説明

ルチル型二酸化チタンを高速で堆積させるための装置及び方法

【課題】
【解決手段】
反応性スパッタ堆積によってルチル相の二酸化チタンの薄膜を形成する装置(100)及びプロセス。一態様においては、スパッタリングターゲット(102、104)と補助プラズマ発生器(110、112)とが、スパッタリングチャンバ(101)内の被覆ステーション内に配置され、被覆チャンバ内を通る基板上に堆積されたチタンが、プラズマ発生器(110、112)によって生成されスパッタプラズマと混合された補助プラズマに曝露することによって酸化される。プラズマは、ルチル型二酸化チタンの形成を支援する単原子酸素を含むことができる。また、ターゲット又は1対のターゲット(102、104)をパルス直流電源又は交流電源によって動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2003年10月7日に出願された米国特許出願第60/508,871号、2003年10月7日に出願された米国特許出願60/508,877号、及び2003年10月17日に出願された米国特許出願60/512,002号の出願日の利益の享受を請求する。これらの出願のそれぞれを、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
多層オプティカルコーティングは、一般に、高い屈折率を有する材料と低い屈折率を有する材料の交互層からなる。一般に、高い方の屈折率と低い方の屈折率の比ができるだけ大きい高屈折率材料と低屈折率材料から多層コーティングを形成することが有利である。屈折率比が大きい材料から形成される多層コーティングは、屈折率比が小さい材料から形成されるコーティングよりも少ない層数で同等の光学性能を達成することができる。また、ある高屈折率材料をより高い屈折率を有する別の高屈折率材料と置き換えることによって、等しいか又は少ない数の層を使用して更に優れた光学性能を有する多層コーティングを実現することができる。オプティカルコーティングプロセスの経済性は、所望の光学的効果を実現するために必要な層数、そのような層を堆積させることができる速度、及びそのような堆積速度を達成することができる表面積によって決まる。また、より少ない層数、従ってより薄いコーティングは、厚いコーティングと比べ低い応力及び/又は散乱等の特性を有するので有利である。
【0003】
金属酸化物は、耐久性が高くまた一般に可視スペクトルの透過性がよいため、オプティカルコーティング用途で幅広く使用されてきた。二酸化チタン(TiO2)は、耐久性が高く視覚的に透明で他の適切な金属酸化物よりも高い屈折率を有するため、オプティカルコーティング用途で用いうる有力な高屈折率材料として長らく認識されてきた。しかしながら、二酸化チタンの使用は、幾つかの製造上の問題のために厳しい制約を受けてきた。主な問題は、二酸化チタンが、ルチル、アナターゼ及びブルッカイトという3種の結晶相で自然界に存在するという事実によるものである。ある特定の条件下では、非結晶のアモルファス形態で堆積されることもある。これらの様々な相のうちルチル相は、最も高く従って最も好ましい屈折率を有する。ルチル型二酸化チタンは、550nmで平均屈折率2.75を示す複屈折であり、熱力学的に最も安定した相である。更に他の問題は、ルチル型二酸化チタンが堆積されたときでも、堆積速度を経済的に実際的でないほど遅くしない限り、薄膜を酸化させる際の難しさのために吸収が起こることがあるという点にある。
【0004】
ルチル相は熱力学的に最も安定しているが、薄膜の成長中にルチル型二酸化チタンを直接生成するためには極めて高いエネルギーが必要である。この必要エネルギーは、堆積プロセス又は基板の加熱或いはこれらの両方によって供給することができる。堆積させた二酸化チタンの基板温度と堆積プロセスの関数としての状態図は刊行物に公開されており、これを図1に示す。図1を参照すると、低エネルギーの堆積方法では、ルチル型二酸化チタンを堆積させるには実際的でないほど高い基板温度が必要とされることが明らかである。二酸化チタンの薄膜を堆積させるための従来技術の方法の殆どは、アモルファス、アナターゼ、又はアナターゼとルチルの混合薄膜を生成する。これらの結果は、アナターゼ相の屈折率(550nmでn=2.45)がルチル相の屈折率よりも実質的に低いので、実質的に全体がルチル相である二酸化チタンを得るよりも望ましくない。アナターゼ又はアモルファス相を約500℃を超える温度に熱するとルチルに相変化するが、この相変化は、しばしば結晶成長を伴い、これは、薄膜内の望ましくない散乱特性の原因になる。ルチルとアナターゼの混合薄膜の堆積は、特に、そのような混合物の屈折率の予測と制御が困難であり、そのため被覆(coating)の光学的性能が劣悪化するという点で望ましくない。
【0005】
ルチル型二酸化チタンを堆積させるこれまでの試みは、基板の高温加熱、イオンビームスパッタリングの使用、高周波スパッタリング等の技術を利用してきた。基板をルチル型二酸化チタンを形成するのに必要な温度まで加熱することは、製造において実際的でないことがあり、多くの場合、熱によって基板が物理的に損傷される。高周波スパッタリングとイオンビームスパッタリングは、実質的にルチル型二酸化チタンからなる薄膜を200℃未満の温度で形成することができるが、堆積速度は遅く従って経済的に実際的でなく、またイオンビームスパッタリングの場合は、被覆面積が小さく従って経済的に実際的でない。
【0006】
これらの理由から、オプティカルコーティングにおける二酸化チタンの使用は、低屈折率アナターゼ相の堆積や、薄膜が機能しなければならない温度が低い用途にほぼ限られていた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はその一態様において、一以上の基板上に実質的にルチル型二酸化チタンからなる二酸化チタンの薄膜を、これまで可能であったよりも早い速度、低吸収、及び低い温度で堆積させる。この被覆プロセス及びシステムは、主に金属モードで作動されるターゲットから複数の二酸化チタン単一層を逐次的に堆積させることができる。本明細書で使用される「単一層」という用語は、厚さが1原子以下の材料層である。単一層を堆積させることは、単一層を堆積させた表面全体が堆積された材料の原子によって覆われていることを意味するのではなく、堆積された材料の厚さが1原子以下であることを意味するのみである。新たに堆積した単一層の各々は、前の層の上に次の単一層が堆積する前にルチル型二酸化チタンが形成される条件下で完全に酸化される。堆積プロセスは、適度な(moderate)温度と、他の被覆技術よりも大幅に早い速度で実行される。
【0008】
従って、本発明の目的は、従来技術における前述の問題の多くを回避し、ルチル型二酸化チタンの薄膜を高速で堆積させる新規な装置及びプロセスを提供することである。本発明のこれら及びその他の目的及び利点は、本発明の属する技術分野の熟練者には、特許請求の範囲、添付図面、及び様々な実施形態を記載した以下の詳細な説明を熟読することにより容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面においては、幾つかの図面を通し同一の数字は同一の構成要素を表す。
【0010】
本発明は、実質的に全てルチル相で形成された二酸化チタンの薄膜を形成するシステム及びプロセスに関する。一態様において本発明は、ルチル型二酸化チタンの薄膜を形成する反応性スパッタコーティングシステム及びプロセスに関する。本システムは、1以上の被覆ステーションを有するスパッタリングチャンバと、被覆ステーション内に一以上の基板を実装し移動させる手段とを有する。本システム及びプロセスは、実装・移動手段が、回転可能なドラム、テーブル、ディスク等、適切な幾何学形状を有する搬送装置を含むバッチ式被覆プロセスを含むことができる。ルチル型二酸化チタンの薄膜を形成するのに適した反応性被覆システム及びプロセスは、Bartolomeiらに付与された米国特許第5,849,162号に開示されており、この特許を、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0011】
スパッタリングチャンバは、1以上の被覆ステーションを有する。この被覆ステーションには、スパッタリングターゲットが少なくとも1個配置される。一態様において、ターゲットは、マグネトロンスパッタリング装置を構成する。ターゲットを作動する電力は、被覆ステーション内に反応性雰囲気を生成し、実装・移動手段上に載せられて被覆ステーション内を移動する基板上にチタン又はチタン酸化物をプラズマスパッタするのに十分な電力で作動される。
【0012】
また、被覆ステーション装置内のターゲットの近くにはプラズマ生成装置が配置される。一態様において、プラズマ生成装置はマイクロ波発生器を含む。プラズマ発生器の動作電力レベルは、ターゲットによって生成されるプラズマと混ざり合うプラズマを被覆ステーション内に生成して被覆ステーション内の反応性雰囲気の領域、密度及び反応性を向上させるレベルである。
【0013】
一態様において、本発明は、成長薄膜にエネルギーを幾つかの形態で提供することによって、比較的低い基板温度でルチル型二酸化チタン薄膜を直接堆積させる。このエネルギーは、マグネトロンターゲットプラズマとプラズマ生成装置によって生成されたプラズマの組み合わせによって提供される。本発明は、ルチル型二酸化チタン薄膜の薄い膜を、形成されたばかりの状態が実質的に化学量的であるように形成する。これは、近傍プラズマ内に酸素を導入し、被覆ステーション内のターゲット面に対して基板を比較的素早く接近させまた離すことによって達成される。ターゲットのそばを繰り返し通過するたびに、チタンの単一層が堆積され、次いでルチル型二酸化チタンを形成するのに十分なエネルギーで完全に酸化される。薄膜のこの酸化は、基板がターゲットのそばを再び通って新しいチタン金属層を得る前に達成される。
【0014】
ある実施形態において、近傍プラズマは、十分な量の単原子酸素を提供するのに十分な強度を有する。堆積チタンを単原子酸素に曝露することによって、ターゲットを汚染モード(poisoned mode)で動作させまた堆積速度を大幅に低下させることなく、堆積させるチタンの完全な酸化を可能にする。二酸化チタンを高速で堆積させるこれまでの試みは、このように薄膜を完全に酸化させることができず、その結果、堆積薄膜は許容できないほどの吸収を起こした。近傍プラズマがない場合、基板表面に新しく堆積したチタン金属と反応することができる酸素は本来、主に二原子である。二原子酸素とチタンを反応させて二酸化チタンを形成するには、高い活性化エネルギーが必要である。活性化エネルギーが高いため、チタンは完全には酸化されない。
【0015】
本発明のある態様においては、プラズマ生成装置は、チタン金属と極めて反応し易い単原子酸素を含むプラズマを提供する。従って、薄膜を完全に酸化させ、吸収薄膜を形成するという欠点をなくすことができる。
【0016】
成長薄膜に単原子酸素を提供することは、基板表面のチタン原子を迅速かつ完全に酸化させるために重要であるばかりでなく、成長薄膜により多くのエネルギーを提供するという別の利点も有する。このエネルギー増は、チタン原子と二原子分子酸素の反応によって提供される低い反応熱よりも高い、チタン原子と単原子酸素の反応熱によって提供される。二原子酸素分子とチタン原子の反応には、形式的には、少なくともまず酸素分子が単原子酸素に分裂することが必要である。これは、吸熱性の高い反応であり、酸素分子を分裂させるのに必要なエネルギーが、酸素原子とチタン原子の反応によって放出されるエネルギーから差し引かれるので、二原子酸素とチタンの反応で放出される正味エネルギーは、単原子酸素原子とチタンの反応で放出されるエネルギーよりも低い。
【0017】
ターゲットからスパッタされた材料が主にチタン原子からなるようにするためには、実質的に金属モードでチタンターゲットを動作させることが望ましい場合がある。堆積したチタン原子を完全に酸化させる活性化酸素種を提供するために、近傍プラズマに酸素が導入される。チタン原子の酸化で放出されるエネルギーは、ルチル相の二酸化チタンを形成するのに必要なエネルギーに寄与する。高いスパッタ速度を維持しながらターゲットの酸化状態を制御する方法は、米国特許第5,849,162号に開示されている。
【0018】
多くの状況において、チタン以外の材料のスパッタリングを可能にするターゲットを備えた付加的被覆ステーションを少なくとも1種備えることが望ましい場合がある。複数の被覆ステーションを交互に使用することによって、本発明は、複数の層のうちの少なくとも一層が実質的にルチル型二酸化チタンからなる多層コーティングの形成を可能にする。また、基板上のルチル型二酸化チタンの総合的な堆積速度を高めるために、チタンをスパッタリングできる複数の被覆ステーションを提供することが望ましい場合がある。
【0019】
本発明のある態様においては、平衡マグネトロンは交流電源によって動作される。交流電源の使用は、ルチル型二酸化チタンを形成するのに役立つ。交流スパッタリングシステムにおいては、電力(power)が2つのターゲット間で切り換わり、各ターゲットは、1電力サイクルの間に交互に陰極、陽極として働く。使用される周波数において、プラズマは、電力が2つのターゲット間で(約数十マイクロ秒の時間で)切り換わるときに大幅に減少し、従って、陰極として動作しているターゲットにプラズマを再び当てなければならない。ターゲットにプラズマを再び当てるために必要なこの高いエネルギーによって、スパッタリングプラズマの電子温度が高くなり、その結果、プラズマ内を通る基板のまわりのシース電圧が高くなる。これにより、基板の高エネルギーイオン衝撃が起こる。この高エネルギー衝撃は、基板上に堆積したチタン原子の酸化とルチル型二酸化チタンの形成の両方を促進する。
【0020】
プラズマ内の電子温度を高くしてルチル型二酸化チタンの形成を支援するために、他の交流電力構成や他の電源を使用することもできる。また、非平衡交流マグネトロン並びにパルス直流マグネトロンは、ターゲット全体にプラズマを再び当てることを必要とし、従ってプラズマ内の電子温度を高くする利点を提供する。また、交流構成においては、各ターゲットは交互に陽極、陰極として働き、その結果、ターゲットの表面に酸化物が蓄積されず、陽極がなくなることがないという利点を有する。パルス直流システムでは、ターゲットは1つしかなく常に陰極であり、チャンバ内で起こる陽極のふらつきの問題が容易になる。他の電源とターゲット構成を使用することもできるが、速度と薄膜品質が多少低下する。
【0021】
一操作で多数の基板のコーティングを提供できるようにするためには、システムに比較的長いスパッタリングターゲット、細長いプラズマ発生器、及び多数の基板を保持できる基板ホルダを提供することがしばしば有利である。
【0022】
また、基板上の堆積の均一性を高めるために搬送装置に対して基板を2次的に移動させる方法を提供することが望ましい場合もある。例えば、基板は、本発明から逸脱することなく、基板の中心点のまわりに回転されてもよく、搬送装置のどこかの面を横切って移動されてもよく、或いはこれらの組合せで移動されてもよい。米国特許第6,485,646号は、基板上のコーティングの均一性及び配列された複数基板間のコーティングの均一性を高めるため、基板に補助的な動きを提供する被覆システムを開示している。
【0023】
本発明は、ルチル型二酸化チタンの薄膜を、低吸収、高速、及び低い温度で形成するシステム及びプロセスを提供するものであるが、従来、これら効果の組合せは反応性スパッタリングシステムの使用によっては実現されていない。イオンビームスパッタリングと異なり、本プロセスは、比較的大きい基板処理量について行なうことができる。高い堆積速度と複数基板の組み合わせによって、本発明は、多層オプティカルコーティング等のルチル型二酸化チタンコーティングを備えた物品の製造においいて経済的に有利になる。また、これにより、二酸化チタンは、これまで実現できなかった用途においても使用できるコーティング材料になる。
【0024】
図2は、本発明の一態様による反応性被覆システムの概略図である。図2を参照すると、被覆システム100は、2種の被覆ステーション103と105を備えたチャンバ101を有する。チタン陰極対102が被覆ステーション103内に配置され、交流電源106から電力が供給される。チタン陰極対104が被覆ステーション105内に配置され、交流電源108によって電力が供給される。交流電源は任意の適切な周波数、一般に10kHz〜100kHz、で動作させることができる。プラズマ生成装置110が被覆ステーション103内の陰極対102の近くに配置される。プラズマ生成装置112が被覆ステーション105内の陰極対104の近くに配置される。システムは、ターゲットとプラズマ生成装置を一方の被覆ステーション内で動作させることによって操作を行うものであってもよく、両方の被覆ステーション内で同時に動作させることによって操作を行うものであってもよい。ドラム114は、被覆ステーション内で1以上の基板を実装し移動させる手段を提供する。
【0025】
酸素が、プラズマ生成装置110、112と同じポートでチャンバ内に注入される。この構成は、また、基板の補助的な回転を提供することもでき、その回転速度は、ドラム回転速度に依存しない。
【実施例】
【0026】
図2に示すように構成した被覆システムを、(i)IRR(赤外線リフレクタ)コーティングと(ii)11層SWP(短波透過)コーティングを形成するために使用した。交流電源106と108は、それぞれ65kHzと40kHzで動作させた。図3と図4にそれぞれ、これら2種のコーティングの測定結果を理論的予測値と比較して示す。理論曲線は、550nmで屈折率2.7を有するルチル型二酸化チタンの使用を想定して計算した。この測定結果は、図2に示したシステムとプロセスを使用して低吸収ルチル型二酸化チタンが形成されたコーティングを示す。測定速度から、二酸化チタンが、1つの交流陰極対を使用して10nm/分の速度で堆積され、また両方のチタン陰極対を同時に動作させた場合は20nm/分の速度で堆積されたことが分かる。コーティングは、約1時間約500℃で基板を焼成した後でk値が10×10-4よりも小さい吸収を示した。
【0027】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、ここに説明した実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲は、本明細書を読むことによって当業者が自然に想到する全ての等価物、多数の変形及び修正を受けるときに、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されるものであると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】P. Lobl, Thin Solid Films 251, 72-79 (1994)から得た真空蒸着された二酸化チタンの薄膜の状態図である。
【図2】本発明の一態様による被覆システムの概略図である。
【図3】本発明の一態様により形成された薄膜の波長に対する透過率の理論値と測定値との比較を示す図である。
【図4】本発明の他の一態様により形成された薄膜の波長に対する透過率の理論値と測定値の比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ被覆システムであって、
被覆ステーションを有する真空チャンバと、
被覆する1以上の基板を前記被覆ステーション内を通すように構成した基板実装移動手段と、
前記チャンバ内に酸素を導入する手段と、
前記被覆ステーション内に反応性雰囲気を生成し、前記実装移動手段によって前記被覆ステーション内を通されるときに前記ターゲットから基板上にチタンをプラズマスパッタするのに十分な所定の電力レベルで動作するチタンターゲットと、
前記被覆ステーション内の反応性雰囲気の領域、密度及び反応性を高めるための所定の電力レベルで動作するプラズマ発生器とを含み、
ルチル型二酸化チタンの薄膜を形成する方法が、基板上にスパッタされたチタンの実質的に全てが酸化されてルチル相の二酸化チタンを形成する電力レベルでターゲットとプラズマ発生器とを動作させる段階を含むスパッタ被覆システム。
【請求項2】
被覆ステーション内の単一パスでチタンの単一層を堆積させ酸化させるのに十分な速度で被覆ステーション内で基板を移動させる段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲットがマグネトロンスパッタリングターゲットである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1対のマグネトロンスパッタリングターゲットを含み、前記方法が、更に、各ターゲットが1電力サイクル中に陰極と陽極を交互に形成するように交流電源によってターゲットを動作させる段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プラズマ発生器がマイクロ波発生器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応性雰囲気が単原子酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プラズマ発生器とターゲットによって共同で生成される反応性雰囲気がターゲットを汚染することなく実質的に全ての堆積チタンを酸化するような電力レベルでプラズマ発生器を動作させる段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板上に薄膜を形成するために、基板にチタンを堆積させ前記堆積したチタンを酸素に曝露する段階を含むプロセスにおいて、チタンが、単一層で堆積され酸素に曝露され、実質的に全ての堆積チタンを酸化させて実質的にルチル型二酸化チタンからなる薄膜を形成することを特徴とするプロセス。
【請求項9】
チタンの単一層を堆積させ曝露する段階が、実質的にルチル型二酸化チタンからなる所定の厚さの薄膜を得るために繰り返される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
チタンの単一層が単原子酸素に曝露される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
チタンの単一層が基板上にスパッタされる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
チタンの単一層が単原子酸素に曝露される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
基板の温度が200℃未満である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項14】
薄膜が所定の期間約400℃よりも高い温度に曝露される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
薄膜が所定の期間約500℃の温度に曝露される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
基板上に薄膜を形成するために、基板にチタンをスパッタ堆積させチタンを酸化させて二酸化チタンを形成する段階を含むプロセスであって、実質的に全ての二酸化チタンをルチル相で形成するのに十分なエネルギーをチタンと酸素に提供するプロセスにおいて、補助プラズマをスパッタリングプラズマと混合し、混合したプラズマに堆積チタンを曝露することによってエネルギーの少なくとも一部を提供する段階を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項17】
単原子酸素とチタン間の反応の熱が、チタンと酸素に提供されるエネルギーの一部を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
基板の温度が200℃未満である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
ターゲットが交流電源によって動作される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
1対のターゲットが交流電源によって動作される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
実質的にルチル型二酸化チタンからなる薄膜を形成するプロセスであって、
1以上の基板をスパッタリングターゲットを通り過ぎるように移動させる段階と、
基板がターゲットを通り過ぎる単一パスの間に基板上にチタンの単一層をスパッタ堆積させる段階と、
堆積させたチタンの実質的に全てを酸化させてルチル相の二酸化チタンを形成する段階とを含むプロセス。
【請求項22】
スパッタ堆積する段階が交流電源によってターゲットを動作させる段階を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
酸化させる段階が、堆積させたチタンを単原子酸素に曝露する段階を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項24】
基板上にチタンをスパッタ堆積し堆積させたチタンを酸化させて二酸化チタンの薄膜を形成するプロセスにおいて、実質的に全ての二酸化チタンをルチル相で形成するのに十分なエネルギーを薄膜に提供する方法が、堆積させたチタンを単原子酸素を含むプラズマに曝露する段階を含むプロセス。
【請求項25】
スパッタ被覆システムであって、
被覆ステーションを有する真空チャンバと、
前記被覆ステーション内に一以上の基板を通すように構成した基板実装移動手段と、
前記チャンバに酸素を導入する手段と、
前記被覆ステーション内に反応性雰囲気を生成し、前記実装移動手段によって前記被覆ステーション内に通されたときに前記ターゲットから基板上にチタンをプラズマスパッタするのに十分な所定の電力レベルで動作するチタンターゲットと、
前記被覆ステーションの反応性雰囲気の領域、密度及び反応性を高めるために所定の電力レベルで動作するプラズマ発生器とを含み、
ターゲットとプラズマ発生器は、基板上にスパッタされた実質的に全てのチタンが酸化されてルチル相の二酸化チタンが形成される電力レベルで動作されるスパッタ被覆システム。
【請求項26】
プラズマ発生器は、プラズマ発生器とターゲットによって共同で作成された反応性雰囲気がターゲットを汚染することなく実質的に全ての堆積されたチタンを酸化させるような電力レベルで動作する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ターゲットがマグネトロンスパッタリングターゲットを有する、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記被覆ステーション内に反応性雰囲気を生成し、前記実装移動手段によって前記被覆ステーション内に通されたときに前記ターゲットから基板上にチタンをプラズマスパッタするのに十分な所定の電力レベルで動作する第2のチタンターゲットを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
ターゲットは、各ターゲットが1電力サイクル中に陰極と陽極を交互に形成するように交流電源によって動作される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
プラズマ発生器がマイクロ波発生器を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
実装移動手段が軸のまわりに回転可能なほぼ円筒形のドラムを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
実装移動手段が、取り付けられた基板をドラムの表面に対して移動させる手段を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
実装移動手段が軸のまわりに回転可能な円板を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項34】
実装移動手段が、取り付けられた基板を円板の表面に対して移動させる手段を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
第2の被覆ステーション、前記第2の被覆ステーションに配置されたターゲット、及び前記第2の被覆ステーションに配置されたプラズマ発生器を更に含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項36】
前記被覆ステーションに配置された第2のターゲットを更に含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項37】
二酸化チタンを含む薄膜を形成するシステムであって、
被覆ステーションを有するスパッタリングチャンバと、
前記被覆ステーション内で一以上の基板を実装移動手段させる手段と、
前記被覆ステーション内に酸素を導入する手段と、
前記被覆ステーション内に配置されたチタンスパッタリングターゲットであって、前記被覆ステーション内の前記ターゲットのスパッタリング表面近くに配置された基板上にチタンをスパッタするためのスパッタプラズマを生成するスパッタリングターゲットと、
前記被覆ステーション内に配置されたプラズマ生成装置であって、前記ターゲットによって生成されたスパッタリングプラズマと混合する単原子酸素を含むプラズマを生成するプラズマ生成装置とを含み、
前記実装移動手段が、チタンの単一層の堆積と前記単一層の酸化を行って前記被覆ステーション内の前記基板の単一パスの間に実質的に全ての二酸化チタンをルチル相で形成する速度で前記被覆ステーション内で前記基板を移動させるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507618(P2007−507618A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534325(P2006−534325)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033045
【国際公開番号】WO2005/035822
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(592116084)デポジション・サイエンシイズ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】