説明

レンズ、ステレオ撮影システム、及び方法

【課題】ステレオ撮影システムにおいて、基線長を変えた撮影を円滑に行う。
【解決手段】レンズ間通信手段A153は、スレーブ用のレンズと接続する。レンズ間通信手段B154は、スレーブ用の別のレンズと接続する。レンズ選択手段139は、接続された2つのレンズのうちの一方を、自レンズと共にステレオ撮影を行うべきレンズとして選択する。CPU132は,記録スイッチ152が操作されると、自レンズに対応するカメラ本体のカメラ制御手段123に撮影指示を送る。また、選択されたレンズを介して、その選択されたレンズに対応するカメラ本体に撮影指示を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズに関し、更に詳しくは、ステレオ撮影に用いられるカメラ用レンズに関する。また、本発明は、ステレオ撮影システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のデジタルカメラを並べ、それら複数台のカメラのシャッターを同期して動作させることでステレオ画像やパノラマ画像を撮影する撮影システムが知られている。そのような撮影システムとして、例えば特許文献1に記載の撮影システムがある。特許文献1では、複数台(n台)のカメラをケーブルで接続する。それらn台のカメラのうちをマスタとし、残りをスレーブとする。スレーブのカメラは、マスタの設定条件のもと、マスタのシャッタートリガに同期して撮影を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−159953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば3台のカメラを間隔を変えて一列に並べ、3台のうちの2台を用いてステレオ画像の撮影を行う場合を考える。この場合、ペアとなるカメラを切り替えることで、基線長を変えてステレオ画像を撮影することが可能になる。しかし、特許文献1では、スレーブとなるカメラは全てマスタとなるカメラに連動して動作するため、3台のうちのマスタを除く2台のカメラは、双方ともマスタに同期して同時に動作することになる。特許文献1において、基線長を変えて撮影を行うためには撮影に用いられないカメラからケーブルを外す必要があり、基線長を変えたステレオ画像の撮影を円滑に行うことができなかった。
【0005】
本発明は、3以上のレンズを備えた撮影装置において、基線長を変えた撮影を円滑に行うことができステレオ撮影システム及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなステレオ撮影システムに用いられるレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、2以上レンズと接続され、該2以上のレンズのうちの1つと共にステレオ撮影を行うためのレンズであって、前記2以上のレンズと通信する通信手段と、前記2以上のレンズの中からステレオ撮影を行うべき1つのレンズを選択する選択手段と、撮影開始の操作がされると、自レンズに対応する撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択されたレンズを介して、該選択されたレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送る制御手段とを備えたことを特徴とするレンズを提供する。
【0007】
本発明では、前記制御手段が、自レンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御すると共に、自レンズにおける動作に追従させて、前記選択されたレンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御するものとすることができる。
【0008】
本発明のレンズは、前記2以上のレンズのそれぞれに対応して、自レンズとの間の配置間隔に関する情報を入力する設定情報入力手段を更に備えており、前記選択手段が、ユーザがステレオ撮影の際の基線長を指定すると、前記2以上のレンズのうちで、前記指定された基線長に対応する配置間隔のレンズを選択する構成を採用することができる。
【0009】
本発明は、また、第1のレンズと、それぞれが前記第1のレンズと通信可能な2以上の第2のレンズと、前記第1のレンズに対応した第1の撮影手段と、前記2以上の第2のレンズのそれぞれに対応した2以上の第2の撮影手段とを備え、前記第1のレンズが、前記2以上の第2のレンズの中からステレオ撮影を行うべきレンズを1つ選択する選択手段と、撮影開始の操作がされると、前記第1の撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択された第2のレンズを介して、前記2以上の第2の撮影手段のうちで前記選択された第2のレンズに対応する第2の撮影手段に撮影指示を送る制御手段とを有することを特徴とするステレオ撮影システムを提供する。
【0010】
更に、本発明は、第1のレンズと、それぞれが該第1のレンズと通信可能な2以上の第2のレンズとを含むステレオ撮影システムにおけるステレオ撮影方法であって、前記2以上の第2のレンズの中からステレオ撮影を行うべきレンズを1つ選択するステップと、前記第1のレンズに対して撮影開始の操作がされると、前記第1のレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択された第2のレンズレンズを介して、前記選択された第2のレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送るステップとを有することを特徴とするステレオ撮影方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、マスタとなるレンズに接続された2以上のレンズのうちの1つを、マスタのレンズと共にステレオ撮影に用いるレンズとして選択しておき、マスタのレンズに対して撮影開始の操作がされたときに、マスタのレンズに対応する撮影手段と、選択されたレンズに対応する撮影手段とに撮影指示を送る。選択するレンズを切り替えることで、ステレオ撮影に用いるレンズのペアを変更することができ、ステレオ撮影システムにおいて円滑に基線長を切り替えた撮影を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のレンズを含むステレオ撮影システムを示すブロック図。
【図2】マスタ用レンズとカメラ本体の構成を示すブロック図。
【図3】動作手順を示すフローチャート。
【図4】基線長に関する情報の入力画面例を示す図。
【図5】基線長を選択する画面の一例を示す図。
【図6】基線長を選択する画面の別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態のレンズを含むステレオ撮影システムを示す。ステレオ撮影システムは、レンズ10〜12と、各レンズに対応したカメラ本体20〜22とを有する。レンズ10〜12のうちの何れか、図1の例ではレンズ10はマスタ用のレンズ(第1のレンズ)であり、残りのレンズ11、12はマスタ用レンズに追従して動作するスレーブ用のレンズ(第2のレンズ)である。図1ではスレーブ用レンズを2つ図示しているが、スレーブ用レンズは3以上あってもよい。ステレオ撮影システムは、マスタ用レンズ10と、スレーブ用レンズ11、12から選択された1つのレンズとを用いて、ステレオ画像を撮影する。
【0014】
マスタ用レンズ10は複数のレンズ間通信手段を有しており、マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11、12とは相互に接続される。マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11、12とは一列に並んで配置される。マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11との距離(配置間隔)と、マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11との距離とは異なる。マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11との距離をαとし、マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ12との距離をβ(β>α)とする。
【0015】
マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11とを用いてステレオ撮影を行うことで、基線長αのステレオ撮影が可能である。一方、マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ12とを用いてステレオ撮影を行うことで、基線長βでステレオ撮影を行うことができる。このように、マスタ用レンズ10と組み合わせて使用するスレーブ用レンズを切り替えて撮影することで、基線長を変えたステレオ撮影が可能となる。
【0016】
図2は、マスタ用レンズ10とカメラ本体20の構成を示す。マスタ用レンズ10は撮影光学系110を含み、撮影光学系110は、フォーカシングレンズ112、変倍レンズ114、マスターレンズ116、絞り118などを含む。被写体象は、撮影光学系110を構成する各レンズや絞りなどを介して、カメラ本体20内の撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)120の結像面に結像される。CCD120の結像面に結像された被写体象は、CCD120で光電変換され、画像信号として撮像回路122に入力される。撮像回路122は、所要の信号処理を実施して、画像信号を例えばNTSC(National Television System Committee)の映像信号に変換する。ビューファインダ148及び外部映像表示装置150は、映像信号を入力し、撮影中の映像などを表示する。カメラ制御手段123は、撮像回路122を含むカメラ本体20内の各部を制御する。
【0017】
CPU132は、レンズのコントローラであり、マスタ用レンズ10内の各部の制御を行う。撮影光学系110のフォーカシングレンズ112は、フォーカスデマンド142を操作することで、マニュアル操作可能になっている。フォーカスデマンド142は、カメラマンによって回転操作され、ポテンショメータ144はフォーカスデマンド142の回転位置を検出する。ポテンショメータ144が検出した回転位置は、AD変換器146を介してCPU132に入力される。フォーカスデマンド142の回転位置は、フォーカシングレンズ112のフォーカス指示位置に対応する。
【0018】
一方、ポテンショメータ140は、現在のフォーカシングレンズ112の位置(以下、フォーカス位置とも呼ぶ)を検出する。CPU132は、AD変換器138を介して現在のフォーカス位置を読み出し、これとAD変換器146を介して入力するフォーカス指示位置との差を検出する。CPU132は、検出した差に応じたフォーカス制御信号を出力する。
【0019】
モータ駆動回路134は、DA変換器133を介して、CPU132が出力したフォーカス制御信号を入力する。モータ駆動回路134は、フォーカス制御信号の電圧を増幅させてフォーカシングレンズ位置とフォーカス指示位置との差が0になるようにモータ136を駆動し、フォーカシングレンズ112の位置を移動させる。このように、CPU132からのフォーカス指示位置に基づくフォーカス制御信号に基づいてモータ136を駆動することで、フォーカシングレンズ112を任意のフォーカス位置に移動させることができる。
【0020】
レンズ選択手段139は、複数のスレーブ用レンズの中から、ステレオ撮影に用いられるレンズを選択する。レンズ間通信手段A153は、スレーブ用レンズ11との間で通信を行う。レンズ間通信手段B154は、スレーブ用レンズ12との間で通信を行う。各レンズは、例えばRS−232C L1プロトコルに従って通信を行う。レンズ間では、VTR SW(撮影SW)、RET SW、レンズ操作local(自レンズの操作を優先)/host(他のレンズからの操作指示を優先)の切替、ズーム、フォーカス、アイリスのポジションデータとコントロールデータなどの情報がやりとりされる。CPU132は、それら情報に応じた動作をするように、レンズ内の各部の制御を行う。設定情報入力手段151は、各種情報をCPU132に入力する。入力された情報は、CPU132内のメモリ132Aに保持される。
【0021】
CPU132は、レンズ選択手段139により選択されたスレーブ用レンズに対応するカメラ間通信手段を介して、スレーブ用レンズにレンズ操作hostを送る。レンズ操作hostを受け取ったスレーブ用レンズは、以降、マスタ用レンズ10における操作と連動して動作する。例えばCPU132は、自レンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御すると共に、自レンズにおける動作に追従させて、選択されたレンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御する。一方、CPU132は、選択されなかった側のスレーブ用レンズには、レンズ操作localを送る。レンズ操作localを受け取ったスレーブ用レンズは、マスタ用レンズ10と連動して動作しない。
【0022】
カメラマンは、撮影SW(記録スイッチ)152を操作して、撮影開始(記録開始)を指示する。記録スイッチ152は、撮影開始指示をCPU132に入力する。マスタ用レンズ10は、図示しないレンズ−カメラ間通信手段を介して、マスタ用レンズ10に対応するカメラ本体20と例えばRS232 L1プロトコルで通信を行っており、CPU132は、カメラ本体20のカメラ制御手段123に撮影開始を指示する。カメラ制御手段123は、撮像回路122や図示しない記録部に対して映像の記録を指示する。また、CPU132は、レンズ選択手段139により選択されたスレーブ用レンズに対応するカメラ間通信手段を介して、スレーブ用レンズに撮影開始を指示する。撮影開始の指示を受け取ったスレーブ用レンズが、対応するカメラ本体に撮影開始を伝えることで、スレーブ側において映像の記録が開始される。
【0023】
スレーブ用レンズ11、12も、マスタ用レンズ10と同様な構成である。スレーブ用レンズ11、12においては、レンズ選択手段139は省略してもよい。なお、図2では図示を省略しているが、マスタ用レンズ10及びスレーブ用レンズ11、12は、変倍レンズ114を駆動するための手段も有しており、変倍レンズ114はCPU132からのズーム指示値に基づいて制御される。
【0024】
図3は、動作手順を示している。ユーザは、設定情報入力手段151を用いて、基線長セッティング値を含む各種の情報を入力する(ステップS1)。ユーザは、ステップS1では、例えばマスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ11とを用いたときの基線長がαであり、マスタ用レンズ10とスレーブ用レンズ12とを用いたときの基線長がβである旨を入力する。その他、ユーザは、レンズの諸元データや、ズーム、絞り、フォーカスパルスなどの動作パラメータを入力する。入力情報は、メモリ132Aに保存される。
【0025】
上記の情報入力は、レンズごとに行っておく。仮に、各レンズにおける設定情報に競合が生じたとしたときは、例えばマスタのレンズにおける設定情報を優先するなどすればよい。例えば、マスタ用レンズ10からスレーブ用レンズ11、12に設定情報を送信し、スレーブ用レンズ11、12における設定情報をマスタ用レンズ10から受信した設定情報で上書きするようにしてもよい。あるいは、設定情報にタイムスタンプを持たせておき、最新の設定情報を優先してもよい。例えばスレーブ用レンズにおける設定情報がマスタ用レンズにおける設定情報よりも新しい(後から入力された)ときで、双方の設定情報が一致しないときは、マスタ用レンズの設定情報を、スレーブ用レンズから受信した設定情報で上書きするようにすればよい。
【0026】
設定情報の入力は、ケーブルなどで各レンズ間を接続した状態で行うことができる。その場合、設定情報をいくつかの固定値の中から選択することで入力できるようにしておき、先に設定を行ったレンズにおける設定情報によって、後に設定(設定値の選択)を行うレンズにおける設定情報画面を変えても(制限しても)よい。レンズごとに設定情報を入力するのに代えて、マスタ用レンズに対して設定情報の入力を行い、その設定情報を各スレーブ用レンズに送信して設定させるようにしてもよい。その場合、スレーブ用レンズは、設定情報入力手段151を省いた構成としてもよい。
【0027】
ユーザは、基本情報の設定後、ステレオ撮影における基線長の選択を行い、マスタ用レンズと共にステレオ撮影に用いるスレーブ用レンズを選択する(ステップS2)。レンズ選択手段139は、例えば選択された基線長に従って、2つのスレーブ用レンズ11、12
のうちの一方を選択する。ユーザは、マスタ用レンズ10の記録スイッチ152を操作する(ステップS3)。マスタ用レンズ10のCPU132は、記録スイッチ152が操作されると、自レンズと接続されたカメラ本体のカメラ制御手段123に対して撮影開始指示を送る(ステップS4)。カメラ制御手段123が、撮像回路122に対して処理開始を指示することで、カメラ本体20において撮影が開始される。カメラ制御手段123は、ビューファインダ148や外部映像表示装置150などを制御して、撮影した映像を表示させる。
【0028】
マスタ用レンズ10のCPU132は、レンズ選択手段139で選択されたスレーブ用レンズに対応するレンズ間通信手段を介して、選択されたスレーブ用レンズに撮影開始の指示を送る(ステップS5)。例えばスレーブ用レンズ11が選択されていたときは、レンズ間通信手段A153を介して、スレーブ用レンズ11に撮影指示を送る。スレーブ用レンズ11のCPUは、撮影開始の指示を受け取ると、自レンズに対応するカメラ本体21のカメラ制御手段123に対して撮影開始指示を送る。カメラ制御手段123が、撮像回路122に対して処理開始を指示することで、カメラ本体21において撮影が開始される。カメラ制御手段123は、ビューファインダ148や外部映像表示装置150などを制御して、撮影した映像を表示させる。
【0029】
マスタ用レンズ10のCPU132は、自レンズにおける制御内容を選択されたスレーブ用レンズに送り、選択されたスレーブ用レンズを、マスタ用レンズ10に追従して動作させる(ステップS6)。例えばスレーブ用レンズ11が選択されていたとする。マスタ用レンズ10においてズームシーソーが動かされると、マスタ用レンズ10のCPU132は、自レンズにおけるズーム位置を移動させる。また、レンズ間通信手段A153を介して、ズームのコントロール位置信号を送信する。スレーブ用レンズ11のCPU132は、ズームのコントロール位置信号を受信すると、その位置信号に基づいて目的地(ズーム指示位置)を設定し、ズーム位置がその位置となるようなD/Aデータを出力することでモータを駆動し、ズームをマスタ用レンズ10と同期して変化させる。
【0030】
マスタ用レンズ10のCPU132は、選択されたスレーブ用レンズ11に対して、ズームのポジションデータを要求することができる。スレーブ用レンズ11のCPU132は、ズームのポジションデータの要求を受け取ると、ポテンショメータ又はエンコーダ信号に基づいた自レンズにおけるズームのポジションデータを読み出し、読み出したポジションデータをマスタ用レンズ10に送信する。マスタ用レンズ10のCPU132は、自レンズにおけるズームのポジションデータと、スレーブ用レンズ11から受信したズームのポジションデータとを比較することで、スレーブ用レンズ11がマスタ用レンズ10に同期して動作していることを確認できる。
【0031】
なお、上記では、スレーブ用レンズもCPU(コントローラ)を持ち、スレーブ用レンズ内の制御をCPUからの指示で行う例を示したが、これには限定されない。例えば、マスタ用レンズ10内に、マスタ用レンズの制御のためのコントローラとは別個に、スレーブ用レンズを制御するためのコントローラを設け、そのコントローラによりスレーブ用レンズを制御することとしてもよい。あるいは、マスタ用レンズのスレーブ用レンズを制御するためのコントローラからスレーブ用レンズに制御信号を送り、スレーブ用レンズ内のコントローラが制御信号に基づいてスレーブ用レンズ内の各部を制御するようにしてもよい。
【0032】
図4は、基線長に関する情報の入力画面例を示す。この入力画面は、ビューファインダ148や外部映像表示装置150に表示される。ユーザは、例えばカーソルを合わせて、マスタ用レンズ10と、レンズ間通信手段A153に接続されたスレーブ用レンズ(レンズA)と間の距離を入力する。また、ユーザは、マスタ用レンズ10に対してレンズAが左右どちら側に配置されているかを示す情報を入力する。レンズ間通信手段B154に接続されたスレーブ用レンズ(レンズB)についても、同様にレンズ間の距離と、配置の位置関係とを入力する。
【0033】
図5は、基線長を選択する画面の一例を示す。マスタ用レンズ10のCPU132は、例えば図4に示す入力画面で入力されたレンズ間の距離を読み出し、選択可能な基線長をユーザに提示する。ユーザは、例えばカーソルを動かすことで、表示された基線長のうちの1つを選択する。レンズ選択手段139は、ユーザがステレオ撮影の際の基線長を指定すると、2つのスレーブ用レンズのうちで、指定された基線長に対応する配置間隔のレンズを選択する。例えば基線長「40mm」が選択されたとき、図4の入力画面から入力された情報を参照することで、基線長「40mm」で撮影を行うときに用いられるスレーブ用レンズがレンズAであることがわかる。レンズ選択手段139は、ユーザが指定した基線長「40mm」に基づいて、2つのスレーブ用レンズのうちのレンズAを選択する。
【0034】
図6は、基線長を選択する画面の別例を示す。この例では、グラフィカル表示で、マスタ用レンズと各スレーブ用レンズとの位置関係、及び基線長を表示する。ユーザは、例えばタッチパネルやカーソル移動などにより、マスタ用レンズとペアでステレオ撮影を行うべきスレーブ用レンズを選択する。ユーザがスレーブ用レンズを選択すると、選択されたスレーブ用レンズを用いた場合の基線長が表示される。例えば図6において、3台のレンズのうちの真ん中のマスタ用レンズと共にステレオ撮影に用いるレンズとして、紙面向って左側のスレーブ用レンズが選択された場合、現在の基線長の選択情報として、基線長「40mm」が表示される。
【0035】
本実施形態では、マスタ用レンズ10に接続された2以上のスレーブ用のレンズのうちの1つを、マスタ用レンズ10と共にステレオ撮影に用いるレンズとして選択しておく。マスタ用レンズ10に対して撮影開始の操作がされたとき、マスタ用レンズ10に対応するカメラ本体20と、選択されたスレーブ用レンズに対応するカメラ本体とに撮影指示を送る。このようにすることで、ユーザはマスタ用レンズ10の操作をするだけで、2つのレンズによるステレオ撮影を開始することができる。また、選択するレンズを切り替えることで、ステレオ撮影に用いるレンズのペアを変更することができ、ステレオ撮影システムにおいて円滑に基線長を切り替えた撮影を行うことができる。特に、ユーザが基線長の指定を行ったときに、その基線長でステレオ撮影を行うためのスレーブ用レンズを選択するようにしておく場合、ユーザは、どのレンズが所望の基線長に対応しているかを意識することなく、所望の基線長でステレオ撮影を行うことができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、レンズ10をマスタ用のレンズとして説明したが、これには限定されない。マスタ用レンズとスレーブ用レンズとは適宜入れ替えることができ、レンズ11をマスタ用レンズとして用いると共に、レンズ10、12をスレーブ用レンズとして用いてもよい。その場合、レンズ10とレンズ11とを用いたときは基線長αとなり、レンズ11とレンズ12とを用いたときは基線長α+βとなる。また、レンズ間の通信は、シリアル通信には限定されず、任意の通信方式でよい。各レンズ間は、互いに通信可能であればよく、必ずしも有線ケーブルによって接続されている必要はない。レンズ間の通信に無線通信を用いることも可能である。
【0037】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のレンズ、ステレオ撮影システム、及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10:マスタ用レンズ
11、12:スレーブ用レンズ
20〜22:カメラ本体
110:撮影光学系
112:フォーカシングレンズ
114:変倍レンズ
116:マスターレンズ
118:絞り
120:CCD
122:撮像回路
123:カメラ制御手段
132:CPU
132A:メモリ
133:DA変換器
134:モータ駆動回路
136:モータ
138:AD変換器
139:レンズ選択手段
140:ポテンショメータ
142:フォーカスデマンド
144:ポテンショメータ
146:AD変換器
148:ビューファインダ
150:外部映像表示装置
151:設定情報入力手段
152:記録スイッチ
153、154:レンズ間通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上レンズと接続され、該2以上のレンズのうちの1つと共にステレオ撮影を行うためのレンズであって、
前記2以上のレンズと通信する通信手段と、
前記2以上のレンズの中からステレオ撮影を行うべき1つのレンズを選択する選択手段と、
撮影開始の操作がされると、自レンズに対応する撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択されたレンズを介して、該選択されたレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送る制御手段とを備えたことを特徴とするレンズ。
【請求項2】
前記制御手段が、自レンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御すると共に、自レンズにおける動作に追従させて、前記選択されたレンズにおけるフォーカス、絞り、ズームのうちの少なくとも1つの動作を制御するものであることを特徴とするレンズ。
【請求項3】
前記2以上のレンズのそれぞれに対応して、自レンズとの間の配置間隔に関する情報を入力する設定情報入力手段を更に備えており、
前記選択手段が、ユーザがステレオ撮影の際の基線長を指定すると、前記2以上のレンズのうちで、前記指定された基線長に対応する配置間隔のレンズを選択するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ。
【請求項4】
第1のレンズと、
それぞれが前記第1のレンズと通信可能な2以上の第2のレンズと、
前記第1のレンズに対応した第1の撮影手段と、
前記2以上の第2のレンズのそれぞれに対応した2以上の第2の撮影手段とを備え、
前記第1のレンズが、
前記2以上の第2のレンズの中からステレオ撮影を行うべきレンズを1つ選択する選択手段と、
撮影開始の操作がされると、前記第1の撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択された第2のレンズを介して、前記2以上の第2の撮影手段のうちで前記選択された第2のレンズに対応する第2の撮影手段に撮影指示を送る制御手段とを有する
ことを特徴とするステレオ撮影システム。
【請求項5】
第1のレンズと、それぞれが該第1のレンズと通信可能な2以上の第2のレンズとを含むステレオ撮影システムにおけるステレオ撮影方法であって、
前記2以上の第2のレンズの中からステレオ撮影を行うべきレンズを1つ選択するステップと、
前記第1のレンズに対して撮影開始の操作がされると、前記第1のレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送ると共に、前記選択された第2のレンズレンズを介して、前記選択された第2のレンズに対応する撮影手段に撮影指示を送るステップとを有することを特徴とするステレオ撮影方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−212017(P2012−212017A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77495(P2011−77495)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】