説明

レーザー製造多孔性表面

【課題】多孔性の組織内殖構造および軸受支持構造を有するインプラントを形成する方法を提供する。
【解決手段】基板上へ金属粉末の第一層を溶着させる工程と、所定の位置でこの金属粉末を焼結させるようにこの粉末上にレーザービームを走査させる工程と、この第一の層上に金属粉末の少なくとも1つの層を溶着させる工程と、このレーザービームの走査を繰り返す工程と、流動性ポリマーを配置する工程と、流動性ポリマーを冷却する工程とを包含している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受面に対して直接または間接的に結合された多孔性面を有するデバイス、およびこれを形成するための方法に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、多層方式で多孔性層を構築するために複数の粉末層を連続的に再溶融する、コンピューター支援レーザー装置または他の適切な高エネルギービームに関する。
【0003】
本発明はまた、直接的にまたは間接的にポリマーから好ましくは形成された軸受面を、連続的に構築された多孔性部分に結合または接続する方法を包含する。
【0004】
本出願は詳細には、軸受面を有する多孔性および部分的に多孔性の金属構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
自由造形の製作の分野では、コンピューター制御データベースに直接由来する物体の製作において、近年多くの重要な進歩が見られている。これらの進歩は、その多くがプロトタイプ部品および成形ダイのような物体のラピッドプロトタイピングの分野であり、金属のような物質のブロックが設計図に従って加工される、従来の機械加工プロセスとは特に対照的に、物体を製造するのに必要である時間および費用が大きく減少している。現代のラピッドプロトタイピング技術の一例は、3D System、Valencia、Californiaから入手可能なシステムによって行われる選択性レーザー焼結プロセスである。この技術によれば、物体は、ある時点で1層に分散されるレーザー可溶性の粉末から、層状の形式で生成されている。この粉末は、レーザー走査方式で、その物体の断面に相当する粉末層の部分に方向付けられるレーザーエネルギーの適用によって、融合されるか、再融解されるか、または焼結されている。1つの特定の層上のこの粉末の融合後、粉末のさらなる層が分配され、このプロセスは、この物体が完成するまで、現在の層と前に重ねられた層との間で生じる融合とともに繰り返されることになる。
【0006】
一部のラピットプロトタイピングの分野は、近年では、金属部分を含む多くの有用な物体の設計および試行的製造における使用のための高ひずみ、高密度部分を広幅化するのに大きな改善を行っている。これらの進歩によって、選択的なレーザー再溶融および焼結プロセスを、ツールの寿命が10,000回の成形サイクルを超えると期待される、射出成形のためのプロトタイピングツーリングを製造するのにも用いることが今や可能になっている。この技術はまた、結合剤なしの金属粉末からの成形のような、物体の直接製造に適用されている。このような直接製造の報告によれば、用いられる金属粉末の例としては、銅−すず、銅−ハンダ(このハンダは70%が鉛で30%がスズである)、および青銅−ニッケル系の2相金属粉末が挙げられる。これらの方法で形成される金属物体は、相当高密度であって、例えば、最大密度(浸潤の前)の70%〜80%までの密度を有している。この技術の先行出願は、融解または焼結のプロセスによって形成された金属構造の密度を増大するように努めていた。一部をラピッドプロトタイピングする分野は、金属部分を含む、多くの有用な物体の製造における使用および設計のために、高強度、高密度の部分を提供することに集中していた。
【0007】
ラピッドプロトタイピングの分野では、このような三次元構造の密度の増大に集中してきたが、この分野は、三次元構造の密度を減少させることにその注意を集中させてはこなかった。結果として、多孔性および部分的に多孔性の金属構造、並びにさらに詳細には内部連絡された空隙率(多孔性)を有する金属の多孔性構造が使用に有利である適用は、概して無視されている。
【0008】
さらに、多くの構造が、特に医療分野においては、各々がそれら自体の目的に適した2つの異なる表面を必要としている。この方向に沿って、ある構造では、組織内殖のために多孔性であることが必要な第一の表面と、軸受面であるように適合されなければならない第二の表面とを有していてもよい。さらに、この第一の表面または部分は、種々の勾配の空隙率を有する種々の層を含んでいてもよい。例えば、この第一の表面は、約80%の空隙率を有する外部領域を含みてもよい。この第一の表面に対して正常に動く場合、この空隙率は、空隙率が好ましい実施形態において増大されるように変更され、この空隙率は、空隙率がほとんどゼロであるまで減少さえしている。当然ながら、本発明は、このデバイスの要件に依存して空隙率が位置の間で変化する状況を想定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
種々の技術は、このような方法および装置を提供するように試みてきたが、この分野ではそれより優れた技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態では、本発明は、多孔性組織内殖構造および軸受支持構造を有するインプラントを形成する方法に関する。本方法は、ある構造へ金属粉末の第一層を溶着させる工程を包含している。次に、レーザービームは粉末上に走査して、所定の位置で金属粉末を焼結させる。第一の表面および第二の表面を有する所定の構造が構築されるまで各々の連続する層についてレーザー走査工程を繰り返しながら、金属粉末の少なくとも1つの層を、この第一の層に溶着させてもよい。流動性ポリマーは、この所定の構造の第二の表面と接触して配置される。このポリマーを冷却し、結果としてこの構造の第二の表面にこの流動性ポリマーを結合させる。このレーザー走査工程は、金属粉末上にレーザービームを走査して金属粉末内に、一部の複数の所定の単位セルを形成する工程を包含している。
【0011】
本方法は、ダイの空洞へ所定の構造を配置する工程と、ダイの空洞内の所定の構造の第二の表面上にポリマーを溶着させる工程とを包含している。この所定の構造の第二の表面と接触して流動性ポリマーを配置する工程は、このダイの空洞におけるポリマーに対して圧力および熱を加える工程を包含している。流動性ポリマーを所定の構造の第二の表面と接触して配置する工程は、第二の表面上に流動性ポリマーを移す工程を包含している。この流動性ポリマーを所定の構造の第二の表面と接触して配置する工程は、この所定の構造の第二の表面をポリマー構造に隣接して配置する工程と、このポリマー構造に対して熱を加える工程と、このポリマー構造を所定の構造に係合させる工程とを包含している。この所定の構造は、外層と、中間層と、内層とを備えていてもよく、外層および内層は、比較的多孔性であって、中間層は比較的高密度であって、その結果、この流動性ポリマーは、中間層を通じてこの内層からこの外層に実質的に浸食できないことになる。この外層は約60%〜80%の空隙率(多孔性)を有し、かつこの内層は約80%より高い空隙率を有している。この外層は、80μm〜800μmの範囲の細孔サイズ分布を有し、かつこの内層は、約800μmよりも高い細孔サイズ分布を有している。
【0012】
この所定の構造は、傾斜した空隙率を有している。この勾配空隙率の所定の構造は、実質的に多孔性である第一の層と、実質的に非多孔性である第二の層と、実質的に多孔性である第三の層とを備え、その結果、上記流動性ポリマーは、当該流動性液体ポリマーが第三の層と接触されて配置される場合、第二の層を通じて第三の層から第一の層に実質的に浸食できないことになる。
【0013】
本発明はまた、医療用インプラントであって、骨内殖構造、中間構造、および軸受支持構造を有する金属挿入物であって、この骨内殖構造が骨内殖を促進するのに十分な空隙率(多孔性)を有する金属挿入物を備える医療用インプラントを包含している。このインプラントはまた、ポリマー物質から形成される軸受面であって、この軸受面が、軸受支持構造に装着されている軸受面を備えている。この中間構造は、ポリマー物質が軸受支持構造を通ってこの骨内殖構造へ移動することを阻止するのに十分な空隙率を有している。この中間構造は、全体的構造に対して特徴的な特定の堅さを容易にすべく、そして/または2つの障壁層および架橋セクションを備えるように設計されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、多孔性または部分的に多孔性の金属構造であって、それに直接または間接的に付着された軸受面を有する金属構造を形成する方法に関する。この構造は、医療用インプラントおよび補綴物のための軟部組織連結構造の分野における使用に特に適切であるが、排他的ではない。
【0015】
本方法は、種々の走査ストラテジーを使用することによって、レーザー技術または任意の他の高エネルギービームを利用している。
【0016】
使用される代表的な金属および金属合金としては、その全てが医療デバイス適用に用いられているステンレス鋼、コバルト・クロム合金、チタンおよびその合金、タンタルおよびニオブが挙げられる。本発明は、このような医療デバイス適用のために用いられ、ここでは構成要素との骨および/または軟部組織の連結構造が必要であるか、または制御される構造は、デバイスの機械的特性を周囲の組織とさらに緊密に適合することが必要である。
【0017】
さらに、本発明は、磨耗に耐性である軸受面を備えたままで、ヒト組織との多孔性構造の生体適合性を強化するために利用されている。これらの利点を考慮すれば、特定の患者に適応するために必要な特定の寸法を用いて、ある構造を作成してもよい。
【0018】
多孔性および部分的に多孔性の金属構造は、表面に結合されても組み込まれてもよく、これは以下に記載されるとおり、軸受面として用いられている。多孔性構造を有するインプラントを軸受面に隣接して相互接続するかまたは有することによって、整形外科用インプラントは、骨および軟部組織連結構造を、このインプラントがさらなる軸受面に対して回転、連接または旋回することを可能にする軸受面と組み合わせさせるための構造を提供している。
【0019】
図1Aおよび図1Bに示されるように、身体への移植のためのデバイスは、寛骨臼カップ10の形態であってもよい。この寛骨臼カップ10は好ましくは、軸受支持構造12と、骨内殖構造14と、中間構造16から構成される金属挿入物11を備えている。この寛骨臼カップ10は、人工股関節全置換術において用いられている。
【0020】
手術の間、股関節では、図2および図3に示されるように、寛骨臼(hip socket)20(acetabulum)およびボール18、すなわち大腿骨Fの頭部が取り除かれている。寛骨臼カップ10のような寛骨臼カップは、骨盤P内に配置されている。大腿骨ステムFSの第一の末端15は、大腿骨F内に配置されているが、「ボール(ball)」を備える第二の末端17は、寛骨臼カップ10の軸受支持構造12に隣接して配置されている。望ましくは、大腿骨ステムFSの第二の末端17は、寛骨臼カップ10に対して回転運動が可能となっている。
【0021】
骨内殖構造14、並びに軸受支持構造12および寛骨臼カップ10の中間構造16は、例えば、その開示が参照によって本明細書に援用される、「Laser−Produced Porous Surface」と題された2003年11月7日出願の米国特許出願第10/704,270号、および「Laser−Produced Porous Structure」と題された2004年12月30日出願の米国特許出願第11/027,421号に記載されるように、直接レーザー再溶融プロセスを用いて構築されてもよい。
【0022】
図1Aに示されるように、本発明の1つの好ましい実施形態では、骨内殖構造14は、約1.1mmの厚みであって、ほぼ70%〜80%の範囲の空隙率を有している。中間構造16は、ほぼ0.1mmの厚みであって、実質的に完全に高密度である。軸受支持構造12はほぼ0.8mmの厚みであって、以下に記載されるとおり、軸受面8を形成するためにポリマー層内で固定されるのに適している。以下に記載されるようなポリマーの取り込みによって、望ましくは、カップを再仕上げするために選択的であるとみなされる、4mm未満の厚みを有する寛骨臼カップが得られることになる。この測定値は単に例示であって、限定とみなされるべきではない。なぜならこの部分を構築する場合、種々の厚みが用いられてもよいからである。
【0023】
骨内殖構造14は、適当なソフトウェアを用いて単一の単位反復格子で当該構造の容積を占めることによって調製されてもよい。単一の単位セル110および対応する多孔性層は、図1Cおよび図1Dに示されている。用いられる単一格子110は、各々の隅に垂直な柱で800μmの長さを有する単位セル八面体構造である。互いにぴったり合う場合、これらの格子は、完全に内部連絡された多孔性および平均細孔サイズ100μm〜400μmである、約80%の空隙率を有する多孔性構造を生じることになる。
【0024】
この中間構造16は、以下に記載されるように、骨内殖構造12に対する軸受支持構造12の結合を容易にし、ポリマー物質から骨内殖構造を隔てるように設計されている。
【0025】
軸受支持構造12は、図1Eおよび図1Fに示されるように、単一の反復単位セル112で当該構造の容積を占めることによって設計されてもよい。これによって、1.25mm〜2mmの直径の細孔サイズを有する完全に内部連絡された多孔性を有する90%〜95%の空隙率である構造が得られる。当然ながら、この単位セル112の寸法は変更されてもよく、さらに種々の単位セルが使用されてもよく、これにより、この構造の空隙率(多孔性)は、所望に応じて特注されることになる。
【0026】
各々の構造の空隙率(多孔性)は変更されてもよいが、好ましい実施形態では、各々の構造の空隙率(多孔性)はその構造の機能に依存している。従って、骨内殖構造14で得られる空隙率(多孔性)は、骨内殖を促進する範囲内でなければならない。軸受支持構造12の空隙率(多孔性)は、以下に記載されるとおり、ポリマー物質または他の物質がこの構造に結合することを容易に行える範囲でなければならない。そして中間層の空隙率(多孔性)は、以下に記載されるとおり、ポリマー物質が軸受支持構造12から骨内殖構造14に浸食する能力を阻止するかまたは少なくとも減じる範囲でなければならない。
【0027】
骨内殖構造14、中実中間構造16および軸受支持構造12を記載するファイルは全て、MCPリアライザー、FUSCOの操作ソフトウェアにロードされてもよい。次いで、この3つの構造は、1部として再組み立てされて製造される。製造された部分の模式図および最終製品の写真は図1Gに示されている。
【0028】
1つの特定の実施形態では、寛骨臼カップは、3mmの総厚を有し、また46mmという内径を有している。
【0029】
レーザー溶融による多孔性三次元構造形成の1方法によれば、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金、タンタルまたはニオブの粉末をある基板上に溶着している。このレーザー溶融プロセスは、粉末上にかつ平行にしてビームを重複しながら走査線にレーザービームを走査する工程、例えば、一例としては、スキャン・スペーシング(scan spacing)、続いて類似のさらなる走査、または90度での引き続く走査を包含している。選択された走査のタイプは、最初の層厚みおよび必要なクモの巣状構造(web)の高さに依存している。このクモの巣状構造の高さとは、金属構造11の単一段階の高さをいう。このクモの巣状構造の高さは、ある構造の粉末のさらなる層を溶着させること、および前の走査の同じ角度でレーザーを走査することによって増大されている。また、さらなる走査線は、規則的であってもランダムであってもよい所定の多孔性の形成を有する構造を形成するためには、第一の走査に対して任意の角度であってもよい。この走査されたデバイスは、所定のレベルの多孔性を有するが不規則な多孔性構造を生成するためには、ランダム生成方式で処理されるようにプログラムされてもよい。さらに、この走査は、同様の構造を生成するために、図1Aおよび図1Bに示される、寛骨臼カップ10のような種々の構造のデジタル画像を用いてプログラムされてもよい。この走査はまた、特定の患者に対して特別注文されてもよい。このプロセスでは、例えば、CTスキャンは、人の臼蓋窩をとって、コンピュータープログラムに入力される。得られたファイルは、当業者に公知であり、本明細書に記載される方法によって、スライスしても、デジタル処理してもまたは操作してもよい。これらのファイルおよび仕立てられた測定値に基づいて、特注生産されたインプラントは、特定の個人用に製造されている。
【0030】
寛骨臼カップ10の骨内殖構造14のような骨内殖構造を生成するためには、粉末ビーズのレーザー溶融の結果として形成される物質の性質は原則的に、関与する熱的プロフィール(加熱速度、浸漬時間、冷却速度);原料の状態(粉末粒子のサイズおよびサイズ分布);大気条件(還元、不活性なまたは酸化チャンバガス);および溶着された層の厚みの正確な制御、に依存している。
【0031】
補綴物上での骨内殖の最大化のための最も適した多孔性構造は一般に、約60%〜80%であることが見出されている。好ましい細孔構造は、不規則でかつ内部連絡されており、ここで最小細孔サイズは約80μm〜100μmで、最大細孔サイズは80μm〜800μmである。
【0032】
寛骨臼カップ10の骨内殖構造14、軸受支持構造12および中間構造16は、図4または図5に示される装置を用いて構築されている。図4の装置は、1秒あたり500mmの最大走査速度を提供するためにRSG 1014アナログ金属煙霧熱−走査(galvo−scanning)ヘッド32に組み込まれた、Nd;YAG工業用レーザー30を備えていてもよい。レーザービーム34は、粉末送達および部分構築を有する2つのコンピューター制御プラットフォームからなる、大気制御(atmospherically−controlled)チャンバ36に直接向けられている。この粉末は、可変容量チャンバ38からチャンバ36に送達され、ローラー40によって、可変容量構築チャンバ44の上の構築プラットフォーム42に移動されるようになっている。
【0033】
図4に示されるような一実施形態では、この構築および送達のシステムのパラメーターは、あらゆる構築層ごとに、溶着されるべき粉末の均一な100μmのコーティングのために最適化されている。インプラントの製造のためには、表面物質として選択される金属は全て、酸素についてのそれらの親和性に起因して処理することが困難である。チタンおよび他の合金は、酸素を含む大気中でレーザーによって処理された場合、容易に酸化され、それらの酸化物は、高い融点および劣った流動性を有している。この理由により、他の所望されない層の形成を妨げるため、本方法は、チャンバ36においてアルゴン不活性雰囲気下で行われ得る。圧力は、適用全体の間、大気圧でまたは大気圧以下のままであってもよい。多孔性構造を形成する別の例では、コバルト・クロム合金は、クーポン(coupon)と呼ばれる四角い構造に構成されてもよい。図6に示されるとおり、コバルト・クロムのクーポンの配列は、ステンレス鋼基板上に構築されている。クーポンは、試験被験体として構築された。コバルト・クロム合金は、22μm未満90、すなわち粒子のうち90%が22μm未満という粒子サイズ分布を有し、その組成は下記の表に示されている。
【表1】

【0034】
9つのサンプルクーポンの整列は、表2のプロセスを用いて、図6に示すように行われ、ここでは、78ワット(W)という最大レーザー出力、および100〜260mms-1の間で変化する各々のクーポンについてのレーザー走査速度を用いている。当然ながら、より高いレーザー出力を使用してもよい;しかし、よりレーザー出力が高いほどまた、粉末層の所望の溶融を生じるためにレーザー走査速度の速度を増大する必要がある。クーポンの各々に対して、単純な直線のX方向走査を用いた。これによって、処理のパラメーターであるビーム重複を用いて、連続する走査線の間の間隔を制御することが可能になった。すなわち、100μmのレーザースポットサイズでは、−200%の重複で走査の間に100μmのギャップを生じる。ビーム重複のための受容可能な範囲は+50%〜−1200%であるが、負の値のみが、連続する走査の間のビーム重複に対抗してギャップが存在するという事実を指すことに十分に注目すべきである。例えば、ビーム重複がゼロということは、粉末の同じ層上の連続する走査がお互いに隣接するという事実を指している。正のビーム重複は、さらに多孔性の構造を生じる、さらに負であるビーム重複と対照的に、さらに中実な構成要素を生じさせている。ビーム重複が小さいほど、得られる構造はより中実になる。さらに、接続構造または軸受支持構造12を作成するために、中間構造16と比較して、より大きいビーム重複が用いられている。ビーム重複が5%であるならば、第一の走査の5%が第二の走査によって重複されることになる。アンドリュー数(Andrew number)を算出する場合、ビーム重複の絶対値が用いられる。用いられる処理パラメーターの完全なセットは下記の表2に示している。
【表2】

【0035】
走査速度および速度範囲のサイズにおける漸進的変化は、実験の進行とともに改変した。まず第一に、大きい範囲の速度を用いて、物質の能力および溶融する性向の最初の目安を得た。実験が進むにつれて、この範囲はこのプロセスのウインドウをさらに緊密に規定するように減少させた。速度およびビーム重複の変動を用いて、粉体層に加えられている特定のエネルギー密度を改変し、最終構造の特徴を変化させている。パラメーターの完全なシリーズを図7に示しており、確定的なサンプルについて用いられるパラメーターセットは、グレーで陰を付けている。
【0036】
三次元の金属多孔性構造を形成するために変化された重要なレーザーのパラメーターは:(a)レーザーが粉体層を横切る速度を制御するレーザー走査速度(v.)(mms-1);(b)レーザー出力、P(W)、これはレーザースポットサイズと組み合わせてレーザービームの強度を制御するものである。このスポットサイズは、実験を通じて一定に保たれる;(c)周波数(Hz)またはパルス繰り返し数、である。この変数は、1秒あたりのレーザーパルス数を制御するものである。周波数が低いほど、より高いピーク出力を送達し、その逆も真である。
【0037】
線の幅は、「アンドリュー数(Andrew Number)」として公知の比密度の測定値が得られるようなレーザー走査速度およびレーザー出力に関連し、ここで:
An=P/b×v(J/mm-2
であり、ここでPは、レーザーの出力を意味し、vはレーザー走査速度であり、そしてbは、レーザーのビーム幅を意味している。アンドリュー数は本発明の算出のための基礎である。このアンドリュー数はまた、線間隔(d)をビーム幅(b)の代用にすることによって算出されてもよい。アンドリュー数を算出するこの2つの方法によって、結果として異なる値が得られている。線間隔(d)を因数として用いる場合、融合出力の飛跡は1つだけとみなされるが、ビーム幅(b)を因数として用いる場合、1つの飛跡の次への相対的な影響と同様に、融合出力の飛跡は2つとみなされる。この理由のせいで、本発明者らは、計算の因数としてスキャン・スペーシングを用いてアンドリュー数に関心を持つことを選択した。従って、これらの飛跡が狭いほど、一緒になって、それらがお互いに有する影響は大きくなるということが理解されるだろう。
【0038】
さらに、レーザー出力は、5W〜1000Wで変化している。小さくかつ複雑な部分にはより低い出力を使用することが必要になり得るが、本明細書に記載されるこのようなコーティングおよび構造には経済的に非効率的となる。レーザー出力の上限は、現在のレーザー技術の利用可能性のせいで制限されることに注目しなければならない。しかし、1000Wを超える出力を有するレーザーが生じた場合、レーザーの走査速度は、受容可能なアンドリュー数が達成されるように増大されることになる。5μm〜500μmの範囲を有するスポットサイズも可能である。受容可能なアンドリュー数を維持したままでスポットサイズを増大するには、レーザー出力は、増大されなければならず、または走査速度は低下されなければならない。
【0039】
上記の式によって、粉末層によって吸収されるエネルギーの量を物理的パラメーターがどのように変化できるかの指標が得られる。すなわち、溶融出力が、限定的な粘着力、例えば、不十分な溶融を有する場合、このパラメーターは、当該粉末へのエネルギー供給を集中するように変化され得る。高いアンドリュー数は、溶融容積および流量の増大の効果に起因して、細孔被覆の減少および細孔サイズの増大を生じることになる。低いアンドリュー数は、低い溶融容積、高い細孔密度および小さい細孔を生じることになる。現在の満足なアンドリュー数は、約0.3J/mm-2〜8J/mm-2であり、そして多くの別のレーザー源に適用可能である。走査速度の増大を伴うより高い出力のレーザーを用いること、および上記で言及された動作範囲内でアンドリュー数を得ることが可能である。
【0040】
ライン・スペーシング(line spacing)またはビーム重複はまた、連続する走査線の間のギャップを可能にするように変化されてもよい。従って、選択された領域を加熱することが可能である。このギャップによって、より小さいかまたはより大きい細孔サイズを得ることが可能になる。この最高の図示は図8A〜図8Cに示されており、ここでは、−500%のビーム重複が適用されている。図8A〜図8Cは、82W cwのレーザー出力で生じたステンレス鋼に対するCoCrの表面構造の走査電子顕微鏡画像である。図8Aは、105mms-1のレーザー走査速度で生成され、図8Bは、135mms-1のレーザー走査速度で生成されたものである。図8Cは、断面であって、図8Bにおける同じ構造の画像である。全体的構造内に有意な自己規則化がある。より大型の円柱状構造が選択的に構築され、非溶融粉末の大きい領域が残っている。図8Cに示されるとおり、これらの支柱(pillar)は、約300μmの幅、1.6mmを超える高さであり、基板とよく融合することは注目すべきである。さらなる分析によって、斜行操作方式の使用で、細孔サイズがビーム重複によって直接制御されることを可能にするために、多孔性がさらに十分可能になることが示される。
【0041】
このおよその多孔性を決定するための光学的検査方法の使用は、サンプルサイズを得るのに適切である。本方法は、フィルター選択プロセスのせいで正確ではないが、注意深く用いれば、多孔性の指標を与えることができる。この多孔性レベルは、骨内殖構造の所望の多孔性の範囲内に収まっている。多孔性構造の機械的な特徴は、多孔性および内部連絡するクモの巣状構造の程度によって決定されるものである。これらの変数のバランスは、意図される適用によって必要な機械的特性を達成するのに必要である。
【0042】
融合の増大は、必要に応じて、基板、粉末またはその両方を走査の前に加熱することによって達成され得る。このような熱源は通常、この操作を可能にするために、標準的な選択性レーザー焼結/溶融/再溶融機械に含まれる。
【0043】
上記のとおり、このプロセスは、約100μmの厚みの連続する層において容易な粉末送達を提供する平坦なベースプレート上で行われる。粉末層の厚みの制御は、一貫した表面特性が必要である場合、極めて重要である。この技術の適用はまた、寛骨臼カップ10のような現代の人工補綴物において見出される、湾曲した表面のような湾曲面にも適用可能であり、ここでは粉末層技術が洗練されている。
【0044】
この構造は、超音波洗浄および水性洗浄を受けてもよい。厳密な検査では、直接レーザー再溶融(Direct Laser Remelting)プロセスによって得られた多孔性表面は、この構造を通じて散乱される小さい微粒子を示している。これらの粒子が表面に結合されるか、またはゆるく付着されるかはこの段階では不明確であるが、必要に応じて、例えば、酸エッチング、熱処理、2つの組み合わせなどによって、この粒子を取り除くかまたは強固にする手段がある。
【0045】
直接レーザー再溶融プロセスは、骨内殖適用のために適切である多孔性構造を生成する能力を有している。この粉末化表面は、極めて微細な樹状構造を生成する急速冷却速度で、かなり温熱的なサイクリングカルミネーティング(cycling culminating)を受けている。
【0046】
直接レーザー再溶融プロセスは、有効な骨内殖面を生成し、製造コストは合理的である。
【0047】
先の実施例では、その目的が基部上に多孔性を有する金属挿入物を提供することであったが、本発明はまた、このような基部に非多孔性の構造を提供して、三次元構造を形成するために用いられている。関係している物質に同じ技術を利用してもよいが、レーザー処理パラメーターは、実質的に中実な非多孔性構造が達成されるように適切に選択されている。
【0048】
ここでも、上記されるように多孔性であってもよいし、または必要に応じて非多孔性であってもよい三次元構造が達成されるように、ある技術を用いて、適切な担体、例えば、型上に粉末を溶着させても、そして基部の使用なしにこのプロセスを行ってもよい。
【0049】
従って、本方法は、金属から物体を生成するために用いられ、これは所望の形状に作成され得、そして引き続く加工を必要としてもしなくてもよいと言えることが理解されるだろう。さらにここでも、このような物体は、外面層に対して例えば非多孔性から種々の程度の多孔性という勾配のある多孔性を有するように生成されてもよい。このような物体は、この製造方法が有利である外科的な人工補綴物、部分、または任意の他の物体であってもよい。
【0050】
この多孔性構造は、基板上に粉末をランダムに溶着させる工程、および層を重ねることを繰り返しながらこの粉末を選択的にレーザー溶融する工程に関して考察されているが、対照的に、各々の層または層の部分は、複数の所定の単位セルの一部を作成するように走査されてもよい。粉末の連続的な層は、前の層上に溶着され、このような層の走査および溶着は、所定の単位セルの構築プロセスを継続している。所定の単位セルを構築する場合、この好ましい実施形態は、溶着された粉末層上で「スポット(spots)」を形成するパルス高エネルギービームの使用を包含している。少なくともいくつかの「スポット」は、所定の単位セルの一部を構成する支柱または支柱の一部を生成するために連結されている。このスポットは、ランダムに、連続的な方式でまたは2つの組み合わせで作成されてもよい。単位セルのいくつかの可能な幾何的形状の例は、図9A〜図9Dに示されている。本明細書において開示されるように、構築プロセスを継続することとは、前の層から単位セルの連続だけでなく、新しい単位セルの開始、そして単位セルの終了も指している。
【0051】
本発明は、この構造の引き続く熱処理の要件を排除し、これによってコアまたは基部の金属の最初の機械的特性を保存する、レーザー熱溶融プロセスを包含している。このようなデバイスの製造のために用いられる装備は、多くの現在利用可能なものであってもよく、これにはMCP Realiszer、EOS M270、Trumpf Trumaform 250、Arcam EBM S12などが挙げられる。レーザーはまた、特注生産された実験室用デバイスであってもよい。
【0052】
図5に示されるとおり、所定の単位セルからなる構造を構成するための1装置は、アルゴンまたは窒素のような不活性ガスを充填されたチャンバ50を備えていてもよい。不活性ガスを用いることによって、金属粉末52の酸化を回避できる。金属挿入物11のような三次元モデルは、ベースプレート51上に構築されてもよい。このモデルは、層ごとの方式で構築されるようになっている。
【0053】
金属粉末の連続的な層は、前の層上に溶着され、レーザーヘッド53は、粉末の位置にエネルギービーム54を投射し、それによってスポットまたは所定の単位セルの支柱の一部を形成している。このレーザーは、粉末層を走査して、コンピュータープログラムに含まれるモデルのスライスデータに基づいてエネルギービームを投射するようになっている。
【0054】
ある層が完成された後、金属粉末の連続する層は、粉末フィーダー55の使用によって前の層の上に溶着されることになる。この粉末フィーダー55は、金属粉末のさらなる層の溶着の前に下降させられるピストン56と連動して作動するようになっている。ピストン56は望ましくは、金属構造が構築される基板の下に配置されている。各々の層が処理されるにつれて、ピストン56は、下降させられてもよく、金属粉末のさらなる層が前の層の上に溶着されることになる。この方式では、未処理の粉末の各々の層は、レーザーヘッド53から同じ距離に位置している。このレーザービームは、金属粉末の層の所望の位置がエネルギービーム54によって係合されるように、X、Y座標系に沿って方向付けられている。レーザービームの先導は、用いられる製造システムに依存している。例えば、E−ビームシステムを採用して、E−ビームの動きを磁場の展開によって制御するようになっている。レーザービーム装置を使用する場合、レーザービームの動きまたは誘導は、検流計によって制御されている。
【0055】
細孔密度、細孔サイズおよび細孔サイズ分布は、この構造上のある位置から別の位置へ制御される。連続的な粉末層は、レーザー走査粉末層に用いられる種々の要因によって空隙率が異なり得ることに注目することが重要である。さらに、粉末の連続する層の空隙率は、特定のタイプの所定の単位セルを作製すること、または所定の予め決定された単位セルの種々の寸法を操作することによって変化させられている。
【0056】
その開示が参照として本明細書に援用される米国特許出願第11/027,421号に記載されているように、このような単位セルデザインは、四面体60(図9A)、十二面体62(図9B)、八面体64(図9C)、ダイアモンド、および多くの他の種々の形状であってもよい。さらに、種々の支柱を単位セルから取り除いて、図9Dに示される支柱のようなさらなる構造を作成してもよい。上記で考察された規則的な幾何形状に加えて、本発明の単位セルは、種々の側面および寸法が不規則な形状を有するように構成され、この種々の側面および寸法は、反復配列があっても小さい。単位セルは、例えば、骨梁の支柱を厳密に模倣する構築物を構築するように構成されてもよい。単位セルは、空間充填であってもよく、三次元物体内の全ての空間は、セルで充填されるかまたは内部連絡され、ここでセル間にはある程度の空間が存在してもよいが、セルはそれらの末端で一緒に接続されている。この単位セルはまた、格子の形態で構築されてもよい。さらに、隣接する格子は、お互いから単離されてもよく、または単に部分的に付着されてもよい。
【0057】
このセルは、多数の方法で構築物内に割り当てられている。最初に、それらは、コンピューター支援設計(computer added design)(「CAD」)システム内でブロックにされるが、ここでは寸法が、中実形状の程度に対応している。次いで、このブロックは、この形状の多孔性の格子状表示を生成する成分を呈示する形状と交差される。第二に、このセルは、ある物体の上に垂れるように変形されてもよく、これによってこの形状の表面をセルが覆うことになる。第三に、このセルは、任意の選択された表面の輪郭に沿ってこの形状全体を占めてもよい。
【0058】
この単位セルは、所望の効果を生じるようにこの構築物の表面で開放されても、または完了されてもよい。例えば、切頂格子支柱を有する開放セルは、多孔性を有する表面を生じ、ある程度のバーブ(barb)を有する表面を与えるが、閉鎖されたセルは、表面の粗さを増大するように「尖頂がある、ピーキー(peaky)」でもよい。
【0059】
格子支柱の寸法を改変することによって、単位セルの機械的強度を制御することが可能である。この改変は、多数の重要な領域であり得る。この格子支柱は、構築パラメーターの注意深い選択によって、または詳細には、各々の支柱の断面のデザインの変更によって調節されている。この格子の密度は、多孔性の程度および形状またはその組み合わせが可能であるように、単位セルの密度の改変によって同様に調節される。明らかに、単位セルの全体的設計はまた、この格子の構造的な能力に重大な影響を有することになる。例えば、十二面体の単位セルは、四面体(ダイアモンド)構造に比較した場合、異なる機械的能力を有している。
【0060】
図9Aに示されるとおり、四面体60では、各々のポイント70,72,74および76は、隣接するポイントから同じ距離である。この構造は、ダイアモンド中の炭素原子の配列と類似である。
【0061】
このダイアモンド構造中の各々の炭素原子は、4つの最近棒原子によって囲まれている。それらは、1.5445Åという距離でお互いと隔たる結合によって一緒に接続されている。これらの結合の間の角度は、109.5°である。結果として、中央の原子およびその近傍の原子は、四面体を形成することになる。また、この形状は、本明細書に考察される場合、必要な細孔構造について適切な値に基準化されている。
【0062】
高さ、表面積、空間高さ、四面体の容積および四面体の二面角に対する関係を規定するために用いられる2つの重要なパラメーターは、四面体のストランド長さ、すなわち、このストランド、すなわち支柱の直径または高さおよび幅、断面積である。これらの2つのパラメーターは、構造の細孔サイズおよび空隙率(多孔性)を制御するものである。代表的なCADシステム内のパラメーター・エディターおよび関連エディターは、これらのパラメーターを制御するために用いられている。従って、このパラメーターを変更することによって、当業者は、多孔性構造の基本的な特性を変化させることが可能である。図9Aに示されるとおり、ダイアモンド構造は、環状の断面のストランドまたは四角い断面のストランドを有している。本明細書では2つのストランドの断面しか考察していないが、種々の断面を有するストランドが可能である。さらに、単位セルについてほとんどのデザインでこれは真実である。
【0063】
図10に示されるようなメッシュを作成するには、単位セルは、必要な格子を生成するために3−D空間を横切って実証される。図11は、レーザービーム補償の有無においてダイアモンド格子構造の図を示している。レーザービーム補償によって本質的にビームの直径を考慮することが可能になる。これなしでは、構築された形状は、増殖されている特定のセクションの輪郭の外のビーム飛跡として広すぎる1ビーム直径である。レーザービーム補償が利用される場合、この輪郭は、CADファイルに示される、構築された形状の周囲全てで半分のビーム直径が相殺されることになる。種々のパラメーターが用いられるが、図11の格子を作成するために採用されたパラメーターとしては、90μmのポイント距離から1,000μsecの曝露時間を用いる90.5ワットというレーザー出力が挙げられる。表3は、種々の単位セルを作製するために用いられるパラメーターの種々の他の例を示している。
【表3】

【0064】
図9Bおよび図12に示されるように、多孔性構造はまた、十二面体の形状で単位セルを用いて作成されている。規則的な十二面体は、20の多面体(polyhydron)頂点、30の多面体端部、および12の五角形面から構成されるプラトンの立体である。この多面体は、5つの規則的な多面体の系列の1つであり、すなわち、それらは各々が、等辺的にかつ等角度的に、3次元空間の規則的な分割を示している。十面体メッシュのための、この基本的な単位セルは、以下の計算および手順を用いてCADパッケージで構築されている。この十面体は、12の規則的な五角形の面、20個の頂点および30個の端部を有している。これらの面は、各々の頂点で出会っている。十面体の側面の長さの計算は、単純な三角法計算によって得られ、そして当業者には公知である。
【0065】
使用の方法においては、掃引特徴を最初に用いて、軌道曲線に沿って輪郭を引くことにより十二面体構造をかたどる。この軌道曲線は、基準曲線によって接続された十二面体の頂点に対応する基準ポイントから構築される。プロフィールのタイプは、掃引に沿って一定なままであって、図9Bに示されるモデルが得られる。このプロフィールのサイズおよび形状は、特定の適用および必要な支柱直径に適合するように設計されている。一旦特定の単位セルが設計されれば、このセルは、図12に示されるように規則的な格子を生成することが実証され得る。十二面体が空間充填されない場合、メッシュは単位セルの単純なオフセットおよびこの支柱のいくつかを重複させることによって生成される。この重複方法は、別の形状の単位セルとともに用いられる。
【0066】
図13は、十二面体(レーザービーム補償の有無で、左から右に)構造の図を、選択的なレーザー溶融プロセスパラメーターを用いて示している。ここでも、パラメーターは変化されてもよいが、図13の格子は、以下のパラメーターを用いて作成された;90.5ワットのレーザー出力、1,000μsec間の粉末の曝露、および90μmというポイント距離となっている。
【0067】
図9Cおよび図14に示されるとおり、本発明の単位セルはまた、切頂八面体の形状で構築されてもよい。切頂八面体は、8つの規則的な六角形面、6つの規則的な四角形面、24の頂点および36の端部を有している。四角および2つの六角形は、各々の頂点で出会っている。八面体が切頂される場合、これによって頂点を置き換える四角面が作成され、三角形の面は六角形の面に変化されることになる。この立体は、6つの四角面および8つの六角形の面を含んでいる。この四角面は、頂点を置き換えて、これによってこれが六角形の面の形成をもたらしている。これらの切頂は、規則的な多面体ではないが、四角に基づく四角柱であることがここでは注目されなければならない。アルキメデスの立体の全ての端部は、同じ長さを有している。なぜなら、この特徴は規則的な多角形であり、規則的な多角形の端部は同じ長さを有するからである。隣の多角形は同じ端部長さを有さなければならず、従ってまた隣も同様である。前の単位セルと同じく、種々の寸法、例えば、八面体高さ、八面体容積、八面体表面積、八面体の二面の角度および、切頂八面体容積、切頂八面体高さ、切頂八面体面積、切頂八面体容積、切頂八面体二面角度は、単純な三角法によって決定され、当業者によって公知である。
【0068】
使用の方法では、切頂八面体のCADモデルは、掃引特徴および計算を用いて構築され、そして寸法は基本的な三角法を用いて組み込まれる。単位セルを切り嵌め加工するには、容易な切り嵌め加工を可能にすべく、このモデルにおける水平支柱の数を減らすように、この単位セルを最初に再設定させる。さらにこのモデルは、図9Dに示されるような水平支柱の全てを除去するように改変されてもよい。この改変された構造は、光造形法(steriolithography)(「STL」)方式のプログラムにおいてファイルサイズを保存するために再生される。次には、単位セルを作製するために、レーザー溶融処理を用いる方法が行われる。1つの好ましい実施形態では、選択されるパラメーターは、90.5ワットというレーザー出力、90μmのポイント距離での1000μsecの曝露を含んでいる。図8Bは、複数の個々の切頂八面体を用いて形成された格子構造を示している。初期に考察されたとおり、種々の支柱の除去によって、格子構造の外部表面に対するバーブ効果が作成され得る。
【0069】
図15A〜図15Dに示されるとおり、単位セル形状のサイズを減少させることが可能である。これも示されるとおり、1ミリメートル未満の単位セルサイズを有する開放セル構造を製造することが可能である。図15Aは、レーザー溶融処理を用いて製造された切頂八面体構造を示している。全ての構造は、90.5Wというレーザー出力、および90μmというポント距離を用いて作成された;しかし、左から右に、曝露時間は500μsecから100μsecに変化した。図15は、図15Aで用いたのと同様の構造およびパラメーターを示しているが、格子を作製するために用いた単位セルはダイアモンドである。図9Cおよび図9Dは、それぞれ、図15Aの切頂八面体構造および図15Bのダイアモンド構造の側面を示している。表4は、種々の単位セル構造を構築するために用いた種々の製造パラメーターを含んでいる。
【表4】

疑似乱数の代表的な形状は、単位セルの頂点に対してランダムなX、Y、Z摂動を加えることによって、現在の規則的な単位セルから作成されている。このような例の1つは、図16に示されている。本発明の別の局面では、種々の支柱なしの構造が生成されている。
【0070】
当業者に公知の方法において、寛骨臼カップ10の骨内殖構造14、軸受支持構造12および/または中間構造16を生成するために、種々の他の方法も利用可能である。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、骨内殖構造14の平均細孔サイズは、従来の直線妨害(linear intercept)方法を用いて測定した場合、280μm〜480μmに収まる。二峰性の細孔サイズ分布は、例えば、250μm〜450μmの範囲内の小さい細孔、および600μm〜800μmの範囲内の大きい細孔として存在している。金属挿入物11、すなわち骨内殖構造14、軸受支持構造および中間構造14は、例えば、構造や機械的特性に関する方向性なしに、等方性のであってもよい。
【0072】
1つの好ましい実施形態では、内部連絡している細孔についての多孔性層14の平均細孔サイズは、少なくとも99%で250μmを超え、従って、細孔容積で180μmを超えるのは内部連絡された細孔の65%〜75%内である。
【0073】
多孔性層の一般的な厚みは一般に、1mm〜2mmの範囲内にあるが、そのような必要がある場合にはそれより大きくても小さくてもよい。
【0074】
多孔性構造14、軸受支持構造12および中間構造16は、本明細書に記載の任意のプロセスまたはプロセスの組み合わせを用いて同時に形成されている。
【0075】
一旦金属構造、例えば、骨内殖、軸受および中間の構造が形成されれば、ポリマー物質を、軸受支持構造12に接続して、さらなる要素の連接する表面に対して寛骨臼カップ10が耐えることを可能にする。ポリマー物質は、寛骨臼カップ10の軸受面8を構成している。
【0076】
軸受面8を作成するために用いられる物質に依存して、ポリマー物質は、圧縮成形、射出成形または熱成形によって、軸受支持構造12と統合されている。例えば、ポリウレタンのような溶液から特定のタイプの物質を成型することも可能である。
【0077】
軸受面8を形成するために用いられるポリマー物質が超高分子量のポリエチレン(「UHMWPE」)物質などである場合、金属挿入物、すなわち、骨内殖構造14、軸受支持構造12および中間構造16、ただし詳細には軸受構造12は、マッチドメタル・ダイ(matched metal die)を用いる圧縮成形処理によって軸受面8に結合されてもよい。金属挿入物11は、金属ダイの空洞部分に配置される。次いで、ポリマー粉末は、金属ダイの空洞に添加され得、望ましくは軸受支持体構造12に対して分散される。金属ダイの空洞は密閉されて、次いで金属ダイは必要な温度に加熱される。ポリマー粉末の温度が増大される場合、このポリマー粉末は、軟化されるか、または溶融されて流動性になる。ポリマー粉末への圧力の増大はまた、溶融プロセスを補助することになる。ポリマー粉末の融合および軸受支持構造12への付着は、熱および圧力の後天的な適用が達成される時に得られる。圧力下での引き続く冷却によって、ポリマー粉末の凝固が可能になり、これによって軸受支持構造12にしっかり固定される軸受面8が形成される。軸受面8の構築を完了するには最終的な加工作業が必要である。
【0078】
1つの好ましい実施形態では、金属挿入物11は、金属ダイの空洞内に結合された骨内殖構造14とともに金属ダイ中に配置され、その結果、このポリマー物質は、骨内殖構造と接触できない。中間構造16は好ましくは実質的に中実であるので、この中間構造は、ポリマー物質が軸受支持構造12に対して結合する場合にポリマー物質が骨内殖構造と接触する能力を阻止するかまたは少なくとも低下させて軸受面8を形成することになる。ポリマー金属で邪魔されない骨内殖構造の細孔を維持することによって、この骨内殖構造が骨内殖を促進する能力は変えられない。
【0079】
別の実施形態では、軸受面8を軸受支持構造12に融合するために、射出成形処理を行ってもよい。軸受面8を作成するために用いる物質がポリウレタンまたはチョップドファイバー強化ポリ(細断繊維強化ポリ)(chopped−fiber−reinforced poly)(ETHERETHERKETONE)(「CFRPEEK」)である場合、射出成形プロセスが好ましいかもしれない。圧縮成形プロセスと同様に、射出成形プロセスでは、金属挿入物11を射出成形機械の空洞に固定して型枠を閉じる。前の実施形態と同様に、骨内殖構造14は、用いられるポリウレタンまたはさらなるポリマーから離される。選択された物質、例えば、ポリウレタンまたはCFRPEEKは、射出成形機械のバレル(barrel)中で加熱される。一旦、選択された物質が射出成形型のバレル中で加熱されれば、このバレルから型枠の空洞および軸受支持構造12の表面上に加熱された選択された物質を押し付けるためには、選択された物質に圧力が加えられてもよい。冷却の際に、軸受面8を形成するために選択された物質が軸受支持構造12に融合され、この軸受面8の上で寛骨臼カップ10がさらなる構成要素、すなわち、大腿骨ステムFSに対して動かされる。冷却の際、完成した部分は、射出成形型から取り出されて、必要であれば加工されてもよい。この型の空洞は、軸受面8の特定の特徴、デザインおよび輪郭が形成され得るように構成されている。
【0080】
それよりさらに別の実施形態では、軸受面8は、熱形成プロセスを用いて形成されている。熱形成プロセスでは、UHMWPEのような物質を加工に適切な製造された棒材として供給する。寛骨臼カップ10の軸受面8のような意図される物体のほぼ正味の形状に相当するようにこの製造された棒材を加工することによって、輪郭を作成してもよい。一旦この物体が製造されれば、金属挿入物11および形状ポリマー機械部品の両方を型に入れて、必要な温度まで加熱する。熱および圧力の適用の際、軟化ポリマーを金属挿入物11、詳細には軸受支持構造12の中へ、かつ、それに対して押し付ける。冷却の際、凝固を行って、ポリマーを金属挿入物11、詳細には軸受支持構造12に対して固定する。この部分が一旦冷却されて、型から外されることが必要である場合、さらなる機械加工が必要であるかもしれない。
【0081】
前の実施形態と同様に、中間構造16およびさらなる構成要素と組み合わせて、骨内殖構造14は任意のポリマー物質から離されてもよく、その結果このポリマー物質は、この構造が骨内殖を促進する能力には影響を及ぼさない。
【0082】
それよりさらに別の実施形態では、軸受面8は、溶液流延法(溶媒キャスト法)を用いて構築される。溶液流延法では、ポリウレタン物質のような物質は、型の中での溶媒溶解溶液キャステイングによって形成される。
【0083】
上記のような方法に加えて、金属物質またはセラミック物質のようなさらなる物質から軸受面8を作製することも可能である。従って、金属物質から軸受面8を形成する場合、本明細書に、また米国特許出願第10/704,270号、および同第11/027,421号(上記)に記載される選択的なレーザー溶融プロセスが利用される。
【0084】
寛骨臼カップ10の形成のためのプロセスの例は本明細書に考察されているが、種々の方法が使用可能である。好ましい実施形態では、最終製品を構築するためには以下の表6に示されるようなソフトウェアおよび装置が使用されている。
【表5】

【0085】
このようなプロセスの第一の工程では、寛骨臼カップ構成要素のCADファイルを、図17に示されるように、単独の部分としてMagicsソフトウェアパッケージにロードする。次いで、このファイルは以下を有する3つの別の実体積に分けられる:1.1mmの厚みの外層−この層は、80%の多孔性骨内殖表面を作成するのに用いられる;0.1mmの厚みの中間層−この層は、骨内殖表面を支持する完全に高密度の層である;そして0.8mmの厚みの内層−これは、ポリマー射出成形のためのインターロック表面を作成するために用いられる。この3つの層は、完成した場合、寛骨臼カップ10の金属挿入物11から構成される。
【0086】
完成した寛骨臼カップ10は、図17に示されており、そして軸受面8と、中間構造16と骨内殖構造12とを備えている。骨内殖構造14は、骨へ固定するためのフィンまたは突出部13を備えていてもよい。
【0087】
本発明の別の実施形態では、寛骨臼カップは、2つの階段構造で構築されている。寛骨臼カップ110の断面である図18に示されるとおり、この2つの階段構造は、骨内殖構造114と軸受支持構造112とを有する金属挿入物111を備えている。軸受面108は、軸受支持構造112に取り付けられ、これはお互いに直接接続されている。しかし各々の構造は、それ自体の目的に適合され、すなわち、この骨内殖構造14は、骨内殖に適した空隙率(多孔性)を有し、軸受支持構造12は、ポリマー物質または本明細書に考察されるようなさらなる物質を固定するために適した空隙率(多孔性)を有している。
【0088】
この図は、2つの構造の間の境界を示しているが、2つの間の多孔性の相違を強調しており、実際の金属挿入物111は、勾配のある多孔性を有し、これは寛骨臼カップ110の中心を通過する軸119に沿って増大するか、減少するか、または2つのうちいくつかの組み合わせである。
【0089】
さらに別の実施形態では、図19に示されるとおり、寛骨臼カップ210は、金属挿入物211を含む複数の構造を有している。金属挿入物211は、骨内殖構造214と、中間構造216と、軸受支持構造212を備えていてもよい。中間構造216は、第一の障壁217と、第二の障壁218と、架橋構造219とを備えている。この第一の障壁217および第二の障壁218は、実質的に中実であるが、この2つの障壁の間に配置される架橋構造219は、特定の空隙率(多孔性)を有している。この特定の多孔性は詳細には、寛骨臼カップがそれに装着される骨に対して、全体的な構築物を通じて、機械的な負荷を与えるように設計され得る。一旦金属挿入物211が設計されれば、軸受面208は、本明細書に記載されるとおりそこに連結されることになる。
【0090】
本発明は、寛骨臼カップを構築することに対して考察されているが、種々の他の整形外科用のインプラント、ツール、装置および構造物も、同じプロセスを用いて構築されてもよい。例えば、膝蓋骨構成要素300は、図20および図21に示されるとおり、ベースプレート302と、軸受面304とを備えている。
【0091】
本明細書に考察される寛骨臼カップと同様に、一旦ベースプレート302が構築されれば、膝蓋骨軸受面304は、本明細書に考察されるプロセスを用いてベースプレート302に装着されてもよい。
【0092】
組み立ての方法では、膝蓋骨は、所望の深度まで後方側が削られ、その領域の周囲の軟骨のある程度が取り除かれる。膝蓋骨構成要素のベースプレート302は好ましくは、この膝蓋骨の残りの骨と係合する複数のペグ306を備えている。このペグ306は、本明細書で考察されるような骨内殖のために設計されている。膝蓋骨の後方に装着されたペグ306では、軸受面304は、この領域から取り除かれる軟骨の機能を置き換えて果たしている。
【0093】
それよりさらに別の実施形態では、図22および図23に示されるように、本発明は、軟骨プラグ400を構築するために用いられ得る。軟骨プラグ400は望ましくは、金属挿入物401を備え、これは骨内殖構造402と、中間構造403と、軸受支持構造404とを有している。金属挿入物401は、本明細書に考察される方法を用いて構築されている。一旦金属挿入物401が完成されれば、軸受面408は、本明細書に考察されるように、軸受支持構造404に装着されてもよい。
【0094】
図示の目的のために、軸受支持構造404は、2つの独立した格子406および407から構成されている。格子406および407は、お互いと独立しており、お互いと独立して構築されている。別の実施形態では、軸受支持構造404は、本明細書に考察された、金属挿入物11の軸受支持構造12と同様に構築されている。
【0095】
軟骨プラグ400は、例えば、脛骨プラトーの一部のみが置き換えされなければならない場合に使用されるようになっている。穴を脛骨プラトーに作成して欠損部分を除き、次いで軟骨プラグ400を充填する。軟骨プラグ400の骨内殖構造514を、骨の中に配置して、一方で軸受面408を外に向けて、この領域から除かれた任意の軟骨を置き換える。
【0096】
この図に示されないさらに別の実施形態では、あるインプラントの中間構造は、ダイ・カストまたは当業者に公知の任意の方法を用いて構築されてもよい。次いで、得られた中間構造を図4または図5に示される装置と同様の装置のベースプレート上においてもよい。一旦適所におけば、骨内殖構造および軸受支持構造が中間構造上に構築されることになる。
【0097】
前に考察したとおり、軸受面は、インプラントまたは金属挿入物に間接的に装着されてもよい。例えば、図24に示されるとおり、金属挿入物511は、寛骨臼カップ510の形状において金属挿入物11と同様に構築され、骨内殖構造514と、中間構造516と、軸受支持構造512とを備えている。骨セメント506は、当業者に公知の方法で、軸受支持構造512に沈着されて結合されてもよい。UHMWPEライナー509は、骨セメントに隣接して配置され、骨セメントが重合するにつれて、引き続きそこに、装着される。このライナー509は好ましくは、外側502と内側503とを備えている。このライナー509の外側502は好ましくは、複数の結合部位、例えば、放射状の溝、または図に示されるような、円周の溝504を備えている。ライナー509が骨セメントに対して押し付けられるにつれて、この骨セメントはこの溝と係合する。骨セメント506が重合化するにつれて、ライナー509は、骨セメントに対して機械的にインターロックされる。
【0098】
ライナー509の内側503は、完成した寛骨臼カップ510の軸受面として作用するのに適切である。好ましくは、この金属挿入物511およびライナー509は、予めパッケージングされて、複数のサイズで外科医に利用可能であり、その結果、手術中に外科医は、一旦特定の測定値および要件が決定されれば、所望のライナーおよび挿入物を単に取り出すだけでよい。
【0099】
多孔性金属挿入物に対して固定されたライナーの使用を組み込むシステムは、通常、臼蓋窩が重度に損傷されているか、ある場合には修正手術の場合に用いられる。
【0100】
図には示されないが、本発明は、関節窩の形状、または軸受面と組み合わせて骨内殖が所望される任意の他の構成要素であってもよい。
【0101】
本発明の実施形態の全てと同様に、例えば、ヒドロキシアパタイト、OP−1(Stryker)のような骨形態形成タンパク質などの骨増殖増強因子のコーティングを、骨と直接接触させることを意図する表面に加えることが可能である。
【0102】
本発明は、特定の実施形態に関して記載してきたが、これらの実施形態は単に本発明の原理および適用の例示であることが理解されるべきである。従って、添付の特許請求の範囲によって規定されるとおり、多くの改変が実例となる実施形態に対してなされ得ること、また他の構成が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく考案され得るということが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1A−1B】図1Aは、本発明によって構築された寛骨臼カップの金属挿入物の一実施形態を示す概略斜視図である。図1Bは、図1Aの金属挿入物の切開部分を示す概略斜視図である。
【図1C−1D】図1Cは、図1Aの金属挿入物の一部を構築するために用いられる単位セルの図である。図1Dは、図1Cの単位セルを用いて構築された寛骨臼カップの一部のコンピューターモデルである。
【図1E−1F】図1Eは、図1Aの金属挿入物の一部を構築するために用いられる単位セルの図である。図1Fは、図1Eの単位セルを用いて構築された寛骨臼カップの一部のコンピューターモデルである。
【図1G】図1Dおよび図1Fに図示される部分を含む寛骨臼カップのコンピューターレンダリングである。
【図2】骨盤領域の模式図である。
【図3】骨盤領域に移植された寛骨臼カップおよび大腿骨ステムの模式図である。
【図4】本発明と組み合わせて用いられる装置を示す概略図である。
【図5】本発明の方法を使用するための別の装置を示す概略図である。
【図6】本発明による方法を用いて構築されたクーポンのサンプルである。
【図7】本発明によるサンプルを作製するために用いた一連のパラメーターを示す表である。
【図8】図8Aは、本発明に従う方法によって作成された種々のサンプルの表面構造の走査電子顕微鏡画像である。図8Bは、本発明に従う方法によって作成された種々のサンプルの表面構造の走査電子顕微鏡画像である。図8Cは、本発明に従う方法によって作成された種々のサンプルの表面構造の走査電子顕微鏡画像である。
【図9A】本発明による単位セルの種々の実施形態を示す概略図である。
【図9B】本発明による単位セルの種々の実施形態を示す概略図である。
【図9C】本発明による単位セルの種々の実施形態を示す概略図である。
【図9D】本発明による単位セルの種々の実施形態を示す概略図である。
【図10】図8Aによる複数の単位セルを用いる格子構造を示す概略図である。
【図11】図1に示される単位セルを用いる、レーザービーム補償の有無での格子構造を示す概略図である。
【図12】図8Bに示される複数の単位セルを用いる、格子構造を示す概略図である。
【図13】図8Bの単位セルを用いるレーザービーム補償の有無での格子構造を示す概略図である。
【図14】図8Cに図示される複数の単位セルを用いる格子構造を示す概略図である。
【図15A】それぞれ種々の曝露時間での図9Dおよび図8Aに示された単位セルを用いて作成した格子構造を示す概略図である。
【図15B】それぞれ種々の曝露時間での図9Dおよび図8Aに示された単位セルを用いて作成した格子構造を示す概略図である。
【図15C】図15Aの実施形態を示す側面図である。
【図15D】図15Bに図示される格子構造を示す側面図である。
【図16】ランダムな摂動で図8Dに示された複数の単位セルを用いて作成した格子構造の概略図である。
【図17】本発明の方法を用いて構築した寛骨臼カップの概略図である。
【図18】本発明の方法を用いて構築した寛骨臼カップの別の実施形態を示す概略図である。
【図19】本発明の方法を用いて構築した寛骨臼カップの別の実施形態を示す概略図である。
【図20】本発明の一実施形態を用いて構築した膝蓋骨構成要素の描写である。
【図21】本発明の一実施形態を用いて構築した膝蓋骨構成要素の描写である。
【図22】本発明の一実施形態によって構築された軟骨プラグの側面図である。
【図23】図22の軟骨プラグの正面図である。
【図24】寛骨臼カップの別の実施形態を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性の組織内殖構造および軸受支持構造を有するインプラントを形成する方法であって、
基板上へ金属粉末の第一層を溶着させる工程と、
所定の位置で前記金属粉末を焼結させるように前記粉末上にレーザービームを走査させる工程と、
前記第一の層上に前記金属粉末の少なくとも1つの層を溶着させる工程と、
第一の表面および第二の表面を有する所定の構造が構築されるまで、各々の連続する層に対して前記レーザー走査工程を反復する工程と、
流動性ポリマーを前記所定の構造の前記第二の表面と接触して配置する工程と、
前記流動性ポリマーが前記構造の前記第二の表面に接着するように前記流動性ポリマーを冷却する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記レーザー走査工程は、前記金属粉末上に前記レーザービームを走査して、前記金属粉末内に複数の所定の単位セルの一部分を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ダイの空洞内に前記所定の構造を配置する工程と、前記ダイの前記空洞内の前記所定の構造の前記第二の表面上にポリマーを溶着させる工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の構造の前記第二の表面に接触して流動性ポリマーを配置する前記工程は、前記ダイの前記空洞中の前記ポリマーに対して圧力および熱を加える工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の構造の前記第二の表面と接触して前記流動性ポリマーを配置する前記工程は、前記第二の表面上に前記流動性ポリマーを移す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の構造の前記第二の表面と接触して前記流動性ポリマーを配置する前記工程は、前記所定の構造の前記第二の表面をポリマー構造に隣接して配置する工程と、前記ポリマー構造に対して熱を与える工程と、前記ポリマー構造を前記所定の構造に係合させる工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の構造が、外層と、中間層と、内層とを備え、前記外層および前記内層は、比較的多孔性であり、前記中間層は、比較的高密度であり、その結果、前記流動性ポリマーは、前記中間層を通じて前記内層から前記外層に実質的に浸食できないようになっている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外層が約60%〜80%の間の空隙率を有し、かつ前記内層が約80%より高い空隙率を有している、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記外層が、80μm〜800μmの範囲の細孔サイズ分布を有し、かつ前記内層が、約800μmよりも高い細孔サイズ分布を有している、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の構造は、寛骨臼カップを表すように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の構造は、脛骨構成要素のベースプレートを表すように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の構造は勾配の空隙率を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記所定の構造の前記勾配の空隙率は、実質的に多孔性である第一の層と、実質的に非多孔性である第二の層と、実質的に多孔性である第三の層とを含み、その結果、前記流動性ポリマーは、前記流動性液体ポリマーが前記第三の層と接触されて配置される場合、前記第二の層を通じて前記第三の層から前記第一の層に実質的に浸食できないようになっている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記流動性ポリマーを軸受面の形態に成形する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
細孔特徴が変化している三次元の多孔性組織内殖構造を形成する方法であって、
前記三次元の多孔性組織内殖構造の変化する細孔特徴を予め決定する工程と、
前記変化する細孔特徴を含む前記三次元の多孔性組織内殖構造のファイル成分表示を提供する工程と、
各々の層がその層における前記多孔性特徴に相当するように、前記ファイル成分表示に相当する単位セルおよびその部分の層状化構成を予め決定する工程であって、前記層状化された構成は第一の層構成および連続した層構成を有する工程と、
基板上へ金属粉末の第一層を溶着させる工程と、
レーザービームを用いて金属粉末の前記第一の層を走査して、前記第一の層構成に対応する前記金属粉末において前記単位セルおよびその部分を形成する工程と、
前の層上に金属粉末の連続する層を溶着させる工程であって、各々の層またはその部分は、前記レーザービームを用いて走査されて、各々の連続する層構成に対応する単位セルを形成する工程と、
前記金属層を溶着させて走査する工程であって、前記ファイル成分表示と似ており、かつ前記ファイル成分表示に対応する変化する細孔特徴を有する前記三次元の多孔性組織内殖構造を形成する工程と、
前記三次元の多孔性組織内殖構造に対して流動性ポリマーを配置する工程と、
前記流動性ポリマーを凝固させて、前記三次元多孔性組織内殖構造に隣接する軸受面を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
前記三次元多孔性組織内殖構造を、内層および外部骨接触層を有する寛骨臼カップシェルとして形成する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記寛骨臼カップシェル内層が高密度であり、かつ前記外部骨接触層が多孔性であるように、前記ファイル成分表示の前記細孔特徴を変化させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記寛骨臼カップシェル外部骨接触層が前記シェルの赤道領域に隣接する第一の空隙率と、前記シェルの極領域に隣接する第二の空隙率とを有するように、前記ファイル成分表示の前記細孔特徴を変化させる工程をさらに含み、前記第二の空隙率が前記第一の空隙率よりも大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記シェルの多孔性外部骨接触層が前記シェルの赤道領域に隣接する第一の空隙率と、前記シェルの極領域に隣接する第二の空隙率とを有するように、前記寛骨臼カップのファイル成分表示の前記1つの特徴を変化させる工程をさらに含み、前記第二の空隙率が前記第一の空隙率よりも大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項15に記載の三次元多孔性組織内殖構造を生成する方法であって、補助基板は、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金、タンタルおよびニオブからなる群より選択される金属からなる基部またはコアであり、前記第一の層は前記基部またはコアに融合される、方法。
【請求項21】
請求項15に記載の三次元多孔性組織内殖構造を生成する方法であって、前記基部またはコアに対して粉末の前記第一の層の少なくとも一部を焼結させる工程をさらに含む、方法。
【請求項22】
骨内殖構造、中間構造、および軸受支持構造を有する金属挿入物であって、前記骨内殖構造が骨内殖を促進するのに十分な空隙率を有する金属挿入物と、
ポリマー物質から形成される軸受面であって、前記軸受面は、前記軸受支持構造に装着されている軸受面とを備え、
前記中間構造は、前記ポリマー物質が前記軸受支持構造を通って前記骨内殖構造へ移動することを阻止するのに十分な空隙率を有している、医療用インプラント。
【請求項23】
前記中間構造は、全体的構造に対して特徴的な特定の堅さを容易にするように設計されている、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項24】
前記中間体構造は、2つの障壁層および架橋セクションを備えている、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項25】
骨セメントは前記軸受支持構造上に沈着されている、請求項23に記載の医療用インプラント。
【請求項26】
前記軸受面がライナーの一部であり、前記ライナーが外面および内面を有し、前記内面は軸受面として機能するように構成され、前記外面は前記骨セメントを係合するように構成されている、請求項25に記載の医療用インプラント。
【請求項27】
前記金属挿入物は寛骨臼カップの形状である、請求項22に記載の医療用インプラント
【請求項28】
前記金属挿入物は軟骨プラグの形状である、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項29】
前記金属挿入物は、膝蓋骨構成要素の形状である、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項30】
前記軸受支持構造は、少なくとも1つの格子を備えている、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項31】
前記骨内殖構造は、勾配のある空隙率を有している、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項32】
前記骨内殖構造は、第一の空隙率を有する第一部分と、第二の空隙率を有する第二部分とを備え、前記第一の空隙率は前記第二の空隙率とは異なっている、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項33】
前記骨内殖構造は1mm〜2mmの間の厚みを有し、前記中間構造は約0.25mm未満の厚みを有し、前記軸受構造は約0.5mmより大きい厚みを有している、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項34】
前記骨内殖構造は1.5mm未満の厚みを有し、前記中間構造は約5mm未満の厚みを有し、前記軸受構造は約0.5mmより大きい厚みを有している、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項35】
前記金属挿入物および前記軸受面は4mm未満の厚みを有している、請求項22に記載の医療用インプラント。
【請求項36】
前記骨内殖構造は80μm〜800μmの範囲の細孔サイズ分布を有し、前記軸受支持構造は800μmより高い細孔サイズ分布を有している、請求項22に記載の医療用インプラント。

【図1A−1B】
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【図1C−1D】
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【図1E−1F】
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【図1G】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−262568(P2007−262568A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−329177(P2006−329177)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(500239373)ハウメディカ・オステオニクス・コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】