説明

モノヒドロキシ芳香族材料を含有する粉末コーティングフルオロポリマー組成物

a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、d)所望により相間移動触媒と、を含む組成物が提供される。また、ここに記載の組成物の反応生成物、それら組成物及び反応生成物を含む多層物品、並びに、組成物、反応生成物、及び物品を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフルオロポリマー組成物に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、粉末コーティングフルオロポリマー組成物であって、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む、粉末コーティングフルオロポリマー組成物に関する。
【0003】
他の態様では、本発明は、コーティングを含む物品であって、コーティングが(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む、物品に関する。
【0004】
更に他の態様では、本発明は、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まない、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒との反応生成物に関する。
【0005】
他の態様では、本発明は、多層物品であって、基材と、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒との反応生成物を含む第1の層と、を含む、多層物品に関する。芳香族材料及び塩形成化合物は、それぞれ、基材と第1の層の残余部との間の界面部に存在する、フッ素樹脂とブレンドされる、又はその両方である。第1の層は、基材に結合されている。
【0006】
他の態様では、本発明は、フルオロポリマーコーティング組成物を提供する方法であって、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む組成物を提供する工程を含む。フッ素樹脂は、粒状又は粉末形態で提供される。本方法は、更に、芳香族材料の融点を上回る温度まで組成物を加熱する工程と、組成物を混合する工程と、を含む。
【0007】
他の態様では、本発明は、フルオロポリマーコーティングされた表面を提供する工程に関する。本方法は、基材を提供する工程と、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む組成物を基材に適用する工程と、を含む。本方法は、更に、組成物を基材に結合させる工程を含む。
【0008】
他の態様では、本発明は、粉末コーティングフルオロポリマー組成物であって、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つの脱プロトン化ヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、脱プロトン化ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)所望により相間移動触媒と、を含む、粉末コーティングフルオロポリマー組成物に関する。
【0009】
一態様での本発明の利点は、フルオロポリマーを金属などの基材に結合させるための組成物を提供することである。本発明の他の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、一態様では、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む組成物を提供する。
【0011】
本発明で有用なモノヒドロキシ芳香族材料は、少なくとも1つの芳香環を有し、芳香族材料は、チオール基を含まない。モノヒドロキシ芳香族材料のヒドロキシル基は、芳香族炭素原子に結合している。一部の実施形態では、芳香族材料は、フェノール又は置換フェノールなどの単環式芳香族基を含む。他の実施形態では、芳香族材料は、ナフトール又は置換ナフトールなどの多環式芳香族基を含む。一部の実施形態では、モノヒドロキシ芳香族材料のヒドロキシル基は、直接には芳香族材料に付着していない。一部の実施形態では、芳香族材料は、ベンジルアルコール、フルオレンアルコール、及びこれらの誘導体から選択される。
【0012】
モノヒドロキシ芳香族材料の特定の例としては、ペンタフルオロフェノール、ニトロフェノール、フルオロフェノール、ナフトール、メトキシナフトール、フルオレノール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本願によって企図される芳香族基が、例えば、水素原子、アルキル基(例えば1〜10個の炭素原子を有する)、アルキレン基(例えば1〜10個の炭素原子を有する)、アリール基(例えば5〜20個の炭素原子を有する)、アルカリル基(例えば6〜25個の炭素原子を有する)、ニトロ基、シアノ基、アシル基、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、Ar−P(O)−基(式中、Arは芳香族基)、ハロゲン原子、及びこれらの組み合わせを含め、有機化学で知られているいずれかの基によって置換されていてよいことが理解される。
【0013】
一部の特定の実施形態では、芳香族材料は、次の一般式:
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有しオルト位の基とともにアルキレン縮合環を形成するアルキレン基、1〜10個の炭素原子を有しオルト位の基とともにアルケニレン縮合環を形成するアルケニレン基、5〜20個の炭素原子を有するアリール基、6〜25個の炭素原子を有するアルカリル基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、ArP(O)−基(式中、Arは芳香族基)、及びハロゲン原子から選択される)の構造を有する。特定の諸実施形態では、R1〜R5のうちの少なくとも1つは、アリール基又はアルカリル基である。本記述全体を通して、芳香族置換基として記載されるアルキル、アルカリル、アルキレン、及びアルケニレン基が、非フッ素化、部分フッ素化、又は完全フッ素化されたものであってよいことが理解される。更に、芳香族置換基として記載されるアルキル、アルカリル、アルキレン、及びアルケニレン基は、直鎖又は分枝鎖であってよい。
【0014】
特定の実施形態では、芳香環に付着したヒドロキシル基の酸性度を増大又は低減させることが望ましい場合がある。当業者は、電子求引性置換基を芳香環に付加することによってヒドロキシル基の酸性度を増大させる可能性、並びに、電子供与性置換基を芳香環に付加することによってヒドロキシル基の酸性度を低減させることが可能であることを認識している。そのような効果については、例えば、有機化学における構造及びメカニズムの展望(Perspectives on Structure and Mechanism in Organic Chemistry)、キャロル(Carroll)、ブルックス(Brooks)/コール(Cole)、パシフィックグローブ(Pacific Grove)(1998)(特に、置換基の効果と直線自由エネルギー関係について論じている366〜86ページ)に記載されている。更に他の諸実施形態では、芳香族材料は、ヒドロキシル基について6以下のpKaを有することができる。
【0015】
R1〜R5のうちの少なくとも1つが1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され、アルキレン基がオルト位の基とともにアルキレン縮合環を形成する芳香族材料の例としては、次が挙げられる:
【化2】


R1〜R5のうちの少なくとも1つが1〜10個の炭素原子を有するアルケニレン基から選択され、アルケニレン基がオルト位の基とともにアルケニレン縮合環を形成する芳香族材料の例としては、次が挙げられる:
【化3】

【0016】
一部の実施形態では、アルケニレン−縮合環は、アルケニレン−縮合環がナフチル環を形成するときのような芳香環である:
【化4】

【0017】
実際、芳香族化合物の特定の諸実施形態としては、モノヒドロキシナフタレン及び置換モノヒドロキシナフタレンが挙げられる。
【0018】
本明細書に記載の芳香族材料の調製は、当業者によく知られている方法によって達成することができる。これらの方法には、例えば、有機合成(Organic Synthesis)、第2版、ファーホップ(Fuhrhop)及びペンツリン(Penzlin)、VCH、ベインハイム(Weinheim)(1994);有機合成の最新の諸方法(Some Modern Methods of Organic Synthesis)、第3版、カルザース(Carruthers)、ユニバーシティ・プレス(University Press)、ケンブリッジ(Cambridge)(1993);並びに、マーチの高等有機化学:反応、メカニズム、及び構造(March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanism and Structure)、第5版、スミス(Smith)及びマーチ(March)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(2001)(特に第11章及び第13章)に記載のものが含まれる。
【0019】
一部の実施形態では、本発明は、(a)フッ素樹脂と、(b)チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料と、(c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望により(d)相間移動触媒と、を含む組成物が、基材、特に金属基材への卓越した接着をもたらすことができることを実証する。更に他の実施形態では、熱水試験を使用して、層間接着が、数時間の曝露後、例えば24時間後に、強固なままであったことを示した。驚いたことに、チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、モノヒドロキシ芳香族材料は、金属表面へのフルオロポリマー、特にペルフルオロポリマーの接着を助けた。
【0020】
本記述に含まれるフルオロポリマーとしては、部分フッ素化及び完全フッ素化フッ素樹脂などのフッ素樹脂が挙げられる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、フルオロビニルエーテル、パーフルオロビニルエーテル、並びにこれらのうちの1つ又はそれより多くの組み合わせなど、1つ又はそれより多くのフッ素化又は完全フッ素化モノマーの共重合単位(interpolymerized units)を有するものが挙げられる。フッ素樹脂としては、更に、エチレン、プロピレン、及び他の下級オレフィン(例えば、C2〜C9含有α−オレフィン)など、1つ又はそれより多くの非フッ素化コモノマーと組み合わせた、フッ素化又は完全フッ素化モノマーの1つ又はそれより多くを含む、コポリマーが挙げられる。
【0021】
他の諸実施形態では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、本記述によるフッ素樹脂とすることができる。PTFEが使用されるときには、そのPTFEを、他のフルオロポリマーとのブレンドとして使用することができ、そのPTFEは、また、フルオロポリマー充填剤(ブレンドで、又はPTFEだけで)を含有することができる。
【0022】
有用なフッ素樹脂としては、また、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマー)、FEP(テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンのコポリマー)、PFA(テトラフルオロエチレン及びパーフルオロビニルエーテルのコポリマー)、HTE(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びエチレンのコポリマー)、ETFE(テトラフルオロエチレン及びエチレンのコポリマー)、ECTFE(クロロトリフルオロエチレン及びエチレンのコポリマー)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の表記で市販されているもの、並びに、これらのフッ素樹脂のうちの1つ又はそれより多くの組み合わせ及びブレンドが挙げられる。
【0023】
前述のフルオロポリマーのいずれも、追加のモノマーの共重合単位(interpolymerized units)、例えば、パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)及び/又はパーフルオロ(アルコキシビニル)エーテル(PAOVE)など、TFE、HFP、VDF、エチレン、又はパーフルオロビニルエーテルのコポリマーを更に含有することができる。また、2つ以上のフッ素樹脂の組み合わせも使用することができる。一部の実施形態では、フッ素樹脂は、THV、ETFE、HTE、又はこれらの組み合わせである。
【0024】
前述のフッ素樹脂及び芳香族材料に加えて、本記述は、塩形成化合物も提供する。塩形成化合物としては、芳香族材料とともに塩を形成可能な有機及び無機化合物が挙げられる。より具体的には、有用な塩形成化合物としては、マグネシウム、カルシウム、及び他の材料の酸化物並びに/又は水酸化物、並びにアミンが挙げられる。本発明の一態様では、塩形成化合物は、芳香族材料とともにフェノレート塩を形成可能なほど十分に低いpKbを有する。一部の実施形態では、塩形成化合物は、約8未満、約6未満、約4未満、約2未満、ほぼ0、又は更に0.6未満のpKbを有する。
【0025】
一部の実施形態では、初めに本明細書に記載の塩形成化合物と芳香族材料とを反応させて、脱プロトン化ヒドロキシル基を有する芳香族材料を形成することが有利な場合がある。次いで、脱プロトン化ヒドロキシル基を、本明細書に記載のフッ素樹脂及び所望により相間移動触媒と混合することができる。したがって、本発明は、また、粉末コーティングフルオロポリマー組成物であって、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つの脱プロトン化ヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、脱プロトン化ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)所望により相間移動触媒と、を含む、粉末コーティングフルオロポリマー組成物に関する。
【0026】
記載の芳香族材料及び/又は塩形成化合物は、一般に、フッ素樹脂の重量と比較して少量存在する。例えば、芳香族材料及び/又は塩形成化合物の量(組み合わせて又は個々に)は、一般に、組成物全体(芳香族材料、塩形成剤、相間移動触媒(存在する場合)、及びフルオロポリマー、ただし基材(使用されるとき)を含めない)の約60重量パーセント(重量%)未満、約50重量%未満、約35重量%未満、約20重量%未満、又は更に15重量%未満である。他の態様では、芳香族材料及び/又は塩形成剤(組み合わせて又は個々に)は、一般に、組成物全体の約0.1重量%超過、0.5重量%超過、又は更に1重量%超過である。
【0027】
一部の実施形態では、相間移動触媒(PTC)を本明細書に記載の組成物中で使用することができる。そのような材料は、当該技術分野において既知であり、それには、例えば、トリフェニルベンジルホスホニウム塩、トリブチルアルキルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリブチルベンジルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラアルキルアルソニウム塩、テトラアリールアルソニウム塩、及びトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。また、多価のオニウム塩も企図される。すなわち、正電荷の2つ以上の部位を有する多価カチオンである塩である。ここに記載の塩としては、例えば、臭化物塩、塩化物塩、及びヨウ化物塩などのハロゲン化物塩が挙げられる。また、本明細書では、相間移動触媒を含有するクラウンエーテルも企図される。
【0028】
PTCは、塩形成化合物、芳香族材料、PTC、及びフルオロポリマー(ただし、基材(使用されるとき)の重量は含めない)の総重量に基づいて、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は更に約2重量%未満の量で使用することができる。他の態様では、PTCは、塩形成化合物、芳香族材料、PTC、及びフルオロポリマーの総重量に基づいて、0.1重量%超過、0.3重量%超過、又は更に0.5重量%超過の量で使用することができる。一部の実施形態では、相間移動触媒の量を調節すると、本明細書に記載のコーティングで観察される気泡生成(bubbling)の量を低減できることが判明している。すなわち、本明細書に記載のコーティングのいくつかは、基材とともに加熱されるときに、気泡を形成する。相間移動触媒の量を調節することによって、気泡生成の量を低減することができる。例えば、一部の実施形態では、相間移動触媒の量を増加させると、観察される気泡生成の量を低減することができる。
【0029】
本明細書に記載の組成物は、また、それに組み込まれた添加剤を含むことができる。添加剤としては、不活性充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、強化剤、潤滑剤、流動性添加剤(flow additives)、他のポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。更に他の添加剤としては、例えば、酸化クロム、クロム、酸化亜鉛、酸化銅、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、二酸化チタン、酸化スズ、鉄、酸化鉄などの金属及び金属酸化物が挙げられる。そのような金属は、例えば、耐磨耗性充填剤又は相溶剤の働きをすることができる。また、本明細書には、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの組み合わせなどの高分子添加剤も含まれる。他の耐磨耗性充填剤としては、例えば、セラミック、耐高温及び/又は耐磨耗性ポリマーなどが挙げられる。更なる添加剤としては、硬度増大、耐磨耗性、電気的及び熱的伝導度、並びに色など、望ましいコーティング特性を付与可能なものが挙げられる。代表的な不活性充填剤としては、雲母、窒化ホウ素、粘土、グラファイト、炭酸カルシウム、炭素、シリケート、ガラス、繊維などが挙げられる。流動性添加剤は、一般に、ポリマー組成物(低分子量材料、オリゴマー、ポリマー、及びこれらの組み合わせを含める)の濡れ及び流れを改善することで知られている材料である。流動性添加剤は、例えば、低粘度材料、及びフルオロポリマーと相溶しない材料(例えば、ポリアクリレートなどの炭化水素ポリマー)から選択することができる。一部の実施形態では、組成物は、前述のフッ素樹脂又はフッ素樹脂の組み合わせ以外のポリマーを実質的に含まない。すなわち、組成物は、ポリマー添加剤を25重量%未満、10重量%未満、又は5%未満含むことがあり、場合によってはポリマー添加剤を含まないことさえある。
【0030】
他の態様では、本記述は、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒との反応生成物を含む組成物を提供する。更に他の態様では、本記述は、コーティングを含む物品であって、コーティングが、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒との反応生成物の組成物を含む、物品を提供する。
【0031】
他の態様では、本記述は、コーティングを含む多層物品を提供する。一部の実施形態では、コーティングは、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒と、を含む。他の諸実施形態では、コーティングは、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒との反応生成物を含む。
【0032】
更に他の諸実施形態では、多層物品は、実質的に有機の材料又は実質的に無機の材料を含む基材を含む。実質的に有機の材料は、所望により、フェノレート又はチオレート塩を本質的に含まないものであってもよい。層状物品は、更に、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒との反応生成物を含む第1の層を有することができる。そのような層状物品では、(i)芳香族材料及び(ii)塩形成化合物は、それぞれ、基材と第1の層の残余部との間の界面部に独立に存在する、フッ素樹脂とブレンドされる、又はその両方である。一部の実施形態では、第1の層は、基材に結合されている。更なる諸実施形態では、フッ素樹脂を含む多層物品の1つ又はそれより多くの層は、実質的にフルオロエラストマーを含まない。すなわち、フッ素樹脂を含む(1つ又はそれより多くの)層は、フルオロエラストマーを約10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満含有しており、場合によってはフルオロエラストマーを含有しない。
【0033】
実質的に無機の基材は、例えば、ガラス、セラミック、金属、鉄、ステンレス鋼、鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、並びにこれらの合金及び組み合わせとすることができる。特定の諸実施形態では、基材は、金属基材から選択される。他の適切な基材としては、フルオロポリマー、ナイロン、ポリイミドなどを含めた熱的に安定な有機基材が挙げられる。
【0034】
基材形状は、特に限定されない。例えば、基材は、繊維、フレーク、粒子、又はこれらの組み合わせの表面とすることができる。具体例としては、化学操作又は半導体操作用の排気ダクトにおいて有用であるような配管の形態をした金属シートが挙げられる。
【0035】
一部の実施形態では、多層物品は、第1の層に隣接した第2の層を更に含むことができる。第2の層は、フルオロポリマーを含むことができる。更に、第3の層が所望により存在してもよく、第3の層もやはりフルオロポリマーを含むことができる。任意の第2及び第3の層は、2つ以上のフルオロポリマーの混合物を更に含んでもよい。
【0036】
一部の実施形態では、多層物品は、基材とフッ素樹脂との間に、後述する剥離強度試験によって測定される結合をもたらす。例えば、22〜25℃において、サンプルの焼成後、本明細書に記載の組成物は、様々な基材に結合する。一部の実施形態では、層状物品は、過酷度及び継続時間が増大する様々な熱水曝露条件後に、望ましい剥離強度を維持する。例えば、いくつかの実施形態では、層状物品は、1時間、5時間、15時間、又は更に24時間にわたる熱水曝露後でさえ、高い又は非常に高い剥離強度を提供する。多層物品は、所望により熱水曝露後に、少なくとも00.7、少なくとも0.9、少なくとも1.8、少なくとも2.6、少なくとも3.5、又は更に少なくとも4.3N/mmの、剥離強度を示すことができる。
【0037】
他の態様では、本記述は、フルオロポリマーコーティング組成物を提供する方法であって、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒と、を含む組成物を提供する工程を含む方法を提供する。フッ素樹脂は、粒状又は粉末形態で提供される。本方法は、更に、芳香族材料の融点を上回る温度まで組成物を加熱する工程と、組成物を混合する工程とを含む。一部の実施形態では、芳香族材料は、1気圧の圧力で25℃において液体である。他の実施形態では、芳香族材料は、溶媒に溶解させることができ、本方法は、組成物を加熱する前に、芳香族材料を含有する溶媒とフッ素樹脂とを混合する工程を更に含むことができる。
【0038】
他の態様では、本記述は、フルオロポリマーコーティングされた表面を提供する方法を提供する。本方法は、基材(所望により無機材料から選択される)を提供する工程と、基材に組成物を適用する工程と、基材に組成物を結合させて、結合した組成物をもたらす工程とを含む。組成物を結合させる工程は、組成物を基材に融合させる工程を含むことができる。基材に適用される組成物は、a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、所望によりd)相間移動触媒と、を含む。芳香族材料及び塩形成化合物は、それぞれ、基材と第1の層の残余部との間の界面部に独立に存在する、フッ素樹脂とブレンドされる、又はその両方である。組成物は、所望により、コーティングを有するフッ素樹脂であって、コーティングが、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、c)芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、d)相間移動触媒とのうちの1つ又はそれより多くを含む、フッ素樹脂として提供することができる。
【0039】
他の諸実施形態では、本方法は、結合した組成物に第2の層を結合させる工程を含むことができ、第2の層は、フルオロポリマーを含む。
【0040】
特定の実施形態では、組成物を基材に適用する工程は、例えば、静電粉末コーティング、組成物と基材との同時押出、及び組成物をフィルム、シート、又は成形部品としての基材に適用することから選択される方法を含む。他の諸実施形態では、芳香族材料、任意の相間移動触媒、及び塩形成化合物のうちの少なくとも1つを基材に適用してプライマー層を形成してから、本明細書に記載の組成物の残りを適用することができる。
【0041】
本発明の様々な実施形態は、いくつか用途を挙げれば、化学物質貯蔵タンク、排気ダクトコーティング、生物医学デバイス、電子材料、調理器具及び耐熱皿、並びに建築用コーティングで有用である。
【0042】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0043】
下記説明において、パーセントとは、本明細書中にて特に指示しない限り、重量%を意味する。特に指示しない限り、材料はアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から入手した。
【表A】

供給元:
1.アルドリッチ(Aldrich)、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)
2.アルファ・エイサー(Alpha Aesar)、ランカンスター(Lancanster)、ヘイシャム(Heysham)
3.ランカスター(Lancaster)、ニューハンプシャー州ぺラム(Pelham)
4.TCI、オレゴン州ポートランド(Portland)
5.アトランティック・エクイップメント・エンジニアズ(Atlantic Equipment Engineers)、ニュージャージー州バーゲンフィールド(Bergenfield)
【0044】
方法及び手順
処方
特に規定しない限り、芳香族材料及びPTCは、メタノールを含む溶液中に溶解された。表内の実施例ごとに示された乾燥成分及び液体成分を計量し、塩形成剤及びフッ素樹脂をスパチュラにより容器内で予めブレンドした。液体溶液を容器に加え、スパチュラを使用して撹拌し、混合物をベルアート・マイクロ・ミル(Bel-Art Micro Mill)(ベルアートプロダクツ(Bel-Art Products)、ニュージャージー州ペクアノック(Pequannock)から入手可能)のミリングチャンバに加えた。ミルを20〜30秒間作動させて成分を分散させた。粉末/スラリーを容器内に注ぎ戻し、撹拌し、ミル内に戻し、更に20〜30秒間ブレンドした。容易にアルコール溶液にならなかった固体は、5ミクロン未満の中央粒径の場合のように使用したか、又は乳棒と乳鉢によって5ミクロン未満に粉砕した。
【0045】
剥離試験サンプル調製
ステンレス鋼(400シリーズ)又はアルミニウムパネル(厚さ0.94mm(0.037インチ))を、2.54×15.2cm(1×6インチ)のストリップに切り分け、それらの鋼ストリップを、80℃(180°F)に維持された水1リットル当たり75gのOAKITE CLEANER 164(オーカイト・プロダクツ(Oakite Products)、ニュージャージー州バークレーハイツ(Berkeley Heights)から入手可能)の加熱されたアルカリ溶液中に10分間浸漬させることによって、脱脂した。次に、ストリップを蒸留水で何度かすすぎ洗いし、71℃(160°F)の空気循環オーブン内で10分間乾燥させた。特に記載のない限り、各ストリップは30メッシュのアルミナグリット及び552kPa(80psi)の空気圧を使用して、グリットブラスト仕上げをして、表面を粗くした。残留ダストは、エアガンにて全て取り除いた。ストリップを大きな金属プレートに締め付け、各ストリップの一端5cm(1.5〜2インチ)にわたってPFA 6503 B EPC粉末(ダイネオン(Dyneon)から入手可能)の薄層を薄く塗った。これにより、コーティングが金属に接着しない領域が得られ、剥離試験のためのタブが作られた。
【0046】
次に、ストリップを、70ボルト、150kPa空気流においてノードソン・シュアコート(Nordson SureCoat)(ノードソン・コーポレーション(Nordson Corporation)、オハイオ州アムハースト(Amherst))を使用して、6枚のストリップの表面にわたって約40グラムのプライマーで静電的に粉末コーティングした。次いで、ストリップを、400℃で(特に指示しない限り)10分間にわたって空気循環オーブン内で焼成した。ストリップをオーブンから取り出したらすぐに、それらのストリップを、70キロボルト、150kPaの空気流において、特定のフルオロポリマートップコートで高温フロック加工し、次いで更に10分間オーブン内に戻した。追加のトップコート(合計2又は3)を適用し、焼成して、400〜1000μmのコーティング厚さを得た。サンプルを冷却した後、試験片の縁部のところに蓄積していることのあるコーティングを除去するために、各ストリップの縁部を鋭利な刃で擦った。サンプルを熱水に24時間浸漬させた。水から除去後、サンプルを剥離試験前に室温まで冷却した。
【0047】
剥離試験
剥離強度は、フローティングローラー剥離試験付属品を備えたインストロン社製型式5564試験機(インストロン社(マサチューセッツ州カントン)から入手可能)を使用して、ASTM D3167−97に従って15cm/分(6in/分)のクロスヘッド速度にてかつ9.5cm(3.75インチ)まで引っ張って剥離し、前記サンプルを試験することによって測定した。剥離強度は、積分平均を使用して1.3〜8.9cm(0.5〜3.5インチ)の伸びにわたって計算し、3つのサンプルの平均としてN/mm(lb/インチ(幅))で報告した。特に記載のない限り、すべての剥離試験は、24時間熱水に曝露された後のサンプルに行った。
【0048】
実施例1〜27及び比較実施例C1〜C5
芳香族材料と、塩基と、特定のフルオロポリマーと、所望によりメタノール中の相間移動触媒の50%溶液とをブレンドすることによって、表1〜4に示した量でフルオロポリマーブレンドを調製した(表内の重量は、固体についてのものである)。特に記載のない限り、使用された手順は、「処方」に記載のものであり、すべてのオーブン温度条件は、10分間にわたって400℃(750°F)であった。次に、結果として得られたフルオロポリマーブレンドを粉末コーティングし、「剥離試験サンプル調製」及び「剥離試験」(特に記載のない限り)にて記載した手順を使用して剥離試験を行った。処方及び剥離試験結果を、表1〜4に示す。剥離強度が「<0.3N/mm(2lb/in未満)」として示される場合、これは、剥離試験方法が、熱水曝露後の結合強度を定量化できなかったことを示す。NTは、剥離強度の試験がなされなかったことを示す。剥離強度が、「0」と示されている場合、これは熱水への曝露後に結合が観察されなかったことを示す。比較実施例C1〜C5は、表4に記載の諸実施例に類似の方式で調製した。
【0049】
表1は、PTCあり/なしの様々な芳香族化合物を使用した、ここに記載のフルオロポリマーブレンド及び多層物品のいくつかの実施形態を示す。表2は、異なる2つのフルオロポリマーを使用した、ここに記載のフルオロポリマーブレンド及び多層物品のいくつかの実施形態を示す。表3は、様々な塩基を使用した、ここに記載のフルオロポリマーブレンド及び多層物品のいくつかの実施形態を示す。表4は、様々なPTCを使用したいくつかの実施形態を示す。表5は、一群の比較実施例を示す。
【表B】


【表C】


試験せず
高温メタノール中で予め混合されたPTC及び芳香族
溶液ブレンドされた塩基/PTC/芳香族。室温で濃厚なペーストと結晶を形成した
予めブレンドされた塩基/PTC/芳香族
タブが破断した
【表D】


溶液ブレンドされた塩基/PTC/芳香族。室温で濃厚なペーストと結晶を形成した
【表E】


タブが破断した
【表F】


臭化テトラエチルホスホニウム(1.0g)
臭化テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム(1.0g)
テトラブチルアンモニウムヘキサスルフィド(1.0g)
ヨウ化テトラプロピルアンモニウム(1.0g)
タブが破断した
【表G】


熱水に24時間さらされなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フッ素樹脂と、
b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、前記ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、
c)前記芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、
d)所望により相間移動触媒と、を含む、粉末コーティングフルオロポリマー組成物。
【請求項2】
前記芳香族材料が、次の一般式:
【化5】


(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、1〜10個の炭素原子を有しオルト位の基とともにアルキレン縮合環を形成するアルキレン基、1〜10個の炭素原子を有しオルト位の基とともにアルケニレン縮合環を形成するアルケニレン基、5〜20個の炭素原子を有するアリール基、6〜25個の炭素原子を有するアルカリル基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、Ar−S(O)−基(式中、Arは芳香族基)、ArP(O)−基(式中、Arは芳香族基)、及びハロゲン原子から選択される)
の構造を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルキル基が、部分フッ素化アルキル基及び完全フッ素化アルキル基から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記芳香族材料が、モノヒドロキシナフタレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記置換基R1、R2、R3、R4、及びR5が、正味の電子供与効果を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記塩形成化合物が、8以下のpKを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
雲母、窒化ホウ素、粘土、グラファイト、炭酸カルシウム、炭素、シリケート、ガラス、及び繊維からなる群から選択される充填剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
a)フッ素樹脂と、b)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、c)前記芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物と、d)相間移動触媒との反応生成物を含む、組成物。
【請求項9】
ヒドロキシル基が、直接には芳香族材料に付着していない、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
芳香族材料が、ベンジルアルコール、フルオレンアルコール、及びこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
a)基材と、
b)A)フッ素樹脂と、B)正確に1つのヒドロキシル基を有し、チオール基を含まない芳香族材料と、C)前記芳香族材料とともに塩を形成可能な塩形成化合物との反応生成物を含む第1の層と、を含み、
芳香族材料及び塩形成化合物が、それぞれ、(i)前記基材と前記第1の層の残余部との間の界面部に独立に存在する、(ii)独立に前記フッ素樹脂とブレンドされる、又は(iii)その両方、であり、
前記第1の層が基材に結合されている、多層物品。
【請求項12】
前記基材が、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、及びそれらの合金、セラミック、並びに熱的に安定な有機基材から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記第1の層に隣接した第2の層を更に含み、該第2の層がフルオロポリマーを含み、所望により、前記第2の層に隣接した第3の層を更に含み、前記第3の層がフルオロポリマーを含む、請求項11に記載の物品。
【請求項14】
a)基材を提供する工程と、
b)請求項1に記載の組成物を前記基材に適用する工程であって、前記芳香族材料及び前記塩形成化合物がそれぞれ(i)前記基材と前記第1の層の残余部との間の界面部に独立に存在する、(ii)独立にフッ素樹脂とブレンドされる、又は(iii)その両方である工程と、
c)前記組成物を前記基材に結合させる工程と、を含むフルオロポリマーコーティングされた表面を提供する方法。
【請求項15】
前記組成物を前記基材に適用する工程が、静電粉末コーティング、前記組成物と前記基材との同時押出、及び前記組成物をフィルム、シート、又は成形部品としての前記基材に適用することから選択される方法を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
a)フッ素樹脂と、
b)正確に1つの脱プロトン化ヒドロキシル基を有し、チオール基を含まず、脱プロトン化ヒドロキシル基が芳香族炭素に結合した、芳香族材料と、
c)所望により相間移動触媒と、を含む、粉末コーティングフルオロポリマー組成物。

【公表番号】特表2010−506980(P2010−506980A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532597(P2009−532597)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/081215
【国際公開番号】WO2008/048884
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】