説明

レニン阻害剤のニトロ誘導体

式(I):A-(X0-ONO2)s (I)のレニン阻害剤ニトロ誘導体は、より広い薬理活性および高められた忍容性を有する。それらは、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心不全、左心室機能障害および肥大、心線維症、心筋虚血、脳卒中、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、腎不全、腎虚血、腎機能不全、腎線維症、糸球体腎炎、腎疝痛、高眼圧、肺高血圧、緑内障、高血圧、腎症、血管症および神経障害のような糖尿病合併症、末梢血管疾患、肝線維症、門脈圧亢進症、代謝症候群、勃起不全、血管または心臓外科手術後の合併症、臓器移植後の免疫抑制剤での治療の合併症、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害の治療または予防のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レニン阻害剤のニトロ誘導体、それらを含む医薬組成物、および心臓血管、腎性および慢性の肝臓疾患、炎症プロセスならびに代謝症候群の治療のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レニンは、腎臓から血液に大部分が放出される蛋白質分解酵素である。それは、その中性基質のアンジオテシノーゲンを切断し、デカペプタイドのアンジオテンシンIを放出する。次に、これは肺、腎臓およびその他の組織中の変換酵素(ACE)によって、オクタペプチドのアンジオテンシンIIに切断され、それは血圧に影響を及ぼす。アンジオテンシンIIは、直接的に細動脈の収縮を引き起こすこと、および細胞外液量の上昇を引き起こすナトリウム保持ホルモンのアルドステロンの副腎からの放出を間接的に刺激することの両方により血圧を上昇する。
【0003】
レニン-アンジオテンシン系の活性は、レニンの活性の阻害(レニン阻害剤)により、またはアンジオテンシン変換酵素の阻害(ACE阻害剤)もしくはアンジオテンシンII受容体の遮断(アンジオテンシンII受容体遮断剤)により、薬理学的に操作することができる。
【0004】
レニン阻害剤は、高血圧、うっ血性心不全、および高アルドステロン症の制御のための作用物質と考えられている。効率の悪い吸収、高い初回通過代謝および胆汁排泄が、このグループの薬剤の臨床開発への障害となっている。
【0005】
WO 01/35961は、少なくとも1つの抗酸化剤、またはその医薬的に許容される塩、およびイソソルビド ジニトレートおよびイソソルビド モノニトレートの少なくとも1つ、および任意に少なくとも1つのニトロソ化されたアンジオテンシン変換酵素阻害剤、ニトロソ化されたベータ遮断剤、ニトロソ化されたカルシウムチャンネル遮断剤、ニトロソ化されたエンドセリン拮抗剤、ニトロソ化されたアンジオテンシンII受容体拮抗剤、ニトロソ化されたレニン阻害剤、および/または少なくとも1つの心臓血管系疾患を治療するために用いられる化合物の治療的有効量を投与することにより、一酸化窒素の不十分が要因である血管系疾患を治療および/または予防する方法を記載している。
【0006】
WO 2005/023182は、新規なニトロソ化されたおよび/またはニトロシル化された心臓血管系化合物(cardiovascular compounds)もしくはその医薬的に許容される塩、ならびに少なくとも1つのニトロソ化されたおよび/またはニトロシル化された心臓血管系化合物と任意に少なくとも1つの一酸化窒素供給体および/または少なくとも1つの治療剤とを含む新規な組成物を記載している。そのニトロソ化されたおよび/またはニトロシル化された心臓血管系化合物は、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII拮抗剤、カルシウムチャンネル遮断剤、ニトロソ化されたおよび/またはニトロシル化されたエンドセリン拮抗剤、ヒドララジン化合物、中性エンドペプチダーゼ阻害剤およびレニン阻害剤から選択される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それらの親化合物の欠点を除去するかまたは少なくとも軽減することができるばかりでなく、改善された薬理活性も有し得る新しいレニン阻害剤を入手できることの必要性が感じられていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
非常に驚くべきことに、本発明のレニン阻害剤ニトロ誘導体が、より広い薬理活性および高められた忍容性の両方の点で、元の化合物と比較して、有意に改善された全体的なプロファイルを有することが見出された。
【0009】
特に、本発明のレニン阻害剤ニトロ誘導体は、強力な抗炎症、抗血栓および抗血小板活性を示し、さらにうっ血性心不全、冠動脈疾患、心不全、左心室機能障害および肥大、心線維症、心筋虚血、脳卒中、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、腎不全、腎虚血、腎機能不全、腎線維症、糸球体腎炎、腎疝痛、高眼圧、肺高血圧、緑内障、高血圧、腎症、血管症および神経障害のような糖尿病合併症、末梢血管疾患、肝線維症、門脈圧亢進症、代謝症候群、勃起不全、血管または心臓外科手術後の合併症、臓器移植後の免疫抑制剤での治療の合併症、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害を治療または予防するために用いることができることが認められた。
【0010】
それゆえ、本発明の目的は、一般式(I):
A-(X0-ONO2)s (I)
[式中、
sは1または2の整数であり;
Aは、次の基:
【0011】
【化1−1】

【0012】
【化1−2】

【0013】
【化1−3】

【0014】
【化1−4】

【0015】
【化1−5】

【0016】
(式中、
N1は-O-または-OHであり;
N2は-O-、-NH-またはN3(ここで、N3は-NH2または-OHである)であり;
但し、N1とN2の少なくとも1つはX0に結合し得る-O-または-NH-であり;
X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-COO-である)であり;
【0017】
Yは次の意味:
a)
−ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT0(ここで、T0は-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレン;
−環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい、シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;
【0018】
【化2】

(ここで、nは0〜20の整数であり、n1は1〜20の整数である);
【0019】
d)
【化3】

(ここで、n1は前で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり;X2 = -OCO-または-COO-で、R2はHまたはCH3である);
【0020】
e)
【化4】

(ここで、n1、n2、R2およびX2は前で定義されたとおりであり;
Y1は-CH2-CH2-または-CH=CH-(CH2)n2-である);
【0021】
f)
【化5】

(ここで、n1およびR2は前で定義されたとおりであり、R3はHまたは-COCH3である);
但し、Yがb)〜f)で挙げられた2価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1基に結合している;
【0022】
g)
【化6】

(ここで、X3は-O-または-S-であり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は前で定義されたとおりである);
【0023】
h)
【化7】

(ここで、n4は0〜10の整数であり;
n5は1〜10の整数であり;
R4、R5、R6、R7は同一または異なって、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C4アルキルであり、好ましくはR4、R5、R6、R7はHであり;
【0024】
ここで、-ONO2基は
【化8】

(ここで、n5は前で定義されたとおりである)
に結合しており;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5または6員の複素環であり、次の:
【0025】
【化9】

から選択される)
を有する2価の基である)
から選択される]
のレニン阻害剤ニトロ誘導体、およびその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体である。
【0026】
本明細書で用いられる「C1-C20アルキレン」の語は、分枝鎖状または直鎖状のC1-C20、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン、n-ヘキシレンなどのような1〜10の炭素原子を有する炭化水素を意味する。
本明細書で用いられる「C1-C10アルキル」の語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルなどを含む、1〜10の炭素原子を含む、分枝鎖状または直鎖状のアルキル基を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる「シクロアルキレン」の語は、直鎖状または分枝鎖状の(C1-C10)アルキル、好ましくはCH3のような側鎖で任意に置換されていてもよい、非限定的にシクロペンチレン、シクロへキシレンを含む、5〜7の炭素原子を有する環を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「複素環式」の語は、例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジン、モルホリン、イミダゾールなどのような、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5または6員の環を意味する。
【0029】
本発明のもう1つの観点は、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、エンドセリン拮抗剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、カリウム アクティベーター(potassium activator)、利尿剤、血管拡張剤、アスピリンのような抗血栓剤からなる群から選択される心臓血管疾患を治療するために使用される、少なくとも1つの化合物と組み合わせた式(I)の化合物の使用を提供する。また、上記の化合物のニトロソ化された化合物との組み合せも意図される。
【0030】
好適なアルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体拮抗剤、カルシウムチャンネル遮断剤、カリウム アクティベーター、利尿剤、血管拡張剤および抗血栓剤は、The Merck Index(13版)のような文献に記載されている。
【0031】
好適なニトロソ化された化合物は、WO 98/21193、WO 97/16405、WO 98/09948、WO 2004/105754、WO 2004/106300、WO 2004/110432、WO 2005/011646、WO 2005/053685、WO 2005/054218に開示されている。
上記化合物の投与は、同時にまたは連続的に行なうことができる。
【0032】
本発明は、本発明の化合物および/または組成物の1以上、ならびに上記の心臓血管疾患を治療するために使用される化合物の1以上を充填した1以上の容器を含む医薬キットも提供する。
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩およびその立体異性体をも含む。
【0033】
医薬的に許容される塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムの水酸化物のような無機塩基との塩であるか、あるいはリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジンおよびその他の許容される有機アミンのような有機塩基との塩である。
本発明の化合物が、分子中に塩形成性の1つの窒素原子を含むときは、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中、対応する有機または無機酸との反応によって、その対応する塩に変換することができる。
有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸である。無機酸の例は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0034】
1以上の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、エナンチオマー混合物、ジアステレオマー混合物、エナンチオマーラセミ混合物、ラセミ体またはラセミ体混合物として存在することができる。式(I)の化合物の可能な異性体、立体異性体およびそれらの混合物も全て本発明の目的の範囲内である。
【0035】
好ましい化合物は:
Yが次の意味:
a)
−直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
【0036】
b)
【化10】

(ここで、nは0または1であり、n1は1である。但し、-ONO2基は-(CH2)n1基に結合している);
【0037】
g)
【化11】

(ここで、X3は-O-または-S-であり、n3は1であり、そしてR2はHである)
を有する、式(I)の化合物である。
【0038】
以下のものが、本発明の好ましい化合物である。
【化12−1】

【0039】
【化12−2】

【0040】
【化12−3】

【0041】
【化12−4】

【0042】
【化12−5】

【0043】
【化12−6】

【0044】
【化12−7】

【0045】
【化12−8】

【0046】
【化12−9】

【0047】
【化12−10】

【0048】
【化12−11】

【0049】
【化12−12】

【0050】
【化12−13】

【0051】
【化12−14】

【0052】
【化12−15】

【0053】
【化12−16】

【0054】
上記のように、本発明の目的は、医薬の分野で通常用いられる無毒性の佐剤および/または担体と一緒に、本発明の式(I)の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物でもある。
投与されるべき活性成分の1日用量は、1回投与用の量であり得るか、またはその日を通して投与することができるいくつかのより少ない量に分けられた有効量であり得る。通常、全1日用量は好ましくは50〜500 mgの量であってよい。本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物によって、上記の疾病を治療するための用法および投与回数は、例えば、患者の年齢、体重、性別および病状を含む種々の因子、ならびに疾病の重篤度、投与経路、薬理学的考慮および他の薬剤との併用療法によって選択されるであろう。ある場合には、上記の範囲以下もしくはそれ以上および/またはより多い回数の用量レベルが適当であり、必然的にこれは医師により判断され、その病状に依存するであろう。
【0055】
本発明の化合物は、最終的に慣用の無毒性の医薬的に許容される担体、佐剤および賦形剤を含む所望の製剤の形態で、経口、非経口、直腸または局所的に、吸入または噴霧によって投与され得る。局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入装置のような経皮投与の使用も含み得る。
本明細書で用いられる「非経口」の語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または点滴法を含む。
【0056】
例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液のような注射可能な製剤は、当分野で公知の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化され得る。無菌の注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤の、溶液または懸濁液でもあり得る。許容される媒体および溶剤には、水、リンゲル溶液および等張食塩水がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶剤または懸濁化媒体として慣用的に使用される。この目的のために、合成のモノまたはジグリセライドを含むあらゆる無刺激の不揮発性油が使用され得るし、さらにオレイン酸のような脂肪酸が、注射可能な製剤の製造における使用を見出す。
【0057】
医薬の直腸投与用坐剤は、活性成分をカカオバターおよびポリエチレングリコールのような適当な無刺激性の賦形剤と混合することにより製造することができる。
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびゲル剤を含み得る。そのような固体剤形において、活性化合物は、ショ糖、乳糖またはデンプンのような不活性な希釈剤の少なくとも1つと混合され得る。そのような剤形は、慣例のように、不活性な希釈剤の他に追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をも含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤において、その剤形は緩衝剤をも含み得る。さらに、錠剤および丸剤は腸溶コーティングにより製造することができる。
【0058】
経口投与用の液体剤形は、当分野で一般的に使用される水のような不活性希釈剤を含む、医薬的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含み得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤などのような佐剤をも含み得る。
【0059】
本発明の化合物は、次のようにして合成される。
合成方法
1. sが1であり;X0が-X1-Y-(ここで、X1は-CO-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;そして、Aが化合物(Ia〜Ic)の中から選択される、前で定義された式(I)の化合物は、次の方法によって得ることができる。
【0060】
1a. 式Bの化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)またはHATUのようなその他の公知の縮合剤の存在下、DMF、THF、クロロホルムのような溶媒中、-5℃〜50℃の範囲の温度で、例えばDMAPのような塩基の存在下または非存在下に、式(IIIa)の化合物と反応させること:
【0061】
【化13】

(ここで、Yは前で定義されたとおりであり;Bは(Ia〜Ic)の中から選択されるAで、N1が-OHであるAである)。
【0062】
式(IIIa)の硝酸エステル化合物は、-50℃〜0℃の温度範囲で、商業的に入手可能な式HOOC-Y-OH(IIIb)の対応するアルコールから、硝酸および無水酢酸との反応によるか、または、国際出願番号PCT/EP2005/050459に既に記載されているように、商業的に入手可能な式HOOC-Y-Hal(IIIc)(ここで、Halはハロゲン原子、好ましくはCl、Br、Iである)の対応するハロゲン誘導体を、AgNO3と反応させることにより得ることができる。
【0063】
式B(ここで、Bは、Aが(Ia)でN1が-OHであるときのAである)の化合物は、CGP 38560と命名される公知の化合物であり、Buehlmayer, P.ら、J. Med. Chem. 1988, 31, 1839に記載のようにして製造することができる。
式B(ここで、Bは、Aが(Ib)でN1が-OHであるときのAである)の化合物は、ジテキレンと命名される公知の化合物であり、US 4,880,781に記載のようにして製造することができる。
式B(ここで、Bは、Aが(Ic)でN1が-OHであるときのAである)の化合物は、テルラキレンと命名される公知の化合物であり、ES2061512Tに記載のようにして製造することができる。
【0064】
1a.1 前で定義された式Bの化合物を式(IIId)の化合物と反応させること:
【化14】

(ここで、Yは前で定義されたとおりであり;Actはハロゲン原子またはペプチド化学で用いられる:
【化15】

のようなカルボン酸活性化基である)。
【0065】
一般的に、反応は、無機または有機塩基の存在下、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、0℃〜65℃の間の温度範囲でもしくはH2O/Et2Oの2相系中、20℃〜40℃の間の温度範囲で;またはDMF、CH2Cl2のような溶媒中、DMAPとSc(OTf)3もしくはBi(OTf)3のようなルイス酸の存在下に行なわれる。
式(IIId)の化合物は、国際出願番号PCT/EP2005/050459に記載のようにして得ることができる。
【0066】
1a.2 式A-X0-Hal(IVa)(ここで、AおよびX0は前で定義されたとおりである)の化合物を、既に記載されているように、AgNO3と反応させること。化合物(IVa)は、化合物Bと、前で定義された化合物(IIIc)とを、前で定義されたDCCまたはCDIのような縮合剤と一緒に反応させることにより得ることができる。
【0067】
1a.3 式A-X0-OH(Va)(ここで、AおよびX0は前で定義されたとおりである)の化合物を、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、-60℃から65℃の間の温度範囲で、既に記載されているように、トリフリック酸無水物/テトラアルキルアンモニウムナイトレート塩と反応させること。化合物(Va)は、前記の縮合剤と一緒に、化合物Bを前で定義された化合物(IIIb)と反応させることにより得ることができる。
【0068】
2. sが1であり;X0が-X1-Y-(ここで、X1は-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aが化合物(Ia〜Ic)の中から選択される、前で定義された一般式(I)の化合物は、次の方法により得ることができる:
【0069】
2a. 式Bの化合物を式(VIa)の化合物と反応させること:
【化16】

(ここで、B、ActおよびYは、前で定義されたとおりである)
【0070】
一般的に、反応は、無機または有機塩基の存在下、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、0℃〜65℃の間の温度範囲でもしくはH2O/Et2Oの2相系中、20℃〜40℃の間の温度範囲で;またはDMF、CH2Cl2のような溶媒中、DMAPとSc(OTf)3もしくはBi(OTf)3のようなルイス酸の存在下に行なわれる。
化合物(VIa)の合成は、国際出願番号PCT/EP2005/050459に、既に記載されている。
【0071】
2a.1 式A-X0-Hal(VIIa)(ここで、X0、AおよびHalは前で定義されたとおりである)の化合物を、前に記載のように、AgNO3と反応させること。
式(VIIa)の化合物は、化合物Bを化合物Act-CO-O-Y-Hal(VIIb)と反応させることにより得ることができる。一般に、反応は、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性中、無機または有機塩基の存在下、0℃〜65℃の間の温度範囲で、前に記載のように行なわれる。
化合物(VIIb)は、商業的に入手可能であるか、またはWO 05/011646に既に記載のようにして合成することができる。
【0072】
3. sが1であり;X0が-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aが化合物(Id)である、前に定義された一般式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、次の方法により得られる:
【0073】
3a. X1が-CO-のとき、式Cの化合物:
【化17】

(ここで、PGはBOCのようなアミン保護基である)
を、前で定義された式(IIIa)もしくは(IIId)の化合物と反応させるか、またはX1が-C(O)O-であるとき、式Bの化合物に対して既に記載された同じ方法で、式(VIa)の化合物と反応させ、最終的に、文献で知られているようにN-BOC保護基を酸加水分解し、もし必要なら塩化すること。
【0074】
化合物Cは、EP0661292に記載されているようにして製造され、CP 108,671として文献で知られている化合物D;
【化18】

から、化合物Dと(BOC)2OおよびTEAとの反応、またはT. W. Greene "Protective groups in organic synthesis", Harvard University Press, 1980に記載のその他の周知の方法により得られる。
【0075】
4. sが2であり;X0が-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aが化合物(Ie〜Ii)の中から選択される、前で定義された一般式(I)の化合物は、次の方法により得られる:
【0076】
4a. 式E(ここで、Eは、Aが(Ie〜Ii)の中から選択され、N1が-OHであり、N2が、N3が-OHであるN3であるAである)の化合物を、化合物BおよびCの類似の反応に対して前で記載されたよう、過剰の式(IIIa)、または(IIId)または(VIa)の化合物と反応させること。
【0077】
式E(ここで、Eは、Aが(Ie)で、N1が-OHで、N2が、N3が-OHであるN3である、Aである)の化合物は、ザンキレンと命名される公知の化合物であり、Rosenberg, S.H.ら、J. Med. Chem. 1993, 36, 460に記載されたようにして製造することができる。
式E(ここで、Eは、Aが(If)で、N1が-OHで、N2が、N3が-OHであるN3である、Aである)の化合物は、レミキレンと命名される公知の化合物であり、EP0509354に記載されているようにして製造することができる。
【0078】
式E(ここで、Eは、Aが(Ig)で、N1が-OHで、N2が、N3が-OHであるN3である、Aである)の化合物は、BILA 2157 BSと命名される公知の化合物であり、Beaulieu P.L.ら、J. Org. Chem. 1999, 64, 6622に記載されているようにして製造することができる。
式E(ここで、Eは、Aが(Ih)で、N1が-OHで、N2が、N3が-OHであるN3である、Aである)の化合物は、SC 56525と命名される公知の化合物であり、EP0655063に記載されているようにして製造することができる。
式E(ここで、Eは、Aが(Ii)で、N1が-OHで、N2が、N3が-OHであるN3である、Aである)の化合物は、シプロキレンと命名される公知の化合物であり、EP0509354に記載されているようにして製造することができる。
【0079】
5. sが1であり;X0が-X1-Y-(ここで、X1は-CO-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aが化合物(Ij〜Is)(ここで、N1は-OHであり、N2は-NH-である)の中から選択される、前で定義された一般式(I)の化合物は、次の方法により得られる:
【0080】
5a. 式F(ここで、Fは、Aが(Ij〜Is)の中から選択され、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)のような縮合剤、またはHATUのようなその他の公知の縮合剤の存在下、DMF、THF、クロロホルムのような溶媒中、-5℃〜50℃の範囲の温度で、例えばTEA、DMAPのような塩基の存在下または非存在下に、前で定義された式(IIIa)の化合物の化学量論量と反応させること。
【0081】
式F(ここで、Fは、Aが(Ij)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、アリスキレンまたはSPP100と命名される公知の化合物であり、US 5,559,111に記載されているようにして製造することができる。
式F(ここで、Fは、Aが(Ik)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、公知化合物であり、US 5,559,111に記載されているようにして製造することができる。
【0082】
式F(ここで、Fは、Aが(Il)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、公知化合物であり、EP 702004に記載されているようにして製造することができる。
式F(ここで、Fは、Aが(Im)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、公知化合物であり、EP 716077に記載されているようにして製造することができる。
式F(ここで、Fは、Aが(In)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、公知化合物であり、EP 716077に記載されているようにして製造することができる。
【0083】
式F(ここで、Fは、Aが(Io)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、CGP 56346Aと命名される公知化合物であり、Maibaum J.ら、"Design and synthesis of novel potent, non-peptide and orally active renin inhibitors"、Medicinal Chemistry: Today and Tomorrow, Proceedings of the AFMC International Medicinal Chemistry Symposium, Tokyo, Sept. 3-8, 1995に記載されているようにして製造することができる。
【0084】
式F(ここで、Fは、Aが(Ip)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は、CGP 55128Aと命名される公知化合物であり、Maibaum J.ら、"Design and synthesis of novel potent, non-peptide and orally active renin inhibitors"、Medicinal Chemistry: Today and Tomorrow, Proceedings of the AFMC International Medicinal Chemistry Symposium, Tokyo, Sept. 3-8, 1995に記載されているようにして製造することができる。
【0085】
式F(ここで、Fは、Aが(Iq)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は公知化合物であり、Goschke, Rら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1997, 7, 2735に記載されているようにして製造することができる。
【0086】
式F(ここで、Fは、Aが(Ir)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は公知化合物であり、Goschke, Rら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1997, 7, 2735に記載されているようにして製造することができる。
【0087】
式F(ここで、Fは、Aが(Is)のとき、N1が-OHであり、N2が、N3が-NH2であるN3である、Aである)の化合物は公知化合物であり、Goschke, Rら、Bioorg. Med. Chem, Lett. 1997, 7, 2735に記載されているようにして製造することができる。
【0088】
5a.1 式F(ここで、Fは前で定義されたとおりである)の化合物を、化合物Bに対して既に記載された方法を用いて、前で定義された式(IIId)の化合物の化学量論量と反応させること。
【0089】
5a.2 式A-X0-Hal(IVa)[ここで、X0は前で定義されたとおりであり、Aは(Ij〜Is)(N1は-OHで、N2は-NH2である)の中から選択される]の化合物を、前に記載のように、AgNO3と反応させること。
【0090】
化合物(IVa)(ここで、X0は前で定義されたとおりであり、Aは(Ij〜Is)(N1は、N3が-OHでN2が-NHである、N3である)は、式F(Fは前で定義されたとおりである)の化合物から、化合物(IIIc)の化学量論量および前記の縮合剤を用いて合成することができる。
【0091】
6. 前で定義された一般式(I)
[ここで、
sは1であり;X0は-X1-Y-(ここで、X1は-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりであり、Aは化合物(Ij〜Is)(ここで、N1は-OHであり、N2は-NH-である)の中から選択される]
の化合物は、次の方法により得られる.
【0092】
6a. 式Fの化合物を、化合物Bに対しての前記と同じ方法を用いて、前で定義された式(VIa)の化合物の化学量論量と反応させること。
6a.1 式A-X0-Hal(VIIa)[ここで、X0は-X1-Y-(ここで、X1は-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり、Aは(Ij〜Is)(ここで、N1は-OHであり、N2は-NHである)の中から選択され、Halは前で定義されたとおりである]の化合物を、AgNO3と反応させること。
化合物(VIIa)は、式F(ここで、Fは前で定義されたとおりである)の化合物から、既に記載の化合物(VIIb)を用いて合成することができる。
【0093】
7. 前で定義された一般式(I)
[ここで、sは1であり;X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aは(Ij〜Is)(ここで、N1は-O-であり、N2は、N3が-NH2である、N3である)の中から選択される]の化合物またはその医薬的に許容される塩は、次の方法により得られる。
【0094】
7a. 式G-X0-ONO2(VIIIa)[ここで、X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり、Gは、Aが(Ij〜Is)(ここで、N1は-O-であり、N2は、N4が-NH-PG(ここで、PGはBOCまたは前で定義されたその他のようなアミノ保護基である)である、N4である)の中から選択されるAである]から、文献で公知の方法により保護基を除去し、最終的に医薬的に許容される酸と塩化すること。
【0095】
式(VIIIa)の化合物は、式H[ここで、Hは、Aが(Ij〜Is)(ここで、N1は-OHであり、N2は、N4が-NH-PG(ここで、PGはBOCのようなアミノ保護基である)である、N4である)の中から選択されるAである]の化合物から、X1が-CO-であるとき、式(IIIa)または(IIId)の化合物を用いて;またはX1が-C(O)O-であるとき、式(VIa)の化合物を用いて、Bに対して既に記載されたと同じ方法を使って得られる。
【0096】
7a.1 式G-X0-OH(IXa)[ここで、Gは前で定義されたとおりであり、X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-であり、Yは前で定義されたとおりである)である]の化合物を、トリフリック酸無水物/テトラアルキルアンモニウムナイトレート塩と反応させ、最終的には文献で公知の方法を用いて保護基を除去し、もし必要なら、医薬的に許容される酸で塩化すること。化合物(IXa)は、前で定義された式Hの化合物を化合物(IIIb)と、前記の縮合剤を用いて反応させることにより得られる。
【0097】
8. 前で定義された一般式(I)
[ここで、sは2であり;X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)0-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり;Aは化合物(Ij〜Is)(ここで、N1は-O-であり、N2は-NH-である)の中から選択される]
は、次の方法により得られる。
【0098】
8a. 式Fの化合物を、X1が-CO-であるとき、式(IIIa)または(IIId)の化合物の過剰量と;またはX1が-C(O)O-であるとき、式(VIa)の化合物の過剰量と、化合物Bに対して前で記載されたのと同じ方法を用いて、反応させること。
【0099】
8a.1 式A-(X0-Hal)2 (IXa)[ここで、X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-C(O)O-であり、Yは前で定義されたとおりである)であり、Aは化合物(Ij〜Is)(ここで、N1は-O-であり、N2は-NH-であり、Halは前で定義されたとおりである)の中から選択される]の化合物を、AgNO3と反応させること。
化合物(IXa)(ここで、AおよびX0は、前で定義されたとおりである)は、式F(ここで、Fは前で定義されたとおりである)の化合物から、既に記載の化合物(IIIc)または(VIIb)の過剰を用いて合成される。
【0100】
8a.2 式G-(X0-OH)2 (Xa)[ここで、Gは前で定義されたとおりであり、X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-であり、Yは前で定義されたとおりである)である]の化合物を、既に記載のように、トリフリック酸無水物/テトラアルキルアンモニウムナイトレート塩と反応させること。化合物(Xa)は、前で定義された式Hの化合物を過剰の化合物(IIIb)と、前記の縮合剤と一緒に反応させることにより得られる。
【実施例】
【0101】
次の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明をさらに説明するためのものである。
【0102】
実施例1
(2s,4s,5s,7s)-5-[4-(ニトロオキシ)ブタノイル]アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(式25に対応)の合成
【0103】
窒素雰囲気下、撹拌下に0℃に保った、DMF(10 ml)中の(2s,4s,5s,7s)-5-アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(アリスキレン)(0.347 g, 0.630 mmol)、TEA(0.064 g, 0.630 mmol)およびDMAP(0.077 g, 0.630 mmol)の溶液に、DMF(2 ml)中の4-(ニトロオキシ)ブタン酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.20 g, 0.630 mmol)の溶液を加える。得られた溶液を室温でさらに240分間撹拌下に保つ。反応混合物をpH 3の緩衝液(約50 ml)中に注ぎ、1N HClでpH 2〜3まで酸性化し、CH2Cl2(2×50 ml)で抽出する。有機相を食塩水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に蒸発する。
粗生成物をフラシュクロマトグラフィー(溶出液としてCH2Cl2:MeOH 9:1)で精製し、標記化合物(0.215 g, 50%)を得る。
【0104】
実施例2
(2S,4S,5S,7s)-5-[4-(ニトロオキシ)ブタノイル]アミノ-4-[4-(ニトロオキシ)ブタノイル]オキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(式14に対応)の合成
【0105】
窒素雰囲気下、撹拌下に0℃に保った、DMF(10 ml)中の(2s,4s,5s,7s)-5-アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(アリスキレン)(0.347 g, 0.630 mmol)、TEA(0.128 g, 1.26 mmol)およびDMAP(0.154 g, 1.26 mmol)の溶液に、DMF(4 ml)中の4-(ニトロオキシ)ブタン酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.40 g, 1.26 mmol)の溶液を加える。得られた溶液を室温でさらに240分間撹拌下に保つ。反応混合物をpH 3の緩衝液(約50 ml)中に注ぎ、1N HClでpH 2〜3まで酸性化し、CH2Cl2(2×50 ml)で抽出する。有機相を食塩水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に蒸発する。
粗生成物をフラシュクロマトグラフィー(溶出液としてCH2Cl2:MeOH 9:1)で精製し、標記化合物(0.204 g, 45%)を得る。
【0106】
実施例3
(2S,4S,5S,7S)-5-[[[4-(ニトロオキシ)ブチル]オキシ]カルボニル]アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(式26に対応)の合成
【0107】
窒素雰囲気下、撹拌下に0℃に保った、DMF(10 ml)中の(2s,4s,5s,7s)-5-アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(アリスキレン)(0.347 g, 0.630 mmol)、TEA(0.064 g, 0.630 mmol)およびDMAP(0.077 g, 0.630 mmol)の溶液に、DMF(2 ml)中の4-(ニトロオキシ)ブチルp-ニトロフェニルカーボネート(0.190 g, 0.630 mmol)の溶液を加える。得られた溶液を室温でさらに240分間撹拌下に保つ。反応混合物をpH 3の緩衝液(約50 ml)中に注ぎ、1N HClでpH 2〜3まで酸性化し、CH2Cl2(2×50 ml)で抽出する。有機相を食塩水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に蒸発する。
粗生成物をフラシュクロマトグラフィー(溶出液としてCH2Cl2:MeOH 9:1)で精製し、標記化合物(0.209 g, 50%)を得る。
【0108】
実施例4
(2S,4S,5S,7s)-5-[4-[(ニトロオキシ)メチル]ベンゾイル]アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(式29に対応)の合成
【0109】
窒素雰囲気下、撹拌下に0℃に保った、DMF(10 ml)中の(2S,4S,5S,7s)-5-アミノ-4-ヒドロキシ-2-イソプロピル-7-[4-メトキシ-3-(3-メトキシ-プロポキシ)-ベンジル]-8-メチル-ノナン酸(2-カルバモイル-2-メチル-プロピル)-アミド(アリスキレン)(0.347 g, 0.630 mmol)、Sc(OTf)3(0.03 g, 0.061 mmol)およびDMAP(0.154 g, 1.26 mmol)の溶液に、DMF(2 ml)中の[4-(ニトロオキシ)メチル]安息香酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.20 g, 0.630 mmol)を加える。得られた溶液を、室温で撹拌下にさらに240分間保つ。反応混合物をpH 3の緩衝液(約50 ml)に注ぎ、1N HClでpH 2〜3まで酸性化し、CH2Cl2(2×50 ml)で抽出する。有機層を食塩水(100 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶出液としてCH2Cl2:MeOH 9:1)で精製し、標記化合物(0.130 g, 30%)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
A-(X0-ONO2)s (I)
[式中、
sは1または2の整数であり;
Aは、次の基:
【化1−1】

【化1−2】

【化1−3】

【化1−4】

【化1−5】

(式中、
N1は-O-または-OHであり;
N2は-O-、-NH-またはN3(ここで、N3は-NH2または-OHである)であり;
但し、N1とN2の少なくとも1つはX0に結合し得る-O-または-NH-であり;
X0は-X1-Y-(ここで、X1は-CO-または-COO-である)であり;
Yは次の意味:
a)
−ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT0(ここで、T0は-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレン;
−環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい、シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;
【化2】

(ここで、nは0〜20の整数であり、n1は1〜20の整数である);
d)
【化3】

(ここで、n1は前で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり;X2 = -OCO-または-COO-で、R2はHまたはCH3である);
e)
【化4】

(ここで、n1、n2、R2およびX2は前で定義されたとおりであり;
Y1は-CH2-CH2-または-CH=CH-(CH2)n2-である);
f)
【化5】

(ここで、n1およびR2は前で定義されたとおりであり、R3はHまたは-COCH3である);
但し、Yがb)〜f)で挙げられた2価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1基に結合している;
g)
【化6】

(ここで、X3は-O-または-S-であり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は前で定義されたとおりである);
h)
【化7】

(ここで、n4は0〜10の整数であり;
n5は1〜10の整数であり;
R4、R5、R6、R7は同一または異なって、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C4アルキルであり、好ましくはR4、R5、R6、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【化8】

(ここで、n5は前で定義されたとおりである)
に結合しており;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5または6員の複素環であり、次の:
【化9】

から選択される)
を有する2価の基である)
から選択される]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項2】
Yが次の意味:
a)
−直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキレン;
b)
【化10】

(ここで、nは0または1であり、n1は1である;
但し、-ONO2基は-(CH2)n1基に結合している);
g)
【化11】

(ここで、X3は-O-または-S-であり、n3は1であり、R2はHである)
を有する2価の基である、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項3】
【化12−1】

【化12−2】

【化12−3】

【化12−4】

【化12−5】

【化12−6】

【化12−7】

【化12−8】

【化12−9】

【化12−10】

【化12−11】

【化12−12】

【化12−13】

【化12−14】

【化12−15】

【化12−16】

からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが次の式:
【化13】

である、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体。
【請求項5】
医薬として使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
抗炎症、抗血栓および抗血小板活性を有する医薬を製造するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
心臓血管性、腎性および慢性の肝臓疾患、炎症プロセスおよび代謝性症候群の治療または予防に用いられる医薬を製造するための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
うっ血性心不全、冠動脈疾患、心不全、左心室機能障害および肥大、心線維症、心筋虚血、脳卒中、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、腎不全、腎虚血、腎機能不全、腎線維症、糸球体腎炎、腎疝痛、高眼圧、肺高血圧、緑内障、高血圧、腎症、血管症および神経障害のような糖尿病合併症、末梢血管疾患、肝線維症、門脈圧亢進症、代謝症候群、勃起不全、血管または心臓外科手術後の合併症、臓器移植後の免疫抑制剤での治療の合併症、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害の治療または予防に用いられる医薬を製造するための、請求項7に記載の化合物の使用。
【請求項9】
医薬的に許容される担体および請求項1〜4のいずれかに記載の一般式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体の医薬的有効量を含む医薬組成物。
【請求項10】
経口、非経口、直腸、局所および経皮投与用、吸入スプレーまたは噴霧もしくはイオン導入装置に適した形態にある、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
腸溶コーティングされていてもよい錠剤、カプセル剤および丸剤、散剤、顆粒剤、ゲル剤、乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、注射可能な形態、坐剤、経皮パッチまたはリポソームの形態にある、経口、非経口、直腸、局所および経皮投与用または吸入用の、請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体および医薬的に許容される担体を含む、液体または固体の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物、心臓血管疾患の治療に使用される少なくとも1つの化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
心臓血管疾患の治療に使用される化合物が、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、エンドセリン拮抗剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、カリウム アクティベーター、利尿剤、血管拡張剤、アスピリンのような抗血栓剤またはそれらのニトロソ化された化合物からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
請求項1で定義された一般式(I)の化合物、心臓血管疾患の治療用に、同時に、分けて、連続的に使用するための組み合わせ製剤として心臓血管疾患の治療に使用される化合物を含む医薬キット。
【請求項15】
心臓血管疾患の治療に使用される化合物が、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、エンドセリン拮抗剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、カリウム アクティベーター、利尿剤、血管拡張剤、アスピリンのような抗血栓剤またはそれらのニトロソ化された化合物からなる群から選択される、請求項14に記載の医薬キット。

【公表番号】特表2009−514809(P2009−514809A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536007(P2008−536007)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066952
【国際公開番号】WO2007/045551
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】