説明

ロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置

【課題】グラブバケットによるバラ物の荷揚げ効率の向上を図る。
【解決手段】トロリ7の第1シーブ20及び第2シーブ23に掛けられて先端がグラブバケット53に固定された第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が下方へ向かって減少するよう第1シーブ20と第2シーブ23の間隔が設定してあり、張力検出手段からの第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープの張力検出値とトロリの横行速度検出手段からのトロリ横行速度とグラブバケットの吊り長さ検出手段からの吊り長さとを入力し、トロリの横行起動時には横行方向前側の巻上ロープの張力が横行方向後側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御し、トロリの横行停止時には横行方向後側の巻上ロープの張力が横行方向前側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御してグラブバケットをトロリの直下に位置させる制御器を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バラ物運搬船に積載された鉱石、石炭等のバラ物を陸揚げするために、岸壁には橋形クレーン式アンローダが備えられている。橋形クレーン式アンローダは、海側の前脚と陸側の後脚を有して岸壁に沿って走行する機械本体と、該機械本体上部の陸側のガーダから海側へ張り出して設けられたブームと、該ブーム及びガーダの長手方向に沿って横行するトロリと、該トロリから吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケットとを有している。そして、前記ブームの海側に位置したトロリにより開いた状態のグラブバケットをバラ物運搬船内のバラ物上に吊り下げて載置し、グラブバケットを閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケットを上昇させ、続いてトロリを陸側に横行させることによりグラブバケットを陸側に移動させ、グラブバケットが前記機械本体に備えたホッパ上に来たときに開くことによりバラ物をホッパへ投入している。ホッパに投入されたバラ物は機械本体に備えた搬送コンベヤ等により陸上の搬送コンベヤへ供給するようにしている。
【0003】
従来の橋形クレーン式アンローダとしては、前記ブーム上にトロリを備え、トロリにはグラブバケットの昇降を行う巻上装置とグラブバケットの開閉を行う開閉装置と横行装置とを備えたクラブトロリ式アンローダが一般的に用いられてきた。
【0004】
しかし、上記クラブトロリ式アンローダにおいては、主トロリに巻上装置と開閉装置と横行装置とが搭載されるために、トロリの重量が増加して、ブーム上を移動する荷重が大きくなるため、クレーン本体重量が重くなり、更に、トロリの横行起動、停止に要する消費エネルギが増加する問題があった。
【0005】
このため、グラブバケットの巻上ドラムと開閉ドラムを機械本体のガーダ側に備えることによりトロリの軽量化とトロリの構成の簡略化を図るようにしたロープトロリ式アンローダが実施されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
図9は上記特許文献1に示されたロープトロリ式アンローダの概略を示す斜視図であり、図9は、2本の巻上ドラム50,50'と2本の開閉ドラム51,51'からなる計4本のドラムを備えた4ドラム式のアンローダの場合を示している。
【0007】
図9中、52は図示しない機械本体のガータから海側に張り出したブームに沿って矢印A方向へ横行可能なトロリであり、該トロリ52によりグラブバケット53を吊り下げるようにしている。即ち、前記巻上ドラム50から繰り出した巻上ロープ54はガーダの陸側端部に設けたシーブ55を経てトロリ52上のシーブ56に導かれた後、下方に向けられて下端がグラブバケット53の一側(陸側)に固定されている。又、前記巻上ドラム50'から繰り出した巻上ロープ54'はブームの海側端部に設けたシーブ55'を経てトロリ52上のシーブ56'に導かれた後、下方に向けた下端がグラブバケット53の他側(海側)に固定されている。
【0008】
又、前記開閉ドラム51から繰り出した開閉ロープ57はガーダの陸側端部に設けたシーブ58を経てトロリ52上のシーブ59に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53のバケット本体53a,53aの連結部に取り付けた下部移動シーブ60と、タイロッド53bを介しピン連結により前記バケット本体53aを支持する上部フレーム53cに取り付けた上部固定シーブ61(図2参照)との間に複数回掛け回した後、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。一方、前記開閉ドラム51'から繰り出した開閉ロープ57'はブームの海側端部に設けたシーブ58'を経てトロリ52上のシーブ59'に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61(図2参照)との間に複数回掛け回した後、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。
【0009】
図9に示した4ドラム式のアンローダでは、巻上ドラム50,50'を停止した状態において、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を同時に繰り出すと、グラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が開いて前記グラブバケット53は開き、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57、57'を同時に巻き込むと、下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭くなりグラブバケット53は閉じられる。
【0010】
又、前記巻上ドラム50,50'により巻上ロープ54,54'を繰り出す操作と、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を繰り出す操作を同時に行うと、グラブバケット53は下降し、又、前記巻上ドラム50,50'により巻上ロープ54,54'を巻き込む操作と、開閉ドラム51,51'により開閉ロープ57,57'を巻き込む操作を同時に行うと、グラブバケット53は上昇する。
【0011】
一方、陸側のシーブ55,58からトロリ52上の陸側のシーブ56,59に巻上ロープ54及び開閉ロープ57を導いている巻上ドラム50及び開閉ドラム51の巻き込み操作と、海側のシーブ55',58'からトロリ52の海側のシーブ56',59'に巻上ロープ54'及び開閉ロープ57'を導いている巻上ドラム50'及び開閉ドラム51'の繰り出し操作を同時に行うと、トロリ52とグラブバケット53は陸側へ横行する。逆に、巻上ドラム50及び開閉ドラム51の繰り出し操作と、巻上ドラム50'及び開閉ドラム51'の巻き込み操作を同時に行うと、トロリ52及びグラブバケット53は海側へ横行する。即ち、巻上ドラム50,50'と開閉ドラム51,51'の操作によって、トロリ52及びグラブバケット53を横行させることができる。
【0012】
又、図9に示した4ドラム式のアンローダでは、グラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61との間に掛け回してバケット本体53aの開閉を行う開閉ロープ57,57'には、特にバラ物を掴む際に非常に大きな負荷が掛り、上記掛け回し箇所のロープが損耗する問題があるため、この掛け回し箇所を中間ロープ62,62'として前記開閉ロープ57,57'から切り離して交換できるようにした、ロープジョイント63,64を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO98/06657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記したような4ドラム式のアンローダにおいても、以下のような問題を有していた。
【0015】
即ち、4ドラム式のアンローダでは4本のドラムを必要とするために装置の構成が複雑化し、更に、グラブバケットの昇降操作とグラブバケットの開閉操作は、前記したように4本のドラムを同期させて作動させる必要があるために、制御が比較的難しくなるという問題がある。
【0016】
又、前記トロリからは略平行な4本のロープによってグラブバケットが吊り下げられているため、トロリの横行を起動・停止する際にはロープが平行四辺形になってグラブバケットが横行方向前後に振れる単振動の揺れがあり、グラブバケットの振れを静止するための操作が必要となり、次の作業を行うためのサイクルタイムが増加し、操作性が悪化するという問題がある。
【0017】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、トロリの横行を起動・停止する際にグラブバケットが横行方向前後に振れる問題を防止してグラブバケットによるバラ物の荷揚げ効率の向上を図れるようにしたロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、陸側のガーダと海側のブーム上に沿って走行するトロリを介しグラブバケットを吊り下げてバラ物運搬船の槽内のバラ物を陸揚げするロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置であって、ガーダ上に備えた第1巻上ドラムから繰り出してトロリの海側に設けた第1シーブを介し先端がグラブバケットに固定された第1巻上ロープと、前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリの陸側に設けた第2シーブを介し先端が前記グラブバケットに固定された第2巻上ロープと、前記グラブバケットに設けた下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回した駆動ロープの両端が固定されたフックブロックと、前記ガーダ上に備えた開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して先端が前記ブームの先端に固定された開閉ロープとを有し、前記第1シーブ及び第2シーブに掛けられて先端が前記グラブバケットに固定された第1巻上ロープと第2巻上ロープの間隔が下方へ向かって減少するよう前記第1シーブと第2シーブの間隔が設定してあり、前記第1巻上ロープ及び第2巻上ロープの張力を検出する張力検出手段と、トロリの横行速度検出手段と、グラブバケットの吊り長さ検出手段と、前記張力検出手段からの第1巻上ロープ及び第2巻上ロープの張力検出値とトロリの横行速度検出手段からのトロリ横行速度とグラブバケットの吊り長さ検出手段からの吊り長さとを入力し、トロリの横行起動時には横行方向前側の巻上ロープの張力が横行方向後側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御し、トロリの横行停止時には横行方向後側の巻上ロープの張力が横行方向前側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御してグラブバケットをトロリの直下に位置させる制御器を備えたことを特徴とするグラブバケット式アンローダのバケット振れ止め装置、に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置によれば、第1シーブ及び第2シーブに掛けられて先端がグラブバケットに固定された第1巻上ロープと第2巻上ロープの間隔が下方へ向かって減少するよう前記第1シーブと第2シーブの間隔が設定してあり、第1巻上ロープ及び第2巻上ロープの張力を検出する張力検出手段からの張力検出値とトロリの横行速度検出手段からのトロリ横行速度とグラブバケットの吊り長さ検出手段からの吊り長さとを入力して、トロリの横行起動時には横行方向前側の巻上ロープの張力が横行方向後側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御し、トロリの横行停止時には横行方向後側の巻上ロープの張力が横行方向前側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御してグラブバケットをトロリの直下に位置させる制御器を備えたので、グラブバケットの停止時にグラブバケットが横行方向前後に振れる問題を防止して、グラブバケットの位置決めを容易に行えるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用するロープトロリ式アンローダの全体構成を示す側面図である。
【図2】図1のグラブバケットの作動機構を示す側面図である。
【図3】図2の作動機構によりグラブバケットを開く状態を示した説明図である。
【図4】図2の作動機構における第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムの駆動系統を示す斜視図である。
【図5】図4の第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムの駆動系統を別角度から見た斜視図である。
【図6】図2の作動機構における開閉ドラムの駆動系統を示す斜視図である。
【図7】本発明によるバケット振れ止めを説明するための側面図である。
【図8】図7のホッパをVIII−VIII方向から見た平面図である。
【図9】従来の4ドラム式のアンローダの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0022】
図1は本発明のロープトロリ式アンローダの全体構成を示す側面図であり、このロープトロリ式アンローダは、海側の前脚1と陸側の後脚2を有して岸壁上のレール3上を走行する機械本体4と、該機械本体4上部の陸側に設けられたガーダ5から海側へ張り出しピン6'を中心に俯仰が可能なブーム6と、該ブーム6及びガーダ5の長手方向に沿って横行するトロリ7と、該トロリ7から吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケット53とを有している。そして、前記ブーム6の海側に位置したトロリ7から開いた状態のグラブバケット53をバラ物運搬船8の槽口9から船内に吊り下げてバラ物上に載置し、グラブバケット53を閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケット53を上昇させ、続いて、トロリ7を陸側に横行させることによりグラブバケット53を陸側に移動させ、グラブバケット53が前記機械本体4に備えたホッパ10上に来たときに開くことによりバラ物をホッパ10内へ投入している。ホッパ10内に投入されたバラ物は、機械本体4に備えた機内コンベヤ11等により陸上の搬送コンベヤ12に供給されるようになっている。13は機械本体4からバラ物運搬船8上に張り出すように設けられ、グラブバケット53から落下するバラ物を回収するためのバラ物回収板、14はアンローダを操作する移動運転室、15は機械本体4の上部の陸側端に設けられた機械室及び電気品室である。又、前記グラブバケット53には、バラ物運搬船8の槽内でのバラ物の移動を行うためのブルドーザB等の作業機械を吊り下げることができるようになっている。
【0023】
図1のロープトロリ式アンローダには、グラブバケット53の作動を行うための図2、図3に示す作動機構が備えられている。即ち、図1〜図3に示すガーダ5の陸側端部には、第1巻上ドラム16と、第2巻上ドラム17と、開閉ドラム18が備えられている。
【0024】
前記第1巻上ドラム16から繰り出された第1巻上ロープ19は、トロリ7の海側に設けた第1シーブ20に掛けられた後、先端をグラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定している。
【0025】
又、前記第2巻上ドラム17から繰り出された第2巻上ロープ21は、ブーム6先端に設けた先端シーブ22に掛けられ、更に、前記トロリ7の陸側に設けた第2シーブ23に掛けられた後、先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定している。
【0026】
図中25はフックブロックであり、該フックブロック25に一端を固定した駆動ロープ24はグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回した後、他端をグラブバケット53の所要箇所に固定しており、又、前記フックブロック25に一端を固定した駆動ロープ24'はグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回した後、他端をグラブバケット53の所要箇所に固定している。
【0027】
そして、前記開閉ドラム18から繰り出した開閉ロープ26は、トロリ7の前記第1シーブ20と第2シーブ23との中間に設けた第3シーブ27を介して前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に掛け回し、更に前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27'に掛けてその先端を前記ブーム6の先端の固定点26'に固定している。
【0028】
上記したように、前記第1巻上ロープ19を掛ける第1シーブ20はトロリ7の海側に位置し、前記第2巻上ロープ21を掛ける第2シーブ23はトロリ7の陸側に位置しているため、前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定することにより、前記第1シーブ20と第2シーブ23から前記グラブバケット53に向かう第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が上方から下方へ向かって減少する略V字状を形成している。
【0029】
又、前記第1巻上ドラム16の上面から繰り出された第1巻上ロープ19は、トロリ7の第1シーブ20の上面に掛けられた後先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定している。又、前記第2巻上ドラム17の下面から繰り出された第2巻上ロープ21は、ブーム6の先端に設けた先端シーブ22の下面に掛けられて上面から導き出され、更に前記トロリ7の第2シーブ23の上面に掛けられた後先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定している。更に、前記開閉ドラム18の上面から繰り出された開閉ロープ26は、トロリ7の前記第3シーブ27の上面に掛けられて左側から下方に導かれ、前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に左側から下面に掛けられて右側から上部に導かれ、前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27'の右側から上面に掛けられた後先端を前記ブーム6の先端の固定点26'に固定している。従って、前記第1巻上ロープ19、第2巻上ロープ21、前記開閉ロープ26は、各ドラム16,17,18に対する巻付け方向と、各シーブ20,22,23,27,28,27'に対する巻付け方向とが同じ曲げ方向である順曲げとなっている。
【0030】
一方、前記第1巻上ドラム16には、図4及び図5に示す如く、第1遊星歯車減速機構70を介して第1巻上駆動モータ71を接続し、前記第2巻上ドラム17には、第2遊星歯車減速機構72を介して第2巻上駆動モータ73を接続すると共に、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17には、前記第1遊星歯車減速機構70及び第2遊星歯車減速機構72の間で噛合する同期歯車機構74を介して横行駆動モータ75を接続してある。
【0031】
前記第1遊星歯車減速機構70は、前記第1巻上駆動モータ71の第1巻上駆動軸71aに第1太陽歯車70aを嵌着し、前記第1巻上駆動軸71aと別個に同芯状に延びる第1遊星キャリヤ軸70bを中心に回転自在となるよう第1遊星キャリヤ70cを配設し、該第1遊星キャリヤ70cに、前記第1遊星キャリヤ軸70bの外周側に該第1遊星キャリヤ軸70bと平行に延びるよう複数本(図4及び図5の例では3本)の第1遊星歯車軸70dを取り付け、該第1遊星歯車軸70dに回転自在となるよう第1遊星歯車70eを嵌装し、該第1遊星歯車70eと噛合する内歯70fが内周面に刻設され且つ外歯70gが外周面に刻設された第1環状歯車70hを、前記第1巻上駆動軸71aを中心に回転自在となるよう配設している。更に、前記第1遊星キャリヤ軸70bに第1遊星キャリヤ歯車70iを嵌着し、該第1遊星キャリヤ歯車70iと噛合する第1巻上歯車70jを前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aに嵌着してなる構成を有している。
【0032】
前記第2遊星歯車減速機構72は、前記第2巻上駆動モータ73の第2巻上駆動軸73aに第2太陽歯車72aを嵌着し、前記第2巻上駆動軸73aとは別個に同芯状に延びる第2遊星キャリヤ軸72bを中心に回転自在となるよう第2遊星キャリヤ72cを配設し、該第2遊星キャリヤ72cに、前記第2遊星キャリヤ軸72bの外周側に該第2遊星キャリヤ軸72bと平行に延びるよう複数本(図4及び図5の例では3本)の第2遊星歯車軸72dを取り付け、該第2遊星歯車軸72dに回転自在となるよう第2遊星歯車72eを嵌装し、該第2遊星歯車72eと噛合する内歯72fが内周面に刻設され且つ外歯72gが外周面に刻設された第2環状歯車72hを、前記第2巻上駆動軸73aを中心に回転自在となるよう配設している。更に、前記第2遊星キャリヤ軸72bに第2遊星キャリヤ歯車72iを嵌着し、該第2遊星キャリヤ歯車72iと噛合する第2巻上歯車72jを前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aに嵌着してなる構成を有している。
【0033】
前記同期歯車機構74は、前記第1環状歯車70h及び第2環状歯車72hの中間に、前記横行駆動モータ75の横行駆動軸75aに嵌着された横行駆動歯車74aを配設し、該横行駆動歯車74a及び前記第1環状歯車70hの外歯70gに噛合する第1アイドル歯車74bと、前記横行駆動歯車74a及び前記第2環状歯車72hの外歯72gに噛合する第2アイドル歯車74cとを、前記横行駆動軸75aと平行な軸74d,74eを中心に回転自在となるよう配設してなる構成を有している。
【0034】
又、前記開閉ドラム18には、図6に示す如く、歯車減速機構76を介して開閉駆動モータ77を接続してある。前記歯車減速機構76は、前記開閉駆動モータ77の開閉駆動軸77aに開閉駆動歯車76aを嵌着し、該開閉駆動歯車76aと噛合する従動歯車76bを、前記開閉駆動軸77aと平行な軸76cを中心に回転自在となるよう配設し、該軸76cに嵌着した減速歯車76dと噛合する開閉歯車76eを前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aに嵌着してなる構成を有している。尚、図6に示す例では、前記開閉駆動モータ77は二系統設け、該二系統の開閉駆動モータ77により一つの開閉ドラム18を回転駆動するようにしてある。
【0035】
又、図4中、78は制御器であり、該制御器78には、図2に示すように、第1シーブ20に作用する荷重をロードセル81からなる張力検出手段によって検出した第1巻上ロープ19の張力と、第2シーブ23に作用する荷重をロードセル82からなる張力検出手段によって検出した第2巻上ロープ21の張力が入力されており、又、前記第1巻上ドラム16と第2巻上ドラム17に備えた回転計83,84は、トロリ7の横行速度を得る横行速度検出手段と、トロリ7からのグラブバケット53の吊り長さを得る吊り長さ検出手段と、グラブバケット53の昇降速度を得る昇降速度検出手段を兼ねており、トロリ7の横行速度と吊り長さと昇降速度が制御器78に入力されている。更に、図2の前記開閉ドラム18に設けた回転計85は、前記回転計83,84によるグラブバケット53の昇降と関連してグラブバケット53の開閉を検出する開閉検出手段であり、該開閉検出手段で検出した開閉信号は制御器78に入力している。更に、制御器78には、図1のトロリ7からバラ物運搬船8の槽口9までの距離、バラ物運搬船8の槽8'の深さ、機械本体4に備えられるホッパ10と槽口9の陸側縁9a及び海側縁9bまでの距離等を表わす船のデータが入力されている。上記において、バラ物運搬船8の槽8'の深さ、岸壁に接岸したバラ物運搬船8の槽口9における陸側縁9a及び海側縁9bとホッパ10との間の距離は予め分かっており、又、海面高さ、喫水によって変化する槽口9の高さを光或いは音波等によって計測することにより、トロリ7から槽口9までの距離は求めることができる。
【0036】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0037】
図2に示すように、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17の回転を停止した状態において開閉ドラム18により開閉ロープ26を巻き込むと、前記フックブロック25が上部に引き上げられ、これによってグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭められるように下部移動シーブ60が上方へ引き上げられるために、バケット本体53aは閉じられる。因みに、図6において、二系統の開閉駆動モータ77によりその開閉駆動軸77aを時計回り方向へ回転駆動すると、その回転が開閉駆動歯車76a、従動歯車76b、減速歯車76d、開閉歯車76eを介して前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aへ伝達され、該開閉ドラム18も図6中、時計回り方向へ回転し、開閉ロープ26を巻き込むことが可能となる。
【0038】
又、上記図2の状態からバケット本体53aを開放するには、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17を止めた状態において、開閉ドラム18により開閉ロープ26を繰り出す。開閉ロープ26を繰り出すと、図3に示すように、上部フレーム53cにタイロッド53bとピン6'を介して連結されている前記バケット本体53aは自重によって開作動するようになっているので、前記フックブロック25が下部へ引き下げられると共に、下部移動シーブ60が下方へ引き下げられることによって下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が広げられてバケット本体53aが開放される。因みに、図6において、二系統の開閉駆動モータ77によりその開閉駆動軸77aを反時計回り方向へ回転駆動すると、その回転が開閉駆動歯車76a、従動歯車76b、減速歯車76d、開閉歯車76eを介して前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aへ伝達され、該開閉ドラム18も図6中、反時計回り方向へ回転し、開閉ロープ26を繰り出すことが可能となる。
【0039】
一方、前記グラブバケット53を上昇させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に巻き取ると共に、前記開閉ドラム18にて開閉ロープ26を巻き取ることにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を保持して上昇させることができる。因みに、図4において、前記横行駆動モータ75を停止し、前記同期歯車機構74を介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70h及び第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hの回転を阻止した状態で、前記第1巻上駆動モータ71によりその第1巻上駆動軸71aを反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第1太陽歯車70aから第1遊星歯車70eへ伝達され、該第1遊星歯車70eが、前記回転を阻止されている第1環状歯車70hの内側において、自転しつつ第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1太陽歯車70aの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図4中、時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を巻き取ることが可能になると共に、前記第2巻上駆動モータ73によりその第2巻上駆動軸73aを時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第2太陽歯車72aから第2遊星歯車72eへ伝達され、該第2遊星歯車72eが、前記回転を阻止されている第2環状歯車72hの内側において、自転しつつ第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2太陽歯車72aの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図4中、反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を巻き取ることが可能となる。
【0040】
又、前記グラブバケット53を下降させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に繰り出すと共に、前記開閉ドラム18にて開閉ロープ26を繰り出すことにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を維持して下降させることができる。因みに、図4において、前記横行駆動モータ75を停止し、前記同期歯車機構74を介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70h及び第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hの回転を阻止した状態で、前記第1巻上駆動モータ71によりその第1巻上駆動軸71aを時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第1太陽歯車70aから第1遊星歯車70eへ伝達され、該第1遊星歯車70eが、前記回転を阻止されている第1環状歯車70hの内側において、自転しつつ第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1太陽歯車70aの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図4中、反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を繰り出すことが可能になると共に、前記第2巻上駆動モータ73によりその第2巻上駆動軸73aを反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第2太陽歯車72aから第2遊星歯車72eへ伝達され、該第2遊星歯車72eが、前記回転を阻止されている第2環状歯車72hの内側において、自転しつつ第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2太陽歯車72aの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図4中、時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を繰り出すことが可能となる。
【0041】
前記グラブバケット53の上昇又は下降の作動中において、前記開閉ドラム18によって前記とは異なる速度での開閉ロープ26の巻き取り、繰り出しを行うことにより、グラブバケット53の昇降の作動中にバケット本体53aの開或いは閉の作動を行うことができる。
【0042】
更に、前記開閉ドラム18の回転を停止した状態において、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を巻き取ると共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を繰り出すと、前記トロリ7は陸側へ横行する。因みに、図4において、前記第1巻上駆動モータ71及び第2巻上駆動モータ73を停止し、第1遊星歯車減速機構70の第1太陽歯車70a及び第2遊星歯車減速機構72の第2太陽歯車72aの回転を阻止した状態で、前記横行駆動モータ75によりその横行駆動軸75aを反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第1アイドル歯車74bを介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70hへ伝達され、該第1環状歯車70hと一緒に第1遊星歯車70eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1環状歯車70hの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図4中、時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を巻き取ることが可能になると共に、前記横行駆動モータ75による横行駆動軸75aの反時計回り方向(図5では時計回り方向)への回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第2アイドル歯車74cを介して第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hへ伝達され、該第2環状歯車72hと一緒に第2遊星歯車72eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2環状歯車72hの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図4中、時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を繰り出すことが可能となる。
【0043】
又、同様に、前記開閉ドラム18の回転を停止した状態において、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を繰り出すと共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を巻き取ると、前記トロリ7は海側へ横行する。因みに、図5において、前記第1巻上駆動モータ71及び第2巻上駆動モータ73を停止し、第1遊星歯車減速機構70の第1太陽歯車70a及び第2遊星歯車減速機構72の第2太陽歯車72aの回転を阻止した状態で、前記横行駆動モータ75によりその横行駆動軸75aを時計回り方向(図5では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第1アイドル歯車74bを介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70hへ伝達され、該第1環状歯車70hと一緒に第1遊星歯車70eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1環状歯車70hの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図4中、反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を繰り出すことが可能になると共に、前記横行駆動モータ75による横行駆動軸75aの時計回り方向(図5では反時計回り方向)への回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第2アイドル歯車74cを介して第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hへ伝達され、該第2環状歯車72hと一緒に第2遊星歯車72eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2環状歯車72hの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図4中、反時計回り方向(図5では時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を巻き取ることが可能となる。
【0044】
前記トロリ7を陸側或いは海側へ横行させる際、該トロリ7に備えた第3シーブ27及び第4シーブ27'と中間シーブ28との間隔は、前記開閉ドラム18の回転を停止している限り、開閉ロープ26に対する位置が変化するのみで一定に保持される形となるが、上記横行操作の途中において、前記開閉ドラム18による開閉ロープ26の繰り出し、巻き込みを行うことにより、前記トロリ7を横行させつつグラブバケット53のバケット本体53aの開操作又は閉操作を行うこともできる。
【0045】
図7に示すように、バラ物運搬船8に搭載された鉱石等のバラ物80を陸揚げする際には、バケット本体53aが開放されてトロリ7から吊り下げられたグラブバケット53を、第1巻上ドラム16と第2巻上ドラム17からの第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21を同時に繰り出すことによりグラブバケット53を下降させ、グラブバケット53を槽8'内のバラ物80上に着地させる。続いて、開閉ドラム18により開閉ロープ26を巻き込んでバケット本体53aを閉じることによりバラ物80を掴むと共に、第1巻上ドラム16と第2巻上ドラム17により第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21を同時に巻上げることによりグラブバケット53を上昇させ、実線で示すようにグラブバケット53がバラ物運搬船8の槽口9よりも上部まで上昇させた後上昇を停止する。
【0046】
続いて、第2巻上ドラム17による第2巻上ロープ21の繰り出しと第1巻上ドラム16による第1巻上ロープ19の巻き取りを同期して行うことにより、トロリ7を機械本体4のホッパ10側に向かって横行させる。このトロリ7を横行させる起動時には、トロリ7の横行に対してグラブバケット53が遅れることになり、このために、グラブバケット53はトロリ7からの吊り長さに応じた周期で前後に振れることになる。
【0047】
ここで、第1シーブ20及び第2シーブ23に掛けられて先端がグラブバケット53に固定された第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が下方へ向かって減少するように、即ちV字状を形成するように前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定しているので、ロードセル81,82からなる張力検出手段によって検出した張力が、トロリ7の横行方向前側である第2巻上ロープ21の張力が横行方向後側である第1巻上ロープ19の張力に対して大きくなるように第1巻上ドラム16と第2巻上ドラム17の回転を制御すると、前記V字状が保持されて、グラブバケット53がトロリ7の直下に位置された状態で横行が行われるようになる。又、第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の張力差を一定に保って横行させれば、グラブバケット53はトロリ7に対して横行方向後方に振れた状態を保って横行することができる。
【0048】
上記のように横行してグラブバケット53がホッパ10の上部に備えられた図8に示すように左側が開口10aを形成しているカバー10bの内部に移動してくると、トロリ7の横行を停止させるが、この時、横行方向後側である第1巻上ロープ19の張力が横行方向前側である第2巻上ロープ21の張力に対して大きくなるように第1巻上ドラム16と第2巻上ドラム17の回転を制御する。これにより、前記V字状が保持されて、グラブバケット53がトロリ7の直下に位置した状態を保って停止される。続いて、開閉ドラム18により開閉ロープ26を繰り出すことによりバケット本体53aが開放されてバラ物80はホッパ10内に投入される。
【0049】
上記したように、第1シーブ20及び第2シーブ23に掛けられて先端がグラブバケット53に固定された第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21が常にV字状を保持して横行を行うようにしたので、トロリ7の横行方向の起動・停止に伴ってグラブバケット53が横行方向前後に振れる問題を防止して、グラブバケット53の位置決めを容易に行うことができる。このことは、グラブバケット53の振れは単周期揺れ(T=2t√l/g)によらず、制御系の手段により制御が可能になることを示す。
【0050】
更に、図4〜図6に示したように、前記第1巻上ドラム16には、第1遊星歯車減速機構70を介して第1巻上駆動モータ71を接続し、前記第2巻上ドラム17には、第2遊星歯車減速機構72を介して第2巻上駆動モータ73を接続すると共に、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17には、前記第1遊星歯車減速機構70及び第2遊星歯車減速機構72と同期歯車機構74とを介して横行駆動モータ75を接続したので、前記第1巻上駆動モータ71及び第2巻上駆動モータ73の駆動により第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17を同期させてグラブバケット53を上昇・下降させる操作と、前記横行駆動モータ75の駆動により第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17を同期させてトロリ7を横行させる操作が簡略になり、又、開閉駆動モータ77の駆動をグラブバケット53の昇降と同期させる操作も、同期させるモータ数が減少したので簡略となる。
【0051】
尚、本発明のロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のロープトロリ式アンローダのバケット振れ止め装置は、トロリの横行を起動・停止する際にグラブバケットが横行方向前後に振れる問題を防止してグラブバケットによるバラ物の荷揚げ効率の向上を図る。
【符号の説明】
【0053】
4 機械本体
5 ガーダ
6 ブーム
7 トロリ
8 バラ物運搬船
8' 槽
9 槽口
16 第1巻上ドラム
17 第2巻上ドラム
18 開閉ドラム
19 第1巻上ロープ
20 第1シーブ
21 第2巻上ロープ
22 先端シーブ
23 第2シーブ
24,24' 駆動ロープ
25 フックブロック
26 開閉ロープ
26' 固定点
27 第3シーブ
27' 第4シーブ
28 中間シーブ
53 グラブバケット
60 下部移動シーブ
61 上部固定シーブ
78 制御器
80 バラ物
81 ロードセル(張力検出手段)
82 ロードセル(張力検出手段)
83,84 回転計(横行速度検出手段,吊り長さ検出手段,昇降速度検出手段)
85 回転計(開閉検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸側のガーダと海側のブーム上に沿って走行するトロリを介しグラブバケットを吊り下げてバラ物運搬船の槽内のバラ物を陸揚げするグラブバケット式アンローダのバケット振れ止め装置であって、ガーダ上に備えた第1巻上ドラムから繰り出してトロリの海側に設けた第1シーブを介し先端がグラブバケットに固定された第1巻上ロープと、前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリの陸側に設けた第2シーブを介し先端が前記グラブバケットに固定された第2巻上ロープと、前記グラブバケットに設けた下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回した駆動ロープの両端が固定されたフックブロックと、前記ガーダ上に備えた開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して先端が前記ブームの先端に固定された開閉ロープとを有し、前記第1シーブ及び第2シーブに掛けられて先端が前記グラブバケットに固定された第1巻上ロープと第2巻上ロープの間隔が下方へ向かって減少するよう前記第1シーブと第2シーブの間隔が設定してあり、前記第1巻上ロープ及び第2巻上ロープの張力を検出する張力検出手段と、トロリの横行速度検出手段と、グラブバケットの吊り長さ検出手段と、前記張力検出手段からの第1巻上ロープ及び第2巻上ロープの張力検出値とトロリの横行速度検出手段からのトロリ横行速度とグラブバケットの吊り長さ検出手段からの吊り長さとを入力し、トロリの横行起動時には横行方向前側の巻上ロープの張力が横行方向後側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御し、トロリの横行停止時には横行方向後側の巻上ロープの張力が横行方向前側の巻上ロープの張力に対して大きくなるように第1巻上ドラムと第2巻上ドラムの回転を制御してグラブバケットをトロリの直下に位置させる制御器を備えたことを特徴とするグラブバケット式アンローダのバケット振れ止め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−116593(P2012−116593A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266705(P2010−266705)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】