説明

マロン酸塩によって安定化されたテルペノイド着香料成分

少なくとも1種類のテルペノイド成分が配合された着香料とマロン酸塩と化粧品に許容される担体とを含む身体手入れ組成物が提供される。マロン酸塩はテルペノイドを安定させてその分解を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解を防ぐように安定化されたテルペノイド成分で着香した身体手入れ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
テルペンは自然界に広く分布しており、主として植物中に精油の構成成分として存在している。多くのテルペンは炭化水素であるが、アルコール、アルデヒドまたはケトン(テルペノイド)のような酸素含有成分も見出される。それらの構成単位は炭化水素イソプレンCH=C(CH)−CH=CH(isoprene rule,Wallach 1887)である。従って、テルペン炭化水素は分子式(Cを有しており、イソプレンユニットの数に従って、モノテルペン(n=2)、セスキテルペン(n=3)、ジテルペン(n=4)、トリテルペン(n=6)及びテトラテルペン(n=8)に分類されている。
【0003】
モノテルペンの例は、ピネン、ネロール、シトラール、カンファー、ゲラニオール及びリモネンである。セスキテルペンの例は、ネロリドール及びファルネソールである。スクアレンはトリテルペンの一例である。
【0004】
本発明に使用した“テルペノイド”という用語は、テルペン類、及び、1つまたは複数の不飽和点を有しているか及び/または化学構造内部の環状ユニットの一部を構成し得る少なくとも1つのCヒドロカルビルユニットを有しているテルペンの酸素含有誘導体を包含すると理解されたい。
【0005】
テルペノイドは多くの香料及び香水の着香原料である。着香料となるテルペノイドはArctander,S.,Perfume and Flavor Chemicals,Vol.I and II,Allures Pub.Co.(1969)に開示されており、実例としては、Ambregris着香料,ジャスモン,ジャコウ,ピラン誘導体、及び、ビャクダン着香料がある。
【0006】
香料または着香原料の混合物が表面に付着したときまたは身体手入れ組成物に組み込まれたとき、その効果が多くの要因によって失われ、経時的な特性変化が生じることは公知である。これらの欠点をできるだけ少なくするために多くの研究が試行されたが、これまでの処、成功は微々たるものである。例えば、Gardlickら,米国特許第6,147,037号は、身体手入れ製品に徐放性または持続性の着香料をデリバリーするために有用な着香料デリバリー系に関する。
【0007】
着香料の効果の減損または特性変化の原因となる1つの要因は、テルペノイドが酸化的に不安定なことである。酸化不安定性の程度は、有機化合物中の不飽和度、二重結合または三重結合の数に左右される。
【0008】
酸化不安定性はテルペノイドの望ましくない特性である。従って、酸化を防ぐようにテルペノイドを安定させる物質が要望されている。特に、その化学構造中に少なくとも1つの二重結合を有しているテルペノイドの酸化を防止する物質が要望されている。
【発明の開示】
【0009】
(i)約0.000001−約90重量%のテルペノイドを含んでおりかつ組成物の約0.001−約10重量%を構成している着香料と、
(ii)組成物の約0.0001−約30重量%のマロン酸の塩と、
(iii)組成物の約1−約99重量%の化粧品に許容される担体と、
を含む身体手入れ組成物が提供される。
【0010】
我々はここに、マロン酸の塩がテルペノイド着香成分を分解に逆らって安定化するために有効であることを知見した。
【0011】
塩を形成するためにはマロネートアニオンに対する多様な種類の対カチオンを利用し得る。マロネート塩は、一般式(I)及び(II):
[HOCCHCO[X] [X][OCCHCO−2
I II
[式中、Xはカチオン性対イオンである]
によって表されるような半中和または全中和のマロン酸またはそれらの組合せでよい。
【0012】
適当なカチオン性対イオンはアルカリ金属及びアルカリ土類金属のカチオン性イオンを包含する。代表例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムのカチオン及びそれらの組合せである。
【0013】
無機カチオンだけでなく有機カチオンも使用できる。1−1000個、好ましくは1−20個、最適には3−12個の炭素原子を有している第四級化窒素カチオンが特に有用である。代表例は、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、ノルボルニルアミン、オクチルアミン、エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ピロリドン、アミノ酸(リシン、アルギニン、アラニン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジメチルエタノールアミン、ポリエチレンイミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのようなアミンに由来のカチオン及びそれらの組合せである。アンモニア、ジメチルエタノールアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンに由来のカチオンが最も好ましい。これらの好ましい材料に由来の典型的なマロネート塩は、アンモニウムマロネート、ジアンモニウムマロネート、ジメチルエタノールアンモニウムマロネート、ビス(ジメチルエタノールアンモニウム)マロネート、トリス(ヒドロキシメチル)メタンアンモニウムマロネート、及び、ジ[トリス(ヒドロキシメチル)メタンアンモニウム]マロネートである。
【0014】
マロン酸塩の量は、化粧組成物の約0.0001−約30重量%、好ましくは約0.1−約15重量%、より好ましくは約0.5−約10重量%、最適には約1−約8重量%の範囲でよい。
【0015】
本発明は塩I、塩IIまたはこれらの塩の混合物を有効成分として使用できる。混合物が存在するとき、モノ塩Iとジ塩IIとのモル比は、約1000:1−約1:1000、好ましくは約10:1−約1:500、より好ましくは約2:1−約1:200、最適には約1:1−約1:20の範囲でよい。
【0016】
“身体手入れ組成物”という用語は、リーブオン製品及びウオッシュオフ製品を含むヒトの皮膚に外用塗布する製品を意味すると理解されたい。代表例は、スキンクリーム及びローション、シャンプーのようなヘアトリートメント、脱毛剤、髭剃りクリーム、発汗抑制剤、体臭防止剤、及び、シャワージェルである。
【0017】
“着香料”という用語は、快い香り、芳香、香料または着香料特性を与えるように人工的に調合された1種類、好ましくは2種類またはそれ以上の着香料原料を意味すると理解されたい。
【0018】
本文中に使用した“不飽和”という用語は、オレフィンまたはアルキンのような二重結合または三重結合を有している有機化合物を意味すると理解されたい。
【0019】
3つのクラスの各々に包含されるテルペン誘導体は、アルコール、エーテル、アルデヒド、アセタール、酸、ケトン、エステル、及び、窒素またはイオウのようなヘテロ原子を含有しているテルペン化合物を包含する。
【0020】
本発明の化粧組成物に含有させ得るテルペノイドの例を以下の表に示す。
【0021】
表1.アクリル系テルペノイド

炭化水素類
ミルセン
オシメン
ベータ−ファルネセン

アルコール類
ジヒドロミルセノール
(2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール)
ゲラニオール
(3,7−ジメチル−トランス−2,6−オクタジエン−1−オール)
ネロール
(3,7−ジメチル−シス−2,6−オクタジエン−1−オール)
リナロール
(3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール)
ミルセノール
(2−メチル−6−メチレン−7−オクテン−2−オール)
ラバンデュロール
シトロネロール
(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール)
トランス−トランス−ファルネソール
(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)
トランス−ネロリドール
(3,7,11−トリメチル−1,6,10−ドデカトリエン−3−オール)

アルデヒド及びアセタール類
シトラール
(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール)
シトラールジエチルアセタール
(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アールジエチルアセタール)
シトロネラール
(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−アール)
シトロネリルオキシアセトアルデヒド
2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール

ケトン類
タゲトン
ソラノン
ゲラニルアセトン
(6,10−ジメチル−5,9−ウンデカジエン−2−オン)

酸及びエステル類
シス−ゲラン酸
シトロネル酸
ゲラニルエステル類、例えば、ゲラニルホーメート、ゲラニルアセテート、ゲラニルプロピオネート、ゲラニルイソブチレート、ゲラニルイソバレレート
ネリルエステル類、例えば、ネリルアセテート
リナリルエステル類、例えば、リナリルホーメート、リナリルアセテート、リナリルプロピオネート、リナリルブチレート、リナリルイソブチレート
ラバンデュリルエステル類、例えば、ラベンデュリルアセテート
シトロネリルエステル類、例えば、シトロネリルホーメート、シトロネリルアセテート、シトロネリルプロピオネート、シトロネリルイソブチレート、シトロネリルイソバレレート、シトロネリルトリグレート

窒素含有不飽和テルペン誘導体
シス−ゲラン酸ニトリル
シトロネル酸ニトリル
【0022】
表2.環状テルペノイド類

炭化水素類
リモネン (1,8−p−メンタジエン)
アルファ−テルピネン
ガンマ−テルピネン (1,4−p−メンタジエン)
テルピノレン
アルファ−フェランドレン (1,5−p−メンタジエン)
ベータ−フェランドレン
アルファ−ピネン (2−ピネン)
ベータ−ピネン (2(10)−ピネン)
カンフェン
3−カレン
カリオフィレン
(+)−バレンセン
ツジョプセン
アルファ−セドレン
ベータ−セドレン
ロンギフォレン

アルコール及びエーテル類
(+)−ネオイソ−イソプレゴール
イソプレゴール (8−p−メンテン−3−オール)
アルファ−テルピネオール (1−p−メンテン−8−オール)
ベータ−テルピネオール
ガンマ−テルピネオール
デルタ−テルピネオール
1−テルピネン−4−オール (1−p−メンテン−4−オール)

アルデヒド及びケトン類
カルボン (1,8−p−メンタジエン−6−オン)
アルファ−イオノン (C1320O)
ベータ−イオノン (C1320O)
ガンマ−イオノン (C1320O)
イロン(アルファ−、ベータ−、ガンマ−) (C1422O)
n−メチルイオノン(アルファ−、ベータ−、ガンマ−) (C1422O)
イソメチルイオノン(アルファ−、ベータ−、ガンマ−) (C1422O)
アリルイオノン (C1624O)
プソイドイオノン
n−メチルプソイドイオノン
イソメチルプソイドイオノン
ダマスコン類 1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセニル
)−2ブテン−1−オン
例えばベータ−ダマスコン 1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロ
ハジエニル)−2−ブテン−1−オン
ノオトカトン
5,6−ジメチル−8−イソプロペニルビシクロ
[4.4.0]−1−デセン−3−オン
セドリルメチルケトン (C1726O)

エステル類
アルファ−テルピニルアセテート (1−p−メンテン−8−イルアセテー
ト)
ノピルアセテート (−)−2−(6,6−ジメチルビシク
ロ[3.1.1]ヘプト−2−エン−2
−イル)エチルアセテート
クシミルアセテート
【0023】
表3.テルペンに構造的に類縁の脂環式化合物

アルコール類
5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−3−メチルペンタン−2−オール

アルデヒド類
2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド
4−(4−メチル−3−ペンテン−1−イル)−3−カルボキシアルデヒド
4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド

ケトン類
シベトン
ジヒドロジャスモン
(3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテン−1−オン)
シス−ジャスモン
3−メチル−2−(2−シス−ペンテン−1−イル)−2−シクロペンテ
ン−1−オン
5−シクロヘキサデセン−1−オン
2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2−ナフタレニルメチルケトン
3−メチル−2−シクロペンテン−2−オール−1−オン

エステル類
4,7−メタノ−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−5−(または6)−インデニルアセテート
アリル3−シクロヘキシルプロピオネート
メチルジヒドロジャスモネート メチル(3−オキソ−2−ペンチルソクロペンチル)アセテート
【0024】
着香料の量は、身体手入れ組成物の約0.001−約10重量%、好ましくは約0.1−約5重量%、最適には約0.5−約1重量%の範囲でよい。着香料中のテルペノイドの量は、着香料の約0.000001−約90重量%、好ましくは約0.0001−約70重量%、最適には約0.1−約30重量%の範囲でよい。
【0025】
本発明の着香料は、250℃以下の沸点を有しているテルペノイド成分を含んでいるのが有利であろう。いくつかの場合には、着香料は持続性着香料であることが要求される。このような場合、着香組成物が、3.0以上のClogPを示しかつ250℃以上の沸点を有しているテルペノイドを少なくとも約40%含むのが好ましい。これらのパラメーターの定義に関しては米国特許第5,540,853号(Trinhら)を参照されたい。
【0026】
本発明の組成物はまた、化粧品に許容される担体を含むであろう。担体の量は、組成物の約1−約99.9重量%、好ましくは約70−約95重量%、最適には約80−約90重量%の範囲でよい。有用な担体としては、水、皮膚緩和剤、脂肪酸、脂肪アルコール、保湿剤、増粘剤及びそれらの組合せがある。担体は水性でも無水でもまたはエマルジョンでもよい。好ましくは組成物が水性であり、特に、W/O型またはO/W型またはW/O/Wという三層型の水と油とのエマルジョンである。水が存在するとき、水の量は約5−約95重量%、好ましくは約20−約70重量%、最適には約35−約60重量%の範囲であろう。
【0027】
皮膚緩和材料は、化粧品に許容される担体として機能し得る。これらはシリコーン油、合成のエステル及び炭化水素の形態であろう。皮膚緩和剤の量は、組成物の約0.1−約95重量%、好ましくは約1−約50重量%の範囲内の任意の値でよい。
【0028】
シリコーン油は揮発性品種及び不揮発性品種に分類され得る。本文中に使用した“揮発性”という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有している材料を意味する。揮発性シリコーン油は好ましくは、3−9個、好ましくは4−5個のケイ素原子を含有している環状(シクロメチコーン)または線状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0029】
皮膚緩和材料として有用な不揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマーを包含する。本発明に有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては例えば、25℃で約5×10−6−0.1m/秒の粘度を有しているポリジメチルシロキサンがある。本発明組成物に有用な好ましい不揮発性皮膚緩和剤は、25℃で約1×10−5−4×10−4/秒の粘度を有しているポリジメチルシロキサンである。
【0030】
別のクラスの不揮発性シリコーンは乳化性及び非乳化性のシリコーンエラストマーである。この種類の代表は、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーであり、Dow Corning 9040、General Electric SFE 839及びShin−Etsu KSG−18として入手可能である。Silwax WS−L(ジメチコーンコポリオールラウレート)のようなシリコーンワックスも有用であろう。
【0031】
エステル皮膚緩和剤の例を以下に挙げる:
(1)10−20個の炭素原子を有している脂肪酸のアルケニルまたはアルキルエステル。その例は、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレート及びオレイルオレエート、などである;
(2)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルのようなエーテル−エステル;
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ及びジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪エステル、エトキシル化グリセリルモノ−ステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが適切な多価アルコールエステルである。ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパン及びC−C30アルコールのネオペンチルグリコールエステルが特に有用である;
(4)蜜蝋、鯨蝋及びトリベヘニンワックスのようなワックスエステル;
(5)コレステロール脂肪酸エステルを代表例とするステロールエステル;
(6)スクロースポリベヘネート及びスクロースポリコットンシーデートのような脂肪酸の糖エステル。
【0032】
化粧品に許容される担体に適した炭化水素は、ペトロラタム、鉱油、C11−C13イソパラフィン、ポリアルファオレフィンを包含し、特にPresperse Inc.からPermethyl 101Aとして市販されているイソヘキサデカンが適当である。
【0033】
10−30個の炭素原子を有している脂肪酸も化粧品に許容される担体として適当である。この種類の代表は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びエルカ酸である。
【0034】
10−30個の炭素原子を有している脂肪アルコールは化粧品に許容される担体として有用な別の種類の物質である。この種類の代表は、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びセチルアルコールである。
【0035】
多価アルコール型の保湿剤も化粧品に許容される担体として使用できる。典型的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコールであり、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物である。保湿剤の量は、組成物の0.5−50重量%、好ましくは1−15重量%の範囲内の任意の値でよい。
【0036】
増粘剤は本発明の組成物の化粧品に許容される担体の一部として使用できる。典型的な増粘剤は、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982(登録商標))、疎水的に改質されたアクリレート(例えば、Carbopol 1382(登録商標))、セルロース誘導体及び天然ガムを包含する。有用なセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースである。本発明に適した天然ガムは、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチン及びこれらのガムの組合せを包含する。無機物、特に、ベントナイト及びヘクトライトのようなクレー、ヒュームドシリカ、マグネシウムアルミニウムシリケート(Veegum(登録商標))のようなシリケートを増粘剤として使用してもよい。増粘剤の量は、組成物の0.0001−10重量%、通常は0.001−1重量%、最適には0.01−0.5重量%の範囲でよい。
【0037】
本発明の身体手入れ組成物はいかなる形態でもよい。これらの形態は、ローション、クリーム、ロールオン配合物、スティック、ムース、エアロゾル及び非エアロゾルのスプレー、布(例えば、不織布)に塗布された配合物を包含する。
【0038】
本発明の組成物中に界面活性剤が存在してもよい。界面活性剤が存在するとき、その全濃度は組成物の約0.1−約40重量%、好ましくは約1−約20重量%、最適には約1−約5重量%の範囲であろう。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性の界面活性剤から成るグループから選択され得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性部分1モルあたり2−100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10−C20脂肪アルコールまたは酸の疎水性部分;2−20モルのアルキレンオキシドと縮合したC−C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ−及びジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン,モノ−及びジ−C−C20脂肪酸;ポリオキシエチレンソルビタン並びにそれらの組合せである。アルキルポリグリコシド及び糖脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適当な非イオン性界面活性剤である。
【0039】
好ましいアニオン性界面活性剤は、セッケン、アルキルエーテルスルフェート及びスルホネート、アルキルスルフェート及びスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル及びジアルキルスルホスクシネート、C−C20アシルイセチオネート、C−C20アルキルエーテルホスフェート、C−C20サルコシネート、及び、それらの組合せを包含する。
【0040】
日光遮蔽有効成分も本発明の組成物に含有させ得る。パルソールMCX(登録商標)として入手可能なエチルヘキシルp−メトキシシンナメート、パルソール1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼン、及び、オキシベンゾンとしても知られたベンゾフェノン−3のような材料が特に好ましい。また、微粉砕二酸化チタン、酸化亜鉛、ポリエチレン及びその他の種々のポリマーのような無機の日光遮蔽有効成分を使用してもよい。日光遮蔽剤が存在するとき、その量は、組成物の一般には0.1−30重量%、好ましくは2−20重量%、最適には4−10重量%の範囲でよい。
【0041】
潜在的に有害な微生物の増殖を防御するために本発明の化粧組成物に保存料を含有させるのが望ましい。本発明の組成物に適した伝統的な保存料は、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。もっと最近になって使用されるようになった別の保存料としては、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び、様々な第四アンモニウム化合物がある。化粧品化学者は適当な保存料に精通しており、保存料チャレンジテストに合格し製品安定性を与える保存料を容易に選択できる。特に好ましい保存料は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールである。保存料は、組成物の用途を考慮し、また、保存料とエマルジョン中の他成分との不適合の可能性を考慮して選択する必要がある。保存料は好ましくは組成物の0.01−2重量%の範囲の量で使用される。
【0042】
本発明の組成物はビタミンを含有してもよい。代表的なビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE及びビオチンである。ビタミンの誘導体も使用し得る。例えば、ビタミンC誘導体としては、アスコルビルテトライソパルミテート、アスコルビルリン酸マグネシウム及びアスコルビルグリコシドがある。ビタミンE誘導体としては、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル及びリノール酸トコフェリルがある。DL−パンテノール及び誘導体も使用し得る。本発明の組成物中にビタミンが存在するとき、その総量は組成物の0.001−10重量%、好ましくは0.01−1重量%、最適には0.1−0.5重量%の範囲でよい。
【0043】
別の種類の有用な物質は、オキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼのような酵素及びそれらの組合せである。Brooks Company,USAからBiocell SODとして市販されているスーパーオキシドジスムターゼが特に好ましい。
【0044】
皮膚明色化化合物も本発明の組成物に含有させ得る。代表的な物質は、胎盤エキス、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、レゾルシノール及び4−置換レゾルシノールのようなレゾルシノール誘導体及びそれらの組合せである。これらの物質の量は組成物の約0.1−約10重量%、好ましくは約0.5−約2重量%の範囲でよい。
【0045】
皮膚剥脱促進剤も存在させ得る。代表例は、アルファ−ヒドロキシカルボン酸及びベータ−ヒドロキシカルボン酸である。“酸”という用語は、遊離酸を意味するだけでなく、その塩、C−C30のアルキルまたはアリールエステル、及び、環状または線状のラクトン構造を形成するように水を除去して得られたラクトンも包含する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸及びリンゴ酸である。サリチル酸はベータ−ヒドロキシカルボン酸の代表である。これらの材料が存在するとき、その量は組成物の約0.01−約15重量%の範囲でよい。
【0046】
場合によっては種々のハーブエキスを本発明の組成物に含有させ得る。代表例は、緑茶、カミツレ、カンゾウ及びこれらのエキスの組合せである。エキスは水溶性でもよく、または、水不溶性でありそれぞれ親水性もしくは疎水性の溶媒を担体としていてもよい。水及びエタノールがエキスの好ましい溶媒である。
【0047】
また、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Clariant Corp.から商標Silcare 1M−75として入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及びそれらの組合せのような材料を含有させてもよい。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B及びセラミド6を包含)及び擬似セラミドも本発明の多くの組成物に使用できるが、省略してもよい。これらの材料の量は、組成物の約0.000001−約10重量%、好ましくは約0.0001−約1重量%の範囲でよい。
【0048】
着色料、着香料、乳白剤及び研磨剤も本発明の組成物に含有させ得る。これらの物質の各々は、組成物の約0.05−約5重量%、好ましくは0.1−3重量%の範囲でよい。
【0049】
“含む”という用語は、その後に記述された要素に限定されるものではなく多かれ少なかれ機能的重要性を有している明記していない要素を包含することを理解されたい。言い換えると、記載した段階、要素または選択肢が網羅的である必要はない。“包含する”または“有する”という用語を使用しているとき、これらの用語は、上記に定義した“含む”と等価の意味を有している。
【0050】
処理実施例及び比較実施例を除いて、または、明白に異なる指定のある場合を除いて、材料の量を指定する本明細書中のすべての数値は“約”という用語によって修飾されることを理解されたい。
【0051】
特許、特許出願及び印刷された刊行物を含めて本文中で参照したすべての文献はその記載内容全部が参照によって本明細書の開示に含まれるものとする。
【0052】
以下の実施例は本発明の実施態様をより十分に説明するであろう。本文及び特許請求の範囲に示したすべての部、パーセンテージ及び割合は、異なる指示がない限り重量基準の値である。
【実施例1】
【0053】
1種または複数のテルペノイドを含有する一連の着香料を以下に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【0059】
【表6】

【0060】
【表7】

【0061】
【表8】

【0062】
【表9】

【0063】
【表10】

【実施例2】
【0064】
本発明の典型的な化粧用クリームを以下の表Iに示す。
【0065】
【表11】

【実施例3】
【0066】
本発明のマロネート塩を使用した油中水型外用液体メーキャップファンデーションを以下の表IIに示す。
【0067】
【表12】

【実施例4】
【0068】
この実施例では本発明のマロネート塩を含有させたスキンクリームを示す。
【0069】
【表13】

【実施例5】
【0070】
本発明の粉末状化粧組成物の代表例は表IVの配合である。
【0071】
【表14】

【実施例6】
【0072】
比較的無水性の本発明の組成物を表Vに示す。
【0073】
【表15】

【実施例7】
【0074】
本発明に適したエアロゾル包装発泡性クレンザーを表VIに示す。
【0075】
【表16】

エアロゾルは、92重量%の表VIの濃縮物と8%の噴射剤とを使用して調製する。噴射剤にはジメチルエーテルとイソブタンとプロパンとを併用する。
【実施例8】
【0076】
接着性化粧用パッチも本発明に従って配合し得る。接着性ヒドロゲルは、20グラムの蒸溜水中の30グラムの2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸モノマーを5グラムのメチレン−ビス−アクリルアミド1%水溶液と混合することによって調製する。次に溶液を0.4%の過硫酸マグネシウム触媒によって活性化する。ヒドロゲル溶液と触媒との混合後まもなく、5mlの水にいれた0.1グラムのマロン酸アンモニウムを添加する。得られた溶液をポリプロピレンと親水性ポリエステルとの50/50ブレンドに塗布し、凝固させる。得られた付着ヒドロゲルを熱風オーブンに入れて40℃で24時間加温する。ヒドロゲルの最終含水量は50%である。次に、冷却したヒドロゲルに着香料Gを噴霧する。接着性ヒドロゲルにポリスチレンの裏張り層を重ねる。
【実施例9】
【0077】
使い捨て一回使用型の身体用拭取り製品を本発明に従って製造する。70/30ポリエステル/レーヨンから成る不織布で重量1.8g、寸法15cm×20cmの拭取り布を用意する。この拭取り布に以下の表VIIに示す組成物を含浸させる。
【0078】
【表17】

【実施例10】
【0079】
典型的な着香料成分であるシンナムアルデヒドの酸化安定性を強化するマロネート塩(例えばDMAEマロネート)の効果を評価するために以下の実験を行った。シンナムアルデヒド(0.025ml)をメタノール(15.98ml)と混合した。この溶液のアリコート(3ml)をキュベットに採取し、UV分光光度計(Perkin−Elmer Lambda 35計器)に配置した。メタノール対照溶液に対する吸収スペクトル(スペクトルA)を得るために分光光度計を240−450nmの範囲で作動させた。第二のシンナムアルデヒド(0.025ml)をメタノール(15.98ml)と混合した。この溶液に過酸化水素(0.045g)を添加し、30秒間混合した。その後、溶液の3mlのアリコートをキュベットに採取し、UV分光光度計に配置した。メタノール対照溶液に対する吸収スペクトル(スペクトルB)を得るために分光光度計の240−450nmの範囲を走査した。
【0080】
第三の溶液をブレンドした。この溶液はシンナムアルデヒド(0.025ml)とメタノール(15ml)とマロン酸のジメチルアミノエタノール塩(DMAEマロネート)(1ml)との混合物から構成されていた。この溶液に過酸化水素(0.045g)を添加し、30秒間混合した。溶液の一部分(3ml)をアリコートとしてキュベットに採取し、測定のためにUV分光光度計に配置した。この場合にも、メタノール対照溶液に対する吸収スペクトル(スペクトルC)を得るために分光光度計の240−450nmの範囲を走査した。
【0081】
シンナムアルデヒドに対応するスペクトルAは約287nmに吸収最大を示した。(酸化性分解を促進するために)シンナムアルデヒドに過酸化水素を添加したときに得られたスペクトルBは287nmの吸収最大値の有意な強度増加を示した。より詳細には、287nmでスペクトルB対スペクトルAの吸収度の比は1.4であった。この波長の吸収の強度増加の理由は、過酸化水素によって酸化が誘発されたので該波長で吸収性の種が増加したことであると考えられる。
【0082】
DMAEマロネートの存在下でシンナムアルデヒドに過酸化水素を添加したときに得られたスペクトルCは、スペクトルBに比べて287nmにおける吸収最大の強度減少を示した。スペクトルC対スペクトルBの吸収強度の比は0.4であった。この結果は、過酸化水素に誘発されたシンナムアルデヒドの酸化が減速したことを表す。従って、マロネート塩が、典型的な着香料成分に対し優れた安定性強化効果を有していることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)0.000001−90重量%のテルペノイドを含んでおりかつ組成物の0.001−10重量%を構成している着香料と、
(ii)組成物の0.0001−30重量%のマロン酸の塩と、
(iii)組成物の1−99重量%の化粧品に許容される担体と、
を含む身体手入れ組成物。
【請求項2】
マロン酸がそれぞれ1000:1−1:1000の範囲のモル比の半中和酸及び全中和酸として存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モル比が2:1−1:200である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
塩がマロネートに対するカチオン性対イオンを有しており、前記カチオン性対イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの組合せから成る群から選択された無機カチオンである請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
塩がマロネートに対するカチオン性対イオンを有しており、前記カチオン性対イオンは、ポリエチレンイミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、ノルボルニルアミン、オクチルアミン、エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ピロリドン、アミノ酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジメチルエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びそれらの組合せから成る群から選択された2−1,000個の炭素原子を有している有機カチオンである請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−520352(P2006−520352A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504656(P2006−504656)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002558
【国際公開番号】WO2004/082652
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】