説明

ライトガイド及び光源装置並びに内視鏡システム

【課題】装置全体を大型化せず、又コストを別途必要とすることなく、出射光の光量分布を均一化する。
【解決手段】細径光ファイバ20,21内の光は、入射角度0°で光を入射することにより、ファイバ径方向に対して略凸状の光量分布を有する。細径光ファイバ22,23内の光は、入射角度12°で光を入射することにより、ファイバ径方向に対して略凹状の光量分布を有する。大口径光ファイバ28には細径光ファイバ20〜23から出射した光が入射する。大口径光ファイバ28内において略凸状の光量分布の光と略凹状の光量分布の光とが重ね合わさることで、大口径光ファイバ28内の光はファイバ径方向に対して略均一な光量分布を有する。光出射部31は、出射面に向かって径が小さくなるテーパコア及びテーパクラッドを有する。大口径光ファイバ28内の光は、出射面から出射する他、テーパクラッドからも漏れ出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの露光用や内視鏡の照明用などに使用されるライトガイドに関する。本発明は、そのライトガイドを搭載する光源装置及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光ファイバを束ねたバンドルファイバや通常の光ファイバよりも口径が大きい大口径光ファイバなどの各種光ファイバは、データ信号の伝送に用いられる他に、例えば、半導体ウエハの露光装置において、半導体ウエハを露光する露光光を光出射部までガイドするための露光用ライトガイド(特許文献1参照)として用いられたり、また、内視鏡の光源装置において、被検者の体腔内部を照明する照明光を内視鏡先端部まで導光する内視鏡照明用ライトガイド(特許文献2参照)として用いられている。
【0003】
特許文献1のように、光ファイバを露光用ライトガイドとして用いた場合には光量分布が不均一な光がウエハ上に当たると、所望のレジストパターンを得ることができない。また、特許文献2のように、光ファイバを内視鏡照明用のライトガイドとして用いた場合には、光量分布が不均一な光が、体腔内の光反射率の高い領域に当たったり、また、体腔内部の凹凸差が激しい領域に当たったりすると、内視鏡で得られる画像に明るい部分と暗い部分ができてしまうため、画像から病変部を容易に発見できないことがある。
【0004】
そこで、光量分布が均一な光を得るために、これまでは、バンドルファイバを構成する光ファイバの本数を更に増やしたりする他、特許文献1では、光ファイバの出射端面における出射光の位置や光量分布を検出し、その検出結果に応じて光ファイバに入射する光の光量分布を制御している。また、特許文献2では、光ファイバの光入射端を光軸に直交する方向に移動させることで、出射光の光量分布がファイバ径方向に均一になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−322730号公報
【特許文献2】特開2000−199864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、出射光の位置や光量分布を検出する装置や入射光の光量分布を制御する装置が必要となり、また、特許文献2では、光ファイバの入射端を移動させる機構が必要となるため、いずれの場合であっても、装置全体が大型化するとともに、光量分布の均一化のためのコストが別途必要となってしまう。
【0007】
また、一般的に、複数のモードを導光可能なマルチモードファイバに対して光を入射させる場合やマルチモードファイバ間を光結合する場合、光入射時や結合時の安定性を得る観点からファイバのNA以下、即ちファイバの受光角以下でレーザを入射又は結合させている。したがって、ファイバから出射する光の光量分布は、中央部の強度が周辺部よりも高くなるため、ファイバの光出射面における光量分布は均一にならない。
【0008】
本発明は、装置全体を大型化せず、またコストを別途必要とすることなく、出射光の光量分布を均一化することができるライトガイド及び光源装置並びに内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のライトガイドは、出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバと、出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバとがバンドル化されたバンドルファイバを備え、前記第1及び第2マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることを特徴とする。
【0010】
前記第2マルチモード光ファイバに入射させる光の入射角度を、前記第1マルチモード光ファイバに入射させる光の入射角度よりも大きくする。具体的には、前記第1マルチモード光ファイバ(受光角θ)に入射させる光の入射角度を0°以上θ/2以下とすることで、前記第1マルチモード光ファイバの出射光の光量分布を径方向に対して略凸状にする。また、前記第2マルチモード光ファイバ(受光角θ)に入射させる光の入射角度を2/θ以上θ以下とすることで、前記第2マルチモード光ファイバの出射光の光量分布を径方向に対して略凹状にする。これら出射光を重ね合わせることにより、バンドルファイバの出射端面からは光量分布がファイバ径方向に対して均一な光が放射される。例えば、第1及び第2マルチモード光ファイバのNA(Numerical Aperture)が0.22の場合、受光角θ(θ=sin−1NA)は12.7°以下である。
【0011】
前記第1又は第2マルチモード光ファイバの入射端面を、それら光軸に直交する面に対してそれぞれ傾斜させ、前記第2マルチモード光ファイバの入射端面の傾斜角度を、前記第1マルチモード光ファイバの入射端面の傾斜角度よりも大きくする。具体的には、前記第1マルチモード光ファイバ(受光角θ)の入射端面の傾斜角度を0°以上θ/2以下にすることで、前記第1マルチモード光ファイバの出射光の光量分布を径方向に対して略凸状にする。また、前記第2マルチモード光ファイバ(受光角θ)の入射端面の傾斜角度を2/θ以上θ以下にすることで、前記第2マルチモード光ファイバの出射光の光量分布を径方向に対して略凹状にする。これら出射光を重ね合わせることにより、バンドルファイバの出射端面からは光量分布がファイバ径方向に対して均一な光が放射される。
【0012】
前記第1及び第2マルチモード光ファイバのNAが0.2以上であることが好ましい。第1マルチモード光ファイバには、出射光の光量分布が凸状になるように、NA(0.2)よりもかなり小さくして光を入射させる(受光角以下)。これに対して、第2マルチモード光ファイバには、出射光の光量分布が凹状になるように、光ファイバのNA(0.2)付近まで近づけて光を入射させている。したがって、本発明では、光ファイバが本来有しているNAを十分に利用することによって、光量分布の均一化を図っている。
【0013】
前記バンドルファイバのファイバ本数は19以下であることが好ましく、原理上は2本以上あれば少ない本数でも均一な光量分布を得ることができる。したがって、従来のように、数100本もの光ファイバを用いなくとも、光量分布を均一化することができる。また、従来では、光ファイバの径は10mm以上なければ光量分布の均一化は困難であったが、本発明によれば、前記第1及び第2マルチモード光ファイバの径が1mm以下であったとしても、光量分布を均一化することができる。
【0014】
本発明のライトガイドは、出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバ、及び出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバがバンドル化されたバンドルファイバと、口径が第1及び第2マルチモード光ファイバの口径よりも大きい入射部に、前記第1マルチモード光ファイバの出射光と前記第2マルチモード光ファイバの出射光とが入射する大口径マルチモード光ファイバとを備え、前記大口径マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることることを特徴とする。
【0015】
前記大口径マルチモード光ファイバから出射する光のスペックルを低減するスペックル低減部が、前記大口径マルチモード光ファイバに設けられることから、大口径マルチモード光ファイバからは、干渉の無いスペックルが低減された光が発せられる。
【0016】
前記出射面から一定深さで前記テーパクラッドの外周面の一部又は全部が露呈するように、前記大口径マルチモード光ファイバを保持するファイバ保持部材と、外周面の一部又は全部が露呈した前記テーパクラッドから漏洩する光を放出させる光放出空間部を備えることにより、大口径マルチモード光ファイバから出射する光の広がり角及びNAは、テーパコア及びテーパクラッドや光放出空間部を無しのときの広がり角及びNAよりも更に拡大する。
【0017】
本発明の光源装置は、複数の光源と、出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように前記光源から光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバ、及び出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように前記光源から光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバがバンドル化されたバンドルファイバと、前記バンドルファイバから光を出射する光出射部とを備え、前記第1及び第2マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明の内視鏡システムは、上記記載の本発明の光源装置と、前記光源装置の光出射部から出射した光により照明される被検者の体腔内部を撮像する内視鏡と、前記撮像により得られる画像を処理する画像処理装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置全体を大型化することなく、またコストを別途必要とせずに、出射光の光量分布を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の光源装置を示す概略図である。
【図2】(A)は入射角度0°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布を示すグラフであり、(B)はそのときの遠視野パターンを示す図である。
【図3】(A)は入射角度12°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布を示すグラフであり、(B)はそのときの遠視野パターンを示す図である。
【図4】(A)は光出射部から出射する光の光量分布を示すグラフであり、(B)はそのときの遠視野パターンを示す図である。
【図5】一定の条件を有する細径光ファイバの放射パターンを示す図であり、(A)は入射角度0°のときの細径光ファイバの出射光の放射パターン(FFP)を示す図を、(B)は入射角度12°のときの細径光ファイバの出射光の放射パターン(FFP)を示す図を、(C)は入射角度12°のときの細径光ファイバの出射光の放射パターン(NFP)を示す図を、(D)は、(A)に示す光と(B)又は(C)に示す光とが重ね合わせて出射される光の放射パターン(FFP)を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態における光出射部を示す縦断面図である。
【図7】(A)はファイバ本体部を有する部分の光出射部の横端面図を、(B)は出射面を有する部分の光出射部の横端面図を示している。
【図8】本発明の内視鏡システムを示す概略図である。
【図9】本発明の第2実施形態の光源装置を示す概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態の光源装置を示す概略図である。
【図11】入射角度6°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布(NFP)を示すグラフである。
【図12】入射角度8°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布(NFP)を示すグラフである。
【図13】入射角度10°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布(NFP)を示すグラフである。
【図14】入射角度12°のときの細径光ファイバの出射光の光量分布(NFP)を示すグラフである。
【図15】本発明の第2実施形態における光出射部の一部を示す縦断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態において、出射面を有する部分の光出射部の横端面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、本発明の第1実施形態の光源装置10は、光源11〜14と、集光レンズ15〜18と、細径光ファイバ20〜23と、ファイバ接続部27と、大口径光ファイバ28と、スペックル低減部30と、光出射部31とを備えている。細径光ファイバ20〜23は、フェルール等によりバンドル化されたバンドルファイバ32とされる。このバンドルファイバ32と大口径光ファイバ28により、光源11〜14が発した光を光出射部31まで導光するライドガイド33が構成される。
【0022】
光源11,12と集光レンズ15,16とは、それぞれの光軸L1,L2が細径光ファイバ20,21の光軸X1,X2と一致するように、設けられている。したがって、光源11,12から発せられる光は、集光レンズ15,16を介して、入射角度0°で細径光ファイバ20,21に入射する。なお、細径光ファイバ20,21(受光角θ)に対する入射角度は0°に限らず、0°以上θ/2以下の角度であればよい。
【0023】
光源13,14と集光レンズ17,18とは、それぞれの光軸L3,L4が細径光ファイバ22,23の光軸X3,X4に対して12°傾くようにして、設けられている。したがって、光源13,14から発せられる光は、集光レンズ17,18を介して、入射角度12°で細径光ファイバ22,23に入射する。なお、細径光ファイバ22,23(受光角θ)に対する入射角度は12°に限らず、θ/2以上θ以下の角度であればよい。なお、細径光ファイバのNA(Numerical Aperture)が0.22であるときは、θは12.7°である。
【0024】
細径光ファイバ20〜23及び大口径光ファイバ28は、複数のモードが導波可能なマルチモード光ファイバから構成される。大口径光ファイバ28の径は細径光ファイバ20〜23の径よりも大きい。具体的には、大口径光ファイバ28の径は2mm以上40mm以下である。細径光ファイバ20〜23の径は0.5mm以上1.5mm以下であり、より好ましくは1mmである。
【0025】
細径光ファイバ20,21は光を入射角度0°で受光しているため、図2(A)に示すように、それらの光量分布は、光軸X1,X2において光量が最も大きく、光軸X1,X2からファイバの径方向に対して離れるごとに光量が減少する略凸状の分布(ガウス分布)を有する。また、図2(B)に示すように、遠視野パターン(FFP(Far Field Pattern))は、光軸X1,X2からファイバの径方向に対して所定距離内に光量が一定値M以上のエリア35を、エリア35よりも外側に光量が一定値未満のエリア36を有する。なお、入射角度が0°から6°までの光量分布及び遠視野パターンは、入射角度が0°のときとほぼ同様である。また、細径光ファイバには、出射光の光量分布が異なる2以上の光を入射させてもよい。
【0026】
これに対して、細径光ファイバ22,23は入射角度12°で光を受光しているため、図3(A)に示すように、それらの光量分布は、ファイバ径方向において、周辺部の光量が光軸X3,X4を含む中央部の光量よりも大きくなる略凹状の分布(リング状のモード分布)を有する。また、図3(B)に示すように、遠視野パターンは、光軸からファイバ径方向に対して所定距離内に光量が一定値M未満のエリア38を、エリア38よりも外側に光量が一定値M以上のエリア39を、そして、更にエリア39の外側には光量が一定値M未満のエリア40を有する。
【0027】
図1に示すように、ファイバ接続部27は、バンドル化された細径光ファイバ20〜23の出射端面と大口径光ファイバ28の入射端面とを、保護媒体(図示省略)等を介して接続する。各細径光ファイバ20〜23から出射された光は大口径光ファイバ28に入射する。大口径光ファイバ28内では、光量分布が略凸状である細径光ファイバ20,21の出射光と、光量分布が略凹状である細径光ファイバ22,23の出射光とが重ね合わされる。これにより、大口径光ファイバ28内の光は、図4(A)に示すように、光量がファイバ径方向に対して略均一であり、且つ一定値M以上であるトップフラットに近い光量分布を有する。また、(B)に示すように、遠視野パターンについても、全エリア42が一定値M以上の光量を有している。
【0028】
また、図5(A)は、入射角度0°で光を入射した細径光ファイバ20,21から出射する光の放射パターン(FFP)を示しており、この図から放射パターンは中心部分が周辺部分よりも明るいことが分かる。また、(B)は、入射角度12°で光を入射した細径光ファイバ22,23から出射する光の放射パターン(FFP)を、(C)はその近視野パターン(Near Field Pattern)を示しており、これら図から放射パターンは周辺部分が中心部分よりも明るいことが分かる。大口径光ファイバ28には、(A)に示す光と(B)や(C)に示す光とが入射することによって、それら光は大口径光ファイバ28内で重なり合う。これにより、大口径光ファイバ28から出射する光の放射パターンは、(D)に示すように光量分布がほぼ均一となる。
【0029】
以上のように、本発明では、光量分布が略凸状となるように光を細径光ファイバに入射させるとともに、光量分布が略凹状となるように細径光ファイバを入射させる。その上で、光量分布が略凹状の光と、光量分布が略凸状の光とを、大口径光ファイバ内で重ね合わせることにより、光出射部31から出射する光の光量分布を均一化することができる。
【0030】
したがって、本発明は、特許文献1及び2のように、光量分布を均一化するための装置等を設けなくとも光量分布を均一化することができるため、コストを別途必要としない。また、本発明は、特許文献1及び2のように、光量分布を均一化するための装置を光源装置に加えなくても光量分布を均一化することができるため、装置全体が大型化することもない。また、バンドルファイバやライトガイド全体を交換する際には、特許文献1や2のような従来の場合であれば、光量分布均一化のための装置の制御系を再調整する必要があったが、本発明によれば、細径光ファイバに対する入射角度を設定するだけで済むため、従来に比べて交換に時間を要することがない。したがって、ライトガイドを内視鏡の照明用に用いた場合のように、ライトガイドの交換が頻発する用途に対しては本発明は非常に有効である。
【0031】
また、従来では、バンドルファイバのファイバ本数の増加により光量分布を均一化するためには、ファイバ本数が少なくとも数100本以上必要であったが、本発明によれば、わずか4本、多くても19本以下のファイバ本数だけで光量分布を均一化することができる。また、細径光ファイバ20〜23及び大口径光ファイバ28のNAが0.2以上であることにより、ファイバ径方向における周辺部の光量を更に増加させることができる。したがって、大口径光ファイバ28に入射する光のうちファイバ径方向における周辺部の光量が不足している場合であっても、周辺部の光量を更に増加させた略凹状の光を重ね合わせることで、光量分布の均一化を図ることができる。
【0032】
また、細径光ファイバの径と大口径光ファイバの径とは異なるが、細径光ファイバから出射される光の放射パターン、例えばリング状は、大口径光ファイバにおいても、サイズ及び形状を変えること無くそのまま維持されている。また、従来では、光ファイバの径は10mm以上なければ光量分布を均一化することは困難であったが、本発明によれば、細径光ファイバの径が1mm以下であったとしても、光量分布を均一化することができる。
【0033】
図1に示すように、スペックル低減部30では、数回巻き取った状態の大口径光ファイバ28に振動を加えることにより、スペックルノイズを低減させて更に光量分布を均一化する。これにより、光量分布が更に均一化された光が光出射部31から出射するため、スペックルの発生を抑えることができる。
【0034】
図6に示すように、光出射部31は、大口径光ファイバ28を円筒状のハウジング部41の保持孔41a内に保持した状態で、出射面28aからスペックル低減部30を経た光を出射する。ハウジング部41内における大口径光ファイバ28は、光軸方向XAに対して径が同じであるファイバ本体部43と、出射面28aに向かって径が徐々に小さくなるテーパ部44を備えている。ファイバ本体部43は、コア43a及びそのコア43aの外周面上に一定厚みで設けられるファイバ43bからなる。テーパ部44は、テーパコア44a及びそのテーパコア44aの外周面上に一定厚みで設けられるテーパテーパクラッド44bからなる。なお、ハウジング部はガラスなどで形成することが好ましい。
【0035】
ファイバ本体部43内の光は、クラッド43bで反射しながら、コア43a内を伝搬する。これに対して、テーパ部44では、テーパクラッド44bに対する光の入射角が小さくなるため、テーパ部44内の光の一部は、テーパクラッド44bで反射せず、そのままテーパクラッド44bへと漏れ出す。テーパクラッド44bへ漏れ出した光は、ファイバ接着部材40で反射しながら、テーパコア44a内を伝搬する。
【0036】
ここで、図7(A)が示すように、ファイバ本体部43におけるコア径R1は、225μm以上235μm以下であり、より好ましくは230μmである。また、(B)が示すように、出射面28aにおけるコア径R2は、85μm以上100μm以下であり、より好ましく93μmである。したがって、テーパ部44のテーパ率(コア径R2/コア径R1)は0.36以上0.44以下である。なお、大口径光ファイバ28のクラッド径は105μm以上255μm以下であることが好ましい。
【0037】
図6に示すように、ファイバ接着部材40は光透過性を有する接着剤から構成され、紫外線により硬化する。ファイバ接着部材40は、出射面28aから一定深さでテーパクラッド44bの外周面の全部が露呈するように、大口径光ファイバ28を保持孔41a内に接着する。ファイバ接着部材40の屈折率は大口径光ファイバのクラッド43b,44bの屈折率より低く、具体的には大口径光ファイバのクラッド43b,44b屈折率は1.43以上1.44以下であり、ファイバ接着部材40の屈折率は1.40以上1.41以下であることが好ましい。
【0038】
光放出空間部48は、出射面28aから一定深さで露呈したテーパクラッド44bの外周面(以下「露呈部」という)とハウジング部41の内周面との間に設けられた略円筒状の空間からなる。この光放出空間部48において、テーパクラッド44bの露呈部はエアと直接的に接している。テーパコア44a内の光は、そのまま出射面28aから出射する他、テーパクラッド44bの露呈部へと漏れ出す。テーパクラッド44bの露呈部に漏れ出した光は、そのまま光放出空間部48へと放出する。
【0039】
以上のように、光出射部31から出射する光には、出射面28aから出射する光に加えて、テーパクラッド44bの露呈部から漏れ出す光も含まれているため、出射光の広がり角及びNA(Numerical Aperture)は、テーパ部44を設けない場合よりも、大きくなる。このテーパ部44により、出射光のビーム径は拡張される。更に、光出射部31から出射する光には、前述の2パターンの光に加えて、テーパ先端部45から光放出空間部48へと放出される光が含まれているため、出射光の広がり角及びNAは、光放出空間部48及びテーパ部44の両方無しの場合及び光放出空間部48無しでテーパ部44のみ設けた場合よりも、更に大きくなる。これら光放出空間部48及びテーパ部44により、出射光のビーム径は更に拡張される。
【0040】
また、光放出空間部48が存在することで、出射光の広がり角及びNAは、コア43a,44a及びクラッド43b,44bの材質や屈折率による制限を受けにくいため、自由度を有する。また、テーパ部44のテーパ率を調整したり、光軸XA方向への光放出空間部の深さを調整することによって、テーパクラッド44bの露呈部から漏れ出す光の屈折率を調整することができる。これにより、出射光の広がり角及びNAを自由に調整することができる。
【0041】
以下、光放出空間部48及びテーパ部44無しのときの広がり角及びNAの具体的な数値と、光放出空間部48又はテーパ部44有りのときの広がり角及びNAの具体的な数値とを示すことにより、広がり角及びNAがどの程度拡大するかを説明する。光放出空間部48及びテーパ部44無しのときの開口数NA1は、コアの屈折率Na及びクラッドの屈折率Nbに基づいて、以下の[数1]により求められる。
【数1】

【0042】
例えば、コアの屈折率Naが1.452、クラッドの屈折率Nbが1.436である場合、光放出空間部48及びテーパ部44無しのときの開口数NA1は、最大で0.22(最大開口数)であり、広がり角は最大で24.2度(最大広がり角)である。ここで、大口径光ファイバ28のファイバ本体部43におけるコア径を230μmとし、クラッド径を250μmとした場合、テーパ部44及び光放出空間部48無しのとき(テーパ率1.0)の広がり角は、最大広がり角以下の16(deg)であり、NAは、最大開口数以下の0.14である。
【0043】
一方、テーパ部のみの開口数NA2は、コアの屈折率Na及びファイバ接着部材の屈折率Ncに基づいて、以下の[数2]により求められる。
【数2】

【0044】
例えば、前述と同様にコアの屈折率Naを1.452とし、ファイバ接着部材の屈折率Ncを1.407とした場合、テーパ部のみの開口数NA2は最大で0.36(最大開口数)であり、広がり角は最大で42.2度(最大広がり角)である。この値は、テーパ部44内の光の全てがコアからクラッドに漏れ出したときの広がり角とされる。ここで、コア径が230μm、クラッド径が250μmであるファイバ本体部43に対して、テーパ部44(出射面28aにおけるコア径93μm、テーパ率0.372)を設けた場合、広がり角は最大広がり角以下の37.6(deg)であり、NAは最大開口数以下の0.32である。したがって、テーパ部44を設けることで、出射光の広がり角及びNAを拡大することができる。
【0045】
さらに、本発明では、コア径が230μm、クラッド径が250μmであるファイバ本体部43に対して、光放出空間部48及びテーパ部44(出射面28aにおけるコア径93μm、テーパ率0.372)の両方を設けた場合、広がり角は47.0であり、NAは0.40である。したがって、テーパ部44に加えて、光放出空間部48を設けることにより、出射光の広がり角及びNAを更に拡大することができる。
【0046】
光放出空間部48は、以下のようにして形成される。まず、大口径光ファイバ28をハウジング部41の保持孔41aに挿入する。そして、出射面28aとハウジング部41の端面とが同一面になるように、大口径光ファイバ28の周面とハウジング部41の内周面との間に、ファイバ接着部材40を充填して接着する。そして、接着剤吸収性を有するレーザを、出射面28a側からファイバ接着部材40の端面全体に照射し、出射面28aから一定深さでファイバ接着部材40を除去する(アブレーション)。これにより、出射面28aから一定深さでテーパクラッド44bの外周面の全部が露呈し、その露呈したテーパクラッド44bの外周面とハウジング部41の内周面との間に、略円筒状の光放出空間部48が形成される。
【0047】
なお、レーザは、出力が300mWであり、波長が405nmの光を4本合波させたもの(合計出力1.2W)を使用することが好ましい。また、ファイバ接着部材の除去に要した時間は約5分であることが好ましい。また、使用するレーザとしては、100mW程度の低いパワーを有するレーザをファイバ接着部材に対して長時間照射し、ファイバ接着部材を変質させてもよい。この場合は、レーザ照射後に変質したファイバ接着部材をアセトン等の溶剤で除去することができる。また、光出射部のような光コネクタの端面は非常に壊れやすいため、接着剤の除去などのプロセス処理は端面研磨後には通常行われないが、本実施形態によれば、レーザによる非接触で端面を加工するプロセス処理を採用したため、プロセス処理を端面研磨後に行っても、端面を損傷することがない。
【0048】
図5に示すように、内視鏡システム50は、被検者の体腔内を照明する照明光を生成する照明光生成手段として上記本発明の光源装置10を用い、照明光により照明された被検者の体腔内を内視鏡51により撮像し、この撮像により得た画像をプロセッサ装置52で各種処理を施す。各種処理が施された画像は、モニタ53に表示される。
【0049】
図6に示すように、内視鏡51は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部55と、挿入部55の基端部分に連設され、施術者が手元で操作を行う手元操作部56と、光源装置10及びプロセッサ装置52のソケット10a,52aに取り付けられるユニバーサルコネクタ57と手元操作部56とを接続するユニバーサルコード58とを備えている。挿入部55の先端には、照明光学系60、対物光学系61、プリズム62、撮像素子63が設けられている。
【0050】
光源装置の光源11〜14、集光レンズ15〜18、細径光ファイバ20〜23、ファイバ接続部27、及びスペックル低減部30はケーシング67内に設けられており、大口径光ファイバ28の一部はケーシング67内に、その他の部分はユニバーサルコード58及び挿入部55内に設けられている。
【0051】
細径光ファイバ20,21には、光源11,12からの光が集光レンズ15,16を介して入射角度0°で入射する。細径光ファイバ20,21に入った光は、図2(A)に示す略凸状の光量分布と図2(B)に示す遠視野パターンを有する。また、細径光ファイバ22,23には、光源13,14からの光が集光レンズ17,18を介して入射角度12°で入射する。細径光ファイバ22,23に入った光は、図3(A)に示す略凹状の光量分布と図3(B)に示す遠視野パターンを有する。
【0052】
細径光ファイバ20,21からの光と、細径光ファイバ22,23からの光は、ファイバ接続部27で大口径光ファイバ28に向けて出射する。大口径光ファイバ28内の光は、図4(A)に示すように、光量がファイバ径方向に対して略均一であり、且つ一定値M以上である光量分布を有するとともに、図4(B)に示すように、全エリア42が一定値M以上の光量である遠視野パターンを有する。大口径光ファイバ28内の光は、スペックル低減部30で光量分布が更に均一化された後、光出射部31へと送られる。
【0053】
光出射部31は、照明光学系60を介して、大口径光ファイバ28内の光を体腔内部に向けて照射する。体腔内部には光量分布が均一な光が照射されるため、体腔内に光反射率が高い領域があったり、また体腔内部に凹凸差が激しい領域にあったりしても、内視鏡で得られる画像は鮮明である。したがって、得られた画像から体腔内部にある病変部を容易に発見することができる。
【0054】
また、光出射部31は光放出空間部48及びテーパ部44を有しているため、光出射部31から出射される光の広がり角及びNAは、それら光放出空間部48及びテーパ部44が無い場合よりも大きい。したがって、体腔内部に対して広範囲に光が照射されるため、撮像素子63の撮像範囲のほぼ全域が照明される。したがって、内視鏡51で得られる画像から病変部を容易に発見することができる。
【0055】
対物光学系61は、体腔内部で反射した光を受光する。プリズム62は対物光学系61で受光した光を屈曲させる。プリズム62で屈曲した光は、撮像素子63の撮像面で結像する。これにより、体腔内部の画像信号が得られる。撮像素子63で得られた画像信号は、挿入部55及びユニバーサルコート58内の信号ライン70を介して、プロセッサ装置52に送られる。プロセッサ装置52は、信号ライン70から送られてきた画像信号に対して各種処理を施す。モニタ53は、各種処理が施された画像信号に基づいて、体腔内部の画像を表示する。
【0056】
図7に示すように、本発明の第2実施形態の光源装置80は、細径光ファイバ82,83(受光角θ)以外は上記第1実施形態と同様の構成を有している。光源13,14と集光レンズ17,18とは、それぞれの光軸L3,L4が細径光ファイバ82,83の光軸X3,X4と一致するように、設けられている。また、細径光ファイバの入射端面82a,83aは、光軸X3,X4に直交する面に対して角度12°で傾くように、研磨されている。なお、細径光ファイバ(受光角θ)の入射端面82a、83aの角度は12°に限らず、θ/2以上θ以下の範囲であればよい。また、細径光ファイバ20,21(受光角θ)の入射端面にも、光軸X1,X2に直交する面に対して角度0°以上θ/2以下の範囲で傾くように研磨してもよい。
【0057】
細径光ファイバ82,83は、細径光ファイバ20,21と同様にマルチモード光ファイバで構成されている。したがって、角度12°だけ傾いた入射端面82a,83aに、光源13,14からの光が集光レンズ17,18を介して入射することによって、細径光ファイバ82,83内の光は、図3(A)に示す略凹状の光量分布と図3(B)に示す遠視野パターンを有する。
【0058】
細径光ファイバ82,83の出射光は、細径光ファイバ20,21の出射光と同様に、ファイバ接続部27で大口径光ファイバ28に入射する。大口径光ファイバ28内では、細径光ファイバ20,21,82,83からの光が重ね合わされて均一化される。これにより、図4(A)に示すように、光量がファイバ径方向に対して略均一であり、且つ一定値M以上である光量分布を有するとともに、図4(B)に示すように、全エリア42が一定値M以上の光量である遠視野パターンを有する。大口径光ファイバ28内の光は、スペックル低減部30で光量分布が更に均一化される。
【0059】
図8に示すように、本発明の第3実施形態の光源装置90においては、細径光ファイバ22の入射角度はθaを0°以上12°以下の範囲で可変とする以外は、上記第1実施形態と同様の構成を有している。
【0060】
ここで、細径光ファイバの入射角度θaを変化させることによって、細径光ファイバ22の出射光の光量分布がどのように変化するかの一例を、図9〜図12に示す。図9〜図12は、細径光ファイバ22のコア径を230μm、クラッド径を250μm、NAを0.23としたときに、細径光ファイバ22から出射する光の出力モードパターン(NFP)を示しており、図9は、θaが6°のときのパターンを、図10はθaが8°のときのパターンを、図11はθaが10°のときのパターンを、図12はθaが12°のときのパターンを示している。なお、図9〜図12において、横軸を示す「ファイバ径方向」の「0」は細径光ファイバ22の光軸を示している。また、放射パターンをリング状とする場合には、光ファイバのNAを上限値付近にすることが好ましい。
【0061】
これら図9〜図12に示すように、ファイバ径方向における周辺部の光量は、θaが8°付近からθaが大きくなるごとに、増えることが分かる。また、θaを大きく又は小さく変化させることによって、細径光ファイバ22の出射端面上の放射パターンの形状が、リング形状、楕円などに変化することが分かっている。特に、θaが12°の場合には、NAが光ファイバの上限値(0.22)となり、放射パターンの周辺部におけるモード突起は顕著になる。そのため、θaが12°のときの細径光ファイバ22の出射端面上の放射パターンの形状はリング状となり、θaが12°未満のときの放射パターンと大きく異なることが分かっている。なお、θaが0°から6°までの細径光ファイバ22の出射光の光量分布は、θaが6°の場合とほぼ同様のパターン(図9参照)を示す。
【0062】
以上のように入射角度θaで光を入射する細径光ファイバ22の出射光は、ファイバ接続部27において、入射角度0°で光を入射する細径光ファイバ20,21の出射光及び入射角度12°で光を入射する細径光ファイバ23の出射光ととともに、大口径光ファイバ28に入射する。大口径光ファイバ28内では、細径光ファイバ20〜23からの出射光とが重なり合うことで光量がファイバ径方向に対して均一になる。
【0063】
また、細径光ファイバ22の入射角度θaと細径光ファイバ23の入射角度12°とが異なっている場合、大口径光ファイバ28には、放射パターンのサイズや形状が異なる光が入射する。これら光が大口径光ファイバ28内で重なり合うことによって、光出射部31から出射される光の放射パターンは、光量分布の均一性を失わない範囲のパターンであるとともに、サイズや形が異なる複数の形状が組み合わさったパターンとなる。したがって、細径光ファイバ22の入射角度θaを調整することによって、所望のパターンの光を照明対象に当てることができる。また、細径光ファイバ20,21の入射光は集光レンズにより光軸X1,X2近傍に集光するため、ファイバ径方向における周辺部の光量は不足するが、細径光ファイバ22の入射角度θaを調整することによって、光量分布の均一性を失わない範囲において、周辺部の光量を増加させることができる。
【0064】
なお、上記実施形態では、バンドル化した細径光ファイバと大口径光ファイバとを接続し、大口径光ファイバから光を出射させたが、バンドル化した細径光ファイバを大口径光ファイバに接続せず、細径光ファイバからそのまま光を出射させてもよい。この場合にも、細径光ファイバに光出射部31と同様の光出射部を設け、即ち、細径光ファイバの出射側にテーパコア及びテーパクラッドからなるテーパ部を設け、細径光ファイバの出射面から一定深さで、外周面の全部又は一部を露呈したテーパクラッドから漏れる光を放出させる光放出空間部を設ける。したがって、細径光ファイバから出射される光の広がり角及びNAは、テーパ部44及び光放出空間部48により拡大する。
【0065】
上記実施形態のように、細径光ファイバから出射する光を、大口径光ファイバに入射させず、そのまま放出させる場合には、以下のようにして形成される2周のバンドルファイバを用いることが好ましい。2周のバンドルファイバは、まず、中心となる1本の細径光ファイバの周囲を保護チューブで覆い、その周囲に複数本の細径光ファイバを配置して保護チューブで覆う。そして、その複数本の細径光ファイバを覆う保護チューブの周囲に、更に複数本の細径光ファイバを配置して保護チューブで覆う。これにより、2周のバンドルファイバが形成される。なお、バンドルファイバは2周に限らず、3周以上あってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、出射面28aから一定深さでテーパクラッド44bの外周面の全部を露呈させることにより、光放出空間部48を形成したが。図15及び図16に示すように、テーパクラッド44bの外周面の全部ではなく一部だけを露呈させることによって、光放出空間部100を形成してもよい。
【0067】
光放出空間部100は、図15及び図16に示すように、出射面28aから一定深さで露呈したテーパクラッド44bの外周面の一部とハウジング部41の内周面と間に形成されている。光放出空間部100は、大口径光ファイバの出射面28aをXYの二次元平面上で見たときに、Y軸に対してテーパクラッド44bよりも上方に設けられる第1空間部100a、Y軸に対してテーパクラッド44bよりも下方に設けられる第2空間部100bとからなる。なお、空間部を設ける位置はこれに限らず、X軸方向に対してテーパクラッドの左右両方に空間部を設けてもよい。また、空間部の形成方法は、ファイバ接着部材の一部をレーザ照射により除去する(アブレーション)以外は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
以上のように第1及び第2空間部100a,100bを設けることにより、Y軸方向の出射光には、第1及び第2空間部100a,100bへと放出される光が含まれるのに対して、X軸方向の出射光には、第1及び第2空間部100a,100bに放出される光が含まれない。したがって、図15に示すように、Y軸方向の広がり角θyは、X軸方向の広がり角θxよりも大きくなるため、光出射部31から出射する光の放射パターンは楕円状となる。なお、θxとθyが同じ場合には、出射光の放射パターンは円状であるが、θxとθyが異なることで、出射光の放射パターンは円状から楕円状に変化する。また、空間部を設ける位置を適宜変更することによって、θxとθyを調整し、出射光の放射パターンを円状から楕円状又はその逆に変化させてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10,80,90 光源装置
11〜14 光源
20〜23,82,83 細径光ファイバ
28 大口径光ファイバ
31 光出射部
33 ライトガイド
40 ファイバ接着部材
41 ハウジング部
44 テーパ部
44a テーパコア
44b テーパクラッド
48,100 光放出空間部
50 内視鏡システム
51 内視鏡
100a 第1空間部
100b 第2空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバと、出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバとがバンドル化されたバンドルファイバを備え、
前記第1及び第2マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることを特徴とするライトガイド。
【請求項2】
前記第2マルチモード光ファイバに入射させる光の入射角度は、前記第1マルチモード光ファイバに入射させる光の入射角度よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のライトガイド。
【請求項3】
前記第1マルチモード光ファイバ(受光角θ)に入射させる光の入射角度は0°以上θ/2以下であり、前記第2マルチモード光ファイバ(受光角θ)に入射させる光の入射角度はθ/2以上θ以下であることを特徴とする請求項2記載のライトガイド。
【請求項4】
前記第1又は第2マルチモード光ファイバの入射端面は、それら光軸に直交する面に対してそれぞれ傾斜しており、前記第2マルチモード光ファイバの入射端面の傾斜角度は、前記第1マルチモード光ファイバの入射端面の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のライトガイド。
【請求項5】
前記第1マルチモード光ファイバ(受光角θ)の入射端面の傾斜角度は0°以上θ/2以下であり、前記第2マルチモード光ファイバ(受光角θ)の入射端面の傾斜角度はθ/2以上θ以下であることを特徴とする請求項4記載のライトガイド。
【請求項6】
前記第1及び第2マルチモード光ファイバのNAは0.2以上であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載のライトガイド。
【請求項7】
前記バンドルファイバのファイバ本数は19本以下であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載のライトガイド。
【請求項8】
前記第1及び第2マルチモード光ファイバの径は1mm以下であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載のライトガイド。
【請求項9】
出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバ、及び出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバがバンドル化されたバンドルファイバと、
口径が第1及び第2マルチモード光ファイバの口径よりも大きい入射部に、前記第1マルチモード光ファイバの出射光と前記第2マルチモード光ファイバの出射光とが入射する大口径マルチモード光ファイバとを備え、
前記大口径マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることを特徴とするライトガイド。
【請求項10】
前記大口径マルチモード光ファイバから出射する光のスペックルを低減するスペックル低減部が、前記大口径マルチモード光ファイバに設けられることを特徴とする請求項9記載のライトガイド。
【請求項11】
前記出射面から一定深さで前記テーパクラッドの外周面の一部又は全部が露呈するように、前記大口径マルチモード光ファイバを保持するファイバ保持部材と、
外周面の一部又は全部が露呈した前記テーパクラッドから漏洩する光を放出させる光放出空間部を備えることを特徴とする請求項9または10記載のライトガイド。
【請求項12】
複数の光源と、
出射光の光量分布が径方向に対して略凸状になるように前記光源から光を入射する複数の第1マルチモード光ファイバ、及び出射光の光量分布が径方向に対して略凹状になるように前記光源から光を入射する複数の第2マルチモード光ファイバがバンドル化されたバンドルファイバと、
前記バンドルファイバから光を出射する光出射部とを備え、
前記第1及び第2マルチモード光ファイバには、出射面に向かって径が徐々に小さくなるテーパコア及び前記テーパコアの外周上に一定厚みで設けられるテーパクラッドが設けられていることを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項13】
請求項12記載の光源装置と、
前記光源装置の光出射部から出射した光により照明される被検者の体腔内部を撮像する内視鏡と、
前記撮像により得られる画像を処理する画像処理装置とを備えることを特徴とする内視鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−190934(P2010−190934A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32307(P2009−32307)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】