説明

マイクロミキサー

本発明は、反応によって沈殿物または懸濁物が形成される少なくとも2つの流体を混合するためのマイクロミキサーに関する。マイクロミキサーは、第1部分流(6)が供給される第1チャンネルおよび第2部分流(7)が供給される第2チャンネルを有して成る。第1部分流(6)および第2部分流(7)は、狭い入口ギャップ(19,20)を介して混合反応領域(10)に流入し、その後、その混合反応領域(10)を介して流出チャンネル(11)へと移送される。本発明は、部分流(6,7,37)が移送される少なくとも1つのチャンネルと混合反応ゾーン(10)との間に逆流防止部材が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、相互に反応する少なくとも2種類の流体を混合するためのマイクロミキサーに関する。かかる少なくとも2種類の流体が混合されることによって沈殿物または懸濁液が形成される。
【0002】
流体混合装置に微細構造要素が設けられていると、生成物の品質の点で有利となり、従来の構成と比べて混合時間および必要な装置サイズを減じることができる。微細構造の本質的な特徴は、流体チャンネルの寸法が小さいことであり、一般的には10〜5000μmの寸法を有している。このため、例えば、層流ミキサーでは、微細な流体層が生じることになる。従って、そのような流体層間では、その薄い厚さに起因した拡散によって物質交換が迅速に行われる。しかしながら、流体が移送される領域の断面寸法が小さいと、運転に伴う堆積物(または付着物)の生成および閉塞を防止するのに特別な手段を必要する。例えば、微細構造要素の移送部に粒子フィルターが設けられ、微細構造の寸法に合うように分画範囲が選択される。
【0003】
流入媒体の供給チャンネルを介してマイクロミキサーに入ってくる粒子に起因した堆積物および閉塞以外にも、微細構造要素で生じる化学物理プロセス(例えば混合後に生じる化学物理プロセス)に起因して堆積物および閉塞が生じるおそれがある。例えば、中和反応に起因した沈殿によって固形物が形成され得る。このような固形物は、溶解度積を越えることによって形成されるか、又は、有機化合物もしくは無機化合物の反応に際して生じる反応生成物が結晶化することによって形成されるものである。DE10148615A1には、流体チャンネルを備えたマイクロミキサーを用いて、反応によって沈殿物または懸濁物を形成する2つの流体を一体化する化学プロセスを実施する方法が開示されている。少なくとも2つの流体が混合チャンバーまたは反応セクションに導入されるが、マイクロミキサーの閉塞を防ぐには、かかる少なくとも2つの流体が別の分離流体によって相互分けられる必要がある。それゆえ、反応が速くなることが避けられ、混合デバイスの重要でない領域で反応が生じるように反応を遅くしている。微細構造部での堆積物の生成および閉塞を回避する別の手法は、DE20218972U1に開示されている。かかる手法に用いられるスタティック層流ミキサーでは、容易にアクセスできて洗浄し易いようにスタティック層流ミキサー要素が設計されている。微細構造部の寸法が、生じる粒子の最大寸法よりも相当に大きいと、閉塞を防止しつつ、微細構造要素で懸濁物を処理することができる。有機顔料をパッケージする方法に関連しているが、DE10031558A1では、微細構造部の最も小さい内幅が最大粒子寸法の約10倍以上となるように、アクター内の微細領域の寸法を決めることが推奨されている。このようにすると、微細構造要素の特徴的寸法が増加するが、そのようなリアクターはマイクロミキサーではなくミニリアクターと呼ばれるものである。上述のようにすると閉塞の点で好ましいものの、微細構造の利点がプロセス制御および生成物の品質の点で減じられることになる。いずれにせよ、ミキサーまたはリアクターの流出ゾーンで堆積物の生成が回避されるように、デッド・スペースが存在しないようにすると共に、壁部で急な変化がないようにしなければならない。それでもなお、閉塞が生じる場合では、有効な洗浄手段を供することになる。DE10143189A1には、プロセス処理過程と並行してマイクロリアクターおよびミニリアクターを洗浄するための方法およびデバイスが開示されている。かかるマイクロリアクターおよびミニリアクターでは、周期的に洗浄されるか、または、コントローラーを用いて圧力増加を制御し、それによって生じる急激な緩和によって洗浄されるか、あるいは、ガス圧力衝撃(またはガス圧力の推進力)によって洗浄される。このようにして、例えば化学合成または物理プロセスに関連する固形物に起因した壁部の堆積物が殆ど完全に除去されることになる。かかる洗浄に加えて又はそれとは別に、微細構造要素の閉塞および壁の堆積物の発生を防止する特別に設計された手段または特殊なプロセス制御というものが既知である。上述したように、分離流体を用いることはDE10148615A1に開示されている。しかしながら、分離流体は、単相混合物を希釈して沈殿反応の過飽和を減少させ、その結果、反応の収率を減じる点で反応に悪影響を及ぼすものである。更に、かかる分離流体は、最終的には、生成物フローから除去しなければならない。DE10119718A1には、吸入可能な医薬品組成物を調整するための構造物が開示されている。この構造物は、マイクロミキサー、分割部材およびそれに後続する保持セクションから構成されている。例えば、2つの流体成分は、マイクロミキサーで混合され、分割部材の個々のユニット(それぞれのユニットは面によって隔てられている)内へと分割されて流入することになり、その後、保持セクションで加熱されることになる。これにより、反応が促され、固形物が形成されることになる。このケースでは、反応相を分割しており、かなり大きな凝集体の形成が防止される。また、流れ効果を用いて固形物を小さくすることも知られている。例えば、EP165224B1には、少なくとも2つの流体が、高圧にて薄い噴流形態でマイクロノズルから相互に衝突するように吐出させる方法が開示されている。衝突ポイントでは、微細な液滴が形成され、物理化学的な反応が生じる。液滴のサイズは固形反応物のサイズによって決められる。これらの液滴は補助フローによって排出している(尚、補助フローは液体または気体であり得、最終的には除去しなければならないものである)。DE19851253A1には、乱流を制御することによって、ビスフェノールAを調製することが開示されている。乱流は、流れを適当に制御することによって発生させており、粒子の形状およびサイズを調整するのに用いることができる。EP0913187B1には、反応液体を混合するマイクロミキサーを用いて連続重合を行う方法が開示されている。1つ以上の工程を用いて、2種類以上のモノマーをノズルから噴霧してそれらを一体化させることによって、ポリマーを形成している。噴霧後においては、圧力に起因して混合物が混合チャンバーから排出されることになる。流体を噴霧するスプレーは、流体を或る角度でもって噴霧するものであるが、2つの噴流が互いに衝突するポイントは、その噴霧するスプレーから離隔しているので(衝突ポイントとスプレーとの間の距離は短い)、ノズルの閉塞が防止される。WO01/62374A2には、ナノ懸濁物を生成する方法が開示されている。かかる方法では、流体が混合チャンバーで混合された後、ノズル内に流入し、その後、流出チャンネルを介してノズルから吐出されることになる。乱流に起因して混合されているので、微細構造部での堆積物の生成および閉塞が防止されている。
【0004】
微細構造部での堆積物の発生および微細構造部の閉塞を防止するために行われている従来の解決手段・解決方法は、以下の通り要約することができる。微細構造部の要素は、容易にアクセスでき洗浄が容易になるように設計されている;微細構造部の要素は、粒子よりも相当大きく造られている。補助流れのための保持セクションおよび付加的なチャンネルが設けられている。マイクロリアクターにおける堆積物の発生および閉塞を回避する方法としては、運転中で洗浄したり、フローを適当に制御したり、供給チャンネルから離隔した状態で混合したり、あるいは、乱流を発生させたりしている。これらの全ての解決手段・解決方法に共通することは、マイクロリアクターの効率の点では妥協しており、多大コストが付加的に生じている。
【0005】
本発明の課題は、少なくとも2つの流体を混合するマイクロミキサーであって、流体が迅速に効率よく混合されると共に、微細構造部(または微細構造要素)での望ましくない堆積物および閉塞を良好に抑えることができるマイクロミキサーを提供することである。
【0006】
かかる本発明の課題は、本発明のマイクロミキサーによって解決される(このことは、驚くべきことに値することである)。
【0007】
本発明は、反応によって沈殿物または懸濁物が形成される少なくとも2つの流体を混合するためのマイクロミキサーであって、
第1部分流(6:第1サブフロー)が供給される第1チャンネル、および
第2部分流(7:第2サブフロー)が供給される第2チャンネル
を有しており、
第1チャンネルおよび第2チャンネルは、フラットな入口ギャップ(19,20:好ましくは狭い入口ギャップ)において混合反応ゾーン(10)と連通し、その混合反応ゾーン(10)は出口チャンネル(11)に連通しており、
部分流(6,7,37)が供給される少なくとも1つのチャンネルと混合反応ゾーン(10)と間に逆流防止部材(または還流障壁、reflux barrier)が設けられていることを特徴とする、マイクロミキサーに関している。好ましくは、入口ギャップの一方には、反応ゾーンと連通している領域に逆流防止部材が形成されている。
【0008】
本発明のマイクロミキサーは、反応によって沈殿物または懸濁物が形成される少なくとも2つの流体を混合するためのものであって、第1部分流が供給される第1チャンネルおよび第2部分流が供給される第2チャンネルを有している。第1チャンネルおよび第2チャンネルは、好ましくは、狭い入口ギャップにて混合反応ゾーン(または混合反応領域)と連通し、その混合反応ゾーンは出口チャンネルに連通している。部分流が供給される少なくとも1つのチャンネルと混合反応ゾーンとの間には逆流防止部材が配置されている。本発明のマイクロミキサーの有利な点は、混合反応ゾーンで逆流が生じないことである。逆流が生じないと、混合反応ゾーンの入口領域において沈殿反応が防止される。入口領域の下流にて、沈殿プロセスおよび結晶化プロセスのための核生成が混合反応ゾーンで生じることになる。固形分または固形分が細かく分散した沈殿物または懸濁物を得るには、核生成速度を大きくする必要がある。それゆえ、工業的プロセスにおいては、流れを速くしたり、攪拌の程度をより大きくしたりすることによって、相当する混合反応ゾーンで剪断速度を大きくしている。流体流れに対して微細構造要素を用いることによって微細な噴流を供給すると、核生成速度を大きくすることができる。供給する流体自体に粒子が含まれていてもよい。
【0009】
マイクロミキサーの有利な態様は、特許請求の範囲の従属クレームに規定されている。
【0010】
形成されるシード(seed)が一様に成長して一定の粒子サイズとなるには、混合反応ゾーンの下流側において速度の小さい一様な流れ領域が形成されている必要がある。本発明では、出口チャンネルをなだらかに拡がる形状にすることによって、混合反応ゾーンの下流側にて速度の小さい一様な流れ領域を形成している。
【0011】
マイクロミキサーの逆流防止部材は逆止め弁(または逆止めバルブもしくはチャッキバルブ、non−return valve)として形成されているこが好ましい。あるいは、マイクロミキサーの逆流防止部材は膜形態(またはプレート状もしくは仕切板状、membrane arrangement)に形成されていることが好ましい。逆止め弁のバネ(又はスプリング)に与えられるプレストレス(prestress)は、機械的手段によって調整してよい。特に有利な態様では、バネのプレストレスおよび/またはバネ定数をミキサーの運転に際して外部から調整することができるようになっており、それゆえ、逆止め弁の応答圧力または開口挙動をミキサーの運転に際して外部から調整することができる。特に外部制御ループに逆止め弁が組み込まれると、電気駆動式、気圧駆動式(または空気圧駆動式)、液圧駆動式(即ち、水圧駆動式もしくは油圧駆動式)または電磁駆動式の逆止め弁を用いることができるので好ましい。
【0012】
本発明のマイクロミキサーの別の有利な態様では、入口ギャップの少なくとも一方の幅および/または混合反応ゾーンの特徴的寸法を連続的に又は段階的(ステップ状)に調整することができる。このような調整は、機械駆動式、気圧駆動式、液圧駆動式(即ち、水圧駆動式もしくは油圧駆動式)、圧電駆動式、静電駆動式または電磁駆動式のドライブ(駆動機)を用いることによって行うことができる。本発明の特に有利な態様では、更に、このような混合反応ゾーンの入口ギャップならびに/または特徴的寸法が制御変数として制御ループに組み込まれている。
【0013】
逆止め弁の応答圧力および/もしくは開口挙動、入口ギャップの少なくとも一方の幅ならびに/または混合反応ゾーンの特徴的寸法を調整するために、好ましくは混合反応生成物の化学的性質または物理的性質が用いられる。特に好ましくは、例えば、温度、色、光散乱挙動または光吸収挙動、pHまたは電気伝導度が用いられる。尚、そのような化学的性質または物理的性質は迅速なオンライン測定で決定することができる。
【0014】
種々の部分流が流れる入口ギャップを直線的に設けてもよい。この場合、複数の入口ギャップが並列に設けられることが好ましく、または半径方向にもしくは湾曲して設けられることが好ましい。あるいは、複数の入口ギャップが環状に同心円状に設けられたり、順々に軸方向に設けられることが好ましい。多量の流れ(例えば数百L/hの流れ)を処理するのに本発明のマイクロミキサーを用いる場合では、直線的に設けられた入口ギャップが特に有利である。同様に有利な同心円状に環状に設けられた入口ギャップの場合においては、逆流防止部材が内部チャンネルおよび/または外部チャンネルの要素であってよい。逆止め弁が内部チャンネルの要素である場合のミキサーの機能については図1〜図5に示されている。図6には、別の有利な態様のミキサー機能が示されており、2つの環状入口ギャップが逆流防止部材として軸方向に膜形態バルブを備えている態様のミキサー機能が示されている。外部入口ギャップに形成された逆止め弁の同様に有利な態様は、図8に示されている。
【0015】
本発明の別の好ましい態様では、マイクロミキサーは、少なくとも1つの内側方向に設けられた逆止め弁および1つの外側方向に設けられた逆止め弁を有して成る(図9参照)。また、図10に示される本発明の態様では2成分以上の成分を混合することができる。
【0016】
混合速度を増加させ核生成速度を増加させるフロー制御の形態に起因して、混合反応ゾーンに流入する流れは種々に広がることになる。図1d、図2b、図3aおよび図3bに示す本発明の有利な態様では、スロット部を備えたプレート、例えば放射状スロットを備えたプレート(16)が取り付けられている。このようなスロット部を備えたプレートによって、部分流が複数のサブストリームへと分けられることになる。本発明の別の態様では、特殊な構造(例えばひだ形状の構造)がチャンネル壁に設けられている。図4に示す態様では、部分流のそれぞれの流入領域に存在する逆止め弁のエッジ部に直接的に特別な構造(例えばひだ形状の構造)が設けられている。
【0017】
本発明のマイクロミキサーの別の有利な態様では、逆流防止部材が、電気駆動式、気圧駆動式、液圧駆動式または電磁駆動式の逆流防止部材となっている。尚、外部の励磁機で逆流防止部材を高頻度で周期的に可動させる態様が特に好ましい。逆流防止部材が、軽量のバルブ・ディスクを備え、圧電オシレーターまたは電磁石によって周期的に励磁される逆止め弁として設計されることが特に好ましい。励磁周波数としてはメガヘルツ範囲の周波数が特に好ましい。
【0018】
流量の大きい流入部分流に対して本発明のマイクロミキサーを用いる場合には、並列に同一に配置される複数の入口ギャップを備えたミキサー・ユニットを用いることが好ましい。この場合、そのようなミキサー・ユニットが、共通のハウジング内に個々の逆流防止部材および個々の混合反応ゾーンを有すると共に、共通の流体供給部を備えていることが好ましい。尚、流体が個々に供給されるように構成されており、また、個々の逆流防止部材の開口圧が相互に一致するようになっており、その結果、運転中のミキサー・ユニットの全ての混合領域においては混合条件および流れ条件が同一となる。
【0019】
本発明のマイクロミキサーは、好ましくは、精密工学および微細加工技術を採用することによって製造される。このことは、あらゆる常套の手法(例えば材料除去プロセス、放電加工またはレーザー照射)をも用いて本発明のマイクロミキサーを製造することを意味している。逆流防止部材として逆止め弁が用いられる場合には、エラストマー・シールを設けることによって封止効果(またはシール効果)を有利に得ることができる。別の有利な態様では、バルブコーン部をバルブシート(または弁座)となるように研磨することによって、逆止め弁の封止効果を達成している。このような封止は、ミキサーを高温で使用する場合に特に有利となる。
【0020】
ステンレス・スチール、ニッケル系合金、チタンまたはタンタルム等の製造技術で常套的に用いられる材料からマイクロミキサーを有利に製造することができる。しかしながら、特にマイクロミキサーを高温で用いたり、腐食性媒体と共に用いたりする場合には、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素などのセラミック材料を用いることが好ましい。
【0021】
本発明のマイクロミキサーは、結晶化反応および沈殿反応を実施するのに好ましく用いられる。
【0022】
自然に結晶化する物質がマイクロミキサーに流入する場合では、洗浄ピン(または洗浄栓、cleaning pin)を備えた逆流防止部材、好ましくはニードル形状の先端を有した洗浄ピンを備えた逆流防止部材を設けることが好ましい。洗浄ピンが設けられていると、開閉操作に際して微細構造部から堆積物が除去されることになる。洗浄ピンは、流れ方向と反対の方向にて関連する出口開口部へと挿入されるか、あるいは、流れ方向にて関連する出口開口部へと挿入されることになる。流れ方向に洗浄ピンが挿入されて堆積物を押圧除去することが特に好ましい。逆流防止部材を一時的に駆動させることによって、洗浄ピンで堆積物を微細構造部から除去してもよい。このような堆積物の除去では、運転を中断する必要はない。意図的に加えられた圧力変動または外部制御ループによって、一時的に閉鎖操作を行って洗浄してもよい。
【0023】
部分流は、微細なノズルから送液され、高圧下で円形断面または環状断面を流れ得る。剪断勾配によって影響を受ける結晶化は種々の相で生じるので、部分流同士の間で異なる速度勾配が形成されるように、部分流同士が種々の角度で相互に合流することが好ましい。部分流同士は、相互に5〜175°の角度で合流することが好ましい。部分流同士が相互に鋭角で合流する場合には、部分流の動きの主成分が流出方向に向くので、個々の部分流の相対的な速度が相互にゆっくりと近づくことになる。このようにして、供給ポイントで大きい剪断勾配を得ることができ、核生成が促進されることになる。引き続いてもたらされる相対的な速度の減少は、結晶成長に対して有利な効果となる。一方の部分流が直角に供給される場合には、供給ポイントの近傍で大きい速度勾配を形成することができるので、核生成速度が大きくなる。合流後は、第1部分流を流出方向にて第2部分流内を通るように移送させることができ、第1部分流と第2部分流との間の相対的速度が減じられる。鈍角の角度(例えば175°)を成すように供給する場合には、核生成速度を更に増加させることができる。この場合、最も大きい速度勾配が供給ポイントで生じることになる。
【0024】
結晶生成物および沈殿生成物は、ほとんどの場合、更に処理される必要がある。例えば、引き続いて酸またはアルカリを加えて生成物流れのpHを調整する必要がある。または、インヒビターまたは安定化剤を用いて結晶サイズを制御する必要がある。それゆえ、更なる供給ポイントが必要とされ得る。このような供給ポイントは、連続的に接続される1つ以上の装置に設けることができる。これに関連して、流入媒体、全成分、混合反応ゾーンまたはその下流側の要素を熱的に制御して調整する必要があり得る。
【0025】
出口チャンネルの断面を矩形または不規則な形状にすることによって、生じる結晶生成物および沈殿生成物の粒子サイズに影響を与えることができる。沈殿生成物の密度が媒体の密度と異なることに起因して、沈殿生成物は、流れる液体よりも遅い速度で通常移送される。狭窄部または収縮部では流れが加速される一方、広がる部分では流れが遅くなる。したがって、意図的に速度勾配を形成すると、それによって、大きい凝集体を破壊したり、大きくしたりできる。
【0026】
結晶生成物および沈殿生成物は、それらの特性、マイクロミキサー壁粗さ及び流れ条件に依存するが、マイクロミキサーの壁に堆積する傾向がある。それゆえ、出口チャンネルの流出生成物をエンベロープ・ストリーム(または流出生成物を包み込むような流れ、envelope stream)内にて閉じ込めることが好ましいことが見出された。かかるエンベロープ・ストリームは、出口チャンネルの壁部と流出生成物との間に閉鎖された形態でフィルム状に移送される。
【0027】
マイクロミキサーの別の有利な態様では、出口チャンネルの領域における付着が特に抑えられる材料(例えばPTFE)からマイクロミキサーが形成されたり、出口チャンネルの壁がそのような材料でコーティングされたり、および/または、出口チャンネルの壁が研磨または電気メッキで特に平滑にされている。
【0028】
粒子またはナノ粒子が形成されるように、マイクロミキサーに供給される部分流の少なくとも1つは、液体、ガス、凝縮ガス、超臨界溶媒、ミスト、固形分を含んだガスであることが好ましい。あるいは場合によっては、マイクロミキサーに供給される部分流の少なくとも1つは、触媒活性を有する成分もしくはエマルションであることが好ましく、または、混合ゾーンで行われるプロセスに起因して形成される媒体であることが好ましい。
【0029】
沈殿反応では、例えば、沈殿で生じる粒子に対して、更なる流れ又は他の固形分の更なる層を供することによって、かかる沈殿反応を一時的に中断させることができる。このようにすると、種々の物質から成る複数の層が同心円状に形成された粒子またはナノ粒子を形成することに対して、マイクロミキサーを特に有利に用いることができる。粒子サイズに影響を与えるために、また、生じた粒子を別の流体相に変えるために、界面活性物質を生成物流れに更に供することもできる。
【0030】
本発明のマイクロミキサーでは、ガス相中にナノ粒子を形成させることができる。この場合、供給される部分流の少なくとも1つは、細かく分散した粒子(例えば触媒作用を有するナノ粒子)を予め含んだものとなり得る。従って、例えば、触媒活性を有するナノ粒子が補充されたガス状炭化水素とアンモニアガスとを混合し、得られた混合物の化学反応により粒子ナノチューブを生成させることに対して、本発明のマイクロミキサーを有利に用いることができる。
【0031】
更に、マイクロミキサーは、その場(in−situ)でエマルションを形成するのに有利に用いることができる。つまり、エマルションが非常に不安定なものである場合には、沈殿反応および結晶化反応を実施してナノ粒子をその場で生成させることに対して、マイクロミキサーを用いることができる。
【0032】
また、マイクロミキサーは特に有利には高圧下で操作することができるので、超臨界溶媒ならびに非常に圧縮されたガスまたは凝縮ガスを用いて粒子の沈殿または結晶化を行うことに対して、本発明のマイクロリアクターを有利に用いることができる。このようにマイクロミキサーを用いる場合においては、キャリヤー媒体の断熱膨張によって、混合生成物がミキサーの下流側にて有利に冷却される。このような冷却は非常に迅速に実施できるので、有利には核生成が迅速に行われる。あるいは、粒子が成長し始めて直ぐに化学反応を停止または更なる粒子成長を停止することができる。
【0033】
このようにマイクロミキサーを使用することも、本発明の対象に含まれている。
【0034】
より複雑な反応(例えば多段反応)に対しては、本発明のマイクロミキサーを、マイクロ反応系(または微量反応系)の形成に必要となる更なる別の要素と組合せることができる。そのような要素としては、例えば、熱交換機、電気加熱モジュール(27)、熱絶縁モジュール(25)、更なる供給ポイント(26)、移送可能なミキサー(例えばエンベロープ・フロー・ミキサー)または制御ユニット等を挙げることができると共に、測定器(例えば、移送される物質の温度、圧力、pH、電気的特性もしくは光学的特性などを測定する測定器)等を挙げることができる。マイクロミキサーの下流側では特に、閉塞が生じない要素を用いることが好ましい。そうでない場合には、マイクロミキサーで生じる粒子に起因することであるが、そのような要素の機能の点では妥協するか、そのような要素を用いないか、および/または、費用を多少かけてそのような要素を洗浄することになる。
【0035】
尚、マイクロミキサーの下流に設けられる供給ポイントは、生成物流れを熱的に調整するのに用いることができ、かかる供給ポイントから、熱的に適当に調整された液体を生成物流れに供することができる。
【0036】
次に、図面を参照して本発明のマイクロミキサーを説明する。
【0037】
図1aは、本発明のバルブ・ミキサーの縦断面を示している。バルブ・ミキサーは、基礎ボディ1、中間パーツ2およびカバー部3から構成されている。これらの3つの要素は、2つのOリング4,5によって外部からシール(または封止)されている。第1Oリング4は基礎ボディ1と中間パーツ2との間に配置されており、第2Oリング5は中間パーツ2とカバー部3との間に配置されている。2つの部分流6,7は、基礎ボディ1へと流入する。部分流6が左側から基礎ボディ1に流入し、部分流7が右側から基礎ボディ1に流入する。かかる2つの部分流6,7は、それぞれ、水平方向に示されている矢印によって示される。第1部分流6は、基礎ボディ1の左側領域のボアを介して上側へ流れる。このボアは第1部分流6用の環状チャンネル8へと連通している。そして、第1部分流6は、環状チャンネル8から混合反応ゾーン10へと流入することになる。かかる混合反応ゾーン10はバルブ・プランジャー9の真上に設けられている。第2部分流7は、マイクロミキサーの中央を通るように流れる。第2部分流7は、バルブ・プランジャー9の周囲を流れ、複数のボア12を通って、バルブ・プランジャー9のヘッドの下側へと送られる。そして、第2部分流7は、かかるバルブ・プランジャー9のヘッドの下側から混合反応ゾーン10へと流入することになる。第1部分流6と第2部分流7とから成る反応混合生成物は、出口チャンネル11通って外部へと排出される。バルブ・プランジャー9、混合反応ゾーン10および出口チャンネル11は、回転対称に設けられている。バルブ・プランジャー9を上側へと移動させるのに必要な力は、第2部分流7のボア12内の圧力と混合反応ゾーン10内の圧力との圧力差によって生じる。コイルバネ13、ナット14およびカウンターナット15を調整することによって、かかる力を調整できる。第2部分流7のボア12内の圧力と混合反応ゾーン10内の圧力との圧力差に起因してバルブ・プランジャー9が上側へと移動すると、第2部分流の流路が混合反応ゾーン10と連通することになる。ボア12内の圧力が低下すると、または、堆積物および閉塞に起因して混合反応ゾーン10もしくは出口チャンネル11内の圧力が必要以上に大きくなると、バルブ・プランジャー9が下方へと移動してバルブ・ボディ17を押圧するようになるので、混合反応ゾーン10から第2部分流7の供給領域への逆流が防止されることになる。このように、マイクロミキサーには、第2部分流用の逆止め弁の形態を有した逆流防止部材(reflux barrier)が設けられている。バルブ・プランジャー9とバルブ・ボディ17との間にエラストマー・シール(図示せず)を設けると、封止効果が更に向上することになる。混合反応ゾーン10の外側で2つ部分流6,7の混合されることがないように、Oリング18を用いて、バルブ・ボディ17が基礎ボディ1に対してシールされている。マイクロミキサーのバルブ・ボディ17と中間パーツ2との間には、フラットなスペーサー・ディスク16が設けられている。かかるスペーサー・ディスク16は、種々の厚さを有するように設計されており、例えば、20〜5000μmの厚さを有している。スペーサー・ディスク16の厚さを変えると、バルブ体17と中間パーツ2との間のギャップの幅が変わることになる。尚、かかるギャップを介して、第1部分流6が混合反応ゾーン10内へと流入することになる。
【0038】
図1bは、図1aのマイクロミキサーの混合反応ゾーン10付近を拡大した図を示している。図1bには、2つの部分流6,7の流れが明確に表されている。第1部分流6は、第1入口ギャップ19(かかるギャップ19の幅がスペーサー・ディスク16によって決められる)を介して環状チャンネル8から混合反応ゾーン10へと流れることになる。第1入口ギャップ19が一様な厚さであることに起因して、第1部分流6は連続フィルム形態でバルブ・ボディ17から流出する。その後、第1部分流6は、第2部分流7と合流して、連続的で一様なフィルムの状態で流れる。第2部分流7は、バルブ・プランジャー9とバルブ・ボディ17との間の第2入口ギャップ20を流れる。フィルム状に形成される2つの部分流6,7は、混合反応ゾーン10を通って出口チャンネル11へと流れることになる。スペーサー・ディスク16が微細構造を有していると、混合生成物の質が向上する。
【0039】
図1cおよび図1dには、それぞれ、図1aおよび図1bに示す流路が示されている。流路は、それぞれ矢印によって示される。
【0040】
図2aおよび2bは、スペーサー・ディスク16を示している。かかるスペーサー・ディスク16は、バルブ・ボディ17と第1部分流6用の中間パーツ2との間の第1入口ギャップ19の高さを調整するために使用されるものである。図2bのスペーサー・ディスク16は、第1部分流6用の第1入口ギャップ19の領域に微細構造が付加されている点において、図2aのスペーサー・ディスク16と異なっている。図2bのスペーサー・ディスク16を用いると、2つの部分流6の混合性が向上し得る。なぜなら、連続フィルム状の第1部分流6が複数の別個のストリームに分けられ、その別個のストリームの速度が第1入口ギャップ19で大きく増加するので、このような第1部分流の個々のストリームが第2部分流7内に流入して第2部分流に包まれることになるからである。微細構造部では堆積物および閉塞が生じることなく小さい流体層を形成しており、マイクロ技術の利点を利用しているといえる。
【0041】
図3aおよび図3bは、混合反応ゾーン10の流路を示している。図3aは、図2bのスペーサー・ディスク16および混合反応ゾーン10の斜視図である。第1部分流が黒い矢印で示されており、第2部分流7が白い矢印で表されている。第1部分流6が複数の別個のストリームに分けられ、第2部分流7で包まれることが理解できよう。図3bは、第1部分流6および第2部分流7の対応する流路を備えた図3aの混合反応ゾーン10の断面を示している。
【0042】
図4は、微細な構造を有した表面21を備えたバルブ・プランジャー9を示している。微細な構造を有した表面21は、右下の円内に拡大して示されている。微細な構造を有した表面21によって第2部分流7が分割されることになる。第2部分流が分割されないと、バルブ・プランジャー9とバルブ・ボディ17との間の第2入口ギャップ20から、第2部分流が閉じた流体フィルムとして現れることになる。微細な構造を有した表面21から成る構造体は、好ましくは50〜3000μmの高さを有し、バルブ・プランジャー9が閉鎖された際にひだ形状部が壁上に位置するように混合反応ゾーン10に設けられており、その結果、第2部分流7が個々別個のストリームとなるように分配される。従って、第2部分流の流れ断面で測定される速度勾配が非常に大きい領域が発生するので、第1部分流6と第2部分流7との混合が促進されることになる。
【0043】
図5aおよび図5dは、逆流防止部材として逆止め弁を備えたマイクロミキサーの縦断面を示している。図5aおよび図5bは狭い入口ギャップ19を備えたマイクロミキサーを示している。図5aでは逆止め弁が閉鎖されている。図5bでは逆止め弁が開いており、第2部分流7が第2入口ギャップ20を流れることができるようになっている。図5cおよび図5dは、広い第1入口ギャップ19が設けられたマイクロミキサーを示している。図5cでは逆止め弁が閉鎖されている。図5dでは逆止め弁が開いており、第2部分流7が第2入口ギャップ20を流れることができるようになっている。図5bに示す狭い第1入口ギャップ19では、第1部分流6は、図5dに示す広い第1入口ギャップ19の場合よりも、速度が相当に増加することになる。ねじ山または同様の外部部材を用いることによって、第1入口ギャップ19の幅を変えることが可能であり、それゆえ、2つの部分流6,7が合流することになるギャップ30(かかるギャップ30は第1入口ギャップ19の下流側に延在しており混合反応ゾーンに相当し得る)の幅を変えることができる。
【0044】
図6aは、逆流防止部材として逆止め弁を備えたマイクロミキサーの縦断面を示している。かかるマイクロミキサーでは、3つの部分流6,7,37が一体的に混合される。このマイクロミキサーは、基礎ボディ1、中間ボディ2およびカバー部3を有して成る。カバー部3は上半部分と下半部分とから構成されている。同様に、中間パーツ2は上方パーツと下方パーツとから構成されている。第2部分流7および第3部分流37は、膜形態ボディ34の逆流防止部材を通って、混合反応ゾーン10へとそれぞれ移送されることになる。膜形態ボディ34の壁厚さは種々の厚さにしたり、その材料を種々の弾性を有するものにしたりすることによって、圧力差に起因した必要な開口力を調整することが可能である。かかる調整は、図1aの逆止め弁を備えたマイクロミキサーでの調整と同様である(尚、図1aの場合では、コイルバネ13、ナット14およびカウンターナット15でもって調整を行っている)。膜形態ボディ34を備えたマイクロミキサーの態様では、1つの更なる部分流または2つの更なる部分流7,37を第1部分流6に混ぜ合わせることができる。同様に、第1部分流6には粒子を同伴させることが可能であることが理解されよう。粒子は、500〜3000μmの最小寸法を有しているので、微細構造で妨げられることなく通過することができる。
【0045】
図6bは、図6aの拡大図を示しており、混合反応ゾーン10の近傍を示している。
【0046】
図6cおよび図6dは、図6aおよび図6bの流路を示している。参照番号は省いている。
【0047】
図7は、バルブ・ミキサーとして設計されたモジュール24を示している。かかるモジュール24は、一体なパーツを形成すべく、更なる供給部26および電気加熱モジュール27と組み合わされている。バルブ・ミキサーとして設計されているモジュール24と、更なる供給部26との間には、このような隣接するパーツを熱的に絶縁するために絶縁モジュール25が設けられている。
【0048】
図8は、入口ギャップ19,20が環状に同心円状に配置されたバルブ・ミキサーであって、逆流防止部材が、2つの入口ギャップの外側の領域に形成されたバルブ・ミキサーの有利な態様を示している。かかる逆流防止部材は、軸方向に移動できるバルブ・リング41によって形成されている。バルブ・リング41とハウジング43との間はピストン・シール42によってシールされている。バルブ・リング41は、閉力作用45に起因して、入口ギャップ19の対向するエッジを押圧することになる。第1部分流の圧力に起因してバルブ・リングに働く力が閉力作用を越えると、入口ギャップ20が開き、第1部分流が混合反応ゾーン内に流入することになる。
【0049】
図9は、入口ギャップ19,20が環状に同心円状に配置されたバルブ・ミキサーであって、逆流防止部材が、第1入口ギャップの領域と第2入口ギャップの領域との双方に形成されたバルブ・ミキサーの別の有利な態様を示している。この態様では、図5および図8のバルブ・ミキサーの機能原理が、有利に一体的に組み合わされている。
【0050】
同様に、図10は、バルブ・ミキサーの別の態様を示している。かかるバルブ・ミキサーは、第1部分流用の入口ギャップ19と第2部分流用の入口ギャップ20の間に設けられた更なる入口ギャップ38を通るように第3部分流が移送される点で図9の態様と異なっている。
【0051】
図11は、複数の部分流が供給されるパーツが共通した共通ハウジング(51〜53)に並列に設けられた本発明の複数のバルブ・ミキサー・ユニットを示している。このようなバルブ・ミキサー・ユニットを用いると、より多量のフローを混合できる点で有利である。この態様では、第1部分流(56)用の供給チャンネルおよび第2部分流(57)の供給チャンネルは、相互に重なった2つの面に設けられている。逆止め弁の開口圧は、並列に操作されるバルブ・ミキサー・ユニットの各々においてそれぞれ変えることができるので、全てのバルブ・ミキサー・ユニット間にて部分流体積比が同じになるように調整できる。混合生成物は、共通の出口チャンネル(図11に示すモジュールの上方に延在している共有出口チャンネル)を介して個々のミキサー・ユニットから流出することになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1a】図1aは、逆止め弁を備えた本発明のマイクロミキサー(より詳細にはバルブ・ミキサー)の縦断面を示している。
【図1b】図1bは、図1aのマイクロミキサーの拡大図であり、混合反応ゾーンの近傍を示している。
【図1c】図1cは、図1aのマイクロミキサーの流路を示している。
【図1d】図1dは、図1bの流路の拡大図である。
【図2a】図2aは、第1部分流用の入口ギャップの高さを調整するためのスペーサー・ディスクを示している。
【図2b】図2bは、微細構造部を備えたスペーサー・ディスクを示している。
【図3a】図3aは、逆止め弁を備えたマイクロミキサーの混合反応ゾーンの斜視図である。
【図3b】図3bは、図3aの混合反応ゾーンの断面図である。
【図4】図4は、表面に微細構造を備えたバルブ・プランジャーの縦断面を示すと共に、壁付近の拡大図も示している。
【図5a】図5aは、狭い第1入口ギャップを備えたバルブ・ミキサーの縦断面を示しており、逆止め弁が閉鎖した状態が示されている。
【図5b】図5bは、逆止め弁が開いた状態の図5aのバルブ・ミキサーの縦断面を示している。
【図5c】図5cは、広い第1入口ギャップを備えたバルブ・ミキサーの縦断面を示しており、逆止め弁が閉鎖した状態が示されている。
【図5d】図5dは、逆止め弁が開いた状態の図5cのバルブ・ミキサーの縦断面を示している。
【図6a】図6aは、膜形態の逆流防止部材を備えた本発明のマイクロミキサーの縦断面を示している。
【図6b】図6bは、図6aのマイクロミキサーの拡大図であり、混合反応ゾーンの近傍を示している。
【図6c】図6cは、図6bのマイクロミキサーの流路を示している。
【図6d】図6dは、図6bの流路の拡大図である。
【図7】図7は、更なる供給ポイントおよび加熱出口チャンネルが組み合わされた本発明のバルブ・ミキサーを示している。
【図8】図8は、外側方向に設けられた逆止め弁を備えたバルブ・ミキサーを示している。
【図9】図9は、外側方向に設けられた逆止め弁および内側方向に設けられた逆止め弁を備えたバルブ・ミキサーを示している。
【図10】図10は、内側方向に設けられた逆止め弁および外側方向に設けられた逆止め弁を備えたバルブ・ミキサーであって、更なる部分流が供給される更なるフロー・チャンネルおよび入口ギャップを備えたバルブ・ミキサーを示している。
【図11】図11は、多量のフローを混合するためのバルブ・ミキサーであって、部分流の共通供給部および混合生成物の共通排出部を備えた共通ハウジング内に複数の同一のバルブ・ミキサー・ユニットが並列に設けられているバルブ・ミキサーを示している。
【符号の説明】
【0053】
1 基礎ボディ
2 中間パーツ
3 カバー部
4 第1Oリング
5 第2Oリング
6 第1部分流
7 第2部分流
8 第1部分流用のリング・チャンネル
9 バルブ・プランジャー
10 混合・反応ゾーン
11 出口チャンネル
12 第2部分流用のバルブ体のボア
13 コイルバネ
14 ナット
15 カウンターナット
16 スペーサー・ディスク
17 バルブ体
18 第3Oリング
19 第1部分流用の入口ギャップ
20 第2部分流用の入口ギャップ
21 バルブ・プランジャーの微細構造表面
24 バルブ・ミキサーとして設計されたモジュール
25 隣接部品を熱的に切り離すための絶縁モジュール
26 更なる供給ポイント
27 電気加熱モジュール
30 距離
34 膜形態ボディ
37 第3部分流
38 第3部分流用の入口ギャップ
40 中央コーン
41 バルブ・リング
42 ピストン・シール
43 ハウジング
45 バルブ・リング用に閉鎖力作用
46 バルブ・プランジャー
51 共通基礎ボディ
52 共通中間ボディ
53 共通出口プレート
56 第1部分流用の共通供給チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応によって沈殿物または懸濁物が形成される少なくとも2つの流体を混合するためのマイクロミキサーであって、
第1部分流(6)が供給される第1チャンネル、および
第2部分流(7)が供給される第2チャンネル
を有しており、
第1チャンネルおよび第2チャンネルは、フラットな入口ギャップ(19,20)におて混合反応ゾーン(10)に連通し、その混合反応ゾーン(10)は出口チャンネル(11)に連通しており、
部分流(6,7,37)が供給される少なくとも1つのチャンネルと混合反応ゾーン(10)と間に逆流防止部材が設けられていることを特徴とする、マイクロミキサー。
【請求項2】
逆流防止部材が逆止め弁として設計されている、請求項1に記載のマイクロミキサー。
【請求項3】
機械的手段(13,14,15)によって逆止め弁にプレストレスが与えられていることを特徴とする、請求項2に記載のマイクロミキサー。
【請求項4】
逆止め弁が、電気駆動式、気圧駆動式、液圧駆動式または電磁駆動式の逆止め弁であることを特徴とする、請求項2に記載のマイクロミキサー。
【請求項5】
逆止め弁が、膜形態で設計されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項6】
開閉操作に際して、逆流防止部材によって塞がれていない開口部にニードル形状の洗浄ピンが挿入されることによって逆流防止部材から堆積物が除去されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項7】
部分流同士(6,7,37)が薄いフィルム層として相互に合流するように、部分流(6,7,37)用の入口ギャップ(19,20)が狭い環状ギャップとして設計されている、請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項8】
入口ギャップ(19,20)が、部分流(6,7,37)を個別のサブストリームに分ける機能を有する微細構造要素(16,9)によって境界付けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項9】
出口チャンネル(11)は、なだらかに拡がる形状を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項10】
混合された部分流(6,7,37)を包み込むエンベロープ・ストリームが出口チャンネル(11)に供給されることを特徴する、請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項11】
逆流防止部材の応答圧力および/もしくは開口挙動、入口ギャップの少なくとも一方の幅ならびに/または混合反応ゾーンの特徴的寸法を、外部制御ループまたは内部制御ロープの制御変数として、機械的手段、液圧手段、気圧手段、電気的手段または電磁的手段によって外部から調整できる並びに/または自動的に変化させることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項12】
2つまたはそれよりも多い本発明のミキサー・ユニットが、並列に操作されるように、部分流の共通の供給部および共通の出口チャンネルを備えた共通のハウジングに配置されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のマイクロミキサー。
【請求項13】
ナノ粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン、または、種々の物質から成る複数の層が同心円状に形成された粒子/ナノ粒子が調製される沈殿反応および/または結晶化反応を実施するための請求項1〜13のいずれかに記載のマイクロミキサーの使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−525319(P2007−525319A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553487(P2006−553487)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001227
【国際公開番号】WO2005/079964
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505211400)エーアフェルト・ミクロテッヒニク・ベーテーエス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH
【Fターム(参考)】