ワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法
【課題】ワイピングシートをインクジェットヘッドさせる当接部材への液滴の付着を容易かつ確実に防止することができるワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法を提案する。
【解決手段】液滴吐出ヘッド34にワイピングシート92を当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置90であって、液滴吐出ヘッド34の下方にワイピングシート92を介在して液滴吐出ヘッド34に向けて相対移動に配置される当接部材94と、液滴吐出ヘッド34と当接部材94との間に向けてワイピングシート92を搬送するワイピングシート搬送部91と、ワイピングシート92と当接部材94との間に向けて液滴不浸透シート100を搬送する液滴不浸透シート搬送部110と、を備える。
【解決手段】液滴吐出ヘッド34にワイピングシート92を当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置90であって、液滴吐出ヘッド34の下方にワイピングシート92を介在して液滴吐出ヘッド34に向けて相対移動に配置される当接部材94と、液滴吐出ヘッド34と当接部材94との間に向けてワイピングシート92を搬送するワイピングシート搬送部91と、ワイピングシート92と当接部材94との間に向けて液滴不浸透シート100を搬送する液滴不浸透シート搬送部110と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ、有機EL(Electro-Luminescence)装置などの電気光学装置などを製造するために、液滴吐出装置が用いられている。液滴吐出装置は、インクジェットノズルから液滴を吐出・着弾させて薄膜を形成させるものである。その薄膜が画素をなす発光層又は電極などとなる。
【0003】
カラーフィルタや有機EL装置等を製造する場合には、インクジェットヘッドから所定量の液滴を所定位置に正確に吐出するため、定期的にまたは随時にインクジェットヘッドの整備を行う必要がある。
具体的には、液滴吐出装置は、キャッピングユニット、ワイプユニット(クリーニングユニット)、フラッシングユニットなどを備え、インクジェットヘッドのキャッピングやノズルの吸引、インク吐出面のワイピング、更に液滴の吐出状況を確認等するフラッシングを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−248926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のワイプユニットでは、インクジェットヘッドの下方に上下方向に移動可能なガイドロールと呼ばれる円柱形部材を配置し、このガイドロール上にワイピングシートを介在させてインクジェットヘッドに当接し、ワイピングシートを移動させることで、インクジェットヘッドのノズル面に付着した液滴(インク)を拭き取っている。
ワイピングシートに吸収された液滴は、シート内に拡散するがその一部は浸透してガイドロールに付着する。そして、その液滴はガイドロールの表面で乾燥してこびりついてしまう。ガイドロールに液滴材料がこびりつくと、ワイピングシートが円滑に移動しづらくなったり、ワイピングシートをヘッドに適切に当接することができなくなったりして、ワイピングが不完全となる場合がある。
このため、メンテナンス時に、ガイドロールにこびりついた液滴材料を拭き取ったり、ガイドロールを交換したりする必要が発生しており、メンテナンスの長時間化やメンテナンスコスト上昇が問題となっている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ワイピングシートをインクジェットヘッドさせる当接部材への液滴の付着を容易かつ確実に防止することができるワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、前記液滴吐出ヘッドの下方に前記ワイピングシートを介在して該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動に配置される当接部材と、前記液滴吐出ヘッドと前記当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送するワイピングシート搬送部と、前記ワイピングシートと前記当接部材との間に向けて液滴不浸透シートを搬送する液滴不浸透シート搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記液滴不浸透シートは、プラスチックフィルムであることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、前記ワイピングシートは裏面に液滴不浸透層を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記液滴不浸透層は、プラスチックフィルム層であることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画装置であって、第1又は第2の発明に係るワイピング装置を備えることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング方法であって、前記液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動可能な当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送し、前記ワイピングシートと前記当接部材との間に液滴不浸透シートを搬送し、前記当接部材を前記液滴吐出ヘッドに向けて相対移動させて前記ワイピングシートを前記液滴吐出ヘッドに当接させることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画方法であって、前記液滴吐出ヘッドの整備工程として、第5の発明に係るワイピング方法を実施することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法の実施形態について図を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
[カラーフィルタ製造装置]
図1は、本実施形態のカラーフィルタ製造装置の概略構成図であり、R,G,Bの3色の着色層を備えたカラーフィルタを製造するための装置である。
カラーフィルタ製造装置1は、上流側からインク受容層形成装置2、着色層形成装置4、本焼成装置6(加熱装置)の順に配置されたものである。
このカラーフィルタ製造装置1には、R,G,Bの各着色層のパターンを区画する隔壁(バンクとも言う)が形成されたガラス、プラスチック等からなる透明基板(基板)が供給される。
インク受容層形成装置2は、隔壁で区画された領域内に樹脂組成物からなるインク受容層を下地層として形成するための装置である。着色層形成装置4は、後に着色層となるR、G、Bのインクからなる液状体を塗布するための装置である。本焼成装置6は、塗布後のR、G、Bのインクからなる液状体を一括して加熱、焼成するための装置である。
【0015】
着色層形成装置4には、上流側から下流側(図1における右側から左側)に向けて、給材部61、表面改質部62、描画部63、検査部64、仮焼成部65、除材部66が備えられている。
大まかな処理の流れとしては、給材部61から供給された描画前の基板に対し、表面改質部62において親液処理、撥液処理が施され、描画部63において隔壁で区画された所定の領域にR,G,Bのインクが吐出・描画される。次いで、検査部64において描画状態が検査され、仮焼成部65でインクの仮焼成が施された後、描画後の基板が除材部66により排出される。
本装置において、これら各部は基板の流れ方向に沿って直線状に配置されている。
【0016】
[液滴吐出装置]
図2は、描画部63の近傍のみを示す概略構成斜視図である。図3は、図2の左側面図である。
描画部63においては、基板Sに対して描画を行う液滴吐出装置72が設置されている。液滴吐出装置72は、基板Sに対して液滴(液状体)を吐出することで描画を行う描画装置(液滴吐出装置本体)Bと、描画装置の+Y側に接続される整備ユニット80と、描画装置Bと整備ユニット80との間で後述する液滴吐出ヘッド34を駆動させる(駆動処理する)駆動ユニット172と、を主体として構成されている。
【0017】
図3に示すように、描画装置Bは、搬送方向であるX方向に移動可能なベース150と、ベース150上に載置され描画対象となる基板Sを吸着保持するテーブル70と、下面側に複数個の液滴吐出ヘッドを備え、各液滴吐出ヘッドのノズルから下方の基板Sに対してインク滴(液滴)を吐出するY方向(基板Sの搬送方向と垂直方向)に延びるヘッドユニット71とから概略構成されている。
ベース150上には、テーブル70をθZ方向(Z軸周りの方向)に駆動するθ駆動装置151と、テーブル70の+X側に位置し液滴吐出ヘッドから予備吐出(フラッシング)が行われるフラッシングユニット152とが設けられている。これら描画装置Bは、基台170上に一体化された状態で設置される。
【0018】
図4は、ヘッドユニット71の底面図である。
ヘッドユニット71は、相互に独立して移動するY方向に配列された複数(例えば7枚)のキャリッジ153を備えている。各キャリッジ153は、X方向に延びる矩形のプレート74と、それぞれが複数(所定個数;ここでは12個)の液滴吐出ヘッド34を保持(支持)するヘッドキャリッジ(サブキャリッジ)73と、ヘッドキャリッジ73をプレート74に対してθZ方向に駆動するθ駆動装置154(図3参照)と、ヘッドキャリッジ73をZ方向に昇降させる昇降装置155(図3参照)とから構成されており、ヘッドキャリッジ153はθ駆動装置154及び昇降装置155を介してプレート74に着脱自在に取り付けられている。
【0019】
各液滴吐出ヘッド34には、複数の液滴吐出ノズル(以下、ノズルと呼ぶ)が配列形成(例えば120個2列等)されている。なお、そのノズル列の配列方向をY方向に一致させて、各ヘッド34がヘッドキャリッジ73に固定されている。また、各ヘッド34は、Y方向に順次ずれた状態で階段状に配置されている。これにより、ヘッドユニット71の全幅にわたって等ピッチでノズルが配置されている。また、ヘッドキャリッジ73に固定されたヘッド34は、Rのインクを吐出するヘッド34R、Gのインクを吐出するヘッド34G、Bのインクを吐出するヘッド34Bの順に配列されている。
この構成により、ヘッドユニット71は、基板Sの搬送方向と垂直方向に例えば数mにわたって、所定のピッチでR,G,Bのインク滴を吐出可能となっている。そして、ヘッド34の配列方向と直交する方向に基板Sを搬送しつつインク滴を吐出することで、基板Sの全面にわたって所望のパターン形状でR,G,Bのインクを描画することができる。
【0020】
図3に戻り、駆動ユニット172は、整備ユニット80を挟んだX方向両側に、Y方向に延在するように平行に配置された架台156に設けられたガイドレール157と、各プレート74(すなわちキャリッジ153)をガイドレール157に沿って駆動するシャフト型リニアモータ158とを主体に構成されており、各架台156上には、液滴吐出ヘッド34に接続されるインクケーブルやリニアモータ158(の可動子)に接続される電力供給線等を収容するためのケース171がY方向に沿って設置されている。
【0021】
プレート74のX方向両側にはリニアガイド75、75が設けられており、ガイドレール157に沿ってY方向に移動自在となっている。リニアモータ158は、各プレート74の両側に設けられた円筒状の可動子159と、描画装置Bと整備ユニット80とに亙ってY方向に沿って配置され各プレート74の可動子159がそれぞれ挿通する固定子160とから構成される。本実施の形態では、可動子159がコイル体で構成され、固定子160が発磁体で構成されるムービングコイル型のリニアモータ158が用いられ、各可動子159に通電する電流を調整することにより、各キャリッジ153の位置を独立して制御できる。
【0022】
描画装置Bにおいて描画を行うには、まず描画部のアライメント調整を行う必要がある。
そのアライメント調整を行うために、まず各ヘッドの各ノズルから描画前フラッシング(液滴の予備吐出)を行う。この描画前フラッシングは、基板Sを載置したテーブル70を移動させる前に、基板S上の液滴吐出領域に対して行う。
次に、基板S上に吐出された液滴をCCD78により撮影し、吐出位置および吐出径を算出する。そして、この吐出位置の算出結果に基づいて、描画部のアライメント調整を行う。X方向のアライメントは、各ノズルの液滴吐出タイミングを調整することによって行う。またY方向のアライメントは、リニアガイド75により各プレート74の位置を調整することによって行う。
ここで本実施形態のヘッドユニット71では、複数のヘッドがグループごとに異なるヘッドキャリッジ73に装着されているので、描画部のアライメント調整を簡単に行うことができる。なお、アライメント以外の描画前フラッシングや描画間フラッシングは、フラッシングユニット152に対して行われる。
【0023】
[液滴吐出ヘッド]
図5(a)は液滴吐出ヘッドの構造説明図、図5(b)は正面断面図である。
ヘッド34は、例えばピエゾ素子によって液室を圧縮してその圧力波で液体を吐出させるもので、上述したように、一列または複数列に配列された複数のノズル18を有している。
このヘッド34の構造の一例を説明すると、ヘッド34は、図5(a)に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数の空間15と液溜まり16とが形成されている。各空間15と液溜まり16の内部はインクで満たされており、各空間15と液溜まり16とは供給口17を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート12には、空間15からインクを噴射するためのノズル18が形成されている。一方、振動板13には、液溜まり16にインクを供給するための孔19が形成されている。
【0024】
また、振動板13の空間15に対向する面と反対側の面上には、図5(b)に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、圧電材料を一対の電極21で挟持したものであり、一対の電極21に通電すると圧電材料が収縮するよう構成されたものである。
そして、このような構成のもとに圧電素子20が接合されている振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間15の容積が増大するようになっている。したがって、空間15内に増大した容積分に相当するインクが、液溜まり16から供給口17を介して流入する。
また、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。したがって、空間15も元の容積に戻ることから、空間15内部のインクの圧力が上昇し、ノズル18から基板に向けてインクの液滴Lが吐出される。
【0025】
なお、ヘッド34のインクジェット方式としては、前記の圧電素子20を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式を採用してもよい。
【0026】
[整備ユニット]
図6は、整備ユニット80の平面図である。図7は、図6のC−C線における正面断面図である。
整備ユニット80は、ヘッドユニット71におけるプレート74の配列方向(Y方向)の延長線上に設けられている(図2参照)。整備ユニット80には、各ヘッドのインク吐出面を覆うキャップユニット81と、各ヘッドのインク吐出面を拭うワイプユニット90とが、隣接して形成されている。
【0027】
キャップユニット81は、前記ヘッドキャリッジに対応して、Y方向に整列配置された複数のキャップキャリッジ83を備えている。なお、各キャップキャリッジ83はZ方向(上下方向)に移動可能とされている。
そして、各キャップキャリッジ83には、前記ヘッドに対応して、複数のキャップ82が階段状に配置されている。このキャップ82は、ヘッドのインク吐出面を覆うことにより、ヘッドにおけるノズル内のインクの乾燥を防止する保湿キャップとして機能するものである。
【0028】
図7に示すように、キャップ82は、その上面をヘッド34のインク吐出面12aに当接させて使用する。そのため、キャップ82の上面には凹部84が形成されている。この凹部84は、ヘッド34に形成されたすべてのノズル18を内包しうる大きさに形成されている。これにより、ヘッド34のノズル18とキャップ82の上面との接触が回避され、各ノズル18の開口部に形成されるインクのメニスカスが維持される。また、凹部84を取り囲むキャップ82の上面は面精度良く形成されている。これにより、ヘッド34のインク吐出面12aに形成された各ノズル18を密閉封止することができるようになっている。
【0029】
なお、ワイプユニット90寄りのキャップキャリッジ83aに配置されたキャップは、ヘッド34におけるノズル内のインクを吸引可能な吸引キャップ82aとして機能するようになっている。吸引キャップ82aにおいては、凹部84から外部のポンプ86にかけて配管88が形成されている。そして、このポンプ86を運転することにより、凹部84内の空気が吸引されて、各ノズル18内のインクを吸引しうるようになっている。
【0030】
ワイプユニット90は、ワイピングシート92によってヘッド34のインク吐出面12aを拭うことにより、インク吐出面12aに付着したインク54aを除去するものである。ワイプユニット90には、例えばポリエステルの織布等からなるワイピングシート92が配置されている。このワイピングシート92は、ヘッドキャリッジ73に搭載されたヘッド群と同等以上の幅に形成されている(図4参照)。
【0031】
また、図7に示すように、ワイプユニット90は、ワイピングシート92を送り出すワイピングシート搬送部91を備える。
ワイピングシート搬送部91には、ワイピングシート92の繰り出しローラ93および巻き取りローラ96が配置されている。繰り出しローラ93はモータ等の駆動手段146により、巻き取りローラ96は駆動手段148により、それぞれ演算部144の制御の下で回転駆動され、ワイピングシート92が一定速度(例えば、10cm/s程度)で送られるようになっている。
【0032】
また、繰り出しローラ93と巻き取りローラ96との間には、ガイドローラ94と、ワイピングシート92の弛み発生を防止するテンションローラ95が配置されている。各ローラ93,94,95,96の回転軸は平行に配置され、ワイピングシート92は繰り出しローラ93からガイドローラ94,テンションローラ95を介して巻き取りローラ96に巻き回されている。
また、ワイプユニット90は、上下方向に移動可能に構成されており、これによりガイドローラ94上のワイピングシート92をヘッド34のインク吐出面12aに当接させたり、離間させたりすることが可能となっている。
【0033】
また、ワイプユニット90は、ワイピングシート搬送部91の下方には、プラスチックシート100を送り出すプラスチックシート搬送部110を備える。
プラスチックシート100は、インク54が浸透しない材料から形成されたフィルム状のシートであり、ワイピングシート92と略同一幅、同一長さを有している。
例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)等から形成される。また、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等、或いはこれらに金属材料(アルミニウム等)を蒸着させたものであってもよい。
【0034】
プラスチックシート搬送部110は、プラスチックシート100の繰り出しローラ113および巻き取りローラ116を備えており、プラスチックシート100をワイピングシート92とガイドローラ94との間に送りだすようになっている。また、繰り出しローラ113および巻き取りローラ116も、演算部144の制御の下で駆動手段186,188により回転駆動され、ワイピングシート92と同一速度で送られるようになっている。
【0035】
[描画装置の整備方法]
次に、上述した整備ユニット80において、ヘッドユニット71を整備する方法について説明する。
描画部63の液滴吐出装置72により基板Sに対して描画を行う場合には、描画処理(液滴吐出処理)に先立って、描画装置B(ヘッドユニット71)の各液滴吐出ヘッド34の複数のノズルに詰まり(ノズル詰まり)が存在しないか否かを検出する必要がある。いずれかの液滴吐出ヘッド34にノズル詰まりが発生した場合には、基板Sに対して正確な描画を形成することができないからである。
【0036】
そこで、各液滴吐出ヘッド34に対して、キャッピング、ワイピングを行って、ノズル詰まりの除去を行う。そして、その後にフラッシングを行って、ノズル詰まりの除去が適切に行われたか、つまり、ノズル詰まりが残存していないかを検出する。この描画前のフラッシングでは、液滴の吐出位置に加えて吐出径を算出するので、各ヘッドにおけるノズル詰まりの有無が検出できる。
なお、定期フラッシング等においても、ノズル詰まりが検出される場合がある。この場合にも、キャッピング、ワイピングを行った後に、再度フラッシングを行う。
【0037】
具体的には、図7に示すように、ノズル詰まりを検出する又はノズル詰まりが検出されたヘッド34を、吸引キャップ82aの上方まで移動させる。なお、上述したように、各ヘッドキャリッジ73は、独立してY方向に移動させることが可能である。このとき吸引対象となるヘッド34よりも整備ユニット80側に他のヘッド(キャリッジ153)が存在する場合はこれらのキャリッジ153も一体的に移動させる。
次に、吸引キャップ82aが搭載されたキャップキャリッジ83を上昇させ、吸引キャップ82aの上面をヘッド34のインク吐出面12aに当接させる。その際、ヘッド34のすべてのノズル18が、吸引キャップ82aの凹部84に内包されるように、あらかじめ両者を位置決めしておく。これにより、ヘッド34のすべてのノズル18が、吸引キャップ82aにより密閉封止される。
【0038】
次に、吸引キャップ82aに接続されたポンプ86を運転する。このポンプ86により、各キャップ82における凹部84内の空気が吸引されて、ヘッド34のノズル18が吸引される。これにより、ヘッド34内のインクが各ノズル18に導入されて、ノズル詰まりが解消される。なお、ヘッド34のノズル18を吸引すると、ノズル18から若干のインクが凹部84内に漏れ出すことになる。この漏れ出したインクは、ポンプ86により図示しない廃液タンクに回収して再利用する。このとき、吸引対象ではない他のヘッドについては、保湿キャップ82で密閉封止することにより、インク溶媒の蒸発を防いで増粘状態となることを回避する。
【0039】
なお、ヘッド34のノズル18を吸引すると、ノズル18から漏れ出したインクがヘッド34のインク吐出面12aに付着することがある。そして、インク吐出面12aにおけるノズル18の開口部周辺にインク54aが付着した状態でヘッド34からインクを吐出すると、吐出されたインクの飛行曲がりが発生するおそれがある。そこで、ヘッド34のノズル18を吸引した後に、インク吐出面12aに付着したインク54aを除去するため、インク吐出面12aのワイピングを行う。
【0040】
具体的には、図7に示すように、吸引後のヘッド34をワイプユニット90の上方まで移動させる。
次に、ワイピングシート搬送部91の繰り出しローラ93及び巻き取りローラ96を回転させ、各ローラに沿ってワイピングシート92を移動させる。更に、ワイプユニット90を上昇させ、ガイドローラ94の上のワイピングシート92をインク吐出面12aに押し当てる。
すると、インク吐出面12aに付着したR,G,Bのインクが、ワイピングシート92に吸収される。また、ワイピングシート92をインク吐出面12aに当接させつつ移動させるので、フレッシュなワイピングシート92によりインク吐出面12aが払拭される。
なお、ワイピングシート92の送り方向と逆方向にヘッドキャリッジ73を移動させてもよい。
以上により、インク吐出面12aに付着したインク54aが除去される。
【0041】
ワイピングシート搬送部91によりワイピングシート92を移動させるのと同時に、プラスチックシート搬送部110の繰り出しローラ113及び巻き取りローラ116を回転させてプラスチックシート100を移動させる。プラスチックシート100は、上述したように、ワイピングシート92とガイドローラ94との間に介在するように送り出される。
【0042】
ワイピングシート92に拭き取られたインク54は、湿潤状態であるため、徐々にワイピングシート92内で拡散し、また裏面側(ガイドローラ94側)まで浸透する。しかし、ワイピングシート92のガイドローラ94側には、プラスチックシート100が介在するため、インク54がガイドローラ94に付着することはない。したがって、ガイドローラ94は常にクリーンな状態が維持される。
【0043】
このようなワイピングが完了すると、ワイプユニット90を下降させる。
そして、その後にフラッシングを行って、ノズル詰まりの除去が適切に行われたか、つまりノズル詰まりが残存していないかを検出して、整備ユニット80におけるヘッドユニット71を整備が完了する。
【0044】
以上に詳述したように、本実施形態のワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法によれば、液滴吐出ヘッド34のインク吐出面12aにワイピングシート92を当接させて、インク吐出面12aに付着するインク54aを拭き取るワイプユニット90において、ワイピングシート92とこのワイピングシート92を液滴吐出ヘッド34に押し当てるガイドローラ94との間に、インク54が浸透しないプラスチックシート100を介在させたので、ガイドローラ94へのインク54の付着を確実に防止することができる。
【0045】
これにより、ガイドローラ94に付着したインク54が乾燥してこびりつくことがなく、ガイドローラ94は常にクリーンな状態を維持することができる。そして、ワイプユニット90を円滑に移動させたり、ワイピングシート92を適切に液滴吐出ヘッド34のインク吐出面12aに当接させることができる。したがって、液滴吐出ヘッド34に対するワイピングが良好に行われ、液滴吐出ヘッド34(描画装置B)による基板Sに対する描画処理を適切に実施できる。
また、メンテナンス時において、ガイドローラ94にこびりついたインク材料を拭き取ったり、ガイドローラ94を交換する必要がなくなるので、メンテナンスによる装置停止時間を最小限に抑えることができる。また、メンテナンスコストの低減を図ることができる。
なお、プラスチックシート100は、ワイピングシート92を回収する際、同時に回収される。
【0046】
[カラーフィルタの製造方法]
次に、本実施形態のカラーフィルタ製造装置1を用いたカラーフィルタ55の製造方法の一例を説明する。
図8は、基板Sにおけるカラーフィルタ領域51の説明図である。
カラーフィルタ製造装置1を用いたカラーフィルタの製造方法は、生産性を高める観点から長方形状の基板S上に、複数個のカラーフィルタ領域51をマトリクス状に形成する際に適用することができる。これらのカラーフィルタ領域51は、後で基板Sを切断することにより、液晶表示装置に適合する個々のカラーフィルタ55として用いることができる。
なお、各カラーフィルタ領域51においては、図8に示したように、Rのインク、Gのインク、およびBのインクをそれぞれ所定のパターン、本例では従来公知のストライプ型で形成して配置する。なお、この形成パターンとしては、ストライプ型のほかに、モザイク型やデルタ型あるいはスクウェア型等としてもよい。
【0047】
図9は、カラーフィルタ55の製造方法の説明図である。
カラーフィルタ領域51を形成するには、まず、図9(a)に示すように、透明の基板Sの一方の面に対し、ブラックマトリクス52を形成する。このブラックマトリクス52を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)を、スピンコート等の方法で所定の厚さ(例えば2μm程度)に塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。このブラックマトリクス52の格子で囲まれる最小の表示要素、すなわちフィルタエレメント53については、例えばX軸方向の幅を30μm、Y軸方向の長さを100μm程度とする。このブラックマトリクスは充分な高さを有しており、インク吐出時の隔壁として機能する。
【0048】
次に、本実施形態のカラーフィルタ製造装置1におけるインク受容層形成装置の液滴吐出ヘッドから、図9(b)に示すようにインク受容層となる樹脂組成物を含有するインク滴54を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、インク受容層形成装置の焼成部においてインク滴の焼成を行い、図9(c)に示すようなインク受容層60とする。
【0049】
次に、着色層形成装置の液滴吐出ヘッド34から、図9(d)に示すようにRのインク滴54R,54G,54Bを吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。そして、図9(e)に示すように、R着色層55R、G着色層55G、B着色層55Bを形成する。R着色層55R、G着色層55G、B着色層55Bを形成した後、本焼成装置においてこれら着色層55R,55G,55Bを一括して焼成する。
【0050】
次いで、基板Sを平坦化し、かつ着色層55R,55G,55Bを保護するため、図9(f)に示すように各着色層55R,55G,55Bやブラックマトリクス52を覆うオーバーコート膜(保護膜)56を形成する。このオーバーコート膜56の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層55R,55G,55Bの場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。
【0051】
ところで、図1に示す本実施形態のカラーフィルタ製造装置1は、給材部61と除材部66とを結ぶ直線状の基板搬送ラインの途中に描画部63を備え、基板Sの搬送方向と交差する方向に配列された液滴吐出ヘッドからインクを吐出することで、所望形状のパターンを形成するものである。つまり、描画前の基板Sを描画部63の一端から供給し、描画後の基板Sを描画部63の他端から排出する構成であるから、基板Sを描画部63内に連続的に流すことができ、一方向のみの搬送中に複数の液滴吐出ヘッド34を用いて一気に描画を行うことができる。そのため、1枚の基板を処理するのに必要なタクトタイムを短縮でき、生産性に優れた装置を実現することができる。また、給材部61、描画部63、および除材部66が直線状に配列されているため、装置の占有スペースを縮小することができる。さらに、基板の搬送方向を変える機能を持つ搬送装置が不要となるので、装置構成を簡略化することができる。
【0052】
[液晶装置]
次に、上記カラーフィルタ55を備えた液晶装置30の一実施形態を示す。
図10は、パッシブマトリクス型の液晶装置30の側面断面図である。
液晶装置30は透過型のもので、一対のガラス基板31、32の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層33が挟持されてなるものである。
【0053】
一方のガラス基板31には、その内面に上記カラーフィルタ55が形成されている。カラーフィルタ55は、R、G、Bの各色からなる着色層55R、55G、55Bが規則的に配列されて構成されたものである。なお、これらの着色層55R、55G、55B間には、ブラックマトリクス52が形成されている。
そして、これらカラーフィルタ55およびブラックマトリクス52の上には、カラーフィルタ55やブラックマトリクス52によって形成される段差をなくしてこれを平坦化するため、オーバーコート膜(保護膜)56が形成されている。オーバーコート膜56の上には複数の電極37がストライプ状に形成され、さらにその上には配向膜38が形成されている。
【0054】
他方のガラス基板32には、その内面に、カラーフィルタ55側の電極37と直交するようにして、複数の電極39がストライプ状に形成されており、これら電極39上には、配向膜40が形成されている。なお、前記カラーフィルタ55の各着色層55R、55G、55Bは、それぞれ各ガラス基板32上の電極39、37の交差する位置に配置されている。
また、電極37、39は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成されている。さらに、ガラス基板32とカラーフィルタ55の外面側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられ、ガラス基板31、32間にはこれら基板31、32間の間隔(セルギャップ)を一定に保持するためスペーサ41が設けられている。さらに、これらガラス基板31、32間には液晶33を封入するためのシール材42が設けられている。
【0055】
本実施形態の液晶装置30では、上記カラーフィルタ製造装置1を用いて製造されるカラーフィルタ55を適用しているため、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を実現することができる。
【0056】
[電子機器]
次に、上記液晶装置30からなる表示手段を備えた電子機器の具体例について説明する。
図11(a)〜(d)は、上述の液晶装置30を備える電子機器の例を示している。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、携帯電話1000は、上述した液晶装置30を用いた表示部1001を備える。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、時計1100は、上述した液晶装置30を用いた表示部1101を備える。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1202、上述した液晶装置30を用いた表示部1206、情報処理装置本体(筐体)1204を備える。
図11(d)は、薄型大画面テレビの一例を示した斜視図である。図11(d)において、薄型大画面テレビ1300は、薄型大画面テレビ本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、上述した液晶装置30を用いた表示部1306を備える。
【0057】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば上記実施形態のカラーフィルタ製造装置1の細部の具体的な構成等に関しては適宜変更が可能である。
【0059】
また、上記実施形態においては、ワイプユニット90の全体が上下移動する場合について説明したが、ワイピングシート搬送部91のガイドローラ94のみが上下移動するように構成してもよい。
【0060】
図12は、ワイプユニットの変形例を示す模式図である。
ワイピングシート92とプラスチックシート100を用いる場合について説明したが、これに限らない。図12に示すように、表面側(ヘッド34側)をインク54を吸収する液滴吸収材料121で形成し、裏面側(ガイドローラ94側)をプラスチック材料層122で形成した二層構造のワイピングシート120を用いる場合であってもよい。これにより、拭き取った(吸収した)インク54がガイドローラ94に付着することを防止できる。このような二層構造のワイピングシート120を用いる場合には、プラスチックシート搬送部110が不要となることは言うまでもない。
【0061】
上記実施形態においては、ヘッドユニット71が整備ユニット80(ワイプユニット90)の上方に移動する場合について説明したが、これに限らない。整備ユニット80(ワイプユニット90)がヘッドユニット71の下方に移動する場合であってもよい(図12参照)。
【0062】
上記実施形態においては、ヘッドキャリッジ73が12個の液滴吐出ヘッド34を保持(支持)する場合について説明したが、これは一例である。また、各液滴吐出ヘッド34のノズル数も、一例である。
また、一つのヘッドキャリッジ73に、赤インク54Rを吐出するヘッド34R、緑インク54Gを吐出するヘッド34G、青インク54Bを吐出するヘッド34Bが、順々に整列配置される場合について説明したが、これに限らない。例えば、着色層形成装置4を各色毎(計3台)に用意して、あるヘッドユニット71(ヘッドキャリッジ73)の液滴吐出ヘッド34からは、同一色のインクの54R,54G,54Bを吐出するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では本発明の描画装置をカラーフィルタの製造に応用する例を挙げたが、カラーフィルタのみならず、有機EL素子等のデバイス形成技術、あるいは各種配線形成技術に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態のカラーフィルタ製造装置の概略構成図である。
【図2】描画部の近傍のみを示す概略構成斜視図である。
【図3】描画部の側面断面図である。
【図4】ヘッドユニットの底面図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの説明図である。
【図6】整備ユニットの平面図である。
【図7】整備ユニットの正面断面図である。
【図8】基板におけるカラーフィルタ領域の説明図である。
【図9】カラーフィルタの製造方法の説明図である。
【図10】パッシブマトリクス型の液晶装置の側面断面図である。
【図11】電子機器の一例を示した図である。
【図12】ワイプユニットの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…カラーフィルタ製造装置、 4…着色層形成装置、 30…液晶装置、 34(34R,34G,34B)…液滴吐出ヘッド、 55…カラーフィルタ、 72…液滴吐出装置、 80…整備ユニット、 90…ワイプユニット(ワイピング装置)、 91…ワイピングシート搬送部、 92…ワイピングシート、 94…ガイドローラ(当接部材)、 100…プラスチックシート(液滴不浸透シート)、 110…プラスチックシート搬送部(液滴不浸透シート搬送部)、 120…ワイピングシート、 121…液滴吸収材料、 122…プラスチック材料層(液滴不浸透層)、 B…描画装置、 RL,GL,BL…インク跡、 L(54)…インク滴(液滴)、 S…基板(描画対象)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ、有機EL(Electro-Luminescence)装置などの電気光学装置などを製造するために、液滴吐出装置が用いられている。液滴吐出装置は、インクジェットノズルから液滴を吐出・着弾させて薄膜を形成させるものである。その薄膜が画素をなす発光層又は電極などとなる。
【0003】
カラーフィルタや有機EL装置等を製造する場合には、インクジェットヘッドから所定量の液滴を所定位置に正確に吐出するため、定期的にまたは随時にインクジェットヘッドの整備を行う必要がある。
具体的には、液滴吐出装置は、キャッピングユニット、ワイプユニット(クリーニングユニット)、フラッシングユニットなどを備え、インクジェットヘッドのキャッピングやノズルの吸引、インク吐出面のワイピング、更に液滴の吐出状況を確認等するフラッシングを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−248926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のワイプユニットでは、インクジェットヘッドの下方に上下方向に移動可能なガイドロールと呼ばれる円柱形部材を配置し、このガイドロール上にワイピングシートを介在させてインクジェットヘッドに当接し、ワイピングシートを移動させることで、インクジェットヘッドのノズル面に付着した液滴(インク)を拭き取っている。
ワイピングシートに吸収された液滴は、シート内に拡散するがその一部は浸透してガイドロールに付着する。そして、その液滴はガイドロールの表面で乾燥してこびりついてしまう。ガイドロールに液滴材料がこびりつくと、ワイピングシートが円滑に移動しづらくなったり、ワイピングシートをヘッドに適切に当接することができなくなったりして、ワイピングが不完全となる場合がある。
このため、メンテナンス時に、ガイドロールにこびりついた液滴材料を拭き取ったり、ガイドロールを交換したりする必要が発生しており、メンテナンスの長時間化やメンテナンスコスト上昇が問題となっている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ワイピングシートをインクジェットヘッドさせる当接部材への液滴の付着を容易かつ確実に防止することができるワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、前記液滴吐出ヘッドの下方に前記ワイピングシートを介在して該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動に配置される当接部材と、前記液滴吐出ヘッドと前記当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送するワイピングシート搬送部と、前記ワイピングシートと前記当接部材との間に向けて液滴不浸透シートを搬送する液滴不浸透シート搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記液滴不浸透シートは、プラスチックフィルムであることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、前記ワイピングシートは裏面に液滴不浸透層を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記液滴不浸透層は、プラスチックフィルム層であることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画装置であって、第1又は第2の発明に係るワイピング装置を備えることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング方法であって、前記液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動可能な当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送し、前記ワイピングシートと前記当接部材との間に液滴不浸透シートを搬送し、前記当接部材を前記液滴吐出ヘッドに向けて相対移動させて前記ワイピングシートを前記液滴吐出ヘッドに当接させることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画方法であって、前記液滴吐出ヘッドの整備工程として、第5の発明に係るワイピング方法を実施することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法の実施形態について図を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
[カラーフィルタ製造装置]
図1は、本実施形態のカラーフィルタ製造装置の概略構成図であり、R,G,Bの3色の着色層を備えたカラーフィルタを製造するための装置である。
カラーフィルタ製造装置1は、上流側からインク受容層形成装置2、着色層形成装置4、本焼成装置6(加熱装置)の順に配置されたものである。
このカラーフィルタ製造装置1には、R,G,Bの各着色層のパターンを区画する隔壁(バンクとも言う)が形成されたガラス、プラスチック等からなる透明基板(基板)が供給される。
インク受容層形成装置2は、隔壁で区画された領域内に樹脂組成物からなるインク受容層を下地層として形成するための装置である。着色層形成装置4は、後に着色層となるR、G、Bのインクからなる液状体を塗布するための装置である。本焼成装置6は、塗布後のR、G、Bのインクからなる液状体を一括して加熱、焼成するための装置である。
【0015】
着色層形成装置4には、上流側から下流側(図1における右側から左側)に向けて、給材部61、表面改質部62、描画部63、検査部64、仮焼成部65、除材部66が備えられている。
大まかな処理の流れとしては、給材部61から供給された描画前の基板に対し、表面改質部62において親液処理、撥液処理が施され、描画部63において隔壁で区画された所定の領域にR,G,Bのインクが吐出・描画される。次いで、検査部64において描画状態が検査され、仮焼成部65でインクの仮焼成が施された後、描画後の基板が除材部66により排出される。
本装置において、これら各部は基板の流れ方向に沿って直線状に配置されている。
【0016】
[液滴吐出装置]
図2は、描画部63の近傍のみを示す概略構成斜視図である。図3は、図2の左側面図である。
描画部63においては、基板Sに対して描画を行う液滴吐出装置72が設置されている。液滴吐出装置72は、基板Sに対して液滴(液状体)を吐出することで描画を行う描画装置(液滴吐出装置本体)Bと、描画装置の+Y側に接続される整備ユニット80と、描画装置Bと整備ユニット80との間で後述する液滴吐出ヘッド34を駆動させる(駆動処理する)駆動ユニット172と、を主体として構成されている。
【0017】
図3に示すように、描画装置Bは、搬送方向であるX方向に移動可能なベース150と、ベース150上に載置され描画対象となる基板Sを吸着保持するテーブル70と、下面側に複数個の液滴吐出ヘッドを備え、各液滴吐出ヘッドのノズルから下方の基板Sに対してインク滴(液滴)を吐出するY方向(基板Sの搬送方向と垂直方向)に延びるヘッドユニット71とから概略構成されている。
ベース150上には、テーブル70をθZ方向(Z軸周りの方向)に駆動するθ駆動装置151と、テーブル70の+X側に位置し液滴吐出ヘッドから予備吐出(フラッシング)が行われるフラッシングユニット152とが設けられている。これら描画装置Bは、基台170上に一体化された状態で設置される。
【0018】
図4は、ヘッドユニット71の底面図である。
ヘッドユニット71は、相互に独立して移動するY方向に配列された複数(例えば7枚)のキャリッジ153を備えている。各キャリッジ153は、X方向に延びる矩形のプレート74と、それぞれが複数(所定個数;ここでは12個)の液滴吐出ヘッド34を保持(支持)するヘッドキャリッジ(サブキャリッジ)73と、ヘッドキャリッジ73をプレート74に対してθZ方向に駆動するθ駆動装置154(図3参照)と、ヘッドキャリッジ73をZ方向に昇降させる昇降装置155(図3参照)とから構成されており、ヘッドキャリッジ153はθ駆動装置154及び昇降装置155を介してプレート74に着脱自在に取り付けられている。
【0019】
各液滴吐出ヘッド34には、複数の液滴吐出ノズル(以下、ノズルと呼ぶ)が配列形成(例えば120個2列等)されている。なお、そのノズル列の配列方向をY方向に一致させて、各ヘッド34がヘッドキャリッジ73に固定されている。また、各ヘッド34は、Y方向に順次ずれた状態で階段状に配置されている。これにより、ヘッドユニット71の全幅にわたって等ピッチでノズルが配置されている。また、ヘッドキャリッジ73に固定されたヘッド34は、Rのインクを吐出するヘッド34R、Gのインクを吐出するヘッド34G、Bのインクを吐出するヘッド34Bの順に配列されている。
この構成により、ヘッドユニット71は、基板Sの搬送方向と垂直方向に例えば数mにわたって、所定のピッチでR,G,Bのインク滴を吐出可能となっている。そして、ヘッド34の配列方向と直交する方向に基板Sを搬送しつつインク滴を吐出することで、基板Sの全面にわたって所望のパターン形状でR,G,Bのインクを描画することができる。
【0020】
図3に戻り、駆動ユニット172は、整備ユニット80を挟んだX方向両側に、Y方向に延在するように平行に配置された架台156に設けられたガイドレール157と、各プレート74(すなわちキャリッジ153)をガイドレール157に沿って駆動するシャフト型リニアモータ158とを主体に構成されており、各架台156上には、液滴吐出ヘッド34に接続されるインクケーブルやリニアモータ158(の可動子)に接続される電力供給線等を収容するためのケース171がY方向に沿って設置されている。
【0021】
プレート74のX方向両側にはリニアガイド75、75が設けられており、ガイドレール157に沿ってY方向に移動自在となっている。リニアモータ158は、各プレート74の両側に設けられた円筒状の可動子159と、描画装置Bと整備ユニット80とに亙ってY方向に沿って配置され各プレート74の可動子159がそれぞれ挿通する固定子160とから構成される。本実施の形態では、可動子159がコイル体で構成され、固定子160が発磁体で構成されるムービングコイル型のリニアモータ158が用いられ、各可動子159に通電する電流を調整することにより、各キャリッジ153の位置を独立して制御できる。
【0022】
描画装置Bにおいて描画を行うには、まず描画部のアライメント調整を行う必要がある。
そのアライメント調整を行うために、まず各ヘッドの各ノズルから描画前フラッシング(液滴の予備吐出)を行う。この描画前フラッシングは、基板Sを載置したテーブル70を移動させる前に、基板S上の液滴吐出領域に対して行う。
次に、基板S上に吐出された液滴をCCD78により撮影し、吐出位置および吐出径を算出する。そして、この吐出位置の算出結果に基づいて、描画部のアライメント調整を行う。X方向のアライメントは、各ノズルの液滴吐出タイミングを調整することによって行う。またY方向のアライメントは、リニアガイド75により各プレート74の位置を調整することによって行う。
ここで本実施形態のヘッドユニット71では、複数のヘッドがグループごとに異なるヘッドキャリッジ73に装着されているので、描画部のアライメント調整を簡単に行うことができる。なお、アライメント以外の描画前フラッシングや描画間フラッシングは、フラッシングユニット152に対して行われる。
【0023】
[液滴吐出ヘッド]
図5(a)は液滴吐出ヘッドの構造説明図、図5(b)は正面断面図である。
ヘッド34は、例えばピエゾ素子によって液室を圧縮してその圧力波で液体を吐出させるもので、上述したように、一列または複数列に配列された複数のノズル18を有している。
このヘッド34の構造の一例を説明すると、ヘッド34は、図5(a)に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数の空間15と液溜まり16とが形成されている。各空間15と液溜まり16の内部はインクで満たされており、各空間15と液溜まり16とは供給口17を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート12には、空間15からインクを噴射するためのノズル18が形成されている。一方、振動板13には、液溜まり16にインクを供給するための孔19が形成されている。
【0024】
また、振動板13の空間15に対向する面と反対側の面上には、図5(b)に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、圧電材料を一対の電極21で挟持したものであり、一対の電極21に通電すると圧電材料が収縮するよう構成されたものである。
そして、このような構成のもとに圧電素子20が接合されている振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間15の容積が増大するようになっている。したがって、空間15内に増大した容積分に相当するインクが、液溜まり16から供給口17を介して流入する。
また、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。したがって、空間15も元の容積に戻ることから、空間15内部のインクの圧力が上昇し、ノズル18から基板に向けてインクの液滴Lが吐出される。
【0025】
なお、ヘッド34のインクジェット方式としては、前記の圧電素子20を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式を採用してもよい。
【0026】
[整備ユニット]
図6は、整備ユニット80の平面図である。図7は、図6のC−C線における正面断面図である。
整備ユニット80は、ヘッドユニット71におけるプレート74の配列方向(Y方向)の延長線上に設けられている(図2参照)。整備ユニット80には、各ヘッドのインク吐出面を覆うキャップユニット81と、各ヘッドのインク吐出面を拭うワイプユニット90とが、隣接して形成されている。
【0027】
キャップユニット81は、前記ヘッドキャリッジに対応して、Y方向に整列配置された複数のキャップキャリッジ83を備えている。なお、各キャップキャリッジ83はZ方向(上下方向)に移動可能とされている。
そして、各キャップキャリッジ83には、前記ヘッドに対応して、複数のキャップ82が階段状に配置されている。このキャップ82は、ヘッドのインク吐出面を覆うことにより、ヘッドにおけるノズル内のインクの乾燥を防止する保湿キャップとして機能するものである。
【0028】
図7に示すように、キャップ82は、その上面をヘッド34のインク吐出面12aに当接させて使用する。そのため、キャップ82の上面には凹部84が形成されている。この凹部84は、ヘッド34に形成されたすべてのノズル18を内包しうる大きさに形成されている。これにより、ヘッド34のノズル18とキャップ82の上面との接触が回避され、各ノズル18の開口部に形成されるインクのメニスカスが維持される。また、凹部84を取り囲むキャップ82の上面は面精度良く形成されている。これにより、ヘッド34のインク吐出面12aに形成された各ノズル18を密閉封止することができるようになっている。
【0029】
なお、ワイプユニット90寄りのキャップキャリッジ83aに配置されたキャップは、ヘッド34におけるノズル内のインクを吸引可能な吸引キャップ82aとして機能するようになっている。吸引キャップ82aにおいては、凹部84から外部のポンプ86にかけて配管88が形成されている。そして、このポンプ86を運転することにより、凹部84内の空気が吸引されて、各ノズル18内のインクを吸引しうるようになっている。
【0030】
ワイプユニット90は、ワイピングシート92によってヘッド34のインク吐出面12aを拭うことにより、インク吐出面12aに付着したインク54aを除去するものである。ワイプユニット90には、例えばポリエステルの織布等からなるワイピングシート92が配置されている。このワイピングシート92は、ヘッドキャリッジ73に搭載されたヘッド群と同等以上の幅に形成されている(図4参照)。
【0031】
また、図7に示すように、ワイプユニット90は、ワイピングシート92を送り出すワイピングシート搬送部91を備える。
ワイピングシート搬送部91には、ワイピングシート92の繰り出しローラ93および巻き取りローラ96が配置されている。繰り出しローラ93はモータ等の駆動手段146により、巻き取りローラ96は駆動手段148により、それぞれ演算部144の制御の下で回転駆動され、ワイピングシート92が一定速度(例えば、10cm/s程度)で送られるようになっている。
【0032】
また、繰り出しローラ93と巻き取りローラ96との間には、ガイドローラ94と、ワイピングシート92の弛み発生を防止するテンションローラ95が配置されている。各ローラ93,94,95,96の回転軸は平行に配置され、ワイピングシート92は繰り出しローラ93からガイドローラ94,テンションローラ95を介して巻き取りローラ96に巻き回されている。
また、ワイプユニット90は、上下方向に移動可能に構成されており、これによりガイドローラ94上のワイピングシート92をヘッド34のインク吐出面12aに当接させたり、離間させたりすることが可能となっている。
【0033】
また、ワイプユニット90は、ワイピングシート搬送部91の下方には、プラスチックシート100を送り出すプラスチックシート搬送部110を備える。
プラスチックシート100は、インク54が浸透しない材料から形成されたフィルム状のシートであり、ワイピングシート92と略同一幅、同一長さを有している。
例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)等から形成される。また、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等、或いはこれらに金属材料(アルミニウム等)を蒸着させたものであってもよい。
【0034】
プラスチックシート搬送部110は、プラスチックシート100の繰り出しローラ113および巻き取りローラ116を備えており、プラスチックシート100をワイピングシート92とガイドローラ94との間に送りだすようになっている。また、繰り出しローラ113および巻き取りローラ116も、演算部144の制御の下で駆動手段186,188により回転駆動され、ワイピングシート92と同一速度で送られるようになっている。
【0035】
[描画装置の整備方法]
次に、上述した整備ユニット80において、ヘッドユニット71を整備する方法について説明する。
描画部63の液滴吐出装置72により基板Sに対して描画を行う場合には、描画処理(液滴吐出処理)に先立って、描画装置B(ヘッドユニット71)の各液滴吐出ヘッド34の複数のノズルに詰まり(ノズル詰まり)が存在しないか否かを検出する必要がある。いずれかの液滴吐出ヘッド34にノズル詰まりが発生した場合には、基板Sに対して正確な描画を形成することができないからである。
【0036】
そこで、各液滴吐出ヘッド34に対して、キャッピング、ワイピングを行って、ノズル詰まりの除去を行う。そして、その後にフラッシングを行って、ノズル詰まりの除去が適切に行われたか、つまり、ノズル詰まりが残存していないかを検出する。この描画前のフラッシングでは、液滴の吐出位置に加えて吐出径を算出するので、各ヘッドにおけるノズル詰まりの有無が検出できる。
なお、定期フラッシング等においても、ノズル詰まりが検出される場合がある。この場合にも、キャッピング、ワイピングを行った後に、再度フラッシングを行う。
【0037】
具体的には、図7に示すように、ノズル詰まりを検出する又はノズル詰まりが検出されたヘッド34を、吸引キャップ82aの上方まで移動させる。なお、上述したように、各ヘッドキャリッジ73は、独立してY方向に移動させることが可能である。このとき吸引対象となるヘッド34よりも整備ユニット80側に他のヘッド(キャリッジ153)が存在する場合はこれらのキャリッジ153も一体的に移動させる。
次に、吸引キャップ82aが搭載されたキャップキャリッジ83を上昇させ、吸引キャップ82aの上面をヘッド34のインク吐出面12aに当接させる。その際、ヘッド34のすべてのノズル18が、吸引キャップ82aの凹部84に内包されるように、あらかじめ両者を位置決めしておく。これにより、ヘッド34のすべてのノズル18が、吸引キャップ82aにより密閉封止される。
【0038】
次に、吸引キャップ82aに接続されたポンプ86を運転する。このポンプ86により、各キャップ82における凹部84内の空気が吸引されて、ヘッド34のノズル18が吸引される。これにより、ヘッド34内のインクが各ノズル18に導入されて、ノズル詰まりが解消される。なお、ヘッド34のノズル18を吸引すると、ノズル18から若干のインクが凹部84内に漏れ出すことになる。この漏れ出したインクは、ポンプ86により図示しない廃液タンクに回収して再利用する。このとき、吸引対象ではない他のヘッドについては、保湿キャップ82で密閉封止することにより、インク溶媒の蒸発を防いで増粘状態となることを回避する。
【0039】
なお、ヘッド34のノズル18を吸引すると、ノズル18から漏れ出したインクがヘッド34のインク吐出面12aに付着することがある。そして、インク吐出面12aにおけるノズル18の開口部周辺にインク54aが付着した状態でヘッド34からインクを吐出すると、吐出されたインクの飛行曲がりが発生するおそれがある。そこで、ヘッド34のノズル18を吸引した後に、インク吐出面12aに付着したインク54aを除去するため、インク吐出面12aのワイピングを行う。
【0040】
具体的には、図7に示すように、吸引後のヘッド34をワイプユニット90の上方まで移動させる。
次に、ワイピングシート搬送部91の繰り出しローラ93及び巻き取りローラ96を回転させ、各ローラに沿ってワイピングシート92を移動させる。更に、ワイプユニット90を上昇させ、ガイドローラ94の上のワイピングシート92をインク吐出面12aに押し当てる。
すると、インク吐出面12aに付着したR,G,Bのインクが、ワイピングシート92に吸収される。また、ワイピングシート92をインク吐出面12aに当接させつつ移動させるので、フレッシュなワイピングシート92によりインク吐出面12aが払拭される。
なお、ワイピングシート92の送り方向と逆方向にヘッドキャリッジ73を移動させてもよい。
以上により、インク吐出面12aに付着したインク54aが除去される。
【0041】
ワイピングシート搬送部91によりワイピングシート92を移動させるのと同時に、プラスチックシート搬送部110の繰り出しローラ113及び巻き取りローラ116を回転させてプラスチックシート100を移動させる。プラスチックシート100は、上述したように、ワイピングシート92とガイドローラ94との間に介在するように送り出される。
【0042】
ワイピングシート92に拭き取られたインク54は、湿潤状態であるため、徐々にワイピングシート92内で拡散し、また裏面側(ガイドローラ94側)まで浸透する。しかし、ワイピングシート92のガイドローラ94側には、プラスチックシート100が介在するため、インク54がガイドローラ94に付着することはない。したがって、ガイドローラ94は常にクリーンな状態が維持される。
【0043】
このようなワイピングが完了すると、ワイプユニット90を下降させる。
そして、その後にフラッシングを行って、ノズル詰まりの除去が適切に行われたか、つまりノズル詰まりが残存していないかを検出して、整備ユニット80におけるヘッドユニット71を整備が完了する。
【0044】
以上に詳述したように、本実施形態のワイピング装置及び描画装置並びにワイピング方法及び描画方法によれば、液滴吐出ヘッド34のインク吐出面12aにワイピングシート92を当接させて、インク吐出面12aに付着するインク54aを拭き取るワイプユニット90において、ワイピングシート92とこのワイピングシート92を液滴吐出ヘッド34に押し当てるガイドローラ94との間に、インク54が浸透しないプラスチックシート100を介在させたので、ガイドローラ94へのインク54の付着を確実に防止することができる。
【0045】
これにより、ガイドローラ94に付着したインク54が乾燥してこびりつくことがなく、ガイドローラ94は常にクリーンな状態を維持することができる。そして、ワイプユニット90を円滑に移動させたり、ワイピングシート92を適切に液滴吐出ヘッド34のインク吐出面12aに当接させることができる。したがって、液滴吐出ヘッド34に対するワイピングが良好に行われ、液滴吐出ヘッド34(描画装置B)による基板Sに対する描画処理を適切に実施できる。
また、メンテナンス時において、ガイドローラ94にこびりついたインク材料を拭き取ったり、ガイドローラ94を交換する必要がなくなるので、メンテナンスによる装置停止時間を最小限に抑えることができる。また、メンテナンスコストの低減を図ることができる。
なお、プラスチックシート100は、ワイピングシート92を回収する際、同時に回収される。
【0046】
[カラーフィルタの製造方法]
次に、本実施形態のカラーフィルタ製造装置1を用いたカラーフィルタ55の製造方法の一例を説明する。
図8は、基板Sにおけるカラーフィルタ領域51の説明図である。
カラーフィルタ製造装置1を用いたカラーフィルタの製造方法は、生産性を高める観点から長方形状の基板S上に、複数個のカラーフィルタ領域51をマトリクス状に形成する際に適用することができる。これらのカラーフィルタ領域51は、後で基板Sを切断することにより、液晶表示装置に適合する個々のカラーフィルタ55として用いることができる。
なお、各カラーフィルタ領域51においては、図8に示したように、Rのインク、Gのインク、およびBのインクをそれぞれ所定のパターン、本例では従来公知のストライプ型で形成して配置する。なお、この形成パターンとしては、ストライプ型のほかに、モザイク型やデルタ型あるいはスクウェア型等としてもよい。
【0047】
図9は、カラーフィルタ55の製造方法の説明図である。
カラーフィルタ領域51を形成するには、まず、図9(a)に示すように、透明の基板Sの一方の面に対し、ブラックマトリクス52を形成する。このブラックマトリクス52を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)を、スピンコート等の方法で所定の厚さ(例えば2μm程度)に塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする。このブラックマトリクス52の格子で囲まれる最小の表示要素、すなわちフィルタエレメント53については、例えばX軸方向の幅を30μm、Y軸方向の長さを100μm程度とする。このブラックマトリクスは充分な高さを有しており、インク吐出時の隔壁として機能する。
【0048】
次に、本実施形態のカラーフィルタ製造装置1におけるインク受容層形成装置の液滴吐出ヘッドから、図9(b)に示すようにインク受容層となる樹脂組成物を含有するインク滴54を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、インク受容層形成装置の焼成部においてインク滴の焼成を行い、図9(c)に示すようなインク受容層60とする。
【0049】
次に、着色層形成装置の液滴吐出ヘッド34から、図9(d)に示すようにRのインク滴54R,54G,54Bを吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。そして、図9(e)に示すように、R着色層55R、G着色層55G、B着色層55Bを形成する。R着色層55R、G着色層55G、B着色層55Bを形成した後、本焼成装置においてこれら着色層55R,55G,55Bを一括して焼成する。
【0050】
次いで、基板Sを平坦化し、かつ着色層55R,55G,55Bを保護するため、図9(f)に示すように各着色層55R,55G,55Bやブラックマトリクス52を覆うオーバーコート膜(保護膜)56を形成する。このオーバーコート膜56の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層55R,55G,55Bの場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。
【0051】
ところで、図1に示す本実施形態のカラーフィルタ製造装置1は、給材部61と除材部66とを結ぶ直線状の基板搬送ラインの途中に描画部63を備え、基板Sの搬送方向と交差する方向に配列された液滴吐出ヘッドからインクを吐出することで、所望形状のパターンを形成するものである。つまり、描画前の基板Sを描画部63の一端から供給し、描画後の基板Sを描画部63の他端から排出する構成であるから、基板Sを描画部63内に連続的に流すことができ、一方向のみの搬送中に複数の液滴吐出ヘッド34を用いて一気に描画を行うことができる。そのため、1枚の基板を処理するのに必要なタクトタイムを短縮でき、生産性に優れた装置を実現することができる。また、給材部61、描画部63、および除材部66が直線状に配列されているため、装置の占有スペースを縮小することができる。さらに、基板の搬送方向を変える機能を持つ搬送装置が不要となるので、装置構成を簡略化することができる。
【0052】
[液晶装置]
次に、上記カラーフィルタ55を備えた液晶装置30の一実施形態を示す。
図10は、パッシブマトリクス型の液晶装置30の側面断面図である。
液晶装置30は透過型のもので、一対のガラス基板31、32の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層33が挟持されてなるものである。
【0053】
一方のガラス基板31には、その内面に上記カラーフィルタ55が形成されている。カラーフィルタ55は、R、G、Bの各色からなる着色層55R、55G、55Bが規則的に配列されて構成されたものである。なお、これらの着色層55R、55G、55B間には、ブラックマトリクス52が形成されている。
そして、これらカラーフィルタ55およびブラックマトリクス52の上には、カラーフィルタ55やブラックマトリクス52によって形成される段差をなくしてこれを平坦化するため、オーバーコート膜(保護膜)56が形成されている。オーバーコート膜56の上には複数の電極37がストライプ状に形成され、さらにその上には配向膜38が形成されている。
【0054】
他方のガラス基板32には、その内面に、カラーフィルタ55側の電極37と直交するようにして、複数の電極39がストライプ状に形成されており、これら電極39上には、配向膜40が形成されている。なお、前記カラーフィルタ55の各着色層55R、55G、55Bは、それぞれ各ガラス基板32上の電極39、37の交差する位置に配置されている。
また、電極37、39は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成されている。さらに、ガラス基板32とカラーフィルタ55の外面側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられ、ガラス基板31、32間にはこれら基板31、32間の間隔(セルギャップ)を一定に保持するためスペーサ41が設けられている。さらに、これらガラス基板31、32間には液晶33を封入するためのシール材42が設けられている。
【0055】
本実施形態の液晶装置30では、上記カラーフィルタ製造装置1を用いて製造されるカラーフィルタ55を適用しているため、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を実現することができる。
【0056】
[電子機器]
次に、上記液晶装置30からなる表示手段を備えた電子機器の具体例について説明する。
図11(a)〜(d)は、上述の液晶装置30を備える電子機器の例を示している。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、携帯電話1000は、上述した液晶装置30を用いた表示部1001を備える。
図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、時計1100は、上述した液晶装置30を用いた表示部1101を備える。
図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1202、上述した液晶装置30を用いた表示部1206、情報処理装置本体(筐体)1204を備える。
図11(d)は、薄型大画面テレビの一例を示した斜視図である。図11(d)において、薄型大画面テレビ1300は、薄型大画面テレビ本体(筐体)1302、スピーカーなどの音声出力部1304、上述した液晶装置30を用いた表示部1306を備える。
【0057】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば上記実施形態のカラーフィルタ製造装置1の細部の具体的な構成等に関しては適宜変更が可能である。
【0059】
また、上記実施形態においては、ワイプユニット90の全体が上下移動する場合について説明したが、ワイピングシート搬送部91のガイドローラ94のみが上下移動するように構成してもよい。
【0060】
図12は、ワイプユニットの変形例を示す模式図である。
ワイピングシート92とプラスチックシート100を用いる場合について説明したが、これに限らない。図12に示すように、表面側(ヘッド34側)をインク54を吸収する液滴吸収材料121で形成し、裏面側(ガイドローラ94側)をプラスチック材料層122で形成した二層構造のワイピングシート120を用いる場合であってもよい。これにより、拭き取った(吸収した)インク54がガイドローラ94に付着することを防止できる。このような二層構造のワイピングシート120を用いる場合には、プラスチックシート搬送部110が不要となることは言うまでもない。
【0061】
上記実施形態においては、ヘッドユニット71が整備ユニット80(ワイプユニット90)の上方に移動する場合について説明したが、これに限らない。整備ユニット80(ワイプユニット90)がヘッドユニット71の下方に移動する場合であってもよい(図12参照)。
【0062】
上記実施形態においては、ヘッドキャリッジ73が12個の液滴吐出ヘッド34を保持(支持)する場合について説明したが、これは一例である。また、各液滴吐出ヘッド34のノズル数も、一例である。
また、一つのヘッドキャリッジ73に、赤インク54Rを吐出するヘッド34R、緑インク54Gを吐出するヘッド34G、青インク54Bを吐出するヘッド34Bが、順々に整列配置される場合について説明したが、これに限らない。例えば、着色層形成装置4を各色毎(計3台)に用意して、あるヘッドユニット71(ヘッドキャリッジ73)の液滴吐出ヘッド34からは、同一色のインクの54R,54G,54Bを吐出するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では本発明の描画装置をカラーフィルタの製造に応用する例を挙げたが、カラーフィルタのみならず、有機EL素子等のデバイス形成技術、あるいは各種配線形成技術に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態のカラーフィルタ製造装置の概略構成図である。
【図2】描画部の近傍のみを示す概略構成斜視図である。
【図3】描画部の側面断面図である。
【図4】ヘッドユニットの底面図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの説明図である。
【図6】整備ユニットの平面図である。
【図7】整備ユニットの正面断面図である。
【図8】基板におけるカラーフィルタ領域の説明図である。
【図9】カラーフィルタの製造方法の説明図である。
【図10】パッシブマトリクス型の液晶装置の側面断面図である。
【図11】電子機器の一例を示した図である。
【図12】ワイプユニットの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…カラーフィルタ製造装置、 4…着色層形成装置、 30…液晶装置、 34(34R,34G,34B)…液滴吐出ヘッド、 55…カラーフィルタ、 72…液滴吐出装置、 80…整備ユニット、 90…ワイプユニット(ワイピング装置)、 91…ワイピングシート搬送部、 92…ワイピングシート、 94…ガイドローラ(当接部材)、 100…プラスチックシート(液滴不浸透シート)、 110…プラスチックシート搬送部(液滴不浸透シート搬送部)、 120…ワイピングシート、 121…液滴吸収材料、 122…プラスチック材料層(液滴不浸透層)、 B…描画装置、 RL,GL,BL…インク跡、 L(54)…インク滴(液滴)、 S…基板(描画対象)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、
前記液滴吐出ヘッドの下方に前記ワイピングシートを介在して該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動に配置される当接部材と、
前記液滴吐出ヘッドと前記当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送するワイピングシート搬送部と、
前記ワイピングシートと前記当接部材との間に向けて液滴不浸透シートを搬送する液滴不浸透シート搬送部と、
を備えることを特徴とするワイピング装置。
【請求項2】
前記液滴不浸透シートは、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。
【請求項3】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、
前記ワイピングシートは裏面に液滴不浸透層を有することを特徴とするワイピング装置。
【請求項4】
前記液滴不浸透層は、プラスチックフィルム層であることを特徴とする請求項3に記載のワイピング装置。
【請求項5】
液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画装置であって、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のワイピング装置を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング方法であって、
前記液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動可能な当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送し、
前記ワイピングシートと前記当接部材との間に液滴不浸透シートを搬送し、
前記当接部材を前記液滴吐出ヘッドに向けて相対移動させて前記ワイピングシートを前記液滴吐出ヘッドに当接させることを特徴とするワイピング方法。
【請求項7】
液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画方法であって、
前記液滴吐出ヘッドの整備工程として、請求項6に記載のワイピング方法を実施することを特徴とする描画方法。
【請求項1】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、
前記液滴吐出ヘッドの下方に前記ワイピングシートを介在して該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動に配置される当接部材と、
前記液滴吐出ヘッドと前記当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送するワイピングシート搬送部と、
前記ワイピングシートと前記当接部材との間に向けて液滴不浸透シートを搬送する液滴不浸透シート搬送部と、
を備えることを特徴とするワイピング装置。
【請求項2】
前記液滴不浸透シートは、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。
【請求項3】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング装置であって、
前記ワイピングシートは裏面に液滴不浸透層を有することを特徴とするワイピング装置。
【請求項4】
前記液滴不浸透層は、プラスチックフィルム層であることを特徴とする請求項3に記載のワイピング装置。
【請求項5】
液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画装置であって、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のワイピング装置を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項6】
液滴吐出ヘッドにワイピングシートを当接しつつ相対移動させて液滴を拭き取るワイピング方法であって、
前記液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに向けて相対移動可能な当接部材との間に向けて前記ワイピングシートを搬送し、
前記ワイピングシートと前記当接部材との間に液滴不浸透シートを搬送し、
前記当接部材を前記液滴吐出ヘッドに向けて相対移動させて前記ワイピングシートを前記液滴吐出ヘッドに当接させることを特徴とするワイピング方法。
【請求項7】
液滴吐出ヘッドから液滴を吐出して描画対象の所定領域に描画する描画方法であって、
前記液滴吐出ヘッドの整備工程として、請求項6に記載のワイピング方法を実施することを特徴とする描画方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−126196(P2008−126196A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316952(P2006−316952)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]