説明

レーザ機械加工のための方法および装置

レーザ加工は、終点決定を使用することによって、またはレーザとともに荷電粒子ビームを使用することによって向上する。終点決定は、基板からの光子、電子、イオン、中性粒子などの放出を使用して、レーザの下の材料がいつ変化したか、またはいつ変化しようとしているか判定する。レーザ光学要素への付着を防ぐため、試料から除去された材料をそらすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2008年7月9日に出願した米国仮出願第61/079,304号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、レーザ・マイクロ機械加工(laser micromachining)に関する。
【背景技術】
【0003】
基板から材料を除去して、マイクロスコピックまたはナノスコピック構造を形成するプロセスは、マイクロ機械加工と呼ばれる。材料を除去するプロセスは、ミリング(milling)またはエッチング(etching)とも呼ばれる。マイクロ機械加工に対しては、レーザ・ビームおよび荷電粒子ビームが使用される。これらのビームはそれぞれ、さまざまな用途において利点および限界を有する。
【0004】
レーザ・システムは、マイクロ機械加工にいくつかの異なる機構を使用する。いくつかのプロセスでは、基板に熱を供給して化学反応を誘発させるために、レーザを使用する。反応は、レーザが熱を供給する領域だけで起こるが、この熱は、レーザ・ビーム・スポットよりも広い面積に拡散する傾向があり、それによりプロセスの解像度が制限される。レーザ・マイクロ機械加工において使用される他の機構が光化学エッチングであり、光化学エッチングでは、基板の個々の原子によってレーザ・エネルギーが吸収され、それにより、これらの原子が、化学的に反応することができる状態にまで励起される。光化学エッチングは、光化学的に活性な材料に限定される。レーザ機械加工において使用される他の機構がレーザ・アブレーション(laser ablation)であり、レーザ・アブレーションでは、小さな体積に急速に供給されたエネルギーによって原子が基板から放出され、基板が加熱されることはない。高速パルス・フェムト秒レーザを使用するレーザ・アブレーションが例えば、Mourouの「Method for Controlling Configuration of Laser Induced Breakdown and Ablation」という名称の米国再発行特許第37,585号に記載されている。フェムト秒レーザ・アブレーションは、上述のプロセスの限界のいくつかを解決する。
【0005】
荷電粒子ビームにはイオン・ビームおよび電子ビームが含まれる。集束ビーム中のイオンは一般に、表面から材料を物理的に追い出すことによってマイクロ機械加工するのに十分な運動量を有する。電子はイオンよりもはるかに軽いため、電子ビームは一般に、エッチング剤との化学反応を誘発させることによって材料を除去することに限定される。イオン・ビームは一般に、液体金属イオン源またはプラズマ・イオン源によって生成される。荷電粒子ビームのスポット・サイズは、粒子のタイプおよびビーム中の電流を含む多くの因子に依存する。低電流を有するビームは一般に、高電流を有するビームよりも小さなスポットに集束させることができ、したがって、高電流を有するビームよりも小さな構造を形成することができるが、低電流ビームでは、構造体をマイクロ機械加工するのに、高電流ビームよりも長い時間がかかる。
【0006】
レーザは一般に、荷電粒子ビームよりもはるかに高速で基板にエネルギーを供給することができ、そのため、レーザは一般に、荷電粒子ビームよりもはるかに早い材料除去速度を有する。しかしながら、レーザの波長は、荷電粒子ビーム中の荷電粒子の波長よりもはるかに大きい。ビームを集束することができるサイズはその波長によって制限されるため、レーザ・ビームの最小スポット・サイズは一般に、荷電粒子ビームの最小スポット・サイズよりも大きい。A.P.Joglekar他、「Optics at Critical Intensity:Applications to Nanomorphing」、Proceedings of the National Academy of Science、101巻16号、5856〜5861頁(2004年)(「Joglekar他」)は、イオン化に対する臨界強度に近い約10ピコ秒よりも短いレーザ・パルスを使用して、波長よりも小さなフィーチャ(feature)を達成することができることを示している。それでも、Joglekar他によって達成可能なフィーチャ・サイズは、多くのナノテクノロジ用途に対して十分に小さいとは言えない。
【0007】
荷電粒子ビームは一般にレーザ・ビームよりも大きな解像度を有し、極めて小さな構造をマイクロ機械加工することができるが、ビーム電流は限られており、マイクロ機械加工操作は許容できないほどに低速となることがある。一方、レーザ・マイクロ機械加工は高速とすることができるが、そのより長い波長のため、解像度は本質的に限られている。
【0008】
レーザのより高速なマイクロ機械加工能力と荷電粒子ビームのより高い精度の両方を利用する1つの方法は、試料を逐次的に加工する方法である。逐次加工は例えば、M.Paniccia他、「Novel Optical Probing and Micromachining Techniques for Silicon Debug of Flip Chip Packaged Microprocessors」、Microelectronic Engineering 46(27〜34頁、1999年)(「Paniccia他」)によって記述されている。Paniccia他は、レーザ誘起化学エッチングを使用して大半の材料を除去し、次いで荷電粒子ビームを使用して、より精密な最終マイクロ機械加工を実施する、半導体フリップ・チップの活性部分にアクセスする既知の技法を記述している。この逐次加工の問題は、より高速ではあるが精密さに劣るレーザ・マイクロ機械加工をいつ停止し、より精密な荷電粒子ビーム加工をいつ開始するか決定することである。レーザ加工を停止するのが早すぎる場合には、荷電粒子ビームによって除去する材料が過剰に残り、レーザ加工を停止するのが遅すぎる場合には、加工物が損傷する。加工をいつ停止するかの決定は「終点決定(endpointing)」と呼ばれる。
【0009】
荷電粒子ビーム加工において終点を決定する技法は知られており、例えばRay他の米国特許公開第2005/0173631号に記載されている。このような技法は例えば、下にある回路が露出し、またはほぼ露出したときに2次粒子の放出が変化するように、ある変化する電圧を下にある回路に印加することを含む。この2次粒子の放出を観察することによって、オペレータは、埋込み導体などのフィーチャがいつ露出したか判定することができる。他の荷電粒子ビーム終点決定法は例えば、荷電粒子ビームによって注入された荷電粒子に起因するトランジスタの漏れ電流を検出することを含む。レーザ加工は一般に真空室内では実行されず、そのため2次電子およびイオンを捕集することはできない。
【0010】
イオン・ビーム加工では、イオン・ビームが衝突している材料がいつ変化したか判定するために、基板から放出された指定された周波数の光子を検出することも知られている。このような方法は例えば、本出願の譲受人に譲渡された、Ward他の「Focused Ion Beam Imaging and Process Control」という名称の米国特許第4,874,947号に記載されている。Ward他は、イオン・ビーム・システムにおいて光子を検出して終点を決定することを記載しているが、低い光子信号を捕集するのが困難であるため、この技法は広範には使用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国仮出願第61/079,304号
【特許文献2】米国再発行特許第37,585号
【特許文献3】米国特許公開第2005/0173631号
【特許文献4】米国特許第4,874,947号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】A.P.Joglekar他、「Optics at Critical Intensity:Applications to Nanomorphing」、Proceedings of the National Academy of Science、101巻16号、5856〜5861頁(2004年)
【非特許文献2】M.Paniccia他、「Novel Optical Probing and Micromachining Techniques for Silicon Debug of Flip Chip Packaged Microprocessors」、Microelectronic Engineering 46、(27〜34頁、1999年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、レーザ加工の制御を向上させることによってマイクロ機械加工を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、試料から材料を除去するため試料にレーザ・ビームを誘導する。試料からの放出物を検出することによって、レーザ加工の終点を決定する。
【0015】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示された着想および特定の実施形態を、本発明と同じ目的を達成するために他の構造を変更または設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0016】
次に、本発明および本発明の利点のより徹底的な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】試料からの放出物を使用してレーザ加工の終点を決定する本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】試料から放出された光子を使用してレーザ加工の終点を決定する本発明の一実施形態を示す図である。
【図3】試料から放出された電子を使用してレーザ加工の終点を決定する本発明の一実施形態を示す図である。
【図4】レーザ加工の終点を決定する本発明の一実施形態に基づく好ましいステップを示す流れ図である。
【図5】レーザ・レンズなどの構成要素に対する2次粒子による損傷を低減させる一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のさまざまな実施形態は、さまざまな手段を使用してレーザ加工を向上させる。本発明の実施形態は、十分なフルエンス(fluence)を供給する、既存のまたは今後開発される任意のタイプのレーザを使用することができる。好ましい1つのレーザは、短パルス・レーザ・ビーム、すなわちナノ秒ないしフェムト秒パルス・レーザ・ビームを提供する。適切なレーザには例えば、Ti:サファイア発振器、ファイバ・ベースのレーザ、あるいはイッテルビウム・ドープまたはクロム・ドープの薄ディスク・レーザ(thin disk laser)などがある。
【0019】
短レーザ・パルス、すなわちナノ秒ないしフェムト秒レーザ・パルスによる基板のアブレーションには、基板からのさまざまな放出物が付随する。本発明の実施形態は、基板からの放出物を使用して、レーザ・マイクロ機械加工の進捗状況を決定し、ある加工段階がいつ完了したか判定する。放出粒子の放出イールド(emission yield)およびエネルギー・スペクトルは材料に依存する。第1の材料が除去されて第2の材料が露出すると、材料の境界面で放出物が変化する。検出器は、放出物がいつ変化したか判定することができ、この放出物の変化は、ビームの下の材料が変化したことを示す。第2の材料に特有の放出物が検出されたとき、または第1の層に特有の放出が止んだときに、オペレータは、レーザ・ミリング操作の進捗状況を知ることができる。放出物の変化が検出されると、オペレータまたはシステムは、例えば加工を停止することにより、自動的にまたは手動でプロセスを変更することができる。
【0020】
試料からの放出物は、ルミネセンス、例えば赤外(IR)から紫外(UV)〜X線範囲のルミネセンス、電子、イオン、中性原子または分子、および粒子/ドロップレット(droplet)を含む。異なる用途における終点決定には、加工中の材料のタイプおよび加工環境に応じた、異なるタイプの放出物が有用である。加工環境には例えば、大気圧の通常大気、高真空、すなわち圧力が約10-3ミリバール未満の真空、圧力約1ミリバールから50ミリバールの各種ガスなど走査型環境電子顕微鏡に適した真空、あるいは、適切な圧力の適切なガスの制御されたガス環境などが含まれる。表面から放出されたイオンを、質量分析法によって直接に分析して、表面から追い出された材料がいつ変化したか判定することができ、この変化は、境界に到達したことを示す。2次イオン質量分析用のシステムは、市販の集束イオン・ビーム・システムの一般的な付属システムである。一般にプラズマ・プルーム(plasma plume)と呼ばれる展開中の放出物(evolving emission)に中に存在する中性原子および分子をイオン化するため、展開中の放出物に、第2の時間遅延レーザ・ビームを共点集束させることができる。この第2のビームは、別個の追加のレーザを起源とすることができ、または標準ビーム・スプリッタを使用することによって1次ビームと同じレーザを起源とすることができる。1次ビームの到着と2次ビームの到着との間の間隔(時間遅れ)は、2次ビームの経路長を調整することによって調整することができる。次いで、この2次イオン化によって生じたイオンを質量分析法によって分析することができる。粒子およびドロップレットも誘導結合プラズマ質量分析法によって分析することができる。
【0021】
終点決定にルミネセンスを使用するときには、ミリングされた穴の底を「予見する(looking ahead)」ことができるという利点がある。すなわち、レーザ・パルスによって生成されたプラズマは、パルスによって除去される体積を超えて伝搬するため、表面の直ぐ下の原子がレーザ・パルスによって励起される。したがって、表面の直下から光子が放出され、この放出物は、マイクロ機械加工をいつ止めるべきかについてのより適時の指標を提供する。すなわち、第2の材料からの光子を指標として使用するときには、第1の材料が完全に除去される少し前に、第2の材料からの光子を検出することができる。同様に、第1の材料からの光電子放出も、第1の材料が完全に除去される少し前に減衰し始める。終点決定は、レーザ・ビームまたは荷電粒子ビームによって起こる表面からの放出光子の流れを検出することによって実行することができる。
【0022】
光子以外の放出物を終点決定に使用するときには一般に、空気分子が放出物の捕集を妨げないように、基板を低圧環境中または真空中に維持しなければならない。光子を指標として使用するときには、レーザを、真空中で、大気圧で、または制御されたガス環境中で操作することができる。
【0023】
検出器は、1つまたは複数のタイプの放出物の強度を決定する一般的な検出器とすることができる。検出器は一般に、(基準を含む)粒子を計数し、または粒子電流を測定し、検出器感度を粒子エネルギーの関数として定義する特性エネルギー応答を有する。終点決定に使用される信号の変化を検出する能力を最大にするため、検出器出力を適時に微分することができる。エネルギー、電荷、質量または電荷対質量比が異なる粒子を検出するため、複数の検出器を並行して使用することができる。例えば、光電子増倍管、半導体検出器などの広帯域光子検出器を使用して、基板から放出された光の強度を測定することができる。終点決定信号の材料依存性が最大になるように、この検出器を最適化することができる。例えば、エネルギー・フィルタリング分光計(energy filtering spectrometer)を、埋込み層または被覆層からの予想される特定の信号を検出するように調整することができる。ある実施形態では、回折格子を使用して光を分散させ、スリットを使用して所与の周波数帯内の光を通過させ、次いでその光を広帯域光子検出器によって検出することができる。スリットの代わりに、被覆材料に特有の光を吸収し、埋込み材料に特有の光を透過させ、または埋込み材料に特有の光を吸収し、被覆材料に特有の光を透過させる1つまたは複数の吸収フィルタを使用して、埋込み材料が露出し、またはほぼ露出したときに信号を提供することもできる。あるいは、回折格子を使用して、電荷結合素子アレイ上に光を分散させることもできる。放出スペクトルは、アレイ内の異なるセルにおいて測定される信号の強度によって決定される。異なるセルにおいて測定された信号を使用して、被覆および埋込み層から放出された特性信号の強度を監視することができる。
【0024】
金属、半導体、絶縁体などのさまざまな材料が、ミリング中の材料層、またはミリング中の材料層の下の材料層を構成する。例えば、一般的な材料には、Si、SiO2、Cu、Al、Au、Ag、Cr、Mo、Pt、W、Ta、低k誘電体、高k誘電体、Al23、SiC、Si34、GaN、AlN、AlxGa(1-x)N、InxGa(1-x)、GaAs、InxGa(1-x)AsおよびGeなどがある。終点決定指標として光子を検出するとき、それらの光子は一般に、0.01nmから1000nm、より典型的には300nmから800nmの波長を有することになる。より短波長用のX線検出器からより長波長用の赤外線検出器までの適切な検出器を使用することができる。当業者は、さまざまな被覆材料およびその下の材料の特性放出スペクトルを容易に決定することができる。被覆材料の特性信号の周波数とその下の材料の特性信号の周波数とが互いに近くないとき、終点決定の実現はより容易になる。
【0025】
終点決定指標として電子を使用するときには、イオン・ビーム・カラムと電子ビーム・カラムとを含むデュアル・ビーム・システムなどの荷電粒子ビーム・システムにおいて現在使用されているタイプの電子検出器を使用することが好ましい。このような検出器には例えば、電子が衝突したときに光を放出するシンチレータと放出された光信号を増幅する光電子増倍管とを備える高効率エバーハート−ソーンリー(Everhart−Thornley)検出器が含まれる。エバーハート−ソーンリー検出器は一般にレーザ軸からずらして取り付けられ、試料によって放出された電子を引き寄せるため、シンチレータの前のスクリーンに、試料に対する電圧が印加される。指定されたエネルギー・レベルよりも低い電子を排除するため、試料にバイアスをかけて、低エネルギー電子の捕集を防ぐことができる。検出される電子は一般に約20eV未満のエネルギーを有するが、一部の用途では1,000eVまでのエネルギーを有する電子が有用であることがある。ある実施形態では、基板材料に特有の電子電流を有する幅広いエネルギー帯内の電子が捕集される。他の実施形態では、材料を特徴づけるために電子のエネルギーが決定される。
【0026】
いくつかの実施形態では、真空室内で試料表面から放出された粒子を検出するのではなしに、試料からグランドへの電流を測定することができる。例えばプローブによって直接に、または例えば試料ステージを介して間接的に、グランドを試料に物理的に接触させる。グランドへまたはグランドから流れる電流は、ビームが衝突している試料表面を出る電流に等しい。
【0027】
図1は、本発明を実施する好ましいシステム100を示す。ビーム103を生成するレーザ102は一般に、機械加工中の材料に対するしきい値よりも高いフルエンスで操作される。例えば、Mourouは、10nJから1mJの範囲のエネルギーおよび0.1J/cm2から100J/cm2の範囲のフルエンスを有する好ましい1つのビームを教示している。一実施形態では、レーザ・ビームのエネルギーが30nJ、フルエンスが0.4J/cm2である。ビーム103は試料104に誘導され、試料104は、基板材料106および被覆材料108を含むことがある。試料104は一般に、異なる材料からなるいくつかの層を有する。試料104は一般に、2軸精密X−Yステージ109上に配置される(追加の軸は、最初の2軸に垂直な方向の平行移動、傾斜および回転を含むことができる)。検出器110は、試料104からの放出物112を検出する。被覆材料108が除去され、基板材料106が露出すると、放出物112は変化する。コンピュータ120は検出器110から信号を受け取り、信号の変化は、ビームの下の材料が変化したことを示し、それにより、オペレータが、機械加工の進捗状況を監視し、適切な処置をとることを可能にし、あるいはシステムが、加工がそれ以上進まないようにレーザ102を自動的に停止するなどの措置を自動的にとることを可能にする。コンピュータ120に接続された表示装置122は、試料104の画像を含む情報をオペレータに提供することができる。上述のとおり、この検出器は、レーザ・アブレーションまたは他のレーザ加工の結果として放出された光子、電子、イオン、中性粒子またはドロップレットを検出することができる。システム100は、任意選択で、加工または画像化目的に使用することができる、電子ビーム・カラムまたはイオン・ビーム・カラム、あるいはその両方などの1つまたは複数の荷電粒子ビーム・カラム130、および試料104の画像を形成する2次電子検出器132を含む。荷電粒子ビーム・カラム130または2次電子検出器132が使用されるときには、基板は真空中に維持される。ある実施形態では、画像を形成するための2次電子信号の検出および終点決定信号の検出に、検出器110を使用することができる。
【0028】
図2は、検出器が光子検出器210を含むシステム200を示し、光子検出器210は、試料104からの光を分散させる回折格子212(代わりにプリズムを使用することもできる)として概略的に示されたモノクロメータ(monochromator)と、この分散光を、周波数に応じて異なる点に集束させるレンズ214と、下にある材料に特有のスペクトルを有する光を通過させるスリット216と、スリット216を通過した光を検出する光子検出器218とを含む。コンピュータ120は光子検出器210から信号を受け取り、この信号を解釈して、レーザ・ビームの下の材料がいつ変化したか判定する。コンピュータ120は例えば、ある加工段階が完了したことを放出物の変化が示しているときに、オペレータに信号を提供し、または加工がそれ以上進まないようにレーザ102を自動的に停止することができる。基板の下に配置された代替光子検出器222が示されている。光子検出器のこのような配置は、基板が特性光信号に対して透明であるとき、すなわち基板材料のバンド・ギャップが検出中の光子のエネルギーよりも大きいときにのみ有用である。試料の下の光子検出器が使用されるときには、ステージが、光を透過させる隙間または透明な窓224を含む。光子検出器222は、スリットおよび光電子増倍管を使用する検出器ではなく、異なる周波数に対応する異なる位置における光信号の強度を検出する電荷結合素子(CCD)のアレイ226を含む広帯域スペクトル検出器である。いずれの位置でも両方のタイプの検出器を使用することができる。
【0029】
図3は、電子を検出して終点を決定するレーザ加工システム300を示す。システム300では、基板104が真空室302内に配置される。電子検出器306は、スクリーン308、シンチレータ310および光電子増倍管312を含むエバーハート−ソーンリー検出器である。スクリーン308には約50ボルトの低電圧が印加され、シンチレータには約10,000Vの高電圧が印加される。電子は、試料からスクリーンへ向かって加速され、次いでより大きなエネルギーに加速されて、シンチレータ内で光子の放出を引き起こす。それらの光子は電子に変換され、光電子増倍管において増倍される。
【0030】
図4は、図1のシステムの動作を示す流れ図である。ステップ402で、基板に向かってレーザを誘導する。ステップ404で、基板からの放出物を検出する。判断ブロック406で、レーザ・マイクロ機械加工が被覆材料を貫通切削し、またはほぼ貫通切削したことを、放出物の変化が示しているかどうかを判定する。レーザ・マイクロ機械加工が被覆材料を貫通切削し、またはほぼ貫通切削したことを、放出物の変化が示している場合には、プロセスを変更する。そうでない場合には、ステップ402に戻ってプロセスを継続する。プロセスの変更は例えば、レーザ・ビームを停止すること、パルスあたりのフルエンスなどのレーザ・パラメータを変えること、ガス流量を変えること、電子またはイオン・ビームをブランキング(blanking)すること、あるいは試料を支持しているステージを動かすことを意味する。放出物は、連続的にまたは定期的に監視することができる。放出物を定期的に監視する場合には、監視期間と監視期間の間に被覆材料が完全に除去された場合にその下の材料に対する許容できない損傷を防ぐため、その周期は十分に短くなければならない。
【0031】
いくつかの実施形態では、電子ビームなどの荷電粒子ビームを使用して、レーザ・マイクロ機械加工の終点決定信号を生成することができる。この電子ビームは、例えばレーザ・アブレーション中のレーザ・ビームと同じ点に入射し、このレーザ・ビームと同時にまたは逐次的に使用することができる。陰極ルミネセンスまたは後方散乱電子を終点決定信号として使用する場合には、電子ビーム・エネルギーを調整して、終点決定の「予見」能力を調節することができる。
【0032】
基板表面から材料が追い出されたときに、追い出された粒子が、レンズに付着し、またはレンズの材料をスパッタリングすることによって、レーザ・レンズの光学的品質を低下させることがある。図5は、2次粒子によるレーザ・レンズおよび真空システム内の他の構成要素の損傷を低減させることができる1つのシステムを示す。図5は、試料506に向かって荷電粒子ビーム504を誘導する、集束イオン・ビーム・カラムなどの荷電粒子ビーム・カラム502を含むシステム500を示す。システム500はさらに、レーザ・ビーム512を試料506上に集束させるレンズ510を有するレーザ・システム508を含む。レーザ・システム・ビーム512と荷電粒子ビーム504は同じ点に入射することが好ましい。すなわち、レーザ・システム・ビーム512と荷電粒子ビーム504は試料506の同じ領域に衝突することが好ましい。レーザ・ビームは一般に、試料506上において、荷電粒子ビームよりも大きなスポット・サイズを有する。垂直方向を向いたレーザ・システム508および垂直に対して傾斜した荷電粒子ビーム・カラム502が示されているが、これらのシステムはともに、適切な任意の向きに配置することができる。
【0033】
試料506は精密可動ステージ516上に置かれる。荷電粒子ビーム504が試料506に衝突すると、電子およびイオンを含む2次粒子518が放出される。このイオンがレーザ・レンズ510に衝突し、その光学的品質を低減させることがある。2次粒子518の経路をレーザ・レンズ510からそらして、損傷を低減させ、または排除する電場を生み出すため、電極520および522を電圧源(図示せず)に接続する。電極520および522を使用して、画像化または終点決定用の2次粒子518を検出することもできる。2次電子信号を増幅するため、電極520に増幅器524を接続することができる。これに加えて、またはこれに代えて、画像化または終点決定用の陽イオン信号を増幅するため、電極522に増幅器526を接続することもできる。
【0034】
好ましい一実施形態では、電極520と電極522の間に約300Vから400Vの電位が印加される。好ましい電圧は実施態様によって異なるが、一般的には数十ボルトから数千ボルトとし、好ましくは数百ボルトとする。電極520および522の形状を変更して、レーザ・レンズまたは試料の上方の他の構成要素に衝突する粒子を再誘導するように電場を整形することができる。ある実施形態では、単一の電極を使用することができる。ある実施形態では、電極520および522の代わりに、磁場を使用して、損傷に敏感な構成要素から荷電粒子をそらすこともできる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、
・構造を形成し、または改変するために試料に向かってレーザ・ビームを誘導すること、
・レーザ・ビームの入射に起因する試料からの放出物を検出すること、
・試料に特有の放出物のある特性を決定すること、および
・レーザ・ビームが入射している材料が変化したことを放出物が示しているときに、レーザ・ビーム加工を変更すること
によるレーザ・ビーム加工によって、構造が形成され、または改変される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、レーザ・ビーム加工を変更することは、試料に向かってレーザ・ビームを誘導するのを止めること、ガス流量を変えること、パルスあたりのフルエンスなどのレーザ・パラメータを変えること、電子またはイオン・ビームをブランキングすること、あるいは試料を支持しているステージを動かすことを含む。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料に向かってレーザ・ビームを誘導することは、10-3ミリバール未満または50ミリバール未満の圧力を有する環境中で試料に向かってレーザ・ビームを誘導することを含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、放出物のある特性を決定することは、試料から放出された電子電流を決定することを含む。表面から放出された電子電流を決定することは、試料と試料に直接にまたは間接的に接触したグランドとの間の電流を測定することを含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、放出物のある特性を決定することは、試料から放出された電子のエネルギーを決定すること、または試料から放出された光子を検出することを含む。試料から放出された光子を検出することは、特性波長を有する光子を検出すること、および/または特性波長以外の波長を有する光子をフィルタリングによって除去することを含む。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、放出物のある特性を決定することは、表面から放出された粒子の質量を決定すること、および/または表面から放出された粒子の電荷対質量比を決定することを含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態はさらに、表面から放出された粒子の質量を決定する前に中性粒子をイオン化することを含む。本発明の好ましい実施形態によれば、中性粒子をイオン化するこの方法は、レーザ・ビームまたは電子ビームを使用して中性粒子をイオン化すること、あるいは第1のレーザ・ビームによって試料から追い出された展開中の放出物をイオン化するために、第2の時間遅延レーザ・ビームを誘導することを含む。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、表面から放出された粒子の質量を決定することは、誘導結合プラズマ質量分析法を使用して質量を決定することを含む。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料に向かってレーザ・ビームを誘導することは、1ピコ秒未満のパルス持続時間を有するパルス・レーザを試料に向かって誘導することを含む。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、放出物のある特性を決定することは、狭帯域検出器を使用して、指定された特性を有する放出物だけを検出すること、放出物の電流またはエネルギーを決定すること、あるいは放出物のエネルギー・スペクトルを決定することを含む。
【0045】
本発明の好ましい実施形態はさらに、試料に向かって荷電粒子ビームを誘導することを含む。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、
・構造を形成し、または改変するために試料に向かってレーザ・ビームを誘導すること、
・試料に向かって荷電粒子ビームを誘導すること、
・荷電粒子ビームの入射に起因する試料からの放出物を検出すること、
・試料に特有の放出物のある特性を決定すること、および
・レーザ・ビームが入射している材料が変化したことを放出物が示しているときに、レーザ・ビーム加工を変更すること
によって、試料上に構造が形成される。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によれば、構造を形成することは、レーザ・ビームと粒子ビームを、同時にまたは連続的に試料に入射するように誘導することを含む。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、荷電粒子ビームは電子ビームまたはイオン・ビームであり、荷電粒子ビームの入射に起因する試料からの放出物を検出することは、2次電子、後方散乱電子または透過電子を検出することを含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態によれば、荷電粒子ビームは電子ビームであり、荷電粒子ビームの入射に起因する試料からの放出物を検出することは、(X線を含む)光子を検出することを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料からの放出物を検出することは、表面よりも下方の材料からの放出物を検出することを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料を形成し、または改変するシステムは、
・試料を保持する試料ホルダと、
・試料に向かってレーザ・ビームを誘導する高速パルス・レーザと、
・レーザ・ビームの衝突に起因する試料からの放出物であり、試料に特有の放出物を検出する検出器と
を備える。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料を形成し、または改変するこのシステムは、試料を真空中で保持する試料ホルダを含む。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料を形成し、または改変するこのシステムは、電子検出器である放出物検出器を含む。この放出物検出器はさらに、質量分析器または分光計、誘導結合プラズマ質量分析器または分光計、光子検出器、エネルギー分散型X線分光法検出器、あるいは波長分散型X線分光法検出器を含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、構造を形成し、または改変する装置は、
・試料を保持する真空室、
・真空室内の試料に対して動作するレーザ・システムであり、レンズを含むレーザ・システム、
・荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに試料から放出された2次粒子によってレーザ・システム・レンズが損傷することを防ぐために、2次粒子をレーザ・システム・レンズからそらす偏向器、
・荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに試料から放出された2次粒子によって荷電粒子光学カラム構成要素が損傷することを防ぐために、2次粒子を荷電粒子光学カラム構成要素からそらす偏向器、および/あるいは、
・荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに試料から放出された2次粒子によって装置の構成要素が損傷することを防ぐために、2次粒子を装置の構成要素からそらす偏向器
を含む。
【0055】
本発明の装置の好ましい実施形態によれば、偏向器は、2次粒子電流を決定するために増幅器に電気的に接続された電極、一組の電極または磁気偏向器を含む。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、構造を形成し、または改変する方法は、
・試料を保持する真空室と、荷電粒子ビーム・カラムと、真空室内の試料に対して動作する、レンズを含むレーザ・システムとを含むシステムを用意すること、および
・試料に向かって荷電粒子ビームを誘導すること
を含み、荷電粒子ビームの衝突は2次粒子の放出を引き起こし、この方法はさらに、
・2次粒子によってレーザ・システム・レンズが損傷することを防ぐために2次粒子をレーザ・システム・レンズからそらすための場を提供すること、
・2次粒子を放出物検出器からそらすための場を提供すること、および
・2次粒子を荷電粒子光学カラムの構成要素からそらすための場を提供すること
を含む。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、2次粒子をレーザ・システム・レンズのレンズからそらす方法は、荷電粒子をそらすための静電場を発生させるために電極を提供すること、または荷電粒子をそらすように設計された電場を発生させるために多数の電極を提供することを含む。
【0058】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ・ビーム加工によって構造を形成し、または改変する方法であって、
構造を形成し、または改変するために試料に向かってレーザ・ビームを誘導すること、
前記レーザ・ビームの入射に起因する前記試料からの放出物を検出すること、
前記試料に特有の前記放出物のある特性を決定すること、および
前記レーザ・ビームが入射している材料が変化したことを前記放出物が示しているときに、前記レーザ・ビーム加工を変更すること
を含む方法。
【請求項2】
前記レーザ・ビーム加工を変更することが、前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導するのを止めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザ・ビーム加工を変更することが、ガス流量を変えること、パルスあたりのフルエンスなどのレーザ・パラメータを変えること、電子またはイオン・ビームをブランキングすること、あるいは前記試料を支持しているステージを動かすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することが、10-3ミリバール未満の圧力を有する環境中で前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することが、50ミリバール未満の圧力を有する環境中で前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された電子電流を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面から放出された電子電流を決定することが、前記試料と前記試料と直接にまたは間接的に接触したグランドとの間の電流を測定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された電子のエネルギーを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された光子を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記放出物のある特性を決定することが、特性波長を有する光子を検出することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記放出物のある特性を決定することが、前記特性波長以外の波長を有する光子をフィルタリングによって除去することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放出物のある特性を決定することが、前記表面から放出された粒子の質量を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記放出物のある特性を決定することが、前記表面から放出された粒子の電荷対質量比を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表面から放出された粒子の質量を決定する前に中性粒子をイオン化することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
中性粒子をイオン化することが、レーザ・ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
中性粒子をイオン化することが、電子ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
中性粒子をイオン化することが、第1のレーザ・ビームによって前記試料から追い出された展開中の放出物をイオン化するために、時間遅延レーザ・ビームを誘導することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
中性粒子をイオン化することが、第2のレーザ・ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記表面から放出された粒子の質量を決定することが、誘導結合プラズマ質量分析法を使用して質量を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することが、1ピコ秒未満のパルス持続時間を有するパルス・レーザを前記試料に向かって誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記放出物のある特性を決定することが、狭帯域検出器を使用して、指定された特性を有する放出物だけを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物の電流を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物のエネルギーを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記試料に向かって荷電粒子ビームを誘導することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物のエネルギー・スペクトルを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
試料上に構造を形成する方法であって、
構造を形成し、または改変するために試料に向かってレーザ・ビームを誘導すること、
前記試料に向かって荷電粒子ビームを誘導すること、
前記荷電粒子ビームの入射に起因する前記試料からの放出物を検出すること、
前記試料に特有の前記放出物のある特性を決定すること、および
前記レーザ・ビームが入射している材料が変化したことを前記放出物が示しているときに、前記レーザ・ビーム加工を変更すること
を含む方法。
【請求項27】
前記レーザ・ビームと前記粒子ビームが同時に試料に入射する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記レーザ・ビームと前記粒子ビームが連続的に試料に入射する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記荷電粒子ビームが電子ビームである、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記荷電粒子ビームが電子ビームであり、前記荷電粒子ビームの入射に起因する前記試料からの放出物を検出することが、2次電子、後方散乱電子または透過電子を検出することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記荷電粒子ビームが電子ビームであり、前記荷電粒子ビームの入射に起因する前記試料からの放出物を検出することが、(X線を含む)光子を検出することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記荷電粒子ビームが電子ビームであり、前記試料からの放出物を検出することが、表面よりも下方の材料からの放出物を検出することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記荷電粒子ビームがイオン・ビームである、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
試料を形成し、または改変するシステムであって、
試料を保持する試料ホルダと、
前記試料に向かってレーザ・ビームを誘導する高速パルス・レーザと、
前記レーザ・ビームの衝突に起因する前記試料からの放出物であり、前記試料に特有の放出物を検出する検出器と
を備えるシステム。
【請求項35】
前記試料ホルダが前記試料を真空中で保持する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記放出物の検出器が電子検出器を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記放出物の検出器が質量分析器または分光計を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記放出物の検出器が、誘導結合プラズマ質量分析器または分光計を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記放出物の検出器が光子検出器である、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記放出物の検出器がエネルギー分散型X線分光法検出器である、請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
前記放出物の検出器が波長分散型X線分光法検出器である、請求項34に記載のシステム。
【請求項42】
構造を形成し、または改変する装置であって、
試料を保持する真空室、
前記真空室内の前記試料に対して動作するレーザ・システムであり、レンズを含むレーザ・システム、
荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに前記試料から放出された2次粒子によって前記レーザ・システム・レンズが損傷することを防ぐために、前記2次粒子を前記レーザ・システム・レンズからそらす偏向器、
荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに前記試料から放出された2次粒子によって荷電粒子光学カラム構成要素が損傷することを防ぐために、前記2次粒子を荷電粒子光学カラム構成要素からそらす偏向器、および/あるいは、
荷電粒子またはレーザ・ビームが衝突したときに前記試料から放出された2次粒子によって前記装置の構成要素が損傷することを防ぐために、前記2次粒子を前記装置の前記構成要素からそらす偏向器
を備える装置。
【請求項43】
前記偏向器が電極を含み、2次粒子電流を決定するために前記電極が増幅器に電気的に接続された、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記偏向器が一組の電極を含む、請求項42に記載の装置。
【請求項45】
前記偏向器が磁気偏向器を含む、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
構造を形成し、または改変する方法であって、
試料を保持する真空室と、荷電粒子ビーム・カラムと、前記真空室内の前記試料に対して動作する、レンズを含むレーザ・システムとを含むシステムを用意すること、および
前記試料に向かって荷電粒子ビームを誘導すること
を含み、前記荷電粒子ビームの衝突が2次粒子の放出を引き起こし、前記方法がさらに、
前記2次粒子によって前記レーザ・システム・レンズが損傷することを防ぐために前記2次粒子を前記レーザ・システム・レンズからそらすための場を提供すること、
前記2次粒子を放出物検出器からそらすための場を提供すること、および
前記2次粒子を前記荷電粒子光学カラムの構成要素からそらすための場を提供すること
を含む方法。
【請求項47】
前記2次粒子を前記レーザ・システム・レンズの前記レンズからそらすことが、前記荷電粒子をそらすための静電場を発生させるために電極を提供することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記2次荷電粒子をそらすための静電場を発生させるために電極を提供することが、前記荷電粒子をそらすように設計された電場を発生させるために複数の電極を提供することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
レーザ・ビーム加工によって構造を形成し、または改変する方法であって、
構造を形成し、または改変するために試料に向かってレーザ・ビームを誘導すること、
前記試料からの放出物を検出すること、
前記試料に特有の前記放出物のある特性を決定すること、および
前記レーザ・ビームが入射している材料が変化したことを前記放出物が示しているときに、前記レーザ・ビーム加工を変更すること
を含む方法。
【請求項50】
前記試料からの放出物を検出することが、前記試料から放出されたルミネセンス、電子、イオン、中性原子または分子、あるいは粒子/ドロップレットを検出することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記試料からの前記放出物が、前記レーザ・ビームの入射に起因する、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記試料に向かって荷電粒子ビームを誘導することをさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項53】
前記試料からの前記放出物が、前記荷電粒子ビームの入射に起因する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記試料を保持する真空室と、荷電粒子ビーム・カラムと、前記真空室内の前記試料に対して動作する、レンズを含むレーザ・システムと、前記試料からの放出物を検出する放出物検出器とを含むシステムを用意すること、および
前記荷電粒子ビームの入射によって生成された前記2次粒子によって前記レーザ・システム・レンズが損傷することを防ぐために前記2次粒子を前記レーザ・システム・レンズからそらすための場を提供すること、
前記2次粒子を放出物検出器からそらすための場を提供すること、および
前記2次粒子を前記荷電粒子光学カラムの構成要素からそらすための場を提供すること
をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記レーザ・ビーム加工を変更することが、前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導するのを止めること、ガス流量を変えること、パルスあたりのフルエンスなどのレーザ・パラメータを変えること、電子またはイオン・ビームをブランキングすること、あるいは前記試料を支持しているステージを動かすことを含む、請求項49〜54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することが、10-3ミリバール未満または50ミリバール未満の圧力を有する環境中で前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することを含む、請求項49〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された電子電流を決定することを含む、請求項49〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記表面から放出された電子電流を決定することが、前記試料と前記試料と直接にまたは間接的に接触したグランドとの間の電流を測定することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された電子のエネルギーを決定することを含む、請求項49〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記放出物のある特性を決定することが、前記試料から放出された光子を検出することを含む、請求項49〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記放出物のある特性を決定することが、特性波長を有する光子を検出することを含む、請求項49〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記放出物のある特性を決定することが、前記特性波長以外の波長を有する光子をフィルタリングによって除去することを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記放出物のある特性を決定することが、前記表面から放出された粒子の質量を決定することを含む、請求項49〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記放出物のある特性を決定することが、前記表面から放出された粒子の電荷対質量比を決定することを含む、請求項49〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記表面から放出された粒子の質量を決定する前に中性粒子をイオン化することをさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
中性粒子をイオン化することが、レーザ・ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
中性粒子をイオン化することが、電子ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
中性粒子をイオン化することが、第1のレーザ・ビームによって前記試料から追い出された展開中の放出物をイオン化するために、時間遅延レーザ・ビームを誘導することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
中性粒子をイオン化することが、第2のレーザ・ビームを使用して中性粒子をイオン化することを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記表面から放出された粒子の質量を決定することが、誘導結合プラズマ質量分析法を使用して質量を決定することを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記試料に向かって前記レーザ・ビームを誘導することが、1ピコ秒未満のパルス持続時間を有するパルス・レーザを前記試料に向かって誘導することを含む、請求項49〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記放出物のある特性を決定することが、狭帯域検出器を使用して、指定された特性を有する放出物だけを検出することを含む、請求項49〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物の電流を決定することを含む、請求項49〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物のエネルギーを決定することを含む、請求項49〜73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記放出物のある特性を決定することが、前記放出物のエネルギー・スペクトルを決定することを含む、請求項49〜74のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527637(P2011−527637A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517574(P2011−517574)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/049961
【国際公開番号】WO2010/006067
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】