説明

マイクロキャビティを封止するための方法

【課題】キャビティ、好ましくはMEMS又はNEMSデバイスが位置するキャビティを簡単な工程で封止するための方法を提供する。
【解決手段】薄膜層を犠牲層2上に堆積し、その後放出孔を薄膜層内でエッチングし放出工程を実施する。その際、少なくとも犠牲層の一部を放出孔を通じて除去し、キャビティを形成する。前記放出工程の前に狭窄層を放出孔の側壁に形成する。狭窄層を封止層5とする場合は封止層のリフローにより放出孔を閉鎖し、狭窄層が封止層でない場合には薄膜層上部に封止層を堆積し、直接封止層をリフローすることで放出孔を閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクスプロセス技術に関する。具体的には、マイクロ又はナノ電気機械システム(MEMS及びNEMS)に関する。本発明は、密封されたマイクロキャビティを形成するための方法、及びそのプロセスフローを使用してデバイスのキャップ部を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのMEMSは、真空、又は制御された雰囲気及び圧力下で封入し、優れたパフォーマンス又は許容できる期間の稼動を確保することが要求される。デバイスに損傷を引き起こす可能性がある、MEMSデバイス上への封止材料の堆積なしに、封入を実施する必要がある。ゼロレベルパッケージング又はウエハレベルパッケージングを用いた封入デバイスについていくつかのアプローチが知られており、その中でパッケージは、MEMSデバイスと同時に設計及び製造されている。
【0003】
欧州特許第EP1433741号では、リフロー材料を使用する薄膜での開口部の閉鎖に基づくゼロレベルパッケージング方法が説明されている。該開口部は基板下部の空洞上に位置している。該方法は、封止される開口部を狭窄する薄膜層上に中間層を堆積することを含む。次に、リフロー層は、初期設定の圧力及び雰囲気条件下で中間層上に堆積し、部分的に開口部を閉鎖する。そして、リフロー層は、2番目の設定の圧力及び雰囲気条件下で接合される。この方法は、制御可能な雰囲気及び圧力で膜での開口部の密封を可能にする。この方法を使用する場合、異なる堆積層のいくつかの材料が開口部を通過し、この材料がもろいMEMS上に堆積し、従ってかかるデバイスの適正な使用に影響を与える。
【0004】
文献「HF透過性PECVDのSiOCキャップ層を使用したMEMSデバイスのためのウエハレベル封入技術」(MEMS2008、pp798−801)において、ゼロレベルパッケージング方法がキャビティ内部への堆積を避けるための多孔質層の使用に基づいて記載されている。該方法は、放出孔のパターニング後の多孔質層の堆積を含む。この工程に続いて放出工程を実施し、フリーなMEMS構造を得る。従って、多孔質層は、次層のキャビティ内部への堆積によりこのキャビティが封止されることを妨げることとなる。
【0005】
かかる方法を使用するために、放出孔は、必然的に数マイクロメートルの範囲に制限され、さまざまなツールでのプロセス操作に耐えられるよう、この多孔層に充分な機械的剛性を提供する。一方、デバイスの電気的接続を規定するためのキャップ部分の絶縁トレンチの規定は、さまざまなパッドとキャップとの間の寄生容量を避けるべく、より大きい開口部を必要とする。この開口部の大きさに起因して、多孔質層は必要となるプロセス工程を経ることにはならない(実際には、洗浄作業中にウエハ表面は数バールの圧力で液体に曝されている)。特に、ワイヤボンディング工程のために必要となるパッドの金属化は、短絡(shortcut)の危険があるため、単純な堆積を通じて行うことができない。実際、多孔質層は、電位が異なる2つのパーツ間に短絡を与えるこの金属化物で覆われることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術の方法及びデバイスの欠点を解決できる方法及びデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、キャビティ、好ましくはMEMS又はNEMSデバイスが位置するキャビティを封止するための方法に関する。該方法によれば、薄膜層を犠牲層上部に堆積し、その後、薄膜層で放出孔をエッチングし、犠牲層の少なくとも一部が該放出孔を通じて除去されるように放出工程を実施し、キャビティを形成する。前記放出工程の前に、狭窄層を放出孔の側壁に製造する。狭窄層は、リフロー工程後に放出孔を封止する封止層でもよい。代替として、狭窄層は、封止機能を有しない層が可能であるが、封止材料又は他の材料がキャビティに入るおそれなく封止することができるように孔を狭くすることのみを目的とする。狭窄層は、コンフォーマル堆積及びそれに続く異方性エッチングによって堆積してもよく、或いは放出孔の側壁に直接堆積してもよい。本明細書中、用語「封止層」は、その機能が、直接又はリフロー工程後に放出孔を封止するという本発明の方法の範囲内にあることを意味する。「非封止層」は、本方法においてこの機能を有しない。
【0008】
本発明は、添付の請求項に記載の方法及びデバイスに関する。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と、適切に、及び単に請求項に明記されただけでないものとして組み合わせてもよい。
【0009】
従って、本発明は、キャビティを封止するための方法に関し、該方法は、
・基板を準備する工程と、
・前記基板上に犠牲層を堆積する工程と、
・前記犠牲層上に薄膜層を堆積する工程と、
・薄膜層内で少なくとも1つの放出孔をエッチングして、犠牲層を露出させる工程と、
・放出孔の側壁に層を形成して前記孔を狭窄する工程であって、前記狭窄層は、封止層であってもなくてもよいようにした工程と、
・キャビティを形成するように、放出孔を通じて犠牲層を放出する工程と、
・狭窄層が封止層である場合は、封止層のリフローによって放出孔を閉鎖し、又は、
・狭窄層が封止層でない場合は、薄膜上部に封止層を堆積し、直接又は前記封止層のリフローによって放出孔を閉鎖する工程とを含む。
【0010】
一実施形態によれば、狭窄層を形成する工程は、
・薄膜層上、並びに放出孔の側壁及び底部にコンフォーマル層を堆積することと、
・コンフォーマル層に異方性エッチングを施し、放出孔の側壁にのみ前記コンフォーマル層を残すこととを含む。
【0011】
別の実施形態によれば、狭窄層を形成する工程は、放出孔の側壁に前記封止層を選択的に堆積することを含む。
【0012】
一実施形態によれば、薄膜層は、前記放出孔のエッチングと同時にエッチングし、前記キャビティが作成される位置上にキャップ構造を形成する、及び/又はコンタクトパッドを形成する。
【0013】
本発明の方法は、さらに、薄膜層上に金属層を堆積する工程を含んでもよい。
【0014】
前記封止層は、金属層又は金属合金層でもよい。封止層は、積層体で形成してもよい。封止層は、アルミニウム、ゲルマニウム、金又はインジウムを含み、或いはこれらから構成されてもよい。
【0015】
好ましい実施形態によれば、前記基板は、1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを含み、前記犠牲層を除去する工程は、1つ以上のMEMS又はNEMSを含むキャビティを形成するように実施する。
【0016】
一実施形態によれば、前記基板は、ベース基板、前記ベース基板上の絶縁体層、及び1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを備えた、前記絶縁体層上の構造半導体層で形成され、1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを含むキャビティを形成するように、前記絶縁体層の少なくとも一部を、放出孔を通じて犠牲層と一緒に除去する。
【0017】
本発明はまた、キャップに覆われるキャビティ内に封入されるMEMS又はNEMSデバイスに関し、前記キャップは、上面及び側壁を有し、前記キャップには放出孔が存在し、前記放出孔は封止材料から成る部分によって封止し、前記放出孔の側壁には前記封止材料から成る層が存在する。
【0018】
一実施形態によれば、前記キャップの側壁に前記封止材料から成る層が存在し、前記層は、前記側壁の下側周縁部に一部分を有し、前記一部分は、前記層の残りの部分より大きい厚さを有し、前記一部分は、前記周縁部から下方へ延びる。
【0019】
本発明のデバイスはさらに、前記キャップの上面に金属層を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図1b】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図1c】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図1d】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図1e】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図1f】第1実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層である。
【図2a】第2実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層でない。
【図2b】第2実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層でない。
【図2c】第2実施形態による方法の工程を示しており、狭窄層は封止層でない。
【図3a】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3b】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3c】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3d】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3e】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3f】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3g】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3h】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3i】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3j】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3k】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【図3l】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスの製造のためのプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2は、本発明の2つの実施形態による基本的な方法の工程を示す。図1a〜図1eに関連して基板1が準備されるが、これは基板上のMEMSデバイス又はNEMSデバイスでもよい。犠牲層2が基板表面上に堆積し、薄膜層3が犠牲層の上部に堆積する。基板はシリコンウエハでもよく、犠牲層はシリコン酸化層でもよい。薄膜層はSi又はSiGeが可能であるが、多結晶構造(即ち、ポリシリコン又はポリシリコン−ゲルマニウム層)をとることが好ましい。
【0022】
放出孔4は、薄膜層3の内部で、例えば既知のリソグラフィ工程と組み合わせたドライエッチングプロセスによってエッチングされ、エッチングは犠牲層2で停止する。狭窄層5は、コンフォーマル堆積する。これが意味するのは、狭窄層は、放出孔4の側壁及び底部を含む、露出した表面全体に実質的に同じ厚さで堆積する、ということである。図1a〜図1fに示す工程は、第1実施形態を説明しており、これにより狭窄層5は封止層となる。封止層材料は、薄膜材料より低い融点を有する。好ましくは、封止層は金属又は金属合金層である。特定の実施形態によれば、封止層は、アルミニウム、ゲルマニウム、金又はインジウムを含み、或いはこれらで構成される。封止層はまた、シリコン酸化層又はシリコン窒化層が可能である。100℃〜1100℃の範囲内のさまざまな温度でリフローを実施可能なように、利用するものに応じて、封止層を構成する材料を選択することができる。封止層は単一層が可能であり、又はそれは積層体を含んでリフロー中に合金を形成してもよい。このように、スタックを構成する材料を選択することによって、リフロー温度を所定範囲内に制限することができる。リフロー前のガス放出を実施可能なように、リフロー材料を選択することができる。ガス放出工程は、残留蒸気及び残留ガスが放出工程(後述する)の後に除去されるような既知のプロセス工程である。
【0023】
図1の実施形態にかかる方法の次の工程では、好ましくはドライエッチングプロセスによって封止層5に異方性エッチングを施し、エッチングは薄膜層3及び犠牲層2で停止する。これが意味するのは、封止層は放出孔の側壁にのみ残る、ということである。
【0024】
次に、犠牲層2の一部を放出孔4を通じて除去し、キャビティ6を形成する。この工程は、放出工程とも呼ばれる。犠牲層の除去は、該犠牲層のウェットエッチング又はドライエッチングによって行うことができる。犠牲層として酸化物を使用する場合は、HFベースのエッチングが好ましい。さらに、蒸気HF(vHF)の使用が好ましい。好ましい実施形態によれば、基板1はMEMS又はNEMSデバイスを含み、1つ以上のかかるデバイスを包含するようにキャビティを形成する。
【0025】
示した実施形態では、放出工程は犠牲層2の一部を除去し、キャビティの側壁を犠牲層の残りの部分8によって形成する。この場合、エッチング工程はキャビティ6が得られるように好適な時間で停止する必要がある。別の実施形態によれば、犠牲層2は薄膜のための支持フレームのような構造によって包囲することができる。この場合、前記犠牲層全体を放出工程で除去する。好ましくは、包囲構造を構成する材料は、犠牲層材料すべてが除去された時点で自動的に停止するよう選択的エッチングを実施できるような材料である。
【0026】
前述のように、ガス放出工程を放出工程の後に実施してもよい。次に、封止層5のリフローを、制御された雰囲気及び圧力の下で実施する。リフロー工程は、当業者に知られたリフロー炉で実施することができる。封止層材料の液滴7が放出開口部4の下端で形成される。液滴は、上端又は端部間で形成することもできる。これは、開口部4の形状に依存する場合がある(例えば、一端が他端に比べてわずかに狭い等)。マイクロスケールでは、毛細管力に比べて重力を無視することができるので、キャビティ内へのリフロー材料の堆積は不可能である。この効果を得るのに充分な毛細管力を確保するために、例えば、放出孔の直径は約1ミクロンであってもよく、封止層の厚さは数百ナノメートルでもよい。
【0027】
図2a〜図2cに示す第2実施形態によれば、狭窄層は封止層でない。それは、好ましくは薄膜層と同じ材料から成る層5’であり、例えばポリSiGe層である(他の適切な材料が可能である)。図1a〜図1dの工程は、変更することなく本実施形態に適用可能であるが、封止層5は、封止層でない狭窄層5’に置き変わる。図2aは、狭窄層5’の異方性エッチング後の状況を示す。本実施形態によれば、封止層100を薄膜層の上部に堆積し、リフロー工程なしに直接放出孔の閉鎖を行い(図2b)、或いは放出孔のエッジの周囲にカラー(collar)101を形成するための好適な厚さで堆積してもよい。次に、リフロー工程を実施して前記カラーを閉鎖する。かかる工程は、図2b,図2cに示すようなものとして当業者に知られている。封止層100の材料は、当業者に知られた、この目的のための好適ないずれの材料も可能である(例えば、アルミニウム又は金のような金属、シリコン酸化物等)。第2実施形態(狭窄層は封止層でない)に従ってSiGe狭窄層5’を堆積することによって、直径約1ミクロンのSiGe薄膜層で放出孔を約100nm以下まで狭くすることが可能となる。これにより、封止材料は封止層100のリフロー中に除去されたキャビティへ全く落ちないこととなる(図2cの場合)。また、それによって薄い封止層100を付加し、より厚い封止層に関する問題(応力に関する剥離又はキャビティへのリークパスの形成)を防止することが可能となる。
【0028】
第1実施形態又は第2実施形態によって、異方性エッチングに続いてコンフォーマル層を堆積する代わりに、選択的堆積技術(例えば、原子層堆積ALD)によって、放出孔4の側壁に、そして前記側壁のみに、狭窄層5/5’を直接堆積してもよい。
【0029】
好都合なことに、本発明の方法により、放出孔4のエッチングと同時に薄膜層の一部をエッチング除去し、それゆえMEMSデバイスをカバーする実際のキャップ構造を規定すること、及び/又は、MEMSデバイスと接触させるためのボンディングパッドを既定することが可能となる。このようにキャップしたMEMSデバイスを製造するためのプロセスフローを図3a〜図3lに示す。
【0030】
図3aは、ベース基板10、絶縁体層11及び構造層12で構成されたウエハを示す。構造層は、1つ以上のMEMS又はNEMSタイプのデバイスを含む半導体層である。図3aのウエハは、セミコンダクタオンインシュレータ(SOI)タイプのウエハ、例えばシリコンオンインシュレータから製造してもよい。絶縁体層11は、放出工程中にエッチング可能な材料で構成してもよい(後述する)。構造層12は、SOIの半導体層中で製造される。
【0031】
構造層12は、エッチングされてMEMSデバイス13を規定する(図3b)。エッチング工程は、絶縁体層11で停止する。図3bはさらに、MEMSデバイス13の上面図を示しており(実施例により、MEMSの形状は異なる場合がある)、エッチング工程の結果を表している。この例のMEMSデバイスは、機械的なアンカー領域14の間に配置された、ビーム13たる共振器である。パーツ15は、RFポート(I/O)である。図3bに示すウエハは、添付の請求項の基板1に対応する。本発明の方法は、このウエハに適用される。
【0032】
犠牲層16は、パターン化した構造層12の上部に堆積し(図3c)、それゆえMEMSデバイス13を包囲する領域を充填する。犠牲層16は、絶縁体層11と同じ材料、例えばシリコン酸化物で構成してもよい。
【0033】
犠牲層16は、既知の平坦化技術、例えば化学機械研磨(CMP)を使用して平坦化し(図3d参照)、結果として平坦化した犠牲層16’を得る。
【0034】
開口部17は、第2犠牲層16’においてエッチングする。エッチングは構造層12で停止し、電気的フィードスルーを提供する(図3e)。
【0035】
次に(図3f)、薄膜層18を堆積し、開口部17を充填し、構造層12及び犠牲層16’の上部に連続層を形成する。
【0036】
次に、薄膜層18をエッチングして放出孔を形成し、最終的にMEMSデバイスを覆うキャップを形成することとなる薄膜の一部20を規定する(図3g)。薄膜層の領域30は、犠牲層16’において開口部17の上部に残る。前記領域30は、MEMSデバイス13に接触するためのコンタクトパッドを形成することとなる。図3gは、薄膜をエッチングする工程後の上面図を示す。
【0037】
次に(図3h)、封止層31を薄膜及び犠牲層16の上にコンフォーマル堆積し、その結果、即ち本発明の実施形態により、封止層が放出孔19の壁部及び底部に存在する。
【0038】
次に(図3i)、封止層をエッチバックし、エッチバックは犠牲層16’上で停止し、放出孔の側壁に封止材料から成る層32を残し、キャップ20の側壁に封止材料から成る層33を残し、そして、ボンディングパッド30の側壁に封止材料から成る層34を残す。
【0039】
次に(図3j)、犠牲層16’及び絶縁体層11を部分的に除去する放出工程を実施し、内部にMEMS13を備えたキャビティを形成する。それゆえ、この場合、本発明の方法による犠牲層16を堆積する工程を適用するときに、絶縁体層11は、基板上に既に存在する犠牲層に加えて更なる犠牲層を形成する。放出工程は、犠牲層として用いるのが酸化物の場合、犠牲層のウェットエッチング又はドライエッチング、好ましくはHFベースのエッチング(好ましくは蒸気HF)によって行うことができる。
【0040】
次に(図3k)、リフロー工程を実施する。封止層31の融点以上であって薄膜層18の融点未満の温度まで基板を加熱する。放出孔19内部の封止層のリフローは、これらの孔を封止する。
【0041】
次に(図3l)、金属層36を堆積し、ボンディングパッド30のために必要な金属化物を形成する。この層は、キャビティ35のために更なる封止を提供する。
【0042】
本発明はまた、本発明の第1実施形態による方法で得られるパッケージしたMEMS又はNEMSデバイスに関する(狭窄層は封止層である)。かかるデバイスの特徴は、例えば図3k又は図3lで見られるように、デバイスが薄膜キャップ20によって閉鎖され、接合した封止材料から成る部分によって封止される放出孔19を有するキャビティ内に封入され、前記封止材料から成る層40は放出孔の側壁に存在することである。放出孔を薄膜層のエッチングと同時にエッチングして、キャップ20及びボンディングパッド30を規定する場合、キャップの側壁はまた、これらの側壁に存在する封止材料のリフローによって得られる封止材料から成る層41によって、底部を厚い部分42で覆われる。同時のエッチングが行われたという事実は、キャップ側壁の下側周縁部50に対して、厚い部分42が下方へ延びることによって検出可能である。同様に、ボンディングパッド30の側壁に、封止材料から成る層43が、ボンディングパッドの下側周縁部に対して下方に延びる、下端で厚くなった一部分44を有する状態で存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを封止するための方法であって、
基板(1)を準備する工程と、
前記基板上に犠牲層(2,16)を堆積する工程と、
前記犠牲層上に薄膜層(3,18)を堆積する工程と、
薄膜層内で少なくとも1つの放出孔(4,19)をエッチングし、犠牲層(2)を露出させる工程と、
放出孔(4,19)の側壁に層(5,5’、31)を形成して前記孔を狭窄する工程であって、前記狭窄層は封止層であってもなくてもよいようにした工程と、
キャビティ(6,35)を形成するように、放出孔を通じて犠牲層(2,16)を除去する工程と、
狭窄層が封止層(5,31)である場合には、封止層のリフローによって放出孔を閉鎖し、又は、狭窄層(5’)が封止層でない場合には、薄膜上部に封止層(100)を堆積し、直接又は前記封止層(100)のリフローによって放出孔を閉鎖する工程とを含む方法。
【請求項2】
狭窄層(5,31)を形成する工程は、
薄膜層(3,18)上、並びに放出孔(4,19)の側壁及び底部にコンフォーマル層(5,31)を堆積することと、
コンフォーマル層(5,31)に異方性エッチングを施し、放出孔(4,19)の側壁にのみ前記コンフォーマル層を残すこととを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
狭窄層(5,31)を形成する工程は、放出孔(4,19)の側壁に前記狭窄層を選択的に堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
狭窄層(5’)は、薄膜層(3)と同じ材料で形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記放出孔(4,19)のエッチング形成と同時に、薄膜層をエッチングして前記キャビティが作成される位置の上方にキャップ構造(20)を形成し、及び/又はコンタクトパッド(30)を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
薄膜層(3,18)に金属層(36)を堆積する工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記封止層(5,31)は、金属層又は金属合金層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記封止層(5,31)は、積層体で形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記封止層(5,31)は、アルミニウム、ゲルマニウム、金又はインジウムを含む、又はこれらで構成される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板(1)は、1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを備え、前記犠牲層(2,16)を除去する工程は、1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを備えるキャビティを形成するように実施される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、ベース基板(10)、前記ベース基板上の絶縁体層(11)、及び1つ以上のMEMS又はNEMSデバイス(13)を備えた、前記絶縁体層上の構造半導体層(12)で形成され、
前記絶縁体層の少なくとも一部が、1つ以上のMEMS又はNEMSデバイスを含む前記キャビティ(35)を形成するように、放出孔(19)を通じて犠牲層(13)と一緒に除去される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
キャップ(20)に覆われるキャビティ内に封入され、
前記キャップは上面及び側壁を有し、
前記キャップ内には放出孔(19)が存在し、
前記放出孔は封止材料の一部によって封止され、
前前記放出孔の側壁には、前記封止材料から成る層(40)が存在するようにしたMEMS又はNEMSデバイス。
【請求項13】
前記キャップ(20)の側壁には、前記封止材料から成る層(41)が存在し、
前記層は、前記側壁の下側周縁部(50)に一部分(42)を有し、
前記一部分は前記層の残りの部分より大きい厚さを有し、
前記一部分は、前記周縁部(50)から下方へ延びる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記キャップ(20)の上面に金属層(36)をさらに備えた、請求項12又は13に記載のデバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図3k】
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【図3l】
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【公開番号】特開2012−218147(P2012−218147A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−87109(P2012−87109)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】