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし8のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし8のアルキル)2基、−SO3M、SO3H、アンモニウム塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし8のアルキル基によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のフェニル基、ナフチル基、
未置換の又は1つ以上の炭素原子数1ないし12のアルキル基によって置換されたプリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基(ここで、プリン基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基又はイミダゾール基は、中性であるか、又は、イオン的に帯電している。)によって1回以上置換された炭素原子数6ないし10の芳香族の又は炭素原子数1ないし9の飽和又は不飽和複素環を表わし;
ここで、Q’’は、水素原子、金属カチオン、グリコールエーテル基、ポリシロキサン
基、フェニル基又はベンジル基、又は、1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基又は炭素原子数1ないし12のアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基又はベンジル基を表わし、
Mは、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表わし、かつ、
エチレンイミンポリマーのN原子が四置換されている場合、それは、対応する対アニオンとのカチオンを表わす、
の1つ以上によって置換されるところの抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー。
【請求項2】
前記置換基の少なくとも1部が、未中断であるか又は1つ以上の酸素原子、硫黄原子、−SO−又は−SO2−によって1回以上中断され、かつ1つ以上の−OR、−COOR、−COOM、−NR’R、−SO3M、−SO3H、ハロゲン原子、−NR’R、アンモニウム塩又は式
【化6】

で表わされる基によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、炭素原子数3ないし24のアルケニル基、炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基又は炭素原子数3ないし24のアルケニルカルボニル基を表わすが、上記置換基の内の少なくとも他の1つもまた存在する場合を除き、未中断の炭素原子数1ないし24のアルキル基はビグアニド基、−COOM、−COOR(式中、Rは、未置換のアルキル基を表わす。)又は−OR(式中、Rは、H又は未置換のアルキルカルボニル基を表わす。)によって置換されないところの請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項3】
前記置換基の少なくとも1部が、1つ以上のハロゲン原子、アンモニウム塩、
【化7】

又は−OR(式中、Rは、−L−Ar又は
【化8】

を表わす。)によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わす請求項2に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項4】
前記置換基の少なくとも1部が、1つ以上のハロゲン原子又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基、1つ以上のハロゲン原子又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わすか、又は、置換基の少なくとも1部が、ベンジル基、ベンゾイル基、又は、1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数1ないし12のアルコキシ基又は炭素原子数1ないし12のアルキルカルボキシ基によって1回以上置換されたベンジル基又はベンゾイル基を表わす請求項2に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項5】
前記置換基の少なくとも1部が、アンモニウム塩、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、置換されたフェノキシ基、置換されたベンジルオキシ基、ベンジル基、置換されたベンジ
ル基、
【化9】

(式中、nは、1ないし12の数を表わす。)から選択された少なくとも1つの基によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基を表わす請求項2に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項6】
前記置換基の少なくとも1部が、1つ以上の基
【化10】

(式中、pは、1、2、3、4、5又は6を表わす。)を表わす請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項7】
前記置換基の少なくとも1部が、少なくとも2つの異なる部分によって置換された炭素原子数1ないし24のアルキル基又は炭素原子数1ないし24のアルキルカルボニル基からなる群から選択される請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項8】
前記置換基の少なくとも1部が、
【化11】

を表わし、
ここで、
Y及びY’は、独立して、N、C−R、C−OR又はC−NRR’を表わし、
D及びD’は、独立して、R、OR又はNRR’を表わし;
特に、前記置換基の少なくとも1部が、
【化12】

を表わし、
ここで、
D及びD’は、独立して、R、OR又はNRR’を表わし、ここで、
R及びR’は、独立して、水素原子、アンモニウム塩、炭素原子数1ないし24のアルキル基、未置換の又は1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基又はアンモニウム塩によって1回以上置換された炭素原子数1ないし24のアルカノイル基を表わすか;又は、
R及びR’は、独立して、−L−Ar、
【化13】

を表わし、
ここで、Lは、直接結合又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表わし、
Arは、フェニル基又は1つ以上のハロゲン原子、−OH、炭素原子数1ないし24のアルコキシ基、炭素原子数2ないし24のアルキルカルボキシ基、−COOH、−COOM、−CONH2、−CON(H)(炭素原子数1ないし12のアルキル)基、−CON(炭素原子数1ないし12のアルキル)2基、−NH2、−N(H)(炭素原子数1ないし12のアルキル)基、−N(炭素原子数1ないし12のアルキル)2基、アンモニウム塩、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は1つ以上のハロゲン原子によって1回以上置換されたアルキル基によって1回以上置換されたフェニル基を表わすところの請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項9】
前記置換基の少なくとも1部が、−L−Poly(式中、Polyは、ポリエーテル及びポリシロキサンから選択される枝分かれした又は枝分かれしていないポリマー又はオリゴマーを表わす。)からなる群から選択される請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項10】
少なくとも2つの異なる請求項1に記載の置換基を含む抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー。
【請求項11】
前記ポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子の一部が、2つの異なる置換基によって置換されている請求項1に記載のポリマー又はコポリマー。
【請求項12】
エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格の窒素原子の10ないし99%が請求項1に従って置換され、エチレンイミンポリマー又はコポリマー骨格のN原子の少なくとも1%が、炭素原子数1ないし24のアルキル基又は−OH、−COO炭素原子数1ないし24のアルキル基、−COOH又は−COOM(式中、Mは、請求項1に記載した通りである。)によって置換されたアルキル基によって置換されている抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマー。
【請求項13】
細菌の作用からプラスチック、コーティング、ホーム又はパーソナルケア配合物、工業用配合物又は工業プロセスを保護するための方法であって、有効量の請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを該配合物又はプロセスに添加することを含む方法。
【請求項14】
細菌の作用から肌、粘膜及び皮膚付属物を保護するための方法であって、有効量の請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを含む製剤を適用することを含む方法。
【請求項15】
細菌の作用から紙、木材、革又は繊維材料を保護するための方法であって、有効量の請求項1に記載のポリマー又はコポリマー、又は、有効量の請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを含む組成物を配合又は適用することを含む方法。
【請求項16】
請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを含むパーソナルケア製剤、口腔衛生配合物、又は、洗浄及び清浄配合物。
【請求項17】
請求項1に記載のポリマー又はコポリマー及び他の天然又は合成ポリマーを含む組成物。
【請求項18】
請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを1つ以上含む組成物。
【請求項19】
織布又は不織布、紙製品、コーティング組成物又はプラスチック製品である請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
硬質表面を清浄及び殺菌するための方法であって、有効量の請求項1に記載のポリマー又はコポリマーを含む製剤を適用することを含む方法。
【請求項21】
製品の生物付着を防止するための方法であって、請求項1に記載の抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを該製品又は該製品の表面に配合すること、又は、該抗菌性エチレンイミンポリマー又はコポリマーを該製品の表面に、直接、又は、コーティング又はフィルムの一部として適用することを含む方法。
【請求項22】
硬質表面のための清浄剤及び/又は殺菌剤としての;又は、プラスチック、コーティング、ホーム又はパーソナルケア配合物、工業用配合物、紙、木材、革、繊維材料のための、又は、工業プロセスにおける、細菌の作用に対する防腐剤としての;又は、細菌の作用から肌、粘膜及び/又は皮膚付属物を保護するための配合物の製造のための請求項1に記載のエチレンイミンポリマー又はコポリマーの使用。

【公表番号】特表2009−524719(P2009−524719A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551756(P2008−551756)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050420
【国際公開番号】WO2007/085552
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】