説明

メタロセン化合物

式(I)の橋架メタロセン化合物。


(式中、Mは、遷移金属であり;Xは、水素原子、ハロゲン原子、又は場合によってはヘテロ原子を有する炭化水素基であり;Lは、二価の橋架基であり;Rは、場合によってはヘテロ原子を有する線状C〜C40炭化水素基であり;T及びTは、酸素、イオウ原子、又はC(R18基であり;ここで、R18は、水素原子又はC〜C40炭化水素基であり;T及びTはC〜C40炭化水素基であり;Rは、水素原子又はC〜C40炭化水素基であり;Wは芳香族の5又は6員環である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インデニル部分が、特に2位において線状アルキル基によって、且つ4位において芳香族部分によって置換されており、更に5及び6位において置換されている、ある種のキラルな橋架ビスインデニルメタロセン化合物に関する。本発明は、更に、その触媒系、及びそれを用いた重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタロセン化合物は、オレフィンの重合用の触媒成分として、当該技術において周知である。WO−03/050131は、インデニル部分が少なくとも4及び5位において置換されているある種のビスインデニルメタロセン化合物に関する。しかしながら、WO−03/050131においては、6位は場合によってのみ置換することができることが報告されており、更に、6位上の置換基は、第2級又は第3級炭素原子であってよいことは報告されていない。PCT/EP03/12236は、少なくとも2、5、及び6位において置換されており、5及び6位における置換基が縮合環を形成しているビスインデニルメタロセン化合物に関する。しかしながら、4位における置換基は、包括的にしか定義されておらず、実施例において例示されている化合物においては常に水素原子である。PCT/EP2004/013827においては、インデニル部分が5及び6位において縮合環によって置換されているある種のビスインデニルメタロセン化合物が開示されている。PCT/EP2004/013827では、主として、2つのインデニル部分の1位が異なり、特に1つがα−位において分岐している構造に焦点が当てられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの文献において開示されている化合物は、α−オレフィン、特にプロピレンを重合することができる。しかしながら、オレフィンをより高い収率で重合して、極めて高い分子量を有するポリマーを製造することができる新規な種類のメタロセン化合物を見出すことの必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の対象は、式(I)の橋架メタロセン化合物である。
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、
Mは、元素周期表の第3、4族、又はランタニド族若しくはアクチニド族に属するものから選択される遷移金属の原子であり;好ましくは、Mは、ジルコニウム、チタン、又はハフニウムであり;
Xは、互いに同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、又はPR基であり、ここで、Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;或いは、2つのX基は一緒に結合して基OR’Oを形成してもよく、ここで、R’は、C〜C20アルキリデン、C〜C20アリーリデン、C〜C20アルキルアリーリデン、又はC〜C20アリールアルキリデン基であり;好ましくは、Xは、水素原子、ハロゲン原子、又はR基であり;より好ましくは、Xは、塩素又はメチル基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、C〜C20アルキリデン、C〜C20シクロアルキリデン、C〜C20アリーリデン、C〜C20アルキルアリーリデン、又はC〜C20アリールアルキリデン基から選択される二価の橋架基であるか、或いは5個以下のケイ素原子を有するシリリデン基であり;好ましくは、LはSi(R11であり、ここで、R11は、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;より好ましくは、Lは、Si(CH又はSiPhであり;
は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する線状C〜C40炭化水素基、例えば、メチル又はエチル基、或いは、場合によってはO、N、S、P、及びSe原子、特にO、N、及びS原子を含む、2〜20個の炭素原子を有するα−分岐アリール若しくはアリールアルキル基、例えば2(5−Me−チオフェニル)又は2(5−Me−フラニル)基であり;好ましくは、Rは、線状のC〜C20アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル基であり、好ましくは、Rは、線状のC〜C10アルキル基であり;より好ましくは、Rは、メチル又はエチル基であり;
及びTは、互いに同一か又は異なり、OR、SR、又はC(R18基であり;好ましくは、T及びTは、OR又はSR基であり;
ここで、Rは、互いに同一か又は異なり、C〜C40炭化水素基であり;好ましくは、Rは、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;より好ましくは、Rは、線状又は分岐のC〜C20アルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、トリメチルシリル、又はtert−ブチル基であり;
18は、互いに同一か又は異なり、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;好ましくは、R18は、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;より好ましくは、R18は、水素原子、或いは線状又は分岐のC〜C20アルキル基であり;より好ましくは、R18は、水素原子、或いはメチル又はエチル基であり;
及びTは、互いに同一か又は異なり、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;好ましくは、T及びTは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;より好ましくは、T及びTは、線状又は分岐のC〜C20アルキル基であり;
は、水素原子、又は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;好ましくは、Rは、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;好ましくは、Rは、水素原子、C〜C10アルキル、又はC〜C40アリール基であり;より好ましくは、Rは、水素原子であり;
及びWは、互いに同一か又は異なり、元素周期表の第15〜16族に属するヘテロ原子を有していてもよい芳香族の5又は6員環であり;該環のそれぞれの原子の価数は、水素原子によって置換されているか、或いは場合によってはR基によって置換されていてもよく、ここで、Rは、互いに同一か又は異なり、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり、好ましくは、Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基である。)
好ましくは、W及びWは、式(Wa)、(Wb)、及び(Wc)の部分を含む群から選択される。
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、*は、この部分が式(I)の化合物のインデニル部分に結合している点を表し;、
、R、R、R、及びR10は、互いに同一か又は異なり、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、C〜C40炭化水素基であり;好ましくは、R、R、R、R、及びR10は、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり:
は、窒素原子又はCR10基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;但し、Z、Z、Z、Z、及びZの中の2つ以下の基が窒素原子であり、好ましくは、Z、Z、Z、Z、及びZの中の1つ以下の基が窒素原子であり;
は、酸素原子、イオウ原子、NR13基、又はCR13基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR14基、又はCR14基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR15基、又はCR15基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR16基、又はCR16基であり;
10は、式(I)の構造のインデニル部分に結合する窒素原子又は炭素原子であり;但し、Z、Z、Z、Z、又はZ10の中の1つ以下の基が、イオウ原子、酸素原子、又はNR13、NR14、NR15、NR16、及び窒素原子から選択される窒素含有基/原子であり;
13、R14、R15、及びR16は、互いに同一か又は異なり、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;好ましくは、R13、R14、R15、及びR16は、水素原子、或いは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;より好ましくは、R13、R14、R15、及びR16は、水素原子、C〜C40アルキル、又はC〜C40アリール基である。)
式(Wa)の部分において、好ましい態様においては、Rは、C〜C40アルキル基、好ましくは分岐C〜C40アルキル基であり、より好ましくは、Rは、α位の炭素原子が第3級炭素原子である分岐C〜C40アルキル基、例えばtert−ブチル基であり、R、R、R及びR10は水素原子である。
【0009】
更なる好ましい態様においては、R10及びRはC〜C40アルキル基であり、好ましくは、これらは、線状C〜C40アルキル基、例えばメチル基であり、R、R及びRは水素原子である。
【0010】
更なる好ましい態様においては、R、R、及びRは、線状又は分岐のC〜C40アルキル基、例えばメチル若しくはtert−ブチル基であり、R10及びRは水素原子である。
【0011】
更なる好ましい態様においては、R、R、R、R、及びR10は水素原子である。
式(Wb)の部分において、好ましい態様においては、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ、CR、CR、CR、及びCR(ここで、R、R、R、及びRの意味は、上記に記載した通りである)である。更なる好ましい態様においては、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ、CR10、CR、CR、及びCR(ここで、R10、R、R、及びRの意味は上記に記載した通りである)である。更なる好ましい態様においては、Zは窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ、CR10、CR、CR、及びCR(ここで、R10、R、R、及びRの意味は上記に記載した通りである)である。
【0012】
式(Wc)の部分において、好ましい態様においては、Zは酸素原子、イオウ原子、NR16基であり;好ましくは、イオウ原子又はNR16であり、ここで、R16は、好ましくはC〜C40アルキル基であり;より好ましくは、Zはイオウ原子であり、Z、Z、Z、及びZ10は、それぞれ、CR14、CR15、CR16、及び炭素原子であり、ここで、R14は、水素原子、或いはC〜C40アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R15及びR16は、水素原子、又はC〜C40アルキル基である。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、式(I)の化合物において、T及びTは、互いに同一か又は異なり、OR又はSRであり、ここで、Rは上記に記載した通りであり、T及びTは、互いに同一か又は異なり、線状C〜C20アルキルアルキル基、例えばメチル又はエチル基である。
【0014】
更なる好ましい態様においては、T及びTは、互いに同一か又は異なり、OR、SR、又はC(R18基であり;好ましくは、T及びTは、OR又はSR基である。T及びTは、互いに同一か又は異なり、C(R1918基である。ここで、R18は上記に記載した通りであり、R19は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C20炭化水素基である。好ましくは、R19は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基であり;或いは、2つのR19基は、一緒に結合して、場合によっては1つの炭素原子が、窒素、イオウ、又は酸素原子で置き換えられていてもよいC〜C員環を形成してもよい。より好ましくは、R19は、線状又は分岐のC〜C20アルキル基であり;より好ましくは、R19は、メチル又はエチル基であり;基C(R1918の例は、tert−ブチル、イソプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−フラニル基である。
【0015】
式(I)の化合物の好ましい種類は、式(IIa)によって表される。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、M、L、X、T、T、T、T、R、R、R、R、R、R、及びR10は、上記に記載した意味を有する。)
式(I)の化合物の更なる好ましい種類は、式(IIb)の構造である。
【0018】
【化4】

【0019】
(式中、M、L、X、T、T、T、T、R、R、R14、R15、R16は、上記に記載した意味を有する。)
更なる好ましい態様においては、TはTと同一であり、TはTと同一である。
【0020】
式(I)を有する化合物の例は、以下の通りである。
rac−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−メチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−フェニルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−イソプロピルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−シクロヘキシルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(チオフェン−2−イル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(ベンゾチオフェン−2−イル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(ベンゾチオフェン−2−イル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(4−ピリジル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(tert−ブチルフェニル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(tert−ブチルフェニル)−5−エトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−メチル−4−(2,5−ジメチルフェニル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−エチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−MeSi(2−プロピル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−anti−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)(2−メチル−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
rac−anti−MeSi(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)(2−メチル−4−(5−メチルチオフェン−2−イル)−5−エトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ZrCl
並びにこれらの対応するジメチル誘導体、更に対応するチタン及びハフニウム化合物。
【0021】
好ましくは、本発明の対象であるメタロセン化合物は、それらのラセミ(rac)又はアンチラセミ形態である。
本発明の目的のために、「ラセミ(rac)形態」という用語は、2つのシクロペンタジエニル部分上の同じ置換基が、ジルコニウム及び該シクロペンタジエニル部分の中心を含む面に対して反対側に存在することを意味する。「アンチラセミ形態」とは、以下の化合物において示されるように、メタロセン化合物上の2つのシクロペンタジエニル部分の嵩高の置換基が、ジルコニウム及び該シクロペンタジエニル部分の中心を含む面に対して反対側に存在することを意味する。
【0022】
【化5】

【0023】
本発明の更なる対象は、
(a)式(I)のメタロセン化合物;
(b)少なくとも1つのアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;及び
(c)場合によっては、有機アルミニウム化合物;
を接触させることによって得られるオレフィンの重合のための触媒系である。
【0024】
好ましくは、メタロセン化合物は、(Ia)、(IIa)、又は(IIb)から選択される構造である。
本発明による触媒系において成分(b)として用いられるアルモキサンは、水と、式:HAlU3−j又はHAl6−j(式中、U置換基は、同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、場合によってはケイ素又はゲルマニウム原子を有する、C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、又はC〜C20アリールアルキル基であり、但し少なくとも1つのUはハロゲンとは異なり、jは0〜1の範囲であり、非整数でもある)の有機アルミニウム化合物とを反応させることによって得ることができる。この反応において、Al/水のモル比は、好ましくは1:1〜100:1の範囲である。
【0025】
本発明による触媒系において用いられるアルモキサンは、式:
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、置換基Uは、同一か又は異なり、上記に定義した通りである)
のタイプの少なくとも1つの基を有する、線状、分岐、又は環式の化合物であると考えられる。
【0028】
特に、線状化合物の場合には、式:
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、nは0又は1〜40の整数であり、置換基Uは上記に定義した通りである)
のアルモキサンを用いることができ;或いは、環式化合物の場合には、式;
【0031】
【化8】

【0032】
(式中、nは2〜40の整数であり、置換基Uは上記に定義した通りである)
のアルモキサンを用いることができる。
本発明にしたがって用いるのに好適なアルモキサンの例は、メチルアルモキサン(MAO)、テトラ(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ(2,4,4−トリメチルペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)、及びテトラ(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0033】
特に興味深い共触媒は、アルキル及びアリール基が特定の分岐パターンを有するWO−99/21899及びWO−01/21674に記載されているものである。
WO−99/21899及びWO−01/21674に記載されている、水と反応させて好適なアルモキサン(b)を与えることのできるアルミニウム化合物の非限定的な例は、トリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチルヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチルヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−プロピルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジエチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−プロピル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3−メチルブチル)アルミニウム、トリス(2−イソブチル−3−メチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチルヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチルペンチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチルブチル)アルミニウム、トリス(2−トリメチルシリルプロピル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−3−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニルプロピル)アルミニウム、トリス[2−(4−フルオロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2−(4−クロロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2−(3−イソプロピルフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス(2−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(3−メチル−2−フェニルブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニルペンチル)アルミニウム、トリス[2−(ペンタフルオロフェニル)プロピル]アルミニウム、トリス[2,2−ジフェニルエチル]アルミニウム、及びトリス[2−フェニル−2−メチルプロピル]アルミニウム、並びにこれらに対応する化合物であって炭化水素基の1つが水素原子で置き換えられている化合物、及び炭化水素基の1つ又は2つがイソブチル基で置き換えられている化合物である。
【0034】
上記のアルミニウム化合物の中で、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)アルミニウム(TIOA)、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム(TDMBA)、及びトリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム(TTMBA)が好ましい。
【0035】
アルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物の非限定的な例は、式:D(式中、Dは、ブレンステッド酸であり、プロトンを供与し、式(I)のメタロセンの置換基Xと不可逆的に反応することができ、Eは、適合しうるアニオンであり、2つの化合物の反応から生成する活性触媒種を安定化することができ、十分に不安定でオレフィン性モノマーによって除去することができる)の化合物である。好ましくは、アニオンEは1以上のホウ素原子を含む。より好ましくは、アニオンEは、式:BAr(−)(式中、置換基Arは、同一であっても異なっていてもよく、フェニル、ペンタフルオロフェニル、又はビス(トリフルオロメチル)フェニルのようなアリール基である)のアニオンである。WO−91/02012に記載されているようなテトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートが、特に好ましい化合物である。更に、式:BArの化合物を好都合に用いることができる。このタイプの化合物は、例えば、国際特許出願WO−92/00333に記載されている。アルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物の他の例は、式:BArP(式中、Pは、置換又は非置換ピロール基である)の化合物である。これらの化合物は、WO−01/62764に記載されている。ホウ素原子を含む化合物は、DE−A−19962814及びDE−A−19962910の記載にしたがって好都合に担持させることができる。これらのホウ素原子を含む化合物は全て、ホウ素とメタロセンの金属との間のモル比が、約1:1〜約10:1、好ましくは1:1〜2:1の範囲、より好ましくは約1:1の範囲で用いることができる。
【0036】
式:Dの化合物の非限定的な例は、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
トリブチルアンモニウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート;
トリブチルアンモニウムテトラキス(4−フルオロフェニル)ボレート;
ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート;
である。
【0037】
化合物(c)として用いられる有機アルミニウム化合物は、上記記載の式:HAlU3−j又はHAl6−jのものである。
また、本発明の触媒は、不活性担体上に担持することもできる。これは、メタロセン化合物(a)、或いはそれと成分(b)との反応の生成物、或いは成分(b)及び次にメタロセン化合物(a)を、不活性担体上に堆積させることによって行うことができる。担体は、タルク、層状ケイ酸塩、無機酸化物、又は微粉砕ポリマー粉末(例えばポリオレフィン)のような多孔質の固体であってよい。好適な無機酸化物は、元素周期表の第2、3、4、5、13、14、15、及び16族の元素の酸化物の中から見出すことができる。担体として好ましい酸化物の例としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、又はチタン元素の混合酸化物、並びにこれらの元素に対応する酸化物の混合物、ハロゲン化マグネシウム、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエチレン、又はポリプロピレンが挙げられる。単独で、又は上記記載の好ましい酸化物担体と組み合わせて用いることができる他の無機酸化物は、例えば、MgO、ZrO、TiO、又はBである。
【0038】
用いることのできる担体の好適な種類は、活性水素原子を有する基によって官能化されている多孔質有機担体によって構成されるものである。有機担体が部分的に架橋したスチレンポリマーであるものが特に好適である。このタイプの担体は、ヨーロッパ出願EP−633272に記載されている。
【0039】
本発明にしたがって用いるのに特に好適な不活性担体の他の種類は、ポリオレフィン多孔質プレポリマー、特にポリエチレンのものである。
本発明にしたがって用いるための不活性担体の更なる好適な種類は、国際出願WO−95/32995において記載されているもののような多孔質ハロゲン化マグネシウムのものである。
【0040】
用いる担体材料は、好ましくは、10〜1000m/gの範囲の比表面積、0.1〜5mL/gの範囲の孔容積、及び1〜500μmの平均粒径を有する。50〜500m/gの範囲の比表面積、0.5〜3.5mL/gの範囲の孔容積、及び5〜350μmの範囲の平均粒径を有する担体が好ましい。200〜400m/gの範囲の比表面積、0.8〜3.0mL/gの範囲の孔容積、及び10〜300μmの平均粒径を有する担体が特に好ましい。
【0041】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために、熱処理を行うことができる。かかる乾燥処理は、概して、80〜300℃、好ましくは100〜200℃で行い、100〜200℃における乾燥は、減圧下及び/又は不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行うことが好ましい。、或いは、無機担体は、200〜1000℃でか焼して、固体の所望の構造を生成するか及び/又は表面上に所望のOH濃度を与えることができる。また、担体は、金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキルのような通常のデシカント、クロロシラン又はSiCl、或いはメチルアルミノキサンを用いて化学的に処理することもできる。適当な処理法は、例えばWO−00/31090に記載されている。
【0042】
また、無機担体材料は、化学的に変性することもできる。例えば、シリカゲルを(NHSiFで処理することによりシリカゲルの表面をフッ素化することができ、或いは、シリカゲルを、窒素、フッ素、又はイオウ含有基を有するシランで処理することによって、相応して変性されたシリカゲル表面を形成することができる。
【0043】
また、微粉砕ポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン)のような有機担体材料を用いることもでき、同様に、使用前に適当な精製及び乾燥操作を用いて、吸着湿分、残留溶媒、又は他の不純物を除去することが好ましい。また、官能化ポリマー担体、例えば、その官能基、例えばアンモニウム又はヒドロキシ基を介して少なくとも1つの触媒成分を固定化することができるポリスチレンをベースとする担体を用いることもできる。本発明の対象である触媒系を担体上に担持し、更に必要な場合にはそのままか又は水と予備反応させたアルキルアルミニウム化合物を付加することによって得られる固体化合物を、気相又はスラリー重合において有用に用いることができる。
【0044】
本発明の触媒系は、また、溶液重合法において用いることもできる。
本発明の目的のために、溶液重合という用語は、好ましくは、ポリマーが、用いる重合温度において、少なくとも5重量%、より好ましくは5〜50重量%の濃度範囲で、重合媒体中に完全に可溶であることを意味する。
【0045】
ポリマーを重合媒体中に完全に可溶にするために、コポリマーに関してはモノマーの混合物、或いはホモポリマーに関しては1つのみのモノマーを、不活性溶媒の存在下で用いることができる。この溶媒は、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンのような、脂肪族若しくは脂環式の炭化水素であってよい。また、ミネラルスピリット又は水素化ディーゼル油フラクションを用いることもできる。また、トルエンのような芳香族炭化水素を用いることもできる。用いるのに好ましい溶媒は、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンである。溶液重合法でプロピレンコポリマーを得るためにモノマーとしてプロピレンを用いる場合には、重合媒体の液相中のプロピレンの含量は、好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の範囲である。
【0046】
式(I)のメタロセン化合物を含む触媒系は、オレフィン、特にα−オレフィンを高収率で重合して高い分子量を有するポリマーを得るために用いることができる。したがって、本発明の更なる対象は、重合条件下、上記に記載の触媒系の存在下で、式:CH=CHA(式中、Aは水素又はC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィンを接触させることを含む、α−オレフィンポリマーの製造方法である。
【0047】
式:CH=CHAのα−オレフィンの非限定的な例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテンであり、好ましいα−オレフィンは、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンである。
【0048】
本発明の対象である式(I)のメタロセン化合物は、プロピレンの単独重合又は共重合に特に好適である。実際、本発明のメタロセンをベースとする触媒系を、プロピレンを単独重合又は共重合するために用いると、高い分子量を有するポリマーを高い収率で高温でも得ることができ、このために、50℃よりも高い重合温度を用い、60〜200℃、好ましくは60〜120℃の範囲である場合もある工業プラントにおいて用いることが可能である。
【0049】
上記に記載のように、式(I)のメタロセン化合物はプロピレンの共重合に特に好適であり、したがって、本発明の更なる対象は、重合条件下、上記に記載の触媒系の存在下で、プロピレンを、エチレン又は式:CH=CHA(式中、AはC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィンと接触させる工程を含む、プロピレンコポリマーの製造方法である。この方法は、上記に記載のように、好ましくは溶液中で行う。
【0050】
式:CH=CHAのα−オレフィンの例は、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテンであり;好ましいα−オレフィンは、エチレン及び1−ブテンであり;より好ましいα−オレフィンはエチレンである。
【0051】
本発明の対象であるプロピレンコポリマーにおけるα−オレフィン誘導単位の含量は、0.1〜90モル%の範囲であり;好ましくは、5モル%〜70モル%の範囲であり;より好ましくは、10モル%〜60モル%の範囲である。
【0052】
本発明のメタロセン化合物は、また、エチレンと、より高級なα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンとのコポリマーを製造するのに特に好適である。このコポリマーは、5〜50モル%の範囲のコモノマー含量を有する。5〜50モル%の範囲の1−ブテン誘導単位の含量を有するエチレン/1−ブテンコポリマーが特に好ましい。かかるコポリマーは、流動床又は撹拌床反応器のような気相プロセスを用いることによって、高収率で得ることができる。
【0053】
上記に説明したように、本発明によるオレフィンの重合方法は、スラリー中のような、不活性炭化水素溶媒の存在下又は不存在下での液相中、又は気相中で行うことができる。炭化水素溶媒は、トルエンのような芳香族であるか、或いはプロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、又はシクロヘキサンのような脂肪族のいずれかであってよい。
【0054】
一般に、重合温度は、概して−100℃〜+200℃、特に10℃〜+100℃の範囲である。重合圧力は、概して0.5〜100barの範囲である。
重合温度がより低くなると、得られるポリマーの得られる分子量がより高くなる。
【0055】
重合収率は、触媒のメタロセン化合物の純度によって定まる。したがって、本発明方法によって得られるメタロセン化合物は、そのままで用いるか、或いは精製処理にかけることができる。
【0056】
プロピレンの単独重合及び共重合のために用いた場合の式(I)のメタロセン化合物の最適の挙動を考慮すると、本発明の対象であるメタロセン化合物をベースとする触媒系は、異相プロピレンコポリマーを製造するための多段階法において用いることができる。したがって、本発明の更なる対象は、以下の:
(a)上記に記載の触媒系の存在下で、プロピレンを、場合によってはエチレン又は式:CH=CHA(式中、AはC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィンと共に重合し;
(b)重合条件下、工程(a)で得られたポリマーの存在下で、且つ場合によっては更なる有機アルミニウム化合物の存在下において、プロピレンと、エチレン又は式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィン、及び場合によっては非共役ジエンとを接触させる;
工程を含み;
但し、工程(a)で製造されるポリマーは、コモノマー誘導単位の量又はコモノマー誘導単位の構造に関して、工程(b)で製造されるコポリマーとは異なり;
工程(a)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの2重量%〜98重量%の範囲であり、工程(b)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの98重量%〜2重量%の範囲である;
多段階重合法である。
【0057】
好ましくは、工程(a)は、予備重合工程(a−1)を更に含む。
予備重合工程(a−1)は、好ましくは触媒系1gあたり5〜500gのポリマーを含む予備重合触媒系を得るために、上記記載の触媒系を、式:CH=CHA(式中、Aは、水素又はC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィン(好ましくは、該α−オレフィンはプロピレン又はエチレンである)と、−20℃〜70℃の範囲の温度で接触させることによって行うことができる。
【0058】
本発明の工程(a)は、液相中(ここで、重合媒体は不活性炭化水素溶媒であるか、或いは重合媒体は液体プロピレンであってよい)で、場合によっては不活性炭化水素溶媒の存在下、且つエチレン又は式CH=CHAの1種類以上のコモノマーの存在下で行うことができ、或いは工程(a)は気相中で行うことができる。かかる炭化水素溶媒は、芳香族(例えばトルエン)か又は脂肪族(例えば、プロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、シクロヘキサン、及び2,2,4−トリメチルペンタン)のいずれかであってよい。
【0059】
好ましくは、重合媒体は液体プロピレンである。これは、場合によっては、少量(20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)の不活性炭化水素溶媒、又はエチレン若しくは式:CH=CHAの1種類以上のコモノマーを含むことができる。
【0060】
工程(a)は、水素の存在下で行うことができる。重合反応中に存在する水素の量は、反応器中に存在するプロピレンに対して、好ましくは1ppmより多く;より好ましくは5〜2000ppm;更に好ましくは6〜500ppmである。水素は、重合反応の開始時か、或いは予備重合工程を行った後のその後の段階のいずれかにおいて加えることができる。
【0061】
工程(a)において得られるプロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマー、或いは、20モル%以下、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは1モル%〜5モル%の、エチレン若しくは式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むプロピレンコポリマーである。好ましいコモノマーは、エチレン又は1−ブテンである。好ましくは、工程(a)においてプロピレンホモポリマーを製造する。
【0062】
工程(a)において得られるポリマーの含量は、好ましくは、全プロセスにおいて製造されるポリマーの5重量%〜90重量%の範囲であり、より好ましくは、これは、全プロセスにおいて製造される全ポリマーの10重量%〜70重量%、更に好ましくは25重量%〜65重量%の範囲である。
【0063】
工程(b)は、液相中(ここで、重合媒体は不活性炭化水素溶媒であってよく、或いは重合媒体は液体プロピレンであってよい)で、場合によっては不活性炭化水素溶媒の存在下、且つエチレン又は式:CH=CHAの1種類以上のコモノマーの存在下で行うことができ、或いは工程(a)は気相中で行うことができる。好ましくは、工程(b)は、気相中で、好ましくは流動床又は撹拌床反応器内で行うことができる。重合温度は、概して−100℃〜+200℃、好ましくは10℃〜+90℃の範囲である。重合圧力は、概して0.5〜100barの範囲である。
【0064】
工程(b)においては、5モル%〜90モル%、好ましくは10モル%〜50モル%、より好ましくは15モル%〜30モル%の、エチレン又は式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むプロピレンコポリマーが製造される。本発明の工程(b)において用いることができる式:CH=CHAのコモノマーの例は、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンである。好ましいコモノマーは、エチレン又は1−ブテンである。
【0065】
工程(b)において得られるポリマーの含量は、好ましくは全プロセスにおいて製造されるポリマーの10〜95重量%の範囲であり、好ましくは30重量%〜90重量%、より好ましくは35重量%〜75重量%の範囲である。
【0066】
工程(b)において得られるポリマーは、場合によっては20モル%以下の非共役ジエンを含んでいてもよい。非共役ジエンは、6〜20個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素ジエンであってよい。好適な非共役ジエンの例は、
1,4−ヘキサジエン及び1,6−オクタジエンのような直鎖非環式ジエン;
5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、並びにジヒドロミルセン及びジヒドロオシメンの混合異性体のような分岐鎖非環式ジエン;
1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,5−シクロドデカジエンのような単環脂環式ジエン;
テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンのような多環脂環式縮合及び橋架環式ジエン;及び
5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルナジエンのような、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネン;
である。
【0067】
好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0068】
存在する場合には、非共役ジエンは、好ましくは、0.1モル%〜約20モル%、好ましくは0.5モル%〜15モル%、より好ましくは0.5モル%〜7モル%の量でポリマー中に含ませる。所望の場合には、全ジエン導入量を上記に規定する限界内として、1種類を超えるジエン、例えばHDおよびENBを同時に含ませることができる。
【0069】
更なる多段階重合法は、以下の工程を含む重合法である。
(a1)上記に記載の触媒系の存在下で、プロピレンを、場合によってはエチレン又は式:CH=CHA(式中、AはC〜C20アルキル基である)のα−オレフィンから選択される1種類以上のモノマーと共に重合し;
(b1)重合条件下、工程(a)で得られたポリマーの存在下で、且つ場合によっては更なる有機アルミニウム化合物の存在下において、エチレンと、プロピレン又は式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィン、及び場合によっては非共役ジエンとを接触させる。
【0070】
但し、工程(a1)で製造されるポリマーは、コモノマー誘導単位の量又はコモノマー誘導単位の構造に関して、工程(b1)で製造されるコポリマーとは異なり;
工程(a1)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの2重量%〜98重量%の範囲であり、工程(b1)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの98重量%〜2重量%の範囲である。
【0071】
好ましくは、工程(a1)は、更に予備重合工程(a1−1)を含む。
予備重合工程(a1−1)は、好ましくは触媒系1gあたり5〜500gのポリマーを含む予備重合触媒系を得るために、上記記載の触媒系を、式:CH=CHA(式中、Aは、水素又はC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィン(好ましくは、該α−オレフィンは、プロピレン又はエチレンである)と、−20℃〜70℃の範囲の温度で接触させることによって行うことができる。
【0072】
工程(a1)は、液相中(ここで、重合媒体は不活性炭化水素溶媒であってよく、或いは重合媒体は液体プロピレンであってよい)で、場合によっては不活性炭化水素溶媒、並びにエチレン又は式CH=CHAの1種類以上のコモノマーの存在下で行うことができ、或いは工程(a1)は気相中で行うことができる。かかる炭化水素溶媒は、芳香族(例えばトルエン)か又は脂肪族(例えば、プロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、シクロヘキサン、及び2,2,4−トリメチルペンタン)のいずれかであってよい。
【0073】
好ましくは、重合媒体は液体プロピレンである。これは、場合によっては、少量(20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)の不活性炭化水素溶媒、又はエチレン若しくは式:CH=CHAの1種類以上のコモノマーを含むことができる。
【0074】
工程(a1)は、水素の存在下で行うことができる。重合反応中に存在する水素の量は、反応器中に存在するプロピレンに対して、好ましくは1ppmより多く、より好ましくは5〜2000ppmであり、更に好ましくは6〜500ppmである。水素は、重合反応の開始時か、或いは予備重合工程を行った後のその後の段階のいずれかにおいて加えることができる。
【0075】
工程(a1)において得られるプロピレンポリマーは、プロピレンホモポリマー、或いは、20モル%以下、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは1モル%〜5モル%の、エチレン若しくは式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むプロピレンコポリマーである。好ましいコモノマーは、エチレン又は1−ブテンである。好ましくは、工程(a1)においてプロピレンホモポリマーが製造される。
【0076】
工程(a1)において得られるポリマーの含量は、好ましくは、全プロセスにおいて製造されるポリマーの5重量%〜90重量%の範囲であり、より好ましくは、全プロセスにおいて製造される全ポリマーの10重量%〜70重量%、更に好ましくは25重量%〜65重量%の範囲である。
【0077】
工程(b1)は、液相中(ここで、重合媒体は不活性炭化水素溶媒であってよく、或いは重合媒体は、エチレン、プロピレン、又は式CH=CHAの1種類以上のコモノマーのような液体モノマーであってよい)で、場合によっては不活性炭化水素溶媒の存在下で行うことができ、或いは工程(b1)は気相中で行うことができる。好ましくは、工程(b1)は、気相中において、好ましくは流動床又は撹拌床反応器内で行う。重合温度は、概して、−100℃〜+200℃、好ましくは10℃〜+90℃の範囲である。重合圧力は、概して0.5〜100barの範囲である。
【0078】
工程(b1)においては、5モル%〜90モル%、好ましくは10モル%〜50モル%、より好ましくは15モル%〜30モル%の、プロピレン又は式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むエチレンコポリマーが製造される。本発明の工程(b1)において用いることができる式:CH=CHAのコモノマーの例は、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンである。好ましいコモノマーは、プロピレン又は1−ブテンである。
【0079】
工程(b1)において得られるポリマーの含量は、好ましくは全プロセスにおいて製造されるポリマーの10〜95重量%の範囲であり、好ましくは30重量%〜90重量%、より好ましくは35重量%〜75重量%の範囲である。
【0080】
工程(b1)において得られるポリマーは、場合によっては20モル%以下の非共役ジエンを含んでいてもよい。非共役ジエンは、6〜20個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素ジエンであってよい。好適な非共役ジエンの例は、
1,4−ヘキサジエン及び1,6−オクタジエンのような直鎖非環式ジエン;
5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、並びにジヒドロミルセン及びジヒドロオシメンの混合異性体のような分岐鎖非環式ジエン;
1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,5−シクロドデカジエンのような単環脂環式ジエン;
テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンのような多環脂環式縮合及び橋架環式ジエン;及び
5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルナジエンのような、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネン;
である。
【0081】
好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0082】
存在する場合には、非共役ジエンは、好ましくは、0.1モル%〜約20モル%、好ましくは0.5モル%〜15モル%、より好ましくは0.5モル%〜7モル%の量でポリマー中に含ませる。所望の場合には、全ジエン導入量を上記に規定する範囲内でとして、1種類を超えるジエン、例えばHDおよびENBを同時に含ませることができる。
【0083】
本発明の方法は、1つの反応器内、又は直列の2つ以上の反応器内で行うことができる。
本発明の対象であるメタロセン化合物は、高い分子量を有するプロピレン/より高級なα−オレフィンのコポリマーを、高い収率で製造するための触媒成分として特に好適である。
【0084】
したがって、本発明の更なる対象は、重合条件下、
(a)上記に記載の式(I)のメタロセン化合物;
(b)アルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;及び場合によっては
(c)有機アルミニウム化合物;
を接触させることによって得られる触媒系の存在下で、プロピレンと式:CH=CHWの1種類以上のα−オレフィンとを接触させることを含む、99モル%〜50モル%のプロピレンの誘導単位及び1モル%〜50モル%の式CH=CHW(式中、WはC〜C10炭化水素基である)の1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むポリマーを製造する方法である。
【0085】
かかる重合方法は、液相中において、好ましくは不活性炭化水素溶媒の存在下で行うことができる。かかる炭化水素溶媒は、芳香族(例えばトルエン)か又は脂肪族(例えば、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、シクロヘキサン、イソドデカン、及び2,2,4−トリメチルペンタン)のいずれかであってよい。場合によっては、本発明の重合方法は、プロピレンと式:CH=CHW(式中、Wは、1−ブテン、1−ヘキセン、又は1−オクテンのようなC〜C10炭化水素基である)のα−オレフィンとの混合物を重合媒体として用いることによって行うことができる。
【0086】
好ましくは、重合媒体は、シクロヘキサン又はイソドデカンのような脂肪族溶媒、或いは、例えば溶媒のISOPAR(登録商標)シリーズのような高沸点脂肪族炭化水素の混合物である。
【0087】
好ましくは、本発明方法は、ポリマーが重合媒体中に溶解するような条件下で行う。
重合温度は、好ましくは0℃〜250℃の範囲であり;より好ましくは20℃〜150℃の範囲であり、特に好ましくは、重合温度は、60℃〜120℃の間であり;更に好ましくは、この温度は75℃〜120℃の間である。これによって、溶媒の再生利用に必要なエネルギーを減少させるために重合を高温で行うことができる。本発明の触媒によって、これらの条件下で、なお高い分子量を有するポリマーを得ることができる。
【0088】
式:CH=CHW(式中、WはC〜C10炭化水素基である)のα−オレフィンの例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び1−デセンである。好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンを用い;より好ましくは、1−ブテンを用いる。
【0089】
本発明方法によって得られるコポリマーの式:CH=CHWのα−オレフィンの誘導単位の含量は、好ましくは40モル%〜3モル%の範囲であり;好ましくは35モル%〜5モル%の範囲である。かかるコポリマーのプロピレン誘導単位の含量は、好ましくは60モル%〜97モル%の範囲であり;より好ましくは65モル%〜95モル%の範囲である。
【0090】
本発明の更なる対象は、次式(III):
【0091】
【化9】

【0092】
(式中、L、R、R、T、T、T、T、及びW、Wは、上記に記載した意味を有する)
のリガンド、又はその二重結合異性体である。
【0093】
好ましいリガンドは、式(IIIa)又は(IIIb):
【0094】
【化10】

【0095】
【化11】

【0096】
(式中、L、n、R〜R18は、上記に記載した意味を有する)
の構造を有するリガンドか、又はその二重結合異性体である。
式(I)のメタロセン化合物は、ジアニオンを、金属四ハロゲン化物、例えば四塩化ジルコニウムのような好適な遷移金属源と反応させる工程を含む方法によって得ることができる。ジアニオンは、例えば、例えばブチル又はメチルリチウムのような有機リチウム化合物を用いることによる式(III)のリガンドの脱プロトン化によって得ることができる。式(III)のリガンドは、式(IV):
【0097】
【化12】

【0098】
(式中、R、R、R、R、及びWは、上記に記載した意味を有する)
のシクロペンタジエニル部分から出発して、以下の工程を含む方法によって容易に調製することができる。
【0099】
(a)式(IV)の化合物及び/又はその二重結合異性体を、TB、TMgT、ナトリウム及びカリウムヒドリド、金属ナトリウム及びカリウム(ここで、T、j、B、及びTは上記に定義した通りである)から選択される塩基と、該塩基と式(IV)の化合物との間のモル比を少なくとも1:1として(過剰量の該塩基を用いることができる)接触させ;
(b)工程(a)で得られたアニオン性化合物を、式:LY(式中、Lは上記に定義した通りであり、Yは、塩素、臭素、及びヨウ素であり、好ましくは、Yは塩素又は臭素である)の化合物と接触させて、次式(IVa):
【0100】
【化13】

【0101】
の化合物を形成し;
(c)式(IVa)の化合物を、工程(a)で記載したようにして得られた式(IV)の化合物のアニオン性誘導体と接触させる工程。
【0102】
また、2つのインデニル部分が同一である場合には、上記に記載の方法は、計算量の式:LYの化合物を工程(a)で形成されたジアニオン性誘導体と反応させることによって、「ワンポット」で行うこともできる。
【0103】
上記の方法は、好ましくは、極性又は非極性の非プロトン性溶媒中で行う。かかる非プロトン性溶媒は、好ましくは、場合によってはハロゲン化されている芳香族若しくは脂肪族炭化水素、又はエーテルであり;より好ましくは、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物から選択される。上記の方法は、−100℃〜+80℃、より好ましくは−20℃〜+70℃の範囲の温度で行う。
【0104】
以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0105】
一般的特性:
テトラヒドロナフタレン中の固有粘度(IV):
ポリマーを135℃で1時間溶解することによって得られたテトラヒドロナフタレン(THN)溶液中において、測定を行った。
【0106】
溶融温度(T):
示差走査熱量計DSC(Mettler社製)を用いることによって熱量測定を行った。インジウム及びスズ標準試料を用いて装置を較正した。秤量した試料(6〜8mg)をアルミニウム皿中に密封し、200℃に加熱し、その温度において5分間保持し、次に20℃/分で5℃に冷却し、5℃において5分間保持した後、最後に20℃/分の速度で200℃に加熱した。この第2の加熱操作において、ピーク温度を溶融温度(T)、面積を全体的な溶融エンタルピー(ΔH)とした。
【0107】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC):
Waters社製のGPC装置150Cを用いて、1,2,4−トリクロロベンゼン中、135℃において、ゲル透過クロマトグラフィーを行った。
【0108】
13C−NMR測定
13C−NMR分析によって、ポリマーの微細構造を調べた。試料を、120℃において、8%wt/vの濃度で1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中に溶解した。100.61MHzで操作するBruker DPX400分光光度計において、120℃で13C−NMRスペクトルを得た。アイソタクチックポリプロピレンの場合には、21.8ppmにおけるmmmmピークを内部参照として用い、Resconi,L.; Cavallo,L.; Fait,A.; Piemontesi,F.; Chem. Rev., 2000, 100, 1253に記載されているように、ペンタド分布及び位置エラーの量を測定した。
【0109】
エチレン−プロピレンコポリマーの場合には、90°のパルス、H−13Cカップリングを除去するためのパルスとCPD(WALTZ 16)との間の遅延12秒で、それぞれのスペクトルを得た。6000Hzのスペクトルウィンドウを用いて、32Kのデータ点で約1500の過渡スペクトルを保存した。
【0110】
Randall(下記参照文献1)及びTritto(下記参照文献2)にしたがってピークの割り当てを行い、Kakugo(下記参照文献3)にしたがってトライアド分布及びコポリマーの組成を測定した。
【0111】
29.9ppmにおけるSδδピーク(下記参照文献4にしたがって命名)を内部参照として用いた。Carman(下記参照文献4)にしたがってトライアドから反応性比の積r×rを算出した。
【0112】
参照文献1:J.C.Randall, Macromol. Chem. Phys., 1989, C29, 201。
参照文献2:I. Tritto, Z.Fan, P.Locatelli, M.Sacchi, I.Camurati, M.Galimberti, Macromolecules 1995, 28, 3342。
【0113】
参照文献3:M.Kakugo, Y.Naito, K.Mizunuma, T.Miyatake, Macromolecules 1982, 15, 1150。
参照文献4:C.J.Carman, R.A.Harrington, C.E.Wilkes, Macromolecules 1977, 10, 535。
【0114】
プロピレン/ブテン及びプロピレン/ヘキセンコポリマーの場合には、90°のパルス、H−13Cカップリングを除去するためのパルスとCPD(WALTZ 16)との間の遅延15秒で、それぞれのスペクトルを得た。6000Hzのスペクトルウィンドウを用いて、32Kのデータ点で約1500の過渡スペクトルを保存した。
【0115】
プロピレン−ブテンコポリマーに関しては、J.C.Randall, Macromolecules, 11, 592 (1978)にしたがって、プロピレン−ヘキセンコポリマーに関しては、F.Forlini, I.Tritto, P.Locatelli, M.C.Sacchi, F.Piemontesi, Macromol. Chem. Phys., 201, 401-408 (2000)にしたがって、共鳴の割り当てを行った。
【0116】
プロピレンCHのピークを、28.83ppmにおける内部参照として用いた.
ダイアド分布及び組成の評価を、以下の等式を用いてSααから得た。
XX=100 Sαα(XX)/Σ
XP=100 Sαα(XP)/Σ
PP=100 Sαα(PP)/Σ
(ここで、Σ=Σααであり、Xは1−ブテン又は1−ヘキセンのいずれかであってよい)
[P]=PP+0.5XP
[X]=XX+0.5XP
化学物質及び特性:
全ての化学物質は、標準的なSchlenk法を用いて取り扱った。
【0117】
メチルアルモキサン(MAO)は、Albemarle社から30%wt/wtトルエン溶液として入手して、そのまま用いた。
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(C1)は、EP−576970にしたがって調製した。
【0118】
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)ジクロロジルコニウム(C2):
【0119】
【化14】

【0120】
は、EP−05102189.7に記載の手順にしたがって調製した。
rac−ジメチルシリルビス{η−8−(4−tert−ブチルフェニル)−6−メチル−5H−インデノ[5,6−d][1,3]ジオキソル−5−イル}ジクロロジルコニウム(C−3):
【0121】
【化15】

【0122】
は、EP−05107248.6に記載の手順にしたがって調製した。
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)インデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(C−4)は、WO−98/40331(実施例65)にしたがって調製した。
【0123】
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(A−1)の合成:
【0124】
【化16】

【0125】
1−tert−ブチル−2−メトキシベンゼンの合成:
室温において、2−tert−ブチルフェノール(45g、0.3モル)、CHCl(200mL)、NaOHの40%水溶液(200mL)、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(1g)のよく撹拌された混合物にジメチルスルフェート(56.7g、0.45モル)を加えた。16時間撹拌した後、有機相を分離し、HOで洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させ、110〜112℃/10Torrにおいて蒸留した。収量35g(71%)。
【0126】
6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−1−インダノンの合成:
60℃において、1−tert−ブチル−2−メトキシベンゼン(32.8g、0.2モル)及びメタクリル酸(21.5g、0.25モル)の混合物を、よく撹拌されたイートン試薬(55gのP及び280mLのメタンスルホン酸)に加えた。1時間撹拌した後、反応混合物を冷却し、氷水中に注ぎ入れ、ベンゼン(3×200mL)で抽出した。有機相を合わせて、水、NaHCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させ、145〜150℃/0.7Torrにおいて蒸留した。収量20g(43%)。
【0127】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.66 (s, 1H), 6.86 (s, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.29 (q, 1H), 2.64 (m, 2H), 1.35 (s, 9H), 1.26 (d, 3H)。
4−ブロモ−6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−1−インダノンの合成:
0℃において、CHCl(50mL)及びHO(150mL)中の、6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−1−インダノン(20g、86ミリモル)、NaOAc(20.4g)、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(0.5g)の混合物に臭素(4.4mL、86ミリモル)を加えた。16時間後、2.5mLのBr及び12gのNaOAcを加えた。24時間撹拌した後、有機相を分離し、水、NaSOの10%水溶液、NaHCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させた。残渣を精製せずに用いた。
【0128】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.71 (s, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.31 (q, 1H), 2.72 (m, 1H), 2.61(dd, 1H), 1.41 (s, 9H), 1.32 (d, 3H)。
5−tert−ブチル−6−メトキシ−2−メチル−7−フェニル−1H−インデンの合成:
DME(345mL)/HO(114mL)中の、4−ブロモ−6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−1−インダノン(28g、90ミリモル)、フェニルボロン酸(15.3g、126ミリモル)、及びKCO(34.8g、249ミリモル)のよく撹拌された混合物に、Pd(OAc)(0.6g、3モル%)及びPPh(1.41g、6モル%)を加えた。得られた混合物を撹拌しながら5時間還流し、冷却し、水中に注ぎ入れ、CHCl(3×200mL)によって抽出した。有機相を合わせて、NaCO水溶液、水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させ、熱ヘキサン(3×200mL)による抽出によって精製した。蒸発後の残渣を精製せずに用いた。
【0129】
この化合物をEtO(30mL)中に溶解し、0℃において、EtO(300mL)中のLiAlH(1.71g、45ミリモル)を滴加した。1時間撹拌した後、5%のHCl(150mL)を加え、有機相を分離し、NaCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させた。残渣をベンゼン(500mL)中に溶解し、p−TSA(1g)を加え、得られた混合物を10分間還流し、冷却し、水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させ、真空中で蒸留した。収量=13.5g(50%)であり、無色の粘稠質油状物が得られた。
【0130】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.67-7.54 (m, 5H), 7.39 (s, 1H), 6.60 (s, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.28 (s, 2H), 2.21 (s, 3H), 1.61 (s, 9H)。
ビス(6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−1H−インデン−1−イル)ジメチルシランの合成:
EtO(100mL)中の5−tert−ブチル−6−メトキシ−2−メチル−7−フェニル−1H−インデン(11.20g、38.3ミリモル)の溶液を、−40℃に冷却し、ヘキサン中のn−BuLi(1.6M、29.34mL、38.3ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温に加温し、3時間撹拌し、−60℃に冷却した。EtO(20mL)中のCuCN(103mg、1.15ミリモル)及びSiMeCl(2.31mL、19.15ミリモル)を加えた。得られた混合物を、室温に加温し、16時間撹拌した。HO(20mL)及びベンゼン(200mL)を加え、有機相を分離し、MgSO上で乾燥し、シリカゲルを通し、蒸発させた。残渣を真空中で乾燥し(淡黄色の固体)、精製せずに用いた。
【0131】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.56-7.47 (m群, 10H); 7.40 (s); 7.38 (s) {2H}; {CAr-H} ; 6.49 (bs); 6.40 (bs) {2H, -CH=}; 3.63 (s); 3.61 (s) {2H, >CH-}; 3.27 (s, 6H, -OCH3); 2.17 (bs); 2.02 (bs) {6H, -C-CH3}; 1.48 (s); 1.47 (s) {18H, -C(CH3)3}; -0.04 (s); -0.12 (s); -0.13 (s) {6H, Si-CH3}。
【0132】
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−5−メトキシ−6−tert−ブチルインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(A−1)の合成:
ビス(6−tert−ブチル−5−メトキシ−2−メチル−4−フェニル−1H−インデン−1−イル)ジメチルシラン(12.27g、19.15ミリモル)をEtO(80mL)中に溶解し、−40℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、25.7mL、41.1ミリモル)を加えた。反応混合物を室温に加温し、3時間撹拌し、蒸発させた。得られた黄色の粉末を、ペンタン(400mL)中に懸濁し、−60℃に冷却し、ZrCl(5.14g、22.07ミリモル)を加えた。5分後、EtO(1mL)を加えた。得られた混合物を、室温に加温し、更に16時間撹拌し、濾過した。残渣をペンタン/CHCl(5:1)から再結晶させて、rac−形態を得た(2.65g、34.6%)。
【0133】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.64 (ブロード, 4H); 7.54 (s, 2H); 7.45 (m, 4H); 7.35 (m, 2H) {CAr- H}; 6.61 (s, 2H, C5環のH); 3.43 (s, 6H, -OCH3); 2.19 (s, 6H, C-CH3); 1.41 (s, 18H, -C(CH3)3); 1.32 (s, 6H, Si-CH3)。
【0134】
rac−ジメチルシリルビス(2,6−ジメチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)−5−メトキシインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(A−2)の合成:
【0135】
【化17】

【0136】
5−メトキシ−2,6−ジメチル−1−インダノンの合成:
60℃において、2−メチルアニソール(30g、0.25モル)及びメタクリル酸(27g、0.31モル)の混合物を、よく撹拌されたイートン試薬(69gのP及び350mLのメタンスルホン酸)に加えた。30分間撹拌した後、反応混合物を冷却し、氷水中に注ぎ入れ、濾過した。残渣をヘキサン/ベンゼン(10:1)から再結晶させた。収量=22g(46%)。
【0137】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.52 (s, 1H), 6.82 (s, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.33 (dd, 1H), 2.67 (m, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.29 (d, 3H)。
4−ブロモ−5−メトキシ−2,6−ジメチル−1−インダノンの合成:
0℃において、CHCl(100mL)及びHO(200mL)中の、5−メトキシ−2,6−ジメチル−1−インダノン(22g、11.7ミリモル)、NaOAc(27g)、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(0.5g)の混合物に臭素(6mL、11.7ミリモル)を加えた。16時間後、1mLのBr及び6gのNaOAcを加えた。24時間撹拌した後、有機相を分離し、水、NaSOの10%水溶液、NaHCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させた。残渣をヘキサンから再結晶させた。収量=24.7g(78.4%)。
【0138】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.53 (s, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.30 (dd, 1H), 2.72 (m, 1H), 2.61(dd, 1H), 2/73 (s, 3H), 1.32 (d, 3H)。
7−(4−tert−ブチルフェニル)−6−メトキシ−2,5−ジメチル−1H−インデンの合成:
DME(240mL)/HO(80mL)中の、4−ブロモ−5−メトキシ−2,6−ジメチル−1−インダノン(17.16g、63.8ミリモル)、tert−ブチルフェニルボロン酸(15.9g、89ミリモル)、及びKCO(24.6g、180ミリモル)のよく撹拌された混合物に、Pd(OAc)(0.43g、3モル%)及びPPh(1g、6モル%)を加えた。得られた混合物を撹拌しながら5時間還流し、冷却し、水中に注ぎ入れ、ベンゼン(3×100mL)で抽出した。有機相を合わせて、NaCO水溶液、水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させた。残渣を精製せずに用いた。
【0139】
この化合物をEtO(200mL)中に溶解し、0℃に冷却し、LiAlH(1.2g、32ミリモル)を滴加した。3時間撹拌した後、10%のHCl(50mL)を加え、有機相を分離し、水層をEtO(2×50mL)で抽出した。有機相を合わせて、NaCO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させた。残渣をベンゼン(200mL)中に溶解し、p−TSA(0.3g)を加え、得られた混合物を20分間還流し、冷却し、水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、蒸発させ、真空中で蒸留した。収量=18.5g(77%)であり、淡黄色の粘稠質油状物が2週間以内で晶出した。
【0140】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.46 (m, 4H), 7.10(s, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.21 (s, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 1.43 (s, 9H)。
ビス[6−(4−tert−ブチルフェニル)−5−メトキシ−2,4−ジメチル−1H−インデン−1−イル]ジメチルシランの合成:
EtO(80mL)中の7−(4−tert−ブチルフェニル)−6−メトキシ−2,5−ジメチル−1H−インデン(6.13g、20ミリモル)の溶液を、−40℃に冷却し、ヘキサン中のn−BuLi(1.6M、13.13mL、21ミリモル)を加えた。得られた混合物を、室温に加温し、3時間撹拌し、−60℃に冷却した。EtO(20mL)中のCuCN(54mg、0.6ミリモル)及びSiMeCl(1.27mL、10.5ミリモル)を加えた。得られた混合物を、室温に加温し、16時間撹拌した。HO(20mL)及びベンゼン(100mL)を加え、有機相を分離し、MgSO上で乾燥し、シリカゲルを通し、蒸発させた。残渣を真空中で乾燥し(淡黄色の固体)、精製せずに用いた。
【0141】
1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.62-7.50 (m群); 7.31 (s); 7.24 (s) {10H, CAr-H}; 6.60 (bs, 2H, -CH=); 3.77 (s); 3.75 (s) {2H, >CH-}; 3.45 (s); 3.44 (s) {6H, -OCH3}; 2.43 (s); 2.42 (s); 2.26 (s); 2.21 (s) {12H, -C-CH3}; 1.47 (s); 1.43 (s) {18H, -C(CH3)3}; -0.14 (s, 6H, Si-CH3)。
【0142】
rac−ジメチルシリルビス(2,6−ジメチル−4−(4−tert−ブチルフェニル)−5−メトキシインデン−1−イル)ジクロロジルコニウム(A−2)の合成:
上記で得られたビス(6−(4−tert−ブチルフェニル)−5−メトキシ−2,4−ジメチル−1H−インデン−1−イル)(ジメチル)シラン(10ミリモル)をEtO(60mL)中に溶解し、−40℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、13.1mL、21ミリモル)を加えた。反応混合物を室温に加温し、3時間撹拌し、蒸発させた。得られた粉末を、ペンタン(200mL)中に懸濁し、−60℃に冷却し、ZrCl(2.45g、10.5ミリモル)を加えた。5分後、EtO(0.5mL)を加えた。得られた混合物を、室温に加温し、更に16時間撹拌し、濾過した。残渣をMeOCMeを用いて再結晶させた。メソ形態の溶解度はより低かった(赤色の結晶)。濾液を濃縮し、得られた沈殿物を濾別し、MeOCMeから再結晶させて、0.2g(5%)のrac−形態(黄色の結晶質粉末)を得た。
【0143】
rac-形態: 1H-NMR (CDCl3, 20℃) 7.61 (d, 4H); 7.46 (d, 4H); 7.28 (s, 2H) {CAr-H}; 6.70 (s, 2H, C5環のH); 3.46 (s, 6H, -OCH3); 2.31 (s, 6H); 2.20 (s, 6H) {C-CH3}; 1.36 (s, 18H, -C(CH3)3); 1.31 (s, 6H, Si-CH3)。
【0144】
meso-形態: 1H-NMR (CDCl3, 20℃)δ: 7.57 - 7.42 (m群, 1OH, CAr-H); 6.58 (s, 2H, C5環のH); 3.28 (s, 6H, -OCH3); 2.38 (s, 6H); 2.23 (s, 6H) {C-CH3}; 1.36 (s, 18H, -C(CH3)3); 1.45 (s, 3H); 1.22 (s, 3H) {Si-CH3}。
【0145】
触媒系:
触媒系の調製:
全ての触媒溶液を、同じ処方にしたがって調製した。AlTOT/Zr=400〜800モル比;MAO/TIBA=2モル比;全濃度=50〜100g/L。
【0146】
触媒系S1C−1:
C1/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
39.1mLのTIBA/イソドデカン溶液(90g/L)を、7.4mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、35.5ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、化合物C−1(55.8mg、88.7マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。得られた混合物を9.8mLのイソドデカンで希釈して、曇った橙色の溶液を得た。最終濃度:100gTOT/L、及び0.99g−メタロセン/L。
【0147】
触媒系S2C−2:
C2/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
21.8mLのTIBA/イソドデカン溶液(110g/L)を、5mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、24ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において30分間撹拌し、C−2(49.6mg、60.4マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を11.7mLのイソドデカンで希釈して、室温において一晩撹拌した後に、暗橙色/赤色の溶液が形成された(最終濃度:100gTOT/L、及び1.29g−メタロセン/L)。
【0148】
触媒系S3C−2:
C−2/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
13mLのTIBA/イソドデカン溶液(90g/L)を、2.5mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、11.8ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、C−2(24.2mg、29.5マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を22.1mLのシクロヘキサンで希釈して、室温において一晩撹拌した後に、暗橙色/赤色の溶液が形成された(最終濃度:50gTOT/L、及び0.645g−メタロセン/L)。
【0149】
触媒系S4C−3:
C3/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=800):
19.6mLのTIBA/イソドデカン溶液(110g/L)を、4.5mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、C−3(33.9mg、40.8マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。得られた混合物を25.2mLのイソドデカンで希釈して、明橙色の溶液を得た。最終濃度:70gTOT/L、及び0.686g−メタロセン/L)。
【0150】
触媒系S5A−1:
A−1/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
32.2mLのTIBA/イソドデカン溶液(90g/L)を、6.1mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、29ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、A−1(58.5mg、73マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を8.2mLのイソドデカンで希釈して、100gTOT/L及び1.26g−メタロセン/Lの濃度に到達させた。橙色の混合物は若干のゲル状の沈殿物を含んでおり、これをデカンテーションによって取り出した。
【0151】
触媒系S6A−1:
A−1/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
13.1mLのTIBA/イソドデカン溶液(90g/L)を、2.5mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、11.9ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、A−1(23.9mg、29.8マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を22.3mLのイソドデカンで希釈して、50gTOT/L及び0.629g−メタロセン/Lの濃度に到達させた。
【0152】
触媒系S7A−1:
A−1/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=800):
14.5mLのTIBA/イソドデカン溶液(110g/L)を、3.4mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.928g/mL、16.1ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、A−1(24.2mg、30マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。得られた混合物を18.6mLのイソドデカンで希釈して、明橙色の溶液を得た。最終濃度:70gTOT/L及び0.663g−メタロセン/L。
【0153】
触媒系S8A−1:
A−1/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=400):
13.7mLのTIBA/シクロヘキサン溶液(113g/L)を、3.3mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.92g/mL、15.6ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、A−1(46.85mg、58.5マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を18.7mLのシクロヘキサンで希釈した。最終混合物濃度:70gTOT/L及び1.313g−メタロセン/L;色=橙色の溶液。
【0154】
触媒系S9C−4:
C−4/MAO:TIBA 2:1(AlTOT/Zr=600):
13.5mLのTIBA/シクロヘキサン溶液(113g/L)を、3.2mLのMAO/トルエン溶液(Albemarle社製、30%wt/wt、d=0.92g/mL、15.3ミリモルのMAO)と混合して、2:1のMAO/TIBAのモル比の溶液を得た。溶液を室温において1時間撹拌し、C−4(28.4mg、38.3マイクロモル)を含む50mLのSchlenkフラスコ中に移した。最終溶液を7.7mLのシクロヘキサンで希釈した。最終混合物濃度:100gTOT/L及び1.165g−メタロセン/L;色=暗赤色の溶液。
【0155】
重合試験:
それぞれの試験に関する重合手順及び条件を以下に詳細に説明し、重合データを、表1(ポリプロピレンの実施例)及び表3(エチレン−プロピレンコポリマーの実施例)において報告する。
【0156】
ポリマー試料について行った分析結果を、表2(ポリプロピレンの実施例)及び表3(エチレン−プロピレンコポリマーの実施例)において報告する。
比較例1:
機械駆動スターラー及び35mLのステンレススチールバイアルを取り付け、温度制御のためのサーモスタットに接続した4.4Lのジャケット付きステンレススチール製オートクレーブを、ヘキサン中のAl(i−Bu)溶液で洗浄することによって予め清浄化し、窒素気流中、50℃で乾燥した。
【0157】
重合条件において50/50(wt/wt)のプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物を得るために、6ミリモルのAl(i−Bu)(ヘキサン中100g/Lの溶液として)、629gのシクロヘキサン、及び732gのプロピレンを、室温において充填した。次に、オートクレーブを、重合温度である100℃(この組成に関しては30.5bar−gの圧力に相当する)に温度制御した。
【0158】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S1C−1(0.99mg−メタロセン/mLの溶液)5mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。プロピレンを30分間連続供給して、44gのプロピレンの全消費のために30.5bar−gの圧力を保持した。
【0159】
オートクレーブ中への圧力を20barまで低下させ、底部の排出バルブを開放し、70℃の水を含む加熱スチールタンク中にポリマーを排出した。タンクの加熱を停止し、0.5bar−gの窒素流を供給した。室温において冷却した後、スチールタンクを開放し、湿潤状態のポリマーを回収した。湿潤状態のポリマーを、オーブン内で、減圧下、70℃において乾燥した。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0160】
比較例2:
120℃及び36bar−gにおいて、50/50%wtのプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物を得るために、693gのシクロヘキサン及び677gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0161】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S1C−1(0.99mg−メタロセン/mLの溶液)5mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0162】
プロピレンを30分間連続供給して、36bar−gの圧力を保持した。19.6gのプロピレンが消費された。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0163】
比較例3:
100℃、32bar−gにおいて50/50%wtのプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、732gのシクロヘキサン及び820gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0164】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S2C−2(1.29mg−メタロセン/mLの溶液)1mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0165】
プロピレンを30分間連続供給して、32bar−gの実圧を保持した。174gのプロピレンが消費された。
比較例1に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0166】
比較例4:
120℃、36bar−gにおいて35/75%wtのプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、693gのシクロヘキサン及び677gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0167】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S3C−2(0.645mg−メタロセン/mLの溶液)1.5mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0168】
この反応においては反応性が乏しいことが観察され、したがって、36bar−gの実圧を保持するために更なるプロピレンを反応器内に供給する必要はなかった。30分後、比較例に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0169】
実施例5:
100℃、32bar−gにおいて50/50%wtのプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、732gのシクロヘキサン及び820gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0170】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S5A−1(0.629mg−メタロセン/mLの溶液)4mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0171】
プロピレンを30分間連続供給して、32bar−gの実圧を保持した。14gのプロピレンが消費された。
比較例1に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0172】
実施例6:
120℃、36bar−gにおいて35/75%wtのプロピレン/シクロヘキサンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、693gのシクロヘキサン及び677gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0173】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S6A−1(1.26mg−メタロセン/mLの溶液)2.5mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0174】
プロピレンを30分間連続供給して、36bar−gの実圧を保持した。16gのプロピレンが消費された。
比較例1に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データを表1に報告し、ポリマーの分析値を表2に報告する。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
表2から明らかなように、本発明のメタロセン化合物を用いることによって得られるポリマーの分子量は、重合実験を極めて高い温度(100℃及び120℃)において行った場合においても、当該技術において公知のメタロセン化合物を用いて得られるポリマーの分子量よりも相当に大きい。
【0178】
エチレン−プロピレンの共重合:
比較例7:
100℃、36bar−gにおいて8/92%wtのエチレン/プロピレンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、716gのシクロヘキサン、61gのエチレン、及び631gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0179】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S4C−3(0.686mg−メタロセン/mLの溶液)2mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0180】
一定のエチレン/プロピレン混合物(17/83%wt)を30分間連続供給して、36bar−gの圧力を保持した。20gのエチレン及び95gのプロピレンが消費された。
【0181】
比較例1に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データ及びポリマーの分析値を表3に報告する。
実施例8:
100℃、36bar−gにおいて8/92%wtのエチレン/プロピレンの液体組成物に相当する液体組成物を得るために、716gのシクロヘキサン、61gのエチレン、及び631gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0182】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S7A−1(0.663mg−メタロセン/mLの溶液)2mLを、4mLのシクロヘキサンを用いてステンレススチールバイアルを通してオートクレーブ内に注入した。
【0183】
一定のエチレン/プロピレン混合物(17/83%wt)を30分間連続供給して、36bar−gの圧力を保持した。26gのエチレン及び126gのプロピレンが消費された。
【0184】
比較例1に記載の手順にしたがってポリマーを排出した。重合データ及びポリマーの分析値を表3に報告する。
比較例9:
100℃、33bar−gにおいて15/85%wtのモノマー/シクロヘキサンの液体組成物を得るために、1000gのシクロヘキサン、142.5gのエチレン、及び137gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0185】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S9C−4(1.165mg−メタロセン/mLの溶液)3mLを、5mLのシクロヘキサンで希釈し、ステンレススチールバイアル内に充填し、窒素過圧によってオートクレーブ中に注入した。
【0186】
一定のエチレン/プロピレン混合物(70/30%wt)を30分間連続供給して、33bar−gの圧力を保持した。48gのエチレン及び20.9gのプロピレンが消費された。
【0187】
重合データ及びポリマーの分析値を表3に報告する。
実施例10:
100℃、31bar−gにおいて18/82%wtのモノマー/シクロヘキサンの液体組成物を得るために、945gのシクロヘキサン、118gのエチレン、及び172gのプロピレンを供給して、比較例1の手順を繰り返した。
【0188】
触媒/共触媒混合物を含む触媒系S8A−1(1.313mg−メタロセン/mLの溶液)0.8mLを、5mLのシクロヘキサンで希釈し、ステンレススチールバイアル内に充填し、窒素過圧によってオートクレーブ中に注入した。
【0189】
一定のエチレン/プロピレン混合物(70/30%wt)を30分間連続供給して、31bar−gの圧力を保持した。65.5gのエチレン及び28gのプロピレンが消費された。重合データ及びポリマーの分析値を表3に報告する。
【0190】
【表3】

【0191】
比較例7と実施例8、及び実施例9と実施例10を比較することにより、実施例8及び10において得られたコポリマーの分子量は、実施例7及び9において得られたコポリマーの分子量よりも高いことが明らかである。
【0192】
プロピレン及びより高級なα−オレフィンを用いた共重合:
触媒S10A−1:
磁気スターラーを取り付けた50mLのSchlenkフラスコ中に、窒素雰囲気下、室温において、21mgのA−1(26.3マイクロモル)を充填した。トルエン中30重量%のMAO(Albemarle社製) 1.47mL(7.0ミリモル、AlMAO/Zr=267)を、第2の50mLのSchlenkフラスコ中に、窒素雰囲気下、室温において充填した。次に、イソドデカン中のトリイソブチルアルミニウム(TIBA)(7.7mL、濃度90g/L、3.5ミリモル、AlTIBA/Zr=133、AlTOT/Zr=400、MAO/TIBA=2/1)を、室温においてMAOに加えて、無色の溶液を得、これを室温において1時間撹拌した。最後に、イソドデカン/トルエン中のこの溶液を、窒素雰囲気下、室温において、メタロセンにゆっくりと加えて、(15分の撹拌後に)明澄な橙赤色の触媒溶液を得、これをそのまま重合において試験した。得られたA−1の濃度は、溶液1mLあたりメタロセン2.3mgであった。
【0193】
触媒S11C−4:
磁気スターラーを取り付けた50mLのSchlenkフラスコ中に、窒素雰囲気下、室温において、47.9mgのC−1(64.6マイクロモル)を充填した。トルエン中30重量%のMAO(Albemarle社製) 3.6mL(17.24ミリモル、AlMAO/Zr=267)を、第2の50mLのSchlenkフラスコ中に、窒素雰囲気下、室温において充填した。次に、イソドデカン中のトリイソブチルアルミニウム(TIBA)(19mL、濃度90g/L、8.58ミリモル、AlTIBA/Zr=133、AlTOT/Zr=400、MAO/TIBA=2/1)を、室温においてMAOに加えて、無色の溶液を得、これを室温において1時間撹拌した。最後に、イソドデカン/トルエン中のこの溶液を、窒素雰囲気下、室温において、メタロセンにゆっくりと加えて、(15分の撹拌後に)明澄な橙赤色の触媒溶液を得、これをそのまま重合において試験した。得られたC−1の濃度は、溶液1mLあたりメタロセン2.12mgであった。
【0194】
プロピレン/1−ヘキセンの共重合:
温度制御のためのサーモスタット内に配置し、ヘキサン中10%wt/volのTIBA溶液で洗浄することによって予め清浄化した、磁気駆動スターラー及びステンレススチールコネクターを取り付けた250mLのBuchiガラス反応器内に、室温において、100mLのイソドデカン及び0.8ミリモルのTIBAを充填した。
【0195】
表1に報告する量の1−ヘキセンをオートクレーブ内に充填し、次に、重合温度(90℃)に温度制御した。表1に報告する量のメタロセン化合物を含む触媒/共触媒混合物を含む溶液を、1barのモノマー圧においてシリンジによってオートクレーブ内に注入し、次に圧力を7bar−gのプロピレンに上昇させ、一定の温度において、表1に示す時間、重合を行った。次に、撹拌を停止し、圧力を雰囲気圧に解放し、オートクレーブを開放した。室温において、溶液混合物を、アセトンを含むビーカー中に排出した。濾過によってポリマーを単離し、次にオーブン内で、減圧下、70℃において乾燥した。重合条件を表4に報告し、重合結果を表5に報告する。
【0196】
【表4】

【0197】
【表5】

【0198】
プロピレン/1−ブテンの共重合:
メカニカルスターラー及び50mLのステンレススチールバイアルを取り付けた4.4Lのジャケット付きステンレススチール製オートクレーブを、ヘキサン中のAl(i−Bu)溶液で洗浄することによって清浄化し、窒素気流中において70℃で乾燥した。
【0199】
100g/LのTIBA/ヘキサン溶液23.8mL(12ミリモルのTIBAに相当する)、670gのシクロヘキサン、557gのプロピレン、及び186gのブテンをオートクレーブ中に充填し、90℃に加熱して、50/50(wt/wt)のモノマー/シクロヘキサンの液体組成物、及び24bar−gの圧力を与えた。2.6mLの触媒/共触媒溶液を含む触媒系S10A−1を、5mLのシクロヘキサンで希釈し、ステンレススチールバイアル中に充填し、窒素過圧によってオートクレーブ中に注入した。
【0200】
80/20%wtの一定のプロピレン/ブテン混合物を60分間連続供給して、125gのプロピレン及び31.5gのブテンの全消費のために24bar−gの圧力を保持した。
【0201】
窒素を用いてオートクレーブ中への圧力を30bar−gに上昇させ、底部の排出バルブを開放し、ポリマーを加熱スチールタンク中に排出し、水流で10分間処理した。タンクの加熱を停止し、0.5bar−gの窒素流を供給して水を除去した。スチールタンクを最終的に開放し、湿潤状態のポリマーを回収し、減圧下、70℃において一晩乾燥した。
【0202】
244のポリマーが得られ、これは72kgPol/g−メタロセンの生産性に相当していた。
ポリマーは、13C−NMR分析によって18.4重量%のブテンを含んでおり、2.0dL/gの固有粘度を有しており、その溶融温度(第2溶融)は109℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の橋架メタロセン化合物。
【化1】

(式中、
Mは、元素周期表の第3、4族、又はランタニド族若しくはアクチニド族に属するものから選択される遷移金属の原子であり;
Xは、互いに同一か又は異なり、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSOCF、OCOR、SR、NR、又はPR基であり、ここで、Rは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基であり;或いは、2つのX基は一緒に結合して基OR’Oを形成してもよく、ここで、R’は、C〜C20アルキリデン、C〜C20アリーリデン、C〜C20アルキルアリーリデン、又はC〜C20アリールアルキリデン基であり;
Lは、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する、C〜C20アルキリデン、C〜C20シクロアルキリデン、C〜C20アリーリデン、C〜C20アルキルアリーリデン、又はC〜C20アリールアルキリデン基から選択される二価の橋架基であるか、或いは5個以下のケイ素原子を有するシリリデン基であり;
は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有する線状C〜C40炭化水素基であり;
及びTは、互いに同一か又は異なり、OR、SR、又はC(R18基であり、ここで、Rは、互いに同一か又は異なり、C〜C40炭化水素基であり;R18は、互いに同一か又は異なり、水素原子、又は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;
及びTは、互いに同一か又は異なり、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;
は、水素原子、又は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;
及びWは、互いに同一か又は異なり、元素周期表の第15〜16族に属するヘテロ原子を有していてもよい芳香族の5又は6員環であり;該環のそれぞれの原子の価数は、水素原子によって置換されているか、或いは場合によってはR基によって置換されていてもよく、ここで、Rは、互いに同一か又は異なり、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基である。)
【請求項2】
Mが、ジルコニウム、チタン、又はハフニウムであり;Xが、水素原子、ハロゲン原子、OR’O、又はR基であり;Lが、Si(R11であり、ここで、R11は、線状又は分岐で、環式又は非環式の、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、又はC〜C40アリールアルキル基である、請求項1に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項3】
及びTが、OR、SR、又はC(R18基であり、ここで、R18は、互いに同一か又は異なり、水素原子、又は場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;R19が、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属する1以上のヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;T及びTが、互いに同一か又は異なり、C(R1918であり、ここで、R18は線状又は分岐のC〜C20アルキル基であり、R19は線状又は分岐のC〜C20アルキル基である、請求項1又は2に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項4】
及びTが、互いに同一か又は異なり、OR又はSRであり、ここで、Rは請求項1において記載した通りであり、T及びTが、互いに同一か又は異なり、線状C〜C40アルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項5】
およびWが、以下の式(Wa)、(Wb)、及び(Wc)の部分を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の橋架メタロセン化合物。
【化2】

(式中、*は、この部分が式(I)の化合物のインデニル部分に結合している点を表し;
、R、R、R、及びR10は、互いに同一か又は異なり、水素原子、又は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基であり;
は、窒素原子又はCR10基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;Zは、窒素原子又はCR基であり;但し、Z、Z、Z、Z、及びZの中の2つ以下の基が窒素原子であり;
は、酸素原子、イオウ原子、NR13基、又はCR13基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR14基、又はCR14基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR15基、又はCR15基であり;Zは、酸素原子、イオウ原子、NR16基、又はCR16基であり;
10は、式(I)の構造のインデニル部分に結合する窒素原子又は炭素原子であり;但し、Z、Z、Z、Z、又はZ10の中の1つ以下の基が、イオウ原子、酸素原子、又はNR13、NR14、NR15、NR16、及び窒素原子から選択される窒素含有基/原子であり;
13、R14、R15、及びR16は、互いに同一か又は異なり、水素原子、又は、場合によっては元素周期表の第13〜17族に属するヘテロ原子を有するC〜C40炭化水素基である。)
【請求項6】
式(Wa)の部分において、RがC〜C40アルキル基であり;R、R、R、及びR10が水素原子である、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項7】
式(Wa)の部分において、R10及びRがC〜C40アルキル基であり;R、R、及びRが水素原子である、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項8】
式(Wa)の部分において、R、R、及びRが線状又は分岐のC〜C40アルキル基であり、R10及びRが水素原子である、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項9】
式(Wa)の部分において、R、R、R、R、及びR10が水素原子である、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項10】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZが、それぞれ、CR、CR、CR、及びCRであり、ここで、R、R、R、及びRの意味は、請求項5において定義した通りである、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項11】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZが、それぞれ、CR10、CR、CR、及びCRであり、ここで、R10、R、R、及びRの意味は請求項5において定義した通りである、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項12】
式(Wb)の部分において、Zが窒素原子であり、Z、Z、Z、及びZが、それぞれ、CR10、CR、CR、及びCRであり、ここで、R10、R、R、及びRの意味は請求項5において定義した通りである、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項13】
式(Wc)の部分において、Zが、酸素原子、イオウ原子、NR16基である、請求項5に記載の橋架メタロセン化合物。
【請求項14】
式(IIa)の構造である請求項1〜13のいずれかに記載の橋架メタロセン化合物。
【化3】

(式中、
M、L、X、T、T、T、T、R、R、R、R、R、R、及びR10は、請求項1に記載した意味を有する。)
【請求項15】
式(IIb)の構造である、請求項1〜12のいずれかに記載の橋架メタロセン化合物。

【化4】

(式中、
M、L、X、T、T、T、T、R、R、R14、R15、R16は、請求項1に記載した意味を有する。)
【請求項16】
(a)請求項1〜14に記載の式(I)のメタロセン化合物;
(b)少なくとも1つのアルモキサン又はアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物;及び
(c)場合によっては、有機アルミニウム化合物;
を接触させることによって得られるオレフィン重合のための触媒系。
【請求項17】
重合条件下、請求項14に記載の触媒系の存在下で、式:CH=CHA(式中、Aは水素又はC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィンを接触させることを含む、α−オレフィンポリマーの製造方法。
【請求項18】
(a)請求項15に記載の触媒系の存在下で、プロピレンを、場合によってはエチレン又は式:CH=CHA(式中、AはC〜C20アルキル基である)の1種類以上のα−オレフィンと共に重合し;
(b)重合条件下、工程(a)で得られたポリマーの存在下で、且つ場合によっては更なる有機アルミニウム化合物の存在下において、プロピレンと、エチレン又は式:CH=CHAの1種類以上のα−オレフィン、及び場合によっては非共役ジエンとを接触させる工程を含み;
但し、工程(a)で製造されるポリマーは、コモノマー誘導単位の量又はコモノマー誘導単位の構造に関して、工程(b)で製造されるコポリマーとは異なり;
工程(a)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの2重量%〜98重量%の範囲であり、工程(b)で得られるポリマーの量は、全プロセスで得られるポリマーの98重量%〜2重量%の範囲である;
多段階重合法である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
重合条件下で、プロピレンと式:CH=CHWの1種類以上のα−オレフィンとを接触させることを含む、99モル%〜50モル%のプロピレン誘導単位及び1モル%〜50モル%の式CH=CHW(式中、WはC〜C10炭化水素基である)の1種類以上のα−オレフィンの誘導単位を含むポリマーを製造するための、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
液相中で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
重合温度が20℃〜150℃の範囲である、請求項19〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
重合温度が60℃〜110℃の範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
1−ブテンをプロピレンと共重合する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
式(III)のリガンド又はその二重結合異性体。
【化5】

(式中、L、R、R、T、T、T、T、W及びWは、請求項1において定義した意味を有する。)

【公表番号】特表2009−533382(P2009−533382A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504708(P2009−504708)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053422
【国際公開番号】WO2007/116034
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】