説明

リンク情報作成装置、リンク情報作成方法及びプログラム

【課題】プローブカーから収集したプローブ情報に基づいてリンクの路面状態を検出することが可能となるリンク情報作成装置、リンク情報作成方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報配信センタ3のCPU11は、各プローブカー6からプローブ情報を収集する。そして、CPU11は、収集した各プローブ情報から各渋滞に相当する車速を示すリンク(以下、「渋滞相当リンク」という。)と当該渋滞相当リンク上をプローブ情報の日時データの所定時間内に走行しているプローブカー6の走行台数を検出する。そして、CPU11は、各渋滞相当リンクの気温が所定温度以下で、且つ、各渋滞相当リンクの走行台数が渋滞時平均走行台数の所定割合以下の場合には、各渋滞相当リンクのリンクIDに対応する現況交通情報16Aに格納される「状態情報」の該当リンクの状態を「積雪」に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいてリンク情報を作成するリンク情報作成装置、リンク情報作成方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいてリンク情報を作成する技術に関し種々提案されている。
例えば、車両の単位時間当たりの走行距離と渋滞基準速度とを比較して、単位時間当たりの進行距離が渋滞基準速度以下であれば、車両が走行中の道路は渋滞であると判定し、情報配信センタへ、走行道路と単位時間当たりの走行距離を含む渋滞情報を送信するように構成された渋滞情報提供システムがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−146695号公報(段落(0014)〜(0042)、図1〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載される構成では、道路の渋滞の判定を、車両の単位時間当たりの走行距離と渋滞基準速度とを比較して判定している。つまり、車速のみによって判定しているため、車速に影響を与える積雪等の路面状態を考慮できていないため、誤って道路を渋滞と判定している場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて正確なリンク情報を作成することが可能となるリンク情報作成装置、リンク情報作成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係るリンク情報作成装置は、プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集手段(17)と、前記プローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出手段(10)と、前記リンクの渋滞時における平均走行台数を記憶する平均走行台数記憶手段(16)と、前記渋滞に相当する車速を示す前記リンクを走行する車両台数が、当該リンクの前記渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定手段(10)と、前記渋滞に相当する車速を示す前記リンクを走行する車両台数が、当該リンクの前記渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与手段10)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係るリンク情報作成装置は、請求項1に記載のリンク情報作成装置(3)において、前記リンクにおける気温を取得する気温取得手段(17)を備え、前記悪路情報付与手段(10)は、前記悪路情報を付与したリンクの気温が所定温度以下の場合には、当該リンクに積雪している旨を表す積雪情報を付与することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係るリンク情報作成方法は、プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出工程と、前記リンク情報検出工程で検出した渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定工程と、前記台数割合判定工程で渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
更に、請求項4に係るプログラムは、コンピュータに、プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出工程と、前記リンク情報検出工程で検出した渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定工程と、前記台数割合判定工程で渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
前記構成を有する請求項1に係るリンク情報作成装置では、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて、路面状態が悪いという要因で速度低下しているリンクを検出し、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与することが可能となる。これにより、路面状態を検出して、各プローブカーに対して悪路情報が付与されたリンクに関するリンク情報を配信することが可能となる。
【0010】
また、請求項2に係るリンク情報作成装置では、「積雪」という要因で速度低下しているリンクを検出し、当該リンクに積雪情報を付与することが可能となる。これにより、「積雪」の路面状態を検出して、各プローブカーに対して積雪情報が付与されたリンクに関するリンク情報を配信することが可能となる。
【0011】
また、請求項3に係るリンク情報作成方法では、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて、路面状態が悪いという要因で速度低下しているリンクを検出し、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与することが可能となる。これにより、路面状態を検出して、各プローブカーに対して悪路情報が付与されたリンクに関するリンク情報を配信することが可能となる。
【0012】
更に、請求項4に係るプログラムでは、コンピュータは当該プログラムを読み込むことによって、該コンピュータは、プローブカーから収集したプローブ情報に基づいて、路面状態が悪いという要因で速度低下しているリンクを検出し、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与することが可能となる。これにより、コンピュータは、路面状態を検出して、各プローブカーに対して悪路情報が付与されたリンクに関するリンク情報を配信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るリンク情報作成装置、リンク情報作成方法及びプログラムをナビゲーションシステムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1に示すように本実施例に係るナビゲーションシステム1は、各プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報や後述の各ナビゲーション装置2から収集したプローブ情報に基づいて路面状態が悪い旨を表す悪路情報等を作成して配信する情報配信センタ3と、ネットワーク4から基本的に構成されている。
【0015】
そして、情報配信センタ3は、センタ側通信装置17及びネットワーク4を介してナビゲーション装置2と各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。また、各ナビゲーション装置2は、通信装置27及びネットワーク4を介して、搭載されたプローブカー6が走行している場合には、所定時間毎(例えば、「1分毎」、「5分毎」、「15分毎」、「30分毎」等である。)又は各リンクの走行毎に、情報配信センタ3に後述のプローブ情報を送信する。
【0016】
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(LocalArea Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。また、このネットワーク4には、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))5が接続され、ナビゲーション装置2と情報配信センタ3とは、ネットワーク4を介して、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。
【0017】
情報配信センタ3は、図1に示すようにサーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側交通情報データベース(センタ側交通情報DB)16と、センタ側通信装置17とを備える。
【0018】
また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、ナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、所定エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出し、ナビゲーション装置2に対して配信する地図情報更新処理や、現況の交通情報をネットワーク4を介して配信する現況交通情報配信処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ19等を備えている。
【0019】
また、ROM13には、後述のようにプローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2から収集したプローブ情報(例えば、月、日時、リンク情報(メッシュID、リンクID、リンク長、交通信号機の有・無、道路種別等である。)、交通状況(旅行時間、車速等である。)、自車位置、自車位置の属する2次メッシュID、ワイパーの動作状況、気温(車外/路面温度等である。)、天気、ABS(Antilockbrake system)動作情報、車両情報(車種、各諸元性能、車速、乗員、車重の配分率、トルクの掛かり方等である。)等である。(例えば、交通状況としてリンクの旅行時間、平均車速、又は、自車位置での車速等である。))に基づいて、各リンクの状態を検出して状態情報を作成する状態情報作成処理(図3参照)等を行うための制御プログラムが格納されている。
ここで、道路種別としては、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、2車線以上の国道、1車線の国道、2車線以上の県道、1車線の県道、市町村道等がある。
【0020】
また、センタ側地図情報DB14には、情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報14Aがバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部又は全部を更新用地図情報14Aに更新する為の更新情報についても記憶されている。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0021】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報14Aには、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Pointof Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0022】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0023】
また、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道から構成される高規格道路区分と、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道から構成される一般道路区分と、細街路から構成される細街路区分の3つの配信道路区分に区分されて、それぞれバージョン毎に更新用地図情報14Aに格納されて管理されている。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0024】
そして、情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報14Aの内、最もバージョンの新しい更新用地図情報14Aによってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。
【0025】
また、ナビ更新履歴情報DB15には、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関する情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。更新履歴としては、具体的に地図情報を構成するリンクデータやノードデータが高規格道路区分、一般道路区分及び細街路区分の3つの配信道路区分毎にどのバージョンの地図情報が用いられているかが記憶されており、ナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に新たな更新履歴に書き換えられる。
【0026】
また、センタ側交通情報DB16には、プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2により収集されたプローブ情報や道路交通情報センタ5から受信した交通情報から作成した現況の道路の渋滞や積雪等の路面状態等に関する情報である現況交通情報16Aが格納されている。
【0027】
また、このセンタ側交通情報DB16には、各プローブカー6から収集したプローブ情報に基づいて、各リンクのリンクコストを道路種別毎に統計処理して生成された統計交通情報16Bが格納されている。
また、このセンタ側交通情報DB16には、後述のように各プローブカー6から収集したプローブ情報に基づいて、各リンクの過去の渋滞時の走行台数を統計処理することによって得られた渋滞時平均走行台数テーブル160(図2参照)が格納されている。
【0028】
ここで、センタ側交通情報DB16に格納される各リンクの渋滞時平均走行台数テーブル160の一例について図2に基づいて説明する。図2はセンタ側交通情報DB16に格納される各リンクの渋滞時平均走行台数テーブル160のデータ構造の一例を示す図である。
図2に示すように、渋滞時平均走行台数テーブル160は、曜日51A、時間帯51B毎に、各リンクの渋滞時平均走行台数51Cを有している。
【0029】
また、曜日51Aの下位データである時間帯51Bは、9:00〜9:14、9:15〜9:29、・・・と24時間を15分毎の時間帯に分けている。また、時間帯51Bの下位のデータは、各時間帯51Bにおける各リンクの渋滞度が「渋滞」の時に、当該各リンクを走行する単位時間当たり(例えば、1分間当たりである。)の平均台数を表す渋滞時平均走行台数51Cとなっている。
例えば、月曜日〜金曜日の平日で、「9:00〜9:14」の時間帯において、リンクAの渋滞度が「渋滞」の時に、当該リンクAを走行する単位時間当たりの平均台数は、「10台/分」である。
【0030】
尚、渋滞度が「渋滞」の場合は、国道、県道等の一般道では、車速が時速20km未満になる場合である。また、都市高速道路、高速自動車国道では、車速が時速40km未満になる場合である。
【0031】
次に、前記構成を有するナビゲーションシステム1において、情報配信センタ3のCPU11が、プローブカー6に搭載されたナビゲーション装置2から収集したプローブ情報に基づいて、各リンクの状態を検出して状態情報を作成する状態情報作成処理について図3乃至図6に基づいて説明する。
図3は本実施例に係る情報配信センタ3のCPU11が、各リンクの状態を検出して状態情報を作成する状態情報作成処理を示すフローチャートである。尚、図3にフローチャートで示されるプログラムは、情報配信センタ3が備えているROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
【0032】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU11は、各プローブカー6のナビゲーション装置2から送信されたプローブ情報をセンタ側通信装置17を介して受信し、センタ側交通情報DB16に順次記憶する。
【0033】
そして、S12において、CPU11は、センタ側交通情報DB16に格納したプロープ情報を再度、順次読み出し、各プローブカー6の位置情報、車速、リンクID及びセンタ側地図情報DB14等から各リンクの道路種別を特定して渋滞度(渋滞/混雑/空き道の別等)を判定する。そして、CPU11は、リンクの渋滞度が「渋滞」であると判定された場合には、当該リンクのリンクIDを渋滞に相当する車速を示すリンク(以下、「渋滞相当リンク」という。)のリンクIDとしてRAM12に記憶する。また同時に、CPU11は、この検出した各渋滞相当リンク毎に、当該リンク上をプローブ情報の日時データから所定時間内(例えば、1分間の時間内である。)に走行しているプローブカー6の台数を順次カウントし、「渋滞相当リンクの走行台数」として各渋滞相当リンクに対応させてRAM12に記憶する。
【0034】
続いて、S13において、CPU11は、渋滞相当リンクがあるか否か、つまり、上記S12で渋滞相当リンクのリンクIDをRAM12に記憶しているか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、渋滞相当リンクが無い場合、つまり、上記S12で渋滞相当リンクのリンクIDをRAM12に記憶していない場合には(S13:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
【0035】
一方、渋滞相当リンクがある場合、つまり、上記S12で渋滞相当リンクのリンクIDをRAM12に記憶した場合には(S13:YES)、CPU11は、S14の処理に移行する。S14において、CPU11は、プローブ情報の日時データを読み出し、更に、センタ側地図情報DB14に格納される地図情報と渋滞相当リンクのリンクIDとから当該渋滞相当リンクの座標位置(例えば、経度と緯度である。)を検出して、特殊条件に該当しているか否かを判定する判定処理を実行する。ここで、この特殊条件としては、年末年始、5月の連休、8月中旬の盆休み等に該当する時期や、当該渋滞相当リンクの座標位置(例えば、経度と緯度である。)が、秋の紅葉等の観光シーズンにおける観光地に該当する場合等である。
【0036】
そして、特殊条件に該当している場合には(S14:YES)、CPU11は、S15の処理に移行する。S15において、CPU11は、上記S12でRAM12に記憶した各渋滞相当リンクのリンクIDと、各渋滞相当リンクに対応する「渋滞相当リンクの走行台数」とを読み出し、特殊条件時の渋滞収集情報としてセンタ側交通情報DB16に記憶後、当該処理を終了する。
【0037】
一方、特殊条件に該当していない場合には(S14:NO)、CPU11は、S16の処理に移行する。S16において、CPU11は、上記S12で記憶した各渋滞相当リンクのリンクIDに対応するプローブ情報をセンタ側交通情報DB16から抽出し、各プローブ情報から気温(車外温度又は路面温度等である。)を読み出し、各渋滞相当リンクにおける気温(車外温度又は路面温度等である。)が所定温度以下か否か(例えば、約5℃以下であるか否かである。)を判定する判定処理を実行する。
【0038】
尚、CPU11は、ネットワーク4を介して取得した気象情報から各渋滞相当リンクの座標位置(例えば、経度と緯度である。)における気温を取得して、各渋滞相当リンクにおける気温が所定温度以下か否か(例えば、約5℃以下であるか否かである。)を判定するようにしてもよい。
【0039】
そして、各渋滞相当リンクにおける気温(車外温度又は路面温度等である。)が所定温度以下でない場合には(S16:NO)、CPU11は、S17の処理に移行する。S17において、CPU11は、上記S12でRAM12に記憶した各渋滞相当リンクのリンクIDと、各渋滞相当リンクに対応する「渋滞相当リンクの走行台数」とを読み出し、通常時の渋滞収集情報としてセンタ側交通情報DB16に記憶後、当該処理を終了する。
【0040】
一方、各渋滞相当リンクにおける気温(車外温度又は路面温度等である。)が所定温度以下である場合には(S16:YES)、CPU11は、S18の処理に移行する。S18において、CPU11は、上記S12で記憶した各渋滞相当リンクのリンクIDに対応するプローブ情報をセンタ側交通情報DB16から抽出し、各プローブ情報から月、日時を読み出す。
【0041】
そして、CPU11は、読み出した月、日時が属する曜日、時間帯(例えば、月曜日、9:00〜9:14である。)における各渋滞相当リンクのリンクIDに対応する渋滞時平均走行台数51Cを渋滞時平均走行台数テーブル160から読み出し、この渋滞時平均走行台数51Cの台数を「渋滞時平均走行台数」として当該各渋滞相当リンクに対応させてRAM12に記憶する。
【0042】
例えば、渋滞相当リンクAに対応するプローブ情報に含まれる曜日が「月曜日」、時刻が「9:08」の場合には、CPU41は、渋滞時平均走行台数テーブル160から曜日51Aが「月曜日」、時間帯51Bが「9:00〜9:14」に該当する渋滞時平均走行台数51Cが「リンクA:10台/分」を読み出し、「渋滞時平均走行台数」として「10台/分」を渋滞相当リンクAに対応させてRAM12に記憶する。
【0043】
続いて、S19において、CPU11は、上記S12でRAM12に記憶した各渋滞相当リンクに対応する「渋滞相当リンクの走行台数」と、上記S18でRAM12に記憶した各渋滞相当リンクの「渋滞時平均走行台数」とを順次読み出し、「渋滞相当リンクの走行台数」が「渋滞時平均走行台数」の所定割合以下(例えば、1/2以下、1/3以下等である。)の渋滞相当リンクがあるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0044】
つまり、CPU41は、各渋滞相当リンクの「渋滞相当リンクの走行台数」が「渋滞時平均走行台数」の所定割合以下の場合には、「ON」に設定した積雪フラグを当該各渋滞相当リンクに付与してRAM12記憶する。また、CPU41は、各渋滞相当リンクの「渋滞相当リンクの走行台数」が「渋滞時平均走行台数」の所定割合より大きい場合には(例えば、1/2より大きい場合、1/3より大きい場合等である。)、「OFF」に設定した積雪フラグを当該各渋滞相当リンクに付与してRAM12記憶する。
【0045】
そして、「渋滞相当リンクの走行台数」が「渋滞時平均走行台数」の所定割合以下の渋滞相当リンクが無い場合、つまり、各渋滞相当リンクに付与された積雪フラグをRAM12から順次読み出し、「ON」に設定された積雪フラグが無い場合には(S19:NO)、CPU11は、上記S17の処理に移行し、S17の処理を実行後、当該処理を終了する。
【0046】
一方、「渋滞相当リンクの走行台数」が「渋滞時平均走行台数」の所定割合以下の渋滞リンクがある場合、つまり、各渋滞相当リンクに付与された積雪フラグをRAM12から順次読み出し、「ON」に設定された積雪フラグがある場合には(S19:YES)、CPU11は、S20の処理に移行する。
【0047】
S20において、CPU11は、各渋滞相当リンクの積雪フラグを再度RAM12から順次読み出し、積雪フラグが「ON」に設定された各渋滞相当リンクの状態は、「積雪」であると判定し、現況交通情報16Aに格納される当該各渋滞相当リンクのリンクIDに対応するリンクの状態を示す「状態情報」を「積雪」に設定して、現況交通情報16Aに記憶する。
【0048】
一方、CPU11は、積雪フラグが「OFF」に設定された各渋滞相当リンクの状態は、「渋滞」であると判定し、現況交通情報16Aに格納されるリンクの状態を示す「状態情報」から、当該各渋滞相当リンクのリンクIDに対応するリンクの状態を示す「状態情報」を「渋滞」に設定して、現況交通情報16Aに記憶する。
【0049】
ここで、現況交通情報16Aの「状態情報」の一例を図4に基づいて説明する。
図4に示すように、現況交通情報16に格納される「状態情報」は、リンクA及び各リンクC、Dは「ON」に設定された積雪フラグが付与されているため「積雪」に設定され、リンクBは「OFF」に設定された積雪フラグが付与されているため「渋滞」に設定されている。
【0050】
続いて、S21において、CPU11は、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」から各リンクの状態を順番に読み出し、周辺のリンク(例えば、前後のリンク、又は、前後それぞれ2〜5個のリンクである。)の状態と照合して異常値である場合、つまり、当該リンクの状態が周辺のリンク状態と異なる場合には、周辺のリンクの状態と同じ状態になるように補正して、「状態情報」に再度記憶する。
【0051】
ここで、周辺リンクの状態情報と照合して、異常値を除去した一例について図5乃至図7に基づいて説明する。図5は図4の状態情報の各リンクについて周辺リンクの状態と照合し、異常値を除去した一例を示す説明図である。図6は図4の「状態情報」を補正した一例を示す図である。図7は状態情報の各リンクについて周辺リンクの状態と照合し、異常値を除去した他の例を示す説明図である。
【0052】
図5及び図6に示すように、CPU11は、リンクBの状態が「渋滞」で、その前後の各リンクA、C、Dの状態が「積雪」である場合には、当該リンクBの状態は異常値であると判定し、リンクBの状態を「積雪」に補正して、現況交通情報16に格納される「状態情報」に再度記憶する。
また、CPU11は、リンクFの状態が「渋滞」で、その前後の各リンクD、E、Gの状態が「積雪」である場合には、当該リンクFの状態は異常値であると判定し、リンクFの状態を「積雪」に補正して、現況交通情報16に格納される「状態情報」に再度記憶する。
【0053】
また、図7に示すように、CPU11は、リンクBの状態が「積雪」で、その前後の各リンクA、C、Dの状態が「渋滞」である場合には、当該リンクBの状態は異常値であると判定し、リンクFの状態を「渋滞」に補正して、現況交通情報16に格納される「状態情報」に再度記憶する。
【0054】
続いて、図3に示すように、S22において、CPU11は、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」を各プローブカー6に対して配信後、当該処理を終了する。
【0055】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーションシステム1では、情報配信センタ3のCPU11は、各プローブカー6から該プローブカー6の位置情報、車速、月、日時、気温(車外/路面温度等である。)を含むプローブ情報を収集することによって、渋滞でなく「積雪」で渋滞に相当する速度に低下しているリンクを検出し、当該リンクの「状態情報」を「積雪」に設定して現況交通情報16Aに格納することが可能となる。これにより、CPU11は、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」を各プローブカー6に対して配信することが可能となる。
【0056】
また、CPU11は、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」から各リンクの状態を順番に読み出し、周辺のリンクの状態と照合して異常値である場合には、周辺のリンクの状態と同じ状態になるように補正して、「状態情報」に再度記憶するため、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」の精度の向上を図ることが可能となる。
【0057】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0058】
例えば、上記S20において、各渋滞相当リンクに対応するプローブ情報から読み出した気温(車外温度又は路面温度等である。)が氷点下の場合には、CPU11は、「ON」に設定された積雪フラグが付与された各渋滞相当リンクの状態は、「凍結」であると判定するようにしてもよい。そして、CPU11は、現況交通情報16Aに格納される「状態情報」から、当該各渋滞相当リンクのリンクIDに対応するリンクの状態を読み出し、このリンクの状態を「凍結」に設定して、再度、現況交通情報16Aの「状態情報」に記憶するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施例に係るナビゲーションシステムを示したブロック図である。
【図2】センタ側交通情報DBに格納される渋滞時平均走行台数テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】情報配信センタのCPUが実行する処理であって、各リンクの状態を検出して状態情報を作成する状態情報作成処理を示すフローチャートである。
【図4】現況交通情報の「状態情報」の一例を示す図である。
【図5】図4の状態情報の各リンクについて周辺リンクの状態と照合し、異常値を除去した一例を示す説明図である。
【図6】図4の「状態情報」を補正した一例を示す図である。
【図7】周辺リンクの状態情報と照合して、異常値を除去した他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション装置
3 情報配信センタ
4 ネットワーク
6 プローブカー
10 サーバ
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 センタ側地図情報DB
16 センタ側交通情報DB
16A 現況交通情報
17 センタ側通信装置
27 通信装置
160 渋滞時平均走行台数テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集手段と、
前記プローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出手段と、
前記リンクの渋滞時における平均走行台数を記憶する平均走行台数記憶手段と、
前記渋滞に相当する車速を示す前記リンクを走行する車両台数が、当該リンクの前記渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定手段と、
前記渋滞に相当する車速を示す前記リンクを走行する車両台数が、当該リンクの前記渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与手段と、
を備えたことを特徴とするリンク情報作成装置。
【請求項2】
前記リンクにおける気温を取得する気温取得手段を備え、
前記悪路情報付与手段は、前記悪路情報を付与したリンクの気温が所定温度以下の場合には、当該リンクに積雪している旨を表す積雪情報を付与することを特徴とする請求項1に記載のリンク情報作成装置。
【請求項3】
プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、
前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出工程と、
前記リンク情報検出工程で検出した渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定工程と、
前記台数割合判定工程で渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与工程と、
を備えたことを特徴とするリンク情報作成方法。
【請求項4】
コンピュータに、
プローブカーからプローブ情報を収集するプローブ情報収集工程と、
前記プローブ情報収集工程で収集したプローブ情報に基づいて渋滞に相当する車速を示すリンク及び当該リンクを走行する車両台数を検出するリンク情報検出工程と、
前記リンク情報検出工程で検出した渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下か否かを判定する台数割合判定工程と、
前記台数割合判定工程で渋滞に相当する車速を示すリンクを走行する車両台数が、当該リンクの渋滞時における平均走行台数の所定割合以下であると判定された場合には、当該リンクに路面状態が悪い旨を表す悪路情報を付与する悪路情報付与工程と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−245341(P2009−245341A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93337(P2008−93337)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】