説明

レーザレーダ装置およびレーザレーダ装置による撮像目標選択方法

【課題】背景に輝度の非常に高いクラッタが存在する場合、画像信号からクラッタ成分を除去できない。
【解決手段】一実施形態によれば、レーザ光の送信部11と、受信部12と、複数の撮像素子を有する撮像部13と、目標までの相対距離を演算し受信タイミング信号を出力する測距器14と、この受信タイミング信号の受信期間に重なる第1の露光タイミング信号およびこの受信期間と重ならないタイミングを持つ第2の露光タイミング信号を撮像部13へ与えるタイミング生成部15と、各露光タイミング信号によって撮像された画像信号から複数の画素および画素毎の輝度を対応させた画像データを生成する画像処理部16とを備え、画像処理部16は第1の露光タイミング信号により目標および背景を含む画像を生成し、第2の露光タイミング信号により背景を含む画像を生成し、これらの画像間で輝度の差分を求めるレーザレーダ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態はレーザレーダ装置およびレーザレーダ装置による撮像目標選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤外線などのレーザビームを出射し、物体からの反射光によって画像検出及び測距を行うレーザレーダ装置を用いた目標捕捉追跡装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
レーザレーダ装置は、目標にレーザ光を照射し、その反射光の到来方向をこのレーザレーダ装置が求める追跡点とする処理を行う(例えば特許文献3参照)。追跡点とは現時点のフレームの入力画像における目標物体の位置を指す。レーザレーダ装置は自らが撮像した画面の中心に追跡点を捕らえるように赤外線カメラを上下左右に駆動する機構を有する。反射光を赤外線カメラが補えると、この機構は赤外線カメラを反射光の到来方向に指向させる。赤外線カメラは目標を視野内の中心に捕らえて目標を撮影する。この赤外線カメラにより写された視野には背景画像が含まれる。背景に輝度の高い物体が存在する場合、画像処理部では反射光と、クラッタとを区別する処理が困難になることがある。クラッタとは背景の輝度の高い物体による不要な成分の受光強度を指す。
【0004】
従来、クラッタを低減させるため、背景までの距離情報を取得し、この背景距離情報に基づいて撮像装置の露光タイミングを制御する方式が提案されている(例えば特許文献4参照)。露光とは撮像装置による撮像あるいは感光を指す。露光タイミングの決定では、別途計測する目標との距離データから反射光を受光するタイミングを求め、このタイミングに露光タイミングを合わせるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−17645号公報
【特許文献2】特開2004−28602号公報
【特許文献3】特開2005−265288号公報
【特許文献4】特開平11−183620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の技術では、背景に輝度の非常に高いクラッタが存在する場合、画像領域内の画像信号から、クラッタ成分を除去することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、レーザ光を出射する送信部と、この送信部からの前記レーザ光が物体により反射した反射光を受信する受信部と、それぞれこの受信部からの前記反射光を受光する複数の撮像素子を有する撮像部と、この撮像部が撮像した時点における前記撮像部および目標間の相対距離を演算し、前記反射光の予定の到来時点から立上って受信期間持続してから立下がる波形を持つ受信タイミング信号を出力する測距器と、この測距器からの前記受信タイミング信号の前記受信期間に重なる期間を有し前記反射光の受信タイミングに合うタイミングの第1の露光タイミング信号、および前記受信期間と重ならないタイミングの第2の露光タイミング信号を前記撮像部へ与えるタイミング生成部と、このタイミング生成部が生成する各露光タイミング信号によって前記撮像部が撮像出力した画像信号から複数の画素および前記画素毎の輝度を対応させた画像データを生成する画像処理部と、を備え、この画像処理部は、前記第1の露光タイミング信号により前記目標および背景を含む画像を生成し、前記第2の露光タイミング信号により前記背景を含む画像を生成し、これらの画像間で前記輝度の差分を求めることを特徴とするレーザレーダ装置が提供される。
【0008】
また、別の一実施形態によれば、レーザ光を出射した後、撮像すべき目標により反射した反射光が戻ってくる予定の受信タイミングに合うタイミングを持つ第1の露光タイミング信号によって前記目標および背景を含む画像を生成し、前記受信タイミングに合わないタイミングを持つ第2の露光タイミング信号によって前記背景を含む画像信号を生成し、これらの画像間で複数の画素毎に輝度の差分を求めて前記目標を選択することを特徴とするレーザレーダ装置による撮像目標選択方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダ装置の構成図である。
【図2】実施の形態に係るレーザレーダ装置に用いられる測距器による測距方法を説明するための図である。
【図3】実施の形態に係るレーザレーダ装置によるレーザ光の送受信タイミングと露光タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
【図4】実施の形態に係るレーザレーダ装置による撮像目標選択方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態に係るレーザレーダ装置による画像間の輝度の差分演算の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係るレーザレーダ装置およびレーザレーダ装置による撮像目標選択方法について、図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
図1は実施の形態に係るレーザレーダ装置の構成図である。本実施形態に係るレーザレーダ装置は赤外線の送受信により目標の画像検出及び測距を行って目標画像を生成するものである。このレーザレーダ装置は、レーザ光を出射する送信部11と、レーザ光が物体により反射した反射光を受信する受信部12と、それぞれこの受信部12からの反射光を受光する複数の撮像素子を有する赤外線カメラ13(撮像部)と、赤外線カメラ13が撮像した時点における赤外線カメラ13及び目標間の相対距離を演算し受信タイミング信号を出力する測距器14と、受信タイミングと同期するタイミングの第1の露光タイミング信号及びこの受信タイミングと同期しないタイミングの第2の露光タイミング信号を赤外線カメラ13に対して与えるタイミング生成部15と、各露光タイミング信号によって赤外線カメラ13が撮像出力した画像信号より複数の画素および画素毎の輝度を対応させた画像データを生成する画像処理部16と、2軸のジンバル機構17と、このジンバル機構17の駆動部18とを備えている。タイミング生成部15、画像処理部16及び駆動部18は制御器29を構成する。露光タイミングとはシャッタ開を指令するためのタイミングパルス信号の立上り位置及び立下がり位置を指す。
【0012】
送信部11はパルス状のレーザ光を周期的に出射する。送信部11が発するレーザ光のビーム形状は目標方向に指向したビーム軸を有し、このビーム軸周りの空間内に赤外線強度を分布させるようにしている。受信部12は、反射光を集めるレンズ、及び光電変換用のフォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等を有する。
【0013】
赤外線カメラ13は、基板上に2次元配置された複数の赤外線CCD(赤外線電荷結合デバイス)と、これらの撮像素子としての赤外線CCDの後段に設けられたアナログ・ディジタル変換器と、各赤外線CCDへ反射光を取込む又は取込まない動作を行うシャッタと、シャッタへの制御信号の入力を検知する検知器とを備えている。赤外線カメラ13は実質的に反射光がこの赤外線カメラ13に到達する瞬間のみシャッタを開いて露光する。赤外線カメラ13に対するシャッタの開閉、即ち露光の指令はタイミング生成部15により行われる。
【0014】
測距器14は目標までの距離情報を取得する。測距器14は、送信部11又はタイミング生成部15よりレーザ光の照射時点を示す信号を受け取り、反射光の受信時点を示す信号を受信部12より受け取る。
【0015】
図2は測距器14による測距方法を説明するための図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。送信部11が大気中に放射した光波は目標19により散乱し、散乱で生じた反射波の一部は赤外線カメラ13及び測距器13の位置に戻ってくる。目標19までの距離をR、光速をcとし、光波信号が目標19により反射して戻ってくるまでの遅延時間をτとすると、測距器14は距離RをR=τ・c/2により計算する。
【0016】
測距器14が出力する受信タイミング信号は、反射光の予定の到来時点から立上って受信期間持続してから立下がる波形を有する。図3にレーザ光の送受信タイミングと、露光タイミングとの関係を示す。
【0017】
図3(a)は送信部11によるレーザ光の照射タイミングを示すタイムチャートである。遅延時間τは、レーザ光の照射後、送信位置から目標19まで飛んでこの目標19から返ってくるまでの往復伝搬距離に比例する値を持つ。図3(b)は受信部12による反射光の受信タイミングを示すタイムチャートである。反射光の予定の到来時点はレーザ光が出射された後、遅延時間τが経過した時点に実質等しい。同図の受信タイミング信号20を測距器14が供給する。受信タイミング信号20の波形はこの反射光の予定到来時点より立上って受信期間持続してから立下がる。比較例としての図3(c)は従来例による赤外線カメラの露光タイミングを示すタイムチャートである。図3(d)は実施形態に係るレーザレーダ装置による赤外線カメラ13の露光タイミングを示すタイムチャートである。これらの図中、横軸は時間軸を表す。縦軸は電圧レベルを表す。
【0018】
また、タイミング生成部15(図1)は赤外線カメラ13に対して反射光の受信タイミングの受信期間に重なる期間を有し反射光の到来時点に合うタイミングを持つ第1の露光タイミング信号と、この受信期間と重ならないタイミングを持つ第2の露光タイミング信号とを供給する。図3(d)に示すように、第1の露光タイミング信号21は受信タイミング信号20の受信期間に重なる波形を有する。第2の露光タイミング信号22は受信期間と重ならない波形を有する。
【0019】
画像処理部16は画像差分演算部23及びフレームメモリ28を有する。画像差分演算部23は、第1の露光タイミング信号21により第1のフレームの画像データを生成し、第2の露光タイミング信号22により第2のフレームの画像データを生成する。画像処理部16はこれらの画像データ間で輝度の差分を求めるようにしている。
【0020】
フレームとは画像領域内の1枚分の画像信号を得るために要する期間を指す。このフレームは赤外線CCDの素子能力により決まる値である。1フレーム期間は、撮像部13の複数の赤外線CCDが蓄積容量をリセットされてから、これらの赤外線CCDが受信部12のフォトダイオードから掃き出された電荷を蓄積し、プロセッサにより電荷が電圧信号としてフレームメモリ28に書込まれるまでの期間である。例えば30Hz、60Hz、120Hzのフレームレートで動作する赤外線CCDはそれぞれ33.3msec、16.7msec、8.3msecのフレーム期間を有する。
【0021】
画像処理部16の機能は例えばDSP(ディジタル信号プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)あるいはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリ等により実行される。
【0022】
図1の送信部11、受信部12、赤外線カメラ13、測距器14はジンバル機構17とともにケーシング24に一体的に収容されている。ジンバル機構17は、ベース25上でケーシング24をアジマス(AZ)軸及びエレベーション(EL)軸の各軸回りに回動させる。駆動部18はジンバル機構17の指向方向が目標検出方向になるよう調整する。この駆動部18が各軸回りに設けられた図示しないモータを回すことによりレーザレーダ装置は目標を追跡可能になっている。
【0023】
また、本実施形態に係るレーザレーダ装置による撮像目標選択方法は、反射光の戻ってくる予定の受信タイミングに合うタイミングにおいて目標、背景を含む画像信号を生成して画像データを記憶し、受信タイミングに合わない別のタイミングで背景を含む画像信号を生成して画像データを記憶し、これらの画像データ間で画素毎に輝度の差分を求め、差分結果により画像領域内から目標を選択抽出する方法である。この方法では、差分と、予め保持する輝度の閾値とにより目標を抽出し、目標の撮像方向と、測距方向とをそれぞれ目標抽出方向に指向させる。
【0024】
このような構成の本実施形態に係るレーザレーダ装置は監視対象の空間領域を走査する。ジンバル機構17により赤外線カメラ13は方位角方向及び仰角方向に動く。この赤外線カメラ13から見て目標の後ろ側にはいろいろな種類の物体や自然物が位置することとなる。レーザレーダ装置はなるべく背景から目標を見やすくなるように目標だけを抽出する処理を行う。明るさ背景として輝度が非常に高い物体が明るい物体として撮像されることがある。画像処理部16は常時あるいは日照条件に応じて図4のような処理を行う。
【0025】
図4は撮像目標選択方法を説明するためのフローチャートである。ステップA1において、画像処理部16は図3(d)の第1の露光タイミング信号21のように、反射光が返ってくるタイミングで画像を生成する。画像処理部16は縦横予め決められたサイズを有する画像領域を、例えば100画素×100画素の10000画素により作像する。10000画素のそれぞれについて、例えば11ビットに相当する2048段階の値で表した輝度レベルをフレームメモリ28から読出して画像処理部16は作像する。第1の露光タイミング信号21による撮像の後、赤外線カメラ13は10000画素の全てについて11ビット表現のディジタル輝度レベル情報をフレームメモリ28に掃き出す。第1のフレームについて目標と背景との双方を含む画像データが作成される。
【0026】
図5(a)は露光タイミングをレーザ反射光の受信タイミングに合わせた場合の画像の一例を示す図である。同図はフレーム番号nのフレームから作像された画像を示している。画像領域26内に、目標エコー27が捕らえられている。画像領域26内において目標エコー27以外の像は背景画像を表す。画像領域26内で異なる位置に互いに輝度が異なる像が現れている。
【0027】
第1のフレームに続き、ステップA2において、画像処理部16は図3(d)の第2の露光タイミング信号22のように、反射光が返ってこないタイミングで画像を生成する。第2の露光タイミング信号22による露光後、赤外線カメラ13は10000画素の輝度レベル情報をフレームメモリ28へ送る。第2のフレームについて背景だけが含まれる画像データが作成される。
【0028】
図5(b)は露光タイミングをレーザ反射光の受信タイミングからずらして撮像された場合の画像の一例を示す図である。フレーム番号nの次のフレーム番号(n+1)のフレームから作像された画像を同図は示している。画像領域26内に、目標エコー27が存在していない。
【0029】
ステップA3において、画像処理部16はこれらの10000画素に亘る全画素について、輝度レベルの差分を計算する。反射光が返ってくるフレームnと、反射光が返ってこないフレーム(n+1)との画像データ間で輝度の差分をとることにより、画像処理部16は目標だけの画像のレベルを抽出する。
【0030】
図5(c)は画像処理部16が差分を演算した後の画像の一例を示す図である。10000画素の全てについて11ビット表現の輝度レベルの差分情報を画像処理部16が計算し、差分演算後の画像を作像する。画像領域26内には、目標エコー27だけが抽出されている。画像領域26内において目標エコー27以外の不要な背景画像が除去される。
【0031】
このようにして確実にクラッタを低減させることができる。上記例は図3(d)の最初に現れる2つのフレームを使った演算についての説明であり、最初の2つのフレーム以降のフレームについて画像処理部16は上記処理と同じ処理を複数回に亘って繰返す。
【0032】
一般に、レーザレーダ装置に用いられる撮影装置では、露光期間と、露光タイミング信号の立上り位置と、この露光タイミングの立下がり位置とは変更調整可能である。本実施形態に係るレーザレーダ装置はこれらの位置をずらす。レーザレーダ装置は赤外線カメラ13を用いて、このレーザレーダ装置自らが目標に照射するレーザ光の物体からの反射光が写るタイミングと、レーザ反射光が写らず背景のみが撮影されるタイミングとで撮像を行う。本実施形態に係るレーザレーダ装置は反射光が写るタイミングでの画像と、反射光が写らないタイミングでの画像とを交互に取得する。物体からのエコーが写るタイミングと、エコーが現れることのないタイミングとにおいて交互に撮像した画像の差分をレーザレーダ装置が求めることで、レーザ反射光のみを抽出できる。これにより、クラッタ成分を抑圧する効果が得られる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るレーザレーダ装置は露光タイミングをレーザ反射光の受信タイミングに合わせることに加えて、意図的にレーザ反射光を受信しないタイミングに露光タイミングを合わせるようにしている。このレーザレーダ装置は、レーザ反射光の受信タイミングと赤外線カメラの露光タイミングとを合わせることと、合わせないこととを交互に行って、それぞれ得られた隣り合うフレームのカメラ画像の差分を求めることで、背景クラッタを除去でき、目標を表すレーザ反射光のみを抽出することができるようになる。
【0034】
従来例に係るレーザレーダ装置は露光タイミングをレーザ反射光の受光タイミングに合わせ、及び露光を持続させる露光期間を短くさせている。このレーザレーダ装置はレーザ反射光以外の背景成分や不要なエコー成分を取込む受光期間を縮めることにより背景成分を抑圧しクラッタ成分を低減させている。それでも尚、輝度の非常に高いクラッタが存在すると背景クラッタの影響が残り、完全にクラッタ成分を低減させることができないケースが存在する。これに対して本実施形態に係るレーザレーダ装置では、背景クラッタの影響を小さくすることができる。
【0035】
従来例では、赤外線CCDのフレームレートが遅かったため、撮像された画像データ間で差分を演算すると、演算に時間を要し、レーザレーダ装置を使ったシステムが成り立たない。近年、フレームレートが120Hzや240Hzあるいはそれ以上の赤外線CCDを得られるようになってきており、高速に画像データを掃き出すことが可能な赤外線CCDにより画像を作像可能になってきている。フレームレートが例えば2倍になると、レーザレーダ装置は隣接する2コマのフレームの画像データを得る間に、2枚分の画像を作像可能である。本実施形態に係るレーザレーダ装置は、赤外線カメラ13を高速フレームレートで動作させることによって、表示画像の生成と差分演算との双方を行うことができる。
【0036】
尚、上記の実施形態は実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記の実施形態では、測距器14は送信部11内に設けられたが、測距器14を制御器29内に設けてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
11…送信部、12…受信部、13…赤外線カメラ(撮像部)、14…測距器、15…タイミング生成部、16…画像処理部、17…ジンバル機構、18…駆動部、19…目標、20…受信タイミング信号、21…露光タイミング信号(第1の露光タイミング信号)、22…露光タイミング信号(第2の露光タイミング信号)、23…画像差分演算部、24…ケーシング、25…ベース、26…画像領域、27…目標エコー、28…フレームメモリ、29…制御器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する送信部と、
この送信部からの前記レーザ光が物体により反射した反射光を受信する受信部と、
それぞれこの受信部からの前記反射光を受光する複数の撮像素子を有する撮像部と、
この撮像部が撮像した時点における前記撮像部および目標間の相対距離を演算し、前記反射光の予定の到来時点から立上って受信期間持続してから立下がる波形を持つ受信タイミング信号を出力する測距器と、
この測距器からの前記受信タイミング信号の前記受信期間に重なる期間を有し前記反射光の受信タイミングに合うタイミングの第1の露光タイミング信号、および前記受信期間と重ならないタイミングの第2の露光タイミング信号を前記撮像部へ与えるタイミング生成部と、
このタイミング生成部が生成する各露光タイミング信号によって前記撮像部が撮像出力した画像信号から複数の画素および前記画素毎の輝度を対応させた画像データを生成する画像処理部と、を備え、
この画像処理部は、前記第1の露光タイミング信号により前記目標および背景を含む画像を生成し、前記第2の露光タイミング信号により前記背景を含む画像を生成し、これらの画像間で前記輝度の差分を求めることを特徴とするレーザレーダ装置。
【請求項2】
前記レーザ光送出部および前記撮像部のジンバル機構と、このジンバル機構の指向方向を前記目標の検出方向に調整する駆動部とを更に備え、この駆動部により前記目標を追跡することを特徴とする請求項1記載のレーザレーダ装置。
【請求項3】
レーザ光を出射した後、撮像すべき目標により反射した反射光が戻ってくる予定の受信タイミングに合うタイミングを持つ第1の露光タイミング信号によって前記目標および背景を含む画像を生成し、
前記受信タイミングに合わないタイミングを持つ第2の露光タイミング信号によって前記背景を含む画像信号を生成し、
これらの画像間で複数の画素毎に輝度の差分を求めて前記目標を選択することを特徴とするレーザレーダ装置による撮像目標選択方法。
【請求項4】
前記差分と、予め保持する輝度の閾値とにより前記目標を抽出し、前記目標の撮像方向と、測距方向とをそれぞれ目標抽出方向に指向させることを特徴とする請求項3記載のレーザレーダ装置による撮像目標選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−83510(P2013−83510A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222831(P2011−222831)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】