説明

リジット及びハードテールフレーム用緩衝装置及びその緩衝方法

【課題】外観を損なうことなくリジッドフレームやハードテール加工されたフレーム用として、乗り心地や安全性を向上し、法令遵守できる緩衝装置およびその緩衝方法を提供する。
【解決手段】リアアクスルシャフト1を、弾性体7を組み込んだアクスルシャフトガイドブロック2を介してフレームに対してフローティング状態となる様に装着する。リアアクスルシャフトにストッパーを設けることにより地面から受ける衝撃による回転を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動二輪車のリジットフレーム及び、ハードテール加工されたフレーム用の緩衝装置及びその緩衝方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来自動二輪車の多くはスイングアームを用いた2分割から成るフレームであり、これらのリアに固定するスプリングや油圧を利用した独立別体型の緩衝装置が用いられているが、ハーレーダビッドソン等アメリカンタイプの車両では一個体で成るリジットフレ―ム及びそれに準ずるハードテール加工されたユーザーニーズが高いフレームがあり、これらフレームには緩衝装置が無く、従来のスイングアーム用の緩衝装置も装着不可能であり又、リジットフレーム用として容易にボルトオンにて装着出来る緩衝装置もリアアクスルシャフト自体が連動する緩衝方法も存在しなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の通り緩衝装置を持たないリジットフレーム及び、それに準ずるハードテール加工されたフレームはユーザーニーズが高いのが現状であるが日本の法令上、合法となるには様々な制限があり手続きも難しい為、これらフレームを使用した車両には違法改造や違法登録が多く、例えばリジットフレームの形状に似せる為、もとより緩衝装置を備えたスイングアームフレームを切断し、緩衝装置を取り除く改造をするハードテール加工を施した車両は保安基準第14条により昭和58年12月末日をもって非合法とされ、発覚した場合は法令上車検が通らず、知らずにその様な車両を購入したユーザーは車両を元に戻す事も出来ず整備命令の対象となり、車検を諦めるしかないのが実情である。
【0004】
また、これらフレームを使用した車両はリアに緩衝装置を持たないので路面の衝撃をそのまま拾うしかなく、フレームをはじめ車両各部品及び、人体への負担が大きい。
【0005】
更に、これらフレーム用として外観を損なう事無く容易にボルトオンにて装着可能な緩衝装置も存在しなかった。
【0006】
本発明はこれら上記に挙げる問題を解決すべくなされたもので、外観を損なう事も無くリジットフレームやハードテール加工されたフレーム用に乗り心地の向上及び、車両や人体への負担を軽くして安全性を高めた法令順守を目的とする為の緩衝装置を提供し、多くのユーザーニーズに応える事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成する為のもので、請求項1及び2記載の発明はリジットフレーム及びハードテール加工されたフレームに本来固定されるべきアクスルシャフトがアクスルシャフトガイドブロックを介しフローティング状態となる事、及びアクスルシャフトガイドブロックに弾性体を連結する事によりシャフト自体も揺動して緩衝能力を有す事を特徴とした法令順守を目的とする為の取付容易な緩衝装置及びその緩衝方法を提供する。
【0008】
課題解決の為の手段として請求項1、2に挙げた本発明の部品構成による作用を以下説明する。
【0009】
リアアクスルシャフトはアクスルシャフトガイドブロックを介し、弾性体を連結する方法により地面からの衝撃がホイ―ルからアクスルシャフトに伝わり、アクスルシャフトガイドブロック内に於いてシャフト自体がフローティング状態にて上下揺動する事により緩衝能力が発生し、更にアクスルシャフトガイドブロックと連結した弾性体へと衝撃が伝わる事で弾性体の伸縮運動と共により大きな緩衝性能を得る事が出来る。
【0010】
更に、本発明の構成部品であるアクスルシャフトはアクスルシャフトガイドブロックを通りダブルナットにて装着するが、アクスルシャフトガイドブロックとダブルナットとの間に抵抗ワッシャー及び、クッション機能を有す皿ばねをはさんでからダブルナットを締める事でアクスルシャフトの上下ストロークの際、これらにアクスルシャフトガイドブロックの接触面を利用しての摩擦抵抗が発生して減衰作用が生じ、本発明は緩衝機能と共に減衰機能も有す事となる。
【0011】
また、アクスルシャフトガイドブロックに連結した弾性体も脱着交換が容易に出来るのでたわみ量が違う弾性体に交換する事により地面からの衝撃をより和らげる事が可能である。
【0012】
そしてこの弾性体は後述作用実施の1例である記載図面に示したコイルスプリングのみにあらず、リーフスプリング、ゴム、油圧、空気圧、又はそれらを併用、組合せる方法で用いる事も可能であり、アクスルシャフトガイドブロックの上下に連結されたそれら弾性体は容易に脱着交換出来るので緩衝能力の調節が可能となり、更なるユ―ザー好みの乗り心地の向上を図ることが出来る。
【0013】
また、この課題解決の手段の作用として請求項2に挙げた方法を行なう事により、本来フレームに固定されるリアアクスルシャフトは固定される事なく、車両に乗車していない時は差し込まれたアクスルシャフトガイドブロック中央に位置しフローティング状態となり、乗車時はガイドブロック上方下方のプレート面に連結された弾性体によって挟むようにセットされる。
【0014】
そして、アクスルシャフトに下方向から上方向へ荷重がかかるとたわみ量が低い弾性体のガイドブロック上方プレートが先に上がり下方プレートはガイドブロックを下から支えたままの状態となり、その後荷重が下方の弾性体のたわみ量を超えるとその弾性体が縮み、軸となるスプリングシャフトが上方に上がり、それと同時に上方の弾性体が伸びる為ガイドブロック上方のプレートがアクスルシャフトを押さえている反作用の荷重が減少する。
【0015】
これは逆パターンでも同様の作用が起こり、使用する弾性体は上下同じたわみ量の物を使用しない方がより大きな衝撃を吸収する効果を得る事が出来る。後述作用実施例においては衝撃吸収の効果を更に上げる為、弾性体の上方と下方とでたわみ量の異なったコイルスプリングを使用しているが、これはアクスルシャフトのストローク量が少ない事などよりわざとスプリングのバランスを狂わせ、反発力を消す狙いがあるもので、例えば硬いボール同士をぶつけると遠くに飛ぶが、どちらか片方が軟らかいとうまく遠くに飛ばないという原理からも証明される。
【0016】
以上のことから元よりサスペンションなど緩衝装置がなく、登録が難しいとされたリジットフレーム及び、フレームを切断する事により当初装着されていた緩衝装置を外し、ハードテール加工を行なった改造フレームにおいても本発明品を装着する事により、それらフレームを用いた車両は緩衝装置を有す事となり、理論上は法令的にも合法な車両として登録する事が可能と考えられ、更にユーザーの乗り心地向上、衝撃による車両への負担の軽減も得る事が出来る。
【発明の効果】
【0017】
上述したように本発明の緩衝装置及びその緩衝方法のシステムによりユーザーニーズの高いリジットフレーム及びハードテール加工されたフレームに対し、フレームの外観を損なう事なく、且つ容易に装着することが出来、また、従来緩衝装置を取り外すフレームの改造(ハードテール加工)は現時点において法令上非合法とされているが本発明品を装着する事により車両に緩衝機能が備わり、既にその様な改造を行なったもの及び、新たにそのスタイルに改造することも理論上は法令を犯すことなく出来るので車検取得も可能と考えられる。
【0018】
また、路面からの衝撃を吸収しショックを和らげる事から車両の乗り心地の向上やフレーム及び取り付けパーツ等、車両の金属疲労の軽減、リアアクスルシャフトやホイールベアリングにかかる負担を少なくする事から車両走行時の安全、安定性もはかられる等多くの効果を発揮することが出来、ユーザーニーズに応える事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明についてアクスルシャフトガイドブロックと連結する弾性体にコイルスプリングを利用した場合の一実施例を添付図面に基づき説明する。
【0020】
図1が本発明品全体図であり、図2が本発明品をサイド側から見たアクスルシャフトガイドブロック及び弾性体ユニット部の構成図で本発明品を車両に装着すると図4の外観となり、その取付詳細が図3である。(実際には車両フレーム間にリアホイールがあり、フレーム外側より1のリアアクスルシャフトがホイールを貫通する。)
【0021】
これら図面1〜4表示の本発明品の構成による動作を説明する。リアホイールに受けた地面よりの衝撃は2(アクスルシャフトガイドブロック)内にてフローティング状態である1(リアアクスルシャフト)に伝わり、シャフトの回転防止の為の13(ストッパー)がある為に上下運動となり、更に2(アクスルシャフトガイドブロック)と1(リアアクスルシャフト)をとめる5(ナット2ヶ)の間に3(抵抗ワッシャー)及びクッション機能を有す4(皿バネ)を備える事により5(ナット2ヶ)を締めると1(リアアクスルシャフト)の上下ストロークの際に2(アクスルシャフトガイドブロック)3(抵抗ワッシャー)の接触面を利用しての摩擦抵抗が発生し減衰作用が生じる。
【0022】
2(アクスルガイドブロック)を介し、回転防止の13(ストッパー)があることで1(リアアクスルシャフト)は地面から受ける衝撃を上下運動に変え、2(アクスルシャフトガイドブロック)と連結した7(コイルスプリング)を主とする6〜10(弾性体ユニット部)へと衝撃が伝わる事で6(スプリングシャフト)を軸に7(コイルスプリング)が伸縮運動をし、8(スプリングガイド)、9(皿バネ)が減衰機能を有し更に大きな緩衝性能を得る事が出来る。
【0023】
また、6〜10(弾性体ユニット)のうち、7(コイルスプリング)には車両1台につき2(アクスルシャフトガイドブロック)の上方4個にたわみ量が低い物を、下方4個にたわみ量が高い物をと計8個使用する事により、1(リアアクスルシャフト)が地面である下方向より上方向に向かい荷重がかかる際は7(コイルスプリング)のたわみ量が低い上方の2(アクスルシャフトガイドブロック)のプレート面が先に上がり下方のプレート面はブロックを下から支えたままの状態となってその後荷重が下方の7(コイルスプリング)のたわみ量を超えると下方の7(コイルスプリング)は縮み、軸となる6(スプリングシャフト)は上方に上がりそれと同時に上方7(コイルスプリング)が伸びる為、上方の2(アクスルシャフトガイドブロック)のプレートが1(リアアクスルシャフト)を押さえている反作用の荷重が減少する。
【0024】
これは逆パターンでも同様の作用が起こり、使用する7(コイルスプリング)は上下同じたわみ量の7(コイルスプリング)を使用しないほうがより大きな衝撃を吸収する効果を得る事が出来る。
【0025】
以上の事から本発明品及び本発明品の緩衝方法によって、これを装着するリジットフレーム及びハードテールフレームはリアに緩衝能力を有す事となり、リアに緩衝装置がない事から非合法となる車両も理論上は合法登録が可能と考えられる。
【0026】
更に、本発明品及び本発明品の緩衝方法によって車両が受ける衝撃を吸収しショックを和らげ、乗り心地の向上がはかられ身体への負担も軽減され、相乗効果としては車両本体、各パーツ類が衝撃から受ける金属疲労などの負担も軽減する事が出来、車両走行時の安全、安定性もはかられる等多くの効果を発揮、及びユーザーニーズに応える事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明一実施形態部品全体図である。
【図2】本発明一実施形態部品の一部であるアクスルシャフトガイドブロック及び弾性体ユニット部側面構成図である。
【図3】本発明一実施形態部品取付説明図である。
【図4】本発明一実施形態使用外観図である。
【符号の説明】
【0028】
1 リアアクスルシャフト
2 アクスルシャフトガイドブロック
3 抵抗ワッシャー
4 皿バネ(大)
5 ナット(大)
6 スプリングシャフト
7 弾性体(コイルスプリング)
8 スプリングガイド
9 皿バネ(小)
10 ナット(小)
11 アジャスターボルト、ナット
12 シャフトカラー
13 ストッパー
14 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジットフレーム及びハードテールフレームの外観を損なう事無く容易に取付が出来、リアアクスルシャフトがアクスルシャフトガイドブロック内で上下運動し、連結した弾性体と共に緩衝能力を有す事を特徴とする法令順守を目的とした緩衝装置。
【請求項2】
本来フレームに固定されるリアアクスルシャフトが、弾性体を連結したアクスルシャフトガイドブロックを介す事でフローティング状態となり、地面から受ける衝撃に対しシャフトにストッパーを設けて回転を防止させ、シャフト自体も上下に連動する緩衝方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−179177(P2008−179177A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12201(P2007−12201)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(306006317)
【Fターム(参考)】