説明

ワイヤロープピッチの測定方法とワイヤロープピッチ測定装置およびワイヤロープの製造方法

【課題】ワイヤロープのピッチを正確に測定することのできるワイヤロープピッチの測定方法とワイヤロープピッチ測定装置を提供し、さらに、ワイヤロープピッチに関する品質不良の発生を抑制できるワイヤロープの製造方法を提供する。
【解決手段】ワイヤロープ30の側面に対向させたレーザ変位センサを用いて、ワイヤロープの径方向断面に沿ってワイヤロープ30の側面にレーザ光32を照射して該側面の変位の計測を行いつつ、レーザ変位センサをワイヤロープ30の長さ方向に相対移動させ、レーザ変位センサのワイヤロープ30に対する前記長さ方向の相対位置と前記変位の計測値との関係から前記ワイヤロープのピッチを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープのピッチを測定する方法と装置、さらには、ワイヤロープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、クレーンなどに使用されるワイヤロープは、多数本の金属素線からなる複数本(通常は3〜9本)のストランドを螺旋状に撚り合わせて構成されている。このようなワイヤロープを製品として出荷する際には、ワイヤロープのピッチ(「ストランドピッチ」とも言う。)が予め定められた許容範囲内にあるか否かを検査する必要がある。
そこで、ワイヤロープのピッチを測定する方法として、ワイヤロープピッチ測定装置の長手方向両端部に設けられた二つの挟み部でワイヤロープの二箇所を挟み、この状態でワイヤロープを水平面上に置いた後、挟み部の間に設けられた二つの棒状接触子をワイヤロープに所定の距離(ストランドの本数分)だけ離して上方から押し当て、これら棒状接触子の離間距離を電気的に計測してワイヤロープのピッチを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−122367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような方法によると、ワイヤロープのピッチを目視に頼ることなく測定することが可能であるが、ワイヤロープのピッチを正確に測定するためには、二つの棒状接触子をワイヤロープの中心線上に押し当てる必要がある。しかしながら、ワイヤロープは曲がりやすいため、僅かな曲がりが生じているワイヤロープを二つの挟み部で挟んだ状態でワイヤロープのピッチを測定しようとすると、棒状接触子がワイヤロープの中心線上から外れてしまうことがあるため、ワイヤロープのピッチを正確に測定することができなくなるという問題点があった。
【0005】
また、ワイヤロープの製造工程では、ワイヤロープのピッチを正確に測定することができないので、ワイヤロープ製品のピッチに関する品質について、正確に検査することができず品質不良品を出荷してしまったり、あるいは、ピッチに関する品質上の許容範囲を、ワイヤロープピッチの測定誤差をも考慮して狭い範囲に設定しておく必要がある等の問題もあった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に着目してなされたもので、ワイヤロープのピッチを正確に測定することのできるワイヤロープピッチの測定方法とワイヤロープピッチ測定装置を提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、ワイヤロープの製造工程においてワイヤロープのピッチ測定を正確に行うことで、ワイヤロープのピッチ品質を高めることのできるワイヤロープの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてなるワイヤロープのピッチを測定する方法であって、前記ワイヤロープの側面に対向させたレーザ変位センサを用いて、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射して該側面の変位の計測を行いつつ、前記ワイヤロープに対して前記レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に相対移動させ、前記レーザ変位センサの前記ワイヤロープに対する前記長さ方向の相対位置と前記変位の計測値との関係から前記ワイヤロープのピッチを算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のワイヤロープピッチの測定方法であって、前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のワイヤロープピッチの測定方法であって、前記ワイヤロープをワイヤロープピッチ測定用の水平台の上面に直線状に形成されたワイヤロープ収容溝に収容し、該ワイヤロープ収容溝に収容されたワイヤロープの上方に前記レーザ変位センサを位置させて前記変位の計測および前記相対移動を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る発明は、多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてなるワイヤロープのピッチを測定するワイヤロープピッチ測定装置であって、前記ワイヤロープの側面に対向させてワイヤロープの側面の変位を測定するレーザ変位センサと、該レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に案内するリニアガイドと、前記レーザ変位センサの前記リニアガイド上の前記長さ方向の位置を測定する長さ方向位置測定器と、前記長さ方向位置測定器からの出力信号と前記レーザ変位センサからの出力信号とに基づいて前記ワイヤロープのピッチを算出する演算装置とを備えてなり、前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射し、該側面の変位を測定することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4に記載のワイヤロープピッチ測定装置であって、前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの側面に該ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項4または5に記載のワイヤロープピッチ測定装置において、前記リニアガイドの長さ方向両端に設けられた一対の位置決め部材を有し、該位置決め部材は前記ワイヤロープに押し当てる凹曲面を有し、該凹曲面を前記ワイヤロープに押し当てると前記リニアガイドによる前記レーザ変位センサの案内方向が、前記ワイヤロープの長さ方向となることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る発明は、多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてワイヤロープとなし、該ワイヤロープの側面に対向させたレーザ変位センサを用いて、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射して、該側面の変位の計測を行いつつ、前記ワイヤロープに対して前記レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に相対移動させ、前記レーザ変位センサの前記ワイヤロープに対する前記長さ方向の相対位置と前記変位の計測値との関係から前記ワイヤロープのピッチを算出してワイヤロープピッチを測定し、得られたワイヤロープピッチの測定結果が、所定のワイヤロープピッチ品質の範囲内のワイヤロープを良品とし、前記ワイヤロープピッチ品質の範囲外のワイヤロープを不良品とすることを特徴とする。
本発明の請求項8に係る発明は、請求項7に記載のワイヤロープの製造方法であって、前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワイヤロープピッチの測定方法とワイヤロープピッチ測定装置によると、ワイヤロープに曲がりがあってもレーザ光の照射領域がワイヤロープの中心線上から外れることがなく、しかも二本の棒状接触子をワイヤロープに接触させる必要もないので、ワイヤロープのピッチを正確に測定することができる。また、本発明のワイヤロープの製造方法によると、ワイヤロープピッチに関する品質が良好なワイヤロープを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法によりワイヤロープのピッチを測定するときに用いられるワイヤロープピッチ測定用水平台を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法によりワイヤロープのピッチを測定するときに用いられるワイヤロープピッチ測定装置の正面図である。
【図3】図2に示すワイヤロープピッチ測定装置の平面図である。
【図4】図2に示すワイヤロープピッチ測定装置の左側面図である。
【図5】図2に示すワイヤロープピッチ測定装置の右側面図である。
【図6】図3のA−A断面を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法によりワイヤロープのピッチを測定するときに用いられるワイヤロープピッチ測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】ワイヤロープピッチ測定用水平台の上面に形成されたワイヤロープ収容溝にワイヤロープを収容したときの状態を示す断面図である。
【図9】ワイヤロープピッチ測定用水平台の上面に形成されたワイヤロープ収容溝の上方にワイヤロープピッチ測定装置をセットした状態を示す断面図である。
【図10】ワイヤロープピッチ測定装置のレーザ変位センサからワイヤロープに照射されるレーザ光を模式的に示す図である。
【図11】本発明のワイヤロープピッチの測定法と比較法とを説明する概要図であり、(a)はワイヤロープをレーザ光の照射方向から見た平面図、(b)はレーザ変位センサによる変位測定値とレーザ変位センサの長さ方向位置との関係を示すグラフ、(c)はワイヤロープをレーザ光の照射方向から見た平面図である。
【図12】(a)は図11(a)のB−B断面、(b)は図11(a)のC−C断面、(c)は図11(a)のD−D断面を示す図である。
【図13】本発明の別の実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法を示す図であり、(a)はワイヤロープの径方向断面とレーザ変位センサを示す図、(b)はレーザ変位センサからワイヤロープの側面に照射されるレーザ光の照射位置を示す平面図である。
【図14】本発明の別の実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法を示す図であり、(a)はワイヤロープの径方向断面とレーザ変位センサを示す図、(b)はレーザ変位センサからワイヤロープの側面に照射されるレーザ光の照射位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図14を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るワイヤロープピッチの測定方法は図1に示すワイヤロープピッチ測定用水平台11と図2〜図7に示すワイヤロープピッチ測定装置13とを用いてワイヤロープのピッチを測定する方法であって、ワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面にはワイヤロープ収容溝12が直線状に形成されている。このワイヤロープ収容溝12は測定対象物であるワイヤロープを収容するものであって、深さ方向の断面がV字形状に形成されている。
【0015】
ワイヤロープピッチ測定装置13はワイヤロープのピッチを測定するときにワイヤロープ収容溝12の上方にセットされるものであって、レーザ変位センサ14、リニアガイド15、ボールねじ16、エンコーダ17、演算装置18、表示器19、端板20a,20b、位置決め部材22a,22b、天板26およびスライド操作用取っ手28を備えている。
【0016】
レーザ変位センサ14はワイヤロープ収容溝12に収容されたワイヤロープの側面に対向させて配置して、レーザ光をワイヤロープの側面に照射してレーザ変位センサ14からワイヤロープの表面までの距離を光学的に計測するものである。レーザ変位センサ14から照射されるレーザ光32は、ワイヤロープの径方向に細長いスリット状であり、ワイヤロープの表面でワイヤロープの径方向の断面形状に沿って反射したレーザ光を受光してワイヤロープ表面のレーザ光の照射方向の変位を例えば20mmの範囲にわたって計測するように構成されている(図10参照)。
【0017】
リニアガイド15はワイヤロープ収容溝12に収容されたワイヤロープの長さ方向にレーザ変位センサ14を案内するものであって、このリニアガイド15のスライダ151(図6参照)にレーザ変位センサ14が装着されている。
ボールねじ16はスライダ151の直線運動を回転運動に変換するものであって、スライダ151の移動量に応じて回転するねじ軸161(図6参照)を有している。
【0018】
エンコーダ17はリニアガイド15のスライダ移動量を検出することで、レーザ変位センサ14の長さ方向位置を測定する長さ方向位置測定器であって、ボールねじ16のねじ軸161に連結されており、スライダ151のスライダ移動に伴うねじ軸161の回転量を検出し、この検出値をスライダ移動量に変換して長さ方向位置として出力する。
演算装置18はレーザ変位センサ14から出力された信号とエンコーダ17から出力された信号とに基づいてワイヤロープのピッチを演算するものであって、例えばマイクロコンピュータなどから構成されている。
【0019】
表示器19は演算装置18の演算結果をデジタル表示するものであって、例えば液晶表示パネルなどから構成されている。
端板20a,20bはリニアガイド15の長さ方向両端側に垂直に設けられ、棒状の金属部材をコ字状に曲げ加工してなるセット用取っ手21a,21bを有している。これらのセット用取っ手21a,21bはワイヤロープピッチ測定装置13をワイヤロープ収容溝12の上方にセットするためのもので、端板20a,20bの外面に装着されている。
位置決め部材22a,22bは端板20a,20bの外面に設けられ、凹曲面23、水平軸24a,24b及び支持脚25a,25bをそれぞれ有している。
【0020】
凹曲面23はワイヤロープ収容溝12の上方にレーザ変位センサ14やリニアガイド15を位置させるためのもので、ワイヤロープ収容溝12に収容されたワイヤロープに対して円弧状に湾曲している。そして、一対の位置決め部材22a,22bのそれぞれの凹曲面23をワイヤロープに押し当てることで、ワイヤロープ30の長さ方向とリニアガイド15の案内方向とが概ね一致するようになっている。
【0021】
水平軸24a,24bは支持脚25a,25bを開閉自在に支持するものであって、ワイヤロープ収容溝12に沿って位置決め部材22a,22bの外面から水平に突出している。
支持脚25a,25bはレーザ変位センサ14やリニアガイド15をワイヤロープ収容溝12の上方に水平に支持するためのもので、水平軸24a,24bの軸回りに回動自在に軸支されている。支持脚25a,25bはそれぞれに設けた歯車(図示せず)が噛み合わされて、連動して逆方向に回動するように構成されている。
【0022】
天板26は、例えば幅63mm、長さ685mmの寸法で長方形状に形成されている。また、天板26はリニアガイド15の上面に固設され、棒状の金属部材をコ字状に曲げ加工してなる持ち運び用取っ手27を有している。この持ち運び用取っ手27はワイヤロープピッチ測定装置13を持ち運ぶためのもので、天板26の上面中央部に装着されている。
スライド操作用取っ手28はワイヤロープ収容溝12に収容されたワイヤロープの長さ方向にレーザ変位センサ14をスライド操作するためのものであって、レーザ変位センサ14の側面に装着されている。
【0023】
このようなワイヤロープピッチ測定装置13を用いてワイヤロープのピッチを測定する場合は、図8に示すように、複数本(例えば6本)のストランド31を撚り合わせてなるワイヤロープ30をワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面に形成されたワイヤロープ収容溝12に収容する。次に、図9に示すように、ワイヤロープ収容溝12の上方にワイヤロープピッチ測定装置13をセットする。具体的には、水平軸24a,24bに軸支された支持脚25a,25bを開いた後、位置決め部材22a,22bに形成された凹曲面23をワイヤロープ30に上方から押し当てる。そして、この状態で支持脚25a,25bを開じ、支持脚25a,25bの先端部をワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面にワイヤロープピッチ収容溝12を跨いで接触させ、リニアガイド15が水平となるようにワイヤロープピッチ測定装置13をワイヤロープ収容溝12の上方にセットする。
【0024】
このようにしてワイヤロープ収容溝12の上方にワイヤロープピッチ測定装置13をセットしたならば、図10に示すように、ワイヤロープピッチ測定装置13のレーザ変位センサ14からワイヤロープ30にレーザ光32を照射し、ワイヤロープ30の表面の変位をレーザ変位センサ14によって計測する。また、これと同時に、スライド操作用取っ手28を操作してレーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させる。
【0025】
このとき、レーザ変位センサ14からは、図10に示すように、ワイヤロープ30の径方向(長さ方向とは概ね直交する方向)に細長いスリット状のレーザ光32がワイヤロープ30に照射される。また、このとき、ワイヤロープピッチ測定装置13の演算装置18では、レーザ変位センサ14から出力された信号とエンコーダ17から出力された信号とに基づいてワイヤロープ30のピッチを演算し、その結果を表示器19にワイヤロープ30のピッチとして表示する。
【0026】
演算装置18による、ワイヤロープピッチの演算法を図11、図12を参照して説明する。なお、レーザ光32がスリット状でない場合についても比較として説明する。
図11は、本発明の実施形態に係るスリット状のレーザ光を照射するレーザ変位センサを用いる場合と、比較法として直線状のレーザ光を照射するレーザ変位センサを用いる場合とで、ワイヤロープピッチの測定法を説明する説明図である。図11(a)はレーザ光を照射したワイヤロープ30をレーザ光の照射方向から見た平面図であり、レーザ変位センサのスライド移動方向がワイヤロープの中心線方向と一致している場合を示す。図11(b)は図11(a)に示す場合においてレーザ変位センサによる変位測定値とレーザ変位センサのスライド移動量(長さ方向位置)との関係を示すグラフである。図11(c)はレーザ光を照射したワイヤロープ30をレーザ光の照射方向から見た平面図であり、レーザ変位センサのスライド移動方向がワイヤロープの中心線方向から角度θだけずれている場合を示す。図12(a),(b),(c)はそれぞれ、図11(a)におけるB−B断面図、C−C断面図、D−D断面図を示す。なお、図11、図12においては、ワイヤロープ30が、6本のストランド31a,31b,31c,31d,31e,31fを螺旋状に撚り合わせたワイヤロープである場合を例にとって示してある。
【0027】
図11に示すように、ワイヤロープの径方向に幅hを有するワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光32をワイヤロープ30に照射し、この状態でレーザ変位センサ14をリニアガイド15の案内方向にスライド移動させると、ワイヤロープ30の表面に照射されたレーザ光32は矢印X方向に移動するので、レーザ光32の移動軌跡は図中ハッチングを施した移動軌跡32aとなる。レーザ変位センサ14は、スリット状のレーザ光32が照射されている範囲内で最もレーザ変位センサと近いワイヤロープ上の点を測定点とする。レーザ変位センサ14からワイヤロープ30に照射されるワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光32は、ワイヤロープ30の軸方向に略直交する方向から照射するようにしてある。したがって、ワイヤロープ30の径方向断面に沿ったワイヤロープ30の側面にレーザ光32は照射される。そして、レーザ変位センサ14はワイヤロープ30の径方向断面に沿って反射されたレーザ光32を受光する。そして、受光したレーザ光からレーザ変位センサ14とワイヤロープ30の側面との距離が最短である、ワーヤロープ30の側面上の位置を変位測定点としてワイヤロープ30の側面の変位計測を行う。例えば、図11中のB−B線上にスリット状のレーザ光32が照射されている場合は、図12(a)に示すように、レーザ変位センサ14とb点までの距離lb1が最短距離となり、この最短距離での照射位置bを変位の測定点とする。そして、レーザ変位センサ14を矢印X方向に移動させて図11中のC−C線上にレーザ光32が照射されている時は、図12(b)に示すようにレーザ変位センサ14からはc点までの距離lc1が最短となり、よってc点を変位の測定点とする。さらに、レーザ変位センサ14を矢印X方向に移動させて図11中のD−D線上にレーザ光32が照射されている時は、レーザ変位センサ14からはd点までの距離ld1が最短となり、よってd点を変位の測定点とする。そして、レーザ変位センサ14を矢印X方向に移動させつつ各測定点の変位Lを計測する。変位Lは、例えば図12(a)に示すように、レーザ変位センサ14から所定距離Lだけ離れた位置を基準位置として定めておき、Lから測定値(図12(a)の場合はlb1)を減ずることで求める。このように、レーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させていくことで、測定点がワイヤロープの幅方向に移動していくので、スリット状のレーザ光32で測定した場合の測定点の移動軌跡は、図11(a)中の破線Yに示すようになる。測定点がY方向へ移動、すなわち、測定点が図11(a)中のb点→c点→d点のように移動すると、レーザ変位センサ14とワイヤロープ表面との距離も変化し、変位計測値Lはc点で最も大きくなる。図11(b)の上段が、スリット状のレーザ光32をワイヤロープ30の長さ方向に移動させたときの、変位計測値Lの変化を示すグラフである。図11(a)と図11(b)の上段のグラフとを比較してわかるように、1つのストランド31aで変位を計測している間にb→c→dのように測定点が変化し、これに伴い変位計測値Lとレーザ変位センサの長さ方向位置xとの曲線は山形の曲線となる。そして、測定点がストランド31a,31b,31d,…と移る毎にそれぞれ山形の曲線を示す。例えば6ストランドのワイヤの場合、1つ目の山の頂点cから7つ目の山の頂点cまでの移動距離を求めることでワイヤロープのピッチPを算出できる。
【0028】
演算装置18はエンコーダ17から出力されたリニアガイド15のスライド移動量(長さ方向位置)xと、それに対応したレーザ変位センサ14により計測した変位計測値Lとを記録し、図11(b)の上段に示すようなスライド移動量(長さ方向位置)xと変位計測位置Lの曲線から、それぞれ山形について最高点c(c,c,c,…,c,…)(以下、山形の最高点をピッチ測定点cとも云う)における長さ方向変位x(x,x,x,…,x,…)を求め、ワイヤロープ30が6ストランドのワイヤロープである場合には、xi+6−xを算出することで、ワイヤロープピッチPを求める。
【0029】
次に、本実施形態において照射するレーザ光としてスリット状のレーザ光32とする理由について、図11、図12を用いて説明する。
レーザ光32がスリット状でなく直線状である場合には、レーザ変位センサをワイヤロープの長さ方向に移動させた時、図11(a)に示すようにレーザ光の照射スポット40がX方向に移動するので照射スポット40は、図11(a)中に一点鎖線で示す移動軌跡Zに沿って移動する。照射スポットがストランド31aの表面を移動するとき、ワイヤロープ30の表面上のe点→f点→g点のように移動していくので、レーザ変位センサによる変位計測値Lは長さ方向位置xの変化に伴い図11(b)の下段に示すように変化する。図11(b)の下段に示すようなスライド移動量(長さ方向位置)xと変位計測値Lの曲線から、それぞれの山形について最高点f(f,f,f,…,f,…)(以下、山形の最高点をピッチ測定点fとも云う)における長さ方向位置x(x,x,x,…,x,…)を求め、ワイヤロープ30が6ストランドのワイヤロープである場合には、xi+6−xを算出することで、ワイヤロープピッチPを求めることができる。図11(a)においては、レーザ変位センサ14のスライド移動方向Xとワイヤロープ30の中心線方向Sとが完全に一致している場合を示しているので、直線状のレーザ光によるピッチ測定点f(f,f,…)は、スリット状のレーザ光によるピッチ測定点c(c,c,c,…)と同一となる。そのため、1つ目の山の頂点fから7つ目の山の頂点fまでの移動距離を求めることで得られるピッチPは、上述のようにc点からc点までの移動距離で求めたピッチPと同一の値となり、照射するレーザ光として直線状のレーザ光を用いた場合にもスリット状のレーザ光を用いた場合と同様のピッチ測定結果を得ることができる。
【0030】
しかしながら、実際のワイヤロープにはわずかな曲がりがあるため、レーザ変位センサ14のスライド移動方向Xとワイヤロープ30の中心線S方向とを完全に一致させることは困難である。図11(c)は、レーザ変位センサ14のスライド移動方向Xとワイヤロープ30の中心線S方向とがわずかな角度θだけずれている場合を示している。スリット状のレーザ光32を用いた場合のピッチ測定点cは図11(c)に示すようにワイヤロープ30の中心線S上となるので、正しくピッチを測定することができる。
【0031】
一方、直線状のレーザ光を用いた場合には、照射スポットの移動軌跡Zはワイヤロープ30の中心線Sとは一致しないこととなる。図11(c)では、ピッチ測定点fで照射スポットの移動軌跡Zが中心線Sと交差している場合を示しているが、照射スポットの移動軌跡が中心線Sから離れるにつれて、ピッチ測定点cとピッチ測定点fとのずれが大きくなる。したがって、ピッチ測定点cにおける長さ方向位置xとピッチ測定点fにおける長さ方向位置x’とは異なるものとなり、スリット状のレーザ光32を照射して得たピッチ測定点cから求められるピッチPと、直線状のレーザ光を照射して得たピッチ測定点fから求められるピッチPとは異なる値となる。
【0032】
このように、直線状のレーザ光を照射して得たピッチ測定点fを得る場合、レーザ変位センサのスライド方向がワイヤロープの中心線Sの方向からわずかにずれてしまった場合には、ピッチを正しく測定することができず、測定誤差が大きくなってしまう。前述した先行技術のように、二本の棒状接触子をワイヤロープに接触させてピッチを測定する場合も、二本の棒状接触子の接触位置を中心線S上に正確に合わせることは困難であり、同様に測定誤差は大きくなる。
【0033】
以上のことから、本実施形態では、レーザ変位センサ14が照射するレーザ光はスリット状のレーザ光としている。ここで、スリット状のレーザ光32のワイヤロープ30上の幅hは、被測定物であるワイヤロープ30に多少曲がりがあってもレーザ光32の照射範囲内にワイヤロープ30の中心線が入る程度の大きさがあればよい。具体的には、ピッチを測定するワイヤロープの径の1/4以上が好ましい。さらに、好ましくはワイヤロープの径の1/3以上である。
【0034】
なお、レーザ変位センサ14のスライド方向がワイヤロープ30の中心線Sと角度θだけずれている場合、正しいピッチをPとするとピッチ測定点cに基づいて求まるピッチPの値はP・cosθとなるが、目視でこのずれ角θが生じていない程度にセッティングを行えばθは0に近い値とすることができ、測定誤差P−Pの大きさは無視できる程度である。
【0035】
このように、ワイヤロープ30の径方向に細長いスリット状のレーザ光32をレーザ変位センサ14からワイヤロープ30に照射することで、ワイヤロープ側面に生ずるレーザ光の反射光は、ワイヤロープ30の径方向断面に沿った長さを有するものとなる。つまり、ワイヤロープの周方向に長さを有する反射光が得られる。そして、ワイヤロープ30の径方向断面に沿ったワイヤロープ側面の変位を測定しつつ、レーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させ、レーザ変位センサ14によりワイヤロープ30の長さ方向の位置毎の距離を計測することにより、ワイヤロープ30に曲がりがあっても、ワイヤロープ30のストランド毎にワイヤロープ30の中心線上にあるピッチ測定点における長さ方向位置xを求めることができ、このストランド毎に計測されたピッチ測定点における長さ方向位置xを用いてピッチPを算出することで、正確なワイヤロープピッチを算出することが可能となる。また、前述した先行技術のように、二本の棒状接触子をワイヤロープに接触させる必要もないので、ワイヤロープピッチを正確に測定することができる。
【0036】
また、上述した本発明の一実施形態のように、ワイヤロープ収容溝12の上方にセットされるワイヤロープピッチ測定装置を、リニアガイド15の長さ方向両端側に設けられた一対の端板20a,20bと、これらの端板20a,20bに、ワイヤロープ30に対して円弧状に湾曲する凹曲面23を有する一対の位置決め部材22a,22bを設けたものとし、この凹曲面23をワイヤロープ30に上方から押し当てて、ワイヤロープ30に対してワイヤロープピッチ測定装置をセットすることで、前記スライド移動方向Xとワイヤロープの中心線とが大きくずれることを防止できる。そして、この位置決め部材22a,22bの間にあるワイヤロープ30に曲がりが生じていたとしても、上述したように、ワイヤロープ30の中心線とレーザ変位センサのスライド移動方向Xとがわずかにずれていてもその測定誤差は小さい。
【0037】
ここで、上述した本発明の一実施形態に示したように、ワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面に直線状に形成されたワイヤロープ収容溝12にワイヤロープ30を収容した後、ワイヤロープ収容溝12の上方にワイヤロープピッチ測定装置13をセットすることは必ずしも必須ではないが、このセット方法を採用することにより、ワイヤロープ30の曲がりを矯正してある程度真っ直ぐにした状態でワイヤロープ30のピッチを測定することができるので、ワイヤロープの曲がりによる測定誤差をさらに小さくするために、ワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面に直線状に形成されたワイヤロープ収容溝12にワイヤロープ30を収容してワイヤロープピッチを測定することが好ましい。
【0038】
さらに、上述した本発明の一実施形態のように、ワイヤロープ収容溝12の上方にセットされるワイヤロープピッチ測定装置として、位置決め部材22a,22bの各々がワイヤロープ収容溝12に収容されたワイヤロープ30の長さ方向に突出する一対の水平軸24a,24bと、水平軸24a,24bの軸回りに回動自在に軸支された一対の支持脚25a,25bとを有するものを用いてワイヤロープ30のピッチを測定することにより、支持脚25a,25bの先端部をワイヤロープピッチ測定用水平台11の上面にワイヤロープピッチ収容溝12を跨いで接触させることによってワイヤロープ30の上方にリニアガイド15が水平に支持されるため、ワイヤロープ30のピッチをより正確に測定することができる。
【0039】
また、ワイヤロープ収容溝12の上方にセットされるワイヤロープピッチ測定装置として、上述した本発明の一実施形態のように、リニアガイド15の上面に設けられた天板26をさらに備え、かつ天板26が持ち運び用取っ手27を有するものとすれば、ワイヤロープピッチ測定装置を様々な測定場所に持ち運んでワイヤロープのピッチを測定することができる。
上述した本発明の一実施形態では、長さ方向位置測定器としてボールねじ16のねじ軸161に連結されたエンコーダ17を用いているが、スライダ151のスライド移動量を検出できるものであればこれに限定されない。
【0040】
また、上述した本発明の一実施形態では、レーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させるときにスライダ操作用取っ手28を利用してレーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させるようにしたが、例えばボールねじ16を電動モータにて駆動してレーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に移動させてもよい。
【0041】
また、上述した一実施形態では、ワイヤロープ30を固定し、レーザ変位センサ14をスライダ151によりワイヤロープ30の長さ方向に移動させることで、ワイヤロープ30に対してレーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に相対移動させているが、レーザ変位センサ14を固定し、ワイヤロープ30をその長さ方向に移動させることで、ワイヤロープ30に対してレーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に相対移動させるようにしてもよい。この場合、レーザ変位センサ14の長さ方向の位置を測定することに代えて、ワイヤロープ30の移動量を測定するようにする。
【0042】
また、上述した一実施形態では、レーザ変位センサ14からワイヤロープ30に照射するレーザ光を、ワイヤロープ30の径方向に細長いスリット状のレーザ光とすることにより、ワイヤーロープ30の径方向断面に沿ったワイヤロープ側面にレーザ光を照射し、レーザ変位センサ14とワイヤロープ側面との距離が最短である位置を測定点とすることを可能としているが、本発明では、これに限定されず、上記径方向断面におけるレーザ変位センサ14とワイヤロープ側面との距離が最短である位置を測定点とすることが可能であればよい。
【0043】
例えば、図10に示したように、スリット状のレーザ光32を照射することに代えて、図13に示すように、複数の直線状のレーザ光132を、そのワイヤロープ30の側面上の照射スポット140がワイヤロープ30の径方向に配列するように照射してもよい。この場合、隣り合う照射スポット140の間隔が大きいと、ワイヤロープ30の側面との距離が最短である位置を測定点でなくなるので、測定精度を考慮して、照射する直線状のレーザ光132の数を設定する必要がある。
【0044】
また、図10に示したように、スリット状のレーザ光32を照射することに代えて、図14に示すように、直線状のレーザ光232の照射位置(照射スポット240の位置)を、図中の矢印に示すように、ワイヤロープ30の径方向に走査することによっても、ワイヤロープ30の径方向断面におけるレーザ変位センサ14とワイヤロープ側面との距離が最短である位置を測定点とすることが可能である。この場合、直線状のレーザ光232をワイヤロープ30の径方向に走査するには時間がかかるので、レーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に相対移動させる速度は、直線状のレーザ光232をワイヤロープ30の径方向に走査する速度に比べて十分に小さくするという配慮が必要である。なお、直線状レーザ光232の走査は、レーザ投光器からのレーザ光を回転ミラーを介して、ワイヤロープ30に照射することで可能である。
【0045】
このように、スリット状のレーザ光32に代えて、直線状のレーザ光をワイヤロープ30に照射する場合は、複数の直線状のレーザ光132をワイヤロープ30の径方向に配列させて照射する場合には、測定精度を確保する上では多数のレーザ光の照射を必要とし、また、直線状のレーザ光232をワイヤロープ30の径方向に走査する場合には、レーザ変位センサ14をワイヤロープ30の長さ方向に相対移動させる速度を遅くするという配慮を必要とするので、スリット状のレーザ光を照射することが最も好ましい。
【0046】
以上説明した、本発明のワイヤロープピッチ測定方法を、多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてワイヤロープとなした後のワイヤロープのピッチ測定に適用し、得られたワイヤロープピッチの測定結果が、所定のワイヤロープピッチ品質の範囲内のワイヤロープを良品とし、該ワイヤロープピッチ品質の範囲外のワイヤロープを不良品とすれば、ワイヤロープピッチに関する良品、不良品の判定を正確に行うことができ、ワイヤロープのピッチ品質を向上させることも可能となる。
【実施例】
【0047】
本発明例として、上述した本発明の一実施形態による方法を用いてワイヤロープ(IWRC6×Fi(29)30φ)の同一部分のワイヤロープピッチの測定を5回行った。ここで、スリット状のレーザ光を照射するレーザ変位センサ14として、分解能は0.01mm、スリット状のレーザ光の幅hは20mmのものを用いた。レーザ変位センサ14のスライド移動範囲は500mmとした。
また、比較例として、前述した特許文献1に記載された二本の棒状接触子をワイヤロープに接触させる方式のワイヤロープピッチ測定装置を用いて、本発明例と同一部分のワイヤロープピッチの測定を5回行った。
本発明例と比較例との測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1より、本発明例の場合は、+側誤差(最大値−平均値)は0.16mm、−側誤差(平均値−最小値)は0.20mm、測定誤差(0.16mm+0.20mm=0.36mm)は測定値(平均値)に対して0.19%となった。
一方、比較例の場合は、+側誤差は0.6mm、−側誤差は1.1mm、測定誤差(0.6mm+1.1mm=1.7mm)は測定値(平均値)に対して0.91%であり、本発明例に対して誤差は大きくなった。
【符号の説明】
【0050】
11…ワイヤロープピッチ測定用水平台
12…ワイヤロープ収容溝
13…ワイヤロープピッチ測定装置
14…レーザ変位センサ
15…リニアガイド
16…ボールねじ
17…エンコーダ
18…演算装置
19…表示器
20a,20b…端板
21a,21b…セット用取っ手
22a,22b…位置決め部材
23…凹曲面
24a,24b…水平軸
25a,25b…支持脚
26…天板
27…持ち運び用取っ手
28…スライド操作用取っ手
30…ワイヤロープ
31…ストランド
32…スリット状のレーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてなるワイヤロープのピッチを測定する方法であって、
前記ワイヤロープの側面に対向させたレーザ変位センサを用いて、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射して該側面の変位の計測を行いつつ、前記ワイヤロープに対して前記レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に相対移動させ、前記レーザ変位センサの前記ワイヤロープに対する前記長さ方向の相対位置と前記変位の計測値との関係から前記ワイヤロープのピッチを算出することを特徴とするワイヤロープピッチの測定方法。
【請求項2】
前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする請求項1に記載のワイヤロープピッチの測定方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワイヤロープピッチの測定方法であって、前記ワイヤロープをワイヤロープピッチ測定用の水平台の上面に直線状に形成されたワイヤロープ収容溝に収容し、該ワイヤロープ収容溝に収容されたワイヤロープの上方に前記レーザ変位センサを位置させて前記変位の計測および前記相対移動を行うことを特徴とするワイヤロープピッチの測定方法。
【請求項4】
多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてなるワイヤロープのピッチを測定するワイヤロープピッチ測定装置であって、
前記ワイヤロープの側面に対向させてワイヤロープの側面の変位を測定するレーザ変位センサと、該レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に案内するリニアガイドと、前記レーザ変位センサの前記リニアガイド上の前記長さ方向の位置を測定する長さ方向位置測定器と、前記長さ方向位置測定器からの出力信号と前記レーザ変位センサからの出力信号とに基づいて前記ワイヤロープのピッチを算出する演算装置とを備えてなり、
前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射し、該側面の変位を測定することを特徴とするワイヤロープピッチ測定装置。
【請求項5】
前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの側面に該ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする請求項4に記載のワイヤロープピッチ測定装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のワイヤロープピッチ測定装置において、前記リニアガイドの長さ方向両端に設けられた一対の位置決め部材を有し、該位置決め部材は前記ワイヤロープに押し当てる凹曲面を有し、該凹曲面を前記ワイヤロープに押し当てると前記リニアガイドによる前記レーザ変位センサの案内方向が、前記ワイヤロープの長さ方向となることを特徴とするワイヤロープピッチ測定装置。
【請求項7】
多数本の金属素線からなる複数本のストランドを螺旋状に撚り合わせてワイヤロープとなし、
該ワイヤロープの側面に対向させたレーザ変位センサを用いて、前記ワイヤロープの径方向断面に沿って前記ワイヤロープの側面にレーザ光を照射して、該側面の変位の計測を行いつつ、前記ワイヤロープに対して前記レーザ変位センサを前記ワイヤロープの長さ方向に相対移動させ、前記レーザ変位センサの前記ワイヤロープに対する前記長さ方向の相対位置と前記変位の計測値との関係から前記ワイヤロープのピッチを算出してワイヤロープピッチを測定し、
得られたワイヤロープピッチの測定結果が、所定のワイヤロープピッチ品質の範囲内のワイヤロープを良品とし、前記ワイヤロープピッチ品質の範囲外のワイヤロープを不良品とすることを特徴とするワイヤロープの製造方法。
【請求項8】
前記レーザ変位センサは、前記ワイヤロープの径方向に細長いスリット状のレーザ光を照射することを特徴とする請求項7に記載のワイヤロープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−196994(P2011−196994A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8079(P2011−8079)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】