レーダ装置
【課題】レーダの効率を向上することができ、しかも、車両の走行状態に対応して適切に前方等の検知が可能なレーダ装置を提供すること。
【解決手段】ステップ200では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。ステップ210では、停車状態であるので、レーダ送信電力が低出力領域Aに該当するか否かを判定する。ステップ220では、車両が低速走行状態であるので、レーダ送信電力が中出力領域Bに該当するか否かを判定する。ステップ230では、車両が通常走行状態であるので、レーダ送信電力が高出力領域Cに該当するか否かを判定する。
【解決手段】ステップ200では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。ステップ210では、停車状態であるので、レーダ送信電力が低出力領域Aに該当するか否かを判定する。ステップ220では、車両が低速走行状態であるので、レーダ送信電力が中出力領域Bに該当するか否かを判定する。ステップ230では、車両が通常走行状態であるので、レーダ送信電力が高出力領域Cに該当するか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行を自動的に制御する車両制御装置として、車両を一定の車速で走行するように制御する定速走行制御装置や、先行車に対して所定の車間距離を保って追従する制御を行う追従制御装置が知られている。
【0003】
また、例えば追従制御を行う車両制御装置では、レーダによって前方の車両との車間距離や前方の車両の車速等を検出し、このデータに基づいて自車の走行状態を制御している(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−342766号公報
【特許文献2】特開平9−324666号公報
【特許文献3】特開平11−268558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、車両の走行中は、前方の車両等の障害物を確実に検出するために、通常、大きな出力でレーダを作動させているので、エネルギー効率が良くないという問題があった。
【0006】
また、米国法規(FCC)では、車両の停車時にレーダの放射能力をある値以下に下げることが規定されおり、その対策として、車両の停車中はレーダを停止させているが、レーダを停止させてしまうと、その間は前方等の検知ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、レーダの効率を向上することができ、しかも、車両の走行状態に対応して適切に前方等の検知が可能なレーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、車両の速度を検出する車速検出手段からの情報に基づいて、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置であって、前記レーダの出力を制御する出力制御手段と、前記車速検出手段によって得られた車速に応じて、前記出力制御手段を駆動して、前記レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御する出力切換制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、車速検出手段(例えば車速センサ)によって得られた車速に応じて、マイコン等によって、レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御するので、車速に応じて必要な範囲の障害物の検知が可能であるとともに、レーダのエネルギー効率が良いという効果がある。
【0010】
例えば低速で走行している場合には、それより高速で走行している場合には比べて、それほど広範囲にレーダの検知範囲を設定する必要性が無いので、本発明では、例えば低速で走行している場合には、それより高速で走行している場合には比べて、レーダの出力を低くすることにより、走行状態応じた最適な検知範囲を設定できるとともに、エネルギー効率も高めることができるという利点がある。
【0011】
なお、車両が実質的に停車している場合には、レーダの出力をオフしてもよい。
(2)請求項2の発明は、前記レーダの出力を制御する場合に、前記レーダ自体から前記レーダの出力をモニタするモニタ手段と、前記モニタ手段によって検知されたレーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定する目標判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、レーダ自体からレーダの出力(例えば出力電圧)をモニタし、レーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定するので、レーダの出力が常に最適な状態に設定されているかをチェックすることができる。
【0013】
その結果、チェック内容に応じて、チェック内容を報知したり、目標値に制御する等の制御が可能になる。
(3)請求項3の発明は、前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの出力を目標範囲内に制御する目標制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、レーダの出力を目標範囲内に制御するので、常に、レーダの出力を最適な範囲に設定することができる。
なお、目標範囲としては、所定の幅を持った領域を設定できるが、単一の目標値として、この目標値に制御(例えばフィードバック制御)するようにしてもよい。
【0015】
(4)請求項4の発明は、前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの作動を停止するレーダ停止手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
レーダの出力が目標範囲内でない場合には、何らかの異常が発生したと考えられるので、その場合には、レーダの作動を停止してもよい。
なお、レーダの作動を停止するのではなく、レーダから得られた情報を利用しないようにする制御を行ってもよい。
【0017】
(5)請求項5の発明は、モノリシックマイクロ集積回路(MMIC)を備えた高周波回路により、前記レーダを作動させる場合に、前記モノリシックマイクロ集積回路のバイアス電圧を調整することによって、前記レーダの出力を調整することを特徴とする。
【0018】
本発明は、レーダの出力を調整する手法を例示したものである。
ここでは、MMICのバイアス電圧を高くすることによってレーダ出力を増加させることができ、逆に、MMICのバイアス電圧を低くすることによってレーダ出力を低減させることができる。
【0019】
(6)請求項6の発明は、前記レーダがFMCWレーダの場合に、FMCW信号の変調時間及び/又は変調数を変更することにより、前記レーダの出力を調整することを特徴とする。
【0020】
本発明は、レーダの出力を調整する手法を例示したものである。
ここでは、FMCW信号の変調時間を長くすることや変調数を多くすることによって、レーダ出力を増加させることができ、逆に、FMCW信号の変調時間を短くすることや変調数を少なくすることによって、レーダ出力を低減させることができる。
【0021】
(7)請求項7の発明は、前記変調時間及び/又は変調数の変更に応じて、前記モノリシックマイクロ集積回路に供給する電力のオンオフを制御することを特徴とする。
本発明では、前記変調時間や変調数の変更の際に、MMICに供給する電力のオンオフを制御するので、一層エネルギー効率を向上することができる。
【0022】
例えば、変調時間や変調数を変更する期間のみ、MMICに供給する電力のオンし、それ以外はオフを制御するので、エネルギー効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1のレーダ装置を含む車載システムを示すブロック図である。
【図2】レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】レーダ装置等の構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】MMICのバイアス電圧を調節するための構成を示す説明図である。
【図5】レーダの送信電圧と比較電圧とを比較するための構成を示すブロック図である。
【図6】レーダの送信電力の設定範囲を示す説明図である。
【図7】実施例1のレーダの送信電力を設定する処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例1のレーダの送信電力を判定する処理を示すフローチャートである。
【図9】実施例2のレーダ装置の要部を示すブロック図である。
【図10】FMCW信号によって送信電力を調整する手法を示す説明図である。
【図11】実施例3のレーダ装置の要部を示すブロック図である。
【図12】レーダの送信電力の目標値を示す説明図である。
【図13】実施例3のレーダの送信電力を目標値に制御する処理を示すフローチャートである。
【図14】実施例4のレーダの送信電力を設定する処理を示すフローチャートである。
【図15】実施例4のレーダの送信電力を判定する処理を示すフローチャートである。
【図16】パルスレーダの要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明のレーダ装置の実施例について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例のレーダ装置は、車速に応じてレーダ装置の送信電力を制御するとともに、レーダ装置の送信電力が目的の範囲であるかどうかをモニタする機能を有するものである。
a)まず、本実施例のレーダ装置を含む車載システムの概略構成について説明する。
【0026】
図1に示す様に、車両には、車両の前方の先行車等の速度や距離などを検出するレーダ装置1と、自車の車速を検出する車速センサ3と、レーダ装置1や車速センサ3から得られた情報に基づいて自車の制御を行う車両制御装置(車両制御ECU)5を備えている。
【0027】
前記レーダ装置1は、送信するミリ波の周波数を連続的に変調するFMCWミリ波レーダであり、ミリ波を送信する際の送信電力を制御する送信電力調整部11と、車両の前方等にミリ波を送信し、その反射波を受信するアンテナ部7と、アンテナ部7から送信するミリ波の送信電力をモニタする送信電力モニタ部9とを備えており、送信電力調整部11は、送信電力モニタ部9にて検出した送信電力に基づいて送信電力を調整する機能を有する。
【0028】
b)次に、前記レーダ装置1の構成について詳細に説明する。
図2に示す様に、レーダ装置1は、送信アンテナ13及び受信アンテナ15を有する前記アンテナ部7と前記送信モニタ部9とを備えるとともに、送信電力調整部11として、専用集積回路17と高周波回路19とを備えている。
【0029】
前記専用集積回路17は、レーダ装置1の送信や受信などの動作を制御する電子制御装置(マイコン)であるレーダ制御装置21と、FMCW信号の発生のための三角波電圧信号を生成するFM変調電圧生成回路23と、バイアス電圧を生成するバイアス生成回路25と、A/D変換器27とを備えている。
【0030】
前記高周波回路19は、送信系として、三角波電圧信号を受けてFMCW信号を発生する電圧制御発振器(VCO)29と、信号を増幅する増幅器(AMP1)31と、FMCW信号の一部を送信側に与えるとともに一部をローカル信号として受信側に与える分配器33と、信号を増幅する増幅器(AMP21)35とを備えている。また、受信系として、分配器33からローカル信号を受信するミキサ37と、受信した信号等を増幅するビデオ増幅器39を備えている。
【0031】
なお、送信モニタ部9は増幅器35に接続されており、この送信モニタ部9によって、増幅器35における送信電力を示す電圧信号がモニタされ、その送信電圧がレーダ制御装置21に入力する。
【0032】
c)次に、レーダ装置1の計測動作について概略説明する。
前記図2に示す様に、レーダ装置1では、VCO29は、FM変調電圧生成回路23から三角波電圧信号を受けて、周波数が、一定期間内時間と共に上昇する上昇変調信号と一定期間内時間と共に下降する下降変調信号とからなるFMCW信号を発生する。
【0033】
このFMCW信号の一部が分配器33等を介して送信アンテナ13に供給され、送信アンテナ13からミリ波電波が目標物に向けて照射される。
また、残りのFMCW信号はローカル信号としてミキサ37に供給される。なお、このFMCW信号は、例えば70GHz帯のミリ波信号である。
【0034】
受信アンテナ15に捕捉された目標物での反射波は、受信信号としてミキサ37に入力する。ミキサ37は、受信アンテナ15からの受信信号と分配器33からのローカル信号とをミキシングし、両者の周波数差を周波数に持つビート信号を出力する。
【0035】
このビート信号は、ビデオ増幅器39にて適宜レベルに増幅され、A/D変換器27を介してレーダ制御装置21に入力される。
レーダ制御装置21は、入力したビート信号における上昇変調期間での周波数と下降変調期間での周波数とから、目標物体までの距離と目標物体の移動速度とを求める。
【0036】
d)次に、本実施例においてレーダの送信電力を調整する際に利用するバイアス調整系の構成と動作について説明する。
・前記図2に示す様に、高周波回路19では、送信系(分配器33など)と受信系(ミキサ37、ビデオ増幅器39など)は、それぞれ複数のモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)で構成されている。また、VCO29は、70GHz帯のミリ波信号を例えば19GHzから多段に逓倍して生成するために複数のMMICが使用されている。
【0037】
本実施例では、前記MMICを有するバイアス電圧調整系を、レーダ制御装置21を含めて次のように構成している。
すなわち、図3に示す様に、高周波回路19の直近には、当該高周波回路19内の周囲温度を検出する温度モニタ41と、MMICを流れるドレイン電流を検出する電流モニタ43とが設けられている。温度モニタ43の検出出力は、バイアス電圧生成回路25を介してレーダ制御装置21に入力される。また、電流モニタ43の検出出力は、同様にバイアス電圧生成回路25を介してレーダ制御装置21に入力される。
【0038】
レーダ制御装置21には、上記したFMCWレーダにおける送信処理と計測処理等を行う機能に加えて、バイアス電圧生成回路25を介して入力される温度モニタ41と電流モニタ43の各出力に基づき各MMICのバイアス電圧を調整設定し、それをバイアス電圧生成回路25から各MMICに供給させる機能が追加されている。
【0039】
・バイアス電圧の調整は、送信系のMMIC群と、受信系のMMIC群と、VCO29における逓倍系のMMIC群との3系統に分けて実施されるが、この3系統のMMIC群毎にバイアス調整系が設けられている。
【0040】
前記図3において、レーダ制御装置21は、ドレイン電圧の設定処理とゲート電圧のバイアス調整設定処理とを行う制御処理部45と、制御処理部45が指示するドレイン電圧を出力するドレイン設定電圧出力部47と、制御処理部45がドレイン電圧の設定処理を行う際に参照する温度データテーブルとゲート電圧のバイアス調整を行う際のデータ領域と制御処理部45がゲート電圧の設定処理を行う際に参照する温度データテーブルとが設けられるメモリ49と、制御処理部45が指示するゲート電圧を出力するゲート設定電圧出力部51とを備えている。
【0041】
バイアス電圧生成回路25は、入力段にD/A変換器を備えるドレインバイアス用レギュレータ53と、A/D変換器55、57と、(n個の)D/A変換器59、61、63とを備えている。高周波回路19は、上記した3つのMMIC群の1つである(n個の)MMIC65、67、69とを備えている。そして、高周波回路19の直近部には、上記した温度モニタ41および電流モニタ43が設けられている。電流モニタ43は、シャント抵抗素子71と電圧比較回路73とで構成されている。
【0042】
そして、ドレイン設定電圧出力部47の出力は、ドレインバイアス用レギュレータ53に与えられる。ドレインバイアス用レギュレータ53の出力は、シャント抵抗素子71を介してMMIC65〜69の各ドレイン電極Dに共通に与えられる。シャント抵抗素子71の両端電圧は、電圧比較回路73に入力され、電圧比較回路73の出力は、A/D変換器55を介して制御処理部45に入力される。温度モニタ41の出力は、A/D変換器57を介して制御処理部45に入力される。ゲート設定電圧出力部51の出力端には、D/A変換器59〜63が並列に接続され、D/A変換器59〜63の各出力は、MMIC65〜69の対応するゲート電極Gに印加される。
【0043】
・本実施例では、上述した構成を用いて、送信電圧を調節するためにバイアス電圧を調整するが、その調整手法は、特許第4087803号公報の内容と同様な手法であるので、ここでは簡単に説明する。
【0044】
つまり、図4に示す様に、アンプ部75、77、79を備えた送信系のMMIC65〜69においては、アンプ部75〜79のドレイン電圧を小さくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を深く(マイナス側に大きく)設定してドレイン電流を減らす。これによって、バイアス電圧を低くして、送信電力を低下させることができる。
【0045】
逆に、アンプ部75〜79のドレイン電圧を大きくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を浅く(マイナス側に小さく)設定してドレイン電流を増やすことによって、バイアス電圧を高くして、送信電力を高めることができる。
【0046】
e)次に、本実施例の特徴部分である送信電力をモニタする構成について説明する。
図5に示す様に、送信モニタ部9は、検波ダイオード81と、差動アンプ83と、コンパレータ85と、デコーダ(制御ロジック)91と、8ビットのDAC89と、フリップフロップ(F/F)91とを備えている。
【0047】
この送信モニタ部9では、まず、高周波回路19の増幅器35からの送信出力(送信電圧)を検波ダイオード81に入力する。
この検波ダイオード81の両端の電圧は、送信電圧(電位差)を示している。従って、検波ダイオード81の両端の電圧を差動アンプ83に入力することにより、送信電圧に対応した信号を得ることができる。
【0048】
差動アンプ83では、送信電圧に対応した信号を増幅し、その信号をコンパレータ83の入力端子(+)に入力する。
一方、レーダ制御装置21から、デコーダ87に対して、電力モニタ取得コマンドを出力する。この電力モニタ取得コマンドとは、デコーダ87からDAC89に対して、比較電圧を出力させるためのコマンドである。
【0049】
例えば本実施例では、図6に示す様に、送信電力の範囲を、送信OFFを示す(送信電力が低い)低出力領域A、送信電力が中程度の中出力領域B、送信電力が高い高出力領域Cに区分しているが、その各領域を判別するために、各領域の境界値(境界出力)a、b1、b2、c1、c2(詳しくは境界出力に対応した比較電圧Va、Vb1、Vb2、Vc1、Vc2:例えばVa<Vb1<Vb2<Vc1<Vc2)を設定している。よって、前記コマンドとは、境界出力に対応した各比較電圧を出力させるコマンドである。
【0050】
従って、コマンドを受けてデコーダ87からDAC89に信号が出力されると、DACからコンパレータ85の入力端子(−)に比較電圧が出力される。
そして、コンパレータ85では、前記差動アンプ83からの入力信号とDAC89からの入力信号とを比較し、レーダの送信電力(送信電圧)が比較電圧より大であるか否かを判定し、その判定結果(大である場合は1、小である場合は0)をF/F91によって保持し、F/F91から判定結果を示す電力判定信号をレーダ制御装置21に出力する。
【0051】
従って、レーダ制御装置21では、レーダの送信電圧が比較電圧より大であるか否かを判定することができる。よって、この判定結果を利用して、後述するように、レーダの送信電圧(従って送信電力)が車速対して適正であるか否かを判断することができる。
【0052】
f)次に、本実施例のレーダ装置1における制御処理について説明する。
(1)車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理
図7に示す様に、ステップ(S)100にて、車速センサ3からの信号があるかどうかを判定し、入力がある場合は、ステップ110に進み、そうでない場合は、一旦本処理を終了する。
【0053】
ステップ110では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1(例えば2km/h)未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2(例えば30km/h)以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0054】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ120に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ130に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ140に進む。
【0055】
そして、ステップ120では、停車状態であるので、レーダ装置1を作動させる必要性が低いと判断して、例えばMMIC65〜69の供給電圧をオフすることによって、レーダ波の送信をオフにし、一旦本処理を終了する。なお、この停車状態における送信出力の状態が、前記低出力領域Aに該当する。なお、他の例として、ここでレーダ波の送信をオフにするのではなく、車両の周囲の近距離の障害物を検出できるように、(低出力領域Aの範囲内にて)レーダ波の送信を行ってよい。
【0056】
また、ステップ140では、通常走行状態であるので、予め設定された初期値の通常電力によりレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。なお、この通常走行状態における送信出力の状態が、前記高出力領域Cに該当する。
【0057】
更に、ステップ130では、低速走行状態であるので、遠方の車両等を検出する必要が無いとして、低出力電力によるレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。なお、この低速走行状態における送信出力の状態が、前記中出力領域Bに該当する。
【0058】
具体的には、前記図4にて説明した様に、アンプ部75〜79のドレイン電圧を(通常電力送信時に比べて)小さくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を(通常電力時に比べて)深く設定してドレイン電流を減らす。これによって、バイアス電圧を低くして、送信電力を低下させることができる。
【0059】
なお、どのようなドレイン電圧及びゲート電圧に設定すれば、どの様な送信電力となるかは、予め装置の定格等により定められている。
(2)レーダ送信出力が適正の範囲かどうかを判定する処理
・まず、電圧の比較判定の手法について説明する。
【0060】
前記図5に示す様に、レーダ送信の際の送信電圧は、コンパレータ85の入力端子(+)に入力するので、この送信電圧の大きさを調べるために、レーダ制御装置21からコマンドを出力し、比較電圧をコンパレータ85の入力端子(−)に入力する。
【0061】
そして、前記図6に示す様に、送信電力が、低出力領域A、中出力領域B、高出力領域Cに対応した電力かどうかを、各境界出力a、b1、b2、c1、c2に対応した各比較電圧Va、Vb1、Vb2、Vc1、Vc2を用いて判定する。
【0062】
具体的には、前記図5に示す様に、レーダ制御装置21からデコーダ87に対して、DAC89から例えば比較電圧Vaを出力させるコマンドを送信し、コンパレータ85にて、その時の送信電力(従って送信電圧)と比較電圧Vaとの比較を行う。ここで、送信電圧の方が大きければF/F91にて「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。従って、レーダ制御装置21では、F/F91からの信号(電力判定信号)によって、送信電圧と比較電圧Vaとの大小を判定することができる。以下、同様に、送電電圧と他の比較電圧Vb1、Vb2、Vc1、Vc2との比較を行うことができる。
【0063】
・次に、車速の判定と電圧の比較判定とを利用したレーダ送信出力の適否の判定手法について説明する。
図8に示す様に、ステップ200では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0064】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ210に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ220に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ230に進む。
【0065】
そして、ステップ210では、停車状態であり、レーダ装置1を作動させる必要性が低いので、レーダ送信電力が低出力領域Aに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Va以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0066】
ステップ240では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ250では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0068】
また、ステップ220では、車両が低速走行状態であり、レーダ装置1を低出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が中出力領域Bに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vb1以上で且つVb2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0069】
ステップ240では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0070】
一方、ステップ250では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0071】
更に、ステップ230では、車両が通常走行状態であり、レーダ装置1を通常出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が高出力領域Cに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vc1以上で且つVc2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0072】
ステップ240では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0073】
一方、ステップ250では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0074】
g)この様に、本実施例のレーダ装置1では、車速に応じてレーダ送信出力を制御するとともに、車速に応じたレーダ送信出力がなされているかどうかをモニタしているので、常に最適なレーダ送信出力がなされているか否かを明確に把握することができる。
【0075】
これによって、レーダ送信出力を最適に調整することが可能となるとともに、レーダ装置1の異常の有無を把握できるので、レーダを用いた制御を好適に行うことができる。
【実施例2】
【0076】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ送信出力の制御方法が、前記実施例1と異なる。
図9に、本実施例のレーダ装置の要部を示すが、前記実施例1と同様に、レーダ制御装置101には、制御処理部103やメモリ105を備えており、レーダ制御装置101に接続されたFM変調電圧生成回路107からは、MMICのVCO109に対して、三角波信号が出力される。
【0077】
以下、具体的なレーダ送信出力の3種の調整方法a)〜c)について説明する。
なお、ここでは、通常走行状態における送信出力から低速走行状態における送信出力に切り替える際の方法を説明する。
【0078】
a)FMCW変調A
図10(a)に示す様に、FMCW変調を行う場合には、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の変調時間(ここでは変曲点間の時間)が設定される。具体的には、上昇開始から下降開始までの時間(同様に下降開始から上昇開始までの時間)が設定される。
【0079】
ここでは、変調時間は、通常走行状態における高出力領域Cに対応する初期値に設定されているが、変調を行う期間のみ、送信MMICの電源をオンし、それ以外はオフに設定している。
【0080】
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を高めることができる。
b)FMCW変調B
図10(b)に示す様に、FMCW変調を行う場合に、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の変調時間を変更する。これによりトータルの変調時間も変更される。具体的には、変調時間を短くすることにより、レーダ送信出力を低下させる。
【0081】
また、それに合わせて、送信MMICの電源のオン時間を短くする。
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を一層高めることができる。
c)FMCW変調C
図10(c)に示す様に、FMCW変調を行う場合に、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の数を変更する。具体的には、三角波の数を短くすることにより、レーダ送信出力を低下させる。
【0082】
また、それに合わせて、送信MMICの電源のオン時間を短くする。
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を一層高めることができる。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例3】
【0083】
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ装置のレーダ送信電力をモニタに、車速に応じてレーダ送信電力を最適な範囲に制御するものである。
【0084】
a)まず、本実施例の特徴部分である送信電力をモニタし、送信電力を制御するための構成について説明する。
図11に示す様に、高周波回路111には、前記実施例1と同様に、VCO113、増幅器(AMP1)115、分配器117、増幅器(AMP2)119、送信アンテナ121などを備えている。
【0085】
送信モニタ部123には、検波ダイオード125、差動アンプ126などを備えている。
この送信モニタ部123では、まず、高周波回路111の増幅器119からの送信出力(送信電圧)を検波ダイオード125に入力する。この検波ダイオード125の両端の電圧は、送信電圧(電位差)を示すものであるので、検波ダイオード125の両端の電圧を差動アンプ125に入力し、入力信号を増幅し、その信号を(A/Dコンバートの後)レーダ制御装置(マイコン)127に入力する。
【0086】
レーダ制御装置127では、差動アンプ125からの送信電力を示す信号に基づいて、制御IC129を駆動して、高周波回路111のMMICを制御する。
具体的には、前記実施例1と同様に、バイアス電圧を調節して、図12に示す様に、レーダ送信出力を目標値に制御する。
【0087】
例えば本実施例では、図12に示す様に、送信電力の目標値を、送信OFFを示す前記低出力領域Aに対応する様に、目標電力M1(目標電圧VM1)を設定し、前記中出力領域Bに対応する様に、目標電力M2(目標電圧VM2)を設定し、前記高出力領域Cに対応する様に、目標電力M3(目標電圧VM3)を設定し、レーダ出力電圧が各目標電圧となるように制御する。
【0088】
なお、目標電圧VM1としては、低出力領域Aの中央(縦軸の中央値)に対応する値を採用でき、目標電圧VM2としては、中出力領域Bの中央に対応する値を採用でき、目標電圧VM2としては、高出力領域Cの中央に対応する値を採用できる。従って、ここでは、目標電圧VM1<目標電圧VM2<目標電圧VM3である。
【0089】
b)次に、本実施例のレーダ装置における制御処理について説明する。
<車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理>
図13に示す様に、ステップ300では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0090】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ310に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ320に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ330に進む。
【0091】
そして、ステップ310では、停車状態であり、レーダ装置1を作動させる必要性が低いので、レーダ送信電力が前記低出力領域Aに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Va以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ340に進み、一方否定判断されるとステップ350に進む。
【0092】
ステップ340では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0093】
一方、ステップ350では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aに無いので、レーダの送信電力を低出力領域Aの範囲の目標値M1(即ち目標電圧VM1)に制御(フィードバック制御)し、一旦本処理を終了する。
【0094】
また、ステップ320では、車両が低速走行状態であり、レーダ装置1を低出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が前記中出力領域Bに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vb1以上で且つVb2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されると前記ステップ340に進んで同様な処理を行い、一方否定判断されるとステップ360に進む。
【0095】
ステップ360では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダの送信電力を中出力領域Bの範囲の目標値M2(即ち目標電圧VM2)に制御し、一旦本処理を終了する。
【0096】
更に、ステップ360では、車両が通常走行状態であり、レーダ装置1を通常出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が前記高出力領域Cに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vc1以上で且つVc2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されると前記ステップ340に進んで同様な処理を行い、一方否定判断されるとステップ370に進む。
【0097】
ステップ370では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cに無いので、レーダの送信電力を高出力領域Cの範囲の目標値M3(即ち目標電圧VM3)に制御し、一旦本処理を終了する。
【0098】
従って、上述した本実施例の制御処理により、常に、車速に応じて最適なレーダ送信出力に調整することができるという顕著な効果を奏する。
なお、例えばレーダの出力が目標範囲内でない場合には、何らかの異常が発生したと考えられるので、その場合には、レーダの作動を停止してもよい。或いは、レーダから得られた情報に基づく制御を中止したり、その情報を用いないようにして車両制御を行ってもよい。
【実施例4】
【0099】
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ装置の制御内容に特徴があるので、その処理内容について説明する。
【0100】
(1)車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理
図14に示す様に、ステップ400にて、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1(例えば2km/h)未満(V<V1)か、又は、それ以上の車速での走行状態かを判定する。
【0101】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ420に進み、走行状態であると判定されるとステップ420に進む。
ステップ410では、停車状態において、(走行状態よりも)近距離の周囲の状況を把握するために、低出力電力によるレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。
【0102】
一方、ステップ420では、走行状態であるので、(停車状態よりも)遠距離の周囲の状況を把握するために、停車状態の送信電力よりも大きな通常電力でレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。
【0103】
(2)レーダ送信出力が適正の範囲かどうかを判定する処理
図15に示す様に、ステップ500では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、それ以上の車速での走行状態かを判定する。
【0104】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ510に進み、走行状態であると判定されるとステップ420に進む。
ステップ410では、停車状態であり、遠距離までのレーダによる走査を必要としないので、レーダ送信電力が例えば中出力領域Bに該当するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ530に進み、一方否定判断されるとステップ540に進む。
【0105】
ステップ530では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0106】
一方、ステップ540では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0107】
また、ステップ520では、車両が走行状態であり、レーダ装置1を通常の出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が例えば高出力領域Cに該当するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ530に進み、一方否定判断されるとステップ540に進む。
【0108】
本実施例においても、車速に応じてレーダ送信出力を制御するとともに、車速に応じたレーダ送信出力がなされているかどうかをモニタしているので、常に最適なレーダ送信出力がなされているか否かを明確に把握することができる。従って、例えば、ステップ530に進んだ場合には、レーダ送信出力を車速に応じた好ましい目標値に制御することができる。
【0109】
ここでは、レーダの送信出力を、停車状態の場合に中出力領域B(低出力電力送信)に、走行状態の場合に高出力領域C(通常電力送信)に設定した例について説明したが、停車状態よりも走行状態の方がレーダ送信出力を大きく設定できれば良いので、上述した制御に限定される訳ではない。
【0110】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば発明は、前記実施例1〜4に記載の様なFMCWレーダではなく、ミリ波を用いたパルスレーダにも適用することができる。
【0111】
このパルスレーダとしては、図16に示す様に、制御マイコンとしてレーダ制御装置131を備えるとともに、送信系として、パルス発生器133、パルス変調器135、増幅器137、送信アンテナを備え、モニタ系として、送信モニタ141、送信モニタ回路143を備え、受信系として、受信アンテナ145、増幅器147、発振器149、ミキサ151、増幅器153、低域通過フィルタ155、検波器157を備えた構成が挙げられる。
【0112】
この場合も、前記FMCWレーダと同様に、レーダの送信電力をモニタし、送信電力が目標範囲にあるかどうかをチェックし、目標範囲に無い場合には、送信電力が目標範囲に入るようにフィードバック制御することができる。
【0113】
(2)また、前記実施例では、送信出力を3つの領域区分(停車状態に対応した1つの領域と、走行状態に対応した2つ領域)に区分したが、停車状態にレーダの送信電力を中出力領域に、走行状態に高出力領域に設定した2つの領域区分となるよう制御してもよい。更に、細かく区分して、送信出力が各目的の領域となる様に制御してもよい。
【0114】
(3)或いは、車速が上昇するにつれて、徐々にレーダの送信出力を増大させるように制御してもよい。
(4)また、前記実施例では、レーダ装置について述べたが、その制御内容については、レーダ装置を制御するプログラムやそのプログラムを記憶している記録媒体にも適用できる。
【0115】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の各種の記録媒体が挙げられる。つまり、上述したレーダ装置を制御するプログラムを記憶したものであれば、特に限定はない。
【符号の説明】
【0116】
1…レーダ装置
3…車速センサ
9、123、141…送信モニタ部
17…専用集積回路
19、111…高周波回路
21、101、127、131…レーダ制御装置(マイコン)
65、67、69…MMIC
81、125…検波ダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行を自動的に制御する車両制御装置として、車両を一定の車速で走行するように制御する定速走行制御装置や、先行車に対して所定の車間距離を保って追従する制御を行う追従制御装置が知られている。
【0003】
また、例えば追従制御を行う車両制御装置では、レーダによって前方の車両との車間距離や前方の車両の車速等を検出し、このデータに基づいて自車の走行状態を制御している(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−342766号公報
【特許文献2】特開平9−324666号公報
【特許文献3】特開平11−268558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、車両の走行中は、前方の車両等の障害物を確実に検出するために、通常、大きな出力でレーダを作動させているので、エネルギー効率が良くないという問題があった。
【0006】
また、米国法規(FCC)では、車両の停車時にレーダの放射能力をある値以下に下げることが規定されおり、その対策として、車両の停車中はレーダを停止させているが、レーダを停止させてしまうと、その間は前方等の検知ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、レーダの効率を向上することができ、しかも、車両の走行状態に対応して適切に前方等の検知が可能なレーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1の発明は、車両の速度を検出する車速検出手段からの情報に基づいて、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置であって、前記レーダの出力を制御する出力制御手段と、前記車速検出手段によって得られた車速に応じて、前記出力制御手段を駆動して、前記レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御する出力切換制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、車速検出手段(例えば車速センサ)によって得られた車速に応じて、マイコン等によって、レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御するので、車速に応じて必要な範囲の障害物の検知が可能であるとともに、レーダのエネルギー効率が良いという効果がある。
【0010】
例えば低速で走行している場合には、それより高速で走行している場合には比べて、それほど広範囲にレーダの検知範囲を設定する必要性が無いので、本発明では、例えば低速で走行している場合には、それより高速で走行している場合には比べて、レーダの出力を低くすることにより、走行状態応じた最適な検知範囲を設定できるとともに、エネルギー効率も高めることができるという利点がある。
【0011】
なお、車両が実質的に停車している場合には、レーダの出力をオフしてもよい。
(2)請求項2の発明は、前記レーダの出力を制御する場合に、前記レーダ自体から前記レーダの出力をモニタするモニタ手段と、前記モニタ手段によって検知されたレーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定する目標判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、レーダ自体からレーダの出力(例えば出力電圧)をモニタし、レーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定するので、レーダの出力が常に最適な状態に設定されているかをチェックすることができる。
【0013】
その結果、チェック内容に応じて、チェック内容を報知したり、目標値に制御する等の制御が可能になる。
(3)請求項3の発明は、前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの出力を目標範囲内に制御する目標制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、レーダの出力を目標範囲内に制御するので、常に、レーダの出力を最適な範囲に設定することができる。
なお、目標範囲としては、所定の幅を持った領域を設定できるが、単一の目標値として、この目標値に制御(例えばフィードバック制御)するようにしてもよい。
【0015】
(4)請求項4の発明は、前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの作動を停止するレーダ停止手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
レーダの出力が目標範囲内でない場合には、何らかの異常が発生したと考えられるので、その場合には、レーダの作動を停止してもよい。
なお、レーダの作動を停止するのではなく、レーダから得られた情報を利用しないようにする制御を行ってもよい。
【0017】
(5)請求項5の発明は、モノリシックマイクロ集積回路(MMIC)を備えた高周波回路により、前記レーダを作動させる場合に、前記モノリシックマイクロ集積回路のバイアス電圧を調整することによって、前記レーダの出力を調整することを特徴とする。
【0018】
本発明は、レーダの出力を調整する手法を例示したものである。
ここでは、MMICのバイアス電圧を高くすることによってレーダ出力を増加させることができ、逆に、MMICのバイアス電圧を低くすることによってレーダ出力を低減させることができる。
【0019】
(6)請求項6の発明は、前記レーダがFMCWレーダの場合に、FMCW信号の変調時間及び/又は変調数を変更することにより、前記レーダの出力を調整することを特徴とする。
【0020】
本発明は、レーダの出力を調整する手法を例示したものである。
ここでは、FMCW信号の変調時間を長くすることや変調数を多くすることによって、レーダ出力を増加させることができ、逆に、FMCW信号の変調時間を短くすることや変調数を少なくすることによって、レーダ出力を低減させることができる。
【0021】
(7)請求項7の発明は、前記変調時間及び/又は変調数の変更に応じて、前記モノリシックマイクロ集積回路に供給する電力のオンオフを制御することを特徴とする。
本発明では、前記変調時間や変調数の変更の際に、MMICに供給する電力のオンオフを制御するので、一層エネルギー効率を向上することができる。
【0022】
例えば、変調時間や変調数を変更する期間のみ、MMICに供給する電力のオンし、それ以外はオフを制御するので、エネルギー効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1のレーダ装置を含む車載システムを示すブロック図である。
【図2】レーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】レーダ装置等の構成を詳細に示すブロック図である。
【図4】MMICのバイアス電圧を調節するための構成を示す説明図である。
【図5】レーダの送信電圧と比較電圧とを比較するための構成を示すブロック図である。
【図6】レーダの送信電力の設定範囲を示す説明図である。
【図7】実施例1のレーダの送信電力を設定する処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例1のレーダの送信電力を判定する処理を示すフローチャートである。
【図9】実施例2のレーダ装置の要部を示すブロック図である。
【図10】FMCW信号によって送信電力を調整する手法を示す説明図である。
【図11】実施例3のレーダ装置の要部を示すブロック図である。
【図12】レーダの送信電力の目標値を示す説明図である。
【図13】実施例3のレーダの送信電力を目標値に制御する処理を示すフローチャートである。
【図14】実施例4のレーダの送信電力を設定する処理を示すフローチャートである。
【図15】実施例4のレーダの送信電力を判定する処理を示すフローチャートである。
【図16】パルスレーダの要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明のレーダ装置の実施例について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例のレーダ装置は、車速に応じてレーダ装置の送信電力を制御するとともに、レーダ装置の送信電力が目的の範囲であるかどうかをモニタする機能を有するものである。
a)まず、本実施例のレーダ装置を含む車載システムの概略構成について説明する。
【0026】
図1に示す様に、車両には、車両の前方の先行車等の速度や距離などを検出するレーダ装置1と、自車の車速を検出する車速センサ3と、レーダ装置1や車速センサ3から得られた情報に基づいて自車の制御を行う車両制御装置(車両制御ECU)5を備えている。
【0027】
前記レーダ装置1は、送信するミリ波の周波数を連続的に変調するFMCWミリ波レーダであり、ミリ波を送信する際の送信電力を制御する送信電力調整部11と、車両の前方等にミリ波を送信し、その反射波を受信するアンテナ部7と、アンテナ部7から送信するミリ波の送信電力をモニタする送信電力モニタ部9とを備えており、送信電力調整部11は、送信電力モニタ部9にて検出した送信電力に基づいて送信電力を調整する機能を有する。
【0028】
b)次に、前記レーダ装置1の構成について詳細に説明する。
図2に示す様に、レーダ装置1は、送信アンテナ13及び受信アンテナ15を有する前記アンテナ部7と前記送信モニタ部9とを備えるとともに、送信電力調整部11として、専用集積回路17と高周波回路19とを備えている。
【0029】
前記専用集積回路17は、レーダ装置1の送信や受信などの動作を制御する電子制御装置(マイコン)であるレーダ制御装置21と、FMCW信号の発生のための三角波電圧信号を生成するFM変調電圧生成回路23と、バイアス電圧を生成するバイアス生成回路25と、A/D変換器27とを備えている。
【0030】
前記高周波回路19は、送信系として、三角波電圧信号を受けてFMCW信号を発生する電圧制御発振器(VCO)29と、信号を増幅する増幅器(AMP1)31と、FMCW信号の一部を送信側に与えるとともに一部をローカル信号として受信側に与える分配器33と、信号を増幅する増幅器(AMP21)35とを備えている。また、受信系として、分配器33からローカル信号を受信するミキサ37と、受信した信号等を増幅するビデオ増幅器39を備えている。
【0031】
なお、送信モニタ部9は増幅器35に接続されており、この送信モニタ部9によって、増幅器35における送信電力を示す電圧信号がモニタされ、その送信電圧がレーダ制御装置21に入力する。
【0032】
c)次に、レーダ装置1の計測動作について概略説明する。
前記図2に示す様に、レーダ装置1では、VCO29は、FM変調電圧生成回路23から三角波電圧信号を受けて、周波数が、一定期間内時間と共に上昇する上昇変調信号と一定期間内時間と共に下降する下降変調信号とからなるFMCW信号を発生する。
【0033】
このFMCW信号の一部が分配器33等を介して送信アンテナ13に供給され、送信アンテナ13からミリ波電波が目標物に向けて照射される。
また、残りのFMCW信号はローカル信号としてミキサ37に供給される。なお、このFMCW信号は、例えば70GHz帯のミリ波信号である。
【0034】
受信アンテナ15に捕捉された目標物での反射波は、受信信号としてミキサ37に入力する。ミキサ37は、受信アンテナ15からの受信信号と分配器33からのローカル信号とをミキシングし、両者の周波数差を周波数に持つビート信号を出力する。
【0035】
このビート信号は、ビデオ増幅器39にて適宜レベルに増幅され、A/D変換器27を介してレーダ制御装置21に入力される。
レーダ制御装置21は、入力したビート信号における上昇変調期間での周波数と下降変調期間での周波数とから、目標物体までの距離と目標物体の移動速度とを求める。
【0036】
d)次に、本実施例においてレーダの送信電力を調整する際に利用するバイアス調整系の構成と動作について説明する。
・前記図2に示す様に、高周波回路19では、送信系(分配器33など)と受信系(ミキサ37、ビデオ増幅器39など)は、それぞれ複数のモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)で構成されている。また、VCO29は、70GHz帯のミリ波信号を例えば19GHzから多段に逓倍して生成するために複数のMMICが使用されている。
【0037】
本実施例では、前記MMICを有するバイアス電圧調整系を、レーダ制御装置21を含めて次のように構成している。
すなわち、図3に示す様に、高周波回路19の直近には、当該高周波回路19内の周囲温度を検出する温度モニタ41と、MMICを流れるドレイン電流を検出する電流モニタ43とが設けられている。温度モニタ43の検出出力は、バイアス電圧生成回路25を介してレーダ制御装置21に入力される。また、電流モニタ43の検出出力は、同様にバイアス電圧生成回路25を介してレーダ制御装置21に入力される。
【0038】
レーダ制御装置21には、上記したFMCWレーダにおける送信処理と計測処理等を行う機能に加えて、バイアス電圧生成回路25を介して入力される温度モニタ41と電流モニタ43の各出力に基づき各MMICのバイアス電圧を調整設定し、それをバイアス電圧生成回路25から各MMICに供給させる機能が追加されている。
【0039】
・バイアス電圧の調整は、送信系のMMIC群と、受信系のMMIC群と、VCO29における逓倍系のMMIC群との3系統に分けて実施されるが、この3系統のMMIC群毎にバイアス調整系が設けられている。
【0040】
前記図3において、レーダ制御装置21は、ドレイン電圧の設定処理とゲート電圧のバイアス調整設定処理とを行う制御処理部45と、制御処理部45が指示するドレイン電圧を出力するドレイン設定電圧出力部47と、制御処理部45がドレイン電圧の設定処理を行う際に参照する温度データテーブルとゲート電圧のバイアス調整を行う際のデータ領域と制御処理部45がゲート電圧の設定処理を行う際に参照する温度データテーブルとが設けられるメモリ49と、制御処理部45が指示するゲート電圧を出力するゲート設定電圧出力部51とを備えている。
【0041】
バイアス電圧生成回路25は、入力段にD/A変換器を備えるドレインバイアス用レギュレータ53と、A/D変換器55、57と、(n個の)D/A変換器59、61、63とを備えている。高周波回路19は、上記した3つのMMIC群の1つである(n個の)MMIC65、67、69とを備えている。そして、高周波回路19の直近部には、上記した温度モニタ41および電流モニタ43が設けられている。電流モニタ43は、シャント抵抗素子71と電圧比較回路73とで構成されている。
【0042】
そして、ドレイン設定電圧出力部47の出力は、ドレインバイアス用レギュレータ53に与えられる。ドレインバイアス用レギュレータ53の出力は、シャント抵抗素子71を介してMMIC65〜69の各ドレイン電極Dに共通に与えられる。シャント抵抗素子71の両端電圧は、電圧比較回路73に入力され、電圧比較回路73の出力は、A/D変換器55を介して制御処理部45に入力される。温度モニタ41の出力は、A/D変換器57を介して制御処理部45に入力される。ゲート設定電圧出力部51の出力端には、D/A変換器59〜63が並列に接続され、D/A変換器59〜63の各出力は、MMIC65〜69の対応するゲート電極Gに印加される。
【0043】
・本実施例では、上述した構成を用いて、送信電圧を調節するためにバイアス電圧を調整するが、その調整手法は、特許第4087803号公報の内容と同様な手法であるので、ここでは簡単に説明する。
【0044】
つまり、図4に示す様に、アンプ部75、77、79を備えた送信系のMMIC65〜69においては、アンプ部75〜79のドレイン電圧を小さくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を深く(マイナス側に大きく)設定してドレイン電流を減らす。これによって、バイアス電圧を低くして、送信電力を低下させることができる。
【0045】
逆に、アンプ部75〜79のドレイン電圧を大きくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を浅く(マイナス側に小さく)設定してドレイン電流を増やすことによって、バイアス電圧を高くして、送信電力を高めることができる。
【0046】
e)次に、本実施例の特徴部分である送信電力をモニタする構成について説明する。
図5に示す様に、送信モニタ部9は、検波ダイオード81と、差動アンプ83と、コンパレータ85と、デコーダ(制御ロジック)91と、8ビットのDAC89と、フリップフロップ(F/F)91とを備えている。
【0047】
この送信モニタ部9では、まず、高周波回路19の増幅器35からの送信出力(送信電圧)を検波ダイオード81に入力する。
この検波ダイオード81の両端の電圧は、送信電圧(電位差)を示している。従って、検波ダイオード81の両端の電圧を差動アンプ83に入力することにより、送信電圧に対応した信号を得ることができる。
【0048】
差動アンプ83では、送信電圧に対応した信号を増幅し、その信号をコンパレータ83の入力端子(+)に入力する。
一方、レーダ制御装置21から、デコーダ87に対して、電力モニタ取得コマンドを出力する。この電力モニタ取得コマンドとは、デコーダ87からDAC89に対して、比較電圧を出力させるためのコマンドである。
【0049】
例えば本実施例では、図6に示す様に、送信電力の範囲を、送信OFFを示す(送信電力が低い)低出力領域A、送信電力が中程度の中出力領域B、送信電力が高い高出力領域Cに区分しているが、その各領域を判別するために、各領域の境界値(境界出力)a、b1、b2、c1、c2(詳しくは境界出力に対応した比較電圧Va、Vb1、Vb2、Vc1、Vc2:例えばVa<Vb1<Vb2<Vc1<Vc2)を設定している。よって、前記コマンドとは、境界出力に対応した各比較電圧を出力させるコマンドである。
【0050】
従って、コマンドを受けてデコーダ87からDAC89に信号が出力されると、DACからコンパレータ85の入力端子(−)に比較電圧が出力される。
そして、コンパレータ85では、前記差動アンプ83からの入力信号とDAC89からの入力信号とを比較し、レーダの送信電力(送信電圧)が比較電圧より大であるか否かを判定し、その判定結果(大である場合は1、小である場合は0)をF/F91によって保持し、F/F91から判定結果を示す電力判定信号をレーダ制御装置21に出力する。
【0051】
従って、レーダ制御装置21では、レーダの送信電圧が比較電圧より大であるか否かを判定することができる。よって、この判定結果を利用して、後述するように、レーダの送信電圧(従って送信電力)が車速対して適正であるか否かを判断することができる。
【0052】
f)次に、本実施例のレーダ装置1における制御処理について説明する。
(1)車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理
図7に示す様に、ステップ(S)100にて、車速センサ3からの信号があるかどうかを判定し、入力がある場合は、ステップ110に進み、そうでない場合は、一旦本処理を終了する。
【0053】
ステップ110では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1(例えば2km/h)未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2(例えば30km/h)以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0054】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ120に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ130に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ140に進む。
【0055】
そして、ステップ120では、停車状態であるので、レーダ装置1を作動させる必要性が低いと判断して、例えばMMIC65〜69の供給電圧をオフすることによって、レーダ波の送信をオフにし、一旦本処理を終了する。なお、この停車状態における送信出力の状態が、前記低出力領域Aに該当する。なお、他の例として、ここでレーダ波の送信をオフにするのではなく、車両の周囲の近距離の障害物を検出できるように、(低出力領域Aの範囲内にて)レーダ波の送信を行ってよい。
【0056】
また、ステップ140では、通常走行状態であるので、予め設定された初期値の通常電力によりレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。なお、この通常走行状態における送信出力の状態が、前記高出力領域Cに該当する。
【0057】
更に、ステップ130では、低速走行状態であるので、遠方の車両等を検出する必要が無いとして、低出力電力によるレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。なお、この低速走行状態における送信出力の状態が、前記中出力領域Bに該当する。
【0058】
具体的には、前記図4にて説明した様に、アンプ部75〜79のドレイン電圧を(通常電力送信時に比べて)小さくするとともに、アンプ部77、79のゲート電圧を(通常電力時に比べて)深く設定してドレイン電流を減らす。これによって、バイアス電圧を低くして、送信電力を低下させることができる。
【0059】
なお、どのようなドレイン電圧及びゲート電圧に設定すれば、どの様な送信電力となるかは、予め装置の定格等により定められている。
(2)レーダ送信出力が適正の範囲かどうかを判定する処理
・まず、電圧の比較判定の手法について説明する。
【0060】
前記図5に示す様に、レーダ送信の際の送信電圧は、コンパレータ85の入力端子(+)に入力するので、この送信電圧の大きさを調べるために、レーダ制御装置21からコマンドを出力し、比較電圧をコンパレータ85の入力端子(−)に入力する。
【0061】
そして、前記図6に示す様に、送信電力が、低出力領域A、中出力領域B、高出力領域Cに対応した電力かどうかを、各境界出力a、b1、b2、c1、c2に対応した各比較電圧Va、Vb1、Vb2、Vc1、Vc2を用いて判定する。
【0062】
具体的には、前記図5に示す様に、レーダ制御装置21からデコーダ87に対して、DAC89から例えば比較電圧Vaを出力させるコマンドを送信し、コンパレータ85にて、その時の送信電力(従って送信電圧)と比較電圧Vaとの比較を行う。ここで、送信電圧の方が大きければF/F91にて「1」を出力し、そうでなければ「0」を出力する。従って、レーダ制御装置21では、F/F91からの信号(電力判定信号)によって、送信電圧と比較電圧Vaとの大小を判定することができる。以下、同様に、送電電圧と他の比較電圧Vb1、Vb2、Vc1、Vc2との比較を行うことができる。
【0063】
・次に、車速の判定と電圧の比較判定とを利用したレーダ送信出力の適否の判定手法について説明する。
図8に示す様に、ステップ200では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0064】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ210に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ220に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ230に進む。
【0065】
そして、ステップ210では、停車状態であり、レーダ装置1を作動させる必要性が低いので、レーダ送信電力が低出力領域Aに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Va以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0066】
ステップ240では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ250では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0068】
また、ステップ220では、車両が低速走行状態であり、レーダ装置1を低出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が中出力領域Bに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vb1以上で且つVb2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0069】
ステップ240では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0070】
一方、ステップ250では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0071】
更に、ステップ230では、車両が通常走行状態であり、レーダ装置1を通常出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が高出力領域Cに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vc1以上で且つVc2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ240に進み、一方否定判断されるとステップ250に進む。
【0072】
ステップ240では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0073】
一方、ステップ250では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0074】
g)この様に、本実施例のレーダ装置1では、車速に応じてレーダ送信出力を制御するとともに、車速に応じたレーダ送信出力がなされているかどうかをモニタしているので、常に最適なレーダ送信出力がなされているか否かを明確に把握することができる。
【0075】
これによって、レーダ送信出力を最適に調整することが可能となるとともに、レーダ装置1の異常の有無を把握できるので、レーダを用いた制御を好適に行うことができる。
【実施例2】
【0076】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ送信出力の制御方法が、前記実施例1と異なる。
図9に、本実施例のレーダ装置の要部を示すが、前記実施例1と同様に、レーダ制御装置101には、制御処理部103やメモリ105を備えており、レーダ制御装置101に接続されたFM変調電圧生成回路107からは、MMICのVCO109に対して、三角波信号が出力される。
【0077】
以下、具体的なレーダ送信出力の3種の調整方法a)〜c)について説明する。
なお、ここでは、通常走行状態における送信出力から低速走行状態における送信出力に切り替える際の方法を説明する。
【0078】
a)FMCW変調A
図10(a)に示す様に、FMCW変調を行う場合には、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の変調時間(ここでは変曲点間の時間)が設定される。具体的には、上昇開始から下降開始までの時間(同様に下降開始から上昇開始までの時間)が設定される。
【0079】
ここでは、変調時間は、通常走行状態における高出力領域Cに対応する初期値に設定されているが、変調を行う期間のみ、送信MMICの電源をオンし、それ以外はオフに設定している。
【0080】
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を高めることができる。
b)FMCW変調B
図10(b)に示す様に、FMCW変調を行う場合に、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の変調時間を変更する。これによりトータルの変調時間も変更される。具体的には、変調時間を短くすることにより、レーダ送信出力を低下させる。
【0081】
また、それに合わせて、送信MMICの電源のオン時間を短くする。
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を一層高めることができる。
c)FMCW変調C
図10(c)に示す様に、FMCW変調を行う場合に、FM変調電圧生成回路107から出力する三角波の数を変更する。具体的には、三角波の数を短くすることにより、レーダ送信出力を低下させる。
【0082】
また、それに合わせて、送信MMICの電源のオン時間を短くする。
これによって、レーダ装置1におけるエネルギー効率を一層高めることができる。
本実施例によっても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
【実施例3】
【0083】
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ装置のレーダ送信電力をモニタに、車速に応じてレーダ送信電力を最適な範囲に制御するものである。
【0084】
a)まず、本実施例の特徴部分である送信電力をモニタし、送信電力を制御するための構成について説明する。
図11に示す様に、高周波回路111には、前記実施例1と同様に、VCO113、増幅器(AMP1)115、分配器117、増幅器(AMP2)119、送信アンテナ121などを備えている。
【0085】
送信モニタ部123には、検波ダイオード125、差動アンプ126などを備えている。
この送信モニタ部123では、まず、高周波回路111の増幅器119からの送信出力(送信電圧)を検波ダイオード125に入力する。この検波ダイオード125の両端の電圧は、送信電圧(電位差)を示すものであるので、検波ダイオード125の両端の電圧を差動アンプ125に入力し、入力信号を増幅し、その信号を(A/Dコンバートの後)レーダ制御装置(マイコン)127に入力する。
【0086】
レーダ制御装置127では、差動アンプ125からの送信電力を示す信号に基づいて、制御IC129を駆動して、高周波回路111のMMICを制御する。
具体的には、前記実施例1と同様に、バイアス電圧を調節して、図12に示す様に、レーダ送信出力を目標値に制御する。
【0087】
例えば本実施例では、図12に示す様に、送信電力の目標値を、送信OFFを示す前記低出力領域Aに対応する様に、目標電力M1(目標電圧VM1)を設定し、前記中出力領域Bに対応する様に、目標電力M2(目標電圧VM2)を設定し、前記高出力領域Cに対応する様に、目標電力M3(目標電圧VM3)を設定し、レーダ出力電圧が各目標電圧となるように制御する。
【0088】
なお、目標電圧VM1としては、低出力領域Aの中央(縦軸の中央値)に対応する値を採用でき、目標電圧VM2としては、中出力領域Bの中央に対応する値を採用でき、目標電圧VM2としては、高出力領域Cの中央に対応する値を採用できる。従って、ここでは、目標電圧VM1<目標電圧VM2<目標電圧VM3である。
【0089】
b)次に、本実施例のレーダ装置における制御処理について説明する。
<車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理>
図13に示す様に、ステップ300では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、通常の走行状態を示す車速V2以上(V2≦V)か、或いは、低速走行を示す速度(V1≦V<V2)かを判定する。
【0090】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ310に進み、低速走行状態であると判定されるとステップ320に進み、通常走行状態であると判定されるとステップ330に進む。
【0091】
そして、ステップ310では、停車状態であり、レーダ装置1を作動させる必要性が低いので、レーダ送信電力が前記低出力領域Aに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Va以下か否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ340に進み、一方否定判断されるとステップ350に進む。
【0092】
ステップ340では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0093】
一方、ステップ350では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が低出力領域Aに無いので、レーダの送信電力を低出力領域Aの範囲の目標値M1(即ち目標電圧VM1)に制御(フィードバック制御)し、一旦本処理を終了する。
【0094】
また、ステップ320では、車両が低速走行状態であり、レーダ装置1を低出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が前記中出力領域Bに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vb1以上で且つVb2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されると前記ステップ340に進んで同様な処理を行い、一方否定判断されるとステップ360に進む。
【0095】
ステップ360では、車両が低速走行状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダの送信電力を中出力領域Bの範囲の目標値M2(即ち目標電圧VM2)に制御し、一旦本処理を終了する。
【0096】
更に、ステップ360では、車両が通常走行状態であり、レーダ装置1を通常出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が前記高出力領域Cに該当するか否かを判定する。具体的には、送信電圧が、比較電圧Vc1以上で且つVc2以下であるか否かを判定する。ここで肯定判断されると前記ステップ340に進んで同様な処理を行い、一方否定判断されるとステップ370に進む。
【0097】
ステップ370では、車両が通常走行状態の場合に、レーダ送信電力が高出力領域Cに無いので、レーダの送信電力を高出力領域Cの範囲の目標値M3(即ち目標電圧VM3)に制御し、一旦本処理を終了する。
【0098】
従って、上述した本実施例の制御処理により、常に、車速に応じて最適なレーダ送信出力に調整することができるという顕著な効果を奏する。
なお、例えばレーダの出力が目標範囲内でない場合には、何らかの異常が発生したと考えられるので、その場合には、レーダの作動を停止してもよい。或いは、レーダから得られた情報に基づく制御を中止したり、その情報を用いないようにして車両制御を行ってもよい。
【実施例4】
【0099】
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、レーダ装置の制御内容に特徴があるので、その処理内容について説明する。
【0100】
(1)車速に応じてレーダ送信出力を調整する処理
図14に示す様に、ステップ400にて、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1(例えば2km/h)未満(V<V1)か、又は、それ以上の車速での走行状態かを判定する。
【0101】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ420に進み、走行状態であると判定されるとステップ420に進む。
ステップ410では、停車状態において、(走行状態よりも)近距離の周囲の状況を把握するために、低出力電力によるレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。
【0102】
一方、ステップ420では、走行状態であるので、(停車状態よりも)遠距離の周囲の状況を把握するために、停車状態の送信電力よりも大きな通常電力でレーダ波の送信を行い、一旦本処理を終了する。
【0103】
(2)レーダ送信出力が適正の範囲かどうかを判定する処理
図15に示す様に、ステップ500では、車速センサ3からの信号に基づいて、車速の判定を行う。具体的には、車速Vが実質的に停車状態の速度V1未満(V<V1)か、又は、それ以上の車速での走行状態かを判定する。
【0104】
ここで、停車状態であると判定されるとステップ510に進み、走行状態であると判定されるとステップ420に進む。
ステップ410では、停車状態であり、遠距離までのレーダによる走査を必要としないので、レーダ送信電力が例えば中出力領域Bに該当するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ530に進み、一方否定判断されるとステップ540に進む。
【0105】
ステップ530では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bであるので、レーダ送信電力が適正であるとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0106】
一方、ステップ540では、車両が停車状態の場合に、レーダ送信電力が中出力領域Bに無いので、レーダ送信電力が適正でないとして、そのことを示すフラグ等を設定して、一旦本処理を終了する。
【0107】
また、ステップ520では、車両が走行状態であり、レーダ装置1を通常の出力で作動させる必要があるので、レーダ送信電力が例えば高出力領域Cに該当するか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ530に進み、一方否定判断されるとステップ540に進む。
【0108】
本実施例においても、車速に応じてレーダ送信出力を制御するとともに、車速に応じたレーダ送信出力がなされているかどうかをモニタしているので、常に最適なレーダ送信出力がなされているか否かを明確に把握することができる。従って、例えば、ステップ530に進んだ場合には、レーダ送信出力を車速に応じた好ましい目標値に制御することができる。
【0109】
ここでは、レーダの送信出力を、停車状態の場合に中出力領域B(低出力電力送信)に、走行状態の場合に高出力領域C(通常電力送信)に設定した例について説明したが、停車状態よりも走行状態の方がレーダ送信出力を大きく設定できれば良いので、上述した制御に限定される訳ではない。
【0110】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば発明は、前記実施例1〜4に記載の様なFMCWレーダではなく、ミリ波を用いたパルスレーダにも適用することができる。
【0111】
このパルスレーダとしては、図16に示す様に、制御マイコンとしてレーダ制御装置131を備えるとともに、送信系として、パルス発生器133、パルス変調器135、増幅器137、送信アンテナを備え、モニタ系として、送信モニタ141、送信モニタ回路143を備え、受信系として、受信アンテナ145、増幅器147、発振器149、ミキサ151、増幅器153、低域通過フィルタ155、検波器157を備えた構成が挙げられる。
【0112】
この場合も、前記FMCWレーダと同様に、レーダの送信電力をモニタし、送信電力が目標範囲にあるかどうかをチェックし、目標範囲に無い場合には、送信電力が目標範囲に入るようにフィードバック制御することができる。
【0113】
(2)また、前記実施例では、送信出力を3つの領域区分(停車状態に対応した1つの領域と、走行状態に対応した2つ領域)に区分したが、停車状態にレーダの送信電力を中出力領域に、走行状態に高出力領域に設定した2つの領域区分となるよう制御してもよい。更に、細かく区分して、送信出力が各目的の領域となる様に制御してもよい。
【0114】
(3)或いは、車速が上昇するにつれて、徐々にレーダの送信出力を増大させるように制御してもよい。
(4)また、前記実施例では、レーダ装置について述べたが、その制御内容については、レーダ装置を制御するプログラムやそのプログラムを記憶している記録媒体にも適用できる。
【0115】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク等の各種の記録媒体が挙げられる。つまり、上述したレーダ装置を制御するプログラムを記憶したものであれば、特に限定はない。
【符号の説明】
【0116】
1…レーダ装置
3…車速センサ
9、123、141…送信モニタ部
17…専用集積回路
19、111…高周波回路
21、101、127、131…レーダ制御装置(マイコン)
65、67、69…MMIC
81、125…検波ダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を検出する車速検出手段からの情報に基づいて、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置であって、
前記レーダの出力を制御する出力制御手段と、
前記車速検出手段によって得られた車速に応じて、前記出力制御手段を駆動して、前記レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御する出力切換制御手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記レーダの出力を制御する場合に、前記レーダ自体から前記レーダの出力をモニタするモニタ手段と、
前記モニタ手段によって検知されたレーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定する目標判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの出力を目標範囲内に制御する目標制御手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの作動を停止するレーダ停止手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
モノリシックマイクロ集積回路を備えた高周波回路により、前記レーダを作動させる場合に、前記モノリシックマイクロ集積回路のバイアス電圧を調整することによって、前記レーダの出力を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記レーダがFMCWレーダの場合に、FMCW信号の変調時間及び/又は変調数を変更することにより、前記レーダの出力を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記変調時間及び/又は変調数の変更に応じて、前記モノリシックマイクロ集積回路に供給する電力のオンオフを制御することを特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
【請求項1】
車両の速度を検出する車速検出手段からの情報に基づいて、ミリ波レーダの動作を制御するレーダ装置であって、
前記レーダの出力を制御する出力制御手段と、
前記車速検出手段によって得られた車速に応じて、前記出力制御手段を駆動して、前記レーダの出力を少なくとも2以上の出力状態に切り換えて制御する出力切換制御手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記レーダの出力を制御する場合に、前記レーダ自体から前記レーダの出力をモニタするモニタ手段と、
前記モニタ手段によって検知されたレーダの出力が、所定の目標範囲内であるか否かを判定する目標判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの出力を目標範囲内に制御する目標制御手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記目標判定手段によって、前記レーダの出力が目標範囲内でないと判定された場合には、前記レーダの作動を停止するレーダ停止手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
モノリシックマイクロ集積回路を備えた高周波回路により、前記レーダを作動させる場合に、前記モノリシックマイクロ集積回路のバイアス電圧を調整することによって、前記レーダの出力を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記レーダがFMCWレーダの場合に、FMCW信号の変調時間及び/又は変調数を変更することにより、前記レーダの出力を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記変調時間及び/又は変調数の変更に応じて、前記モノリシックマイクロ集積回路に供給する電力のオンオフを制御することを特徴とする請求項6に記載のレーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【公開番号】特開2010−261784(P2010−261784A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112154(P2009−112154)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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