説明

ユーザの姿勢をモニタするための装置

【課題】
ユーザの姿勢をモニタ及び追跡し、ユーザの姿勢における欠陥を矯正するためにフィードバックを行う装置を提供する。
【解決手段】
本発明の装置はユーザによる着用が可能な装置であって、各々がユーザの身体の少なくとも一部分の位置に関する指標を提供するための複数のセンサ素子と、合成位置信号を提供するために、その複数のセンサ素子の各々によって提供される位置に関する各指標を受信するための受信機とを含む。個々のセンサの読取り結果が、すべて、更なる分析のために外部エンティティに送られる。センサは、ユーザの身体の少なくとも一部分の曲りを測定するために種々のロケーション又は位置に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して云えば、情報処理システムの分野に関し、特に、ユーザの姿勢をモニタするために使用される情報処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
変則的な姿勢は筋肉疲労を導き、或いは手根管症候群または反復性緊張障害(RSI)を含む更に深刻な障害を導く。それらの状態は、腕、指、手、背中、または身体の他の部分の変則的な位置に起因することがある。しかし、適切な位置を決定することは容易ではなく、適切な位置は時間と共に変わることがある。
【0003】
これらの問題に対する従来の解決策は、米国特許第5,868,691号において開示された装置ような姿勢トレーニング装置、及びユーザが自分の手をポケットに入れるときに両肩を後方へ押すように強制することによって姿勢を改善するものと思われるポケット構造を持つ衣服(米国特許第5,555,566号参照)を含む。もう1つの従来の試みられた解決方法は、胸部伸展を行う装置(米国特許第5,099,831号参照)であった。しかし、これらの従来試みられたいずれの解決方法も、姿勢の問題点の矯正を可能にするユーザの姿勢に関するフィードバックをユーザ又は他の人に提供するものではなく、従来方法のいずれも、電子素子を使用して人の姿勢を継続的に追跡又は測定するものではない。
【特許文献1】米国特許第5,868,691号
【特許文献2】米国特許第5,555,566号
【特許文献3】米国特許第5,099,831号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、ユーザの姿勢をモニタ及び追跡し、ユーザの姿勢におけるどんな欠陥でも矯正するためにフィードバックを行う装置に対する要求が存在する。本発明はそのような装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に云うと、本発明の実施例によれば、ユーザによる着用が可能な装置が、各々がユーザの身体の少なくとも一部分の位置に関する指標を提供する複数のセンサ素子と、合成位置信号を提供するようにその複数のセンサ素子の各々によって提供される位置に関する各指標を受信するための受信機とを含む。個々のセンサの読取り結果は、すべて、更なる分析のために外部エンティティに送られることになる。センサは、ユーザの身体の少なくとも一部分の曲りを測定するために種々のロケーション又は位置に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照すると、ユーザの姿勢を検出するためにユーザによる着用が可能な装置100のブロック図が示される。装置100は、ユーザの背骨に沿った部分のようなユーザの身体の種々な部分に取り付けるための複数のセンサ102を含む。各センサ102は受信機104におけるポートに配線を介して接続され、従って、受信機104はそのセンサ102の方位を表す信号を各センサ102から受信する。ユーザにそれらのセンサを設置する人は各センサのロケーションをメモリ110に入力する。しかし、これは非常に厄介であることがあるので、センサは、一旦1つのセンサの位置が入力されると、残りの入力が自動的となるように合成ユニットに取り付けてもよい。それは、この合成構造における他のセンサの相対的な位置がわかっているからである。ユーザ上にセンサを設置する人は各センザのロケーションをメモリ110に入力する。ローカル・プロセッサ(処理ユニット)108が、受信機によって提供される各信号を受信し、センサによって提供されるフィードバック及びユーザの身体におけるそれらセンサのロケーションを使用してユーザの姿勢の指標(例えば、背骨の現在の曲がり)を計算する。更に、メモリ110は、プロセッサ108によって計算された現在の姿勢と比較されるべきそのユーザにとって理想的な姿勢を記憶することができる。プロセッサは、各センサ102によって提供されたデータを使用して合成位置信号も提供する。これらの合成位置信号は、ユーザ、ユーザの医者、又は他のケア提供者に提供されるべき信号である。これらの信号は、人間にとってわかり易い方法で姿勢の指標を提供するのみならず、この装置又は外部の装置による更なる処理のために機械可読信号を提供することも可能である。
【0007】
その装置は、更に、外部のプロセッサに或いはその装置100から遠隔にあるプロセッサに合成位置信号或いは他のデータを送信するための送信機106を含む。外部装置の1つの例は医師のオフィスにおけるコンピュータである。一実施例では、送信機が複数のサンプルを集め、着用の姿勢モニタ装置にそれらのサンプルを保存し、そしてそれらのサンプルをリモート処理ポイントに一括して送る。もう1つの実施例では、送信機は指標のための信号を(おそらくユーザに)送信するように構成される。
【0008】
送信機106は、矯正情報をユーザに提供するユーザ・フィードバック・サブシステムの一部であることも可能である。ユーザ・フィードバック機構は、合成の三次元外形を測定するための装置を含むことも可能である。その三次元外形は、各センサによる個々の曲り読取りの結果を積分することによって計算される。このデータは、ユーザが使用し得る形式に変換される。例えば、ユーザへのフィードバックは、ユーザの姿勢を矯正する方法をそのユーザに指示する音声信号であることも可能である。
【0009】
装置100は有線バージョンまたは無線バージョンであってもよい。有線バージョンでは、ユーザが、USBカメラをコンピュータに取り付けるようにケーブルを着用装置100に取り付け、信号の転送が自動的に生じる。
【0010】
無線バージョンでは、装置100は、センサ102から収集された十分には処理されてないデータをリモート・プロセッサに送信する小型の送信機106を有する小型の(例えば、シャツ・ポケットのサイズの)バッテリ電源駆動の装置であってもよい。無線バージョンでは、Bluetooth(商標)または同様の低電力技術によってリモート装置への一定の無線放送送信(constant over-the-airtransmission)を使用することが可能である。それとは別に、装置100は、センサ102から周期的に(例えば、毎秒)収集されたモニタ信号をメモリ110に記憶し、リモート装置にそれらの信号を周期的に(例えば、毎日1回)送信することが可能である。その実施例では、受信機104がリモート・プロセッサからの無線信号を受信するように適応し得るし、音声メッセージまたは矯正可能な姿勢を表す触知可能な指標(例えば、振動)のようなフィードバックを何らかのユーザ・インターフェースによってユーザに提供することが可能である。
【0011】
図2を参照すると、本発明の実施例に従って、コンピュータ・ワークステーションにおいて姿勢をモニタするための装置100の環境200がユーザ202と共に示される。ユーザ202は、ユーザの位置及び姿勢に関するフィードバックを提供するスクリーン206を見ながらキーボード204においてタイプしている。
【0012】
図3を参照すると、スクリーン206が、「背筋を伸ばしなさい」というメッセージを有する指標300をユーザに提供する。スクリーン206は、位置又は方位を如何に及びいつ変更すべきかということに関するフィードバックをユーザに提供することも可能である。このフィードバックは、動きのあるそのユーザのアニメーション及びユーザまたは医師に指標することが可能な他のフィードバックも含むことも可能である。
【0013】
図4を参照すると、本発明の別の実施例に従って、センサ102を含むジャケット400が示される。センサ102は、それぞれがユーザの身体の少なくとも一部の位置の指標を提供する位置センサであることが望ましい。センサ102は、可撓性であって背骨に対して小型のスプリングを含み、背骨の曲がりに追従する圧電センサであってもよい。磁気センサ(例えば、フィールド検出機構を備えた双極子)または光ファイバ・センサを使用することも可能である。センサ302は、二次元位置または三次元位置を検出することが可能である。センサ102は、ジャケット400に導電性の繊維を編み込んだ洗練された織物またはユーザの肌に密着し得るメッシュ又はネット状のプローブを使用することも可能である。要するに、センサ102は、位置又は方位を検出ことができる任意の装置によって具体化することが可能である。
【0014】
センサ102は、それぞれ処理ユニット(例えば、受信機104、プロセッサ108、又は外部プロセッサ)に結合され、その処理ユニットは、センサが接触しているユーザの身体の部分に関する位置又は曲りの指標を受信する。処理ユニットは、ユーザの位置又は姿勢に関するフィードバックをユーザに提供し得る装置にとっては外部にあるポイントにもその位置信号を送信する。
【0015】
上述したように、センサ102によって発生された信号がユニット108によって処理されると、その結果生じた合成信号は、姿勢の矯正に使用するために医師、分析用の機械、又は他の関係者に送ることが可能である。その合成信号は「処方信号(prescribed signal)」と比較され、そしてユーザの位置が或る格差だけ「処方信号」からずれているとき、ユーザに対してフィードバックを発生するようにすることができる。処方信号は、無線手段又は有線手段によって、着用装置にロードすることができる。健康管理の専門家は、三次元図形/CADツールを使用してこの位置を指定することが可能である。例えば、ユーザが或る指示された量以上に自分の背中を伸ばす場合、ユーザにそれを通知することが可能である。同様に、過剰屈曲を検出し、ユーザにそれを通知することも可能である。別の場合、医師は、ユーザが指定された期間当たり或る回数だけ、例えば、1時間に2回だけ屈曲することが可能であることを指定し得る。装置は、ユーザがその支持された数を超えたとき、ユーザに通知することも可能である。
【0016】
図3を再び参照すると、表示装置300はユーザにフィードバック機構を提供する。そこでは、信号がユーザの姿勢の矯正に関する情報を提供する。図5の装置500は、ユーザが着用した複数のプローブ502への接続を含む。この接続は、必ずしも有線接続でなくてもよい。接続は有線であっても、又は無線であってもよい。この実施例では、ユーザ・フィードバック機構は、ユーザの姿勢の描画及び姿勢を改善するための提案をユーザに与えるディスプレイを含むコンピュータ・システムを含む。
【0017】
図5を参照すると、歩行時または走行時に着用されるモバイル姿勢検出装置(例えば、時計またはデジタル・パーソナル・アシスタント)が示される。装置500は、ユーザによって着用される複数のプローブ502に対する接続を含む。これらのプローブは、上述のもの又は図6に関して説明されるものと同様の又は同じものである。この実施例では、ユーザの歩行姿勢が矯正のためにモニタされ、ユーザへのフィードバックが、そのタイプの着用された装置によってユーザに与えられる他の内容と同じ方法で提供される。装置500が時計である場合、それは、その時計における振動モータによって発生される振動のような触知性のフィードバック信号をユーザに提供することが可能である。別の方法として、ユーザのケア提供者がユーザの歩行又は走行の姿勢をモニタし、例えば、ユーザのモバイル電話をコールすることによってその後に又は実時間でユーザ・フィードバックを提供することが可能である。
【0018】
図6は背骨の曲がりを検出するためのセンサ602を示す。センサ602は、正規の状態では楕円形を有する複数の円盤604を含む管である。その管は、背骨が曲げられるとき、屈曲部付近に置かれた円盤が撓んで(参照番号606のように)、その結果生じる変形が電気的信号を発生する。図6は、撓んでないセンサ608及び撓んだセンサ610を表したものを示す。センサ608も信号を発生する。センサ610及び608からの信号の組合せが着用者の背部における曲がりを決定するために使用される。上述のように、センサは、光ファイバ素子、圧電素子、磁性素子、または撓んだときに測定可能な信号を発生する他の素子を使用することが可能である。
【0019】
図7を参照すると、本発明の別の実施例による方法700を表すフローチャートが示される。方法700は、各々がユーザの身体における種々のポイントに取り付けられた複数のセンサ素子の各々によって発生された曲がりの指標を受信するステップ702、及びユーザの姿勢を表すように曲がりに関する情報を含む信号を提供するステップ704を含む。更に、方法700は、曲がりに関する情報の分析を行い、触知性フィードバック又は音声フィードバックをユーザに提供するステップ706、及び外部ソースから望ましい姿勢の信号をロードし、現在の姿勢と望ましい姿勢とを比較してユーザに通知するステップ708を含む。
【0020】
従って、現時点で望ましい実施例であると考えられるものを説明したが、本発明の範囲内での修正を行うことが可能であることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ユーザの姿勢をモニタするための装置を示す概略図である。
【図2】コンピュータ・ワークステーションにおいて姿勢をモニタするための装置のユーザを示す概略図である。
【図3】本発明の実施例に従って、ユーザの姿勢に関するフィードバックをユーザに与えるディスプレイを示す概略図である。
【図4】本発明の実施例に従って、位置決定装置を含む衣服を示す概略図である。
【図5】本発明の別の実施例に従って、ユーザが歩行時または走行時に着用するモバイル装置を示す概略図である。
【図6】背骨の曲がりを検出するためのセンサを示す概略図である。
【図7】別の実施例による方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる着用が可能な装置であって、
各々がユーザの身体の少なくとも一部分の位置に関する指標を提供するための複数のセンサ素子と、
合成位置信号を提供するように前記複数のセンサ素子の各々によって提供された位置に関する各指標を受信するための受信機と、
を含む装置。
【請求項2】
前記装置の外部の地点に前記合成位置信号を送信するための送信機を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記受信機が、各センサ素子の三次元位置を表す情報を受信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記受信機が、各センサ素子の位置を継続的に表す情報を受信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記受信機が、各センサ素子の位置を表す情報を高いサンプル率で受信するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のセンサ素子が、ユーザの身体の少なくとも一部の曲がりを決定するためのセンサ素子を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記送信機が、分析のために合成曲がり信号を医師に送信するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記送信機が、分析のために合成曲がり信号を機械に送信するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記センサ素子の少なくとも1つがフレキシブルである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ユーザに信号を提供するためのユーザ・フィードバック機構を更に含み、
前記信号がユーザの姿勢の矯正に関する情報を提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記ユーザ・フィードバック機構が、ユーザの姿勢の描画及び前記姿勢を改善するための提案を与えるためのディスプレイを有するコンピュータ・システムを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記送信機が、分析のために合成曲がり信号を理学療法士に送信するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記フィードバック機構が時計を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記フィードバック機構が電話を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記フィードバック機構が音楽再生装置を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記ユーザ・フィードバック機構が合成三次元曲線を測定するための装置を含み、前記三次元曲線が各センサによる個々の曲がりの読取りを積分することによって計算される、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記個々の曲がりの読取りが更なる分析のために外部の団体に送信される、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記送信機が前記センサに取り付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項19】
前記送信機が無線装置である、請求項2に記載の装置。
【請求項20】
前記送信機がサンプルを一時に送信する、請求項2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−181673(P2007−181673A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343609(P2006−343609)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】