説明

マグネシウム合金コイル材

【課題】マグネシウム合金からなる長尺な板材を巻き取ったコイル材であって、その全長に亘って厚さのばらつきが小さいマグネシウム合金コイル材、マグネシウム合金コイル材の研削方法、マグネシウム合金用研削装置、及びマグネシウム合金板を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金コイル材から繰り出されて走行する板材(素材板100)を研削ベルト13により研削するにあたり、素材板100の幅方向の複数箇所の厚さを厚さ測定器(フォワードセンサ31)により測定し、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップの幅方向の大きさが不均一になるように調整してから研削する。上記研削工程により、研削後の研削板1の全長に亘って、当該研削板1の幅方向における厚さのばらつきを40μm以内とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工といった塑性加工が施されてなるマグネシウム合金部材の素材に適したマグネシウム合金コイル材及びマグネシウム合金板、このコイル材の製造に適したマグネシウム合金コイル材の研削方法及びマグネシウム合金用研削装置に関するものである。特に、全長に亘って幅方向の厚さのばらつきが小さいマグネシウム合金コイル材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軽量で比強度、比剛性に優れるマグネシウム合金が、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータといった携帯用電気・電子機器類の筐体や自動車部品などの各種の部材の構成材料に利用されてきている。
【0003】
マグネシウム合金からなる部材は、ダイカスト法やチクソモールド法による鋳造材(ASTM規格のAZ91合金)が主流である。近年、ASTM規格のAZ31合金に代表される展伸用マグネシウム合金からなる板にプレス加工を施した部材が使用されつつある。特許文献1は、ASTM規格におけるAZ91合金相当のマグネシウム合金を双ロール連続鋳造法により製造した鋳造板に圧延を施し、この圧延板にプレス加工を施したプレス加工部材を開示している。
【0004】
上記圧延を行う際、通常、潤滑剤を利用して摩擦抵抗を低減する。そして、圧延後の研磨により(特許文献1の明細書0015,0030)、圧延板の表面に残存する潤滑剤や、同表面に形成された酸化層などを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-120877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のプレス加工部材といったマグネシウム合金部材の製造にあたり、素材として、連続した長尺板を利用すると、所定の長さに切断したシート板を利用する場合と比較して、歩留まりを低減でき、生産性を高められると期待される。従って、長尺な圧延板やこの圧延板に上記研磨を施した板材を巻き取ったコイル材は、マグネシウム合金部材を量産する場合に好適な素材と言える。
【0007】
しかし、上記マグネシウム合金からなるコイル材では、その全長に亘って、当該コイル材を構成する板材(代表的には圧延板)の厚さのばらつきを小さくすることが難しい、という問題がある。
【0008】
ここで、鋼などの鉄系合金、アルミニウムやその合金からなるコイル材は、一般に、冷間圧延により製造される。この冷間圧延に利用される圧延機には、加工発熱などにより、圧延後の圧延板においてその幅方向の厚さや長手方向の厚さがばらつくことを抑制するための種々の機構が設けられており、圧延時、圧延板の厚さを非常に高精度に制御する。従って、上記鋼などのコイル材では、その全長に亘って、幅方向及び長手方向の厚さのばらつきが小さい。
【0009】
これに対して、マグネシウム合金は、常温(約20℃程度)での塑性加工性に劣るため、特許文献1に記載されるように、温間で圧延を行う。温間圧延を行うことで、加熱された素材自体が変形し易い。そのため、圧延された圧延板の幅方向の厚さや長手方向の厚さにばらつきが生じ易い。
【0010】
また、素材に加えて圧延ロールも加熱している場合、この加熱及び加工発熱などの熱による圧延ロールの熱膨張に伴う変形、その他、圧延時の押圧力の反力による圧延ロールの変形(撓み)などの影響によっても、圧延板の幅方向の厚さや長手方向の厚さのばらつきが生じ易い。更に、圧延ロールの形状などによっても、圧延板の幅方向の厚さのばらつきが生じる原因となる。
【0011】
加えて、圧延に供する素材自体に厚さのばらつきがある場合がある。ここで、圧延板自体も長尺材とする場合、その素材となる鋳造材は鋳塊(スラブ)ではなく、長尺材であることが望まれる。長尺な鋳造材の製造には、特許文献1に記載されるような双ロール連続鋳造法といった連続鋳造法を利用することができる。しかし、鋳造材の全長が30m以上、更に50m以上であったり、重さが100kg以上であったりする非常に長尺な鋳造材を製造する場合、上述のような連続鋳造法を利用していても、例えば、鋳造初期と、鋳造終期とで厚さのばらつきが生じる恐れがある。
【0012】
更に、素材の幅が広い場合、特に、100mm以上といった広幅になると、素材の幅方向の中心部は加熱状態が維持され易く、同両縁部又は両側部は冷却され易い傾向にある。このことからも、圧延板の幅方向の厚さのばらつきが生じ易い。
【0013】
このような背景から、マグネシウム合金コイル材の製造にあたり、圧延時に厚さのばらつきを低減することには、限界がある。
【0014】
なお、上記シート板では、長手方向の厚さのばらつきを制御し易い上に、ばらつきが大きい箇所をシート板単位で容易に除去できるため、歩留まりの低下をある程度抑制できる。しかし、長尺板を巻き取ってなるコイル材を製造する場合、厚さのばらつきが大きい部分が存在すると、そのコイル材全体としての商品価値を失い、歩留まりが低下する。
【0015】
従って、上述のような長尺板を巻き取ってなるマグネシウム合金コイル材を製造するにあたり、上記板材の幅方向及び長手方向の双方に亘って厚さのばらつきを低減するための方法の開発が望まれる。
【0016】
そこで、本発明の目的の一つは、全長に亘って厚さのばらつきが少ないマグネシウム合金コイル材、及びこのコイル材から製造されたマグネシウム合金板を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、全長に亘って厚さのばらつきが少ないマグネシウム合金コイル材を製造することができるマグネシウム合金用研削装置、及びマグネシウム合金コイル材の研削方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述のように温間圧延を施すマグネシウム合金では、圧延時に厚さのばらつきが生じ易いことから、本発明では、圧延後の研削工程において、厚さのばらつきを是正することを提案する。
【0019】
本発明のマグネシウム合金コイル材の研削方法は、マグネシウム合金からなる長尺な板材を巻き取ってなるコイル材を製造するにあたり、当該板材の全長に亘って厚さのばらつきを低減するために特定の条件で研削を行うことを規定する。より具体的には、本発明研削方法は、まず、マグネシウム合金からなるコイル材から繰り出されて走行する板材の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定する。次に、上記厚さのばらつきを小さくするために、研削ベルトを回転するコンタクトロールと、上記板材を上記コンタクトロールとで挟持するビリーロールとの間のギャップに対して、その幅方向の大きさが不均一となるように増減する。そして、上記調整されたギャップ間に上記板材を搬送して、上記研削ベルトにより研削し、研削後の研削板の全長に亘って、当該研削板の幅方向の厚さのばらつきを40μm以内とする。
【0020】
上記本発明マグネシウム合金コイル材の研削方法には、以下の本発明マグネシウム合金用研削装置を好適に利用することができる。本発明研削装置は、マグネシウム合金からなるコイル材から繰り出されて走行する板材を研削する装置であり、上記板材を研削する研削ベルトと、上記板材の厚さを測定する上流側の厚さ測定器と、上記板材を通過させるコンタクトロールとビリーロールとの間のギャップを調整するロール調整手段と、このロール調整手段の動作を制御する制御部とを具える。上記厚さ測定器は、上記研削ベルトの上流側に配置されて、上記板材の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定する。上記ロール調整手段は、上記研削ベルトを回転するコンタクトロールと、上記板材を上記コンタクトロールとで挟持するビリーロールとの間のギャップに対して、その幅方向の大きさが不均一になるように増減して、上記板材の幅方向における押圧状態を部分的に異ならせる。上記制御部は、上記上流側の厚さ測定器の測定結果に基づいて、研削後の研削板の全長に亘って、当該研削板の幅方向の厚さのばらつきが40μm以内となるように上記ロール調整手段を動作させる。
【0021】
上記本発明研削方法や上記本発明研削装置を利用して研削することで、例えば、以下の本発明マグネシウム合金コイル材が得られる。本発明のマグネシウム合金コイル材は、マグネシウム合金からなる長尺な板材が巻き取られてなるものである。特に、このコイル材では、上記板材の全長に亘って、当該板材の幅方向の表面粗さが、最大高さRzで20μm以下、算術平均粗さRaで1.2μm以下、及び十点平均粗さRzで12μm以下の少なくとも一つを満たし、当該板材の幅方向の厚さのばらつきが40μm以内である。
【0022】
本発明マグネシウム合金コイル材において全長に亘るとは、以下を言う。
上記コイル材の全長が100m未満の場合、両端からそれぞれ全長の5%を切断したトリミング材に対し、当該トリミング材の全長の10%に相当する長さごとに切断し、全ての切断片に対して上記表面粗さ及び厚さのばらつきを測定し、全ての切断片が上記規定を満たす。
上記コイル材の全長が100m以上の場合、両端からそれぞれ5mを切断したトリミング材に対し、当該トリミング材を10mごとに切断し、全ての切断片に対して上記表面粗さ及び厚さのばらつきを測定し、全ての切断片が上記規定を満たす。
表面粗さ及び厚さの測定方法は後述する。
【0023】
本発明研削方法や本発明研削装置を用いて研削する場合は、上述のように走行するマグネシウム合金板材が研削ベルトに供される直前において、当該板材の幅方向の厚さのばらつきを測定し、このばらつきを是正するために、研削ベルトの幅方向の研削量が異なるようにコンタクトロールとビリーロールとの間のギャップの幅方向の大きさを変更する。つまり、本発明研削方法や本発明研削装置を用いた研削方法では、フィードフォワード制御の研削により、素材の幅方向の厚さのばらつきを低減する。
【0024】
上記構成により、素材となるマグネシウム合金板材(代表的には圧延板)の幅方向の厚さのばらつきが大きい場合であっても、当該幅方向の厚さのばらつきを小さくする、具体的には40μm以下(±20μm以内)とすることができる。従って、本発明研削方法や本発明研削装置によれば、例えば、重さが100kg以上であったり、全長が100m以上といった長尺板や、幅が100mm以上といった広幅板であって、その幅方向の厚さのばらつきが小さい板材を連続して製造できる。即ち、本発明研削方法や本発明研削装置によれば、板材の幅方向及び長手方向のいずれにおいても厚さのばらつきが小さい、つまりは全長に亘って厚さのばらつきが小さいマグネシウム合金コイル材(代表的には本発明コイル材)を製造できる。また、本発明研削方法や本発明研削装置によれば、厚さの調整に加えて、潤滑剤や酸化層を除去できるため、表面が平滑で表面性状に優れるマグネシウム合金コイル材を製造することができる。即ち、本発明研削方法や本発明研削装置によれば、厚さのばらつきの是正と、表面性状の向上とを一つの工程で行うことができる。
【0025】
本発明コイル材は、当該コイル材を構成する板材がその幅方向及びその長手方向の双方に亘って厚さが均一的である。従って、本発明コイル材は、例えば、プレス加工や鍛造などの塑性加工(2次加工)が施されるマグネシウム合金部材の素材に好適に利用することができる。特に、本発明コイル材は、長尺な板材から構成されることから、上記マグネシウム合金部材の量産に寄与することができると期待される。
【0026】
また、本発明コイル材は、研削が施されていることで平滑な表面を有しており、当該コイル材を構成する板材の全長に亘って、上述のように表面粗さが小さい。研削ベルトの砥粒の粒度を変化させることで、表面粗さを更に小さくできる。例えば、本発明コイル材の一形態として、当該板材の幅方向の表面粗さが、最大高さRzで10μm以下、算術平均粗さRaで0.6μm以下、及び十点平均粗さRzで6μm以下の少なくとも一つを満たす形態、更に、最大高さRzで5μm以下、算術平均粗さRaで0.3μm以下、及び十点平均粗さRzで3μm以下の少なくとも一つを満たす形態が挙げられる。
【0027】
本発明コイル材の一形態として、上記板材の幅が100mm以上、全長が200m以上である形態、上記板材の幅が200mm以上、全長が400m以上である形態が挙げられる。
【0028】
上記本発明研削方法や上記本発明研削装置に供する素材として、広幅で長尺な素材、例えば、幅が100mm以上、全長が200m以上の圧延板からなる圧延コイル材を利用することで、上述のような広幅で長尺な本発明コイル材が得られる。更に、上記素材として、幅が200mm以上、全長が400m以上の圧延板からなる圧延コイル材を利用することで、上述のような更に広幅で更に長尺な本発明コイル材が得られる。このような広幅で長尺なコイル材は、携帯用機器の部品といった小型なものから、輸送機器の部品といった大型なものまで、種々の大きさのマグネシウム合金部材を製造するにあたり、その素材に好適に利用することができる。
【0029】
本発明コイル材の一形態として、上記コイル材の重さが100kg以上である形態、上記コイル材の重さが200kg以上である形態が挙げられる。
【0030】
上記の大重量のコイル材は、当該コイル材を構成する板材の幅や厚さにもよるが、厚さが薄いほど、例えば、板材の厚さが1mm以下といった薄板であると、上述のような全長が200m以上、更に400m以上といった長尺材や、幅が100mm以上、更に200mm以上といった広幅材となる。即ち、コイル材の重さを長尺であることや広幅であることを示す指標として利用することができる。このような大重量のコイル材も、上述のように素材として、長尺材や幅広材を利用することで製造することができる。
【0031】
本発明研削方法や本発明研削装置は、種々の元素を添加元素とするマグネシウム合金(残部Mg及び不純物)に適用できると期待される。特に、添加元素の濃度が高い合金、具体的には合計含有量が7.3質量%以上であるマグネシウム合金は、常温(約20℃程度)での塑性加工性に劣ることから、上述のように温間圧延を行う必要がある。そのため、上述のように長尺や広幅の圧延板を形成しようとすると、全長に亘って厚さのばらつきが生じ易い傾向にあることから、本発明研削方法や本発明研削装置は、添加元素が高濃度であるマグネシウム合金に特に好適に適用できると期待される。そして、このような本発明研削方法により得られる本発明コイル材も種々の組成のマグネシウム合金からなる形態をとり得る。
【0032】
具体的な添加元素としては、Al,Zn,Mn,Si,Be,Ca,Sr,Y,Cu,Ag,Sn,Li,Zr,Ce及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素が挙げられる。不純物は、例えば、Fe,Niなどが挙げられる。
【0033】
特に、Alを含有するMg-Al系合金は、耐食性に優れる上に、強度、耐塑性変形性といった機械的特性にも優れる。Alの含有量が多いほど上記効果が高い傾向にあり、4.5質量%以上、更に7質量%、特に、7.3質量%以上が好ましい。但し、Alの含有量が12質量%を超えると塑性加工性の低下を招くことから、上限は12質量%、更に11質量%が好ましい。
【0034】
Mg-Al系合金のより具体的な組成は、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg-Al-Zn系合金、Zn:0.2質量%〜1.5質量%)、AM系合金(Mg-Al-Mn系合金、Mn:0.15質量%〜0.5質量%)、Mg-Al-RE(希土類元素)系合金、AX系合金(Mg-Al-Ca系合金、Ca:0.2質量%〜6.0質量%)、AJ系合金(Mg-Al-Sr系合金、Sr:0.2質量%〜7.0質量%)などが挙げられる。
【0035】
本発明の一形態として、上記マグネシウム合金がAlを8.3質量%以上9.5質量%以下含有する形態が挙げられる。
【0036】
Alを7.3質量%以上12質量%以下含有する形態、特に上述のようにAlを8.3質量%〜9.5質量%含有する形態は、強度に優れる上に耐食性にも優れる。Alを8.3質量%〜9.5質量%含有する合金として、更にZnを0.5質量%〜1.5質量%含有するMg-Al-Zn系合金、代表的にはAZ91合金が挙げられる。
【0037】
上記列挙した元素のうち、Al以外の元素を含む場合、各元素の含有量は、0.00001質量%以上20質量%以下、合計含有量は、50質量%以下が挙げられる。
【0038】
特に、上記マグネシウム合金が、Y,Ce,Ca,及び希土類元素(Y,Ceを除く)から選択される少なくとも1種の元素を合計0.001質量%以上、好ましくは合計0.1質量%以上5質量%以下含有し、残部がMg及び不純物からなる場合は、耐熱性、難燃性に優れる。希土類元素の含有量は0.1質量%以上が好ましく、特に、Yの含有量は0.5質量%以上が好ましい。
【0039】
本発明研削装置の一形態として、上記研削ベルトの下流側に配置されて、研削後の上記研削板の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定する下流側の厚さ測定器と、上記下流側の厚さ測定器の測定結果に基づいて、上記研削ベルトによる研削量を増加するために、上記板材の搬送速度、及び上記研削ベルトの回転速度の少なくとも一方を制御する速度制御部とを具える形態が挙げられる。
【0040】
本発明研削装置に供する素材の幅方向の厚さのばらつきが大きい場合、上述のようにフィードフォワード制御を行っても、当該ばらつきを十分に小さくすることが難しい場合があり得る。その場合、素材に対する研削量(絶対量)を大きくすることで、上記ばらつきを小さくし易いと期待される。そこで、上記フィードフォワード制御に加えて、フィードバック制御が可能な構成を提案する。具体的には、上述のように研磨ベルトの下流側にも厚さ測定器を配置して、研削後の研削板の幅方向の厚さのばらつきを測定し、このばらつきを是正するために、板材の搬送速度を低下したり(遅くしたり)、研削ベルトの回転速度を増大して(速くして)研削ベルトの周速を速くさせたりする。上記構成により、例えば、幅方向の厚さのばらつきが大きい圧延板を素材にした場合であっても、その全長に亘って厚さのばらつきが小さい板材をより確実に製造することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明マグネシウム合金コイル材及び本発明マグネシウム合金板は、その全長に亘って厚さのばらつきが小さい。本発明マグネシウム合金コイル材の研削方法及び本発明マグネシウム合金用研削装置は、長尺な板材の全長に亘って厚さのばらつきが小さいコイル材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、実施形態1に係るマグネシウム合金用研削装置の概略構成図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るマグネシウム合金用研削装置に具える制御部の機能ブロック図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るマグネシウム合金用研削装置において、コンタクトロールとビリーロールとの配置形態を説明する説明図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るマグネシウム合金用研削装置を用いて、素材を研削するにあたり、厚さの調整手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な形態を説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
【0044】
[実施形態1]
図1を参照して、実施形態1に係るマグネシウム合金用研削装置を説明する。この研削装置10は、長尺な板材(以下、素材板100と呼ぶ)を走行させて、その表面を研削ベルト13により研削する装置である。長尺な素材板100は、巻き取られてコイル材を構成するものであり、繰出しドラム41に配置されて繰り出されて研削ベルト13により研削が施され、研削された板材(以下、研削板1と呼ぶ)を巻取りドラム42により巻き取ることで、素材板100及び研削板1が一体となって連続して走行する。この研削装置10の特徴とするところは、素材板100の表面に存在する潤滑剤やその表面に形成された酸化層といった表面異物を除去すると共に、素材板100の幅方向の厚さのばらつきを小さくするための厚さ調整機構を具えることにある。
【0045】
まず、対象とする素材板100を説明し、その後、研削装置10をより詳しく説明する。
【0046】
(素材板)
ここでは、素材板100は、マグネシウム合金からなる長尺な圧延板を巻き取った圧延コイル材を巻き戻したものである。圧延コイル材は、例えば、マグネシウム合金を双ロール鋳造法といった連続鋳造法により長尺な鋳造板を作製して巻き取り、この巻き取った鋳造コイル材を巻き戻して、鋳造板に少なくとも1パスの温間圧延を施して長尺な圧延板を作製し、この圧延板を巻き取ることで得られる。
【0047】
急冷凝固が可能な連続鋳造法を利用することで、酸化物や偏析などを低減できる上に、10μm超といった粗大な晶析出物の生成を抑制できて好ましい。特に、双ロール連続鋳造法は、剛性及び熱伝導性に優れ、偏析が少ない鋳造板を形成し易い。
【0048】
上記鋳造板の厚さ、幅、及び長さは、適宜選択することができる。例えば、厚さが10mm以下、更に7mm以下、特に5mm以下であると、偏析などが存在し難く、強度に優れる。また、長さが30m以上、更に50m以上、とりわけ100m以上といった長尺な鋳造板や、幅が100mm以上、更に200mm以上、とりわけ250mm以上といった広幅な鋳造板を圧延板の素材とすると、長尺な圧延板や広幅な圧延板を作製でき、この圧延板を巻き取った圧延コイル材は、プレス加工部材といった塑性加工部材の素材に好適に利用することができる。なお、特に、鋳造コイル材の内径が小さい場合、鋳造板を巻き取る直前で150℃以上に加熱した状態で巻き取ると、割れが生じることなく巻き取ることができて好ましい。また、圧延前に、鋳造板の両縁部(幅方向の両側部)をトリミングしておくと、鋳造板の両縁部に割れが生じている場合でも、その割れが圧延時に進展することを防止できる。圧延板にもトリミングを施してもよい。
【0049】
上記圧延は、上記鋳造板を含む素材を150℃以上400℃以下に加熱して行う温間圧延を含む。上記温度範囲で素材を加熱することで、素材の塑性加工性を高められ、1パスあたりの圧下率を例えば、10%〜30%程度に高めても割れが生じ難い。また、上記温度範囲とすることで、素材表面の焼付きなどによる劣化の抑制、圧延ロールの熱劣化の抑制を図ることができる。上記素材の加熱温度は、350℃以下、更に300℃以下、とりわけ280℃以下が好ましい。素材だけでなく圧延ロールも加熱したり、特開2007-098470号公報に開示される制御圧延、その他公知の条件などを利用して、圧延することができる。なお、上記鋳造板に溶体化処理(例えば、加熱温度:350℃〜420℃、保持時間:1時間〜40時間)を施してから、圧延を施していもよい。
【0050】
上記温間圧延を含む圧延は、1パスでも複数パス行ってもよい。複数パスの圧延を行うことで、厚さが薄い圧延板が得られる上に、圧延板を構成する組織の平均結晶粒径を小さくしたり(例えば、10μm以下、好ましくは5μm以下)、プレス加工といった塑性加工性を高められる。所望の厚さの圧延板が得られるように、パス数、各パスの圧下率、及び総圧下率を適宜選択することができる。
【0051】
上記圧延板の厚さ、幅、及び長さは、適宜選択することができる。特に、上記圧延板をプレス加工部材といった塑性加工部材の素材に利用する場合、厚さは0.1mm以上2.0mm以下が好適であり、0.3mm〜1.2mmが利用し易い。また、長さが50m以上、更に100m以上、とりわけ200m以上といった長尺材や、幅が100mm以上、更に200mm以上、とりわけ250mm以上といった広幅材とし、これらを上記塑性加工部材の素材に利用すると、当該塑性加工部材を連続的に製造可能である。従って、上記長尺材や広幅材を巻き取った圧延コイル材は、上記塑性加工部材の生産性の向上に寄与することができる。
【0052】
但し、上記圧延コイル材を構成する圧延板の厚さは、上述のような長尺や広幅となると、当該圧延板の幅方向や長手方向においてばらつきが生じ易い。そこで、全長に亘って所望の厚さ(例えば、0.1mm〜2.0mm)となるように、研削装置10を利用して、厚さのばらつきを是正する。
【0053】
(繰出しドラム/巻取りドラム)
研削対象となる上記圧延コイル材は、繰出しドラム41に配置されて繰り出され、研削装置10の研削ベルト13により研削が施されて研削板1となる。この研削板1を巻取りドラム42により巻き取ることで、全長に亘って厚さのばらつきが小さいマグネシウム合金コイル材を製造することができる。
【0054】
両ドラム41,42は、ドラム駆動部45(図2)により動作が制御される。ドラム駆動部45は、ドラム41,42を回転させるための動力源となるモータ(図示せず)といった動力手段と、回転動作のON/OFFやドラム41,42の回転数(回転速度)、回転方向などを制御するドラム制御部(図示せず)とを具える。このドラム制御部は、後述する制御部20からの命令により、上記回転数などを制御する。
【0055】
(研削装置)
研削装置10は、素材板100の研削に直接関与する研削機構と、素材板100に研削を施すにあたり、素材板100の厚さのばらつきの低減に寄与する厚さ調整機構とを具える。
【0056】
<研削機構>
研削機構は、素材板100を研削する研削ベルト13と、研削ベルト13が掛け渡されるコンタクトロール11及び遊動ロール14と、素材板100を挟んでコンタクトロール11と対向する位置に配置されるビリーロール12とを具える。
【0057】
研削ベルト13は、適宜な粒度の砥粒を具える無限軌道である。上記粒度(メッシュサイズ)は、適宜選択することができ、大きいほど、表面が平滑な研削板を製造できる。例えば、粒度は、♯320以上、更に♯400以上、特に♯600以上を好適に利用することができる。
【0058】
研削ベルト13の回転方向は、素材板100の搬送方向と同じ方向(ダウンカット)、搬送方向と逆方向(アップカット)のいずれも利用可能であり、表面粗さを低減する場合、ダウンカットが好ましく、研削量を多くする場合、研削効率が高いアップカットが好ましい。
【0059】
上記研削ベルト13は、コンタクトロール11をモータなどの動力源で回転する主動ロールとし、遊動ロール14を従動ロールとし、コンタクトロール11が回転することで、回転する。また、素材板100を挟んで対向配置されるビリーロール12も、モータなどの動力源で回転する。ビリーロールの回転速度(周速)は、素材板100(研削板1)の搬送速度(ライン速度)と同等としている。
【0060】
素材板100は、回転する研削ベルト13により研削される。このとき、素材板100はコンタクトロール11,ビリーロール12に挟持されることで安定して研削が施される。また、ビリーロール12の回転により、研削された研削板1は上流側から下流側に安定して送り出され、巻取りドラム42に巻き取られる。
【0061】
また、ここでは、ビリーロール12を回転可能に支持する軸受(図示せず)を素材板100の厚さ方向(図1では上下方向)に移動可能な構成としている。移動機構(図示せず)によりビリーロール12をコンタクトロール11に近接離反するように移動させることで、両ロール11,12間のギャップを調整して、研削量を増減できる。
【0062】
更に、研削装置10は、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップに対して、その幅方向の大きさが不均一となるように増減するためのロール調整手段を具える。そして、研削装置10を用いた本発明研削方法では、このロール調整手段の調整動作を研削途中に行うことを最大の特徴とする。
【0063】
ここでは、ロール調整手段として、ビリーロール12の幅方向の中心部を押圧可能なセンターシリンダ150と、ビリーロール12の両端に配置された軸受をそれぞれ押圧可能な一対のサイドシリンダ151,152を具える。ビリーロール12は、上記シリンダ150〜152によりコンタクトロール11側に常時押圧されて加圧状態に保持される。
【0064】
例えば、上記シリンダ150,151,152により、研削ベルト13の幅方向に亘って均一的な加圧力で押圧された状態では、図3(I)に示すように、コンタクトロール11の軸方向とビリーロール12の軸方向とが平行するように配置される。この場合、研削ベルト13による研削量は、素材板100の幅方向(図3では左右方向)の全長に亘ってほぼ均一的な厚さとなる。
【0065】
例えば、ビリーロール12をサイドシリンダ151,152により不均一な加圧力で押圧して傾斜させた状態では、図3(II)に示すように、コンタクトロール11の軸に対して、ビリーロール12の軸の延長線が交差するように配置される。この場合、研削ベルト13による研削量は、素材板100の幅方向(図3では左右方向)において、一方の縁部側(ここでは左側)から他方の縁部側(ここでは右側)に向かって順次増加する。なお、図3(II)〜(IV)では、ビリーロール12の傾斜度合いや変形度合いを誇張して示す。
【0066】
例えば、ビリーロール12をセンターシリンダ150により、サイドシリンダ151,152よりも大きな加圧力で押圧した状態では、図3(III)に示すように、ビリーロール12の幅方向の中心部が押し上げられてコンタクトロール11に近接し、幅方向の両縁部がコンタクトロール11から離反するように、即ち、ビリーロール12が湾曲するように変形されて配置される。この場合、研削ベルト13による研削量は、素材板100の幅方向の中心部が多く、この中心部から各縁部に向かって順次減少する。
【0067】
例えば、ビリーロール12を両サイドシリンダ151,152により、センターシリンダ150よりも大きな加圧力で押圧した状態では、図3(IV)に示すように、ビリーロール12の幅方向の両縁部が押し上げられてコンタクトロール11に近接し、幅方向の中心部がコンタクトロール11から離反するように、即ち、ビリーロール12が湾曲するように変形されて配置される。この場合、研削ベルト13による研削量は、素材板100の幅方向の両縁部がいずれも多く、各縁部から中心部に向かって順次減少する。
【0068】
なお、ここでは、ビリーロール12を移動・傾斜・変形可能な構成としているが、例えば、コンタクトロール11を移動・傾斜・変形可能な構成、両ロール11,12の双方を移動・傾斜・変形可能な構成とすることができる。また、研削開始前において、ビリーロール12を上述のように傾斜、変形させておくことも勿論可能である。例えば、長尺材ではなく幅広のシート材に対して、予め、その幅方向の厚さのばらつきを測定しておき、この測定結果に基づいて、ビリーロール12を傾斜、変形させて研削を施すと、シート材に対しても、幅方向の厚さのばらつきを低減することができる。
【0069】
コンタクトロール11及びビリーロール12は、ロール駆動部15(図2)により動作が制御される。ロール駆動部15は、上述のようにロール11,12を回転させるための動力源となるモータ(図示せず)といった動力手段と、回転動作のON/OFFやロール11,12の回転数(回転速度)、ビリーロール11の移動機構の制御、ロール調整手段の制御を行うロール制御部(図示せず)とを具える。このロール制御部は、後述する制御部20からの命令により、ビリーロール12を上述のように傾斜や変形するためにロール調整手段を制御したり、コンタクトロール11やビリーロール12の回転数を制御したりする。
【0070】
<厚さ調整機構>
≪センサ≫
研削装置10は、走行する素材板100の厚さを測定するために、研削ベルト13の上流側に配置される厚さ測定器(フォワードセンサ31)と、研削ベルト13の下流側に配置される厚さ測定器(バックセンサ35)とを具える。
【0071】
フォワードセンサ31は、素材板100の幅方向の中心部の厚さを測定するセンターセンサ31cと、素材板100の両縁部の厚さをそれぞれ測定する一対のサイドセンサ31eとを具える。バックセンサ35は、素材板100に研削が施された研削板1の幅方向の中心部の厚さを測定するセンターセンサ35cと、素材板100の両縁部の厚さをそれぞれ測定する一対のサイドセンサ35eとを具える。
【0072】
研削ベルト13からセンサ31,35までの距離は適宜選択することができる。後述する研削液を除去するための構成要素を具える場合、この構成要素の下流にバックセンサ35を設けると、研削液による測定誤差を低減できると期待される。また、ここでは、素材板100又は研削板1の側縁からの距離Weが20mmの地点を測定するようにサイドセンサ31e,35eを配置し、この地点の厚さを上記両縁部の厚さとする。
【0073】
研削装置10を用いた研削工程は、基本的に室温で行うため、上記各センサ31,35はいずれも、接触式及び非接触式のいずれも利用できる。ここでは、非接触式センサであるレーザ変位計を利用している。レーザ変位計は、素材板100が広幅であっても任意の位置の厚さを容易に測定できるため、利用し易い。
【0074】
≪制御部≫
研削装置10は、上記センサ31,35からの情報を受けて、ロール調整手段を動作させたり、上述したコンタクトロール11やビリーロール12、繰出しドラム41や巻取りドラム42の回転速度を調整したりする制御部20を具える。
【0075】
制御部20は、図2に示すようにフォワードセンサ31からの情報に基づき、上述したロール調整手段を制御するフィードフォワード制御部20fと、バックセンサ35からの情報に基づき、上述したロール駆動部15のロール制御部やドラム駆動部45のドラム制御部を制御するフィードバック制御部20bとを具える。
【0076】
フィードフォワード制御部20fは、フォワードセンサ31からの情報を入手するフォワード入力手段21と、入力した情報に基づき、素材板100の厚さのばらつきを演算するフォワード演算手段22と、上記ばらつきに基づき、ロール調整手段の駆動の要否を判定するフォワード判断手段23と、判定結果に基づき、ロール調整手段を適宜駆動するためにロール駆動部15に命令を出すフォワード命令手段24とを具える。その他、フィードフォワード制御部20f及び後述するフィードバック制御部20bは、設定値などを記憶する記憶手段(図示せず)を具える。
【0077】
フィードバック制御部20bは、バックセンサ35からの情報を入手するバック入力手段25と、入力した情報に基づき、研削板1の厚さのばらつきを演算するバック演算手段26と、上記ばらつきに基づき、コンタクトロール11,ビリーロール12や繰出しドラム41,巻取りドラム42の回転速度の変更の要否を判定するバック判断手段27と、判定結果に基づき、上記ロール11,12の回転速度を適宜変更するためにロール駆動部15に命令を出したり、上記ドラム41,42の回転速度を適宜変更するためにドラム駆動部45に命令を出したりするバック命令手段28とを具える。
【0078】
なお、ここでは、制御部20は、フィードフォワード制御部20f及びフィードバック制御部20bの双方を具える構成としているが、それぞれ別個の制御部として具える研削装置としてもよい。また、制御部20は、CPUを具える回路基板、この基板を具えるコンピュータなどを適宜利用することができる。研削装置10は、更に、キーボードといった直接入力手段やモニタといった表示装置を具えることができる。
【0079】
(その他の構成要素)
その他、マグネシウム合金からなる素材を研削する場合、切粉が飛散し難いように、研削液を用いた湿式法により行うことが望まれる。湿式法による研削を行う場合、研削ベルトの上流や下流に配置されて、研削ロールや素材板に研削液を噴射するスプレーノズル、研削ベルトの下流に配置されて、切粉や研削液を洗浄する洗浄液を排出する洗浄ノズル、洗浄液や研削液を払拭する吸液ロール、更に、洗浄液などを十分に除去できるように適宜な温度の風(例えば、温風)を吹き掛けるエアブローノズル、などを配置させることができる。研削液や洗浄液を十分に払拭、乾燥させることで、これらの液の付着に起因した表面性状の劣化を抑制でき、表面性状により優れる研削板1を製造できる。
【0080】
(厚さのばらつきの調整手順)
以下、図4を参照して、上記構成を具える研削装置10を利用して、厚さのばらつきを調整する手順を説明する。
【0081】
まず、研削装置10による研削にあたり、所望の研削量となるように、研削ベルト13の砥粒の粒度、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップ、コンタクトロール11の回転速度、ビリーロール12、繰出しドラム41及び巻取りドラム42の回転速度を設定する。上記所望の研削量は、素材(例えば、マグネシウム合金圧延コイル材)が、その全長に亘って均一的な厚さであると想定して決定する。この場合、この素材の幅方向の研削量(除去厚さ)は均一的になる。また、上記両ドラム41,42の回転速度により、素材板100及び研削板1の搬送速度が決定され、ビリーロール12の回転速度をこの搬送速度に等しくする。
【0082】
繰出しドラム41に素材となるコイル材を配置して巻き戻し、素材板100(例えば、圧延板)の一端を巻取りドラム42に巻き付け、両ドラム41,42を回転することで、素材板100及び研削板1を走行可能にする。なお、巻き取られた一端を含む所定の長さは研削を行わず、走行が安定してから研削及び厚さ調整を行うと、厚さのばらつきの是正を安定して行えると期待される。
【0083】
ここでは、研削が開始されたら、フォワードセンサ31及びバックセンサ35は、いずれも随時厚さの測定を行う構成とする。
【0084】
<フィードフォワード制御>
以下、具体的なフィードフォワード制御の手順を説明する。
フォワードセンサ31のセンターセンサ31c,サイドセンサ31eにより、走行する素材板100に対して、その幅方向の中心部の厚さtc、及び両縁部の厚さte1,te2をそれぞれ測定し、制御部20のフォワード入力手段21は、上記厚さtc,te1,te2を取得する(ステップS1)。
【0085】
次に、制御部20のフォワード演算手段22は、素材板100の厚さのばらつきを演算する。ここでは、上記厚さtc,te1,te2の大小関係を求め(t1≦t2≦t3、tn={tc,te1,te2})、最大値:t3と最小値:t1との差(以下、フォワードばらつきと呼ぶ):xf=t3−t1を演算する(ステップS2)。
【0086】
次に、制御部20のフォワード判断手段23は、上記フォワードばらつき:xfと閾値とを比較して、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップの変更の要否を判定する。具体的には、閾値を40μmとし、フォワードばらつき:xfが40μm以下を満たすかを判定する(ステップS3)。
【0087】
フォワードばらつき:xfが40μm以下を満たす場合、素材板100の幅方向の厚さのばらつきは小さいと考えられる。そこで、この場合、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップを変更しない。
【0088】
一方、フォワードばらつき:xfが40μm以下を満たさない、即ち、40μm超である場合、素材板100の幅方向の厚さのばらつきが大きく、是正する必要があると考えられる。そこで、素材板100の幅方向の厚さのばらつきを具体的に調べる。ここでは、素材板100の中心部及び各縁部のいずれが厚いかを調べるにあたり、先程求めた大小関係t1≦t2≦t3を指標とし、フォワード判断手段23は、te1,te2<tcを満たすかを判定する(ステップS4)。
【0089】
te1,te2<tcを満たす場合、tcが厚過ぎる、即ち、素材板100の中央部が両縁部よりも厚過ぎることから、当該中央部を薄くする。具体的には、フォワード命令手段24は、ロール駆動部15のロール制御部にセンターシリンダ150を駆動させるように命令し(ステップS5)、図3(III)に示すようにビリーロール12を変形させ、上記中央部の研削量が上記両縁部の研削量よりも多くなるようにする。なお、センターシリンダ150、サイドシリンダ151,152による押圧量は、フォワードばらつき:xfの値に応じて、予め設定しておき、各シリンダ150,151,152は、上記設定された所定量だけ押圧するように設けておく。
【0090】
te1,te2<tcを満たさない場合、ここでは、フォワード判断手段23は、更にte1,te2>tcを満たすかを判定する(ステップS6)。te1,te2>tcを満たす場合、tcが薄く、te1,te2が厚過ぎる、即ち、素材板100の両縁部が中央部よりも厚過ぎることから、当該両縁部を薄くする。具体的には、フォワード命令手段24は、ロール駆動部15のロール制御部にサイドシリンダ151,152を駆動させるように命令し(ステップS7)、図3(IV)に示すようにビリーロール12を変形させ、上記両縁部の研削量が上記中心部の研削量よりも多くなるようにする。
【0091】
te1,te2>tcを満たさない場合、ここでは、フォワード判断手段23は、更にte1>te2を満たすかを判定する(ステップS8)。te1>te2を満たす場合、te2が薄く、te1が厚過ぎる、即ち、素材板100の一方の縁部が中央部や他方の縁部よりも厚過ぎることから、当該一方の縁部を薄くする。具体的には、フォワード命令手段24は、ロール駆動部15のロール制御部にサイドシリンダ151,152を駆動させるように命令し(ステップS9)、図3(II)に示す傾斜と逆の傾き(図3において右下がりの傾き)となるようにビリーロール12を傾斜させ、一方の縁部から他方の縁部に向かって研削量が順次少なくなるようにする。一方、te1>te2を満たさない場合、他方の縁部が厚過ぎることから、当該他方の厚さを薄くするために、フォワード命令手段24は、ロール駆動部15のロール制御部にサイドシリンダ151,152を駆動させるように命令し(ステップS10)、図3(II)に示すようにビリーロール12を傾斜させる。
【0092】
上述のようにビリーロール12を適宜傾斜したり変形したりすることで、素材板100を研削ベルト13に押し付ける状態が幅方向でみると部分的に異なり、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップの幅方向の大きさを不均一にすることができる。従って、素材板100の幅方向の研削量を部分的に異ならせて、幅方向の厚さのばらつきを是正できる。
【0093】
<フィードバック制御>
上述したフィードフォワード制御により、素材板100の幅方向の厚さのばらつきを小さくすることができる。更に、研削装置10では、以下のフィードバック制御により、上記ばらつきをより確実に低減する。以下、具体的なフィードバック制御の手順を説明する。
【0094】
バックセンサ35のセンターセンサ35c,サイドセンサ35eにより、研削後、走行する研削板1に対して、その幅方向の中心部の厚さtc、及び両縁部の厚さte1,te2をそれぞれ測定し、制御部20のバック入力手段25は、上記厚さtc,te1,te2を取得する(ステップS11)。
【0095】
次に、制御部20のバック演算手段26は、研削板1の厚さのばらつきを演算する。具体的には、上記厚さtc,te1,te2の大小関係を求め(t1≦t2≦t3、tn={tc,te1,te2})、最大値:t3と最小値:t1との差(以下、バックばらつきと呼ぶ):xb=t3−t1を演算する(ステップS12)。
【0096】
そして、制御部20のバック判断手段27は、上記バックばらつき:xbと閾値とを比較して、研削量の増加の要否を判定する。具体的には、閾値を40μmとし、バックばらつき:xbが40μm以下を満たすかを判定する(ステップS13)。
【0097】
バックばらつき:xbが40μm以下を満たす場合、フィードフォワード制御による研削により、研削後の研削板1は、その幅方向の厚さのばらつきが十分に是正され、研削板1の幅方向の厚さのばらつきは小さいと考えられる。そこで、この場合、研削量の変更は行わない。
【0098】
一方、バックばらつき:xbが40μm以下を満たさない、即ち、40μm超である場合、素材板100の幅方向の厚さのばらつきが非常に大きく、フィードフォワード制御だけでは、上記ばらつきを十分に是正することが難しいと考えられる。そこで、当該測定箇所以降の未だ研削が施されていない素材板100に対して、上記ばらつきが十分に是正されるように、研削量を増加するために、素材板100・研削板1の搬送速度を遅くしたり、研削ベルト13の回転速度を速くする。具体的には、バック命令手段28は、ロール駆動部15のロール制御部にコンタクトロール11の回転速度を速めるように命令したり、ロール制御部にビリーロール12の回転速度、ドラム駆動部45のドラム制御部に繰出しドラム41や巻取りドラム42の回転速度を遅めるように命令したりする(ステップS14)。
【0099】
上記ステップS1〜ステップS14までの各ステップを随時繰り返し行うことで、素材板100が長尺材であったり、広幅材であっても、全長に亘って均一的な厚さを有する研削板1が得られる。
【0100】
≪判定手順の変形例≫
上述の手順では、素材板100及び研削板1の厚さtc,te1,te2の最大値、最小値などを利用して、厚さのばらつきを是正する形態を説明したが、上記手順に限られるものではない。例えば、以下のような手順とすることができる。
【0101】
上記厚さte1,tc,te2を用いて、各演算手段は、3個の厚さの差、例えば、te1-tc,te1-te2,tc-te2を求める。各判断手段は、それぞれの差が閾値を満たす(ここでは、±20μm以内)かを判定する。
【0102】
そして、フィードフォワード制御の場合、閾値を満たさない差に基づき、コンタクトロールとビリーロールとの間のギャップを変更するように、フォワード命令手段は、ロール駆動部に命令する。例えば、te1-tcが負の値で閾値を満たさない場合、tcが厚過ぎる、即ち、素材板100の中央部が一方の縁部よりも厚過ぎる。このとき、tc-te2が閾値を満たす場合、又は正の値で閾値を満たさない場合、素材板100の中央部は両縁部よりも厚過ぎることから中央部が薄くなるように、ビリーロール12を変形させる(図3(III)参照)。或いは、tc-te2が負の値で閾値を満たさない場合、素材板100は一方の縁部から他方の縁部に向かって順次厚くなっているから、他方の縁部から一方の縁部に向かって薄くなるように、ビリーロール12を傾斜させる(図3(II)参照)。
【0103】
一方、フィードバック制御の場合、閾値を満たさない差があれば、上述の手順(ステップS12以降)と同様にバック命令手段は、研削量を調整するようにロール駆動部やドラム駆動部に命令する。
【0104】
<効果>
上記研削装置10を用いた本発明研削方法によれば、研削ベルト13の直前において素材板100の幅方向の厚さのばらつきを測定し、コンタクトロール11とビリーロール12との間のギャップをその幅方向の大きさが不均一となるように増減することで、素材板100が長尺材や広幅材であっても、幅方向及び長手方向の全域に亘って均一的な厚さを有する研削板1が得られる。また、このような研削板1を巻き取ることで、例えば、全長が200m以上、更には400m以上であったり、幅が100mm以上、更には200mm以上であったり、重量が100kg以上、更には200kg以上といった長尺材や広幅材でも、上述のようにその全長に亘って厚さのばらつきが小さく(例えば、当該ばらつきが40μm以内)、表面が平滑である(例えば、幅方向の表面粗さが、最大高さRzで20μm以下、算術平均粗さRaで1.2μm以下、及び十点平均粗さRzで12μm以下の少なくとも一つを満たす)マグネシウム合金コイル材が得られる。得られたマグネシウム合金コイル材やこのコイル材を所定の長さに切断したマグネシウム合金板は、プレス加工といった塑性加工が施される素材に好適に利用することができる。
【0105】
[実施形態2]
上記実施形態1では、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の双方が可能な形態を説明した。本発明研削装置の別の形態として、フィードフォワード制御のみを行う形態とすることができる。具体的には、バックセンサ35及びフィードバック制御部20bを除き、ステップS1〜ステップS10までを繰り返し行う形態とすることができる。
【0106】
<変形例1>
より平滑で均一的な表面を得るために、多段に研削を行うことができる。この場合、全ての研削工程における砥粒の粒度を同じにしてもよいが、異ならせてもよい。例えば、上流の研削工程では、砥粒の粒度が小さく研削量を多くできる研削ベルトを用いて主として厚さの調整を行い、下流の研削工程では、粒度が大きい研削ベルトを用いて主として表面の平滑化を図るといった形態とすることができる。このとき、下流の研削工程では、厚さ調整機構を動作させずに研削を行うとよい。
【0107】
<変形例2>
上述した実施形態では、素材板100の一面に対して研削する形態を示すが、素材板100の両面に対して研削を施すことが可能な形態、具体的には、素材板100の表裏を挟むように配置される一対の研削ベルトを具える形態とすることができる。
【0108】
[試験例]
上述した実施形態1のマグネシウム合金用研削装置10を用いて研削を行い、えられた長尺な板材の厚さのばらつき、及び表面粗さを調べた。
【0109】
この試験では、AZ91合金相当の組成(Mg-8.7%Al-0.65%Zn(全て質量%))のマグネシウム合金の溶湯を用意して、双ロール鋳造鋳造機により、厚さ4mmの鋳造板を連続して作製して、一旦巻き取り、鋳造コイル材を作製した。この鋳造コイル材をバッチ炉に装入して400℃×24時間の溶体化処理を施した。得られた固溶コイル材を巻き戻して、以下の条件で複数パスの圧延を施して巻き取り、目標厚さ0.6mm、幅250mm、長さ800mの圧延コイル材を作製した。この圧延コイル材を巻き戻して、研削装置10により研削を施し、得られた研削板を巻き取って、マグネシウム合金コイル材を作製した(幅250mm、長さ760m、200kg)。研削ベルトの砥粒の粒度は、#600を利用し、湿式研削とした。また、巻き取る際、適宜長さを調整した。
【0110】
(圧延条件)
圧下率:5%/パス〜40%/パス
素材の加熱温度:250℃〜280℃
ロール温度:100℃〜250℃
【0111】
作製したマグネシウム合金コイル材を巻き戻して、両端から5mを切断したトリミング材を10mごとに切断し、10mのシート片を作製した。各10mのシート片についてそれぞれ、任意の箇所の幅方向の中心部をとり、この中心部を通る幅方向の直線をとり、この直線上に存在し、各縁部からの距離が20mmの地点と、上記中心部との合計3点について厚さを測定する。厚さの測定は、レーザ変位計といった測定器の他、X線などを利用することができる。全ての10mのシート片の合計3点の厚さについての平均を求めたところ、0.590mmであり、ほぼ目標厚さであった。
【0112】
また、測定した各厚さはいずれも、0.570〜0.610mmであり、各10mのシート片において、上記測定した3点の厚さの最大値と最小値との差を当該シート片の厚さのばらつきとするとき、全ての10mのシート片の厚さのばらつきは、いずれも40μm以下であった。
【0113】
更に、各10mのシート片の表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、各10mのシート片からそれぞれ、上述した厚さを測定した地点を含むように試験片を採取する。即ち、一つのシート片から幅方向に沿って合計3つの試験片を採取する。そして、各試験片について、シート片の幅方向に沿った表面粗さを測定する。表面粗さの測定には、市販の測定装置を適宜利用することができる。ここでは、株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機を利用し、JIS B 0601(2001)に準じて測定した(測定長さ:4mm)。その結果、いずれの試験片も、最大高さRz(=最大高さRmax)で20μm以下、算術平均粗さRaで1.2μm以下、及び十点平均粗さRzで12μm以下を満たしていた。従って、上記研削装置を用いて得られたコイル材は、長手方向及び幅方向の双方について表面粗さが小さく、かつ長手方向及び幅方向の双方に亘ってばらつきが小さいことが分かる。
【0114】
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、マグネシウム合金の組成(添加元素の種類、含有量)、コイル材を構成する板材の厚さ、幅、長さなどを適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明マグネシウム合金コイル材、及び本発明マグネシウム合金板は、プレス加工や鍛造、曲げ加工といった種々の塑性加工が施されてなるマグネシウム合金部材、例えば、携帯用や小型な電気・電子機器類の筐体といった各種の電気・電子機器類の構成部材、自動車や航空機といった輸送機器の構成部材の素材に好適に利用することができる。本発明マグネシウム合金用研削装置、及び本発明マグネシウム合金コイル材の研削方法は、上記本発明マグネシウム合金コイル材の製造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 研削板 100 素材板
10 研削装置 11 コンタクトロール 12 ビリーロール 13 研削ベルト
14 遊動ロール 15 ロール駆動部 150 センターシリンダ
151,152 サイドシリンダ
20 制御部 20f フィードフォワード制御部 20b フィードバック制御部
21 フォワード入力手段 22 フォワード演算手段
23 フォワード判断手段 24 フォワード命令手段 25 バック入力手段
26 バック演算手段 27 バック判断手段 28 バック命令手段
31 フォワードセンサ 31c,35c センターセンサ 31e,35e サイドセンサ
35 バックセンサ
41 繰出しドラム 42 巻取りドラム 45 ドラム駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム合金からなる長尺な板材が巻き取られてなるマグネシウム合金コイル材であって、
前記板材の全長に亘って、
当該板材の幅方向の表面粗さが、最大高さRzで20μm以下、算術平均粗さRaで1.2μm以下、及び十点平均粗さRzで12μm以下の少なくとも一つを満たし、
当該板材の幅方向の厚さのばらつきが40μm以内であることを特徴とするマグネシウム合金コイル材。
【請求項2】
前記板材の幅が100mm以上、全長が200m以上であることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金コイル材。
【請求項3】
前記コイル材の重さが100kg以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシウム合金コイル材。
【請求項4】
前記板材の幅が200mm以上、全長が400m以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金コイル材。
【請求項5】
前記コイル材の重さが200kg以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマグネシウム合金コイル材。
【請求項6】
前記マグネシウム合金は、Alを8.3質量%以上9.5質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネシウム合金コイル材。
【請求項7】
マグネシウム合金からなるコイル材から繰り出されて走行する板材を研削するマグネシウム合金用研削装置であって、
前記板材を研削する研削ベルトと、
前記研削ベルトの上流側に配置されて、前記板材の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定する上流側の厚さ測定器と、
前記研削ベルトを回転するコンタクトロールと、前記板材を前記コンタクトロールとで挟持するビリーロールとの間のギャップに対して、その幅方向の大きさが不均一になるように増減して、前記板材の幅方向における押圧状態を部分的に異ならせるためのロール調整手段と、
前記上流側の厚さ測定器の測定結果に基づいて、研削後の研削板の全長に亘って、当該研削板の幅方向の厚さのばらつきが40μm以内となるように前記ロール調整手段を動作させる制御部とを具えることを特徴とするマグネシウム合金用研削装置。
【請求項8】
更に、前記研削ベルトの下流側に配置されて、研削後の前記研削板の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定する下流側の厚さ測定器と、
前記下流側の厚さ測定器の測定結果に基づいて、前記研削ベルトによる研削量を増加するために、前記板材の搬送速度、及び前記研削ベルトの回転速度の少なくとも一方を制御する速度制御部とを具えることを特徴とする請求項7に記載のマグネシウム合金用研削装置。
【請求項9】
マグネシウム合金からなるコイル材から繰り出されて走行する板材の幅方向の中心部の厚さ、及び両縁部の厚さをそれぞれ測定し、
前記厚さのばらつきを小さくするために、研削ベルトを回転するコンタクトロールと、前記板材を前記コンタクトロールとで挟持するビリーロールとの間のギャップに対して、その幅方向の大きさが不均一となるように増減し、
前記調整されたギャップ間に前記板材を搬送して、前記研削ベルトにより研削し、研削後の研削板の全長に亘って、当該研削板の幅方向の厚さのばらつきを40μm以内とすることを特徴とするマグネシウム合金コイル材の研削方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のマグネシウム合金コイル材を所定の長さに切断してなることを特徴とするマグネシウム合金板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−20300(P2012−20300A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158445(P2010−158445)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】