説明

ミョウガの養液栽培装置

【課題】養液栽培ベッドからの排水に含まれる汚濁物質を速やかに分離しながら、窒素成分とリン酸成分を速やかに分解して除去する。
【解決手段】養液栽培装置は、養液栽培ベッド10の排液が供給される攪拌タンク1と、攪拌タンク1に凝集剤を供給する凝集剤供給装置2と、攪拌タンク1内を攪拌する攪拌機3と、攪拌タンク1に凝集沈殿された汚濁物質が流入される廃棄容器4と、攪拌タンク1で汚濁物質の分離された排液が供給される濾過タンク5と、濾過タンク5の排液が供給され、供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを微生物で分解して除去する処理タンク6とを備える。養液栽培装置は、攪拌タンク1に供給される排液に含まれる汚濁物質を凝集剤で凝集沈殿させて廃棄容器4に流入し、汚濁物質の除去された排液を濾過タンク5で濾過して汚濁物質を除去し、汚濁物質が除去された排液を処理タンク6で窒素成分とリン酸成分とを除去して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミョウガを養液栽培するベッドから排出される排液を綺麗な水に処理して排出するミョウガの養液栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミョウガの養液栽培装置は多量の水を使用する。たとえば、ミョウガの養液栽培装置は、栽培ベッドに1日に3〜4回給水する。1000平方メートルの栽培面積に対して、2〜3トンの水が給水されて、約1.5トンの水が排水される。栽培ベッドから排水される排液は、決して綺麗な清水でなく、吸収されなかった肥料成分を含有し、さらに極めて暗い暗色に濁っている。この排液が田畑に排水されて、種々の弊害の原因となっている。養液栽培装置に供給する水量を少なくして、排液量を少なくできる。ただ、養液栽培装置の給水量を少なくすると、栽培される全てのミョウガに均一に給水できなくなる。全てのミョウガに均一に給水するために、排液量が多くなって、多量の排液が汚水として田畑に排水されているのが実状である。この弊害を解消するために、養液栽培装置から排水される排液を繰り返し再利用する技術が開発されている。(特許文献1及び2参照)
【0003】
特許文献1は、光触媒を使用して、農業用排液を浄化する技術を記載する。この特許文献は、光触媒として、金属アルコキシドを含有する光反応性半導体を多孔質基材に塗工し、乾燥凝固させた膜を焼成して、微細孔性の膜を形成した光触媒担持体を用い、かつ、光触媒の光反応用光として太陽光のみを用いて、農業用液体を浄化処理する。
【0004】
この方法は、光触媒で排液を処理することから、毎日多量に排水される排液を短時間で効果的に処理するのが難しい。また、太陽光のエネルギーを利用して排液を浄化するので、天候に左右され、毎日確実に安定して排液を理想的な状態に処理できない。
【0005】
特許文献2は、排液を土壌浄化装置とオゾンで殺菌、浄化する。土壌浄化装置による浄化は、多量の排液を処理するために極めて大きな設備を必要とし、設備コストが極めて高くなる。また、オゾンによる殺菌は、オゾン濃度のコントロールが極めて難しく、濃度が低いと殺菌能力が低下し、また濃度が高くなると作業環境を極めて危険な状態として、安定して処理するのが極めて難しい。
【0006】
本発明者は、これらの欠点を解決することを目的として、多量に排水される排液を速やかに殺菌して、外部に排水していた排液を有効に再利用する植物の養液栽培装置を開発した。この養液栽培装置は、排出される排液に、次亜塩素酸ナトリウムと酸性剤を添加して、排液を次亜塩素酸ナトリウムの添加された酸性排液として殺菌し、殺菌された殺菌排液に原水と肥料とを添加して循環する。さらに、この装置は、殺菌された殺菌排液に、塩素分解剤を添加して塩素濃度を低くすることもできる。
【0007】
この養液栽培装置は、外部に排水していた排液を殺菌して循環して再利用する。このため、汚水を外部に排水しないことに加えて、栽培に使用する水量を少なくできる特徴がある。ただ、この養液栽培装置は、養液を循環して再利用することから、肥料バランスのコントロールが難しくなる。それは、植物に吸収されない肥料成分が循環して再利用されることから、植物の吸収率の低い肥料成分の濃度が次第に高くなるからである。とくに、排液に含まれる硝酸性窒素とリン酸態リンを除去することが難しく。これらの肥料バランスのコントロールが難しくなる。この弊害は、排液の一部を循環することなく排水して、新鮮な水の使用量を多くして解消できる。排液の使用量を少なくするほど肥料バランスを好ましい状態にコントロールできる。ただ、排液の使用量を少なくすることは、田畑に排水する排液の水量が増加することになって、田畑に悪い影響を与える。
【0008】
ところで、排液に含まれる汚濁物質とリン酸態リンを除去する方法は開発されている。(特許文献3参照)
この公報は、A液とB液からなる土壌硬化処理剤を記載している。A液は、珪酸ソーダと溶媒水とからなる。B液は、2価又は3価の鉄塩及びアルミニウムの硫酸塩を含有する混合物、又は2価又は3価の鉄塩及びアルミニウムの硫酸塩を含有する混合物に、さらにアルカリ土類金属塩を加えた混合物から選ばれる混合物を主成分とし、該無機塩の混合物を溶媒水に溶解してなる組成物である。さらに、この公報は、土壌にA液を加えて前処理し、ついでB液を加え該土壌を硬化処理する方法も記載している。
【0009】
A液は珪酸ソーダを溶媒水と混合している。溶媒水の量は珪酸ソーダの当倍量以下とし、珪酸ソーダ(水ガラス)は、珪砂とソーダ灰または珪砂と苛性ソーダを原料として作られる珪酸(SiO)とアルカリ(NaO)からなるガラスでNaO・nSiOで表わされる。nが1以下のものは結晶性珪酸ソーダと称し、nが1以上のものは非晶質の構造となり、液状である。珪酸ソーダはモル比によって1号、2号、3号、4号とあり、通常3号を用いている。
溶媒水は多量であると大量の薬品が必要となることもあって、等倍量以下としている。土壌硬化剤のB液に用いる2価及び3価の鉄塩は、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等で、アルミニウムの硫酸塩としては硫酸アルミニウム〔Al(SO〕、硫酸アルミニウムカリウム〔AlK(SO〕等が使用される。
【0010】
2価及び3価の鉄塩、アルミニウムの硫酸塩にさらに添加されるアルカリ土類金属塩には、塩化マグネシウム(MgCl・6HO)、塩化カルシウム(CaCl・2HO)等を使用している。この土壌硬化処理剤は、組成物A液と、組成物B液との二液成分系からなる土壌硬化処理剤であって、該A液と該B液との相剰効果により泥土を速やかに凝結する。B液の主要成分である溶媒水は、他の構成成分の合計重量の等倍量以下であることが好ましい。この溶媒水が等倍量以上であると薬品の使用量が多量となり効果的でない。又、B液の他の成分の組成割合は、その処理する土壌の発生源、即ち底泥を構成する土質や粒度構成比、含水率、pH、温度等により適宜選択するが、B液全体に対し、2価又は3価の鉄塩は約65〜40重量%、アルミニウムの硫酸塩は約30〜1重量%、アルカリ土類金属塩は約17〜3重量%とする。土壌硬化処理剤の使用量は、たとえば、A液は土壌(底泥)に対して5〜30重量%であり、そしてB液はA液の約1/2程度とする。
【0011】
この土壌硬化処理剤を用いての底泥の処理は、土壌に、例えば底泥に一定量の前処理剤であるA液を注入するか、あるいは加えて混合攪拌したあと、組成物B液を注入するか、あるいは添加して混合攪拌することにより土壌を硬化処理する。
【0012】
以上の土壌硬化処理剤は、二液成分系からなる硬化処理剤であり、底泥等の硬化に使用される。この土壌硬化処理剤の主要成分は、無機系の化学薬品で天然自然物であって、正荷電の無機金属塩であるから、これが負荷電の土壌、土粒子と結合し土粒子の周囲に付着し拘束されていた水分子や自由水は、この硬化処理剤(A液及びB液)との化学反応により、多量の結晶水として固定された水和物が構成されるか、あるいは構造体土粒子の微細な間隔に吸着水、間隙水の全量を包含させて硬化するものと考えられている。そのため処理して得られた土壌は保水性、透水性を有し、土壌として有効に再利用できるものとなる。
【0013】
以上の公報に記載される土壌硬化処理剤は、排液に含まれる汚濁物質を凝集沈殿させてリン酸態リンを除去できる。ただ、この公報に記載される土壌硬化処理剤を使用して養液栽培装置の排液を処理すると、排液に含まれる硝酸性窒素を除去できず、また、排液を脱色できない欠点がある。農業用の排液は、肥料成分の硝酸性窒素とリン酸態リンとが含まれることから、これ等を効率よく除去することが要求される。たとえば、高知県のJA土佐くろしおミョウガ部会においては、ミョウガ養液栽培の排液処理における目標値として、硝酸性窒素含有量を50ppm以下、リン酸態リンの含有率を8ppm以下と定められている。さらに、飲料水に含まれる硝酸性窒素による種々の弊害が報告されていることから、養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素を少なくすることが強く要求されている。養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素が、地下水となって飲料水に含まれて健康を害するからである。養液栽培装置の排液に含まれる硝酸性窒素が飲料水に含まれることは、田畑の多い田舎の地下水が都会の地下水よりも濃度が高くなっていることからも明らかにされている。
【0014】
本発明者は、この欠点を解決することを目的として、以下の養液栽培装置を開発した。(特許文献4参照)
この養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する栽培ベッドと、この栽培ベッドに肥料を添加している養液を供給する養液供給装置と、栽培ベッドから排出される排液が供給されてリン酸成分を除去すると共に汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する処理タンクと、この処理タンクで処理された排液が所定の流量で供給されると共に、微細な空隙に枯草菌を植え付けている多孔質材を充填している処理槽とを備えている。栽培ベッドの培地には枯草菌を添加している。培地の枯草菌でもって栽培ベッドから排出される排液に含まれる窒素成分を除去する。栽培ベッドから排出される排液は処理タンクでもってリン酸成分を除去して汚濁物質を凝集・沈殿して脱色する。さらに、処理タンクから排出される排液は、処理槽の枯草菌でもって、含まれる窒素成分を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−82095号公報
【特許文献2】特開昭64−47324号公報
【特許文献3】特開平3−207498号公報
【特許文献4】特開2010−89019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上の養液栽培装置は、ミョウガの栽培ベッドから排水される排液から、窒素成分とリン酸成分を処理タンクの枯草菌で除去して綺麗な状態で排水できる。しかしながら、この養液栽培装置は、処理タンクの枯草菌で汚濁物質を分離するので、処理タンク内で排液から分離された汚濁物質を、処理タンクから速やかに除去することができない欠点があり、また、処理タンクの枯草菌は有機浮遊物である汚濁物質と窒素成分の両方を分解するので、枯草菌でもって効率よく窒素成分を分解することが難しく、栽培ベッドから多量に排出される排液を速やかに処理して排水できない欠点があった。
【0017】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、ミョウガの栽培ベッドからの排水に含まれる汚濁物質を速やかに分離しながら、窒素成分とリン酸成分を速やかに分解して除去して綺麗な排水として排出できるミョウガの養液栽培装置を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、排水に含まれる汚濁物質を排水から効率よく分離し、さらに、排水から分離された汚濁物質を簡単に除去できるミョウガの養液栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0018】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する養液栽培ベッド10と、この養液栽培ベッド10に肥料を添加している養液を供給する養液供給装置30と、養液栽培ベッド10から排出される排液が供給される攪拌タンク1と、この攪拌タンク1に凝集剤を供給して汚濁物質を凝集沈殿させる凝集剤供給装置2と、凝集剤供給装置2で凝集剤の供給された排液を攪拌タンク1内で攪拌する攪拌機3と、攪拌タンク1の底部に連結されて攪拌タンク1の底部に凝集沈殿された汚濁物質が流入される廃棄容器4と、攪拌タンク1に連結されて汚濁物質の分離された排液が供給される濾過タンク5と、この濾過タンク5で汚濁物質の濾過された排液が供給され、供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを微生物で分解して除去する処理タンク6とを備えている。ミョウガの養液栽培装置は、養液栽培ベッド10から排出される排液を攪拌タンク1に供給し、攪拌タンク1に供給される排液に含まれる汚濁物質を凝集剤で凝集沈殿させて廃棄容器4に流入し、さらに、汚濁物質の除去された排液を濾過タンク5で濾過して汚濁物質を除去し、汚濁物質が除去された排液を処理タンク6に供給して、処理タンク6で窒素成分とリン酸成分とを除去して排出する。
【0019】
以上のミョウガの養液栽培装置は、ミョウガの養液栽培ベッドからの排水に含まれる汚濁物質を速やかに分離しながら、窒素成分とリン酸成分を速やかに分解して除去して綺麗な排水として排出できる特徴がある。さらに、以上の養液栽培装置は、排水から汚濁物質を効率よく分離すると共に、排水から分離された汚濁物質を簡単に除去できる特徴も実現する。
【0020】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、攪拌タンク1に凝集剤として脱色菌を添加することができる。
以上の養液栽培装置は、凝集剤として退色菌を添加するので、この退色菌でもって排出を退色して綺麗な水に処理できる特徴がある。
【0021】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、濾過タンク5の内部を濾過材50でもって流入室51と排出室52とに分離して、流入室51を排出室52の下方に配置して、流入室51を攪拌タンク1に連結して、排出室52を処理タンク6に連結することができる。
以上の養液栽培装置は、濾過タンクでスムーズに排液を濾過して綺麗な水にでき、しかも、汚濁物質を濾過材の下面に堆積させることで、簡単に逆洗して濾過材から除去できる。
【0022】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、廃棄容器4を、透水性袋とすることができる。
以上の養液栽培装置は、廃棄容器を簡単な構造として、排液から回収された多量の汚濁物質を収納できる。
【0023】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、廃棄容器4を、無数の貫通孔4aのあるプラスチック製の細長い筒状袋4Aとすることができる。
以上の養液栽培装置は、筒状袋の廃棄容器を田畑の畝の間に配置できる。このため、廃棄容器の容量を大きくしながら、田畑に邪魔にならないように配置できる。
【0024】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、筒状袋4Aである廃棄容器4を収納する受け樋9を有して、受け樋9に廃棄容器4から排出される排液を攪拌タンク1に環流させることができる。
以上の養液栽培装置は、汚濁物質から漏れる汚れた排液を田畑に排水することなく、汚れた排液の汚濁物質を、さらに攪拌タンクで回収して綺麗な水を田畑に排水できる。
【0025】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、養液栽培ベッド10の培地12を、ヤシガラとバークのいずれか又は両方を含む有機物をプレスして所定の厚さのマット状に固化したものとすることができる。
以上の養液栽培装置は、ミョウガを安価で理想的な培地で栽培しながら、培地から排出される排液を綺麗な水として田畑に排水できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例にかかるミョウガの養液栽培装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す養液栽培装置の養液栽培ベッドの一例を示す断面図である。
【図3】図2に示す養液栽培ベッドの栽培トレイの一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのミョウガの養液栽培装置を例示するものであって、本発明はミョウガの養液栽培装置を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0028】
図1に示すミョウガの養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する養液栽培ベッド10から発生する排液から硝酸性窒素とリン酸態リンを除去し、さらに脱色して綺麗な水に処理して排水する。この図の養液栽培装置は、ミョウガを養液栽培する養液栽培ベッド10と、この養液栽培ベッド10に肥料を添加している養液を供給する養液供給装置30と、養液栽培ベッド10を通過して排水される排液が供給される攪拌タンク1と、この攪拌タンク1に凝集剤を供給して、排液に含まれる汚濁物質を凝集沈殿させる凝集剤供給装置2と、凝集剤供給装置2で凝集剤の供給された排液を攪拌タンク1内で攪拌する攪拌機3と、攪拌タンク1の底部に連結されて攪拌タンク1の底部に凝集沈殿された汚濁物質を流入させる廃棄容器4と、攪拌タンク1に連結されて汚濁物質の分離された排液が供給される濾過タンク5と、この濾過タンク5で汚濁物質の濾過された排液が供給され、供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを微生物で分解して除去する処理タンク6とを備えている。
【0029】
以上のミョウガの養液栽培装置は、養液栽培ベッド10から排出される排液を攪拌タンク1に供給し、攪拌タンク1に供給される排液に含まれる汚濁物質を凝集剤で凝集沈殿されせて廃棄容器4に排出し、さらに、汚濁物質の除去された排液を濾過タンク5で濾過して汚濁物質を除去し、汚濁物質の除去された排液を処理タンク6に供給して、処理タンク6で窒素成分とリン酸成分とを除去して排出する。
【0030】
図1の養液栽培装置は、養液栽培ベッド10を透過して排水される排液を排液貯めタンク8を介して攪拌タンク1に供給している。排液貯めタンク8は、排液を一時的に蓄えて攪拌タンク1に供給する。排液貯めタンク8の排液は、排液ポンプ48で攪拌タンク1に供給される。攪拌タンク1で処理された排液は、自然に流して濾過タンク5に供給され、濾過タンク5で濾過された排液は、自然に流して処理タンク6に供給される。ただし、攪拌タンクで処理された排液を供給ポンプ(図示せず)で濾過タンクに供給し、また、濾過タンクで濾過された排液を供給ポンプ(図示せず)で処理タンクに供給することもできる。
【0031】
養液供給装置30は、原水供給装置32と、原水供給装置32から供給される原水に肥料を添加する肥料添加装置33とを備えている。原水供給装置32は、養液供給装置30の供給路35に、地下水を吸い上げて供給する原水ポンプ32Aを備える。この原水ポンプ32Aは、所定の流量で原水である地下水を供給路35に供給する。ただし、原水供給装置は、図示しないが、所定量の原水を蓄える原水タンクと、この原水タンクの原水を吸入して、養液供給装置の供給路に供給する原水ポンプとで構成することもできる。この原水タンクは、一度に養液栽培ベッド10に供給する水量の原水を蓄える。
【0032】
肥料添加装置33は、原水供給装置32から供給される原水に、所定の肥料を添加する。この液肥添加装置33は、肥料の水溶液である液肥を蓄える液肥タンク33Aと、この液肥タンク33Aから液肥を吸入して原水に添加する添加ポンプ33Bとを備える。肥料添加装置33は、養液の肥料濃度が設定値となるように液肥を添加する。肥料添加装置33は、原水に添加する液肥量をコントロールして養液の肥料濃度を調整する。図1の肥料添加装置33は、肥料の添加された養液の肥料濃度を濃度センサ34で検出しながら肥料の添加量を制御する。この肥料添加装置33は、濃度センサ34に養液の電気伝導度を検出するセンサを使用する。濃度センサ34は養液の肥料濃度を検出し、検出された肥料濃度で添加ポンプ33Bの流量を制御して、養液の肥料濃度を所定の範囲にコントロールする。図1の養液栽培装置は、2組の肥料添加装置33を有する。2組の肥料添加装置33は、異なる液肥を原水に添加する。各々の肥料添加装置33は、濃度センサ34の信号で添加ポンプ33Bの流量を制御して、養液の肥料濃度を設定濃度にコントロールする。各々の肥料添加装置33は、濃度センサ34で検出する養液の肥料濃度が設定値よりも低いと、添加ポンプ33Bの流量を多くするように制御して肥料濃度を高くし、反対に、濃度センサ34で検出する肥料濃度が高いと、添加ポンプ33Bの流量を少なく制御して肥料濃度を低くして、養液の肥料濃度を設定値にコントロールする。
【0033】
さらに、養液供給装置は、図示しないが、液肥を添加した養液に、植物の栽培に必要な種々の微量成分、たとえば金属元素等を添加する微量成分添加装置を備えることもできる。この微量成分添加装置は、微量成分を含有する溶液を蓄える溶液タンクと、この溶液タンクに蓄えられる微量成分含有溶液を養液に添加する添加ポンプとを備え、養液栽培ベッドに供給される養液に、所定量の微量成分を添加する。
【0034】
図2は、ミョウガの養液栽培ベッド10を示す。この図の養液栽培ベッド10は、ミョウガの根を生育させる所定の厚さと幅を有する培地12と、この培地12を上に載せる栽培トレイ13とを備える。栽培トレイ13は、水平栽培台14の上に水平姿勢に載せられる。水平栽培台14は、所定の間隔で互いに平行に配設している3本又は4本の縦パイプ15を備える。縦パイプ15は水平に配設される。この縦パイプ15の上に栽培トレイ13が水平に載せられる。栽培トレイ13には、培地12が載せられ、この培地12に養液16を供給してミョウガを栽培する。
【0035】
さらに、図2の養液栽培ベッド10は、培地12の下に積層されて、培地12に植え付けされるミョウガの根が通過するのを阻止して水を通過させる根切りシート17と、この根切りシート17の下に積層されて、培地12に水を供給する保水シート18と、この保水シート18の下に積層している下地フィルム19とを、培地12を載せる栽培トレイ13に敷設している。これらの養液栽培ベッド10は、栽培トレイ13の上に配置している培地12に養液16を供給して培地12でミョウガを栽培する。
【0036】
培地12は、供給される水分を保水する保水性と、過剰な水分を排水する排水性とが要求される。図の培地12は、所定の厚さのマット状で、根切りシート17の上に載せている。培地12は、ミョウガの生育に最適なものが選択され、たとえば、ヤシガラやバーク等の有機物をプレスして、所定の厚さのマット状に固化したものが使用される。
【0037】
栽培トレイ13は、図2と図3に示すように、底面の両側縁に沿って上方に突出する一対の側壁20を一体的に成形して設けて、断面形状を溝形としている。この側壁20は、栽培トレイ13の上に載せられる培地12や給水管21から供給される養液16が、栽培トレイ13の外側にこぼれ落ちるのを防止する。したがって、側壁20の高さは、培地12や養液16が外にこぼれるのを防止できる高さに成形する。
【0038】
さらに、栽培トレイ13は、図2と図3に示すように、上面に3列の排水溝22を設けている。この図の栽培トレイ13は、排水溝22として、両側の側壁20に沿って設けた一対の側溝22Aと、一対の側溝22Aの間に設けた中央溝22Bを設けており、さらに、両側の側溝22Aと中央溝22Bとを連結溝(図示せず)で連結している。
【0039】
一対の側溝22Aは、一対の側壁20の内側にあって、側壁20に沿って設けている。側溝22Aは、栽培トレイ13の両端面まで延長して設けている。栽培トレイ13は、培地12を透過する排液をこの側溝22Aに案内し、この側溝22Aから栽培トレイ13の外部に排液として排水する。
【0040】
養液栽培ベッド10は、栽培トレイ13の上に非透水シートの下地フィルム19を敷設する。下地フィルム19は、栽培トレイ13の上に敷設している。この下地フィルム19は、上側に配設される培地12、根切りシート17及び保水シート18と、下側に配設される栽培トレイ13とを区画している。下地フィルム19は非透水シートで、培地12を通過した排液がこれを透過して、栽培トレイ13まで浸透するのを防止している。下地フィルム19は、栽培トレイ13の外形よりも大きく、両側の側壁20の外側面まで延長して配設される。側壁20と下地フィルム19の間から排液が浸入するのを防止するためである。
【0041】
下地フィルム19は、栽培トレイ13の上面に沿う状態で敷設される。側溝22Aや中央溝22Bに敷設される下地フィルム19は、栽培トレイ13の内面に沿って敷設される。側溝22Aや中央溝22Bの内面に沿って敷設される下地フィルム19は、その内側に形成される溝内を排液が流れる。下地フィルム19は、プラスチックフィルムからなる非透水シートである。
【0042】
保水シート18は、栽培トレイ13の上面8に位置して、下地フィルム19の上に敷設している。保水シート18は、培地12と根切りシート17を透過した排液を吸水して保水する。
【0043】
根切りシート17は、防根シートとも呼ばれるシートで、すでに市販されているものを使用する。根切りシート17は、水を透過させて植物の根が成長して通過するのを阻止できる全てのシートを使用することができる。根切りシート17は、培地12の下に積層されて、培地12に植え付けしている植物の根が通過するのを阻止する。
【0044】
以上の養液栽培ベッド10は、水平栽培台14の上に水平に配置される。図3に示す水平栽培台14は、地面から上に離して配置している載せ台である。このように、載せ台に載置される養液栽培ベッド10は、外部に排水される排液を自然に流下させて効率よく回収できる特長がある。
【0045】
以上の養液栽培ベッド10は、養液供給装置30から供給される養液16が給水管21から散水されて、植物を植え付けている培地12に養液16が供給される。養液栽培ベッド10は、定量の養液16が連続供給され、あるいは、所定量の養液16が所定の時間間隔で供給される。ミョウガに供給される養液16は、培地12と根切りシート17とを透過して、一部は保水シート18に吸収され、残りは排液として側溝22Aに流入されて外部に排液として排水される。
【0046】
ミョウガに供給される養液16は、水に肥料を添加した溶液である。したがって、培地12と根切りシート17を透過した排液を処理しないで露地に排水するのは好ましくない。排液に含まれる肥料成分の硝酸性窒素やリン酸態リンによって土壌が汚染され、あるいは、雑草や細菌等の繁殖を促進するからである。養液栽培ベッド10を透過して外部に排水される排液は、図1に示すように、養液栽培ベッド10と処理タンク61、101と処理槽3とで処理して、硝酸性窒素とリン酸態リンを除去し、汚濁物質を凝集・沈殿させると共に脱色して綺麗な水として処理される。
【0047】
養液栽培ベッド10の排液は、排液貯めタンク8を介して攪拌タンク1から濾過タンク5に供給され、汚濁物質の除去された排液を処理タンク6に供給して、処理タンク6で、窒素成分とリン酸成分を分解する。排液貯めタンク8と攪拌タンク1のトータルの容積は、好ましくは1回に養液栽培ベッド10から排出される排液を蓄えることができる容積とする。たとえば、1回に1.5トンの排液を排出する装置にあっては、排液貯めタンク8と攪拌タンク1のトータル容積を1.5トン〜2トンとする。
【0048】
攪拌タンク1は、凝集剤供給装置2から供給される凝集剤を排液に混合し、凝集剤の添加された排液を攪拌機3で攪拌して、排液に含まれる汚濁物質を凝集剤で凝集、沈殿させる。凝集剤には硫酸バンドなどの無機系凝集剤を使用する。ただし、凝集剤を無機系凝集剤には特定しない。凝集剤には、有機凝集剤や脱色菌も使用でき、また、凝集剤の形態も、固体、液体、気体等の如何なる性状のものも使用できる。
【0049】
攪拌タンク1は、凝集して沈殿された汚濁物質をスムーズに外部に排出するために、底面1Aを排出口1aに向かって下り勾配に傾斜する形状としている。図1の攪拌タンク1は、底面1Aを逆円錐状として、底面1Aの中心に排出口1aを設け、この排出口1aに向かって下り勾配に傾斜する形状としている。排出口1aは、開閉弁41とホース42を介して廃棄容器4に連結され、開閉弁41を開く状態で、汚濁物質はホース42を介して廃棄容器4に排出される。
【0050】
攪拌機3は、モータ43の回転軸43Aに攪拌羽根44を固定したもので、モータ43を攪拌タンク1の上方の中心に回転軸43Aを垂直姿勢として固定している。回転軸43Aは攪拌タンク1の中心に垂直姿勢に配置されて、下端に攪拌羽根44を固定している。この攪拌機3は、凝集剤を添加する状態で運転と停止を繰り返して排液を攪拌する。運転と停止を繰り返す攪拌機3は、排液と凝集剤を均一に混合させながら、汚濁物質を速やかに凝集、沈殿できる。ただ、攪拌機3を連続的に運転して、排液に凝集剤を混合し、凝集、沈殿させることもできる。
【0051】
凝集剤供給装置2は、排液貯めタンク8から攪拌タンク1に排液を供給する状態で、排液に対して所定の割合で凝集剤を供給する。凝集剤添加装置2は、凝集剤の水溶液を蓄える凝集剤タンク2Aと、この凝集剤タンク2Aから凝集剤水溶液を吸入して攪拌タンク1に供給する添加ポンプ2Bとを備える。凝集剤添加装置2は、排液貯めタンク8から攪拌タンク1に所定量の排液を供給する状態で、所定の割合で凝集剤を攪拌タンク1に供給し、攪拌タンク1に添加する凝集剤量をコントロールして攪拌タンク1の排液の凝集剤濃度を調整する。攪拌タンク1は、攪拌機3が運転されて、凝集剤と排液とが攪拌されて、汚濁物質を凝集、沈殿させる。
【0052】
攪拌タンク1の底に沈殿された汚濁物質は、開閉弁41を開いてホース42から廃棄容器4に排出される。開閉弁41はタイマ(図示せず)に制御されて、一定の時間毎に開かれ、攪拌タンク1の底部に沈殿する汚濁物質を廃棄容器4に排出する。攪拌タンク1で汚濁物質を凝集、沈殿させて分離した排液は、濾過タンク5に移送される。図1の養液栽培装置は、濾過タンク5を攪拌タンク1よりも下方に配置して、攪拌タンク1の排液を濾過タンク5に自然に流して移送している。攪拌タンク1と濾過タンク5との間に連結している配管45には開閉弁46が連結され、この開閉弁46を開いて攪拌タンク1から濾過タンク5に排液は移送される。この開閉弁46は、攪拌タンク1に設けているレベルセンサ47で開閉される。レベルセンサ47は、攪拌タンク1の液面レベルが所定の範囲となるように、開閉弁46を開閉する。すなわち、液面レベルが最高の設定レベルよりも高くなると開閉弁46を開き、最小の設定レベルよりも低くなると開閉弁46を閉じて、攪拌タンク1の液面レベルを設定範囲に制御する。
【0053】
図1の養液栽培装置は、濾過タンク5を攪拌タンク1よりも下方に配置して、排液を自然に攪拌タンク1から濾過タンク5に移送する。この養液栽培装置はポンプを使用することなく、攪拌タンク1から濾過タンク5に排液を移送できる。ただ、攪拌タンクの排液は、ポンプで濾過タンクに移送することもできる。ポンプで移送する装置は、攪拌タンクのレベルセンサでポンプの運転を制御して、攪拌タンクの液面レベルを設定範囲にコントロールする。
【0054】
攪拌タンク1から排出される汚濁物質は、廃棄容器4に排出される。廃棄容器4は透水性のある細長い袋である。細長い透水性袋は、無数の貫通孔のあるプラスチック製の細長い筒状袋4Aである。筒状袋4Aの廃棄容器4は、細長い受け樋9に収納される。受け樋9は、田畑の畝の間に置かれて、筒状袋4Aの貫通孔4aから漏れる排液を受けて、これが田畑に排出されるのを防止する。図1の養殖装置は、筒状袋4Aから漏れる排液を攪拌タンク1に回収する。この廃棄容器4は、田畑に設置されて、汚濁物質を回収する。また、汚濁物質に含まれる液体成分を受け樋9に排出して、汚濁物質の水分率を低くする。したがって、廃棄容器4から回収される汚濁物質の水分率を低くして、廃棄を簡単にできる。受け樋9に回収される排液は、ポンプ49で攪拌タンク1に移送される。
【0055】
濾過タンク5は、水平に配置している濾過材50でもって、内部を流入室51と排出室52とに分離している。図1の濾過タンク5は、濾過材50の下側を流入室51、上側を排出室52として、流入室51を排出室52の下方に配置している。流入室51は攪拌タンク1に連結されて、攪拌タンク1で汚濁物質を除去した排液が供給される。排出室52は処理タンク6に連結されて、濾過材50でろ過された排液を処理タンク6に移送する。濾過材50は、排液に含まれる汚濁物質を濾過して分離するもので、不織布が使用される。濾過材には、不織布に代わって網材も使用できる。また、網材の上に砂利や砂を載せた濾過材も使用できる。
【0056】
図1の濾過タンク5は、流入室51の底部を沈殿戻しポンプ53を介して攪拌タンク1に連結している。沈殿戻しポンプ53は、濾過タンク5の底に堆積される汚濁物質を排液と一緒に攪拌タンク1に移送する。攪拌タンク1に移送された汚濁物質は、ふたたび攪拌タンク1から廃棄容器4に移送される。この養液栽培装置は、排液を攪拌タンク1と濾過タンク5とに循環させて、汚濁物質を攪拌タンク1で回収して廃棄容器4に移送できる。このため、濾過タンク5の底に体積する汚濁物質量を少なくして、濾過タンク5からの汚濁物質の取り除きを少なくできる。濾過タンク5で濾過された排液は、オーバーフローして処理タンク6に移送される。
【0057】
処理タンク6は、窒素成分とリン酸成分とを分解する微生物が添加されて、供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを除去する。処理タンク6は、供給される排液を微生物で分解して窒素成分とリン酸成分を除去し、脱色して綺麗な水として排水する。処理タンク6には、微生物タンク7Aから窒素成分とリン酸成分を分解して除去する微生物が供給される。
【0058】
微生物タンク7Aは、微生物を含む液体である微生物液を蓄えており、この微生物タンク7Aに蓄えている微生物液は、供給弁7Bを開いて処理タンク6に供給される。微生物タンク7Aは、枯草菌を含む微生物液を処理タンク6に供給して、処理タンク6の排液の窒素成分とリン酸成分を分解し、また退色して綺麗な水とする。処理タンク6の排液を処理する微生物液として枯草菌が使用できる。微生物タンク7Aは、添加された微生物を繁殖させる。したがって、微生物を添加する必要はなく、微生物を活性化するためのメチルアルコールを一定の割合で供給する。メチルアルコールの供給量は、栽培面積を1000平方メートルの養液栽培装置において1日に例えば5cc〜10ccとする。微生物タンク7Aに添加する枯草菌は、たとえば有限会社バイオ・リサーチ社のDM−21が使用できる。微生物タンク7Aは、最初に10kgのDM−21を供給して微生物を繁殖させる。その後は、微生物が繁殖するので添加する必要はなく、メチルアルコールのみを添加して微生物を繁殖させながら、処理タンク6に微生物液を供給する。微生物タンク7Aは、排液に含まれる窒素成分とリン酸成分を分解できる全ての微生物を供給することができる。排液は、攪拌タンク1と濾過タンク5で汚濁物質が除去されて濁りが除去され、さらに処理タンク6に供給される微生物で退色されて綺麗な水となる。
【0059】
微生物タンク7Aから処理タンク6に供給する微生物液の添加量は、処理タンク6に供給される排液の流量と、供給弁7Bを開く時間とでコントロールして、処理タンク6の微生物濃度をコントロールする。処理タンク6は、濾過タンク5から供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを所定の濃度に除去し、さらに脱色して、清澄な処理水として外部に排水できる濃度に設定される。
【0060】
処理タンクや微生物タンクは、図示しないが、ゼオライトや麦飯石などの多孔質材を収納し、この多孔質材に微生物を棲息させて排液を処理することもできる。さらに、処理タンクは、バブリング装置で底部に空気をバブリングすることもできる。バブリング装置は、空気をコンプレッサで加圧し、加圧された空気を、処理タンクの底部から微細な気泡状に噴霧する。液中に噴射される空気は、無数の気泡となって液面に浮上する。この処理タンクは、バブリングによって処理タンクの液中に噴射される無数の気泡によって速やかに排液を脱色できる。さらに、バブリングされる気泡は、枯草菌に酸素を補給して活発にリン酸成分を分解させる。
【0061】
図1の養液栽培装置は、処理タンク6の排液の一部を微生物タンク7Aの微生物タンク7Aに供給して、微生物タンク7Aから微生物液を処理タンク6に供給している。微生物タンク7Aは処理タンク6よりも高い位置に配置されて、ポンプを使用することなく、供給弁7Bを開いて微生物液を微生物タンク7Aから処理タンク6に移送している。さらに図1の養液栽培装置は、処理タンク6の排液の一部を、液戻しポンプ56で微生物タンク7Aに供給して、処理タンク6と微生物タンク7Aとに排液の一部を循環させて、微生物でより効率よく窒素成分とリン酸成分とを分解している。
【0062】
さらに、微生物タンク7Aは、レベル調整ポンプ57を介して地下水を供給している。レベル調整ポンプ57は、微生物タンク7Aに地下水を供給して、液面レベルを一定の範囲に保持している。微生物タンク7Aは、レベルセンサ58を備えており、このレベルセンサ58でレベル調整ポンプ57の運転を制御して、液面レベルを設定範囲にコントロールしている。処理タンク6で処理された排液をは、処理タンク6をオーバーフローして排水溝59に排水される。以上の養液栽培装置は、養液栽培ベッド10から排出される排液を攪拌タンク1に供給し、攪拌タンク1で汚濁物質を凝集沈殿して分離して廃棄容器4に排出し、汚濁物質の除去された排液を濾過タンク5で濾過して、さらに汚濁物質を除去し、汚濁物質の除去された排液を処理タンク6に供給して、処理タンク6でもって、窒素成分とリン酸成分とが除去すると共に退色して、綺麗な水として田畑に排出される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のミョウガの養液栽培装置は、排液を綺麗に処理して排水でき、排液による田畑の汚染を防止する。
【符号の説明】
【0064】
1…攪拌タンク 1A…底板
1a…排出口
2…凝集剤供給装置 2A…凝集剤タンク
2B…添加ポンプ
3…攪拌機
4…廃棄容器 4A…筒状袋
4a…貫通孔
5…濾過タンク
6…処理タンク
7A…微生物タンク
7B…供給弁
8…廃液貯めタンク
9…受け樋
10…養液栽培ベッド
12…培地
13…栽培トレイ
14…水平栽培台
15…縦パイプ
16…養液
17…根切りシート
18…保水シート
19…下地フィルム
20…側壁
21…給水管
22…排水溝 22A…側溝
22B…中央溝
30…養液供給装置
32…原水供給装置 32A…原水ポンプ
33…肥料添加装置 33A…液肥タンク
33B…添加ポンプ
34…濃度センサ
35…供給路
41…開閉弁
42…ホース
43…モータ 43A…回転軸
44…攪拌羽根
45…配管
46…開閉弁
47…レベルセンサ
48…排液ポンプ
49…ポンプ
50…濾過材
51…流入室
52…排出室
53…沈殿戻しポンプ
56…液戻しポンプ
57…レベル調整ポンプ
58…レベルセンサ
59…排水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミョウガを養液栽培する養液栽培ベッド(10)と、
この養液栽培ベッド(10)に肥料を添加している養液を供給する養液供給装置(30)と、
前記養液栽培ベッド(10)から排出される排液が供給される攪拌タンク(1)と、
この攪拌タンク(1)に凝集剤を供給して汚濁物質を凝集沈殿させる凝集剤供給装置(2)と、
凝集剤供給装置(2)で凝集剤の供給された排液を攪拌タンク(1)内で攪拌する攪拌機(3)と、
前記攪拌タンク(1)の底部に連結されて攪拌タンク(1)の底部に凝集沈殿された汚濁物質が流入される廃棄容器(4)と、
前記攪拌タンク(1)に連結されて汚濁物質の分離された排液が供給される濾過タンク(5)と、
この濾過タンク(5)で汚濁物質の濾過された排液が供給され、供給される排液に含まれる窒素成分とリン酸成分とを微生物で分解して除去する処理タンク(6)とを備え、
養液栽培ベッド(10)から排出される排液が攪拌タンク(1)に供給され、攪拌タンク(1)に供給される排液に含まれる汚濁物質が凝集剤に凝集沈殿されて廃棄容器(4)に流入され、さらに汚濁物質の除去された排液が濾過タンク(5)に濾過されて汚濁物質が除去され、
汚濁物質の除去された排液が処理タンク(6)に供給されて、処理タンク(6)で窒素成分とリン酸成分とが除去されて排出されるようにしてなるミョウガの養液栽培装置。
【請求項2】
前記攪拌タンク(1)に凝集剤として脱色菌が添加される請求項1に記載のミョウガの養液栽培装置。
【請求項3】
前記濾過タンク(5)が、濾過材(50)でもって内部を流入室(51)と排出室(52)とに分離して、流入室(51)を排出室(52)の下方に配置しており、流入室(51)が攪拌タンク(1)に連結されて、排出室(52)が処理タンク(6)に連結されてなる請求項1又は2に記載されるミョウガの養液栽培装置。
【請求項4】
前記廃棄容器(4)が、透水性袋である請求項1ないし3のいずれかに記載されるミョウガの養液栽培装置。
【請求項5】
前記廃棄容器(4)が、無数の貫通孔(4a)のあるプラスチック製の細長い筒状袋(4A)である請求項4に記載されるミョウガの養液栽培装置。
【請求項6】
前記筒状袋(4A)である廃棄容器(4)を収納する受け樋(9)を有し、この受け樋(9)に廃棄容器(4)から排出される排液が攪拌タンク(1)に環流されるようにしてなる請求項5に記載されるミョウガの養液栽培装置。
【請求項7】
前記養液栽培ベッド(10)の培地(12)が、ヤシガラとバークのいずれか又は両方を含む有機物がプレスされて所定の厚さのマット状に固化したものである請求項1ないし6のいずれかに記載されるミョウガの養液栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−244698(P2011−244698A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117751(P2010−117751)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(310012797)
【Fターム(参考)】