説明

レーダ装置

【課題】高電子移動度トランジスタに特有の故障モードを検出できるようにする。
【解決手段】制御回路31は、ゲート電圧切替部51を制御してトランジスタT1に印加するゲート電圧Vgが検査用電圧V2となるように設定する。検査用電圧V2は、例えばトランジスタT1のピンチオフ電圧Vpに設定する。制御回路31は、検査用電圧V2が印加されたときのドレイン電流Idの電流値を検出する。その電流値に基づいて、トランジスタT1の故障を判別する。故障の判別の際には動作電圧V1とは別に設定された検査用電圧V2をゲート電圧Vgとして印加し、そのときのドレイン電流Idの電流値に基づいて故障の判別を行うようにしたので、通常の動作状態では検出しにくい高電子移動度トランジスタに特有の故障モードの検出ができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電子移動度トランジスタを用いた電子回路を備え、例えば車載用として利用されるレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送信波を送出してから、検出対象物からの反射波を受信するまでの時間に基づいて検出対象物の距離を測定するレーダ装置が知られている。また、ドプラー効果を用いて検出対象物との相対速度を検知する方式のレーダ装置が知られている。さらに、搬送波に周波数変調をかけて、位置検出もできる機能を持つレーダ装置もある。この種のレーダ装置は例えば、自動車に搭載されて先行車などの障害物との相対距離および相対速度を測定する車載用レーダとして使用されている。車載用レーダのようなレーダ装置は、使える周波数が法律により決められていて、概ねマイクロ波、準ミリ波あるいはミリ波帯が用いられることがほとんどである。このような周波数帯での電子回路に用いられる半導体素子は、化合物半導体を用いることが多い。特に、良好な高周波特性を有するHEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)と呼ばれる半導体素子が好んで使用される。
【0003】
特許文献1には、周波数変調した送信波を出力する方式のレーダ装置において、装置内の高周波回路部品の故障判別を行う手法が記載されている。また、特許文献2には、半導体素子の温度検出を行うことにより、半導体素子の異常診断を行う手法が記載されている。これらに記載されている故障判別の手法は、回路部品の通常動作時において何らかの異常が検知されたときに回路部品に故障があると判別するものである。すなわち、装置を通常の動作状態で動作させ、その状態で回路部品に異常があるか否かを判別している。
【特許文献1】特開平10−62525号公報
【特許文献2】特開2004−80865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、HEMTには、特有の故障モードがあり、装置を通常の動作状態で動作させながら故障の判別を行うような従来の手法では、何らかの理由でHEMTが故障、あるいは不良になっていても検出ができない場合がある。HEMTの故障を検出する方法としては、例えば、HEMTのドレイン電極と電源との間にドレイン電流検出用の抵抗を挿入し、通常の動作時にドレイン電流を監視する方法が考えられる。しかしながら、HEMTの場合には、以下で説明するように、通常の動作モードでドレイン電流を流しながらその電流値を常時監視していても故障が発見できない特有の故障モードがある。
【0005】
図12は、正常なHEMTにおける、ゲート電圧Vg(横軸)対ドレイン電流Id(縦軸)の特性を示している。図13は、不良(故障モード)のあるHEMTにおける、ゲート電圧Vg(横軸)対ドレイン電流Id(縦軸)の特性を示している。正常なHEMTでは、図12に示したように、ゲート電圧Vgの絶対値が所定の電圧(ピンチオフ電圧Vp)を超えるとドレイン電流Idがほぼゼロとなりほとんど流れなくなる。一方、不良のあるHEMTでは、図13に示したように、ゲート電圧Vgがピンチオフ電圧Vpに達してもドレイン電流Idがほぼゼロとならずに、必要以上の電流が流れてしまう。通常、HEMTは、アイドリング電流を流した状態で使用され、例えば送信側の増幅回路(変調器等)では、通常の動作時に例えば図12,図13に示したような動作電圧V1がゲート電圧Vgとして印加される。このような動作電圧V1が印加された状態では、ドレイン電流Idの電流値は、図12の正常なHEMTと図13の不良のあるHEMTとで差が少ない。すなわち、通常の動作時にHEMTが故障モードに入ったとしても、ドレイン電流Idの電流値の変化が小さいので、その電流値を監視しただけでは故障の検出が困難である。このため、従来では、故障した状態のHEMTをそのまま使用してしまうおそれがある。例えば車載用のレーダ装置において運転時の安全性を向上させるためにも、レーダ装置を実動作させる前に故障の有無が判断できることが好ましい。また、HEMTが故障モードに入ったとしても、何らかの措置を取ることで、通常と同様の動作をさせることができれば便利である。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高電子移動度トランジスタに特有の故障モードを検出できるようにしたレーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるレーダ装置は、送信波を送出すると共に、検出対象物で反射された反射波を受信することによって検出対象物を検出するレーダ装置であって、高電子移動度トランジスタを用いた電子回路を少なくとも1つ備え、その電子回路が、高電子移動度トランジスタに印加するゲート電圧を動作電圧または検査用電圧のいずれかに切り替える切替手段と、検査用電圧を印加したときの高電子移動度トランジスタのドレイン電流の電流値を検出する検出手段と、その検出された電流値と第1の基準値とを比較することにより高電子移動度トランジスタに故障が発生しているか否かを判断する判断手段とを有するものである。
【0008】
本発明によるレーダ装置では、動作電圧とは別に設定された検査用電圧が高電子移動度トランジスタのゲート電圧として選択的に印加される。また、その検査用電圧を印加したときの高電子移動度トランジスタのドレイン電流の電流値が検出される。その検出された電流値と第1の基準値とを比較することにより高電子移動度トランジスタに故障が発生しているか否かが判断される。このように、通常の動作状態で動作させながら故障の判別を行うような従来の手法とは異なり、故障の判別の際には動作電圧とは別に設定された検査用電圧を使用することで、高電子移動度トランジスタに特有の故障モードの検出ができるようになる。
【0009】
本発明によるレーダ装置において、切替手段の切り替え制御を行う制御手段をさらに備え、その制御手段が、判断手段によって故障が発生していないと判断された場合には、高電子移動度トランジスタのゲート電圧に動作電圧が印加されるよう、切替手段を制御するようにしても良い。これにより、故障が発生していないことが確認された後、回路が実動作するので、電子回路を実動作させたときの安全性が向上する。
【0010】
また、本発明によるレーダ装置において、判断手段が、検出された電流値と第2の基準値とを比較し、電流値が第1の基準値を超え、かつ第2の基準値以下であれば、高電子移動度トランジスタに特有の故障モードが発生していると判断するようにしても良い。
また、本発明によるレーダ装置において、高電子移動度トランジスタに直接または間接的に接続された周辺回路をさらに備えていても良い。そして、判断手段が、検出された電流値と第2の基準値とを比較し、電流値が第2の基準値を超えていれば、高電子移動度トランジスタおよび周辺回路に故障が発生していると判断するようにしても良い。
これらの場合において、第2の基準値は例えば、正常な高電子移動度トランジスタが取り得る最大の電流値(Idss)に設定される。検出された電流値がIdssよりも大きい場合には、高電子移動度トランジスタのみならず、その周辺回路にも故障が発生している可能性があるので、そのような故障状態が検出される。
【0011】
また、本発明によるレーダ装置において、検査用電圧は例えば、高電子移動度トランジスタのピンチオフ電圧、またはピンチオフ電圧と最大定格電圧との間の電圧に設定される。正常な高電子移動度トランジスタの場合、ピンチオフ電圧では、ドレイン電流Idがほぼゼロとなりほとんど流れなくなるので、高電子移動度トランジスタに特有の故障モードの検出が容易となる。
【0012】
本発明によるレーダ装置において、動作電圧は、例えば、高電子移動度トランジスタにおけるゲート電圧に対する相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが正となるような第1の電圧領域の電圧である。このような相互コンダクタンスの傾きが正となるような第1の電圧領域の電圧は、通常、例えば反射波を受信する側に設けられたミキサ回路において使用される。
【0013】
本発明によるレーダ装置において、切替手段は、動作電圧を、第1の電圧領域の電圧と第1の電圧領域とは異なる第2の電圧領域の電圧とに切り替える機能をさらに有していても良い。そして、制御手段が、判断手段によって高電子移動度トランジスタに故障が発生していると判断された場合には、動作電圧として第2の電圧領域の電圧が高電子移動度トランジスタのゲート電圧に印加されるように切替手段を制御するようにしても良い。
この場合、第2の電圧領域は、例えば、高電子移動度トランジスタにおけるゲート電圧に対する相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが負となるような領域に設定すると良く、より好ましくは相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが負で最大となるような領域に設定すると良い。
これにより、高電子移動度トランジスタに故障が発生した場合であっても、適切に設定された第2の電圧領域の電圧に切り替えて動作させることにより、例えばミキサ回路において高電子移動度トランジスタを用いている場合には、第1の電圧領域の電圧で動作させているときと同様の変換利得を得ることが可能となる。これにより、故障時にも電子回路としての性能低下が防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレーダ装置によれば、通常の動作状態で動作させながら故障の判別を行うような従来の手法とは異なり、故障の判別の際には動作電圧とは別に設定された検査用電圧をゲート電圧として印加し、そのときのドレイン電流の電流値に基づいて故障の判別を行うようにしたので、通常の動作状態では検出しにくい高電子移動度トランジスタに特有の故障モードの検出ができるようになる。これにより、例えば車載用レーダとして使用した場合において、実動作させる前に故障の有無が判断でき、運転時の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーダ装置の一構成例として、パルスレーダ装置を示している。このレーダ装置は、例えば車載用レーダとして使用することができる。
【0017】
このレーダ装置は、送信用の変調パルス信号52の発生や受信パルスの解析処理などを行う信号処理部10と、所定周波数の局部発振波50を発生する局部発振器11と、局部発振器11によって発生された局部発振波50を送信用の搬送波51として増幅する送信アンプ12と、搬送波51を変調パルス信号52でパルス変調して送信パルス信号を生成する変調器13と、送信パルス信号を送信波として放射する送信アンテナ14とを備えている。このレーダ装置はまた、送信アンテナ14から電波として送信された送信波のうち、図示しない検出対象物で反射された反射波を受信して受信パルス信号として出力する受信アンテナ21と、その受信パルス信号を増幅する2段構成の高周波増幅器22,23とを備えている。このレーダ装置はまた、増幅された受信パルス信号53を局部発振器11からの局部発振波50で復調するミキサ24と、復調された受信パルス信号を増幅する中間周波増幅器25とを備えている。このレーダ装置はまた、装置内の高周波回路部分の故障検出処理などを行う制御回路31と、故障検出された場合の通知処理を行う異常通知部32とを備えている。制御回路31は、図2において後述するように、電流値算出部31Aと故障判定部31Bとを有している。
【0018】
このレーダ装置では、信号処理部10内のパルス発生回路から、送信用の変調パルス信号52が出力される。そして、局部発振器11によって発生され、送信アンプ12によって増幅された搬送波51が、変調器13によって変調パルス信号52でパルス変調され、送信パルス信号が生成される。その送信パルス信号が、送信アンテナ14から電波の送信波として図示しない検出対象物に向けて放射される。受信アンテナ21では、図示しない検出対象物で反射された反射波を受信して受信パルス信号として出力する。受信パルス信号は、高周波増幅器22,23、ミキサ24および中間周波増幅器25で復調処理および増幅処理された後、信号処理部10に入力される。信号処理部10では、受信パルス信号を解析して、検出対象物を検知し、検出対象物との距離を算出する。具体的には、送信パルス信号を送信したタイミングと受信パルス信号を検出したタイミングとの時間差から、検出対象物までの伝搬往復時間を算出し、その伝搬往復時間に光速を乗算することで、このレーダ装置と検出対象物との往復距離を算出することができる。
【0019】
ここで、このレーダ装置において、局部発振器11、送信アンプ12、および変調器13、ならびに高周波増幅器22,23、およびミキサ24はそれぞれ、HEMTを用いた高周波回路部分となっている。そのそれぞれの高周波回路部分が、本発明における「電子回路」の一構成要素となっている。本実施の形態において、各高周波回路部分が、本発明における「電子回路」の一具体例に対応する。
【0020】
図2は、本実施の形態に係るレーダ装置における電子回路の一例として、変調器13の具体的な構成例を示している。この変調器13は、HEMTからなるトランジスタT1を有している。この変調器13はまた、キャパシタC1、キャパシタC2、キャパシタC3、インダクタL1、抵抗R1、抵抗R2、検出用抵抗素子R3、ゲート電圧切替部41、整合回路42、および電圧測定回路43を有している。
【0021】
キャパシタC2およびインダクタL1の一端は、トランジスタT1のゲート電極に接続されている。キャパシタC1の一端はインダクタL1の他端に接続され、他端は接地されている。送信アンプ12によって増幅された搬送波51は、キャパシタC2を介してトランジスタT1のゲート電極に入力される。インダクタL1およびキャパシタC1は、ゲート電圧Vgを与える電源系統に交流成分が流入するのを阻止するフィルタとして機能している。ゲート電圧切替部41は、印加するゲート電圧Vgを動作電圧V1(例えば−0.2V)または検査用電圧V2(例えば−1V)のいずれかに切り替えスイッチである。ゲート電圧切替部41の切り替え制御は制御回路31によって行われる。ゲート電圧切替部41のスイッチとしての共通端子41Cは、インダクタL1を介してトランジスタT1のゲート電極に接続されている。ゲート電圧切替部41のスイッチとしての一方の切替端子41Aは動作電圧V1を与える電源に抵抗R2を介して接続され、他方の切替端子41Bは検査用電圧V2を与える電源に接続されている。ゲート電圧切替部41の一方の切替端子41Aはまた、抵抗R1の一端に接続されている。信号処理部10からの変調パルス信号52は、抵抗R1を介してゲート電圧切替部41の一方の切替端子41A側から入力される。
【0022】
キャパシタC3および整合回路42は、トランジスタT1のドレイン電極側に設けられている。送信パルス信号は、キャパシタC3および整合回路42を介してトランジスタT1のドレイン電極側から出力される。
【0023】
検出用抵抗素子R3は、トランジスタT1のドレイン電極とそのドレイン電極にドレイン電圧Vdを与える電源との間に設けられている。電圧測定回路43は、検出用抵抗素子R3の両端の電圧を測定するものである。制御回路31の電流値算出部31Aは、電圧測定回路43で測定された電圧値から、トランジスタT1のドレイン電流Idの電流値を算出するようになっている。その電流値は、検出用抵抗素子R3の両端に現れる電圧値を検出用抵抗素子R3の抵抗値で割った商の値で求めることができる。制御回路31の故障判定部31Bは、その電流値に基づいてトランジスタT1に故障があるか否かを判断するようになっている。なお、故障の具体的な判断方法は図3を用いて後述する。
【0024】
制御回路31はそのほかにも、ゲート電圧切替部41の切り替え制御や、異常通知部32の制御を行う機能を有している。異常通知部32は、例えば異常が生じた旨を表示する表示手段や異常が生じた旨を警告音で知らせる音声出力手段で構成され、制御回路31の制御に基づいて、異常が生じた場合には異常が生じた旨を適宜、外部に通知する。
【0025】
なお、変調器13以外の高周波回路部分についても同様に、検出用抵抗素子R3および電圧測定回路43を有している。制御回路31は、変調器13以外の高周波回路部分についても同様に、ドレイン電流Idの電流値に基づいて故障の判断を行うようになっている。
【0026】
ここで、本実施の形態において、ゲート電圧切替部41が、本発明における「切替手段」の一具体例に対応する。また、検出用抵抗素子R3、電圧測定回路43、および電流値算出部31Aが、本発明における「検出手段」の一具体例に対応する。また、故障判定部31Bが、本発明における「判断手段」の一具体例に対応する。また、制御回路31が本発明における「制御手段」の一具体例に対応する。
【0027】
次に、このレーダ装置における故障検出に関する動作を説明する。
図3は、故障検出処理の一例を示している。このレーダ装置は、装置の動作モードとして、通常動作モードと検査モードとを有している。なお以下では、説明を簡略化するため図2の変調器13を検査するモードについて説明するが、その他の回路部分についても同様である。その他の高周波回路部分についても、同様にして順次故障の判断が行われる。制御回路31は、すべての高周波回路部分について故障が無いと判断されれば、装置全体の動作状態を通常動作モードに設定して通常動作モードに移行する。
【0028】
電源投入が行われると(ステップS1)、制御回路31は、電源投入時の初期動作として装置の動作状態を検査モードに設定する(ステップS2:Y)。なお、電源投入時の初期動作として検査モードに入る場合に限らず、任意のタイミングで検査モードに入れるようにしても良い。例えば検査モードに入る指示を行う操作部を備え、使用者の指示に応じて任意のタイミングで検査モードに入るようにしても良い。この場合、制御回路31は、検査モードに入る指示がなければ(ステップS2:N)、装置の動作状態を通常動作モードに設定して通常動作モードに移行する(ステップS10)。通常動作モードでは、制御回路31は、ゲート電圧切替部41を制御してトランジスタT1に印加するゲート電圧Vgが動作電圧V1となるように設定する。通常動作モードでの動作電圧V1は、例えば図12に示したように、例えば−0.2V〜−0.4V程度に設定される。
【0029】
一方、検査モードに入ると、制御回路31は、ゲート電圧切替部41を制御してトランジスタT1に印加するゲート電圧Vgが検査用電圧V2となるように設定する(ステップS3)。検査用電圧V2は、例えば図12に示したように、トランジスタT1のピンチオフ電圧Vp、またはピンチオフ電圧Vpと最大定格電圧(例えば−3V)との間の電圧に設定される。検査用電圧V2をこのような値に設定にするのは、図13に示したようなトランジスタT1の故障モードの検出を行いやすくするためである。ゲート電圧Vgの絶対値がピンチオフ電圧Vpよりも大きいときには、トランジスタT1が正常であれば図12に示したようにドレイン電流Idの電流値が所定値(例えば1mA程度)よりも小さくなる。一方、同様の検査用電圧V2を与えたときに図13に示したような故障モードであれば所定値を超えるドレイン電流Idが流れる。このようなドレイン電流Idが流れると検出用抵抗素子R3の両端には電圧降下が生じるので、故障モードの判別が容易に行える。
【0030】
制御回路31は、上記した検査用電圧V2が印加されたときのドレイン電流Idの電流値を検出する(ステップS4)。具体的には、検査用電圧V2が印加されたときの検出用抵抗素子R3の両端の電圧が電圧測定回路43で測定され、制御回路31の電流値算出部31Aが、その電圧値から、ドレイン電流Idの電流値を算出する。次に、制御回路31の故障判定部31Bは、その検出された電流値が所定の値(第1の基準値)を超えているか否かを判断する(ステップS5)。ここでいう「第1の基準値」は、上記したようにゲート電圧Vgがピンチオフ電圧Vpであるときに正常なトランジスタT1に流れる上限の値(例えば1mA)に設定すると良い。制御回路31の故障判定部31Bによってドレイン電流Idの電流値が第1の基準値以下であると判断された場合(ステップS5:N)には、制御回路31は、装置の動作状態を通常動作モードに設定して通常動作モードに移行する(ステップS10)。この場合、制御回路31は、ゲート電圧切替部41を制御してトランジスタT1に印加するゲート電圧Vgが動作電圧V1となるように設定する。
【0031】
ドレイン電流Idとして第1の基準値を超える電流値が検出された場合(ステップS5:Y)には、制御回路31の故障判定部31Bは、さらに、その電流値を第2の基準値と比較する(ステップS6)。ここでいう「第2の基準値」は、正常なトランジスタT1が取り得る最大の電流値(Idss、ゲート電圧Vgをゼロにしたときのドレイン電流Idの値)に設定すると良い(図12参照)。制御回路31の故障判定部31Bは、検出された電流値と第2の基準値とを比較し、電流値が第1の基準値を超え、かつ第2の基準値以下であれば(ステップS6:Y)、トランジスタT1に特有の故障モードが発生し、トランジスタT1自身の不良であると判断する(ステップS7)。そして、制御回路31は、異常通知部32を制御して、そのような異常が生じた旨を表示したり警告音を発生するなどして、異常が生じた旨を適宜、外部に通知する。
【0032】
また、制御回路31の故障判定部31Bは、検出された電流値が第1の基準値を超え、さらに第2の基準値をも超えていた場合(ステップS6:N)には、トランジスタT1のゲートがドレイン電流Idを全く制御できていない状態であるので、トランジスタT1のみならず、トランジスタT1に直接または間接的に接続された周辺回路部分にも故障が発生している可能性があると判断する(ステップS9)。そして、制御回路31は、異常通知部32を制御して、そのような異常が生じた旨を表示したり警告音を発生するなどして、異常が生じた旨を適宜、外部に通知する。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によるレーダ装置によれば、通常の動作状態で動作させながら故障の判別を行うような従来の手法とは異なり、故障の判別の際には動作電圧V1とは別に設定された検査用電圧V2をゲート電圧Vgとして印加し、そのときのドレイン電流Idの電流値に基づいて故障の判別を行うようにしたので、通常の動作状態では検出しにくい高電子移動度トランジスタ(トランジスタT1)に特有の故障モードの検出ができるようになる。これにより、例えば車載用レーダとして使用した場合において、実動作させる前に故障の有無が判断でき、運転時の安全性を向上させることができる。
【0034】
図4は、このレーダ装置において、変調器13から正常に出力された理想的な送信パルス信号の一例を示している。一方、図5は、変調器13のトランジスタT1に故障がある場合の送信パルス信号の一例を示している。横軸は時間、縦軸は出力値を示す。正常に出力された送信パルス信号は、図4に示したように、パルスのオン期間T1とオフ期間T2とで出力値が明確に判別できる。一方、トランジスタT1に故障が生じた場合(例えば図13に示したような故障モードが生じた場合)には、図5に示したように、パルスのオン期間T1の出力値が低下するほか、オフ期間T2にも出力値が生ずるようになる。このように、送信側の高周波回路部分に故障が生じ、図5に示したような送信パルス信号が送信波として出力されると、受信側ではそのパルスの判別ができなくなり、レーダ装置として正常に機能しなくなるおそれがある。また、送信側の高周波回路部分に故障がなくとも、受信側の高周波回路部分に故障が生じた場合には、ゲインの低下が起きるなどしてやはり、レーダ装置として正常に機能しなくなるおそれがある。本実施の形態では、従来では検出が困難であった故障を未然に検出することができるので、例えば車載用のレーダ装置に適用した場合において運転時の安全性を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
【0035】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0036】
図6は、本実施の形態に係るレーダ装置における電子回路の一構成例を示している。上記第1の実施の形態では、HEMTを用いた電子回路の一例として、送信側の変調器13の構成例(図2)を示したが、図6は、HEMTを用いた電子回路の一例として受信側のミキサ24の具体的な構成例を示している。なお、本実施の形態に係るレーダ装置の全体構成は、図1と同様である。
【0037】
ミキサ24は、図2に示した変調器13と同様、HEMTからなるトランジスタT11を有している。このミキサ24はまた、変調器13と同様、ゲート電圧切替部41、および電圧測定回路43を有している。このミキサ24はまた、キャパシタC11、キャパシタC12、キャパシタC13、インダクタL11、抵抗R11、検出用抵抗素子R13、整合回路142を有している。これらは、変調器13におけるキャパシタC1、キャパシタC2、キャパシタC3、インダクタL1、抵抗R1、抵抗R2、検出用抵抗素子R3、整合回路42と同様の機能を有している。ただし、検出用抵抗素子R13は、ドレイン電流制限用の抵抗素子としての機能を兼ねている。
【0038】
ミキサ24はさらに、動作電圧切替部61を有している。動作電圧切替部61は、変調器13における動作電圧V1に代えて、トランジスタT11に印加するゲート電圧Vgを第1の動作電圧V11と第2の動作電圧V12とに切り替えるためにスイッチである。なお、第1の動作電圧V11は、トランジスタT11に故障がない場合の通常の動作電圧として印加されるものであり、後述の第1の電圧領域の電圧(例えば−0.6V)に対応する。第2の動作電圧V12は、トランジスタT11に故障がある場合の動作電圧として印加されるものであり、後述の第2の電圧領域の電圧(例えば−0.25V)に対応する。
【0039】
動作電圧切替部61の切り替え制御は、ゲート電圧切替部41と同様、制御回路31によって行われる。動作電圧切替部61のスイッチとしての共通端子61Cは、ゲート電圧切替部41およびインダクタL11を介してトランジスタT11のゲート電極に接続されている。動作電圧切替部61の共通端子61Cはまた、抵抗R11の一端に接続されている。動作電圧切替部61のスイッチとしての一方の切替端子51Aは第1の動作電圧V11を与える電源に抵抗R14を介して接続され、他方の切替端子51Bは第2の動作電圧V12を与える電源に抵抗R12を介して接続されている。
【0040】
本実施の形態において、ゲート電圧切替部41と動作電圧切替部61とが、本発明における「切替手段」の一具体例に対応する。なお、図6では、切替手段を、ゲート電圧切替部41と動作電圧切替部61とに分けて別々に設けているが、これらは1つの切替部として統合されていても良い。
【0041】
このミキサ24では、図1の高周波増幅器22,23によって増幅された受信パルス信号53が、抵抗R11を介してゲート電圧切替部41の一方の切替端子41A側からトランジスタT11のゲート電極に入力される。また、局部発振器11からの局部発振波50が、キャパシタC12を介してトランジスタT11のゲート電極に入力される。
【0042】
図7は、このミキサ24における動作電圧の切替処理を示している。
このミキサ24では、電源投入が行われると(ステップS11)、制御回路31によって、上記第1の実施の形態と同様にしてトランジスタT11の故障の有無が判断される。制御回路31は、トランジスタT11に故障(不良)がないと判断された場合(ステップS2:N)には、ゲート電圧切替部41および動作電圧切替部61を切り替え制御してトランジスタT11のゲート電圧Vgとして第1の動作電圧V11が印加されるようにする。以後、ミキサ24は、第1の動作電圧V11で動作する(ステップS13)。一方、トランジスタT11に故障(不良)がある判断された場合(ステップS2:Y)には、制御回路31は、ゲート電圧切替部41および動作電圧切替部61を切り替え制御してトランジスタT11のゲート電圧Vgとして第2の動作電圧V12が印加されるようにする(ステップS14)と共に、異常通知部32を制御して、トランジスタT11に異常が生じた旨を表示したり警告音を発生するなどして、異常が生じた旨を適宜、外部に通知する(ステップS15)。以後、ミキサ24は、第2の動作電圧V12で動作する(ステップS16)。このようにして、トランジスタT11に故障が発生した場合であっても、後述するように適切に設定された第2の動作電圧V12に切り替えて動作させることにより通常の動作電圧である第1の動作電圧V11で動作させているときと同様の変換利得を得ることが可能となる。これにより、故障時にも電子回路としての性能低下が防止される。
【0043】
次に、第1の動作電圧V11および第2の動作電圧V12の詳細を説明する。
図8は、ドレイン電流制限用の抵抗(図6の検出用抵抗素子R13)が設けられている場合において、トランジスタT11が正常である場合の各抵抗値ごとのゲート電圧Vgに対するドレイン電流Idの特性例(Vg−Id特性)を示している。また、図9は、ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタT11が正常である場合の各抵抗値ごとのゲート電圧Vgに対する相互コンダクタンスGmの特性例(すなわちVg−Id特性の傾き)を示している。なお、符号81を付した特性曲線が制限用抵抗の値が最も小さい場合であり、符号82,83,84を付した順に、制限用抵抗の値が大きい場合の特性を示している。また、図11は、ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタT11が正常である場合の各抵抗値ごとのゲート・ソース間電圧Vgsに対する変換利得CG(コンバージョンゲイン、相互コンダクタンスGmの特性曲線の傾きの大きさに相当する)の特性例を示している。
【0044】
受信側のミキサ24では、ゲート電圧の変化に対して相互コンダクタンスGmの変化が大きいほど、大きい変換利得CGを得ることができる(図9および図11参照)。一方、相互コンダクタンスGmの変化が大きい領域としては、図9に示したように、2つの領域1,2がある。領域1(第1の電圧領域)は、相互コンダクタンスGmの特性曲線の傾きが正の領域であり、好ましくは相互コンダクタンスGmの特性曲線の傾きが正で最大となる領域(図9において、相互コンダクタンスGmが略直線的に変化している部分(補助線91A,91Bで挟まれている領域)が実質的に傾きが最大の領域となる)である。また領域2(第2の電圧領域)は、相互コンダクタンスGmの特性曲線の傾きが負の領域であり、好ましくは相互コンダクタンスGmの特性曲線の傾きが負で最大となる領域(図9において、相互コンダクタンスGmが略直線的に変化している部分(補助線92A,92Bで挟まれている領域)が実質的に傾きが最大の領域となる)である。この場合、図8および図9を対応させてみると明らかなように、傾きが正で最大となる領域1の方が、ドレイン電流Idが小さい。すなわち、領域1で動作させることにより、小さい消費電力で大きい変換利得CGを得ることができる。このため、通常のミキサでは、領域1を動作電圧として用いている。また、消費電力をより小さくするため、ピンチオフ電圧Vpに近い非線形部分の領域を動作電圧として用いている。本実施の形態のミキサ24においても、この領域1の電圧を第1の動作電圧V11として用いている。
【0045】
ここで、領域1は、ピンチオフ電圧Vpに近い領域であるため、トランジスタT11に故障が生じて図13に示したような状態になると、利得が大幅に低下してしまう。トランジスタT11に故障が生じると、ピンチオフ電圧Vpの減少と動作電圧でのドレイン電流Idの増加との2つの変化が起きる。このような変化が起きると、その動作領域での相互コンダクタンスGmの変化が少なくなりミキサとしての変換利得が取れず、受信機では感度の低下という機器全体の性能低下につながることになる。
【0046】
図10は、ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタT11に故障がある場合のゲート電圧Vgに対する相互コンダクタンスGmの特性例を示している。例えば図9の符号83を付した特性が、図10に示したように変化する。図10から分かるように、領域1に対応する部分では相互コンダクタンスGmの変化が少なくなる(正常な場合に対して特性が変わる)。一方、領域2では、相互コンダクタンスGmの変化は大きいままである(正常な場合に対して特性の変化が少ない)。このため、トランジスタT11に故障があったとしても、領域2で動作させてやれば、消費電流は大きくなるものの、ミキサとして必要とされる変換利得が十分得られる。本実施の形態のミキサ24では、この領域2の電圧を第2の動作電圧V12として用いている。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によるレーダ装置によれば、トランジスタT11に故障が発生した場合であっても、適切に設定された第2の電圧領域の電圧V12に切り替えて動作させるようにしたので、第1の電圧領域の電圧V11で動作させているときと同様の変換利得を得ることが可能となり、故障時にも電子回路としての性能低下が防止される。
[その他の実施の形態]
【0048】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明はパルス変調方式のレーダ装置に限らず、他の方式であっても適用可能である。例えばFM−CW(Frequency Modulated-Continuous Wave)方式のレーダ装置にも適用可能である。FM−CWレーダでは、周波数変調された連続波を送信し、検出対象物で反射された信号を受信して送信信号と合成することでビート信号を生成し、そのビート信号を解析することで検出対象物との相対距離および相対速度を検出する。
【0049】
また、上記各実施の形態では、1つの高電子移動度トランジスタを用いた電子回路について説明したが、本発明は、高電子移動度トランジスタを複数用いた電子回路にも適用可能である。この場合、複数の高電子移動度トランジスタのそれぞれに対して上記実施の形態と同様の故障検出の処理を行えば良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレーダ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るレーダ装置における電子回路の一構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における故障検出の処理を説明する流れ図である。
【図4】正常な送信パルス信号の一例を示す波形図である。
【図5】異常がある場合の送信パルス信号の一例を示す波形図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るレーダ装置における電子回路の一構成例を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における動作電圧の切替処理を説明する流れ図である。
【図8】ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタが正常である場合の各抵抗値ごとのゲート電圧Vg対ドレイン電流Idの特性例を示す特性図である。
【図9】ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタが正常である場合の各抵抗値ごとのゲート電圧Vg対相互コンダクタンスGmの特性例を示す特性図である。
【図10】ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタに故障がある場合のゲート電圧Vg対相互コンダクタンスGmの特性例を示す特性図である。
【図11】ドレイン電流制限用の抵抗が設けられている場合において、トランジスタが正常である場合の各抵抗値ごとのゲート・ソース間電圧Vgs対変換利得CGの特性例を示す特性図である。
【図12】トランジスタが正常である場合のゲート電圧Vg対ドレイン電流Idの特性例を示す特性図である。
【図13】トランジスタに故障がある場合のゲート電圧Vg対ドレイン電流Idの特性例を示す特性図である。
【符号の説明】
【0051】
10…信号処理部、11…局部発振器、12…送信アンプ、13…変調器、14…送信アンテナ、21…受信アンテナ、22,23…高周波増幅器、24…ミキサ、25…中間周波増幅器、31…制御回路、32…異常通知部、41…ゲート電圧切替部、42…整合回路、43…電圧測定回路、50…局部発振波、51…搬送波、52…変調パルス信号、53…受信パルス信号、61…動作電圧切替部、R3…検出用抵抗素子、T1,T11…トランジスタ(HEMT)、V1…動作電圧、V2…検査用電圧、V11…第1の動作電圧(第1の電圧領域の電圧)、V12…第2の動作電圧(第2の電圧領域の電圧)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を送出すると共に、検出対象物で反射された反射波を受信することによって前記検出対象物を検出するレーダ装置であって、
高電子移動度トランジスタを用いた電子回路を少なくとも1つ備え、
前記電子回路が、
前記高電子移動度トランジスタに印加するゲート電圧を動作電圧または検査用電圧のいずれかに切り替える切替手段と、
前記検査用電圧を印加したときの前記高電子移動度トランジスタのドレイン電流の電流値を検出する検出手段と、
その検出された前記電流値と第1の基準値とを比較することにより前記高電子移動度トランジスタに故障が発生しているか否かを判断する判断手段と
を有していることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記切替手段の切り替え制御を行う制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判断手段によって故障が発生していないと判断された場合には、前記高電子移動度トランジスタのゲート電圧に前記動作電圧が印加されるよう、前記切替手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記判断手段は、
検出された前記電流値と第2の基準値とを比較し、前記電流値が前記第1の基準値を超え、かつ前記第2の基準値以下であれば、前記高電子移動度トランジスタに特有の故障モードが発生していると判断する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記高電子移動度トランジスタに直接または間接的に接続された周辺回路をさらに備え、
前記判断手段は、
検出された前記電流値と第2の基準値とを比較し、前記電流値が前記第2の基準値を超えていれば、前記高電子移動度トランジスタおよび前記周辺回路に故障が発生していると判断する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記検査用電圧は、前記高電子移動度トランジスタのピンチオフ電圧、またはピンチオフ電圧と最大定格電圧との間の電圧に設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記動作電圧は、前記高電子移動度トランジスタにおけるゲート電圧に対する相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが正となるような第1の電圧領域の電圧である
ことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記切替手段は、前記動作電圧を、前記第1の電圧領域の電圧と前記第1の電圧領域とは異なる第2の電圧領域の電圧とに切り替える機能をさらに有し、
前記制御手段は、前記判断手段によって前記高電子移動度トランジスタに故障が発生していると判断された場合には、前記動作電圧として前記第2の電圧領域の電圧が前記高電子移動度トランジスタのゲート電圧に印加されるように前記切替手段を制御する
ことを特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記第2の電圧領域は、前記高電子移動度トランジスタにおけるゲート電圧に対する相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが負となる領域である
ことを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記第2の電圧領域は、前記相互コンダクタンスの特性曲線の傾きが負で最大となるような領域である
ことを特徴とする請求項8に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記電子回路は、前記反射波を受信する側に設けられたミキサ回路である
ことを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−209382(P2008−209382A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91302(P2007−91302)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】