説明

メモリモジュールの救済方法、メモリモジュール及び揮発性メモリ

【課題】メモリモジュールの電気的試験で不良と判定された揮発性メモリを交換することなく、不良メモリセルの救済が可能なメモリモジュールの救済方法及びメモリモジュールを提供する。
【解決手段】不良と判定された揮発性メモリのメモリセルに対応する不良行アドレス及び不良列アドレス、並びに不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を不揮発性メモリへ格納しておき、システムの立ち上げ時に、不揮発性メモリに格納されたそれらの情報を、アドレス端子を介して揮発性メモリへ転送して保持し、不良と判定された揮発性メモリのメモリセルに対応するアドレスが入力された場合は、揮発性メモリで保持された情報を用いて該メモリセルに代わって冗長メモリセルへアクセスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDRAMやSRAM等の揮発性メモリとE2PROM等の書き換え可能な不揮発性メモリとがそれぞれ搭載されたメモリモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパーソナルコンピュータやワークステーションサーバコンピュータ等の情報処理装置では、CPUによる処理の高速化や処理ビット数の増大に伴って主記憶装置の記憶容量も増大し、SIMM(Single Inline Memory Module)、DIMM(Dual Inline Memory Module)、あるいはMCP(Multi Chip Package)等のメモリモジュールが用いられるようになってきた。
【0003】
図8はメモリモジュールの一構成例を示す平面図であり、図9はメモリモジュールの他の構成例を示す側面図である。
【0004】
図8及び図9に示すように、メモリモジュールは、DRAM等の複数の揮発性メモリ1とE2PROM等の書き換え可能な不揮発性メモリ2とが同一の基板3上に搭載された構成である。なお、図8はSIMM(またはDIMM)の構成例を示し、図9は揮発性メモリ1上に不揮発性メモリ2が積載されたMCPの構成例を示している。
【0005】
これらのメモリモジュールが有する揮発性メモリ1には、データの書き込み/読み出しを行うアドレス信号A0〜An(nは正の整数)、揮発性メモリ1を所定の動作モードに設定するための制御信号RAS(Row address strobe command),CAS(Column address strobe command),WE(Write enable)、及び活性化するメモリを選択するための制御信号CS(Chip select)が共通に供給される。また、揮発性メモリ1には、入出力データであるDQ信号及びDQ信号をマスクするためのDQM信号が、各揮発性メモリ1に割り当てられたビットに応じて供給または出力される。なお、バンクは、制御信号CSで選択される、並列にアクセス可能なメモリモジュールのメモリ領域であり、例えば、DIMMの場合は、基板の一方の面に搭載された揮発性メモリ1がバンク0に設定され、他方の面に搭載された揮発性メモリ1がバンク1に設定される。
【0006】
不揮発性メモリ2には、メモリモジュールの構成や種類、特性等の情報が予め格納され、メモリモジュールを備えたシステム(情報処理装置等)でそれらの情報が使用される。
【0007】
次に図8及び図9に示した揮発性メモリ1の構成について図面を用いて説明する。
【0008】
図10は従来の揮発性メモリの構成を示すブロック図であり、図11は図10に示した初期設定レジスタ及びコマンドデコーダの構成を示す回路図である。図12は図10に示した初期設定レジスタ及びコマンドデコーダの動作の様子を示すタイミングチャートである。また、図13は図10に示した冗長行デコーダの構成を示す回路図であり、図14は図10に示した冗長列デコーダの構成を示す回路図である。なお、図10に示す揮発性メモリは従来のSDRAM(Synchronous DRAM)の一構成例を示している。
【0009】
図10に示すように、従来の揮発性メモリ1は、データを格納するための複数のメモリセルMCから構成されるメモリセルアレイ11と、メモリセルMCに格納されたデータを読み出すための複数のセンスアンプ12と、データの書き込み/読み出しを行うメモリセルMCにアクセスするためのアドレス信号ADDをデコードする行デコーダ13及び列デコーダ14と、列デコーダ14のデコード結果にしたがってセンスアンプ12の出力をON/OFFする複数の列スイッチ15と、メモリセルMCに書き込むデータを一時的に保持するデータラッチ回路16と、メモリセルMCから読み出されたデータを一時的に保持する出力ラッチ回路17と、行デコーダ13に供給する行アドレスを一時的に保持する行アドレスラッチ回路18と、列デコーダに供給する列アドレスを一時的に保持する列アドレスラッチ回路19と、揮発性メモリ1を各種動作モードに設定するために外部から供給される制御コマンドをデコードするコマンドデコーダ20と、アドレス信号ADDを用いて設定される、CASレイテンシー(Latency)、バースト長、及びバーストタイプのモード設定情報を保持する初期設定レジスタ21と、コマンドデコーダ20の出力信号にしたがってメモリセルアレイ11に対するデータの書き込み動作及びメモリセルアレイからのデータの読み出し動作を制御する制御回路22と、外部から供給されるデータを受信し、データラッチ回路16へ供給するデータ入力バッファ回路23と、出力ラッチ回路17から出力されたデータを外部へ送出するデータ出力バッファ回路24とを有する構成である。
【0010】
メモリセルアレイ11は、通常使用されるメモリセル領域である正規メモリセル領域111に加えて、正規メモリセル領域111のメモリセルに不良が発生した場合に置き換えるための冗長メモリセルが形成された冗長行メモリセル領域112及び冗長列メモリセル領域113を備えた構成である。
【0011】
また、行デコーダ13は、上記正規メモリセル領域111及び冗長行メモリセル領域112に対応させて、正規行デコーダ131及び冗長行デコーダ132を備え、列デコーダ14は、上記正規メモリセル領域111及び冗長列メモリセル領域113に対応させて、正規列デコーダ141及び冗長列デコーダ142を備えている。さらに、列スイッチ15は、上記正規メモリセル領域111及び冗長列メモリセル領域113に対応させて、正規列スイッチ151及び冗長列スイッチ152を備えている。
【0012】
図11に示すように、初期設定レジスタ21は、アドレス信号A0〜Anをビット毎に保持するn個のアドレスラッチ回路2101〜210nと、制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CSをそれぞれ保持する複数のモードラッチ回路211とを備え、外部から供給されるクロックCLKに同期してラッチ信号IA0〜IAn,IA0B〜IAnB、並びに制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CS及びそれらの反転信号を出力する構成である。なお、図11ではモードラッチ回路211が1つだけ記載されているが、実際には制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CSに対応してそれぞれ設けられている。
【0013】
コマンドデコーダ20は、アドレスラッチ回路2101〜210nから出力されるラッチ信号IA0〜IAn,IA0B〜IAnBのうち、上記モード設定情報として用いるラッチ信号IA0〜IAm,IA0B〜IAmB(mは正の整数:m<n)をデコードし、CASレイテンシー、バースト長、及びバーストタイプのモード設定結果を出力するレイテンシー設定デコーダ201、バースト長設定デコーダ202、及びバーストタイプ設定デコーダ203と、モードラッチ回路211から出力される制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CSをデコードし、モードレジスタ活性信号MRSを出力するモードレジスタ設定デコーダ204と、外部から供給されるクロック信号CLKを所定時間だけ遅延させる遅延回路205と、モードレジスタ活性信号MRSと遅延回路205から出力されたクロック信号の論理積を出力する論理積ゲート206と、論理積ゲート206から出力されるタイミングクロックに同期してレイテンシー設定デコーダ201、バースト長設定デコーダ202、及びバーストタイプ設定デコーダ203の出力信号を保持するモードラッチ回路2071〜2073とを有する構成である。
【0014】
図11に示した初期設定レジスタ21及びコマンドデコーダ20は、アドレス信号A0〜Amを用いて設定されるCASレイテンシー、バースト長、及びバーストタイプのデータをそれぞれ保持するモードレジスタとして機能する。なお、レイテンシー設定デコーダ201、バースト長設定デコーダ202、及びバーストタイプ設定デコーダ203は、アドレス信号Am+1が"0"のとき、デコード結果をそれぞれ出力する。モードラッチ回路2071〜2073から出力されるレイテンシー信号、バースト長信号、及びバーストタイプ信号は、次のモードレジスタ活性信号MRSが出力されるまで、すなわち次のモード設定が実行されるまで保持される。
【0015】
図12に示すように、上述したモードレジスタ設定時、制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CSと、ラッチ信号IA0〜IAm+1,IA0B〜IAm+1Bとは、それぞれクロックCLKの立ち上がりに同期して揮発性メモリ1に取り込まれ(アドレスラッチ回路2101〜210nで保持され)、モードラッチ回路2071〜2073に入力されるタイミングクロックの立ち上がりに同期してモードレジスタに書き込まれる。
【0016】
上述したように、アドレス信号A0〜Amは、CASレイテンシー、バースト長、及びバーストタイプの設定に用いられ、アドレス信号Am+1はモードレジスタの設定時に"0"に設定される。
【0017】
図13に示すように、冗長行デコーダ132は、行アドレスラッチ回路18から出力される内部行アドレス信号ALX0〜ALXm,ALX0B〜ALXmBによりon/offが制御される、ドレイン及びソースがそれぞれ共通に接続された冗長行デコーダトランジスタ1330〜1332mと、制御回路22から送出されるプリチャージ信号Pxrdによりon/offが制御される、冗長行デコーダトランジスタ1330〜1332mのドレインにそれぞれ電源電圧VDDを供給するプリチャージトランジスタ134と、プリチャージトランジスタ134の出力信号と制御回路22から送出される冗長ワード線を選択するための選択信号RWEの論理積を出力する論理積ゲート135とを有する構成である。
【0018】
冗長行デコーダトランジスタ1330〜1332mのソースはそれぞれ接地され、ドレインとノードN1間には、レーザ光によって切断可能なヒューズ素子1360〜1362mがそれぞれ設けられている。
【0019】
ヒューズ素子1360〜1362mは、ウエハ製造後の試験で不良と判定されたメモリセルの行アドレスに基づいてレーザ光により溶断される。例えば、行アドレスの最下位ビットが"1"、他のビットが全て"0"のメモリセルで不良が発生した場合は、内部行アドレス信号ALX0、ALX0B〜ALXmBが入力される冗長行デコーダトランジスタ133のドレインに設けられたヒューズ素子136が全て切断される。また、行アドレスの最下位ビットが"0"、他のビットが全て"1"のメモリセルで不良が発生した場合は、内部行アドレス信号ALX0B、ALX0〜ALXmが入力される冗長行デコーダトランジスタ133のドレインに設けられたヒューズ素子136が全て切断される。
【0020】
このようなレーザ光で溶断可能な複数のヒューズ素子を用い、レーザトリミング処理によって冗長メモリセルへアクセスするための情報を保持することで、不良と判定されたメモリセルに対応する行アドレス信号A0〜Amが入力された場合は、冗長行デコーダトランジスタ133とプリチャージトランジスタ134の接続ノードN1が"High"(VDD)となるため、論理積ゲート135の出力信号RWL1が活性化される。論理積ゲート135の出力線は冗長行メモリセル領域112のワード線であるため、不良と判定されたメモリセルのアドレスが入力されると、該メモリセルに代わって冗長行メモリセル領域112の活性化されたワード線RWL1に繋がるメモリセルにアクセスされる。
【0021】
なお、冗長行デコーダ132は、図13に示した冗長行デコーダトランジスタ1330〜1332m、プリチャージトランジスタ134、及び論理積ゲート135を複数組備え、不良メモリセルが複数個在る場合は、それぞれのアドレスに対応する組毎にレーザトリミング処理が実施される。
【0022】
図14に示すように、従来の冗長列デコーダ142は、図13に示した冗長行デコーダ132と同様の構成であり、列アドレスラッチ回路19から出力される内部列アドレス信号ALY0〜ALYm,ALY0B〜ALYmBによりon/offが制御される、ドレイン及びソースがそれぞれ共通に接続された冗長列デコーダトランジスタ1430〜1432mと、制御回路22から送出されるプリチャージ信号Pyrdによりon/offが制御される、冗長列デコーダトランジスタ1430〜1432mのドレインにそれぞれ電源電圧VDDを供給するプリチャージトランジスタ144と、プリチャージトランジスタ144の出力信号と制御回路22から送出される冗長ビット線を選択するための選択信号RYEの論理積を出力する論理積ゲート145とを有する構成である。冗長列デコーダトランジスタ1430〜1432mのソースはそれぞれ接地され、ドレインとノードN2間にはレーザ光によって切断可能なヒューズ素子1460〜1462mがそれぞれ設けられている。
【0023】
ヒューズ素子1460〜1462mは、冗長行デコーダ132と同様にウエハ製造後の試験で不良と判定されたメモリセルの列アドレスに基づいてレーザ光により溶断される。
【0024】
その他のメモリセルアレイ11、センスアンプ12、正規行デコーダ回路131、正規列デコーダ回路141、列スイッチ15、データラッチ回路16、出力ラッチ回路17、行アドレスラッチ回路18、列アドレスラッチ回路19、制御回路22、データ入力バッファ回路23、及びデータ出力バッファ回路24の構成は、本発明と直接関係しないため、その詳細な説明は省略する。これらの回路は、所定の機能を満たす構成であれば、周知のどのような構成を採用してもよい。
【0025】
また、不揮発性メモリ2は、書き換え可能な、例えばE2PROMであれば、周知のどのような構成であってもよい。
【0026】
次に、上記構成のメモリモジュールの従来の製造手順について図面を用いて説明する。
【0027】
図15はメモリモジュールの一般的な製造手順を示すフローチャートであり、図16は図15に示した従来のメモリモジュールの電気的試験の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
図15に示すように、メモリモジュールの製造工程では、まず、揮発性メモリ1のウエハ製造が終了した段階でメモリセルアレイ11の検査を行い、不良が発生したメモリセルを特定する(ステップS1)。
【0029】
次に、上述したレーザトリミング処理により不良が発生したメモリセルから冗長メモリセルへ置き換えるための不良救済処理を実行し(ステップS2)、ウエハの検査を再度実施してメモリセルアレイ11の良/不良を判定する(ステップS3)。
【0030】
続いて、検査で良品と判定されたウエハをモールドパッケージ内に収容して、揮発性メモリ1を組み立てる(ステップS4)。
【0031】
次に、組み立てた揮発性メモリ1に対して第1の電気的試験を実施し、揮発性メモリ1の単体としての性能を確認する(ステップS5)。
【0032】
次に、所定の条件でバーンイン試験を実施した後(ステップS6)、揮発性メモリ1に対して第2の電気的試験を実施し(ステップS7)、バーンイン試験終了後の性能を確認する。この第2の電気的試験で不良が発見されない場合に単体の揮発性メモリ1が完成する(ステップS8)。
【0033】
次に、完成した単体の揮発性メモリ1、及び同様工程で製造された不揮発性メモリ2をメモリモジュールの製造工程へ投入し(ステップS9)、揮発性メモリ1及び不揮発性メモリ2をメモリモジュールの基板3上にそれぞれ搭載する(ステップS10)。
【0034】
続いて、上記揮発性メモリ1及び不揮発性メモリ2をそれぞれメモリモジュールの基板3上に固定し、はんだリフロー工程により基板3上に形成された回路パターンと、揮発性メモリ1及び不揮発性メモリ2の外部端子とをはんだ付けする(ステップS11)。
【0035】
最後に、メモリモジュールの電気的試験を実施し(ステップS12)、不良が発見されない場合にメモリモジュールが完成する(ステップS13)。
【0036】
図16に示すように、メモリモジュールの電気的試験では、最初にメモリモジュールの基板上に搭載された不揮発性メモリ(E2PROM)に対して所定のデータを書き込み、書き込んだデータを読み出してその内容を検証する(ステップS21)。
【0037】
次に、同一基板上に搭載された複数の揮発性メモリの試験を不揮発性メモリと同様の手順で実施する(ステップS22)。
【0038】
そして、試験の結果から不良があるか否かを確認し(ステップS23)、不良が発見されない場合(パス)は、メモリモジュールが完成する。また、不良が発見された場合は、不良の揮発性メモリを新しい揮発性メモリに交換(リペア)し(ステップS24)、ステップS22の処理に戻ってメモリモジュールに搭載された揮発性メモリの電気的試験を再度実施する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
上述したように、従来のメモリモジュールの製造工程では、ウエハの製造が終了した段階で検査を実施して不良のメモリセルを特定し、予め同一のウエハ上に形成した冗長メモリセルに置き換えることで不良メモリを救済する処置が施されている。
【0040】
しかしながら、近年の揮発性メモリや不揮発性メモリ等では、そのメモリセルの微細化に伴って歩留りがますます悪化している。また、メモリの組み立て後に実施されるバーンイン試験で印加されるストレスにより不良となる割合も増加している。さらに、複数の揮発性メモリや不揮発性メモリが同一基板上に搭載されるメモリモジュールの歩留りも搭載個数の増加に伴って悪化し、メモリ単体の電気的試験で良品と判定された製品でも、モジュール化のためのはんだリフロー工程で印加される熱ストレスで不良に至ってしまうものも少なくない。
【0041】
メモリ単体の電気的試験、あるいはメモリモジュールの電気的試験で不良と判定された半導体メモリは基本的に廃棄するしかなく、特にメモリモジュールの電気的試験で不良と判定された場合は、不良メモリから新しいメモリへの交換を手作業で実施するため、作業時間が長くなってメモリモジュールのコストを上昇させる要因となっていた。
【0042】
本発明は上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、メモリモジュールの電気的試験で不良と判定された場合でも、不良の揮発性メモリを交換することなく不良メモリセルの救済が可能なメモリモジュールの救済方法及びメモリモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
上記目的を達成するため本発明のメモリモジュールの救済方法は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールの電気的試験において不良と判定された揮発性メモリを救済するためのメモリモジュールの救済方法であって、
前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する不良情報を前記不揮発性メモリに格納し、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して入力される前記不良情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報を、前記不良と判定された揮発性メモリ内に保持し、
該保持した不良情報に基づいて、前記不良と判定された揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済することを特徴とする。
【0044】
または、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールの電気的試験において不良と判定された揮発性メモリを救済するためのメモリモジュールの救済方法であって、
メモリモジュールの電気的試験を行うステップと、
前記メモリモジュールの電気的試験において前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応する不良アドレス情報及び前記不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を前記不揮発性メモリに格納するステップと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して時系列に入力される前記不良アドレス情報及び前記不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を、前記不良と判定された揮発性メモリの保持回路に保持するステップと、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わって冗長メモリセルへアクセスするステップとを含み、
前記メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記不良メモリセルを、該不良メモリセルを含む前記揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて救済することを特徴とする。
【0045】
ここで、前記不良アドレス情報が、不良行アドレス及び不良列アドレスであってもよく、前記揮発性メモリが前記メモリモジュールに複数搭載されていてもよい。
【0046】
一方、本発明のメモリモジュールは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールであって、
該メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する不良情報を格納する前記不揮発性メモリと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して入力される前記不良情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報として保持し、該保持した情報に基づいて、自メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済する揮発性メモリと、
を備えることを特徴とする。
【0047】
または、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールであって、
該メモリモジュールの電気的試験において前記揮発性メモリが不良と判定された場合に、前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応する不良アドレス情報及び前記不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を格納する前記不揮発性メモリと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して時系列に入力される前記不良アドレス情報及び前記不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を保持する保持回路を含むと共に、前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを含む前記揮発性メモリと、
を備え、
前記メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記不良メモリセルを、該不良メモリセルを含む前記揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて救済することを特徴とする。
【0048】
このとき、前記不良アドレス情報が、
不良行アドレス及び不良列アドレスであってもよく、
前記揮発性メモリが前記メモリモジュールに複数搭載されていてもよい。
【0049】
また、本発明の揮発性メモリは、不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを備えた揮発性メモリであって、
外部よりアドレス端子を介して入力される前記揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報として保持し、該保持した不良情報に基づいて、自メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済することを特徴とする。
【0050】
または、不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを備えた揮発性メモリであって、
外部よりアドレス端子を介して時系列に入力される不良アドレス情報及び不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を保持する保持回路を備え、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセルへアクセスし、前記不良メモリセルを救済することを特徴とする。
【0051】
このとき、複数のヒューズ素子を備え、前記揮発性メモリ単体の電気的試験で不良となった他の不良メモリセルに対応するアドレスを前記複数のヒューズ素子を用いて保持し、前記複数のヒューズ素子が保持したアドレスに基づいて、前記他の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記他の不良メモリセルに代わって他の冗長メモリセルへアクセスし、前記他の不良メモリセルを救済してもよい。
【0052】
また、本発明の他の揮発性メモリは、正規メモリセル領域及び前記正規メモリセル領域内の不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセル領域を備えた揮発性メモリであって、
前記揮発性メモリ単体の電気的試験で不良となった前記正規メモリセル領域の第1の不良メモリセルに対応するアドレスを記憶する複数のヒューズ素子と、外部よりアドレス端子を介して時系列に入力される不良アドレス情報及び不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報として保持する保持回路とを備え、
前記複数のヒューズ素子が保持したアドレスに基づいて、前記正規メモリセル領域内の前記第1の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記正規メモリセル領域内の前記第1の不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセル領域内の第1の冗長メモリセルへアクセスし、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリの前記正規メモリセル領域内の第2の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記正規メモリセル領域内の前記第2の不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセル領域内の第2の冗長メモリセルへアクセスし、前記不良メモリセルを救済することを特徴とする。
【0053】
ここで、前記不良アドレス情報が、不良行アドレス及び不良列アドレスであってもよく、
前記複数のヒューズ素子が、レーザ光で溶断可能であってもよい。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、電気的試験で不良と判定された揮発性メモリのメモリセルに対応する不良行アドレス及び不良列アドレス、並びに不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を不揮発性メモリへ格納しておき、メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、不揮発性メモリに格納された不良行アドレス、不良列アドレス、及び不良デバイス情報を揮発性メモリへ転送し、該揮発性メモリで、転送された不良行アドレス、不良列アドレス、及び不良デバイス情報をそれぞれ保持し、揮発性メモリで保持した不良行アドレス、不良列アドレス、及び不良デバイス情報に基づいて、不良と判定された揮発性メモリのメモリセルに対応するアドレスが入力された場合に、該メモリセルに代わって冗長メモリセルへアクセスすることで、メモリモジュールの電気的試験で揮発性メモリのメモリセルに不良が発見されても、その不良メモリセルを救済することが可能になるため、メモリモジュールの歩留まりが向上する。また、不良が発見された揮発性メモリの交換や廃棄を行う必要が無くなるため、作業時間の増大によるメモリモジュールのコストの上昇が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
次に本発明について図面を参照して説明する。
【0056】
本発明では、メモリモジュールの電気的試験で不良が検出された揮発性メモリのメモリセルに対応する不良行アドレス及び不良列アドレス(以下、不良行アドレス及び不良列アドレスをまとめて不良アドレス情報と称す場合がある)を同じメモリモジュールに搭載された不揮発性メモリへ格納する。また、メモリモジュールの電気的試験で不良が検出された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を不揮発性メモリへ格納する。
【0057】
揮発性メモリは、システムの立ち上げ時に、不揮発性メモリからシステムが備えるメモリ制御回路を介して転送される不良アドレス情報を保持するための不良情報格納回路と、不良アドレス情報が自メモリに対する情報であるか否かを不良デバイス情報から判定し、その結果を保持するデバイス情報格納回路とを備え、該不良情報格納回路及びデバイス情報格納回路に保持された情報に基づいて、不良が発生したメモリセル(不良メモリセル)に対応するアドレス信号が入力された場合は正規メモリセルから冗長メモリセルへアクセスを切り換える。このことにより、メモリモジュールの電気的試験で不良と判定された揮発性メモリを救済する。
【0058】
メモリ制御回路は、不揮発性メモリから読み出した不良アドレス情報及び不良デバイス情報をメモリモジュールのDQM端子及びアドレス端子を介して揮発性メモリへ転送する。
【0059】
図1は本発明のメモリモジュールに搭載される揮発性メモリの一構成例を示すブロック図であり、図2は図1に示した揮発性メモリに格納される不良デバイス情報及び不良アドレス情報のビット配列を示す模式図である。図3は図1に示した不良情報格納回路及びデバイス情報格納回路の一構成例を示す回路図であり、図4は図1に示した揮発性メモリに対する不良デバイス情報及び不良アドレス情報の格納タイミングを示すフローチャートである。また、図5は図1に示した行アドレスコンパレータ及び冗長行デコーダの一構成例を示す回路図であり、図6は図1に示した列アドレスコンパレータ及び冗長列デコーダの一構成例を示す回路図である。
【0060】
図1に示すように、本発明の揮発性メモリは、図10に示した従来の揮発性メモリの構成に加えて、不良アドレス情報を保持する不良情報格納回路25と、不良アドレス情報が自メモリに対する情報であるか否かを不良デバイス情報から判定し、その判定結果を保持するデバイス情報格納回路26と、不良情報格納回路25に格納された不良行アドレスRX0〜RXm,RX0B〜RXmBと行アドレスラッチ回路から供給される内部行アドレスALX0〜ALXm,ALX0B〜ALXmBを比較する行アドレスコンパレータ27と、不良情報格納回路25に格納された不良列アドレスRY0〜RYm,RY0B〜RYmBと列アドレスラッチ回路から供給される内部列アドレスALY0〜ALYm,ALY0B〜ALYmBを比較する列アドレスコンパレータ28とを有する構成である。
【0061】
図2に示すように、本実施形態では、アドレス信号A0〜Anのうち、ビットA0〜Amを用いて、不良デバイス情報及び不良アドレス情報を不揮発性メモリから揮発性メモリへ転送する。また、ビットAm+1〜Am+3を用いて、ビットA0〜Amが不良デバイス情報であるか、不良行(X)アドレスであるか、不良列(Y)アドレスであるかを判定する。なお、ビットAm+1は、通常のモードレジスタの設定時には「0」に設定するため、本発明の適用時では「1」に設定することで他のモードレジスタ設定時と区別する。
【0062】
具体的には、ビットAm+3、Am+2、Am+1が「001」のとき、ビットA0〜Amを用いて不良デバイス情報が転送され、ビットAm+3、Am+2、Am+1が「011」のとき、ビットA0〜Amを用いて不良行(X)アドレスが転送され、ビットAm+3、Am+2、Am+1が「101」のとき、ビットA0〜Amを用いて不良列(Y)アドレスが転送されるものとする。
【0063】
また、本実施形態では、不良デバイス情報として、ビットAmを用いて不良救済番号を転送し、ビットAm−1を用いてモジュールバンク情報を転送する。不良救済番号は、不揮発メモリ内に2つの不良メモリセルが在る場合に、それらを識別するための情報であり、モジュールバンク情報は制御信号/CSで選択されるメモリモジュールのバンクを示す情報である。すなわち、モジュールバンク情報は制御信号/CSに一致する。
【0064】
さらに、不良デバイス情報には、不良デバイスであるか否かを揮発性メモリで認識するためのDQM信号が含まれる。DQM信号は、本来、DQ信号をマスクするための信号であるが、不揮発性メモリから不良デバイス情報を転送する際に、システムが備えるメモリ制御回路により不良デバイスであるか否かの情報をDQM信号に対応させることで不良デバイス情報に変換される。
【0065】
図3に示すように、デバイス情報格納回路26は、制御信号/CSをクロックCLKに同期して保持するラッチ回路261と、不良デバイスであるか否かを認識するためのDQM信号をクロックCLKに同期して保持するラッチ回路262と、制御信号/CSとラッチ信号IAm−1との論理積を出力する論理積ゲート263と、ラッチ信号IAmを受信するバッファ回路264と、バッファ回路264の出力信号と論理積ゲート263の出力信号の論理積を出力する論理積ゲート265と、不良情報格納回路25から供給されるタイミングクロックに同期して論理積ゲート265から受信した信号をDSL信号として出力するフリップフロップから成るデバイス情報格納レジスタ266とを有する構成である。
【0066】
なお、図3に示したデバイス情報格納回路26は、1つの不良メモリセルを救済するために用いる回路例であり、例えば、不良メモリセルがもう一つ在る場合は、図3に示したデバイス情報格納回路26に、ラッチ信号IAmBを受信するバッファ回路を追加し、該バッファ回路の出力信号を論理積ゲート265に入力する。このことによりDSL信号を用いて2つの不良メモリセルの救済が可能になる。
【0067】
一方、不良情報格納回路25は、ラッチ信号IAm+1〜IAm+3,IAm+2B,IAm+3Bをデコードし、ビットA0〜Amが不良デバイス情報であるか、不良行(X)アドレスであるか、不良列(Y)アドレスであるかを判別するためのデコード結果を出力する論理積ゲート251〜253と、外部から供給されるクロック信号CLKを所定時間だけ遅延させる遅延回路254と、ビットA0〜Amを用いて供給された不良行アドレスをラッチする複数のフリップフロップから成る不良行アドレス格納レジスタ258と、ビットA0〜Amを用いて供給された不良列アドレスをラッチする複数のフリップフロップから成る不良列アドレス格納レジスタ259と、論理積ゲート251〜253の出力信号と遅延回路254の出力信号の論理積を出力し、デバイス情報格納レジスタ266、不良行アドレス格納レジスタ258、不良列アドレス格納レジスタ259に情報を保持させるためのタイミングクロックを供給する論理積ゲート255〜257とを有する構成である。なお、ラッチ信号IA0〜IAm,IAm−1〜IAm,IAm+1〜IAm+3,IAm+2B,IAm+3Bは、アドレス信号A0〜Am+3のラッチ出力であり、図1に示した初期設定レジスタが備えるアドレスラッチ回路から供給される。
【0068】
図4に示すように、制御信号/RAS,/CAS,/WE,/CSは、それぞれクロックCLKの立ち上がりに同期して揮発性メモリに取り込まれ、上述した不良デバイス情報、不良行アドレス、不良列アドレスの順に不揮発性メモリから揮発性メモリへ転送され、デバイス情報格納回路26及び不良情報格納回路25に格納される。このとき、不良デバイス情報は、システムが備えたメモリ制御回路を介して揮発性メモリのDQM端子及びアドレス端子から取り込まれ、不良アドレス情報は、システムが備えたメモリ制御回路を介して揮発性メモリのアドレス端子から取り込まれる。
【0069】
図5に示すように、行アドレスコンパレータ27は、行アドレスラッチ回路から出力される内部行アドレス信号ALX0〜ALXm,ALX0B〜ALXmBと、不良情報格納回路25に格納された不良行アドレス信号RX0〜RXm,RX0B〜RXmBの排他的論理和をビット毎に出力するEXORゲート2710〜2712mを備えた構成である。
【0070】
本実施形態の冗長行デコーダ29は、従来の冗長行デコーダの構成に加えて、図5に示したEXORゲート2710〜2712mの出力信号によりon/offが制御される、ドレイン及びソースがそれぞれ共通に接続された冗長行デコーダトランジスタ2720〜2722mと、制御回路から送出されるプリチャージ信号Pxrdによりon/offが制御される、冗長行デコーダトランジスタ2720〜2722mのドレインにそれぞれ電源電圧VDDを供給するプリチャージトランジスタ273と、プリチャージトランジスタ273の出力信号及びデバイス情報格納回路26から出力されるDSL信号の論理積を出力する論理積ゲート274とを有する構成である。なお、冗長行デコーダトランジスタ2720〜2722mのソースはそれぞれ接地されている。
【0071】
このような構成では、不良と判定されたメモリセルに対応する行アドレス信号A0〜Amが入力されると、行アドレスコンパレータ27が有するEXORゲート2710〜2712mから"Low"が出力され、冗長行デコーダトランジスタ2720〜2722mがそれぞれoffして、冗長行デコーダトランジスタ272とプリチャージトランジスタ273の接続ノードN1が"High"(VDD)になるため、論理積ゲート274の出力信号RWL2が活性化される。論理積ゲート274の出力線は冗長行メモリセル領域のワード線であるため、不良と判定されたメモリセルのアドレスが入力されると、該メモリセルに代わって冗長行メモリセル領域の活性化されたワード線RWL2に繋がるメモリセルにアクセスされる。
【0072】
図6に示すように、列アドレスコンパレータ28は、列アドレスラッチ回路から出力される内部行アドレス信号ALY0〜ALYm,ALY0B〜ALYmBと、不良情報格納回路25に格納された不良列アドレス信号RY0〜RYm,RY0B〜RYmBの排他的論理和をビット毎に出力するEXORゲート2810〜2812mを備えた構成である。
【0073】
また、本実施形態の冗長列デコーダ30は、従来の冗長列デコーダの構成に加えて、図6に示したEXORゲート2810〜2812mの出力信号によりon/offが制御される、ドレイン及びソースがそれぞれ共通に接続された冗長列デコーダトランジスタ2820〜2822mと、制御回路から送出されるプリチャージ信号Pyrdによりon/offが制御される、冗長列デコーダトランジスタ2820〜2822mのドレインにそれぞれ電源電圧VDDを供給するプリチャージトランジスタ283と、プリチャージトランジスタ283の出力信号、及びデバイス情報格納回路26から出力されるDSL信号の論理積を出力する論理積ゲート284とを有する構成である。なお、冗長列デコーダトランジスタ2820〜2822mのソースはそれぞれ接地されている。
【0074】
このような構成では、図5に示した行アドレスコンパレータ28及び冗長行デコーダ29と同様に、不良と判定されたメモリセルに対応する列アドレス信号A0〜Amが入力されると、列アドレスコンパレータ28が有するEXORゲート2810〜2812mから"Low"が出力され、冗長列デコーダトランジスタ2820〜2822mがそれぞれoffして、冗長列デコーダトランジスタ282とプリチャージトランジスタ283の接続ノードN2が"High"(VDD)になるため、論理積ゲート284の出力信号RYS2が活性化される。論理積ゲート284の出力線は冗長列メモリセル領域のビット線であるため、不良と判定されたメモリセルのアドレスが入力されると、該メモリセルに代わって冗長列メモリセル領域の活性化されたビット線RYS2に繋がるメモリセルにアクセスされる。
【0075】
次に、上記構成の揮発性メモリを有する本発明のメモリモジュールの電気的試験の処理手順について図面を用いて説明する。
【0076】
図7は本発明のメモリモジュールの電気的試験の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
図7に示すように、本発明のメモリモジュールの電気的試験では、従来と同様に、最初にメモリモジュールの基板上に搭載された不揮発性メモリ(E2PROM)に対して所定のデータを書き込み、書き込んだデータを読み出してその内容を検証する(ステップS31)。
【0078】
次に、同一基板上に搭載された複数の揮発性メモリの試験を実施する(ステップS32)。そして、試験の結果から不良の有無を確認し(ステップS33)、不良が発見されない場合(パス)は、メモリモジュールが完成する。また、不良が発見された場合は、不良が発生した揮発性メモリの不良デバイス情報、及び不良が検出された揮発性メモリのメモリセルに対応する不良行アドレス及び不良列アドレスをそれぞれ不揮発性メモリに書き込み(ステップS34)、メモリモジュールを完成する。
【0079】
したがって、本発明によれば、メモリモジュールの電気的試験で揮発性メモリのメモリセルに不良が発見されても、その不良メモリセルを救済することが可能になるため、メモリモジュールの歩留まりが向上する。また、不良が発見された揮発性メモリの交換や廃棄を行う必要が無くなるため、作業時間の増大によるメモリモジュールのコストの上昇を抑制できる。
【0080】
なお、本発明では、不良デバイス情報及び不良アドレス情報を不揮発性メモリに予め格納しておき、システムの立ち上げ時にそれらの情報を揮発性メモリへ転送して保持する方法を提案しているが、メモリモジュールを救済する他の方法として、例えば、不良デバイス情報及び不良アドレス情報を揮発性メモリへ転送することなく、不揮発性メモリ内にそのまま格納しておき、揮発性メモリに対するアクセスがある毎に不揮発性メモリからそれらの情報を読み出す方法も考えられる。また、揮発性メモリ内に不良アドレス情報を保持する不揮発性のレジスタを備え、該レジスタからそれらの情報を読み出すことで不良メモリセルの救済を行う方法も考えられる。
【0081】
しかしながら、不揮発性メモリに毎回アクセスする方法では揮発性メモリに対するデータの書き込み/読み出し時間が長くなって揮発性メモリへデータを読み書きするためのアクセス時間が遅くなる問題がある。一方、揮発性メモリ内に設けたレジスタに不良アドレス情報を格納しておく方法では、レジスタに対するアクセス時間が必要になるため、レーザ光で溶断可能な複数のヒューズ素子で冗長メモリセルへアクセスするための情報を保持する方法に比べて不揮発性メモリに対するアクセス時間が長くなる問題がある。
【0082】
本発明では、メモリモジュールを搭載するシステムの立ち上げ時に、不揮発性メモリに格納された不良デバイス情報、不良行アドレス、及び不良列アドレスを揮発性メモリへ転送するため、以降、不揮発性メモリに対するアクセスが不要になり、揮発性メモリへのアクセス時間の遅れが最小限に抑制される。
【0083】
一般に、揮発性メモリには不良メモリセルを救済するために5000本を超える上記ヒューズ素子が設けられている。このヒューズ素子に対するレーザトリミング工程は、例えばレーザ光の代わりに電気的に溶断させるヒューズ素子に比べて処置が容易であり、トリミング後の動作は、例えばトランジスタによるスイッチ素子に比べて非常に安定している。また、揮発性メモリ内に不良アドレス情報を保持する不揮発性のレジスタを備える方法に比べて、レジスタに対するアクセス時間が不要であるため、高速に動作する利点もある。したがって、メモリ単体における不良メモリセルの救済において、レーザトリミング処理は、今後も主流であり続けると思われる。
【0084】
本発明では、揮発性メモリ単体でレーザトリミング処理を実施して不良メモリセルを救済するだけでなく、不揮発性メモリに格納された不良デバイス情報、不良行アドレス信号、及び不良列アドレス信号を、システムの立ち上げ時にシステムが備えたメモリ制御回路を介して揮発性メモリへ転送し、不良情報格納回路25及びデバイス情報格納回路26で保持することで、メモリモジュールの製造終了後における不良メモリセルの救済も可能にするため、揮発性メモリに対するアクセス時間の遅れを最小限に抑制しつつ、メモリモジュールの歩留まりを向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のメモリモジュールに搭載される揮発性メモリの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示した揮発性メモリに格納される不良デバイス情報及び不良アドレス情報のビット配列を示す模式図である。
【図3】図1に示した不良情報格納回路及びデバイス情報格納回路の一構成例を示す回路図である。
【図4】図1に示した揮発性メモリに対する不良デバイス情報及び不良アドレス情報の格納タイミングを示すフローチャートである。
【図5】図1に示した行アドレスコンパレータ及び冗長行デコーダの一構成例を示す回路図である。
【図6】図1に示した列アドレスコンパレータ及び冗長列デコーダの一構成例を示す回路図である。
【図7】本発明のメモリモジュールの電気的試験の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】メモリモジュールの一構成例を示す平面図である。
【図9】メモリモジュールの他の構成例を示す側面図である。
【図10】従来の揮発性メモリの構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示した初期設定レジスタ及びコマンドデコーダの構成を示す回路図である。
【図12】図10に示した初期設定レジスタ及びコマンドデコーダの動作の様子を示すタイミングチャートである。
【図13】図10に示した冗長行デコーダの構成を示す回路図である。
【図14】図10に示した冗長列デコーダの構成を示す回路図である。
【図15】メモリモジュールの一般的な製造手順を示すフローチャートである。
【図16】図15に示した従来のメモリモジュールの電気的試験の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
25 不良情報格納回路
26 デバイス情報格納回路
27 行アドレスコンパレータ
28 列アドレスコンパレータ
29 冗長行デコーダ
30 冗長列デコーダ
251〜253、255〜257、263、265、274、284 論理積ゲート
254 遅延回路
258 不良行アドレス格納レジスタ
259 不良列アドレス格納レジスタ
261、262 ラッチ回路
264 バッファ回路
266 デバイス情報格納レジスタ
2710〜2712m、2810〜2812m EXORゲート
2720〜2722m 冗長行デコーダトランジスタ
273、283 プリチャージトランジスタ
2820〜2822m 冗長列デコーダトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールの電気的試験において不良と判定された揮発性メモリを救済するためのメモリモジュールの救済方法であって、
前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する不良情報を前記不揮発性メモリに格納し、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して入力される前記不良情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報を、前記不良と判定された揮発性メモリ内に保持し、
該保持した不良情報に基づいて、前記不良と判定された揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済することを特徴とするメモリモジュールの救済方法。
【請求項2】
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールの電気的試験において不良と判定された揮発性メモリを救済するためのメモリモジュールの救済方法であって、
メモリモジュールの電気的試験を行うステップと、
前記メモリモジュールの電気的試験において前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応する不良アドレス情報及び前記不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を前記不揮発性メモリに格納するステップと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して時系列に入力される前記不良アドレス情報及び前記不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を、前記不良と判定された揮発性メモリの保持回路に保持するステップと、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わって冗長メモリセルへアクセスするステップとを含み、
前記メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記不良メモリセルを、該不良メモリセルを含む前記揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて救済することを特徴とするメモリモジュールの救済方法。
【請求項3】
前記不良アドレス情報が、不良行アドレス及び不良列アドレスであることを特徴とする請求項2に記載のメモリモジュールの救済方法。
【請求項4】
前記揮発性メモリが前記メモリモジュールに複数搭載されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のメモリモジュールの救済方法。
【請求項5】
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールであって、
該メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する不良情報を格納する前記不揮発性メモリと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して入力される前記不良情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報として保持し、該保持した情報に基づいて、自メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済する揮発性メモリと、
を備えることを特徴とするメモリモジュール。
【請求項6】
揮発性メモリ及び不揮発性メモリを備えるメモリモジュールであって、
該メモリモジュールの電気的試験において前記揮発性メモリが不良と判定された場合に、前記不良と判定された揮発性メモリ内の不良メモリセルに対応する不良アドレス情報及び前記不良と判定された揮発性メモリを判別するための不良デバイス情報を格納する前記不揮発性メモリと、
前記メモリモジュールが搭載されたシステムの立ち上げ時に、前記不揮発性メモリよりアドレス端子を介して時系列に入力される前記不良アドレス情報及び前記不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を保持する保持回路を含むと共に、前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを含む前記揮発性メモリと、
を備え、
前記メモリモジュールの電気的試験において不良と判定された前記不良メモリセルを、該不良メモリセルを含む前記揮発性メモリ内の冗長メモリセルにて救済することを特徴とするメモリモジュール。
【請求項7】
前記不良アドレス情報が、
不良行アドレス及び不良列アドレスであることを特徴とする請求項6記載のメモリモジュール。
【請求項8】
前記揮発性メモリが前記メモリモジュールに複数搭載されたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載のメモリモジュール。
【請求項9】
不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを備えた揮発性メモリであって、
外部よりアドレス端子を介して入力される前記揮発性メモリ内の不良メモリセルに関する情報が自メモリに対するものであるか判定した結果を含む不良情報として保持し、該保持した不良情報に基づいて、自メモリ内の冗長メモリセルにて前記不良メモリセルを救済することを特徴とする揮発性メモリ。
【請求項10】
不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセルを備えた揮発性メモリであって、
外部よりアドレス端子を介して時系列に入力される不良アドレス情報及び不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報を保持する保持回路を備え、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリ内の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセルへアクセスし、前記不良メモリセルを救済することを特徴とする揮発性メモリ。
【請求項11】
複数のヒューズ素子を備え、前記揮発性メモリ単体の電気的試験で不良となった他の不良メモリセルに対応するアドレスを前記複数のヒューズ素子を用いて保持し、前記複数のヒューズ素子が保持したアドレスに基づいて、前記他の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記他の不良メモリセルに代わって他の冗長メモリセルへアクセスし、前記他の不良メモリセルを救済することを特徴とする請求項9または10記載の揮発性メモリ。
【請求項12】
正規メモリセル領域及び前記正規メモリセル領域内の不良メモリセルに代わってアクセスされる冗長メモリセル領域を備えた揮発性メモリであって、
前記揮発性メモリ単体の電気的試験で不良となった前記正規メモリセル領域の第1の不良メモリセルに対応するアドレスを記憶する複数のヒューズ素子と、外部よりアドレス端子を介して時系列に入力される不良アドレス情報及び不良デバイス情報が自メモリに対するものであるか判定した結果の情報として保持する保持回路とを備え、
前記複数のヒューズ素子が保持したアドレスに基づいて、前記正規メモリセル領域内の前記第1の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記正規メモリセル領域内の前記第1の不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセル領域内の第1の冗長メモリセルへアクセスし、
前記保持回路に保持した前記不良アドレス情報及び前記判定した結果の情報に基づいて、自メモリの前記正規メモリセル領域内の第2の不良メモリセルに対応するアドレスが入力された場合に前記正規メモリセル領域内の前記第2の不良メモリセルに代わって前記冗長メモリセル領域内の第2の冗長メモリセルへアクセスし、前記不良メモリセルを救済することを特徴とする揮発性メモリ。
【請求項13】
前記不良アドレス情報が、不良行アドレス及び不良列アドレスであることを特徴とする請求項10または12記載の揮発性メモリ。
【請求項14】
前記複数のヒューズ素子が、レーザ光で溶断可能であることを特徴とする請求項11または12記載の揮発性メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−328914(P2007−328914A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234329(P2007−234329)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願2002−215206(P2002−215206)の分割
【原出願日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】