説明

レーダ装置およびアクティブターゲット装置

【課題】レーダ波を送信して目標物からの折り返し信号を受信し、各目標物との詳細な距離/速度を検出するとともに、目標物における無駄な電力消費を削減する。
【解決手段】制御部101は、無線通信機能の動作時に、目標物のアクティブターゲット装置を指定する局ID情報を含むパケットデータPDを出力し、変調回路105は、そのデータを発振器104からのレーダ波に乗せて送信する。アクティブターゲット装置は、自局の局ID情報を受信した場合に折り返し送信を起動し、ミキサ108は、レーダ機能の動作時に、送信レーダ波の一部と折り返し送信されたレーダ波を混合することにより、ビート信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内または屋外においてレーダ波を送信して1つ以上の目標物からの折り返し信号を受信し各目標物との相対距離および相対速度を検出するアクティブターゲット検出システムに係り、このようなシステムに用いられる通信統合レーダ装置およびアクティブターゲット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標物との相対距離および相対速度を検出できる簡易な構成のレーダ方式としてFM−CW(Frequency Modulated-Continuous Wave )方式が用いられている。FM−CW方式レーダは、ミリ波帯の発振源を三角波で変調して送信し、目標物から反射してきた受信波と送信波の一部をミキシングすることで、目標物までの距離Rと相対速度Vの信号成分が含まれているビート信号を得ている(例えば、非特許文献1参照)。ミリ波帯を用いた安価で温度安定性に優れた高性能なFM−CW方式レーダもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、FM−CW方式レーダを利用して障害物の種類、特に車両の走行時に衝突等の危険性のある障害物の識別を正確に行うことが可能な障害物検知システムもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このシステムでは、FM−CW方式レーダにおいて受信したレーダ波を周波数fcの変調信号にて振幅変調して返送するトランスポンダが各車両に搭載され、レーダ波の送受信により車両前方の障害物を検出するFM−CW方式のレーダ装置には、受信波に送信波の一部を混合(ミキシング)してなる中間周波数(IF)信号から、周波数fc近傍の信号成分、すなわちトランスポンダにて変調された信号Ifmを抽出するバンドパスフィルタ(BPF)と、その信号Ifmに周波数fcの第2ローカル信号をミキシングして第2ビート信号を生成するミキサと、これをアナログ/デジタル(AD)変換して電子制御装置(ECU)に供給するAD変換器とが設けられる。
【0005】
さらに、FM−CW方式レーダを利用して特定物体の識別を行うことが可能な障害物検知システムも提案されている(例えば、特許文献3参照)。このシステムでは、車載レーダ装置は、起動コマンドを表す変調信号にて周波数変調された起動波を送信後、FM−CW方式レーダで用いられる三角波状に周波数変調された探査波を送信する。そして、歩行者等が携帯するワイヤレスカードは、起動波を受信すると一定時間動作して、受信した探査波を応答コマンドを表す変調信号にて変調して生成した応答波を返送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−40169号公報
【特許文献2】特開2000−19246号公報
【特許文献3】特開2001−21644号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“ミリ波技術の基礎と応用”,第2部 第2章 4.5.2 FMCW方式,発行所 株式会社 リアライズ社,pp.233−234,1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のレーダシステムには、次のような問題がある。周囲に複雑な構造物がある環境や、トンネルや屋内の閉空間等において、FM−CW方式レーダを用いて複数の目標物からのビート信号を検出する場合、周囲構造物からの反射によるクラッタの影響が大きく、本来必要とする目標物のビート信号検出が困難となる。
【0009】
特許文献2の障害物検知システムについては、以下の3つの問題を解決しなければ、本発明が属する技術分野における運用が困難である。
(1)レーダ装置に設置される周波数fcの第2ローカル信号とトランスポンダに設置される変調信号fcの周波数偏差によって、測定された距離および相対速度に誤差が生じる場合が考えられる。
(2)複数台のトランスポンダが密集した場合、個々のトランスポンダの判別ができず、複数の車両が停車しているにも関わらず車両1台と判断される場合が考えられる。
(3)携帯型のトランスポンダを人が携帯する場合、周波数fcの変調を常時実施したり、または局の指定がない起動コマンドを受信する度に行うと、電力の消費が大きく、短時間で電源の交換を行わなければならない事態が発生することは明白である。
【0010】
特許文献3の障害物検知システムにおいても、同様の問題が発生する場合が考えられる。
本発明の課題は、レーダ波を送信して目標物のアクティブターゲット装置からの折り返し信号を受信し目標物との相対距離および/または相対速度を検出するアクティブターゲット検出システムにおいて、各目標物との詳細な相対距離および/または相対速度を検出することが可能な通信統合レーダ装置とアクティブターゲット装置を提供することである。
【0011】
また、本発明のもう1つの課題は、無駄な電力消費を削減することが可能なアクティブターゲット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1のアクティブターゲット装置は、復調手段、増幅手段、および制御手段を備え、レーダ波を受信して折り返し送信する。復調手段は、受信したレーダ波からデータを抽出し、増幅手段は、受信したレーダ波を増幅するとともに所定の周波数により変調して折り返し送信する。制御手段は、抽出されたデータを分析して局識別情報(局ID情報)を検出し、検出された局識別情報がそのアクティブターゲット装置を指定する局識別情報である場合に、増幅手段を一定時間動作させる。
【0013】
このようなアクティブターゲット装置を目標物に設置しておけば、複数の目標物からのビート信号を検出する際に、周囲構造物からの反射によるクラッタが存在する場合であっても、局識別情報により指定されたアクティブターゲット装置のみがレーダ波を増幅して折り返し送信するため、目標物毎にビート信号を検出することが可能となる。
【0014】
また、アクティブターゲット装置は、自局の局識別情報を受信した場合に、増幅手段による折り返し送信を起動させるので、アクティブターゲット装置の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0015】
第1のアクティブターゲット装置は、例えば、後述する図2のアクティブターゲット装置に対応する。
本発明の第2のアクティブターゲット装置は、復調手段、増幅手段、および制御手段を備え、レーダ波を受信して折り返し送信する。復調手段は、受信したレーダ波からデータを抽出し、増幅手段は、受信したレーダ波を増幅して折り返し送信する。制御手段は、抽出されたデータを分析して局識別情報を検出し、検出された局識別情報がそのアクティブターゲット装置を指定する局識別情報である場合に、増幅手段を一定時間動作させる。
【0016】
このようなアクティブターゲット装置によれば、第1のアクティブターゲット装置の場合と同様に、目標物毎にビート信号を検出することが可能となり、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0017】
第2のアクティブターゲット装置は、例えば、後述する図21のアクティブターゲット装置に対応する。
本発明の第3のアクティブターゲット装置は、受信レベル検出手段、増幅手段、および閾値判定手段を備え、レーダ波を受信して折り返し送信する。受信レベル検出手段は、受信したレーダ波の受信レベルを検出し、増幅手段は、受信したレーダ波を増幅するとともに所定の周波数により変調して折り返し送信する。閾値判定手段は、検出された受信レベルが所定の閾値を超えた場合に、増幅手段を一定時間動作させる。
【0018】
このようなアクティブターゲット装置を目標物に設置しておけば、複数の目標物からのビート信号を検出する際に、周囲構造物からの反射によるクラッタが存在する場合であっても、受信レベルが閾値を超えたアクティブターゲット装置のみがレーダ波を増幅して折り返し送信するため、選択的にビート信号を検出することが可能となる。
【0019】
また、アクティブターゲット装置は、受信レベルが閾値を超えた場合に、増幅手段による折り返し送信を起動させるので、アクティブターゲット装置の無駄な電力消費を抑えることができる。
【0020】
第3のアクティブターゲット装置は、例えば、後述する図25のアクティブターゲット装置に対応する。
本発明の第4のアクティブターゲット装置は、受信レベル検出手段、増幅手段、および閾値判定手段を備え、レーダ波を受信して折り返し送信する。受信レベル検出手段は、受信したレーダ波の受信レベルを検出し、増幅手段は、受信したレーダ波を増幅して折り返し送信する。閾値判定手段は、検出された受信レベルが所定の閾値を超えた場合に、増幅手段を一定時間動作させる。
【0021】
このようなアクティブターゲット装置によれば、第3のアクティブターゲット装置の場合と同様に、選択的にビート信号を検出することが可能となり、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0022】
第4のアクティブターゲット装置は、例えば、後述する図26のアクティブターゲット装置に対応する。
本発明の通信統合レーダ装置は、制御手段、変調手段、および検出手段を備え、レーダ波を送信して目標物から折り返し送信されたレーダ波を受信する。制御手段は、目標物を指定する局識別情報を含むデータを出力し、変調手段は、無線通信機能の動作時に、そのデータを送信レーダ波に入力する。検出手段は、無線通信機能の動作後におけるレーダ機能の動作時に、送信レーダ波の一部と、局識別情報により指定される目標物から折り返し送信された受信レーダ波を混合することにより、その目標物からのビート信号を検出する。
【0023】
このような通信統合レーダ装置によれば、複数の目標物からのビート信号を検出する際に、周囲構造物からの反射によるクラッタが存在する場合であっても、無線通信機能により特定のアクティブターゲット装置を指定して、レーダ波の折り返し送信を指示することができ、目標物毎にビート信号を検出することが可能となる。
【0024】
また、検出手段が、送信レーダ波の一部と、目標物から折り返し送信された受信レーダ波を混合する第1のミキサ手段と、第1のミキサ手段の出力から第1の周波数を中心周波数とする中間周波数帯域の信号を抽出するバンドパスフィルタ手段と、抽出された中間周波数帯域の信号と第2の周波数の信号を混合する第2のミキサ手段とを含み、制御手段が、第2のミキサ手段の出力から強度の大きな2つの副ビート信号の周波数の差を抽出し、その周波数の差の半分を目標物からのビート信号の周波数として算出するように、通信統合レーダ装置を構成することもできる。
【0025】
この場合、バンドパスフィルタ手段の中心周波数である第1の周波数としては、アクティブターゲット装置で使用される変調信号の周波数を用いることができるが、第2の周波数は第1の周波数と一致する必要がないので、これらの周波数の信号の発生に使用する発振器に対しては、精度の高い周波数偏差が要求されない。このため、安価な部材で精度良くビート信号を検出することが可能となる。
【0026】
第1の周波数は、例えば、後述する図2の周波数fs2に対応し、第2の周波数は、例えば、後述する図1の周波数fs3に対応する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、周囲に複雑な構造物がある環境や、トンネルや屋内の閉空間等において、FM−CW方式レーダを用いて複数の目標物からのビート信号を検出する際に、周囲構造物からの反射によるクラッタが存在する場合であっても、複数の目標物からのビート信号を時間軸上で分離し、詳細なビート信号検出を行うことが可能となる。これにより、各目標物との詳細な相対距離および/または相対速度を検出することができる。
【0028】
また、アクティブターゲット装置が通信統合レーダ装置からの無線による情報を受信したとき、またはレーダ波の受信を検出したときに、折り返し送信を起動させることにより、アクティブターゲット装置の無駄な電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図2】第1のアクティブターゲット装置の構成図である。
【図3】複数の周波数の関係を示す図である。
【図4】周波数の時間変化を示す図である。
【図5】第1の方法における周波数の関係を示す図である。
【図6】第2の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図7】第2の方法における周波数の関係を示す図である。
【図8】通信統合レーダ装置の第1の動作フローチャートである。
【図9】通信統合レーダ装置の第2の動作フローチャートである。
【図10】第3の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図11】第2のアクティブターゲット装置の構成図である。
【図12】時分割動作を示す図である。
【図13】PD1のパケット構造を示す図である。
【図14】PD2のパケット構造を示す図である。
【図15】複数のアクティブターゲット装置を示す図である。
【図16】4つの副ビート信号を示す図である。
【図17】通信統合レーダ装置の第3の動作フローチャートである。
【図18】第4の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図19】第5の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図20】第6の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図21】第3のアクティブターゲット装置の構成図である。
【図22】局IDを指定しない時の強度分布を示す図である。
【図23】局IDを指定した時の強度分布を示す図である。
【図24】パターンマッチングを示す図である。
【図25】第4のアクティブターゲット装置の構成図である。
【図26】第5のアクティブターゲット装置の構成図である。
【図27】列車停止監視システムを示す図である。
【図28】列車停止監視システムの第1の動作フローチャート(その1)である。
【図29】列車停止監視システムの第1の動作フローチャート(その2)である。
【図30】所定位置に固定されたアクティブターゲット装置を示す図である。
【図31】列車停止監視システムの第2の動作フローチャートである。
【図32】列車停止監視システムの第3の動作フローチャートである。
【図33】列車停止監視システムの第4の動作フローチャートである。
【図34】アクティブターゲット装置の動作フローチャートである。
【図35】第1の安全柵ドア制御を示す図(その1)である。
【図36】第1の安全柵ドア制御を示す図(その2)である。
【図37】列車停止監視システムの第5の動作フローチャートである。
【図38】第2の安全柵ドア制御を示す図(その1)である。
【図39】第2の安全柵ドア制御を示す図(その2)である。
【図40】船舶接岸システムを示す図である。
【図41】セキュリティシステムを示す図である。
【図42】第7の通信統合レーダ装置の構成図である。
【図43】第6のアクティブターゲット装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明のアクティブターゲット検出システムの実施の形態を詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、第1の実施形態における通信統合レーダ装置およびアクティブターゲット装置の構成図であり、図3は、このシステムで用いられる複数の信号の周波数間の関係を示している。通信統合レーダ装置およびアクティブターゲット装置は、無線通信機能とFM−CW方式によるレーダ機能を有する。アクティブターゲット装置は、通信統合レーダ装置から無線通信機能により受信したデータ内容を分析し、動的にレーダ機能を起動する無線装置である。
【0031】
図1の通信統合レーダ装置は、制御部101、変調部102、三角波変調発振器103、無線周波数(RF)帯電圧制御発振器104、変調回路105、送信アンテナ106、受信アンテナ107、ミキサ108、110、バンドパスフィルタ(BPF)109、IF発振器111、ローパスフィルタ(LPF)112、AD変換器(ADC)113、および高速フーリエ変換(FFT)部114から構成されている。
【0032】
図2のアクティブターゲット装置は、制御部201、受信アンテナ202、復調回路203、復調部204、増幅器(AMP)205、IF発振器206、および送信アンテナ207から構成されている。
【0033】
通信統合レーダ装置の発振器104は、発振器103が発生した三角波信号により変調されたミリ波帯の信号(周波数fmt)を発生する。制御部101は、アクティブターゲット装置の局ID情報とその他の情報を1つのパケットデータPDとして変調部102へ出力することで、変調部102と変調回路105による無線通信機能を動作させる。変調部102は、例えば、PDからIF帯のサブキャリア信号を生成する回路であり、変調回路105は、例えば、ミリ波帯の増幅器である。
【0034】
使用する変調方法としては、振幅変調(AM変調)、周波数変調(FM変調)、PSK(Phase Shift Keying)変調等のいずれの方法を用いてもよく、使用する変調方法によっては制御部101から三角波変調信号を停止させる制御信号CDを出力して、固定のRF周波数にて無線通信機能を動作させる。
【0035】
アクティブターゲット装置は、通信統合レーダ装置から受信した受信波(周波数fmr)を2つに分岐させ、復調回路203とAMP205に入力させる。受信波の入力により復調回路203と復調部204による無線通信機能が動作し、復調部204からパケットデータPDが制御部201に出力される。復調回路203は、例えば、検波回路であり、復調部204は、検波出力からPDを生成する回路である。
【0036】
制御部201は、パケットデータPDを分析して、その中に自局を指定する局ID情報を検出した場合、一定時間の間IF発振器206を起動させて、第2の周波数fs2の信号をAMP205に入力させる。AMP205は、受信波を増幅するとともに周波数fs2で振幅変調し、通信統合レーダ装置に向けて折り返し送信する。
【0037】
通信統合レーダ装置におけるレーダ機能は、無線通信機能の動作後に起動される。つまり、制御部101からの制御により、時分割にてレーダ機能と無線通信機能を動作させる。
【0038】
レーダ機能では、変調回路105による変調を行わない送信波(周波数fmt)を送信し、通信統合レーダ装置のミキサ108が、無線通信機能により局指定されたアクティブターゲット装置から折り返される受信波(周波数fr)を送信波の一部とミキシングする。
【0039】
図3に示すように、周波数fmtとfmrの差がビート信号の周波数Δfbとなり、受信波には、周波数fmr−fs2(=fmt−Δfb−fs2)の信号と周波数fmr+fs2(=fmt−Δfb+fs2)の信号が含まれている。
【0040】
次に、BPF109が、アクティブターゲット装置で用いられている第2の周波数fs2を中心周波数として、ビート情報を含む周波数帯(IF帯)のIF信号を抽出し、ミキサ110が、抽出されたIF信号と発振器111が発生した第3の周波数fs3の信号をミキシングする。BPF109により抽出されるIF帯には、周波数fs2−Δfbの信号と周波数fs2+Δfbの信号が含まれる。
【0041】
次に、LPF112は、ミキサ110から出力される信号の中からビート信号帯域(BB帯)および副ビート信号帯域(BB2帯)の信号を抽出し、ADC113は、抽出された信号をデジタル信号に変換し、FFT部114は、ピーク周波数を抽出して制御部101に出力する。
【0042】
副ビート信号帯域における強度の大きい2つの副ビート信号は、ミキサ110の出力に含まれる周波数(fs3−fs2)−Δfbの信号と周波数(fs3−fs2)+Δfbの信号に対応し、2つの副ビート信号の周波数の差Δfsbは、ビート信号の周波数Δfbの2倍に対応する。そこで、制御部101は、周波数Δfsbの半分をΔfbとして処理を行い、目標物との相対距離および相対速度を算出する。
【0043】
周波数fs2としては、レーダのRF周波数fmtよりも遥かに低く、かつ、ビート信号の周波数Δfbの2倍以上の周波数が用いられる。また、周波数fs3としては、周波数fs2との周波数差がΔfb以上であるような周波数を用いることが望ましい。
【0044】
このようなシステムによれば、目標物のビート信号帯域(BB2帯)を周囲構造物からの反射波によるビート信号帯域(BB帯)から分離することができ、周囲構造物からのクラッタの影響を受けることなく目標物を検出することが可能となる。また、無線通信機能を用いて通信統合レーダ装置から複数のアクティブターゲット装置の折り返し機能を順次制御することにより、複数の目標物(アクティブターゲット装置)が1ヶ所に集中した場合においても、各目標物のビート信号を正確に検出できる。
【0045】
また、通信統合レーダ装置で使用される第3の周波数fs3はアクティブターゲット装置で使用される第2の周波数fs2と一致する必要がないので、これらの周波数の信号の発生に使用するIF発振器206および111の使用部材に対しては、精度の高い周波数偏差が要求されない。このため、温度変化の激しい環境下においても検出精度の高いビート信号が得られる装置を、安価な部材で製造できるという利点もある。
【0046】
さらに、通信統合レーダ装置からの制御により、消費電力の高い高周波デバイスを必要なときだけ動作させることができるので、従来装置よりも消費電力が抑えられる。
上述したシステムにおいて、通信統合レーダ装置の制御部101から出力されるパケットデータPDに、アクティブターゲット装置で用いられる周波数fs2の情報、折り返し送信機能を動作させる時間の情報(折り返し送信時間情報)、各種アプリケーション(例えば、アプリケーションプログラム)の情報等を含めてもよい。
【0047】
この場合、アクティブターゲット装置の制御部201は、パケットデータPDの中から周波数fs2の情報や折り返し送信時間情報を検出し、その情報に従ってIF発振器206の発振周波数や折り返し送信の動作時間を制御する。また、制御部201は、パケットデータPDの中から指定されたアプリケーションの情報を検出し、その情報に従って対応するアプリケーションを動作させる。
【0048】
なお、図2のAMP205は、周波数fs2による振幅変調を行っているが、代わりに周波数fs2による周波数変調を行うようにしてもよい。
次に、図4から図7までを参照しながら、Δfbの計算の具体例について説明する。
(1)第1の方法
図4は、FM−CW方式の送信レーダ波、受信レーダ波、およびビート信号の周波数の時間変化の例を示している。送信レーダ波の周波数401と受信レーダ波の周波数402は、発振器103が発生する三角波信号の周期に合わせて増減を繰り返し、三角波信号の周波数が増加する時間区間に得られるビート信号はアップビート信号と呼ばれ、三角波信号の周波数が減少する時間区間に得られるビート信号はダウンビート信号と呼ばれる。一般に、目標物が相対速度を有する場合、アップビート信号の周波数(アップビート周波数)403とダウンビート信号の周波数(ダウンビート周波数)404は異なっている。
【0049】
アップビート周波数403を求める場合において、受信レーダ波のfmrが60.5GHzで、送信レーダ波のfmtが60.5001GHzとなる時刻tについて説明する。fs2は10MHzとし、fs3は10.3MHzとする。
【0050】
まず、FM−CW方式の基本原理による計算方法では、受信レーダ波(60.5GHz)と送信レーダ波(60.5001GHz)の一部をミキシングすることにより、アップビート周波数100kHzが得られる。なお、ビート周波数の最大値Δfb_maxは、三角波信号の周波数、送信レーダ波の最大周波数推移幅、およびADCのサンプリング周波数等の回路構成に基づく要素により決められる。
【0051】
図2のアクティブターゲット装置では、通信統合レーダ装置から自局のID情報を受信した後、受信レーダ波(60.5GHz)をfs2(10MHz)の信号でAM変調する。その結果、60.5GHz±10MHzの両側波が得られ、アクティブターゲット装置からはfmr(60.5GHz)と60.51GHzと60.49GHzの周波数成分を持つレーダ波が送信される。
【0052】
図1の通信統合レーダ装置では、図5に示すように、アクティブターゲット装置から受信したfmr(60.5GHz)と60.51GHzと60.49GHzの周波数成分を含むレーダ波と、送信レーダ波の一部(fmt=60.5001GHz)とをミキサ108によりミキシングし、9.9MHzと10.1MHzの周波数成分を含むIF信号を得る。
【0053】
なお、ミキサ108から出力される数100kHz程度のクラッタの周波数成分は、IF帯のBPF109により除去される。ここでは、中心周波数をfs2(10MHz)とし、通過帯域幅をΔfb_maxの2倍の帯域幅とするフィルタ回路がBPF109として用いられる。
【0054】
次に、BPFから出力される9.9MHzと10.1MHzのIF信号は、ミキサ110により、周波数fs3(10.3MHz)の信号とミキシングされ、200kHzと400kHzの周波数成分を含むBB2帯の信号が得られる。なお、ミキサ110から出力される信号に対しては、LPF112により高周波数成分が除去された後、ADC113を経てFFT部114で高速フーリエ変換信号処理が行われる。ここでは、fs3−fs2+Δfb_max以上の高周波数成分を除去するフィルタ回路がLPF112として用いられる。
【0055】
FFT部114は、振幅レベルの高い2つの副アップビート信号の周波数として200kHzおよび400kHzを出力し、制御部101は、2つの副アップビート周波数fsb1(200kHz)およびfsb2(400kHz)から、次式により正アップビート信号の周波数Δfb(100kHz)を求める。
【0056】

Δfb=Δfsb/2=(fsb2−fsb1)/2 (1)

この第1の方法によれば、上述したように、IF発振器206および111として、周波数偏差の精度に関係なく安価な部品を使用しても、正確なビート信号Δfbを得ることができる。
(2)第2の方法
Δfbの第2の計算方法では、ミキサ108の出力から直接BB2帯の信号を得ることが可能な周波数をfs2として用い、図1の構成に代えて、図6に示すような通信統合レーダ装置を用いる。図6の通信統合レーダ装置では、IF発振器111、BPF109、およびミキサ110は使用していない。
【0057】
アップビート周波数を求める場合において、受信レーダ波のfmrが60.5GHzで、送信レーダ波のfmtが60.5001GHzとなる時刻tについて説明する。fs2は300kHzとする。
【0058】
図2のアクティブターゲット装置では、通信統合レーダ装置から自局のID情報を受信した後、受信レーダ波(60.5GHz)をfs2(300kHz)の信号でAM変調する。その結果、60.5GHz±300kHzの両側波が得られ、アクティブターゲット装置からはfmr(60.5GHz)と60.5003GHzと60.4997GHzの周波数成分を持つレーダ波が送信される。
【0059】
図6の通信統合レーダ装置では、図7に示すように、アクティブターゲット装置から受信したfmr(60.5GHz)と60.5003GHzと60.4997GHzの周波数成分を含むレーダ波と、送信レーダ波の一部(fmt=60.5001GHz)とをミキサ108によりミキシングし、200kHzと400kHzの周波数成分を含むBB2帯の信号を得る。
【0060】
なお、ミキサ108から出力される信号に対しては、LPF112により高周波数成分が除去された後、ADC113を経てFFT部114で高速フーリエ変換信号処理が行われる。ここでは、fs2+Δfb_max以上の高周波数成分を除去するフィルタ回路がLPF112として用いられる。
【0061】
FFT部114は、振幅レベルの高い2つの副アップビート信号の周波数として200kHzおよび400kHzを出力し、制御部101は、2つの副アップビート周波数fsb1(200kHz)およびfsb2(400kHz)から正アップビート信号の周波数Δfb(100kHz)を求める。
【0062】
なお、BB帯ではFM−CW方式の基本原理によるビート信号が得られるので、制御部101は、FFT部114の出力値を従来のビート信号の周波数として処理してもよい。
次に、図8から図17までを参照しながら、複数の目標物からのビート信号を検出する方法について説明する。
【0063】
図8は、あらかじめ局ID情報が設定された3つの目標物からのビート信号を検出する場合の通信統合レーダ装置の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置は、まず、1番目の目標物のアクティブターゲット装置の局ID情報としてID1を指定し、無線通信機能により送信する(ステップ901)。そして、指定したアクティブターゲット装置から応答があるか否かをチェックし(ステップ902)、応答があればレーダ機能によりビート信号を検出して、1番目の目標物との相対距離および相対速度を計算し、制御部101内のメモリに格納する(ステップ903)。
【0064】
次に、2番目の目標物のアクティブターゲット装置の局ID情報としてID2を送信する(ステップ904)。そして、指定したアクティブターゲット装置から応答があるか否かをチェックし(ステップ905)、応答があればビート信号から2番目の目標物との相対距離および相対速度を計算し、メモリに格納する(ステップ906)。
【0065】
次に、3番目の目標物のアクティブターゲット装置の局ID情報としてID3を送信する(ステップ907)。そして、指定したアクティブターゲット装置から応答があるか否かをチェックし(ステップ908)、応答があればビート信号から3番目の目標物との相対距離および相対速度を計算し、メモリに格納する(ステップ909)。4つ以上の目標物からのビート信号を検出する場合も、同様の動作を行う。
【0066】
図9は、目標物の識別情報を動的に生成しながら複数の目標物からのビート信号を検出する場合の通信統合レーダ装置の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置は、まず、特定の局ID情報を指定しないブロードキャスト送信により、周辺の目標物のアクティブターゲット装置を検索する(ステップ1001)。
【0067】
次に、検索結果に基づいて目標物の識別情報を設定する(ステップ1002)。例えば、複数のアクティブターゲット装置がブロードキャスト送信に応答した場合、それらのアクティブターゲット装置のビート信号から相対距離と相対速度を求め、距離情報および/または速度情報を含む識別情報を生成する。
【0068】
ここで、第1、第2、および第3の3つの識別情報を生成したものとすると、局ID情報の代わりに各識別情報を用いて図8と同様の動作を行うことにより、それぞれの識別情報に該当するアクティブターゲット装置から個別にビート信号を検出する(ステップ1003〜1011)。
【0069】
このような検出方法によれば、周辺に存在する多数の目標物のうち、特定の距離だけ離れているもの、あるいは特定の速度で移動しているもののみを指定して、ビート信号を検出することが可能となる。
【0070】
以下では、速度情報を目標物の識別情報として用いる例について説明する。この場合の通信統合レーダ装置およびアクティブターゲット装置の構成図は、それぞれ、図10および図11のようになる。
【0071】
図11のアクティブターゲット装置は、図2のアクティブターゲット装置に変調部1201と変調回路1202が追加された構成を有し、通信方式にパッシブ方式を用いている。なお、パケットデータPD2による変調動作を行わない場合は、変調回路1202は単なる増幅器として機能するか、もしくはスイッチ回路により変調回路1202を迂回する構成とする。
【0072】
図10の通信統合レーダ装置は、図1の通信統合レーダ装置に復調回路1101と復調部1102が追加された構成を有し、受信アンテナ101の後段で受信波を復調回路1101に分岐させて、パケットデータPD2を抽出している。なお、分岐点にスイッチ回路を挿入して、復調動作を行うときだけ受信波を復調回路1101側に切り替えてもよい。また、分岐点またはスイッチ回路をミキサ108の後段に設置してもよい。
【0073】
通信統合レーダ装置の制御部101からの制御によりレーダ機能と無線通信機能は時分割で動作し、図12に示すように、無線通信機能の動作後にレーダ機能が動作する。無線通信機能では、通信統合レーダ装置からアクティブターゲット装置に向けてパケットPD1が送信された後、アクティブターゲット装置から通信統合レーダ装置に向けてパケットPD2が送信される。
【0074】
パケットPD1は、図13に示すように、ヘッダ部1401およびデータ部1402からなり、ヘッダ部1401は、宛先ID(局ID情報)、送信元ID、および図9のステップ1002において設定された速度指定情報1413を含む。パケットPD2は、図14に示すように、ヘッダ部1501およびデータ部1502からなり、ヘッダ部1501は、宛先IDおよび送信元IDを含む。
【0075】
アクティブターゲット装置は、ブロードキャストを示す(特定の局ID情報を指定しない)宛先ID1411を含み、速度指定情報1413の指定がないPD1を受信したとき、PD2の送信は行わない。また、ブロードキャストを示す宛先ID1411を含み、速度指定情報1413の指定が有るPD1を受信したとき、制御部201は、自局の速度情報が速度指定情報1413に該当するか否かをチェックする。そして、自局の速度情報が速度指定情報1413に該当すれば、PD2の送信を行う。
【0076】
また、通信統合レーダ装置の制御部101は、局ID情報としてブロードキャストを示す宛先ID1411を設定したPD1を送信し、複数の正ビート信号の周波数を取得する。
【0077】
例えば、上述したΔfbの計算の具体例における第1の方法を用いて、通信統合レーダ装置からブロードキャスト送信を行った場合について説明する。
図15に示すように、通信統合レーダ装置1601とアクティブターゲット装置(A)1602が静止しており、移動中のアクティブターゲット装置(B)1604が時速Smの速度で通信統合レーダ装置1601に近づいているときに、通信統合レーダ装置1601がPD1をブロードキャスト送信したとする。
【0078】
このとき、アクティブターゲット装置1602および1604は、PD1の宛先ID1411の内容がブロードキャストを示しているため、受信レーダ波(周波数fmr)を周波数fs2のAM変調により変調して、折り返し送信する。
【0079】
すると、通信統合レーダ装置1601のFFT部114からは、図16に示すような振幅レベルの高い4つの副ビート信号の周波数成分が得られる。制御部101は、最も高い周波数の副ビート信号と最も低い周波数の副ビート信号をペアにしてそれらの周波数の差Δfsb_(B)を求めた後、2番目に高い周波数の副ビート信号と2番目に低い周波数の副ビート信号をペアにしてそれらの周波数の差Δfsb_(A)を求める。
【0080】
その結果、Δfsb_(A)とΔfsb_(B)から正ビート信号の周波数として、それぞれΔfb_(A)とΔfb_(B)を算出することができる。
なお、制御部101は、正ビート信号の周波数の算出後、アップビート信号とダウンビート信号のペアリング処理を行い、Δfb_(A)とΔfb_(B)の速度情報を抽出する。
【0081】
こうして、通信統合レーダ装置1601は、いずれかのアクティブターゲット装置の速度を用いて速度指定情報1413を生成することができる。アクティブターゲット装置1602および1604は、それぞれ、速度計1603および1605から自局の移動速度を取得して、その速度が通信統合レーダ装置1601から受信した速度指定情報1413に該当するか否かをチェックする。
【0082】
図17は、このような通信統合レーダ装置の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置は、まず、ブロードキャストを示す宛先ID1411を有し、速度指定情報1413が入力されていないPD1をブローキャスト送信し(ステップ1801)、受信波に対してFFT部114および制御部101による処理を行う(ステップ1802)。
【0083】
制御部101は、正ビート信号が検出されたか否かをチェックし(ステップ1803)、正ビート信号が検出されなければ、ステップ1801以降の動作を繰り返す。正ビート信号が検出されれば、次に、検出された正ビート信号から速度情報を抽出し、それらの中に所望の速度情報を持つビート信号があるか否かをチェックする(ステップ1804)。そのような正ビート信号がなければ、ステップ1801以降の動作を繰り返す。
【0084】
所望の速度情報を持つビート信号があれば、通信統合レーダ装置は、次に、ブロードキャストを示す宛先ID1411を有し、その速度情報を指定する速度指定情報1413が入力されたPD1をブローキャスト送信し(ステップ1805)、受信波に対してFFT部114および制御部101による処理を行う(ステップ1806)。
【0085】
制御部101は、PD2を正常に受信したか否かをチェックし(ステップ1807)、PD2を正常に受信していれば、次に、正ビート信号を1つだけ検出したか否かをチェックする(ステップ1808)。正ビート信号を1つだけ検出していれば、そのPD2の送信元ID1512と正ビート信号の周波数あるいは速度情報を関連付けてメモリに格納し(ステップ1809)、ステップ1801以降の動作を繰り返す。
【0086】
ステップ1807においてPD2を正常に受信していない場合、および、ステップ1808において正ビート信号を複数個検出した場合、PD1の再送を行うか否かを判定する(ステップ1810)。そして、PD1の再送を行う場合はステップ1805以降の動作を繰り返し、PD1の再送を行わない場合はステップ1801以降の動作を繰り返す。
【0087】
なお、距離情報を目標物の識別情報として用いる場合も、同様の方法でビート信号を検出することが可能である。
図1の通信統合レーダ装置に従来のビート信号検出回路を追加すると、図18のような構成になる。図18の通信統合レーダ装置では、LPF1901、ADC1902、およびFFT部1903が追加されており、ミキサ108からの出力を2つに分岐させ、一方は副ビート信号検出に用い、一方は従来のビート信号検出に用いている。従来のビート信号検出回路では、ミキサ108の出力から直接ビート信号の周波数を抽出する。また、副ビート信号検出後のビート信号処理と従来のビート信号処理を共通化し、時分割で処理を行うようにしてもよい。
【0088】
また、図19に示すような通信統合レーダ装置を用いれば、第2の周波数fs2の値が異なる2つのアクティブターゲット装置からの折り返し信号を受信し、同時に副ビート信号の検出を行うことが可能となる。
【0089】
図19の通信統合レーダ装置では、図1の通信統合レーダ装置にBPF2001、ミキサ2002、LPF2003、ADC2004、およびFFT部2005が追加されている。そして、ミキサ108からの出力を2つに分岐させ、一方は1つのアクティブターゲット装置からの副ビート信号検出(BB2−1帯)に用い、もう一方は別のアクティブターゲット装置からの副ビート信号検出(BB2−2帯)に用いている。ただし、2つの副ビート信号検出回路において、第3の周波数fs3としては共通の値を使用している。
【0090】
次に、第2の実施形態について説明する。図20および図21は、それぞれ、第2の実施形態における通信統合レーダ装置およびアクティブターゲット装置の構成図である。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、無線通信機能とレーダ機能は時分割で動作する。
【0091】
図20の通信統合レーダ装置は、制御部2101、変調部2102、三角波変調発振器2103、RF帯電圧制御発振器2104、変調回路2105、送信アンテナ2106、受信アンテナ2107、ミキサ2108、LPF2109、ADC2110、およびFFT部2111から構成されている。
【0092】
図21のアクティブターゲット装置は、制御部2201、受信アンテナ2202、復調回路2203、復調部2204、AMP2205、および送信アンテナ2206から構成されている。
【0093】
通信統合レーダ装置の発振器2104は、発振器2103が発生した三角波信号により変調されたミリ波帯の信号(周波数fmt)を発生する。制御部2101は、アクティブターゲット装置の局ID情報とその他の情報を1つのパケットデータPDとして変調部2102へ出力することで、変調部2102と変調回路2105による無線通信機能を動作させる。
【0094】
アクティブターゲット装置は、通信統合レーダ装置から受信した受信波(周波数fmr)を2つに分岐させ、復調回路2203とAMP2205に入力させる。受信波の入力により復調回路2203と復調部2204による無線通信機能が動作し、復調部2204からパケットデータPDが制御部2201に出力される。
【0095】
制御部2201は、パケットデータを分析して、その中に自局を指定する局ID情報を検出した場合、一定時間の間AMP制御信号CD2を出力してAMP2205を動作させる。AMP2205は、受信波を増幅して通信統合レーダ装置に向けて折り返し送信する。
【0096】
また、制御部2201は、パケットデータPDの中から折り返し送信時間情報を検出した場合、その情報に従って折り返し送信の動作時間を制御し、パケットデータPDの中から各種アプリケーションの情報を検出した場合、その情報に従って対応するアプリケーションを動作させる。
【0097】
通信統合レーダ装置のミキサ2108は、アクティブターゲット装置から折り返される受信波(周波数fr)を送信波(周波数fmt)の一部とミキシングする。LPF2109は、ミキサ2108から出力される信号の中からビート信号帯域(BB帯)の信号を抽出し、ADC2110は、抽出された信号をデジタル信号に変換し、FFT部2111は、ピーク周波数を抽出して制御部2101に出力する。
【0098】
局ID情報を指定しないでPDを送信した場合、アクティブターゲット装置からの折り返し送信は行われない。この場合、図22に示すように、BB帯には、周囲構造物からのクラッタの信号とともにアクティブターゲット装置からの反射波のビート信号(周波数fbt)が含まれる。
【0099】
これに対して、局ID情報を指定してPDを送信した場合、図23に示すように、BB帯には、アクティブターゲット装置から折り返し送信されたレーダ波のビート信号(周波数fbt)が含まれる。この場合のビート信号の強度は、図22のビート信号の強度より大きくなる。したがって、局ID情報を指定したPDと指定しないPDを併用することで、所望の目標物のビート信号とクラッタの信号とを判別することが可能となる。
【0100】
そこで、制御部2101は、局ID情報の送信パターンとFFT部2111により検出される各ビート信号の強度変化パターンとのマッチングを取り、送信パターンと同様の強度変化パターンを示すビート信号の周波数を、局ID情報により指定したアクティブターゲット装置のビート信号の周波数と判断する。
【0101】
図24は、制御部2101によるパターンマッチングの例を示している。図24の各行の説明は以下の通りである。
(1)時分割で交互に動作する無線通信機能とレーダ機能の種別
(2)無線通信機能において、特定の局ID情報が指定されているか否かの種別
(3)制御部2101が保持する局ID情報の送信パターン(局ID情報が指定されていれば論理“1”とし、指定されていなければ論理“0”とする。)
(4)レーダ機能におけるビート信号(周波数fbt)の強度変化
(5)ビート信号(周波数fbt)の強度変化パターン(直前のビート信号より増加したとき(+XdBのとき)論理“1”とし、直前のビート信号より減少したとき(−XdBのとき)論理“0”とする。)
制御部2101は、無線通信機能動作時の局ID情報の送信パターン(3)を、直後のレーダ機能動作時の強度変化パターン(5)と比較し、両者が一致した場合に、指定した局ID情報を有するアクティブターゲット装置のビート信号の周波数はfbtであると判断する。
【0102】
このようなシステムによれば、周囲構造物からのクラッタの影響を受けたビート信号帯域(BB帯)の中から目標物のビート信号を検出することが可能となる。また、無線通信機能を用いて通信統合レーダ装置から複数のアクティブターゲット装置の折り返し機能を順次制御することにより、複数の目標物(アクティブターゲット装置)が1ヶ所に集中した場合においても、各目標物のビート信号を正確に検出できる。
【0103】
また、通信統合レーダ装置からの制御により、消費電力の高い高周波デバイスを必要なときだけ動作させることができるので、従来装置よりも消費電力が抑えられる。
ところで、より簡単な構成でアクティブターゲット装置の電力消費を極力抑えるために、図2および図21の回路構成に代えて、それぞれ図25および図26に示すような回路構成を採用することも可能である。
【0104】
図25のアクティブターゲット装置は、受信アンテナ202、AMP205、IF発振器206、送信アンテナ207、受信レベル検出回路2601、および閾値判定回路2602から構成され、通信統合レーダ装置から受信した受信波を2つに分岐させて、一方は受信レベル検出回路2601に入力し、一方はAMP205に入力している。
【0105】
受信レベル検出回路2601は、受信波のレベルを検出し、閾値判定回路2602は、検出された受信波のレベルを閾値と比較してIF発振器206のON/OFF制御を行う。閾値判定回路2602は、受信波のレベルが閾値を超えた場合にIF発振器206を起動して、周波数fs2の信号を一定時間AMP205に入力する。AMP205は、受信波を増幅するとともに周波数fs2で振幅変調し、通信統合レーダ装置に向けて折り返し送信する。
【0106】
図26のアクティブターゲット装置は、受信アンテナ2202、AMP2205、送信アンテナ2206、受信レベル検出回路2701、および閾値判定回路2702から構成され、通信統合レーダ装置から受信した受信波を2つに分岐させて、一方は受信レベル検出回路2701に入力し、一方はAMP2205に入力している。
【0107】
受信レベル検出回路2701は、受信波のレベルを検出し、閾値判定回路2702は、検出された受信波のレベルを閾値と比較してAMP2205のON/OFF制御を行う。閾値判定回路2702は、受信波のレベルが閾値を超えた場合にAMP2205を起動する。AMP2205は、受信波を一定時間増幅して通信統合レーダ装置に向けて折り返し送信する。
【0108】
このような簡単な回路構成を採用することにより、消費電力を抑えた安価なアクティブターゲット装置を提供することが可能となる。
次に、上述したアクティブターゲット検出システムの具体的な適用例について説明する。
【0109】
まず、図27から図39までを参照しながら、停車場内列車停止監視システムの適用例について説明する。
図27は、アクティブターゲット検出システムを用いた列車停止監視システムを示している。通信統合レーダ装置2801は、駅周辺等に設けられた停車場内に設置され、目標物である列車2803に設置されたアクティブターゲット装置2802のビート信号を検出することで、列車2803の挙動(停車等)を監視し、停車場信号機2804の状態を遷移させる制御を行う。
【0110】
通信統合レーダ装置2801は、ビート信号から取得したアクティブターゲット装置2802までの距離とその速度を、アクティブターゲット装置2802から折り返し送信された局ID情報と関連付けることで、特定の列車の挙動を高精度に認識することができる。
【0111】
例えば、図1および図2の回路構成を採用した場合、通信統合レーダ装置2801およびアクティブターゲット装置2802の構成は、それぞれ、図10および図11のようになる。
【0112】
図28および図29は、通信統合レーダ装置2801の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置2801は、常時、停車場内へ列車2803が進入したか否かを監視している(図28のステップ3101および3102)。
【0113】
監視時には、まず、局ID情報を指定してアクティブターゲット装置2802を検索し、ビート信号を検出すると距離および速度を計測する(ステップ3101)。アクティブターゲット装置2802の検索では、例えば、図8に示したような手順で既知の局ID情報を順に指定して無線通信を行う。
【0114】
そして、アクティブターゲット装置2802からのパケットを受信したか否かをチェックする(ステップ3102)。パケットを受信していなければ、指定した局ID情報に対応する列車2803が存在しないものと判断し、別の局ID情報を指定してステップ3101以降の動作を繰り返す。
【0115】
パケットを受信すると、列車2803の存在を認識し、制御部101は、局ID情報から列車種別を判定する(ステップ3103)。アクティブターゲット装置2802の局ID情報は、列車2803の固有情報(普通列車、特急列車、急行列車等)を表しており、これを用いて列車種別を判定することができる。そして、判定結果に基づいて、信号機2804に停止現示を指示する(赤信号に切り替える)等の制御を行う(ステップ3107)。
【0116】
次に、局ID情報と計測した距離および速度を関連付けてメモリに格納し(ステップ3104)、管理センターへ進入列車の情報を通知する等の処理を行う(ステップ3108)。
【0117】
次に、局ID情報から列車2803が駅に停車する列車か否かを判定し(ステップ3105)、駅に停車する列車でなければ、別の局ID情報を指定してステップ3101以降の動作を繰り返す。列車2803が駅に停車する列車であれば、次に、距離および速度に基づいて安全に停車可能か否かを判定する(ステップ3106)。安全に停車不可能と判定した場合は、緊急制動を開始する、信号機2804に停止現示を指示する等の制御を行う(ステップ3109)。
【0118】
安全に停車可能と判定した場合は、次に、速度に基づいて列車2803が停車したか否かを判定し(図29のステップ3201)、列車2803が停車していれば、所定の停止位置の範囲に停車しているか否かを判定する(ステップ3202)。列車2803が所定の範囲に停車していなければ、列車へ警報を送る処理を行い(ステップ3204)、列車2803が所定の範囲に停車していれば、列車のドアを開錠する等の制御を行う(ステップ3203)。
【0119】
このような列車停止監視システムにおいて、列車2803に設置されたアクティブターゲット装置2802とは別のアクティブターゲット装置を用いて、通信統合レーダ装置2801の故障診断を行うことも可能である。
【0120】
図30は、このような故障診断に用いられるアクティブターゲット装置を示している。アクティブターゲット装置3301は、例えば、駅のプラットホーム上の所定位置に固定されており、図11と同様の構成を有する。アクティブターゲット装置3301の局ID情報と通信統合レーダ装置2801までの距離は、あらかじめ制御部101に格納されている。
【0121】
通信統合レーダ装置2801は、所定のタイミングでアクティブターゲット装置3301までの距離を計測することでレーダ計測精度を監視し、計測精度が一定の閾値を超えたときに、装置が故障したものと判断する。
【0122】
図31は、このような故障診断の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置2801は、まず、アクティブターゲット装置3301の局ID情報を指定して、アクティブターゲット装置3301までの距離を計測する(ステップ3401)。そして、制御部101は、計測距離がアクティブターゲット装置3301と通信統合レーダ装置2801の規定距離値の許容範囲を超えたか否かをチェックする(ステップ3402)。
【0123】
規定距離値の許容範囲は、例えば、規定距離値より大きな閾値(上限)と規定距離値より小さな閾値(下限)により定義され、制御部101は、計測距離をこれらの閾値と比較することで、計測距離が許容範囲を超えたか否かをチェックする。
【0124】
計測距離が許容範囲を超えていなければ、ステップ3401以降の動作を繰り返し、計測距離が許容範囲を超えていれば、故障が発生したものと判断して、管理センターへ通知する等の処理を行う(ステップ3403)。
【0125】
また、計測距離が規定距離値の許容範囲を超えた回数に基づいて故障診断を行うことも考えられる。図32は、このような故障診断の動作フローチャートである。
通信統合レーダ装置2801は、まず、アクティブターゲット装置3301までの距離を計測し(ステップ3501)、制御部101は、計測距離が規定距離値の許容範囲を超えたか否かをチェックする(ステップ3502)。
【0126】
計測距離が許容範囲を超えていなければ、事象回数Nを0に設定して(ステップ3506)、ステップ3501以降の動作を繰り返す。計測距離が許容範囲を超えていれば、N=N+1とおいて(ステップ3503)、Nが規定回数を超えたか否かをチェックする(ステップ3504)。
【0127】
Nが規定回数を超えていなければ、ステップ3501以降の動作を繰り返し、Nが規定回数を超えていれば、故障が発生したものと判断して、管理センターへ通知する等の処理を行う(ステップ3505)。このような故障診断方法によれば、計測距離が一定回数以上連続して許容範囲を超えた場合に故障が発生したものと判断される。
【0128】
また、アクティブターゲット装置3301が通信統合レーダ装置2801から局ID情報を受信する度に自局の局ID情報を変化させることで、故障診断を行うことも可能である。この場合、通信統合レーダ装置2801は、アクティブターゲット装置3301が使用する複数の局ID情報をあらかじめ保持している。そして、アクティブターゲット装置3301が存在する方向の一定の方位角の範囲でレーダビーム(アンテナ)をスキャンして、受信した局ID情報の変化を監視することにより、装置の故障診断を行う。
【0129】
なお、通信統合レーダ装置2801にはアンテナ駆動部が設けられており、水平方向のビーム幅が狭いアンテナを水平方向に連続的にスキャン駆動して、連続的に変化する角度情報をアクティブターゲット装置3301のセンシング結果と関連付けるものとする。
【0130】
図33は、このような故障診断の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置2801は、まず、局ID情報を指定してアクティブターゲット装置3301を検索し、ビート信号を検出すると距離および速度とビームの角度を計測する(ステップ3601)。アクティブターゲット装置3301の検索では、例えば、図8に示したような手順で複数の局ID情報を順に指定して、一定の方位角の範囲をスキャンしながら無線通信を行う。そして、アクティブターゲット装置3301からのパケットを受信したか否かをチェックする(ステップ3602)。
【0131】
パケットを受信していなければ、制御部101は、ビームを規定回数スキャンしたか否かをチェックし(ステップ3608)、規定回数スキャンしていなければ、ステップ3601以降の動作を繰り返す。また、ビームを規定回数スキャンしていれば、故障が発生したものと判断する(ステップ3609)。
【0132】
パケットを受信すると、次に、そのパケットを受信したときのビームが規定の角度か否かをチェックする(ステップ3603)。ビームが規定の角度でなければ、受信パケットはアクティブターゲット装置3301からのものではないと判断し、別の局ID情報を指定してステップ3601以降の動作を繰り返す。
【0133】
ビームが規定の角度であれば、受信パケットはアクティブターゲット装置3301からのパケットであると判断し、指定した局ID情報をアクティブターゲット装置3301から前回パケットを受信したときの局ID情報と比較して、局ID情報が変化しているか否かをチェックする(ステップ3604)。
【0134】
局ID情報が変化していれば、装置は正常に動作しているものと判断して、事象回数Nを0に設定し(ステップ3610)、別の局ID情報を指定してステップ3601以降の動作を繰り返す。
【0135】
局ID情報が変化していなければ、N=N+1とおいて(ステップ3605)、Nが規定回数を超えたか否かをチェックする(ステップ3606)。Nが規定回数を超えていなければ、別の局ID情報を指定してステップ3601以降の動作を繰り返し、Nが規定回数を超えていれば、故障が発生したものと判断する(ステップ3607)。
【0136】
図34は、この場合のアクティブターゲット装置3301の動作フローチャートである。アクティブターゲット装置3301の制御部201は、まず、自局の局ID情報を指定したパケットを受信したか否かをチェックする(ステップ3701)。そして、そのようなパケットを受信すると、受信波を折り返し送信した後に自局の局ID情報をあらかじめ決められた方法で変更して(ステップ3702)、ステップ3701以降の動作を繰り返す。
【0137】
このような故障診断方法によれば、ビームを規定回数スキャンしてもアクティブターゲット装置3301からのパケットを受信できなかった場合、あるいは通信統合レーダ装置2801が一定回数以上連続してアクティブターゲット装置3301の局ID情報の変化を認識できなかった場合に、故障が発生したものと判断される。
【0138】
上述した列車停止監視システムにおいて、車両毎に設置されたアクティブターゲット装置からの局ID情報に基づき、車両毎に最適な位置の安全柵ドアを開閉する制御を行うことも可能である。
【0139】
図35および図36は、このような安全柵ドア制御を行う通信統合レーダ装置とアクティブターゲット装置の位置関係を示している。図35は、列車および安全柵を上から見た図であり、図36は、横から見た図である。
【0140】
車両3801および3802には、それぞれ、図11と同様の構成のアクティブターゲット装置3803および3804が設置されており、通信統合レーダ装置2801は、停止した列車の側面からレーダビームを送信する。プラットホーム上の安全柵3805には、ドア3806、3807、および3808が設けられている。
【0141】
停車時のアクティブターゲット装置3803と通信統合レーダ装置2801の距離は、規定距離値D1として、アクティブターゲット装置3803の局ID情報と関連付けられている。また、停車時のアクティブターゲット装置3804と通信統合レーダ装置2801の距離は、規定距離値D2として、アクティブターゲット装置3804の局ID情報と関連付けられている。
【0142】
さらに、アクティブターゲット装置3803の局ID情報は、ドア3806の開ドア情報と関連付けられており、アクティブターゲット装置3804の局ID情報は、ドア3807および3808の開ドア情報と関連付けられている。
【0143】
図37は、この場合の通信統合レーダ装置2801と不図示の安全柵制御装置の動作フローチャートである。通信統合レーダ装置2801は、停車時のアクティブターゲット装置3803の方向とアクティブターゲット装置3804の方向がなす角度θの範囲でレーダビームをスキャンし、アクティブターゲット装置毎に検出動作を行う。
【0144】
通信統合レーダ装置2801は、常時、停車場内へ列車が進入したか否かを監視している(ステップ4001および4002)。監視時には、まず、局ID情報を指定してアクティブターゲット装置を検索し、ビート信号を検出すると距離および速度を計測する(ステップ4001)。
【0145】
そして、アクティブターゲット装置からのパケットを受信したか否かをチェックする(ステップ4002)。パケットを受信していなければ、指定した局ID情報に対応する車両が存在しないものと判断し、別の局ID情報を指定してステップ4001以降の動作を繰り返す。
【0146】
パケットを受信すると、車両の存在を認識し、制御部101は、アクティブターゲット装置までの計測距離が規定距離値の許容範囲内であるか否かをチェックする(ステップ4003)。アクティブターゲット装置3803からのパケットを受信した場合は、規定距離値としてD1が用いられ、アクティブターゲット装置3804からのパケットを受信した場合は、規定距離値としてD2が用いられる。そして、計測距離が許容範囲内でなければ、別の局ID情報を指定してステップ4001以降の動作を繰り返す。
【0147】
計測距離が許容範囲内であれば、規定距離値に関連付けられたアクティブターゲット装置の局ID情報に対応する開ドア情報を出力して(ステップ4004)、安全柵制御装置に対してドアの開閉を指示する(ステップ4005)。これを受けて、安全柵制御装置は、安全柵3805の該当するドアを開閉する(ステップ4006)。
【0148】
アクティブターゲット装置3803からのパケットを受信した場合は、ドア3806が開閉され、アクティブターゲット装置3804からのパケットを受信した場合は、ドア3807および3808が開閉される。
【0149】
このような安全柵ドア制御方法によれば、列車の車両毎に局ID情報を設定しておき、列車の停車時にその局ID情報により指定された位置のドアを選択的に開閉することが可能となる。
【0150】
なお、規定距離値D1およびD2の代わりに、停車時のアクティブターゲット装置3803および3804の方向を指すビームの角度を規定して、安全柵ドア制御を行うこともできる。
【0151】
この場合、停車時のアクティブターゲット装置3803の方向を指すビームの角度は、規定角度値A1として、アクティブターゲット装置3803の局ID情報と関連付けられる。また、停車時のアクティブターゲット装置3804の方向を指すビームの角度は、規定角度値A2として、アクティブターゲット装置3804の局ID情報と関連付けられる。
【0152】
通信統合レーダ装置2801は、ステップ4001においてビームの角度を計測し、制御部101は、ステップ4003において、アクティブターゲット装置3803(または3804)を検出したときの計測角度が規定角度値A1(またはA2)の許容範囲内であるか否かをチェックする。そして、計測角度が許容範囲内であれば、ステップ4004において、規定角度値A1(またはA2)に関連付けられたアクティブターゲット装置3803(または3804)の局ID情報に対応する開ドア情報を出力する。
【0153】
また、通信統合レーダ装置2801を停車している列車の前方(または後方)に設置して、列車の前方(または後方)からレーダビームを送信してもよい。
図38および図39は、この場合の通信統合レーダ装置とアクティブターゲット装置の位置関係を示している。図38は、列車および安全柵を上から見た図であり、図39は、横から見た図である。この場合、ビームをスキャンする必要はなくなる。
【0154】
停車時のアクティブターゲット装置3803と通信統合レーダ装置2801の距離は、規定距離値D3として、アクティブターゲット装置3803の局ID情報と関連付けられる。また、停車時のアクティブターゲット装置3804と通信統合レーダ装置2801の距離は、規定距離値D4として、アクティブターゲット装置3804の局ID情報と関連付けられる。通信統合レーダ装置2801と安全柵制御装置の動作フローは、図37と同様である。
【0155】
上述した安全柵ドア制御においては、車両毎に1つのアクティブターゲット装置を設置しているが、列車編成単位で1つのアクティブターゲット装置を設置した場合でも同様の制御を実現することができる。この場合、アクティブターゲット装置の局ID情報は、列車のすべての車両のための開ドア情報と関連付けられる。
【0156】
さらに、アクティブターゲット装置を各車両のドア毎に設置することも可能である。この場合、各アクティブターゲット装置の局ID情報は、対応する安全柵ドアの開ドア情報と関連付けられる。したがって、レーダ波による距離計測で得られた情報をもとに、アクティブターゲット装置と同等距離に位置する安全柵ドアを選択的に開閉することができる。
【0157】
次に、港湾等で用いられる船舶接岸システムの適用例について説明する。図40に示すように、船舶4301に通信統合レーダ装置4302を設置し、岸壁4303に一定間隔(あらかじめ決められた間隔)で複数のアクティブターゲット装置4304を設置しておく。
【0158】
通信統合レーダ装置4302は、船舶4301が接岸するときに、通信エリア4305内でレーダビームをスキャンして、アクティブターゲット装置4304を検出する。これにより、クラッタの影響を受けることなく、船舶4301と岸壁4303の距離および接岸角度を検出し、船体を岸壁と平行になるように制御することができる。この場合にも、連続的に変化する角度情報がアクティブターゲット装置4304のセンシング結果と関連付けられる。
【0159】
次に、建物の出入り口等で用いられるセキュリティシステムの適用例について説明する。図41に示すように、建物のゲート4401の通過者をチェックするために、監視装置4402、通信統合レーダ装置4403、反射板4404、および常設のアクティブターゲット装置4405が設置される。
【0160】
ゲート4401の外側には、予告エリア4411、アクティブターゲット装置非携帯者検出エリア4412、およびゲート・コントロール・エリア4413があらかじめ設定されており、アクティブターゲット装置4405は、エリア4412内に設置される。通信統合レーダ装置4403は、反射板4404を介してアクティブターゲット装置4405にレーダ波を送信する。
【0161】
人物4421および4423は、それぞれ、アクティブターゲット装置4431および4432を携帯しており、人物4422は、アクティブターゲット装置を携帯していない。
【0162】
例えば、図1および図2の回路構成を採用した場合、通信統合レーダ装置4403の構成は図42のようになり、アクティブターゲット装置4405、4431、および4432の構成は図43のようになる。図42の通信統合レーダ装置は、図10の通信統合レーダ装置と同様の構成を有し、制御部101には外部インタフェースとして監視装置4402が接続される。
【0163】
図43のアクティブターゲット装置は、図11のアクティブターゲット装置の外部インタフェースとして音声アプリケーション部4601、音声データ部4602、およびスピーカ4603が接続された構成を有する。音声アプリケーション部4601は、通信統合レーダ装置から受信したパケットPD1のデータ部に含まれる指示を制御部201から受け取る。そして、その指示に従って音声データ部4602から適切な音声データを取り出し、スピーカ4603から音声を出力する。
【0164】
通信統合レーダ装置の制御部101は、局ID情報と関連付けられたアクティブターゲット装置の位置情報(距離)を監視装置4402に転送する。無線局間のアクセス方法としては、図9に示した目標物の識別情報を動的に指定してビート信号を検出する方法の他に、アンチコリジョン(RF−IDタグ等で使用)、ID巡回(ポーリング/セレクティング)等の方法を複合して用いることができる。
【0165】
監視装置4402は、例えば、コンピュータを用いて構成され、以下の処理を行う。
・局ID情報と関連付けられた位置情報の管理。
・アクティブターゲット装置の音声アプリケーション部4601の制御。
・ゲートの開閉の制御。
【0166】
監視装置4402は、通信統合レーダ装置から送られる情報により、予告エリア4411内にアクティブターゲット装置4431を携帯した人物4421を検出すると、その局ID情報に基づいてゲート4401を通過する権限を有するか否かをチェックする。そして、権限がない人物に対しては、通信統合レーダ装置を介してアクティブターゲット装置を制御することにより、注意を促す音声案内を出力する。
【0167】
この例では、アクティブターゲット装置4431および4432の認証レベルは、それぞれレベルBおよびレベルAに設定されている。レベルAのアクティブターゲット装置4432を携帯する人物4423は、ゲート4401の通過を許可されるが、レベルBのアクティブターゲット装置4431を携帯する人物4421は、ゲート4401の通過を許可されない。
【0168】
したがって、人物4421が予告エリア4411内に進入すると、アクティブターゲット装置4431から「この先は認証レベルBの方は立入り禁止となります。」というような音声案内が出力される。
【0169】
アクティブターゲット装置非携帯者検出エリア4412では、監視装置4402は、アクティブターゲット装置4405と反射板4404により人物の通過を監視している。そして、アクティブターゲット装置4405から反射板4404に向かう信号が遮断された場合、通信統合レーダ装置により、その位置にアクティブターゲット装置を携帯した人物がいるか否かがチェックされる。
【0170】
アクティブターゲット装置を携帯していない人物が検出された場合は、アクティブターゲット装置4405から「この先は関係者以外の方は立入り禁止となります。」というような音声案内が出力される。
【0171】
ゲート・コントロール・エリア4413では、監視装置4402は、認証された局ID情報を有するアクティブターゲット装置4432を介して、人物4423のゲート4401までの距離および速度を監視する。そして、ゲート4401を開けるタイミングと開閉時間を制御し、アクティブターゲット装置非携帯者の連込みを防止する。
【0172】
(付記1) レーダ波を受信して折り返し送信するアクティブターゲット装置であって、
受信したレーダ波からデータを抽出する復調手段と、
前記受信したレーダ波を増幅するとともに所定の周波数により変調して折り返し送信する増幅手段と、
抽出されたデータを分析して局識別情報を検出し、検出された局識別情報が前記アクティブターゲット装置を指定する局識別情報である場合に、前記増幅手段を一定時間動作させる制御手段と
を備えることを特徴とするアクティブターゲット装置。
【0173】
(付記2) 前記制御手段は、前記抽出されたデータを分析して前記所定の周波数の情報を検出し、検出された情報に基づいて前記増幅手段を制御することを特徴とする付記1記載のアクティブターゲット装置。
【0174】
(付記3) 前記制御手段は、前記増幅手段を一定時間動作させて折り返し送信を行った後に、前記アクティブターゲット装置を指定する局識別情報を変更することを特徴とする付記1記載のアクティブターゲット装置。
【0175】
(付記4) 監視エリアに進入する人物に対して注意を促す音声案内を出力する音声出力手段をさらに備え、前記制御手段は、前記抽出されたデータに含まれる指示に従って該音声出力手段に該音声案内の出力を指示することを特徴とする付記1記載のアクティブターゲット装置。
【0176】
(付記5) レーダ波を受信して折り返し送信するアクティブターゲット装置であって、
受信したレーダ波からデータを抽出する復調手段と、
前記受信したレーダ波を増幅して折り返し送信する増幅手段と、
抽出されたデータを分析して局識別情報を検出し、検出された局識別情報が前記アクティブターゲット装置を指定する局識別情報である場合に、前記増幅手段を一定時間動作させる制御手段と
を備えることを特徴とするアクティブターゲット装置。
【0177】
(付記6) レーダ波を受信して折り返し送信するアクティブターゲット装置であって、
受信したレーダ波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、
前記受信したレーダ波を増幅するとともに所定の周波数により変調して折り返し送信する増幅手段と、
検出された受信レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記増幅手段を一定時間動作させる閾値判定手段と
を備えることを特徴とするアクティブターゲット装置。
【0178】
(付記7) レーダ波を受信して折り返し送信するアクティブターゲット装置であって、
受信したレーダ波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、
前記受信したレーダ波を増幅して折り返し送信する増幅手段と、
検出された受信レベルが所定の閾値を超えた場合に、前記増幅手段を一定時間動作させる閾値判定手段と
を備えることを特徴とするアクティブターゲット装置。
【0179】
(付記8) レーダ波を送信して目標物から折り返し送信されたレーダ波を受信する通信統合レーダ装置であって、
目標物を指定する局識別情報を含むデータを出力する制御手段と、
無線通信機能の動作時に、前記データを送信レーダ波に入力する変調手段と、
前記無線通信機能の動作後におけるレーダ機能の動作時に、送信レーダ波の一部と、前記局識別情報により指定される目標物から折り返し送信された受信レーダ波を混合することにより、該目標物からのビート信号を検出する検出手段と
を備えることを特徴とする通信統合レーダ装置。
【0180】
(付記9) 前記検出手段は、
前記送信レーダ波の一部と、前記目標物から折り返し送信された受信レーダ波を混合する第1のミキサ手段と、
前記第1のミキサ手段の出力から第1の周波数を中心周波数とする中間周波数帯域の信号を抽出するバンドパスフィルタ手段と、
抽出された中間周波数帯域の信号と第2の周波数の信号を混合する第2のミキサ手段とを含み、
前記制御手段は、前記第2のミキサ手段の出力から強度の大きな2つの副ビート信号の周波数の差を抽出し、該周波数の差の半分を前記目標物からのビート信号の周波数として算出することを特徴とする付記8記載の通信統合レーダ装置。
【0181】
(付記10) 前記検出手段は、前記第1のミキサ手段の出力からビート信号帯域の信号を抽出するローパスフィルタ手段をさらに備え、前記制御手段は、該ローパスフィルタ手段の出力から、前記目標物からのビート信号の周波数を抽出することを特徴とする付記9記載の通信統合レーダ装置。
【0182】
(付記11) 前記検出手段は、
前記送信レーダ波の一部と、前記目標物から折り返し送信された受信レーダ波を混合するミキサ手段と、
前記ミキサ手段の出力からビート信号帯域の信号を抽出するローパスフィルタ手段とを含み、
前記制御手段は、前記無線通信機能とレーダ機能を時分割で交互に動作させる制御を行い、該無線通信機能の動作時に前記局識別情報を含むデータを出力したり該局識別情報を含まないデータを出力したりすることで該局識別情報の有無を表す送信パターンを生成し、該レーダ機能の動作時に検出される前記ビート信号帯域の各ビート信号の強度変化パターンを該送信パターンと比較して、該送信パターンと同様の強度変化パターンを示すビート信号の周波数を、前記目標物からのビート信号の周波数として抽出することを特徴とする付記8記載の通信統合レーダ装置。
【0183】
(付記12) 前記制御手段は、前記局識別情報を含むデータを出力したときに検出されたビート信号の情報を該局識別情報と関連付けることにより、局識別情報毎に目標物の距離情報および/または速度情報を管理することを特徴とする付記8記載の通信統合レーダ装置。
【0184】
(付記13) 停車場内における列車の挙動を監視する列車停止監視システムであって、
レーダ波を送信する送信手段と、
目標物から折り返し送信されたレーダ波を受信する受信手段と、
前記列車を目標物として指定する局識別情報を含むデータを送信レーダ波に入力する変調手段と、
送信レーダ波の一部と、前記局識別情報により指定される列車から折り返し送信された受信レーダ波を混合することにより、該列車からのビート信号を検出する検出手段と、
検出されたビート信号の周波数から前記列車の距離情報および/または速度情報を抽出し、該距離情報および/または速度情報を前記局識別情報と関連付けることで該列車の挙動を認識する制御手段と
を備えることを特徴とする列車停止監視システム。
【0185】
(付記14) 前記変調手段は、所定位置に固定されたアクティブターゲット装置の局識別情報を含むデータを送信レーダ波に入力し、前記検出手段は、該アクティブターゲット装置からのビート信号を検出し、前記制御手段は、検出されたビート信号の周波数から該アクティブターゲット装置の距離情報を抽出して、あらかじめ格納された距離情報と比較することで、前記列車停止監視システムの故障診断を行うことを特徴とする付記13記載の列車停止監視システム。
【0186】
(付記15) 前記送信手段は、所定位置に固定され自局を指定する局識別情報を受信したときに自局の局識別情報を変化させるアクティブターゲット装置に向けてレーダ波を送信し、前記変調手段は、該アクティブターゲット装置が使用する局識別情報を含むデータを送信レーダ波に入力し、前記制御手段は、該アクティブターゲット装置から折り返し送信された局識別情報を前回受信した局識別情報と比較して局識別情報の変化を検出することで、前記列車停止監視システムの故障診断を行うことを特徴とする付記13記載の列車停止監視システム。
【0187】
(付記16) 前記制御手段は、前記列車の停止を認識したとき、前記停車場の安全柵ドアのうち前記局識別情報により指定される位置のドアを選択的に開く制御情報を出力することを特徴とする付記13記載の列車停止監視システム。
【0188】
(付記17) 無線通信機能を動作させて、目標物を指定する局識別情報を含むデータをレーダ波に入力して送信し、
前記無線通信機能の動作後にレーダ機能を動作させてレーダ波を送信し、
前記局識別情報により指定される目標物から折り返し送信されたレーダ波を受信し、
送信レーダ波の一部と受信レーダ波を混合することにより、前記目標物からのビート信号を検出する
ことを特徴とする目標物検出方法。
【符号の説明】
【0189】
101、201、2101、2201 制御部
102、1201、2102 変調部
103、2103 三角波変調発振器
104、2104 RF帯電圧制御発振器
105、1202、2105 変調回路
106、207、2106、2202 送信アンテナ
107、202、2107、2206 受信アンテナ
108、110、2002、2108 ミキサ
109、2001 バンドパスフィルタ
111、206 IF発振器
112、1901、2003、2109 ローパスフィルタ
113、1902、2004、2110 AD変換器
114、1903、2005、2111 高速フーリエ変換部
203、1101、2203 復調回路
204、1102、2204 復調部
205、2205 増幅器
401 送信レーダ波の周波数
402 受信レーダ波の周波数
403 アップビート信号の周波数
404 ダウンビート信号の周波数
1401、1501 ヘッダ部
1402、1502 データ部
1411、1511 宛先ID
1412、1512 送信元ID
1601、2801、4302、4403 通信統合レーダ装置
1602、1604、2802、3301、3803、3804、4304、4405、4431、4432 アクティブターゲット装置
1603、1605 速度計
2601、2701 受信レベル検出回路
2602、2702 閾値判定回路
2803 列車
2804 停車場信号機
3801、3802 車両
3805 安全柵
3806、3807、3808 ドア
4301 船舶
4303 岸壁
4305 通信エリア
4401 ゲート
4402 監視装置
4404 反射板
4411 予告エリア
4412 アクティブターゲット装置非携帯者検出エリア
4413 ゲート・コントロール・エリア
4421、4422、4423 人物
4601 音声アプリケーション部
4602 音声データ部
4603 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局を指定する局識別情報を受信したときに自局の局識別情報を変化させるアクティブターゲット装置が使用する局識別情報を含むデータを送信レーダ波に入力する変調手段と、
前記アクティブターゲット装置に向けて前記送信レーダ波を送信する送信手段と、
前記アクティブターゲット装置から折り返し送信されたレーダ波を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したレーダ波に示される局識別情報を、前回受信した局識別情報と比較し、局識別情報が変化していれば正常であると判断する制御手段と
を有することを特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2009−122129(P2009−122129A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59158(P2009−59158)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【分割の表示】特願2006−193616(P2006−193616)の分割
【原出願日】平成15年6月26日(2003.6.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】