説明

ミクロフィブリルセルロースの成形品及びその製造方法

【課題】高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】 ミクロフィブリルセルロースと分散媒を含む分散液を流延して成形品を製造する方法であって、前記分散液を用いて、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する工程と、前記シートを、単数、または複数枚積層した積層体を、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、成形体を形成する工程と、を含む成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミクロフィブリルセルロース成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源由来のプラスチックに代わるものとして、植物及び動物由来のプラスチックの開発が盛んに行われている。そのひとつの方法として、地球上に最も多く存在するバイオマス資源であるセルロースの利用が挙げられる。セルロースは植物やバクテリア、ホヤ等の植物以外の生物から産生でき、石油資源ではないことから、たとえ最終的に焼却処理されたとしても、環境への影響は小さい。
【0003】
セルロースを利用したプラスチック代替品はこれまでにも多く報告されている。近年、セルロースをミクロフィブリル状にしたミクロフィブリルセルロースを乾燥、成形することにより、比較的強度の高い成形体が得られるという報告がなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、成形品前駆体としてのシートの厚みやシートの分散媒含有率が成形品の強度の絶対値や強度のばらつきに与える影響への言及はなく、シートの厚みにより、内部の主として分散媒に起因する揮発分が残留してしまったり、揮発による内圧の上昇で成形品に亀裂が生じるため、強度の絶対値の低下や強度のばらつきが大きくなることがわかった。また分散媒含有率によってもセルロースの水酸基がグルコース環の内側を向いてしまい、ミクロフィブリル間またはシート間の接着性が低下したり、揮発分が多すぎることにより、強度の絶対値の低下や強度のばらつきが生じることがわかった。このように工業的にバイオマス資源であるセルロースを高機能材料として利用しようとした場合には成形に至るプロセスの改善が不可欠であった。
【特許文献1】特開2003−201695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、ミクロフィブリルセルロースと分散媒を含む分散液より成形品を製造する方法において、前記分散液より、特定の厚み及び特定の分散媒含有率を有するシートを形成し、前記シートを加熱及び/又は加圧することにより成形体を形成することにより、上記課題を解決することを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
即ち、本発明は、本発明は、第(1)項から第(9)項により達成される。
(1) ミクロフィブリルセルロースと分散媒を含む分散液を流延して成形品を製造する方法であって、
前記分散液を用いて、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する工程と、
前記シートを、単数、または複数枚積層した積層体を、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、成形体を形成する工程と、
を含む成形品の製造方法。
(2) 前記成形体を形成するシートは、バインダー樹脂を含浸したものである第(1)項記載の成形品の製造方法。
(3) 前記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂を含むものである、第(2)項記載の成形品の製造方法。
(4) 前記成形体を形成するシートは、カップリング剤および/または該カップリング剤の加水分解物を含浸したものである、第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
(5) 前記シートの形成は、濾別を含む工程により行われるものである第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
(6) 前記シート形成後に、凍結乾燥により分散媒の除去操作を行なうものである第(1)項〜第(5)項のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
(7) 前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂である、第(3)項記載の成形品の製造方法。
(8) 前記成形体を形成するシートは、バインダー樹脂と、カップリング剤および/または該カップリング剤の加水分解物を含浸したものである第(4)項記載の成形品の製造方法。
(9) 第(1)項〜第(8)項いずれか1項に記載の成形品の製造方法により得られる、ミクロフィブリルセルロースを含む成形品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ミクロフィブリルセルロースと分散媒を含む分散液を流延して成形品を製造する方法であって、前記分散液を用いて、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する工程と、前記シートを、単数、または複数枚積層した積層体を、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、成形体を形成する工程と、を含む成形品の製造方法に関するものである。これにより、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に得ることができる。
【0009】
本発明における、ミクロフィブリルセルロースとは、ミクロフィブリル化したセルロースのことである。ここでいうミクロフィブリル化とは、セルロースをその構成要素である微小繊維まで引き裂いた状態にすることをいい、具体的には、セルロースに強力な機械的剪断力などの外力を加えて、0.01〜1μm程度の太さにまでミクロフィブリル化することをさす。
【0010】
また、本発明におけるミクロフィブリルセルロースには、セルロースをミクロフィブリル化する過程でミクロフィブリル化が不十分なセルロースや、ミクロフィブリル化を行っていないセルロースを混合することに起因する、1μmを超える太さのセルロースが含まれていても良く、この1μmを超える太さのセルロースを含有する場合の量としては75重量%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは50重量%以下である。前記範囲内であると、繊維間の空隙が発生せずに、均質で高密度の比較的肉厚なミクロフィブリルセルロースを含む成形品を、安定して、より効率的に製造できる。
【0011】
以下、本発明のミクロフィブリルセルロースを含む成形品の製造方法について、具体例により、順次説明する。まず工程全体のフロー事例を示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、本発明において、以下バインダーと表記した場合は、バインダー樹脂、ならびにカップリング剤および該カップリング剤の加水分解物を意味し、カップリング剤と表記した場合には、便宜的にカップリング剤及び/またはカップリング剤の加水分解物を意味する場合がある。
【0012】
【表1】

【0013】
表1に示すように、本発明では後述するバインダーを使用しない場合と、バインダーを使用する場合とで、その工程は異なる場合がある。前者では、例えば、後述の乾燥工程を含むシート形成工程において、シートの厚み及び分散媒含有率を調整し、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシート、好ましくは厚み5μm以上1000μm以下で分散媒含有率45重量%以上60重量%以下のシートを形成し、その後、複数枚のシートを使用する場合は、成形体を形成する前に、該シートの積層を行った後、予備加熱してから成形体を形成する方法が挙げられ、また、前記シートを単数で使用する場合は、予備加熱のみを行った後に成形体を形成する方法が挙げられる。
一方、バインダーを使用する場合は、前記シートを形成した後、必要に応じて、凍結乾燥、バインダー塗布、バインダー塗布後乾燥、シートの積層・予備加熱を実施した後、成形体を形成する方法、及びミクロフィブリルセルロース分散液に、予めバインダーを混合して分散液を用意して、次いで、該分散液を用いてシートを形成した後、必要に応じて、凍結乾燥、バインダー塗布、バインダー塗布後乾燥、シートの積層・予備加熱を実施した後、成形体を形成する方法が挙げられる。また、使用するバインダーの種類が複数の場合には、それらの混合物を使用しても良く、また、複数使用するバインダーの溶解性の問題により、混合液が作製できないような場合には、バインダー塗布、バインダー塗布後乾燥を複数回繰り返すことにより、段階的に含浸しても構わない。
【0014】
以下に、ミクロフィブリルセルロースを含む成形品の製造方法の詳細な例について説明する。
まず、ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を用意するが、その調製方法について説明する。
本発明に用いるミクロフィブリルセルロースを含む分散液は、ミクロフィブリル化プロセスで使用する分散媒と、ミクロフィブリル化されたセルロースがミクロフィブリル化する過程で、均一に混合されて調製される方法や、分散媒を用いずミクロフィブリル化されたセルロースと、分散媒を別々に混合する方法などが例示されるが、ミクロフィブリル化されたセルロースと分散媒が最終的に混合され、0.01〜1μm程度の太さにまでミクロフィブリル化されたミクロフィブリルセルロースが分散媒に均一に分散されていれば、これらに限定されるものではない。また、一旦分散液を調製した後で、他の分散媒やミクロフィブリル化していないセルロース、界面活性剤、樹脂等を、分散性が保たれる程度に添加することは差し支えない。
【0015】
本発明に用いるミクロフィブリルセルロースの原料としては、植物由来の原料、植物以外の生物由来の原料などが挙げられる。これらの内、植物由来の原料としては、木材、竹、麻、綿、ジュート、ケナフ、農地残廃物、サトウキビ、サトウダイコンや焼酎などの絞りかす、布、古紙等が例示され、植物以外の生物由来の原料としては、酢酸菌等の微生物、ホヤ等が例示される。これらの中でも、コストの面、入手のし易さなどの理由から、植物由来の原料を用いるのが好ましい。
【0016】
本発明において、前記ミクロフィブリルセルロースの原料からミクロフィブリルセルロースを得る方法としては、セルロースをミクロフィブリル化する公知の方法で得ることができる。前記ミクロフィブリル化する方法としては、例えば、振動ミルによる方法、高圧ホモジナイザーなどの高圧均質化装置による方法、石臼式磨砕機による方法などが挙げられる。このような方法で得られるミクロフィブリルセルロースの繊維径は前記範囲外でも使用できるが、下限値0.01μm以上だと、ハンドリングが容易であり、上限値1μm以下だと、均質な成形品が作製できるので好ましい。また、前記繊維長は0.01mm〜5mmが好ましい。前記範囲外でも使用できるが、下限値0.01mm以上であると成形品の強度が良好であり、上限値5mm以下だと分散性がよく好ましい。
【0017】
前記ミクロフィブリルセルロースを含む分散液の分散媒としては、水であることが好ましいが、水と相溶性のある有機溶媒を含む混合溶媒であっても構わない。このような有機溶媒の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、グリセリン、ネオペンチルグリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ペンタエリスリトール及びジメチルスルホキサイド等が例示される。これらは、分散液中でのミクロフィブリルセルロースの分散性や、分散液を流延する際の濾別や、コーティング法で用いる基材上への展開性と流し込みやすさや、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する際の分散媒の揮散性や、後述する分散液の濾別性等を勘案して、適宜選択される。
【0018】
前記ミクロフィブリルセルロースを含む分散液の濃度としては、0.01wt%〜10wt%の割合で、前記ミクロフィブリルセルロースを含むことが好ましく、さらに好ましくは0.1wt%〜5wt%である。前記分散液濃度は、前記上限値以下では、ミクロフィブリルセルロースを含む分散液の粘度が著しく増加することがなく、均一なシートを得ることができ、前記下限値以上だと、所定の厚みのシートを得る上で、使用する前記分散液の量が必要以上に増加せず、作業効率が向上する。また、本発明では、ミクロフィブリルセルロースの分散性に影響を与えない範囲で、後述する含浸用の樹脂や樹脂を溶解するための溶媒が添加されていてもよい。
【0019】
次に、上記で用意したミクロフィブリルセルロースを含む分散液を用いて、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する工程ついて、説明する。
ミクロフィブリルセルロースを含む分散液を流延してシートを形成する方法としては、ミクロフィブリルセルロース等の成形品を実質的に形成する成分と、分散媒などのその他の成分とを、大まかに分離し、ミクロフィブリルセルロース等の成形品を実質的に形成する成分の濃度を高めるプロセスであれば、特に限定されない。
【0020】
そのようなプロセスにおいて、好ましい1つの態様としては、ミクロフィブリルセルロース分散液を、ろ紙、メンブランフィルター又は抄網などに流延し、分散媒等のその他の成分を濾別することにより、シートを形成する、所謂、湿式成形法で得ることができる。前記濾別においては、作業効率を高めるため、減圧または加圧下で行っても構わない。また、連続的に生産する場合には、製紙業界で使用される抄紙機を用いて、薄層シートを連続的に形成する方法も、本発明に含まれる。
また好ましい態様の別の事例としては、前記分散液を基材上に流延し、脱分散媒を行なった後、基材から剥離して薄層のシートを形成する、所謂、コーティング法でも得ることができる。
【0021】
前記基材としては、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択すれば良く、金属板または樹脂板の中で、適当なものを使用すれば良い。前記金属板としては、ステンレス板、真ちゅう板、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等が例示でき、前記樹脂板としては、アクリル板、テフロン(登録商標)板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等が例示できる。
【0022】
なお、上記したシートを形成する工程におけるミクロフィブリルセルロースを含む分散液の投入量は、シートの厚みが所定の範囲に入るように調整すればよく、特に限定されるものではない。
【0023】
前記シートにおける分散媒含有量調整は、分散媒含有率45重量%以上75重量%以下、好ましくは分散媒含有率45重量%以上60重量%以下となるような方法であれば、何ら限定されない。
そのような好ましい事例としては、加熱乾燥または常温下での乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などを、単独もしくは組み合わせて実施する方法を例示することができる。前記加熱乾燥または常温下での乾燥の乾燥温度としては、20℃から200℃が好ましい。前記乾燥温度は前記範囲外でも使用できるが、上限値200℃以下だと、熱によるセルロースの分解が生じにくく、下限値20℃以上だと、乾燥時間が長くならないので好ましい。前記減圧乾燥の乾燥温度としては、20℃から200℃が好ましい。前記減圧乾燥温度は前記範囲外でも使用できるが、上限値200℃以下だと、熱によるセルロースの分解が生じにくく、下限値20℃以上だと、乾燥時間が長くならないので好ましい。減圧乾燥時の減圧度としては100,000Pa以下が好ましく、さらに好ましくは10,000Pa以下である。前記減圧度は前記範囲外でも使用できるが、前記上限値以下だと十分な水分除去の効率が得られ好ましい。
【0024】
前記凍結乾燥の温度は0℃以下が好ましく、さらに好ましくは−5℃以下である。凍結乾燥の真空度は10,000Pa以下が好ましく、さらに好ましくは1,000Pa以下である。
【0025】
本発明におけるシートは、前記必要に応じて、乾燥工程を含むシート形成工程を経て得られるが、厚みが1μm以上1500μm以下で、分散媒含有率が45重量%以上75重量%以下であり、好ましくは厚みが5μm以上1000μm以下で、分散媒含有率が45重量%以上60重量%以下であることが技術骨子である。本発明においては、前記の分散液の流延や濾別等の単位操作を伴うシート形成工程(ここで、ある程度脱分散媒を行なう。)と、必要に応じて、シートを適正な分散媒含有量にするための前記乾燥(分散媒含有量調整)を実施する。この段階で、シート厚み、分散媒含有率が、本発明の技術的範囲外であると、その後の工程で、いかなる工程を追加しようとも、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造することはできない。その理由は、セルロースの水酸基が、ミクロフィブリル同士の間、シート同士の間で、最も効果的に水素結合などの相互作用を発現することが、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品の製造には必須であり、前記相互作用を効果的に発現するためには、適正な量の分散媒で、前記セルロースの水酸基が安定化され、その構造を可能な限り維持しながら、成形の際には均一にすばやく分散媒が揮発・蒸散して、前記セルロースの分子構造が均一に固定されることが必要だからである。このような背景・理由から、上記シート形成工程で得られたシートの厚みは、シートの自立性と、成形の際の均一ですばやい分散媒の揮発・蒸散を促すために、1μm以上1500μm以下であり、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。下限値1μm以上、好ましくは5μm以上であれば、シート段階での十分な強度が得られ、自立性を維持することができるため、作業性が向上し、また、肉厚の成形品を得るために必要な積層枚数が膨大にならないので好ましい。一方、上限値1500μm以下、好ましくは1000μm以下だと、シート表面の水分量が著しく低下することなく、シート内部と表面の水分量を均一に維持することができ、セルロースの水酸基をシートの外側に向かせるのに、十分な水分量を維持でき、成形時に、前記セルロースの外側に向いた水酸基により、シート間の接着力が十分に得られ、かつシート内のミクロフィブリル間も均質な相互作用を発現し、均質で高い強度の成形品を得ることができるので好ましい。なお、前記シートの厚みは、前記分散液の濃度、流延量、流延回数などで適宜調整することができる。
【0026】
また、上記シートの分散媒含有率は、下限値が45重量%、上限値が75重量%以下であり、好ましい上限値が60重量%以下である。前記上限値以下だと、セルロースの水酸基が適度な距離に配置され、相互作用が十分であり、成形時に分散媒が十分に揮発・蒸散し、成形品にクラックやボイドが生じず、均質で高い強度の成形品を得ることができ好ましい。また、前記下限値以上だと、ミクロフィブリル間及びシート間に、セルロースにおける水酸基の水素結合等の相互作用が発現し、強度の絶対値が高く、しかも強度のばらつきが小さい成形品が得られる。
【0027】
上記で得られたシートにはバインダーを含浸することができる。前記バインダーは有機高分子および/またはカップリング剤よりなるものであり、有機高分子、カップリング剤を前記シートに含浸することにより、成形品の物性を改善することができる。前記物性において、特に、耐水性、耐熱性、寸法安定性、力学特性等の改善をはかる場合には、特性に応じたバインダーを含浸することが好ましい。また、親水性基を有するセルロースは吸水率が高く、これに起因する問題点を解決する上でも、比較的少量のバインダーを用いることにより耐水性を向上させることができるので好ましい。
本発明に用いられる有機高分子としては、公知のものを使用でき、水溶性高分子、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
【0028】
前記水溶性高分子としては、水に溶解すれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然高分子等、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の合成高分子、デンプン類、アルギン酸等の多糖類、木材の構成成分であるヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするタンパク質等の天然高分子などが挙げられる。
【0029】
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリエステル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリグルタミン酸、ポリリジン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、デンプン類、アルギン酸等の多糖類、木材の構成成分であるリグニンやヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするタンパク質等の天然高分子等を用いることができる。
【0030】
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、デンプン類、アルギン酸等の多糖類、ヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするタンパク質等の天然高分子などが挙げられる。特に、ここでいうフェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物が含まれ、ノボラックやビスフェノール類、ナフトールやナフトールを分子内に有する樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール、メチロール型レゾール等のレゾール樹脂、前記樹脂等をさらにメチロール化させた化合物、フェノール性水酸基を一つ以上含むリグニンやリグニン誘導体、リグニン分解物、さらにリグニンやリグニン誘導体、リグニン分解物を変性したもの、あるいはこれらを石油資源から製造されたフェノール樹脂と混合した物も含むものである。前記水溶性高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、それぞれ個々に用いることができ、また、2つ以上を組み合わせて用いることもできるが、セルロースとの親和性や強度、耐熱性等を考慮すると熱硬化性樹脂が好ましい。また、熱硬化性樹脂を硬化させて用いる場合、熱硬化性樹脂の硬化剤を併せて用いることができる。
【0031】
これらの中でも、フェノール樹脂が、ミクロフィブリルセルロースとの親和性が高く、硬化した際の繊維界面との密着性に優れ、結果的に耐水性、強度等の力学特性に優れることからより好ましい。
【0032】
本発明に用いられるカップリング剤としては、公知のものを使用でき、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
前記シランカップリング剤は、少なくともケイ素原子を1個以上、アルコキシ基を1個以上含んでいれば良い。それ以外の官能基としてはエポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基、アミノ基、水酸基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、フェニル基、フェノール基、スチリル基、イソシアネート基を1個以上その構造中に含むことが好ましい。また、本発明においては、前記カップリング剤と同等の効果が得られることから、アルコキシ基を4個含む、所謂テトラアルコキシシランも前記したシランカップリング剤に含むものである。
上記したシランカップリング剤の具体例としては、テトラアルコキシシラン化合物;メチルトリアルコキシシラン、およびジメチルジアルコキシシラン、などのアルキル基含有アルコキシシラン化合物;3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、などのエポキシシラン化合物;3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、およびN−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、などのアミノアルコキシシラン化合物;3−アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、および3−メタクリロキシプロピルメチルジアルコキシシラン、などの(メタ)アクリルアルコキシシラン化合物;ビニルトリアルコキシシラン、などのビニルアルコキシシラン化合物;フェニルトリアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシラン、および4−ヒドロキシフェニルトリアルコキシシラン、などのフェニル基含有アルコキシシラン化合物;p−スチリルトリアルコキシシラン、などのスチリル基含有アルコキシシラン化合物;3−イソシアネートプロピルトリアルコキシシランなどのイソシアネートアルコキシシラン化合物;等が例示される。
これらの群の中でも、テトラアルコキシシラン化合物、アルキル基含有アルコキシシラン化合物、フェニル基含有アルコキシシラン化合物が耐水性を高める効果が高く好ましい。
更に、バインダー樹脂、とりわけフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂と併用する場合には、テトラアルコキシシラン化合物、アルキル基含有アルコキシシラン化合物、エポキシシラン化合物、アミノアルコキシシラン化合物、フェニル基含有アルコキシシラン化合物が耐水性を相乗的により一層高めるため好ましい。これはシランカップリング剤がミクロフィブリルセルロース表面を修飾し、バインダー樹脂とミクロフィブリルセルロース間のなじみ性を改善し、水分が進入する空隙を低減するためと推測される。
【0033】
前記チタンカップリング剤は、少なくともチタン原子を1個以上、アルコキシ基を1個以上含んでいれば良く、それ以外の官能基としてはエポキシ基、或いはエポキシシクロヘキシル基、アミノ基、水酸基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、フェニル基、フェノール基、スチリル基、イソシアネート基を1個以上その構造中に含むことが好ましい。また、本発明においては、前記カップリング剤と同等の効果が得られることから、アルコキシ基を4個含む、所謂テトラアルコキシチタンも前記したチタンカップリング剤に含むものである。
上記したチタンカップリング剤の具体例としては、テトラアルコキシチタン化合物;メチルトリアルコキシチタン、およびジメチルジアルコキシチタン、などのアルキル基含有アルコキシチタン化合物;3−グリシドキシプロピルトリアルコキシチタン、3−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシチタン、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシチタン、などのエポキシアルコキシチタン化合物;3−アミノプロピルトリアルコキシチタン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシチタン、およびN−フェニル−3−アミノプロピルトリアルコキシチタン、などのアミノアルコシキシチタン化合物;3−アクリロキシプロピルトリアルコキシチタン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシチタン、および3−メタクリロキシプロピルメチルジアルコキシチタン、などの(メタ)アクリルアルコキシチタン化合物;ビニルトリアルコキシチタン、などのビニルアルコキシチタン化合物;フェニルトリアルコキシチタン、ジフェニルジアルコキシチタン、および4−ヒドロキシフェニルトリアルコキシチタン、などのフェニル基含有アルコキシチタン化合物;p−スチリルトリアルコキシチタン、などのスチリル基含有アルコキシチタン化合物;3−イソシアネートプロピルトリアルコキシチタンなどのイソシアネートアルコキシチタン化合物;等が例示される。
これらの群の中でも、テトラアルコキシチタン化合物、アルキル基含有アルコキシチタン化合物、フェニル基含有アルコキシチタン化合物が耐水性を高める効果が高く好ましい。
更に、バインダー樹脂、とりわけフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂と併用する場合には、テトラアルコキシチタン化合物、アルキル基含有アルコキシチタン化合物、エポキシチタン化合物、アミノアルコキシチタン化合物、フェニル基含有アルコキシチタン化合物が耐水性を相乗的により一層高めるため好ましい。これはチタンカップリング剤がミクロフィブリルセルロース表面を修飾し、バインダー樹脂とミクロフィブリルセルロース間のなじみ性を改善し、水分が進入する空隙を低減するためと推測される。
また、前記カップリング剤としては加水分解物を用いても構わない。カップリング剤又は加水分解物の選択は分散媒、バインダーとの相溶性、加水分解物の安定性等を勘案し、適宜選択すればよく、加水分解物は酢酸希釈水溶液など酸性水溶液とカップリング剤を攪拌混合することにより容易に作製することができる。また、アルコキシド基を加水分解し作製したものでなくても、分子構造が前記したカップリング剤の加水分解物と同一であれば本発明に含まれる。
【0034】
シートにバインダーを含浸させるにあたっては、バインダー含浸液として、前記有機高分子を含浸させる場合は、前記有機高分子を分散媒に溶解又は分散させた有機高分子含浸液を用いると良く、このような有機高分子含浸液の濃度としては、0.1〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜30重量%である。
バインダー含浸液として、前記カップリング剤を含浸させる場合は、前記カップリング剤を分散媒に溶解又は分散させたカップリング剤含浸液を用いると良く、このようなカップリング剤含浸液の濃度としては、0.01〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20重量%である。また、前記有機高分子及びカップリング剤を含浸させる場合には、両者の混合液を用いることもでき、有機高分子含浸液の濃度としては、0.1〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜30重量%であり、カップリング剤含浸液の濃度としては、0.01〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20重量%である。
【0035】
前記有機高分子含浸液、カップリング剤含浸液の溶剤としては、ミクロフィブリルセルロースの分散性を維持でき、有機高分子、カップリング剤を溶解することができる溶剤であれば、特に限定されないが、水や水と相溶性のある有機溶媒を含む水との混合溶媒、あるいは水と相溶性のある有機溶媒がミクロフィブリルセルロースの分散性を損なうおそれが少なく好ましい。このような水と相溶性のある有機溶媒の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、グリセリン、ネオペンチルグリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ペンタエリスリトール及びジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上を混合して用いても構わない。なお、前記有機高分子及び又はカップリング剤を複数回に分け段階的に含浸する場合には、必ずしも含浸液の分散媒は同一でなくとも良く、前記有機高分子または前記カップリング剤の溶解又は分散性を考慮して適宜選定すれば良い。
【0036】
前記シートにバインダーを含浸させる方法としては、上記で得られたシートを前記バインダー含浸液に浸漬する方法、前記シートに前記バインダー含浸液をスプレー等で噴霧して含浸させる方法などにより行うことができる。前記浸漬する方法において、含浸時間は好ましくは1秒〜10日間であるが、特に制限されるものではない。
【0037】
前記浸漬する方法において、含浸時間は、シートにバンインダー含浸液を吸収、拡散させ、バインダー成分が十分に浸透することができれば、特に限定されるものではないが、好ましくは1秒〜10日間で適宜選択すればよい。
また、含浸にあたり、加熱、加圧、減圧等の含浸性を向上させる方法を適宜併用することも本発明に含まれる。
【0038】
また、バインダー含浸液の含浸方法の好ましい態様のもう1つの事例としては、上記で得たシートを、凍結させて分子構造を固定し、分散媒を除去する凍結乾燥を実施した後、バインダー含浸液に浸漬する方法である。
また、他の好ましい態様としては、ミクロフィブリルセルロース分散液にミクロフィブリルセルロースの分散性を損なわない範囲で、バインダー及び/または必要に応じてバインダー含浸液の溶剤を添加し、混合して、これを分散液として、ミクロフィブリルセルロースに予めバインダーを、浸透・含浸させた後、シートを作製する方法で、その他は前記他の好ましい態様等と同じ工程または不要な工程を実施せずに成形すればよい。
【0039】
前記バインダーを使用した場合には、バインダーを前記シートに含浸させた後に、乾燥工程を必要に応じて行なってもよい。その条件としては、前記バインダー含浸液の溶剤の一部又は全部を、揮発・蒸散させる条件や、バインダーとして熱硬化性樹脂などのバインダー樹脂を含浸させた場合には、反応を一部進めて、半硬化状態のプリプレグとする条件などから、適宜選択すれば良い。乾燥温度としては20℃から200℃が好ましく、その方法としては当業者が積層板のプリプレグ等を製造する場合に適用できる方法などを採用することができる。
【0040】
前記複数の工程を経たシートでは、必要に応じて、シートを単数または複数積層で成形し得る状態に配置した上での予備加熱工程を実施することができる。特にバインダーを使用せず、複数枚を積層する場合には、それぞれのシート間を圧着した状態で、予備加熱を行い、シート界面の分子構造を固定することが好ましく、この場合の温度としては20℃から200℃が好ましく、より好ましくは20℃から150℃である。また圧力は0.01〜200MPaが好ましく、0.1〜100MPaがより好ましい。
【0041】
次に、上記で得られたシートを単数、または複数枚積層し、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、成形体を形成する工程について説明する。
【0042】
前記シートの積層枚数については、1枚以上1000枚以下が好ましいが、成形品の厚みが所望のものとなるように適宜調整すれば良い。
加熱方法としては、ホットプレート等の熱板、オーブン及び減圧オーブン等の加熱装置を用いる方法、加圧する方法としてはコールドプレス法、加熱および加圧する方法としてはホットプレス法が挙げられる。
上記オーブンによる処理温度については、20〜200℃が好ましく、さらに好ましくは70〜180℃である。下限値以上だと、残留する分散媒や溶剤の除去が十分に行なわれ、一方、上限値以下だと、ミクロフィブリルセルロースの分解等が生じにくいので好ましい。
【0043】
上記コールドプレスとは、加熱せずに加圧する方法であり、このコールドプレスにおける圧力は、0.01〜200MPaが好ましく、0.1〜100MPaがより好ましい。圧力が下限値以上だと、セルロースミクロフィブリル間やシート間の接着が十分となり、上限値以下だと、得られるミクロフィブリルセルロースの損傷が生じにくく好ましい。また、温度は特に限定されないが、操作の便宜上、常温が好ましい。加圧する時間は限定されず、例えば、5秒〜24時間、好ましくは30秒〜12時間が例示できるが、目的とする材料により適宜選択することができる。
【0044】
上記ホットプレスとは、加熱しながら加圧する方法であるが、加熱および加圧する条件は、目的とする用途により異なるが、ミクロフィブリルセルロースが劣化しない条件、例えば、圧力は0.1〜500MPaが好ましく、さらに好ましくは1〜250MPaである。温度は20〜200℃、好ましくは70〜180℃で行うのが好ましい。加熱および加圧の時間は特に限定されないが、例えば、5秒〜24時間、好ましくは30秒〜12時間が例示できるが、目的とする材料により適宜選択することができる。
【0045】
また、本発明では、真空中で成形体を形成してもよく、この時の真空度としては100,000Pa以下が好ましく、さらに好ましくは10,000Pa以下である。
【0046】
本発明は、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造できる特長を有しているが、大規模な成形品は製紙業の抄紙工程を準用し、ミクロフィブリルセルロースからなるシートを連続的に製造し、これを単数または積層し、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、積層体を形成すことにより得られることから、メートル角以上の大面積な成形品も効率的に製造することが可能である。
【0047】
以上、本発明のミクロフィブリルセルロースを含む成形品の製造方法の好適実施形態について説明した。
本発明の成形品は、高強度で強度ばらつきの少ないミクロフィブリルセルロースを含む成形品を安定して、効率的に製造できることから、自動車の外板、ダッシュボードといった内装などの自動車部品、鉄道、飛行機、船等の輸送用機器の部品、住宅やオフィスにおけるサッシ、壁板、床板などの建材、柱あるいは鉄筋コンクリートにおける鉄筋のような構造部材、電子回路の基板などの電子部品、パソコン、携帯電話等の家電製品の筐体(ハウジング)、文具等の事務機器、家具、使い捨ての容器等の生活用品、スポーツ用品、玩具など家庭内で使用される小物、看板、標識など屋外設置物、防弾盾、防弾チョッキなどの衝撃吸収部材、ヘルメットなどの護身用具、人工骨、医療用品、研磨剤、防音壁、防護壁、振動吸収部材、工具、板ばねなどの機械部品、楽器、梱包材などに使用することができる。また、ミクロフィブリルセルロースの生分解性を生かし、園芸用構造物、河川、海岸等の改修用構造物、山林、山野、砂漠、氷上などで回収予定のない設置物、土中埋設物、水中埋設物などにも利用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0049】
(製造例1)
5mm程度に裁断した木材パルプチップ100重量部に、水800重量部を加え、石臼式磨砕機(増幸産業(株)製スーパーマスコロイダー)により、1800回転で10回微細化処理を行い、得られた分散液に、さらに水を加え、6重量%のミクロフィブリルセロルース分散液に調製した。この分散液を顕微鏡で観察した結果、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維太さ0.8μm、平均繊維長0.3mmであった。
【0050】
(製造例2)
5mm程度に裁断した木材パルプチップ100重量部に、水2500重量部を加え、石臼式磨砕機(増幸産業(株)製スーパーマスコロイダー)により、1800回転で30回微細化処理を行い、得られた分散液に、さらに水を加え、3重量%のミクロフィブリルセロルース分散液に調製した。この分散液を顕微鏡で観察した結果、ミクロフィブリルセルロースの平均繊維太さ0.5μm、平均繊維長0.1mmであった。
【0051】
(製造例3)
製造例2の分散液100重量部に、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)の10重量%水溶液を100重量部加え、分散液を調製した。
【0052】
(実施例1)
製造例1の分散液を、タンク付フィルターフォルダー(アドバンテック東洋(株)製、型式;KST−293−10)に投入、ろ紙上に流延し、0.3MPaで加圧ろ過し、シートを作製した。その後シートを100℃、1時間乾燥し、シートの厚み1200μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率60重量%のシートを得た。同様の方法でシートを合計2枚作製し、この2枚をステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、105℃、10MPa、30分予備加熱した。さらに引き続き、150℃で2時間ホットプレス成形を行い、厚さ1.9mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均260MPa、最大値は270MPa、最小値は250MPaであった。曲げ強度はJIS K 7171に準拠し、支点間距離36mm、クロスヘッド速度1mm/分、25℃、相対湿度60%下で、(株)オリエンテック社製 UCT−30T型テンシロンで測定した。
【0053】
(実施例2、3)
実施例1において、製造例1の分散液の代わりに製造例2で作製した分散液を使用する以外は、それぞれ、実施例1と同様の操作でシートを作製した。条件の詳細と評価結果は表2に示す。
【0054】
(実施例4)
製造例2で作製した分散液をテフロン(登録商標)製の板に流延し、130℃のオーブンで1時間加熱処理した。得られたシートはシートの厚み10μm、30cm角、分散媒含有率50重量%のシートを得た。同様の方法で225枚のシートを準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、105℃、10MPa、30分予備加熱した。さらに引き続き150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ1.9mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均280MPa、最大値は285MPa、最小値は270MPaであった。
【0055】
(実施例5)
実施例2と同様の方法でシートを作製し、該シートを、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)の10重量%水溶液に室温で1時間浸積して含浸させ、バインダー樹脂塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均430MPa、最大値は440MPa、最小値は425MPaであった。
【0056】
(実施例6)
製造例3の分散液をタンク付フィルターフォルダーに投入、ろ紙上に流延し、0.3MPaで加圧ろ過し、シートを作製した。その後シートを100℃、15分乾燥し、シートの厚み700μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率75重量%のシートを得た。同様の方法でシートを合計4枚作製し、この4枚をステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、90℃、10MPa、30分予備加熱した。さらに引き続き150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2.1mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均420MPa、最大値は430MPa、最小値は410MPaであった。
【0057】
(実施例7)
実施例2と同様の方法で、シートの厚み800μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率50重量%のシートを作製した。このシートを−15℃、真空度200Paで10時間凍結乾燥し、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)の10重量%水溶液に室温で1時間浸積して含浸させ、バインダー樹脂塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均460MPa、最大値は475MPa、最小値は455MPaであった。
【0058】
(実施例8)
実施例2と同様の方法でシートを作製し、別途調製した、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828)100重量部及び2メチルイミダゾール0.05重量部を固形分濃度10重量%になるようにジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した10重量%液に、室温で1時間浸積して含浸させ、バインダー樹脂塗布後乾燥を150℃、10分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均340MPa、最大値は350MPa、最小値は330MPaであった。
【0059】
(実施例9)
1重量%酢酸水溶液にフェニルトリメトキシシランを室温で30分間かけて逐次添加混合し、添加終了後更に2時間攪拌することで、2重量%のフェニルトリメトキシシランの加水分解物水溶液を作製した。作製したフェニルトリメトキシシラン加水分解物水溶液でレゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)を希釈することにより、フェニルトリメトキシシラン含有量1重量%、レゾール樹脂10重量%水溶液の混合液を作製した。この混合液に、実施例2と同様の方法で作製したシートを、室温で1時間浸積して含浸させ、バインダー塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均515MPa、最大値は525MPa、最小値は505MPaであった。
【0060】
(実施例10、11)
実施例9において、フェニルトリメトキシシランの配合量を換えた以外は実施例9と同様の方法により成形品を作製した。条件の詳細と評価結果は表2及び表3に示す。
実施例10で得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均535MPa、最大値は540MPa、最小値は530MPaであった。
実施例11で得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均505MPa、最大値は515MPa、最小値は495MPaであった。
【0061】
(実施例12)
実施例9において、フェニルトリメトキシシランをテトラエトキシシランに換えた以外は実施例9と同様の方法により成形品を作製した。条件の詳細と評価結果は表3に示す。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均515MPa、最大値は520MPa、最小値は510MPaであった。
【0062】
(実施例13)
アミノプロピルシラントリオール22〜25%水溶液(Gelest社製)を水で希釈し、2重量%水溶液とし、これに、実施例2と同様の方法で作製したシートを、室温で1時間浸積して含浸させた後、室温で1日風乾させた。さらに、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)を10重量%水溶液に希釈し、これに、先に風乾しておいたシートを、室温で1時間浸積して含浸させた。バインダー塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均540MPa、最大値は550MPa、最小値は530MPaであった。
【0063】
(実施例14)
製造例2と同様の方法で得られたミクロフィブリルセルロースを布に入れて絞った後、これをメチルアルコールに分散させ、布で絞る工程を3回繰り返し、得られたミクロフィブリルセルロースをメチルアルコールに分散させメチルアルコール分散液を作製した。これを、実施例1と同様の方法でろ過した後、シートを40℃、1時間乾燥し、シートの厚み900μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率55重量%のシートを得た。次に、得られたシートを、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをメチルアルコールで希釈した2重量%メチルアルコール溶液に、室温で1時間浸積して含浸させた後、室温で8時間風乾させた。次に、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)を100℃で2500Paとなるまで減圧蒸留した後、メチルアルコールを添加し、不揮発分10%のメチルアルコール溶液となるように溶剤置換した。これに、先に風乾しておいたシートを室温で1時間浸積して含浸させた。次いで、バインダー塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均560MPa、最大値は575MPa、最小値は550MPaであった。
【0064】
(実施例15)
実施例14において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランに置き換えた以外は、実施例14と同様の方法により成形品を作製した。条件の詳細と評価結果は表3に示す。
得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均520MPa、最大値は525MPa、最小値は515MPaであった。
【0065】
(実施例16)
実施例14において、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをテトラエトキシチタンに置き換えた以外は、実施例14と同様の方法により成形品を作製した。条件の詳細と評価結果は表3に示す。
得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均535MPa、最大値は540MPa、最小値は525MPaであった。
【0066】
(実施例17)
1重量%酢酸水溶液にフェニルトリメトキシシランを室温で30分間かけて逐次添加し、添加終了後更に2時間攪拌することで、2重量%のフェニルトリメトキシシランの加水分解物水溶液を作製した。これに、実施例2と同様の方法で作製したシートを、室温で1時間浸積して含浸させ、バインダー塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを3枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均415MPa、最大値は425MPa、最小値は405MPaであった。
【0067】
(比較例1)
製造例2の分散液をタンク付フィルターフォルダーに投入、ろ紙上に流延し、0.3MPaで加圧ろ過し、シートを作製した。その後シートを100℃、1時間乾燥し、シートの厚み3000μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率40重量%のシートを得た。このシートをステンレス板の上に配置し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃で2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2.6mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均220MPa、最大値は250MPa、最小値は200MPaであった。
【0068】
(比較例2)
製造例2の分散液をタンク付フィルターフォルダーに投入、ろ紙上に流延し、0.3MPaで加圧ろ過し、シートを作製した。その後、シートを100℃、1時間乾燥し、シートの厚み300μm、直径26cmの円形で、分散媒含有率40重量%のシートを得た。このシートを、レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−961A、不揮発分65%、遊離フェノール12%、遊離ホルムアルデヒド5%)の10重量%液に、室温で1時間含浸させ、バインダー樹脂塗布後乾燥を100℃、15分行なった。同様のシートを10枚準備し、ステンレス板の上に積層し、さらに、積層されたシートの上にステンレス板を載せ、プレス機で、150℃、100MPaで2時間ホットプレス成形を行い、厚さ2.6mmの板状の成形品を作製した。得られた成形品の曲げ強度は、n=10で平均370MPa、最大値は400MPa、最小値は350MPaであった。
【0069】
上記の実施例、比較例で得られた試験片の、曲げ強度、吸水率、硬度変化、厚み変化を測定した結果を表2及び表3に示した。
なお、ここでいう、吸水率とは、上記で得た所定の大きさの試験片を24時間、25℃の水中に浸漬したときの、浸漬後の重量と浸漬前の重量の差を浸漬前の重量で除した値を100倍した値である。
硬度変化とは、上記で得た所定の大きさの試験片を24時間、25℃の水中に浸漬したときの、浸漬後の硬度を浸漬前の硬度で除した値を100倍した値である。硬度は高分子計器(株)社製デュロメータゴム硬度計D型により測定した値である。
厚み変化とは、上記で得た所定の大きさの試験片を24時間、25℃の水中に浸漬したときの、浸漬後の厚みを浸漬前の厚みで除した値を100倍した値である。
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
本発明の実施例では、いずれも高い曲げ強度と強度のばらつきが小さいという特長を有しているが、比較例1はバインダーなしでシート厚みが1500μmを超える3000μm、分散媒含有率が45重量%を下回る40重量%の事例であり、曲げ強度の絶対値、ばらつきとも本発明の実施例に及ばない。また比較例2はレゾール樹脂を使用して、分散媒含有率が45重量%を下回る40重量%の事例であり、やはり曲げ強度の絶対値、ばらつきとも、本発明のレゾール樹脂使用の実施例5、7に及ばないことは明らかである。
また、本発明であるバインダー樹脂並びにカップリング剤および該カップリング剤の加水分解物を含浸した実施例9〜16では、バインダー樹脂しか含浸していない実施例5、7、8よりも、より一層吸水率が制御され、それに付随して硬度変化、厚み変化量が著しく抑制されており、故に耐水性が高い上、曲げ強度の絶対値、ばらつきとも優れていることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のミクロフィブリルセルロースを含む成形品は、高強度で強度ばらつきの少ないことから、自動車の外板及びダッシュボードなどの内装などの自動車部品、鉄道、飛行機、船等の輸送用機器の部品、住宅やオフィスにおけるサッシ、壁板及び床板などの建材、柱あるいは鉄筋コンクリートにおける鉄筋のような構造部材、電子回路の基板などの電子部品、パソコン及び携帯電話等の家電製品の筐体(ハウジング)、文具等の事務機器、家具、使い捨ての容器等の生活用品、スポーツ用品、玩具など家庭内で使用される小物、看板、標識など屋外設置物、防弾盾、防弾チョッキなどの衝撃吸収部材、ヘルメットなどの護身用具、人工骨、医療用品、研磨剤、防音壁、防護壁、振動吸収部材、工具、板ばねなどの機械部品、楽器、梱包材などに使用することができる。また、ミクロフィブリルセルロースの生分解性を生かし、園芸用構造物、河川、海岸等の改修用構造物、山林、山野、砂漠、氷上などで回収予定のない設置物、土中埋設物、水中埋設物などにも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロフィブリルセルロースと分散媒を含む分散液を流延して成形品を製造する方法であって、
前記分散液を用いて、厚み1μm以上1500μm以下で分散媒含有率45重量%以上75重量%以下のシートを形成する工程と、
前記シートを、単数、または複数枚積層した積層体を、加熱、加圧または加熱と加圧の両方により、成形体を形成する工程と、
を含む成形品の製造方法。
【請求項2】
前記成形体を形成するシートは、バインダー樹脂を含浸したものである請求項1記載の成形品の製造方法。
【請求項3】
前記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂を含むものである、請求項2記載の成形品の製造方法。
【請求項4】
前記成形体を形成するシートは、カップリング剤および/または該カップリング剤の加水分解物を含浸したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
【請求項5】
前記シートの形成は、濾別を含む工程により行われるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
【請求項6】
前記シート形成後に、凍結乾燥により分散媒の除去操作を行なうものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品の製造方法。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂である、請求項3記載の成形品の製造方法。
【請求項8】
前記成形体を形成するシートは、バインダー樹脂と、カップリング剤および/または該カップリング剤の加水分解物を含浸したものである請求項4記載の成形品の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載の成形品の製造方法により得られる、ミクロフィブリルセルロースを含む成形品。

【公開番号】特開2009−96167(P2009−96167A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8628(P2008−8628)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】