説明

レーザ加工方法、レーザ加工装置、および、それを用いた電子デバイス

【課題】レーザによる穴加工において、移動時間の短縮化を図ると共に、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も、その変更を容易にし、調整に要する時間も短縮する。
【解決手段】本発明では、穴中心間を移動するポイントからポイントへの移動を機械的に動作するガルバノスキャナーで実施し、加工時に求められる滑らかな軌跡に追従する移動に音響光学素子を用いて機械的な移動ではなく周波数を制御して光学回折角を変化させることで、円滑な加工を実施するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ光を用いて加工する方法、前記加工方法を実現するための加工装置および前記加工方法により製造された電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工方法のうち、要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工方法について説明している。
【0003】
図からも明らかなように、要求される穴径に対してレーザ光のエネルギー密度が小さく加工される穴径が小さい場合や、その他の加工条件の関係で小さいスポット径しか得られない光学系で加工する場合、所定の加工穴径を得るには、要求される穴径Dからレーザ光により加工される径dの半分(半径)分を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、連続または繰り返し照射されるレーザパルスに合わせて、連続して照射位置を移動することにより要求する穴径を得る。
【0004】
一般的には、開始点と終了点は、ガルバノスキャナーの移動速度に立ち上がり時間がかかるため、穴の内部などに加工のアプローチをつくることが多い。
【0005】
図6には、これらの加工方法を実現するための加工装置の構成例について説明している。
【0006】
1はレーザが発振されるレーザ発振器、2はレーザ光、3はレーザの方向を変えるベンドミラー、4はレーザ光のエネルギー密度を調整するための2つのレンズからなるコリメータレンズ群であり、方式として、ガリレオ型とケプラー型の2種の構成を取ることができる。ガリレオ型は1枚目が凹レンズであり、2枚目は凸レンズになる。一方ケプラー型は2枚とも凸レンズで構成される。ケプラー型は、2枚のレンズの間に集光点があるため、高ピークレーザではエアブレイクダウンを避けるため、ガリレオ型を採用することが多い。
【0007】
5はレーザ形状および加工穴径を調整するためのマスク、6はレーザの回折光を除去するためのアイリス、7はレーザを集光させるための加工レンズであり、ガルバノスキャナーと組み合わせる場合は、f−θレンズまたはf−tanθレンズなど複数のレンズを組み合わせたスキャンレンズとなる。
【0008】
8はガルバノスキャナーを制御するガルバノドライバ、9はレーザをX軸方向に振るためのガルバノスキャナー(X軸)、10はレーザをY軸方向に振るためのガルバノスキャナー(Y軸)、11は被加工物を置くための加工テーブル、12は被加工物、13は加工点である。14は、レーザの制御ボードとガルバノドライバ8の制御ボードを組み込んだコントローラである。
【0009】
それでは、前記のように構成された加工装置の動作について以下に説明する。レーザ発振器1より出射したレーザ光2は、コリメータレンズ群4によりエネルギー密度を調整され、マスク5でレーザ形状と加工穴径を調整され、アイリス6で回折光を除去された後、レーザの制御ボードとガルバノドライバ8の制御ボードを組み込んだコントローラ14の指令に従ってガルバノドライバ8により制御されたガルバノスキャナー(X軸)(Y軸)9、10と加工レンズ7により加工テーブル11に搭載された被加工物12上の所定の位置にレーザ光を誘導し、前記コントローラ14によりレーザ発振器1と同期を取り、穴加工を施す。
【0010】
この時ガルバノスキャナーへの位置指令は、前記のように要求される穴の中心位置座標に対して、要求される穴径Dからレーザ光により加工される径dの半分(半径)分を足すまたは差し引いた座標位置を指令して出力することになり複雑な計算が必要になる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−207881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、レーザの高出力化や高繰り返し化が進むにつれ、求められる角速度が大きくなり、機械的に動作するガルバノスキャナーでは位置制御追従が困難になっている。
【0013】
また、ガルバノスキャナーの高速化進めるためには個々の動作に対してサーボゲインを最適化する必要があり、穴中心間を移動するポイントからポイントへの移動Aの最適サーボゲインと加工時に求められる滑らかな奇跡に追従する移動Bの最適サーボゲインに大差が発生し、両方のサーボゲイン調整が一元化できない課題が発生している。また、加工速度の高速化に伴い制御サイクルの短縮が要求され、通信速度の制限からサーボゲインの切り替えに必要な時間の確保も困難になっている。
【0014】
また、ガルバノなど機械的に動作を要するスキャナーは動作の立ち上がりに勾配があるためランピング制御をするか、アプローチを設けて加工品質に影響がでないように工夫する必要があり、移動パターンの設計に時間を要するという課題がある。
【0015】
また、ガルバノスキャナーでレーザ位置を制御する場合、要求する穴の中心位置から要求する穴径と加工穴径から移動する軌跡を計算し制御する必要がある。しかし、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も最初から計算をやり直す必要があり、穴数の増加とともに大変な時間がかかり、加工準備の長時間必要になり、生産稼働率低下を招いている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本発明では、穴中心間を移動するポイントからポイントへの移動を機械的に動作するガルバノスキャナーで実施し、加工時に求められる滑らかな軌跡に追従する移動に音響光学素子を用いて機械的な移動ではなく周波数を制御して光学回折角を変化させることで、円滑な加工を実施するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明を実施することにより、ガルバノスキャナーは加工穴の中心を移動する比較的大きな距離の移動を必要とする穴中心のポイントからポイントへの移動に特化した最適化を図ったサーボゲインに調整することができる。
【0018】
また、音響光学素子、機械的な移動がなく移動制御時間は音速になるため、レーザの高出力化または高繰り返し化にともなう要求動作角速度に対して十分なマージンを持った反応速度が得られる。
【0019】
また、高速動作が得られることから移動の立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、設計時間が短縮できるたけでなく、余分なレーザ照射もなく被加工物に余分な入熱がないため電子デバイスの損傷も低減でき、加工品質も改善する。
【0020】
また、上述の2つの移動を構成上で分離することにより、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も、加工パターンを変更は不要であり、音響光学素子の周波数の制御信号を変更するだけで実現できるため、前記調整に要する時間が短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す概略斜視図
【図2】本発明の第2の実施形態の構成を示す概略斜視図
【図3】本発明の第3の実施形態の構成を示す概略斜視図
【図4】本発明のレーザ加工方法の説明図
【図5】従来技術によるレーザ加工方法の説明図
【図6】従来技術の構成を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
図1に本発明の第1の実施形態を示す。本図において、15は、音響光学素子(X軸)、16は、音響光学素子(Y軸)である。ここで、本実施例では、音響光学素子(X軸)15または音響光学素子(Y軸)16が素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合を示している。
【0023】
この場合、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16を隣接させて配置することが可能である。また、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16は順番を入れ換えることが可能である。17は、音響光学素子ドライバであり、このユニットから発生するRF電力の周波数により回折角を制御する。コントローラ14には、音響光学素子(X軸,Y軸)15,16の回折角の指令信号を音響光学素子ドライバ17に出力するための制御カードが追加される。その他は、従来技術の一例と同じである。
【0024】
次に本図を用いて、本実施形態の動作について説明する。レーザ発振器1より出射したレーザ光2は、コリメータレンズ群4によりエネルギー密度を調整され、マスク5でレーザ形状と加工穴径を調整され、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により音響光学素子ドライバ17で発生した信号の周波数に応じた回折角でレーザ光が極微小角だけ曲げられる。
【0025】
この実施形態では、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9,10のクリアアパーチャ径より小さい場合に適用され、レーザ光が光学系の有効径からはずれることはない。
【0026】
例えば、音響光学素子として素材LiNbO2の音響偏向素子を波長632ナノメータのレーザに対して使用した場合、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16を動作させるRF電波の周波数を±10MHz変化させたとして回折角度は0.05度程度しか変化しない。
【0027】
また、RF電波の周波数は大きく変更すると音響光学素子(X軸,Y軸)15、16に素子内部に作り込まれたRF電波の終端部で反射が発生し音響光学素子ドライバ17を破壊することがあるため、一般的に基準周波数(多くの場合30MHz〜100MHz)に対して±10%程度の変化幅で制御する制限が設けられていることが多い。
【0028】
また、このようなRF電波周波数を用いて、レーザ光2を曲げることは、電極を貼り付けた素子材料にRF電波を印加すると発生する音波により物質内部に回折格子が形成されその回折格子により光が曲げられるため、反応速度は音波の速度になる。
【0029】
一般的に、ガルバノスキャナーなどの機械的なスキャナーは数100μ秒オーダーの反応速度であるが、音響光学素子の反応速度は数10n秒程度であり、飛躍的に速度を改善することができる。さらに、音響光学素子には、音響偏向素子や音響変調素子があり、どちらでも同様な制御が可能である。以上のような使用上の制限から、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16の回折によるレーザ光の曲げ角は極微少である。
【0030】
次にガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10にはレーザ光2は入射位置が少しのオフセット持つと同時に入射角度が微妙に変化して入射する。その結果、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10は要求される穴位置の中心座標の位置に固定制御されているが、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられたレーザ光2は本来入射すべきガルバノミラーの位置から微妙にシフトした照射位置と角度に入り、加工レンズ7により被加工物12の上に集光される。
【0031】
このことは、位置制御を司るコントローラ14の計算アルゴリズムを簡易にする。つまり、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10には、要求される穴の中心座標を設計されたCADの座標に対して指令を出すだけである。一方、レーザの軌跡に追従させる移動Bに対する指令は、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16に対して出力され、曲げられたレーザ光2が本来入射すべきガルバノミラーの位置から微妙にシフトした照射位置と角度に入るため、この差分が計算される。
【0032】
これらの2つの制御因子は、個々に独立して制御されるため計算アルゴリズムが簡易になる。この場合、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は隣接して配置されており、微妙に屈折する位置は異なるが、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10に照射される位置シフトが小さくその影響は軽微である。
【0033】
以上の指令により制御されたレーザ光2の被加工物12上の集光位置は、本来入射すべきガルバノミラーの位置から微妙にシフトした照射位置と角度の関係で、レーザ光2は要求される穴位置の中心座標の位置の周囲に照射される。
【0034】
このように、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16に印加するRF電波の周波数を制御することで、要求する穴の中心位置の周囲に任意の径でレーザ光2を照射することが可能であり、前記のように音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は機械的な駆動部がなく、制御は音速になり高速制御が可能である。
【0035】
また、高速動作が得られることから図4に示したように移動Bの立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、直接要求される穴形状のパターンを加工するだけで容易に準備をすすめることができる。
【0036】
以上のように、本実施形態では、音響光学素子(X軸)15または音響光学素子(Y軸)16が素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さく、かつ音響光学素子(X軸,Y軸)15,16により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9,10のクリアアパーチャ径より小さい場合に、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9,10は加工穴の中心を移動する比較的大きな距離の移動を必要とする穴中心のポイントからポイントへの移動Aに特化した最適化を図ったサーボゲインに調整することができ、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は、機械的な移動がなく移動制御時間は音速になるため、レーザの高出力化または高繰り返し化にともなう要求動作角速度に対して十分なマージンを持った反応速度が得られ、高速動作が得られることから移動の立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、設計時間が短縮できるたけでなく、余分なレーザ照射もなく被加工物に余分な入熱がないため電子デバイスの損傷も低減でき、加工品質も改善し、これらの2つの動作(移動Aおよび移動B)を構成上で分離することにより、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も、加工パターンを変更は不要であり、音響光学素子(X軸,Y軸)15,16の周波数の制御信号を変更するだけで実現できるため、前記調整に要する時間が短縮することができる。
【0037】
(実施の形態2)
図2に本発明の第2の実施形態を示す。本図において、18は加工側リレーレンズであり、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10のクリアアパーチャ径より大きくなりレーザ光2の入射位置のシフトが無視できない場合に、音響光学素子(X軸)15と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の中間位置付近に音響光学素子(Y軸)16と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の半分の焦点距離のレンズを配置する。その他は、本発明の実施例1と同じである。
【0038】
次に本図を用いて、本実施形態の動作について説明する。レーザ発振器1より出射したレーザ光2は、コリメータレンズ群4によりエネルギー密度を調整され、マスク5でレーザ形状と加工穴径を調整され、音響光学素子(X軸,Y軸)15,16により音響光学素子ドライバ17で発生した信号の周波数に応じた回折角でレーザ光が極微小角だけ曲げられる。
【0039】
この実施形態では、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10のクリアアパーチャ径より大きくなるため、音響光学素子(X軸)15と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の中間位置付近に音響光学素子(X軸)15と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の半分の焦点距離の加工側リレーレンズ18を配置し、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10に入射するレーザ光2の位置シフトをキャンセルする。
【0040】
その結果、レーザ光2の位置は加工レンズ7のスキャンポイント位置では、入射位置のシフトはキャンセルされ、入射角度だけ音響光学素子(X軸,Y軸)により曲げられた効果を維持する。従って、加工レンズ7に入射する角度が、要求される加工穴の中心座標に照射する角度に音響光学素子(X軸,Y軸)15,16により曲げられた回折角度を和算または減算された角度になる。
【0041】
加工レンズ7がfθレンズの場合、入射角θが変化するため、加工位置がシフトして、要求された穴位置の中心座標の周囲に制御される。レーザ光2の軌跡に追従させる移動Bに対する指令は、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16に対して、曲げられたレーザ光2が本来入射すべきガルバノミラーの照射位置のシフトの影響がないため、少しずれた角度に対する補正のみで計算される。
【0042】
従って、レーザ光2の軌跡に追従させる移動Bに対する指令は、実施例1に比較して容易なアルゴリズムとなる。この場合、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は隣接して配置されており、微妙に屈折する位置は異なるが音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられる角度が小さくその影響は軽微である。
【0043】
また、この加工側リレーレンズ18の焦点距離は、加工レンズ7より長くすることで、レンズの持つ収差の影響を無視することができ、加工品質を維持できる。また、高速動作が得られることから図4に示したように移動Bの立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、直接要求される穴形状のパターンを加工するだけで容易に準備をすすめることができる。
【0044】
以上のようにこの方式では、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10に入射するレーザ光2の位置シフトがないので、レーザ光2が光軸をはずれることはなく、音響光学素子に印加する周波数を制御することで、要求する穴の中心位置の周囲にレーザ光2を照射することが可能であり、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は機械的な駆動部がなく、制御は音速になるので、高速制御が可能である。
【0045】
以上のように、本実施形態では、音響光学素子(X軸)15または音響光学素子(Y軸)16が素子の光軸方向長さが短く、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10に入射するレーザ光2の位置シフトが無視できない場合に、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10は加工穴の中心を移動する比較的大きな距離の移動を必要とする穴中心のポイントからポイントへの移動Aに特化した最適化を図ったサーボゲインに調整することができ、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は、機械的な移動がなく移動制御時間は音速になるため、レーザの高出力化または高繰り返し化にともなう要求動作角速度に対して十分なマージンを持った反応速度が得られ、高速動作が得られることから移動の立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、設計時間が短縮できるたけでなく、余分なレーザ照射もなく被加工物に余分な入熱がないため電子デバイスの損傷も低減でき、加工品質も改善し、これらの2つの動作(移動Aおよび移動B)を構成上で分離することにより、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も、加工パターンを変更は不要であり、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16の周波数の制御信号を変更するだけで実現できるため、前記調整に要する時間が短縮することができる。
【0046】
(実施の形態3)
図3に本発明の第3の実施形態を示す。本図において、19は音響光学素子間リレーレンズであり、音響光学素子(X軸)15により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次の音響光学素子(Y軸)16の断面サイズに対して無視できない場合に、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の間に空間を設け、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の距離の中間位置に音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の距離の半分の焦点距離をもった音響光学素子間リレーレンズ19を配置する。その他は、本発明の実施例2と同じである。
【0047】
次に本図を用いて、本実施形態の動作について説明する。レーザ発振器1より出射したレーザ光2は、コリメータレンズ群4によりエネルギー密度を調整され、マスク5でレーザ形状と加工穴径を調整され、音響光学素子(X軸)15により音響光学素子ドライバ17で発生した信号の周波数に応じた回折角でレーザ光2がX軸方向に極微小角だけ曲げられる。
【0048】
この実施形態では、音響光学素子(X軸)15が素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して無視できないため、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の間に空間を設け、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の距離の中間位置に音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の距離の半分の焦点距離をもった音響光学素子間リレーレンズ19を配置し、音響光学素子(Y軸)16の入射位置シフトをキャンセルする。
【0049】
その結果、音響光学素子(Y軸)16に入射するレーザ光2の位置は、音響光学素子(X軸)15で曲げられる前の位置と同じであり、音響光学素子(Y軸)16の入射角度だけが音響光学素子(X軸)15の影響を受け、X軸方向に微少の角度がついた状態で、音響光学素子(Y軸)16に入射する。
【0050】
次に、音響光学素子(Y軸)16により音響光学素子ドライバ17で発生した信号の周波数に応じた回折角でレーザ光2がY軸方向に極微小角だけ曲げられる。さらにこの実施形態では、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10のクリアアパーチャ径より大きくなるため、音響光学素子(Y軸)16と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の中間位置付近に音響光学素子(Y軸)16と加工レンズ7のスキャンポイントの距離の半分の焦点距離の加工側リレーレンズ18を配置し、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9,10に入射するレーザ光2の位置シフトをキャンセルする。
【0051】
その結果、レーザ光2の位置は加工レンズ7のスキャンポイント位置では、入射位置のシフトはキャンセルされ、入射角度だけ音響光学素子(X軸,Y軸)により曲げられた効果を維持する。従って、加工レンズ7に入射する角度が、要求される加工穴の中心座標に照射する角度に音響光学素子(X軸,Y軸)15、16により曲げられた回折角度を和算または減算された角度になる。
【0052】
加工レンズ7がfθレンズの場合、入射角θが変化するため、加工位置がシフトして、要求された穴位置の中心座標の周囲に制御される。レーザ光2の軌跡に追従させる移動Bに対する指令は、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16に対して、曲げられたレーザ光2が本来入射すべきガルバノミラーの照射位置のシフトの影響がないだけでなく、音響光学素子(X軸)15と音響光学素子(Y軸)16の距離に依存した補正値の影響もなくなり、X軸方向、Y軸方向とも少しずれた角度に対する補正のみで計算される。
【0053】
従って、レーザ光2の奇跡に追従させる移動Bに対する指令は、第2の実施形態に比較して容易なアルゴリズムとなる。以上のようにこの方式では、次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9,10に入射するレーザ光2の位置シフトがないので、レーザ光2が光軸をはずれることはなく、音響光学素子に印荷する周波数を制御することで、要求する穴の中心位置の周囲にレーザ光2を照射することが可能であり、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は機械的な駆動部がなく、制御は音速になるので、高速制御が可能である。
【0054】
また、この加工側リレーレンズ18および音響光学素子間リレーレンズ19の焦点距離は、加工レンズ7より長くすることで、レンズの持つ収差の影響を無視することができ、加工品質を維持できる。また、高速動作が得られることから図4に示したように移動Bの立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、直接要求される穴形状のパターンを加工するだけで容易に準備をすすめることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、音響光学素子(X軸)15により曲げられた角度と加工レンズ7のスキャンポイントまでの距離の積と加工レンズ7の位置におけるビーム径の和が、次の音響光学素子(Y軸)16の断面サイズに対して無視できず、かつ次のベンドミラー3、アイリス6の径およびガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10に入射するレーザ光2の位置シフトが無視できない場合でも、ガルバノスキャナー(X軸,Y軸)9、10は加工穴の中心を移動する比較的大きな距離の移動を必要とする穴中心のポイントからポイントへの移動Aに特化した最適化を図ったサーボゲインに調整することができ、音響光学素子(X軸,Y軸)15、16は、機械的な移動がなく移動制御時間は音速になるため、レーザの高出力化または高繰り返し化にともなう要求動作角速度に対して十分なマージンを持った反応速度が得られ、高速動作が得られることから移動の立ち上がりのランピング処理やアプローチの設計が不要になり、設計時間が短縮できるたけでなく、余分なレーザ照射もなく被加工物に余分な入熱がないため電子デバイスの損傷も低減でき、加工品質も改善し、これらの2つの動作(移動Aおよび移動B)を構成上で分離することにより、加工パターンを変更せず加工径を変更または調整する場合も、加工パターンを変更は不要であり、音響光学素子(X軸,Y軸)15,16の周波数の制御信号を変更するだけで実現できるため、前記調整に要する時間が短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明を採用することにより、レーザの高出力化または高繰り返し化に対応でき、加工軌跡の追従性や余分なレーザ照射もなく被加工物に余分な入熱がないため電子デバイスの損傷も低減することで加工品質の改善ができ、さらに加工の条件変更にも柔軟に対応でき作業時間の短縮が図られ生産性が飛躍的に改善するたけでなく、機械部品を廃止することで磨耗などの影響をなくし長期信頼性が改善することができるので、レーザ加工装置やレーザ加工方法に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 レーザ発振器
2 レーザ光
3 ベンドミラー
4 コリメータレンズ群
5 マスク
6 アイリス
7 加工レンズ
8 ガルバノドライバ
9 ガルバノミラー(X軸)
10 ガルバノミラー(Y軸)
11 加工テーブル
12 被加工物
13 加工点
14 コントローラ
15 音響光学素子(X軸)
16 音響光学素子(Y軸)
17 音響光学素子ドライバ
18 加工側リレーレンズ
19 音響光学素子間リレーレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工方法のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を有することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項4】
請求項2に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載のレーザ加工方法において、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し、前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載のレーザ加工方法において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項7】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工方法のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を有し、かつ前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と前記加工レンズのスキャンポイントの距離の半分を焦点距離とするリレーレンズを配置したことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項8】
請求項7に記載のレーザ加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項9】
請求項7に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項10】
請求項8に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載のレーザ加工方法において、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載のレーザ加工方法において、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に配置したリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長いことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項13】
請求項9〜11のいずれかに記載のレーザ加工方法において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項14】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工方法のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を独立直交して2つの手段を有し、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間にスペースを設けかつ2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズを配したことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項15】
請求項14に記載のレーザ加工方法において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項16】
請求項14に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項17】
請求項15に記載のレーザ加工方法において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項18】
請求項16または17に記載のレーザ加工方法において、前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項19】
請求項14〜18のいずれかに記載のレーザ加工方法において、前記直交する2つの要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長いことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項20】
請求項16〜18に記載のレーザ加工方法において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項21】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工装置のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を有することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項22】
請求項21に記載のレーザ加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項23】
請求項21に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項24】
請求項22に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載のレーザ加工装置において、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し、前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれかに記載のレーザ加工装置において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項27】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工装置のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を有し、かつ前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と前記加工レンズのスキャンポイントの距離の半分を焦点距離とするリレーレンズを配置したことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項28】
請求項27に記載のレーザ加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項29】
請求項27に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項30】
請求項28に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項31】
請求項29または30に記載のレーザ加工装置において、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項32】
請求項29〜31のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に配置したリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長いことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項33】
請求項29〜31のいずれかに記載のレーザ加工装置において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項34】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする加工装置のうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を独立直交して2つの手段を有し、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間にスペースを設けかつ2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズを配したことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項35】
請求項34に記載のレーザ加工装置において、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項36】
請求項34に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項37】
請求項35に記載のレーザ加工装置において、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項38】
請求項36または37に記載のレーザ加工装置において、前記音響光学素子を直交させて取り付けたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項39】
請求項34〜38のいずれかに記載のレーザ加工装置において、前記直交する2つの要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長いことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項40】
請求項36〜38のいずれかに記載のレーザ加工装置において、音響光学素子が音響偏向素子であることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項41】
レーザ光を照射して穴あけ加工をする電子デバイスのうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成する電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項42】
請求項41に記載の電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項43】
請求項41に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項44】
請求項42に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項45】
請求項43または44に記載の電子デバイスにおいて、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し、前記音響光学素子を直交させて取り付けて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項46】
請求項43〜45のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、音響光学素子に音響偏向素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項47】
レーザ光を照射して穴あけ加工された電子デバイスのうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成した電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を有し、かつ前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と前記加工レンズのスキャンポイントの距離の半分を焦点距離とするリレーレンズを配置し加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項48】
請求項47に記載の電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項49】
請求項47に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項50】
請求項48に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項51】
請求項49または50に記載の電子デバイスにおいて、前記音響光学素子の光軸方向長さが短く、最大回折角と素子の長さの積とビーム径の和が光軸に鉛直の断面サイズに対して十分小さい場合に、前記音響光学素子を2つ隣接して配置し前記音響光学素子を直交させて取り付けて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項52】
請求項47〜51のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の入射位置と加工レンズのスキャンポイントの中間位置付近に配置したリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長くして加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項53】
請求項49〜51のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、音響光学素子に音響偏向素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項54】
レーザ光を照射して穴あけ加工をした電子デバイスのうち要求される加工穴径より小さい加工径をつなぎ合わせて穴を形成した電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段とその周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段を独立直交して2つの手段を有し、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間にスペースを設けかつ2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズを配して加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項55】
請求項54に記載の電子デバイスにおいて、前記要求される穴の中心に移動する手段にガルバノスキャナーを用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項56】
請求項54に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項57】
請求項55に記載の電子デバイスにおいて、その周囲の前記要求される穴径から前記要求される加工穴径より小さい加工半径を差し引いた位置にレーザ光を位置決めして照射し、前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段に、音響光学素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項58】
請求項56または57に記載の電子デバイスにおいて、前記音響光学素子を直交させて取り付けて加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項59】
請求項54〜58のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、前記直交する2つの要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間の中間位置付近に、前記2つの前記要求する加工穴径より小さい加工をつなぎ合わせて穴を形成する手段の間隔の半分の焦点距離を有するリレーレンズの焦点距離が、加工レンズの焦点距離より長くして加工したことを特徴とする電子デバイス。
【請求項60】
請求項56〜58のいずれかに記載の電子デバイスにおいて、音響光学素子に音響偏向素子を用いて加工したことを特徴とする電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81488(P2012−81488A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228288(P2010−228288)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】