説明

マイクロ電気機械的共振器構造及びその設計方法、作動方法、及び使用方法

【課題】パッケージング応力特性が改善され、基材へのエネルギ損失を低減し、振動中の重心の安定性を改良し最適にする、マイクロ電気機械的共振器構造を提供する。
【解決手段】細長いビーム区分102の各々は、先端が、湾曲区分104を介して別の細長いビーム区分に連結されており、これによって、湾曲区分によって相互連結された少なくとも二つの細長いビーム区分を持つ幾何学的形状(丸みのある三角形形状、正方形又は矩形形状)を形成する。構造は、一つ又はそれ以上の節点又は節領域を、構造の湾曲区分の一つ又はそれ以上の部分又は領域に含む。これらの節点は、共振器構造を基材に固定するのに適した及び/又は好ましい位置である。作動では、共振器構造は、伸長(即ちブリージング)モード及びベンディングモードの組み合わせで振動する。即ち、ビーム区分(同じ周波数で振動する)は、伸長様(即ちベンディング様)動作及びベンディング様動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電気機械的共振器又はナノ電気機械的共振器の構造、及びこのような共振器の設計方法、作動方法、制御方法、及び使用方法に関し、更に詳細には、一つの特徴において、パッケージング応力及び/又は基材の固定によるエネルギ損失の影響を最小にするため、基材の固定を容易にする一つ又はそれ以上の高性能の節点を持つマイクロ電気機械的共振器又はナノ電気機械的共振器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
Qが高いマイクロ電気機械的共振器は、一般的には、集積単チップ周波数基準及びフィルタについての有望な選択肢であると考えられている。これに関し、Qが高いマイクロ電気機械的共振器は、コンパクトであること及び/又は空間が制限された設計が要求される多くの高周波数の用途に適した高い周波数出力を提供する傾向がある。しかしながら、共振器の出力周波数を「押し上げる」場合、共振器が小さいと、パッケージング応力、基材アンカーを通して基材に伝わるエネルギ損失、及び/又は振動中に重心が不安定になり即ち移動することにより、共振器の周波数安定性並びに「Q」に悪影響が及ぼされる。
【0003】
幾つかの周知の共振器構造がある。例えば、一群の従来の共振器構造は、閉端又は開端の音叉を使用する。例えば、図1を参照すると、閉端ダブルククランプ音叉共振器10は、ビーム即ちタイン12a及び12bを含む。これらのビーム12a及び12bは、アンカー16a及び16bを介して基材14に固定される。固定電極18a及び18bを使用してビーム12a及び12bに力を誘導し、これらのビームを(平面内で)振動させる。
【0004】
音叉共振器10の特性及び応答は周知である。しかしながら、このような共振器構造は、多くの場合、パッケージング応力の結果としてビーム12a及び12bに応力が誘導されることによって、共振器10の機械的周波数が変化してしまい易い。更に、図1に示すような従来の共振器構造は、アンカーを通した基材内へのエネルギ損失を被る又は呈する。
【0005】
アンカーを通した基材内へのエネルギ損失、並びに特定の応力による周波数の変化の、Qを制限する損失機構に対処するため、特定の構造及び技術が論じられてきた。例えば、ビームをグランド(ground)平面及び感知電極の上に「懸架」することによって、ビームの振動モードを平面外にしてもよい(例えば、米国特許第6,249,073号参照)。このような構造は、アンカーを通したエネルギ損失を緩和するが、平面外振動モード(即ち横断モード)を含む共振器は、駆動/感知電極と基材との間に比較的大きな寄生静電容量を示す。このような静電容量により、出力振動のノイズフロアが高くなってしまう(設計による)。
【0006】
更に、このような共振器は、駆動/感知電極を形成するため、平面内振動共振器と比較して、少なくとも一つの追加のマスクを製造することを必要とする。特に、「懸架」ビーム形体を実施する従来の共振器構造は、振動中に重心が「動く」可能性が残っている。これは、周波数の安定性並びに共振器の「Q」に悪影響を及ぼす。
【0007】
共振器のQを改善するこの他の技術が提案されており、こうした技術には、振動するビームの振動数又は周波数と関連した波長に対して、このようなビームがぴったりと離間されるように、振動するビーム間の間隔を設計する技術が含まれる(例えば、米国特許第6,624,726号の単端又は単クランプ共振器を参照されたい)。振動するビームは、振動期間の半分、互いに違相で振動するように(即ち、動作が互いに鏡像をなすように)駆動される。共振器のQを改良するこれらの構造及び技術は、音響エネルギの漏れを抑制するが、こうした構造は、パッケージング応力、基材アンカーを通した基材へのエネルギ損失、並びに単端又は単クランプ共振器のビームの振動により動作中に共振器の重心が「動く」ことに変わりはない。
【特許文献1】米国特許第6,249,073号
【特許文献2】米国特許第6,624,726号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、従来のマイクロ電気機械的共振器構造、形体、又は構造のうちの一つの、幾つかの、又は全ての欠点を解決する、共振器構造、形体、又は構造、及びこのような共振器の設計方法、作動方法、制御方法、及び/又は使用方法が必要とされている。これに関し、パッケージング応力特性が改善され、基材アンカーを通した基材へのエネルギ損失を低減し、及び/又は最小にし、及び/又は振動中の重心の安定性を改良し又は最適にする、改良マイクロ電気機械的共振器及び/又はナノ電気機械的共振器が必要とされている。このようにして、共振器の安定性及び/又は出力周波数の線型性を高め、及び/又は共振器のQが高い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中、多くの発明、及びこれらの発明の多くの特徴及び実施例を説明し且つ例示する。第1の主要な特徴では、マイクロ電気機械的共振器構造は、複数の細長い直線状ビーム区分と、複数の湾曲区分とを含み、少なくとも一つの湾曲区分は節点を持つ。ビーム区分の各端は、湾曲区分のうちの一つの関連した端に連結されており、これによって所定の幾何学的形状(例えば、丸みのある三角形形状、丸みのある正方形形状、丸みのある矩形形状、丸みのある五角形形状、丸みのある六角形形状、又は丸みのある八角形形状)を形成する。共振器構造は、更に、少なくとも一つのアンカー結合区分と、共振器構造を基材に固定するため、アンカー結合区分を介して節点に連結された基材アンカーとを含む。一実施例では、基材アンカーと節点との間に連結された応力/歪除去機構を含む。
【0010】
一実施例では、各湾曲区分は少なくとも一つの節点を含む。この実施例では、基材アンカーは、各湾曲区分の少なくとも一つの節点に連結されている。共振器構造は、基材アンカーと、各湾曲区分の少なくとも一つの節点の各節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む。確かに、基材アンカーは複数のアンカーを含んでもよく、共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点が、前記複数のアンカーのうちの少なくとも一つに連結される。複数の応力/歪除去機構が、各アンカーと各湾曲区分の少なくとも一つの節点との間に連結される。複数の細長い直線状ビーム区分のうちの一つ及び/又は複数の湾曲区分の一つには、複数のスロットが配置される。
【0011】
別の実施例では、複数の細長い直線状ビーム区分の各細長い直線状ビーム区分の幅は、端部のところがその中央部よりも大きい。これに加えて、又はその代りに、複数の細長い直線状ビーム区分は、その端部に内角丸みが設けてある。
【0012】
第2の主要な特徴では、マイクロ電気機械的共振器構造は、複数の細長い直線状ビーム区分と、複数の湾曲区分とを有し、各湾曲区分は節点を有する。ビームの各端は、湾曲区分のうちの一つの関連した端に連結されており、これによって所定の幾何学的形状(例えば、丸みのある三角形形状、丸みのある正方形形状、丸みのある矩形形状、丸みのある五角形形状、丸みのある六角形形状、又は丸みのある八角形形状)を形成する。この特徴のマイクロ電気機械的共振器構造は、複数のアンカー結合区分と、共振器構造を基材に固定するため、複数のアンカー結合区分を介して各湾曲区分の節点に連結された基材アンカーとを含む。
【0013】
マイクロ電気機械的共振器構造は、基材アンカーと、関連した節点との間に各々連結された複数の応力/歪除去機構を含む。
【0014】
一実施例では、基材アンカーは複数のアンカーを含んでいてもよく、共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点が複数のアンカーのうちの少なくとも一つに連結される。マイクロ電気機械的共振器構造は、複数のアンカーのうちの関連したアンカーと各湾曲区分の少なくとも一つの節点の関連した節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む。
【0015】
特に、各湾曲区分の節点は、湾曲区分の内部分及び/又は湾曲区分の外部分に配置される。
【0016】
一実施例では、複数の細長い直線状ビーム区分及び/又は複数の湾曲区分には、複数のスロットが配置されている。
【0017】
更に別の特徴では、マイクロ電気機械的共振器構造は、複数の細長い直線状ビーム区分と、複数の湾曲区分とを有し、各湾曲区分は少なくとも一つの節点を有する(例えば、湾曲区分の内部分及び/又は外部分に配置されている)。ビーム区分の各端は、湾曲区分の一つの関連した端部に連結されており、これによって所定の幾何学的形状(例えば、丸みのある三角形形状、丸みのある正方形形状、丸みのある矩形形状、丸みのある五角形形状、丸みのある六角形形状、又は丸みのある八角形形状)を形成する。マイクロ電気機械的共振器構造は、更に、前記共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点に連結された基材アンカーを含んでもよい。この特徴では、マイクロ電気機械的共振器構造は、複数の感知電極及び複数の駆動電極を含み、これらの感知電極及び駆動電極は、感知電子装置が出力信号(単端出力又は差動出力)を提供するように、複数の細長い直線状ビーム区分と併置される。
【0018】
マイクロ電気機械的共振器構造は、複数の応力/歪除去機構を含んでいてもよく、各応力/歪除去機構は、基材アンカーと関連した節点との間に連結される。
【0019】
一実施例では、基材アンカーは、複数のアンカーを含み、各湾曲区分の少なくとも一つの節点は、共振器構造を基材に固定するため、複数のアンカーのうちの少なくとも一つのアンカーに連結される。この実施例では、構造は、更に、複数のアンカーのうちの関連したアンカーと、各湾曲区分の少なくとも一つの節点の関連した節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む。
【0020】
一実施例では、複数の細長い直線状ビーム区分及び/又は複数の湾曲区分には、複数のスロットが配置される。
【0021】
また、多くの発明、これらの発明の特徴を本明細書中に説明し且つ例示する。本発明の課題を解決するための手段は、本発明に範囲を網羅的に説明するものではない。更に、この課題を解決するための手段は、本発明を限定しようとするものではなく、そのように解釈されるべきではない。以上の課題を解決するための手段に、特定の実施例を記載したが、本発明は、これらの実施例、及び/又は説明に限定されないということは、理解されるべきである。確かに、以下の説明、添付図面、及び特許請求の範囲から、以上の課題を解決するための手段に記載した実施例と異なる及び/又は類似したこの他の多くの実施例が明らかになるであろう。更に、様々な特徴、属性、及び利点を、以上の課題を解決するための手段に記載し、及び/又はその記載から明らかであるが、このような特徴、属性、及び利点は、本発明の一つの実施例、幾つかの実施例、又は全ての実施例で必要とされず、確かに本発明の実施例のうちの任意の実施例では、設けられている必要がない。
【0022】
以下の詳細な説明において、添付図面を参照する。これらの図面は、本発明の様々な特
徴を示し、適切である場合には、異なる図の同様の構造、構成要素、材料、及び/又はエレメントに付した参照番号は、同じである。特定的に示した以外の構造、構成要素、材料、及び/又はエレメントの様々な組み合わせが考えられ、これらは本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、従来のマイクロ電気機械的音叉共振器デバイスの概略ブロックダイヤグラムである。
【図2A】図2Aは、丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された三つの細長いビーム区分を持つ、本発明の一つの特徴の一実施例による丸みのある三角形形状のマイクロ電気機械的共振器の一実施例の平面図である。
【図2B】図2Bは、丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された四つの細長いビーム区分を持つ、本発明の一つの特徴の一実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の一実施例の平面図である。
【図2C】図2Cは、丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された六つの細長いビーム区分を持つ、本発明の一つの特徴の一実施例による丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器の一実施例の平面図である。
【図2D】図2Dは、丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された八つの細長いビーム区分を持つ、本発明の一つの特徴の一実施例による丸みのある八角形形状のマイクロ電気機械的共振器の一実施例の平面図である。
【図3】図3は、正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図4】図4は、正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図5】図5は、正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図6A】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図6B】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7A】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7B】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7C】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7D】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7E】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図7F】正方形様形状のマイクロ電気機械的共振器を、様々な固定技術及び/又は固定形体を使用して基材に固定した、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図8】図8は、丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、(i)マイクロ電気機械的共振器の細長いビーム区分及び湾曲区分と(ii)基材アンカーとの間に機械的に連結された応力/歪除去機構を含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図9】図9は、丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、(i)マイクロ電気機械的共振器の細長いビーム区分及び湾曲区分と(ii)基材アンカーとの間に機械的に連結された応力/歪除去機構を含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図10】図10は、丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、(i)マイクロ電気機械的共振器の細長いビーム区分及び湾曲区分と(ii)基材アンカーとの間に機械的に連結された応力/歪除去機構を含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図11A】丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、様々な半径の丸みのある区分即ち湾曲区分を介して相互連結された四つの細長いビーム(部分図で示す)と、丸みのある区分即ち湾曲区分を一つ又はそれ以上のアンカーに連結する複数のアンカー結合区分とを含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の実施例の平面図である。
【図11B】丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、様々な半径の丸みのある区分即ち湾曲区分を介して相互連結された四つの細長いビーム(部分図で示す)と、丸みのある区分即ち湾曲区分を一つ又はそれ以上のアンカーに連結する複数のアンカー結合区分とを含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の実施例の平面図である。
【図12A】丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、様々な半径の丸みのある区分即ち湾曲区分を介して相互連結された四つの細長いビーム(部分図で示す)と、丸みのある区分即ち湾曲区分を一つ又はそれ以上のアンカーに連結する複数のアンカー結合区分とを含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の実施例の平面図である。
【図12B】丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器が、様々な半径の丸みのある区分即ち湾曲区分を介して相互連結された四つの細長いビーム(部分図で示す)と、丸みのある区分即ち湾曲区分を一つ又はそれ以上のアンカーに連結する複数のアンカー結合区分とを含む、本発明の特定の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の実施例の平面図である。
【図13】図13は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分の様々な実施例の平面図である。
【図14】図14は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分の様々な実施例の平面図である。
【図15】図15は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分の様々な実施例の平面図である。
【図16】図16は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分の様々な実施例の平面図である。
【図17】図17は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分の様々な実施例の平面図である。
【図18】図18は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分及び応力/歪除去機構の様々な実施例の平面図である。
【図19】図19は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分及び応力/歪除去機構の様々な実施例の平面図である。
【図20】図20は、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の一区分と関連したアンカー結合区分及び応力/歪除去機構の様々な実施例の平面図である。
【図21A】平面内でブリージング様モード即ち動作で振動しているリング振動子の平面図であり、リング振動子は、非誘導状態に関して拡張し(図21A参照)、収縮(図21B参照)する。
【図21B】平面内でブリージング様モード即ち動作で振動しているリング振動子の平面図であり、リング振動子は、非誘導状態に関して拡張し(図21A参照)、収縮(図21B参照)する。
【図22A】本発明の一実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の細長いビーム区分の平面内での振動を示す平面であり、マイクロ電気機械的共振器は、第1撓み状態(図22A参照)と、第2撓み状態(図22B参照)との間で振動し、各撓み状態は、マイクロ電気機械的共振器の定常状態と重ねてある(即ち定常状態に対して示してある)。
【図22B】本発明の一実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の細長いビーム区分の平面内での振動を示す平面であり、マイクロ電気機械的共振器は、第1撓み状態(図22A参照)と、第2撓み状態(図22B参照)との間で振動し、各撓み状態は、マイクロ電気機械的共振器の定常状態と重ねてある(即ち定常状態に対して示してある)。
【図23】図23は、四つの細長いビーム区分が丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された、本発明の一実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器を、本発明の一つの特徴による駆動電極、感知電極、及び感知回路と関連して示す図である。
【図24A】図24Aは、四つの細長いビーム区分が丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器を、駆動電極、感知電極、及び差動駆動−感知回路を持つ本発明の一実施例による差動出力信号技術と関連して示す図である。
【図24B】図24Bは、四つの細長いビーム区分が丸みのある区分即ち湾曲区分によって連結された丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器を、駆動電極、感知電極、及び差動駆動−感知回路を持つ本発明の別の実施例による差動出力信号技術と関連して示す図である。
【図25】図25は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図26】図26は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図27】図27は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図28】図28は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図29】図29は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図30】図30は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図31】図31は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図32】図32は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図33】図33は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図34】図34は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図35】図35は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図36】図36は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図37】図37は、製造性を改善する(開口部、空所、又はスロットがビーム区分の高さ/厚さ全体を貫通している場合に機械的構造を迅速に解放する)ため、及び/又は一つ又はそれ以上の細長いビーム区分及び/又は一つ又はそれ以上の湾曲区分で実施される温度管理技術を改良する(例えば、熱−弾性エネルギ散逸を減少する)ため、マイクロ電気機械的共振器デバイスが、開口部、空所、又はスロットを含む、本発明の一つの特徴によるマイクロ電気機械的共振器(又はその部分)の実施例の平面図である。
【図38A】湾曲区分を介して相互連結された六つの細長いビーム区分を持つ丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器を、本発明の特徴の実施例に従って共振器構造を基材に固定するための様々な固定技術、構造、及び/又は形体と関連して示す平面図である。
【図38B】湾曲区分を介して相互連結された六つの細長いビーム区分を持つ丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器を、本発明の特徴の実施例に従って共振器構造を基材に固定するための様々な固定技術、構造、及び/又は形体と関連して示す平面図である。
【図38C】湾曲区分を介して相互連結された六つの細長いビーム区分を持つ丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器を、本発明の特徴の実施例に従って共振器構造を基材に固定するための様々な固定技術、構造、及び/又は形体と関連して示す平面図である。
【図38D】湾曲区分を介して相互連結された六つの細長いビーム区分を持つ丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器を、本発明の特徴の実施例に従って共振器構造を基材に固定するための様々な固定技術、構造、及び/又は形体と関連して示す平面図である。
【図38E】図38Eは、湾曲区分を介して相互連結された六つの細長いビーム区分を持つ丸みのある六角形形状のマイクロ電気機械的共振器の一実施例を、本発明の特徴の実施例による固定形体及び応力/歪除去技術と関連して示す平面図である。
【図39】図39は、丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器を別の固定技術及び/又は形体を使用して基材に固定した、本発明の別の実施例による丸みのある正方形形状のマイクロ電気機械的共振器の平面図である。
【図40】図40は、別の連結駆動及び応力/歪除去機構の様々な実施例を、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の湾曲区分と関連して示す平面図である。
【図41】図41は、別の連結駆動及び応力/歪除去機構の様々な実施例を、本発明の特定の実施例によるマイクロ電気機械的共振器の湾曲区分と関連して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書中、多くの発明、並びにこれらの発明の多くの特徴及び実施例を説明し且つ例示する。一つの特徴では、本発明は、直線状(即ち実質的に直線状)の細長い複数のビーム区分を含み、これらのビーム区分が、湾曲区分即ち丸みのある区分によって連結された共振器構造に関する。細長いビーム区分の各々は、先端が、湾曲区分即ち丸みのある区分を介して別の細長いビーム区分に連結されている。これによって、湾曲区分即ち丸みのある区分によって相互連結された少なくとも二つの細長いビーム区分を持つ幾何学的形状を形成する。例えば、一実施例では、本発明のマイクロ電気機械的共振器構造は、湾曲区分によって相互連結され、丸みのある三角形形状を形成する三つの細長いビーム区分を含む。別の実施例では、本発明は、丸みのある区分に先端が連結され、これによって丸みのある正方形形状又は矩形形状を形成する四つの直線状(即ち実質的に直線状)の細長いビームを含む。
【0025】
作動では、マイクロ電気機械的共振器は、誘導時に、伸長モード(又はブリージングモード)及びベンディングモードの複合モードで振動する。これに関し、ビーム区分は、伸長様動作(即ちブリージング様動作)及びベンディング様動作を示す。ビーム区分は同じ周波数で振動する。
【0026】
共振器構造は、一つ又はそれ以上の節点又は節領域(即ち、定置であって、ほとんど動かず、及び/又は1度又はそれ以上の自由度で(回転及び/又は並進のいずれかによる)実質的に定置の、共振器構造の部分)を含む構造を持つように、設計され、動作する。節点は、共振器構造の湾曲区分の一つ又はそれ以上の部分又は領域に配置される。節点は、共振器構造を基材に固定する上での適当な及び/又は好ましい位置である。このようにして、基材へのエネルギ損失を最小にし、制限し、及び/又は減少し、これによって構造のQを高める。特に、このような形体は、共振器構造の共振ビームと基材との間での応力及び/又は歪みの伝達を最小にし、及び/又は減少する。
【0027】
更に、ビーム区分は、誘導時即ち作動中、伸長様(即ちブリージング様)態様(例えば、リング振動子のように)及びベンディング様態様(ダブルクレームド(double-claimed)音叉のビームのように)で作動するが、共振器構造は、重心を比較的安定した状態に又は固定された状態に維持する傾向がある。このようにして、構造は、エネルギ損失を防ぎ、これによって、Qが高い共振器構造を提供する。
【0028】
特に、本発明をマイクロ電気機械的システムに関して説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。というよりはむしろ、本明細書中に説明する本発明は、例えば、ナノ電気機械的システムに適用できる。かくして、本発明は、マイクロ電気機械的システム及びナノ電気機械的システム(以下、特段の記載がない限り、集合的に「MEMS」と呼ぶ)、例えば、本発明の一つ又はそれ以上の共振器構造を実施するジャイロスコープ、共振器、及び/又は加速度計に関する。
【0029】
上文中に説明したように、本発明の共振器構造は、湾曲区分即ち丸みのある区分によって相互連結された複数の細長いビーム区分を含む。これらの細長いビーム区分は、各々の先端が、湾曲区分即ち丸みのある区分を介して別のビーム区分に連結されていてもよく、これによって、少なくとも二つの細長いビームが湾曲区分即ち丸みのある区分を介して相互連結された幾何学的形状を形成する。一実施例では、図2Aを参照すると、MEMS共振器100は、湾曲区分104a−cを介して連結されて丸みのある三角形形状を形成する三つの細長いビーム区分102a−cを含む。別の実施例では、図2Bを参照すると、MEMS共振器100は、湾曲区分104a−dを介して連結されて丸みのある正方形形状又は矩形形状を形成する四つの細長いビーム区分102a−dを含む。
【0030】
特に、本発明のMEMS共振器100は、四つ以上の細長いビーム区分を含んでもよく、例えば、MEMS共振器100は、湾曲区分104a−fを介して互いに連結されて丸みのある六角形形状を形成する六つの細長いビーム区分102a−fを含んでいてもよい(例えば、図2C参照)し、湾曲区分104a−hを介して互いに連結されて丸みのある八角形形状を形成する八つの細長いビーム区分102a−hを含んでいてもよい(例えば、図2D参照)。確かに、本発明の共振器構造は、二つ又はそれ以上の湾曲区分即ち丸みのある区分によって相互連結された二つ又はそれ以上の直線状の細長いビーム区分を含む、現在周知の、又は後に開発される任意の幾何学的形状をとってもよい。
【0031】
各ビーム区分102の長さ及び幅、及び湾曲区分104の内半径(及び/又は更に一般的には、湾曲区分の半径の形状)が、MEMS共振器100の一つ又はそれ以上の共振周波数を決定する。ビーム区分102は、同じ周波数で振動する。表1は、多晶質シリコン材料で形成した丸みのある正方形のMEMS共振器100の、各ビーム区分102の長さ及び幅、及び湾曲区分104の内半径の例示の寸法と関連した共振周波数を提供する。特に、これらの例示の実施例では、細長いビーム区分102及び湾曲区分104の幅は、同じであるか或いは実質的に同じである。
【0032】
【表1】

【0033】
表2は、単晶質シリコン材料で形成した丸みのある正方形のMEMS共振器100の、各ビーム区分102の長さ及び幅、及び湾曲区分104の内半径の例示の寸法と関連した共振周波数を提供する。この表でも、これらの例示の実施例では、細長いビーム区分102及び湾曲区分104の幅は、同じであるか或いは実質的に同じである。
【0034】
【表2】

【0035】
特に、表1及び表2のMEMS共振器の寸法は単なる例示である。本発明によるMEMS共振器の寸法、特性、及び/又はパラメータは、モデル化技術及びシミュレーション技術(例えば、FemLab(コンソール社)、ANSYS(アンシス社)、IDEAS及び/又はABAKUS等のコンピュータを用いる分析エンジンによって実施される有限要素法モデル化及び/又はシミュレーションプロセス)を含む様々な技術、及び/又は経験的データ/計測値を使用して決定できる。例えば、一組の境界条件(例えば、共振器構造の大きさ)を使用する、又はこれらの境界条件に基づく有限要素分析エンジンを使用し、(i)細長いビーム区分102、(ii)湾曲区分104、及び(iii)他のエレメントの寸法、特性、及び/又はパラメータ、又は以下に論じる共振器構造の性質を決定し、又は評価してもよい。
【0036】
上文中に言及したように、作動では、MEMS共振器は、構造が一つ又はそれ以上の節点(即ち、構造の振動時に移動しない、移動を被らない、及び/又は実質的に定置の共振器構造の領域又は部分)を含むように動作する。一つ又はそれ以上の節点のうちの一つ又はそれ以上を通して、又はこれらの節点のところで、MEMS共振器を基材に固定するのが有利である。図3乃至図6を参照すると、節点106a−dは、MEMS共振器100の一つ又はそれ以上の湾曲区分104に、又はその近くに配置されていてもよい。例えば、図3を参照すると、一実施例では、MEMS共振器100の節点106a−dは、湾曲区分104の内領域、部分、又は領域に、又はその近くに配置される。固定結合区分108a−dは、MEMS共振器100をアンカー110を介して基材に固定及び/又は結合するため、節点106a−dに又はその近くに結合されている。この実施例では、MEMS共振器100は、一体の「中央」アンカー110に結合される。
【0037】
MEMS共振器100は、様々な固定技術及び/又は形体を使用して基材に固定されていてもよい。図4を参照すると、一実施例では、「中央」アンカー(例えば図3に示す)の代りに、一つ又はそれ以上の湾曲区分104から外方に延びるアンカー結合区分108を介してMEMS共振器100をアンカー110に連結してもよい。この実施例では、節点106a−dは、湾曲区分104の外領域又は部分に又はその近くに配置されている。このように、図4を続いて参照すると、アンカー結合区分108a−dが、MEMS共振器100を、丸みのある正方形形状のデバイス110の「外側」に配置された基材アンカー110a−dの夫々に結合する。この固定形体では、湾曲区分104の外領域が、MEMS共振器100の節点106a−dである。かくして、MEMS共振器100を湾曲区分104の外領域又は部分に、又はその近くに(即ち、一つ又はそれ以上の節点106a−dに、又はその近くに)固定することによって、MEMS共振器100の垂直方向及び/又は水平方向エネルギ損失が小さくなるか或いは減少する。
【0038】
図5を参照すると、別の実施例では、「中央」アンカー形体(図3参照)に加え、MEMS共振器100は、一つ又はそれ以上の湾曲区分104から外方に延びるアンカー結合区分108e−hの夫々を介してアンカー110a−dに連結されていてもよい。この実施例では、節点106a−hは、湾曲区分104a−dの内領域及び外領域に、又はその近くに配置されていてもよい。
【0039】
別の実施例では、図6A及び図6Bを参照すると、MEMS共振器100は「中央」アンカー構造に連結されていてもよい。この実施例では、一つ又はそれ以上のアンカー110a−d(図6A参照)又は110a及び110B(図6B参照)がアンカー固定区分108a−dの間に分配されており及び/又は専用になっている。この例示の実施例では、アンカー結合区分108a−dは、MEMS共振器100の節点106a−dに、又はその近くに結合されている。このようにして、MEMS共振器100の垂直方向及び/又は水平方向エネルギ損失を最小にし又は減少する。
【0040】
特に、MEMS共振器100は、全ての節点が固定されている必要はなく、一つ又はそれ以上の位置で、好ましくは、一つ又はそれ以上の節の位置(共振器の振動時に移動せず、移動を被らず、及び/又は実質的に定置の共振器の領域又は位置)で固定されていればよい。例えば、図7A乃至図7Fを参照すると、MEMS共振器100は、共振器構造の一つの点、二つの点、及び/又は三つの領域又は部分(好ましくは、例えば、節点106
又はその近く)が固定されていてもよい。これに関し、一つ又はそれ以上のアンカー結合区分108が、MEMS共振器100の細長いビーム区分102及び湾曲区分104を対応するアンカー110に連結する。
【0041】
MEMS共振器100を、基材に、所定の最小の及び/又は減少したエネルギ損失で(とりわけ)固定する一つ又はそれ以上の節点の位置を、有限要素分析及びシミュレーションエンジンを使用して決定してもよい。これに関し、MEMS共振器100のビーム区分102は、作動中に誘導されたとき、伸長(ブリージング様)態様及びベンディング態様で移動する。このように、細長いビーム区分102の長さ及び湾曲区分104の半径は、共振器構造の節点の位置を決定し、これによって、伸長(ブリージング様)態様による回転移動がほとんどないか或いはなく、又は減少し、ベンディング様態様による半径移動がなく、又は減少する。MEMS共振器100の細長いビーム区分102の所与の長さ、及び湾曲区分104の所与の形状及び/又は半径を使用して、MEMS共振器100のこのような節点の位置を決定するのに有限要素エンジンを使用してもよい。このようにして、MEMS共振器100を固定するため、移動(半径方向、横方向、及び/又はその他の方向)が受容可能な、所定の、及び/又はほとんどないか或いは全くない、MEMS共振器100の湾曲区分104の領域又は部分を迅速に決定でき、及び/又は確認できる。
【0042】
本発明のMEMS共振器は、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の技術を使用して基材に固定してもよい。確かに、全ての技術が本発明の範疇に含まれる。例えば、本発明は、2003年7月25日に出願され且つ譲渡された「SOI基材を持つマイクロ電気機械的システム用アンカー、及びその製造方法」という表題の、仮特許出願でない米国特許出願第10/627,237号(以下、「マイクロ電気機械的システム用アンカーの特許出願」という)に記載され且つ例示された固定技術を使用してもよい。全ての実施例及び/又は発明の例えば、特徴、属性、変形例、材料、技術、及び利点を含む、マイクロ電気機械的システム用アンカーの特許出願の内容全体は、同特許出願に触れたことにより、この特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0043】
図8、図9、及び図10を参照すると、本発明のMEMS共振器は、MEMS共振器100が基材に固定された箇所の一つ、幾つか、又は全ての移動により、アンカーの位置で基材に作用する応力又は歪みを管理し、制御し、減少し、なくし、及び/又は最小にするため、応力/歪除去機構112a−d(例えばばね、又はばねのような構成要素)を使用してもよい。詳細には、湾曲区分104a−dは、応力/歪除去機構112a−dの夫々に、アンカー結合区分108a−dの夫々を介して機械的に連結されている。
【0044】
作動では、基材の応力又は歪みを減少し、なくし、及び/又は最小にするため、及び/又は製造による小さな非対称による固定点の小さな残留移動を補償するため、応力/歪除去機構112a−dが、細長いビーム区分102a−d及び湾曲区分104a−dのうちの一つ、幾つか、又は全ての移動と関連して膨張し収縮する。これは、材料特性を変化させてしまうため、(たとえ有限要素モデル化(有限要素分析「FEA」又は「FE分析」としても周知である)を使用しても)100%最適の設計ではない。このようにして、MEMS共振器100の固定構造は、比較的応力なし及び/又は歪みなしであり、これによりアンカーでのエネルギ損失を大幅に減少し、最小にし及び/又はなくし、これによって共振器100のQ(及び出力信号)を増大し、高め、最大にする。特に、応力/歪除去機構112及びアンカー結合区分108は、アンカーでのエネルギ損失を減少し、最小にし及び/又はなくすことに加え、MEMS共振器100の細長いビーム区分102及び湾曲区分104を基材上に懸架する。
【0045】
応力/歪除去機構112は、一つ又はそれ以上のアンカー結合区分108内で使用してもよい。MEMS共振器100が基材を通して又は基材のところに固定される点が、十分に又は適切に動作なしでない場合(即ち、共振器100又は基材によって湾曲区分104又は結合区分108の望ましからぬ移動が生じる場合)、又は基材から更に減結合するのが望ましい場合に応力/歪除去機構112を実施するのが有利である。例えば、MEMS共振器100と基材との間のエネルギの伝達を減少し、なくし、及び/又は最小にするため(例えば、湾曲区分104に対するインピーダンス不整合がある場合、又は「ノイズ」が基材で発生し、これがMEMS共振器100に伝達する場合)、応力/歪除去機構112を使用するのが有利である。
【0046】
応力/歪除去機構112は、本発明中に説明し、添付図面に示す任意の固定技術及び/又は固定と関連して使用してもよい。例えば、応力/歪除去機構112は、図5の一つ又はそれ以上のアンカー結合区分108のうちの一つ又はそれ以上内で(例えば、アンカー結合区分108e−h内で、又はアンカー結合区分108a−d内で、又はアンカー結合区分108a、108d、108f、及び108g内で)実施してもよい。
【0047】
応力/歪除去機構112は、周知のばね又はばね様の構成要素であってもよく、又は(i)MEMS共振器100が基材を通して又は基材に固定された点のうちの一つ、幾つか、又は全ての動作によって生じ、アンカーの位置で基材に作用する応力/歪、及び/又は(ii)MEMS共振器100と基材との間のエネルギの伝達を、低減し、なくし、及び/又は最小にする任意の機構であってもよい。
【0048】
アンカー結合区分108の設計(例えば、形状及び幅)は、湾曲区分104の内半径に影響を及ぼし、これによって、(i)MEMS共振器100内又は上の(任意の)節点の位置、並びに(ii)MEMS共振器100の共振周波数に影響を及ぼす。アンカー結合区分108の設計は、湾曲区分104の内半径に影響を及ぼすことに加え、MEMS共振器100の丈夫さ及び/又は安定性にも影響を及ぼす。これに関し、湾曲区分104の近傍でのアンカー結合区分108の形状及び幅を調節することによって(例えば、図11A、図11B、図12A、図12B、図13、及び図14に示すように、湾曲区分104の近傍でアンカー結合区分108に内角丸みを設けることによって)、MEMS共振器100に作用する応力を管理し、制御し、減少し、及び/又は最小にしてもよい。
【0049】
例えば、図11A、図11B、図12A、及び図12Bを参照すると、アンカー結合区分108の幅を増大し(例えば、図12A及び図12Bを、図11A、図11Bに対して参照されたい)、節点106での応力集中を管理し、制御し、減少し、及び/又は最小にしてもよい。このようにして、MEMS共振器100の丈夫さ及び/又は安定性を増大し、高め、及び/又は最適にしてもよい。
【0050】
例えば、MEMS共振器100の丈夫さ及び/又は安定性に影響を及ぼすため、並びに湾曲区分104の内半径、節点106の位置、及びMEMS共振器100の共振周波数に影響を及ぼすため、この他の設計及び/又は形体のアンカー結合区分108を使用してもよい(例えば、図13乃至図20参照)。確かに、アンカー結合区分108の全ての設計は、現在周知であろうと後に開発されようと、本発明の範疇に含まれる。
【0051】
特に、湾曲区分104の近傍での細長いビーム区分102の形状及び幅もまた、MEMS共振器100の丈夫さ及び/又は安定性(詳細には、固定位置として使用される湾曲区分104の応力)に影響を及ぼし、湾曲区分104の内半径、節点の位置、及びMEMS共振器100の共振周波数に影響を及ぼす。これに関し、湾曲区分104の近傍で細長いビーム区分102の幅を拡げることによって、及び/又は湾曲区分104の近傍で細長いビーム区分102に内角丸みを設けることによって、共振器に作用する応力を低減し及び/又は最小にしてもよい。
【0052】
かくして、一実施例では、細長いビーム区分102及び/又はアンカー結合区分108の形状及び幅を制御することによって湾曲区分104の内半径を決定し、これによって、湾曲区分104を細長いビーム区分102に対し、いずれを移動するのかとどのように移動するのかとの間の関係を決定する。湾曲区分104の内半径を決定することに加え、節点の位置、湾曲区分104の近傍での細長いビーム区分102及び/又はアンカー結合区分108の形状により、MEMS共振器100の丈夫さ及び/又は安定性に影響が及ぼされる。これに関し、湾曲区分104の近傍で細長いビーム区分102の幅を拡げることによって、及び/又はアンカー結合区分108の幅を拡げる(又は内角丸みを設ける)ことによって、共振器に作用する応力を管理し、制御し、減少し、最小にし、及び/又は最適にしてもよい。
【0053】
特に、湾曲区分104の近傍に一つ又はそれ以上の節点又は領域を持つように、湾曲区分104の湾曲及び/又は形状を選択し及び/又は設計してもよい。例えば、湾曲区分104が、この湾曲区分104に連結された細長いビーム区分102と違相で移動する場合、特定の湾曲区分104の半径は小さ過ぎる。逆に、特定の湾曲区分104の半径が大き過ぎる場合、湾曲区分104は、その湾曲区分104に連結されたビーム区分102と同相で移動する。各場合において、特定の湾曲区分104は節点を含んでいてもよいし含んでいなくてもよく、これによりエネルギ損失及び/又は基材の応力を最小にし又は低減する。
【0054】
上述のように、作動では、MEMS共振器100のビーム区分102は、同じ周波数で振動する。これに関し、ビーム区分102は、伸長(又はブリージング)動作又はモードで(例えばリング発振器1000(図21A(膨張動作−リング発振器1000’)及び図21B(収縮動作−リング発振器1000’’)を参照されたい)と同様に)、並びにベンディング動作又はモードで振動する。図22A及び図22Bを参照すると、一実施例では、作動中、丸みのある正方形形状のMEMS共振器100のビーム区分102a−dは、第1撓み状態(図22A参照)と、第2撓み状態(図22B参照)との間で振動する。図22A及び図22Bの各撓み状態は、MEMS共振器100のビーム区分102及び湾曲区分104の定置状態と重ねて示してある。
【0055】
特に、第1撓み状態にあるとき、ビーム区分102a−dは、ベンディングに加え、ΔL1の量だけ伸長する。同様に、第2撓み状態にあるとき、ビーム区分102a−dは、ΔL2の量だけ伸長し、第1撓み状態とは逆方向に曲がる。伸長量(即ちΔL1及びΔL2)は、等しくてもよいし等しくなくてもよい。
【0056】
更に、図22A及び図22Bを参照し続けると、湾曲区分104a−d内又は上の節点106a−dには、作動中、移動がほとんど又は全く加わらない。即ちMEMS共振器100が第1撓み状態と第2撓み状態との間で振動するとき、アンカー結合区分108に連結された湾曲区分104a−dの領域又は部分は、夫々、定置である。これらの図には、アンカーは示してない。
【0057】
特に、MEMS共振器100の構造は固有の線型モードで振動する。このように、線型共振器/発振器を提供するための以下に論じる駆動−感知回路の配慮及び必要条件は、厳密でも複雑でもない。これは、ビーム区分102の共振振幅を非常に正確に制御する必要がないためである。これに関し、幾つかの共振器構造(例えば、ダブルクランプ音叉等のダブルクランプビームを持つ共振器)は、出力周波数が共振振幅の関数である非線型モードを有する。この効果は、ビームがベンディングモードから引張(伸長)モードに移行するときに明らかである。ダブルクランプビームは、一次モードでは、この挙動を呈する。これは、振幅が小さい場合には、曲げ応力によって「復元」力が支配されてしまうためである。振幅が大きい場合には、復元力は、引張応力によって支配される。このような状態では、このような場合に周波数を一定に維持するため、ビームの共振振幅を注意深く調整する必要があり、これは、困難であり、追加の複雑さを導入しがちである。
【0058】
感知−駆動電極及び回路は、単端出力信号又は異なる出力信号を提供するように形成されていてもよい。図23を参照すると、単端出力信号形体の一つの例示の実施例では、ビーム区分102を誘導して振動させるため、駆動電極114(これらの電極は駆動回路116に電気的に接続されている)がビーム区分102と併置されている。振動は、一つ又はそれ以上の共振周波数を有する。感知回路118は、ビーム区分102と併置された感知電極120と関連して、一つ又はそれ以上の共振周波数を有する信号を感知し、サンプリングし、及び/又は検出する。これに関し、感知電極120は、振動を表す信号(例えば、共振器構造の振動動作による、ビーム区分102と感知電極120との間の静電容量の変化から得られる信号)を感知回路118に提供するため、ビーム区分102と隣接して配置されている。感知回路118は信号を受け取り、この信号に応じて、例えば共振周波数のクロック信号を出力する。代表的には、感知信号出力は、駆動回路に接続され、電子発振器ループを閉じる。これに関し、電子的駆動信号の位相は、所望のモードを刺激/駆動するのに適当でなければならない。
【0059】
特に、図23に示す例示の実施例では、駆動電極114が共振器構造の外側に配置されており、感知電極120が共振器構造内に配置されているけれども、別の実施例では、駆動電極114を共振器構造内に配置(即ちビーム区分102の内側面と隣接して配置)し感知電極120を共振器構造の外側に配置(即ちビーム区分102の外側面と隣接して配置)する。
【0060】
更に、駆動回路116及び感知回路118並びに駆動電極114及び感知電極120は、従来周知の駆動−感知回路であってもよい。確かに、駆動回路116及び感知回路118は、現在周知であろうと後に開発されようと、任意のMEMS駆動−感知回路であってもよい。
【0061】
更に、駆動電極114及び感知電極120は、ビーム区分102の一つ又はそれ以上の選択された又は所定のハーモニックス(harmonics) を検出するため、ビーム区分102に対して配置即ち位置決めされていてもよい。更に、駆動電極114及び感知電極120の数及び長さは、MEMS共振器の作動を最適化し、高め、及び/又は改良するため、選択してもよい。確かに、駆動電極114及び感知電極120は、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の種類及び/又は形状であってもよい。
【0062】
特に、駆動回路116及び/又は感知回路118は、MEMS共振器構造が載った基材又はMEMS共振器がその上で製造された基材と同じ基材上に一体化されていてもよい。更に、又はその代りに、駆動回路116及び/又は感知回路118は、MEMS共振器構造が載った基材とは物理的に別個の(及び電気的に相互接続された)基材上に一体化されていてもよい。
【0063】
別の実施例では、MEMS共振器100は、差動出力信号を提供するように形成される。この実施例では、感知電極及び駆動電極及び回路は、(実質的に)180°違相の出力信号を提供するように形成されている。このようにして、MEMS共振器100は、振動ビーム区分102(例えば、対称信号ビーム区分)の加算効果によりノイズに対する信号の関係が比較的大きい異なる出力信号対を提供する。
【0064】
図24Aを参照すると、差動出力信号形体の一つの例示の実施例では、ビーム区分102a及び102cを誘導して振動させるため、駆動電極122及び124(差動駆動回路130に電気的に接続されている)がビーム区分102a及び102cと併置されている。これに関し、MEMS共振器100は、平面内で振動し、180°違相の(又は実質的に180°違相の)出力信号を発生する。振動を表す信号(例えば、共振器構造の振動動作により、ビーム区分102と感知電極126及び128との間の静電容量の変化による振動を表す信号)を、一つ又はそれ以上の共振周波数の信号を感知し、サンプリングし、及び/又は検出する差動感知回路132に提供するため、感知電極126及び128がビーム区分102b及び102dと隣接して配置されている。差動感知回路132は信号を受け取り、これに応じて、差動信号対、例えば共振周波数の差動クロック信号を出力する。
【0065】
差動駆動回路130及び差動感知回路132は、従来周知の回路であってもよい。確かに、差動駆動回路130及び差動感知回路132は任意の種類の回路であってもよく(MEMS共振器構造が載っているのと同じ基材に一体化(即ち製造)されていてもよいし、そうでなくてもよい)、これらの回路は全て、現在周知であろうと後に開発されようと、本発明の範疇に含まれる。
【0066】
更に、駆動電極122及び124及び感知電極126及び128は、従来の周知の種類であってもよいし、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の種類及び/又は形状であってもよい。更に、物理的電極機構には、例えば、静電容量性電極機構、圧電抵抗性電極機構、圧電性電極機構、誘導性電極機構、磁気制限性(magnetorestrictive)電極機構、及び熱的電極機構が含まれる。確かに、全ての物理的電極機構は、現在周知であろうと後に開発されようと、本発明の範疇に含まれる。
【0067】
更に、ビーム区分102の一つ又はそれ以上の選択された又は所定のハーモニックスを検出するため、駆動電極114及び感知電極120がビーム区分102に対して配置され即ち位置決めされていてもよい。更に、MEMS共振器の作動を最適化し、高め、及び/又は改良するため、駆動電極114及び感知電極120数及び長さを選択してもよい。
【0068】
特に、差動駆動回路130及び差動感知回路132はMEMS共振器構造が載った基材と同じ基材上に一体化されていてもよい(又はこの基材に製造されていてもよい)。これに加えて、又はこの代りに、差動駆動回路130及び差動感知回路132は、MEMS共振器構造が載った基材とは物理的に別個の(及び電気的に相互接続された)基材上に一体化されていてもよい。
【0069】
図24Aの実施例では、駆動電極122及び124、及び感知電極126及び128は対称に形成されており、これは、MEMS共振器100の対称構造と関連して、ビーム区分102及び湾曲区分104に作用する応力を管理し、結合区分108、アンカー110、及び/又は基材を固定する。このようにして、アンカー結合接合部108は低応力点であり、これにより、MEMS共振器100のエネルギ損失を管理し、最小にし、及び/又は減少する。
【0070】
図24Bを参照すると、差動出力信号形体の別の例示の実施例では、駆動電極122及び124(駆動回路130に電気的に接続されている)は、ビーム区分102を誘導して振動するため、ビーム区分102a及び102bと併置されている。感知電極126及び128は、振動を表す信号を差動感知回路132に提供するため、ビーム区分102c及び102dと隣接して配置されている。差動感知回路132は、信号(一つ又はそれ以上の共振周波数を有する)を受け取り、これに応じて、差動信号対、例えば共振周波数の差動クロック信号を出力する。
【0071】
この実施例では、MEMS共振器100は平面内で振動し、これによって180°違相の(又は実質的に180°違相の)出力信号を発生する。MEMS共振器100の構造は、対称の動作を行うように誘導され、その結果、MEMS共振器100は、正味運動量がゼロであり(理想的には)、基材内に導入される動作(及びこのようなエネルギ損失)がほとんど又は全くない。
【0072】
しかしながら、ビーム区分102を誘導して共振させ、これによって180°違相の(又は実質的に180°違相の)出力信号を発生する感知電極及び駆動電極には、多くの他の形体又は構造がある。このような形体及び/又は構造は、全て、本発明の範疇に含まれる。
【0073】
更に、差動信号形体を実施することにより、駆動電極から感知電極までの静電容量結合の相殺、制限、低減、及び/又は最小化を促す。更に、完全差動信号形体は、基材に結合された電気的及び/又は機械的ノイズに対する感度を大幅に低減できる。更に、差動信号形体でMEMS共振器100を実施することにより、アンカーを通って構造へ及び構造からアンカーへの電荷の流れをなくし、最小にし、及び/又は低減する。このように、基材アンカーと駆動電極及び感知電極との間の電圧降下をなくしてもよい。特に、この電圧降下は、MEMS共振器の電気的伝達関数を、特に比較的高い周波数(例えば100MHz以上の周波数)で劣化し、悪影響を及ぼす。
【0074】
MEMS共振器100のQを管理及び/又は制御するため、温度管理技術を実施するのが有利である。これに関し、ビーム区分102及び/又は湾曲区分104が湾曲するとき、区分の一方の側が延び、これによって延びた領域を僅かに冷却し、他方の側が圧縮され、これによって圧縮領域を僅かに加熱する。熱勾配により、「比較的高温」の側から「比較的低温」の側への拡散が生じる。熱の放散(「熱流」)によりエネルギの損失が生じ、これによりMEMS共振器100のQに影響が及ぼされる(例えば低下する)。この効果は、熱弾性放散(「TED」)と呼ばれ、共振構造のQの主要な制限である。このように、TEDを管理し、制御し、制限し、最小にし、及び/又は低減するため、温度管理技術を実施するのが有利である。
【0075】
一つの温度管理実施例では、図25を参照すると、MEMS共振器100の一つ又はそれ以上のビーム区分102a−d及び湾曲区分104a−dにスロット134が形成してある。これらのスロット134は、作動中にビーム区分102a−d及び湾曲区分104a−dが延びたり縮んだりするとき、ビーム区分102a−dの側部間及び湾曲区分104a−dの側部間の熱流を抑え/減少する。ビーム区分102a−d及び湾曲区分104a−d内での熱伝達を抑え/減少すると、MEMS共振器100のQが高くなる。スロットを使用することによる温度管理方法は、固定点でのゼロ移動の最適化に悪影響を及ぼすということに着目しなければならず、設計上考慮しなければならない(例えばFEA)。
【0076】
特に、温度管理技術は、MEMS共振器100の一つ又はそれ以上のビーム区分102又は一つ又はそれ以上の湾曲区分104で使用してもよく(例えば、図29乃至図31、及び図35乃至図37参照)、又はこれらの両方で使用してもよい(例えば、図26乃至図28、及び図31参照)。これに加えて、又はこの代わりに、温度管理技術は、アンカー結合区分108で実施してもよい(例えば、図33及び図34参照)。スロット134は、例えば正方形、矩形、円形、長円形、及び/又は楕円形を含む任意の形状であってもよい。確かに、幾何学的に又は何らかの他の態様で任意の形状のスロット134を、ビーム区分102、湾曲区分104、及び/又はアンカー結合区分108に組み込んでもよい。
【0077】
本明細書中、多くの発明を説明し且つ例示した。本発明の特定の実施例、特徴、材料、形体、属性、及び利点を説明し且つ例示したが、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかな本発明の多くの他の、並びに異なる及び/又は同様の実施例、特徴、材料、形体、属性、構造、及び利点があるということは理解されるべきである。このように、本明細書中に説明し且つ例示した本発明の実施例、特徴、材料、形体、属性、構造、及び利点は、網羅的ではなく、本発明のこのような他の、同様の、並びに異なる実施例、特徴、材料、形体、属性、構造、及び利点は、本発明の範疇に含まれる。
【0078】
特に、本発明の説明の多くの部分が、丸みのある正方形形状のMEMS共振器(図3乃至図6参照)に関するが、本発明によるMEMS共振器は、湾曲区分即ち丸みのある区分によって連結された複数の細長いビーム区分を含む、任意の幾何学的形状の共振器構造であってもよい。例えば、上文中に言及したように、一実施例では、本発明のMEMS共振器は、図2Aに示すように、湾曲区分によって互いに連結され、丸みのある三角形形状を形成する三つの細長いビーム区分を含んでいてもよい。別の実施例では、本発明のMEMS共振器は、図2Cに示すように、六つのビーム区分及び六つの湾曲区分を含んでいてもよい。丸みのある正方形形状のMEMS共振器に関して上文中に論じた全ての特徴、実施例、及び変形例は、本発明によるその他の形状のMEMS共振器に適用できる(例えば、図38A乃至図38E参照)。簡潔化を図るため、これらについて議論を繰り返さない。
【0079】
本発明のMEMS共振器は、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の感知技術及び駆動技術を使用してもよい。駆動−感知回路(差動回路であろうとなかろうと)を、MEMS共振器構造が載った基材と同じ基材上で一体化されていてもよい(又はこの基材に製造されていてもよい)。これに加えて、又はこの代りに、駆動−感知回路は、MEMS共振器構造が載った基材とは物理的に別個の(及び電気的に相互接続された)基材上に一体化されていてもよい。更に、駆動−感知電極は、従来の種類であってもよいし、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の種類及び/又は形状であってもよい。
【0080】
特に、本発明によるMEMS共振器の寸法、特性、及び/又はパラメータは、有限要素モデル化技術及びシミュレーション技術(例えば、FemLab(コンソール社)、ANSYS(アンシス社)、IDEAS及び/又はABAKUS等のコンピュータを用いる分析エンジンによって実施される有限要素法モデル化)を含む様々な技術、及び/又は経験的データ/計測値を使用して決定できる。例えば、一組の境界条件(例えば、共振器構造の大きさ)を使用する、又はこれらの境界条件に基づく有限要素分析エンジンを使用し、(i)細長いビーム区分102、(ii)湾曲区分104、及び(iii)節点106(存在する場合)(iv)アンカー結合区分108及び/又は(v)応力/歪除去機構112の寸法、特性、及び/又はパラメータ、又は以下に論じる共振器構造の性質を決定し、又は評価してもよい。
【0081】
上文中に言及したように、任意の節点の位置を決定するため、有限要素分析シミュレーションエンジンを使用してもよい。このような節点は、MEMS共振器100が、とりわけエネルギ損失を最小にし及び/又は低減するように基材に固定される適当な位置を提供する。これに関し、MEMS共振器100のビーム区分102は、誘導されたとき、ブリージング様態様及びベンディング様態様で移動する。このように、ビーム区分102の長さ及び湾曲区分104の半径が共振器構造の節点の位置を決定し、これによって、伸長様(ブリージング様)モードによる回転移動がほとんどなくなり、なくなり、又は減少し、並びにベンディング様モードによる半径方向移動がほとんどなくなり、なくなり、又は減少する。MEMS共振器100のビーム区分102の所与の長さ及び湾曲区分104の所与の半径に基づいてこのような節点の位置を決定し又は予想するため、有限要素分析エンジンを使用してもよい。このようにして、MEMS共振器100を固定するための受容可能な、所定の、及び/又はほとんど又は全く動かない(半径方向及び/又は/又は他の方向に)位置を迅速に決定及び/又は確認できる。
【0082】
更に、ビーム区分102、湾曲区分104、及び/又はアンカー結合区分108の作動
中の温度に関する配慮を高めるため、熱−機械的有限要素分析エンジンを使用してもよい。これに関し、熱−機械的有限要素分析エンジンは、MEMS共振器100の作動をモデル化してもよく、これによって、一つ又はそれ以上のビーム区分102、湾曲区分104、及び/又はアンカー結合区分108に形成されるスロットの大きさ、位置、寸法、及び/又は数を決定する。このようにして、温度管理技術を実施したMEMS共振器100の特性を高め及び/又は最適化し、TED損失を最小にし、及び/又は減少する。
【0083】
かくして、上文中に言及したように、本発明の構造の特性の多くを、「FEA」又は「FE分析」としても周知の有限要素モデル化(FEM)で最適化してもよい。
【0084】
ビーム区分102の寸法/設計は、同じ又は実質的に同じであってもよいしそうでなくてもよい(即ち、幅、厚さ、高さ、長さ、及び/又は形状が同じであってもよいしそうでなくてもよい)。更に、湾曲区分104の寸法/設計は、同じ又は実質的に同じであってもよいしそうでなくてもよい(即ち、内半径、幅、厚さ、高さ、長さ、外半径、及び/又は形状が同じであってもよいしそうでなくてもよい)。このように、MEMS共振器100は様々な寸法、形状、及び/又は設計のビーム区分102及び/又は湾曲区分104を含んでもよい。
【0085】
本発明のMEMS共振器は、周知の材料から周知の技術を使用して製造されてもよい。例えば、MEMS共振器は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、又はガリウム砒素等の周知の半導体から製造されてもよい。確かに、MEMS共振器は、周期表のIV族の材料、例えばシリコン、ゲルマニウム、炭素、及び例えばシリコンゲルマニウム又はシリコンカーバイド等のこれらの組み合わせで形成されていてもよく、更に、III−V族の化合物、例えば燐化ガリウム、アルミニウム燐化ガリウム、又はIII−V族の組み合わせで形成されていてもよく、更に、III族の材料、IV族の材料、V族の材料、及びVI族の材料の組み合わせ、例えばシリコンナイトライド、シリコン酸化物、アルミニウムカーバイド、又はアルミニウム酸化物で形成されていてもよく、更に、金属のシリサイド、ゲルマナイド、及びカーバイド、例えばニッケルシリサイド、コバルトシリサイド、タングステンカーバイド、又はプラチナゲルマニウムシリサイドで形成されていてもよく、更に、燐、砒素、アンチモン、硼素、又はアルミニウムをドーピングしたシリコン又はゲルマニウム、炭素、又はシリコンゲルマニウム等の組み合わせで形成されていてもよく、更に、単晶質、多晶質、ナノ結晶質、又は非晶質を含む様々な結晶構造の材料で形成されていてもよく、更に、結晶構造の組み合わせ、例えば単晶領域及び多晶領域を持つ構造(ドーピングの有無に関わらず)で形成されていてもよい。
【0086】
更に、本発明によるMEMS共振器は、周知のリソグラフ技術、エッチング技術、蒸着技術、及び/又はドーピング技術を使用して、絶縁体に半導体を載せた(SOI)構造内に又はその上に形成してもよい。簡潔化を図るため、これらの製造技術についてここでは論じない。しかしながら、本発明の共振器構造を形成し製造するための全ての技術は、現在周知であろうと後に開発されようと、本発明の範疇に含まれる(例えば、標準的な又はオーバーサイズの(「厚い」)水(図示せず)を使用する形成技術、リソグラフ技術、エッチング技術、及び/又は蒸着技術、及び/又は結合技術(即ち、犠牲層(例えばシリコン酸化物)を上側に付着した下ウェーハに上ウェーハを載せた後、薄くし(研削し)、研磨してその中又はその上に機械的構造を受け入れる、二枚の標準的なウェーハを互いに結合する技術)。
【0087】
特に、SOI基材は、第1基材層(例えば半導体(シリコン等)、ガラス、サファイア)、第1犠牲/絶縁層(例えば二酸化シリコン又はシリコンナイトライド)及び第1半導体層(例えばシリコン、ガリウム砒素、又はゲルマニウム)を含んでもよい。機械的構造は、周知のリソグラフ技術、エッチング技術、蒸着技術、及び/又はドーピング技術を使用して、第1半導体層(例えばシリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム砒素)に又はその上に形成してもよい。
【0088】
一実施例では、SOI基材は、周知の技術を使用して製造したSIMOXウェーハであってもよい。別の実施例では、SOI基材は、第1半導体層を持つ従来のSOIウェーハであってもよい。これに関し、比較的薄い第1半導体層を持つSOI基材は、バルクシリコンウェーハを使用して製造されていてもよい。バルクシリコンウェーハは、埋め込まれ、酸素によって酸化され、これによって比較的薄いSiO2を単晶質ウェーハ表面の下に形成する。この実施例では、第1基材層(即ちこの例では単晶質シリコン)に置いた第1犠牲/絶縁層(即ち二酸化シリコン)に第1半導体層(即ち単晶質シリコン)を配置する。
【0089】
本発明によるMEMS共振器構造を、多晶質シリコン又は単晶質シリコンに又はその上に製造した場合には、本発明による特定の幾何学的形状のMEMS共振器構造、例えば丸みのある正方形形状の共振器は、多晶質シリコン又は単晶質シリコンに関して構造的対称性及び材料的対称性を維持する。詳細には、本発明による丸みのある正方形形状のMEMS共振器は、固有に、単晶質シリコンの立方体構造との適合性が高い。標準的なウェーハ(例えば100、010、又は110)の横方向及び斜方方向の各々において、単晶質シリコンの特性は、一つ又はそれ以上の幾何学的形状の共振器と適合する。これに関し、単晶質シリコンの結晶特性は、一つ又はそれ以上の幾何学的形状の共振器構造と同じであるか或いは適当に対称をなす。
【0090】
本発明のMEMS共振器100のパッケージングは、様々な技術及び材料、例えば薄膜技術、基材結合技術(例えば、半導体基材又はガラス様基材の結合)、及び予め製造したパッケージ(例えばTO−8「缶」)を使用して行うことができる。確かに、現在周知であろうと後に開発されようと、任意のパッケージング技術及び/又は製造技術を使用してもよい。このような製造技術及び/又はパッケージング技術は、全て、本発明の範疇に含まれる。例えば、仮特許出願でない以下の特許出願に説明されており且つ例示されたシステム、デバイス、及び/又は技術を実施してもよい。
(1)2003年3月20日に出願され且つ譲渡された「雰囲気が制御された電気機械的システム、及びその製造方法」という表題の米国特許出願第10/392,528号、(2)2003年6月4日に出願され且つ譲渡された「マイクロ電気機械的システム、及びその封入方法及び製造方法」という表題の米国特許出願第10/454,867号、及び(3)2003年6月4日に出願され且つ譲渡された「トレンチアイソレーテッド接点(Trench Isolated Contacts)を持つマイクロ電気機械的システム、及びその製造方法」という表題の米国特許出願第10/455,555号。
【0091】
上掲の特許出願に説明されており且つ例示された発明は、本発明のMEMS共振器の製造に使用してもよい。簡潔化を図るため、説明を繰り返さない。しかしながら、例えば特徴、属性、変形例、材料、技術、及び/又は利点を含むこれらの特許出願の全ての発明/実施例の全内容は、本明細書中に含まれたものとする。
【0092】
MEMS共振器100が、対称に固定された丸みのある正方形形状の共振器構造を実施する(例えば、図4乃至図6、及び図8乃至図10参照)場合には、構造の重心は、作動中、比較的一定のままであり、即ち固定されたままである。これに関し、作動では、第1ビーム区分(例えばビーム区分102a)は第1横方向に移動し、幾らかの垂直方向移動を含み、「反対側」のビーム(例えばビーム区分102c)は横方向逆方向に移動し、逆の垂直方向移動を含む。このようにして、移動が全体に相殺され、このようにして、共振器構造の重心を比較的一定のままにする。特に、丸みのある正方形形状の共振器構造を実施するMEMS共振器100の四つのビーム区分は、ガウスプロセス許容差(Gausian process tolerance) を統計学的に平均し、これによりパラメータを良好に制御する。
【0093】
上文中に言及したように、MEMS共振器100は、現在周知であろうと後に開発されようと、任意の固定技術又は固定構造を使用してもよい。更に、応力/歪管理技術/構造(例えば、応力/歪機構112)は、現在周知であろうと後に開発されようと、本明細書中に説明し且つ例示した任意の固定技術又は固定構造と関連して実施してもよい。例えば、基材アンカー及び/又は応力/歪管理技術/構造を、節点及び/又はアンカーのうちの一つ、幾つか、又は全てに配置してもよい。(例えば、図7A、図7B、及び図8乃至図10を参照されたい。)他の基材固定応力/歪管理技術もまた適している。(例えば、図39乃至図41を参照されたい。)確かに、MEMS共振器100を、節点のところで基材アンカー(及び応力/歪機構112)に、(例えばMEMS共振器100の「中央」を中心として対称に又は非対称に連結してもよい。
【0094】
特許請求の範囲では、「直線状の細長いビーム区分」という用語は、(i)直線状の又は実質的に直線状の細長いビーム区分、及び/又は(ii)ビームの厚さ及び/又は幅の変化に関わらず、長さ方向軸線が直線状の又は実質的に直線状の細長いビーム、及び/又は(iii)湾曲区分よりもかなり直線状のビームを意味する。
【0095】
更に、特許請求の範囲では、「スロット」という用語は、任意の形状及び/又は大きさの開口部、空所、及び/又はスロット(ビーム区分の全高/前厚を通って部分的に又は完全に延びる)を意味する。
【0096】
本発明の以上の実施例は、単なる例である。これらの実施例は網羅的ではなく、即ち本発明を開示の正確な形態、技術、材料、及び/又は形体に限定しようとするものではない。以上の教示に鑑みて多くの変形及び変更を行うことができる。本発明の範囲から逸脱することなく、この他の実施例を使用してもよく、作動上の変更を行ってもよいということは理解されるべきである。このように、本発明の例示の実施例の以上の説明は、例示及び説明を目的としてなされたものである。以上の教示に鑑みて多くの変形及び変更を行うことができる。本発明の範囲を、以上の詳細な説明のみによって限定しようとするものではない。
【符号の説明】
【0097】
100 MEMS共振器
102 ビーム区分
104 湾曲区分
106 節点
108 固定結合区分
110 アンカー
112 応力/歪除去機構
114 駆動電極
116 駆動回路
118 感知回路
120 感知電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電気機械的共振器構造において、
各々が第1端及び第2端を持つ複数の細長い直線状ビーム区分と、
各々が第1端及び第2端を持つ複数の湾曲区分であって、少なくとも一つの湾曲区分が節点を持つ、湾曲区分とを含み、
前記ビーム区分の各端は前記湾曲区分のうちの一つの関連した端に連結されており、これによって所定の幾何学的形状を形成し、更に、
少なくとも一つのアンカー結合区分と、
前記共振器構造を基材に固定するため、前記アンカー結合区分を介して前記節点に連結された基材アンカーとを含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
前記基材アンカーと前記節点との間に連結された応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分は、第1、第2、及び第3の細長い直線状ビーム区分を含み、
前記複数の湾曲区分は、第1、第2、及び第3の細長い湾曲区分を含み、
前記幾何学的形状は、丸みのある三角形形状である、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項4】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記前記複数の細長い直線状ビーム区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い直線状ビーム区分を含み、
前記複数の湾曲区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い湾曲区分を含み、
前記幾何学的形状は、丸みのある矩形形状である、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記前記複数の細長い直線状ビーム区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い直線状ビーム区分を含み、
前記複数の湾曲区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い湾曲区分を含み、
前記幾何学的形状は、丸みのある正方形形状である、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
各湾曲区分は、少なくとも一つの節点を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項7】
請求項6に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記基材アンカーは、前記湾曲区分の各々の前記少なくとも一つの節点に連結されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項8】
請求項7に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
前記基材アンカーと、各湾曲区分の少なくとも一つの節点の各節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項9】
請求項6に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記基材アンカーは複数のアンカーを含み、各湾曲区分の少なくとも一つの節点は、前記共振器構造を基材に固定するため、前記複数のアンカーのうちの少なくとも一つに連結されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項10】
請求項9に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
各アンカーと各湾曲区分の少なくとも一つの節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項11】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分の一つには、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項12】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の湾曲区分の一つには、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項13】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分のうちの各細長い直線状ビーム区分の幅は、中央におけるよりも端部のところで大きい、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項14】
請求項1に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分は、その端部に内角丸みが設けてある、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項15】
マイクロ電気機械的共振器構造において、
各々が第1端及び第2端を含む複数の細長い直線状ビーム区分と、
各々が第1端及び第2端を持つ複数の湾曲区分であって、各湾曲区分が節点を持つ、湾曲区分とを含み、
前記ビーム区分の各端は、前記湾曲区分のうちの一つの関連した端に連結されており、これによって所定の幾何学的形状を形成し、更に、
複数のアンカー結合区分と、
前記共振器構造を基材に固定するため、前記複数のアンカー結合区分を介して各湾曲区分の前記節点に連結された基材アンカーとを含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項16】
請求項15に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
複数の応力/歪除去機構を含み、各応力/歪除去機構は、前記基材アンカーと関連した節点との間に連結されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項17】
請求項15に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状のビーム区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い直線状ビーム区分を含み、
前記複数の湾曲区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い湾曲区分を含み、
前記幾何学的形状は、丸みのある正方形形状である、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項18】
請求項15に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記基材アンカーは複数のアンカーを含み、前記共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点は前記複数のアンカーのうちの少なくとも一つに連結されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項19】
請求項18に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
前記複数のアンカーのうちの関連したアンカーと、各湾曲区分の少なくとも一つの節点の関連した節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項20】
請求項18に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
各湾曲区分の前記節点は、前記湾曲区分の内部分に配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項21】
請求項18に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
各湾曲区分の前記節点は、前記湾曲区分の外部分に配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項22】
請求項15に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状のビーム区分には、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項23】
請求項15に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の湾曲区分には、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項24】
マイクロ電気機械的共振器構造において、
各々が第1端及び第2端を含む複数の細長い直線状ビーム区分と、
各々が第1端及び第2端を持ち、各々が少なくとも一つの節点を持つ複数の、湾曲区分とを含み、
前記ビーム区分の各端は前記湾曲区分のうちの一つの関連した端に連結されており、これによって所定の幾何学的形状を形成し、更に、
共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点に連結された基材アンカーと、
複数の感知電極と、
複数の駆動電極であって、前記感知電極及び前記駆動電極は、前記複数の細長い直線状ビーム区分と併置された、駆動電極と、
出力信号を提供するため、前記感知電極に連結された感知回路とを含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項25】
請求項24に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記感知電極は、前記感知回路に一つ又はそれ以上の信号を提供し、前記感知回路は、これらの信号に応じて、差動出力信号を提供する、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項26】
請求項25に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
前記基材アンカーと関連した節点との間に各々連結された複数の応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項27】
請求項24に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記感知電極は、前記感知回路に一つ又はそれ以上の信号を提供し、前記感知回路は、これらの信号に応じて、単端出力信号を提供する、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項28】
請求項25に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い直線状ビーム区分を含み、
前記複数の湾曲区分は、第1、第2、第3、及び第4の細長い湾曲区分を含み、
前記幾何学的形状は、丸みのある正方形形状である、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項29】
請求項28に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記基材アンカーは、マイクロ電気機械的共振器構造の丸みのある正方形形状内に配置
されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項30】
請求項28に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記基材アンカーは複数のアンカーを含み、前記共振器構造を基材に固定するため、各湾曲区分の少なくとも一つの節点が前記複数のアンカーのうちの少なくとも一つに連結されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項31】
請求項30に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、更に、
前記複数のアンカーのうちの関連したアンカーと各湾曲区分の少なくとも一つの節点の関連した節点との間に連結された複数の応力/歪除去機構を含む、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項32】
請求項30に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
各湾曲区分の前記節点は、前記湾曲区分の内部分に配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項33】
請求項30に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
各湾曲区分の前記節点は、前記湾曲区分の外部分に配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項34】
請求項25に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の細長い直線状ビーム区分には、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。
【請求項35】
請求項25に記載のマイクロ電気機械的共振器構造において、
前記複数の湾曲区分には、複数のスロットが配置されている、マイクロ電気機械的共振器構造。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38A】
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【図38B】
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【図38C】
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【図38D】
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【図38E】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−105259(P2012−105259A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−232743(P2011−232743)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2008−512325(P2008−512325)の分割
【原出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】