説明

ミコフェノール酸またはミコフェノール酸ナトリウムを含む医薬的多微粒子組成物ならびにラパマイシンとの組合せ組成物

本発明は、放出調節形態の、例えばミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグの、新規組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグの新規組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミコフェノール酸(ここでは、MPAとも記載する)は1896年に最初に単離され、例えば抗腫瘍、抗ウイルス、免疫抑制、抗乾癬、および抗炎症活性を有することが知られている。
【0003】
ミコフェノール酸塩は、腸の上部で放出されるように適合させたとき、特に免疫抑制適応のための、例えば細胞、組織または臓器同種移植片拒絶反応の処置または予防のための、有効で、非常に耐容性な医薬をもたらす。しかしながら、例えば腸内の薬剤分配の改善によりまたは製剤の薬剤放出プロファイルの修飾により、MPAの消化管での副作用をさらに減少させ、そして身体の薬剤暴露の変動性を減少させる必要がある。さらに、患者間および患者内変動性ならびに食物の影響を減少させる必要性がまだ存在する。
【0004】
既に知られたミコフェノール酸およびミコフェノール酸塩製剤にも係わらず、良好な患者簡便性および許容性を伴う経口投与のための、商業的に許容できる投与形態の必要性がまだ存在する。
【0005】
本発明に従い、非常に耐容性で、安定で、投与に便利であるという特に興味深いバイオアベイラビリティ特性を有し、そして、増加した嚥下適性(swallowability)を備えた、ミコフェノール酸またはミコフェノール酸塩を含む特に適当な医薬組成物が、本組成物を放出調節形態で製剤したとき、好ましくは医薬原体または医薬原体含有コアを放出調節コーティングでコーティングしたときに、得ることができることが、今回驚くべきことに判明した。
【発明の開示】
【0006】
従って、本発明は下記を提供する:
1. 放出調節形態でMPA、塩、例えばナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFを含む、組成物。
【0007】
ここで定義する本発明の組成物は、放出調節形態でMPA、塩、例えばナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFを含む。
【0008】
ここで定義する、用語“塩”は、塩、多形体、溶媒和物、水和物またはこれらの全ての適当な組合せを包含する。好ましいのはミコフェノール酸ナトリウム塩である。
【0009】
適当なMPA塩はカチオン性塩、例えばアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩、例えば一または二ナトリウム塩、好ましくは一ナトリウム塩を含む。
【0010】
MPAのプロドラッグは、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)としても既知のモルホリノエチルエステルのような、例えばUS4,753,935に記載の通りの、例えばMPAの生理学的に加水分解可能なエステルを含む。
【0011】
放出調節形態は、薬剤を直ぐにではなく、例えば、崩壊後、または腸溶性コーティング、すなわち胃耐性コーティングの場合、胃を通過後に放出するだけでなく、しばしば、持続した、遅延した、連続的な、漸進的な、長期のまたは拍動性の放出を提供し、故に薬剤血漿濃度を即時放出型製剤に対して著しく変える、製剤を意味する。より具体的に、ここで使用する用語“放出調節製剤”は、慣用の投与形態よりも長期間にわたり、活性剤が吸収のために放出および提供される製剤、すなわち、その中に含まれる活性剤の調節された放出プロファイルを提供する製剤を意味する。
【0012】
このような放出調節形態は、医薬原体または医薬原体含有コアに放出を調節するコーティング、例えば拡散コーティングを適用することにより、製造できる。典型的にこれらの放出調節形態は、即時放出形態と比較して、減少した副作用、大きな利便性および単純な投与スケジュールのための高レベルの患者コンプライアンスを含む、多数の利点を提供する。
【0013】
本発明の組成物は、例えば錠剤またはカプセルまたは多微粒子(multiparticulate)形態であり得る。
【0014】
多微粒子は、約3mm未満、好ましくは約1μmから3mmの間の平均サイズを有する薬剤粒子を意味する。“平均粒子サイズ”は、重量で少なくとも50%の粒子が、ほぼ記載の値よりも小さい粒子サイズを有することを意味する。粒子サイズは、当業者に既知の慣用の粒子サイズ測定技術で測定した、重量平均粒子サイズに基づいて決定できる。このような技術は、例えば、沈降場流動分画法、光子相関分光学、光散乱、およびディスク遠心を含む。
【0015】
本多微粒子は、放出調節コーティングされた多微粒子、微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒、ビーズまたは薬剤粒子であり得る。
【0016】
本発明の組成物は、異なる放出調節プロファイルを提供する、例えば異なる放出調節コーティングを含む、多微粒子の混合物を含み得る。
【0017】
本発明の組成物は、放出調節コーティングされた、例えば拡散コーティングされた、錠剤またはカプセルで有り得る。本発明の組成物が錠剤またはカプセルの形であるとき、それは好ましくは、多微粒子、例えば放出調節コーティングされた多微粒子を与える、例えば遊離するために、崩解または溶解できる錠剤またはカプセルであり、例えばそれは、好ましくは崩壊性の錠剤またはカプセルである。錠剤またはカプセルは、口腔、胃または小腸で崩解または溶解し得る。錠剤またはカプセルは、無傷の放出調節コーティングされた多微粒子を放出し得る。
【0018】
好ましくは本発明の組成物は、放出調節コーティングされた多微粒子形態である。
【0019】
本発明の組成物がミニタブレットの形であるとき、それは、好ましくはカプセル中にまたは同じ製剤で投与量の高い変動性を提供し得るアルミニウムスティックパック中に充填される。
【0020】
本発明の組成物が、経口で投与されたとき、例えば健常対象における、標準バイオアベイラビリティ治験で示される通り、薬物動態学的行動の一貫性の観点で、とりわけ有利な特性を示すことが驚くべきことに判明した。特に本発明の組成物は、それが食物との、とりわけ、高脂肪食との相互作用をほとんど示さないため、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグのための、改善された経口投与形態を提供する。加えて、ある一日からその翌日までの、または日中から夜間までのミコフェノール酸(MPA)暴露の変動が、本発明の組成物の投与により著しく低下し得る。さらに、一投与量あたりのトラフMPA血漿濃度と合計AUCの間の良好な相関関係を達成できる。故に、本発明の組成物で、薬物動態学的パラメーターは、より予測可能となる。
【0021】
本発明のさらなる態様に従い、下記が提供される:
2. 腸内の薬剤分布を改善するための、医薬原体の腸管への送達を遅延するための、患者間および患者内変動性を減少させるための、食物の影響またはGI影響を減少または防止するための、嚥下適性を増加させるためのまたは患者コンプライアンスを高めるための、本発明の組成物の使用。
【0022】
3. 治療的有効量の本発明の組成物を投与することを含む、対象、例えば移植を受けた対象または自己免疫性疾患を有する対象における、腸内の薬剤分布を改善する、医薬原体の腸管への送達を遅延する、患者間および患者内PK変動性を減少させる、または食物の影響を減少するための、方法。
【0023】
4. 処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明の組成物を投与し、そして所望により他の免疫抑制剤を同時に、連続的にまたは別々に投与することを含む、非処置(native)またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応、または免疫介在性および/または炎症性疾患の処置および/または予防のための方法。
【0024】
5. 腸内の薬剤分布を改善するための、医薬原体の腸管への送達を遅延するための、患者間および患者内変動性を減少させるための、食物の影響またはGI影響を減少または防止するための、嚥下適性を増加させるためのまたは患者コンプライアンスを高めるための、本発明の組成物の使用。
【0025】
6. 非処置またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応、または免疫介在性および/または炎症性疾患の処置または予防用医薬の製造における、本発明の組成物の使用。
【0026】
本発明に従い放出調節された組成物は、簡便には、体内、好ましくは腸内への、MPA、MPA塩またはMPAプロドラッグの持続した、連続的な、漸進的な、長期のまたは拍動性の放出を提供する成分でコーティング、例えば放出調節コーティング、例えば拡散コーティングされていてよい。
【0027】
このような放出調節コーティング成分の例は、例えばセルロース誘導体;例えばエチルセルロース、例えばFMCから入手可能なAquacoat(登録商標)ECD;Colorconから入手可能なSurelease、アクリル酸コポリマー、好ましくは4級アンモニウム基、例えばトリ(C1−4アルキル)−アンモニウムメチルメタクリレート基、例えばトリメチルアンモニウムメチルメタクリレート基を含むアクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、例えば、異なる比率の4級アンモニウム基20:1 RL/40:1 RSを有するアクリル酸/メタクリル酸エステル、例えばRoehm Pharmaから商品名オイドラギットRL、オイドラギットRSまたはオイドラギットNEの下に市販されているそのようなポリマーまたはコポリマー;および/またはそれらの混合物である。重量で約75:25、好ましくは90:10、好ましくは95:5のオイドラギットRS:オイドラギットRLの比率が特に好ましい。
【0028】
本放出調節コーティング成分は、水性分散、例えば30%水性分散、または有機溶液、例えば12.5%有機溶液中に存在し得る。例えば放出調節コーティング成分は、30%水性分散または12.5%有機溶液中のオイドラギットRLおよびオイドラギットRSの混合物であり得る。
【0029】
本放出調節コーティング成分の量は、コーティングの総重量に基づいて、約30−約100重量%、より好ましくは約50−約100重量%であり得る。
【0030】
本放出調節コーティング、例えば拡散コーティングは、組成物の総重量の、好ましくは5−50重量%、より好ましくは5−20重量%、よりさらに好ましくは10−15重量%を構成し得る。
【0031】
当業者は、本発明の組成物に含まれるMPA、その塩またはプロドラッグの放出プロファイルを調節するために、必要に応じて放出調節コーティングポリマーの性質および量を調節できる。
【0032】
本放出調節コーティングは、例えば下記の通り、さらに1種以上のさらなる成分または賦形剤、例えば孔形成剤、可塑剤、抗粘着剤、湿潤剤を含み得る。
【0033】
本発明の他の局面において、下記が提供される
7. 放出調節コーティング、例えば拡散コーティングを含む薬剤、例えば免疫抑制剤、例えばMPA、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含み、ここで、該放出調節コーティングが、例えば上記で定義の通りの、孔形成剤、例えば腸溶性孔形成剤、例えばpH依存性孔形成剤を含む、組成物。
【0034】
8. 腸内の薬剤分布を改善するための、医薬原体の腸管への送達を遅延するための、患者間および患者内PK変動性を減少させるための、食物の影響またはGI影響を減少または防止するための、嚥下適性を増加させるためのまたは患者コンプライアンスを高めるための、このような組成物の使用。
【0035】
9. 処置を必要とする対象に、治療的有効量のこのような組成物を投与し、そして所望により他の免疫抑制剤を同時に、連続的にまたは別々に投与することを含む、非処置またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応、または免疫介在性および/または炎症性疾患の処置および/または予防のための方法。
【0036】
10. 非処置またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応、または免疫介在性および/または炎症性疾患の処置および/または予防用医薬の製造のためのこのような組成物の使用。
【0037】
適当な孔形成剤は、HPMCのようなpH非依存性孔形成剤、またはpH依存性である孔形成剤であってよく、適当なpH依存性孔形成剤は、腸溶性孔形成剤、例えば腸溶性コーティングポリマーであり得る。
【0038】
ここで定義する、腸溶性孔形成剤は、pH>5の環境中、例えば腸液中への薬剤の放出を提供し、かつ酸性環境中、例えば胃中への薬剤の放出を抑制する孔形成剤である。本発明に従う腸溶性孔形成剤の例は、HPMC−フタレート(HPMC−P)、例えば信越からの、例えばHP50、HP55;HPMC−アセテート−スクシネート(HPMC−AS)、例えば信越からの、例えばAqoat LFまたはAqoat MF;メチルアクリル酸−エチルアクリル酸コポリマー、例えばメタクリル酸コポリマー、例えばRoehm PharmaからのオイドラギットL、S、L100−55および/またはL30D、ColorconからのAcryl-Eze、BASFからのKollicoat MAE 30 DP;セルロースアセテートフタレート、例えばFMC BiopolymerからのAquacoat CPD、またはEastman Kodakからのポリマー;およびポリビニルアセテートフタレート、例えばSureteric、Colorcon、または任意のそれらの混合物である。好ましくはHPMC−PおよびHPMC−ASを、エチルセルロースまたは、4級アンモニウム基、例えばトリ(C1−4アルキル)−アンモニウムメチルメタクリレート基を含むアクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、例えばオイドラギットRSと、有機コーティング溶液で組み合わせることができ、水に分散したHPMC−ASはまた水性エチルセルロース分散、例えばAquacoat ECD、FMCと組み合わせることができる。
【0039】
酸性媒体に難溶性であるMPAの場合、腸溶性孔形成剤が、水溶性孔系製剤と比較して、薬剤放出に対する酸性pH前処置の影響を有利に減少させることが、驚くべきことに示された。
【0040】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートは、典型的に20,000−100,000ダルトン、例えば80,000−130,000ダルトンの分子量、例えば5−10%のヒドロキシプロピル含量、18−24%のメトキシ含量および21−35%のフタリル含量を有する。適当なヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの例は、6−10%のヒドロキシプロピル含量、20−24%のメトキシ含量、21−27%のフタリル含量、約84,000ダルトンの分子量を有する、HP50の商品名で既知であり、信越化学工業、東京、日本から入手可能な商品、およびそれぞれ5−9%、18−22%および27−35%のヒドロキシプロピル含量、メトキシ含量、およびフタリル含量ならびに78,000ダルトンの分子量を有し、HP55の商品名で既知であり、同じ供給業者から入手可能な商品である。
【0041】
適当なヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートの例は、商品名Aqoat LFまたはAqoat MFの下に既知の通りに使用されているものであり、例えば信越化学工業、東京、日本から購入できる。
【0042】
本発明の組成物の放出調節コーティングは、放出調節コーティングの総重量に基づいて、0−70重量%、より好ましくは5−50重量%の孔形成剤を含み得る。
【0043】
本発明の組成物は、さらに、例えば水溶性孔を提供する孔形成剤、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、または他のセルロース誘導体、例えば酸性媒体に可溶性の孔形成剤、例えばアンモニウム塩、アクリル酸またはメタクリル酸エステルとして、例えばオイドラギットEまたはオイドラギットEPO;ポリアクリル酸;水中で膨張する孔形成剤、例えばオイドラギットRS、RL、NE30D、アルカリ性媒体に可溶性の孔形成剤、すなわち腸溶性コーティングポリマー、例えばオイドラギットL、S、L100−55または任意のそれらの混合物を含み得る。HPMCは、その水性溶液の粘性のために、増粘剤としても働き得る。本発明に従い、本孔形成剤は親水性薬剤、例えば水溶性可塑剤、例えばPEG、トリアセチン、トリエチルシトレート、または親水性二酸化ケイ素、例えばAerosil 200またはSyloid 244 FPであり得る。
【0044】
本発明に従う適当な可塑剤は、例えば、トリアセチン、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、ポリエチレングリコール400、3000、4000または6000、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、およびジエチルフタレート、またはそれらの混合物を含む。好ましくは本可塑剤は、トリエチルシトレートまたはジブチルセバケートである。本可塑剤は、一般的に、ポリマーのガラス遷移温度を低下させ、その柔軟性および堅牢性を増加させ、そしてその透過性を変えるように、コーティングポリマーを膨張させる。本可塑剤がポリエチレングリコールのように親水性であるとき、コーティングの水透過性は一般に増加する。本可塑剤がジエチルフタレートまたはジブチルセバケートのように疎水性であるとき、コーティングの水透過性は一般に減少する。
【0045】
好ましくは本可塑剤は、コーティングの総重量に基づいて1−50重量%、好ましくは2−35%、より好ましくは5−25%の量で存在する。
【0046】
抗粘着剤の例は、二酸化ケイ素、例えばコロイド状二酸化ケイ素、およびSyloid 244 FP、タルク、Aerosil 200またはグリセリンモノステアレートのような合成無定形ケイ酸である。好ましくは本抗粘着剤はAreosil 200およびSyloid 244 FPである。本抗粘着剤がAerosil 200またはSyloid 244 FPのように親水性であるとき、コーティングの水透過性/膨張(および故にまた薬剤放出)は一般に増加する。本可塑剤がタルクまたはグリセロールモノステアレートのように疎水性であるとき、コーティングの水透過性は一般に減少する。本抗粘着剤は、薬剤コアの粘着を避け、それらの高い分離を確実にするために、所望によりコーティング製剤中に包含される。
【0047】
好ましくは本抗粘着剤は、コーティングの総重量に基づいて、1−50重量%、より好ましくは5−25重量%の量で存在する。
【0048】
適当な湿潤剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セトマクロゴール、蝋、グリセロールモノステアレート、ソルビタンエステルおよびポロキサマーを含む。本湿潤剤は、界面張力を減少させる、およびスプレー溶液または懸濁液と処置表面の接触を改善するその特性のために、所望によりコーティング製剤に包含される。
【0049】
好ましくは本湿潤剤は、コーティングの重量に基づいて、1−20重量%、より好ましくは1−5重量%の量で存在する。
【0050】
本発明の組成物は、さらに腸溶性コーティングされ得る。腸溶性コートまたはコーティングは、活性剤の胃への放出を防止し、腸管上部での放出を可能にする、薬学的に許容されるコーティングを意味する。本腸溶性コーティングは、放出調節コーティング上に、オーバーコートとして添加し得る。
【0051】
本発明の組成物のために好ましい腸溶性コーティングは例えばセルロースアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート;メタクリル酸コポリマー、例えば少なくとも40%メチルアクリル酸を含む、メチルアクリル酸およびそのエステルからのコポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートまたはポリビニルアセテートフタレートから選択される、フィルム形成剤を含む。
【0052】
典型的セルロースアセテートフタレートは、17−26%のアセチル含量および30−40%のフタレート含量と、約45−90cPの粘性を有する。適当なセルロースアセテートフタレートの例は、商品CAP(Eastman Kodak, Rochester, N.Y., USA)またはFMC BiopolymerからのAquacoat CPDである。
【0053】
典型的セルロースアセテートトリメリテートは、17−26%のアセチル含量、25−35%のトリメリチル含量と、約15−20cSの粘性を有する。適当なセルロースアセテートトリメリテートの例は、商品CAT(Eastman Kodak Company, USA)である。
【0054】
メタクリル酸コポリマーは、好ましくは少なくとも40%メチルアクリル酸を含む、メチルアクリル酸およびそのエステルからのコポリマー、より好ましくは、例えば約1:1の比率のメチルアクリル酸およびメチルまたはエチルメチルアクリル酸に基づいて、100,000ダルトンを超える分子量を有するものである。典型的な製品は、Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyから市販されているオイドラギットL、例えばL100−55、L30DまたはColorconのAcryl-Eze、BASFからのKollicoat MAE 30 DPを含む。
【0055】
HPMC−フタレートおよびHPMC−アセテートスクシネートは、上記で定義の通りである。適当なHPMC−フタレートの例は、HP50またはHP55である。適当なヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートの例は、商品名Aqoat LFまたはAqoat MF(両方とも信越)の下に既知の通り使用できる。
【0056】
本腸溶性コーティングは、可塑剤、例えばトリアセチン、トリエチルシトレート、ジエチルセバケート、ポリエチレングリコール3000、4000または6000、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、またはジエチルフタレート、および/または抗粘着剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素、Syloid 244 FPのような合成無定形ケイ酸、タルク、またはグリセリンモノステアレートのようなさらなる成分を含み得る。本コーティングは、さらに、とりわけ水性分散中、懸濁した賦形剤の沈降を避けるために、1種以上の増粘剤、例えばHPMC 3cpsまたはHPMC 6cpsを含み得る。
【0057】
好ましくは本腸溶性コーティングは、さらにフィルム形成剤、例えばセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレートを含み得る。フィルム形成剤の量は、腸溶性コーティングの総重量に基づいて、50−95重量%、より好ましくは60−80重量%であり得る。可塑剤および/または抗粘着剤は、腸溶性コーティング中に存在するとき、例えば上記で放出調節コーティングについて記載した通り、例えば上記で放出調節コーティングについて示した通りの量で存在し得る。
【0058】
本発明によって、医薬原体は、好ましくは本発明の組成物中、コア(すなわちコーティングを除く)の総重量に基づいて、1−99重量%の量で存在する。特に、本発明の組成物が、小さな錠剤、ミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形であるとき、医薬原体は、好ましくは、コア(すなわちコーティングを除く)の総重量に基づいて、1−95重量%、より好ましくは20−90%、最も好ましくは30−80重量%の量で存在する。本発明の組成物が粒子、または微粒子の形であるとき、医薬原体は、コア(すなわちコーティングを除く)の総重量に基づいて、好ましくは1−95重量%、より好ましくは50−95%、最も好ましくは70−90重量%の量で存在する。
【0059】
本発明の組成物は、例えば下記の通りの、1種以上の賦形剤または希釈剤を含み得る。
【0060】
本発明に従う医薬微粒子の好ましいグループは、約1000μm未満、好ましくは約10−800μm、より好ましくは30−200μmの有効平均粒子サイズを有するものである。医薬微粒子は、例えば噴霧乾燥、流動床乾燥または沈殿法により、微粒子薬剤コアを形成するために、所望により、1種以上の薬学的に許容されるコーティング成分、例えばエチルセルロースまたはメタクリル酸コポリマー、および安定化剤、例えばコロイド状シリカと組み合わせてよい。
【0061】
例えば1−200ミクロン(μm)の範囲のサイズの結晶性ミコフェノール酸塩粒子はまた、水および有機溶媒、例えば塩化メチレンまたはエタノール/アセトン混合物のような医薬原体がほとんど溶けない任意の流体中の未製粉結晶性薬剤結晶の懸濁液の高圧均質化の手段により製造できる。
【0062】
これらの微粒子薬剤懸濁液は、ポリマー層により直接コーティングするか、または、例えばポリマーを添加し、それを均質化懸濁液中に溶解し、それを続けてスプレー乾燥またはスプレー造粒することによりポリマーマトリックス中に包埋させてよい。好ましくは使用するポリマーは、エチルセルロースまたは、4級アンモニウム基含有アクリル酸およびメタクリル酸コポリマーである。
【0063】
沈殿法はまた、例えばコーティング物質の液体相を重合体溶液から分離させ、そして、懸濁させたコア粒子の周りの均質層としてその相のラッピングするためのコアセルベーション法を含み得る。得られた微粒子を濾過または遠心分離により回収し、適当な溶媒で洗浄し、続いてスプレー乾燥または流動床乾燥のような標準法により乾燥させ得る。
【0064】
本薬剤粒子を、次いで、ここに記載の通りの放出調節コーティング成分、および所望により安定化剤、例えばコロイド状シリカでコーティングし得る。放出調節コーティングは、例えば流動床コーティングおよび/または造粒または沈殿法により製造できる。
【0065】
得られたコーティングした薬剤粒子は、所望により、例えば下記の通りの希釈剤、例えばラクトース、マンニトールまたはスクロース、例えば下記の通りの滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムと組合せ、カプセルまたはサシェットに分配するかまたは錠剤に圧縮し得る。
【0066】
他の態様において、医薬原体は、例えば下記の通り所望により結合剤と、または所望により希釈剤および結合剤と組合せ、例えば高または低剪断造粒または流動床造粒のような技術を使用して、顆粒の形にし、顆粒薬剤コアを形成し得る。得られた顆粒を次いで、例えばここに記載の通りの放出調節コーティング成分でコーティングし、例えばカプセルまたはサシェットに分配し得る。本顆粒薬剤コアは、典型的に0.05−2mmまたは好ましくは0.1−2mm、またはより好ましくは0.15−1.5mmの直径の平均幅を有する。コア中に存在する医薬原体の量は、顆粒薬剤コア(すなわちコーティングを除いて)の総重量に基づいて、1−95%または好ましくは20−90%、またはより好ましくは50−90重量%であり得る。
【0067】
薬剤が結晶、無定形粒子またはそれらの混合物の形である薬剤粒子も、その後のコーティングのために使用できる。
【0068】
他の態様において、医薬原体を、所望により1種以上の薬学的に許容される押出助剤(複数もある)、例えば微晶性セルロース、アミロース前ゲル化(pregelled)デンプンなど、例えばここに記載の通りの結合剤(複数もある)、または、例えばここに記載の通りの希釈剤と組合せ、例えば押出球形化、直接ペレット化/高または低剪断造粒、流動床造粒またはスプレー乾燥/メルト・コンシーリング(melt concealing)のような技術を使用して、ペレットの形にし、ペレット薬剤コアを形成し得る。得られたペレットを、例えばここに記載の通りの放出調節コーティング成分でコーティングし、カプセルまたはサシェットに分配し得る。本ペレット薬剤コアは、典型的に0.2−2mm、好ましくは0.5−1.4mmの直径の幅を有する。コア中に存在する医薬原体の量は、ペレット薬剤コア(すなわちコーティングを除いて)の総重量に基づいて、1−95重量%であり得る。
【0069】
他の態様において、所望により薬学的に許容される結合剤と組み合わせた本薬剤を、典型的にスクロース、デンプン、微晶性セルロースまたはこれらの任意の組合せの粒子(例えば球体)である、薬学的に許容される種子の表面上に積層し、ビーズ薬剤コアを形成し得る。このような積層は、溶液積層または粉末積層であり得る。このような薬学的に許容される種子は、好ましくは18−20メッシュ、25−30メッシュまたは35−40メッシュのノンパレイユ(non-pareil)糖/デンプン球体、最も好ましくは25−30メッシュのノンパレイユ糖/デンプン球体または、例えば100−1000μm、より好ましくは100−200および200−355μmのサイズ範囲のCellets、すなわち、Pharmatrans Sanaq AGからの微晶性セルロースビーズである。得られたビーズを、例えばここに記載の通りの放出調節コーティング成分でコーティングし、カプセルまたはサシェットに分配するか、またはさらに他の薬剤の積層により処理し得る。本ビーズ薬剤コアは、典型的に0.2−2mm、好ましくは0.5−1.4mmの直径の幅を有する。コア中に存在する医薬原体の量は、ビーズ薬剤コア(すなわちコーティングを除いて)の総重量に基づいて、1−95重量%であり得る。
【0070】
さらなる態様において、コーティングされた薬剤粒子またはコーティングされた顆粒またはコーティングされたペレット薬剤コアを、所望により、例えばここに記載の通りの、当業者に既知の薬学的に許容される成分、例えば希釈剤、結合剤、滑剤と混合し、胃で崩壊し、コーティングされた薬剤粒子、またはコーティングされたペレットまたはコーティングされた顆粒を放出する錠剤および/または小さな錠剤を形成し得る。
【0071】
本発明の範囲内で、用語“小さな錠剤”は、約3−5mmの外形寸法の錠剤を意味する。
【0072】
本発明の範囲内で、用語“ミニタブレット”は、コーティングされていない形で、約2−30mg、例えば約4−9mg、例えば約7mgの総重量を有する小さな錠剤を意味する。本ミニタブレットは、錠剤について当業者が既知の任意の形を有してよく、例えば約1.5−3mmの直径の例えば球形;例えば凸状上面および凸状底面を有し、例えば円筒の直径および高さは、互いに独立して1−3mmである円筒形;または例えば高さおよび直径がほぼ等しく、1.5−3mmである両凸ミニタブレットであり得る。
【0073】
ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含むミニタブレットは、好ましくは3−12mgの総重量(すなわち錠剤コアの重量+コーティングの重量)のものである。
【0074】
MPA、その塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFは、ミニタブレットまたは小さな錠剤の製造前に造粒し得る。
【0075】
本錠剤は、薬剤顆粒、すなわち薬剤(MPA、その塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF)結合剤および増量剤を含む。この顆粒を、所望によりさらなる増量剤、結合剤、崩壊剤および滑剤と共に、錠剤/ミニタブレットに圧縮し得る。
【0076】
増量剤の例は、例えばラクトースまたはマンニトールのような水溶性または水不溶性サッカライド;グルコース無水物;例えば既知であり、商品名Avicel(登録商標)の下FMC Corporationから商業的に入手可能な微晶性セルロース;例えば既知であり、商品名Aerosil(登録商標)の下に商業的に入手可能なコロイド状二酸化ケイ素;またはアミロース前ゲル化デンプンを含む。本発明の組成物は、好ましくは本増量剤を、コーティングされていない組成物の総重量に基づいて、10−90重量%、より好ましくは10−50重量%、最も好ましくは15−35重量%の量で含む。
【0077】
結合剤の例は、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、既知であり、商品名ポビドン(登録商標)の下にBASF社から商業的に入手可能な、PVP K30またはPVP K12、例えばポビドン K-30;または、既知であり、商品名Pharmacoat(登録商標)603の下、信越社から商業的に入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えば低い見掛け粘度を有する、例えば20℃で2重量%水性溶液で測定して100cps以下、例えば50cps以下、好ましくは20cps以下のHMPC、例えばHPMC 3cps;またはナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む。好ましくは本発明の組成物は、本結合剤を、コーティングされていない組成物の総重量に基づいて、1−30重量%、より好ましくは1−20重量%、最も好ましくは5−15重量%の量で含む。
【0078】
崩壊剤の例は、例えば天然澱粉、例えばi)メイズデンプン、ジャガイモデンプンなど、ii)直接圧縮可能なデンプン、例えばSta-rx(登録商標)1500、修飾デンプン、例えば、Primojel(登録商標)、Explotab(登録商標)、Explosol(登録商標)として入手可能な、カルボキシメチルデンプンおよびナトリウムデンプングリコーラート、およびiii)エフライト(ephrit)のようなデンプン誘導体;架橋ポリビニルピロリドン、例えばクロスポビドン、例えばPolyplasdone(登録商標)XLおよびKollidon(登録商標)CL;アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム;メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー塩、例えばAmberlite(登録商標)IRP-88;および例えばAc-di-sol(登録商標)、Primellose(登録商標)、Pharmacel(登録商標)XL、Explocel(登録商標)、およびNymcel(登録商標)ZSXとして入手可能な架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物を含む。本発明の組成物は、好ましくは本崩壊剤を、コーティングされていない組成物の総重量に基づいて、20重量%まで、より好ましくは0−15%含む。
【0079】
好ましくは、例えばMPA、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFおよび所望により腸溶性孔形成剤を含む、放出調節コーティングされた本発明の組成物は、崩壊性の薬剤を何等含まない。
【0080】
滑剤の例は、コーティングされていない組成物の総重量に基づいて、例えば0.1−3重量%の量の、例えばステアリン酸マグネシウム、硬化ヒマシ油、グリセリンモノステアレート、またはナトリウムフマリールステアレートである。
【0081】
本発明の組成物の製造および/またはコーティングに使用できる方法は、慣用のまたは当分野で既知の、または、例えば、L. Lachman et al. The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986, H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991, Hager's Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970)またはその後の版のような方法に基づき得る。ミニタブレットは、例えば標準回転打錠機上で製造できる。
【0082】
本発明の組成物の放出調節は、当業者に既知の技術により、例えば時間単位あたりに溶解した活性物質の量の測定による、例えば本組成物の溶解速度プロファイルの決定により、分析できる。
【0083】
本発明の組成物は、標準試験で示される通り免疫抑制剤として有用である。本発明の組成物の活性および特性は、標準的な
a)例えば腎臓移植後最初の急性拒絶反応事象または6ヶ月後の処置失敗、または本発明の処置開始後6ヶ月以内の無拒絶反応状態の持続を観察する、臨床試験。本発明の組成物を0.5−2.0g/日の範囲、例えば約1.5g/日の用量で投与し、移植手術前後の期間に投与したときの急性拒絶反応の割合を減少させ、そして移植後3ヶ月以上の患者における無拒絶反応状態を維持する。故に、本発明の組成物は、移植後72時間までの間に、約0.5gを、1日2回、慣用のステロイドおよび、例えばNEORAL(そのシクロスポリン投与量は、慣用の投与量、例えば、腎臓移植に対して約8±3mg/kgである)としてのシクロスポリンと組み合わせて投与し得る。ステロイド投与量は、プレドニゾンに関して移植後4日間は約2.5mg/kg、その後1週間は1mg/kg、その後2週間は0.6mg/kg、そしてその後1ヶ月間は0.3mg/kgを投与すべきである、および
b)例えばラットにおいて、腎臓同種移植片反応を観察する、動物試験。この試験で、雌フィッシャー344ラットからの1個の腎臓を、片側(左側)腎摘出したWFレシピエントラットの腎臓血管に、端々吻合を使用して移植する。輸尿管吻合も、端々吻合である。処置を移植の日に開始し、14日間続ける。対側の腎摘出を、移植7日後に行い、レシピエントが、ドナー腎臓の性能に依存するようにする。移植片レシピエントの生存を、機能的移植片のパラメーターとして取る。本発明の組成物の典型的投与量は、約1−30mg/kg p.o.である。
【0084】
本発明の組成物は、MPA、MPA塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム、またはMPAプロドラッグ、例えばMMFの患者間および患者内の減少した変動性をもたらし、かつ、医薬原体の有益な放出プロファイルをもたらす。
【0085】
本発明の組成物は、特に下記の状態に有用である:
a)非処置またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応の処置または予防、例えば例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚、膵臓島細胞、神経細胞または角膜移植のレシピエントの処置;急性拒絶反応の処置および予防;ならびに、例えば移植片血管疾患に関連するような慢性拒絶反応の処置および予防を含む。本発明の組成物はまた、骨髄移植後のような、移植片対宿主疾患の処置および予防にも指示される。
【0086】
b)自己免疫性疾患、例えば免疫介在性疾患および炎症性状態、特に免疫学的要素を含む病因の炎症性状態、例えば関節炎(例えばリウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節炎)およびリウマチ性疾患の処置および予防。本発明の組成物を用い得る具体的免疫介在性疾患は、自己免疫性血液学的障害、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆(pure red cell anaemia)および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、多発性筋炎、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、天疱瘡、特発性スプルー、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、内分泌性眼疾患、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、若年性糖尿病(I型糖尿病)、非感染性ブドウ膜炎(前部および後部)、感染性角結膜炎および春季角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、脈管炎、糸球体腎炎(例えば特発性腎炎症候群または微小変化型ネフロパシーを含む、腎炎症候群を伴うまたは伴わない)および若年性皮膚筋炎を含むが、これらに限定されない。
【0087】
特に、本発明の組合せ剤は、維持患者を含む、急性または慢性拒絶反応の処置および予防に有用である。
【0088】
MPA、MPA塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはMPAプロドラッグ、例えばMMFの投与量は、種々の因子、例えば選択した化合物、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化し得る。一般に、例えば1日あたり約50mg−約2.5g MPA、例えば約250mg−約2.2g MPA、例えば約360mg、約720mg、約740mg、約1.1g、約1.5g、約2.2gの程度の一日量を、例えば経口で、1回用量でまたは分割投与量で投与して、好ましくは約360mg−720mg MPAを1日2回投与して、満足な結果が得られる。MPA塩またはプロドラッグの投与量は、上記のMPAの投与量に対応するように計算すべきである。
【0089】
本発明の組成物は、唯一の活性薬剤として、または、免疫調節レジメンにおける他の薬剤または他の抗炎症剤と組み合わせて、例えば同種移植片急性または慢性拒絶反応または自己免疫性障害の処置または予防のために使用できる。例えば、マンザミンを、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンまたはシクロスポリン誘導体、例えばシクロスポリンAまたはシクロスポリンG、FK−506、ABT−281、ASM981;mTOR阻害剤、例えばラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、例えば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7またはバイオリムス−9;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;S1P受容体アゴニスト、例えばFTY720またはその類似体;レフルノミドまたはその類似体;ミゾルビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えば、MHC、CD2、CDS、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはそれらのリガンド、例えばCD154に対するモノクローナル抗体または他の免疫調節性化合物、例えばCTLA4またはその変異体の少なくとも細胞外ドメインの一部を有する、例えば非CTLA4タンパク質配列に結合したCTLA4またはその変異体の少なくとも細胞外部分を有する組み換え結合分子、例えばCTLA4lg(例えば、ATCC68629と命名)またはその変異体、例えばLEA29Y、または他の接着分子阻害剤、例えばmAbs、またはLFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストを含む低分子量阻害と組み合わせて使用できる。
【0090】
ここで使用される用語“共投与”または“組合せ投与”などは、医薬原体の単独の患者への投与を含むことを意味し、複数の薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0091】
ここで使用する用語“医薬組合せ剤”は、1個を超える活性成分の混合または組合せに由来する製品を意味し、活性成分の固定されたまたは固定されていない組合せ剤の両方を含む。用語“固定組合せ剤”は、医薬原体および活性併用剤の両方が、患者に、同時に一個の物または投与量として投与されることを意味する。用語“固定されていない組合せ剤”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤が、両方とも、患者に別々の物として、同時に、一緒に、または具体的な時間制限なしに連続して投与され、ここで、このような投与が患者体内で2化合物の治療的有効濃度を提供することを、意味する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0092】
本発明の組成物は、好ましくはラパマイシンまたはその誘導体、例えば40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7またはバイオリムス−9との固定組合せ剤である。固定組合せ剤の例は、例えばUK特許出願323202、323598、329852、405902および410714に記載のものであり、それらの内容は引用により本明細書に包含し、それらの中の、MPA、ミコフェノール酸ナトリウムまたはMMF含有小単位または単位を本発明の組成物に置き換える。
【0093】
下記実施例は、本発明の種々の局面を説明する。
【実施例】
【0094】
実施例1:顆粒の製造
製剤1.A
乾燥混合物を、本薬剤、Aerosil 200、ポビドン(PVP)K30およびラクトースを、遊星歯車式または高剪断ミキサー中で混合することにより製造する。エタノールを添加して顆粒を作り、それを徹底的に乾燥させ、適当なサイズ選択で篩う。
【表1】

【0095】
製剤1.B
医薬原体を結合剤(エチルセルロース)の一部と、実験室用高剪断ミキサー中で混合する。結合剤の残りの部分を造粒流体(エタノール)中に溶解する。本造粒流体をミキサーに、造粒終点に到達するまで連続して添加する。本顆粒を塊を壊すために篩を通して一定の大きさにし、流動床ドライアーで乾燥させる。得られた顆粒を、適当な最終顆粒サイズに到達するまで篩う。
【表2】

* 加工中除去
【0096】
製剤1.C
医薬原体を、結合剤と、実験室用高剪断ミキサー中で混合する。本造粒流体をミキサーに、造粒終点に到達するまで連続して添加する。本顆粒を塊を壊すために篩を通して一定の大きさにし、流動床ドライアーで乾燥させる。得られた顆粒を、適当な最終顆粒サイズに到達するまで篩う。
【表3】

* 加工中除去
【0097】
製剤1.A、1.B、1.Cの得られた顆粒を、例えば下記コーティング製剤5:A、5:B、5.C、5.Dまたは6.4コーティングの1個で、コーティング装置、例えば流動床ドライアーとWursterカラムを使用してコーティングできる。コーティングされた薬剤粒子を、次いで、充填剤および滑剤の添加によりカプセルまたはサシェットに製剤でき、またはさらに錠剤もしくはミニタブレットに圧縮できる。
【0098】
実施例2:ペレットの製造
乾燥混合物を本薬剤、微晶性セルロース(Avicel PH101)およびラクトースを遊星歯車式ミキサー中で混合することにより製造する。精製水を添加して、湿塊を得て、それを、続いて適当なサイズの篩を通して押し出す。本押出物をスフェロナイザー(spheroniser)中で丸め、徹底的に乾燥させ、適当なサイズ選択で篩う。
得られたペレットを、最後に、下記コーティング製剤の水性分散または有機溶液でコーティングする。
【表4】

* 加工中除去。
【0099】
実施例3:ビーズの製造
薬剤溶液を、本薬剤、および下記の製剤成分を混合しながら選択した媒体に溶解させることにより製造する。
【0100】
製剤3.A
ノンパレイユ種子をWurster流動床塗布機またはHuettlin型の流動床塗布機に分配し、流動化する。予め製造した薬剤溶液を、次いで薬剤溶液が滴るまで種子上にスプレーする。本ビーズを、同じ条件で、5分乾燥させる。製剤3.Aのビーズを、次いで下記コーティング製剤のコーティング成分でコーティングし、15分乾燥させる。ビーズを、次いでカプセルまたはサシェットに分配し得る。本製剤を、1000g ノンパレイユ種子上に適用する。
【表5】

* 加工中除去
【0101】
製剤3.B
ノンパレイユ種子をWurster流動床塗布機またはHuettlin型の流動床塗布機に分配し、流動化する。予め製造した薬剤溶液を、次いで薬剤溶液が滴るまで種子上にスプレーする。本ビーズに、次いで下記コーティング製剤5.A、5.Bまたは5.Cの溶液/懸濁液の1個をスプレーし、乾燥後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry)の水溶液をスプレーし、最後に10分乾燥させる。ビーズを、次いでカプセルまたはサシェットに分配できる。本製剤を、1000g ノンパレイユ種子上に適用する。
【表6】

* 加工中除去。
【0102】
製剤3.Aおよび3.Bのビーズを、それらを同じカプセルまたはサシェットに入れることにより、組合せ剤として使用できる。
あるいは、ビーズをまた、製剤3.Aおよび3.Bを、下記工程に従い同じノンパレイユ種子上に組み合わせることにより製造できる。製剤3.Aを最初にビーズ上にスプレーし、続いて下記のコーティング製剤の1個、そして最後に製剤3.Bをスプレーする。
得られた積層ビーズは、最後に下記コーティング製剤の水性分散または有機溶液でコーティングする。
【0103】
実施例4:ミニタブレット(小さな錠剤)の製造
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびポビドン(PVP)K30と、造粒用のエタノール94%を、表1−3に示す量で造粒することにより製造する。粉砕、乾燥および篩過後、本顆粒を、表1−3に記載の他の成分と、乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮する。放出調節錠剤を得るために、本ミニタブレット製剤は、ほとんどの例で崩壊剤を含まない。
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

* 加工中除去
【0106】
【表9】

【0107】
表1−3に定義のコアを含む、ミニタブレットを、下記に示すコーティング製剤の1個を使用してコーティングする。
本コーティングしたミニタブレットを、硬ゼラチンカプセルまたはスティックパックに充填し得る。例えば表2の組成を有する60個のミニタブレットを、サイズ00の硬ゼラチンカプセルに充填でき、または表1または3の組成を有する40個のミニタブレットをサイズ0の硬ゼラチンカプセルに充填できる。全組成は、カプセルあたり180mg ミコフェノール酸となるように計算し、これは、各々40個または60個のミニタブレットを意味する。
【0108】
実施例5:水性分散からのコーティング製剤:
本コーティングポリマーを水に分散して、水性分散を産生する。コーティング分散製剤のために、抗粘着剤を水に分散させ、可塑剤を溶解または分散させ、可溶性ポリマーを溶解し、最後に水性ポリマー分散(濃度=30%ポリマー)を添加する。本分散を、コーティング工程中撹拌する。
【0109】
実施例5.A
組成(量は%で示す):比率RS:RLは、95:5から70:30まで、より好ましくは90:10から80:20までである。本ポリマーを30%水性分散として添加する。
【表10】

ビーズ、ペレット、顆粒またはミニタブレット上にスプレーすべきコーティング分散(または懸濁液)の好ましい量は、10から30%までである。
【0110】
実施例5.B:
エチルセルロース:HPMC比は100:0から60:40まで、より好ましくは95:5から80:20までである。
【表11】

【0111】
これらのコーティング分散を、好ましくはミニタブレット、顆粒、ペレットまたは積層ビーズコアの総組成重量に基づいて10−20%の量で適用する。
ミニタブレット、ペレット、ビーズ、顆粒に適用するコーティング量は、好ましくは5−20%である。
エチルセルロース:HPMC AS比は100:0から40:60まで、より好ましくは90:10から60:40までである。
【0112】
【表12】

【0113】
実施例5.D
【表13】

このコーティング分散を、好ましくは薬剤顆粒または薬剤結晶の総組成重量に基づき、10−50%の量で適用する。所望の放出プロファイルが、特異的コーティング重量により産生される。
【0114】
実施例6:有機溶液からのコーティング製剤
コーティングポリマーおよび可塑剤を有機溶媒/溶媒混合物に溶解する。抗粘着剤を最後にコーティング溶液中に分散させる。
【0115】
実施例6.A
本コーティングポリマーをイソプロパノールに溶解して有機溶液を産生する。オイドラギットRS:RL比は95:5から70:30までである。本コーティングをミニタブレット、ペレット、顆粒または積層ビーズに適用し得る。好ましい本多微粒子上にスプレーすべきコーティングの量は、5−15%までである。
【表14】

【0116】
実施例6.B
本コーティング成分をエタノールに溶解して、ミニタブレット、ビーズ、ペレットおよび顆粒に適用すべきコーティング溶液を得る。エチルセルロース:HPMC比は100:0から50:50まで、最も好ましくは95:5−70:30である。このコーティング溶液を好ましくは総組成重量に基づいて10−15%の量で適用する。
【表15】

【0117】
実施例6.C
本コーティング成分をエタノールに溶解して、ミニタブレット、顆粒、ビーズおよびペレット上に適用すべきコーティング溶液を得る。エチルセルロース:腸溶性孔形成剤比は100:0から50:50まで、最も好ましくは95:5から70:30までである。
【表16】

【0118】
実施例6.D
本コーティング成分をエタノール96%に溶解して、(顆粒、薬剤結晶および微粒子上に適用すべき)コーティング溶液を得る。
【表17】

このコーティング溶液を、好ましくは総組成重量に基づいて10−50%の量で適用する。所望の放出プロファイルが、特異的コーティング重量により産生される。
【0119】
実施例7:オーバーコーティングとして適用すべき腸溶性コーティング:
下記コーティング製剤をオーバーコーティングとして適用できる。本コーティングは、粒子(コア)サイズに依存して、コア重量の10−20%の量で適用する。
【0120】
実施例7.A
【表18】

【0121】
実施例7.B
【表19】

あるいは、オイドラギットL100−55の有機溶液を、オイドラギットL30Dの水性分散の代わりに、上記腸溶性コーティング製剤において使用できる。
【0122】
実施例8:コーティングした多微粒子形態
実施例8.A. コーティングした顆粒
製剤1.Bの顆粒を、コーティング製剤6.4で、Wurster流動床装置中で、22%のコーティング重量に到達するまでコーティングする(コーティングしていない顆粒重量の割合としてのコーティングの乾燥重量)。
【表20】

【0123】
溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は、リン酸緩衝液pH6.8である。
本顆粒を、Wurster流動床装置中、30%のコーティング重量に到達するまでコーティングする(コーティングしていない顆粒重量の割合としてのコーティングの乾燥重量)。
【0124】
【表21】

溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は、リン酸緩衝液pH6.8である。
【0125】
実施例9
製剤1.Bの顆粒を、コーティング製剤5.Dで、Wurster流動床装置中、30%のコーティング重量に到達するまでコーティングする(コーティングしていない顆粒重量の割合としてのコーティングの乾燥重量)
【0126】
【表22】

【0127】
溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は、750mlの塩酸pH1(最初の2時間)であり、次いで250mg リン酸ナトリウム溶液を、pHを6.8に上げるために添加する。
この製剤は、遅延放出の仕様に合う。
【0128】
実施例10:コーティングしたミニタブレット
ミニタブレットコア製剤4.Bのエチルセルロース拡散コートに使用した腸溶性孔形成剤(HPMC−AS)の量の影響を比較するため、コーティング製剤5.Cの変形でコーティングする。下記溶解法を選択する:pH6.8 リン酸緩衝液(0.05M)1000ml、パドル50rpm。
【0129】
経時的な薬剤放出の%を下記表に示す:
【表23】

【0130】
酸性前処理の影響:
酸性前処理あり(最初に2時間pH1、次いでpH6.8に酸性化)および酸性前処理なし(pH6.8のみ)のコーティング製剤5.B(Aquacoat+10%HPMC)でコーティングしたミニタブレット製剤4.Bおよびコーティング製剤5.C(Aquacoat+10%HPMC−AS)でコーティングしたミニタブレット製剤4.Bの溶解プロファイルは、孔形成剤としてのHPMCの酸性感受性と比較した、孔形成剤としてのHPMC−ASの著しく低い酸性感受性を示す。下記溶解試験法を適用した、経時的な薬剤放出を表に示す:
【0131】
溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は750mlの塩酸pH1(最初の2時間)および次いで250mg リン酸ナトリウム溶液を、pHを6.8に上げるために添加する。両方の場合、薬剤の酸性媒体中への放出は、酸性媒体へのミコフェノール酸の低い溶解性のためにないが、可溶性孔形成剤HPMCを含むフィルムはフィルムコーティングの膨張と遊離ミコフェノール酸の放出を、緩衝液pH6.8中の薬剤放出に影響するものである酸性媒体での2時間前処理の間に示す。
溶解速度プロファイルは、孔形成剤としてのHPMCについては酸性前処理により強く影響を受けたが、腸溶性ポリマーHPMC ASを孔形成剤として使用すると溶解速度プロファイルは酸性前処理により受ける影響が少なかった。
【0132】
【表24】

【0133】
実施例11:コート沈殿によりコートした多微粒子
ポリマー溶液を、最初に、エチルセルロースおよびポリエチレンを、シクロヘキサン中に加熱および撹拌しながら溶解することにより製造する。続いて、医薬原体および安定化剤を添加し、本分散を撹拌しながら冷却する。得られたコーティングした微粒子を洗浄し、乾燥させ、下記コーティング製剤の1個でコーティングできる。
コーティングした薬剤粒子を、次いで、充填剤および滑剤の添加によりカプセルまたはサシェットに製剤するか、またはさらに錠剤またはミニタブレットに圧縮する。
【0134】
【表25】

*製剤の一部ではない。
【0135】
実施例12:放出調節ペレット(すなわち製剤3.A)からの錠剤製剤
放出調節コーティングしたペレットを、他の成分と混合し、回転打錠機で錠剤に圧縮する(1個の834mg 楕円形錠剤は、180mg ミコフェノール酸に対応する)。
【表26】

【0136】
実施例13:放出調節顆粒(製剤1.Bとコーティング製剤6.D)からの錠剤製剤
実施例13.A
コーティングした顆粒と、22%コート重量の対応するミコフェノール酸および賦形剤(総錠剤重量の30%まで)の混合物を、袋中で混合し、1錠分(380mg)の混合物の量を秤量し、型に入れ、偏心打錠機(Korsch EK0)上で、10mm丸型杵を使用して圧縮する。本錠剤を硬度、崩壊、破砕性および溶解速度について評価する。
【表27】

【0137】
実施例13.B
【表28】

【0138】
コーティングした顆粒の錠剤の溶解結果
溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は750mlの塩酸pH1(最初に2時間)および次いで、250mg リン酸ナトリウム溶液を、pHを6.8に上げるために添加する。
【0139】
【表29】

【0140】
錠剤へのコーティングした顆粒の高用量充填が達成される。錠剤を、標準In-Process-Control試験で測定し、十分な結果を示す。故に、適用した圧密力(compompaction force)は、錠剤製造に使用したコーティングした顆粒の1個と比較して、本溶解プロファイルを有意に変えない。
【0141】
実施例14:放出調節顆粒からの錠剤製剤
コーティングした顆粒(製剤1.Bとコーティング製剤6.D)と、投与量180mgに対応する22%コート重量のミコフェノール酸(MPA)および賦形剤(総錠剤重量の30%まで)の混合物を、袋中で混合し、1錠分(360mg MFAに関しては760mgまたは720mg MFAに関しては1520mg)の混合物の適当な量を秤量し、型に入れ、偏心打錠機(Korsch EK0)上で、19×8mm(360mg MPAについて)または22×11mm(720mg MPAについて)カプセル型杵を使用して圧縮する。錠剤を硬度、崩壊、破砕性および溶解速度について評価する。
【0142】
実施例14.A
【表30】

【0143】
実施例14.B
【表31】

【0144】
溶解結果
溶解試験を、50RPMのパドル装置で行う。溶解媒体は、リン酸緩衝液pH6.8である。
【表32】

【0145】
錠剤へのコーティングした顆粒の高用量充填が達成される。錠剤を、標準In-Process-Control試験で測定し、十分な結果を示す。故に、適用した圧密力(compompaction force)は、錠剤製造に使用したコーティングした顆粒の1個と比較して、本溶解プロファイルを有意に変えない。
【0146】
実施例15:コーティング/包埋薬剤微粒子の製造
所望の粒子サイズ範囲のミコフェノール酸Na懸濁液を、安定化の目的で少量(<5%)のポリマー(例えばエチルセルロース)を添加したアセトン/エタノール50/50%中の、高圧均質化により製造する。
正確な粒子サイズ分布達成後、さらにエチルセルロースを均質化薬剤懸濁液に、撹拌下溶解する。続いて、この懸濁液を、スプレー乾燥して、ポリマーコーティングした結晶性薬剤粒子またはポリマーマトリックスに包埋された薬剤粒子を、本薬剤/ポリマー比に依存して形成させる。得られたコーティングした微粒子を、さらに下記コーティング製剤でコーティングできる。
コーティングした薬剤粒子を、次いで充填剤および滑剤の添加によりカプセルまたはサシェットに製剤するか、またはさらに錠剤またはミニタブレットに圧縮する。
【0147】
【表33】

*製剤の一部ではない

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出調節形態でミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグを含む、組成物。
【請求項2】
錠剤、カプセルまたは多微粒子の形であり、かつ放出調節コーティングを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
錠剤に圧縮されているか、またはカプセルもしくはサシェットに分配された多微粒子の形の、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
該多微粒子が放出調節コーティングを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
錠剤またはカプセルが、放出調節コーティングされた多微粒子を与えるために、口腔、胃または小腸で崩壊または溶解できる、請求項3または4記載の組成物。
【請求項6】
該組成物が、異なる放出調節プロファイルを提供する多微粒子の混合物を含む、請求項2から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
該多微粒子が微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒、ビーズまたは薬剤粒子である、請求項2から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
該放出調節コーティングが拡散コーティングである、請求項2から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
該コーティングが、セルロース誘導体、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物を含む、請求項2から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
該コーティングが、エチルセルロース、4級アンモニウム基を含むアクリル酸もしくはメタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
該アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーがトリ(C1−4アルキル)−アンモニウムメチルメタクリレート基を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
該組成物が、可塑剤、抗粘着剤、湿潤剤、増粘剤および孔形成剤、好ましくはpH依存性孔形成剤から選択される1種以上の賦形剤を含む、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
該コーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース−フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース−アセテート−スクシネート、メチルアクリル酸コポリマー、エチルアクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレートおよびそれらの混合物から成る群から選択されるpH依存性孔形成剤を含む、請求項2から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
該コーティングが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性アクリル酸エステル、水溶性アクリル酸メタクリル酸エステル、ポリアクリル酸、PEG、トリアセチン、トリエチルシトレート、親水性二酸化ケイ素およびそれらの混合物から成る群から選択される孔形成剤を含む、請求項2から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
該腸溶性コーティングが放出調節コーティングの上にコートされている、請求項2から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
該腸溶性コーティングがセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレートセルロースアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート;メタクリル酸コポリマー、例えば少なくとも40%メチルアクリル酸を含む、メチルアクリル酸およびそのエステルからのコポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートまたはポリビニルアセテートフタレート、それらの混合物を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチルまたはミコフェノール酸ナトリウムを含む、請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
a)請求項1から17のいずれかに記載の組成物およびb)ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む、固定された組合せ剤。
【請求項19】
非処置またはトランスジェニック臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植拒絶反応の処置または予防に、または免疫介在性および/または炎症性疾患の処置または予防に使用するための、請求項1から18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
処置を必要とする対象に、請求項1から17のいずれかに記載の組成物を投与し、そして所望により他の免疫抑制剤を同時に、連続的にまたは別々に投与することを含む、対象を免疫抑制する方法。
【請求項21】
治療的有効量の請求項1から18のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、対象における患者間および患者内PK変動性を低下させる方法。

【公表番号】特表2008−511570(P2008−511570A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528761(P2007−528761)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009295
【国際公開番号】WO2006/024479
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】