説明

モータ用ブレーキ構造

【課題】本発明は、ブレーキハブとブレーキディスクとの間にライニングを介在させることにより、モータ回転時の騒音の発生を小さくすることを目的とする。
【解決手段】本発明によるモータ用ブレーキ構造は、サイドプレート(1)と輪状電磁部(6)間に配設されたブレーキディスク(10)とブレーキハブ(9)との間にライニング(11)を介在させ、回転軸(8)の回転時の騒音発生を小さくする構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用ブレーキ構造に関し、特に、ブレーキディスクとブレーキハブとの間に樹脂によるライニングを形成することにより、モータ回転時の回転音を小さくするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のモータ用ブレーキ構造を有するブレーキ付きモータとしては、例えば、特許文献1に記載された構成を挙げることができる。
前記特許文献1に開示されたブレーキ付きモータにおけるモータ用ブレーキ構造は、図2に示される通りである。
【0003】
図2において符号1で示されるものは、図示しないモータに設けられたサイドプレートであり、このサイドプレート1には、カラー2と取付用のねじ3を介して、フィールドコア4及びコイル5からなる輪状をなす輪状電磁部6が接続されている。
【0004】
前記輪状電磁部6には、輪状の輪状アーマチュア7が設けられており、この輪状アーマチュア7と前記サイドプレート1との間には、前記モータの回転軸8の外周に嵌合されたブレーキハブ9に噛合する鉄系からなる輪状のブレーキディスク10が配設されている。
【0005】
前記ブレーキディスク10の両面には、樹脂よりなるライニング11が形成され、このライニング11はブレーキディスク10の外縁側のみに形成されている。
従って、前述の構成において、モータが回転している時は、周知のように、輪状アーマチュア7が輪状電磁部6内のスプリング(図示せず)を圧縮してブレーキディスク10をフリーとし、ブレーキディスク10と回転軸8は回転するが、モータ停止時には、輪状電磁部6がオフとなるため、輪状アーマチュア7の吸引力はなくなり、輪状アーマチュア7は前記スプリングで押されてブレーキディスク10を前記サイドプレート1側へ押圧することにより、ブレーキディスク10及び回転軸8の回転はブレーキオン状態で停止される。
【0006】
【特許文献1】特開2000−50569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のモータ用ブレーキ構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、ブレーキディスクには、その外縁部のみにライニングが形成されているのみであるため、ブレーキハブと噛合する部分には鉄材が直接露出している状態であり、モータ回転中における騒音が大きく、この種のモータの大きい欠点であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるモータ用ブレーキ構造は、サイドプレートにねじを介して固定され輪状アーマチュアを有する輪状電磁部と、前記輪状アーマチュア及び輪状電磁部を貫通する回転軸に設けられたブレーキハブと、前記ブレーキハブに係合し前記サイドプレートと輪状アーマチュアとの間に配設されたブレーキディスクと、前記ブレーキディスクの両面に形成され樹脂からなるライニングとを備えたモータ用ブレーキ構造において、前記ライニングは、前記ブレーキハブとの間に形成されて構成であり、また、前記ライニングは、前記ブレーキディスクの全面に形成されている構成であり、また、前記ブレーキハブの外周は多角形よりなる構成であり、また、前記ライニングは、樹脂モールド成形により形成されている構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるモータ用ブレーキ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ブレーキディスクとブレーキハブの間に、ブレーキディスクに設けたライニングが配設されているため、モータ回転時の騒音を極めて小さくすることができ、モータの品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ブレーキディスクとブレーキハブとの間に樹脂によるライニングを形成することにより、モータ回転時の回転音を小さくするようにしたモータ用ブレーキ構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるモータ用ブレーキ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1において符号1で示されるものは、図示しないモータに設けられたサイドプレートであり、このサイドプレート1には、カラー2と取付用のねじ3を介して、フィールドコア4及びコイル5からなる輪状をなす輪状電磁部6が接続されている。
【0012】
前記輪状電磁部6には、輪状の輪状アーマチュア7が設けられており、この輪状アーマチュア7と前記サイドプレート1との間には、前記モータの回転軸8の外周に嵌合された鉄系からなるブレーキハブ9に係合する鉄系からなる輪状のブレーキディスク10が配設されている。
前記ブレーキディスク10の内孔10aは、前記ブレーキハブ9の多角形に形成された外周9aが嵌め合い等によって係合して、回転軸8とブレーキディスク10とがブレーキハブ9を介して共に回転するように構成されている。
【0013】
前記ブレーキディスク10の両面には、樹脂よりなるライニング11が形成され、このライニング11は前記ブレーキディスク10の全面にわたり周知の樹脂モールド成形によって形成され、このライニング11は前記外周9aとブレーキディスク10との間には前記ライニング11が介在するように構成されている。
尚、前記ライニング11の従来例に対する追加部分は前記外周9aとブレーキディスク10との間に介在していればよく、ライニング11を部分的になくし、ブレーキディスク10の表面を部分的に露出させて形成することもできる。
従って、ブレーキハブ9の外周9aとブレーキディスク10との間にはライニング11が介在し、モータの回転軸8が回転する時の前記外周9aとブレーキディスク10間で発生していた騒音を防止することができる。尚、図1のブレーキ構造の動作については、従来構成においても述べたように周知であり、従来構成と同様であるため、ここでは省略するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、モータだけではなく、一般の回転軸に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるモータ用ブレーキ構造を示す断面図である。
【図2】従来のモータ用ブレーキ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 サイドプレート
2 カラー
3 ねじ
4 フィールドコア
5 コイル
6 輪状電磁部
7 輪状アーマチュア
8 回転軸
9 ブレーキハブ
9a 外周
10 ブレーキディスク
10a 内孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドプレート(1)にねじ(3)を介して固定され輪状アーマチュア(7)を有する輪状電磁部(6)と、前記輪状アーマチュア(7)及び輪状電磁部(6)を貫通する回転軸(8)に設けられたブレーキハブ(9)と、前記ブレーキハブ(9)に係合し前記サイドプレート(1)と輪状アーマチュア(7)との間に配設されたブレーキディスク(10)と、前記ブレーキディスク(10)の両面に形成され樹脂からなるライニング(11)とを備えたモータ用ブレーキ構造において、
前記ライニング(11)は、前記ブレーキハブ(9)との間に形成されていることを特徴とするモータ用ブレーキ構造。
【請求項2】
前記ライニング(11)は、前記ブレーキディスク(10)の全面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のモータ用ブレーキ構造。
【請求項3】
前記ブレーキハブ(9)の外周は多角形よりなることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ用ブレーキ構造。
【請求項4】
前記ライニング(11)は、樹脂モールド成形により形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載のモータ用ブレーキ構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−192305(P2007−192305A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11139(P2006−11139)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】