説明

モータおよびディスク駆動装置

【課題】モータを薄型化できる軸受構造の提供。
【解決手段】モータは、上プレート円筒部521と、下プレート円筒部622、スリーブ部4を含み、前記スリーブ部4が、前記シャフト部が挿入される内側スリーブ円筒部41と、前記内側スリーブ円筒部41の下部から径方向外方に広がるスリーブフランジ部42と、前記スリーブフランジ部42から上方に延びる外側スリーブ円筒部43を含み、前記下プレート円筒部521が、前記外側スリーブ円筒部43の外側に位置し、前記上プレート円筒部521の外周面と前記外側スリーブ円筒部43の内周面との間に上シール部が位置し、前記外側スリーブ円筒部43の外周面と前記下プレート円筒部622の内周面との間に下シール部が位置し、前記上シール部の少なくとも一部と、前記下シール部の少なくとも一部とが、前記シャフト部の外周面と前記内側スリーブ円筒部の内周面との間の前記ラジアル間隙71と径方向に重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式のモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスク駆動装置のモータとして、流体動圧を用いた軸受機構を備えるものが用いられる。特開2009−136143号公報に開示されるスピンドルモータは、シャフトと、第1軸受構成部品と、第2軸受構成部品と、ロータ構成部品と、を含む。第1軸受構成部品は、カップ状に構成され、中央の開口部にシャフトの下部が取り付けられる。第2軸受構成部品は、環状であり、シャフトの上側端部にて、シャフトと一体的に構成される。ロータ構成部品は、シャフト、第1軸受構成部品および第2軸受構成部品により形成される中間スペース内に配置される。ロータ構成部品の円筒面とシャフトの外周面との間に流体動圧ラジアル軸受部が構成される。
【0003】
ロータ構成部品の下面と、当該下面に軸方向に対向する第1軸受構成部品の面との間に流体動圧スラスト軸受部が構成される。流体動圧スラスト軸受部の外側には、上方に延在するシール間隙が構成される。第2軸受構成部品の下面と当該下面に対向するロータ構成部品の面との間にポンピングシール部が構成される。ポンピングシール部の外側には、上方に延在する他のシール間隙が構成される。
【特許文献1】特開2009−136143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特開2009−136143号公報に示されるスピンドルモータでは、上側のシール間隙がラジアル間隙よりも上方に向かって延びるため、当該シール間隙の軸方向の長さ分だけモータ全体が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、モータを薄型化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な一の側面に係るモータは、ロータマグネットを有する回転部と、前記ロータマグネットと径方向に対向するステータを有する静止部と、を備え、前記静止部が、中心軸を中心として配置されるシャフト部と、前記シャフト部の上部から径方向外方に広がる上プレート部と、前記シャフト部の下部から径方向外方に広がる下プレート部と、を含み、前記回転部が、前記上プレート部と前記下プレート部との間に配置されるスリーブ部と、を含み、前記スリーブ部が、前記シャフト部が挿入される内側スリーブ円筒部と、前記内側スリーブ円筒部の下部から径方向外方に広がるスリーブフランジ部と、前記スリーブフランジ部から上方に延びる外側スリーブ円筒部と、を含み、前記上プレート部が、前記内側スリーブ円筒部の外側に位置し、前記スリーブフランジ部の上面と対向し、上プレート部の外縁において下方に延びる上プレート円筒部と、前記内側スリーブ円筒部の上側にて、前記シャフト部と前記上プレート円筒部とを接続する上プレート接続部と、を含み、前記下プレート部が、前記外側スリーブ円筒部の外側に位置し、前記下プレート部の外縁において上方に延びる下プレート円筒部と、前記スリーブフランジ部の下側にて、前記シャフト部と前記下プレート円筒部とを接続する下プレート接続部と、を含み、前記上プレート部、前記シャフト部および前記下プレート部と、前記スリーブ部との間に潤滑油が連続して存在し、前記上プレート円筒部の外周面と前記外側スリーブ円筒部の内周面との間に、上方に向かって開口する上シール間隙が構成され、前記上シール間隙内に潤滑油の界面が位置する上シール部が位置し、前記外側スリーブ円筒部の外周面と前記下プレート円筒部の内周面との間に、上方に向かって開口する下シール間隙が構成され、前記下シール間隙内に潤滑油の界面が位置する下シール部が位置し、前記スリーブフランジ部の下面と前記下プレート接続部の上面との少なくとも一方の面には、スラスト動圧発生溝列が設けられ、前記シャフト部の外周面と前記内側スリーブ円筒部の内周面との少なくとも一方の面には、ラジアル動圧発生溝列が設けられ、前記上シール部の少なくとも一部と、前記下シール部の少なくとも一部とが、前記シャフト部の外周面と前記内側スリーブ円筒部の内周面との間のラジアル間隙と径方向に重なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータを薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るディスク駆動装置の断面図である。
【図2】図2は、モータの断面図である。
【図3】図3は、モータの断面図である。
【図4】図4は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、軸受機構の断面図である。
【図6】図6は、軸受機構の断面図である。
【図7】図7は、内側スリーブ円筒部の断面図である。
【図8】図8は、スリーブ部の平面図である。
【図9】図9は、スリーブ部の底面図である。
【図10】図10は、他の例に係る軸受機構の一部を示す断面図である。
【図11】図11は、さらに他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図12】図12は、さらに他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係るモータの断面図である。
【図14】図14は、他の例に係る軸受機構の一部を示す断面図である。
【図15】図15は、さらに他の例に係る軸受機構を示す断面図である。
【図16】図16は、さらに他の例に係る軸受機構を示す断面図である。
【図17】図17は、第3の実施形態に係るモータの断面図である。
【図18】図18は、軸受機構の断面図である。
【図19】図19は、軸受機構の断面図である。
【図20】図20は、上シール部の他の例を示す図である。
【図21】図21は、上シール部のさらに他の例を示す図である。
【図22】図22は、接着剤溜まり部の他の例を示す図である。
【図23】図23は、内側シャフト部と外側シャフト部との締結構造を示す図である。
【図24】図24は、内側シャフト部と外側シャフト部との締結構造の他の例を示す図である。
【図25】図25は、内側シャフト部と外側シャフト部との締結構造のさらに他の例を示す図である。
【図26】図26は、軸受機構の他の例を示す図である。
【図27】図27は、軸受機構のさらに他の例を示す図である。
【図28】図28は、他の例に係る軸受機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に係るスピンドルモータ(以下、単に「モータ」という)を備えるディスク駆動装置1の縦断面図である。ディスク駆動装置1は、いわゆるハードディスク駆動装置である。ディスク駆動装置1は、ディスク11と、モータ12と、アクセス部13と、ハウジング14と、を含む。モータ12は、情報を記録するディスク11を回転する。アクセス部13は、ディスク11に対して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行う。
【0011】
ハウジング14は、無蓋箱状の第1ハウジング部材141と、板状の第2ハウジング部材142と、を備える。第1ハウジング部材141の内側には、ディスク11、モータ12およびアクセス部13が収容される。第1ハウジング部材141に第2ハウジング部材142が嵌められて、ハウジング14が構成される。ディスク駆動装置1の内部空間は、塵や埃が極度に少なく、清浄な空間が好ましい。本実施形態では、ディスク駆動装置1内に空気が存在する。なお、ヘリウムガスや水素ガスがディスク駆動装置1内に充填されてもよく、これらの気体と空気との混合気体が充填されてもよい。
【0012】
ディスク11は、クランパ151により、モータ12にクランプされる。アクセス部13は、ヘッド131と、アーム132と、ヘッド移動機構133とを備える。ヘッド131はディスク11に近接して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を磁気的に行う。アーム132は、ヘッド131を支持する。ヘッド移動機構133はアーム132を移動することにより、ヘッド131をディスク11に対して相対的に移動する。これらの構成により、ヘッド131は、回転するディスク11に近接した状態にて、ディスク11の所要の位置にアクセスする。なお、ヘッド131の数は、好ましくは2つである。2つのヘッドが、ディスク11の上方および下方にそれぞれ配置される。
【0013】
図2は、モータ12の縦断面図である。モータ12は、アウタロータ型のモータである。モータ12は、固定組立体である静止部121と、回転組立体である回転部122と、軸受機構123と、を含む。回転部122は、潤滑油120を介して、モータ12の中心軸J1を中心に、静止部121に対して回転可能に支持される。
【0014】
静止部121は、ベース部であるベースプレート21と、ステータ22と、を含む。ベースプレート21は、好ましくは図1の第1ハウジング部材141と単一の部材により構成され、ハウジング14の一部である。ベースプレート21は、プレス加工にて成型される。ベースプレート21は、底部211と、ステータ固定部212と、段差部213と、を含む。ステータ固定部212は、略円筒状であり、底部211の内縁部から上方に向かう。段差部213は、ステータ固定部212と底部211との間にて、ステータ固定部212の下部から径方向外方に突出する。段差部213は、ステータ固定部212の下部から径方向外方に広がる段差上部213aと、段差上部213aの外縁から下方に向かう段差下部213bと、を含む。ステータ固定部212の内側には、軸受機構123が配置される。ステータ22は、ステータコア221と、コイル222と、を含む。ステータコア221に導線が巻回されることによりコイル222が構成される。ステータコア221の径方向内側の部位は、ステータ固定部212の外周面に固定される。また、当該部位の下面は、段差上部213aの上面に軸方向に当接する。ステータ22は、好ましくは、ステータ固定部212の外周面に対し隙間を介した状態にて、ステータ固定部212に接着剤によって接着される。
【0015】
回転部122は、ハブ部であるロータハブ31と、ロータマグネット32と、シールキャップ33と、を含む。ロータハブ31は、一繋がりの部材である。ロータハブ31は、スラグを鍛造加工しておおよその形状に成型された後、切削加工にて最終形状に成形される。ロータハブ31は、スリーブ部4と、蓋部311と、ハブ円筒部312と、ディスク載置部313と、を含む。スリーブ部4の上側には、シールキャップ33が配置される。スリーブ部4は、軸受機構123の一部でもある。蓋部311は、スリーブ部4から径方向外方に広がる。ハブ円筒部312は、蓋部311の外縁部から下方に延びる。ハブ円筒部312の内側には、ロータマグネット32が固定される。ディスク載置部313は、ハブ円筒部312の外周面から径方向外方に突出し、ディスク載置部313上に図1のディスク11が配置される。ロータマグネット32は、ステータ22と径方向に対向する。ステータ22とロータマグネット32との間にてトルクが発生する。
【0016】
図3は、軸受機構123を拡大して示す図である。軸受機構123は、スリーブ部4と、上カップ部材5と、下カップ部材6と、潤滑油120と、を含む。上カップ部材5および下カップ部材6は、静止部121の一部でもある。スリーブ部4は、上カップ部材5と下カップ部材6との間に位置する。スリーブ部4は、内側スリーブ円筒部41と、スリーブフランジ部42と、外側スリーブ円筒部43と、を含む。内側スリーブ円筒部41は、中心軸J1を中心とする円筒状である。スリーブフランジ部42は、内側スリーブ円筒部41の下部から径方向外方に広がる。スリーブフランジ部42は、スリーブフランジ部42を上下方向に貫通する連通孔421を有する。本実施形態では、連通孔421の数は1である。2以上の連通孔421が設けられてもよい。また、連通孔421は無くてもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0017】
外側スリーブ円筒部43は、スリーブフランジ部42の外縁部から上方に向かって延びる。外側スリーブ円筒部43の上面の高さは、内側スリーブ円筒部41の上面411の高さとほぼ同じである。以下、内側スリーブ円筒部41の下部であり、かつ、スリーブフランジ部42の内周部でもある部位を、内側スリーブ円筒部41の一部として説明する。また、外側スリーブ円筒部43の下部であり、かつ、スリーブフランジ部42の外周部でもある部位を、外側スリーブ円筒部43の一部として説明する。スリーブ部4では、内側スリーブ円筒部41の外周面と外側スリーブ円筒部43の内周面431との間の径方向の幅が、内側スリーブ円筒部41の径方向の厚さよりも広い。
【0018】
上カップ部材5は、内側シャフト部51と、上プレート部52と、を含む。内側シャフト部51および上プレート部52は、切削加工により一繋がりの部材として形成される。なお、上カップ部材5は、鍛造加工やプレス加工にて成型されてもよい。内側シャフト部51は、中心軸J1を中心として配置される。上プレート部52は、下方を向くカップ状であり、内側シャフト部51の上部から径方向外方に広がる。上プレート部52は、上プレート円筒部521と、上プレート接続部522と、を含む。上プレート円筒部521は、上プレート部52の外縁にて下方に延びる。上プレート円筒部521は、内側スリーブ円筒部41の外側かつ外側スリーブ円筒部43の内側に位置する。上プレート円筒部521の下面531は、スリーブフランジ部42の上面422と軸方向に対向する。上プレート円筒部521の外周面532は、上方に向かって径方向内方に傾斜する。上プレート接続部522は、内側シャフト部51の上部と上プレート円筒部521の上部とを接続する。上カップ部材5では、上プレート接続部522の下面の径方向の幅が、上プレート円筒部521の下面531と上プレート接続部522の下面との間の軸方向の距離よりも大きい。
【0019】
図1に示すように、クランパ151はロータハブ31に固定される。ディスク11は、クランパ151およびロータハブ31により支持される。ねじ153は、第2ハウジング部材142の中央の貫通孔を介して、内側シャフト部51のねじ孔51aに螺合される。
【0020】
下カップ部材6は、外側シャフト部61と、下プレート部62と、を含む。外側シャフト部61および下プレート部62は、一繋がりの部材である。外側シャフト部61は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。下プレート部62は、上方を向くカップ状であり、外側シャフト部61の下部から径方向外方に広がる。モータ12では、下プレート部62と上プレート部52との間にスリーブ部4が配置される。外側シャフト部61は、内側スリーブ円筒部41に挿入される。また、外側シャフト部61は、隙間嵌め状態にて内側シャフト部51に嵌合される。外側シャフト部61は、内側シャフト部51の外周面に全長に亘って接着固定される。このように、軸受機構123のシャフト部であるシャフト構成部品は、内側シャフト部51および外側シャフト部61にて構成される。
【0021】
下プレート部62は、下プレート接続部621と、下プレート円筒部622と、を含む。下プレート円筒部622は、下プレート部62の外縁にて上方に延びる。下プレート円筒部622は、外側スリーブ円筒部43の径方向外側に位置する。下プレート接続部621は、下プレート円筒部622の下部から径方向内方に広がり、スリーブフランジ部42の下側にて下プレート円筒部622と外側シャフト部61の下部とを接続する。下プレート接続部621の軸方向の厚さは、外側シャフト部61の径方向の厚さ、および、下プレート円筒部622の径方向の厚さよりも薄い。軸方向において、下プレート接続部621の下面632および外側シャフト部61の下面が、内側シャフト部51の下端よりも下側に位置する。これにより、内側シャフト部51と外側シャフト部61とを接着固定する際に、余剰の接着剤が下プレート接続部621の下面632よりも下にはみ出ることが防止される。軸方向において、下プレート円筒部622の上端641は、上プレート円筒部521の下面531よりも上側に位置する。
【0022】
図4は、軸受機構123の外側シャフト部61近傍を拡大して示す図である。外側シャフト部61および内側スリーブ円筒部41の上側には、上プレート接続部522が位置し、外側シャフト部61の上端が、上プレート接続部522の下面に軸方向に当接する。内側スリーブ円筒部41の上面411と上プレート接続部522の下面との間には、径方向に広がる微小な間隙761が構成される。内側スリーブ円筒部41の外周面と上プレート円筒部521の内周面との間には、中心軸J1を中心とする円筒状の間隙762が構成される。外側シャフト部61の外周面と内側スリーブ円筒部41の内周面との間には、ラジアル間隙71が構成される。
【0023】
モータ12では、図3に示すように、外側シャフト部61と内側シャフト部51とが径方向に重なる締結範囲H1の軸方向の長さが、ラジアル間隙71の軸方向における存在範囲H2の長さよりも長い。また、締結範囲H1は、ラジアル間隙71の存在範囲H2全体と径方向に重なる。締結範囲H1の軸方向の長さは、スリーブ部4のうち最も軸方向に長い部位、すなわち、内側スリーブ円筒部41および外側スリーブ円筒部43の軸方向の長さよりも長い。締結範囲H1を回転部122の一部であるスリーブ部4よりも長くすることにより、モータ12の剛性を向上することができる。ラジアル間隙71の存在範囲H2は、ステータ固定部212の軸方向における存在範囲H3全体と径方向に重なる。
【0024】
図5は、軸受機構123のスリーブフランジ部42近傍を拡大して示す図である。スリーブフランジ部42の上面422の連通孔421よりも径方向内側の領域と、上プレート円筒部521の下面531との間に間隙72が構成される。以下、間隙72を「上スラスト間隙72」という。上スラスト間隙72は、図3に示す内側スリーブ円筒部41の外周面と上プレート円筒部521の内周面との間隙762および内側スリーブ円筒部41の上面411と上プレート接続部522の下面との間の間隙761を介してラジアル間隙71の上部に連絡する。以下、間隙761を「横連絡間隙761」という。間隙762を「縦連絡間隙762」という。
【0025】
図5に示すスリーブフランジ部42の下面423の連通孔421よりも径方向内側の領域と、下プレート接続部621の上面631との間に間隙73が構成される。以下、間隙73を「下スラスト間隙73」という。上スラスト間隙72および下スラスト間隙73は、連通孔421により連通される。
【0026】
上プレート円筒部521の外周面532と外側スリーブ円筒部43の内周面431との間には、上方に向かって開口する間隙74が構成される。以下、間隙74を「上シール間隙74」と呼ぶ。上シール間隙74の径方向の幅は、上方に向かうに従って漸次増大する。図6に示す上シール間隙74の軸方向の長さH4は、スリーブフランジ部42の厚さよりも長い。上シール間隙74の開口740の高さは、内側スリーブ円筒部41の上面411の高さとほぼ同じである。なお、内側スリーブ円筒部41の上面411が、上シール間隙74の開口740より上側に位置してもよい。
【0027】
上シール間隙74には、毛管現象により潤滑油120を保持する上シール部74aが構成される。上シール部74aには、潤滑油120の界面が位置する。上シール部74aは、ラジアル間隙71の径方向外方に位置する。上シール間隙74の開口740は、シールキャップ33により覆われる。
【0028】
図5に示すように、下プレート円筒部622の内周面642は、上方に向かって径方向外方に傾斜する。内周面642と外側スリーブ円筒部43の外周面の下部432との間には、上方に向かって開口する間隙75が構成される。以下、間隙75を「下シール間隙75」と呼ぶ。下シール間隙75の径方向の幅は、上方に向かうに従って漸次増大する。下シール間隙75は、段差上部213aの上面と径方向に重なる。下シール間隙75には、毛管現象により潤滑油120を保持する下シール部75aが構成される。下シール部75aには、潤滑油120の界面が位置する。下シール部75aは、上シール部74aおよび図4のラジアル間隙71の径方向外側に位置する。下シール部75aは、連通孔421を介して上シール部74aに繋がる。これにより、上下シール部74a,75a間における圧力差の発生を低減することができる。
【0029】
図6に示すように、上シール部74aの軸方向における存在可能範囲H41、すなわち、上シール間隙74の下側の位置から潤滑油120の界面が形成可能な位置の上限までの軸方向における範囲は、全長に亘ってラジアル間隙71の軸方向における存在範囲H2と径方向に重なる。なお、軸方向において、上シール部74aの存在可能範囲H41の上端が、潤滑油120の界面と一致してもよい。同様に、下シール部75aの軸方向における存在可能範囲H5、すなわち、下シール間隙75の下側の位置から潤滑油120の界面が形成可能な位置の上限までの軸方向における範囲は、ほぼ全長に亘ってラジアル間隙71の存在範囲H2と径方向に重なる。また、上シール部74aの存在可能範囲H41の一部が、下シール部75aの存在可能範囲H5と径方向に重なる。なお、軸方向において、下シール部75aの存在可能範囲H5の上端が、潤滑油120の界面と一致してもよい。以下の実施形態においても同様である。
【0030】
図3に示すように、軸受機構123では、上シール間隙74、上スラスト間隙72、縦連絡間隙762、横連絡間隙761、ラジアル間隙71、下スラスト間隙73および下シール間隙75、並びに、連通孔421に潤滑油120が連続して満たされる。
【0031】
図7は、内側スリーブ円筒部41の断面図である。図7では、内側スリーブ円筒部41の紙面の奥側の形状も示している。内側スリーブ円筒部41の内周面は、ラジアル動圧発生溝列711、を備える。図7では、動圧溝にクロスハッチングを付している。以下、他の図においても、動圧溝にクロスハッチングを付している。ラジアル動圧発生溝列711は、ヘリングボーン形状の溝、すなわち、内周面の周方向に沿って複数の略V字を横向きにした溝の集合体である。
【0032】
図4に示すラジアル間隙71では、ラジアル動圧発生溝列711により、潤滑油120に対してラジアル方向に流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部71aが構成される。
【0033】
図8は、スリーブ部4の平面図である。スリーブフランジ部42の上面422には、スパイラル形状の上スラスト動圧発生溝列721が設けられる。上スラスト動圧発生溝列721は、連通孔421の上側の開口よりも径方向内側に設けられる。ただし、上スラスト動圧発生溝列721の一部が連通孔421の開口と重なってもよい。図5に示す上スラスト間隙72において、上スラスト動圧発生溝列721により、潤滑油120に対してアキシャル方向に流体動圧を発生する上スラスト動圧軸受部72aが構成される。
【0034】
図9は、スリーブ部4の底面図である。スリーブフランジ部42の下面423には、スパイラル形状の下スラスト動圧発生溝列731が設けられる。下スラスト動圧発生溝列731は、連通孔421の下側の開口よりも径方向内側に設けられる。ただし、下スラスト動圧発生溝列731の一部が連通孔421の開口と重なってもよい。図5に示す下スラスト間隙73において、下スラスト動圧発生溝列731により、潤滑油120に対してアキシャル方向に流体動圧を発生する下スラスト動圧軸受部73aが構成される。
【0035】
図2に示すモータ12の駆動時には、ラジアル動圧軸受部71aにより、内側スリーブ円筒部41が外側シャフト部61に対してラジアル方向に支持される。また、上スラスト動圧軸受部72aおよび下スラスト動圧軸受部73aにより構成されるスラスト動圧軸受により、スリーブフランジ部42が上プレート円筒部521および下プレート接続部621に対してアキシャル方向に支持される。上スラスト動圧軸受部72aおよび下スラスト動圧軸受部73aが、スリーブフランジ部42の上下に設けられることにより、中心軸J1から離れた位置にてスリーブ部4をアキシャル方向に支持することができる。その結果、軸受機構123の剛性を向上することができる。
【0036】
以上、第1の実施形態に係るモータ12を有するディスク駆動装置1について説明したが、モータ12では、ラジアル間隙71の存在範囲H2と、上シール部74aの存在可能範囲H41全体および下シール部75aの存在可能範囲H5のほぼ全体とが径方向に重なる。これにより、モータ12を薄型化することができる。
【0037】
内側シャフト部51と外側シャフト部61との間の締結範囲H1が、ラジアル間隙71の存在範囲H2と径方向に重なることにより、モータ12を大きくすることなく、ラジアル間隙71および締結範囲H1の軸方向の長さを確保することができる。締結範囲H1の軸方向の長さを長くすることにより、モータ12の軸受剛性を向上することができる。また、モータ12に衝撃が加わっても、内側シャフト部51と外側シャフト部61とが分離することが防止される。締結範囲H1の軸方向の長さを長くすることにより、内側シャフト部51と外側シャフト部61との間から潤滑油120が漏れ出すことも防止される。ラジアル間隙71の軸方向の長さを長くすることによりラジアル動圧を十分に発生させることができ、軸受機構123の軸受性能を向上することができる。
【0038】
ステータ固定部212が、ラジアル間隙71と径方向に重なることにより、モータ12をより薄型化することができる。軸受機構123では、下シール間隙75が上シール間隙74の径方向外側に位置し、軸方向において、上プレート円筒部521の下面531が、下プレート円筒部622の上端641よりも下側に位置する。これにより、上シール間隙74および下シール間隙75の軸方向の長さを長くすることができ、これらの間隙74,75における潤滑油120のオイルバッファを十分に確保することができる。その結果、モータ12を長寿命とすることができる。モータ12では、スリーブフランジ部42が薄いため、モータ12の高さを抑えつつ上シール間隙74の軸方向の長さをより長くすることができる。その結果、潤滑油120のオイルバッファをより確保することができる。
【0039】
スリーブ部4では、内側スリーブ円筒部41の外周面と外側スリーブ円筒部43の内周面431との間の径方向の幅を広くすることにより、スリーブフランジ部42に設けられる上スラスト動圧発生溝列721の径方向の幅を広くすることができ、上スラスト動圧軸受部72aを大きくすることができる。内側スリーブ円筒部41と外側スリーブ円筒部43との間の上記幅に比べて内側スリーブ円筒部41の厚さが薄いことから、スリーブ部4を鍛造加工にて成型する際に、内側スリーブ円筒部41を容易に設けることができる。上プレート接続部522の下面の径方向の幅が、上プレート円筒部521の下面531と上プレート接続部522の下面との間の軸方向の距離よりも大きい。これにより、上プレート円筒部521、上プレート接続部522および内側シャフト部51の間に構成される空間を切削加工にて容易に形成することができる。
【0040】
連通孔421がスリーブフランジ部42に設けられることにより、連通孔421を短くすることができ、連通孔421内の流路抵抗を低減することができる。また、連通孔421内の潤滑油120の量を抑えることができ、重力の影響による上シール部74aおよび下シール部75aにおける潤滑油120の界面の変動を抑えることができる。
【0041】
外側シャフト部61の上端が上プレート接続部522の下面に軸方向に当接することにより、上プレート円筒部521の下面531と下プレート接続部621の上面631との間の軸方向の距離を高精度に構成することができる。その結果、上スラスト間隙72および下スラスト間隙73の軸方向の幅の和を容易に構成することができる。下プレート接続部621の軸方向の厚さを薄くすることにより、モータ12を薄くしてもスリーブフランジ部42の厚さが過度に薄くなることが防止される。
【0042】
なお、上プレート円筒部521の下面531と下プレート接続部621の上面631とは、同方向から一連の切削加工により形成することができ、外側シャフト部61の上端と下プレート接続部621の上面も、同方向から一連の切削加工により形成することができる。したがって、上スラスト間隙72および下スラスト間隙73の軸方向の幅の和は、高精度に決定される。後述の図13の構成においても同様である。
【0043】
円筒状のステータ固定部212の内周面に下プレート円筒部622の外周面が固定されることにより、軸受機構123の振れに起因する振動がベースプレート21のステータ固定部212よりも外側の部位に伝わることが抑えられる。また、ベースプレート21に段差部213が設けられることにより、ベースプレート21の剛性を向上することができる。その結果、ステータ22の振動が軸受機構123に伝わることが低減される。
【0044】
内側シャフト部51と外側シャフト部61とが隙間嵌め状態にて嵌合されるため、上カップ部材5と下カップ部材6との組み立てを容易に行うことができる。
【0045】
図10は、他の例に係る軸受機構123を示す図である。内側シャフト部51の外周部の下部は、径方向外方に向かって上方に傾斜する傾斜面511、を含む。外周部の上部は、径方向内方に向かって窪む凹部512、を含む。傾斜面511と外側シャフト部61の内周面の下部との間に接着剤溜まり部55aが形成される。凹部512と外側シャフト部61の内周面の上部との間に接着剤溜まり部55bが形成される。これにより、余剰の接着剤551を接着剤溜まり部55a,55bに保持することができ、接着剤551が内側シャフト部51と外側シャフト部61との間から流出することが防止される。また、接着剤551を多く塗布することができ、内側シャフト部51と外側シャフト部61とを強固に固定することができる。
【0046】
図11は、上シール部の他の例を示す図である。上プレート円筒部521の外周面532は、軸方向に延びる円筒面532aと、円筒面532aから上方に向かって径方向内方に傾斜する傾斜面532bと、を含む。上シール間隙74は、円筒面532aと外側スリーブ円筒部43の内周面431の下部との間に構成される間隙741と、傾斜面532bと外側スリーブ円筒部43の内周面431の上部との間に構成される間隙742と、を含む。以下、間隙741を「円筒間隙741」という。間隙742を「テーパ間隙742」という。円筒面532aまたはこれに対向する内周面431には、動圧溝列が設けられる。円筒間隙741では、モータ12の駆動時に、潤滑油120に対して上スラスト間隙72に向かう動圧を発生する動圧発生部741aが構成される。テーパ間隙742には、毛管現象により潤滑油120を保持するテーパシール部742aが構成される。図11では、動圧発生部741aおよびテーパシール部742aにより上シール部74aが構成される。
【0047】
モータ12の静止時には、潤滑油120の界面は、テーパシール部742a内に位置する。モータ12の駆動時には、潤滑油120の界面が、動圧発生部741a内に位置する。上シール部74aが、動圧発生部741aおよびテーパシール部742aを有することにより、潤滑油120を上シール間隙74内により確実に保持することができる。モータ12の静止時において、上シール部74aの存在可能範囲H41、すなわち、円筒間隙741の下側の位置からテーパシール部742a内の潤滑油120の界面の上限との間の軸方向の範囲全体が、ラジアル間隙71の存在範囲H2と径方向に重なる。
【0048】
モータ12では、図12に示すように、上シール部74aの下側に動圧発生部を有しない微小な円筒間隙741が設けられてもよい。円筒間隙741は上シール部74aには含まれない。この場合であっても、上シール部74aの存在可能範囲H41が、ラジアル間隙71の存在範囲H2と径方向に重なることにより、モータ12の高さを抑えることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係るモータ12aの一部を示す図である。モータ12aの軸受機構123では、外側シャフト部61と上プレート部52とが一繋がりの部材である。内側シャフト部51と下プレート部62とが一繋がりの部材である。以下、外側シャフト部61および上プレート部52をまとめて「上カップ部材5a」という。内側シャフト部51および下プレート部62をまとめて「下カップ部材6a」という。モータ12aの他の構造は、第1の実施形態と同様である。以下、同様の構成には、同符号を付す。
【0050】
内側シャフト部51の外周部と外側シャフト部61の内周部とが接着固定されることにより、上カップ部材5aと下カップ部材6aとが固定される。軸方向において、上プレート接続部522の上面533および外側シャフト部61の上面が、内側シャフト部51の上端よりも上側に位置する。これにより、内側シャフト部51と外側シャフト部61との間の接着剤が上プレート接続部522の上面533よりも上にはみ出ることが防止される。
【0051】
外側シャフト部61の下端は、下プレート接続部621の上面631に軸方向に当接する。これにより、下プレート接続部621の上面631と上プレート円筒部521の下面531との間の軸方向の距離を高精度に構成することができ、上スラスト間隙72および下スラスト間隙73の軸方向の幅の和を容易に構成することができる。
【0052】
第2の実施形態においても、ラジアル間隙71の存在範囲H2と、上シール部74aの存在可能範囲H41全体および下シール部75aの存在可能範囲H5のほぼ全体とが径方向に重なる。これにより、モータ12aを薄型化することができる。また、内側シャフト部51と外側シャフト部61との間の締結範囲H1が、ラジアル間隙71の存在範囲H2と径方向に重なることにより、モータ12aを大きくすることなく、ラジアル間隙71および締結範囲の軸方向の長さを確保することができる。
【0053】
第2の実施形態では、図14に示すように、内側シャフト部51の外周面の上部に上方に向かって径方向内方に傾斜する傾斜面513が設けられ、外周面の下部に径方向内方に窪む凹部514が設けられてよい。これにより、傾斜面513と外側シャフト部61の内周面の上部との間に接着剤溜まり部55bが形成され、凹部514と外側シャフト部61の内周面の下部との間に接着剤溜まり部55aが形成される。
【0054】
図15は、他の例に係る軸受機構123を示す図である。内側シャフト部51は、雄ねじ515、を有する。雄ねじ515は、内側シャフト部51の上面から下方に向かうねじ孔517に螺合する。雄ねじ515の頭部であるねじフランジ部516は、上プレート接続部522の上面533に軸方向に当接する。雄ねじ515が設けられることにより、上カップ部材5aと下カップ部材6aとが強固に固定される。ねじフランジ部516の上部に、Cリングを取り付ける部位を設け、ねじフランジ部516とCリングとに挟まれるようにして、第2ハウジング部材142が固定されてもよい。図16に示すように、内側シャフト部51と上プレート部52とが一繋がりの部材であり、外側シャフト部61と下プレート部62とが一繋がりの部材である場合には、内側シャフト部51の下部にねじ孔517を設け、雄ねじ515を内側シャフト部51の下側に固定してもよい。
【0055】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態に係るモータ12bを示す図である。モータ12bは、第1の実施形態に係るモータ12の軸受機構123とは異なる構造の軸受機構124、を含む。モータ12bの他の構造は、モータ12と同様である。軸受機構124は、シャフト部65と、下プレート部66と、上プレート部54と、スリーブ部4aと、を含む。シャフト部65は、下プレート部66と一繋がりの部材である。シャフト部65は、上プレート部54とは、別部材である。
【0056】
図18は、軸受機構124を拡大して示す図である。下プレート部66は、下プレート接続部661と、下プレート円筒部662と、を含む。下プレート接続部661は、シャフト部65の下部から径方向外方に広がる。下プレート円筒部662は、下プレート接続部661の外縁部から上方に向かう。上プレート部54は、上プレート円筒部541と、上プレート接続部542と、を含む。上プレート接続部542は、シャフト部65の上部と上プレート円筒部541の上部とを接続する。
【0057】
スリーブ部4aは、内側スリーブ円筒部44と、スリーブフランジ部45と、外側スリーブ円筒部46と、を含む。内側スリーブ円筒部44は、中心軸J1を中心とする円筒状の内周面を構成する部位である。内側スリーブ円筒部44の内側には、シャフト部65が挿入される。スリーブフランジ部45は、内側スリーブ円筒部44から径方向外方に広がる。スリーブフランジ部45は、スリーブフランジ部45を上下方向に貫通する連通孔451、を含む。外側スリーブ円筒部46は、スリーブフランジ部45の外縁部から上方に向かう。スリーブ部4aでは、内側スリーブ円筒部44の外周面441、すなわち、スリーブフランジ部45の上側に位置し、中心軸J1を中心とする円筒状の面と外側スリーブ円筒部46の内周面461との間の径方向の幅が、内側スリーブ円筒部44の径方向の厚さ、すなわち、内側スリーブ円筒部44の外周面441と内周面との間の径方向の幅よりも広い。
【0058】
シャフト部65の外周面と内側スリーブ円筒部44の内周面との間には、ラジアル間隙71が構成される。ラジアル間隙71には、図7と同様のラジアル動圧発生溝列711によりラジアル動圧軸受部71aが構成される。内側スリーブ円筒部41の上面411と上プレート接続部542の下面との間には、径方向に広がる横連絡間隙761が構成される。内側スリーブ円筒部41の外周面441と上プレート円筒部541の内周面との間には、上下方向に延びる縦連絡間隙762が構成される。
【0059】
スリーブフランジ部45の上面452の連通孔451よりも径方向内側の領域と、上プレート円筒部541の下面534との間に上スラスト間隙72が構成される。上スラスト間隙72には、図8と同様の上スラスト動圧発生溝列721により上スラスト動圧軸受部72aが構成される。スリーブフランジ部45の下面453の連通孔451よりも径方向内側の領域と、下プレート接続部661の上面633との間に下スラスト間隙73が構成される。下スラスト間隙73には、図9と同様の下スラスト動圧発生溝列731により、下スラスト動圧軸受部73aが構成される。上スラスト間隙72および下スラスト間隙73は、連通孔451により連通される。
【0060】
上プレート円筒部541の外周面532と外側スリーブ円筒部46の内周面461との間には、上方に向かって開口する上シール間隙74が構成される。上シール間隙74の径方向の幅は、上方に向かうに従って漸次増大する。上シール間隙74には、潤滑油120の界面が位置する上シール部74aが構成される。
【0061】
下プレート円筒部662の内周面643とスリーブフランジ部45の外周面454との間には、上方に向かって開口する下シール間隙75が構成される。下シール間隙75の径方向の幅は、上方に向かうに従って漸次増大する。下シール間隙75には、潤滑油120の界面が位置する下シール部75aが構成される。
【0062】
図19に示すように、ラジアル間隙71の軸方向における存在範囲H2は、上シール部74aの軸方向における存在可能範囲H41のほぼ全体と径方向に重なる。また、ラジアル間隙71の存在範囲H2は、下シール部75aの軸方向における存在可能範囲H5のほぼ全体と径方向に重なる。
【0063】
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ラジアル間隙71の存在範囲H2と、上シール部74aの存在可能範囲H41および下シール部75aの存在可能範囲H5とが径方向に重なることにより、モータ12bを薄型化することができる。内側スリーブ円筒部44と外側スリーブ円筒部46との間の径方向の幅を広くすることにより、上スラスト動圧軸受部72aの径方向の幅を広くすることができる。また、上記幅に比べて内側スリーブ円筒部44の径方向の厚さが薄いことから、スリーブ部4aを鍛造加工にて成型する際に、内側スリーブ円筒部44の上部を容易に設けることができる。シャフト部65と上プレート部54とが別部材であるため、上プレート部54の加工が容易となる。
【0064】
図20は、上シール部74aの他の例を示す図である。上シール部74a以外のモータの構造は、図3、図13等と同様である。図20では、上シール部74aは、上プレート部52の上面とシールキャップ33の下面との間の上シール間隙74に構成される。シールキャップ33は、図3と同様に、上プレート部52の上方においてスリーブ部4の外周部から径方向内方へと広がる。これにより、上シール部74aの軸方向の幅を小さくすることができる。また、回転時の遠心力を利用して潤滑油120の漏れをより確実に防止することができる。
【0065】
詳細には、シールキャップ33は、外側スリーブ円筒部43の上部から径方向内方へと広がる。上プレート円筒部521の外周面と外側スリーブ円筒部43の内周面との間に縦間隙77が構成される。縦間隙77内には、上スラスト間隙72から連続する潤滑油120が存在する。上プレート円筒部521の外周面は円筒面である。上シール部74aは、上プレート円筒部521の上面とシールキャップ33の下面との間に構成される。上シール間隙74は、径方向内方に向かって軸方向の幅が漸次増大し、かつ、上方へと傾斜する。
【0066】
図21は、図20に示す構造において、縦間隙77の軸方向の長さを小さくして上プレート円筒部521を省くことにより、モータをさらに薄型化した例を示す図である。図21では、図20の縦間隙77はほとんど存在しない。上プレート部52では、図20の上プレート接続部522の下面が、上プレート部52の外周まで連続する。
【0067】
図20および図21の構造では、上シール部74aの軸方向の幅を小さくすることにより、軸受機構の上シール部74a以外の構造において、軸方向の幅を大きくする設計が容易となる。その結果、部材の剛性確保や耐衝撃性の向上が容易となる。
【0068】
なお、上シール間隙74を大きく傾斜させることにより、上シール間隙74の開口を大きくすることができる。すなわち、上シール間隙74に多くの潤滑油120を保持することが可能となる。そこで、下シール間隙75よりも上シール間隙74における間隙が広がり角を大きくすることにより、静止時に上シール間隙74内の潤滑油の量を少なくすることができる。これにより、静止時の耐衝撃性を向上することができる。
【0069】
下シール間隙75には、回転時に潤滑油を下方へと押し込む溝を設け、回転時には、上シール間隙74および下シール間隙75に適切な量の潤滑油が保持される。回転時に上シール間隙74に保持される潤滑油の体積は、上スラスト間隙72の径方向外側の空間723の体積よりも大きい。このような構造により、回転時に上シール部74aの潤滑油に作用する遠心力を利用して、軸受内部の圧を高くすることができ、気泡の発生を抑制することができる。空間723を構成する面には、気泡を掻き出すための溝が設けられてもよい。
【0070】
図22は、内側シャフト部51の内周部と外側シャフト部61の外周部との間に設けられる接着剤溜まり部の他の例を示す図である。図22に示す部位以外のモータの構造は、図3と同様である。なお、内側シャフト部51と外側シャフト部61との関係は、図13に示すものであってもよい。
【0071】
図22では、内側スリーブ円筒部41の内周面のラジアル動圧発生溝列は、上下に分かれている。すなわち、ラジアル動圧発生溝列は、上ラジアル動圧発生溝列712と、下ラジアル動圧発生溝列713とから構成される。上ラジアル動圧発生溝列712および下ラジアル動圧発生溝列713は、それぞれ、ヘリングボーン形状の溝、すなわち、内周面の周方向に沿って複数の略V字を横向きにした溝の集合体である。図22では、上ラジアル動圧発生溝列712が存在する軸方向の範囲に符号712を付し、下ラジアル動圧発生溝列713が存在する軸方向の範囲に符号713を付す。
【0072】
一方、接着剤溜まり部55cは、軸方向において、上ラジアル動圧発生溝列712と、下ラジアル動圧発生溝列713との間に位置する。図22では、接着剤溜まり部55cの軸方向の存在範囲に符号715を付す。接着剤溜まり部55cを設けるために、内側シャフト部51の外周面には径方向内方へと窪む凹部が設けられる。外側シャフト部61の内周面に径方向外方へと窪む凹部が設けられてもよい。
【0073】
内側シャフト部51と外側シャフト部61とを接着固定する場合、接着剤による応力により、外側シャフト部61が変形する虞がある。そこで、接着剤溜まり部55cを上ラジアル動圧発生溝列712と下ラジアル動圧発生溝列713との間に配置することにより、接着剤による応力がラジアル動圧軸受部に影響を与えることが低減される。また、接着剤溜まり部55cによるアンカー効果により、内側シャフト部51と外側シャフト部61との締結強度が向上する。
【0074】
図23は、内側シャフト部51と外側シャフト部61との締結構造の他の例を示す図であり、内側シャフト部51および外側シャフト部61の下部を示す。外側シャフト部61の内周面の直径は、内側シャフト部51の下端の位置において、他の部位よりも僅かに小さい。図23では、内周面の直径が僅かに小さい様子を、太線にて表現している。このような構造により、内側シャフト部51の下端と、外側シャフト部61とは締まり嵌め状態にて固定される。締まり嵌め状態は、圧入により得られてもよく、焼き嵌め等の他の手法により得られてもよい。内側シャフト部51と外側シャフト部61との間の他の領域では、これらの部材は接着剤にて固定される。
【0075】
図23では、締まり嵌め状態となる内側シャフト部51と外側シャフト部61との固定部位の軸方向の範囲である締まり嵌め範囲に符号718を付す。締まり嵌め範囲718は、下プレート部62と外側シャフト部61との境界部における軸方向の範囲である境界部範囲719に含まれる。ここでは、境界部の軸方向の範囲は、下プレート部62の内周部の軸方向最小幅である。図23の場合、下プレート部62の内周部の厚さに等しい。なお、締まり嵌め範囲718は、必ずしも境界部範囲719に含まれる必要はなく、ラジアル動圧発生溝列711よりも下プレート部62側に位置すればよい。
【0076】
内側シャフト部51が外側シャフト部61に締まり嵌め状態にて固定されることにより、内側シャフト部51と外側シャフト部61とを接着剤にて固定する際に、両部材を治具にて長時間保持する必要がなくなる。すなわち、締まり嵌め状態による仮固定を利用することができる。特に、両部材をエポキシ系接着剤にて固定する場合、ベーキング時に治具固定による工程の複雑化や作業タクトの悪化が防止される。別工程の接着剤のベーキングも容易にまとめて行うことができる。その結果、生産性が向上する。
【0077】
軸方向における締まり嵌め範囲718が、ラジアル動圧発生溝列711よりも下プレート部62側に位置することにより、締まり嵌めによる外側シャフト部61の膨れが防止でき、NRRO(Non-Repeatable RunOut)や回転がロックする不良を防止することができる。
【0078】
図24は、図23と同様の締結構造を示す図である。図24では、下プレート部62と外側シャフト部61との境界部において、下方に窪む逃がし部720が設けられる。逃がし部720により、境界部範囲719は、逃がし部720の底部と下プレート部62の下面との間の範囲となる。図24においても、締まり嵌め範囲718は、ラジアル動圧発生溝列711よりも下プレート部62側に位置する。好ましくは、境界部範囲719に含まれる。これにより、軸受性能の低下が防止される。
【0079】
なお、接着剤としては、エポキシ系接着剤と嫌気性接着剤とが併用されてもよい。例えば、エポキシ系接着剤と嫌気性接着剤とが、内側シャフト部51の外周面または外側シャフト部61の内周面に上下にずらして塗布される。これにより、締まり嵌め状態および嫌気性接着剤により、ベーキング前の仮固定をより強固とすることができる。例えば、嫌気性接着剤は、エポキシ系接着剤よりも下側に塗布される。
【0080】
図23および図24では、下プレート部62が外側シャフト部61と一繋がりの部材を構成するが、図23および図24に示す締結構造は、図13の場合、すなわち、上プレート部52が外側シャフト部61と一繋がりの部材を構成する場合にも適用可能である。この場合、締まり嵌め範囲は、ラジアル動圧発生溝列711よりも上プレート部52側に位置する。好ましくは、締まり嵌め範囲は、上プレート部52と外側シャフト部61との境界部における軸方向の範囲に含まれる。
【0081】
図25は上カップ部材5の他の例を示す図である。図26は、図25の上カップ部材5を含む軸受機構123の断面図である。上カップ部材5は図3に示すものと比べて、内側シャフト部51が短いという点で異なる。ラジアル動圧発生溝は、図22の場合と同様に、上ラジアル動圧発生溝列712と下ラジアル動圧発生溝列713とから構成され、これらの溝の軸方向の存在範囲に符号712,713を付す。図23の場合と同様に、外側シャフト部61の内周面の直径は、内側シャフト部51の下端位置において、他の部位よりも僅かに小さい。図26では、内周面の直径が僅かに小さい様子を、太線にて表現している。このような構造により、内側シャフト部51の下端と、外側シャフト部61とは締まり嵌め状態にて固定される。軸方向の他の領域では、これらの部材は接着剤にて固定される。モータの他の構造は、図2と同様である。
【0082】
内側シャフト部51が外側シャフト部61に締まり嵌め状態にて固定されることにより、図23の場合と同様に、内側シャフト部51と外側シャフト部61とを接着剤にて固定する際に、両部材を治具にて長時間保持する必要がなくなり、生産性が向上する。
【0083】
また、締まり嵌め状態による固定部位の軸方向の範囲である締まり嵌め範囲725は、上ラジアル動圧発生溝列712と、下ラジアル動圧発生溝列713との間の範囲722に含まれる。これにより、締まり嵌めによる上下ラジアル動圧軸受部の形状精度の低下が抑制される。
【0084】
なお、このような締結構造は、内側シャフト部51が下プレート部62と一繋がりの部材を構成し、外側シャフト部61が上プレート部52と一繋がりの部材を構成する場合に適用することも可能である。この場合、内側シャフト部51の上端が、軸方向において、上ラジアル動圧発生溝列712と下ラジアル動圧発生溝列713との間の範囲にて外側シャフト部61に締まり嵌め状態にて固定される。
【0085】
また、内側シャフト部51が図3と同様に長い場合においても、締まり嵌め範囲を、上ラジアル動圧発生溝列712と、下ラジアル動圧発生溝列713との間の範囲に含める手法を採用することが可能である。
【0086】
図25に示す上カップ部材5では、内側シャフト部51の下端と、上プレート円筒部521の下端の軸方向の位置が、一致する。内側シャフト部51の下端は、上プレート円筒部521の下端の軸方向の位置より上方に位置してもよい。これにより、内側シャフト部51と干渉することなく、上プレート円筒部521の下面を、容易かつ精度よく加工することができる。その結果、歩留まりの向上および製造コストの削減が実現される。
【0087】
図27は、図25に示す上カップ部材5を下カップ部材6に固定する他の例を示す図である。図27の外側シャフト部61の内周面の下部の直径は、上部の直径よりも小さい。すなわち、内周面の上部と下部との間に段差部611が設けられる。外側シャフト部61の内周面の下部の直径は、内側シャフト部51の外周面の直径よりも小さい。外側シャフト部61の内周面の上部の直径は、内側シャフト部51の外周面の直径とほぼ同じである。
【0088】
図26と同様に、内側シャフト部51の下端と、外側シャフト部61とは締まり嵌め状態にて固定される。軸方向の他の領域では、これらの部材は接着剤にて固定される。締まり嵌め状態となる固定部位の軸方向の範囲である締まり嵌め範囲は、上ラジアル動圧発生溝列と、下ラジアル動圧発生溝列との間の範囲に含まれる。これにより、締まり嵌めによる上下ラジアル動圧軸受部の形状精度の低下が抑制される。
【0089】
内側シャフト部51の下端と、上プレート円筒部521の下端の軸方向の位置は、一致する。これにより、内側シャフト部51の下端と上プレート円筒部521の下端とを同一の研磨工程にて同時に仕上げることができる。なお、上プレート円筒部521の下面の研磨と、上プレート接続部522の上面の研磨とを同時に行うことも可能となる。内側シャフト部51の下端は、段差部611の法線が上方を向く面に接する。内側シャフト部51の下端と上プレート円筒部521の下端との軸方向の位置は高精度に一致することから、上プレート円筒部521の下面の軸方向の位置を高精度に決定することができる。その結果、上スラスト間隙72と下スラスト間隙73との大きさの合計を高精度に決定することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。上記実施形態では、ラジアル間隙71の存在範囲H2と、上シール部74aの存在可能範囲H41の少なくとも一部および下シール部75aの少なくとも一部が径方向に重なるのみでもよい。これにより、モータを薄型化することができる。第1および第2の実施形態では、ラジアル間隙71の存在範囲H2が、内側シャフト部51と外側シャフト部61との間の締結範囲H1の軸方向における少なくとも一部と径方向に重なるのであれば、ラジアル間隙71の存在範囲H2と締結範囲H1とが軸方向にずれてもよい。この場合であっても、モータを薄型化することができる。図28に示すように、ラジアル間隙71の存在範囲H2が、締結範囲H1全体と径方向に重なってもよい。さらに、ラジアル間隙71の存在範囲H2が、ステータ固定部212の存在範囲H3の少なくとも一部と径方向に重なることによっても、モータを薄型化することができる。
【0091】
第1の実施形態では、下シール間隙75を図3よりも上側に位置させることにより、下シール部75aの存在範囲を上シール部74aの存在範囲全体に径方向に重ねてもよい。
【0092】
外側シャフト部61および内側シャフト部51は圧入にて固定されてもよく、接着および圧入にて固定されてもよい。また、外側シャフト部61および内側シャフト部51が焼き嵌めにて固定されてもよい。第3の実施形態では、シャフト部65が上プレート部54と一繋がりの部材であってもよい。この場合、シャフト部65と下プレート部66とが別部材となる。
【0093】
上記第1および第2の実施形態では、上スラスト動圧発生溝列が、上プレート円筒部521の下面531に設けられてもよく、下面531およびスリーブフランジ部42の上面422の両方に設けられてもよい。下スラスト動圧発生溝列が、下プレート接続部621の上面631に設けられてもよく、上面631およびスリーブフランジ部42の下面423の両方に設けられてもよい。第3の実施形態においても同様である。
【0094】
第1および第2の実施形態では、ラジアル動圧発生溝列が、外側シャフト部61の外周面に設けられてもよく、外側シャフト部61の外周面と内側スリーブ円筒部41の内周面の両方に設けられてもよい。同様に、第3の実施形態においても、シャフト部65の内周面にラジアル動圧発生溝列が設けられてもよい。第1の実施形態では、ラジアル間隙71および縦連絡間隙762の2箇所にラジアル動圧軸受部が構成されてもよい。他の実施形態においても同様である。
【0095】
上スラスト動圧発生溝列が、ヘリングボーン形状の溝の集合体であってもよい。同様に下スラスト動圧発生溝列も、ヘリングボーン形状の溝の集合体であってもよい。
【0096】
上記実施形態では、上スラスト動圧軸受部72aが必ずしも設けられる必要はない。上スラスト動圧軸受部72aが設けられない場合、軸方向において、ステータ22の磁気中心が、ロータマグネット32の磁気中心よりも下側に位置することにより、軸受機構123,124が回転部122をスラスト方向に安定して支持することができる。
【0097】
上記実施形態では、ロータハブ31をプレス加工や切削加工にて形成してもよい。
【0098】
軸受機構123,124は、ロータマグネットがステータの径方向内側に位置するインナロータ型のモータに用いられてもよい。
【0099】
ベースプレート21と下プレート部62は単一の部品で形成されていてもよい。ベースプレート21と下プレート部62が単一の部品である場合、部品コストや組み立て工数を低減することができる。
【0100】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ディスク駆動装置のモータとして利用可能であり、ディスク駆動装置以外の機器のモータとしても利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 ディスク駆動装置
4,4a スリーブ部
11 ディスク
12 モータ
13 アクセス部
14 ハウジング
21 ベースプレート
22 ステータ
32 ロータマグネット
41 内側スリーブ円筒部
42 スリーブフランジ部
43 外側スリーブ円筒部
51 内側シャフト部
52,54 上プレート部
61 外側シャフト部
62,66 下プレート部
65 シャフト部
71 ラジアル間隙
74 上シール間隙
74a 上シール部
75 下シール間隙
75a 下シール部
120 潤滑油
121 静止部
122 回転部
211 底部
212 ステータ固定部
221 ステータコア
421,451 連通孔
422,452 (スリーブフランジ部の)上面
521,541 上プレート円筒部
522,542 上プレート接続部
621,661 下プレート接続部
622,662 下プレート円筒部
711 ラジアル動圧発生溝列
721 上スラスト動圧発生溝列
731 下スラスト動圧発生溝列
H1 締結範囲
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータマグネットを有する回転部と、
前記ロータマグネットと径方向に対向するステータを有する静止部と、
を備え、
前記静止部が、
中心軸を中心として配置されるシャフト部と、
前記シャフト部の上部から径方向外方に広がる上プレート部と、
前記シャフト部の下部から径方向外方に広がる下プレート部と、
を含み、
前記回転部が、
前記上プレート部と前記下プレート部との間に配置されるスリーブ部と、
を含み、
前記スリーブ部が、
前記シャフト部が挿入される内側スリーブ円筒部と、
前記内側スリーブ円筒部の下部から径方向外方に広がるスリーブフランジ部と、
前記スリーブフランジ部から上方に延びる外側スリーブ円筒部と、
を含み、
前記上プレート部が、
前記内側スリーブ円筒部の外側に位置し、前記スリーブフランジ部の上面と対向し、上プレート部の外縁において下方に延びる上プレート円筒部と、
前記内側スリーブ円筒部の上側にて、前記シャフト部と前記上プレート円筒部とを接続する上プレート接続部と、
を含み、
前記下プレート部が、
前記外側スリーブ円筒部の外側に位置し、前記下プレート部の外縁において上方に延びる下プレート円筒部と、
前記スリーブフランジ部の下側にて、前記シャフト部と前記下プレート円筒部とを接続する下プレート接続部と、
を含み、
前記上プレート部、前記シャフト部および前記下プレート部と、前記スリーブ部との間に潤滑油が連続して存在し、
前記上プレート円筒部の外周面と前記外側スリーブ円筒部の内周面との間に、上方に向かって開口する上シール間隙が構成され、前記上シール間隙内に潤滑油の界面が位置する上シール部が位置し、
前記外側スリーブ円筒部の外周面と前記下プレート円筒部の内周面との間に、上方に向かって開口する下シール間隙が構成され、前記下シール間隙内に潤滑油の界面が位置する下シール部が位置し、
前記スリーブフランジ部の下面と前記下プレート接続部の上面との少なくとも一方の面には、スラスト動圧発生溝列が設けられ、前記シャフト部の外周面と前記内側スリーブ円筒部の内周面との少なくとも一方の面には、ラジアル動圧発生溝列が設けられ、
前記上シール部の少なくとも一部と、前記下シール部の少なくとも一部とが、前記シャフト部の外周面と前記内側スリーブ円筒部の内周面との間のラジアル間隙と径方向に重なる、モータ。
【請求項2】
前記上シール部の少なくとも一部と、前記下シール部の少なくとも一部とが、径方向に重なる、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記静止部が、プレス加工にて成型されたベース部、をさらに備え、
前記ベース部が、底部の内縁部から上方に向かう略円筒状のステータ固定部、を備え、
前記ステータ固定部の外周面に前記ステータのステータコアが固定され、内周面に前記下プレート円筒部が固定され、
前記ステータ固定部の少なくとも一部が、前記ラジアル間隙と径方向に重なる、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
軸方向において、前記上プレート円筒部の下面が、前記下プレート円筒部の上端よりも下側に位置する、請求項1ないし3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記上シール間隙の軸方向の長さが、前記スリーブフランジ部の厚さよりも長い、請求項1ないし4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記内側スリーブ円筒部、前記スリーブフランジ部および前記外側スリーブ円筒部が、一繋がりの部材であり、
前記内側スリーブ円筒部の外周面と前記外側スリーブ円筒部の内周面との間の径方向の幅が、前記内側スリーブ円筒部の径方向の厚さよりも大きい、請求項1ないし5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記シャフト部が、
前記中心軸を中心として配置される内側シャフト部と、
前記内側シャフト部の外周面に固定される略円筒状の外側シャフト部と、
を備え、
前記内側シャフト部および前記外側シャフト部の一方が、前記上プレート部と一繋がりの部材を構成し、
前記内側シャフト部および前記外側シャフト部の他方が、前記下プレート部と一繋がりの部材を構成し、
前記外側シャフト部と前記内側シャフト部とが径方向に重なる締結範囲の少なくとも一部が、前記ラジアル間隙と径方向に重なる、請求項1ないし6のいずれかに記載のモータ。
【請求項8】
前記シャフト部と前記上プレート部とが別部材であり、
前記内側スリーブ円筒部の外周面と前記外側スリーブ円筒部の内周面との間の径方向の幅が、前記内側スリーブ円筒部の径方向の厚さよりも広い、請求項1ないし5のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記上プレート円筒部の下面または前記スリーブフランジ部の前記上面の少なくとも一方の面に、前記スリーブフランジ部をアキシャル方向に支持する他のスラスト動圧溝が形成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載のモータ。
【請求項10】
前記スリーブフランジ部が、上下方向に貫通する連通孔、を有する請求項1ないし9のいずれかに記載のモータ。
【請求項11】
ディスクを回転させる請求項1ないし10のいずれかに記載のモータと、
前記ディスクに対して情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行うアクセス部と、
前記ディスク、前記モータおよび前記アクセス部を収容するハウジングと、
を備える、ディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−85446(P2013−85446A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129863(P2012−129863)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】