リソグラフィシステムにおける最小寸法の不均一性を補償するシステムおよび方法
【課題】照明ビームの異なる偏光方向により引き起こされる最小寸法の不均一性を補償するシステムを提供する。
【解決手段】このシステムは、照明光学系と、パターニング用デバイスと、投影光学系を備える。照明光学系は、放射照明ビームを発生し、放射源と光学系を備える。放射源は、放射ビームを生成する。光学系は、サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出する。パターニング用デバイスは、第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含む。第1および第2のパターンは、照明ビームの第1部分および第2部分の各々にパターンを付与する。投影光学系は、基板の目標部分に第1および第2のパターン付きビームを投影する。
【解決手段】このシステムは、照明光学系と、パターニング用デバイスと、投影光学系を備える。照明光学系は、放射照明ビームを発生し、放射源と光学系を備える。放射源は、放射ビームを生成する。光学系は、サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出する。パターニング用デバイスは、第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含む。第1および第2のパターンは、照明ビームの第1部分および第2部分の各々にパターンを付与する。投影光学系は、基板の目標部分に第1および第2のパターン付きビームを投影する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射系および方法に関し、特に、リソグラフィシステムにおける最小寸法の不均一性を補償する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置は、所望のパターンを基板または基板の一部に転写する機械である。露光装置は、たとえばフラットパネルディスプレイや集積回路(IC)、微細構造を有する他のデバイスの製造に用いられる。通常はたとえばマスクまたはレチクルと称されるパターニング用デバイスを使用して、フラットパネルディスプレイ(または他のデバイス)の各層に対応した回路パターンを形成する。このパターンは、基板に塗布された照射感応材料(レジスト)層への像形成により基板(たとえばガラスプレート)の全体または一部に転写される。
【0003】
パターニング手段を使用して、回路パターンではなくたとえばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを形成する場合もある。パターニング用デバイスは、それぞれ個別に制御可能である素子の配列(以下「個別制御可能素子アレイ」という場合もある)を備えるパターニングアレイをマスクの代わりに備えてもよい。このような方式ではマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを変更することができる。
【0004】
フラットパネルディスプレイの基板は通常長方形である。この種の基板を露光するための露光装置は、長方形基板の幅全体またはその一部(たとえば全幅の半分)をカバーする露光空間を有するように設計される。この露光空間の最下部で基板が走査されるとともに、マスク又はレチクルが基板の走査に同期してビームに対して走査される。このようにして基板にパターンが転写される。露光空間が基板の幅全体をカバーする場合には1回の走査で露光が完了する。露光空間がたとえば基板の幅の半分をカバーする場合には、1回目の露光後に横方向に基板を移動させ、通常は基板の残りを露光するための走査をもう一度行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、リソグラフィシステムは、照明ビームを生成するための放射源としてレーザを用いる。レーザは、一般的に、たとえば直線偏光、円偏光、または楕円偏光などの偏光を生成する。照明は、たとえば、コンベンショナルな照明、輪帯照明、四極照明などの様々な種類とすることができる。露光プロセスに偏光を用いることに伴う問題は、異なる偏光方向が、パターニング用デバイス上のパターンやリソグラフィシステムにおける光学素子の様々な種類のコーティングと、異なって相互作用することである。この結果として、基板上に形成されるフィーチャの最小寸法(CDs)が変化する可能性がある。また、マスクを用いたシステムにおいては、異なる偏光方向がマスクの回折パターンと異なって相互作用するために、基板に形成されたフィーチャのCDsが変化する可能性がある。回折パターンは、偏光方向に依存する可能性があるからである。従って、パターン、コーティング、または回折パターンの結果として、偏光は、基板上に形成されるフィーチャのCDsを変化させてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、基板上に形成されるフィーチャの最小寸法の変化を実質的に低減または除去するために、放射ビームの異なる偏光成分を補償するシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態においては、照明光学系、パターニング用デバイス、および投影光学系を備えたリソグラフィシステムが提供される。照明光学系は、放射照明ビームを発生し、放射源と光学系(光学システム)を備える。放射源は、放射ビームを生成する。光学系は、サイクルの第1部分の間に第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出するよう構成される。パターニング用デバイスは、第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含む。第1および第2のパターンは、放射照明ビームの第1および第2部分の各々にパターンを付与する。投影光学系は、基板の目標部分に第1および第2のパターン付きビームを投影する。
【0008】
本発明の他の実施形態においては、以下の工程を備えるデバイス製造方法が提供される。露光サイクルの間に、放射ビームを生成する工程。露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分を、第1の光近接効果補正を含む第1のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程。パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程。露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分を、第2の光近接効果補正を含む第2のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程。パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程。
【0009】
本発明のさらなる実施形態や特徴、効果は、本発明のさまざまな実施形態の構成及び作用とともに添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
【0010】
添付の図面は、ここに組み込まれ、本明細書の一部を構成しているが、明細書と共に本発明の一つ以上の実施形態を説明し、さらに、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を利用するのに役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ一つ以上の実施形態を開示している。開示された実施形態は、単に本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限られない。本発明は、この文書に添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0012】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態の一実施例」とは、説明した実施形態が特定のフィーチャ、構造、または特徴を含んでいてもよいことを表すが、すべての実施形態がその特定のフィーチャ、構造、または特徴を必ずしも含んでいるわけではない。さらにまた、上記のフレーズは必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定のフィーチャ、構造、または特徴を一実施形態に関して説明するとき、明示的に説明しようがしまいが、他の実施形態に関してそのような特定のフィーチャ、構造、または特徴を作用させることは、当業者の知識の範囲内であるとして理解すべきである。
【0013】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施形態は、また、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行されるコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたインストラクションとして実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、機械により読み取り可能な形式の情報を記憶または伝送するメカニズムを含んでもよい(たとえば、コンピュータデバイス)。たとえば、コンピュータ読み取り可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気ディスク記憶媒体;光記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションは、特定の動作を実行できるものとして、ここで説明されてもよい。しかしながら、このような説明は、単に便宜上のためだけであり、このような動作は、実際は、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションなどを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。この装置は、照明光学系IL、パターニング用デバイスPD、基板テーブルWT、及び投影光学系PSを備える。照明光学系(照明器)ILは放射ビームB(たとえばUV放射)を調整するよう構成されている。
【0015】
パターニング用デバイスPD(たとえばレチクル、マスク、または個別制御可能素子アレイ)はビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影光学系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメタに従って正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
【0016】
基板テーブルWTは、基板(たとえばレジストが塗布された基板)Wを支持するよう構成されており、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
【0017】
投影光学系(たとえば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wの(たとえば1つ又は複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている。
【0018】
照明光学系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
【0019】
本明細書において「パターニング用デバイス」または「コントラストデバイス」なる用語は、たとえば基板の目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。これらのデバイスは静的なパターニング用デバイス(たとえばマスクやレチクル)であってもよいし、動的なパターニング用デバイス(たとえばプログラム可能な素子の配列)であってもよい。簡単のために本説明のほとんどは動的パターニング用デバイスの観点でなされているが、本発明の範囲を逸脱することなく静的パターニング用デバイスを用いることも可能であるものと理解されたい。
【0020】
放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャをたとえば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。
【0021】
通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイスたとえば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(たとえばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニング用デバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。
【0022】
電子的手段(たとえばコンピュータ)によりパターンをプログラム可能であるパターニング用デバイスは、たとえば複数のプログラム可能な素子を含むパターニング用デバイス(たとえば1つ前の文章に挙げたものではレチクルを除くすべてのものが該当する)であり、本明細書では総称して「コントラストデバイス」と呼ぶこととする。一実施例ではパターニング用デバイスは少なくとも10個のプログラム可能な素子を備え、またはたとえば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個のプログラム可能な素子を備えてもよい。
【0023】
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理はたとえば、反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。
【0024】
なお代替例として、フィルタにより回折光を取り除いて基板に非回折光を到達させるようにしてもよい。
【0025】
同様にして回折光学MEMS(微小電気機械システム)デバイスを用いることもできる。一例としては、回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する回折格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。
【0026】
プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜しうる。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。
【0027】
パターニング用デバイスPDの他の例はプログラム可能なLCDアレイである。
【0028】
露光装置は1つ以上のコントラストデバイスを備えてもよい。たとえば、露光装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれの素子が互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明光学系(または照明光学系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影光学系(または投影光学系の一部)を共有していてもよい。
【0029】
一実施例としては、図1に示される実施形態のように、基板Wは実質的に円形状である。基板Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。一実施例としては、基板はたとえば長方形などの多角形形状でもよい。
【0030】
基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mmであってもよく、またはたとえば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。一実施例では、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。
【0031】
基板がたとえば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、またはたとえば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、またはたとえば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。
【0032】
一実施例では、基板の少なくとも1辺の長さが、長くても1000cm、またはたとえば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。
【0033】
一実施例においては、基板Wはウエハであり、たとえば半導体ウエハである。一実施例ではウエハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。一実施例ではウエハはIII−V族化合物半導体ウエハである。一実施例ではウエハはシリコンウエハである。一実施例では基板はセラミック基板である。一実施例では基板はガラス基板である。一実施例では基板はプラスチック基板である。一実施例では基板は(ヒトの裸眼で)透明である。一実施例では基板は有色である。一実施例では基板は無色である。
【0034】
この基板の厚さはたとえば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。一実施例では、基板の厚さは、少なくとも50μmであり、またはたとえば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施例では、基板の厚さは、厚くても5000μm、たとえば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。
【0035】
基板は露光前または露光後においてたとえばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、計測装置、及び/または検査装置により処理されてもよい。一実施例ではレジスト層が基板に設けられる。
【0036】
本明細書では投影光学系または投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影光学系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影光学系にはたとえば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影光学系または投影系という用語と同義に用いられ得る。
【0037】
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、たとえば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、たとえばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどの合焦用素子のアレイを含んでもよい。一実施例では合焦用素子のアレイ(たとえばMLA)は少なくとも10個の合焦用素子を備え、またはたとえば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個の合焦用素子を備えてもよい。一実施例においては、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数と合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数とは等しいか、あるいは、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数が合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数よりも多い。一実施例では、合焦用素子のアレイにおける1つ以上(たとえばたいていは各アレイにつき1000以上)の合焦用素子は、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(たとえば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関していてもよい。一実施例では、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向にたとえば1以上のアクチュエータを用いて移動可能である。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなくたとえば焦点合わせをすることが可能となる。
【0038】
図1及び図2に示されるように本装置は反射型(たとえば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(たとえば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
【0039】
露光装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0040】
露光装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有するたとえば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、たとえばパターニング用デバイスと投影系との間などの露光装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
【0041】
図1に示されるように照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。一実施例では、放射源により、少なくとも5nm、またはたとえば少なくとも10nm、少なくとも11−13nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。一実施例では、放射源SOにより供される放射は、長くても450nm、またはたとえば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。一実施例では、この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含む。一実施例では、この放射は365nm程度、または355nm程度の波長を含む。一実施例では、この放射はたとえば365nm、405nm、及び436nmの波長を含む広帯域の波長を含む。355nmの波長のレーザ光源を使用し得る。たとえば光源がエキシマレーザである場合には、光源と露光装置とは別体であってもよい。この場合、光源は露光装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDはたとえば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源は露光装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
【0042】
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。照明器IL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。たとえば各分割ビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのにたとえば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含するが、これに限定されないものとする。
【0043】
放射ビームBは、パターニング用デバイスPD(たとえば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニング用デバイスにより変調される。放射ビームはパターニング用デバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF2(たとえば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTは正確に移動され、たとえば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。また、個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、たとえば走査中にビームBの経路に対してパターニング用デバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。
【0044】
一実施例においては、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により基板テーブルWTの移動を実現する。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。一実施例では基板テーブルWTを移動させるためのショートストロークモジュールを省略してもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。たとえばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能なさらなる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。たとえば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
【0045】
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニング用デバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニング用デバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニング用デバイスに入射させるようにすることもできる。一実施例では放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニング用デバイスに入射する。またはたとえば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニング用デバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと伝達する。しかしながら放射ビームBをパターニング用デバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニング用デバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
【0046】
図示の装置はいくつかのモードで使用することができる。
【0047】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
【0048】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0049】
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
【0050】
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、ビームBが基板W上を走査し露光しているときに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
【0051】
5.ピクセルグリッド結像モードでは、基板Wに形成されるパターンはスポット状の露光を連続的に行うことにより実現される。このモードは図2の露光装置を使用して実現することができる。このスポット状の露光はスポット発生器により形成され、スポット発生器はパターニング用デバイスPDに適切に方向付けられて配置されている。スポット状の露光はそれぞれ実質的に同形状である。基板W上には露光スポットにより最終的に実質的に格子が描かれる。一実施例では、このスポットの寸法は最終的に基板上に描かれる格子のピッチよりも大きいが、毎回の露光時に露光スポットが形成する格子の大きさよりもかなり小さい。転写されるスポットの強度を変化させることによりパターンが形成される。露光照射の合間に各スポットの強度分布が変更される。
【0052】
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
【0053】
リソグラフィでは基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与の線量閾値を超える照射量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の照射量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。たとえば、エッチング工程においては上記の閾値を超える照射量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の照射量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニング用デバイス内の個別制御可能素子は、パターン図形内部となる基板上の区域での露光中の照射量が線量閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、線量閾値以下の放射を受ける。
【0054】
実際には、パターン図形端部での照射量は所与の最大線量からゼロへと急激に変化するわけではない。この照射量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、照射量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射された線量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域での線量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、強度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の強度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
【0055】
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィーシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。一実施例では、少なくとも3種類の放射強度が基板に投影されてもよく、またはたとえば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、または少なくとも256種類の放射強度でもよい。
【0056】
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。たとえば、照射された線量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。たとえば、第1の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1の線量閾値以上で第2の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2の線量閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での線量のプロファイルが2以上の望ましい線量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施例では、この線量プロファイルは少なくとも2つの所望の線量レベルを有し、またはたとえば少なくとも3つの所望の線量レベル、少なくとも4つの所望の線量レベル、少なくとも6つの所望の線量レベル、または少なくとも8つの所望の線量レベルを有してもよい。
【0057】
線量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。たとえば、基板上の各点が受ける照射量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して用いることにより代替的にまたは追加的に各点が受ける照射量を制御することが可能となる。
【0058】
基板上に要求されるパターンを形成するために、露光処理中の各段階でパターニング用デバイスの各個別制御可能素子を必要な状態に設定する必要がある。よって、この必要状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達されなければならない。一実施例では、露光装置はこの制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるべきパターンは、たとえばGDSIIなどのベクトルで規定されるフォーマットで露光装置に供給されうる。デザイン情報を各個別制御可能素子用の制御信号に変換するために、制御部は、1つ以上のデータ処理装置を含む。各データ処理装置は、パターンを表すデータストリームに処理を施すように構成されている。データ処理装置は「データパス」とも総称される。
【0059】
このデータパス及びデータ処理装置は、次に示す機能の1つ以上を実行するように構成されていてもよい。その機能とは、ベクトルベースのデザイン情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを必要とされる線量マップ(つまり基板上で必要とされる線量のプロファイル)に変換すること、必要とされる線量マップを各個別制御可能素子用の必要放射強度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子用の必要放射強度値を対応する制御信号に変換することである。
【0060】
図2は、本発明に係る露光装置の一例を示す図である。この実施例はたとえばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてののさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
【0061】
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(たとえばフィールドレンズ)により合焦させられる。
【0062】
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれ、パターニング用デバイスPDの1つ以上の個別制御可能素子に対応している。各レンズは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイには8つのレンズ14が示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニング用デバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係り、図2のシステムを用いて基板W上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影されるスポットSの配列を示す。基板は、基板上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影された各スポットは基板上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSEの露光により形成される露光スポット列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。上述のようにこのような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
【0064】
照射スポットSの配列が基板Wに対して角度θをなして配置されている様子が示されている(基板Wの端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポット15の配列により基板の全領域がカバーされることになる。一実施例では、角度θは大きくても20°または10°であり、またはたとえば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。一実施例では、角度θは小さくても0.001°である。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態において、どのようにしてフラットパネルディスプレイの基板W全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。この例では照射スポットSの配列SAが8つの光学エンジン(図示せず)により形成される。光学エンジンはチェス盤のように2つの列R1、R2に配置されている。照射スポットの配列の端部が隣接の照射スポット配列の端部に(走査方向であるY方向において)少し重なるように形成される。一実施例では光学エンジンは少なくとも3列、たとえば4列または5列に配列される。このようにして、照射の帯が基板Wの幅を横切って延び、1回の走査で基板全体の露光が実現されることとなる。光学エンジンの数は適宜変更してもよい。一実施例では、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、またはたとえば少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。一実施例では、光学エンジンの数は40個未満であり、またはたとえば30個未満または20個未満である。
【0066】
各光学エンジンは、上述の照明系IL、パターニング用デバイスPD、及び投影系PSを別個に備えてもよい。あるいは2個以上の光学エンジンが1以上の照明系、パターニング用デバイス、及び投影系の少なくとも一部を共有してもよい。
【0067】
[典型的な放射線生成のアレンジメント]
図5、図6および図7は、それぞれ、光学系OSを含む様々な放射線生成システム500、600および700を示す。光学系OSは、パターン付与された照明ビームにおける異なる偏光成分により引き起こされるCDの不均一性を補償するために用いられる。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態に係る放射系500を示す。放射系500は、放射源SOと、光学系OSと、照明器ILを含む。放射源SOおよび光学系OSは、照明器ILと別々に位置している。たとえば、光学系OSは、図1および図2におけるビーム搬送系BDの代わりに、またはビーム搬送系BDに含まれて用いられてもよい。
【0069】
放射源SOは、少なくとも第1および第2の偏光方向若しくは偏光成分を含む放射ビーム502(たとえば、輪帯型、コンベンショナルな型、四極型などのビーム)を生成する。サイクルの第1部分および第2部分のそれぞれの間に、ビーム502の第1および第2の偏光方向(TEおよびTM、四極照明用の水平および垂直ダイポールなど)は、光学系OSを用いることにより、第1および第2の放射ビーム504を形成するよう処理される。本明細書を通じて、サイクルの第1部分および第2部分は、アプリケーションに応じて、実質的に等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
一実施例において、サイクルの第1部分は、第1の走査方向の露光作業における第1パスであってよく、一方、サイクルの第2部分は、第2の、反対向きの走査方向の露光作業における第2パス(たとえば、リターンパス)であってよい。放射系500がリソグラフィに用いられるとき、第1および第2の偏光方向を有する第1および第2のビーム504は、それぞれパターニング用デバイス(図示せず)に導かれる。パターニング用デバイスは、パターニングされているビーム504の異なる偏光方向を調整する(たとえば、補償する)ために、第1部分と第2部分との間でパターンを変化させることができる。たとえば、ビーム504がTE偏光を有するかTM偏光を有するかに対応して、異なる近接効果補正をパターニング用デバイスのパターンに含めることができる。この結果として、CDの不均一性が実質的に低減される。加えて、または代えて、CDの不均一性の低減により、各CDのノードと関連するために要求されるピクセル(アクティブ領域)を少なくできる。これはまた、スループットを増大させることができる。各フィーチャに対する所望の全体的なドーズ量レベルを維持するために、ドーズ量制御が用いられてもよい。
【0071】
図6は、本発明の別の実施形態に係る放射系600を示す。放射系600は、放射デバイスRDと光学系OSを備える放射源SOと、照明器ILと、を備える。加えて、または代えて、放射系600の放射源SOと照明器ILとの間に、ビーム搬送系BD(図示せず、図1および図2参照)が含まれてもよい。放射系600は、上述した放射系500と同じように機能する。一つの例外は、放射源SOは、光学系OSを用いて放射線504を形成するために、サイクルの第1および第2部分の間に、それぞれ第1および第2の偏光方向の光を生成することである。加えて、または代えて、いくつかのSOの機能(たとえば、拡大、焦点調節、コリメーションなど)が光学系OSの前で行われ、いくつかの機能は、光学系OSの後で行われる。
【0072】
図7は、本発明のさらに別の実施形態に係る放射系700を示す。放射系700は、放射源SOと光学系OSを備える照明器ILを有する。加えて、または代えて、光学系OSから出射された光は、光学素子(オプティクス)またはパターニング用デバイス(図示せず、図1または図2参照)上に導かれてもよい。放射系700は、上述の放射系500と同じように機能する。加えて、または代えて、いくつかの照明器ILの機能は、光学系OSの前で行われ、いくつかの機能は、光学系OSの後で行われる。
【0073】
加えて、または代えて、放射系500、600、および700は、本発明の範囲を逸脱することなく、露光装置における他の照明光学系、すなわち、露光照明光学系以外の、アライメント照明光学系や検出システムなどに用いることができる。
【0074】
加えて、または代えて、放射系500、600、および700は、他の環境における照明光学系に代えて用いることができる。
【0075】
[典型的な光学系の構成]
図8、図9、および図10は、本発明の様々な実施形態に係る光学系OSの様々な構成を示す。光学系OS8、OS9、およびOS10は、各半サイクルの間に各偏光方向のうち一つの偏光方向の「フィルタリング」を可能とするデバイス800、900、または100を含む。一実施例において、パターニング用デバイス(図示せず)は、各半サイクルの間に一つのみの偏光方向を有するビーム504を受け取るので、上述したように、パターニング用デバイス上のパターンをその偏光方向と関連づけることができる。
【0076】
図8の光学系OS8は、回転偏光ホイール800を含む。ホイール800は、アクチュエータ802を用いることにより、サイクルの周波数、またはその周波数の分周と同期して回転することができる。ホイール800の各アーム804は、偏光子、検光子、または同種のフィルタリングデバイス806を含む。偏光子806により、各半サイクルの間に、2つの偏光方向のうちそれぞれ一つの偏光方向だけがホイール800を透過することができる。考察を簡略化するために、4つのアーム804のみが図示されているが、いくつのアーム804が用いられてもよいことを理解されたい。ホイール800の回転率は、アーム804の数と関連づけることも可能である。たとえば、多数のアーム804を用いることにより、ホイール800の回転率を低くすることができ、一方、その逆もまた成り立つ。
【0077】
作動中、サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ802は、軸810周りにホイール800を回転する(矢印808の両方向に)。この回転により、偏光子806のそれぞれ一つが、ビーム502のビームパス(ビーム経路)に位置することができる。ビーム504の偏光方向は、どの偏光子806がビームパスに位置しているかに基づいている。
【0078】
図9の光学系OS9は、回転する偏光子または検光子900を含む。検光子900は、アクチュエータ902を使用することにより、サイクルの周波数、またはその周波数の分周と同期して回転することができる。検光子900の回転位置は、2つの偏光方向のうちいずれが、たとえば検光子900上に矢印で示されたTEまたはTMのいずれが、そこを通って送出されるかを決定する。作動中、サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ902は、検光子900を軸910周りに90度回転(矢印908の両方向に)する。従って、ビーム504の偏光方向は、検光子900の回転位置に基づいている。
【0079】
図10は、サイクルの第1部分の間における光学系OS10の偏光ビームスプリッタ1000の配置(上側の図)およびサイクルの第2部分の間における光学系OS10の偏光ビームスプリッタ1000の配置(下側の図)を示す。ビームスプリッタ1000は、第1面1022および第2面1024を有する部位1020を含む。第1面1022は、第1コーティングを有するか、または第1材料1026で形成される。第2面1024は、第2コーティングを有するか、または第2材料1028で形成される。各コーティングまたは材料1026および1028は、第1および第2の偏光方向を有するビームの一部を透過させる。一方、第1および第2の偏光方向の他方を有するビーム502の一部は、反射される。
【0080】
第1の配置では、図10の上側の図に示されるように、ビーム502の第1の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020を透過してビーム504を形成する。また、この第1の配置では、ビーム502の第2の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020からビームダンプ1012に反射される。
【0081】
サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ(図示せず)は、ビームスプリッタ1000を軸1010(これは、紙面に直交する軸を表す)周りに90度回転する。この第2の配置では、図10の下側の図に示されるように、ビーム502の第2の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020を透過してビーム504を形成する。また、この第2の配置では、ビーム502の第1の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020からビームダンプ1014に反射される。
【0082】
上述の実施形態は、本発明に基づいて機能する典型的な光学系に過ぎないことを理解されたい。パターニングされている照明ビームの異なる偏光成分により引き起こされるCDの不均一性の補償を可能とする構造的に、および/または機能的に均等な光学系のその他の構成もまた、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0083】
加えて、または代えて、放射源SO、パターニング用デバイスPD、および/または照明器ILは、それらの光学的特性をより正確にサイクルのその部分の間に用いられる放射ビームの偏光方向と関連づけるために、サイクルの各部分の前、間、および/または後において、調整することができる。この調整は、パッシブまたはアクティブとすることができる。パッシブ調整では、偏光方向に基づいて、予め記憶された調整のセットを形成することができる。アクティブ調整では、偏光方向を補償するために、放射ビームおよび/またはパターン付きビームを検出することができる。加えて、または代えて、アクティブ調整では、光学的特性の誤差も、調整で補償することができる。加えて、または代えて、調整は、生成されるパターンの特性を改善するために、たとえば最小寸法の不均一性を改善するために、用いることができる。検出は、たとえばSEM測定などのオフライン装置や、たとえば画像センサなどのインライン装置で行うことが可能である。
【0084】
[典型的な動作]
図11は、本発明の一実施形態に係る方法1100を表すフローチャートを示す。方法1100は、ビーム504を形成する上述のシステムのいずれかを用いて実行することができる。
【0085】
ステップ1102では、露光サイクルの間に放射ビームが生成される。ステップ1104では、露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分が動的なパターニング用デバイスに導かれる。ステップ1106では、パターン付きビームが基板の目標部分に投影される。ステップ1108では、露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分が動的なパターニング用デバイスに導かれる。ステップ1110では、パターン付きビームが基板の目標部分に投影される。
【0086】
本説明においては露光装置の用途を特定の装置(たとえば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでの露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や光集積回路システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)、LEDなどの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、たとえばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、たとえば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
【0087】
ここでは特に光学的なリソグラフィーを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明はたとえばインプリントリソグラフィーなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光学的なリソグラフィーに限られるものではない。インプリントリソグラフィーでは、パターニング用デバイスのトポグラフィーが基板に生成されるパターンを決める。パターニング用デバイスのトポグラフィーが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニング用デバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
【0088】
[結語]
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の精神と範囲に反することなく種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。本発明の範囲と精神は上記で述べた例示に限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
【0089】
「課題を解決する手段」及び「要約書」の項ではなく「発明の詳細な説明」の項が請求項を解釈するのに使用されるように意図されている。「課題を解決する手段」及び「要約書」の欄は本発明者が考えた本発明の実施例の1つ以上を示すものであるが、すべてを説明するものではない。よって、本発明及び請求項をいかなる形にも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の各実施形態に係る露光装置を示す図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る露光装置を示す図である。
【図3】図2に示される本発明の実施形態により基板にパターンを転写する1つのモードを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光学エンジンの配置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る図5、図6および図7の光学系の構成を示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る図5、図6および図7の光学系の構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る、サイクルの第1部分の間における光学系の偏光ビームスプリッタの配置(上側の図)、および第2部分の間における光学系の偏光ビームスプリッタの配置(下側の図)を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る方法を表すフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
500、600、700 放射系、 502、504 放射ビーム、 800 回転偏光ホイール、 802、902 アクチュエータ、 804 アーム、 806 偏光子、 900 検光子、 1000 偏光ビームスプリッタ、 1012、1014 ビームダンプ、 B 放射ビーム、 C 目標部分、 IL 照明光学系、 OS 光学系、 PD パターニング用デバイス、 PS 投影光学系、 RD 放射デバイス、 SO 放射源、 W 基板、 WT 基板テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射系および方法に関し、特に、リソグラフィシステムにおける最小寸法の不均一性を補償する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置は、所望のパターンを基板または基板の一部に転写する機械である。露光装置は、たとえばフラットパネルディスプレイや集積回路(IC)、微細構造を有する他のデバイスの製造に用いられる。通常はたとえばマスクまたはレチクルと称されるパターニング用デバイスを使用して、フラットパネルディスプレイ(または他のデバイス)の各層に対応した回路パターンを形成する。このパターンは、基板に塗布された照射感応材料(レジスト)層への像形成により基板(たとえばガラスプレート)の全体または一部に転写される。
【0003】
パターニング手段を使用して、回路パターンではなくたとえばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを形成する場合もある。パターニング用デバイスは、それぞれ個別に制御可能である素子の配列(以下「個別制御可能素子アレイ」という場合もある)を備えるパターニングアレイをマスクの代わりに備えてもよい。このような方式ではマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを変更することができる。
【0004】
フラットパネルディスプレイの基板は通常長方形である。この種の基板を露光するための露光装置は、長方形基板の幅全体またはその一部(たとえば全幅の半分)をカバーする露光空間を有するように設計される。この露光空間の最下部で基板が走査されるとともに、マスク又はレチクルが基板の走査に同期してビームに対して走査される。このようにして基板にパターンが転写される。露光空間が基板の幅全体をカバーする場合には1回の走査で露光が完了する。露光空間がたとえば基板の幅の半分をカバーする場合には、1回目の露光後に横方向に基板を移動させ、通常は基板の残りを露光するための走査をもう一度行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、リソグラフィシステムは、照明ビームを生成するための放射源としてレーザを用いる。レーザは、一般的に、たとえば直線偏光、円偏光、または楕円偏光などの偏光を生成する。照明は、たとえば、コンベンショナルな照明、輪帯照明、四極照明などの様々な種類とすることができる。露光プロセスに偏光を用いることに伴う問題は、異なる偏光方向が、パターニング用デバイス上のパターンやリソグラフィシステムにおける光学素子の様々な種類のコーティングと、異なって相互作用することである。この結果として、基板上に形成されるフィーチャの最小寸法(CDs)が変化する可能性がある。また、マスクを用いたシステムにおいては、異なる偏光方向がマスクの回折パターンと異なって相互作用するために、基板に形成されたフィーチャのCDsが変化する可能性がある。回折パターンは、偏光方向に依存する可能性があるからである。従って、パターン、コーティング、または回折パターンの結果として、偏光は、基板上に形成されるフィーチャのCDsを変化させてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、基板上に形成されるフィーチャの最小寸法の変化を実質的に低減または除去するために、放射ビームの異なる偏光成分を補償するシステムおよび方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態においては、照明光学系、パターニング用デバイス、および投影光学系を備えたリソグラフィシステムが提供される。照明光学系は、放射照明ビームを発生し、放射源と光学系(光学システム)を備える。放射源は、放射ビームを生成する。光学系は、サイクルの第1部分の間に第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出するよう構成される。パターニング用デバイスは、第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含む。第1および第2のパターンは、放射照明ビームの第1および第2部分の各々にパターンを付与する。投影光学系は、基板の目標部分に第1および第2のパターン付きビームを投影する。
【0008】
本発明の他の実施形態においては、以下の工程を備えるデバイス製造方法が提供される。露光サイクルの間に、放射ビームを生成する工程。露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分を、第1の光近接効果補正を含む第1のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程。パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程。露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分を、第2の光近接効果補正を含む第2のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程。パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程。
【0009】
本発明のさらなる実施形態や特徴、効果は、本発明のさまざまな実施形態の構成及び作用とともに添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
【0010】
添付の図面は、ここに組み込まれ、本明細書の一部を構成しているが、明細書と共に本発明の一つ以上の実施形態を説明し、さらに、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を利用するのに役立つものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ一つ以上の実施形態を開示している。開示された実施形態は、単に本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限られない。本発明は、この文書に添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0012】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態の一実施例」とは、説明した実施形態が特定のフィーチャ、構造、または特徴を含んでいてもよいことを表すが、すべての実施形態がその特定のフィーチャ、構造、または特徴を必ずしも含んでいるわけではない。さらにまた、上記のフレーズは必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定のフィーチャ、構造、または特徴を一実施形態に関して説明するとき、明示的に説明しようがしまいが、他の実施形態に関してそのような特定のフィーチャ、構造、または特徴を作用させることは、当業者の知識の範囲内であるとして理解すべきである。
【0013】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施形態は、また、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行されるコンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたインストラクションとして実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、機械により読み取り可能な形式の情報を記憶または伝送するメカニズムを含んでもよい(たとえば、コンピュータデバイス)。たとえば、コンピュータ読み取り可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気ディスク記憶媒体;光記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションは、特定の動作を実行できるものとして、ここで説明されてもよい。しかしながら、このような説明は、単に便宜上のためだけであり、このような動作は、実際は、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、インストラクションなどを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る露光装置を模式的に示す図である。この装置は、照明光学系IL、パターニング用デバイスPD、基板テーブルWT、及び投影光学系PSを備える。照明光学系(照明器)ILは放射ビームB(たとえばUV放射)を調整するよう構成されている。
【0015】
パターニング用デバイスPD(たとえばレチクル、マスク、または個別制御可能素子アレイ)はビームを変調する。普通は個別制御可能素子アレイは投影光学系PSに対して位置が固定されるが、あるパラメタに従って正確に位置決めする位置決め装置に接続されていてもよい。
【0016】
基板テーブルWTは、基板(たとえばレジストが塗布された基板)Wを支持するよう構成されており、あるパラメタに従って基板を正確に位置決めする位置決め装置PWに接続されている。
【0017】
投影光学系(たとえば屈折投影レンズ光学系)PSは、個別制御可能素子アレイにより変調された放射ビームを基板Wの(たとえば1つ又は複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている。
【0018】
照明光学系は、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み、放射ビームの向きや形状、あるいは他の特性を制御するためのものである。
【0019】
本明細書において「パターニング用デバイス」または「コントラストデバイス」なる用語は、たとえば基板の目標部分にパターンを生成する等、放射ビーム断面を変調するのに用い得るいかなるデバイスをも示すよう広く解釈されるべきである。これらのデバイスは静的なパターニング用デバイス(たとえばマスクやレチクル)であってもよいし、動的なパターニング用デバイス(たとえばプログラム可能な素子の配列)であってもよい。簡単のために本説明のほとんどは動的パターニング用デバイスの観点でなされているが、本発明の範囲を逸脱することなく静的パターニング用デバイスを用いることも可能であるものと理解されたい。
【0020】
放射ビームに付与されるパターンは、パターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャをたとえば含む場合には基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。また、基板に最終的に形成されるパターンは、個別制御可能素子アレイ上に形成されるパターンにどの時点においても一致しないようになっていてもよい。このような事態は、基板の各部に形成される最終的なパターンが所定時間または所定回数の露光の重ね合わせにより形成され、かつこの所定の露光中に個別制御可能素子アレイ上のパターン及び/またはアレイと基板との相対位置が変化する場合に起こりうる。
【0021】
通常、基板の目標部分に生成されるパターンは、その目標部分に生成されるデバイスたとえば集積回路やフラットパネルディスプレイの特定の機能層に対応する(たとえばフラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層や薄膜トランジスタ層)。パターニング用デバイスの例としては、レチクル、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、LEDアレイ、グレーティングライトバルブ、及びLCDアレイなどがある。
【0022】
電子的手段(たとえばコンピュータ)によりパターンをプログラム可能であるパターニング用デバイスは、たとえば複数のプログラム可能な素子を含むパターニング用デバイス(たとえば1つ前の文章に挙げたものではレチクルを除くすべてのものが該当する)であり、本明細書では総称して「コントラストデバイス」と呼ぶこととする。一実施例ではパターニング用デバイスは少なくとも10個のプログラム可能な素子を備え、またはたとえば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、少なくとも1,000,000個、または少なくとも10,000,000個のプログラム可能な素子を備えてもよい。
【0023】
プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層と反射表面とを有するマトリックス状のアドレス指定可能な表面を備えてもよい。この装置の基本的な原理はたとえば、反射表面のうちアドレス指定されている区域が入射光を回折光として反射する一方、アドレス指定されていない区域が入射光を非回折光として反射するというものである。適当な空間フィルタを用いることにより、反射光ビームから非回折光を取り除いて回折光だけを基板に到達させるようにすることができる。このようにして、マトリックス状のアドレス指定可能表面にアドレス指定により形成されるパターンに従ってビームにパターンが付与される。
【0024】
なお代替例として、フィルタにより回折光を取り除いて基板に非回折光を到達させるようにしてもよい。
【0025】
同様にして回折光学MEMS(微小電気機械システム)デバイスを用いることもできる。一例としては、回折光学MEMSデバイスは、入射光を回折光として反射する回折格子を形成するよう変形される複数の反射性のリボン状部位を備える。
【0026】
プログラマブルミラーアレイの他の例においては、マトリックス状の微小ミラーの配列が用いられる。各微小ミラーは局所的に電界を適宜付与されることによりまたは圧電駆動手段を使用することにより各々が独立に軸周りに傾斜しうる。繰り返しになるが、ミラーはマトリックス状にアドレス指定可能に構成されており、アドレス指定されたミラーは入射する放射ビームをアドレス指定されていないミラーとは異なる方向に反射する。このようにしてマトリックス状のアドレス指定可能なミラーにより形成されるパターンに従って反射ビームにパターンが付与されうる。必要とされるマトリックス状アドレス指定は、適宜の電子的手段を使用して実行することができる。
【0027】
パターニング用デバイスPDの他の例はプログラム可能なLCDアレイである。
【0028】
露光装置は1つ以上のコントラストデバイスを備えてもよい。たとえば、露光装置は、複数の個別制御可能素子アレイを有し、それぞれの素子が互いに独立に制御されるものであってもよい。この構成においては、個別制御可能素子アレイのうちのいくつかのアレイまたはすべてのアレイが少なくとも1つの照明光学系(または照明光学系の一部)を共有していてもよい。斯かるアレイは当該アレイ用の支持構造及び/または投影光学系(または投影光学系の一部)を共有していてもよい。
【0029】
一実施例としては、図1に示される実施形態のように、基板Wは実質的に円形状である。基板Wは周縁部にノッチ及び/または平坦部を有していてもよい。一実施例としては、基板はたとえば長方形などの多角形形状でもよい。
【0030】
基板の形状が実質的に円形の場合、基板の直径は少なくとも25mmであってもよく、またはたとえば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmであってもよい。一実施例では、基板の直径は長くても500mm、長くても400mm、長くても350mm、長くても300mm、長くても250mm、長くても200mm、長くても150mm、長くても100mm、または長くても75mmである。
【0031】
基板がたとえば長方形などの多角形の場合、基板の少なくとも1辺の長さ、またはたとえば少なくとも2辺または少なくとも3辺の長さが、少なくとも5cmであってもよく、またはたとえば少なくとも25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmであってもよい。
【0032】
一実施例では、基板の少なくとも1辺の長さが、長くても1000cm、またはたとえば長くても750cm、長くても500cm、長くても350cm、長くても250cm、長くても150cm、または長くても75cmである。
【0033】
一実施例においては、基板Wはウエハであり、たとえば半導体ウエハである。一実施例ではウエハの材料は、Si(ケイ素)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、SiGeC(シリコンゲルマニウムカーボン)、SiC(炭化ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、InP(インジウムリン)、InAs(インジウムヒ素)から成るグループから選択される。一実施例ではウエハはIII−V族化合物半導体ウエハである。一実施例ではウエハはシリコンウエハである。一実施例では基板はセラミック基板である。一実施例では基板はガラス基板である。一実施例では基板はプラスチック基板である。一実施例では基板は(ヒトの裸眼で)透明である。一実施例では基板は有色である。一実施例では基板は無色である。
【0034】
この基板の厚さはたとえば基板材料及び/または基板寸法に応じてある程度変更される。一実施例では、基板の厚さは、少なくとも50μmであり、またはたとえば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施例では、基板の厚さは、厚くても5000μm、たとえば厚くても3500μm、厚くても2500μm、厚くても1750μm、厚くても1250μm、厚くても1000μm、厚くても800μm、厚くても600μm、厚くても500μm、厚くても400μm、または厚くても300μmである。
【0035】
基板は露光前または露光後においてたとえばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、計測装置、及び/または検査装置により処理されてもよい。一実施例ではレジスト層が基板に設けられる。
【0036】
本明細書では投影光学系または投影系という用語は、使用される露光光、あるいは液浸露光用液体や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影光学系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影光学系にはたとえば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である投影光学系または投影系という用語と同義に用いられ得る。
【0037】
投影系は、個別制御可能素子アレイにおけるパターンが基板上にコヒーレントに形成されるように当該パターンの像を形成する。これに代えて投影系は二次光源の像を形成してもよく、この場合個別制御可能素子アレイの各素子はシャッタとして動作してもよい。この場合には投影系は、たとえば二次光源を形成し基板上にスポット状に像形成するために、たとえばマイクロレンズアレイ(micro lens array、MLAとして知られている)やフレネルレンズアレイなどの合焦用素子のアレイを含んでもよい。一実施例では合焦用素子のアレイ(たとえばMLA)は少なくとも10個の合焦用素子を備え、またはたとえば少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、少なくとも100,000個、または少なくとも1,000,000個の合焦用素子を備えてもよい。一実施例においては、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数と合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数とは等しいか、あるいは、パターニング用デバイスにおける個別制御可能素子の数が合焦用素子のアレイにおける合焦用素子の数よりも多い。一実施例では、合焦用素子のアレイにおける1つ以上(たとえばたいていは各アレイにつき1000以上)の合焦用素子は、個別制御可能素子アレイにおける1つ以上(たとえば2つ以上、または3つ以上、5つ以上、10以上、20以上、25以上、35以上、または50以上)の個別制御可能素子に光学的に連関していてもよい。一実施例では、MLAは、少なくとも基板に近づく方向及び遠ざかる方向にたとえば1以上のアクチュエータを用いて移動可能である。基板に近づく方向及び遠ざかる方向にMLAを移動させることができる場合には、基板を動かすことなくたとえば焦点合わせをすることが可能となる。
【0038】
図1及び図2に示されるように本装置は反射型(たとえば反射型の個別制御可能素子アレイを用いる)である。透過型(たとえば透過型の個別制御可能素子アレイを用いる)の装置を代替的に用いてもよい。
【0039】
露光装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルを備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されるようにしてもよい。
【0040】
露光装置は、基板の少なくとも一部が「液浸露光用の液体」で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有するたとえば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、たとえばパターニング用デバイスと投影系との間などの露光装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
【0041】
図1に示されるように照明器ILは放射源SOから放射ビームを受け取る。一実施例では、放射源により、少なくとも5nm、またはたとえば少なくとも10nm、少なくとも11−13nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの波長を有する放射が供される。一実施例では、放射源SOにより供される放射は、長くても450nm、またはたとえば長くても425nm、長くても375nm、長くても360nm、長くても325nm、長くても275nm、長くても250nm、長くても225nm、長くても200nm、または長くても175nmの波長を有する。一実施例では、この放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、及び/または126nmの波長を含む。一実施例では、この放射は365nm程度、または355nm程度の波長を含む。一実施例では、この放射はたとえば365nm、405nm、及び436nmの波長を含む広帯域の波長を含む。355nmの波長のレーザ光源を使用し得る。たとえば光源がエキシマレーザである場合には、光源と露光装置とは別体であってもよい。この場合、光源は露光装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOから照明器ILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDはたとえば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が水銀ランプである場合には、光源は露光装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明器ILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系と総称される。
【0042】
照明器ILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般にはアジャスタADにより、照明器の瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えて照明器ILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。照明器はビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。照明器IL及び追加の関連構成要素は放射ビームを複数の分割ビームに分割するように構成されていてもよい。たとえば各分割ビームが個別制御可能素子アレイにおける1つまたは複数の個別制御可能素子に対応するように構成してもよい。放射ビームを分割ビームに分割するのにたとえば二次元の回折格子を用いてもよい。本明細書においては「放射ビーム」という用語は、放射ビームがこれらの複数の分割ビームを含むという状況も包含するが、これに限定されないものとする。
【0043】
放射ビームBは、パターニング用デバイスPD(たとえば、個別制御可能素子アレイ)に入射して、当該パターニング用デバイスにより変調される。放射ビームはパターニング用デバイスPDにより反射され、投影系PSを通過する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる。位置決め装置PWと位置センサIF2(たとえば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTは正確に移動され、たとえば放射ビームBの経路に異なる複数の目標部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。また、個別制御可能素子アレイ用の位置決め手段が設けられ、たとえば走査中にビームBの経路に対してパターニング用デバイスPDの位置を正確に補正するために用いられてもよい。
【0044】
一実施例においては、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により基板テーブルWTの移動を実現する。ロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールは図1には明示されていない。一実施例では基板テーブルWTを移動させるためのショートストロークモジュールを省略してもよい。個別制御可能素子アレイを位置決めするためにも同様のシステムを用いることができる。必要な相対運動を実現するために、対象物テーブル及び/または個別制御可能素子アレイの位置を固定する一方、放射ビームBを代替的にまたは追加的に移動可能としてもよいということも理解されよう。この構成は装置の大きさを小さくするのに役立ち得る。たとえばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能なさらなる代替例として、基板テーブルWT及び投影系PSを固定し、基板Wを基板テーブルWTに対して移動させるように構成してもよい。たとえば基板テーブルWTは、実質的に一定の速度で基板Wを走査させるための機構を備えてもよい。
【0045】
図1に示されるように放射ビームBはビームスプリッタBSによりパターニング用デバイスPDに向けられるようにしてもよい。このビームスプリッタBSは、放射ビームがまずビームスプリッタBSにより反射されてパターニング用デバイスPDに入射するように構成される。ビームスプリッタを使わずに放射ビームをパターニング用デバイスに入射させるようにすることもできる。一実施例では放射ビームは0度から90度の間の角度でパターニング用デバイスに入射する。またはたとえば5度から85度の間、15度から75度の間、25度から65度の間、または35度から55度の間の角度であってもよい(図1には90度の例が示されている)。パターニング用デバイスPDは放射ビームBを変調し、再度ビームスプリッタBSに向かって戻るように放射ビームBを反射する。ビームスプリッタBSは変調されたビームを投影系PSへと伝達する。しかしながら放射ビームBをパターニング用デバイスPDに入射させ、そのまま更に投影系PSに入射させるという代替的な構成も可能であることも理解されよう。特に透過型のパターニング用デバイスが用いられる場合には図1に示される構成は必要とはされない。
【0046】
図示の装置はいくつかのモードで使用することができる。
【0047】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズによって、1回の静的露光で結像される目標部分Cの寸法が制限されることになる。
【0048】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、個別制御可能素子アレイ及び基板は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。個別制御可能素子アレイに対する基板の速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが1回の動的露光での目標部分Cの(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0049】
3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子アレイは実質的に静止状態とされ、パルス放射源により基板Wの目標部分Cにパターンの全体が投影される。基板テーブルWTが実質的に一定の速度で移動して、ビームBは基板上を線状に走査させられる。個別制御可能素子アレイ上のパターンは放射系からのパルス間に必要に応じて更新される。パルス照射のタイミングは、基板上の複数の目標部分Cが連続して露光されるように調整される。その結果、基板上の1つの短冊状領域にパターンが完全に露光されるようビームBにより基板Wが走査されることになる。この短冊状領域の露光を順次繰り返すことにより基板Wは完全に露光される。
【0050】
4.連続スキャンモードは基本的にパルスモードと同様である。異なるのは、変調された放射ビームBに対して基板Wが実質的に等速で走査され、ビームBが基板W上を走査し露光しているときに個別制御可能素子アレイ上のパターンが更新されることである。個別制御可能素子アレイのパターンの更新に同期させるようにした、実質的に一定の放射源またはパルス放射源を用いることができる。
【0051】
5.ピクセルグリッド結像モードでは、基板Wに形成されるパターンはスポット状の露光を連続的に行うことにより実現される。このモードは図2の露光装置を使用して実現することができる。このスポット状の露光はスポット発生器により形成され、スポット発生器はパターニング用デバイスPDに適切に方向付けられて配置されている。スポット状の露光はそれぞれ実質的に同形状である。基板W上には露光スポットにより最終的に実質的に格子が描かれる。一実施例では、このスポットの寸法は最終的に基板上に描かれる格子のピッチよりも大きいが、毎回の露光時に露光スポットが形成する格子の大きさよりもかなり小さい。転写されるスポットの強度を変化させることによりパターンが形成される。露光照射の合間に各スポットの強度分布が変更される。
【0052】
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードで使用してもよい。
【0053】
リソグラフィでは基板上のレジスト層にパターンが露光される。そしてレジストが現像される。続いて追加の処理工程が基板に施される。基板の各部分へのこれらの追加の処理工程の作用は、レジストへの露光の程度によって異なる。特にこの処理は、所与の線量閾値を超える照射量を受けた基板の部位が示す反応と、その閾値以下の照射量を受けた部位が示す反応とが異なるように調整されている。たとえば、エッチング工程においては上記の閾値を超える照射量を受けた基板上の区域は、レジスト層が現像されることによりエッチングから保護される。一方、この閾値以下の照射量を受けたレジストは露光後の現像工程で除去され、基板のその区域はエッチングから保護されない。このため、所望のパターンにエッチングがなされる。特に、パターニング用デバイス内の個別制御可能素子は、パターン図形内部となる基板上の区域での露光中の照射量が線量閾値を超えるように実質的に高強度であるように設定される。基板の他の領域は、ゼロまたはかなり低い放射強度を受けるように対応の個別制御可能素子が設定されることにより、線量閾値以下の放射を受ける。
【0054】
実際には、パターン図形端部での照射量は所与の最大線量からゼロへと急激に変化するわけではない。この照射量は、たとえ図形の境界部分の一方の側への放射強度が最大となり、かつその図形境界部分の他方の側への放射強度が最小となるように個別制御可能素子が設定されていたとしても急激には変化しない。回折の影響により、照射量の大きさは移行領域を介して低下するからである。パターン図形の境界位置は最終的にレジストの現像により形成される。その境界位置は、照射された線量が閾値を下回る位置によって定められる。この移行領域での線量低下のプロファイル、ひいてはパターン図形の境界の正確な位置は、当該図形境界上または近傍に位置する基板上の各点に放射を与える個別制御可能素子の設定により、より正確に制御できるであろう。これは、強度レベルの最大値または最小値を制御するだけではなく、当該最大値及び最小値の間の強度レベルにも制御することによっても可能となるであろう。これは通常「グレイスケーリング」と呼ばれる。
【0055】
グレイスケーリングによれば、個別制御可能素子により基板に2値の放射強度(つまり最大値と最小値)だけが与えられるリソグラフィーシステムよりも、パターン図形の境界位置の制御性を向上させることができる。一実施例では、少なくとも3種類の放射強度が基板に投影されてもよく、またはたとえば少なくとも4種類の放射強度でも、少なくとも8種類の放射強度でも、少なくとも16種類の放射強度でも、少なくとも32種類の放射強度でも、少なくとも64種類の放射強度でも、少なくとも128種類の放射強度でも、または少なくとも256種類の放射強度でもよい。
【0056】
グレイスケーリングは上述の目的に加えてまたは上述の目的に代えて使用されてもよい。たとえば、照射された線量レベルに応じて基板の各領域が2種以上の反応を可能とするように、露光後の基板への処理が調整されていてもよい。たとえば、第1の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第1の種類の反応が生じ、第1の線量閾値以上で第2の線量閾値以下の放射を受けた基板の部位では第2の種類の反応が生じ、第2の線量閾値以上の放射を受けた基板の部位では第3の種類の反応が生じるようにしてもよい。したがって、グレイスケーリングは、基板上での線量のプロファイルが2以上の望ましい線量レベルを有するようにするのに用いることができる。一実施例では、この線量プロファイルは少なくとも2つの所望の線量レベルを有し、またはたとえば少なくとも3つの所望の線量レベル、少なくとも4つの所望の線量レベル、少なくとも6つの所望の線量レベル、または少なくとも8つの所望の線量レベルを有してもよい。
【0057】
線量プロファイルの制御は、上述のように基板上の各点が受ける放射強度を単に制御するという方法以外の方法によっても可能である。たとえば、基板上の各点が受ける照射量は、各点への露光時間を代替的にまたは追加的に制御することによっても制御することができる。他の例として、基板上の各点は、連続的な複数の露光により放射を受けてもよい。このような連続的複数露光から一部の露光を選択して用いることにより代替的にまたは追加的に各点が受ける照射量を制御することが可能となる。
【0058】
基板上に要求されるパターンを形成するために、露光処理中の各段階でパターニング用デバイスの各個別制御可能素子を必要な状態に設定する必要がある。よって、この必要状態を表す制御信号が各個別制御可能素子に伝達されなければならない。一実施例では、露光装置はこの制御信号を生成する制御部を含む。基板に形成されるべきパターンは、たとえばGDSIIなどのベクトルで規定されるフォーマットで露光装置に供給されうる。デザイン情報を各個別制御可能素子用の制御信号に変換するために、制御部は、1つ以上のデータ処理装置を含む。各データ処理装置は、パターンを表すデータストリームに処理を施すように構成されている。データ処理装置は「データパス」とも総称される。
【0059】
このデータパス及びデータ処理装置は、次に示す機能の1つ以上を実行するように構成されていてもよい。その機能とは、ベクトルベースのデザイン情報をビットマップのパターンデータに変換すること、ビットマップのパターンデータを必要とされる線量マップ(つまり基板上で必要とされる線量のプロファイル)に変換すること、必要とされる線量マップを各個別制御可能素子用の必要放射強度値に変換すること、及び、各個別制御可能素子用の必要放射強度値を対応する制御信号に変換することである。
【0060】
図2は、本発明に係る露光装置の一例を示す図である。この実施例はたとえばフラットパネルディスプレイの製造に用いることができる。図1に示される構成要素に対応するものには図2においても同じ参照符号を付している。また、基板やコントラストデバイス、MLA、放射ビームなどについてののさまざまな構成例などを含む上述のさまざまな変形例は同様に適用可能である。
【0061】
図2に示されるように、投影系PSは、2つのレンズL1、L2を備えるビームエキスパンダを含む。第1のレンズL1は、変調された放射ビームBを受け、開口絞りASの開口部で合焦させる。開口部には他のレンズALを設けてもよい。そして放射ビームBは発散し、第2のレンズL2(たとえばフィールドレンズ)により合焦させられる。
【0062】
投影系PSは、拡大された変調放射ビームBを受けるように構成されているレンズアレイMLAをさらに備える。変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれレンズアレイMLAの異なる部分を通過する。この変調放射ビームBの異なる部分はそれぞれ、パターニング用デバイスPDの1つ以上の個別制御可能素子に対応している。各レンズは変調放射ビームBの各部分を基板W上の点に合焦させる。このようにして基板W上に照射スポットSの配列が露光される。図示されているレンズアレイには8つのレンズ14が示されているだけであるが、レンズアレイは数千のレンズを含んでもよい(パターニング用デバイスPDとして用いられる個別制御可能素子アレイについても同様である)。
【0063】
図3は、本発明の一実施形態に係り、図2のシステムを用いて基板W上にどのようにパターンが生成されるのかを模式的に示す図である。図中の黒丸は、投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影されるスポットSの配列を示す。基板は、基板上での露光が進むにつれて投影系に対してY方向に移動する。図中の白丸は、基板上で既に露光されている露光スポットSEを示す。図示されるように投影系PSのレンズアレイMLAによって基板に投影された各スポットは基板上に露光スポット列Rを形成する。各スポットSEの露光により形成される露光スポット列Rがすべて合わさって、基板にパターンが完全に形成される。上述のようにこのような方式はよく「ピクセルグリッド結像」と称される。
【0064】
照射スポットSの配列が基板Wに対して角度θをなして配置されている様子が示されている(基板Wの端部はそれぞれX方向及びY方向に平行である)。これは、基板が走査方向(Y方向)に移動するときに、各照射スポットが基板の異なる領域を通過するようにするためである。これにより、照射スポット15の配列により基板の全領域がカバーされることになる。一実施例では、角度θは大きくても20°または10°であり、またはたとえば大きくても5°、大きくても3°、大きくても1°、大きくても0.5°、大きくても0.25°、大きくても0.10°、大きくても0.05°、または大きくても0.01°である。一実施例では、角度θは小さくても0.001°である。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態において、どのようにしてフラットパネルディスプレイの基板W全体が複数の光学エンジンを用いて1回の走査で露光されるのかを模式的に示す図である。この例では照射スポットSの配列SAが8つの光学エンジン(図示せず)により形成される。光学エンジンはチェス盤のように2つの列R1、R2に配置されている。照射スポットの配列の端部が隣接の照射スポット配列の端部に(走査方向であるY方向において)少し重なるように形成される。一実施例では光学エンジンは少なくとも3列、たとえば4列または5列に配列される。このようにして、照射の帯が基板Wの幅を横切って延び、1回の走査で基板全体の露光が実現されることとなる。光学エンジンの数は適宜変更してもよい。一実施例では、光学エンジンの数は少なくとも1個であり、またはたとえば少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも14個、または少なくとも17個である。一実施例では、光学エンジンの数は40個未満であり、またはたとえば30個未満または20個未満である。
【0066】
各光学エンジンは、上述の照明系IL、パターニング用デバイスPD、及び投影系PSを別個に備えてもよい。あるいは2個以上の光学エンジンが1以上の照明系、パターニング用デバイス、及び投影系の少なくとも一部を共有してもよい。
【0067】
[典型的な放射線生成のアレンジメント]
図5、図6および図7は、それぞれ、光学系OSを含む様々な放射線生成システム500、600および700を示す。光学系OSは、パターン付与された照明ビームにおける異なる偏光成分により引き起こされるCDの不均一性を補償するために用いられる。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態に係る放射系500を示す。放射系500は、放射源SOと、光学系OSと、照明器ILを含む。放射源SOおよび光学系OSは、照明器ILと別々に位置している。たとえば、光学系OSは、図1および図2におけるビーム搬送系BDの代わりに、またはビーム搬送系BDに含まれて用いられてもよい。
【0069】
放射源SOは、少なくとも第1および第2の偏光方向若しくは偏光成分を含む放射ビーム502(たとえば、輪帯型、コンベンショナルな型、四極型などのビーム)を生成する。サイクルの第1部分および第2部分のそれぞれの間に、ビーム502の第1および第2の偏光方向(TEおよびTM、四極照明用の水平および垂直ダイポールなど)は、光学系OSを用いることにより、第1および第2の放射ビーム504を形成するよう処理される。本明細書を通じて、サイクルの第1部分および第2部分は、アプリケーションに応じて、実質的に等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
一実施例において、サイクルの第1部分は、第1の走査方向の露光作業における第1パスであってよく、一方、サイクルの第2部分は、第2の、反対向きの走査方向の露光作業における第2パス(たとえば、リターンパス)であってよい。放射系500がリソグラフィに用いられるとき、第1および第2の偏光方向を有する第1および第2のビーム504は、それぞれパターニング用デバイス(図示せず)に導かれる。パターニング用デバイスは、パターニングされているビーム504の異なる偏光方向を調整する(たとえば、補償する)ために、第1部分と第2部分との間でパターンを変化させることができる。たとえば、ビーム504がTE偏光を有するかTM偏光を有するかに対応して、異なる近接効果補正をパターニング用デバイスのパターンに含めることができる。この結果として、CDの不均一性が実質的に低減される。加えて、または代えて、CDの不均一性の低減により、各CDのノードと関連するために要求されるピクセル(アクティブ領域)を少なくできる。これはまた、スループットを増大させることができる。各フィーチャに対する所望の全体的なドーズ量レベルを維持するために、ドーズ量制御が用いられてもよい。
【0071】
図6は、本発明の別の実施形態に係る放射系600を示す。放射系600は、放射デバイスRDと光学系OSを備える放射源SOと、照明器ILと、を備える。加えて、または代えて、放射系600の放射源SOと照明器ILとの間に、ビーム搬送系BD(図示せず、図1および図2参照)が含まれてもよい。放射系600は、上述した放射系500と同じように機能する。一つの例外は、放射源SOは、光学系OSを用いて放射線504を形成するために、サイクルの第1および第2部分の間に、それぞれ第1および第2の偏光方向の光を生成することである。加えて、または代えて、いくつかのSOの機能(たとえば、拡大、焦点調節、コリメーションなど)が光学系OSの前で行われ、いくつかの機能は、光学系OSの後で行われる。
【0072】
図7は、本発明のさらに別の実施形態に係る放射系700を示す。放射系700は、放射源SOと光学系OSを備える照明器ILを有する。加えて、または代えて、光学系OSから出射された光は、光学素子(オプティクス)またはパターニング用デバイス(図示せず、図1または図2参照)上に導かれてもよい。放射系700は、上述の放射系500と同じように機能する。加えて、または代えて、いくつかの照明器ILの機能は、光学系OSの前で行われ、いくつかの機能は、光学系OSの後で行われる。
【0073】
加えて、または代えて、放射系500、600、および700は、本発明の範囲を逸脱することなく、露光装置における他の照明光学系、すなわち、露光照明光学系以外の、アライメント照明光学系や検出システムなどに用いることができる。
【0074】
加えて、または代えて、放射系500、600、および700は、他の環境における照明光学系に代えて用いることができる。
【0075】
[典型的な光学系の構成]
図8、図9、および図10は、本発明の様々な実施形態に係る光学系OSの様々な構成を示す。光学系OS8、OS9、およびOS10は、各半サイクルの間に各偏光方向のうち一つの偏光方向の「フィルタリング」を可能とするデバイス800、900、または100を含む。一実施例において、パターニング用デバイス(図示せず)は、各半サイクルの間に一つのみの偏光方向を有するビーム504を受け取るので、上述したように、パターニング用デバイス上のパターンをその偏光方向と関連づけることができる。
【0076】
図8の光学系OS8は、回転偏光ホイール800を含む。ホイール800は、アクチュエータ802を用いることにより、サイクルの周波数、またはその周波数の分周と同期して回転することができる。ホイール800の各アーム804は、偏光子、検光子、または同種のフィルタリングデバイス806を含む。偏光子806により、各半サイクルの間に、2つの偏光方向のうちそれぞれ一つの偏光方向だけがホイール800を透過することができる。考察を簡略化するために、4つのアーム804のみが図示されているが、いくつのアーム804が用いられてもよいことを理解されたい。ホイール800の回転率は、アーム804の数と関連づけることも可能である。たとえば、多数のアーム804を用いることにより、ホイール800の回転率を低くすることができ、一方、その逆もまた成り立つ。
【0077】
作動中、サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ802は、軸810周りにホイール800を回転する(矢印808の両方向に)。この回転により、偏光子806のそれぞれ一つが、ビーム502のビームパス(ビーム経路)に位置することができる。ビーム504の偏光方向は、どの偏光子806がビームパスに位置しているかに基づいている。
【0078】
図9の光学系OS9は、回転する偏光子または検光子900を含む。検光子900は、アクチュエータ902を使用することにより、サイクルの周波数、またはその周波数の分周と同期して回転することができる。検光子900の回転位置は、2つの偏光方向のうちいずれが、たとえば検光子900上に矢印で示されたTEまたはTMのいずれが、そこを通って送出されるかを決定する。作動中、サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ902は、検光子900を軸910周りに90度回転(矢印908の両方向に)する。従って、ビーム504の偏光方向は、検光子900の回転位置に基づいている。
【0079】
図10は、サイクルの第1部分の間における光学系OS10の偏光ビームスプリッタ1000の配置(上側の図)およびサイクルの第2部分の間における光学系OS10の偏光ビームスプリッタ1000の配置(下側の図)を示す。ビームスプリッタ1000は、第1面1022および第2面1024を有する部位1020を含む。第1面1022は、第1コーティングを有するか、または第1材料1026で形成される。第2面1024は、第2コーティングを有するか、または第2材料1028で形成される。各コーティングまたは材料1026および1028は、第1および第2の偏光方向を有するビームの一部を透過させる。一方、第1および第2の偏光方向の他方を有するビーム502の一部は、反射される。
【0080】
第1の配置では、図10の上側の図に示されるように、ビーム502の第1の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020を透過してビーム504を形成する。また、この第1の配置では、ビーム502の第2の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020からビームダンプ1012に反射される。
【0081】
サイクルの第1部分からサイクルの第2部分への移行の間に、アクチュエータ(図示せず)は、ビームスプリッタ1000を軸1010(これは、紙面に直交する軸を表す)周りに90度回転する。この第2の配置では、図10の下側の図に示されるように、ビーム502の第2の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020を透過してビーム504を形成する。また、この第2の配置では、ビーム502の第1の偏光方向の部分は、ビームスプリッタ1000の部位1020からビームダンプ1014に反射される。
【0082】
上述の実施形態は、本発明に基づいて機能する典型的な光学系に過ぎないことを理解されたい。パターニングされている照明ビームの異なる偏光成分により引き起こされるCDの不均一性の補償を可能とする構造的に、および/または機能的に均等な光学系のその他の構成もまた、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0083】
加えて、または代えて、放射源SO、パターニング用デバイスPD、および/または照明器ILは、それらの光学的特性をより正確にサイクルのその部分の間に用いられる放射ビームの偏光方向と関連づけるために、サイクルの各部分の前、間、および/または後において、調整することができる。この調整は、パッシブまたはアクティブとすることができる。パッシブ調整では、偏光方向に基づいて、予め記憶された調整のセットを形成することができる。アクティブ調整では、偏光方向を補償するために、放射ビームおよび/またはパターン付きビームを検出することができる。加えて、または代えて、アクティブ調整では、光学的特性の誤差も、調整で補償することができる。加えて、または代えて、調整は、生成されるパターンの特性を改善するために、たとえば最小寸法の不均一性を改善するために、用いることができる。検出は、たとえばSEM測定などのオフライン装置や、たとえば画像センサなどのインライン装置で行うことが可能である。
【0084】
[典型的な動作]
図11は、本発明の一実施形態に係る方法1100を表すフローチャートを示す。方法1100は、ビーム504を形成する上述のシステムのいずれかを用いて実行することができる。
【0085】
ステップ1102では、露光サイクルの間に放射ビームが生成される。ステップ1104では、露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分が動的なパターニング用デバイスに導かれる。ステップ1106では、パターン付きビームが基板の目標部分に投影される。ステップ1108では、露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分が動的なパターニング用デバイスに導かれる。ステップ1110では、パターン付きビームが基板の目標部分に投影される。
【0086】
本説明においては露光装置の用途を特定の装置(たとえば集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造としているが、ここでの露光装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積回路や光集積回路システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド、微小電気機械素子(MEMS)、LEDなどの製造に用いることが可能であり、これらに限られない。また、たとえばフラットパネルディスプレイに関しては、本発明に係る装置は、たとえば薄膜トランジスタ層及び/またはカラーフィルター層などのさまざまな層の製造に用いることができる。
【0087】
ここでは特に光学的なリソグラフィーを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明はたとえばインプリントリソグラフィーなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光学的なリソグラフィーに限られるものではない。インプリントリソグラフィーでは、パターニング用デバイスのトポグラフィーが基板に生成されるパターンを決める。パターニング用デバイスのトポグラフィーが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニング用デバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
【0088】
[結語]
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の精神と範囲に反することなく種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。本発明の範囲と精神は上記で述べた例示に限定されるものではなく、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
【0089】
「課題を解決する手段」及び「要約書」の項ではなく「発明の詳細な説明」の項が請求項を解釈するのに使用されるように意図されている。「課題を解決する手段」及び「要約書」の欄は本発明者が考えた本発明の実施例の1つ以上を示すものであるが、すべてを説明するものではない。よって、本発明及び請求項をいかなる形にも限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の各実施形態に係る露光装置を示す図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る露光装置を示す図である。
【図3】図2に示される本発明の実施形態により基板にパターンを転写する1つのモードを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光学エンジンの配置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態に係る光学系を含む放射線生成のアレンジメントを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る図5、図6および図7の光学系の構成を示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る図5、図6および図7の光学系の構成を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る、サイクルの第1部分の間における光学系の偏光ビームスプリッタの配置(上側の図)、および第2部分の間における光学系の偏光ビームスプリッタの配置(下側の図)を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る方法を表すフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0091】
500、600、700 放射系、 502、504 放射ビーム、 800 回転偏光ホイール、 802、902 アクチュエータ、 804 アーム、 806 偏光子、 900 検光子、 1000 偏光ビームスプリッタ、 1012、1014 ビームダンプ、 B 放射ビーム、 C 目標部分、 IL 照明光学系、 OS 光学系、 PD パターニング用デバイス、 PS 投影光学系、 RD 放射デバイス、 SO 放射源、 W 基板、 WT 基板テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを生成する放射源と、
サイクルの第1部分の間に第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出するよう構成された光学系と、
を備える放射照明ビームを発生する照明光学系と、
第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含み、第1および第2のパターンが前記放射照明ビームの第1および第2部分の各々にパターンを付与するパターニング用デバイスと、
第1および第2のパターン付きビームを基板の目標部分に投影する投影光学系と、
を備えることを特徴とするリソグラフィシステム。
【請求項2】
前記光学系は、
偏光子と、
前記サイクルの第1部分と第2部分との間に、前記偏光子を90度回転させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項3】
前記光学系は、
偏光ビームスプリッタと、
前記サイクルの第1部分と第2部分との間に、前記偏光ビームスプリッタを90度回転させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項4】
前記パターニング用デバイスは、前記照明ビームの第1または第2部分のいずれがパターンを付与されているかに応じて、前記パターニング用デバイスの第1および第2のパターンのそれぞれ一方に変化するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項5】
前記サイクルの第1部分を第1の走査方向の第1露光パスとして確立し、前記サイクルの第2部分を第2の、反対の走査方向の第2露光パスとして確立するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項6】
前記放射源、前記パターニング用デバイス、または前記照明光学系は、偏光方向に対応するように、前記サイクルの第1および第2部分の間において調整されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項7】
前記パターニング用デバイスは、個別制御可能素子アレイを備え、該アレイは、第1または第2のパターンをその上に形成するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項8】
放射ビームの特性を検出し、検出された特性に基づいて前記パターニング用デバイスの第1または第2のいずれのパターンが用いられるか制御する制御信号を生成するよう構成された検出器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項9】
前記光学系の構成を前記パターニング用デバイスの構成に関連づける情報を記憶するよう構成された記憶装置をさらに備え、
前記光学系の構成は変化するように構成されており、前記情報は、放射ビームにパターンを付与するために第1または第2のいずれのパターンが用いられるかを、前記光学系の構成の現在の構成に基づいて制御するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項10】
(a)露光サイクルの間に放射ビームを生成する工程と、
(b)前記露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分を、第1の光近接効果補正を含む第1のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程と、
(c)パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程と、
(d)前記露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分を、第2の光近接効果補正を含む第2のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程と、
(e)パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法を用いてウエハ上に集積回路を形成することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法を用いてフラットパネルガラス基板上にフラットパネルデバイスを形成することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ビームの第1部分または第2部分のいずれがパターンを付与されているかを関連づけるために前記パターニング用デバイスのパターンを調整する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
放射ビームの特性を検出する工程と、
検出された特性に基づいて、前記パターニング用デバイスの第1または第2のパターンのいずれを用いるかを制御する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
個別制御可能素子アレイにより形成されたパターンを変更する工程をさらに備え、前記アレイは前記パターニング用デバイスを構成し、前記アレイは、放射ビームの所定の特性に基づいて、第1または第2のパターンの一方をその上に形成するよう構成されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項1】
放射ビームを生成する放射源と、
サイクルの第1部分の間に第1の偏光方向を有する照明ビームの第1部分を送出し、サイクルの第2部分の間に第2の偏光方向を有する照明ビームの第2部分を送出するよう構成された光学系と、
を備える放射照明ビームを発生する照明光学系と、
第1および第2の偏光方向に対応する第1および第2の光近接効果補正をそれぞれ有する第1および第2のパターンを含み、第1および第2のパターンが前記放射照明ビームの第1および第2部分の各々にパターンを付与するパターニング用デバイスと、
第1および第2のパターン付きビームを基板の目標部分に投影する投影光学系と、
を備えることを特徴とするリソグラフィシステム。
【請求項2】
前記光学系は、
偏光子と、
前記サイクルの第1部分と第2部分との間に、前記偏光子を90度回転させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項3】
前記光学系は、
偏光ビームスプリッタと、
前記サイクルの第1部分と第2部分との間に、前記偏光ビームスプリッタを90度回転させるアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項4】
前記パターニング用デバイスは、前記照明ビームの第1または第2部分のいずれがパターンを付与されているかに応じて、前記パターニング用デバイスの第1および第2のパターンのそれぞれ一方に変化するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項5】
前記サイクルの第1部分を第1の走査方向の第1露光パスとして確立し、前記サイクルの第2部分を第2の、反対の走査方向の第2露光パスとして確立するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項6】
前記放射源、前記パターニング用デバイス、または前記照明光学系は、偏光方向に対応するように、前記サイクルの第1および第2部分の間において調整されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項7】
前記パターニング用デバイスは、個別制御可能素子アレイを備え、該アレイは、第1または第2のパターンをその上に形成するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項8】
放射ビームの特性を検出し、検出された特性に基づいて前記パターニング用デバイスの第1または第2のいずれのパターンが用いられるか制御する制御信号を生成するよう構成された検出器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項9】
前記光学系の構成を前記パターニング用デバイスの構成に関連づける情報を記憶するよう構成された記憶装置をさらに備え、
前記光学系の構成は変化するように構成されており、前記情報は、放射ビームにパターンを付与するために第1または第2のいずれのパターンが用いられるかを、前記光学系の構成の現在の構成に基づいて制御するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィシステム。
【請求項10】
(a)露光サイクルの間に放射ビームを生成する工程と、
(b)前記露光サイクルの第1部分の間に、第1の偏光方向を有するビームの第1部分を、第1の光近接効果補正を含む第1のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程と、
(c)パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程と、
(d)前記露光サイクルの第2部分の間に、第2の偏光方向を有するビームの第2部分を、第2の光近接効果補正を含む第2のパターンを備えるパターニング用デバイスに導く工程と、
(e)パターン付きビームを基板の目標部分に投影する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法を用いてウエハ上に集積回路を形成することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法を用いてフラットパネルガラス基板上にフラットパネルデバイスを形成することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ビームの第1部分または第2部分のいずれがパターンを付与されているかを関連づけるために前記パターニング用デバイスのパターンを調整する工程をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
放射ビームの特性を検出する工程と、
検出された特性に基づいて、前記パターニング用デバイスの第1または第2のパターンのいずれを用いるかを制御する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
個別制御可能素子アレイにより形成されたパターンを変更する工程をさらに備え、前記アレイは前記パターニング用デバイスを構成し、前記アレイは、放射ビームの所定の特性に基づいて、第1または第2のパターンの一方をその上に形成するよう構成されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−33329(P2008−33329A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−195059(P2007−195059)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195059(P2007−195059)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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