説明

ワンセグ放送システム、中継装置、チャネルリスト配信サーバおよび受信方法

【課題】外部電波が届かないクローズドエリアでのワンセグ放送を受信することが可能なワンセグ放送システム、中継装置、チャネルリスト配信サーバおよび受信方法を提供する。
【解決手段】携帯電話のBS1に接続されるRFヘッド21と、そのカバーエリアが同じに揃えられたワンセグ送信器22とを備える中継装置2を介して、ワンセグ放送受信機能を備えた携帯電話端末5から、ワンセグ放送の受信要求情報を受信した配信サーバ3は、その情報を判読し、GPSで取得した当該端末の現在位置情報が無い場合、当該携帯電話端末5が接続中の中継装置2の識別番号を読み出して、放送局リストテーブル31と参照して当該端末の居る場所で受信可能なエリアワンセグ放送局の放送局名と、チャネル情報とを検索、抽出して携帯電話端末5の受信設定データとして返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンセグ放送の受信機能を有する移動通信端末を用いるワンセグ放送システム、チャネルリスト配信サーバ、および受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末、PHS端末の様な移動通信端末にワンセグ受信機能を持たせることによりデジタル放送を受信可能にして、ワンセグ放送システムが運用されている。しかし、ワンセグ放送は、受信可能な地域が限られており、移動通信端末では、地域毎の放送を受信する周波数に同調させる、即ち受信チャンネル情報の取得と設定が容易でなかった。
【0003】
移動通信端末がGPS衛星からの電波を受信して取得した自分の現在位置情報を、地域毎のワンセグ放送の受信可能エリア情報を記憶蓄積するサーバに移動通信網を介してアクセスして受信可能なワンセグ放送のチャネル情報を取得する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2。)。
【0004】
しかしながら、この方法では、ビル内等のGPS電波が受信できない場所ではワンセグ放送のチャネル情報を取得出来ない問題が有った。
【0005】
一方、この様な外部電波を受信できないクローズドエリアでは、エリアワンセグと呼ばれる一般商業放送とは異なる特定地域内のワンセグ放送の使用が認められている。
【0006】
また、携帯電話やPHSの多くの機種には、ワンセグ受信機能が装備されており、繁華街やイベント会場等の特定エリアで独自の映像コンテンツを配信するエリアワンセグが注目されている。エリアワンセグは、一般的なワンセグ放送と異なる周波数を使用している。その為、ワンセグ対応の携帯電話にプリセットとして用意されているチャンネルではなく、そのエリアだけで見られる独自のチャンネルを設定する必要がある。
【0007】
このエリアワンセグの受信チャネル設定方法の一手法として、携帯電話端末に内蔵された非接触ICカードによる「おサイフケータイ」(登録商標)の三者間通信機能を使って周波数設定用の携帯サイトにアクセスし、携帯電話側のワンセグ周波数を自動的に設定するという仕組みがある(例えば、非特許文献1。)。
【0008】
この方法は、ユーザは会場にある専用リーダー/ライターに“おサイフケータイ”を備えた携帯電話端末をかざし、指定された携帯電話サイト内にあるリンクをクリックすると、エリアワンセグが視聴可能となる。
【0009】
しかしながらこの方法でも専用リーダー/ライターの設置場所が限定され、その場所にユーザが行かないと、チャンネル設定できない問題があり、リーダー/ライターを多数設置しなければならず、費用が掛かる問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−201699号公報
【特許文献2】特開2008−124672号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】神尾寿のMobile+Views:エリアワンセグからデジタルサイネージまで ... ITMedia 2008年08月28日http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0808/28/news069.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来、移動端末に組み込まれたワンセグ放送受信機では、地域毎に対応したワンセグ放送チャネル情報を取得する為にGPSシステムを利用した測位により現在位置情報を取得する方法がある。しかし、外部の移動通信網との間の無線通信が行えない様な電波が届かないクローズドエリアでは、GPS衛星からの電波もワンセグ放送の電波も受信できない問題があった。
【0013】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、外部電波が届かないクローズドエリアでも移動通信端末に組み込まれた受信器が容易に受信チャネルを設定しワンセグ放送を受信することが可能なワンセグ放送システム、中継装置、チャネルリスト配信サーバおよび受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明のワンセグ放送システムは、GPS衛星信号を受信して自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバと自分との間で自分の現在のGPS測位データを送受信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局のチャネル情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムにおいて、移動通信網を介して通信する通信手段と、GPS受信器と、ワンセグの放送受信器と、入力手段からワンセグ放送を受信する設定が入力された時、前記通信手段に対して自分の識別情報と前記GPS測位データとを含む受信要求情報を前記チャネルリスト配信サーバへ送信し、それに対して返信されたワンセグ放送局の受信設定データを受信する制御と、前記ワンセグ放送の受信器に前記受信した受信データにより示された受信チャネルを選択して受信する制御を行う制御手段とを備える移動通信端末と、前記移動通信端末、または前記移動通信網の基地局に備えられ、前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局、または、前記基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の識別情報を前記送信される受信要求情報に付加するデータ制御手段と、外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置される中継装置であって、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され、前記クローズドエリア内をカバーエリアとして前記移動通信端末との間で無線信号を中継する固有の識別情報が付与された中継局と、前記中継局と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアでワンセグ放送を行うエリアワンセグ送信器とを具備する中継装置と、前記移動通信網と前記チャネルリスト配信サーバとの間での通信を可能とするネットワークと、前記ネットワークを介して通信するネットワーク通信手段と、予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、受信可能エリアと、前記中継装置に設置されたエリアワンセグ送信器に対しては、当該中継局の識別情報とを対応してテーブルに登録して記憶する記憶手段と、前記ネットワーク通信手段にから前記移動通信端末から前記受信要求情報を受信した場合、前記受信要求情報を調べ、前記GPS測位データが無い場合、前記受信要求情報に付加された前記接続先となる中継局の識別情報を読み出して前記テーブルと照合することにより、前記移動通信端末の現在位置を特定してそこで受信可能な前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、それに対応する放送局名と受信チャネル情報とを前記受信設定データとして前記ネットワーク通信手段から前記移動通信端末へ返信する制御を行うCPUとを備えるチャネルリスト配信サーバとを具備することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のワンセグ放送システムの中継装置は、GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバと自分との間で自分の現在のGPS測位データと自分の識別情報とを送信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムに用いられ、前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の中継装置であって、前記中継装置は、外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置され、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され、前記クローズドエリア内をカバーエリアとして前記移動通信端末との間で無線信号を中継する固有の識別情報が付与された中継局と、前記中継局と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアでワンセグ放送を行うエリアワンセグ送信器とを具備することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明のワンセグ放送システムのチャネルリスト配信サーバは、GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、移動通信網に接続されワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバへ、自分の現在のGPS測位データと自分の識別情報とを含む受信要求情報を送信し、前記移動通信端末が、前記チャネルリスト配信サーバから返信される現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を示す受信設定データを取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムのチャネルリスト配信サーバにおいて、前記チャネルリスト配信サーバは、前記移動通信網を介して前記移動通信端末との間で通信して前記受信要求情報の受信と、前記受信設定データとを送信する通信手段と、予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、前記各放送局の受信可能エリアと、外部の電波が届かないクローズドエリアに設置される中継装置が備えるエリアワンセグ送信器に対しては、それと組になる前記送信器と同じクローズドエリア内のカバーエリアで前記移動通信端末と前記移動通信網の基地局との間の無線通信を中継する中継局の識別情報とを対応したテーブルのリストに登録して記憶する記憶手段と、前記通信手段の受信状態を監視し、前記通信手段が受信した前記受信要求情報に前記GPS測位データが無い場合、前記受信要求情報に付加された前記接続先となる中継局の識別情報を前記記憶手段から読み出した前記テーブルと照合することにより前記移動通信端末の現在位置を特定し、そこで受信可能な前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、それに対応する放送局名と受信チャネル情報とを前記受信設定データとして前記移動通信端末へ返信する制御を行うCPUとを備えることを特徴とする。
【0017】
更に又、本発明のワンセグ放送システムの受信方法は、移動通信端末と、データ制御手段と、中継局とエリアワンセグ送信器とを有する中継装置と、チャネルリスト配信サーバとを備え、GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える前記移動通信端末が、当該移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバとの間で自分の現在のGPS測位データを送受信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムの受信方法において、前記移動通信端末は、入力手段からワンセグ放送を受信する設定が入力された時、自分の識別情報とGPS衛星信号の測位データとを含む受信要求情報を移動通信網により前記チャネルリスト配信サーバへ向けて送信し、前記データ制御手段は、前記送信される受信要求情報を監視して前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局、または、前記基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の識別情報を前記送信される受信要求情報に付加し、外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置される前記中継装置のエリアワンセグ送信器は、クローズドエリア内のカバーエリアでワンセグ放送を行い、前記中継局は、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され固有の識別情報が付与されて前記エリアワンセグ送信器と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアに居る前記移動通信端末と前記基地局との間で無線信号を中継し、前記チャネルリスト配信サーバは、予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、受信可能エリアと、前記中継装置に設置されたエリアワンセグ送信器に対しては、当該中継局の識別情報とを対応してテーブルに登録して記憶し、前記移動通信網により接続された前記移動通信端末から受信する前記受信要求情報を前記テーブルと照合し、前記受信要求情報に前記GPS測位データが無く、前記接続先となる前記中継局の識別情報がある場合には、前記移動通信端末の現在位置が前記クローズドエリア内の前記カバーエリアにいると判定し、前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、それに対応する放送局名と受信チャネル情報とをそこで受信可能な前記受信設定データとして前記移動通信端末へ返信し、前記返信されたエリアワンセグ放送局の受信設定データを受信した前記移動通信端末は、受信した受信設定データにより示された受信チャネルを選択して前記エリアワンセグ放送を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部電波が届かないクローズドエリアでのワンセグ放送を受信することが可能なワンセグ放送システム、中継装置、チャネルリスト配信サーバおよび受信方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例に係わるワンセグ放送システムの構成図。
【図2】携帯電話端末の動作を説明する機能ブロック図。
【図3】チャネルリスト配信サーバが受信する携帯電話端末からの制御信号の構成の一部を示す図。
【図4】本発明の実施例のワンセグ放送システムにおけるチャネルリスト配信サーバが記憶蓄積する放送局リストテーブルの一例。
【図5】ワンセグ放送システムの携帯電話端末、携帯電話基地局と、チャネルリスト配信サーバとの間の動作手順を説明するフローチャート。
【図6】図5の細部手順を示すフローチャート。
【図7】図6の変形例のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例に関わるエリアワンセグ放送システムの構成図である。
ここでは、移動通信端末に携帯電話端末を用いる携帯電話システムを移動体通信システムとしている場合を例にワンセグ放送システムの構成と動作を説明するが、移動体通信システムは、携帯電話システムのほか、PHSシステム、WiMAX等の無線通信システムへも適用可能である。
【0022】
図1においてエリアワンセグ放送システムは、携帯電話基地局1(以下、BS1と略す。)、中継装置2、チャネルリスト配信サーバ3(以下、配信サーバ3と略す。)、ネットワーク4、携帯電話端末5、高周波信号伝送路(RF信号リンク6と略す。)6と、GPS衛星7とを具備している。
【0023】
ネットワーク4は、BS1、中継装置2、および配信サーバ3との間で情報を伝送する、例えば、IP網(インターネットでも良い)、携帯電話網の様な移動通信網、又は、事業者網等の何れか、又はそれらの組合せにより構成される。
【0024】
携帯電話端末5は、エリアワンセグ用の放送を受信すると共にGPS衛星7からの電波を受信して自分の現在位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送局8からの放送電波を受信する機能を備えている。
【0025】
中継装置2は、携帯電話端末5との間で携帯電話の無線電波を送受信してBS1との間を中継する無線中継局21(以下、RFヘッド21と称する。)と、近傍にワンセグ放送電波を送信するエリアワンセグ送信器22とを備える。
【0026】
RFヘッド21は、BS1との間を無線リンク、同軸ケーブル、又は光ファイバ等の高周波信号伝送路(RF信号リンク6と略す。)6を用いて接続され、ビル内や、地下街等の外部電波が届かない場所(クローズドエリアと呼ぶ)で携帯電話端末5とBS1との間の通信を可能とするための無線通信のリピータ(中継)手段である。なお、RFヘッド21は、RF信号リンク6が光ファイバで接続されるROF(Radio on Fiber)システムによる構成で、ビル内の各フロア単位等で設置されるものが典型例である。
【0027】
また、RFヘッド21とエリアワンセグ送信器22との送信電波の両カバーエリアは、同じに揃う様に調整される。両カバーエリアを揃える為に、無指向性のアンテナで送信出力を調整するほか、携帯電話とエリアワンセグ放送の送信電波の波長の違いによる伝搬特性やカバーエリアの差を少なくするため、指向性アンテナを用いてカバーエリアを調整すると効果的である。
【0028】
BS1には、携帯電話網との間の電話制御部の他、ネットワーク4を介して携帯電話端末5と配信サーバ3との間で送受信される情報(データ)を監視し、その制御・管理に関わるデータ制御部11を備える。
【0029】
このデータ制御部11は、このBS1が属する携帯電話システムのアプリケーションや、ネットワーク管理に関わる情報を処理する為に設けられる手段であり、ここでは、移動通信端末5が無線送受信する信号を監視して、その無線通信の接続先の基地局や、中継局の識別情報を配信サーバ3へ送信する受信要求情報に付加して通知する処理を行うものである。
【0030】
特に携帯電話端末5とBS1との間が中継局(RF21)を介して無線接続され、当該中継局の識別情報(アドレス)を携帯電話端末5が無線リンクのアドレスデータから直接読み出せない場合、配信サーバ3が携帯電話端末5の接続先のRF21を特定できるように識別情報を付加出来るようにするには、中継局のローカルな情報を所有しているBS1に設置されると識別情報の付加処理が容易である。
【0031】
しかしながら、図1の様にBS1に備えられる他、予め、BS1に対して、当該中継局の情報を、移動通信網に接続される機器や、携帯電話端末5に設けられるデータ制御部へ通知するよう、ワンセグ放送受信のアプリケーションソフトウェアを設定することによりBS1の外部の図示されない中央センター等に設置されて他の基地局とネットワーク4を介して共用されるもの、または、携帯電話端末内に備えられるものであっても良い。
【0032】
携帯電話端末5は、配信サーバ3が自分の現在位置を特定できるよう、後述の様に自位置情報をBS1や配信サーバ3等へ通知する。もし、GPS衛星が受信できない場合、自分の現在位置に関わる情報を配信サーバ3に通知しなければならない。その為、無線通信中の相手先を示す識別情報を後述の配信サーバ3に通知するが、中継局(RFヘッド)21、BS1等の識別情報の通知機能は、先に述べた如くこのBS1に備えられるデータ制御部11の一部としても良いし、又は、後述の様に携帯電話端末5の内部にデータ制御部11として備えられるものであっても良い。
【0033】
携帯電話端末5と配信サーバ3との間は、ネットワーク4に含まれる図示されないルータや、サーバ等を介して、携帯電話端末5から測位データ等の現在位置情報や、中継装置2の識別情報等に関わる情報(データ)が配信サーバ3へ送信され、配信サーバ3からは、携帯電話端末5へ向けて受信可能なワンセグ放送局のチャネル情報等が送信される。これらの通信制御、処理はネットワークを介した通信を行う通信IO32とそれを制御するCPU33とにより、携帯電話システムで用いられている標準の通信規約上で送受信されるアプリケーションソフトによって行われる。
【0034】
配信サーバ3には、後述の図4の様な予め緯度、経度の位置情報(測位データ)とその位置情報に対応して受信可能なワンセグ放送局が放送する放送チャネル情報が記憶装置30の中に放送局テーブル31に登録されて記憶され、携帯電話端末5からネットワーク4を介して位置情報を受信した場合、当該位置で受信可能な放送チャネル情報を検索抽出して当該携帯電話端末5へ返信する機能を備えている。
【0035】
図2は、携帯電話端末5の動作を説明する機能ブロック図である。
【0036】
図2において、携帯電話端末5は、それぞれの間が内部バス等により接続される、ワンセグ放送の受信処理を行う放送受信部51と、BS1との間で中継装置2のRFヘッド21を介して無線通信を行う通信処理部52、GPS受信信号を入力し、測位データを通信処理部51に出力するGPS処理部53、また携帯端末5のユーザとの間でコマンドや情報入出力を行うキーボタン、ディスプレイ、スピーカ等からなるI/O部54(入出力部54)と、制御処理部55とを備えている。
【0037】
なお、GPS処理部53は、GPS衛星信号を直接受信処理するか、又は、通信処理部52がその一部機能としてGPS衛星信号を受信したものが供給されるもので有っても良い。
【0038】
制御処理部55は、内部バスを監視し、I/O部54のキーボタンや通信処理部52を介して入出力される制御情報始め端末の各種の情報やデータを処理して各部の動作制御を行う。
【0039】
携帯電話端末5は、屋外、または建物の窓際等外部と電波の送受信に支障のない位置に居る場合、BS1と直接携帯電話の電波を送受信すると共に、GPS衛星7からの電波を受信し自位置を測定することが出来る。そして、携帯電話端末5は、GPS衛星電波の専用受信回路を設けるか、又は、携帯電話の電波を送受信する通信処理部52を介するか等の何れかの方法により、GPS処理部53がGPS衛星電波から自位置の即位情報を取得し、制御処理部55は、通信処理部52を介し、配信サーバ3等位置情報を用いるアプリケーション装置に向けて取得した位置情報を送出する制御を行う。
【0040】
一方、携帯電話端末5が内蔵する放送受信部51によりワンセグ放送を視聴する場合、ユーザによってI/O部54から放送局指定等、所定の動作に対応する設定入力が行われ、内部バスを監視している制御処理部55は、ワンセグ放送受信モードを起動する。
【0041】
ユーザからの入力がプリセットされた放送局を受信する場合、制御処理部55によってその放送局からの送信電波を受信するよう放送受信部51が設定、調整される。そのワンセグ放送の受信エリアに携帯電話端末5が存在し、放送波を受信できれば、視聴したい番組の映像音声がI/O部54のディスプレイやスピーカから出力される。
【0042】
一方、プリセットされた放送局が受信できないエリア、地域にいる場合、又は、プリセット、もしくは、受信したい放送局が設定されていない場合は、制御処理部55は、GPS受信処理部53により自位置を取得し、その緯度、経度等のGPS測位情報と自分の識別情報とを含む受信要求情報として情報通信処理部52を介してBS1経由で配信サーバ3へ送信する制御を行う。
【0043】
そして、配信サーバ3から受信要求情報の返信として受信可能な放送局リストとその受信チャネル情報を受信した結果をI/O部54のディスプレイに所定の表示形式で表示してユーザからの指定入力を待機する。
【0044】
携帯電話端末5がこの配信サーバ3との間で測位データ、自分が無線通信中の無線中継局、又は、基地局を通知する接続先情報や、放送局リスト等の情報は、携帯電話網の制御チャネルもしくは、データチャネルの何れかを利用して送受信されるものである。この通信の伝送制御手順は、携帯電話による地図情報サービスと同様、類似のものであって、予め、携帯電話端末5にインストールされたアプリケーションプログラムにより実行される。
【0045】
配信サーバ3は、それぞれの間が内部バス等で接続された記憶装置30、通信IO部32と、CPU33とを備えている。通信IO部32は、ネットワーク4、BS1、中継装置2のRFヘッド21を介して、携帯電話端末5との間で、受信要求情報とその返信の受信設定データを送受信する。通信IO部32は、ネットワーク4との間でのプロトコルに従ってデータを送受信するデータを内部バスとの間で入出力し、CPU33は、内部バスを監視し、ワンセグ放送受信に関わるアプリケーションのプログラムを実施する。
【0046】
記憶装置30は、その中に放送局リストテーブル31を記憶している。CPU33は、内部バスを監視し通信IO部が受信した受信要求情報と、記憶装置30が記憶する放送局リストテーブル31とを読み出して照合し、携帯電話端末5へ受信可能なワンセグ放送局の受信チャネルなど受信設定データを通信IO部からネットワーク4を経て返信する制御をおこなう。
【0047】
商業放送等、広域対象のワンセグ放送に対しては上記の方法で、所要の放送局が携帯電話端末5から受信できるようになるが、建家内等のクローズドエリアでは、GPS衛星電波が受信できないので、配信サーバ3へは、携帯電話端末5から通知すべき測位データが取得出来ない。また、測位データが無いまま送信したとしても配信サーバ3は、携帯電話端末5の現在位置が不明なので受信可能な放送局候補をリストと照合して見付けることが出来ない。
【0048】
この欠点を補う方法として、各携帯電話基地局の設置された位置情報を予め調べておき、そのカバーエリアに対応して受信可能なワンセグ放送局をリスト化し配信サーバ3に記憶蓄積しておく。そして、携帯電話基地局のカバーエリアから測位データ無しに受信可能なワンセグ放送局のリスト要求が携帯電話端末5から来た場合、配信サーバ3は、当該携帯電話基地局の識別情報を判読することにより、そのリストと識別情報とを照合して抽出した受信可能な放送局リストを返信する。
【0049】
しかしながらこの方法であっても、携帯電話基地局のカバーエリアと、ワンセグ放送局のカバーエリアは元来対応していないので同一では無く放送が受信出来ない場所も生じる。また、複数の放送局候補も存在する場合もあり、ユーザに正しいワンセグ放送局候補が提示出来ない。本発明の実施例によるワンセグ放送システムは、クローズドエリアで中継装置が提供する携帯電話とワンセグ放送の両カバーエリアを揃える事により、携帯電話の位置特定を可能にしてこれらの不具合を解消し、地下街や、ビル内イベント等で活用可能なエリアワンセグ放送を実現することが可能である。
【0050】
図3は、携帯電話端末5から、BS1を介して配信サーバ3へ向けて送信される制御信号の構成の一部を示す図、図4は、本発明の実施例のワンセグ放送システムにおける配信サーバ3のワンセグ放送局のリストテーブルの一例、図5は、ワンセグ放送システムの携帯電話端末5、BS1と、配信サーバ3との間の動作手順を説明するフローチャートである。
以下、図3〜図5を用いて本発明の実施例に関わるワンセグ放送システムの動作手順を説明する。
ワンセグ放送の視聴を希望するユーザの携帯電話端末5(ここでは、IDが5001)のI/O部54へワンセグ放送受信のアプリケーションを選択するキーボタン操作の入力が行われる(図5のステップs1)。
【0051】
携帯電話端末5は、図3において、その携帯電話システムに従った、制御・モニタ信号フォーマットにより、少なくとも、自端末のID、例えば、(a)の様に「XXXX−5001」、自端末が動作しているサービスメニューの内、ワンセグ放送受信メニューであることを示す「BR」と、測位データとして測位データ「N:00°OX′ E:XOX°OX′」とをワンセグ放送の受信要求情報としてBS1を介して配信サーバ3へ向けて送信する制御を制御処理部55が行う(ステップs2)。なお、クローズドエリア等でGPS衛星信号が受信できず、所要の測位データが得られない場合、測位データとして「NO SIGNAL」(GPS信号無し)のデータを送信する。
【0052】
そして、この受信要求情報を受信したBS1のデータ制御部11は、携帯電話端末5の接続先(図3の「接続先 BS RS」欄)になるBS1の識別情報又は、BS1(又は、RFヘッド21)の識別情報「#B3845」を受信情報に更に付加し、所低の情報に編集して配信サーバ3へ転送する(ステップs3)。
【0053】
なお、携帯電話端末5が、ワンセグ放送受信メニュー(ワンセグ受信モード)にある場合、配信サーバ3へ送信する情報に自分の接続先のBS1又は、RFヘッド21の識別情報、例えば、BS1の「#B3845」、又は、中継無線局(RS)の場合は、「WES3456」を直接送信する方法を採り、配信サーバ3が、この「#B3845」を読み取るようにしても良い。
【0054】
携帯電話端末5が、直接この接続先のBS1、又はRFヘッド21の識別情報を送る事については、例えば、その携帯電話網のBS1と又はRFヘッド21と携帯電話端末5との間の無線リンク接続情報を、携帯電話端末5におけるアプリケーションに反映させればよい。
【0055】
この場合、通信処理部52から制御処理部55が携帯電話端末5とRFヘッド21との間で形成される無線リンクの接続先情報の中からアドレス情報、即ち識別情報を抽出して、配信サーバ3へ向けて送信する受信要求情報に付加すれば良く、例えば、GPSの即位情報に続けて、現在の通話相手先となっているRFヘッド21のアドレスデータを記載する。
【0056】
逆に言えば、携帯電話端末の識別情報に加えて携帯電話端末の現在位置情報を伝送することは、従来、携帯電話端末からGPSによる測位データを地図情報サーバに送信し、地図情報サーバから、地図データを携帯電話端末へ返信するサービス等でも行われている。従って、携帯電話端末5の制御処理部55が、そのGPSの測位データに、当該携帯電話の接続先のRFヘッドのアドレス(識別情報)を読み出して、それを加えた受信要求情報として配信サーバ3へ送信することは、容易に実現できる。
【0057】
本実施例では、携帯電話端末5が接続中のRFヘッド21の識別情報を配信サーバに送信していることが加えられているが、位置情報授受については、GPSによる携帯電話端末5の位置特定に関わる情報を同様に送受信しているそれに倣えば良いので詳細説明は省略する。
【0058】
配信サーバ3は、これらの図3に示された情報を受信する(ステップs4)と、サーバのデータベース、ここでは放送局リストテーブル31に記憶蓄積しているワンセグ放送のサービスエリアに関わるデータとを比較照合して、その結果を携帯電話端末に返信する。
【0059】
図4において、ワンセグ放送を行っている放送局名に対応して、チャネルデータ、設置位置、受信可能エリア、設置中継装置(RS)のRFヘッドの識別番号(「RS ID」の欄)が、例えば、(a)の「A0001」、「ch #a1」、「N:00°00′E:XXX°XX′」、「Zone A01」、「空欄」、又は、「E2003」、「ch #e3」、「ABC DEPT 9F」、「IX―WES」、「WES3456」の様に予め登録され、放送局リストテーブル31になり記憶されている。
【0060】
図4(a)、(b)は、一般の広域サービスを行うワンセグ放送局であり、「N:00°OO′E:XXX°XX′」にある送信アンテナから、ここでは、カバーエリアの形状等は、詳細に示されていないが「Zone A01」の範囲内で受信可能なサービスを行っている。「Zone A01」等のカバーエリアは、地図上の緯度、経度情報に連携して形状を記述(マッピング)することにより、GPSで取得した携帯電話端末5の現在の測位データと照合が可能であっても良い。
【0061】
配信サーバ3は、このカバーエリアのマッピングデータを図示されないデータベースとして記憶している。そして、このマッピングデータと携帯電話端末5の現在の測位データとを照合することにより受信可能なワンセグ放送局を抽出することが出来る。
【0062】
図3(a)、(b)の様にGPSによる測位データを伴っている場合(ステップs5がYes)、その現在の位置情報が図4の放送局リストテーブル31に示された受信可能エリア、例えば、「Zone A01」に含まれる場合(ステップs5−1がYes)は、それに対応する放送局の名称と、予め登録されたその受信チャネル等の情報とを受信設定データとして携帯電話端末5へ返信する(ステップs5−11)。
【0063】
また、どの受信可能エリアにも含まれない場合(ステップs5−1がNo)は、「該当無」を受信設定データとして(ステップs5−12)返信する。
【0064】
携帯電話端末5は、通信処理部52が受信した受信設定データを制御処理部55に通知する。制御処理部55は、ワンセグ放送受信アプリケーションに関わる所定の手順により受信可能な放送局名等が、I/O部54に表示(ステップs7)する。そして、それを読み取ったユーザから、もし、複数の放送局が候補として表示される場合の放送局の選択など、所定の入力設定に従ってワンセグ放送局が選択、受信される(ステップs8)。
【0065】
次に、配信サーバ3が受信する情報に位置情報が含まれていない場合についての動作を説明する。この場合、図3(c)に示される接続中の中継装置2の無線中継局(RFヘッド)のRSIDは、本発明の実施例に当たるエリアワンセグ送信器22と組になっているRFヘッド21である。そして、それが設置されている中継装置2には、一般のワンセグ放送局よりもカバーエリアが小さいスポットサービス的なエリアワンセグ送信器22が設置されている。
【0066】
RFヘッド21通話可能なカバーエリアとこのエリアワンセグ送信器22が送信する電波(放送)が受信可能なるカバーエリアとは、前述の如く揃っているものである。この様なRFヘッド21と共に設置されたエリアワンセグ送信器22は、予め、それに対応するワンセグ放送局名と設置RSIDが登録され、図4(c)〜(f)の様にテーブル上に記憶蓄積されている。
【0067】
配信サーバ3が受信する情報の位置情報欄にGPSによるデータがない場合(ステップs5がNo)、配信サーバ3は、その携帯電話端末5の接続先の識別情報を読み出し(ステップs5−2)、それが図4の設置RSIDに一致する場合(ステップs6がYes)、(ここでは、「BST9746」なので、図4(e)に相当する。)その設置されている放送局名「D3456」とその放送局の受信チャネル情報等とを受信設定データとして、携帯電話端末5へ返信する(ステップs61)。
【0068】
携帯電話端末5は、この返信結果に基づき、受信可能な放送局名等が、I/O部54に表示され(ステップs7)、それを読み取ったユーザから、もし、複数の放送局が候補として表示される場合の放送局の選択など、所定の入力設定に従って選択されたワンセグ放送が受信される(ステップs8)。
【0069】
また接続先がテーブルに記された設置RSIDに一致しないか、又は無い場合は(ステップs6がNo)は、「該当無」を受信設定データとして(ステップs5−12)を返信する。
【0070】
以上述べたように、GPSの位置情報を用いてワンセグ放送の受信チャネルを案内するワンセグ放送システムにおいて、GPSの測位データが受信できないクローズドエリアでも的確にその内部でのエリアワンセグ放送が提供可能になる。
【0071】
特に、トンネル内では、一般のワンセグ放送の受信や、携帯電話の通話ができなくなるが、それに対しても指向性アンテナを利用し両者のカバーエリアを揃えたトンネル内中継装置を設けることにより、携帯電話の継続的な通話と一般のワンセグ放送が連続して受信できるサービスとが提供可能になる。この時、トンネル内のエリアワンセグ放送、即ち、ワンセグ送信器22の送信周波数をトンネル外の一般のワンセグ放送の周波数(チャネル)と異なるものにすることにより、干渉を避け、また、非常放送や、交通案内放送を通知することも可能になる。
【0072】
次に、本実施例の更なる効果を説明する。
本実施例では、上述の様に受信可能な放送局を通知するだけでなく、これらのエリアワンセグ放送局を自動受信させる事が可能である。例えば、屋内展示場で、展示品毎の説明に展示品毎のエリアワンセグ放送を利用することが出来る。つまり、展示品毎に設けたエリアワンセグ放送局は、カバーエリアを重複しないように設置する。
【0073】
例えば、図4(e)と(f)とは、DSHOWと言う展示会場の#1ビル(#1BUILDING)の中に中継装置2がA1区域(A1 Block)とA2区域(A2 Block)と離れた場所に設置し、展示品に付いての説明を一定の周期で繰り返し送信する。そして、携帯電話端末5のワンセグ放送の動作オプションとして、受信設定データに示された受信可能な放送局の候補が1つのみの場合、制御処理部55が、その候補局の放送の受信信号を復調してI/O部54のディスプレイやスピーカから出力する制御を行うことにより、自動的に、説明放送を受信して出力することが出来る。
【0074】
図6は、図5のステップs8の細部手順を示すフローチャートである。
即ち、図6において、携帯電話端末5の制御処理部55は、通信処理部52から受信した受信設定データを判読し、受信可能なエリアワンセグ送信器22の放送局(候補局)が1つだけの場合(ステップs81がYes)、その候補局の受信設定データの受信チャネル設定データを放送受信部51に入力し、放送受信部51が復調出力した放送番組信号をI/O部54のディスプレイやスピーカから出力する(ステップs83)。
【0075】
なお、複数の候補局がある場合は、自動受信では無く(ステップs81がNo)、その候補局リストをディスプレイに表示して選択入力を待つ(ステップs84)。そして選択入力された放送局の電波を受信復調して出力する(ステップs85)様になる。
【0076】
また、複数の候補局がある場合でも可能な別の自動受信方法として、特定のエリアワンセグ放送局に対して強制受信モードを設ける。例えば、配信サーバ3から携帯電話端末にむけ、返信する場合その受信チャネルについて優先的に直ちに受信にする強制受信情報を受信設定データに付加する方法がある。例えば、放送局名に続けて強制受信を意味する「+」符号を付ける方法である。そして、制御処理部55は、受信設定データを判読し、「+」が有るかどうかを調べ有る場合(ステップs82がYes)は、そのマークされた放送局を受信復調して出力する(ステップs86)。
【0077】
図7は、図6の応用である図5のステップs8の細部手順を示すフローチャートである。
この場合、図6のステップs81とs82とを入れ替えることによりワンセグ放送局が複数有る場合の対応性を高めている。
【0078】
また、変形例としては、マークの代わりにシステム全体で、配信サーバ3から送信される特定の受信チャネルに対しては、当該チャネル情報を受信した場合に直ちにそのチャネルを出力する動作規定を設けておくことにより、強制受信をさせる方法もある。
【0079】
上記の説明の場合、エリアワンセグ放送局の受信を開始した時点で、携帯電話端末5から配信サーバへ、受信応答報告を送信し、その受信応答報告を受信した配信サーバは、受信設定データの送信を停止する。また携帯電話端末5は、配信サーバ3からの受信設定データを受信する手順を解除する。
【0080】
本実施例の更なる応用として非常放送受信を可能とする非常強制受信モードがある。この非常強制受信モードは、エリアワンセグ放送の受信を開始してからも受信設定データの送受信を解除せずに継続的に、受信設定データを送受信する。もし、受信中に非常放送を開始したエリアワンセグが有った場合、制御処理部55は、その強制受信のマーク付きの受信データ、もしくは、前述の特定チャネルの情報を受信した場合、受信中のエリアワンセグ放送局からその強制受信の対象の局へ切り替える。
【0081】
この非常強制受信モードは、展示会場での強制割り込み放送として有効であり、迷子案内、火災報知などに有効である。また、トンネル内での非常放送や交通情報案内にも有効である。即ち、図示されない非常放送システムから非常事態であること配信サーバ3へ通知すると共に、中継装置2に取付けられたエリアワンセグ放送局に非常放送を開始させることにより強制割り込み放送も可能になる。
【0082】
この方法では、複数のエリアワンセグ放送が、同じクローズドエリア内で放送していてもこの携帯電話によるチャンネル設定されてワンセグ放送を受信していれば、従来のワンセグ放送受信機では受信できない強制割り込み放送の受信を受信可能にすることが出来る。
【0083】
以上説明した如く、本発明のワンセグ放送システムは、外部電波が届かないクローズドエリアでも、ワンセグ放送局のチャネル情報を取得して受信することが可能になる。
【符号の説明】
【0084】
1 BS(携帯電話基地局)
11 データ制御部
2 中継装置
21 RFヘッド
22 エリアワンセグ送信器
3 配信サーバ
30 記憶装置
31 放送局リストテーブル
32 通信IO部
33 CPU
4 ネットワーク
5 携帯電話端末
51 放送受信部
52 通信処理部
53 GPS処理部
54 I/O部
55 制御処理部
6 高周波信号伝送路
7 GPS衛星
8 ワンセグ放送局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星信号を受信して自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバと自分との間で自分の現在のGPS測位データを送受信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局のチャネル情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムにおいて、
移動通信網を介して通信する通信手段と、GPS受信器と、ワンセグの放送受信器と、入力手段からワンセグ放送を受信する設定が入力された時、前記通信手段に対して自分の識別情報と前記GPS測位データとを含む受信要求情報を前記チャネルリスト配信サーバへ送信し、それに対して返信されたワンセグ放送局の受信設定データを受信する制御と、前記ワンセグ放送の受信器に前記受信した受信データにより示された受信チャネルを選択して受信する制御を行う制御手段とを備える移動通信端末と、
前記移動通信端末、または前記移動通信網の基地局に備えられ、前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局、または、前記基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の識別情報を前記送信される受信要求情報に付加するデータ制御手段と、
外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置される中継装置であって、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され、前記クローズドエリア内をカバーエリアとして前記移動通信端末との間で無線信号を中継する固有の識別情報が付与された中継局と、前記中継局と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアでワンセグ放送を行うエリアワンセグ送信器とを具備する中継装置と、
前記移動通信網と前記チャネルリスト配信サーバとの間での通信を可能とするネットワークと、
前記ネットワークを介して通信するネットワーク通信手段と、
予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、受信可能エリアと、前記中継装置に設置されたエリアワンセグ送信器に対しては、当該中継局の識別情報とを対応してテーブルに登録して記憶する記憶手段と、
前記ネットワーク通信手段にから前記移動通信端末から前記受信要求情報を受信した場合、前記受信要求情報を調べ、前記GPS測位データが無い場合、前記受信要求情報に付加された前記接続先となる中継局の識別情報を読み出して前記テーブルと照合することにより、前記移動通信端末の現在位置を特定してそこで受信可能な前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、それに対応する放送局名と受信チャネル情報とを前記受信設定データとして前記ネットワーク通信手段から前記移動通信端末へ返信する制御を行うCPUとを備えるチャネルリスト配信サーバとを
具備することを特徴とするワンセグ放送システム。
【請求項2】
前記移動通信端末の制御手段は、
受信した前記受信設定データに受信可能な前記エリアワンセグ送信器の放送局名が1つのみ示された場合、前記ワンセグ放送の受信器へそのチャネル情報により放送局の電波を受信復調して自動的に出力する制御をすることを特徴とする請求項1記載のワンセグ放送システム。
【請求項3】
前記チャネルリスト配信サーバのCPUは、
前記テーブルに示される前記放送局に予め強制受信を示す優先度が設定されている場合、その放送局に対する強制受信を示す受信設定データを前記移動通信端末へ返信し、
前記強制受信を示す受信設定データを受信した前記移動通信端末の前記制御部は、
前記ワンセグ放送の受信器に対してその放送局に対するチャネル情報により放送局の電波を受信復調して自動的に出力する制御をすることを特徴とする請求項1記載のワンセグ放送システム。
【請求項4】
GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、
移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバと自分との間で自分の現在のGPS測位データと自分の識別情報とを送信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムに用いられ、
前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の中継装置であって、
前記中継装置は、
外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置され、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され、前記クローズドエリア内をカバーエリアとして前記移動通信端末との間で無線信号を中継する固有の識別情報が付与された中継局と、
前記中継局と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアでワンセグ放送を行うエリアワンセグ送信器とを
具備することを特徴とするワンセグ放送システムの中継装置。
【請求項5】
GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える移動通信端末が、
移動通信網に接続されワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバへ、
自分の現在のGPS測位データと自分の識別情報とを含む受信要求情報を送信し、
前記移動通信端末が、前記チャネルリスト配信サーバから返信される現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を示す受信設定データを取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムのチャネルリスト配信サーバにおいて、
前記チャネルリスト配信サーバは、
前記移動通信網を介して前記移動通信端末との間で通信して前記受信要求情報の受信と、前記受信設定データとを送信する通信手段と、
予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、前記各放送局の受信可能エリアと、外部の電波が届かないクローズドエリアに設置される中継装置が備えるエリアワンセグ送信器に対しては、それと組になる前記送信器と同じクローズドエリア内のカバーエリアで前記移動通信端末と前記移動通信網の基地局との間の無線通信を中継する中継局の識別情報とを対応したテーブルのリストに登録して記憶する記憶手段と、
前記通信手段の受信状態を監視し、前記通信手段が受信した前記受信要求情報に前記GPS測位データが無い場合、前記受信要求情報に付加された前記接続先となる中継局の識別情報を前記記憶手段から読み出した前記テーブルと照合することにより前記移動通信端末の現在位置を特定し、そこで受信可能な前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、
それに対応する放送局名と受信チャネル情報とを前記受信設定データとして前記移動通信端末へ返信する制御を行うCPUとを
備えることを特徴とするチャネルリスト配信サーバ。
【請求項6】
移動通信端末と、データ制御手段と、中継局とエリアワンセグ送信器とを有する中継装置と、チャネルリスト配信サーバとを備え、
GPS衛星信号を受信し、自分の現在の位置情報を取得するGPS受信器とワンセグ放送の受信器とを備える前記移動通信端末が、当該移動通信網に接続されたワンセグ放送局毎にカバーエリア情報と受信チャネル情報とを管理するチャネルリスト配信サーバとの間で自分の現在のGPS測位データを送受信して現在位置で受信可能な前記ワンセグ放送局の情報を取得することにより前記ワンセグ放送を受信するワンセグ放送システムの受信方法において、
前記移動通信端末は、入力手段からワンセグ放送を受信する設定が入力された時、自分の識別情報とGPS衛星信号の測位データとを含む受信要求情報を移動通信網により前記チャネルリスト配信サーバへ向けて送信し、
前記データ制御手段は、前記送信される受信要求情報を監視して前記移動通信端末の無線通信の接続先となる前記移動通信網の基地局、または、前記基地局と移動通信端末との間を無線中継する中継局の識別情報を前記送信される受信要求情報に付加し、
外部の電波が到達しないクローズドエリアに設置される前記中継装置のエリアワンセグ送信器は、クローズドエリア内のカバーエリアでワンセグ放送を行い、
前記中継局は、前記基地局に高周波信号伝送手段により接続され固有の識別情報が付与されて前記エリアワンセグ送信器と組になり前記カバーエリアと同じに揃えられたカバーエリアに居る前記移動通信端末と前記基地局との間で無線信号を中継し、
前記チャネルリスト配信サーバは、
予め、複数のワンセグ放送局名、受信チャネル、設置場所と、受信可能エリアと、前記中継装置に設置されたエリアワンセグ送信器に対しては、当該中継局の識別情報とを対応してテーブルに登録して記憶し、
前記移動通信網により接続された前記移動通信端末から受信する前記受信要求情報を前記テーブルと照合し、前記受信要求情報に前記GPS測位データが無く、前記接続先となる前記中継局の識別情報がある場合には、
前記移動通信端末の現在位置が前記クローズドエリア内の前記カバーエリアにいると判定し、前記中継局と組となる前記エリアワンセグ送信器を見つけ出し、それに対応する放送局名と受信チャネル情報とをそこで受信可能な前記受信設定データとして前記移動通信端末へ返信し、
前記返信されたエリアワンセグ放送局の受信設定データを受信した前記移動通信端末は、受信した受信設定データにより示された受信チャネルを選択して前記エリアワンセグ放送を受信する
ことを特徴とするワンセグ放送システムの受信方法。
【請求項7】
前記移動通信端末は、
受信した前記受信設定データに受信可能な前記エリアワンセグ送信器の放送局名が1つのみ示された場合、そのチャネル情報により放送局の電波を受信復調して自動的に出力することを特徴とする請求項6記載のワンセグ放送システムの受信方法。
【請求項8】
前記チャネルリスト配信サーバは、
前記テーブルに示される前記放送局に予め強制受信を示す優先度が設定されている場合、その放送局に対する強制受信を示す受信設定データを前記移動通信端末へ送信し、
前記強制受信を示す受信設定データを受信した前記移動通信端末は、
その放送局に対するチャネル情報により放送局の電波を受信復調して自動的に出力することを特徴とする請求項6記載のワンセグ放送システムの受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−283613(P2010−283613A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135393(P2009−135393)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】