レジストパターン形成方法、エッチング方法およびマスター情報担体の製造方法
【課題】寸法精度よく、かつ容易に基体表面にパターン形成することができるレジストパターン形成方法、エッチング方法、およびマスター情報担体の製造方法を提供する。
【解決手段】基体1の表面上に全面に第1レジスト膜2を形成する工程と、第1レジスト膜2の上に開口3aを有する第2レジスト膜3を形成する工程と、開口3a内の第1レジスト膜2の表面にイオン注入法によりイオンを注入する工程と、イオン注入層5をマスクとして第1レジスト膜2をエッチングする工程とを備えたレジストパターンの形成方法。なお、このレジストパターン7を用いて基体1または基体1の上に予め形成した薄膜を精度よくエッチングすることができる。また、この方法を適用して、マスター情報担体を容易に製造することができる。
【解決手段】基体1の表面上に全面に第1レジスト膜2を形成する工程と、第1レジスト膜2の上に開口3aを有する第2レジスト膜3を形成する工程と、開口3a内の第1レジスト膜2の表面にイオン注入法によりイオンを注入する工程と、イオン注入層5をマスクとして第1レジスト膜2をエッチングする工程とを備えたレジストパターンの形成方法。なお、このレジストパターン7を用いて基体1または基体1の上に予め形成した薄膜を精度よくエッチングすることができる。また、この方法を適用して、マスター情報担体を容易に製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐エッチング特性および寸法精度に優れたレジストパターン形成方法、そのレジストパターンを用いたエッチング方法および情報信号を磁気記録媒体に転写記録するために用いられるマスター情報担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスター情報担体を用いたプリフォーマット記録方法では、マスター情報担体に形成されたディジタル信号に対応する強磁性薄膜の形状およびパターン配列が磁気記録媒体にプリフォーマット記録される。したがって、良好な磁気信号特性を得るためにはマスター情報担体に形成された強磁性薄膜のパターンが精度よく形成されることが要求される。
【0003】
また、記録密度の向上とともにマスター情報担体に形成するパターンも微細化が要求される。微細化を図るためにはフォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術とを用いて、強磁性薄膜のパターンを精度よくエッチング加工することが重要である。
【0004】
ドライエッチングを用いるレジストパターン形成方法としては、耐エッチング特性に優れた構成として、例えば上層と下層のレジスト膜の中間層として二酸化シリコン(SiO2)膜を用いた三層レジスト方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。図10は、この三層レジストによりドライエッチングを行い、パターンを形成する主要工程の断面図である。
【0005】
まず、図10(a)に示すように、基体20の表面に下地膜21を形成する。次に、下地膜21の上に二酸化シリコン(SiO2)膜22を形成する。このとき下地膜21としては、一般的にフォトレジスト材料を用いる。
【0006】
次に、図10(b)に示すように、二酸化シリコン(SiO2)膜22の表面にフォトレジスト膜23を形成する。
【0007】
次に、図10(c)に示すように、マスク等を用いて露光を行った後、現像する。このようにして、二酸化シリコン(SiO2)膜22の表面に開口24を有するレジストパターン23aが形成される。
【0008】
次に、レジストパターン23aをマスクとして二酸化シリコン膜(SiO2)膜22および下地膜21をエッチングする。エッチング後、レジストパターン23aを除去する。これにより、図10(d)に示すように、レジストパターン23aに対応したエッチングマスク25が形成される。
【0009】
このようにして形成されたエッチングマスク25を用いて基体20をエッチングする。これにより、図10(e)に示すように、基体20の表面に凹部26を有する凹凸パターンが形成される。
【0010】
次に、従来のドライエッチングプロセスを用いた第2のパターン形成方法について、図11を参照しながら説明する。図11は、従来のドライエッチングプロセスによりパターン形成を行う方法を説明するための断面図である。
【0011】
まず、図11(a)に示すように、基体20の表面にフォトレジスト膜28を形成する。次に、図11(b)に示すように、露光、現像処理を行って、レジストパターン28aを形成する。次に、このレジストパターン28aをマスクとして基体20をエッチングし、図11(c)に示すように、凹部29を形成する凹凸パターンが形成される。
【0012】
また、シリコン(Si)を含有する有機膜をエッチングする場合に、エッチング面にはシリコン(Si)を核とした残渣が形成されることがある。このような残渣を除去し、エッチング形状を改善することの可能なエッチング方法も示されている。具体的には、ドライエッチングの処理ガスとして窒素(N2)と水素(H2)とフッ素含有ガスを含み、エッチング対象膜がシリコン(Si)を含有する有機膜であり、酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(SiN)膜をエッチングマスクとして用いる方法からなる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−118825号公報
【非特許文献1】W.M.Moreau,SEMICONDUCTOR LITHOGRAPHY 1988)p.595〜607.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記従来の第1のパターン形成方法は、二酸化シリコン(SiO2)膜をエッチングマスクとして用いる方法であるため、工程数が多くなる。さらに、2回の反応性イオンエッチングを必要とする。このため、寸法精度および形状にばらつきを生じやすいという課題があった。
【0014】
また、上記従来の第2のパターン形成方法は、非常に一般的な方法であるが、この方法に場合には、以下のような課題を有する。図12は、第2のパターン形成方法を用いた場合の、レジストパターンの形状変化を説明するための断面図である。図12に示すように、レジストパターン28aの厚みがエッチング時間の進行とともに、図12(a)に示すd1から図12(b)に示すd2へと減少する。これに伴い、レジストパターン28aの間隔がw1からw2へ大きくなり、寸法精度が悪化する。また、パターン線幅の細線化に伴い、レジストパターン28aの倒れやテーパ角の増大等が生じてパターン不良が発生しやすくなるため、フォトレジスト膜の厚みを薄くすることが要求される。しかし、フォトレジスト膜の厚みを薄くすると、所望の量のエッチングが終了する前にレジストパターンが消滅してしまう場合も生じる。
【0015】
また、上記第3の例では、シリコン(Si)を含有する有機膜のエッチングのために酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(SiN)膜をエッチングマスクとして用いるが、この方法も第1の例と同様に工程が複雑となる。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、基体の表面に耐エッチング性に優れたレジストパターンを形成することにより、微細パターンでも高精度にエッチングをすることが可能なレジストパターン形成方法、そのレジストパターンを用いて基体をエッチングするエッチング方法、および磁気転写により磁気記録媒体に情報信号をプリフォーマット記録するためのマスター情報担体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明のレジストパターン形成方法は、基体の主面に有機物からなる薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、この薄膜層の表面領域に、設定したパターン形状を有するイオン注入層を形成するイオン注入工程と、イオン注入層をマスクにして、イオン注入層以外の領域の薄膜層を選択的に除去する除去工程とを備えた方法からなる。
【0018】
また、上記方法において、薄膜層形成工程後、薄膜層の表面に、設定したパターン形状からなるフォトレジスト層を形成するパターン形成工程をさらに有し、イオン注入工程において、フォトレジスト層を介して薄膜層の表面にイオン注入を行い、薄膜層の表面領域にイオン注入層を形成し、フォトレジスト層を除去した後に、イオン注入層をマスクにしてイオン注入層以外の領域の薄膜層を選択的に除去する除去工程を行ってもよい。
【0019】
また、上記方法のイオン注入工程において、設定したパターン形状を有するマスクを介して薄膜層の表面にイオン注入を行う方法としてもよい。
【0020】
このような方法とすることにより、レジストパターンのドライエッチングやウエットエッチングによる耐性が向上するので、エッチング速度の遅い基体や強磁性薄膜等に対しても確実に、精度よくエッチングを行うことができる。なお、薄膜層、基体およびフォトレジスト層とは、少なくとも、そのエッチング液またはエッチングガスが異なる材料を選択することが望ましい。
【0021】
また、上記方法において、注入イオンは基体表面に到達しない加速電圧で注入を行うことが望ましい。さらに、薄膜層に注入されたイオンの濃度が1.0×1015ions/cm2以上であることが望ましい。
【0022】
また、上記方法において、薄膜層に形成されたイオン注入層中のイオンを酸化処理することにより、イオン注入層にイオンの酸化物を形成するようにしてもよい。
【0023】
この方法により、ドライエッチングやウエットエッチングに対する耐性をさらに向上させることができる。この酸化物層はエッチングの際に薄膜層が減少することを防止し、選択比を大きくすることが可能となり、エッチング特性の改善が図られ、パターンを精度よく形成することができる。
【0024】
なお、イオン注入量を1.0×1015ions/cm2以上とすれば、薄膜層中に形成される酸化物層が充分に形成されるため、耐エッチング特性を向上させることができる。なお、イオン注入量は注入処理時間によって制御することが可能である。
【0025】
また、上記方法において、注入イオンが、チタン(Ti)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、およびクロム(Cr)のうち少なくとも1つ以上を含むようにしてもよい。
【0026】
また、本発明のエッチング方法は、上記記載のレジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンを用いて、基体または基体の主面に形成された薄膜をエッチングする方法からなる。
【0027】
さらに、本発明のマスター情報担体の製造方法は、非磁性基体の表面に強磁性薄膜を形成する強磁性薄膜形成工程と、強磁性薄膜の上に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクとして、強磁性薄膜をエッチングするエッチング工程とを備え、このレジストパターンが上記記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明のマスター情報担体の製造方法は、非磁性基体の表面に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクとして、非磁性基体の表面をエッチングして凹部を形成するエッチング工程と、凹部に強磁性薄膜を充填する強磁性薄膜形成工程と、レジストパターンを除去することによって、レジストパターン上の強磁性薄膜を同時に除去するレジスト除去工程とを備え、レジストパターンが上記記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とする。
【0029】
マスター情報担体は、所要のパターン形状の強磁性薄膜を非磁性基体の表面に形成したものである。その所要のパターン形状は、磁気記録媒体表面に磁気転写すべき情報信号を表すものとなっている。
【0030】
例えば、非磁性基体上に強磁性薄膜層を形成した表面に対して薄膜層を形成し、上記のレジストパターン形成方法を適用してレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンをマスクとして、上記のエッチング方法を用いて強磁性薄膜層をエッチングすることにより所望のパターン形状を有する強磁性薄膜を形成することができる。非磁性基体に強磁性薄膜を形成するには、スパッタリング法や蒸着法等を用いることが好適である。
【0031】
また、本発明のマスター情報担体の製造方法を用いれば、耐エッチング特性に優れたレジストパターンを形成できるので、情報信号を表すパターン形状の強磁性薄膜を非磁性基体に高精度に形成することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明のレジストパターン形成方法は、マスクとしてのレジスト膜中にイオンを注入することを基本とするものである。さらに、レジストパターンを酸化処理することによりレジスト膜に注入されたイオンの酸化物層を形成することで、さらに耐エッチング性を向上させることができる。これにより、工程数の削減、ドライエッチング時のレジスト膜減りの抑制が可能となり、レジストパターンを精度よく形成することができる。
【0033】
また、本発明のレジストパターン形成方法をエッチングマスク形成に用いれば、エッチングマスクの耐エッチング性を向上させることができる。そのため、エッチング工程中のレジスト膜の膜厚減少や消滅を防止することが可能となり、寸法精度よく、容易にエッチングが行える。
【0034】
また、上記のレジストパターン形成方法およびエッチング方法を適用したマスター情報担体の製造方法によれば、磁気記録媒体への情報信号の磁気転写の精度がきわめて高い、信頼性に優れたマスター情報担体を容易に製造することができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる第1のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図である。
【0037】
まず、図1(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。ここでは、薄膜層2としてレジスト膜(以下、第1レジスト膜2とする)を用いた例について説明する。
【0038】
次に、図1(b)に示すように、第1レジスト膜2の上にフォトレジストを用いて、設定した位置に開口3aを有するパターン形状を設けたフォトレジスト層3を形成する。このフォトレジスト層3を、以下では第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、フォトリソプロセスおよび現像プロセスを用いて形成する。なお、露光プロセスでは、マスクアライナーを用いてもよい。
【0039】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジスト材料を用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジスト材料として、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジスト材料として、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0040】
次に、図1(c)に示すように、全面にイオンビーム4を照射する。イオンビーム4の材料としては、例えばチタン(Ti)イオンの注入を行う。第2レジスト膜3および第1レジスト膜2の厚みを0.7μmとしたときには、チタン(Ti)イオンの注入条件は、(表1)に示すように加速電圧30KeV、注入量5×1015cm−2とすることが望ましい。
【0041】
【表1】
【0042】
次に、第2レジスト膜3を除去する。これにより、図1(d)に示すように、所定の領域にイオン注入層5が形成された第1レジスト膜2が得られる。
【0043】
次に、第1レジスト膜2に対して酸素を用いたリアクティブ・イオン・エッチング(以下、酸素RIEとよぶ)を施す。これにより、イオン注入されていない領域の第1レジスト2が酸化分解される。この結果、図1(e)に示すようなレジストパターン7が形成される。なお、イオン注入層5は、酸素RIEによる処理により注入されたチタン(Ti)イオンが酸化物となる。このため、このイオン注入層5は酸素RIEによる処理を受けても、第1レジスト膜2の分解反応が生じない。このため、図1(e)に示すレジストパターン7を形成することができる。レジストパターン7は、イオン注入層5とその下部のイオン注入されていない領域6とを含む構造からなる。
【0044】
以上、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法によれば、エッチング耐性に優れたレジストパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0045】
なお、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法で説明した条件は一例であり、この範囲に限定されない。例えば、非磁性基体1として、ガラス基板、プラスチック基板等も用いることができる。また、薄膜層である第1レジスト膜2として電子線描画用レジスト(例えば、PMMAレジスト)を用いた例について説明したが、これに限らず、有機物であればよく、例えばポリイミド等を用いてもよい。
【0046】
また、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法では、30keVの加速電圧でチタン(Ti)イオンを注入し、第1レジスト膜2および第2レジスト膜3の表面より0.15μmの位置までチタン(Ti)イオンの注入を行ったが、本発明はこれに限定されない。イオン注入深さは、第2レジスト膜3の下部に設けられた第1レジスト膜2に到達せず、かつ開口3aでは第1レジスト膜2の下部の非磁性基体1に到達しない条件であればよい。このためには、加速電圧によりイオン注入深さを制御すれば、容易に、かつ高精度に制御することが可能である。なお、イオン注入時の加速電圧は小さい方が、表面付近に注入イオンが分布し、効率よく注入することが可能である。
【0047】
本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法においては、注入イオンとしてチタン(Ti)を用いた例について説明したが、これに限定されない。例えば、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0048】
また、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法では、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行ったが、エッチング方法はこれに限定されない。例えば、電子サイクロトロン共鳴エッチング(以下、ECRエッチングとする)等を用いることもできる。
【0049】
次に、本発明の第1の実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図である。
【0051】
まず、図2(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態の第2のレジストパターン形成方法においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた場合について説明するので、以下では第1レジスト膜2として説明をする。
【0052】
次に、図2(b)に示すように、例えばシリコン基板を加工して作製したマスク8を介して、第1レジスト膜2にチタン(Ti)イオンビーム4を照射する。マスク8は、第1レジスト膜2にイオン注入を行う領域に対応する箇所に開口8aを有している。なお、第1レジスト膜2の厚み、イオン注入の条件等は、第1のレジストパターン形成方法で説明した条件と同様である。
【0053】
その後、酸素RIEを行って、イオン注入されていない領域のレジストを酸化分解する。これにより、図2(c)に示すように、レジストパターン7が形成される。レジストパターン7は、イオン注入層5とその下部のイオン注入されていない領域6とを含む構造からなる。すなわち、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入イオンが酸化物となり、酸素RIEによっても分解反応が進行しなかった領域である。なお、上記の酸素RIEの代わりに、ECRエッチング等を用いることもできる。
【0054】
以上説明したように、第2のレジストパターン形成方法によれば、エッチング耐性の高いレジストパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0055】
なお、上記のレジストパターン形成方法の条件は一例であり、これに限定されない。例えば、非磁性基体1には、ガラス基板、プラスチック基板等も用いることができる。また、薄膜層である第1のレジスト膜2としては、電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)に限定されず、有機物であればよく、例えばポリイミド等を用いてもよい。
【0056】
また、上記の第2のレジストパターン形成方法では、30keVの加速電圧でチタン(Ti)をイオン注入し、第1レジスト膜2の表面より0.15μmの位置までチタン(Ti)イオンの注入を行ったが、これに限定されない。例えば、イオンの注入深さは、第1レジスト膜2の下部の非磁性基体1に到達しない深さとすればよい。
【0057】
イオン注入深さは加速電圧により制御することが可能である。なお、イオン注入時の加速電圧は小さい方が、表面付近に注入イオンが分布し、効率よく注入することが可能である。さらに、注入イオンとしては、チタン(Ti)を用いたが、これに限らず、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0058】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態にかかるエッチング方法を説明するための主要工程の断面図である。
【0059】
まず、図3(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Paの条件でスパッタリング法により、膜厚300nmのコバルト(Co)膜を成膜して強磁性薄膜9とした。成膜した強磁性薄膜9を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0060】
次に、図3(b)に示すように、強磁性薄膜9の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた場合について説明するので、以下では第1レジスト膜2とする。
【0061】
次に、図3(c)に示すように、第1レジスト膜2の上に、ディジタル信号に応じたパターンに対応するパターン形状を有するフォトレジスト層3を形成する。なお、本実施の形態においても、フォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。
【0062】
以下、第1の実施の形態の第1のレジストパターン形成方法における図1(c)から図1(e)に示した方法により、強磁性薄膜9の上にレジストパターン7を形成する。この状態を、図3(d)に示す。
【0063】
次に、レジストパターン7をマスクとしてイオンミリング法によるエッチングを行う。これにより、図3(e)に示すように、強磁性薄膜9からなる強磁性膜パターン10を形成する。その後、レジストパターン7を剥離除去する。なお、レジストパターン7の剥離除去方法としては、NMP溶液により溶解させる方法が簡便であり好ましい。
【0064】
なお、本実施の形態では、イオン注入量を5×1015ions/cm2としたが、イオン注入量により強磁性薄膜9であるコバルト(Co)とレジストパターン7との選択比が異なる。図4は、イオン注入量とコバルト/レジストパターンのエッチング選択比との関係を示す図である。図4より、注入量が多くなるほど選択比が大きくなり、注入量が1.0×1015ions/cm2を屈曲点として選択比が大きく増加する。このことから、大きな選択比を得るためには、イオン注入量を1.0×1015ions/cm2以上にすることが好適である。
【0065】
このように、本実施の形態のエッチング方法によれば、レジストパターン7と強磁性薄膜9であるコバルト膜との選択比を大きくできるため、エッチングパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0066】
なお、本実施の形態においては、注入イオンとしてチタン(Ti)を用いた例について説明したが、これに限定されない。例えば、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0067】
なお、本実施の形態で示したエッチング方法の条件は一例であり、これに限定されない。すなわち、レジストパターン7の形成方法として、図1に示す方法を用いた場合(レジストパターン形成後にイオン注入する方法)について説明を行ったが、図2に示す方法(マスクを用いてイオン注入し、その後にレジストパターンを形成する方法)を用いてもよい。
【0068】
また、強磁性薄膜9には、コバルト(Co)以外に、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができる。
【0069】
また、強磁性薄膜9のエッチング方法として、イオンミリングを用いたが、RIE、ECRエッチング、ヘリコン波励起エッチング等を用いることができる。
【0070】
また、スパッタリングにより形成した強磁性薄膜のエッチングを例として説明したが、エッチングの対象は強磁性薄膜に限定されない。例えば、非磁性薄膜でもよい。また、薄膜形成方法はスパッタリング法以外、例えばCVD法やメッキ法を用いてもよい。そして、強磁性薄膜や非磁性薄膜だけでなく、非磁性基体等、基体のエッチングを行ってもよい。
【0071】
(第3の実施の形態)
図5および図6は、本発明の第3の実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な平面図と部分拡大図である。初めに、マスター情報担体の構成の概略について説明を行う。
【0072】
図5に示すようなマスター情報担体は、ハードディスクに信号を記録するために用いられる。マスター情報担体11の一主面には、信号領域11aが形成されている。信号領域11aは、図5に示すように略放射状に形成されている。
【0073】
図5の点線で囲んだ部分Aの拡大図を、図6に模式的に示す。これは、サーボ信号を記録する場合の一例である。図6に示すように、信号領域(図5の11a)には、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に対応する位置に、マスター情報パターンとしての強磁性領域が強磁性薄膜により形成されている。図6において、ハッチングを施した部分が強磁性領域である。
【0074】
図6には、図5に示したマスター情報担体11の径方向(すなわち、トラック幅方向)に10トラック分のマスター情報パターンが示されている。なお、参考のため、マスター情報パターンが磁気記録媒体に転写記録された後、磁気記録媒体上でデータ領域となるトラック部分を破線によって示している。
【0075】
マスター情報担体11の一主面には、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に対応して、マスター情報担体11の周方向において一定角度毎に、かつ径方向には全記録トラック分、図6のようなマスター情報パターンが形成されている。
【0076】
マスター情報パターンがサーボパターンである場合には、例えば図6に示されるように、クロック信号、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号等の各々の領域をトラック長さ方向に順次配列している。なお、図5および図6は一例であり、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に応じてマスター情報パターンの構成や配置等は変化する。
【0077】
また、図7は、マスター情報担体11の構成についてビット長さ方向(トラック長さ方向)の一部断面図の一例を模式的に示す図である。マスター情報担体11は、非磁性材料からなる非磁性基体1と、非磁性基体1の一主面に形成されたディジタル信号に対応する強磁性領域12とを備える。
【0078】
非磁性基体1としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、Si基板等を用いることができる。強磁性領域12を構成する材料は、強磁性材料からなり、磁気記録媒体に信号を転写記録できるものであればよい。例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、Fe−Co合金等を用いることができる。上述したように、強磁性領域12は、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号(例えば、プリフォーマット記録)に対応する位置に形成されている。
【0079】
以下、このようなマスター情報担体の製造方法の一例について説明する。図8は、本実施の形態にかかる第1のマスター情報担体の製造方法を示す主要工程の断面図である。
【0080】
まず、図8(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Paの条件でスパッタリング法により、膜厚300nmのコバルト(Co)膜を成膜して強磁性薄膜9を形成した。成膜した強磁性薄膜9を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0081】
次に、強磁性薄膜9の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態においても、薄膜層としてフォトレジストを用いた例について説明する。以下、薄膜層を第1レジスト膜2として説明する。
【0082】
次に、図8(b)に示すように、第1レジスト膜2の上にフォトレジスト層3を形成し、ディジタル信号に対応するレジストパターンを形成する。フォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、図6に示したディジタル信号パターンに対応する位置に開口3aを有するパターン形状に形成される。
【0083】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジストを用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジストとして、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジストとして、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0084】
次に、図8(c)に示すように、第2レジスト膜3および開口3aを介して、全面にチタン(Ti)イオンビームを照射することにより、チタン(Ti)イオンの注入を行った。このときのイオン注入条件は(表1)に示した条件と同じである。
【0085】
次に、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行うことにより、イオン注入されていない領域の第1レジスト膜2を酸化分解する。これにより、図8(d)に示すように、酸化分解された第1レジスト膜2は強磁性薄膜9の表面から除去される。一方、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入されたチタン(Ti)イオンが酸化物となり、これによりレジスト材料の分解反応が進行しなくなる。この結果、レジストパターン7が形成される。
【0086】
次に、形成したレジストパターン7をマスクとしてイオンミリング法によるエッチングを行う。これにより、強磁性薄膜9に対して所定のパターンが形成される。この後、レジストパターン7を剥離除去する。レジストパターン7の剥離除去方法としては、リムーバー等の薬液等を用いる方法が簡便である。このようにして、非磁性基体1の表面にパターニングされた強磁性領域12を有するマスター情報担体11を製造することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態の第1のマスター情報担体の製造方法によれば、寸法精度に優れたマスター情報担体を容易に製造できる。
【0088】
なお、上記第1のマスター情報担体の製造方法では、第1レジスト膜2の上に、開口3aを有する第2レジスト膜3を形成して、ディジタル信号に対応するパターンを形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。また、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行ったが、これに限定されない。例えば、ECRエッチング等を用いてもよい。
【0089】
さらに、強磁性薄膜9のエッチング方法として、第1のマスター情報担体の製造方法ではイオンミリング法を用いたが、これに限定されず、RIEやECRエッチングやヘリコン波励起エッチング等を用いてもよい。
【0090】
また、第1のマスター情報担体の製造方法では、強磁性薄膜9にコバルト(Co)を用いたが、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができる。さらに、強磁性薄膜の形成方法としては、スパッタリング法以外にもCVD法やメッキ法を用いてもよい。
【0091】
次に、本実施の形態にかかる第2のマスター情報担体の製造方法について、図9を用いて説明する。図9は、第2のマスター情報担体の製造方法を説明するための主要工程の断面図である。
【0092】
まず、図9(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。この第2の製造方法においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた例について説明する。以下では、薄膜層2を第1レジスト膜2として説明する。
【0093】
次に、第1レジスト膜上に、フォトレジストを用いてディジタル信号に対応するパターンを有するフォトレジスト層3を形成する。このフォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、図6に示したディジタル信号パターンに対応する位置に開口3aを有するレジストパターンがフォトリソプロセスにより形成されている。
【0094】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジストを用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジストとして、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えば、PMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジストとして、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0095】
次に、図9(b)に示すように、第2レジスト膜3およびその開口3aを介して、全面にチタン(Ti)イオンビームを照射することにより、チタン(Ti)イオンの注入を行った。このときのイオン注入条件は(表1)に示した条件である。
【0096】
その後、第2レジスト膜3を除去する。次に、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行う。これにより、イオン注入されていない領域の第1のレジスト膜2を酸化分解する。このとき、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入されたイオンが酸化物となるため、第1のレジスト膜2の分解反応が進行しない。この結果、レジストパターン7を形成することができる。
【0097】
次に、図9(c)に示すように、形成したレジストパターン7をマスクとして非磁性基体1に対してRIEによるエッチングを行い、非磁性基体1に凹部1aを形成する。
【0098】
次に、非磁性基体1の上にレジストパターン7を残したまま、図9(d)に示すように、強磁性薄膜13を凹部1aに充填する。本実施の形態の第2の製造方法では、強磁性薄膜13の材料としてコバルト(Co)を用いた。そのときの成膜条件は、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Pa、膜厚300nmである。成膜した強磁性薄膜13を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0099】
次に、図9(e)に示すように、レジストパターン7を強磁性薄膜13(コバルト膜)とともに取り除く。これにより、非磁性基体1の表面にディジタル信号に対応する部分に強磁性領域12が形成されたマスター情報担体11を作製することができる。
【0100】
以上説明したように、本発明のマスター情報担体の製造方法によれば、寸法精度に優れたマスター情報担体を容易に製造できる。
【0101】
なお、非磁性基体1のエッチング方法としてRIE(リアクティブイオンエッチング)を用いたが、これに限らず、ECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチングやヘリコン波励起エッチング等を用いることができる。
【0102】
また、強磁性薄膜13にコバルト(Co)を用いたが、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができ、また、強磁性薄膜形成方法としては、スパッタリング法以外にもCVD法やメッキ法を用いてもよい。
【0103】
さらに、凹部1aに強磁性薄膜13を充填した後、不要な部分の強磁性薄膜13を除去する方法として、リフトオフ法を用いたが、本方法に限らず、CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)等を用いてもよい。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づいて他の実施の形態に適用することができる。
【0105】
例えば、上記実施の形態では、主にハードディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録するためのマスター情報担体について説明した。本発明のマスター情報担体は、フレキシブル磁気ディスク、磁気カードおよび磁気テープ等の磁気記録媒体に対して応用することもできる。
【0106】
また、上記実施の形態では、磁気記録媒体に記録される情報信号が、トラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等からなるプリフォーマット信号である場合を中心に説明したが、他の情報信号の記録にも本発明のマスター情報担体を用いることができる。例えば、本発明のマスター情報担体を用いて様々なデータ信号やオーディオ、ビデオ信号の記録を行うことも原理的に可能である。この場合には、本発明のマスター情報担体とこれを用いた磁気記録媒体への記録技術によって、ソフトディスク媒体の大量複写生産を行うことができ、ソフトディスク媒体を安価に提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明にかかるマスター情報担体の製造方法を用いることにより、ディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録するためのマスター情報担体を品質よく、かつ、容易に製造でき、磁気記録分野に有用である。また、半導体等のパターン形成およびエッチングのためのレジストパターンの形成方法やエッチング方法としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる第1のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図
【図2】同実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかるエッチング方法を説明するための主要工程の断面図
【図4】同実施の形態にかかるエッチング方法において、イオン注入量とコバルト/レジストパターンのエッチング選択比との関係を示す図
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な平面図
【図6】同実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な部分拡大図
【図7】同実施の形態に欠かすマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の構成について、ビット長さ方向(トラック長さ方向)の一部断面図の一例を模式的に示す図
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる第1のマスター情報担体の製造方法を示す主要工程の断面図
【図9】同実施の形態にかかる第2のマスター情報担体の製造方法を説明するための主要工程の断面図
【図10】従来の三層レジストによりドライエッチングを行い、パターンを形成する主要工程の断面図
【図11】従来の第2のパターン形成方法であるドライエッチングプロセスによりパターン形成を行う方法を説明するための断面図
【図12】第2のパターン形成方法を用いた場合の、レジストパターンの形状変化を説明するための断面図
【符号の説明】
【0109】
1 非磁性基体(基体)
1a,26,29 凹部
2 第1レジスト膜(薄膜層)
3 第2レジスト膜(フォトレジスト層)
3a,8a,24 開口
4 イオンビーム
5 イオン注入層
6 イオン注入されていない領域
7,23a,28a レジストパターン
8 マスク
9,13 強磁性薄膜
10 強磁性膜パターン
11 マスター情報担体
11a 信号領域
12 強磁性領域
20 基体
21 下地膜
22 二酸化シリコン(SiO2)膜
23,28 フォトレジスト膜
25 エッチングマスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐エッチング特性および寸法精度に優れたレジストパターン形成方法、そのレジストパターンを用いたエッチング方法および情報信号を磁気記録媒体に転写記録するために用いられるマスター情報担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスター情報担体を用いたプリフォーマット記録方法では、マスター情報担体に形成されたディジタル信号に対応する強磁性薄膜の形状およびパターン配列が磁気記録媒体にプリフォーマット記録される。したがって、良好な磁気信号特性を得るためにはマスター情報担体に形成された強磁性薄膜のパターンが精度よく形成されることが要求される。
【0003】
また、記録密度の向上とともにマスター情報担体に形成するパターンも微細化が要求される。微細化を図るためにはフォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術とを用いて、強磁性薄膜のパターンを精度よくエッチング加工することが重要である。
【0004】
ドライエッチングを用いるレジストパターン形成方法としては、耐エッチング特性に優れた構成として、例えば上層と下層のレジスト膜の中間層として二酸化シリコン(SiO2)膜を用いた三層レジスト方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。図10は、この三層レジストによりドライエッチングを行い、パターンを形成する主要工程の断面図である。
【0005】
まず、図10(a)に示すように、基体20の表面に下地膜21を形成する。次に、下地膜21の上に二酸化シリコン(SiO2)膜22を形成する。このとき下地膜21としては、一般的にフォトレジスト材料を用いる。
【0006】
次に、図10(b)に示すように、二酸化シリコン(SiO2)膜22の表面にフォトレジスト膜23を形成する。
【0007】
次に、図10(c)に示すように、マスク等を用いて露光を行った後、現像する。このようにして、二酸化シリコン(SiO2)膜22の表面に開口24を有するレジストパターン23aが形成される。
【0008】
次に、レジストパターン23aをマスクとして二酸化シリコン膜(SiO2)膜22および下地膜21をエッチングする。エッチング後、レジストパターン23aを除去する。これにより、図10(d)に示すように、レジストパターン23aに対応したエッチングマスク25が形成される。
【0009】
このようにして形成されたエッチングマスク25を用いて基体20をエッチングする。これにより、図10(e)に示すように、基体20の表面に凹部26を有する凹凸パターンが形成される。
【0010】
次に、従来のドライエッチングプロセスを用いた第2のパターン形成方法について、図11を参照しながら説明する。図11は、従来のドライエッチングプロセスによりパターン形成を行う方法を説明するための断面図である。
【0011】
まず、図11(a)に示すように、基体20の表面にフォトレジスト膜28を形成する。次に、図11(b)に示すように、露光、現像処理を行って、レジストパターン28aを形成する。次に、このレジストパターン28aをマスクとして基体20をエッチングし、図11(c)に示すように、凹部29を形成する凹凸パターンが形成される。
【0012】
また、シリコン(Si)を含有する有機膜をエッチングする場合に、エッチング面にはシリコン(Si)を核とした残渣が形成されることがある。このような残渣を除去し、エッチング形状を改善することの可能なエッチング方法も示されている。具体的には、ドライエッチングの処理ガスとして窒素(N2)と水素(H2)とフッ素含有ガスを含み、エッチング対象膜がシリコン(Si)を含有する有機膜であり、酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(SiN)膜をエッチングマスクとして用いる方法からなる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−118825号公報
【非特許文献1】W.M.Moreau,SEMICONDUCTOR LITHOGRAPHY 1988)p.595〜607.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記従来の第1のパターン形成方法は、二酸化シリコン(SiO2)膜をエッチングマスクとして用いる方法であるため、工程数が多くなる。さらに、2回の反応性イオンエッチングを必要とする。このため、寸法精度および形状にばらつきを生じやすいという課題があった。
【0014】
また、上記従来の第2のパターン形成方法は、非常に一般的な方法であるが、この方法に場合には、以下のような課題を有する。図12は、第2のパターン形成方法を用いた場合の、レジストパターンの形状変化を説明するための断面図である。図12に示すように、レジストパターン28aの厚みがエッチング時間の進行とともに、図12(a)に示すd1から図12(b)に示すd2へと減少する。これに伴い、レジストパターン28aの間隔がw1からw2へ大きくなり、寸法精度が悪化する。また、パターン線幅の細線化に伴い、レジストパターン28aの倒れやテーパ角の増大等が生じてパターン不良が発生しやすくなるため、フォトレジスト膜の厚みを薄くすることが要求される。しかし、フォトレジスト膜の厚みを薄くすると、所望の量のエッチングが終了する前にレジストパターンが消滅してしまう場合も生じる。
【0015】
また、上記第3の例では、シリコン(Si)を含有する有機膜のエッチングのために酸化シリコン(SiO2)膜または窒化シリコン(SiN)膜をエッチングマスクとして用いるが、この方法も第1の例と同様に工程が複雑となる。
【0016】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、基体の表面に耐エッチング性に優れたレジストパターンを形成することにより、微細パターンでも高精度にエッチングをすることが可能なレジストパターン形成方法、そのレジストパターンを用いて基体をエッチングするエッチング方法、および磁気転写により磁気記録媒体に情報信号をプリフォーマット記録するためのマスター情報担体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するために、本発明のレジストパターン形成方法は、基体の主面に有機物からなる薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、この薄膜層の表面領域に、設定したパターン形状を有するイオン注入層を形成するイオン注入工程と、イオン注入層をマスクにして、イオン注入層以外の領域の薄膜層を選択的に除去する除去工程とを備えた方法からなる。
【0018】
また、上記方法において、薄膜層形成工程後、薄膜層の表面に、設定したパターン形状からなるフォトレジスト層を形成するパターン形成工程をさらに有し、イオン注入工程において、フォトレジスト層を介して薄膜層の表面にイオン注入を行い、薄膜層の表面領域にイオン注入層を形成し、フォトレジスト層を除去した後に、イオン注入層をマスクにしてイオン注入層以外の領域の薄膜層を選択的に除去する除去工程を行ってもよい。
【0019】
また、上記方法のイオン注入工程において、設定したパターン形状を有するマスクを介して薄膜層の表面にイオン注入を行う方法としてもよい。
【0020】
このような方法とすることにより、レジストパターンのドライエッチングやウエットエッチングによる耐性が向上するので、エッチング速度の遅い基体や強磁性薄膜等に対しても確実に、精度よくエッチングを行うことができる。なお、薄膜層、基体およびフォトレジスト層とは、少なくとも、そのエッチング液またはエッチングガスが異なる材料を選択することが望ましい。
【0021】
また、上記方法において、注入イオンは基体表面に到達しない加速電圧で注入を行うことが望ましい。さらに、薄膜層に注入されたイオンの濃度が1.0×1015ions/cm2以上であることが望ましい。
【0022】
また、上記方法において、薄膜層に形成されたイオン注入層中のイオンを酸化処理することにより、イオン注入層にイオンの酸化物を形成するようにしてもよい。
【0023】
この方法により、ドライエッチングやウエットエッチングに対する耐性をさらに向上させることができる。この酸化物層はエッチングの際に薄膜層が減少することを防止し、選択比を大きくすることが可能となり、エッチング特性の改善が図られ、パターンを精度よく形成することができる。
【0024】
なお、イオン注入量を1.0×1015ions/cm2以上とすれば、薄膜層中に形成される酸化物層が充分に形成されるため、耐エッチング特性を向上させることができる。なお、イオン注入量は注入処理時間によって制御することが可能である。
【0025】
また、上記方法において、注入イオンが、チタン(Ti)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、およびクロム(Cr)のうち少なくとも1つ以上を含むようにしてもよい。
【0026】
また、本発明のエッチング方法は、上記記載のレジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンを用いて、基体または基体の主面に形成された薄膜をエッチングする方法からなる。
【0027】
さらに、本発明のマスター情報担体の製造方法は、非磁性基体の表面に強磁性薄膜を形成する強磁性薄膜形成工程と、強磁性薄膜の上に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクとして、強磁性薄膜をエッチングするエッチング工程とを備え、このレジストパターンが上記記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とする。
【0028】
さらに、本発明のマスター情報担体の製造方法は、非磁性基体の表面に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクとして、非磁性基体の表面をエッチングして凹部を形成するエッチング工程と、凹部に強磁性薄膜を充填する強磁性薄膜形成工程と、レジストパターンを除去することによって、レジストパターン上の強磁性薄膜を同時に除去するレジスト除去工程とを備え、レジストパターンが上記記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とする。
【0029】
マスター情報担体は、所要のパターン形状の強磁性薄膜を非磁性基体の表面に形成したものである。その所要のパターン形状は、磁気記録媒体表面に磁気転写すべき情報信号を表すものとなっている。
【0030】
例えば、非磁性基体上に強磁性薄膜層を形成した表面に対して薄膜層を形成し、上記のレジストパターン形成方法を適用してレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンをマスクとして、上記のエッチング方法を用いて強磁性薄膜層をエッチングすることにより所望のパターン形状を有する強磁性薄膜を形成することができる。非磁性基体に強磁性薄膜を形成するには、スパッタリング法や蒸着法等を用いることが好適である。
【0031】
また、本発明のマスター情報担体の製造方法を用いれば、耐エッチング特性に優れたレジストパターンを形成できるので、情報信号を表すパターン形状の強磁性薄膜を非磁性基体に高精度に形成することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明のレジストパターン形成方法は、マスクとしてのレジスト膜中にイオンを注入することを基本とするものである。さらに、レジストパターンを酸化処理することによりレジスト膜に注入されたイオンの酸化物層を形成することで、さらに耐エッチング性を向上させることができる。これにより、工程数の削減、ドライエッチング時のレジスト膜減りの抑制が可能となり、レジストパターンを精度よく形成することができる。
【0033】
また、本発明のレジストパターン形成方法をエッチングマスク形成に用いれば、エッチングマスクの耐エッチング性を向上させることができる。そのため、エッチング工程中のレジスト膜の膜厚減少や消滅を防止することが可能となり、寸法精度よく、容易にエッチングが行える。
【0034】
また、上記のレジストパターン形成方法およびエッチング方法を適用したマスター情報担体の製造方法によれば、磁気記録媒体への情報信号の磁気転写の精度がきわめて高い、信頼性に優れたマスター情報担体を容易に製造することができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。
【0036】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる第1のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図である。
【0037】
まず、図1(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。ここでは、薄膜層2としてレジスト膜(以下、第1レジスト膜2とする)を用いた例について説明する。
【0038】
次に、図1(b)に示すように、第1レジスト膜2の上にフォトレジストを用いて、設定した位置に開口3aを有するパターン形状を設けたフォトレジスト層3を形成する。このフォトレジスト層3を、以下では第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、フォトリソプロセスおよび現像プロセスを用いて形成する。なお、露光プロセスでは、マスクアライナーを用いてもよい。
【0039】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジスト材料を用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジスト材料として、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジスト材料として、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0040】
次に、図1(c)に示すように、全面にイオンビーム4を照射する。イオンビーム4の材料としては、例えばチタン(Ti)イオンの注入を行う。第2レジスト膜3および第1レジスト膜2の厚みを0.7μmとしたときには、チタン(Ti)イオンの注入条件は、(表1)に示すように加速電圧30KeV、注入量5×1015cm−2とすることが望ましい。
【0041】
【表1】
【0042】
次に、第2レジスト膜3を除去する。これにより、図1(d)に示すように、所定の領域にイオン注入層5が形成された第1レジスト膜2が得られる。
【0043】
次に、第1レジスト膜2に対して酸素を用いたリアクティブ・イオン・エッチング(以下、酸素RIEとよぶ)を施す。これにより、イオン注入されていない領域の第1レジスト2が酸化分解される。この結果、図1(e)に示すようなレジストパターン7が形成される。なお、イオン注入層5は、酸素RIEによる処理により注入されたチタン(Ti)イオンが酸化物となる。このため、このイオン注入層5は酸素RIEによる処理を受けても、第1レジスト膜2の分解反応が生じない。このため、図1(e)に示すレジストパターン7を形成することができる。レジストパターン7は、イオン注入層5とその下部のイオン注入されていない領域6とを含む構造からなる。
【0044】
以上、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法によれば、エッチング耐性に優れたレジストパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0045】
なお、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法で説明した条件は一例であり、この範囲に限定されない。例えば、非磁性基体1として、ガラス基板、プラスチック基板等も用いることができる。また、薄膜層である第1レジスト膜2として電子線描画用レジスト(例えば、PMMAレジスト)を用いた例について説明したが、これに限らず、有機物であればよく、例えばポリイミド等を用いてもよい。
【0046】
また、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法では、30keVの加速電圧でチタン(Ti)イオンを注入し、第1レジスト膜2および第2レジスト膜3の表面より0.15μmの位置までチタン(Ti)イオンの注入を行ったが、本発明はこれに限定されない。イオン注入深さは、第2レジスト膜3の下部に設けられた第1レジスト膜2に到達せず、かつ開口3aでは第1レジスト膜2の下部の非磁性基体1に到達しない条件であればよい。このためには、加速電圧によりイオン注入深さを制御すれば、容易に、かつ高精度に制御することが可能である。なお、イオン注入時の加速電圧は小さい方が、表面付近に注入イオンが分布し、効率よく注入することが可能である。
【0047】
本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法においては、注入イオンとしてチタン(Ti)を用いた例について説明したが、これに限定されない。例えば、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0048】
また、本実施の形態の第1のレジストパターン形成方法では、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行ったが、エッチング方法はこれに限定されない。例えば、電子サイクロトロン共鳴エッチング(以下、ECRエッチングとする)等を用いることもできる。
【0049】
次に、本発明の第1の実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図である。
【0051】
まず、図2(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態の第2のレジストパターン形成方法においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた場合について説明するので、以下では第1レジスト膜2として説明をする。
【0052】
次に、図2(b)に示すように、例えばシリコン基板を加工して作製したマスク8を介して、第1レジスト膜2にチタン(Ti)イオンビーム4を照射する。マスク8は、第1レジスト膜2にイオン注入を行う領域に対応する箇所に開口8aを有している。なお、第1レジスト膜2の厚み、イオン注入の条件等は、第1のレジストパターン形成方法で説明した条件と同様である。
【0053】
その後、酸素RIEを行って、イオン注入されていない領域のレジストを酸化分解する。これにより、図2(c)に示すように、レジストパターン7が形成される。レジストパターン7は、イオン注入層5とその下部のイオン注入されていない領域6とを含む構造からなる。すなわち、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入イオンが酸化物となり、酸素RIEによっても分解反応が進行しなかった領域である。なお、上記の酸素RIEの代わりに、ECRエッチング等を用いることもできる。
【0054】
以上説明したように、第2のレジストパターン形成方法によれば、エッチング耐性の高いレジストパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0055】
なお、上記のレジストパターン形成方法の条件は一例であり、これに限定されない。例えば、非磁性基体1には、ガラス基板、プラスチック基板等も用いることができる。また、薄膜層である第1のレジスト膜2としては、電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)に限定されず、有機物であればよく、例えばポリイミド等を用いてもよい。
【0056】
また、上記の第2のレジストパターン形成方法では、30keVの加速電圧でチタン(Ti)をイオン注入し、第1レジスト膜2の表面より0.15μmの位置までチタン(Ti)イオンの注入を行ったが、これに限定されない。例えば、イオンの注入深さは、第1レジスト膜2の下部の非磁性基体1に到達しない深さとすればよい。
【0057】
イオン注入深さは加速電圧により制御することが可能である。なお、イオン注入時の加速電圧は小さい方が、表面付近に注入イオンが分布し、効率よく注入することが可能である。さらに、注入イオンとしては、チタン(Ti)を用いたが、これに限らず、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0058】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態にかかるエッチング方法を説明するための主要工程の断面図である。
【0059】
まず、図3(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Paの条件でスパッタリング法により、膜厚300nmのコバルト(Co)膜を成膜して強磁性薄膜9とした。成膜した強磁性薄膜9を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0060】
次に、図3(b)に示すように、強磁性薄膜9の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた場合について説明するので、以下では第1レジスト膜2とする。
【0061】
次に、図3(c)に示すように、第1レジスト膜2の上に、ディジタル信号に応じたパターンに対応するパターン形状を有するフォトレジスト層3を形成する。なお、本実施の形態においても、フォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。
【0062】
以下、第1の実施の形態の第1のレジストパターン形成方法における図1(c)から図1(e)に示した方法により、強磁性薄膜9の上にレジストパターン7を形成する。この状態を、図3(d)に示す。
【0063】
次に、レジストパターン7をマスクとしてイオンミリング法によるエッチングを行う。これにより、図3(e)に示すように、強磁性薄膜9からなる強磁性膜パターン10を形成する。その後、レジストパターン7を剥離除去する。なお、レジストパターン7の剥離除去方法としては、NMP溶液により溶解させる方法が簡便であり好ましい。
【0064】
なお、本実施の形態では、イオン注入量を5×1015ions/cm2としたが、イオン注入量により強磁性薄膜9であるコバルト(Co)とレジストパターン7との選択比が異なる。図4は、イオン注入量とコバルト/レジストパターンのエッチング選択比との関係を示す図である。図4より、注入量が多くなるほど選択比が大きくなり、注入量が1.0×1015ions/cm2を屈曲点として選択比が大きく増加する。このことから、大きな選択比を得るためには、イオン注入量を1.0×1015ions/cm2以上にすることが好適である。
【0065】
このように、本実施の形態のエッチング方法によれば、レジストパターン7と強磁性薄膜9であるコバルト膜との選択比を大きくできるため、エッチングパターンを容易に、かつ寸法精度よく形成できる。
【0066】
なお、本実施の形態においては、注入イオンとしてチタン(Ti)を用いた例について説明したが、これに限定されない。例えば、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いても同様の効果を得ることができる。さらに、チタン(Ti)を注入した後、アルミニウム(Al)の注入を行う等、2種類以上のイオンの注入を行ってもよい。
【0067】
なお、本実施の形態で示したエッチング方法の条件は一例であり、これに限定されない。すなわち、レジストパターン7の形成方法として、図1に示す方法を用いた場合(レジストパターン形成後にイオン注入する方法)について説明を行ったが、図2に示す方法(マスクを用いてイオン注入し、その後にレジストパターンを形成する方法)を用いてもよい。
【0068】
また、強磁性薄膜9には、コバルト(Co)以外に、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができる。
【0069】
また、強磁性薄膜9のエッチング方法として、イオンミリングを用いたが、RIE、ECRエッチング、ヘリコン波励起エッチング等を用いることができる。
【0070】
また、スパッタリングにより形成した強磁性薄膜のエッチングを例として説明したが、エッチングの対象は強磁性薄膜に限定されない。例えば、非磁性薄膜でもよい。また、薄膜形成方法はスパッタリング法以外、例えばCVD法やメッキ法を用いてもよい。そして、強磁性薄膜や非磁性薄膜だけでなく、非磁性基体等、基体のエッチングを行ってもよい。
【0071】
(第3の実施の形態)
図5および図6は、本発明の第3の実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な平面図と部分拡大図である。初めに、マスター情報担体の構成の概略について説明を行う。
【0072】
図5に示すようなマスター情報担体は、ハードディスクに信号を記録するために用いられる。マスター情報担体11の一主面には、信号領域11aが形成されている。信号領域11aは、図5に示すように略放射状に形成されている。
【0073】
図5の点線で囲んだ部分Aの拡大図を、図6に模式的に示す。これは、サーボ信号を記録する場合の一例である。図6に示すように、信号領域(図5の11a)には、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に対応する位置に、マスター情報パターンとしての強磁性領域が強磁性薄膜により形成されている。図6において、ハッチングを施した部分が強磁性領域である。
【0074】
図6には、図5に示したマスター情報担体11の径方向(すなわち、トラック幅方向)に10トラック分のマスター情報パターンが示されている。なお、参考のため、マスター情報パターンが磁気記録媒体に転写記録された後、磁気記録媒体上でデータ領域となるトラック部分を破線によって示している。
【0075】
マスター情報担体11の一主面には、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に対応して、マスター情報担体11の周方向において一定角度毎に、かつ径方向には全記録トラック分、図6のようなマスター情報パターンが形成されている。
【0076】
マスター情報パターンがサーボパターンである場合には、例えば図6に示されるように、クロック信号、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号等の各々の領域をトラック長さ方向に順次配列している。なお、図5および図6は一例であり、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に応じてマスター情報パターンの構成や配置等は変化する。
【0077】
また、図7は、マスター情報担体11の構成についてビット長さ方向(トラック長さ方向)の一部断面図の一例を模式的に示す図である。マスター情報担体11は、非磁性材料からなる非磁性基体1と、非磁性基体1の一主面に形成されたディジタル信号に対応する強磁性領域12とを備える。
【0078】
非磁性基体1としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、Si基板等を用いることができる。強磁性領域12を構成する材料は、強磁性材料からなり、磁気記録媒体に信号を転写記録できるものであればよい。例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、Fe−Co合金等を用いることができる。上述したように、強磁性領域12は、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号(例えば、プリフォーマット記録)に対応する位置に形成されている。
【0079】
以下、このようなマスター情報担体の製造方法の一例について説明する。図8は、本実施の形態にかかる第1のマスター情報担体の製造方法を示す主要工程の断面図である。
【0080】
まず、図8(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Paの条件でスパッタリング法により、膜厚300nmのコバルト(Co)膜を成膜して強磁性薄膜9を形成した。成膜した強磁性薄膜9を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0081】
次に、強磁性薄膜9の上に薄膜層2を形成する。本実施の形態においても、薄膜層としてフォトレジストを用いた例について説明する。以下、薄膜層を第1レジスト膜2として説明する。
【0082】
次に、図8(b)に示すように、第1レジスト膜2の上にフォトレジスト層3を形成し、ディジタル信号に対応するレジストパターンを形成する。フォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、図6に示したディジタル信号パターンに対応する位置に開口3aを有するパターン形状に形成される。
【0083】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジストを用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジストとして、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えばPMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジストとして、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0084】
次に、図8(c)に示すように、第2レジスト膜3および開口3aを介して、全面にチタン(Ti)イオンビームを照射することにより、チタン(Ti)イオンの注入を行った。このときのイオン注入条件は(表1)に示した条件と同じである。
【0085】
次に、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行うことにより、イオン注入されていない領域の第1レジスト膜2を酸化分解する。これにより、図8(d)に示すように、酸化分解された第1レジスト膜2は強磁性薄膜9の表面から除去される。一方、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入されたチタン(Ti)イオンが酸化物となり、これによりレジスト材料の分解反応が進行しなくなる。この結果、レジストパターン7が形成される。
【0086】
次に、形成したレジストパターン7をマスクとしてイオンミリング法によるエッチングを行う。これにより、強磁性薄膜9に対して所定のパターンが形成される。この後、レジストパターン7を剥離除去する。レジストパターン7の剥離除去方法としては、リムーバー等の薬液等を用いる方法が簡便である。このようにして、非磁性基体1の表面にパターニングされた強磁性領域12を有するマスター情報担体11を製造することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態の第1のマスター情報担体の製造方法によれば、寸法精度に優れたマスター情報担体を容易に製造できる。
【0088】
なお、上記第1のマスター情報担体の製造方法では、第1レジスト膜2の上に、開口3aを有する第2レジスト膜3を形成して、ディジタル信号に対応するパターンを形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。また、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行ったが、これに限定されない。例えば、ECRエッチング等を用いてもよい。
【0089】
さらに、強磁性薄膜9のエッチング方法として、第1のマスター情報担体の製造方法ではイオンミリング法を用いたが、これに限定されず、RIEやECRエッチングやヘリコン波励起エッチング等を用いてもよい。
【0090】
また、第1のマスター情報担体の製造方法では、強磁性薄膜9にコバルト(Co)を用いたが、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができる。さらに、強磁性薄膜の形成方法としては、スパッタリング法以外にもCVD法やメッキ法を用いてもよい。
【0091】
次に、本実施の形態にかかる第2のマスター情報担体の製造方法について、図9を用いて説明する。図9は、第2のマスター情報担体の製造方法を説明するための主要工程の断面図である。
【0092】
まず、図9(a)に示すように、シリコン(Si)からなる非磁性基体1の上に薄膜層2を形成する。この第2の製造方法においても、薄膜層2としてフォトレジストを用いた例について説明する。以下では、薄膜層2を第1レジスト膜2として説明する。
【0093】
次に、第1レジスト膜上に、フォトレジストを用いてディジタル信号に対応するパターンを有するフォトレジスト層3を形成する。このフォトレジスト層3を以下では、第2レジスト膜3として説明する。第2レジスト膜3は、図6に示したディジタル信号パターンに対応する位置に開口3aを有するレジストパターンがフォトリソプロセスにより形成されている。
【0094】
このとき、第1レジスト膜2と第2レジスト膜3とは異なった種類のレジストを用いる必要がある。例えば、第1レジスト膜2を形成するレジストとして、i線には反応しない電子線描画用レジスト(例えば、PMMAレジスト)を用いる場合には、第2レジスト膜3を形成するためのレジストとして、i線用レジストを用いる。このようなレジスト材料の組み合わせとしておけば、第2レジスト膜3に対しては、i線レジスト用のマスクアライナーを用いてパターン露光を行うことができる。この場合に、第1レジスト膜2は感光しないので、選択的に露光することが可能である。
【0095】
次に、図9(b)に示すように、第2レジスト膜3およびその開口3aを介して、全面にチタン(Ti)イオンビームを照射することにより、チタン(Ti)イオンの注入を行った。このときのイオン注入条件は(表1)に示した条件である。
【0096】
その後、第2レジスト膜3を除去する。次に、第1レジスト膜2に対して酸素RIEを行う。これにより、イオン注入されていない領域の第1のレジスト膜2を酸化分解する。このとき、イオン注入層5は、酸素RIE処理により注入されたイオンが酸化物となるため、第1のレジスト膜2の分解反応が進行しない。この結果、レジストパターン7を形成することができる。
【0097】
次に、図9(c)に示すように、形成したレジストパターン7をマスクとして非磁性基体1に対してRIEによるエッチングを行い、非磁性基体1に凹部1aを形成する。
【0098】
次に、非磁性基体1の上にレジストパターン7を残したまま、図9(d)に示すように、強磁性薄膜13を凹部1aに充填する。本実施の形態の第2の製造方法では、強磁性薄膜13の材料としてコバルト(Co)を用いた。そのときの成膜条件は、例えば到達真空度2×10−7Pa、Arガス圧0.13Pa、膜厚300nmである。成膜した強磁性薄膜13を、VSM(振動試料型磁束計)により磁化測定を行ったところ、飽和磁化は1450emu/ccであった。
【0099】
次に、図9(e)に示すように、レジストパターン7を強磁性薄膜13(コバルト膜)とともに取り除く。これにより、非磁性基体1の表面にディジタル信号に対応する部分に強磁性領域12が形成されたマスター情報担体11を作製することができる。
【0100】
以上説明したように、本発明のマスター情報担体の製造方法によれば、寸法精度に優れたマスター情報担体を容易に製造できる。
【0101】
なお、非磁性基体1のエッチング方法としてRIE(リアクティブイオンエッチング)を用いたが、これに限らず、ECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチングやヘリコン波励起エッチング等を用いることができる。
【0102】
また、強磁性薄膜13にコバルト(Co)を用いたが、鉄(Fe)、Fe−Co合金等を用いることができ、また、強磁性薄膜形成方法としては、スパッタリング法以外にもCVD法やメッキ法を用いてもよい。
【0103】
さらに、凹部1aに強磁性薄膜13を充填した後、不要な部分の強磁性薄膜13を除去する方法として、リフトオフ法を用いたが、本方法に限らず、CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)等を用いてもよい。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づいて他の実施の形態に適用することができる。
【0105】
例えば、上記実施の形態では、主にハードディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録するためのマスター情報担体について説明した。本発明のマスター情報担体は、フレキシブル磁気ディスク、磁気カードおよび磁気テープ等の磁気記録媒体に対して応用することもできる。
【0106】
また、上記実施の形態では、磁気記録媒体に記録される情報信号が、トラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等からなるプリフォーマット信号である場合を中心に説明したが、他の情報信号の記録にも本発明のマスター情報担体を用いることができる。例えば、本発明のマスター情報担体を用いて様々なデータ信号やオーディオ、ビデオ信号の記録を行うことも原理的に可能である。この場合には、本発明のマスター情報担体とこれを用いた磁気記録媒体への記録技術によって、ソフトディスク媒体の大量複写生産を行うことができ、ソフトディスク媒体を安価に提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明にかかるマスター情報担体の製造方法を用いることにより、ディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録するためのマスター情報担体を品質よく、かつ、容易に製造でき、磁気記録分野に有用である。また、半導体等のパターン形成およびエッチングのためのレジストパターンの形成方法やエッチング方法としても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる第1のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図
【図2】同実施の形態にかかる第2のレジストパターン形成方法を説明する工程断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかるエッチング方法を説明するための主要工程の断面図
【図4】同実施の形態にかかるエッチング方法において、イオン注入量とコバルト/レジストパターンのエッチング選択比との関係を示す図
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な平面図
【図6】同実施の形態にかかるマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の模式的な部分拡大図
【図7】同実施の形態に欠かすマスター情報担体の製造方法により作製されたマスター情報担体の構成について、ビット長さ方向(トラック長さ方向)の一部断面図の一例を模式的に示す図
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかる第1のマスター情報担体の製造方法を示す主要工程の断面図
【図9】同実施の形態にかかる第2のマスター情報担体の製造方法を説明するための主要工程の断面図
【図10】従来の三層レジストによりドライエッチングを行い、パターンを形成する主要工程の断面図
【図11】従来の第2のパターン形成方法であるドライエッチングプロセスによりパターン形成を行う方法を説明するための断面図
【図12】第2のパターン形成方法を用いた場合の、レジストパターンの形状変化を説明するための断面図
【符号の説明】
【0109】
1 非磁性基体(基体)
1a,26,29 凹部
2 第1レジスト膜(薄膜層)
3 第2レジスト膜(フォトレジスト層)
3a,8a,24 開口
4 イオンビーム
5 イオン注入層
6 イオン注入されていない領域
7,23a,28a レジストパターン
8 マスク
9,13 強磁性薄膜
10 強磁性膜パターン
11 マスター情報担体
11a 信号領域
12 強磁性領域
20 基体
21 下地膜
22 二酸化シリコン(SiO2)膜
23,28 フォトレジスト膜
25 エッチングマスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の主面に有機物からなる薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、
前記薄膜層の表面領域に、設定したパターン形状を有するイオン注入層を形成するイオン注入工程と、
前記イオン注入層をマスクにして、前記イオン注入層以外の領域の前記薄膜層を選択的に除去する除去工程とを備えたことを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記薄膜層形成工程後、前記薄膜層の表面に、前記設定したパターン形状からなるフォトレジスト層を形成するパターン形成工程をさらに有し、
前記イオン注入工程において、前記フォトレジスト層を介して前記薄膜層の表面にイオン注入を行い、前記薄膜層の表面領域に前記イオン注入層を形成し、
前記フォトレジスト層を除去した後に、前記イオン注入層をマスクにして前記イオン注入層以外の領域の前記薄膜層を選択的に除去する前記除去工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記イオン注入工程において、前記設定したパターン形状を有するマスクを介して前記薄膜層の表面にイオン注入を行うことを特徴とする請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
注入イオンは、前記基体表面に到達しない加速電圧で注入を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記薄膜層に注入されたイオンの濃度が1.0×1015ions/cm2以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
前記薄膜層に形成された前記イオン注入層中のイオンを酸化処理することにより、前記イオン注入層に前記イオンの酸化物を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
注入イオンが、チタン(Ti)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、およびクロム(Cr)のうち少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンを用いて、前記基体または前記基体の主面に形成された薄膜をエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項9】
非磁性基体の表面に強磁性薄膜を形成する強磁性薄膜形成工程と、
前記強磁性薄膜の上に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記強磁性薄膜をエッチングするエッチング工程とを備え、
前記レジストパターンが請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とするマスター情報担体の製造方法。
【請求項10】
非磁性基体の表面に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記非磁性基体の表面をエッチングして凹部を形成するエッチング工程と、
前記凹部に強磁性薄膜を充填する強磁性薄膜形成工程と、
前記レジストパターンを除去することによって、前記レジストパターン上の前記強磁性薄膜を同時に除去するレジスト除去工程とを備え、
前記レジストパターンが請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とするマスター情報担体の製造方法。
【請求項1】
基体の主面に有機物からなる薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、
前記薄膜層の表面領域に、設定したパターン形状を有するイオン注入層を形成するイオン注入工程と、
前記イオン注入層をマスクにして、前記イオン注入層以外の領域の前記薄膜層を選択的に除去する除去工程とを備えたことを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記薄膜層形成工程後、前記薄膜層の表面に、前記設定したパターン形状からなるフォトレジスト層を形成するパターン形成工程をさらに有し、
前記イオン注入工程において、前記フォトレジスト層を介して前記薄膜層の表面にイオン注入を行い、前記薄膜層の表面領域に前記イオン注入層を形成し、
前記フォトレジスト層を除去した後に、前記イオン注入層をマスクにして前記イオン注入層以外の領域の前記薄膜層を選択的に除去する前記除去工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記イオン注入工程において、前記設定したパターン形状を有するマスクを介して前記薄膜層の表面にイオン注入を行うことを特徴とする請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
注入イオンは、前記基体表面に到達しない加速電圧で注入を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記薄膜層に注入されたイオンの濃度が1.0×1015ions/cm2以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
前記薄膜層に形成された前記イオン注入層中のイオンを酸化処理することにより、前記イオン注入層に前記イオンの酸化物を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
注入イオンが、チタン(Ti)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、およびクロム(Cr)のうち少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンを用いて、前記基体または前記基体の主面に形成された薄膜をエッチングすることを特徴とするエッチング方法。
【請求項9】
非磁性基体の表面に強磁性薄膜を形成する強磁性薄膜形成工程と、
前記強磁性薄膜の上に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記強磁性薄膜をエッチングするエッチング工程とを備え、
前記レジストパターンが請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とするマスター情報担体の製造方法。
【請求項10】
非磁性基体の表面に設定したパターン形状を有するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記非磁性基体の表面をエッチングして凹部を形成するエッチング工程と、
前記凹部に強磁性薄膜を充填する強磁性薄膜形成工程と、
前記レジストパターンを除去することによって、前記レジストパターン上の前記強磁性薄膜を同時に除去するレジスト除去工程とを備え、
前記レジストパターンが請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレジストパターン形成方法により作製されたことを特徴とするマスター情報担体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−310591(P2006−310591A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132001(P2005−132001)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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