説明

モータ及びモータ用ブレーキ並びにモータ製造方法

【課題】ブレーキの信頼性を向上できるようにする。
【解決手段】モータ100は、モータシャフト1に回転力を与えるモータ電磁部3と、モータシャフト1の制動乃至保持を行うブレーキ部4とを有しており、ブレーキ部4は、励磁コイル19が収容されたフィールドコア12と、フィールドコア12に対しモータシャフト1の軸方向に移動可能なアーマチュア13と、アーマチュア13が摩擦係合するディスク部15D及びモータシャフト1に固定される円筒部15Cを備えたブレーキハブ15とを有しており、円筒部15Cは、ディスク部15Dとは反対側の端部に、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gを調整するための2つの仮止めネジ35用のネジ孔24と、ネジ孔24と同数設けられブレーキハブ15をモータシャフト1に固定するための固定ネジ27とを有しており、ネジ孔24と固定ネジ27とが対面配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、モータ及びモータ用ブレーキ並びにモータ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータシャフトを制動するブレーキを備えたモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術のモータ用ブレーキ(単面ブレーキ)は、モータシャフトに固定されるブレーキハブ(ブレーキロータ)と、このブレーキハブのディスク部(回転ディスク)に離接可能なアーマチュアと、このアーマチュアをディスク部に押圧するバネと、アーマチュアを吸引する電磁石を備えたフィールドコアとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−153899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のモータ用ブレーキでは、ブレーキハブがフィールドコアとアーマチュアとを貫通する円筒部を有している。特許文献1には記載されていないが、通常、このような構造のブレーキハブは、円筒部のディスク部とは反対側の端部に固定ネジ用のネジ孔を有しており、固定ネジを締め付けることによってブレーキハブとモータシャフトとが固定される。
【0005】
ここで、モータシャフトとブレーキハブとは、所定の隙間を介して嵌合されている。このため、円筒部の端部において固定ネジを締め付けた際に、固定ネジの締め付け力によってモータシャフトの端部が円筒部内で一方側の壁面に寄せられ、円筒部がモータシャフトに対して傾いて固定されるおそれがある。その結果、アーマチュアとフィールドコアとの間の隙間が円周方向に不均一となってしまい、ブレーキの動作不良を招くという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、ブレーキの信頼性を向上できるモータ及びモータ用ブレーキ並びにモータ製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、モータシャフトに回転力を与えるモータ電磁部と、前記モータシャフトの制動乃至保持を行うブレーキ部と、を有するモータであって、前記ブレーキ部は、励磁コイルが収容されたフィールドコアと、前記フィールドコアに対し前記モータシャフトの軸方向に移動可能なアーマチュアと、前記アーマチュアが摩擦係合するディスク部及び前記アーマチュアと前記フィールドコアを貫通して前記モータシャフトに固定される円筒部を備えたブレーキハブと、を有し、前記円筒部は、前記ディスク部とは反対側の端部に、前記アーマチュアと前記フィールドコアの隙間を調整するための少なくとも1つの第1ネジ用の第1ネジ孔又は前記第1ネジが当接する少なくとも1つの当接部と、前記第1ネジ孔又は前記当接部と同数設けられ前記ブレーキハブを前記モータシャフトに固定するための第2ネジと、を有しており、前記第1ネジ孔又は前記当接部と前記第2ネジとが対面配置されているモータが適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモータ及びモータ用ブレーキ並びにモータ製造方法によれば、ブレーキの信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態に係るモータの全体構成を表す縦断面図である。
【図2】一実施の形態に係るモータ用ブレーキの全体構成を表す縦断面図である。
【図3】図2中の矢印A方向から見た矢視図に対応するブレーキハブ及びセットカラーの平面図である。
【図4】モータ用ブレーキをモータに組み付ける方法について説明する説明図である。
【図5】仮止めネジ用のネジ孔同士及び固定ネジ用のネジ孔同士の間隔を略90度とする変形例における、図2中の矢印A方向から見た矢視図に対応するブレーキハブ及びセットカラーの平面図である。
【図6】仮止めネジ用のネジ孔と固定ネジ用のネジ孔とを1つずつ設ける変形例における、図2中の矢印A方向から見た矢視図に対応するブレーキハブ及びセットカラーの平面図である。
【図7】円筒部の端部に仮止めネジ用のネジ孔を設けず、モータシャフトに固定ネジ用のネジ孔を設ける変形例における、モータ用ブレーキをモータに組み付ける方法について説明する説明図である。
【図8】円筒部の端部に仮止めネジ用のネジ孔を設けず、モータシャフトに固定ネジ用のネジ孔を設ける変形例における、モータの全体構成を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るモータ100は、モータシャフト1と、フレーム2と、モータ電磁部3と、ブレーキ部4と、フレーム2の負荷側(モータシャフト1の軸方向一方側。図1中右側)端部に設けられた負荷側ブラケット5と、負荷側ブラケット5に外輪が嵌合された負荷側軸受6と、フレーム2の反負荷側(モータシャフト1の軸方向他方側。図1中左側)端部に設けられた反負荷側ブラケット7と、反負荷側ブラケット7に外輪が嵌合された反負荷側軸受8とを有している。
【0012】
モータシャフト1は、負荷側軸受6と反負荷側軸受8とにより回転自在に支持されている。この例では、負荷側軸受6は、反負荷側軸受8よりもサイズが大きく剛性が比較的高く構成されている。
【0013】
モータ電磁部3は、モータシャフト1に回転力を与える部分であり、モータシャフト1と同一軸心となるようにモータシャフト1に設けられた回転子9と、回転子9の外周面と径方向に対面するようにフレーム2の内周面に設けられた固定子10とを有している。
【0014】
ブレーキ部4は、モータシャフト1の制動乃至保持を行う部分であり、モータ電磁部3の反負荷側、この例では反負荷側ブラケット7の反負荷側に配置されている。また、ブレーキ部4は、反負荷側ブラケット7の反負荷側に設けられたブレーキカバー11によって覆われている。ここで、ブレーキ部4の詳細について説明する前に、モータ100に組み付けられて(取り付けられて)ブレーキ部4としてモータ100に備えられる前の、本実施形態に係るモータ用ブレーキについて説明する。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係るモータ用ブレーキ200は、上記モータ100のモータシャフト1の制動乃至保持を行う部材であり、円筒状のフィールドコア12と、フィールドコア12の円筒軸方向一方側(図2中右側)に対面配置され、適宜の磁性材料(例えば鋼板等)で構成された中空円板状のアーマチュア13と、圧縮バネで構成された制動バネ14と、ブレーキハブ15と、中空円板状のセットカラー30(固定部材に相当)とを有している。
【0016】
フィールドコア12は、内側円筒部12Aと、外側円筒部12Bと、底板部12Cとを備えている。内側円筒部12Aと外側円筒部12Bとの間の環状の半径方向空間は、円筒軸方向一方側に開放するコイル用凹部18となっている。このコイル用凹部18には、通電された状態においてアーマチュア13に対し円筒軸方向他方側(図2中左側)への磁気吸引力を与える励磁コイル19が収容されている。なお、内側円筒部12Aと外側円筒部12Bとの円筒軸方向一方側の面(すなわち、アーマチュア13に対面する側の面)は、アーマチュア13を磁気的に吸引する磁極面となっている。また、外側円筒部12Bの円筒軸方向一方側の面には、複数のバネ用凹部20が円周方向に適宜の等間隔で設けられている。これらのバネ用凹部20のそれぞれには、フィールドコア12とアーマチュア13との間に介装されるように上記制動バネ14が収容されている。これらの制動バネ14は、アーマチュア13に対し円筒軸方向一方側へ押圧する付勢力を作用させる。さらに、外側円筒部12Bには、装着ネジ31(図1参照)が貫通する複数(例えば3つ)の貫通孔32が円周方向に適宜の等間隔で設けられている。
【0017】
アーマチュア13は、フィールドコア12に対し円筒軸方向(言い換えれば、内部に挿通される上記モータ100のモータシャフト1の軸方向)に移動可能に支持されており、上記制動バネ14のバネ力により円筒軸方向一方側に押圧されることにより、後述の摩擦板26を介してブレーキハブ15に備えられた後述のディスク部15Dに摩擦係合する。また、アーマチュア13の半径方向外周側における上記フィールドコア12の複数の貫通孔32に対面する位置には、装着カラー33(図1参照。詳細は後述)が嵌合される切欠き溝34がそれぞれ設けられている。このように構成されたアーマチュア13は、上記励磁コイル19が通電されていない状態では、フィールドコア12の磁極面に所定の隙間G(例えば0.1mm〜0.2mm程度のエアギャップ)を介して対面している。
【0018】
ブレーキハブ15は、アーマチュア13及びフィールドコア12の内部を貫通し、固定ネジ27(図1参照。詳細は後述)及び適宜の接着剤により上記モータ100のモータシャフト1に固定される円筒部15Cと、円筒部15Cの円筒軸方向一方側の端部に設けられた中空円板状のディスク部15Dとを備えている。ディスク部15Dにおける外周側縁部の円筒軸方向他方側の面(すなわち、アーマチュア13に対面する側の面)には、環状の摩擦板26が取り付けられている。そして、この摩擦板26を介して、上記制動バネ14のバネ力によりアーマチュア13がディスク部15Dに摩擦係合する。なお、摩擦板26を、ブレーキハブ15のディスク部15Dに設ける代わりに、アーマチュア13側に設けてもよい。円筒部15Cは、円筒軸方向他方側の端部(すなわち、ディスク部15Dとは反対側の端部。以下適宜、単に「端部」と称する)が、フィールドコア12の円筒軸方向他方側に突出する長さに形成されている。この円筒部15Cの端部には、アーマチュア13とフィールドコア12との間の上記隙間Gを調整するための仮止めネジ35(第1ネジ及び第4ネジに相当)用の、2つのネジ孔24(第1ネジ孔に相当)と、ブレーキハブ15をモータシャフト1に固定するための固定ネジ27(第2ネジ及び第3ネジに相当。図1参照)用の、ネジ孔24と同数(すなわち、2つ)のネジ孔28とが設けられている。なお、本明細書中では、「ネジ孔」をネジ山が形成された孔と定義し、後述の「挿通孔」と区別して用いる。図3に示すように、これら2つのネジ孔24及び2つのネジ孔28(言い換えれば、2つのネジ孔28に螺合される2つの固定ネジ27)は、ネジ孔24とネジ孔28(言い換えれば、固定ネジ27)とが対面配置されると共に、ネジ孔24同士及びネジ孔28同士(言い換えれば、固定ネジ27同士)が、円筒部15Cの軸心Oを中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。図2に戻り、円筒部15Cの端部には、上記セットカラー30が設けられている。
【0019】
セットカラー30は、円筒軸方向一方側の面をフィールドコア12に当接した状態で、上記ブレーキハブ15の円筒部15Cの端部に上記仮止めネジ35により固定されることによって、上記隙間Gを調整しつつ、フィールドコア12、アーマチュア13、及びブレーキハブ15を一体的に組み上げるための部材である。このセットカラー30には、上記固定ネジ27を挿通させる2つの挿通孔37と、上記仮止めネジ35が螺合された、挿通孔37と同数(すなわち、2つ)のネジ孔36とが設けられている。なお、本明細書中では、「挿通孔」をネジ山が形成されていない孔と定義し、「ネジ孔」と区別して用いる。図3に示すように、2つの挿通孔37は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおける2つのネジ孔28に対面する円周方向位置に設けられ、2つのネジ孔36は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおける2つのネジ孔24に対面する円周方向位置に設けられている。すなわち、これら2つの挿通孔37及び2つのネジ孔36(言い換えれば、2つの仮止めネジ35)は、挿通孔37とネジ孔36(言い換えれば、仮止めネジ35)とが対面配置されると共に、挿通孔37同士及びネジ孔36同士(言い換えれば、仮止めネジ35同士)が、セットカラー30の上記軸心Oを中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。図2に戻り、このように構成されたセットカラー30は、円筒軸方向一方側の面をフィールドコア12に当接した状態で、仮止めネジ35がネジ孔36と上記円筒部15Cにおけるネジ孔24とに螺合して締結することにより、円筒部15Cの端部に固定されている。
【0020】
ここで、図4(a)、図4(b)、及び図4(c)を用いて、以上のように構成されたモータ用ブレーキ200をモータ100に組み付ける(取り付ける)モータ製造方法について説明する。なお、図4(a)、図4(b)、及び図4(c)中では、ブレーキハブ15の円筒部15Cとフィールドコア12との隙間、円筒部15Cとモータシャフト1との隙間、及び、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gの大きさを誇張して図示している。また、図4(b)及び図4(c)では、装着ネジ31、アーマチュア13の切欠き溝34に設置される装着カラー33、及び反負荷側ブラケット7等の図示を省略している。
【0021】
図4(a)に示すように、モータ用ブレーキ200は、モータ100に組み付けられる前(モータ組み付け前)には、仮止めネジ35がセットカラー30のネジ孔36とブレーキハブ15の円筒部15Cにおけるネジ孔24とに螺合して締結することにより、円筒部15Cの端部がセットカラー30に固定されることによって、上記隙間Gが調整されている。この状態では、セットカラー30によって、フィールドコア12、アーマチュア13、及びブレーキハブ15が一体的に組み上げられている。このとき、円筒部15Cとフィールドコア12とは所定の隙間を介して嵌合されており、円筒部15Cの端部を仮止めネジ35によりセットカラー30に固定した際に、仮止めネジ35の締め付け力によって円筒部15Cの端部がフィールドコア12内で仮止めネジ35側の壁面に寄せられる。これにより、円筒部15Cがフィールドコア12に対して傾いて固定され、上記隙間Gが、円周方向において仮止めネジ35側で大きくなり、その対面側で小さくなる。
【0022】
そして、図4(b)に示すように、モータ用ブレーキ200をモータ100に組み付ける際には、セットカラー30により一体的に組み上げられた状態で、まず、ブレーキハブ15の円筒部15Cの内部に、ディスク部15D側より、外周面に接着剤を塗布したモータシャフト1を挿通する。そして、フィールドコア12の外側円筒部12Bをアーマチュア13の切欠き溝34に設置した装着カラー33に当接した状態で、装着ネジ31をフィールドコア12の円筒軸方向他方側より貫通孔32及び装着カラー33の内部を貫通させ反負荷側ブラケット7に締結させることによって、フィールドコア12の外側円筒部12Bを装着カラー33を介して反負荷側ブラケット7の反負荷側の面に固定する(図1参照)。これにより、セットカラー30により一体的に組み上げられた状態のモータ用ブレーキ200をモータ100側に固定する。なお、装着カラー33は、フィールドコア12と反負荷側ブラケット7との間にアーマチュア13及びブレーキハブ15の配置スペースを確保すると共に、上記隙間Gを調整するための部材であり、アーマチュア13の回転防止の役割も果たすものである。
【0023】
次に、図4(c)に示すように、固定ネジ27をセットカラー30の挿通孔37を通してブレーキハブ15の円筒部15Cにおけるネジ孔28に螺合しつつ、固定ネジ27の先端をモータシャフト1に当接させることによって、円筒部15Cの端部をモータシャフト1に固定する。なお、上記のような、円筒部15Cにモータシャフト1を挿通し、円筒部15Cの端部をモータシャフト1に固定ネジ27により固定する手順は、特許請求の範囲に記載の第1手順に相当する。このとき、円筒部15Cとモータシャフト1とは所定の隙間を介して嵌合されており、円筒部15Cの端部を固定ネジ27によりモータシャフト1に固定した際に、固定ネジ27の締め付け力によって円筒部15Cの端部がフィールドコア12内で固定ネジ27側(言い換えれば、仮止めネジ35とは反対側)の壁面に寄せられる。この場合、円筒部15Cの端部に仮止めネジ35用のネジ孔24と固定ネジ27用のネジ孔28とが互いに対面側に位置するように設けられていることにより、固定ネジ27による締め付け力が上記仮止めネジ35の締め付け力と円周方向において均一となり、固定ネジ27の締め付け力による傾きが上記仮止めネジ35の締め付け力による傾きを相殺することによって、上記隙間Gが円周方向に均一となる。そして、モータシャフト1の外周面に予め塗布した接着剤によって、上記隙間Gを円周方向に均一にした状態を保持したまま、円筒部15Cをモータシャフト1に固定する。これにより、セットカラー30により一体的に組み上げられた状態のモータ用ブレーキ200をモータ100に組み付ける。このようにモータ用ブレーキ200がモータ100に組み付けられた場合、フィールドコア12の円筒軸方向がモータシャフト1の軸方向と一致し、円筒軸方向一方側が負荷側と一致し、円筒軸方向他方側が反負荷側と一致する。
【0024】
その後、セットカラー30のネジ孔36及びブレーキハブ15の円筒部15Cにおけるネジ孔24に螺合され締結された仮止めネジ35を緩めて、仮止めネジ35をネジ孔36,24より取り外すと共に、セットカラー30を円筒部15Cより取り外す。なお、このような、円筒部15Cをモータシャフト1に固定した後に、仮止めネジ35とセットカラー30とを取り外す手順は、特許請求の範囲に記載の第2手順に相当する。これにより、モータ用ブレーキ200は、ブレーキ部4としてモータ100に備えられる。
【0025】
すなわち、ブレーキ部4は、モータ100に組み付けられる前(モータ組み付け前)のモータ用ブレーキ200として構成される際に、ブレーキハブ15の円筒部15Cの端部が仮止めネジ35によりセットカラー30に固定されることによって上記隙間Gが調整され、モータ100に組み付けられる時(モータ組み付け時)のモータ用ブレーキ200として構成される際に、円筒部15Cの端部が固定ネジ27によりモータシャフト1に固定されると共に、仮止めネジ35とセットカラー30とが取り外されるように、構成されている。また、ブレーキ部4は、モータ100に組み付けられる際に、モータシャフト1の外周面に塗布された接着剤により円筒部15Cがモータシャフト1に固定されるように構成されており、図1に示すように、円筒部15Cとモータシャフト1との間に、上記接着剤による接着剤層16を有している。このように構成されたブレーキ部4においては、仮止めネジ35及びセットカラー30が取り外された後も、上記隙間Gは円周方向に均一に保持されている。
【0026】
そして、ブレーキ部4は、励磁コイル19が通電されていない状態(無励磁状態)では、アーマチュア13が制動バネ14のバネ力により負荷側へ押圧されることにより、当該アーマチュア13は摩擦板26を介してブレーキハブ15に摩擦係合する。この結果、ブレーキハブ15は制動されて、モータシャフト1の回転が制動される(慣性回転しているモータシャフト1を静止させる、又は、静止しているモータシャフト1に外部から回転しようとする力が加えられたときに、モータシャフト1を保持することによってモータシャフト1の静止状態を維持する)。一方、励磁コイル19が通電されている状態(励磁状態)では、励磁コイル19がアーマチュア13に対し反負荷側への磁気吸引力を与えることにより、アーマチュア13は制動バネ14のバネ力に抗しつつ負荷側へ移動する。この結果、ブレーキハブ15は上記制動から開放されて、モータシャフト1が回転可能となる。
【0027】
以上説明した本実施形態においては、次のような効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、モータ100のブレーキ部4では、ブレーキハブ15の円筒部15Cとフィールドコア12とが所定の隙間を介して嵌合される。このため、モータ組み付け前において円筒部15Cの端部を仮止めネジ35によりセットカラー30に固定した際に、仮止めネジ35の締め付け力によって円筒部15Cの端部がフィールドコア12内で一方側(仮止めネジ35側)の壁面に寄せられ、円筒部15Cがフィールドコア12に対して傾いて固定されるおそれがある。この場合、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gは、円周方向において仮止めネジ35側で大きくなり、その対面側で小さくなる。一方、ブレーキハブ15の円筒部15Cとこれに挿通されるモータシャフト1も、同様に所定の隙間を介して嵌合される。このため、モータ組み付け時において円筒部15Cの端部を固定ネジ27によりモータシャフト1に固定した際に、固定ネジ27の締め付け力によって円筒部15Cの端部がフィールドコア12内で他方側(固定ネジ27側)の壁面に寄せられ、円筒部15Cがモータシャフト1に対して傾いて固定されるおそれがある。この場合、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gは、円周方向において固定ネジ27側で大きくなり、その対面側で小さくなる。
【0029】
ここで、例えばブレーキハブ15の円筒部15Cの端部に、仮止めネジ35用のネジ孔24と固定ネジ27用のネジ孔28とが互いに対面側に位置するように設けられていない構成を考える。このような構成では、モータ組み付け時に円筒部15Cがモータシャフト1に固定された状態(セットカラー30が取り外されていない状態)において、仮止めネジ35及び固定ネジ27による締め付け力が円周方向において均一とならない。このため、上述した仮止めネジ35の締め付け力による傾きと固定ネジ27の締め付け力による傾きとが互いに相殺されず、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gを円周方向に均一にすることができない。
【0030】
本実施形態においては、ブレーキハブ15の円筒部15Cの端部に、仮止めネジ35用のネジ孔24と固定ネジ27用のネジ孔28とが互いに対面側に位置するように設けられている。このような対面配置とすることにより、モータ組み付け時に円筒部15Cがモータシャフト1に固定された状態(セットカラー30が取り外されていない状態)において、仮止めネジ35及び固定ネジ27による締め付け力が円周方向において均一となり、上述した仮止めネジ35の締め付け力による傾きと固定ネジ27の締め付け力による傾きとが互いに相殺され、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gを円周方向に均一にすることができる。この状態でモータシャフト1とブレーキハブ15とを接着剤を用いて固定することで、その後、仮止めネジ35とセットカラー30とを円筒部15Cより取り外しても、上記隙間Gを均一に保持することが可能となる。その結果、ブレーキ解放時に上記隙間Gが小さいことに起因してブレーキハブ15が回転しないといった動作不良を防止でき、ブレーキ部4の信頼性を向上することができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、ブレーキ部4が、ブレーキハブ15の円筒部15Cとモータシャフト1との間に、接着剤層16を有している。これにより、モータ組み付け時に、上述した仮止めネジ35の締め付け力による傾きと固定ネジ27の締め付け力による傾きとを互いに相殺し、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間Gを円周方向に均一にした状態を、仮止めネジ35及びセットカラー30を円筒部15Cより取り外した後も保持することができる。したがって、上記隙間Gを円周方向に均一にしたモータ100を実現できる。
【0032】
また、本実施形態では特に、モータ組み付け前に、アーマチュア13とフィールドコア12を貫通したブレーキハブ15の円筒部15Cの端部が、2つの仮止めネジ35によりセットカラー30に固定される。2つの仮止めネジ35を用いることにより、仮止めネジ35の締め付け力を2方向から作用させることができるので、円筒部15Cの表面とセットカラー30の表面とを略面接触させることが可能となり、円筒部15Cの端部とセットカラー30とを堅固に固定することができる。その結果、セットカラー30のずれや外れを防止できる。また同様に、モータ組み付け時には、円筒部15Cの端部が2つの固定ネジ27によりモータシャフト1に固定される。2つの固定ネジ27を用いることにより、固定ネジ27の締め付け力を2方向から作用させることができるので、円筒部15Cの表面とモータシャフト1の表面とを略面接触させることが可能となり、円筒部15Cの端部とモータシャフト1とを堅固に固定することができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、2つの仮止めネジ35用のネジ孔24及び2つの固定ネジ27用のネジ孔28は、ネジ孔24同士及びネジ孔28同士がブレーキハブ15の円筒部15Cの軸心Oを中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。これにより、仮止めネジ35及び固定ネジ27の締め付け力をそれぞれ120度離れた2方向から作用させることができるので、仮止めネジ35及び固定ネジ27による保持力を最も効果的に発揮させることができる。
【0034】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0035】
(1)仮止めネジ用のネジ孔同士及び固定ネジ用のネジ孔同士の間隔を略90度とする場合
上記実施形態においては、ブレーキハブ15の円筒部15Cに、仮止めネジ35用の2つのネジ孔24及び固定ネジ27用の2つのネジ孔28を、ネジ孔24同士及びネジ孔28同士が円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としたが、これに限られない。すなわち、円筒部15Cに、2つのネジ孔24及び2つのネジ孔28を、ネジ孔24同士及びネジ孔28同士が円周方向に略90度の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としてもよい。
【0036】
図5に示すように、本変形例に係るブレーキハブ15の円筒部15Cにおいては、2つのネジ孔24及び2つのネジ孔28(言い換えれば、2つのネジ孔28に螺合される前述の2つの固定ネジ27)は、ネジ孔24とネジ孔28(言い換えれば、固定ネジ27)とが対面配置されると共に、ネジ孔24同士及びネジ孔28同士(言い換えれば、固定ネジ27同士)が、円筒部15Cの軸心Oを中心とする円周方向に略90度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。
【0037】
また、円筒部15Cの端部に設けられたセットカラー30においては、2つの挿通孔37は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおける2つのネジ孔28に対面する円周方向位置に設けられ、2つのネジ孔36は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおける2つのネジ孔24に対面する円周方向位置に設けられている。すなわち、これら2つの挿通孔37及び2つのネジ孔36(言い換えれば、2つの仮止めネジ35)は、挿通孔37とネジ孔36(言い換えれば、仮止めネジ35)とが対面配置されると共に、挿通孔37同士及びネジ孔36同士(言い換えれば、仮止めネジ35同士)が、セットカラー30の上記軸心Oを中心とする円周方向に略90度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。
【0038】
上記以外の構成は、上記実施形態と同様である。
【0039】
本変形例によれば、仮止めネジ35及び固定ネジ27の締め付け力をそれぞれ90度離れた2方向から作用させることができるので、仮止めネジ35及び固定ネジ27による保持力をより効果的に発揮させることができる。
【0040】
(2)仮止めネジ用のネジ孔と固定ネジ用のネジ孔とを1つずつ設ける場合
以上においては、ブレーキハブ15の円筒部15Cに、仮止めネジ35用のネジ孔24と固定ネジ27用のネジ孔28とを2つずつ設ける構成としたが、これに限られない。すなわち、円筒部15Cに、ネジ孔24とネジ孔28とを1つずつ設ける構成としてもよい。
【0041】
図6に示すように、本変形例に係るブレーキハブ15の円筒部15Cの端部には、仮止めネジ35用の1つのネジ孔24と、前述の固定ネジ27用の1つのネジ孔28とが設けられており、これらネジ孔24及びネジ孔28(言い換えれば、ネジ孔28に螺合される前述の固定ネジ27)は、対面配置されている。
【0042】
また、円筒部15Cの端部に設けられたセットカラー30には、前述の固定ネジ27を挿通させる1つの挿通孔37と、仮止めネジ35が螺合された1つのネジ孔36とが設けられている。挿通孔37は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおけるネジ孔28に対面する円周方向位置に設けられ、ネジ孔36は、セットカラー30の、上記円筒部15Cにおけるネジ孔24に対面する円周方向位置に設けられている。すなわち、これら挿通孔37及びネジ孔36(言い換えれば、仮止めネジ35)は、対面配置されている。
【0043】
上記以外の構成は、前述の実施形態と同様である。
【0044】
本変形例によれば、ブレーキハブ15の円筒部15Cに設けるネジ孔の数を最小限とすることができるので、ブレーキハブ15の製造工程を簡略化できる。また、仮止めネジ35及び固定ネジ27の数がそれぞれ1つずつとなるので、部品点数を少なくし、構成を簡素化できる効果もある。
【0045】
(3)円筒部の端部に仮止めネジ用のネジ孔を設けず、モータシャフトに固定ネジ用のネジ孔を設ける場合
以上においては、ブレーキハブ15の円筒部15Cの端部に、仮止めネジ35用のネジ孔24と、固定ネジ27用のネジ孔28とを設ける構成としたが、これに限られない。すなわち、円筒部の端部に、仮止めネジ用のネジ孔を設けず、固定ネジ用のネジ孔28のみを設けると共に、モータシャフトに固定ネジ用のネジ孔を設ける構成としてもよい。
【0046】
図7(a)に示すように、本変形例に係るモータ用ブレーキ200′においては、ブレーキハブ15の円筒部15C′の端部には、2つの仮止めネジ35′(第1ネジ及び第4ネジに相当)の先端が当接しており、固定ネジ27′(第2ネジ及び第3ネジに相当。後述の図7(c)参照)用の2つのネジ孔28が設けられている。詳細な図示を省略するが、これら2つの仮止めネジ35′の先端が当接する部分及び2つのネジ孔28は、仮止めネジ35′の先端が当接する部分とネジ孔28とが対面配置されると共に、仮止めネジ35′の先端が当接する部分同士及びネジ孔28同士が、円筒部15C′の軸心を中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。
【0047】
また、円筒部15C′の端部に設けられたセットカラー30には、前述の実施形態と同様、上記固定ネジ27′を挿通させる2つの挿通孔37と、上記仮止めネジ35′が螺合された2つのネジ孔36とが設けられている。詳細な図示を省略するが、本変形例においては、2つの挿通孔37は、セットカラー30の、上記円筒部15C′における2つのネジ孔28に対面する円周方向位置に設けられ、2つのネジ孔36は、セットカラー30の、上記2つの挿通孔37の対面側に設けられている。すなわち、これら2つの挿通孔37及び2つのネジ孔36(言い換えれば、2つの仮止めネジ35′)は、前述の実施形態と同様、挿通孔37とネジ孔36(言い換えれば、仮止めネジ35′)とが対面配置されると共に、挿通孔37同士及びネジ孔36同士(言い換えれば、仮止めネジ35′同士)が、セットカラー30の上記軸心を中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。このように構成されたセットカラー30は、円筒軸方向一方側の面をフィールドコア12に当接した状態で、仮止めネジ35′がネジ孔36に螺合しつつ、仮止めネジ35′の先端が円筒部15C′の端部に当接することにより、円筒部15C′の端部に固定されている。
【0048】
本変形例においては、図7(a)に示すように、モータ用ブレーキ200′は、本変形例に係るモータ100′(後述の図8参照)に組み付けられる前には、仮止めネジ35′がセットカラー30のネジ孔36に螺合しつつ、仮止めネジ35′の先端がブレーキハブ15の円筒部15C′の端部に当接することにより、円筒部15C′の端部がセットカラー30に固定されることによって、アーマチュア13とフィールドコア12との隙間G(後述の図8参照)が調整されている。このとき、円筒部15C′とフィールドコア12とは所定の隙間を介して嵌合されており、円筒部15C′の端部を仮止めネジ35′によりセットカラー30に固定した際に、仮止めネジ35′の締め付け力によって円筒部15C′の端部がフィールドコア12内で仮止めネジ35′とは反対側の壁面に寄せられる。これにより、円筒部15C′がフィールドコア12に対して傾いて固定され、上記隙間Gが、円周方向において仮止めネジ35′側で小さくなり、その対面側で大きくなる。
【0049】
そして、図7(b)に示すように、モータ用ブレーキ200′をモータ100′に組み付ける際には、セットカラー30により一体的に組み上げられた状態で、まず、ブレーキハブ15の円筒部15C′の内部に、ディスク部15D側より、外周面に接着剤を塗布したモータシャフト1′を挿通する。本変形例に係るモータシャフト1′の外周面には、上記円筒部15C′におけるネジ孔28に対面する円周方向位置に、固定ネジ27′用の2つのネジ孔40が設けられている。そして、フィールドコア12の外側円筒部12Bをアーマチュア13の切欠き溝34に設置した装着カラー33に当接した状態で、装着ネジ31をフィールドコア12の円筒軸方向他方側より貫通孔32及び装着カラー33の内部を貫通させ反負荷側ブラケット7に締結させることによって、フィールドコア12の外側円筒部12Bを装着カラー33を介して反負荷側ブラケット7の反負荷側の面に固定する(後述の図8参照)。
【0050】
次に、図7(c)に示すように、固定ネジ27′をセットカラー30の挿通孔37を通してブレーキハブ15の円筒部15C′におけるネジ孔28とモータシャフト1′のネジ孔40とに螺合して締結することによって、円筒部15C′の端部をモータシャフト1′に固定する。このとき、円筒部15C′とモータシャフト1′とは所定の隙間を介して嵌合されており、円筒部15C′の端部を固定ネジ27′によりモータシャフト1′に固定した際に、固定ネジ27′の締め付け力によって円筒部15C′の端部がフィールドコア12内で固定ネジ27′とは反対側(言い換えれば、仮止めネジ35′側)の壁面に寄せられる。この場合、円筒部15C′の端部に仮止めネジ35′の先端が当接する部分と固定ネジ27′用のネジ孔28とが互いに対面側に位置するように設けられていることにより、固定ネジ27′による締め付け力が上記仮止めネジ35′の締め付け力と円周方向において均一となり、固定ネジ27′の締め付け力による傾きが上記仮止めネジ35′の締め付け力による傾きを相殺することによって、上記隙間Gが円周方向に均一となる。そして、モータシャフト1′の外周面に予め塗布した接着剤によって、上記隙間Gを円周方向に均一にした状態を保持したまま、円筒部15C′をモータシャフト1′に固定する。これにより、セットカラー30により一体的に組み上げられた状態のモータ用ブレーキ200′をモータ100′に組み付ける。
【0051】
その後、セットカラー30のネジ孔36に螺合されつつ、ブレーキハブ15の円筒部15C′に先端が当接された仮止めネジ35′を緩めて、仮止めネジ35′をネジ孔36より取り外すと共に、セットカラー30を円筒部15C′より取り外す。これにより、モータ用ブレーキ200′は、ブレーキ部4′(後述の図8参照)としてモータ100′に備えられる。
【0052】
すなわち、本変形例に係るブレーキ部4′は、モータ100′に組み付けられる前のモータ用ブレーキ200′として構成される際に、ブレーキハブ15の円筒部15C′の端部が仮止めネジ35′によりセットカラー30に固定されることによって上記隙間Gが調整され、モータ100′に組み付けられる時のモータ用ブレーキ200′として構成される際に、円筒部15C′の端部が固定ネジ27′によりモータシャフト1′に固定されると共に、仮止めネジ35′とセットカラー30とが取り外されるように、構成されている。また、図8に示すように、ブレーキ部4′は、ブレーキハブ15の円筒部15C′の端部に、仮止めネジ35′が当接した痕跡である2つの当接部41と、固定ネジ27′用の2つのネジ孔28とを有している。詳細な図示を省略するが、これら2つの当接部41及び2つのネジ孔28(言い換えれば、固定ネジ27′)は、当接部41とネジ孔28(言い換えれば、固定ネジ27′)とが対面配置されると共に、当接部41同士及びネジ孔28同士(言い換えれば、固定ネジ27′同士)が、円筒部15C′の軸心を中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている。また、ブレーキ部4′は、前述のブレーキ部4と同様、円筒部15C′とモータシャフト1′との間に、接着剤層16を有している。このように構成されたブレーキ部4′においては、仮止めネジ35′及びセットカラー30が取り外された後も、上記隙間Gは円周方向に均一に保持されている。
【0053】
上記以外のモータ用ブレーキ200′及びモータ100′構成は、前述の実施形態のモータ用ブレーキ200及びモータ100とほぼ同様である。
【0054】
本変形例によれば、前述の実施形態と同様、ブレーキ部4′の信頼性を向上することができる。
【0055】
(4)仮止めネジが当接する当接部同士及び固定ネジ用のネジ孔同士の間隔を略90度とする場合
上記(3)の変形例においては、ブレーキハブ15の円筒部15C′に、仮止めネジ35′が当接する2つの当接部41及び固定ネジ27′用の2つのネジ孔28を、当接部41同士及びネジ孔28同士が円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としたが、これに限られず、当接部41同士及びネジ孔28同士が円周方向に略90度の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としてもよい。
【0056】
(5)仮止めネジが当接する当接部と固定ネジ用のネジ孔とを1つずつ設ける場合
上記(3)の変形例においては、ブレーキハブ15の円筒部15C′に、仮止めネジ35′が当接する2つの当接部41と固定ネジ27′用のネジ孔28とを2つずつ設ける構成としたが、これに限られず、当接部41とネジ孔28とを1つずつ設ける構成としてもよい。
【0057】
(6)その他
前述の実施形態及び(1)(3)(4)の変形例においては、ブレーキハブ15の円筒部15C等に、仮止めネジ35用の2つのネジ孔24又は仮止めネジ35′が当接する2つの当接部41及び固定ネジ27等用の2つのネジ孔28を、ネジ孔24又は当接部41同士及びネジ孔28同士が円周方向に略120度又は略90度の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としたが、これに限られず、上記以外の間隔を有するように、それぞれ配置する構成としてもよい。
【0058】
また以上では、ブレーキハブ15の円筒部15C等の端部に、仮止めネジ35用のネジ孔24又は仮止めネジ35′が当接する当接部41と固定ネジ27等用のネジ孔28とを、2つずつ又は1つずつ設ける構成としたが、これに限られず、3つずつ以上設ける構成としてもよい。
【0059】
また、以上既に述べた以外にも、前述の実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0060】
その他、一々例示はしないが、前述の実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1,1′ モータシャフト
3 モータ電磁部
4,4′ ブレーキ部
12 フィールドコア
13 アーマチュア
15 ブレーキハブ
15C,15C′ 円筒部
15D ディスク部
16 接着剤層
19 励磁コイル
24 ネジ孔(第1ネジ孔)
27,27′ 固定ネジ(第2ネジ、第3ネジ)
30 セットカラー(固定部材)
35,35′ 仮止めネジ(第1ネジ、第4ネジ)
37 挿通孔
41 当接部
100,100′ モータ
200,200′ モータ用ブレーキ
G アーマチュアとフィールドコアの隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータシャフトに回転力を与えるモータ電磁部と、前記モータシャフトの制動乃至保持を行うブレーキ部と、を有するモータであって、
前記ブレーキ部は、
励磁コイルが収容されたフィールドコアと、
前記フィールドコアに対し前記モータシャフトの軸方向に移動可能なアーマチュアと、
前記アーマチュアが摩擦係合するディスク部及び前記アーマチュアと前記フィールドコアを貫通して前記モータシャフトに固定される円筒部を備えたブレーキハブと、を有し、
前記円筒部は、
前記ディスク部とは反対側の端部に、前記アーマチュアと前記フィールドコアの隙間を調整するための少なくとも1つの第1ネジ用の第1ネジ孔又は前記第1ネジが当接する少なくとも1つの当接部と、前記第1ネジ孔又は前記当接部と同数設けられ前記ブレーキハブを前記モータシャフトに固定するための第2ネジと、を有しており、前記第1ネジ孔又は前記当接部と前記第2ネジとが対面配置されている
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記ブレーキ部は、
モータ組み付け前に、前記アーマチュアと前記フィールドコアを貫通した前記円筒部の前記端部が前記第1ネジにより固定部材に固定されることによって前記アーマチュアと前記フィールドコアの隙間が調整され、モータ組み付け時に、前記円筒部の前記端部が前記第2ネジにより前記モータシャフトに固定されると共に、前記第1ネジと前記固定部材が取り外されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ブレーキ部は、
前記ブレーキハブの前記円筒部と前記モータシャフトとの間に、接着剤層を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記円筒部は、
2つの前記第1ネジ孔又は前記当接部と、2つの前記第2ネジと、を有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記2つの第1ネジ孔又は前記2つの当接部、及び、前記2つの第2ネジは、
前記第1ネジ孔又は前記当接部同士及び前記第2ネジ同士が、前記円筒部の軸心を中心とする円周方向に略120度の間隔を有するように、それぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記2つの第1ネジ孔又は前記2つの当接部、及び、前記2つの第2ネジは、
前記第1ネジ孔又は前記当接部同士及び前記第2ネジ同士が、前記円筒部の軸心を中心とする円周方向に略90度の間隔を有するように、それぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項7】
前記円筒部は、
1つの前記第1ネジ孔又は前記当接部と、1つの前記第2ネジと、を有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
モータシャフトの制動乃至保持を行うモータ用ブレーキであって、
励磁コイルが収容されたフィールドコアと、
前記フィールドコアに対し前記モータシャフトの軸方向に移動可能なアーマチュアと、
前記アーマチュアが摩擦係合するディスク部及び前記モータシャフトに第3ネジにより固定される円筒部を備えたブレーキハブと、
前記アーマチュアと前記フィールドコアを貫通した前記円筒部の前記ディスク部とは反対側の端部に第4ネジにより固定され、前記アーマチュアと前記フィールドコアの隙間を調整する固定部材と、を有し、
前記固定部材は、
前記第3ネジを挿通させる少なくとも1つの挿通孔と、前記挿通孔と同数設けられた前記第4ネジと、を有しており、前記挿通孔と前記第4ネジとが対面配置されている
ことを特徴とするモータ用ブレーキ。
【請求項9】
励磁コイルが収容されたフィールドコアと、前記フィールドコアに対しモータシャフトの軸方向に移動可能なアーマチュアと、前記アーマチュアが摩擦係合するディスク部及び前記モータシャフトに少なくとも1つの第3ネジにより固定される円筒部を備えたブレーキハブと、前記第3ネジを挿通させる少なくとも1つの挿通孔及び前記挿通孔と同数設けられ前記挿通孔と対面配置された第4ネジを備え、前記アーマチュアと前記フィールドコアを貫通した前記円筒部の前記ディスク部とは反対側の端部に前記第4ネジにより固定され、前記アーマチュアと前記フィールドコアの隙間を調整する固定部材と、を有するモータ用ブレーキをモータに取り付けるモータ製造方法であって、
前記円筒部に前記モータシャフトを挿通し、前記円筒部の前記端部を前記モータシャフトに前記第3ネジにより固定する第1手順と、
前記円筒部を前記モータシャフトに固定した後に、前記第4ネジと前記固定部材を取り外す第2手順と、を有する
ことを特徴とするモータ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−5562(P2013−5562A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133388(P2011−133388)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】