説明

モールドパッケージ

【課題】プリント基板の一面に設けられたランドに、導電性接着材を介して電子部品を接続したものを、モールド樹脂で封止してなるモールドパッケージにおいて、モールド樹脂とランドとの剥離を防止する。
【解決手段】導電性接着材30は、ランド11の表面全体に行き渡ってランド11の表面全体を被覆しており、ランド11は、導電性接着材30を介してモールド樹脂70に封止されることで、モールド樹脂70とは非接触の状態にある。プリント基板10の一面10aのうちランド11に隣り合う部位には、基板10の一面10a上に突出する壁形状をなすダム部12が設けられており、導電性接着材30は、ランド11の周囲に位置する基板10の一面10aまではみ出しつつ、ダム部12よりもランド11側の部位に留まるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の一面に設けられたランドに、導電性接着材を介して電子部品を接続したものを、モールド樹脂で封止してなるモールドパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のモールドパッケージは、一面に部品接続用のランドを有する配線基板と、配線基板の一面上に搭載されランドに対向して配置された電子部品とを備えている。そして、電子部品とランドとの間に導電性接着材を介在させ、この導電性接着材を介して、電子部品をランドに接続して配線基板の一面上に固定するとともに、配線基板の一面に、電子部品、ランドおよび導電性接着材を被覆して封止するモールド樹脂を設けた構成を有する。
【0003】
このような構成において、配線基板としてプリント基板を用い、このプリント基板をモールド樹脂で封止する場合、導電性接着材を介して電子部品が接続されているランドについては、当該ランドと導電性接着材と電子部品との間の熱膨張係数の差による熱応力が、当該ランドとモールド樹脂との界面に発生する。
【0004】
ここで、当該ランドの表面には、通常Auめっきなどのめっきが施されているが、このめっきとモールド樹脂との密着力が小さいために、上記熱応力によって、モールド樹脂の剥離が発生する。そして、この剥離がランド端面まで進行し、その後、プリント基板のクラックにまで発展するという問題が生じる。
【0005】
ここで、従来では、一般的なプリント基板のクラックに対する対策として、特許文献1に記載されているように、発生したクラックの進展方向にてプリント基板に緩衝層を設けることで、クラックを止めるという手法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2に記載されているように、多層プリント配線板に内蔵されたICチップの角部を面取りすることによって、当該角部における応力集中を防止し、クラックの発生を防止する手法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−349447号公報
【特許文献2】特開2002−246506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の手法では、クラックの進展を止めることは可能であるが、クラックそのものの発生を抑えることができない。また、上記特許文献2に記載の手法は、プリント配線板に内蔵された部品から発生するクラックを防止するものであって、モールド樹脂で封止されたランドから発生するクラックを防止する場合には、適用できない。
【0009】
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、配線基板の一面に設けられたランドに、導電性接着材を介して電子部品を接続したものを、モールド樹脂で封止してなるモールドパッケージにおいて、モールド樹脂とランドとの剥離を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、ランドとモールド樹脂とを接触させない構造にすることによって、クラックを防止できるという点に着目し、鋭意検討を行った結果、本発明を創出するに至った。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明においては、導電性接着材(30)は、ランド(11)の表面全体に行き渡ってランド(11)の表面全体を被覆しており、ランド(11)は、導電性接着材(30)を介してモールド樹脂(70)に封止されることで、モールド樹脂(70)とは非接触の状態にあることを特徴としている。
【0012】
それによれば、ランド(11)の表面は、導電性接着材(30)を介してモールド樹脂(70)に接触するものの、ランド(11)とモールド樹脂(70)とは直接接触しない状態とされており、モールド樹脂(70)とランド(11)との界面がそもそも存在しないから、モールド樹脂(70)とランド(11)との剥離を防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のモールドパッケージにおいて、配線基板(10)の一面(10a)のうちランド(11)に隣り合う部位には、配線基板(10)の一面(10a)上に突出する壁形状をなすダム部(12)が設けられており、導電性接着材(30)は、ランド(11)の周囲に位置する配線基板(10)の一面(10a)まではみ出しつつ、ランド(11)の表面全体を覆うとともに、配線基板(10)の一面(10a)のうちダム部(12)よりもランド(11)側の部位に留まるように配置されていることを特徴としている。
【0014】
このように、ランド(11)の外側にダム部(12)を設ければ、導電性接着材(30)を設けるときに、ランド(11)の表面全体を被覆する導電性接着材(30)がランド(11)よりもはみ出しても、ダム部(12)を越えて広がるのを防止できるため、導電性接着材(30)の余分なはみ出しを防止できる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のモールドパッケージにおいて、配線基板(10)の一面(10a)上におけるダム部(12)の突出高さは、ランド(11)の突出高さと同等以上であることを特徴としている。
【0016】
それによれば、導電性接着材(30)を印刷法により塗布するときに、ダム部(12)の突出先端部が印刷マスク(M)に接触しやすくなって印刷マスク(M)の支持を行うことが容易になるとともに、塗布される導電性接着材(30)がダム部(12)を越えてはみ出しにくくなる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1〜請求項3に記載のモールドパッケージにおいては、ランド(12)は、平面的に複数個に分割された分割部(11a)の集合体よりなるものであってもよい。
【0018】
それによれば、導電性接着材(30)が個々の分割部(11a)の隙間に入りつつランド(11)全体を被覆するので、ランド(11)と導電性接着材(30)との密着性が向上する。また、もし、製造工程において、ランド(11)の一部すなわち一部の分割部(11a)が導電性接着材(30)で被覆されなかった場合でも、ランド(11)が小さく分割されたものであるから、ランド(11)におけるモールド樹脂(70)の剥離が発生しても、その剥離が進行しにくいものとなる。
【0019】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るモールドパッケージの概略断面図である。
【図2】図1に示されるモールドパッケージにおけるダム部およびランドの概略平面図である。
【図3】印刷による導電性接着材の配設方法を示す概略断面図であり、(a)はダム部無しの場合、(b)はダム部有りの場合を示す。
【図4】本発明の第2実施形態に係るモールドパッケージの要部を示す概略平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るモールドパッケージの要部を示す概略平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るモールドパッケージの要部を示す概略平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るモールドパッケージの製造方法の要部を示す工程図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係るモールドパッケージの要部の概略断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るモールドパッケージS1の概略断面構成を示す図である。このモールドパッケージS1は、たとえば自動車に搭載される電子制御装置として用いられる。
【0023】
本実施形態のモールドパッケージS1は、大きくは、一面10aに部品接続用のランド11を有する配線基板10と、配線基板10の一面10a上に搭載されランド11上に導電性接着材30を介して接続された電子部品20と、これら電子部品20、ランド11および導電性接着材30を被覆して封止するモールド樹脂70とを備えて構成されている。
【0024】
配線基板10は、樹脂よりなる基板であり、ここではプリント基板10である。このプリント基板10は単層の基板でもよいし、複数の樹脂層を積層するとともに樹脂層間に内部配線が形成されている多層基板でもよい。
【0025】
ここで、ランド11は導体よりなり、その導体の表面に、Auめっきなどのめっきが施されたものである。この導体としては、CuやAlなどが挙げられ、これら導体は、金属箔をプリント基板10の一面10aに貼り付け、これをエッチングすることでパターニングされたものである。たとえばランド11の平面形状は、矩形または円形をなす。
【0026】
また、電子部品20は、プリント基板10の一面10a上にてランド11に対向して配置されており、電子部品20とランド11との間に、導電性接着材30が介在している。そして、この導電性接着材30を介して、電子部品20はランド11に接続されてプリント基板10の一面10a上に固定されている。
【0027】
この電子部品20は、導電性接着材30を介してランド11に接続されるものであればよく、たとえばコンデンサや抵抗素子、あるいはICチップやフリップチップなどが挙げられる。ここでは、電子部品20はチップコンデンサとされている。
【0028】
導電性接着材30としては、たとえばエポキシ樹脂にAgやCuなどの導電性フィラーが混合された一般的な導電性接着剤を採用することができる。この導電性接着材30は、印刷法により塗布され、これを乾燥・硬化することで接着を行うものである。そして、この導電性接着材30を介して電子部品20とランド11とが電気的および機械的に接合されている。
【0029】
また、プリント基板10の一面10aのうち導電性接着材30が配置される部位以外の部位には、ソルダーレジスト40が設けられている。このソルダーレジスト40は、特に、導電性接着材30の付着防止が必要な部位を被覆するものであり、たとえば、ポリイミドなどよりなる膜である。
【0030】
また、プリント基板10の両板面のうちの一面10aとは反対側の他面10bには、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などよりなる接着剤50を介してリードフレーム60が接合されている。
【0031】
このリードフレーム60は、プリント基板10の放熱を行うヒートシンクや、リードフレームのアイランドとして構成されている。アイランドの場合には、プリント基板10の周囲に図示しないリードが設けられ、このリードとプリント基板10とがワイヤボンディングなどにより接続された構成とすることができる。
【0032】
モールド樹脂70は、トランスファーモールド法などにより形成されたエポキシ樹脂などよりなり、上記の各部を封止し、保護するものである。ここでは、リードフレームにおけるプリント基板10側とは反対の面も、モールド樹脂70で封止されているが、当該反対の面はモールド樹脂70より露出していてもよい。この場合、パッケージの放熱性の向上が期待できる。
【0033】
また、本モールドパッケージS1において、リードフレーム60は省略されたものであってもよく、この場合、プリント基板10の他面10bが直接モールド樹脂70で被覆されることになる。さらに、この場合、プリント基板10の他面10bをモールド樹脂70より露出させていてもよい。
【0034】
つまり、本モールドパッケージS1においては、プリント基板10の一面10a側において、当該一面10aおよび電子部品20、導電性接着材30がモールド樹脂70で封止されていればよい。
【0035】
このようなモールドパッケージS1において、本実施形態では、導電性接着材30は、ランド11の表面全体に行き渡って配置され、ランド11の表面全体を被覆している。ここで、ランド11の表面とは、プリント基板10の一面10aに、導電性接着材30および電子部品20を設ける前の状態において外部に臨むランド11の外面である。ここでは、上述したように、ランド11の表面はAuめっきにより構成されている。
【0036】
そして、ランド11は、導電性接着材30を介してモールド樹脂70に封止されている。つまり、ランド11の表面とこれを被覆するモールド樹脂70との間には、導電性接着材30が介在しており、それによって、ランド11とモールド樹脂70とは非接触の状態にある。
【0037】
なお、このようなモールドパッケージS1は、プリント基板10の一面10aに印刷により導電性接着材30を配置した後、その上に電子部品20を搭載・固定し、また、プリント基板10の他面10bにリードフレーム60を接合した後、このものを金型などに投入してモールド樹脂70による封止を行うことで製造される。
【0038】
そして、このような構成を有する本実施形態のモールドパッケージS1によれば、ランド11の表面は、導電性接着材30を介してモールド樹脂70に接触するものの、ランド11とモールド樹脂70とは直接接触しない状態とされており、モールド樹脂70とランド11との界面がそもそも存在しないことになる。
【0039】
そのため、本実施形態によれば、導電性接着材30を介して電子部品20が接続されているランド11において、ランド11と導電性接着材30と電子部品20との間の熱膨張係数の差による熱応力が発生しても、モールド樹脂70とランド11との剥離を防止することができる。その結果、当該剥離によるプリント基板10のクラックを防止することができる。
【0040】
また、本モールドパッケージS1においては、プリント基板10の一面10aのうちランド11に隣り合う部位には、ダム部12が設けられている。ここで、図2は、図1に示されるモールドパッケージS1におけるダム部12およびランド11の概略平面構成を示す図である。
【0041】
ダム部12は、プリント基板10の一面10a上に突出する壁形状をなすものである。ここでは、図2に示されるように、ダム部12は、プリント基板10の一面10aのうちランド11の外周を取り囲むように、ランド11とは離れて配置された環状をなしている。図2の例では、平面矩形のランド11の周囲に、ダム部12が矩形環状に配置されている。
【0042】
ダム部12は、ランド11と同様の材質、つまり導体およびその表面に施されたAuメッキよりなるものにできる。この場合、ランド11をパターニングして形成するときに同時にダム部12をパターニングすることでダム部12が形成される。
【0043】
また、この場合、ダム部12の表面はランド11と同様にAuめっきで構成されるが、ダム部12についてはAuめっきを省略し、ダム部12の表面は上記導体により構成されていてもよい。さらには、ダム部12はソルダーレジスト40と同様のポリイミドなどの材質よりなるものであってもよく、この場合、ソルダーレジスト40と同時に、ダム部12を形成すればよい。
【0044】
そして、図1に示されるように、導電性接着材30は、ランド11の周囲に位置するプリント基板10の一面10aまではみ出しつつ、ランド11の表面全体を覆っているが、プリント基板10の一面10aのうちダム部12よりもランド11側の部位に留まるように配置されている。つまり、ここでは、図2に示される環状のダム部12の内周側に、導電性接着材30が収まって配置されている。
【0045】
なお、本実施形態のモールドパッケージS1において、このダム部12は無くてもよい。しかし、このように、ランド11の外側にダム部12を設ければ、導電性接着材30を設けるときに、ランド11の表面全体を被覆する導電性接着材30がランド11よりもはみ出しても、ダム部12を越えて広がるのを防止できる。そのため、導電性接着材30の過剰なはみ出しを防止することができる。
【0046】
次に、印刷による導電性接着材30の配設方法について具体的に説明し、ダム部12の効果を具体的に述べる。図3は、印刷による導電性接着材30の配設方法を示す概略断面図であり、(a)はダム部12の無い構成の場合、(b)はダム部12を有する構成の場合を示す。
【0047】
図3(a)に示されるように、導電性接着材30は、ペースト状態にて印刷マスクMを用いて印刷する。印刷マスクMには、ランド11に対応する部位に開口部が設けられ、導電性接着材30を印刷マスクM上から当該開口部に充填することにより、ランド11の表面全体を導電性接着材30で被覆するようにする。
【0048】
このとき、プリント基板10においてはプリント基板10の一面10a上に突出するランド11の高さ(つまりランド11の厚さ)が、たとえば40μm程度と高い。そのため、図3(a)に示されるように、印刷マスクMとランド11との隙間、および、印刷マスクMとプリント基板10の一面10aとの隙間が大きくなり、印刷ダレによる印刷不良が発生する。具体的には、隣のランドまで導電性接着材30がはみ出し、短絡等の不良を引き起こす恐れがある。
【0049】
それに対して、図3(b)に示されるように、ランド11の外周にダム部12を設けることで、このダム部12の突出先端部が印刷マスクMに安定して接触し、印刷マスクMはダム部12に支持される。それとともに、ダム部12の外部への導電性接着材30のはみ出しを防止することができる。
【0050】
また、このようなダム部12の高さ、つまり、プリント基板10の一面10a上におけるダム部12の突出高さは、ランド11の突出高さと同等もしくはそれ以上であることが好ましく、それにより、塗布される導電性接着材30がダム部12を越えてはみ出しにくくなる。
【0051】
また、ダム部12の突出高さは、プリント基板10の一面10aから電子部品20までの距離よりも小さいことが望ましく、それにより、ダム部12と電子部品20との干渉を防止することができる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係るモールドパッケージの要部、すなわちランド11およびダム部12の概略平面構成を示す図であり、(a)〜(d)はそれぞれ、ダム部12の異なる配置形態を示すものである。
【0053】
上記第1実施形態では、ダム部12は、ランド11を取り囲むように、ランド11の全周囲に環状に設けられていたが、本実施形態のように、ランド11の全周ではなく必要部分のみ設けられたものでもよい。たとえば、導電性接着材30を塗布するランド11に対して、短絡させたくない別のランドが隣に存在する場合、その別のランドの方向に対して部分的にダム部12を設ければよい。
【0054】
図4では、上記第1実施形態と同様に、電子部品20が接続される2個のランド11を、当該電子部品20の長手方向に沿って配列した例が示してある。なお、図4では、電子部品20の外形を破線で示してある。
【0055】
そして、図4(a)に示される例では、個々のランド12に対して、電子部品20の長手方向の両側にダム部12を設けており、図4(b)に示される例では、個々のランド12に対して、電子部品20の長手方向における電子部品20の内部側のみにダム部12を設けている。
【0056】
また、図4(c)に示される例では、個々のランド12に対して、電子部品20の短手方向の両側にダム部12を設けており、図4(d)に示される例では、個々のランド12に対して、電子部品20の短手方向の片側のみにダム部12を設けている。なお、この図4の例以外にも、種々の配置形態が可能であることはもちろんである。
【0057】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係るモールドパッケージの要部、すなわちランド11の概略平面構成を示す図であり、(a)〜(c)はそれぞれ、本実施形態のランド11のバリエーションを示すものである。なお、図5(a)および(b)においては、電子部品20の外形を破線で示してある。
【0058】
図5に示されるように、本実施形態のランド12は、平面的に複数個に分割された分割部11aの集合体よりなる。このような集合体としてのランド12は、エッチングにより分割部11aをパターニングすれば形成可能である。
【0059】
ここで、図5(a)では、平面矩形の分割部11aがマトリクス状に配列されたランド11の例を示し、図5(b)では、平面矩形の分割部11aがハニカム状に配列されたランド11の例を示している。また、図5(c)では、平面円形の分割部11aの例を示している。
【0060】
また、分割部11aの形状は上記図5以外の多角形や偏円形などでもよく、その配置は、規則的なものでなくてもよく、たとえばランダムであってもよい。つまり、分割部11aの形状や数や配置などについては、特に限定されるものではない。
【0061】
本実施形態によれば、導電性接着材30が個々の分割部11aの隙間に入りつつランド11全体を被覆するので、アンカー効果によって、ランド11と導電性接着材30との密着性が向上する。
【0062】
また、もし、製造工程において、ランド11の一部すなわち一部の分割部11aが導電性接着材30で被覆されなかった場合でも、ランド11が小さく分割されたものであるから、ランド11におけるモールド樹脂70の剥離が発生しても、その剥離の応力は小さい。また、分割部11a同士が離れているので、当該剥離が発生した分割部11aからその隣の分割部11aへ剥離が伝わりにくい。そのため、モールド樹脂70の剥離が進行しにくいものとなる。
【0063】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態に係るモールドパッケージの要部、すなわちランド11およびダム部12の概略平面構成を示す図であり、(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態のランド11およびダム部12の配置形態のバリエーションを示すものである。なお、図6においても、電子部品20の外形を破線で示してある。
【0064】
本実施形態は、上記第3実施形態に示した分割部11aの集合体としてのランド11の外側にダム部12を配置した例を示すものである。この場合、上記した分割部11aによる導電性接着材30の密着力向上およびモールド樹脂70の剥離進行抑制の効果と、ダム部12による導電性接着材30のはみ出し防止の効果とが期待される。
【0065】
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態に係るモールドパッケージの製造方法の要部を示す工程図であり、電子部品20の搭載工程を示す概略断面図である。
【0066】
上記第1実施形態に述べたように、通常は、プリント基板10の一面10a側に印刷によって導電性接着材30を配置した後、その上に電子部品20を搭載する。それに対して、本実施形態のように、ディスペンスなどを用いて電子部品20側に導電性接着材30を供給し(図7(a)参照)、それをプリント基板10に押し付けて接着するようにしてもよい(図7(b)参照)。
【0067】
なお、ダム部12を持たない構成だけでなく、図7(c)に示されるように、ランド11の外側にダム部12を設けた構成であっても、本実施形態の搭載工程を適用してもよいことはもちろんである。
【0068】
(第6実施形態)
図8は、本発明の第6実施形態に係るモールドパッケージの要部の概略断面構成を示す図であり、(a)、(b)はそれぞれ、本実施形態のランド11およびダム部12の配置形態のバリエーションを示すものである。なお、図8では、上記モールド樹脂は省略してあるが、実際には上記図1と同様の封止形態とされている。
【0069】
上述したように、ダム部12は、ランド11と同様の材質またはソルダーレジスト40と同様の材質を用いて、ランド11と同時、またはソルダーレジスト40と同時に形成されるが、すべてのダム部12を同一材料で形成しなくてもよい。
【0070】
たとえば、図8(a)、(b)に示されるように、ランド11とその隣のランド11との間に設けられるダム部12はソルダーレジスト材料によって形成し、電子部品20の外側に位置するダム部12はランド材料によって形成してもよい。
【0071】
特に、この場合、2個のランド11間のダム部12が電気絶縁性のソルダーレジスト材料よりなるため、印刷性を保持したまま、当該両ランド11間の絶縁距離を離すことができ、絶縁性能が向上する。なお、このソルダーレジスト材料よりなるダム部12は、それぞれのランド11毎に設けてもよいし(図8(a)参照)、両ランド11間に1個設けてもよい(図8(b)参照)。
【0072】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、配線基板は樹脂よりなる基板、上記例ではプリント基板10であったが、上述したように、樹脂基板の場合には、基板のクラックが発生しやすく、そのクラックの発生を防止するという点で上記各実施形態は有効である。ただし、配線基板として樹脂基板以外の基板を適用することを除外するものではなく、たとえばセラミック基板などを用いてもよい。
【0073】
また、導電性接着材30としては、上記した導電性接着剤以外にも、共晶はんだやPbフリーはんだなどのはんだであってもよい。
【0074】
また、上記各実施形態は適宜組み合わせて用いてもよい。たとえば、プリント基板10の一面10a上に複数の電子部品20が搭載されているとき、ある電子部品20については、分割されていない単一のランド11とし、別の電子部品20については、分割部11aの集合体としてのランド11としてもよい。また、当該複数の電子部品20のなかで、ダム部12の有るものと無いものを設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 配線基板としてのプリント基板
10a プリント基板の一面
11 ランド
11a 分割部
12 ダム部
20 電子部品
30 導電性接着材
70 モールド樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面(10a)に部品接続用のランド(11)を有する配線基板(10)と、
前記配線基板(10)の一面(10a)上に搭載され、前記ランド(11)に対向して配置された電子部品(20)と、を備え、
前記電子部品(20)と前記ランド(11)との間には、導電性接着材(30)が介在しており、この導電性接着材(30)を介して、前記電子部品(20)は前記ランド(11)に接続されて前記配線基板(10)の前記一面(10a)上に固定されており、
前記配線基板(10)の前記一面(10a)には、前記電子部品(20)、前記ランド(11)および前記導電性接着材(30)を被覆して封止するモールド樹脂(70)が設けられているモールドパッケージにおいて、
前記導電性接着材(30)は、前記ランド(11)の表面全体に行き渡って前記ランド(11)の表面全体を被覆しており、
前記ランド(11)は、前記導電性接着材(30)を介して前記モールド樹脂(70)に封止されることで、前記モールド樹脂(70)とは非接触の状態にあることを特徴とするモールドパッケージ。
【請求項2】
前記配線基板(10)の前記一面(10a)のうち前記ランド(11)に隣り合う部位には、前記配線基板(10)の前記一面(10a)上に突出する壁形状をなすダム部(12)が設けられており、
前記導電性接着材(30)は、前記ランド(11)の周囲に位置する前記配線基板(10)の一面(10a)まではみ出しつつ、前記ランド(11)の表面全体を覆うとともに、前記配線基板(10)の前記一面(10a)のうち前記ダム部(12)よりも前記ランド(11)側の部位に留まるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のモールドパッケージ。
【請求項3】
前記配線基板(10)の前記一面(10a)上における前記ダム部(12)の突出高さは、前記ランド(11)の突出高さと同等以上であることを特徴とする請求項2に記載のモールドパッケージ。
【請求項4】
前記ランド(12)は、平面的に複数個に分割された分割部(11a)の集合体よりなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のモールドパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−3818(P2011−3818A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147331(P2009−147331)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】