説明

ミノキシジルの新規組成物

【課題】患者の一定の部位における脱毛を処置するもしくは予防するための、新規の組成物を提供する。
【解決手段】育毛有効成分であるミノキシジル(2,4−ジアミノ−6−ピペリジニルピリミジン−3−オキシド)、およびカルボマーなどの合成ポリマー、天然に存在するセルロースならびにその誘導体、非カルボマー濃厚化剤などから選択される1種以上の有機および無機濃厚化剤、ポリオール、アルコールおよび所望により中和剤を含むゲル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ミノキシジルの新規の組成物、組成物の製造方法、および該組成物を用いて、頭髪の成長を誘発する かつ/または刺激する方法、および/または脱毛を減らす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ミノキシジル(すなわち2,4−ジアミノ−6−ピペリジニルピリミジン−3−オキシド)は、Loniten(登録商標) および Rogaine(登録商標)の活性成分であり、Pharmacia and Upjohn によって、高血圧の処置として、および男性ホルモン性脱毛症(男性型の禿頭症と女性型の禿頭症)の処置および予防として、それぞれ市販されている。ミノキシジルの製法と抗高血圧の使用は、米国特許第 3,461,461 号に記載されている。頭髪を成長させるための、および男性型禿頭症と女性型禿頭症を処置するための化合物を用いるための方法、および局所の製剤は、米国特許第 4,139,619 号および第 4,596,812 号に記載され、請求の範囲に記載されている。
【0003】
Rogaine(登録商標)のような、局所の適応のための医薬組成物は、例えば、溶液、ゲル、懸濁液などの様々な形態を含み得る。一般的に言えば、局所の組成物が溶液もしくはゲルである場合、すなわち活性な成分、例えばミノキシジルが担体溶液に溶解している場合に、懸濁液の形態である局所の組成物と比べて、すなわち活性成分が単に組成物中に懸濁している場合と比べて、吸収の改善が達成される。
【0004】
ミノキシジルの溶液は、典型的に水および1個もしくはそれ以上の追加の溶媒を含む。しかし、薬剤を満足な量吸収するのに十分な時間 適当な場所に留まっていない傾向があるため、局所の溶液は、頭皮を処置するのに用いるために、完全には満足が得られない。ゼリーや軟膏のようなミノキシジルの製剤もまた、提案されている。これらの組成物は薬学的にエレガントでなく、また特に化粧品という観点から、頭髪の成長を刺激するための処置に使用するのに適切ではない。
【0005】
ミノキシジルを送達する賦形剤の一部として、ポリマー濃厚化剤(thickening agent)の使用をまた記載している。例えば GB 2 194 887 は、ポリマー、20%以下の溶媒(すなわちプロピレングリコール)、および5%以下のミノキシジルを含む製剤を記載している。この明細書は、少なくとも一部のミノキシジルが、溶液中よりも、むしろ送達用溶媒中で懸濁された微細化した粒子の形態であり得ることを教示している。米国特許第 5,225,189 号はまた、カルボマーポリマーを含む製剤を記載しており、そして3%以下の可溶化されたミノキシジルを含む、単相のゲル製剤の実施例を提供している。
【0006】
しかし、高濃度の可溶化されたミノキシジルを含む、薬学的に適当に濃厚化された製剤を提供しようとする試みは、様々な製造工程の困難によって邪魔される。例えば、ミノキシジルは非常に溶解性が低く、そして濃厚化剤のような添加剤の添加によって、溶液から沈殿し得る。それゆえに、プロピレングリコールやアルコールのような溶媒のパーセンテージが高いことが必要とされる。しかし、しばしば、溶媒のパーセンテージが高いために、濃厚化剤のような多くの薬学的な添加剤と混合不能となり得、そして一般的に、薬学的にエレガントでない製品と成り得る。Carbopol(登録商標) 934P、例えば米国特許第 5,225,189 号の実施例で用いられたカルボマーポリマーは、高いパーセンテージの溶媒と不充分な量の水の存在下で、医薬製剤を製造するのに一般的に用いられる装置で製造できない、濃い粘着質の塊を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
局所の医薬製剤の大規模な工業生産で一般的に用いられる装置と技術を用いて製造し得る、ミノキシジルの新規の薬学的にエレガントな組成物が必要である。本発明は、他の重要な目的と同様、これらの目的にも対処しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要約
本発明は、一部、ミノキシジルの新規組成物に関する。特に、1つの具体的態様において、ミノキシジル、非カルボマー濃厚化剤(non-carbomeric thickening agent)、および薬学的に許容される溶媒を含む組成物であって、該ミノキシジルは該組成物中で実質的に可溶化されている組成物を提供する。
【0009】
本発明の別の具体的態様は、3%を超えるミノキシジル、溶媒耐性カルボマー、および薬学的に許容される溶媒を含む組成物であって、ミノキシジルが該組成物中で実質的に可溶化されている組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明の別の具体的態様は、
約3%を超え約8%までのミノキシジル(ミノキシジルは組成物中で実質的に可溶化されている);
約30%から約80%のポリオール;
約10%から約50%のアルコール;
約0.01%から約50%の非カルボマーポリマー;
約0%から約3%の中和剤;および
水(十分量);
を含む組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明の別の具体的態様は、ミノキシジル、濃厚化剤、薬学的に許容される溶媒を含む、非ゲル化組成物であって、該ミノキシジルは、該組成物中で実質的に可溶化されている組成物に関する。
【0012】
本発明の別の具体的態様は、
約3%を超え約8%までのミノキシジル(ミノキシジルは組成物中で実質的に可溶化されている);
約30%から約80%のポリオール;
約10%から約50%のアルコール;
約0.01%から約50%の非カルボマーポリマー;
約0%から約3%の中和剤;および
水(十分量);
を含む組成物を製造する方法であって、
(a)ミノキシジル、ポリオール、アルコールの一部、および実質的に大部分の中和剤を含む溶液を製造する;
(b)ポリマー濃厚化剤、残りのアルコール、何れかの残りの中和剤、および水を含む分散液を製造する;そして
(c)aの溶液とbの分散液を合わせて、ゲル組成物を製造する;
段階を含む、製造方法に関する。
【0013】
さらに、本発明の別の態様は、ミノキシジル(ミノキシジルが組成物中で実質的に可溶化されている)、濃厚化剤、薬学的に許容される溶媒、および水を含む非ゲル化組成物を製造する方法であって、ミノキシジル、濃厚化剤、薬学的に許容される溶媒、および水を一緒に合わせて、組成物を提供することを含む、製造方法に関する。
【0014】
患者の一定の部位において、脱毛を処置するおよび/または予防する方法であって、本明細書に記載の組成物を該部位に局所的に投与することを含む方法が、本発明によって提供された。
本発明のこれらの態様および他の態様は、本明細書および請求項から、より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
本発明は、一部、ミノキシジル(すなわち2,4−ジアミノ−6−ピペリジニルピリミジン−3−オキシド)の新規組成物、および脱毛の処置および/または予防における使用に向かっている。上記のように、ミノキシジルの製法および抗高血圧の使用は、米国特許第 3,461,461 号で記載されており、そして局所の製剤と頭髪を成長させるための化合物の使用、および男性ホルモン性脱毛症を処置するための化合物の使用に関する方法は、米国特許第 4,139,619 号および第 4,596,812 号に記載され、特許請求の範囲となっている。これらの3つの特許の開示は、本明細書中で言及することによって、本明細書に組み込まれている。
【0016】
本発明の組成物は、例えばゲル化した組成物および非ゲル化組成物を含む、様々な形態をとり得る。本明細書中で用いる“ゲル”および“ゲル化した製剤”という用語は、コロイド状組成物を言い、より好ましくは、小さい無機粒子からなる懸濁液を含むか もしくは液体が染み込んだ大きな有機分子を含む半固体系を言う。本明細書中で用いる“非ゲル化”という用語は、ゲルの形態ではない本発明の組成物を言う。非ゲル化組成物の例は、例えば乳液、濃い溶液などを含む。本明細書中で用いる“濃い(濃厚化した)”という用語は、その粘度を環境温度の水の粘度よりも大きくした組成物を言う。本明細書中で用いる“乳液”という用語は、例えば連続相と分散相の形態である、2つもしくはそれ以上の液体の混合物を言う。乳液の例は、例えばクリームもしくは外用水液の形態であり得、そして例えば水中油型乳液、油中水型乳液、複合乳液、およびミクロエマルジョンを含み得る。本明細書中で用いる“懸濁液”という用語は、液体中に浮遊している細かく砕かれた粒子の、混合液もしくは分散液を言う。
【0017】
好ましい具体的態様において、本発明の組成物は、ゲルであり得り、より好ましくは単相のゲルである。本明細書中で用いる“単相のゲル”は、液体全体に均一に分配された有機巨大分子を含み得るゲルを言う。単相のゲルは、合成巨大分子(例えばアクリル酸ポリマー)、または天然ゴム(例えばトラガカントゴム)から作られ得る。
【0018】
本発明の組成物の粘度は変化し得、例えば組成物がゲル化した組成物であるか、または非ゲル化組成物であるかに依存し得る。ゲルの場合において、本組成物が、環境温度で、一般的に約4,000cPを超え、約5,000,000cPまでの範囲の粘度を有し得、またその範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の粘度を有し得る。より好ましくは、本発明のゲル組成物は、約5,000cPから約50,000cPの粘度を有し、約6,000cPから約25,000cPの粘度を有する組成物が、さらにより好ましい。非ゲル化組成物の場合において、組成物は、環境温度で、一般的に約6cPを超え約4,000cPまでの範囲の粘度を有し得、またその範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の粘度を有し得る。より好ましくは、本発明の非ゲル化組成物は、約50cPから約3,000cPの粘度を有し、約100cPから約2,000cPの粘度を有する組成物が、さらにより好ましい。
【0019】
本発明の組成物中において、ミノキシジルの濃度は変化し得、かつ例えば該組成物がゲル化した組成物であるか、または非ゲル化組成物であるかなどの、特定の形態に依存し得る。広く言えば、ミノキシジルは、本発明の組成物中で、約0.01%を超え約8%までの範囲で存在し得、またその範囲の全ての組み合わせとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の量で存在し得る。本明細書中で用いる“%”という用語は、別記しない限り、重量%である。さらに、本発明の組成物中の成分の%の合計は、100%を超え得ない。より好ましい具体的態様において、ミノキシジルは、約3%を超える濃度で存在し得、3%を超え約8%までの濃度がより好ましい。他のより好ましい具体的態様において、3%を超える濃度が望ましく、3%を超え約8%までの濃度がより好ましい。特定のゲル組成物を含む特定の好ましい組成物の場合において、ミノキシジルは、約4%から約8%の濃度で存在し、約5%から約8%の濃度で存在し、約6%から約8%の濃度で存在し、そして約7%から約8%の濃度で存在する。さらにより好ましい具体的態様において、ミノキシジルは、約4%から約7%で、または約5%から約6%で存在し得、約5%の濃度が特に好ましい。
【0020】
本発明の組成物は、さらに好ましくは薬学的に許容される溶媒を含み、そして好ましい形態において、ミノキシジルが実質的に組成物中で可溶化され得る。本明細書で用いる“実質的に可溶化されている”という用語は、ミノキシジルが組成物に溶解しており、本発明の組成物中で、その溶解度の限界よりも少ない濃度で存在することを意味する。本明細書中で用いる“薬学的に許容される”という用語は、一般的に、本発明の組成物を本発明に記載した方法に従って局所的に適応する場合を含む、本発明の組成物中で用いた場合に、患者に対して毒性がないか、または有害でない物質を言う。本明細書中で“患者”という用語は、哺乳動物を含む動物を言い、好ましくはヒトを言う。
【0021】
広く様々な溶媒を本発明の組成物に用い得る。好ましくは、該溶媒は極性の溶媒である。極性の溶媒の中で好ましいのは、極性のプロトン性溶媒である。好ましくは、該溶媒はヒドロキシ化合物、すなわち少なくとも1つのヒドロキシ (OH)基を含む化合物である。ヒドロキシ化合物の間で好ましいのは、アルコール類 (すなわち1つのヒドロキシ基を含む化合物)、またはポリオール (すなわち2つもしくはそれ以上のヒドロキシ基を含む化合物)、またはアルコール および/または ポリオールの混合物である。アルコールの例は、例えばエタノール、プロパノール、およびブタノールを含む。
【0022】
本明細書中において、“エタノール”と述べる場合は、無水アルコール、“アルコール USP”、および全ての変性した形態の95% エタノールを含む。本明細書中で用いる“プロパノール”という用語は、n−プロパノールとイソプロパノールを含む、全ての異性体の形態を言う。そして“ブタノール”という用語は、例えばn−ブタノール、イソ−ブタノール、およびsec−ブタノールを含む、全ての異性体の形態を言う。
【0023】
これらのアルコールの間で好ましいのは、エタノールとプロパノールであり、エタノールがより好ましい。ポリオールの例は、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール 200 (PEG-200) と ポリエチレングリコール 400 (PEG-400) のような液体のポリエチレングリコール、およびグリセロール(グリセロールは、時々グリセリンと記載される)を含む。これらのポリオールの間で好ましいのは、プロピレングリコールである。特に好ましい具体的態様において、用いる溶媒は、アルコールとポリオールの混合物である。
【0024】
本発明の組成物中で用いる溶媒の量は変化し得、例えば用いた特定の溶媒、用いた特定の濃厚化剤、用いたミノキシジルの量などに依存し得る。好ましくは、溶媒を、本組成物中でミノキシジルが可溶であると想定されるのに十分な量で用い得る。溶媒は、本発明の組成物において、約1%から約99%の範囲で用いられ得、またその範囲全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の量で用いられ得る。より好ましくは、溶媒は、少なくとも約20%の量で用いられ得る。さらにより好ましくは、溶媒は、本発明の組成物において、約20%から約99%の範囲で用いられ得、約30から約80%の濃度で用いられる溶媒が、いっそう好ましい。
【0025】
より好ましくは、本発明の組成物は、約30%から約80%のポリオールと、約10%から約50%のアルコールを含み得る。より好ましくは、本発明の組成物は、約40%から約70%のポリオールと、約20%から約30%のアルコールを含み得る。さらにより好ましくは、本発明の組成物は、約50%から約60%のポリオールと、約25%から30%のアルコールを含み得る。さらにより好ましくは、本発明の組成物は、約53%のポリオールと、約26%のアルコールを含み得る。
【0026】
また、好ましい形態において、本発明の組成物中の溶媒:ミノキシジルの比は、約10:1である。本明細書中で記載した比は、重量:重量の比である。好ましくは、本発明の組成物中の溶媒:ミノキシジルの比は、約12:1であり、約15:1の比がより好ましい。また、好ましい形態において、本発明の組成物中のポリオール:ミノキシジルの比は、少なくとも約5:1である。好ましくは、本発明の組成物中のポリオール:ミノキシジルの比は、少なくとも約8:1であり、約10:1の比がより好ましい。さらに好ましい形態において、本発明の組成物中のアルコール:ミノキシジルの比は、少なくとも約3:1である。好ましくは、アルコール:ミノキシジルの比は、少なくとも約4:1であり、約5:1の比がより好ましい。
【0027】
本発明の好ましい具体的態様に従って、本発明の組成物の高められた粘度は、濃厚化剤の使用を通じて達成し得る。“濃厚化剤”という用語は、一般的に様々な親水性の物質の何れかであって、本発明の組成物に組み込んだ場合に、粘度修飾剤、乳化剤、ゲル化剤、懸濁剤、および/または安定化剤として作用し得る物質を言う。濃厚化剤は、該性質のために、該組成物の安定性を維持するのを助けることが可能であり得る。所望により、2個もしくはそれ以上の濃厚化剤を、本発明の組成物に用い得る。
【0028】
広く様々な濃厚化剤は、当業者に既知であり、そして本発明の実施に用いられ得る。好ましい具体的態様において、濃厚化剤は、有機濃厚化剤または無機濃厚化剤であり得、有機濃厚化剤がより好ましい。有機濃厚化剤の間で好ましいのは、ポリマー濃厚化剤である。本明細書中で用いる“ポリマー”という用語は、2個もしくはそれ以上のユニットの化学結合から形成される分子を言う。それゆえに、“ポリマー”という用語の範囲には、例えば二量体、三量体、およびオリゴマーが含まれる。ポリマーは合成、天然由来、または半合成であり得る。好ましい形態において、“ポリマー”という用語は、10個もしくはそれ以上の繰り返し単位を含む分子を言う。
【0029】
本発明の組成物に使用するための適切なポリマー濃厚化剤は、例えば澱粉、ゴム、ペクチン、カゼイン、ゼラチン、フィココロイド(phycocolloid)、および合成ポリマーを含む。該ポリマー濃厚化剤の例は、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびプロピレングリコール アルギン酸エステルなどを含むアルギン酸とその塩とその誘導体、アラビアゴム、カラギーナン、グアールゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、トラガカントゴム、キサンタンゴム、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、カルボキシメチルセルロース カルシウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル セルロース、ヒドロキシプロピル メチルセルロース、微晶性セルロース、および粉末状セルロースなどを含むセルロースとその塩とその誘導体、例えばヒアルロン酸ナトリウムのようなヒアルロン酸とその塩、ゼラチン、およびポリデキストロースである。
【0030】
用いられ得る他のポリマー濃厚化剤は、例えば、アクリル酸の架橋ホモポリマー、アクリル酸架橋コポリマー、アクリル酸の架橋インターポリマーのようなアクリル酸のポリマー、ポリアクリル酸とその塩、アクリル酸/アクリル酸エステル・コポリマー、ジメチコーン・コポリオール、ポリアクリルアミド、エチレン/アクリル酸ナトリウム・コポリマー、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム・コポリマー、アクリル酸ナトリウム/ビニルアルコール・コポリマー、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポビドンとその誘導体、ポリクオタニウム 10のようなポリクオタニウム化合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、およびポロクサマー(poloxamer)を含む。
【0031】
上述の何れかの濃厚化剤は、本発明の組成物で用いられ得る。特定の好ましい具体的態様において、濃厚化剤は、非カルボマー濃厚化剤である。本明細書中で用いる“カルボマー”という用語は、Cosmetics, Toiletry and Fragrance Association (CTFA) によって定義されており、合成の高分子量アクリル酸架橋ホモポリマーを言う。カルボマーの例は、例えば B. F. Goodrich (Cleveland, OH)から市販されている、Carbopol(登録商標) 934P、Carbopol(登録商標) 940、Carbopol(登録商標) 980、Carbopol(登録商標) 981、および Carbopol(登録商標) Ultrez(登録商標) 10 のような Carbopol 類を含む。本明細書中で用いる“非カルボマー”という用語は、カルボマーではない濃厚化剤を言う。
【0032】
特定のカルボマーは、アルコールやポリオールのようなプロトン性溶媒などの溶媒の量を多く含む組成物に、特に有用である。該カルボマーは、本明細書中で“溶媒耐性カルボマー”と述べる。このようなカルボマーは、例えば Carbopol(登録商標) Ultrez(登録商標) 10、Carbopol(登録商標) 940、Carbopol(登録商標) 941、Carbopol(登録商標) 980、および Carbopol(登録商標) 981 (全て B. F. Goodrich から市販されている)のようなカルボマーを含む。例えば約50%を超える溶媒および/または25%未満の水を含む組成物のような、溶媒の量が多い/水の量が少ない組成物において、該溶媒耐性カルボマーは、特に粘度修飾剤として有用である。すなわち、該溶媒耐性カルボマーは、組成物を乳化する、ゲル化する、懸濁する、および/または安定化するために、有利に用い得る。対照的に、他のカルボマーは、溶媒の量が多い/水の量が少ない組成物の粘度を修飾するのに、特に適合しているわけではないが、溶媒の量が少ない/水の量が多い組成物で、より有利に用いられる。
【0033】
特に溶媒の量が多い/水の量が少ない組成物に、特に有用であるわけではないカルボマーは、例えば Carbopol(登録商標) 934P を含む。従って、例えば Carbopol(登録商標) 934P は、本発明の文脈の中では、溶媒耐性カルボマーではなく、溶媒の量が多い/水の量が少ない組成物であることを特徴とする本発明の具体的態様に適切ではない。
【0034】
ゲル組成物の場合、好ましい濃厚化剤は、アクリル酸のコポリマーであり、アクリル酸架橋コポリマーがより好ましい。これらの濃厚化剤の中で特に好ましいのは、アクリル酸/C10−30アルキルアクリル酸エステル 架橋ポリマーである。本発明の組成物に使用するのに適切であり得るアクリル酸/C10−30アルキルアクリル酸エステル 架橋ポリマーの例は、B. F. Goodrich (Cleveland, OH) から市販されている、Pemulen(登録商標) TR 1 と Pemulen(登録商標) TR 2 を含む、Pemulen(登録商標) ポリマー性乳化剤である。
【0035】
本発明の別の好ましい具体的態様において、本発明の組成物は、無機濃厚化剤を含む。適切な無機濃厚化剤は、例えばベントナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0036】
本発明の組成物で用いる濃厚化剤の量は 変化し得、例えば用いた特定のポリマーや溶媒、ミノキシジルの量、最終組成物の望ましい粘度などに依存し得る。一般的に言えば、濃厚化剤は、望ましい粘度を有する組成物を提供するために用い得る。より好ましくは、濃厚化剤は、約0.01%から約50%の範囲で用い得、またその範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の量を有し得る。より好ましくは、濃厚化剤は、約0.1%から約3%の範囲で用い得、約0.15%から約0.6%で濃化剤を用いることが、さらにより好ましい。
【0037】
本発明の組成物は、さらに、組成物のpHを調整するために用いられ得る、1つもしくはそれ以上の中和剤を含む。本明細書中で用いる“中和剤”という用語は、本発明の組成物のpHを、例えば酸性のpHからより塩基性のpHへ、もしくは塩基性のpHからより酸性のpHへ修飾するために用い得る物質を言う。特定の濃厚化剤のような本発明の組成物の成分は酸性であり得、好ましくは、望ましい濃厚化の効果を得るために中和され得る。それゆえに、中和剤は、好ましくは本発明の組成物のpHを酸性のpHからより塩基性のpHへ修飾するために用い得る。
【0038】
広く様々な中和剤が、当業者に既知であり、そして本発明の実施に用いられ得る。中和剤の例は、例えば水酸化アンモニウム、アルギニン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール (AMP-95(登録商標) (Angus))、ジメタノールアミン、ジブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、トリブタノールアミン、トリイソブタノールアミン、トリ−sec−ブタノールアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、PEG−15 コカミン(cocamine)、ジイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、トロメタミン、イソプロピルアミン エチレンジアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラヒドロキシプロピル エチレンジアミン、トリメタミン(trimethamine)、2−アミノブタノール、アミノエチルプロパンジオール、アミノメチルプロパンジオール、アミノメチル プロパノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物を含む。
【0039】
好ましくは、中和剤が2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、およびテトラヒドロキシプロピル エチレンジアミン、およびそれらの混合物から選択される。より好ましくは、中和剤が2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
【0040】
本発明の組成物に用いる中和剤の量は変化し得、例えば用いた特定の中和剤および濃厚化剤、中和すべき濃厚化剤の量、組成物の望ましいpHなどに依存し得る。好ましくは、中和剤は、本発明の組成物中で、組成物の全重量に基づく約0%から約5%の範囲で(その範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の量で)用いられ得る。より好ましくは、中和剤は、本発明の組成物中で、約0%から約3%で用いられ得る。さらにより好ましくは、中和剤は、本発明の組成物中で、約0.03%から約1%で用いられ得、約0.15%から約0.6%の濃度がさらにより好ましい。
【0041】
用いた中和剤の量はまた、濃厚化剤:中和剤の比に関して表され得る。本明細書中で記載した比は、重量:重量比である。好ましくは、濃厚化剤:中和剤の比は、約10:1から約1:6であり、またその範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の比である。より好ましくは、濃厚化剤:中和剤の比は、約2:1から約1:2であり、約10:6の比がいっそうより好ましい。
【0042】
ミノキシジル、濃厚化剤、および薬学的に許容される溶媒に加え、本発明の組成物は、さらに好ましくは水を含む。望ましい薬学的にエレガントな特性は、本発明の組成物中に水を含むことによって達成され得ることが見出されている。本明細書中で用いる“薬学的にエレガントな”という用語は、組成物が、好ましくは滑らかであり、砂状ではなく、触ってもべたべたしないことを意味する。好ましくは、水は、本発明の組成物中で約80%以下含まれ得る。より好ましくは、水は、本発明の組成物中で約0.1%から約70%の範囲で用いられ得、またその範囲の全てのコンビネーションとサブコンビネーション、およびその範囲内の特定の量で用いられ得る。さらにより好ましくは、水は、本発明の組成物中で約10%から約25%用いられ得、約14%から約16%で用いられるのが、いっそうより好ましい。
【0043】
本発明の組成物は、脱毛の予防もしくは処置のために、患者の一定の部位に、局所的に投与され得る。それゆえに、当業者に明らかなように、本明細書に開示した教示で調整したら、本組成物は、任意に、例えばビタミン B5/パンテノール、パンテノール カルシウム、もしくは他のパンテノール誘導体のようなヘアー・コンディショナー、着色料、芳香剤、芳香修飾剤、ビタミン Eのような他のビタミン、azone やDEETのような浸透修飾剤、Cremophoro (BASF) のような界面活性剤、脂肪酸や脂肪酸エステル、ヘンナのようなハーブ抽出物、他の粘度増強剤、または他の濃厚化剤のような皮膚用もしくは頭皮用化粧品、油脂、乳化剤、湿化剤、日焼け止め剤、および抗刺激剤のような、薬学的に許容される添加剤と薬学的に許容される成分を含み得る。
【0044】
本発明の組成物を製造するために、広く様々な方法を用い得る。広く言えば、好ましくは薬学的にエレガントな組成物を提供するのに十分な温度と時間で、本明細書で記載の組成物の成分を一緒に合わせることによって、本組成物を製造し得る。本明細書中で用いる“一緒に合わせる”という用語は、本組成物の成分を全て合わせて、同時に一緒に混合することを意味する。例えば、ミノキシジル、濃厚化剤、薬学的に許容される溶媒、および水を含む非ゲル化組成物を含む非ゲル化組成物は、ミノキシジル、濃厚化剤、薬学的に許容される溶媒、および水を一緒に合わせて、非ゲル化組成物を提供することによって、製造され得る。特定の好ましい具体的態様において、“一緒に合わせる”という用語は、様々な成分を1つもしくはそれ以上の好ましい順序で合わし得ることを意味する。
【0045】
非ゲル化組成物を形成するための方法において、水と濃厚化剤は、好ましくは一緒に合わせて、均一に分散した水和した混合物を生産し得る。これに溶媒を加え、任意に何れかの中和剤を加え得る。次に、ミノキシジルを混合物に加え、ミノキシジルが溶解するまで混合し得る。代わりに、始めにミノキシジルを溶媒に溶解し、次にこの混合物を濃化剤と水の混合物に加え得る。
【0046】
慣用の手段によって、ミノキシジルの薬学的にエレガントなポリマーのゲルを形成する試みは、従来、
(1)ミノキシジルの溶解性が低いこと;
(2)濃厚化剤の効果的でかつ有効な分散液を得ること、およびポリマー溶液を維持することが難しいこと;および
(3)ミノキシジルが沈殿すること;
を含む工程の難しさによって邪魔されてきた。例えば、より多くのミノキシジルを用いることは、それに応じてより多くの溶媒を要する。しかし、より多くの溶媒を用いることは、濃厚化剤の適切な分散液を提供するには不充分な量の水を用いることとなる。他方、より多くの水の使用は、ミノキシジルの沈殿を引き起こし得る。
【0047】
さらに、例えば、溶媒、濃厚化剤、薬剤、および中和剤を順に混合することなどを含む、薬剤のゲル製剤を製造するための慣用の技術は、慣用の方法の成分の混合では白色の沈殿の形成を引き起こす点で、ミノキシジルのゲル製剤の場合には不充分であることが分かっている。この沈殿物の分析は、濃厚化剤とミノキシジルの両方の存在を示した。
【0048】
しかしながら、驚くべきことに、かつ予期しないことに、3%を超え約8%までのミノキシジル;約30%から約80%のポリオール;約10%から約50%のアルコール;約0.01%から約3%の非カルボマーポリマー;約0%から約3%の中和剤;および十分量の水を含む、本発明の薬学的にエレガントなポリマーのゲル組成物は、便宜的にかつ効果的に、本明細書に記載の方法によって、生産され得る。好ましい形態において、本方法は、ミノキシジル、薬学的に許容されるポリオール、アルコールの一部、および中和剤を含む溶液を提供する(段階a)ことを含み得る。本方法は、さらに好ましくは、濃厚化剤、残りのアルコール、および水を含む分散液を提供する(段階b)ことを含む。該溶液と該分散液の両方は、溶液のおよび分散液の様々な成分を、それぞれ一緒に合わせることによって得られる。均一なゲル組成物が生産されるまで、該溶液と分散液を合わせ得る(段階c)。
【0049】
選んだ濃厚化剤に依存して、段階(a)のミノキシジル溶液にアルコールの一部を加えるより、むしろ段階(b)の分散液にアルコール全てを加えることが可能であり得る。幾つかの濃厚化剤は、アルコールが多い/水が少ない環境に耐えられないか、または満足な分散液もしくは作用し得る分散液を与えないことがある。加えて、段階(a)の溶液にアルコールを幾らか添加することは、ポリオール中のミノキシジルの溶解を促進し得、そして例えば溶液を加熱する必要を避け得ること、そして段階(a)を室温で行うことが許され得ることが見出された。従って、約50%のアルコールを段階(a)の溶液に用い、そして残りの50%を段階(b)の分散液に用いることが望ましい。
【0050】
中和剤の全重量に対して低いパーセンテージの量の中和剤は、段階(b)の分散液に含まれ得るが、実質的に大部分の何れかの中和剤は、好ましくは段階(a)の溶液に含まれる。本明細書で用いる“実質的に大部分の”という用語は、中和剤の全重量の約80%を超える量を言い、約90%を超える量が望ましい。中和剤が実質的に完全に段階(a)の溶液に加えられる方法の具体的態様が、いっそうより望ましい。本明細書で用いる“実質的に完全に”という用語は、中和剤の全重量の約99%を超える量を意味する。
【0051】
本発明の組成物は、患者の脱毛または脱毛症の部位を処置するおよび/または予防するために、有利に用いられ得る。一般的に言えば、本方法は、本明細書に記載の組成物を、該部位に局所的に投与することを含む。頭髪の命は、毛周期と呼ばれるサイクルに属しており、頭髪が成長し(成長期)、退縮し(退縮期)、そして抜け落ちる(休止期)間、同じ小胞に生じた新しい髪によって置き換わる前までであり、毛周期は繰りかえされる。この一定の再生過程は、年をとる間で自然に変化する。毛周期はより短くなり、その結果より細く より短い髪となる。脱毛は、この過程が加速するか、または阻害される場合に起こる。すなわち成長層がより短くなり、髪の休止期への移行がより早くなり、そして多数の髪が抜け落ちる。連続的に成長サイクルが短くなると、結果として細く短い髪が増え、ゆっくりとうぶ毛へと変わっていく。この現象は、頭髪が薄くなることを進め、そして最後には禿げ頭となり得る。
【0052】
皮膚科学は、多くの異なるタイプの脱毛を認識しており、その非常に最も一般的なものが、男性ホルモン性脱毛症(禿げ頭のパターンとして知られている)である。男性ホルモン性脱毛症のヒトは、年をとるにつれて、頭髪を失い始める。このタイプの脱毛は、男性により一般的であるが、女性にも起こる。このタイプの脱毛は、上記のように頭髪が薄くなることが進行することを特徴とするか、または前頭部の脱毛、前中央部の禿げ、両側頭の後退(bitemporal recession)、および/または頭の頂点の禿げのように、頭髪が薄くなる部分が分散することがほとんどないことを特徴とする。円形脱毛症、成長期脱毛、そして休止期脱毛症のようなびまん性脱毛症は、脱毛の他の表示であり、男性ホルモン性脱毛症と区別し得る。これらの他の形態もしくは脱毛はまた、局所のミノキシジルで処置し得る。
【0053】
本発明を、さらに下記の実施例で記載している。これらの実施例は、全て実際に行った実施例である。これらの実施例は、単に例示的な目的のためのものであり、付属の請求項を制限するものではない。
【実施例】
【0054】
実施例1
5%のミノキシジルを含む、本発明の範囲内のゲル化した組成物を、下記のように製造した:
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
製法
溶液Iのアルコールとプロピレングリコールを一緒に混合し、得られた混合物にミノキシジルを溶解した。AMP-95(登録商標)をその溶液に加え、溶解するまで混合した。分散液 II のアルコールと水を合わせた。アルコール/水の混合液中に、均一な分散液が生じるまで、Pemulen(登録商標)を徐々に混合した。混合を続けながら、均一なゲルが得られるまで、溶液Iを分散液 II に徐々に加えた。得られたゲルは非常に外観がよく、滑らかな濃度で、透明性に優れ、そしてほどよい粘度を有した。
【0057】
実施例2
溶液Iにアルコールを用いなかった以外は、実施例1で記載したようにミノキシジルゲルを製造した。ミノキシジルを溶解するために、プロピレングリコールを加熱し、それから室温に冷えるまで放置する必要があった。次に溶液にアルコールを加え、実施例1のようにゲルを製造した。この実施例は、ミノキシジルを加える前にアルコールとグリコールを混合することが、ミノキシジルを溶解するために溶液を加熱する必要をなくすことを示している。
【0058】
実施例3
5%のミノキシジルゲルを下記のように製造した:
【表3】

【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
製法
プロピレングリコールとミノキシジルを一緒に混合し、実施例2のようにミノキシジルを溶解するために加熱した。分散液 II のアルコールと水を混合し、溶液Iのミノキシジル溶液を加え、均一になるまで混合した。溶液Iと分散液 II を合わせることによって製造したミノキシジル溶液に、Pemulen(登録商標)を徐々に加えた。ミノキシジル溶液への Pemulen(登録商標)の添加を始めると、混合物がゲルを形成し始めた。Pemulen(登録商標)の添加を続け、Pemulen(登録商標)の分散していない乾燥した状態の小さな塊と、“魚の目”の状態(すなわち個々に、部分的に水和した Pemulen(登録商標)のゼラチンの塊)の小さな塊の、不均一な混合物を得た。混合し続けると、Pemulen(登録商標)の乾燥した状態の塊は解消したが、“魚の目”は残ったままとなった。これは、ゲルの製造の適切な方法ではないことが結論付けられた。そのためAMPを添加せずに製造を中断した。この実施例は、ミノキシジルの溶液と Pemulen(登録商標)の分散液を別に製造する必要があることを示している。
【0061】
実施例4
5%のミノキシジルゲルを、下記のように製造した:
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
製法
分散液 II は、非常に濃く粘着質であり、ゲルの製造に一般的に用いられる遊星式攪拌装置(planetary mixer)で使用することが許されない。分散液 II における水とアルコールの比を変えて、それ以外の改善をせず、さらなる試みを行った。両方の場合で、溶液Iと分散液 II を合わせた結果、ミノキシジルと Carbopol(登録商標) 934P の両方の沈殿が起こった。この実施例は、濃厚化剤として Carbopol(登録商標) 934P を用いることによっては、本発明のゲルを製造し得ないことを示している。
【0064】
実施例5
5%のミノキシジルを含むゲル組成物を、下記のように製造した:
【表8】

【0065】
【表9】

【0066】
製法
溶液Iのプロピレングリコール、アルコール、およびミノキシジルを室温で合わせ、混合した。適切な混合時間で混合した後、ミノキシジルを溶解するのに失敗し、そして分散液 II 用に予定していたプロピレングリコールを溶液Iに加えた。次に、分散液 II を実施例1に記載したように製造した。ゲルの製造は、実施例1に記載したように完了した。得られたゲルは実施例1のゲルに匹敵した。この実施例は、溶液Iのプロピレングリコールを全量加えることの重要性を示している。
【0067】
実施例6
5%のミノキシジルを含む、本発明の範囲内のゲル組成物を、下記のように製造した:
【表10】

【0068】
【表11】

【0069】
製法
溶液Iのアルコールとプロピレングリコールを一緒に混合し、得られた溶媒の混合物にミノキシジルを溶解した。ジイソプロパノールアミン(DIPA)を溶液に加え、溶解するまで混合した。分散液 II のアルコールと水を合わせた。Carbopol(登録商標) 981 NF を、均一な分散液が得られるまで、アルコール/水混合液へ、徐々に混合した。溶液Iの溶液を、混合を続けながら、均一なゲルを生成するまで、分散液 II へ徐々に加えた。得られたゲルは、非常に外観がよく、滑らかな濃度で、透明性に優れ、そしてほどよい粘度を有した。この実施例は、溶媒耐性カルボマーと代替の中和剤でゲルを製造し得ることを示している。
【0070】
実施例7
5%のミノキシジルを含む、本発明の範囲内のゲル組成物を、下記のように製造した:
【表12】

【0071】
【表13】

【0072】
製法
溶液Iのアルコールとプロピレングリコールを一緒に混合し、得られた溶媒の混合液にミノキシジルを溶解した。AMP-95(登録商標)をその溶液に加え、溶解するまで混合した。分散液 II のアルコールと水を合わせた。Ultrez(登録商標) 10 を、均一な分散液を生成するまで、アルコール/水混合液へ徐々に混合した。次に、均一なゲルが得られるまで、混合を続けながら、溶液Iを分散液 II に徐々に加えた。得られたゲルは、非常に外観がよく、滑らかな濃度で、透明性に優れ、そして高い粘度を有した。この実施例は、広い範囲の粘度とするために、様々な溶媒耐性カルボマーを用い得ることを示している。
【0073】
実施例8
5%のミノキシジルを含む、本発明の範囲内の組成物を、下記のように製造した:
【表14】

【0074】
製法
プロピレングリコール、アルコール、水、およびミノキシジルを合わせ、ミノキシジルが溶解するまで一緒に混合した。均一なゲルが生成するまで、ヒドロキシプロピルセルロースを、ミノキシジル溶液に、徐々に混合した。得られたゲルは透明であり、空気が入っておらず、ほどよい粘度を有した。この実施例は、非カルボマー濃厚化剤の使用、および適切な代替の製造方法を示している。
【0075】
本明細書中で記載した特許、特許明細書、および引用した もしくは刊行物の開示は、それぞれ本明細書中で言及することによって、その全体がここに組み込まれている。
本発明の様々な修飾、さらに本明細書中で記載した修飾は、前述の明細書から、当業者に明らかである。このような修飾はまた、添付の請求の範囲内にあることを意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3%を超えるミノキシジル、合成ポリマー、天然に存在するセルロースならびにその塩および誘導体ではないポリマー、ならびに有機および無機濃厚化剤から選択される1種以上の非カルボマー濃厚化剤、ポリオール、アルコールおよび所望により中和剤を含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を製造する方法であって、
(a)ミノキシジル、ポリオール、アルコールの一部、および存在するならば実質的に大部分の中和剤を含む溶液を提供する;
(b)濃厚化剤、残りのアルコール、何れかの残りの中和剤、および水を含む分散液を提供する;そして
(c)aの溶液とbの分散液を合わせて、組成物を提供する
段階を含む製造方法。
【請求項3】
患者の一定の部位において、脱毛を予防するまたは処置するために局所的に投与する製剤の製造における、請求項1に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2010−6829(P2010−6829A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195116(P2009−195116)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【分割の表示】特願2002−517035(P2002−517035)の分割
【原出願日】平成13年6月7日(2001.6.7)
【出願人】(507335333)マクネイル・アクチボラゲット (2)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL AB
【Fターム(参考)】