説明

ポリマー状毛髪染料

【課題】ポリマー状毛髪染料の提供。
【解決手段】式
【化1】


(1a); (1b);又は (1c)
(上記式中、
A及びBは、互いに独立して、ポリマー骨格を表わし;
1及びX2は、互いに独立して、−炭素原子数1ないし10のアルキレン−;−炭素原子数2ないし12のアルケニレン−;−炭素原子数5ないし10のシクロアルキレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−(炭素原子数1ないし10のアルキレン)−;−C(O)−;−(CH2CH2−O)1-5−;−C(O)O−;−OCO−;−N(R1)−;−CON(R1)−;−(R1)NC(O)−;−O−;−S−;−S(O)−;−S(O)2−;−S(O)2−N(R12);又は直接結合から選択された結合基を表わし;
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;又は、未置換の又は置換された、直鎖の又は枝分かれした、単環式の又は多環式の、中断された又は未中断の炭素原子数1ないし14のアルキル基;炭素原子数2ないし14のアルケニル基;炭素原子数6ないし10のアリール基;炭素原子数6ないし10のアリール−炭素原子数1ないし10のアルキル基;又は、炭素原子数5ないし10のアルキル(炭素原子数5ないし10のアリール)基を表わし;
1及びY2は、互いに独立して、有機染料の残基;又は、水素原子を表わし;
ここで、Y1及びY2の少なくとも一方は、有機染料の残基を表わし;
An1、An2及びAn3は、互いに独立して、アニオンを表わし;
a及びbは、互いに独立して、1ないし3の数を表わし;
mは、0ないし1000の数を表わし;
nは、0ないし1000の数を表わし;及び、
pは、1ないし1000の数を表わし;
ここで、m+n+pの合計が3以上である。)で表わされるポリマー状染料を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリマー状染料及びこれらの化合物を含む組成物、それらの製造方法及び有機材料、例えばケラチン含有繊維、羊毛、革、絹、セルロース又はポリアミドの染色のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオン性化合物が、負の電荷を帯びた毛髪に対して良好な親和性を有することはよく知られている。これらの特性は、毛髪を小さな分子、それだけでなくポリマーとも接触させて使用されてきた。
【0003】
数多くのカチオン性ポリマー状染料が、ヒトの毛髪用着色剤としての使用のために、例えば、米国特許第4,228,259号明細書;米国特許第4,182,612号明細書又は仏国特許第2456764号明細書に開示されている。これらの文献は、ポリマー部分がカチオン電荷を有することを教示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,228,259号明細書
【特許文献2】米国特許第4,182,612号明細書
【特許文献3】仏国特許第2456764号明細書
【0005】
驚くべきことに、カチオン電荷が染料部分に位置しているポリマー状毛髪染料を用いると、非常に良好な染色結果が得られることが発見された。
【0006】
それ故、本発明は、式
【化1】

(上記式中、
A及びBは、互いに独立して、ポリマー骨格を表わし;
1及びX2は、互いに独立して、−炭素原子数1ないし10のアルキレン−;−炭素原子数2ないし12のアルケニレン−;−炭素原子数5ないし10のシクロアルキレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−(炭素原子数1ないし10のアルキレン)−;−C(O)−;−(CH2CH2−O)1-5−;−C(O)O−;−OCO−;−N(R1)−;−CON(R1)−;−(R1)NC(O)−;−O−;−S−;−S(O)−;−S(O)2−;−S(O)2−N(R12);又は直接結合から選択された結合基を表わし;
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;又は、未置換の又は置換された、直鎖の又は枝分かれした、単環式の又は多環式の、中断された又は未中断の炭素原子数1ないし14のアルキル基;炭素原子数2ないし14のアルケニル基;炭素原子数6ないし10のアリール基;炭素原子数6ないし10のアリール−炭素原子数1ないし10のアルキル基;又は、炭素原子数5ないし10のアルキル(炭素原子数5ないし10のアリール)基を表わし;
1及びY2は、互いに独立して、有機染料の残基;又は、水素原子を表わし;
ここで、Y1及びY2の少なくとも一方は、有機染料の残基を表わし;
An1、An2及びAn3は、互いに独立して、アニオンを表わし;
a及びbは、互いに独立して、1ないし3の数を表わし;
mは、0ないし1000の数を表わし;及び、
nは、0ないし1000の数を表わし;
pは、1ないし1000の数を表わし;
ここで、m+n+pの合計が3以上である。)で表わされるポリマー状染料に関する。
【0007】
炭素原子数1ないし14のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチル基又は2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基又はテトラデシル基である。
【0008】
炭素原子数2ないし14のアルケニル基は、例えば、アリル基、メタリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエニル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基又はn−オクタデセ−4−エニル基である。
【0009】
炭素原子数6ないし10のアリール基は、例えばフェニル基又はナフチル基である。
【0010】
炭素原子数1ないし10のアルキレン基は、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基、n−ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,2’−ジメチルプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基又はデシレン基である。
【0011】
式(1a)、(1b)及び(1c)において、好ましくは、
1及びY2は、互いに独立して、アントラキノン、アクリジン、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイドインドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチンオキサジン、ぺリノン、ペリレン、ピレンキノン、フタロシアニン、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジン及びチオキサンテン染料の群から選択される。
【0012】
より好ましくは、Y1及びY2は、互いに独立して、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチン及びスチリル染料から選択される。
【0013】
最も好ましくは、Y1及びY2は同じ意味を有する。
【0014】
好ましくは、式(1a)、(1b)及び(1c)において、
A及びBは、互いに独立して、モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー;モノオレフィン及びジオレフィンのポリマーの混合物;モノオレフィン及びジオレフィンと互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー;ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン);芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマー;エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、ビニルアセテート及び塩化ビニル又はアクリル誘導体及びその混合物から選択された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーのコポリマー及び水素化コポリマー;芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、ハロゲン含有ポリマー;α,β−不飽和酸から誘導されたポリマー及びそれらの誘導体;α,β−不飽和酸及び他の不飽和モノマーとのそれらの誘導体から誘導されたコポリマー;不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール;環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物;一方はヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエンから、他方は脂肪族又は芳香族ポリイソシアナートから誘導されたポリウレタン、並びにそれらの前駆体;ジアミンとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリ
アミド;ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール;ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル;ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート;ポリケトン;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン;一方はアルデヒドから、他方はフェノール、尿素及びメラミンから誘導された架橋ポリマー;ポリシロキサン;天然ポリマー;及び上記ポリマーのブレンドから選択される。
【0015】
モノオレフィン及びジオレフィンのポリマーの例は、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン (HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)である。
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法により、そして特に以下の方法により調製され得る:
a)ラジカル重合(通常は高圧下及び高められた温度において)。
b)周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一つ又はそれ以上を通常、含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又は更なる活性化剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンであって、前記金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用され得る。該活性化剤は、更なるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0016】
上記で言及されたポリマーの混合物は、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)である。
【0017】
モノオレフィン及びジオレフィンと互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマーの例は、エチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、エチレン/ノルボルネン様COC)、1−オレフィンがその場で生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー;プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)並びにエチレンとプロピレン及び
へキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物である。
【0018】
上記で言及されたホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むどの立体構造をも有し得;そこでは、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも同様に含まれる。
【0019】
スチレンを含む芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマーの例は、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物である。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むどの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも同様に含まれる。
【0020】
エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、ビニルアセテート及び塩化ビニル又はアクリル誘導体及びその混合物から選択される上述された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーを含むコポリマーの例は、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンのようなスチレンのブロックコポリマーである。
【0021】
上記で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマーは、特にアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含み、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及される。
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むどの立体構造をも有し得;そこでは、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも同様に含まれる。
【0022】
芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマーの例は、スチレン又はα−メチルスチレン、例えば、ポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの6)に列挙されたコポリマーとの混合物、例えばABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知であるコポリマー混合物。
【0023】
ハロゲン含有ポリマーの例は、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩化及び臭化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩化又はスルホ塩化ポリエチレン、エチレン及び塩化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン並びに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルのようなそれらのコポリマーである。
【0024】
α,β−不飽和酸から誘導されたポリマー及びその誘導体の例は、ポリアクリレート及びポリメタクリレート;ブチルアクリレートで耐衝撃性改質されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0025】
上記で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマーの例は、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマーである。
【0026】
不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はそれらのアセタールの例は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;並びに上記で言及されたオレフィンとそれらのコポリマーである。
【0027】
環式エーテルのホモポリマー及びコポリマーの例は、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーである。
【0028】
ポリアセタールの例は、ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むそれらのポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで変性されたポリアセタールである。
【0029】
ジアミンとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミドの例は、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及びまた同じように上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合された又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;並びにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及びプロセスの間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)である。
【0030】
ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシル末端ポリエ
ーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステルである。
【0031】
一方はアルデヒドから、他方はフェノール、尿素及びメラミンから誘導された架橋ポリマーの例は、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂である。
【0032】
天然ポリマーの例は、セルロース、ゴム、ゼラチン、及び化学的に変性されたそれらの同族誘導体、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース、又はメチルセルロースのようなセルロースエーテル;並びにロジン及びその誘導体である。
【0033】
前述されたポリマーのブレンド(ポリブレンド)の例は、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PCである。
【0034】
好ましくは、ポリマー骨格(A及びB)及び有機染料の残基(Y1及びY2)の両方は、ハロゲン化物、トシレート、メシレート、メトキシ、酸塩化物、塩化スルホニル、エポキシド、無水物から選択された求電子基;又は、アミン、ヒドロキシル及びチオールから選択された求核基、から選択される官能基を有する。
【0035】
好ましくは、ポリマー状染料の分子量は、400ないし5000である。
【0036】
‘‘アニオン’’は、例えば、有機又は無機アニオン、例えばハロゲン化物、好ましくは塩化物及びフッ化物、スルフェート、硫酸水素塩、ホスフェート、四フッ化臭素、炭酸塩、重炭酸塩、オキサレート又は炭素原子数1ないし8のアルキルスルフェート、特にメチルスルフェート又はエチルスルフェートを示し;アニオンはまた、ラクテート、ホルメート、アセテート、プロピオネート又は錯体アニオン、例えば塩化亜鉛複塩を示す。
【0037】
最も好ましくは、式
【化2】

(式中、
1は、アゾ、アントラキノンアゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチン及びスチリル染料から選択された有機染料の残基を表わし;及び、
m、n及びpは、0ないし1000の数を表わし;
ここで、式(2)においては、m及びnの合計は3以上であり、式(3)においては、m及びn及びpの合計は3以上である。)で表わされるポリマー状染料である。
【0038】
好ましいのはまた、式

【化3】

(式中、
3は、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;及び、
1、X2、Y1、Y2、m及びnは、式(1)で定義した通りである。)で表わされるポリマー状染料である。
【0039】
更に好ましいのはまた、式
【化4】

(式中、
3は、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;及び、
1、X2、Y1、Y2及びnは、式(1)で定義した通りである。)で表わされる染料である。
【0040】
本発明に従った式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料は、有機材料、例えば、ケラチン含有繊維、羊毛、革、絹、セルロース又はポリアミド、綿又はナイロン、好ましくはヒトの毛髪の染色のために適している。得られる染色は、それらの色調の深さ、及び、洗浄に対するそれらの良好な堅牢性、例えば光、シャンプー及び摩擦に対する堅牢性等によって区別される。
【0041】
一般に、合成塩基に基づく毛髪染色剤は、3つの群に分類され得る:
−一時的な染色剤、
−半永久性染色剤、及び、
−永久性染色剤。
【0042】
染料の色調の多様性は他の染料と組み合わせることによって増加され得る。
【0043】
それ故、本発明の式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料は、同じ又は他の染料類の染料、特に直接染料、酸化染料と組み合わせられ得;カプラー化合物並びにジアゾ化化合物、又はキャップ化されたジアゾ化化合物の染料前駆体の組み合わせと組み合わせられ得;及び/又はカチオン性反応性染料と組み合わせられ得る。
【0044】
直接染料は、天然由来のものであるか、又は合成により製造され得る。それらは、非荷電で、カチオン性又はアニオン性であり、例えば酸性染料である。
【0045】
式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料は、式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料とは異なる少なくとも1種の単一直接染料と組み合わせて使用され得る。
【0046】
直接染料は、それらの染色効果を発現するために、如何なる酸化剤の添加も必要としない。従って、染色結果は、永久性染色組成物を用いて得られたものよりも永久性が乏しい。それ故、直接染料は、好ましくは半永久性の毛髪染色のために使用される。
【0047】
直接染料の例は、“Dermatology”,Ch.クルナン、H.マイバッハ編,Verlag Marcel Dekker社,ニューヨーク,バーゼル,1986年,第7巻、Ch.ツバィクのThe Science of Hair Care,第7章,248〜250頁、及びBundesverband der deutschen Industrie− und Handelsunternehmen fur Arzneimittel,Reformwaren und Korperpflegemittel e.V.,Mannheimからディスクとして入手することができる“Europaisches Inventar der Kosmetikrohstoffe”(欧州委員会が1996年に公表)に記載されている。
【0048】
更に、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、少なくとも1種のカチオン性アゾ染料、例えば英国特許出願公開第2319776号明細書に開示される化合物並びに独国特許出願公開第29912327号明細書に記載されるオキサジン染料及び本願明細書で言及される他の直接染料とのそれらの混合物と組み合わせられ得る。
【0049】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料はまた、酸性染料、例えば国際名称(カラーインデックス)又は登録商標名によって既知の染料とも組み合わせられ得る。
【0050】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料はまた、非電荷染料とも組み合わせられ得る。
【0051】
更に、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料はまた、酸化染料系とも組み合わせて使用され得る。
【0052】
更に、自己酸化性化合物が、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料との組み合わせて使用され得る。
【0053】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料はまた、自然発生的な染料とも組み合わせて使用され得る。
【0054】
更に、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料はまた、キャップ化されたジアゾ化化合物とも組み合わて使用され得る。
【0055】
適当なジアゾ化化合物は、例えば、国際公開第2004/019897号パンフレット(1から2頁にわたる部分)の式(1)ないし(4)で表わされる化合物、及び、同パンフレット(3ないし5頁)に開示される対応する水溶性カップリング成分(I)ないし(IV)である。
【0056】
本発明はまた、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を少なくとも1種含む、有機材料、好ましくはケラチン含有繊維、最も好ましくはヒトの毛髪の染色のために使用される配合物に関する。
【0057】
好ましくは、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、有機材料を処理するための組成物中に、該組成物の総質量に基づき、好ましくは0.001ないし5質量%(以後、単に%として示す。)、特に0.005ないし4%、より特には0.2ないし3%の量で染色するために配合される。
【0058】
配合物は、ケラチン含有繊維、好ましくはヒトの毛髪に、様々な技術形態において適用され得る。
【0059】
配合物の技術形態は、例えば溶液、特に、濃縮水溶液又はアルコール水溶液、クリーム、フォーム、シャンプー、粉末、ジェル又はエマルジョンである。
【0060】
一般に、染色組成物は、ケラチン含有繊維に、50ないし100gの量で適用される。
【0061】
配合物の好ましい形態は、すぐ使用できる組成物又は多区画染色装置又は“キット”又は、例えば、米国特許第6,190,421号明細書、2欄、16行ないし31行に記載されたような、区画を有する多区画パッケージ系である。
【0062】
すぐ使用できる染色組成物のpH値は、通常、2ないし11、好ましくは5ないし10である。
【0063】
本発明の染色組成物は、25ないし200、好ましくは18ないし80、最も好ましくは20ないし40℃の温度範囲において、毛髪に適用される。
【0064】
本発明の一つの好ましい態様は、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料が粉末形態であるところの染料配合物に関する。
【0065】
粉末配合物は、例えば、独国特許第19713698号明細書、2頁、26行ないし54行及び3頁、51行ないし4頁、25行、及び4頁、41行ないし5頁、59行に記載されるような安定性及び又は溶解性に関する問題が生ずる場合、好ましく使用される。
【0066】
適当な化粧用ヘアケア配合物は、毛髪用製品、例えば、シャンプー及びコンディショナーの形態の毛髪洗浄用製品、ヘアケア用製品、例えば、前処理用製品又はスプレー、クリーム、ゲル、ローション、ムース及びオイルのようなリーブ オン製品(leave−on product)、ヘアートニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアーリンス、トリートメントパック、集中ヘアートリートメント、毛髪構成化用製品、例えば、パーマネントウェーブ用ヘアーウェーブ用製品(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)、直毛化用製品、液体ヘアーセット用製品、ヘアーフォーム、ヘアースプレー、漂白用製品、例えば、過酸化水素溶液、ライトニングシャンプー、漂白クリーム、漂白パウダー、漂白ペースト又はオイル、一時的、半永久性又は永久性毛髪着色料、自己酸化性染料を含む製品又はヘナ又はカモミールのような天然毛髪着色料である。
【0067】
ヒトの毛髪への使用のために、本発明の染色組成物は、通常、化粧品用水性キャリヤーに組み込まれ得る。適当な化粧品用水性キャリヤーは、例えば、W/O、O/W、O/W/O、W/O/W又はPITエマルジョン及びあらゆる種類のマイクロエマルジョン、クリーム、スプレー、エマルジョン、ゲル、粉末及びまた、ケラチン含有繊維における使用に適当な界面活性剤含有フォーミング溶液、例えば、シャンプー又は他の製品を含む。このような使用形態は、Research Disclosure42448(1999年8月)に詳細に記載されている。必要ならば、例えば、米国特許第3,369,970号明細書、特に1欄70行ないし3欄、55行に記載されているように、染色組成物を無水
キャリヤーに組込むことも可能である。本発明に従った染色組成物はまた、欧州特許出願公開第3,829,870号明細書に記載されている、染色くし又は染色ブラシを使用する染色方法に非常に適当である。
【0068】
水性キャリヤー構成成分は、本発明の染色組成物中に通例となっている量で存在し、例えば、乳化剤は、染色組成物中に、染色組成物の総量に基づき0.5ないし30質量%の濃度で存在し得、増粘剤は、染色組成物中に、染色組成物の総量に基づき0.1ないし25質量%の濃度で存在し得る。
【0069】
染色組成物のための更なるキャリヤーは、例えば、“Dermatology”,Ch.クルナン、H.マイバッハ編,Verlag Marcel Dekker社,ニューヨーク,バーゼル,1986年,第7巻、Ch.ツバィクのThe Science of Hair Care,第7章,248〜250頁、特に243頁、1行ないし244頁、12行に記載されている。
【0070】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料が、酸化染料及び/又は酸とのそれらの付加塩と一緒に使用されるならば、それらは、別々に又は一緒に貯蔵され得る。好ましくは、還元に対して安定ではない酸化染料及び直接染料は、別々に貯蔵される。
【0071】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、液体ないしペースト状調製物(水性又は非水性)で、又は、乾燥粉末の形態で貯蔵され得る。
【0072】
染料が別々に貯蔵される場合、反応成分は、使用直前によく互いに混合される。乾燥貯蔵の場合、規定量の熱水(50ないし80℃)が、通常、添加され、均一な混合物を、使用前に調製される。
【0073】
本発明に従った染色組成物は、このような調製物のために既知のあらゆる活性成分、添加剤又は補助剤、例えば、界面活性剤、溶媒、塩基、酸、香料、ポリマー状補助剤、増粘剤及び光安定剤を含み得る。
以下の補助剤が、好ましくは、本発明の毛髪染色組成物中に使用される:
−非イオン性ポリマー、−カチオン性ポリマー、アクリルアミド/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ジエチル−スルフェート−四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/イミダゾリニウムメトクロリドコポリマー;−四級化ポリビニルアルコール、双性イオン性及び両親媒性ポリマー、アニオン性ポリマー、増粘剤、構造化剤、毛髪コンディショニング化合物、タンパク加水分解物、香油、ジメチルイソソルビトール及びシクロデキストリン、可溶化剤、ふけ止め有効成分、pH値を調節するための物質、パンテノール、パントテン酸、アラントイン、ピロリドンカルボン酸及びそれらの塩、植物抽出物及びビタミン、コレステロール;−光安定剤及びUV吸収剤、稠度調節剤、脂肪及びワックス、脂肪酸アルカノールアミド、150ないし50,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、錯化剤、膨潤及び浸透物質、浮白剤、真珠光沢剤、推進剤、抗酸化剤、糖含有ポリマー、四級アンモニウム塩及び抗菌剤。
【0074】
本発明に従った染色組成物は、一般に、少なくとも1種の界面活性剤を含む。適当な界面活性剤は、双性又は両性、より好ましくはアニオン性、非イオン性及び/又はカチオン性界面活性剤である。
【0075】
本発明の更なる態様は、ケラチン含有繊維の染色に関する。
【0076】
該方法は、
(a)ケラチン含有繊維を式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料の少なくとも1種で処理すること、及び、
(b)該繊維を放置し、その後、該繊維をすすぐこと、
を含む。
【0077】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、毛髪の全体的染色、即ち、初めて髪を染色する場合、及びまた、その後再染色する場合、又は髪の房を又は部分染色する場合に適当である。
【0078】
式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、例えば、手によるマッサージ、くし、ブラシ、又はボトル、又はくしもしくはノズルを組み合わせたボトルによって毛髪に適用される。
【0079】
本発明に従った染色方法において、染色が更なる染料の存在下において行われるか否かは、得ようとする色合いに依存し得る。
【0080】
更に好ましいのは、ケラチン含有繊維を式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる少なくとも1種の染料、塩基及び酸化剤で処理することを含むケラチン含有繊維の染色方法である。
【0081】
ケラチン含有繊維、特にヒトの毛髪、を式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料及び酸化剤で染色するための好ましい態様は、
(a1)該ケラチン含有繊維を、所望により式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を少なくとも1種を含む酸化剤で処理すること、
(b1)該ケラチン含有繊維を、所望により式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を少なくとも1種を含む、酸化剤を含まない組成物で処理すること;又は、さもなくば、
(a2)該ケラチン含有繊維を、所望により式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を少なくとも1種を含む、酸化剤を含まない組成物で処理すること;
(b2)該ケラチン含有繊維を、所望により式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を少なくとも1種を含む酸化剤で処理すること、
を含むが、但し、少なくとも、該プロセス工程(a1)、(a2)、(b1)又は(b2)の1つにおいて、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料が存在する。
【0082】
一般に、酸化剤を含む組成物は、15ないし45℃において、0ないし45分間、特に15ないし30分間、繊維上に放置される。
【0083】
酸化剤を含まない組成物は、通常、慣用の補助剤及び添加剤を含む。好ましいのは、独国特許出願、第3欄、第17ないし第41行に記載されたものである。
【0084】
一般に、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料及び酸化剤を含まない組成物は、15ないし50℃において、5ないし45分間、特に10ないし25分間、繊維上に放置される。
【0085】
該方法の好ましい態様の一つは、シャンプー及び/又は弱酸、例えばクエン酸又は酒石酸で染色後、毛髪を洗浄することである。
【0086】
還元に対して安定な式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料は、酸化剤を含まない組成物と一緒に貯蔵され得、かつ、単一組成物として適用され得る。
【0087】
都合のよいことに、還元に対して安定ではない式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料を含む組成物は、染色工程直前に、酸化剤を含まない組成物を用いて調製される。
【0088】
更なる態様において、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料及び酸化剤を含まない組成物は、同時に又は連続して適用され得る。
【0089】
慣用的に、酸化剤を含む組成物は、毛髪の量に関して十分な量で、通常、30ないし200gの量でむらなく適用される。
【0090】
酸化剤は、例えばペルスルフェート、又は希釈過酸化水素溶液、過酸化水素エマルジョン、又は過酸化水素ゲル、アルカリ土類金属ペルオキシド、有機ペルオキシド、例えばウレアペルオキシド、メラミンペルオキシドであり、半永久性の直接毛髪染料に基づく遮光粉末(shading powder)が使用される場合、アルカリ金属ブロメート固定剤も適用可能である。
【0091】
更に好ましい酸化剤は、
−国際公開第97/20545号パンフレット、特に9頁、5行ないし9行に記載の明るい着色を達成するための酸化剤、
−独国特許出願公開第19713698号明細書、特に、4頁、52行ないし55行、及び60行ないし61行、又は欧州特許公開第1062940号明細書、特に、6頁、41行ないし47行(及び対応する国際公開第99/40895号パンフレット)に記載されたようなパーマネントウェーブ固定溶液の形態の酸化剤、
である。
【0092】
最も好ましい酸化剤は、過酸化水素であり、好ましくは対応する組成物の総質量に基づき、約2ないし30質量%、より好ましくは約3ないし20質量%、最も好ましくは6ないし12質量%の濃度で使用される。
【0093】
酸化剤は、染色組成物の総質量に基づき、好ましくは、0.01%ないし6%、特に0.01%ないし3%の量で本発明に従った染色組成物中に存在し得る。
【0094】
一般に、酸化剤を用いた染色は、塩基、例えばアンモニア、アルカリ金属炭酸塩、土類金属(カリウム又はリチウム)炭酸塩、アルカノールアミン、例えばモノ−、ジ−又はトリエタノールアミン、アルカリ金属(ナトリウム)水酸化物、土類金属水酸化物又は式
【化5】

(式中、
Rは、OH又は炭素原子数1ないし4のアルキル基で置換され得るプロピレン残基を表わし、
3、R4、R5及びR6は、互いに独立せずに又は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又はヒドロキシ−(炭素原子数1ないし4)アルキル基を表わす。)で表わされる化合物の存在下において行われる。
【0095】
酸化剤を含む組成物のpH値は、通常、約2ないし7、特に約2ないし5である。
【0096】
ケラチン含有繊維、好ましくは毛髪上への式(1a)、(1b)及び(1c)で表わさ
れる染料を含む配合物の好ましい適用方法の1つは、例えば、国際公開第97/20545号パンフレット、4頁、19行ないし27行に記載されるような、多区画染色装置又は‘‘キット’’又は他のあらゆる多区画パッキング系を使用することである。
【0097】
一般に、毛髪は、染色溶液及び/又はパーマネントウェーブ溶液で処理した後、すすがれる。
【0098】
本発明の更なる好ましい態様は、酸化染料を用いた毛髪の染色方法であって、
a.式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる少なくとも1種の染料と及び所望により少なくとも1種のカップリング化合物及び少なくとも1種の顕色化合物と、及び酸化剤、それは、所望により少なくとも1種の更なる染料を含んでいる、とを混合すること、
b.ケラチン含有繊維を工程a.で調製した混合物と接触させること
を含む染色方法に関する。
【0099】
pH値を調整するために、例えば、独国特許第19959479号明細書、第3欄、第46行ないし第53行に記載されるような有機又は無機酸が適当である。
【0100】
更に、本発明は、自己酸化性化合物及び所望により更なる染料との、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料のケラチン含有繊維の染色方法に関する。
【0101】
該方法は、
a.少なくとも1種の自己酸化性化合物と及び少なくとも1種の顕色化合物及び少なくとも1種の式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料と及び所望により更なる染料とを混合すること、及び、
b.ケラチン含有繊維を工程a.で調製した混合物で処理すること、
を含む。
【0102】
更に、本発明は、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料及びキャップ化されたジアゾ化化合物を用いたケラチン含有繊維の染色方法であって、
a.少なくとも1種のキャップ化されたジアゾ化化合物及びカップリング化合物、及び所望により顕色化合物、及び所望により酸化剤、及び所望により更なる染料の存在下において、及び所望により式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる少なくとも1種の染料を用いて、アルカリ条件下でケラチン含有繊維を処理すること、及び、
b.所望により、更なる染料及び所望により、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる少なくとも1種の染料の存在下において、酸を用いて処理することによってpHを6ないし2の範囲内に調整すること
を含むが、但し、工程a.又はb.の少なくとも1方において、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる少なくとも1種の染料が存在する染色方法に関する。
【0103】
キャップ化されたジアゾ化化合物及びカップリング化合物及び所望により、酸化剤及び顕色化合物は、あらゆる所望の順序で連続的に又は同時に適用され得る。
【0104】
好ましくは、キャップ化されたジアゾ化化合物及びカップリング化合物は、一つの組成物中に、同時に適用される。
【0105】
‘‘アルカリ条件’’は、8ないし10、好ましくは9ないし10、特に9.5ないし10の範囲のpHを示し、そしてそれは、塩基、例えば炭酸ナトリウム、アンモニア又は水酸化ナトリウムの添加によってなされる。
【0106】
塩基は、毛髪、染料前駆体、キャップ化されたジアゾ化化合物及び/又は水溶性カップリング化合物又は染料前駆体を含む染色組成物へ添加され得る。
【0107】
酸は、例えば酒石酸又はクエン酸、クエン酸ゲル、所望により、酸染料との適当な緩衝溶液である。
【0108】
第一段階において適用されるアルカリ性染色組成物の量と第二段階において適用される酸性染色組成物の量の比は、好ましくは約1:3ないし3:1、特に約1:1である。
【0109】
工程a.のアルカリ性染色組成物及び工程b.の酸性染色組成物は、15ないし45℃において5ないし60分間、特に20ないし30℃において5ないし45分間、繊維上に放置される。
【0110】
更に、本発明は、式(1a)、(1b)及び(1c)で表わされる染料及び少なくとも1種の酸性染料を用いたケラチン含有繊維の染色方法に関する。
【0111】
以下の実施例は、染色方法を制限することなく、説明するために用いられる。特に記載がない限りは、部及びパーセント(%)は質量に対するものである。特定の染料の量は染色される材料に対するものである。
【0112】
製造例
部分A:ポリエチレンイミンベース
実施例A1ないしA28を、ポリエチレンイミンPEI 1ないしPEI 5の1つと染料1ないし5の1つを反応させて製造した。反応混合物を、処理方法1ないし5の1つによって処理した。各実施例における反応条件及び処理方法を表1に示す。生成物の分析データを表2に示す。
実施例A1ないしA28において使用したポリエチレンイミン:
423g/molの数平均分子量(Mn)を有するPEI 1
600g/molの数平均分子量を有するPEI 2
1200g/molの数平均分子量を有するPEI 3
1800g/molの数平均分子量を有するPEI 4
10000g/molの数平均分子量を有するPEI 5
【表1】

【0113】
処理方法1:
冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させた。
粉末をアセトン及びジクロロメタン中で連続して処理し、濾去し、同じ溶媒で洗浄し、乾燥させた。最終的に、生成物をエタノールで溶解し、再度乾燥させた。
処理方法2:
反応混合物を、室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて乾燥させた。得られたオイルをメタノール中に溶解し、溶液をアセトニトリル中に滴下した。沈殿物を濾去し、真空下で乾燥させた。
処理方法3:
反応混合物を室温まで冷却し、生成物を濾去し、真空中で乾燥させた。
処理方法4:
反応混合物を室温まで冷却し、1当量の塩酸(染料の量に対して)を添加した。沈殿した生成物を濾去し、真空中で乾燥させた。
処理方法5:
反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させて乾燥させた。残渣をエタノール中に溶解し、濾過した。濾液の溶媒を、再度蒸発させ、残っている生成物をイソプロパノール中で攪拌し、乾燥させた。
【0114】
表1:実施例A1ないしA28の反応条件。Mn(PEI)は、ポリエチレンイミンの数平均分子量を表わす。染料の当量は、PEIの窒素原子の数と比較して示される。
【表2】

表2:実施例A1ないしA28の分析データ。比 n(染料)/n(NPEI)は、ポリマーに結合した染料分子とポリマー中の窒素原子の総数の比を表わす。
【表3】

【0115】
部分B:ポリシロキサンベース
実施例A−29:
【化6】

アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン ABCR 4.75g(0.005mo
l)をイソプロパノール 15mL中に懸濁させ、2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3−イミダゾリ−1−イウム(アゾ染料A) 2.67gを添加した。反応混合物を、24時間、55℃まで加熱した。冷却後、反応混合物を乾燥させ、クロロホルム 60mL中で処理し、水/酢酸 40mLで3回洗浄した。
有機相を、再度、乾燥させて、赤色粉末 6gを得た(収率 81%)。
CD2Cl2におけるNMR(ppm):7.7,br,2H;7,3,br,2H;6.8,br2H;6.2,br,1H;3.9,s,6H; 3.25, s,2H;1,7,br,2H;0.6,br,2H;0,br,62H
MeOHにおけるmax=518mm
【0116】
実施例A−30:
【化7】

トルエン35mL中メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー[68037−59−2](ゲレスト HMS 301;MW 1900−2000、25−30mol% SiH、d=0.98;30mmol当量) 7.5mLの溶液に、キシレン中アリルアミン 2.25mL(30mmol)及びプラチナ(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン複合体 200μL[68478−92−2]。反応混合物を55℃において3日間攪拌し、その後、蒸発させて乾燥させ、ポリマー 8.85gを得た。
DCMにおけるMNR(ppm):2.5(t,2H);1.6(br,2H +);1.4(br,2H);0.4(t,2H)。
【0117】
実施例A−31:
【化8】

ポリシロキサン A−30 942mgをイソプロパノール 15mL中で処理し、2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3−イミダゾリ−1−イウム(アゾ染料 A) 1.66gと、60℃において16時間反応させた。真空下でイソプロパノールを蒸発させた後、反応混合物を、DCM 40mL(超音波浴 2分間)及び水
40mL(超音波浴 2分間)中に再溶解させた。エマルジョンDCM/水を一晩放置した。DCM及び水相を分離し、粘性相を、再度、DCM及び水で処理した(上記と同じ方法)。その後、粘性相をメタノール 10mLで処理し、真空下(1ミリバール)で乾燥させて、赤色固体 596mgを得た。
NMR:MeOHにおける1H 7.8(m,2H),7.4(m,2H),6.7(m,2H),3.9(m,6H),3.2(m,MeOH+2H),1.65(m,2H),0(m,30H)
【0118】
部分C:ポリエーテルイミンベース
【化9】

実施例A−32:
ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)と2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリドの反応:
ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)(アルドリッチ社製 CAS[9046−10−0] MW456) 2g(0.0044mol当量/N)を、55ないし80℃において21時間、イソプロパノール 14mL中で、2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリド 2.66g(0.01mol)と反応させた。冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させ、ジクロロメタン 100mL中に溶解させ、水及びソーダ 25mLで3回洗浄し、有機相を蒸発させた後、予定の赤色ポリマー 3.16gを得た(収率 68%)。
DMSOにおけるNMR(ppm):7.4,br,1H;7.15,s,1H;6.6,br,1H;3.75,s,3H;3.2−3.7,br,10H; 1.1,br,9H
MeOHにおけるλmax=503mm
【0119】
実施例A−33:
ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)と2−(2−フルオロ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムスルホネートの反応:
ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピルエーテル)(アルドリッチ社製 CAS[9046−10−0] MW456) 1g(0.0044mol当量/N)を、75℃において24時間、アセトニトリル 6mL中で、2−(2−フルオロ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムスルホネート 1.92g(0.0044mol)と反応させた。冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させ、ジクロロメタン 70mL中に溶解させ、水 25mLで3回洗浄し、有機相を蒸発させた後、予定の紫色ポリマー 1.58gを得た(収率 67%)。
CH2Cl2におけるNMR(ppm):9.3,br1H;8,br,2H,7.65,d,1H;7.4,t,1H;6.7,br,1H;4.1,s, 6H;3.1−3
.8,br,23H;1.3,br,5H;0.9−1.1, br,18H
MeOHにおけるλmax=531mm
【0120】
実施例A−34:
【化10】

トリメタロイルプロパントリス[ポリ(プロピレングリコール)アミン末端]エーテルと2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリドの反応:
トリメタロイルプロパントリス[ポリ(プロピレングリコール)アミン末端]エーテル(アルドリッチ社製 CAS[39423−51−3]) 1g(0.00631mol/N)を、80℃において24時間、イソプロパノール 7mL中で、2−(4−メトキシ−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリド 1.68g(0.00631mol)と反応させた。冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させ、ジクロロメタン 70mL中に溶解させ、水 25mLで3回洗浄し、有機相を蒸発させた後、予定の赤色ポリマー 2.23gを得た(収率 90%)。
CD2Cl2におけるNMR(ppm):7.6,br,3H;6.8,br,2H,6.5,br,2H;6.3,s,2H;2.6−3.9,br, 25H;0.6−1.4,br,14H
MeOHにおけるλmax=518nm
【0121】
実施例A−35
アセトニトリル 1mL及びイソプロパノール 4mL中コポリグリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート 0.5g(1.72mmol エポキシ当量)の懸濁液を、ポリマーが分散するまで、65℃に加熱した。その後、2−(N,N’−4−[メチル−(2−メチルアミノ−エチル)−アミノ]−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリド 0.55g(1.72mmol)を、40℃において添加し、反応混合物を、再度、60℃において40時間加熱した。冷却後、反応混合物を蒸発させて乾燥させ、塩水中で処理し、ポリマーをジクロロメタン中で抽出した。白色塩を濾去し、有機層を蒸発させて、メタノール中に溶解した。残りの固体を濾去し、溶液を蒸発させて、暗赤色の粉末 1gを得た。
MeODにおけるNMR(ppm):7,9;br,2H;7,5,s,2H;6,95,br,2H;4,br,12H;3,5−3−9,br,3H; 3,1−3,3,br,6H(+MeOD);2,7,br,2H;2,5,br,2H;2,4,br,4H;1,6,br,3H;0−7−1.5,br,12H
【0122】
実施例A−36
【化11】

コポリアクリル酸−ブチルアシレート(ジオキサン中19.5%溶液(1.6mmol当量 COOH)) 1.06gをアセトニトリル5mL中に希釈した。N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 0.5g(3.2mmol)を添加し、反応混合物を5℃まで冷却した。45分後、2−(N,N’−4−[メチル−(2−メチルアミノ−エチル)−アミノ]−フェニルアゾ)−1,3−ジメチル−3H−イミダゾリ−1−イウムクロリド 0.52g(1.6mmol)及びピリジン 0.48g(4.8mmol)を添加し、その後、反応混合物を室温において18時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粉末を酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて、暗赤色の粉末 0.74gを得た。
MeODにおけるNMR(ppm):7,8,br,2H;7,5,br,2H;6,9,br,2H;3,9,br,8H;3,6,br,4H;2,5−3,4,br,23H;0,7−2,0,br,16H
【0123】
B.適用例:
適用例において、以下の種類の毛髪を使用した:
−1房のブロンド色の毛髪(VIRGINホワイトヘア)。
−1房のミドルブロンド色の毛髪(UNA−ヨーロッパ、自然な毛髪、ミドルブロンド)。
−1房の漂白した毛髪(UNA−ヨーロッパ、自然な毛髪、漂白された白色)。

着色溶液:
実施例A1ないしA28に記載された染料の1つ 0.1%w/wを、プランタレン(Plantaren)溶液(水中10%w/wのプランタケア 200UP(ID:185971.5);pHは、50% クエン酸溶液又はモノエタノールアミン溶液を用いて9.5に調整。)に溶解させた。表3に示すように、いくつかの例において、異なる溶媒又は溶媒混合物を使用した。
【0124】
毛髪の房を以下の方法に従って染色した:
着色溶液を、乾いている毛髪に直接適用し、室温において20分間インキュベートし、その後、水道水(水温:37℃+/−1℃;水の流速:5−6L/分)ですすいだ。その後、該毛髪にペーパータオルを押し当て、ガラスプレート上で、室温において一晩乾かした。
洗浄堅牢性を決定するために、2組の毛髪の房を同じ条件下で染色した。1組の染色した毛髪の房を、水道水(水温:37℃+/−1℃;流速:5−6L/分)下で各房について約0.5gの市販のシャンプー(ゴールドウェル カラー&ハイライト、カラーコンディショナーシャンプー)を使用して洗浄した。最終的に、該毛髪の房を水道水ですすぎ、ペーパータオルを押し当て、くしですいてヘアドライヤーを用いて又は室温において乾かした。この方法を10回繰り返した。
その後、洗浄していない毛髪の房に対する洗浄した毛髪の房の色損失を、Herbst&Hunger,第2版.,p.61,Nr 10:DIN 54 001−8−198
2,‘‘Herstellung und Bewertung der Aenderung der Farbe’’,ISO 105−A02−1993による工業用有機顔料に従ったグレースケールを使用して評価した。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0125】
実施例B32:
式A−29で表わされる化合物 0.1%を、非イオン性界面活性剤(プランタケア 200UP、ヘンケル)の10%溶液に溶解させ、クエン酸又はモノエタノールアミンを使用してpHを9.5に調整した。この赤色染色溶液を、乾いている毛髪(2房のブロンド色の毛髪、2房のミドルブロンド色の毛髪及び2房の損傷毛髪)に適用し、室温において20分間、放置した。その後、該毛髪の房を水道水ですすぎ、12時間乾かした。
部分BB:
【表8】

【0126】
実施例B33:
式A−31で表わされる化合物 0.1%を、非イオン性界面活性剤(プランタケア 200UP、ヘンケル)の10%溶液に溶解させ、クエン酸又はモノエタノールアミンを使用してpHを9.5に調整した。この赤色染色溶液を、乾いている毛髪(2房のブロンド色の毛髪、2房のミドルブロンド色の毛髪及び2房の損傷毛髪)に適用し、室温におい
て20分間、放置した。その後、該毛髪の房を水道水ですすぎ、12時間乾かした。
部分BB:
【表9】

【0127】
実施例B34−B36:
式A−32、A−33及びA−34で表わされる化合物 0.1%を、それぞれ、非イオン性界面活性剤(プランタケア 200UP、ヘンケル)の10%溶液に溶解させ、クエン酸又はモノエタノールアミンを使用してpHを9.5に調整した。この赤色又は紫色染色溶液を、乾いている毛髪(2房のブロンド色の毛髪、2房のミドルブロンド色の毛髪及び2房の損傷毛髪)に適用し、室温において20分間、放置した。その後、該毛髪の房を水道水ですすぎ、12時間乾かした。
【表10】

【0128】
実施例B60−B70:
式A−35及びA−36で表わされる化合物 0.1%を、それぞれ、非イオン性界面活性剤(プランタケア 200UP、ヘンケル)の10%溶液に溶解させ、クエン酸又はモノエタノールアミンを使用してpHを9.5に調整した。この赤色又は紫色染色溶液を、乾いている毛髪(2房のブロンド色の毛髪、2房のミドルブロンド色の毛髪及び2房の損傷毛髪)に適用し、室温において20分間、放置した。その後、該毛髪の房を水道水ですすぎ、12時間乾かした。
【表11】

【0129】
ポリマー状染料の混合物:
染色エマルジョン、pH=10.5
【表12】

を、9%過酸化水素溶液(質量 1.5)と混合し、混合物を、褐色の毛髪の房に直ちに適用した。30分後、該毛髪の房をすすぎ、シャンプーし、すすいで、乾かした。染色した毛髪の房の色を表4に示す。
表4:2つのポリマー状染料の混合物
【表13】

【0130】
表5:3つのポリマー状染料の混合物
【表14】

表6:ポリマー状染料と直接染料の混合物
【表15】

【0131】
実施例B58:
染料A16の1%及び:;pH=9.8
【表16】

を含む染料エマルジョン(pH=9.8)を、同質量の6%過酸化水素溶液と混合し、混合物を、褐色の毛髪の房に直ちに適用した。30分後、該毛髪の房をすすぎ、シャンプーし、すすいで、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0132】
実施例B59:
染料A16 0.1%、及び、
セテアリルアルコール 3.5%
セテアレス 30 1.0%
グリコールジステアレート 0.5%
ステアラミド DEA 3.0%
ナトリウム オレオアムホヒドロキシプロピルスルホネート 1.0%
ポリクォーターニウム−6 0.5%、及び、
水 加えて100%になる水量
を含む染料エマルジョンを、漂白したヒトの毛髪に、室温において30分間適用し、すすいだ。結果は、良好な堅牢性を有する赤色染色であった。
【0133】
実施例B60:
【表17】

を含む染色エマルジョンを、ミドルブロンド色のヒトの毛髪に、室温において30分間適用し、すすいだ。結果は、良好な堅牢性を有する赤色染色であった。
【0134】
実施例B61:
部分A 60mL、部分B 60mL及び部分C 3mLを、混合ボール又は塗布用ボトル中で混合し、混合物を、ブロンド色の毛髪の房に直ちに適用した。30分後、該毛髪の房をすすぎ、シャンプーし、すすいで、乾かした。毛髪の房は、鮮明な赤色に染色された。
【表18】

【0135】
実施例B62:
染料A16の1%:;pH=10.5
【表19】

を含む染料エマルジョン(pH=10.5)を、1.5質量の9%過酸化水素溶液と混合し、混合物を、褐色の毛髪の房に直ちに適用した。30分後、該毛髪の房をすすぎ、シャンプーし、すすいで、乾かした。該毛髪の房は鮮明な赤色に染色された。
【0136】
実施例B63:
染料A16の1%及び
【表20】

を含む染料エマルジョンを、ブロンド色のヒトの毛髪に、室温において30分間適用し、すすいだ。結果は、良好な堅牢性を有する非常に鮮明な赤色染色であった。
【0137】
実施例B64:
ブロンド色の毛髪の房を、染料A16 1%及び
【表21】

を含むシャンプーを用いてシャンプーした。5分後、該毛髪の房をすすぎ、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0138】
実施例B65:
染料A16の0.1%及び
【表22】

を含むコンディショナーを、シャンプーしたブロンド色の毛髪の房に適用した。15分後、該毛髪の房をすすぎ、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0139】
実施例B66:
染料A16の0.1%及び
【表23】

を含むコンディショナーを、シャンプーしたブロンド色の毛髪の房に適用した。15分後、該毛髪の房をすすぎ、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0140】
実施例B66:
染料A16の0.1%及び
【表24】

を含むコンディショナーを、シャンプーしたブロンド色の毛髪の房に適用した。15分後、該毛髪の房をすすぎ、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0141】
実施例B67:
染料A16 0.1%及び
【表25】

を含むコンディショナーを、シャンプーしたブロンド色の毛髪の房に適用した。15分後、該毛髪の房をすすぎ、乾かした。該毛髪の房は赤色に染色された。
【0142】
実施例B68:
染料A16 0.1%、及び、
セテアリルアルコール 3.5%
セテアレス 80 1.0%
グリコールジステアレート 0.5%
ステアラミド DEA 3.0%
ナトリウム オレオアムホヒドロキシプロピルスルホネート 1.0%
ポリクォーターニウム−6 0.5%、及び、
二ナトリウム ジスチリルビフェニル ジスルホネート 0.2%、及び
水 加えて100%になる水量
を含む染料エマルジョンを、漂白したヒトの毛髪に、室温において30分間適用し、すすいだ。結果は、良好な堅牢性を有する赤色染色であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(上記式中、
A及びBは、互いに独立して、ポリマー骨格を表わし;
1及びX2は、互いに独立して、−炭素原子数1ないし10のアルキレン−;−炭素原子数2ないし12のアルケニレン−;−炭素原子数5ないし10のシクロアルキレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−;−炭素原子数5ないし10のアリーレン−(炭素原子数1ないし10のアルキレン)−;−C(O)−;−(CH2CH2−O)1-5−;−C(O)O−;−OCO−;−N(R1)−;−CON(R1)−;−(R1)NC(O)−;−O−;−S−;−S(O)−;−S(O)2−;−S(O)2−N(R12);又は直接結合から選択された結合基を表わし;
1及びR2は、互いに独立して、水素原子;又は、未置換の又は置換された、直鎖の又は枝分かれした、単環式の又は多環式の、中断された又は未中断の炭素原子数1ないし14のアルキル基;炭素原子数2ないし14のアルケニル基;炭素原子数6ないし10のアリール基;炭素原子数6ないし10のアリール−炭素原子数1ないし10のアルキル基;又は、炭素原子数5ないし10のアルキル(炭素原子数5ないし10のアリール)基を表わし;
1及びY2は、互いに独立して、有機染料の残基;又は、水素原子を表わし;
ここで、Y1及びY2の少なくとも一方は、有機染料の残基を表わし;
An1、An2及びAn3は、互いに独立して、アニオンを表わし;
a及びbは、互いに独立して、1ないし3の数を表わし;
mは、0ないし1000の数を表わし;
nは、0ないし1000の数を表わし;及び、
pは、1ないし1000の数を表わし;
ここで、m+n+pの合計が3以上である。)で表わされるポリマー状染料。
【請求項2】
1及びY2が、互いに独立して、アントラキノン、アクリジン、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、トリフェニルメタン、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロー
ル、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイドインドフェノール、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、メロシアニン、メチンオキサジン、ぺリノン、ペリレン、ピレンキノン、フタロシアニン、フェナジン、キノンイミン、キナクリドン、キノフタロン、スチリル、スチルベン、キサンテン、チアジン及びチオキサンテン染料の群から選択される請求項1に記載の染料。
【請求項3】
1及びY2が、互いに独立して、アントラキノン、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチン及びスチリル染料から選択される請求項1又は2に記載の染料。
【請求項4】
1及びY2が、同じ意味を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の染料。
【請求項5】
A及びBが、互いに独立して、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリビニルアミン;ポリビニルイミン;ポリシロキサン;ポリスチレン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリDADMAC、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート;一方はヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンから、他方は脂肪族又は芳香族ポリイソシアナートから誘導されたポリウレタン、並びにそれらの前駆体;ジアミンとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド;多糖類、澱粉、セルロース、リグニン;及び、記載されたポリマーのコポリマー及びブレンドから選択される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の染料。
【請求項6】
ポリマー骨格(A及びB)及び有機染料の残基(Y1及びY2)の両方が、ハロゲン化物、トシレート、メシレート、メトキシ、酸塩化物、塩化スルホニル、エポキシド、無水物から選択された求電子基;又は、アミン、ヒドロキシル及びチオールから選択された求核基、から選択される官能基を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の染料。
【請求項7】
前記ポリマー状染料の分子量が400ないし5000である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の染料。
【請求項8】

【化2】

(式中、
1は、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチン及びスチリル染料から選択された有機染料の残基を表わし;及び、
m及びnは、0ないし1000の数を表わし;
ここで、m及びnの合計が3以上である。)に対応する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項9】

【化3】

(式中、
1は、アゾ、アゾメチン、ヒドラゾメチン、メロシアニン、メチン及びスチリル染料から選択された有機染料の残基を表わし;及び、
m、n及びpは、0ないし1000の数を表わし;
ここで、m、n及びpの合計が3以上である。)に対応する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項10】

【化4】

(式中、
3は、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;及び、
1、X2、Y1、Y2、m及びnは、請求項1で定義した通りである。)に対応する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項11】

【化5】

(式中、
3は、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;及び、
1、X2、Y1、Y2及びnは、請求項1で定義した通りである。)に対応する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項12】

【化6】

(式中、
3は、炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし;及び、
1、X2、Y1、Y2及びnは、請求項1で定義した通りである。)に対応する請求項1
ないし7のいずれか1項に記載の染料。
【請求項13】
請求項1で定義した式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料の少なくとも1種を含む組成物。
【請求項14】
更に、少なくとも1種の単一の更なる直接染料及び/又は酸化剤を含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
シャンプー、コンディショナー、ゲル又はエマルジョンの形態の請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
有機材料の染色方法であって、請求項1に記載の式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料の少なくとも1種又は請求項13ないし15のいずれか1項に記載の組成物で該有機材料を処理することを含む方法。
【請求項17】
請求項1で定義した式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる、少なくとも1種の染料及び酸化剤及び、所望により、更なる直接染料で前記有機材料を処理することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1で定義した式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる、少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の単一酸化染料で前記有機材料を処理すること、又は、請求項1で定義した式(1a)、(1b)又は(1c)で表わされる染料及び少なくとも1種の単一酸化染料及び酸化剤で前記有機材料を処理することを含む請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機材料が、ケラチン含有繊維から選択される請求項16ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ケラチン含有繊維が、ヒトの毛髪である請求項19に記載の方法。


【公表番号】特表2009−543914(P2009−543914A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519922(P2009−519922)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056945
【国際公開番号】WO2008/009579
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】