ランゲルハンス島細胞数を増加させることによって糖尿病を治療するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤
本発明は、特に糖尿病の予防および/または治療を目的とする、ランゲルハンス島細胞数を増加させるための薬物を調製するための、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある少なくとも1種の化合物の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物、特に、それを必要とする患者の場合に、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによる薬学的使用のため、特に糖尿病および関連するその合併症および/または関連症状(肥満症、高血圧症など)を予防および治療するための生成物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、極めて不均一な疾患群であり、それらはすべて、共通する一定数の特徴、すなわち、血糖の上昇および心血管系合併症を発症する長期的な危険性の増加を有している。
【0003】
1985年には、WHOの基準により、糖尿病の2つの主要なタイプ、すなわち、それぞれ、これまで1型および2型糖尿病として知られていた、免疫現象の発現が関与するインスリン依存性糖尿病(IDD)、およびインスリン非依存性糖尿病(NIDD)が区別されている(World Health Organization、1985)。糖尿病は、その症状(口渇、多尿、昏睡など)が高血糖およびケトーシスに伴う場合にインスリン依存性であると考えられており、その場合には、疾患の初期からインスリンの投与が不可欠である。他はたいていの場合、たとえ高血糖が持続するため補助的にインスリンの投与を必要としても、糖尿病は、インスリン非依存性と見なされ、一般的には経口抗糖尿病薬を用いて治療される。現在、インスリン非依存性糖尿病は、世界中で1億1千万人の人々に影響を与えている。この数が減少する兆しはなく、2010年までに2億1千6百万人の人々が影響を受けると予測されている。
【0004】
糖バランスを維持するには、エネルギー代謝に関与する臓器(主に脳、肝臓、膵臓、筋肉および脂肪組織)間の厳密な協調が必要である。
【0005】
インスリン非依存性糖尿病では、肝臓および膵臓が主な関与臓器である。特に、肝臓によるグルコースの過剰な産生が、糖尿病患者における空腹時高血糖の原因であることは明確に立証されている(Consoliら、Diabetes、38(1989)、550〜557)。同様に、膵機能(ランゲルハンス島細胞数、グルコースに応答するインスリンおよびグルカゴンの分泌)の障害は、食後高血糖の発現に寄与している(Polonskyら、N.Engl.J.Med.、318(1988)、1231〜39)。
【0006】
インスリン依存性糖尿病は、膵臓のβ細胞を破壊する自己免疫疾患である。この疾患には、遺伝要因(HLA(ヒト白血球抗原)系およびインスリン自体の遺伝子)および栄養および/またはウイルス起源の環境要因も関与している。
【0007】
高血糖症状およびそれに伴う合併症の他に、この2つのタイプの糖尿病は、膵臓起源の欠陥を共通して有している。
【0008】
膵臓は、その役割が、消化に必要な酵素の合成および分泌である外分泌組織、およびその役割が、炭水化物の恒常性を維持することに関与するホルモンを合成および分泌することであるいくつかのタイプの細胞からなる内分泌組織を含む複合臓器である。内分泌細胞は、ランゲルハンス島として知られている小さな構造の複雑な細胞組織体の形で膵臓外分泌部内に寄せ集められている。これらの膵島は、4つの主要な細胞タイプ、すなわち
インスリンを分泌するβ細胞、
グルカゴンを分泌するα細胞、
ソマトスタチンを分泌するδ細胞、
膵臓ポリペプチドを分泌するPP細胞からなる。
【0009】
循環インスリンの量は、血漿グルコースの変化に応じて個々のβ細胞によって放出されるホルモン量の急激な変化によって制御される。しかしながら、長期的な調節も存在し、全β細胞塊の変化を利用してインスリンの産生を適応させることを可能にしている。膵臓は、インスリンの需要が増加した場合、β細胞塊を適応させることができる。この需要増加は、インスリンの生物学的有効性の低下(インスリン抵抗性)が認められる生理学的および生理病理学的状況で観察される。膵ホルモン(グルカゴンおよびインスリン)の分泌異常、ランゲルハンス島細胞数、より具体的にはβ細胞数の不足も、I型およびII型糖尿病患者の場合には、分泌不足および高血糖症の形成に寄与することがある(Kloeppel G.ら、Surv.Synth.Path.Res.(1985)、4、110125)。糖尿病の動物モデルで行われたいくつかの研究は、遺伝的背景(genetic terrain)がβ細胞の成長における重要なパラメータであることを示している(Andersson A.、Diabetologia(1983)、25、269〜272;Swenne I.、Diabetes、(1984)32、14〜19)。
【0010】
糖尿病の過程では、その進行について、
−インスリンを必要としない
−インスリンを必要とする
−生存のためにインスリンを必要とする3つの段階が区別されている。
【0011】
糖尿病のタイプの説明とそれらの進行段階の説明を分離することは、インスリン依存性糖尿病とインスリンで治療される糖尿病の同化を避けることの重要性を示している。しかしながら、インスリン非依存性糖尿病については、初期および後期は、糖尿病状態の期間および重症度に関して慣習的に区別される。
【0012】
I型糖尿病の主な治療は、インスリンの皮下注射からなる。糖尿病の臨床症状には、前糖尿病として知られている長期または短期の無症候性期間が必ず先行するが、糖尿病が診断されるかなり前のこの間に、臓器が影響を受けるようになることがある。
【0013】
2002年、American Diabetes Associationは、前糖尿病の新たな定義、すなわち、正常より高いが、糖尿病の定義済み基準に相当するよりも低い血中グルコース濃度を特徴とする状態を提案した。正常な血糖平衡の特徴は、空腹時血糖が1.10g/l未満であり、食後血糖が1.40g/l未満である。空腹時血糖が1.26g/l以上で、および/または食後に2g/lを超えるまで増加する場合は、糖尿病が診断される。
【0014】
より具体的には、I型糖尿病に相当する前糖尿病状態は、Buysschaertら、Louvain Med.、119、S251〜S258、2000により記載された免疫学的マーカーなどの、特に、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体を含む免疫学的マーカーの存在によって定義することができる。
【0015】
II型前糖尿病状態の特徴は、主に、インスリン分泌の初期ピークの消失であり、その結果は、グルコース不耐性(「グルコース耐性障害」については、IGTとしても知られている)または空腹時血糖障害(「空腹時グルコース障害」については、IFGとしても知られている)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
糖尿病を効率的に予防する薬物は存在しない。したがって、前糖尿病または糖尿病を予防および/または治療するための新規な経路を提供することが望ましい。I型糖尿病の主な治療は、インスリンの皮下注射からなる。II型糖尿病については、3から6カ月の保健栄養的測定(hygieno−dietetic measurement)のみ後に糖化ヘモグロビン(A1c)のレベルが7%を超えたままである場合に薬物治療を提案するのが妥当とされている。A1cが8%を超えたままである場合には、薬物治療を行うことが必要である(Nathan、N.E.J.M.(2002)、17、1342〜1349)。II型糖尿病は、一般に経口用の活性薬物を用いて治療される。今日、多くの経口抗糖尿病薬が市販されているが、それらのいずれも、血糖制御パラメータの正常化を達成することを可能にしていない。高血糖症に伴う糖尿病性合併症は必ず出現する。これらの薬物の主な弱点は、インスリン抵抗性(チアゾリジンジオン系薬剤またはビグアナイド系薬剤)か、それともインスリン分泌(スルホニル尿素系薬剤、グリニド系薬剤など)という一度に1つの欠陥に対処しているに過ぎないことである。さらに、ランゲルハンス島細胞の数を増加させ、その機能を高めることができる薬物は今のところ市販されていない。最後に、それらのあるものは、無視できない有害作用を有する。特に、スルホニル尿素は、低血糖という重大な危険性を示し、これらの薬物の用量を、患者毎に綿密に規定して対応させることが要求される。随伴する低血糖の危険性なしに上述の2つの欠陥を同時に是正することは、II型糖尿病およびその合併症の治療における根本的なブレークスルーとなるであろう。主な合併症の一つである関連する心血管系の危険性の予防も、糖尿病患者にとって重要な有益性であろう。
【0017】
本発明における糖尿病病理学の中心焦点としての膵機能および肝機能に関して、発明者らは、代謝経路、すなわちトリプトファンの代謝に焦点を合わせた。トリプトファンは、炭水化物代謝の制御に関与することがこれまでに報告されているアミノ酸である(Tsiolakis D.およびV.Marks、Horm.Metabol.Res.、16(1964)、226〜229)。キヌレニンを介するその複雑な代謝は、NAD+の産生につながる。一部の中間代謝産物も、血糖コントロール(Connick J.およびStone、Medical hypothesis、18(1985)、371〜376)、特に、肝臓によるグルコースの産生を制御する機序(「Effect of tryptophan and its metabolites on GNG in mammalian tissues」、Pogsonら、1975)および/またはインスリン分泌および合成(Noto Y.およびOkamoto、Acta Diabet.Lat.、15(1978)、273〜282;RogersおよびEvangelista、Proc.Soc.Exp.、178(1985)、275〜278)におそらく関与していると記載されている。この経路の活性代謝産物がトリプトファン自身、キヌレニンおよびキヌレン酸である。これらの代謝産物の濃度は、3種類の酵素、すなわち、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ、キヌレニナーゼおよびキヌレニンアミノトランスフェラーゼによって制御されている。キヌレニンアミノトランスフェラーゼは、そのほかの点ではインスリン抵抗性であるSHRラット(高血圧自然発生ラット;Kwokら、JBC、35779〜35782、2002年9月)の高血圧生理病理学への関与を疑われている。それにもかかわらず、肝臓によるグルコース産生に対する、およびグルコースに応答するインスリン分泌に対するこれらの代謝産物の連合作用が従来技術において立証されたことはない。特に、これらの代謝産物のいくつかが、ストレプトゾトシンの注射によって糖尿病にされた動物においてグルコースに対する生理学的応答、膵ホルモン(インスリンおよびグルカゴン)の分泌を回復させ、低血糖のいかなる危険性も生じることなくインスリン分泌欠陥を是正することを可能にすることが立証されたことはない。
【0018】
キノリン酸およびキヌレン酸などのキヌレニン経路の特定の代謝産物が、神経系に対してそれぞれ、神経毒剤および神経保護剤として作用することは従来技術において十分に述べられている。これらの効果は、グルタミン酸受容体および/またはニコチン酸受容体を調節する能力に関連している(Schwarcz R.およびPellicciardi R.、JPET、303(2002)、1〜10、;StoneおよびDarlington、Nature Reviews、1(2002)、609〜620)。膵臓内のグルタミン酸受容体の存在は、膵ホルモン分泌に関与している(Weaver C.ら、J.Biol.Chem.、271(1996)、12977〜12984)ように従来技術において記載されているが、これらのグルタミン酸受容体がこの臓器内でキヌレニンの代謝産物によって制御されていることが立証されたことはない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的を達成するために行われた研究は、驚いたことに、膵臓のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害によるキヌレニン経路におけるトリプトファン代謝の調節が、ランゲルハンス島細胞数の増加を可能にし、特に、糖尿病性疾患、その合併症および/またはその関連症状(肥満症、高血圧症など)の予防および治療において重要な役割を果たすことを立証することを可能にした。
【0020】
したがって、本発明の目的の一つは、ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防するための治癒的および/または予防的活性を有し、低血糖の危険性のない新規な治療手段を提供することにある。
【0021】
また、本発明は、別の目的として、副作用、特に低血糖を避けることを可能にする糖尿病の治療方法であって、このタイプの症状についての作用機序が従来技術において記述または示唆されていない治療手段を用いる方法を提案している。
【0022】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有し、中枢神経系の疾患を含む神経変性疾患、硬化症および緑内障関連網膜症の治療に有用である特定の化合物が知られている(US6 048 896およびUS6 323 240を参照)。このような化合物は、鎮痛性および抗炎症性を有することがすでに知られていた。
【0023】
本発明の目的を達成するために行われた研究は、驚いたことに、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害が、糖尿病性疾患、特にインスリン非依存性糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の予防および治療において重要な役割を果たすことを立証することを可能にした。
【0024】
このように、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物が、ランゲルハンス島細胞数を増加させ、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防および治療するのに特に有用であることが発見された。
【0025】
今回、本発明者らは、全く予想外に、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、膵臓β細胞に対して活性を示すことを発見した。
【0026】
もっと正確に言うと、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、ランゲルハンス島細胞数、特にβ細胞数を増加させる。
【0027】
したがって、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、それらの細胞の機能に対する効果に加え、糖尿病状態の経過中に膵臓のランゲルハンス島細胞数の減少を補うことを可能にするはずである。
【0028】
したがって、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、糖尿病およびその結果を予防することを可能にする。
【0029】
したがって、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、糖尿病のタイプ、その進行度および/または関係集団に応じて高血糖症の治療を具体的に標的とすることを可能にする。
【0030】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、ランゲルハンス島細胞数の増加に対して選択的に作用することを可能にする。したがって、このことは、グルコースに応答するランゲルハンス島細胞におけるインスリン分泌の異常および/または細胞の数に障害のある患者を選択的に標的とすることを可能にする。
【0031】
すなわち、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、インスリンを分泌するランゲルハンス島細胞塊を増加させることにより、インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0032】
より具体的に言えば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、疾患が宣告される前、より具体的に言えば前糖尿病の間に、インスリンを分泌するランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、インスリン依存性糖尿病を予防することを可能にする。
【0033】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、機能性細胞の数を増加させることにより、初期のインスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。このことは、この使用が、正常値以上または以下のそれぞれ、非機能性β細胞数の増加およびβ細胞塊の減少を回避することを可能にし、糖尿病、その症状および/またはその合併症の出現を有利に回避することを可能にする限りにおいて特に有利である。
【0034】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、非機能性β細胞を機能性β細胞で置換することにより、後期として知られている進行した段階においてインスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0035】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、β細胞数の不足および/または減少を受けて、β細胞数を再生することにより後期インスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0036】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を単独療法で経口投与し、インスリン非依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0037】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を膵臓幹細胞の処理のためにin vitroで使用することができ、この処理細胞を患者に移植し、インスリン非依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0038】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を膵臓幹細胞の処理のためにin vitroで使用することができ、この処理細胞を患者に移植し、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0039】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を、身体の免疫反応を低下させるための1種または複数の作用物と組み合わせて投与し、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0040】
したがって、第一の主題によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞数を増加させるための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0041】
第二の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0042】
別の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0043】
別の主題によれば、本発明は、インスリン非依存性糖尿病を予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0044】
別の主題によれば、本発明は、初期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0045】
別の主題によれば、本発明は、後期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0046】
別の主題によれば、本発明は、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む薬剤組成物に関する。
【0047】
別の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0048】
好ましい態様によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞数に障害のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。ランゲルハンス島細胞数の障害は、細胞数で少なくとも40%であることが好ましく、50%〜90%の減少がより好ましく、さらに60%〜85%がより好ましい。
【0049】
好ましい態様によれば、本発明は、抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーを示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0050】
好ましい態様によれば、本発明は、任意の糖尿病危険因子を示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0051】
好ましい態様によれば、本発明は、インスリン抵抗性のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0052】
好ましい態様によれば、本発明は、7%を超える濃度の糖化ヘモグロビンなどのマーカーを示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0053】
好ましい態様によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞がグルコースに応答するインスリン分泌の異常を示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0054】
好ましい態様によれば、本発明は、関連する高血糖症および肥満症のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0055】
別の態様によれば、本発明は、分離ランゲルハンス島細胞のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤によるin vitro処理を含む、上述の使用のいずれかに関する。
【0056】
また、別の態様によれば、本発明は、分離ランゲルハンス島細胞のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤によるin vitro処理のための方法に関する。
【0057】
前記ランゲルハンス島細胞の培養および移植は、特に、Dochertyら、Current Opinion in Pharmacology,2001、1:641〜650により記載された方法の応用または適応によって実施することができる。
【0058】
本発明によれば、用語「前糖尿病」は、以下の因子、すなわち、抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーの存在、ランゲルハンス島細胞数の障害、インスリン分泌の初期ピークの抑制、グルコース不耐性、空腹時血糖障害および/または任意の糖尿病危険因子のうち1つまたは複数を特徴とする状態を意味する。
【0059】
本発明によれば、表現「空腹時血糖の障害および/またはグルコース不耐性」は、1.10g/l〜1.26g/lの空腹時血糖および食後の1.40g/l〜2g/lの食後血糖を意味する。
【0060】
本発明によれば、表現「抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカー」は、体内のランゲルハンス島細胞の抗原マーカーを対象とする身体の自己免疫反応の存在を示す任意の免疫学的マーカーを意味する。これらのマーカーには、Buysschaertら、Louvain Med.、119、S251〜S258,2000.により記載されたような自己抗体が含まれる。これらの抗体は、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体から選択される。
【0061】
本発明によれば、表現「ランゲルハンス島細胞数の障害」は、細胞数で少なくとも40%の減少を意味する。ランゲルハンス島細胞数の障害は、細胞数で少なくとも40%の減少であることが好ましく、50%〜90%の減少がより好ましく、60%〜85%がさらにより好ましい。
【0062】
本発明によれば、表現「グルコースに応答するインスリン分泌の異常」は、グルコースに応答してインスリンを分泌するランゲルハンス島細胞の正常な能力の任意の障害を意味する。
【0063】
本発明によれば、表現「糖尿病危険因子」は、糖尿病の出現と直接的または間接的に関係する任意の愁訴を意味する。特に、これらは、家族歴、妊娠性糖尿病、過剰体重、肥満症、運動不足、高血圧、高レベルのトリグリセリド、炎症、高脂血症などを含む。
【0064】
本発明によれば、用語「免疫抑制剤」は、抗原による身体の免疫反応の刺激を軽減または阻害するための任意の物理的作用物(例えば、X線)、化学的作用物(例えば、アザチオプリンまたはメルカプトプリン)または生物学的作用物(例えば、抗リンパ球血清)を意味する。
【0065】
本発明によれば、用語「ランゲルハンス島細胞」は、上述のα、β、δおよびPP細胞を意味し、ランゲルハンス島細胞は、β細胞をあらわすことがより好ましい。
【0066】
特に、本明細書で後述する一般式(I)または一般式(II)に対応する化合物が、一般にキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有することが発見された。式(I)および(II)に記載の化合物の中で、ある化合物ファミリー、特に、特許出願WO−A−98/07681に対応する化合物ファミリーおよび特許出願EP−A−0 885 869に対応するファミリーは、糖尿病の治療に有用である活性を有していることが知られている。キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する実質的な活性のある化合物が特に好ましい。用語「実質的な活性」は、以下で定義するin vitroの試験法による酵素に対する任意の阻害活性を意味し、酵素に対する有効な治療作用を得ることを可能にする。特に、対照に比べて、70%以下、有利には50%以下、より好ましくは30%以下の酵素活性が好ましい。
【0067】
これらの化合物ファミリー内で、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を特徴とする化合物を用いて改善された治療または改善された薬物を得るか、異なる目的で、予想外の利点を提供する新規経路により、β細胞塊を増加させ、特に糖尿病、ならびにこの糖尿病の合併症を予防または治療することが可能であることが発見された。また、それらは、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害を必要とする患者に治療有効量を投与することにより、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病の予防および治療を改善することを可能にする。
【0068】
特に、ファミリーIhの化合物は、注目すべきキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤およびβ細胞塊を増加させる薬剤、特に抗糖尿病薬であることが判明した。
【0069】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性の存在の確認は、任意の知られている手段により、特に、とりわけ簡単な方法で、化合物を以下に定義するin vitro試験にかけることにより行うことができる。
【0070】
より具体的に言うと、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物は、以下の一般式(I)または一般式(II)に属し、
【0071】
【化1】
【0072】
式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0073】
【化2】
【0074】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいは、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、およびニトロ、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、
一方では、基R5およびR6、または他方では、R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロ基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成してもよく、
R9は、水素またはアルキル基を表し、
R10は、アルキル、アリールおよびヘテロアリール基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、R12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびその環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素および、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する。
【0075】
以下の定義は、上記で定義した様々な基(group)および基(radical)の性質を特定している。他に指示がない限り、これらの定義は、このように説明される本発明のすべての用語にあてはまる。
【0076】
用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0077】
用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている直鎖または分枝アルキル基を意味する。1〜14個の炭素原子を含むアルキル基上の可能な置換基は、上述の置換基と同一であってもよい。
【0078】
用語「アルケニル」は、1個または複数の二重結合を含むアルケニル基を意味し、前記基は、直鎖または分枝であり、2〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0079】
用語「アルキニル」は、1個または複数の三重結合を含むアルキニル基を意味し、前記基は、直鎖または分枝であり、2〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0080】
用語「アルコキシ」は、「アルキル」+「オキシ」と理解するべきであり、用語「アルキル」は、上記で定義した通りである。アルコキシ基の置換基は、アルキル基について定義した置換基と同一である。
【0081】
用語「シクロアルキル」は、3〜13個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている架橋または非架橋単環式、二環式または三環式シクロアルキル基を意味する。
【0082】
用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含む上記で定義したシクロアルキル基を意味する。
【0083】
用語「複素環基」または「ヘテロシクリル」は、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式基を意味し、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0084】
用語「アリール」は、6〜14個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている単環式、二環式または三環式アリール基を意味する。
【0085】
用語「ヘテロアリール」は、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式ヘテロアリール基を意味し、前記ヘテロアリール基は、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0086】
好ましいアリール基は、フェニル基または1−ナフチル、2−ナフチルもしくはフルオレニル基である。
【0087】
アリール基により置換されているアルキルおよびアルコキシ基の中で、ベンジル、ベンジルオキシ、フェネチル、フェニルエトキシ、ナフチルメチルおよびナフチルメトキシ基が特に好ましい。
【0088】
好ましいシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル基ならびにテトラリンおよびデカリンから誘導される基である。
【0089】
用語「ヘテロアリール基」および「複素環基」は、ピリジル、フリル、チエニル、1−キノリル、2−キノリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、モルホリノ、ピペラジニル、ピペリジル、ピラニル、チオピラニル、インダニル、ベンゾチエニルまたはベンゾフリル基を意味することが好ましい。
【0090】
上記に示した式(I)および(II)の化合物にとって、用語「幾何異性体」は、シス/トランスすなわちE/Z異性を意味する。より具体的に言えば、式(I)の化合物にとって、R14がR2と共に結合を形成し、置換基R14およびR2をそれぞれ持つ炭素原子間で二重結合を形成する場合、この二重結合は、EまたはZ立体配置をとることができる。これらの幾何異性体は、純粋であってもなくても、単独でまたは混合物として、式(I)の化合物に不可欠な部分を形成する。
【0091】
用語「光学異性体」には、分子内の1つまたは複数の対称軸および/または対称中心の存在から生じ、偏光ビームの回転をもたらす単独または混合物としてのあらゆる形態の異性体が含まれる。より具体的に言うと、用語「光学異性体」には、純品または混合物としての鏡像異性体およびジアステレオ異性体が含まれる。
【0092】
特に、式(I)の化合物にとって、一方では、置換基R2およびR3、および/または他方では、R16およびR17が異なる場合、これらの置換基ペアを持つ炭素原子は非対称であり、鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体をもたらす。これらの光学異性体は、純粋であってもなくても、単独でまたは混合物として、式(I)の化合物に不可欠な部分を形成する。
【0093】
上記の式(I)または式(II)の化合物と薬学的に許容できる塩を形成することができる酸の中で、挙げることができる非限定的な例には、塩酸、リン酸、硫酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、アルキルスルホン酸およびショウノウ酸が含まれる。
【0094】
上記の式(I)または式(II)の化合物と薬学的に許容できる塩を形成することができる塩基の中で、挙げることができる非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニンおよびリジンが含まれる。
【0095】
上記の式(I)および(II)の化合物は、それらの化合物のプロドラッグも含む。
【0096】
用語「プロドラッグ」は、患者に投与されるとすぐに、生体によって式(I)または(II)の化合物に化学的および/または生物学的に変換される化合物を意味する。
【0097】
上記の式(I)の化合物のプロドラッグの例は、R4が、基−OP(Pは、脱離基である)、例えば、ショ糖などの糖残基を表し、R4が−OHを表す化合物に導くことができる化合物である。このようなプロドラッグは、本発明の分野に含められる。
【0098】
上記で定義した式(I)および(II)の多数の化合物が、特に特許刊行物および特許出願US6 048 896、US6 323 240、EP0 885 869およびUS5 877 193によって知られている。これらの特許刊行物は、これらの様々な化合物の調製方法を提供しており、当業者は、これらの方法を参照するか適合させて、式(I)および(II)の化合物すべてを合成することができる。
【0099】
本発明の一変形形態によれば、好ましい式(I)の化合物は、別々にまたは組合せとして、以下の特徴を有する、すなわち、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0100】
【化3】
【0101】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアリールから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択され、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールおよびアリールアルキルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5または6個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R16は、水素およびアルキルまたはアリール基から選択され、
R17は、水素原子を表し、
R11は、水素およびアミン官能基の任意の保護基から選択される化合物、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0102】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有する式(Ia)の化合物の使用に関する。式(Ia)のこれらの化合物は、上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0103】
【化4】
【0104】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいはそれらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、その環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素および、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択されるが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0105】
上記で定義した化合物(Ia)の中で、好ましいとされる化合物は、式(I)に属するファミリー(Ib)の化合物であり、式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0106】
【化5】
【0107】
R1は、シアノ、ニトロ、フェニル、ベンジル、アルキル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、アルコキシ、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'、ならびにハロゲン原子から選択される1、2または3個の基によって場合により置換されているフェニル基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、場合により置換されているアルコキシ、特にベンジルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルケニルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルキニルオキシ、フェノキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13は、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13'は、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、フェニルおよび−N(R12R12')から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよく、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R16は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R17は、水素原子を表すが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0108】
多くの場合、上記で定義した化合物(Ib)は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対して完全に有利な阻害活性を示す。そのため、これらの化合物は、本発明による上述の使用のいずれについても特に好ましく使いやすい。
【0109】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Ic)の化合物の使用に関する。ファミリー(Ic)のこれらの化合物は、
上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0110】
【化6】
【0111】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、水素を表す;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0112】
別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Id)の化合物の使用に関し、前記化合物(Id)は、上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0113】
【化7】
【0114】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0115】
別の好ましい化合物群は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Ie)の化合物からなり、前記化合物(Ie)は、上記で定義した一般式(I)に属し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0116】
【化8】
【0117】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、水素を表し、;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0118】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(If)の化合物の使用に関し、前記化合物(If)は、上記で定義した一般式(I)に属し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0119】
【化9】
【0120】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0121】
一般式(I)の化合物の中で、本発明の別の変形形態によれば、化合物は、
− 4−(4’−メチルシクロヘキシル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−チオメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− 4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;および
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
からなる化合物ファミリー(Ig)、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される。
【0122】
本発明の別の変形形態によれば、上述の一般構造(I)を有する化合物ファミリー(Ih)で、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0123】
【化10】
【0124】
R1、R2、R3、R4、R12、R12'、R13およびR14は、上記で定義した通りであり、
R15は、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオおよびヘテロシクリルチオ基から選択されるが、
ただし、R2、R3およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、チオールまたはアルキルチオ基を表すことができない;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0125】
ファミリー(Ih)の化合物は、本発明の特に好ましい態様を形成する。ファミリー(Ih)の化合物は、十分注目すべき血糖降下特性を有し、この点において、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として有用である。
【0126】
さらに、ファミリー(Ih)の化合物は、特に糖尿病の場合に、β細胞塊の増加に対する観察効果に連動する可能性のあるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を示す。
【0127】
ファミリー(Ih)の化合物の好ましいサブファミリーは、一般式(I)に属するファミリー(Ii)の化合物から成り、その際
Wは、下式の二価の基を表し、
【0128】
【化11】
【0129】
R1は、アリール基を表し、
R2は、水素を表すか、R14と共に結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表すか、R2と共に結合を形成し、
R15は、アリールチオ基を表す;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなる。
【0130】
また、好ましいファミリー(Ii)の化合物は、一般式(I)に対応するファミリー(Ij)の化合物であってその際Wは、下式の二価の基を表し、
【0131】
【化12】
【0132】
R1は、フェニル基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシルおよびアルコキシ基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、フェニルチオ基を表す;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0133】
実例として、ファミリー(Ih)の化合物の例は、
・化合物Ih−1:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−2:
2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−3:
2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−4:
2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
化合物Ih−5:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−6:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−7:
2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−8:
2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−9:
エチル2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−10:
エチル2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−11:
エチル2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−12:
エチル2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−13:
エチル2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−14:
エチル2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−15:
エチル2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−16:
エチル2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−17:
2−フェニルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−18:
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−19:
2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−20:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−21:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−22:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−23:
2−シクロヘキシルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−24:
2−ベンジルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−25:
2−フェニルチオ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−26:
2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−27:
2−(4’−クロロフェニル)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−28:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−29:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−30:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;および
2−カルボキシメチルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸(f);
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0134】
予想外に、上述の変形形態による式(I)の化合物は、R1がアリールまたはヘテロアリールである場合、特に有利な活性を示し、これらの基が特に好ましいことが発見された。
【0135】
本発明のある特定の態様によれば、好ましい上記の式(I)の様々な変形形態は、R2=R3=Hであり、Wは、場合により置換されている−CH(CH2−X)−(X=アルキル、アリール、シクロアルキル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジルまたはピロリジニル)以外である化合物である。
【0136】
本発明の別な特定の態様によれば、式(I)の化合物は、
− ラセミの2−ベンジル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸ならびにそのRおよびS異性体、
− ラセミの2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸ならびにそのRおよびS異性体、
− 2−シクロヘキシルメチル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−フェニル−4−オキソブタン酸、
− 2−(β−ナフチルメチル)−4−フェニル−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(β−ナフチルメチル)−4−オキソブタン酸、
− 2−[(4−クロロフェニル)メチル]−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(4−メチルフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 4−(4−フルオロフェニル)−2−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−シクロヘキシル−4−オキソブタン酸、
− 4−フェニル−2−[(テトラヒドロフル−2−イル)メチル]−4−オキソブタン酸とは異なる。
【0137】
好ましい上記で定義した式(II)の化合物は、一般式(II)に対応するファミリー(IIa)の化合物で、式中
R5、R6、R7およびR8は、上記で定義した通りであり、
R9は、水素を表し、
R10は、アルキルまたはアルコキシ基、好ましくはメチルまたはメトキシで3および/または4位において場合により置換されているフェニル基、およびナフチル基から選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0138】
式(II)の化合物の別のファミリー(IIb)は、一般式(II)の化合物で、式中
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基およびトリフルオロメチル基から選択され、
基R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル、ニトロまたはアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成することもあり、
R9およびR10は、上記で定義した通りである;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである
本発明の一つの好ましい変形形態によれば、式(II)の化合物は、
− 4−メトキシ−N−(4−ナフタレン−2−イルチアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 2−ナフタレンスルホン酸[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(4−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、および
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルフェンアミド、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなるリストから選択される。
【0139】
上述の式(I)および(II)の変形形態の中で、本発明に従って好ましい化合物は、上記で定義したキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する実質的な阻害活性のある化合物である。
【0140】
上記で定義した式(I)および(II)の化合物は、上記で定義した本発明による使用のいずれに関してもキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として有用である。
【0141】
したがって、本発明による薬剤としての使用または組成物は、単独または1種もしくは複数の充填剤、媒体、着色剤または甘味剤、すなわち薬剤組成物の製造において通常使用される任意の適切かつ薬学的に許容できる無毒性の不活性賦形剤との組合せで、薬理学的に有効な量の少なくとも1種のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤、好ましくは式(I)または式(II)の化合物を活性成分として含む。
【0142】
前記組成物は、それを必要とする患者、すなわち、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによりその状態が予防または改善されるかもしれない人に投与される。
【0143】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、主要活性成分として、または前記薬剤の補助剤および/または増強剤として糖尿病の治療において通常使用される活性剤と組み合わせると有用なことがある。
【0144】
このようにして得られる薬剤組成物は、様々な形態をとり、最も有利なのは、ゲルカプセル剤、坐剤、注射用または飲用液剤、パッチ剤、裸錠、糖衣錠、フィルムコート錠または舌下錠、サシェ剤、パケット剤、トローチ剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚ゲル剤、エアゾール剤などである。
【0145】
常用量は、治療される症状の性質および重症度、投与経路ならびに患者の年齢および体重に従って適応させることができる。一般に、単位投与量は、1回または複数回の摂取で1日に5mg〜2000mg、有利には10mg〜1000mg、例えば、50mg〜800mgの範囲である。
【0146】
驚いたことに、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、グルカゴンとインスリン双方の分泌を制御する二重の活性を有することが発見された。具体的に言うと、グルコースが存在しない場合、グルカゴンの分泌は刺激されるが、インスリンの分泌は刺激されない。グルコースが存在する場合、インスリンの分泌は増強されるが、グルカゴンの分泌は普通に、抑制されたままである。
【0147】
このような二重の活性は、今日用いられている糖尿病の治療法を上回る大幅な改善を提供する。具体的に言うと、たとえ処方された投与量および/または投与回数を超えるか、コントロールが不十分であっても、低血糖の危険性は極めて大幅に軽減されるか、実質的に存在しない。
【0148】
したがって、上述の本発明による使用は、低血糖の危険性を最小限に抑えるか、取り除くことを可能にする。
【0149】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有する式(I)の化合物の中で、挙げることができる非限定的な例には、
− 4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− メチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;および
− エチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグが含まれる。
【0150】
また、本発明は、ランゲルハンス島細胞数を増加させるための方法であって、それを必要とする患者に対して、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害する上記で定義した式(I)または式(II)の1種または複数の化合物を、患者においてキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの実質的な阻害を生じるように投与することを含む方法に関する。
【0151】
特に、上記で定義した方法は、特に、症状がまだ明らかになっていないが、糖尿病症状の特徴を示す患者の場合に、糖尿病および/またはその合併症の予防または治療を可能にする。この症状を診断する基準は、例えば、Diabetes Care、第25巻、suppl.1、2002年1月に定義されている。
【0152】
特に挙げることができる合併症は、動脈性高血圧、糖尿病関連の炎症過程、糖尿病性ネフロパシー、大血管障害および微小血管障害、末梢性糖尿病性神経障害ならびに糖尿病起源の網膜症である。
【0153】
上述のように、上記で定義した式(I)および(II)の化合物は、ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、この治療分野でこれまでは知られていない作用機作に従い、糖尿病およびその合併症を予防および/または治療するのに有用であることが判明した。
【0154】
また、本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することにより、ランゲルハンス島細胞数を増加させるため、特に糖尿病およびその合併症を予防および/または治療するための薬物を製造するための方法であって、式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、前記試験に対して陽性に反応する分子を、場合により薬学的に許容できる充填剤または媒体を加えて薬剤組成物の形態にする方法に関する。
【0155】
最後に、本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することにより、ランゲルハンス島細胞数を増加させる活性について、特に糖尿病またはその合併症の治療および/または予防における活性について候補化合物をスクリーニングするための方法であって(前記候補は式(I)または(II)に対応していない)、候補化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応した候補を選択する方法にも関する。
【0156】
好ましい候補は、抗糖尿病活性を有するとすでに知られている化合物である。
【0157】
続く実施例は、本発明に対していかなる種類のいかなる制限も加えることなく、本発明の主題の一部、特に調製方法および抗糖尿病活性試験およびキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験における上述の化合物のうちいくつかの活性を説明している。
【0158】
調製例
2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸(化合物Ih−1)の調製
市販の3−ベンゾイルアクリル酸7.04g(0.04mol)を塩化メチレン90mLに溶かす。次いで、2−ナフタレンチオール(0.04mol;1当量)を加える。反応媒体を20℃で20時間放置し、次いで真空下で濃縮する。次いで、単離される粗製の固体生成物をイソプロピルエーテルから粉砕し、吸引によって濾過してイソプロピルエーテルから再結晶する。
単離された重量:5.55g;収率=41%;融点=146〜149℃(キャピラリー融点)。
【0159】
プロトンNMR(200MHz、溶媒:重水素化DMSO):3.74ppm、多重線、2H;4.43ppm、幅広い一重線、1H;7.9ppm、多重線、12H芳香族;12.9ppm、COOH)。
【0160】
赤外分光光度法(cm-1):1702.8;1680.7;1595.0;1435.2;1326.6;1217.6。
【0161】
TLC分析:
シリカ、溶離液:メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸(50/45/5):Rf:0.53。
【0162】
上記で定義したファミリー(Ih)の化合物は、同様の方法に従って調製した。
【0163】
2−(4−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸エチル(化合物Ih−13)の調製
市販のベンゾイルアクリル酸エチル0.408g(0.002mol)を、アルゴン中で、丸底フラスコ中の塩化メチレン6mlに溶かす。次いで、4−メトキシチオフェノール0.280g(1当量)を加える。
反応媒体を20℃で72時間放置し、次いで真空下で濃縮する。
次いで、単離される粗製の油をシリカのカラムで精製する(溶離液:90/10シクロヘキサン/酢酸エチル)。
単離された重量:0.390g;収率=56.6%;油。
【0164】
プロトンNMR(200MHz、溶媒:重水素化クロロホルム):
1.06ppm、三重線、3H;3.41ppm、多重線、2H;3.66ppm、一重線、3H;4.01ppm、多重線、3H;6.72ppm、二重線、2H 芳香族;7.32ppm、多重線、5H 芳香族;7.78ppm、二重線、2H 芳香族。
【0165】
赤外分光光度法(cm-1):1730.6;1685.1;1493.9;1448.8;1287.6;1248.21;1213.6。
【0166】
上記で定義したファミリーIhのエチルエステル化合物は、同様の方法に従って調製した。
【0167】
ファミリーIhの化合物を以下の表I 1〜4に並べる。純度は、HPLC/MSにより測定した。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
ラット肝におけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性の検討
実験プロトコル
ラット肝を、0.25Mショ糖;50mM pH7.4 Tris;1mM EDTA;および1mM DTTを含む緩衝液中でホモジナイズする(1:8重量/容積)。
ホモジネートを、12000rpmで10分間遠心分離する。ペレットを、上述の緩衝液に再懸濁する(1:2重量/容積)。
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害は、ホモジネート10μLを、NADPH(2mM)、キヌレニン(100μM)および様々な濃度の試験化合物と共に最終容積100μLで37℃において5分間インキュベートすることによって測定する。
化合物は、1μM〜300μMの濃度で試験する。3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミドは、Hoffmann−LaRoche社(Basle、J.Med.Chem.、40巻、4738ページ、1997年を参照)製の化合物である。30H−キヌレニンは、Carpendoら(Neuroscience、61(1994)、237〜244ページ、1994年)によって記載されたプロトコルに従って試験した。
【0173】
結果
各々の実験を一度繰り返し、IC50値(単位μmol/L)を算出し、それら2回の実験の平均値の形で示す。
【0174】
例えば、(R)−2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物i)は、1±0.2μmol/LのIC50値を有するが、3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド(化合物k)は、10±2.1μmol/LのIC50値を有する。
【0175】
ファミリーIhの代表例に関する結果を以下の表IIに示し、対照(100%)と比較して残存したキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ活性の割合についての測定を示す。
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
N0STZラットにおける抗糖尿病活性の検討
経口による式(I)および(II)の化合物の抗糖尿病活性を、ラットにおいてストレプトゾトシンで誘発したインスリン非依存性糖尿病の実験モデルで測定した。
【0179】
インスリン非依存性糖尿病のモデルは、ストレプトゾトシンの新生児注射(出生日に)によるラットで入手する。
使用した糖尿病ラットは、8週齢である。動物は、出生日から実験日まで21〜22℃の調整された温度で動物小屋に収容し、明(午前7時から午後7時)と暗(午後7時から午前7時)の固定光サイクルの下におく。維持飼料、ならびに水および食物からなる食物を自由に与えたが、試験前の絶食する2時間は別で、その間は、食物を取り除く(吸収後状態)。
ラットは、1(D1)または4(D4)日間、試験生成物で経口処理する。生成物の最終投与から2時間後、およびペントバルビタールナトリウム(ネンブタール(登録商標))で動物を麻酔してから30分後、血液試料300μLを尾の端から採取する。
【0180】
式(I)の化合物の中で、ファミリー(Ih)の化合物、特にサブファミリー(Ii)の化合物、特に、前に定義した化合物Ih−1(2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸)およびサブファミリー(Ij)の化合物Ih−3(2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸)を、上述の実験プロトコルに従って評価した。
【0181】
以下に示す結果は、D0(処理前)と比較したD1およびD4(処理の日数)による血糖の変化率として表す。
【0182】
【表7】
【0183】
これらの結果は、糖尿病動物において血糖を低下させる際の、特に式(Ih)の化合物の有効性を示している。
【0184】
この抗糖尿病活性は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対するこのファミリーの分子の阻害効果と相関している。
【0185】
肝臓によるグルコース産生に対する効果の検討
材料および方法:
肝細胞は、Methods Cell Biol.、13(1975)、29〜83に記載の方法に従い、24時間絶食させたウィスターラットの肝臓から分離する。
【0186】
以下の2方法を用いた:
1)肝細胞は、試験量における生成物のプレインキュベーションと併せ、それぞれの濃度が5×10-5Mおよび5×10-7MのAMPシクラーゼ/デキサメタゾンの存在下でDMEM培地中16〜18時間培養する。pH7.4のPBS緩衝液で洗浄後、前述の濃度でKrebs/AMPc/DEX緩衝液中37℃において3時間、細胞をインキュベートする。基準物質として0.1μMインスリンを用いる。2回の同一実験を行う(表III−1)。
【0187】
2)肝細胞は、グルコースを含まないが、1%グルタミン、100U/mLペニシリン、100mg/mLストレプトマイシンおよび7×10-5Mヘミコハク酸ヒドロコルチゾンが添加されたRPMI1640培地中で16〜18時間培養する。
【0188】
pH7.4のPBS緩衝液で洗浄後、試験化合物の存在下、または非存在下で乳酸塩/ピルビン酸塩(10/1mM)を含有し、グルコースおよびインスリンを含まないKrebs緩衝液中37℃において2時間、細胞をインキュベートする。基準物質として、10μM MICA(5−メトキシインドール−2−カルボン酸)を用いる。2回の同一実験を行う(表III−2)。
【0189】
グルコースの定量は、グルコースオキシダーゼを用いる比色法によって行う(ILテスト(商標)Glucose、Monarch 181633−80)。タンパク質アッセイは、Lowry法によりインキュベーション培地の残部について行う(BIO−RAD Dcタンパク質アッセイ、BIO−RAD 5000116)。
【0190】
結果は、タンパク質1ngにつき産生されたグルコース(nmole)として表す。使用した統計的検査法はt検定である。
【0191】
結果:
このように、トリプトファンおよびキヌレニンは、in vitroにおける肝臓でのグルコース産生の強力な阻害剤であることが明らかとなった。
【0192】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の効果
例えば、化合物Ih−1(表III 1〜3)ならびに(R)−2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物i)および(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物j)(表IV)という2種のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、以下の結果に示すように、in vitroにおける肝臓によるグルコース産生の強力な阻害剤であることが判明した。
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【0195】
【表10】
【0196】
N0STZ糖尿病ラットにおける膵ホルモンインスリンおよびグルカゴンの分泌に対する効果の検討
材料および方法:
膵臓は、出生日にストレプトゾトシンの注射によって糖尿病にされ(Porthaら、Diabetes、23;(1974))、ペントバルビタール(ネンブタール:45mg/kg;腹腔内経路)で麻酔された動物から採取する。
【0197】
膵臓の摘出および灌流は、Sussmanら(Diabetes、15(1966)、466〜472)によって記載されたプロトコルの改変(Assanら、Nature、239(1972)、125〜126)に従って行った。
【0198】
化合物または基準物質の効果は、グルコースの非存在下でKrebs緩衝液中35分間(t=20分からt=55分まで)、次いで16.5mMグルコースの存在下で30分間(t=55分からt=85分まで)試験する。
【0199】
媒質から分泌されるホルモン、インスリンおよびグルカゴンの濃度はそれぞれ、キット、すなわちInsulin−CT Cis Bio−International、ScheringおよびGlucagon−10904−Biochem immunosystemを用いる競合ラジオイムノアッセイにより測定する。
【0200】
結果は、いくつかの実験の平均値±SEM(平均値の標準誤差)として表す。用いた統計的検査法は、シェフェ検定である。
【0201】
結果:
N0 STZ糖尿病ラットからの灌流摘出膵臓におけるインスリンおよびグルカゴンの分泌に対するトリプトファンおよびその代謝産物の効果
図1は、トリプトファンが、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示している。同様に、図2は、トリプトファンが、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示している。
【0202】
キヌレン酸は、トリプトファンと同様、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリンの分泌(図3)およびグルカゴンの分泌(図4)を刺激する。
【0203】
図5および図6は、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニン(10-4Mおよび10-5Mで)により刺激されたそれぞれ、インスリンおよびグルカゴンの分泌プロフィールを示している。この刺激は、トリプトファンおよびキヌレン酸で得られる刺激と同様である。
【0204】
N0 STZ糖尿病ラットからの灌流摘出膵臓におけるインスリンおよびグルカゴンの分泌に対するキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の効果
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、トリプトファン、キヌレニンおよびキヌレン酸の場合と同じインスリンおよびグルカゴン分泌プロフィールを示す。この所見は、図7および8(それぞれ、化合物iによるインスリンおよびグルカゴンの刺激)および図9および10(それぞれ、化合物kによるインスリンおよびグルカゴンの刺激)に見ることができる。
【0205】
摘出ラット膵島に対する活性の検討
静的インキュベーション中の摘出ランゲルハンス島におけるin vitroでのグルコース濃度の関数としてのインスリン分泌に対する化合物の効果:
コラゲナーゼによる膵外分泌組織の消化によって得られ、Ficoll勾配法で精製されたランゲルハンス島を、化合物の存在下または非存在下で2濃度(2.8mMまたは8mM)のグルコースを存在させて90分間インキュベートする。インスリン分泌は、インキュベーション培地中でRIAによりアッセイする。
【0206】
インスリン分泌を刺激する様々な化合物の能力は、刺激係数を計算することにより推定する。
【0207】
この係数が、インスリンの所与の量について130%以上である場合、ある化合物はインスリンの分泌を刺激する。
刺激係数(%)=(G+Product)÷G×100
式中:
G=グルコースだけ存在する場合のインスリンの分泌(pmol/min.膵島)
(G+Product)=同濃度のグルコースおよび試験化合物が存在する場合のインスリンの分泌(pmol/min.膵島)
図11は、グルコース濃度が2.8mMおよび8mMである場合の10-5Mの化合物Ih−18および(i)についてのインスリン分泌を示している。
【0208】
β細胞塊の増加に対する効果の検討
ラット胎児膵臓の培養
実験プロトコル
胎児の膵臓は、過量のペントバルビタールナトリウムを投与したウィスター系の妊娠している雌から妊娠12.5日目に集めた。胎児を子宮から引き出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)に入れる。立体顕微鏡下で背側膵芽を切り取る。膵臓内分泌部の発達を阻害する間充織の分離は、合成培地RPMI1640中、0.05%濃縮コラゲナーゼAとの酵素反応により行う。
【0209】
このようにして分離される膵上皮をコラーゲンゲルに挿入し、三次元培養を行わせる。試験化合物の非存在下(対照)または存在下で、10%ウシ胎児血清および5.5mMグルコースが添加されたRPMI1640培地中で膵臓を培養する。培養液は、5%CO2の存在下で37℃に7日間維持する。培地は毎日更新する。
【0210】
7日間の培養終了時、膵臓をコラーゲンゲルから分離し、37℃において3分間、トリプシン消化(0.05%トリプシン−EDTA)によって個々の細胞に解離させる。20%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地を加えることによって酵素反応をクエンチする。細胞は、同じ培地で洗浄し、次いで、125×gで5分間、細胞遠心機を用いてスライドガラスに固定する。次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで処理し、次いでモルモット抗インスリン抗体(1:1500希釈)と共に4℃において一夜インキュベートする。PBSで数回洗浄後、FITC結合ウサギ抗モルモットIgG(希釈1:100)と共に室温において75分間インキュベートする。最後に、蛍光を保護し、細胞核を標識するためのDAPIを含有する培地中に細胞をマウントする。各スライド上で、最低限300個の核およびインスリンを発現する細胞の量をカウントする。β細胞量の計算は、カウントされた総核数に対するインスリンを発現する細胞の比率を表す。実験は、1群につき最低限4つの膵臓について行い、各実験は、3回繰り返す。
【0211】
図12、13、14および15は、試験化合物の存在下、または非存在下で、7日間にわたり培養したラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量を示している。β細胞数の増加は、幹細胞からのこれらの細胞の新生の刺激に主に起因している。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】トリプトファンが糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示す図である。
【図2】トリプトファンが糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示す図である。
【図3】キヌレン酸が糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示す図である。
【図4】キヌレン酸が糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示す図である。
【図5】糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニンにより刺激されたインスリンの分泌プロフィールを示す図である。
【図6】糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニンにより刺激されたグルカゴンの分泌プロフィールを示す図である。
【図7】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物iによるインスリン分泌プロフィールを示す図である。
【図8】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物iによるグルカゴン分泌プロフィールを示す図である。
【図9】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物kによるインスリン分泌プロフィールを示す図である。
【図10】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物kによるグルカゴン分泌プロフィールを示す図である。
【図11】ランゲルハンス島を用いたアツセイにおいて2つの濃度のグルコース存在下の化合物Ih−18およびiのインスリンの分泌を示す図である。
【図12】試験化合物iの存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)を示す図である。
【図13】ラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量の、試験化合物iと他の化合物との比較を示す図である。
【図14】試験化合物3種の存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)の比較を示す図である。
【図15】試験化合物3種の存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)の比較を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物、特に、それを必要とする患者の場合に、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによる薬学的使用のため、特に糖尿病および関連するその合併症および/または関連症状(肥満症、高血圧症など)を予防および治療するための生成物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、極めて不均一な疾患群であり、それらはすべて、共通する一定数の特徴、すなわち、血糖の上昇および心血管系合併症を発症する長期的な危険性の増加を有している。
【0003】
1985年には、WHOの基準により、糖尿病の2つの主要なタイプ、すなわち、それぞれ、これまで1型および2型糖尿病として知られていた、免疫現象の発現が関与するインスリン依存性糖尿病(IDD)、およびインスリン非依存性糖尿病(NIDD)が区別されている(World Health Organization、1985)。糖尿病は、その症状(口渇、多尿、昏睡など)が高血糖およびケトーシスに伴う場合にインスリン依存性であると考えられており、その場合には、疾患の初期からインスリンの投与が不可欠である。他はたいていの場合、たとえ高血糖が持続するため補助的にインスリンの投与を必要としても、糖尿病は、インスリン非依存性と見なされ、一般的には経口抗糖尿病薬を用いて治療される。現在、インスリン非依存性糖尿病は、世界中で1億1千万人の人々に影響を与えている。この数が減少する兆しはなく、2010年までに2億1千6百万人の人々が影響を受けると予測されている。
【0004】
糖バランスを維持するには、エネルギー代謝に関与する臓器(主に脳、肝臓、膵臓、筋肉および脂肪組織)間の厳密な協調が必要である。
【0005】
インスリン非依存性糖尿病では、肝臓および膵臓が主な関与臓器である。特に、肝臓によるグルコースの過剰な産生が、糖尿病患者における空腹時高血糖の原因であることは明確に立証されている(Consoliら、Diabetes、38(1989)、550〜557)。同様に、膵機能(ランゲルハンス島細胞数、グルコースに応答するインスリンおよびグルカゴンの分泌)の障害は、食後高血糖の発現に寄与している(Polonskyら、N.Engl.J.Med.、318(1988)、1231〜39)。
【0006】
インスリン依存性糖尿病は、膵臓のβ細胞を破壊する自己免疫疾患である。この疾患には、遺伝要因(HLA(ヒト白血球抗原)系およびインスリン自体の遺伝子)および栄養および/またはウイルス起源の環境要因も関与している。
【0007】
高血糖症状およびそれに伴う合併症の他に、この2つのタイプの糖尿病は、膵臓起源の欠陥を共通して有している。
【0008】
膵臓は、その役割が、消化に必要な酵素の合成および分泌である外分泌組織、およびその役割が、炭水化物の恒常性を維持することに関与するホルモンを合成および分泌することであるいくつかのタイプの細胞からなる内分泌組織を含む複合臓器である。内分泌細胞は、ランゲルハンス島として知られている小さな構造の複雑な細胞組織体の形で膵臓外分泌部内に寄せ集められている。これらの膵島は、4つの主要な細胞タイプ、すなわち
インスリンを分泌するβ細胞、
グルカゴンを分泌するα細胞、
ソマトスタチンを分泌するδ細胞、
膵臓ポリペプチドを分泌するPP細胞からなる。
【0009】
循環インスリンの量は、血漿グルコースの変化に応じて個々のβ細胞によって放出されるホルモン量の急激な変化によって制御される。しかしながら、長期的な調節も存在し、全β細胞塊の変化を利用してインスリンの産生を適応させることを可能にしている。膵臓は、インスリンの需要が増加した場合、β細胞塊を適応させることができる。この需要増加は、インスリンの生物学的有効性の低下(インスリン抵抗性)が認められる生理学的および生理病理学的状況で観察される。膵ホルモン(グルカゴンおよびインスリン)の分泌異常、ランゲルハンス島細胞数、より具体的にはβ細胞数の不足も、I型およびII型糖尿病患者の場合には、分泌不足および高血糖症の形成に寄与することがある(Kloeppel G.ら、Surv.Synth.Path.Res.(1985)、4、110125)。糖尿病の動物モデルで行われたいくつかの研究は、遺伝的背景(genetic terrain)がβ細胞の成長における重要なパラメータであることを示している(Andersson A.、Diabetologia(1983)、25、269〜272;Swenne I.、Diabetes、(1984)32、14〜19)。
【0010】
糖尿病の過程では、その進行について、
−インスリンを必要としない
−インスリンを必要とする
−生存のためにインスリンを必要とする3つの段階が区別されている。
【0011】
糖尿病のタイプの説明とそれらの進行段階の説明を分離することは、インスリン依存性糖尿病とインスリンで治療される糖尿病の同化を避けることの重要性を示している。しかしながら、インスリン非依存性糖尿病については、初期および後期は、糖尿病状態の期間および重症度に関して慣習的に区別される。
【0012】
I型糖尿病の主な治療は、インスリンの皮下注射からなる。糖尿病の臨床症状には、前糖尿病として知られている長期または短期の無症候性期間が必ず先行するが、糖尿病が診断されるかなり前のこの間に、臓器が影響を受けるようになることがある。
【0013】
2002年、American Diabetes Associationは、前糖尿病の新たな定義、すなわち、正常より高いが、糖尿病の定義済み基準に相当するよりも低い血中グルコース濃度を特徴とする状態を提案した。正常な血糖平衡の特徴は、空腹時血糖が1.10g/l未満であり、食後血糖が1.40g/l未満である。空腹時血糖が1.26g/l以上で、および/または食後に2g/lを超えるまで増加する場合は、糖尿病が診断される。
【0014】
より具体的には、I型糖尿病に相当する前糖尿病状態は、Buysschaertら、Louvain Med.、119、S251〜S258、2000により記載された免疫学的マーカーなどの、特に、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体を含む免疫学的マーカーの存在によって定義することができる。
【0015】
II型前糖尿病状態の特徴は、主に、インスリン分泌の初期ピークの消失であり、その結果は、グルコース不耐性(「グルコース耐性障害」については、IGTとしても知られている)または空腹時血糖障害(「空腹時グルコース障害」については、IFGとしても知られている)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
糖尿病を効率的に予防する薬物は存在しない。したがって、前糖尿病または糖尿病を予防および/または治療するための新規な経路を提供することが望ましい。I型糖尿病の主な治療は、インスリンの皮下注射からなる。II型糖尿病については、3から6カ月の保健栄養的測定(hygieno−dietetic measurement)のみ後に糖化ヘモグロビン(A1c)のレベルが7%を超えたままである場合に薬物治療を提案するのが妥当とされている。A1cが8%を超えたままである場合には、薬物治療を行うことが必要である(Nathan、N.E.J.M.(2002)、17、1342〜1349)。II型糖尿病は、一般に経口用の活性薬物を用いて治療される。今日、多くの経口抗糖尿病薬が市販されているが、それらのいずれも、血糖制御パラメータの正常化を達成することを可能にしていない。高血糖症に伴う糖尿病性合併症は必ず出現する。これらの薬物の主な弱点は、インスリン抵抗性(チアゾリジンジオン系薬剤またはビグアナイド系薬剤)か、それともインスリン分泌(スルホニル尿素系薬剤、グリニド系薬剤など)という一度に1つの欠陥に対処しているに過ぎないことである。さらに、ランゲルハンス島細胞の数を増加させ、その機能を高めることができる薬物は今のところ市販されていない。最後に、それらのあるものは、無視できない有害作用を有する。特に、スルホニル尿素は、低血糖という重大な危険性を示し、これらの薬物の用量を、患者毎に綿密に規定して対応させることが要求される。随伴する低血糖の危険性なしに上述の2つの欠陥を同時に是正することは、II型糖尿病およびその合併症の治療における根本的なブレークスルーとなるであろう。主な合併症の一つである関連する心血管系の危険性の予防も、糖尿病患者にとって重要な有益性であろう。
【0017】
本発明における糖尿病病理学の中心焦点としての膵機能および肝機能に関して、発明者らは、代謝経路、すなわちトリプトファンの代謝に焦点を合わせた。トリプトファンは、炭水化物代謝の制御に関与することがこれまでに報告されているアミノ酸である(Tsiolakis D.およびV.Marks、Horm.Metabol.Res.、16(1964)、226〜229)。キヌレニンを介するその複雑な代謝は、NAD+の産生につながる。一部の中間代謝産物も、血糖コントロール(Connick J.およびStone、Medical hypothesis、18(1985)、371〜376)、特に、肝臓によるグルコースの産生を制御する機序(「Effect of tryptophan and its metabolites on GNG in mammalian tissues」、Pogsonら、1975)および/またはインスリン分泌および合成(Noto Y.およびOkamoto、Acta Diabet.Lat.、15(1978)、273〜282;RogersおよびEvangelista、Proc.Soc.Exp.、178(1985)、275〜278)におそらく関与していると記載されている。この経路の活性代謝産物がトリプトファン自身、キヌレニンおよびキヌレン酸である。これらの代謝産物の濃度は、3種類の酵素、すなわち、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ、キヌレニナーゼおよびキヌレニンアミノトランスフェラーゼによって制御されている。キヌレニンアミノトランスフェラーゼは、そのほかの点ではインスリン抵抗性であるSHRラット(高血圧自然発生ラット;Kwokら、JBC、35779〜35782、2002年9月)の高血圧生理病理学への関与を疑われている。それにもかかわらず、肝臓によるグルコース産生に対する、およびグルコースに応答するインスリン分泌に対するこれらの代謝産物の連合作用が従来技術において立証されたことはない。特に、これらの代謝産物のいくつかが、ストレプトゾトシンの注射によって糖尿病にされた動物においてグルコースに対する生理学的応答、膵ホルモン(インスリンおよびグルカゴン)の分泌を回復させ、低血糖のいかなる危険性も生じることなくインスリン分泌欠陥を是正することを可能にすることが立証されたことはない。
【0018】
キノリン酸およびキヌレン酸などのキヌレニン経路の特定の代謝産物が、神経系に対してそれぞれ、神経毒剤および神経保護剤として作用することは従来技術において十分に述べられている。これらの効果は、グルタミン酸受容体および/またはニコチン酸受容体を調節する能力に関連している(Schwarcz R.およびPellicciardi R.、JPET、303(2002)、1〜10、;StoneおよびDarlington、Nature Reviews、1(2002)、609〜620)。膵臓内のグルタミン酸受容体の存在は、膵ホルモン分泌に関与している(Weaver C.ら、J.Biol.Chem.、271(1996)、12977〜12984)ように従来技術において記載されているが、これらのグルタミン酸受容体がこの臓器内でキヌレニンの代謝産物によって制御されていることが立証されたことはない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的を達成するために行われた研究は、驚いたことに、膵臓のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害によるキヌレニン経路におけるトリプトファン代謝の調節が、ランゲルハンス島細胞数の増加を可能にし、特に、糖尿病性疾患、その合併症および/またはその関連症状(肥満症、高血圧症など)の予防および治療において重要な役割を果たすことを立証することを可能にした。
【0020】
したがって、本発明の目的の一つは、ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防するための治癒的および/または予防的活性を有し、低血糖の危険性のない新規な治療手段を提供することにある。
【0021】
また、本発明は、別の目的として、副作用、特に低血糖を避けることを可能にする糖尿病の治療方法であって、このタイプの症状についての作用機序が従来技術において記述または示唆されていない治療手段を用いる方法を提案している。
【0022】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有し、中枢神経系の疾患を含む神経変性疾患、硬化症および緑内障関連網膜症の治療に有用である特定の化合物が知られている(US6 048 896およびUS6 323 240を参照)。このような化合物は、鎮痛性および抗炎症性を有することがすでに知られていた。
【0023】
本発明の目的を達成するために行われた研究は、驚いたことに、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害が、糖尿病性疾患、特にインスリン非依存性糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の予防および治療において重要な役割を果たすことを立証することを可能にした。
【0024】
このように、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物が、ランゲルハンス島細胞数を増加させ、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防および治療するのに特に有用であることが発見された。
【0025】
今回、本発明者らは、全く予想外に、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、膵臓β細胞に対して活性を示すことを発見した。
【0026】
もっと正確に言うと、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、ランゲルハンス島細胞数、特にβ細胞数を増加させる。
【0027】
したがって、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、それらの細胞の機能に対する効果に加え、糖尿病状態の経過中に膵臓のランゲルハンス島細胞数の減少を補うことを可能にするはずである。
【0028】
したがって、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、糖尿病およびその結果を予防することを可能にする。
【0029】
したがって、本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、糖尿病のタイプ、その進行度および/または関係集団に応じて高血糖症の治療を具体的に標的とすることを可能にする。
【0030】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、ランゲルハンス島細胞数の増加に対して選択的に作用することを可能にする。したがって、このことは、グルコースに応答するランゲルハンス島細胞におけるインスリン分泌の異常および/または細胞の数に障害のある患者を選択的に標的とすることを可能にする。
【0031】
すなわち、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、インスリンを分泌するランゲルハンス島細胞塊を増加させることにより、インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0032】
より具体的に言えば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、疾患が宣告される前、より具体的に言えば前糖尿病の間に、インスリンを分泌するランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、インスリン依存性糖尿病を予防することを可能にする。
【0033】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、機能性細胞の数を増加させることにより、初期のインスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。このことは、この使用が、正常値以上または以下のそれぞれ、非機能性β細胞数の増加およびβ細胞塊の減少を回避することを可能にし、糖尿病、その症状および/またはその合併症の出現を有利に回避することを可能にする限りにおいて特に有利である。
【0034】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、非機能性β細胞を機能性β細胞で置換することにより、後期として知られている進行した段階においてインスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0035】
また、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用は、β細胞数の不足および/または減少を受けて、β細胞数を再生することにより後期インスリン非依存性糖尿病を治療および/または予防することを可能にする。
【0036】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を単独療法で経口投与し、インスリン非依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0037】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を膵臓幹細胞の処理のためにin vitroで使用することができ、この処理細胞を患者に移植し、インスリン非依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0038】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を膵臓幹細胞の処理のためにin vitroで使用することができ、この処理細胞を患者に移植し、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0039】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を、身体の免疫反応を低下させるための1種または複数の作用物と組み合わせて投与し、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療することができる。
【0040】
したがって、第一の主題によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞数を増加させるための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0041】
第二の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0042】
別の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0043】
別の主題によれば、本発明は、インスリン非依存性糖尿病を予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0044】
別の主題によれば、本発明は、初期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0045】
別の主題によれば、本発明は、後期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0046】
別の主題によれば、本発明は、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む薬剤組成物に関する。
【0047】
別の主題によれば、本発明は、インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用に関する。
【0048】
好ましい態様によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞数に障害のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。ランゲルハンス島細胞数の障害は、細胞数で少なくとも40%であることが好ましく、50%〜90%の減少がより好ましく、さらに60%〜85%がより好ましい。
【0049】
好ましい態様によれば、本発明は、抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーを示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0050】
好ましい態様によれば、本発明は、任意の糖尿病危険因子を示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0051】
好ましい態様によれば、本発明は、インスリン抵抗性のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0052】
好ましい態様によれば、本発明は、7%を超える濃度の糖化ヘモグロビンなどのマーカーを示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0053】
好ましい態様によれば、本発明は、ランゲルハンス島細胞がグルコースに応答するインスリン分泌の異常を示す患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0054】
好ましい態様によれば、本発明は、関連する高血糖症および肥満症のある患者の場合には上述の使用のいずれかに関する。
【0055】
別の態様によれば、本発明は、分離ランゲルハンス島細胞のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤によるin vitro処理を含む、上述の使用のいずれかに関する。
【0056】
また、別の態様によれば、本発明は、分離ランゲルハンス島細胞のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤によるin vitro処理のための方法に関する。
【0057】
前記ランゲルハンス島細胞の培養および移植は、特に、Dochertyら、Current Opinion in Pharmacology,2001、1:641〜650により記載された方法の応用または適応によって実施することができる。
【0058】
本発明によれば、用語「前糖尿病」は、以下の因子、すなわち、抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーの存在、ランゲルハンス島細胞数の障害、インスリン分泌の初期ピークの抑制、グルコース不耐性、空腹時血糖障害および/または任意の糖尿病危険因子のうち1つまたは複数を特徴とする状態を意味する。
【0059】
本発明によれば、表現「空腹時血糖の障害および/またはグルコース不耐性」は、1.10g/l〜1.26g/lの空腹時血糖および食後の1.40g/l〜2g/lの食後血糖を意味する。
【0060】
本発明によれば、表現「抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカー」は、体内のランゲルハンス島細胞の抗原マーカーを対象とする身体の自己免疫反応の存在を示す任意の免疫学的マーカーを意味する。これらのマーカーには、Buysschaertら、Louvain Med.、119、S251〜S258,2000.により記載されたような自己抗体が含まれる。これらの抗体は、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体から選択される。
【0061】
本発明によれば、表現「ランゲルハンス島細胞数の障害」は、細胞数で少なくとも40%の減少を意味する。ランゲルハンス島細胞数の障害は、細胞数で少なくとも40%の減少であることが好ましく、50%〜90%の減少がより好ましく、60%〜85%がさらにより好ましい。
【0062】
本発明によれば、表現「グルコースに応答するインスリン分泌の異常」は、グルコースに応答してインスリンを分泌するランゲルハンス島細胞の正常な能力の任意の障害を意味する。
【0063】
本発明によれば、表現「糖尿病危険因子」は、糖尿病の出現と直接的または間接的に関係する任意の愁訴を意味する。特に、これらは、家族歴、妊娠性糖尿病、過剰体重、肥満症、運動不足、高血圧、高レベルのトリグリセリド、炎症、高脂血症などを含む。
【0064】
本発明によれば、用語「免疫抑制剤」は、抗原による身体の免疫反応の刺激を軽減または阻害するための任意の物理的作用物(例えば、X線)、化学的作用物(例えば、アザチオプリンまたはメルカプトプリン)または生物学的作用物(例えば、抗リンパ球血清)を意味する。
【0065】
本発明によれば、用語「ランゲルハンス島細胞」は、上述のα、β、δおよびPP細胞を意味し、ランゲルハンス島細胞は、β細胞をあらわすことがより好ましい。
【0066】
特に、本明細書で後述する一般式(I)または一般式(II)に対応する化合物が、一般にキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有することが発見された。式(I)および(II)に記載の化合物の中で、ある化合物ファミリー、特に、特許出願WO−A−98/07681に対応する化合物ファミリーおよび特許出願EP−A−0 885 869に対応するファミリーは、糖尿病の治療に有用である活性を有していることが知られている。キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する実質的な活性のある化合物が特に好ましい。用語「実質的な活性」は、以下で定義するin vitroの試験法による酵素に対する任意の阻害活性を意味し、酵素に対する有効な治療作用を得ることを可能にする。特に、対照に比べて、70%以下、有利には50%以下、より好ましくは30%以下の酵素活性が好ましい。
【0067】
これらの化合物ファミリー内で、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を特徴とする化合物を用いて改善された治療または改善された薬物を得るか、異なる目的で、予想外の利点を提供する新規経路により、β細胞塊を増加させ、特に糖尿病、ならびにこの糖尿病の合併症を予防または治療することが可能であることが発見された。また、それらは、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害を必要とする患者に治療有効量を投与することにより、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病の予防および治療を改善することを可能にする。
【0068】
特に、ファミリーIhの化合物は、注目すべきキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤およびβ細胞塊を増加させる薬剤、特に抗糖尿病薬であることが判明した。
【0069】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性の存在の確認は、任意の知られている手段により、特に、とりわけ簡単な方法で、化合物を以下に定義するin vitro試験にかけることにより行うことができる。
【0070】
より具体的に言うと、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性のある化合物は、以下の一般式(I)または一般式(II)に属し、
【0071】
【化1】
【0072】
式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0073】
【化2】
【0074】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいは、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、およびニトロ、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、
一方では、基R5およびR6、または他方では、R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロ基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成してもよく、
R9は、水素またはアルキル基を表し、
R10は、アルキル、アリールおよびヘテロアリール基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、R12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびその環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素および、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する。
【0075】
以下の定義は、上記で定義した様々な基(group)および基(radical)の性質を特定している。他に指示がない限り、これらの定義は、このように説明される本発明のすべての用語にあてはまる。
【0076】
用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0077】
用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている直鎖または分枝アルキル基を意味する。1〜14個の炭素原子を含むアルキル基上の可能な置換基は、上述の置換基と同一であってもよい。
【0078】
用語「アルケニル」は、1個または複数の二重結合を含むアルケニル基を意味し、前記基は、直鎖または分枝であり、2〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0079】
用語「アルキニル」は、1個または複数の三重結合を含むアルキニル基を意味し、前記基は、直鎖または分枝であり、2〜6個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0080】
用語「アルコキシ」は、「アルキル」+「オキシ」と理解するべきであり、用語「アルキル」は、上記で定義した通りである。アルコキシ基の置換基は、アルキル基について定義した置換基と同一である。
【0081】
用語「シクロアルキル」は、3〜13個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている架橋または非架橋単環式、二環式または三環式シクロアルキル基を意味する。
【0082】
用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を含む上記で定義したシクロアルキル基を意味する。
【0083】
用語「複素環基」または「ヘテロシクリル」は、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式基を意味し、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0084】
用語「アリール」は、6〜14個の炭素原子を含み、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている単環式、二環式または三環式アリール基を意味する。
【0085】
用語「ヘテロアリール」は、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式ヘテロアリール基を意味し、前記ヘテロアリール基は、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、複素環基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'(R13'は、水素を除いてR13と同一の定義を有する)から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されている。
【0086】
好ましいアリール基は、フェニル基または1−ナフチル、2−ナフチルもしくはフルオレニル基である。
【0087】
アリール基により置換されているアルキルおよびアルコキシ基の中で、ベンジル、ベンジルオキシ、フェネチル、フェニルエトキシ、ナフチルメチルおよびナフチルメトキシ基が特に好ましい。
【0088】
好ましいシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル基ならびにテトラリンおよびデカリンから誘導される基である。
【0089】
用語「ヘテロアリール基」および「複素環基」は、ピリジル、フリル、チエニル、1−キノリル、2−キノリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、モルホリノ、ピペラジニル、ピペリジル、ピラニル、チオピラニル、インダニル、ベンゾチエニルまたはベンゾフリル基を意味することが好ましい。
【0090】
上記に示した式(I)および(II)の化合物にとって、用語「幾何異性体」は、シス/トランスすなわちE/Z異性を意味する。より具体的に言えば、式(I)の化合物にとって、R14がR2と共に結合を形成し、置換基R14およびR2をそれぞれ持つ炭素原子間で二重結合を形成する場合、この二重結合は、EまたはZ立体配置をとることができる。これらの幾何異性体は、純粋であってもなくても、単独でまたは混合物として、式(I)の化合物に不可欠な部分を形成する。
【0091】
用語「光学異性体」には、分子内の1つまたは複数の対称軸および/または対称中心の存在から生じ、偏光ビームの回転をもたらす単独または混合物としてのあらゆる形態の異性体が含まれる。より具体的に言うと、用語「光学異性体」には、純品または混合物としての鏡像異性体およびジアステレオ異性体が含まれる。
【0092】
特に、式(I)の化合物にとって、一方では、置換基R2およびR3、および/または他方では、R16およびR17が異なる場合、これらの置換基ペアを持つ炭素原子は非対称であり、鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体をもたらす。これらの光学異性体は、純粋であってもなくても、単独でまたは混合物として、式(I)の化合物に不可欠な部分を形成する。
【0093】
上記の式(I)または式(II)の化合物と薬学的に許容できる塩を形成することができる酸の中で、挙げることができる非限定的な例には、塩酸、リン酸、硫酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、アルキルスルホン酸およびショウノウ酸が含まれる。
【0094】
上記の式(I)または式(II)の化合物と薬学的に許容できる塩を形成することができる塩基の中で、挙げることができる非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニンおよびリジンが含まれる。
【0095】
上記の式(I)および(II)の化合物は、それらの化合物のプロドラッグも含む。
【0096】
用語「プロドラッグ」は、患者に投与されるとすぐに、生体によって式(I)または(II)の化合物に化学的および/または生物学的に変換される化合物を意味する。
【0097】
上記の式(I)の化合物のプロドラッグの例は、R4が、基−OP(Pは、脱離基である)、例えば、ショ糖などの糖残基を表し、R4が−OHを表す化合物に導くことができる化合物である。このようなプロドラッグは、本発明の分野に含められる。
【0098】
上記で定義した式(I)および(II)の多数の化合物が、特に特許刊行物および特許出願US6 048 896、US6 323 240、EP0 885 869およびUS5 877 193によって知られている。これらの特許刊行物は、これらの様々な化合物の調製方法を提供しており、当業者は、これらの方法を参照するか適合させて、式(I)および(II)の化合物すべてを合成することができる。
【0099】
本発明の一変形形態によれば、好ましい式(I)の化合物は、別々にまたは組合せとして、以下の特徴を有する、すなわち、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0100】
【化3】
【0101】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアリールから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択され、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールおよびアリールアルキルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5または6個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R16は、水素およびアルキルまたはアリール基から選択され、
R17は、水素原子を表し、
R11は、水素およびアミン官能基の任意の保護基から選択される化合物、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0102】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有する式(Ia)の化合物の使用に関する。式(Ia)のこれらの化合物は、上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0103】
【化4】
【0104】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいはそれらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、その環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素および、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択されるが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0105】
上記で定義した化合物(Ia)の中で、好ましいとされる化合物は、式(I)に属するファミリー(Ib)の化合物であり、式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【0106】
【化5】
【0107】
R1は、シアノ、ニトロ、フェニル、ベンジル、アルキル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、アルコキシ、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'、ならびにハロゲン原子から選択される1、2または3個の基によって場合により置換されているフェニル基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、場合により置換されているアルコキシ、特にベンジルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルケニルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルキニルオキシ、フェノキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13は、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13'は、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、フェニルおよび−N(R12R12')から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよく、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R16は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R17は、水素原子を表すが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0108】
多くの場合、上記で定義した化合物(Ib)は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対して完全に有利な阻害活性を示す。そのため、これらの化合物は、本発明による上述の使用のいずれについても特に好ましく使いやすい。
【0109】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Ic)の化合物の使用に関する。ファミリー(Ic)のこれらの化合物は、
上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0110】
【化6】
【0111】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、水素を表す;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0112】
別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Id)の化合物の使用に関し、前記化合物(Id)は、上記で定義した一般構造(I)を有し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0113】
【化7】
【0114】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0115】
別の好ましい化合物群は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(Ie)の化合物からなり、前記化合物(Ie)は、上記で定義した一般式(I)に属し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0116】
【化8】
【0117】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、水素を表し、;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0118】
本発明の別の変形形態によれば、本発明は、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤としてのファミリー(If)の化合物の使用に関し、前記化合物(If)は、上記で定義した一般式(I)に属し、式中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0119】
【化9】
【0120】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0121】
一般式(I)の化合物の中で、本発明の別の変形形態によれば、化合物は、
− 4−(4’−メチルシクロヘキシル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−チオメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− 4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;および
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸
からなる化合物ファミリー(Ig)、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される。
【0122】
本発明の別の変形形態によれば、上述の一般構造(I)を有する化合物ファミリー(Ih)で、
Wは、下式の二価の基を表し、
【0123】
【化10】
【0124】
R1、R2、R3、R4、R12、R12'、R13およびR14は、上記で定義した通りであり、
R15は、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオおよびヘテロシクリルチオ基から選択されるが、
ただし、R2、R3およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、チオールまたはアルキルチオ基を表すことができない;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0125】
ファミリー(Ih)の化合物は、本発明の特に好ましい態様を形成する。ファミリー(Ih)の化合物は、十分注目すべき血糖降下特性を有し、この点において、本発明による上述の使用のいずれかにおけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として有用である。
【0126】
さらに、ファミリー(Ih)の化合物は、特に糖尿病の場合に、β細胞塊の増加に対する観察効果に連動する可能性のあるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を示す。
【0127】
ファミリー(Ih)の化合物の好ましいサブファミリーは、一般式(I)に属するファミリー(Ii)の化合物から成り、その際
Wは、下式の二価の基を表し、
【0128】
【化11】
【0129】
R1は、アリール基を表し、
R2は、水素を表すか、R14と共に結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、その複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表すか、R2と共に結合を形成し、
R15は、アリールチオ基を表す;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなる。
【0130】
また、好ましいファミリー(Ii)の化合物は、一般式(I)に対応するファミリー(Ij)の化合物であってその際Wは、下式の二価の基を表し、
【0131】
【化12】
【0132】
R1は、フェニル基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシルおよびアルコキシ基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、フェニルチオ基を表す;ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0133】
実例として、ファミリー(Ih)の化合物の例は、
・化合物Ih−1:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−2:
2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−3:
2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−4:
2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
化合物Ih−5:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−6:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−7:
2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−8:
2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−9:
エチル2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−10:
エチル2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−11:
エチル2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−12:
エチル2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−13:
エチル2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−14:
エチル2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−15:
エチル2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−16:
エチル2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・化合物Ih−17:
2−フェニルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−18:
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−19:
2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−20:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−21:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−22:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−23:
2−シクロヘキシルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−24:
2−ベンジルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−25:
2−フェニルチオ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−26:
2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−27:
2−(4’−クロロフェニル)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−28:
2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−29:
2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・化合物Ih−30:
2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;および
2−カルボキシメチルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸(f);
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0134】
予想外に、上述の変形形態による式(I)の化合物は、R1がアリールまたはヘテロアリールである場合、特に有利な活性を示し、これらの基が特に好ましいことが発見された。
【0135】
本発明のある特定の態様によれば、好ましい上記の式(I)の様々な変形形態は、R2=R3=Hであり、Wは、場合により置換されている−CH(CH2−X)−(X=アルキル、アリール、シクロアルキル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジルまたはピロリジニル)以外である化合物である。
【0136】
本発明の別な特定の態様によれば、式(I)の化合物は、
− ラセミの2−ベンジル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸ならびにそのRおよびS異性体、
− ラセミの2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸ならびにそのRおよびS異性体、
− 2−シクロヘキシルメチル−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−フェニル−4−オキソブタン酸、
− 2−(β−ナフチルメチル)−4−フェニル−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(β−ナフチルメチル)−4−オキソブタン酸、
− 2−[(4−クロロフェニル)メチル]−4−(4−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(4−メチルフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 4−(4−フルオロフェニル)−2−[(4−メトキシフェニル)メチル]−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4−オキソブタン酸、
− 2−ベンジル−4−シクロヘキシル−4−オキソブタン酸、
− 4−フェニル−2−[(テトラヒドロフル−2−イル)メチル]−4−オキソブタン酸とは異なる。
【0137】
好ましい上記で定義した式(II)の化合物は、一般式(II)に対応するファミリー(IIa)の化合物で、式中
R5、R6、R7およびR8は、上記で定義した通りであり、
R9は、水素を表し、
R10は、アルキルまたはアルコキシ基、好ましくはメチルまたはメトキシで3および/または4位において場合により置換されているフェニル基、およびナフチル基から選択される;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである。
【0138】
式(II)の化合物の別のファミリー(IIb)は、一般式(II)の化合物で、式中
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基およびトリフルオロメチル基から選択され、
基R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル、ニトロまたはアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成することもあり、
R9およびR10は、上記で定義した通りである;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである
本発明の一つの好ましい変形形態によれば、式(II)の化合物は、
− 4−メトキシ−N−(4−ナフタレン−2−イルチアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 2−ナフタレンスルホン酸[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(4−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、および
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルフェンアミド、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなるリストから選択される。
【0139】
上述の式(I)および(II)の変形形態の中で、本発明に従って好ましい化合物は、上記で定義したキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する実質的な阻害活性のある化合物である。
【0140】
上記で定義した式(I)および(II)の化合物は、上記で定義した本発明による使用のいずれに関してもキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤として有用である。
【0141】
したがって、本発明による薬剤としての使用または組成物は、単独または1種もしくは複数の充填剤、媒体、着色剤または甘味剤、すなわち薬剤組成物の製造において通常使用される任意の適切かつ薬学的に許容できる無毒性の不活性賦形剤との組合せで、薬理学的に有効な量の少なくとも1種のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤、好ましくは式(I)または式(II)の化合物を活性成分として含む。
【0142】
前記組成物は、それを必要とする患者、すなわち、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによりその状態が予防または改善されるかもしれない人に投与される。
【0143】
本発明によれば、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、主要活性成分として、または前記薬剤の補助剤および/または増強剤として糖尿病の治療において通常使用される活性剤と組み合わせると有用なことがある。
【0144】
このようにして得られる薬剤組成物は、様々な形態をとり、最も有利なのは、ゲルカプセル剤、坐剤、注射用または飲用液剤、パッチ剤、裸錠、糖衣錠、フィルムコート錠または舌下錠、サシェ剤、パケット剤、トローチ剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚ゲル剤、エアゾール剤などである。
【0145】
常用量は、治療される症状の性質および重症度、投与経路ならびに患者の年齢および体重に従って適応させることができる。一般に、単位投与量は、1回または複数回の摂取で1日に5mg〜2000mg、有利には10mg〜1000mg、例えば、50mg〜800mgの範囲である。
【0146】
驚いたことに、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、グルカゴンとインスリン双方の分泌を制御する二重の活性を有することが発見された。具体的に言うと、グルコースが存在しない場合、グルカゴンの分泌は刺激されるが、インスリンの分泌は刺激されない。グルコースが存在する場合、インスリンの分泌は増強されるが、グルカゴンの分泌は普通に、抑制されたままである。
【0147】
このような二重の活性は、今日用いられている糖尿病の治療法を上回る大幅な改善を提供する。具体的に言うと、たとえ処方された投与量および/または投与回数を超えるか、コントロールが不十分であっても、低血糖の危険性は極めて大幅に軽減されるか、実質的に存在しない。
【0148】
したがって、上述の本発明による使用は、低血糖の危険性を最小限に抑えるか、取り除くことを可能にする。
【0149】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性を有する式(I)の化合物の中で、挙げることができる非限定的な例には、
− 4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− メチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;および
− エチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグが含まれる。
【0150】
また、本発明は、ランゲルハンス島細胞数を増加させるための方法であって、それを必要とする患者に対して、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害する上記で定義した式(I)または式(II)の1種または複数の化合物を、患者においてキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの実質的な阻害を生じるように投与することを含む方法に関する。
【0151】
特に、上記で定義した方法は、特に、症状がまだ明らかになっていないが、糖尿病症状の特徴を示す患者の場合に、糖尿病および/またはその合併症の予防または治療を可能にする。この症状を診断する基準は、例えば、Diabetes Care、第25巻、suppl.1、2002年1月に定義されている。
【0152】
特に挙げることができる合併症は、動脈性高血圧、糖尿病関連の炎症過程、糖尿病性ネフロパシー、大血管障害および微小血管障害、末梢性糖尿病性神経障害ならびに糖尿病起源の網膜症である。
【0153】
上述のように、上記で定義した式(I)および(II)の化合物は、ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、この治療分野でこれまでは知られていない作用機作に従い、糖尿病およびその合併症を予防および/または治療するのに有用であることが判明した。
【0154】
また、本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することにより、ランゲルハンス島細胞数を増加させるため、特に糖尿病およびその合併症を予防および/または治療するための薬物を製造するための方法であって、式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、前記試験に対して陽性に反応する分子を、場合により薬学的に許容できる充填剤または媒体を加えて薬剤組成物の形態にする方法に関する。
【0155】
最後に、本発明は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することにより、ランゲルハンス島細胞数を増加させる活性について、特に糖尿病またはその合併症の治療および/または予防における活性について候補化合物をスクリーニングするための方法であって(前記候補は式(I)または(II)に対応していない)、候補化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応した候補を選択する方法にも関する。
【0156】
好ましい候補は、抗糖尿病活性を有するとすでに知られている化合物である。
【0157】
続く実施例は、本発明に対していかなる種類のいかなる制限も加えることなく、本発明の主題の一部、特に調製方法および抗糖尿病活性試験およびキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験における上述の化合物のうちいくつかの活性を説明している。
【0158】
調製例
2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸(化合物Ih−1)の調製
市販の3−ベンゾイルアクリル酸7.04g(0.04mol)を塩化メチレン90mLに溶かす。次いで、2−ナフタレンチオール(0.04mol;1当量)を加える。反応媒体を20℃で20時間放置し、次いで真空下で濃縮する。次いで、単離される粗製の固体生成物をイソプロピルエーテルから粉砕し、吸引によって濾過してイソプロピルエーテルから再結晶する。
単離された重量:5.55g;収率=41%;融点=146〜149℃(キャピラリー融点)。
【0159】
プロトンNMR(200MHz、溶媒:重水素化DMSO):3.74ppm、多重線、2H;4.43ppm、幅広い一重線、1H;7.9ppm、多重線、12H芳香族;12.9ppm、COOH)。
【0160】
赤外分光光度法(cm-1):1702.8;1680.7;1595.0;1435.2;1326.6;1217.6。
【0161】
TLC分析:
シリカ、溶離液:メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸(50/45/5):Rf:0.53。
【0162】
上記で定義したファミリー(Ih)の化合物は、同様の方法に従って調製した。
【0163】
2−(4−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸エチル(化合物Ih−13)の調製
市販のベンゾイルアクリル酸エチル0.408g(0.002mol)を、アルゴン中で、丸底フラスコ中の塩化メチレン6mlに溶かす。次いで、4−メトキシチオフェノール0.280g(1当量)を加える。
反応媒体を20℃で72時間放置し、次いで真空下で濃縮する。
次いで、単離される粗製の油をシリカのカラムで精製する(溶離液:90/10シクロヘキサン/酢酸エチル)。
単離された重量:0.390g;収率=56.6%;油。
【0164】
プロトンNMR(200MHz、溶媒:重水素化クロロホルム):
1.06ppm、三重線、3H;3.41ppm、多重線、2H;3.66ppm、一重線、3H;4.01ppm、多重線、3H;6.72ppm、二重線、2H 芳香族;7.32ppm、多重線、5H 芳香族;7.78ppm、二重線、2H 芳香族。
【0165】
赤外分光光度法(cm-1):1730.6;1685.1;1493.9;1448.8;1287.6;1248.21;1213.6。
【0166】
上記で定義したファミリーIhのエチルエステル化合物は、同様の方法に従って調製した。
【0167】
ファミリーIhの化合物を以下の表I 1〜4に並べる。純度は、HPLC/MSにより測定した。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
ラット肝におけるキヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対する阻害活性の検討
実験プロトコル
ラット肝を、0.25Mショ糖;50mM pH7.4 Tris;1mM EDTA;および1mM DTTを含む緩衝液中でホモジナイズする(1:8重量/容積)。
ホモジネートを、12000rpmで10分間遠心分離する。ペレットを、上述の緩衝液に再懸濁する(1:2重量/容積)。
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害は、ホモジネート10μLを、NADPH(2mM)、キヌレニン(100μM)および様々な濃度の試験化合物と共に最終容積100μLで37℃において5分間インキュベートすることによって測定する。
化合物は、1μM〜300μMの濃度で試験する。3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミドは、Hoffmann−LaRoche社(Basle、J.Med.Chem.、40巻、4738ページ、1997年を参照)製の化合物である。30H−キヌレニンは、Carpendoら(Neuroscience、61(1994)、237〜244ページ、1994年)によって記載されたプロトコルに従って試験した。
【0173】
結果
各々の実験を一度繰り返し、IC50値(単位μmol/L)を算出し、それら2回の実験の平均値の形で示す。
【0174】
例えば、(R)−2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物i)は、1±0.2μmol/LのIC50値を有するが、3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド(化合物k)は、10±2.1μmol/LのIC50値を有する。
【0175】
ファミリーIhの代表例に関する結果を以下の表IIに示し、対照(100%)と比較して残存したキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ活性の割合についての測定を示す。
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
N0STZラットにおける抗糖尿病活性の検討
経口による式(I)および(II)の化合物の抗糖尿病活性を、ラットにおいてストレプトゾトシンで誘発したインスリン非依存性糖尿病の実験モデルで測定した。
【0179】
インスリン非依存性糖尿病のモデルは、ストレプトゾトシンの新生児注射(出生日に)によるラットで入手する。
使用した糖尿病ラットは、8週齢である。動物は、出生日から実験日まで21〜22℃の調整された温度で動物小屋に収容し、明(午前7時から午後7時)と暗(午後7時から午前7時)の固定光サイクルの下におく。維持飼料、ならびに水および食物からなる食物を自由に与えたが、試験前の絶食する2時間は別で、その間は、食物を取り除く(吸収後状態)。
ラットは、1(D1)または4(D4)日間、試験生成物で経口処理する。生成物の最終投与から2時間後、およびペントバルビタールナトリウム(ネンブタール(登録商標))で動物を麻酔してから30分後、血液試料300μLを尾の端から採取する。
【0180】
式(I)の化合物の中で、ファミリー(Ih)の化合物、特にサブファミリー(Ii)の化合物、特に、前に定義した化合物Ih−1(2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸)およびサブファミリー(Ij)の化合物Ih−3(2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸)を、上述の実験プロトコルに従って評価した。
【0181】
以下に示す結果は、D0(処理前)と比較したD1およびD4(処理の日数)による血糖の変化率として表す。
【0182】
【表7】
【0183】
これらの結果は、糖尿病動物において血糖を低下させる際の、特に式(Ih)の化合物の有効性を示している。
【0184】
この抗糖尿病活性は、キヌレニン3−ヒドロキシラーゼに対するこのファミリーの分子の阻害効果と相関している。
【0185】
肝臓によるグルコース産生に対する効果の検討
材料および方法:
肝細胞は、Methods Cell Biol.、13(1975)、29〜83に記載の方法に従い、24時間絶食させたウィスターラットの肝臓から分離する。
【0186】
以下の2方法を用いた:
1)肝細胞は、試験量における生成物のプレインキュベーションと併せ、それぞれの濃度が5×10-5Mおよび5×10-7MのAMPシクラーゼ/デキサメタゾンの存在下でDMEM培地中16〜18時間培養する。pH7.4のPBS緩衝液で洗浄後、前述の濃度でKrebs/AMPc/DEX緩衝液中37℃において3時間、細胞をインキュベートする。基準物質として0.1μMインスリンを用いる。2回の同一実験を行う(表III−1)。
【0187】
2)肝細胞は、グルコースを含まないが、1%グルタミン、100U/mLペニシリン、100mg/mLストレプトマイシンおよび7×10-5Mヘミコハク酸ヒドロコルチゾンが添加されたRPMI1640培地中で16〜18時間培養する。
【0188】
pH7.4のPBS緩衝液で洗浄後、試験化合物の存在下、または非存在下で乳酸塩/ピルビン酸塩(10/1mM)を含有し、グルコースおよびインスリンを含まないKrebs緩衝液中37℃において2時間、細胞をインキュベートする。基準物質として、10μM MICA(5−メトキシインドール−2−カルボン酸)を用いる。2回の同一実験を行う(表III−2)。
【0189】
グルコースの定量は、グルコースオキシダーゼを用いる比色法によって行う(ILテスト(商標)Glucose、Monarch 181633−80)。タンパク質アッセイは、Lowry法によりインキュベーション培地の残部について行う(BIO−RAD Dcタンパク質アッセイ、BIO−RAD 5000116)。
【0190】
結果は、タンパク質1ngにつき産生されたグルコース(nmole)として表す。使用した統計的検査法はt検定である。
【0191】
結果:
このように、トリプトファンおよびキヌレニンは、in vitroにおける肝臓でのグルコース産生の強力な阻害剤であることが明らかとなった。
【0192】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の効果
例えば、化合物Ih−1(表III 1〜3)ならびに(R)−2−ベンジル−4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物i)および(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸(化合物j)(表IV)という2種のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、以下の結果に示すように、in vitroにおける肝臓によるグルコース産生の強力な阻害剤であることが判明した。
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【0195】
【表10】
【0196】
N0STZ糖尿病ラットにおける膵ホルモンインスリンおよびグルカゴンの分泌に対する効果の検討
材料および方法:
膵臓は、出生日にストレプトゾトシンの注射によって糖尿病にされ(Porthaら、Diabetes、23;(1974))、ペントバルビタール(ネンブタール:45mg/kg;腹腔内経路)で麻酔された動物から採取する。
【0197】
膵臓の摘出および灌流は、Sussmanら(Diabetes、15(1966)、466〜472)によって記載されたプロトコルの改変(Assanら、Nature、239(1972)、125〜126)に従って行った。
【0198】
化合物または基準物質の効果は、グルコースの非存在下でKrebs緩衝液中35分間(t=20分からt=55分まで)、次いで16.5mMグルコースの存在下で30分間(t=55分からt=85分まで)試験する。
【0199】
媒質から分泌されるホルモン、インスリンおよびグルカゴンの濃度はそれぞれ、キット、すなわちInsulin−CT Cis Bio−International、ScheringおよびGlucagon−10904−Biochem immunosystemを用いる競合ラジオイムノアッセイにより測定する。
【0200】
結果は、いくつかの実験の平均値±SEM(平均値の標準誤差)として表す。用いた統計的検査法は、シェフェ検定である。
【0201】
結果:
N0 STZ糖尿病ラットからの灌流摘出膵臓におけるインスリンおよびグルカゴンの分泌に対するトリプトファンおよびその代謝産物の効果
図1は、トリプトファンが、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示している。同様に、図2は、トリプトファンが、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示している。
【0202】
キヌレン酸は、トリプトファンと同様、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリンの分泌(図3)およびグルカゴンの分泌(図4)を刺激する。
【0203】
図5および図6は、糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニン(10-4Mおよび10-5Mで)により刺激されたそれぞれ、インスリンおよびグルカゴンの分泌プロフィールを示している。この刺激は、トリプトファンおよびキヌレン酸で得られる刺激と同様である。
【0204】
N0 STZ糖尿病ラットからの灌流摘出膵臓におけるインスリンおよびグルカゴンの分泌に対するキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の効果
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤は、トリプトファン、キヌレニンおよびキヌレン酸の場合と同じインスリンおよびグルカゴン分泌プロフィールを示す。この所見は、図7および8(それぞれ、化合物iによるインスリンおよびグルカゴンの刺激)および図9および10(それぞれ、化合物kによるインスリンおよびグルカゴンの刺激)に見ることができる。
【0205】
摘出ラット膵島に対する活性の検討
静的インキュベーション中の摘出ランゲルハンス島におけるin vitroでのグルコース濃度の関数としてのインスリン分泌に対する化合物の効果:
コラゲナーゼによる膵外分泌組織の消化によって得られ、Ficoll勾配法で精製されたランゲルハンス島を、化合物の存在下または非存在下で2濃度(2.8mMまたは8mM)のグルコースを存在させて90分間インキュベートする。インスリン分泌は、インキュベーション培地中でRIAによりアッセイする。
【0206】
インスリン分泌を刺激する様々な化合物の能力は、刺激係数を計算することにより推定する。
【0207】
この係数が、インスリンの所与の量について130%以上である場合、ある化合物はインスリンの分泌を刺激する。
刺激係数(%)=(G+Product)÷G×100
式中:
G=グルコースだけ存在する場合のインスリンの分泌(pmol/min.膵島)
(G+Product)=同濃度のグルコースおよび試験化合物が存在する場合のインスリンの分泌(pmol/min.膵島)
図11は、グルコース濃度が2.8mMおよび8mMである場合の10-5Mの化合物Ih−18および(i)についてのインスリン分泌を示している。
【0208】
β細胞塊の増加に対する効果の検討
ラット胎児膵臓の培養
実験プロトコル
胎児の膵臓は、過量のペントバルビタールナトリウムを投与したウィスター系の妊娠している雌から妊娠12.5日目に集めた。胎児を子宮から引き出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)に入れる。立体顕微鏡下で背側膵芽を切り取る。膵臓内分泌部の発達を阻害する間充織の分離は、合成培地RPMI1640中、0.05%濃縮コラゲナーゼAとの酵素反応により行う。
【0209】
このようにして分離される膵上皮をコラーゲンゲルに挿入し、三次元培養を行わせる。試験化合物の非存在下(対照)または存在下で、10%ウシ胎児血清および5.5mMグルコースが添加されたRPMI1640培地中で膵臓を培養する。培養液は、5%CO2の存在下で37℃に7日間維持する。培地は毎日更新する。
【0210】
7日間の培養終了時、膵臓をコラーゲンゲルから分離し、37℃において3分間、トリプシン消化(0.05%トリプシン−EDTA)によって個々の細胞に解離させる。20%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地を加えることによって酵素反応をクエンチする。細胞は、同じ培地で洗浄し、次いで、125×gで5分間、細胞遠心機を用いてスライドガラスに固定する。次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで処理し、次いでモルモット抗インスリン抗体(1:1500希釈)と共に4℃において一夜インキュベートする。PBSで数回洗浄後、FITC結合ウサギ抗モルモットIgG(希釈1:100)と共に室温において75分間インキュベートする。最後に、蛍光を保護し、細胞核を標識するためのDAPIを含有する培地中に細胞をマウントする。各スライド上で、最低限300個の核およびインスリンを発現する細胞の量をカウントする。β細胞量の計算は、カウントされた総核数に対するインスリンを発現する細胞の比率を表す。実験は、1群につき最低限4つの膵臓について行い、各実験は、3回繰り返す。
【0211】
図12、13、14および15は、試験化合物の存在下、または非存在下で、7日間にわたり培養したラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量を示している。β細胞数の増加は、幹細胞からのこれらの細胞の新生の刺激に主に起因している。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】トリプトファンが糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示す図である。
【図2】トリプトファンが糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示す図である。
【図3】キヌレン酸が糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にインスリン分泌を刺激することを示す図である。
【図4】キヌレン酸が糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にグルカゴン分泌を刺激することを示す図である。
【図5】糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニンにより刺激されたインスリンの分泌プロフィールを示す図である。
【図6】糖尿病ラットの膵臓においてグルコース依存的にキヌレニンにより刺激されたグルカゴンの分泌プロフィールを示す図である。
【図7】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物iによるインスリン分泌プロフィールを示す図である。
【図8】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物iによるグルカゴン分泌プロフィールを示す図である。
【図9】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物kによるインスリン分泌プロフィールを示す図である。
【図10】糖尿病ラットの潅流摘出膵臓における化合物kによるグルカゴン分泌プロフィールを示す図である。
【図11】ランゲルハンス島を用いたアツセイにおいて2つの濃度のグルコース存在下の化合物Ih−18およびiのインスリンの分泌を示す図である。
【図12】試験化合物iの存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)を示す図である。
【図13】ラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量の、試験化合物iと他の化合物との比較を示す図である。
【図14】試験化合物3種の存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)の比較を示す図である。
【図15】試験化合物3種の存在によるラット胎児の膵芽におけるインスリンを発現するβ細胞の量(%)の比較を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランゲルハンス島細胞数を増加させるための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項2】
糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の治療および/または予防との関連における請求項1に記載のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項3】
前糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項4】
前記前糖尿病は、インスリン依存性前糖尿病である請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記前糖尿病は、インスリン非依存性前糖尿病である請求項3に記載の使用。
【請求項6】
インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項7】
インスリン非依存性糖尿病を予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項8】
初期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項9】
前記治療または予防が、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによる請求項3から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項11】
ランゲルハンス島細胞数に障害のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記患者が、少なくとも40%のランゲルハンス島細胞数の減少を示す請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記患者が、50%〜90%のランゲルハンス島細胞数の減少を示す請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
グルコース不耐性のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記患者は、1.10g/l〜1.26g/lの空腹時血糖および食後に1.40g/l〜2g/lの食後血糖を示す請求項14に記載の使用。
【請求項16】
1種または複数の抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーのある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
1種または複数の前記マーカーは、体内のランゲルハンス島細胞の抗原マーカーを対象とする身体の自己免疫反応の存在を示す請求項16に記載の使用。
【請求項18】
1種または複数の前記マーカーは、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体から選択される請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
インスリン抵抗性のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記患者が、β細胞によって分泌されるか、または注射されるインスリンに部分的に反応するかまたはまったく反応しない請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記患者が、7%を超える糖化ヘモグロビンのレベルを示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記患者が、グルコースに応答するインスリン分泌の異常を示すランゲルハンス島細胞を有する前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記患者が、インスリン分泌の初期ピークの抑制を示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記患者が、関連高血糖症および肥満症を示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記患者が、小児肥満症に罹患している請求項24に記載の使用。
【請求項26】
任意の糖尿病危険因子を示す患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記危険因子は、家族歴、妊娠性糖尿病、過剰体重、肥満症、運動不足、高血圧、高レベルのトリグリセリド、高脂血症および炎症から選択される請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
前記キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤による分離ランゲルハンス島細胞のin vitro処理を含む前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
ランゲルハンス島細胞の数またはインスリン分泌能力を増加させる方法であって、前記細胞に対するキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤のin vitro適用を含む方法。
【請求項30】
1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む薬剤組成物。
【請求項31】
前記免疫抑制剤が、抗原による身体の免疫反応の刺激を低減または阻害する任意の物理的、化学的または生物学的作用物から選択される請求項30に記載の薬剤組成物または請求項11に記載の使用。
【請求項32】
ランゲルハンス島細胞が、β細胞をあらわす前記請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項33】
前記キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、一般式(I)または(II)の化合物、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである前記請求項のいずれか一項に記載の使用または組成物。
【化1】
[式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化2】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、または一緒になって、それらを持つ炭素原子と共に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、およびニトロ、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、
一方では、基R5およびR6、または他方では、R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロ基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成してもよく、
R9は、水素またはアルキル基を表し、
R10は、アルキル、アリールおよびヘテロアリール基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、R12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、この環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素およびアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択される。]
【請求項34】
化合物が、一般式(I)に属する請求項33に記載の使用。
【請求項35】
一般式(I)の化合物が、別々にまたは組合せとして、以下の特徴、すなわち、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化3】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアリールから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択され、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールおよびアリールアルキルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5または6個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R16は、水素およびアルキルまたはアリール基から選択され、
R17は、水素原子を表し、
R11は、水素およびアミン官能基の任意の保護基から選択される、特徴を有し、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグを有する。
請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項36】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化4】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいは、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、その環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素およびアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択されるが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である。]
一般式(I)のファミリー(Ia)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33から35の一項に記載の使用。
【請求項37】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化5】
R1は、シアノ、ニトロ、フェニル、ベンジル、アルキル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、アルコキシ、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'、ならびにハロゲン原子から選択される1、2または3個の基によって場合により置換されているフェニル基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、場合により置換されているアルコキシ、特にベンジルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルケニルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルキニルオキシ、フェノキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13は、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13'は、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、フェニルおよび−N(R12R12')から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよく、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R16は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R17は、水素原子を表すが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である。]
一般式(I)のファミリー(Ib)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記化合物が、
[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化6】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、水素を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ic)からか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項39】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化7】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される。]
一般式(I)のファミリー(Id)からか
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項40】
前記化合物が、[式中一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化8】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、水素を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ie)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
前記化合物が、[一般式(I)中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【化9】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される。]
一般式(I)のファミリーからか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
前記化合物が、一般式(I)のファミリー(Ig)から選択され、この化合物は、
− 4−(4’−メチルシクロヘキシル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−チオメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− 4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;および
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化10】
R1、R2、R3、R4、R12、R12'、R13またはR14は、上記で定義した通りであり、
R15は、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオおよびヘテロシクリルチオ基から選択されるが、
ただし、R2、R3およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、チオールまたはアルキルチオ基を表すことができない。]
一般式のファミリー(Ih)から選ばれるか
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化11】
R1は、アリール基を表し、
R2は、水素を表すか、R14と共に結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表すか、R2と共に結合を形成し、
R15は、アリールチオ基を表す。]
一般式(I)ファミリー(Ii)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記化合物が、[一般式(I)の
Wは、下式の二価の基を表し、
【化12】
R1は、フェニル基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシルおよびアルコキシ基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、フェニルチオ基を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ij)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記化合物が、
・2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−カルボキシメチルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・エチル2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・2−フェニルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−シクロヘキシルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−ベンジルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−フェニルチオ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニル)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項43に記載の使用。
【請求項47】
前記化合物が、
− 4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− メチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;および
− エチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
前記化合物が、一般式(II)に属する請求項33に記載の使用。
【請求項49】
前記化合物が、[一般式(II)中
R5、R6、R7およびR8は、上記で定義した通りであり、
R9は、水素を表し、
R10は、アルキルまたはアルコキシ基、好ましくはメチルまたはメトキシで3および/または4位において場合により置換されているフェニル基、およびナフチル基から選択される。]
一般式(II)のファミリー(IIa)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33または請求項40に記載の使用。
【請求項50】
前記化合物が、[一般式(II)中
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基およびトリフルオロメチル基から選択され、
基R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル、ニトロまたはアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成することもあり、
R9およびR10は、上記で定義した通りである。]
一般式(II)のファミリー(IIb)に属するが
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33または請求項48に記載の使用。
【請求項51】
前記化合物が、
− 4−メトキシ−N−(4−ナフタレン−2−イルチアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 2−ナフタレンスルホン酸[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(4−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、および
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルフェンアミド、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなるリストから選択される請求項33、48、49および50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
ランゲルハンス島細胞数を増加させることおよび低血糖の危険性を軽減することにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防および/または治療するための薬物を調製するための請求項33から51までのいずれか一項に定義した化合物の使用。
【請求項53】
ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を治療および/または予防するための薬物を製造するための方法であって、請求項1から34までのいずれか一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応する分子を、場合により薬学的に許容できる充填剤または媒体を加えて薬剤組成物の形態にする方法。
【請求項54】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することによってランゲルハンス島細胞数を増加させることによる、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の予防または治療における活性について候補化合物をスクリーニングするための方法であって、請求項33から51までのいずれか一項に記載の式(I)または(II)に対応していない候補化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応した候補を選択する方法。
【請求項1】
ランゲルハンス島細胞数を増加させるための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項2】
糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の治療および/または予防との関連における請求項1に記載のキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項3】
前糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項4】
前記前糖尿病は、インスリン依存性前糖尿病である請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記前糖尿病は、インスリン非依存性前糖尿病である請求項3に記載の使用。
【請求項6】
インスリン依存性糖尿病を治療および/または予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項7】
インスリン非依存性糖尿病を予防するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項8】
初期インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬物を製造するためのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項9】
前記治療または予防が、ランゲルハンス島細胞数を増加させることによる請求項3から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
インスリン依存性糖尿病を予防および/または治療するための薬物を製造するための、1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤の使用。
【請求項11】
ランゲルハンス島細胞数に障害のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記患者が、少なくとも40%のランゲルハンス島細胞数の減少を示す請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記患者が、50%〜90%のランゲルハンス島細胞数の減少を示す請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
グルコース不耐性のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記患者は、1.10g/l〜1.26g/lの空腹時血糖および食後に1.40g/l〜2g/lの食後血糖を示す請求項14に記載の使用。
【請求項16】
1種または複数の抗ランゲルハンス島細胞免疫学的マーカーのある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
1種または複数の前記マーカーは、体内のランゲルハンス島細胞の抗原マーカーを対象とする身体の自己免疫反応の存在を示す請求項16に記載の使用。
【請求項18】
1種または複数の前記マーカーは、抗膵島(ICA)、抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、抗チロシンホスファターゼ(IA−2)および抗(プロ)インスリン(AIA)自己抗体、または抗カルボキシペプチダーゼH、抗64kDおよび抗熱ショックタンパク質抗体から選択される請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
インスリン抵抗性のある患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記患者が、β細胞によって分泌されるか、または注射されるインスリンに部分的に反応するかまたはまったく反応しない請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記患者が、7%を超える糖化ヘモグロビンのレベルを示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記患者が、グルコースに応答するインスリン分泌の異常を示すランゲルハンス島細胞を有する前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記患者が、インスリン分泌の初期ピークの抑制を示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記患者が、関連高血糖症および肥満症を示す前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記患者が、小児肥満症に罹患している請求項24に記載の使用。
【請求項26】
任意の糖尿病危険因子を示す患者の場合に前記治療および/または前記予防に適している前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記危険因子は、家族歴、妊娠性糖尿病、過剰体重、肥満症、運動不足、高血圧、高レベルのトリグリセリド、高脂血症および炎症から選択される請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
前記キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤による分離ランゲルハンス島細胞のin vitro処理を含む前記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
ランゲルハンス島細胞の数またはインスリン分泌能力を増加させる方法であって、前記細胞に対するキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤のin vitro適用を含む方法。
【請求項30】
1種または複数の免疫抑制剤と組み合わせたキヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤を含む薬剤組成物。
【請求項31】
前記免疫抑制剤が、抗原による身体の免疫反応の刺激を低減または阻害する任意の物理的、化学的または生物学的作用物から選択される請求項30に記載の薬剤組成物または請求項11に記載の使用。
【請求項32】
ランゲルハンス島細胞が、β細胞をあらわす前記請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項33】
前記キヌレニン3−ヒドロキシラーゼ阻害剤が、一般式(I)または(II)の化合物、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグである前記請求項のいずれか一項に記載の使用または組成物。
【化1】
[式中、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化2】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、または一緒になって、それらを持つ炭素原子と共に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、およびニトロ、シアノ、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルまたはアリール基から選択され、
一方では、基R5およびR6、または他方では、R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロ基、アルキル基およびアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成してもよく、
R9は、水素またはアルキル基を表し、
R10は、アルキル、アリールおよびヘテロアリール基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、R12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、この環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素およびアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択される。]
【請求項34】
化合物が、一般式(I)に属する請求項33に記載の使用。
【請求項35】
一般式(I)の化合物が、別々にまたは組合せとして、以下の特徴、すなわち、
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化3】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアリールから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択され、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールおよびアリールアルキルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5または6個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、前記環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルキルチオおよびアリールから選択され、
R16は、水素およびアルキルまたはアリール基から選択され、
R17は、水素原子を表し、
R11は、水素およびアミン官能基の任意の保護基から選択される、特徴を有し、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグを有する。
請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項36】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化4】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成するか、あるいは、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')、−N(R12)OR13、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環基から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよいか、あるいはR14は、R2と共に、およびそれらを持つ炭素原子と共に、合計3、4、5、6または7個の炭素原子(そのうち1、2または3個は、窒素、酸素およびイオウから選択される原子で置換されていてもよい)を含む環を形成し、その環は、1個または複数の二重結合の形で1個または複数の不飽和を含むことがあり、オキソ、アルコキシ、アルコキシカルボニルおよびアルキルカルボニルオキシから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されており、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基から選択され、
R14およびR15は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成することもあり、
R16およびR17は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基および複素環基から選択されるか、あるいは
R16およびR17は、それらを持つ炭素原子と一緒に、シクロアルキル基または複素環基を形成し、
R11は、水素およびアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基、およびアミン官能基の任意の保護基から選択されるが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である。]
一般式(I)のファミリー(Ia)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33から35の一項に記載の使用。
【請求項37】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、以下の基から選択される二価の基を表し、
【化5】
R1は、シアノ、ニトロ、フェニル、ベンジル、アルキル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、アルコキシ、チオール、−SR13'、−S(O)R13'および−S(O2)R13'、ならびにハロゲン原子から選択される1、2または3個の基によって場合により置換されているフェニル基を表し、
R2は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R3は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R2およびR3は一緒になって、基=CR16R17を形成することもあり、
R4は、ヒドロキシル、場合により置換されているアルコキシ、特にベンジルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルケニルオキシ、2〜4個の炭素原子を含むアルキニルオキシ、フェノキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13は、水素、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、およびフェニルから選択され、
R13'は、場合により置換されているアルキル基、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、2〜4個の炭素原子を含むアルキニル、フェニルおよび−N(R12R12')から選択され、
R14は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R14は、R2と共に結合を形成し、それぞれ置換基R14およびR2を持つ炭素原子間で二重結合を形成してもよく、
R15は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R16は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、チオール、場合により置換されているアルキル、特にベンジル、2〜4個の炭素原子を含むアルケニル、アルコキシ、アルキルチオおよびフェニルから選択され、
R17は、水素原子を表すが、
ただし、R3、R2およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよび複素環基によって場合により置換されているアルキル基以外である。]
一般式(I)のファミリー(Ib)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記化合物が、
[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化6】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、水素を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ic)からか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項39】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化7】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される。]
一般式(I)のファミリー(Id)からか
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項40】
前記化合物が、[式中一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化8】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、この複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、水素を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ie)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
前記化合物が、[一般式(I)中、
Wは、下式の二価の基を表し、
【化9】
R1は、1〜14個の炭素原子を含み場合により置換されている直鎖または分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環基、アリール基およびヘテロアリール基から選択される基を表し、
R2およびR14は、一緒に結合を形成し、それぞれ置換基R2およびR14を持つ炭素原子間で二重結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R15は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシおよびヘテロシクリルオキシから選択される。]
一般式(I)のファミリーからか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33または34のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
前記化合物が、一般式(I)のファミリー(Ig)から選択され、この化合物は、
− 4−(4’−メチルシクロヘキシル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−クロロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フルオロ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−チオメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− 4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 4−(3’−フルオロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2,3−ジメチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;および
− 2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロ−4’−メトキシフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化10】
R1、R2、R3、R4、R12、R12'、R13またはR14は、上記で定義した通りであり、
R15は、チオール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロアリールチオおよびヘテロシクリルチオ基から選択されるが、
ただし、R2、R3およびR14がそれぞれ水素を表す場合、R15は、チオールまたはアルキルチオ基を表すことができない。]
一般式のファミリー(Ih)から選ばれるか
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
前記化合物が、[一般式(I)中
Wは、下式の二価の基を表し、
【化11】
R1は、アリール基を表し、
R2は、水素を表すか、R14と共に結合を形成し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、−N(R12R12')および−N(R12)OR13から選択され、
R12およびR12'は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アリールまたはヘテロアリール基から選択されるか、あるいはR12およびR12'は、それらが接続する窒素原子と一緒に、合計5〜10個の原子(そのうち1、2、3または4個は、互いに独立に、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含む単環式または二環式複素環基を形成してもよく、前記複素環基は、1、2、3または4個の二重結合を場合により含み、ヒドロキシル、ハロゲン原子、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、複素環基およびトリフルオロメチルから選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の化学基によって場合により置換されており、
R13は、水素およびアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、−N(R12R12')または−N(R12)OR13基から選択され、
R14は、水素を表すか、R2と共に結合を形成し、
R15は、アリールチオ基を表す。]
一般式(I)ファミリー(Ii)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記化合物が、[一般式(I)の
Wは、下式の二価の基を表し、
【化12】
R1は、フェニル基を表し、
R2は、水素を表し、
R3は、水素を表し、
R4は、ヒドロキシルおよびアルコキシ基から選択され、
R14は、水素を表し、
R15は、フェニルチオ基を表す。]
一般式(I)のファミリー(Ij)から、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項44に記載の使用。
【請求項46】
前記化合物が、
・2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−カルボキシメチルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタン酸;
・エチル2−フェニルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−(2’−ナフチルチオ)−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−シクロヘキシルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・エチル2−ベンジルチオ−4−フェニル−4−オキソブタノエート;
・2−フェニルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−シクロヘキシルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−ベンジルチオ−4−(4’−メトキシフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−フェニルチオ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−フルオロフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−クロロフェニル)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メチルフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(4’−メトキシフェニルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
・2−(2’−ナフチルチオ)−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項43に記載の使用。
【請求項47】
前記化合物が、
− 4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メトキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− 2−ヒドロキシ−3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチル−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−クロロ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−メチリデン−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−3−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− メチル(R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタノエート;
− (R,S)−2−フェニル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (R,S)−2−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソブタン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−4−(3’−ニトロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−メチル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− 3−ベンジル−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’−フルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(4’−クロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− (E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−ブテン酸;
− メチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;および
− エチル(E)−2−ヒドロキシ−4−(3’,4’−ジクロロフェニル)−4−オキソ−2−ブテノエート;
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグから選択される請求項33および34のいずれかに記載の使用。
【請求項48】
前記化合物が、一般式(II)に属する請求項33に記載の使用。
【請求項49】
前記化合物が、[一般式(II)中
R5、R6、R7およびR8は、上記で定義した通りであり、
R9は、水素を表し、
R10は、アルキルまたはアルコキシ基、好ましくはメチルまたはメトキシで3および/または4位において場合により置換されているフェニル基、およびナフチル基から選択される。]
一般式(II)のファミリー(IIa)に属するか、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33または請求項40に記載の使用。
【請求項50】
前記化合物が、[一般式(II)中
R5、R6、R7およびR8は、同一または異なっていてもよく、互いに独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基およびトリフルオロメチル基から選択され、
基R6およびR7は、それらが接続する炭素原子と一緒に、ハロゲン原子およびトリフルオロメチル、ニトロまたはアルコキシ基から選択される同一または異なっていてもよい1個または複数の基によって場合により置換されているベンゼン環を形成することもあり、
R9およびR10は、上記で定義した通りである。]
一般式(II)のファミリー(IIb)に属するが
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグに属する請求項33または請求項48に記載の使用。
【請求項51】
前記化合物が、
− 4−メトキシ−N−(4−ナフタレン−2−イルチアゾール−2−イル)ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−メトキシ−N−[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 2−ナフタレンスルホン酸[4−(3−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− N−[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、
− 4−メチル−N−[4−(4−ニトロフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、
− 4−アミノ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルホンアミド、および
− 3,4−ジメトキシ−N−[4−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−2−イル]ベンゼンスルフェンアミド、
ならびにそれらの可能な幾何および/または光学異性体、およびそれらの可能な互変異性体、
それらの化合物の溶媒和物および水和物、
ならびに薬学的に許容できる酸または塩基とのそれらの可能な塩か、あるいはそれらの化合物の薬学的に許容できるプロドラッグからなるリストから選択される請求項33、48、49および50のいずれか一項に記載の使用。
【請求項52】
ランゲルハンス島細胞数を増加させることおよび低血糖の危険性を軽減することにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を予防および/または治療するための薬物を調製するための請求項33から51までのいずれか一項に定義した化合物の使用。
【請求項53】
ランゲルハンス島細胞数を増加させることにより、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状を治療および/または予防するための薬物を製造するための方法であって、請求項1から34までのいずれか一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応する分子を、場合により薬学的に許容できる充填剤または媒体を加えて薬剤組成物の形態にする方法。
【請求項54】
キヌレニン3−ヒドロキシラーゼを阻害することによってランゲルハンス島細胞数を増加させることによる、糖尿病、その合併症および/またはその関連症状の予防または治療における活性について候補化合物をスクリーニングするための方法であって、請求項33から51までのいずれか一項に記載の式(I)または(II)に対応していない候補化合物をin vitroのキヌレニン3−ヒドロキシラーゼの阻害試験にかけ、この試験に対して陽性に反応した候補を選択する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−515594(P2006−515594A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564203(P2004−564203)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014538
【国際公開番号】WO2004/060368
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014538
【国際公開番号】WO2004/060368
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]