説明

マイクロレンズ露光装置

【課題】マイクロレンズアレイとマスクが所定間隔をおいて固定された露光装置において、マイクロレンズアレイと露光用基板との間のギャップを容易に高精度でマイクロレンズの合焦点位置に調整することができるマイクロレンズ露光装置を提供する。
【解決手段】露光用のレーザ光はマイクロレンズアレイ3のマイクロレンズ3aによりレジスト膜2上に照射される。顕微鏡10からの光は、マスク4のCr膜5の孔5bを通過し、マイクロレンズ3bを透過してレジスト膜2上に照射される。このマイクロレンズ3bを透過した光がレジスト膜2上で合焦点か否かを顕微鏡10で観察することにより、マイクロレンズ3aによりレジスト膜2に収束される露光光の合焦点を判別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズアレイを使用した露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロレンズアレイを使用した露光装置は、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射して、レーザ光の熱によりアモルファスシリコン膜を溶融・凝固させることによって、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質するレーザアニーリング装置として使用されていると共に、マスク画像をレジスト膜に投影露光して、その後の現像処理によりレジストパターンを形成するフォトリソグラフィのための露光装置として使用されている(特許文献1)。
【0003】
図6は従来のマイクロレンズアレイを使用した投影露光型の露光装置を示す断面図である。基板1上にレジスト膜2が形成されており、この基板1がマイクロレンズ露光装置の下方に搬送されてくる。従来のマイクロレンズ露光装置においては、多数のマイクロレンズ3aが2次元的に配置されて形成されたマイクロレンズアレイ3が設けられており、このマイクロレンズアレイ3の上方にマスク4が配置されている。マイクロレンズアレイ3は透明石英基板により形成されており、このマイクロレンズアレイ3の下面にマイクロレンズ3aが加工されている。マスク4は、透明基板の下面にCr膜5が接合されて構成されており、このCr膜5には、各マイクロレンズ3aに整合する位置にレーザ光が通過する孔5aが形成されている。このマスク4における孔5a以外の部分は、Cr膜5により覆われていて、レーザ光の通過を阻止する遮光部分となっている。このマスク4とマイクロレンズアレイ3とは、固定部材6により一定の間隔になるように固定されている。マイクロレンズアレイ3及びマスク4は適宜の駆動装置により光軸方向に移動可能であり、基板1との間の距離を調整することができるようになっている。
【0004】
このように構成された従来のマイクロレンズ露光装置においては、露光用のレーザ光をマスク4上に照射すると、マスク4の孔5aを通過したレーザ光が、マイクロレンズアレイ3の各マイクロレンズ3aに入射し、各マイクロレンズ3aにより基板1上のレジスト膜2に収束する。なお、この孔5aには、投影すべきパターンが形成されており、レーザ光が孔5aを透過してレジスト膜2に照射されたときに、前記パターンがレジスト膜2に投影される。
【0005】
このマイクロレンズ3aを通過したレーザ光を基板1の表面上のレジスト膜2に収束させるためには、基板1とマイクロレンズアレイ3との間のギャップGをマイクロレンズ3aの焦点位置に一致させる必要があり、このギャップGを管理する必要がある。従来の投影露光型露光装置においては、マスク4の表面と、基板1の表面との間の距離を測定して、それを所定値に設定することにより、ギャップGを管理していた。しかしながら、マイクロレンズが形成された石英基板の厚さは、製造条件により異なるため、従来においては、基板1とマイクロレンズ3aとの間のギャップGの管理は行っていないのが実情であった。このため、従来の露光装置においては、マスク4の表面と基板1の表面との間の距離を所定値に設定した後、露光し、現像してみて、得られたパターンを顕微鏡により観察することにより、基板1上のレジスト膜2がマイクロレンズ3aの合焦点位置にあるか否かを検査し、基板1がマイクロレンズ3aの合焦点位置にない場合は、マスク4及びマイクロレンズアレイ3の位置を調整し、再度、露光、現像、顕微鏡観察を実施して合焦点位置を確認するというような試行錯誤により、フォーカス調整を行っていた。このため、従来の露光装置においては、ギャップGの管理に大きな手間がかかっていた。
【0006】
そこで、特許文献1においては、精度良く焦点位置に合わせることを目的とした画像露光装置が提案されている。この画像露光装置においては、焦点位置検出用のマイクロレンズを画像露光用のマイクロレンズとは別に設け、光源からのレーザ光を焦点位置検出用のマイクロレンズにも透過させて、レジスト膜上の結像位置に結像させるものである。そして、この像をカメラによって撮像し、撮像画像のピントが合うようにマイクロレンズアレイの位置を光軸方向に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−3829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来技術においては、図6に示すように、マイクロレンズアレイ3の上方にマスク4がマイクロレンズアレイ3に対して所定の間隔で配置された露光装置において、マイクロレンズアレイ3と基板1との間の間隔を調整するものではない。即ち、図6に示す従来の露光装置においては、上記特許文献1のギャップGの調整方法を適用することはできない。換言すれば、特許文献1の露光装置においては、マスク4が存在しないので、マイクロレンズアレイの表面の位置を直接検出できるため、このマイクロレンズアレイと基板表面との間のギャップを調整することに困難性はない。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マイクロレンズアレイとマスクが所定間隔をおいて固定された露光装置において、マイクロレンズアレイと露光用基板との間のギャップを容易に高精度でマイクロレンズの合焦点位置に調整することができるマイクロレンズ露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1のマイクロレンズ露光装置は、マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、前記マスクの上方に設けられ前記検査用孔に焦点位置を合わせた検査用光を前記検査用孔及び前記検査用マイクロレンズを介して露光対象の基板に照射する検査用光照射部と、前記基板における前記検査用光の画像を観察する顕微鏡とを有し、前記顕微鏡により観察した画像が合焦点になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする。
【0011】
この場合に、前記検査用孔に、検査用マークを設け、前記顕微鏡により、前記基板の画像と、前記検査用孔に設けた前記検査用マークの画像とを観察し、双方の画像が合焦点となるように、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整することもできる。
【0012】
本発明に係る第2のマイクロレンズ露光装置は、マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、前記マスクの上方に設けられ前記検査用孔に焦点位置を合わせた検査用光を前記検査用孔及び前記検査用マイクロレンズを介して露光対象の基板に照射する検査用光照射部と、前記基板で反射した前記検査用光の光量を検出するフォトセンサとを有し、前記フォトセンサで検出した光量が最大になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る第3のマイクロレンズ露光装置は、マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、露光対象に設けたパターンに平行光の検査用光を照射して前記検査用マイクロレンズに前記パターンを透過した画像を入射させる検査用光照射部と、前記パターンを透過した画像を観察する顕微鏡とを有し、前記顕微鏡により観察した画像が合焦点になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする。
【0014】
この場合に、前記検査用孔に、検査用マークを設け、前記顕微鏡により、前記パターンを透過した画像と、前記検査用孔に設けた前記検査用マークを透過した画像とを観察し、双方の画像が合焦点となるように、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整することもできる。
【0015】
本発明に係る第4のマイクロレンズ露光装置は、マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、露光対象に設けたパターンに平行光の検査用光を照射して前記検査用マイクロレンズに前記パターンを透過した画像を入射させる検査用光照射部と、前記パターンを透過した前記検査用光の光量を検出するフォトセンサとを有し、前記フォトセンサで検出した光量が最大になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、マスクに設けた検査用孔に合焦点した検査用光を検査用マイクロレンズを介して露光基板に照射し、顕微鏡により観察した検査用光の基板上の画像が合焦点するように、又はフォトセンサにより検出した前記検査用光の前記基板における反射光の光量が最大となるように、前記マイクロレンズアレイと前記基板との間隔を調整するので、極めて容易にかつ高精度で前記マイクロレンズの位置を合焦点位置に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のマイクロレンズ露光装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態のマイクロレンズ露光装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態のマイクロレンズ露光装置を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5】(a)、(b)は第3実施形態の変形例を示す図である。
【図6】従来のマイクロレンズ露光装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るマイクロレンズ露光装置を示す模式図である。図1において、図3と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。本実施形態においては、マイクロレンズアレイ3における端部のマイクロレンズ3aからなる露光領域から外れる位置に、検査用のマイクロレンズ3bが設けられ、更に、マスク4のCr膜5におけるマイクロレンズ3bに整合する位置に、孔5aよりも小さい孔5bが設けられている。孔5aには、投影すべきパターンが形成されており、レーザ光が孔5aを透過してレジスト膜2に照射されたときに、前記パターンがレジスト膜2に投影される。そして、マスク4の上方に顕微鏡10がマスク4及びマイクロレンズアレイ3に対して固定的に設けられている。この顕微鏡10の焦点位置は、マスク4の孔5bの位置であり、マイクロレンズアレイ3のマイクロレンズ3aを透過したレーザ光が基板1上のレジスト膜2で結像したときには、マイクロレンズ3bを透過した光も基板1上のレジスト膜2に結像する。従って、レジスト膜2にマーク(図示せず)を設けておくことにより、顕微鏡10からこのマークを観察し、顕微鏡10において、観察したマークの焦点が合っていれば、レジスト膜2の光軸上の位置は、顕微鏡10における合焦点の位置にあることになる。なお、本実施形態においても、マイクロレンズアレイ3及びマスク4は適宜の駆動装置により光軸方向に移動可能であり、基板1との間の距離を調整することができるようになっているが、顕微鏡10はマイクロレンズアレイ3及びマスク4に対して固定的に配置されているので、顕微鏡10からの光の焦点位置は、マスク4のCr膜5の孔5bの位置から変化しない。なお、顕微鏡10は、落射型顕微鏡であり、光源からの光が対物レンズから平行光となって基板上(レジスト膜2上)に照射され、基板(レジスト膜)からの反射光がマイクロレンズ3bにより検査用孔5bにて焦点を結び、その後、対物レンズから出射光と同軸的に入射されて、この入射光を観察するようになっている。この対物レンズからの入射光はカメラ等により撮影することもできる。よって、本実施形態においては、落射顕微鏡が、検査用光の光源と画像観察用の顕微鏡とを兼ねる。
【0019】
このように構成された第1実施形態のマイクロレンズ露光装置においては、基板1上のレジスト膜2をマイクロレンズアレイ3のマイクロレンズ3aにより露光するが、このとき、顕微鏡10から平行光の落射照明光が検査用孔5bに向けて出射され、この落射照明光は、Cr膜5の孔5bで焦点を結び、この孔5bを通過してマイクロレンズアレイ3に向けて照射され、マイクロレンズ3bによりレジスト膜2に結像し、この反射光がマイクロレンズ3bにより孔5bの位置で結像し、この孔5bを通過して顕微鏡10に入射する。このとき、顕微鏡10に入射してきたレジスト膜2からの反射光が、レジスト膜2上で合焦点であった場合には、顕微鏡10で観察した像も焦点が合ったものとなる。これにより、露光領域のマイクロレンズ3aを透過したレーザ光も、レジスト膜2上で合焦点となる。
【0020】
よって、顕微鏡10で観察したレジスト膜2の画像が合焦点画像でなかった場合は、適宜の駆動装置によりマイクロレンズアレイ3及びマスク4を顕微鏡10と共に光軸方向に移動させ、顕微鏡10により画像を観察して、その画像が合焦点となる光軸上の位置を探せばよい。これにより、露光装置のギャップGを所定の合焦点位置に、容易にかつ高精度で調整することができる。
【0021】
なお、図4(a)、(b)に示すように、検査用孔5bに、検査用マーク22を設けることもできる。図4(b)の断面図に示す露光装置においては、検査用孔5b内に検査用マーク22が形成されていると共に、基板1の表面上のレジスト膜2の上に基板パターン21が設けられている。そして、落射照明光の平行光が孔5bを透過した後、マイクロレンズ3bにより収束されて基板パターン21に焦点を結ぶ。この場合に、図4(a)に示すように、基板パターン21はマイクロレンズ3bの視野領域20の中心に設けられた例えば円形のパターンであり、検査用マーク22は、マイクロレンズ3bの視野領域20の外側に、視野領域20の中心から4方向に放射状に延びる線分状に形成されている。
【0022】
そして、顕微鏡10により、基板1のレジスト膜2上のパターン21の画像と、検査用孔5bに設けた検査用マーク22の画像とを同時に観察し、双方の画像が合焦点となるように、マイクロレンズアレイ3及びマスク4の光軸上の位置を調整する。これにより、合焦点の精度を高めることができる。図1に示す実施形態では、顕微鏡10からの検査用光が孔5bで焦点を結ぶような位置に、顕微鏡10とマスク4とが機械的に固定されているが、図4に示す変形例においては、顕微鏡10とマスク4とは最終的には固定されるものの、先ず、検査用マーク22の焦点を合わせることにより、顕微鏡10とマスク4との位置関係を調整した後、両者を固定し、その後、基板上の基板パターン21に焦点が合うように、マイクロレンズアレイ3及びマスク4と基板1との間隔を調整するようにすることができる。
【0023】
なお、上述のように、基板1上のレジスト膜2の面に形成するマーク(パターン21)は、例えば、円形の点状マークであり、マスク4の検査用孔5bに形成するマーク(検査用マーク22)は、放射状に延びる線分状のマークであるが、これらのパターン21及び検査用マーク22は上記形状に限らないことはもちろんである。但し、検査用孔5bに形成する検査用マーク22はマイクロレンズ3bの視野領域20から外れた位置に設ける必要がある。検査用マーク22がマイクロレンズ3bの視野領域内に位置すると、顕微鏡10からマイクロレンズ3bに向けて照射される平行光の落射照明光を遮光してしまい、基板1のレジスト膜2上に照射される照明光の光量が低下する。
【0024】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図2は、本実施形態を示す断面図である。本実施形態は、第1実施形態の顕微鏡10の代わりに、フォトセンサ11を設けたものである。このフォトセンサ11もマイクロレンズアレイ3及びマスク4に対して固定的に設けられており、フォトセンサ11からは、孔5bに焦点位置を合わせた光がマイクロレンズ3bに向けて照射される。
【0025】
次に、本実施形態の動作について説明する。フォトセンサ11からの光は、孔5bで焦点を結んだ後、拡大してマイクロレンズ3bに入射し、更にマイクロレンズ3bにより収束して、基板1上のレジスト膜2上に照射される。このレジスト膜2で反射した光は、マイクロレンズ3b及び孔5bを介してフォトセンサ11によりその光量が検出される。このとき、この光が、レジスト膜2上で合焦点であった場合には、その反射光は、孔5bにおいて焦点を結んだ後、フォトセンサ11に入射する。従って、その検出光量は多い。これに対し、レジスト膜2に入射した光が、レジスト膜2上で合焦点でなかった場合には、その反射光は孔5bで焦点を結ばず、拡散した状態であるので、その一部は孔5bの周囲のCr膜5により遮光されて、フォトセンサ11には入射しない。よって、この場合は、フォトセンサ11の検出光量は低下する。よって、フォトセンサ11にて反射光の光量を測定した場合に、その検出光量が最大となるときが、マイクロレンズアレイ3のマイクロレンズ3a、3bを透過した光が、レジスト膜2上で合焦点となる状態である。従って、フォトセンサ11の検出光量が最大となるように、マイクロレンズアレイ3及びマスク4の光軸上の位置を調整すれば、マイクロレンズアレイ3と基板1との間のギャップGを所定値に容易に且つ高精度で調整することができる。
【0026】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図3は、本実施形態を示す断面図である。本実施形態は、第1実施形態の落射型顕微鏡10の代わりに、透過型顕微鏡13を使用したものである。また、基板12は透明基板であり、レジスト膜2における焦点を結ぶべき位置に、パターン14が形成されている。そして、この透明基板12の下面から平行光がパターン14に向けて照射される。
【0027】
パターン14は、円又は縞模様等の形状を有し、透明基板12の下面から照射される平行光がこのパターン14を通過し、マイクロレンズ3bにより、パターン14の像が孔5bの位置に結像する。
【0028】
次に、このように構成されたマイクロレンズ露光装置の動作について説明する。透明基板12の下面から平行光をパターン14に向けて照射すると、このパターン14を透過した光がマイクロレンズ3bにより収束されて、孔5bの位置に結像し、更に、透過型顕微鏡13の対物レンズを介して透過型顕微鏡13内に入射する。この透過型顕微鏡13に入射したパターン14の像を観察することにより、ギャップGが所定の焦点位置にあるか否かが判別される。即ち、ギャップGがマイクロレンズ3bの焦点距離である場合、パターン14の像はマイクロレンズ3bにより孔5bの位置に合焦点する。そうすると、透過型顕微鏡13の対物レンズに入射したパターン透過光は透過型顕微鏡13の接眼レンズで合焦点と観察され、又はカメラのCCD(電荷結合素子)に結像する。しかし、ギャップGが所定の焦点距離でないと、パターン14を透過した光は、マイクロレンズ3bにより孔5bにて合焦点することはなく、透過型顕微鏡13において焦点が合っていない画像として観察される。このようにして、透過型顕微鏡13にて、レジスト膜2上のパターン14を観察して、ギャップGを調整することにより、このギャップGをマイクロレンズ3aの焦点位置がレジスト膜2上になるように調節することができる。
【0029】
図5(a)、(b)は図4と同様に、透明基板12上のレジスト膜2上に基板パターン21を設けると共に、更に検査用孔5b内に検査用マーク23を設けたものであり、図3の第3実施形態の変形例である。但し、本変形例の場合は、マイクロレンズ3bの視野領域20内に検査用孔5b内の検査用マーク23も設けている。基板パターン21は、例えば、マイクロレンズ3bの視野領域20の中心に配置された円形のパターンであり、検査用マーク23は、例えば、基板パターン21を中心に4方向に放射状に延びる線分状のパターンである。
【0030】
本変形例においては、透明基板12の下面側から照射された平行光の透過照明光は、基板12上のレジスト膜2上の基板パターン21により遮光されてマイクロレンズ3bに入射し、パターン21の像は、マイクロレンズ3bにより収束されて検査用孔5bにて合焦点となる。そして、このパターン21の像は対物レンズを介して透過型顕微鏡13に入射し、接写レンズにて観察され、又はカメラに撮影される。一方、マイクロレンズ3bの視野領域内にある検査用マーク23も透過照明光が照射されて、検査用マーク23の像も透過型顕微鏡13に入射する。
【0031】
そして、本変形例においても、顕微鏡10により、基板1のレジスト膜2上のパターン21の画像と、検査用孔5bに設けた検査用マーク22の画像とを同時に観察し、双方の画像が合焦点となるように、マイクロレンズアレイ3及びマスク4の光軸上の位置を調整する。これにより、合焦点の精度を高めることができる。なお、本変形例の場合は、基板1の裏面から照射される透過照明により、基板パターン21及び検査用マスク23の像が合焦点であるか否かを判断するので、検査用マスク23は、マイクロレンズ3bの視野領域内に形成することができる。
【0032】
なお、図3に示す実施形態において、透過型顕微鏡13による画像の合焦点の観察の代わりに、図2に示す実施形態と同様に、フォトセンサにより検出光量を測定して、ギャップGがマイクロレンズ3aの焦点距離に一致しているか否かの判定をすることもできる。透明基板12の下面から平行光を照射し、パターン14を透過した光を、マイクロレンズ3bにより収束させ、孔5bを通過した光をフォトセンサ11(図2参照)に導き、フォトセンサ11により最大光量が得られるか否かにより、ギャップGが所定の焦点位置にあるか否かを判別することができる。ギャップGが所定の焦点距離であって、マイクロレンズ3aからのレーザ光がレジスト膜2上で合焦点にあれば、透明基板12の下面からパターン14に照射されてパターン14を透過した光は、マイクロレンズ3bにより孔5bで焦点を結び、小さな孔5bを通過してその殆どの光量がフォトセンサ11に検出されるが、ギャップGが焦点位置からずれている場合は、パターン14を透過した光は、マイクロレンズ3bにより孔5bにて合焦点とならず、孔5bの周囲のCr膜5の部分まで拡がってしまい、小さな孔5bを通過する光の光量は低下する。従って、フォトセンサ11にて光量を測定し、マスク4及びマイクロレンズアレイ5を光軸方向に移動させて、その検出光量が最大となった状態が、ギャップGがマイクロレンズ3aの焦点距離と一致し、マイクロレンズ3aにより収束されたレーザ光がレジスト膜2上で合焦点となる。
【0033】
上記各実施形態は、レジスト膜に所定のパターンを露光する露光装置についてのものであるが、本発明は、アモルファスシリコン膜をレーザ光により露光してアニールすることにより低温ポリシリコン膜を形成するようなアニール装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:基板
2:レジスト膜
3:マイクロレンズアレイ
3a,3b:マイクロレンズ
4:マスク
5:Cr膜
5a、5b:孔
6:固定部材
10;顕微鏡(落射型)
11:フォトセンサ
12:透明基板
13:透過型顕微鏡
14:パターン
21:パターン
22,23:検査用マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、前記マスクの上方に設けられ前記検査用孔に焦点位置を合わせた検査用光を前記検査用孔及び前記検査用マイクロレンズを介して露光対象の基板に照射する検査用光照射部と、前記基板における前記検査用光の画像を観察する顕微鏡とを有し、前記顕微鏡により観察した画像が合焦点になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とするマイクロレンズ露光装置。
【請求項2】
前記検査用孔には、検査用マークが設けられており、前記顕微鏡により、前記基板の画像と、前記検査用孔に設けた前記検査用マークの画像とを観察し、双方の画像が合焦点となるように、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズ露光装置。
【請求項3】
マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、前記マスクの上方に設けられ前記検査用孔に焦点位置を合わせた検査用光を前記検査用孔及び前記検査用マイクロレンズを介して露光対象の基板に照射する検査用光照射部と、前記基板で反射した前記検査用光の光量を検出するフォトセンサとを有し、前記フォトセンサで検出した光量が最大になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とするマイクロレンズ露光装置。
【請求項4】
マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、露光対象に設けたパターンに平行光の検査用光を照射して前記検査用マイクロレンズに前記パターンを透過した画像を入射させる検査用光照射部と、前記パターンを透過した画像を観察する顕微鏡とを有し、前記顕微鏡により観察した画像が合焦点になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とするマイクロレンズ露光装置。
【請求項5】
前記検査用孔には、検査用マークが設けられており、前記顕微鏡により、前記パターンを透過した画像と、前記検査用孔に設けた前記検査用マークを透過した画像とを観察し、双方の画像が合焦点となるように、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とする請求項4に記載のマイクロレンズ露光装置。
【請求項6】
マイクロレンズが1次元又は2次元に配置されたマイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに対応する位置にレーザ光の透過孔が設けられたマスクと、前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクを所定の間隔で固定する固定部と、を有するマイクロレンズ露光装置において、前記マイクロレンズアレイに設けられ前記マイクロレンズと同一形状の検査用マイクロレンズと、前記マスクにおける前記検査用マイクロレンズに対応する位置に設けられた検査用孔と、露光対象に設けたパターンに平行光の検査用光を照射して前記検査用マイクロレンズに前記パターンを透過した画像を入射させる検査用光照射部と、前記パターンを透過した前記検査用光の光量を検出するフォトセンサとを有し、前記フォトセンサで検出した光量が最大になるように前記マイクロレンズアレイ及び前記マスクの光軸上の位置を調整するものであることを特徴とするマイクロレンズ露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−38927(P2012−38927A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177873(P2010−177873)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】